光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システム
【課題】 光の干渉を利用した位置計測を単純な構成で低コストで行うための光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システムを提供する。
【解決手段】 位置計測システムは、レーザ光を放射する光源2および異なる光路を通過するレーザ光により同心円状の干渉模様を形成する光学レンズ系1−3を有する光源モジュール3と、干渉模様を検出する検出装置11と、検出装置からの検出信号に基いて光源および検出装置および干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置12とを備える。光学レンズ系1−3は、一つの光源から放出された光を光軸上平面において仮想的に2つの光源から放出された光であるように対象物に投影し干渉模様を形成し得るレンズ面を備える。
【解決手段】 位置計測システムは、レーザ光を放射する光源2および異なる光路を通過するレーザ光により同心円状の干渉模様を形成する光学レンズ系1−3を有する光源モジュール3と、干渉模様を検出する検出装置11と、検出装置からの検出信号に基いて光源および検出装置および干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置12とを備える。光学レンズ系1−3は、一つの光源から放出された光を光軸上平面において仮想的に2つの光源から放出された光であるように対象物に投影し干渉模様を形成し得るレンズ面を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同心円干渉模様を形成するのに適した光源モジュール、およびその同心円干渉模様を利用して、物体の1次元、2次元または3次元の位置を計測する位置計測システムに関するものである。本発明は位置計測の他、例えば、ポインター、距離画像の入力装置、位置情報システムなどとして利用することができる。
【背景技術】
【0002】
一般には対象物の向きを計測する方法は容易ではない。例えば、ポインターの指し示す方向を計測する方法として、ポインターにLED光源を2個とりつけて、その2点をカメラ2台で撮影し三角測量の原理でそれら各々の位置を算出して、ポインターの向きを計測する方法はあるが、実際にはポインターは10cm程度の長さであり、カメラとポインターが数m離れると、位置精度が低く、ポインターの方向を精度よく計測することはできない。また、三角測量の場合には2つ以上のカメラが常に同一の点を撮影できることが必要だが、現実には一方が隠れてしまうことが多く、常時計測することは容易ではない。また、カメラ2台以上を用いた三角測量では、各カメラの光軸方向とカメラ間の位置を精度高く配置した後に位置補正をする必要がある、これら一連の作業が面倒、などの問題もある。
その他、現在提案されている技術としては、レーザポインターで指し示した点をプロジェクターに取り付けたCCDカメラで検出し、その座標にカーソルを移動させる方法がある。しかし、この方法は投影型の表示の場合にのみ利用できるもので、通常のディスプレイには適用できず、汎用性がないと言う問題がある。その他の方法としてジャイロ方式のポインターがある。これは角度センサーであるジャイロを利用してジャイロポインターの3次元的な回転移動量を測定し、その移動量を無線でコンピュータに送信し、カーソルを移動させるものである。しかし、この方法は、ジャイロポインターの回転移動量だけを計測するものであり、人間が実際にジャイロポインターで指し示すベクトル方向とカーソル位置とは全く関係がなく、指し示す位置が分かりづらいという問題がある。この他にも光や超音波を利用してポインターの3次元位置を計測してコンピュータへの入力手段とする方法が提案されているが、これらはいずれもポインターが指し示すベクトル方向が不明で、普段人間が自然に表現する「指や手の延長線上が指示点」という機能を実現できない。
【0003】
一方で、位置計測を高精度に行う方法として、光の干渉を利用する光干渉計測法がよく用いられている。光干渉計測法としては、例えば、レーザ光源から出た光をビームスプリッターなどを用いて2つに分割し、その一方を対象物に照射し、他方を参照光としてミラーに照射して元の光路に戻し、対象物からの反射光と参照光とを重ね合わせて干渉させる方法がある。この方法は波長以下の分解能で位置や変位を計測できるという利点がある。しかし、この方法ではビームスプリッターや反射ミラーなどの光学部品が必要で、部品数が多くかつコストが高いという問題がある。また、これらの部品の組立には高い位置精度が要求され、手間がかかりコストが高いという問題がある。また、移動する対象物に対して光干渉計測法を適用する場合には、対象物を自動追跡して、光を連続的に照射することが必要で、コストがさらに高くなるという欠点がある。
【0004】
また、次の特許文献1には、部品点数を少なくすることができるレーザ干渉測長機が開示されている。
【特許文献1】特公平4−8724号公報
【0005】
この測長機は屈折率分布型レンズを用いる。この屈折率分布型レンズは、光学用ガラスロッドの屈折率をイオン拡散によって中心軸から離れる程、屈折率の値を小さくするようにしたものである。屈折率分布型レンズの入射端と反対側の出射端に例えば金を蒸着した半透鏡が形成されている。干渉は、レーザ装置からの直接光と、屈折率分布型レンズの半透鏡で反射され更にレーザ装置出射端面で反射されて再度屈折率分布型レンズに入射される反射光との間で生ずる。この測長機は上記のものに比べて部品点数はある程度減らすことはできるが、屈折率分布型レンズを用意し、半透鏡を形成する必要があり、コスト面では十分とはいえない。
【0006】
その他の光干渉計測法としては、回折格子やスリットなどを使用する方法がある。回折格子やスリットを用いて光干渉を発生させるには、波長程度のピッチで回折格子やスリットを形成しなければならないので、微細加工が必要であり、これらの部品は値段が高いと言う問題がある。スリットを用いた場合には、レーザ光を照射しても通過する光量が大幅に減少し、通常の環境では利用しづらいと言う問題がある。
【0007】
また、対象物の向きを計測する手段として、対象物に光投影装置を取り付け、そこから同心円模様を壁などに映し出し、壁に設置したイメージセンサーなどの検出装置で同心円を検出して同心円中心を算出することで対象物の向きを計測することができるが、この場合には光投影装置は壁との距離に応じて干渉模様がボケないように焦点を合わせる必要があり、対象物がダイナミックに移動する場合には焦点を合わせる時間が間に合わないという問題がある。また、自動焦点機構などが必要でコストがかかるという問題がある。
以上のように、現状では、動く対象物の向き、方向を精度良く計測する適切な手段がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、対象物の向きを計測する手段として、カメラ2台で対象物を撮影する方法では、計測の位置精度が低く、対象物の向きを精度よく計測することができない。また、カメラ2台の配置や位置補正などの工程が面倒である。高精度に位置計測できる光干渉の従来の技術では、干渉光学系の部品のコストが高いこと、組立に要求される位置精度が高いこと、部品数が多く組立工数がかかること、移動体の位置計測には向かないこと、などの問題があった。また、同心円模様をプロジェクターで投影する方法は、焦点合わせに時間がかかったり、サイズが大きい、重い、消費電力が大きいなどの問題がある。
【0009】
従って本発明の目的は、光の干渉を利用した位置計測を単純な構成で低コストで行うための光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、レーザ光を放射する光源と、第1のレンズと、第2のレンズとがこの順に並んだ光源モジュールであって、前記第1のレンズは、前記光源から放出された光を光軸と平行な光線とするものであり、前記第2のレンズは、レンズの半径方向において光の出射方向を連続的に変化させる曲率を有し、前記平行な光線を通過させ光軸上平面において仮想的に2つ以上の光源から放出された光であるように同心円状の干渉模様を対象物に形成し得るレンズ面を有する光源モジュールにより、達成される。
【0011】
また、前記第2のレンズは、光軸付近に配置されたインナーレンズと、その外側に配置されたアウターレンズより構成することができる。光源から放出された光が、前記インナーレンズおよびアウターレンズにより異なる3光路を通過するようにすることができる。前記第2のレンズは、光軸を中心とする多角形の入射面または出射面を有することができる。前記干渉模様のピッチがほぼ等間隔となるようにすることができる。
【0012】
本発明に係る位置計測システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備える。ここで、前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して垂直に位置し、同心円形状の干渉模様を検出するようにでき、また前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して斜めに位置し、多重楕円形状の干渉模様を検出するようにできる。前記干渉模様の曲率から、前記同心円形状の中心または前記多重楕円形状の中心を算出することができる。また、前記干渉模様の曲率と前記干渉模様の間隔から、前記光源モジュールの3次元位置を算出することができる。さらに、前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の変調信号でパルス発光し、前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。
【0013】
前記検出装置は前記パルス発光の固有の変調信号を検出する受光部を具備しており、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。前記検出装置は縦横に配列された受光素子アレイを備えることができる。前記光源モジュールは複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の発光波長を有し、前記検出装置が前記発光波長を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。また、前記光源モジュールが複数個設けられており、前記検出装置が前記光源モジュールを検出した瞬間から前記演算装置は前記検出信号を追跡を実施し、前記追跡により前記干渉模様を識別し、前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。前記検出装置がレンズを有し、前記検出装置の受光部のサイズより大きな領域の干渉模様を検出することができる。前記光源モジュールから前記干渉模様が投影され、前記投影された干渉模様を前記検出装置が検出することで、前記光源モジュールと前記検出装置と前記演算装置の少なくとも一つの位置を計測することができる。
【0014】
本発明に係るポインター計測システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記干渉模様がある対象物に投影され、前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置を算出することにより、前記光源モジュールが指し示している対象物の位置を計測するものである。
例えば、前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の複数点を指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測され、前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の丸で囲むように指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測される。前記対象物は例えばディスプレイ装置であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置をマーキング表示する。また、前記対象物は例えばコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置に、カーソルを移動させる。
【0015】
前記光源モジュールにはマウスの右クリックおよび左クリックに相当するスイッチが具備され、前記光源モジュールによりマウスカーソルのように操作できる。前記表示領域を特徴づける2個所以上に、前記検出装置を配置し、前記表示領域を特定することができる。前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置と前記干渉模様の同心円間隔から前記光源モジュールの位置を計測することができる。前記光源モジュールには前記干渉模様の同心円あるいは同心楕円の間隔がほぼ等間隔に形成される前記第2のレンズを使用し、前記光源モジュールと前記対象物との距離に概ね比例して前記同心円間隔が変化することを利用して、前記光源モジュールの位置を計測することができる。
前記干渉模様が投影される対象物は例えばコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置にカーソルを移動させると共に、前記光源モジュールの位置を計測し、前記カーソル位置と前記光源モジュール位置を記録することができる。
【0016】
本発明に係る位置情報システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、隣り合う前記光源モジュールから投影された前記同心円干渉模様が重なりあう範囲において、屋内を移動する移動物体が向いている方向と位置の両方の情報を取得するものである。
前記光源モジュールは例えば屋内に取り付けられ、前記検出装置が移動物体に付着させられることにより、前記移動物体はそれ自身の位置情報を取得することができる。また、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の変調信号でパルス発光し、前記検出器が前記固有の変調のパルス発光を検出し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することができる。また、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の波長の光を発光し、前記検出器は前記固有の波長の光を識別して受光し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することができる。
【0017】
前記光源モジュールは例えば室内の天井または壁面に2個以上以上取り付けられ、前記移動物体の位置情報に基いて前記移動物体を目的位置に誘導する誘導装置を具備することができる。前記移動物体が物品を配達する配達装置であり、前記位置情報に基いて前記配達装置が物品を目的位置に配達するようにすることができる。前記誘導装置がディスプレイ装置を有し、前記ディスプレイ装置に地図を表示することができる。前記誘導装置が機械的振動部を有し、前記機械的振動部を振動させることで前記移動物体を誘導することをができる。前記光源モジュールは例えば屋内に取り付けられ、前記演算装置が前記光源モジュールへ向かう方角と距離を算出することができる。
【0018】
本発明に係る光空間通信装置は、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号を演算処理する演算装置とを備え、光空間通信の光送信機に前記光源モジュールまたは前記検出装置が装着され、前記光源モジュールまたは前記検出装置の少なくとも一つの位置情報にもとづいて、光空間通信の光受信機の位置が特定され、その特定された方向に向かって光空間通信の光送信機の光信号が発されるものである。前記光受信機を前記検出装置に装着し、前記光送信機を前記光源モジュールに装着し、かつ前記光受信機の位置が前記同心円干渉模様の中心位置に位置するように前記光送信機の発生する光信号の角度を調節するための角度調節装置を備えることができる。
前記同心円状の干渉模様とは、ほぼ同心円の干渉模様を含み、さらには円や楕円だけではなくこれに類する形状の干渉模様を含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光の干渉を利用した位置計測を単純な構成で低コストで行うための光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システムを得ることができる。また、光源モジュールの位置と向き、および光源モジュールを取り付けた物体の位置と向きを単純な構成で低コストで簡易に計測することができる。また、光源モジュールをポインターとして利用すると、ポインターが指し示す箇所を精度よく計測できる。また、ポインターで指し示した物体の寸法と位置を単純な構成で低コストで簡易に計測することができる。また、光源モジュールを天井などに設置し、検出装置を携帯することで、高精度の位置情報システムを構築することができる。本発明では、光の干渉を利用するが、光干渉模様は距離の遠近に関わらず常にクリアーな像が形成されるので、焦点機構などが不要であるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る光学レンズ系をまず説明し、その後に、これを用いた位置計測システムについて説明する。ここで、光学レンズ系は、1つまたは複数の光学レンズから構成される。
最初に、本発明に係る光学レンズ系として同心円干渉模様(干渉縞)を形成するレンズの原理を説明する。レンズを用いて同心円干渉模様を形成する方法としては、大きく分けて2種類ある。一つはレンズの光軸上の断面において、その光軸で分けられた片側半分を通過した光と、もう片側半分を通過した光が対象物上で干渉する場合である。もう一つはレンズの光軸上の断面において、レンズの片側半分を通過した光同士が干渉する場合である。
【0021】
図1(a)、(b)は、光学レンズの上側半分と下側半分を通過した光が干渉を起こす原理を説明するための図である。図1(a)は光学レンズの光軸を通過する平面におけるレンズ断面を示し、図1(b)は円錐形状の光学レンズの断面図と正面図を示している。図示のように、光学レンズ1−1は光入射面が円錐形状であり、光出射面は平面で構成されている。光学レンズ1−1uは、レンズ1−1を光源方向から見た正面図である。このように、光学レンズ1−1は、光軸上あるいは光軸近傍に形状の特異点があるレンズ面を有している。
レーザ光源2から放射された光は光学レンズ1−1に入射する。光軸より上側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−1−1を経由して照射される。同様に、光軸より下側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−2−1を経由して照射される。対象物10上の同一点(干渉点)5に到達した光は、同一光源より発されたレーザ光であるので干渉する。このように、一つの光源から放出されたレーザ光は光軸上平面において仮想的に2点の光源2−1、2−2から放出されたレーザ光であるように、対象物に投影される。
【0022】
いま、光源2から干渉点5に至る光路2−1−1と光路2−2−1の光路長を各々L1、L2とし、その光路差をΔLとし、また、光路2−1−1と光路2−2−1を通って干渉点5に到達した光の強度は同じとすると、干渉点5における光の電界強度Iは光路長L1、L2と波長λとの関数になっており、以下の式で表される。
E=exp(2πL1/λ*i)+exp(2πL2/λ*i)
=2cos(π*ΔL/λ)*exp(iπ(L1+L2)/λ) (1)
ここで、iは虚数単位、λはレーザ光の波長である。また、光路長は空気とレンズの屈折率を考慮した値となる。ここで、光の強度Iは電界強度の2乗で表されるので、
I=|E|2 (2)
となる。
【0023】
この式を応用して、コンピュータにより光干渉をシミュレーションすることができる。
光学レンズ1−1は光軸対称の形状を有しているので、光軸を中心とした同心円の干渉模様が形成されることが予想された。円錐レンズを用いて実際に干渉模様が形成されるかどうかを調べた。その結果を図2に示す。図2は、CCDに直接干渉模様を投影して撮影したときの干渉模様を示す図である。このとき、CCDサイズは約12mm×10mmで、レンズからCCDの距離は60cmとした。円錐レンズの形状はレンズ径Φ16mm、円錐部の高さ1.5mm、円錐高さを含む全体の厚さ5mmとした。円錐レンズの頂上とレーザ光源の距離は1〜2mm程度とした。その結果、図2に示すような同心円が実際に形成できることが確認できた。ここで、円錐レンズはレーザ光を対象物上で重ね合わせる働きをしている。
【0024】
図3は、光学レンズの上側半分を通過した光同士で干渉を起こす原理を説明するための図である。図3に示した光学レンズ1−2は光軸部分と最外周部分が光軸に垂直な面を有している。レーザ光源2から出射されたレーザ光はコリメータレンズ1cで平行にされ、レンズ1−2に入射する。光軸部を通過した光はそのまま直進するが、光軸より少し上側の領域を通過する光はレンズにより屈折され、下側に進行する。光がさらに上側の領域を通過するに従い、より大きく屈折されるが、ある点で最も強く屈折した後は再び光軸に平行な光線に戻っていく。そして、最外周部を通過する光は光軸と平行に進行する。このような光の挙動を起こさせるレンズでは、図3に示すように、対象物の同一点5に到達する光が存在し、干渉を起こす。本レンズは光軸対称の形状を有しているので、干渉模様は光軸を中心とした同心円の形状となる。このレンズの場合でも、各干渉点を通る光軸上の平面においては、仮想的な2つの光源2−1i、2−2iから干渉点に光が到達していると考えることができる。この場合、仮想的な光源の位置は各干渉点に応じて位置が移動することになる。
【実施例1】
【0025】
図4(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
本実施例では、図4(a)に示すように、光軸に窪みのある光軸対象のリング形状レンズ1−3を用いる。図4(b)において、レンズ1−3はレンズの断面図を示し、レンズ1−3uはレンズを光源方向から見た正面図を示すものである。ここで、レンズ外径は3mmとした。光軸上の平面におけるレンズの入射面はx=0.5*(y―1.5)1.5(単位はmm)の非球面で構成されている。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yは光軸に垂直な半径方向の軸である。レンズ1−3の光出射面は平面とした。レンズ素材の屈折率は1.51とした。
【0026】
レーザ光源2から放射された光はコリメータレンズ1cを介して光学レンズ1−3に入射する。光軸より上側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−3−1を経由して照射される。同様に、光軸より下側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−3−2を経由して照射される。対象物10上の同一点(干渉点)5に到達した光は、同一光源より発されたレーザ光であるので干渉する。このように、一つの光源から放出されたレーザ光は光軸上平面において仮想的に2点の光源2−1、2−2から放出されたレーザ光であるように、対象物に投影される。本実施例では、点光源の光をコリメータレンズを用いて平行光とし、これを上記レンズに入射させているが、平行光は、無限遠の光源と考えることができ、この無限遠の光源を上記レンズにより、仮想的に2点の光源としている。
このレンズ1−3に半導体レーザ2から出射した光をコリメータレンズ1cで平行光として入射させた場合にどのような干渉模様が形成されるかをシミュレーションにより調べた。半導体レーザの光は一般にガウシアン分布の強度分布を持つので、ここではレンズ外径3mmの外径部を通過する光の強度は、レンズ中心部(光軸)を通過する光の強度の3.4%にまで減少する、としてシミュレーションを行った。その結果、4m先の対象物に約直径4mの同心円干渉模様が形成されることが分かった。その干渉パタンの一部分を図5に示す。図5には円中心から1000mm〜1010mm離れた位置の同心円干渉模様が示されている。このグラフでは、ちょうど1.0mmピッチで同心円ができることが確認できる。
【実施例2】
【0027】
図6(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光同士、あるいは下半分を通過した光同士が干渉し、同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
本実施例では、図6(a)に示すように、光軸中心付近のインナーレンズ1−4−inとその外側を取り囲むアウターレンズ1−4−outで構成されるレンズ1−4を用いる。図6(b)において、レンズ1−4はレンズの断面図を示し、レンズ1−4uはレンズを光源方向から見た正面図を示すものである。インナーレンズの光入射面はその断面形状を二次曲線(放物曲線)面x=0.6*y*y(単位はmm)とした。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yはこれに垂直な方向とした。インナーレンズ1−4−inのレンズ径は2.0mmとした。アウターレンズ1−4−outの光入射面はn=1.52のn次曲線面x=1.4*(y−3)^1.52とした(記号^は累乗を表す)。アウターレンズのレンズ径は3mmとした。この式はアウターレンズの非球面がx−y平面においてy=3を中心としたn次曲線であることを示しており、これは最外周部を通過する光はレンズを直進して通過し、屈折せずに進むことを示している。レンズの屈折率は1.51とした。このレンズの場合でも、光軸上の平面において、インナーレンズ1−4−inの光路で仮想的な光源2−2があり、アウターレンズ1−4−outの光路で仮想的な光源2−1,2−3がある、と考えることができる。
【0028】
このレンズを用いて、3m先に投影される光強度分布をシミュレーションにより調べた。本レンズにおいては、インナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光が干渉するので、各々のレンズを通過して対象物に投影される光の強度が同程度であることが望まれる。なぜならば、干渉により光は強めあったり、弱めあったりする訳であるが、光強度が同じであれば、完全に打ち消しあった光強度0の暗点と完全に強めあった光強度が2倍の明点が交互に発生するので、光強度のコントラストが明瞭となるという特徴がある。
図7は、投影面におけるインナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光の強度を示すグラフである。図において縦軸は光強度で横軸はy軸方向(投影面)の位置(mm)であり、このグラフから3m以上に光が広がっていることが分かる。インナーレンズとアウターレンズを通過した光は共に光強度4〜6の間にあり、だいたい同じような光強度にあることが分かった。光干渉により十分に明暗のコントラストが取れることが判明した。
【実施例3】
【0029】
同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を以下に示す。
図8は、光入射面と光出射面の両方ともが凸形状の曲率を持つレンズ1−5の例を示す図である。同心円干渉模様は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉して形成される。このレンズは光出射面も曲率をもつので光の広がり角度が大きくなり、大きいサイズの同心円を形成できる効果がある。
図9は、光入射面と光出射面の両方ともが凹形状の曲率を持つレンズ1−6の例を示す図である。このレンズも、同心円干渉模様はレンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉して形成される。光出射面も曲率をもつので光の広がり角度が大きくなり、大きいサイズの同心円を形成できる効果がある。
図10は、光軸を通る平面によるレンズの断面が2個の三角形状となるレンズ1−7の例を示す図である。ここでは光入射面が三角形で、光出射面は平面で構成されているが、これとは逆に光入射面を平面とし、光出射面を三角形としてもよい。このレンズでは、同心円干渉模様はインナーレンズ1−7−inとアウターレンズ1−7−outを通過した光が干渉して形成される。
【0030】
図11は、光軸付近に凸形状のインナーレンズ1−8−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−8−outを有するレンズの例を示す図である。ここでは、外側のレンズ1−8−outはインナーレンズ1−8−inと接する領域において、光は屈折せずに直進する曲率面を有している。このレンズでは、同心円干渉模様はインナーレンズ1−8−inとアウターレンズ1−8−outを通過した光が干渉して形成される。
図12は、凹形状のインナーレンズ1−9−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−9−outを有するレンズの例を示す図である。同心円干渉模様はインナーレンズ1−9−inとアウターレンズ1−9−outを通過した光が干渉して形成される。このレンズでは、光出射側の断面形状を球面レンズとした。これにより、同心円干渉模様の間隔を変える効果がえられる。
図13は、光軸付近にある焦点距離のインナーレンズ1−10−inを有し、その外側にアウターレンズ1−10−outを有するレンズを示す図である。インナーレンズ1−10−inは焦点距離を持つ球面であり、アウターレンズ1−10−outもある焦点距離を持つ球面で構成されている。このようなレンズを用いても、同心円干渉模様を形成することができる。
【0031】
図14は、レンズの3光路を通過した光が対象物上で干渉し、同心円模様を形成するレンズの例を示す図である。光軸付近のインナーレンズ1−11−inと外側レンズの断面上部に位置するアウターレンズ1−11−out1と、外側レンズの断面下部に位置するアウターレンズ1−11−out2の3光路を通過した光は対象物上で干渉する。この場合、干渉する光は3方向から対象物に到達するが、インナーレンズ、アウターレンズとも光軸に対して対称な位置に存在するので、干渉模様は同心円の形状を示す。しかし、干渉模様の強度は式(1)に第三番目の光路L3を加えた式となり、式(1)で示される単純な周期関数ではなく、複雑な強弱を有する関数となる。
図15は、光軸付近に空洞でレンズがなく、外周部にだけレンズ部材があるレンズの例を示す図である。このような構造にしても、光軸より上側のレンズを通過した光と下側を通過した光が対象物上で同心円の干渉模様を形成する。
【0032】
図16は、凹形状のインナーレンズ1−13−inと凹形状のアウターレンズ1−13−outを有するレンズの例を示す図である。同心円干渉模様はインナーレンズ1−13−inを通過した光と、アウターレンズ1−13−outを通過した光が対象物上で干渉して形成される。
上記の実施例では全てレンズは光軸に対して対称な形状をしているが、本発明は光軸に対して垂直な平面によるレンズ断面において、多角形を有する形状であっても同様の効果を得ることができる。例えば、円錐レンズで得られたと同様な効果は正16角形錐などのような多角形錐でも得られる。
また、上記の実施例ではレンズは1枚しか利用していないが、例えば、図13のようなレンズはインナーレンズ1−10−inの代わりに同じようなレンズ径のレンズを、アウターレンズ1−10−outのような1枚のレンズと組み合わせることによって実現できることは言うまでもない。
【実施例4】
【0033】
図17は、レンズを2枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例では、実施例1で利用した円錐レンズ1−1と両凹面レンズ1−14を組み合わせた光学レンズ系により同心円干渉模様を形成した。この場合、両凹面レンズ1−14は円錐レンズ1−1から出射される光を広角に拡大して投影する働きをしている。このように、実施例1〜3で述べたレンズは様々に組み合わせて、同心円干渉模様を形成することができる。本実施例では、レンズを組み合わせることにより、同心円干渉模様を広角に投影できる効果がある。
図18は、レンズを3枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例の光学レンズ系は、図示のように、コリメータレンズ1cを用いて、レーザ光源2の光を平行光とし、その後に円錐レンズ1−15を介在させて光に進行方向を変更し、次に対象物上で同心円干渉模様を描くように光を重ねるためのレンズ1−16を設置するものである。ここでは、円錐レンズはコリメート光の進行方向を変更し、光源が光軸上の断面においてあたかも2個存在するかのように、光路を分岐する役割を果たしており、その後のレンズが光を対象物10上で重ね合わせる働きをしている。円錐レンズは、実施例1のように、対象物上で同心円干渉模様を形成するように光を重ねる役割は果たしていない。しかしながら、本発明においても、同心円干渉模様は、円錐レンズ1−15の上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉することにより形成されている。すなわち、光を重ねる働きをするレンズ1−16により、レンズ全体を通過した光同士が対象物10上で干渉するのである。
【実施例5】
【0034】
図19は、レンズと他の光学部品を組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例では、レーザ光源から放射された光がハーフミラーにより分岐された後に、対象物に投影され、同心円状の干渉模様が形成される。図18に示すように、レーザ光源2から放射された光はコリメータレンズ1cにより平行光にされる。次に、半分の光を透過し、残り半分の光を反射するハーフミラーの働きをする面を両面に持つガラス板1hを光路に介在させる。これにより図19に示すように、ガラス板1hの光出射側の面で反射された光がガラス板1hの光入射側で再び反射されて次の凸レンズ1−17に入射する。即ち、ガラス板1hに反射されずに進行した光とガラス板1hに2度反射された光が共に凸レンズ1−17に入射し、対象物10上で重なりあい、同心円状の干渉模様を形成する。
この場合、ガラス板1hの存在により、仮想的光源2−1が存在すると考えることができる。即ち、光源2と光源2−1から放射されたレーザ光が凸レンズ1−17に入射し、これが同心円状の干渉模様を形成すると考えることができる。厳密な意味においては、干渉模様は完全な円ではない。つまり、光源2あるいは光源2−1が光学レンズ1−16の光軸上に存在しないので、厳密な意味においては、干渉模様は完全な円形状ではないが、光源2と光源2−1の位置が離れていない場合には擬似的に円形状を形成する。
本実施例のように、レーザ光を分岐する手段を導入して同心円を形成すると、同心円形状を形成するための特殊な形状をしたレンズが不要で、普通の凸レンズ1−17を利用して同心円干渉模様を形成できる。即ち、レンズ設計が容易になる。
本実施例では、ハーフミラーの働きをするガラス板1hを斜めに傾けて光路内に介在させたが、コリメータレンズ1cを取り外して、ガラス板1hを光軸に垂直に介在させても同心円干渉模様を形成することができる。この場合には干渉模様は完全な円形をする。仮想的な光源2−1は光軸上に存在することになり、実際の光源2よりレンズから遠い側に位置する。
本実施例では、ハーフミラーの働きをする面を両面に持つ板ガラスを利用して、レーザ光を分岐したが、その他の光分岐手段、例えば、三角プリズムのハーフミラーなどの光分岐手段を用いて光を分岐し、その後、元のレーザ光と重ね合わせて同心円的な形状の干渉模様を形成できることはいうまでもない。
【実施例6】
【0035】
次に、本発明に係る光学レンズ系を用いた位置計測システムについて説明する。
図20は、同心円干渉模様を形成するレンズと半導体レーザ光源を光源モジュールとして用い、このモジュールが指し示す指示点を計測する位置計測システムの実施例を示す図である。本実施例は、半導体レーザ2、コリメータレンズ1cおよび同心円干渉模様を形成するリング形状レンズ1−3を有する光源モジュール3と、ディスプレイ装置100と、同心円干渉模様を検出する検出装置(例えばイメージセンサー)11と、検出した干渉模様のデータを演算処理する演算装置12とを備える。
光源モジュール3は、波長850nmの半導体レーザ2と同心円干渉模様を形成するリング形状レンズ1−3とを含む。レンズ外径は3mmとした。光軸上の平面におけるレンズの入射面はx=0.5*(y―1.5)*√(y―1.5)(単位はmm)の非球面で構成されている。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yは光軸に垂直な半径方向の軸である。レンズ1−3の光出射面は平面とした。レンズ素材の屈折率は1.51とした。このレンズ1−3に半導体レーザ2から出射した光をコリメータレンズ1cで平行光として入射させた。
【0036】
この光源モジュールをポインターなどとして利用する場合には、前記レンズ1−3の光軸の延長線上にある同心円干渉模様の中心点が指示点となる。ディスプレイ装置100の角に検出装置11を設置し、同心円干渉模様5の一部を検出させた。検出装置11には850nmより長波長の光のみを通過させる赤外線フィルターを取り付けた。これにより、室内灯などのノイズとなる光を遮断した。検出装置11には同心円干渉模様の一部分である円弧が多数投影された。この円弧の画像を演算装置12により、画像処理し、同心円中心を算出した。円弧から同心円中心を求める方法を、図21に示す。円弧から任意の3点5−1,5−2,5−3をとり、2本の線分を決める。数学の定理より、その各々の線分の垂直2等分線の交点が円中心5−0となる。この円中心が光源モジュール3の指示点となる。円弧の任意の3点は、検出装置が検出した全ての円弧情報から抽出することができるので、その点数を多くすればするほど、ノイズ成分がキャンセルされ高い位置精度で中心点を求めることができる。
上記のように、ディスプレイ装置100に検出装置11を取り付けて、同心円干渉模様を検出し、演算装置12で光源モジュール3が指し示した位置を算出した。この位置にカーソルを移動させる信号を演算装置12からディスプレイ装置100に送信することで、光源モジュール3はポインター装置として利用することができた。
上記の実施例では、検出装置は1個しか利用していないが、複数個取り付けることができる。この場合には、同心円の外径が小さくても、検出装置で同心円を検出することができるようになる。
【実施例7】
【0037】
図22は、実施例14において、光源モジュール3の指し示す方向がディスプレイ装置100に対して傾いている場合を説明するための図である。図22に示すように、ディスプレイ装置100が光源モジュール3の光軸に対して垂直である場合には投影される干渉模様は同心円5cとなるが、ディスプレイ装置100が光軸に対して傾いている場合には多重楕円5eが投影される。この多重楕円5eは、数学の定理によると、楕円の焦点位置5−0に収束する。即ち、楕円に存在する2つの焦点位置の内、光源モジュールに近い側の焦点5−0を核として、楕円が多重に広がっていく様相すなわち多重楕円5eを呈する。X軸とY軸を長軸、短軸とする楕円は以下の式で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
次に楕円を基準にしたこの座標系を、投影された平面の固定座標系x−yに変換する。この2つの座標系は同一平面内に存在するので、平行移動(p,q)と回転θの座標変換を行えば対応づけることができる。
【0040】
【数2】
【0041】
関係式(4)を(3)に代入すると、次式が得られる。
【0042】
【数3】
【0043】
ディスプレイ装置100に設置した検出装置11で一つの楕円の座標(x、y)を5点読みとり、式(5)に代入する。未知数はa、b、p、q、θの5個なので、座標を5点読みとることで未知数を求めることができる。楕円式が求められれば、焦点位置は容易に算出できる。焦点位置は2つ存在するので、そのどちらが多重楕円の収束点5−0であるかを決定しなければならない。この収束点5−0は光源モジュール3に近い方の収束点であるので、検出装置の照度情報から光源がどちらの方向に存在するかが分かる。この情報を元に、収束点5−0を決定することができる。
あるいは、検出装置11には複数の楕円5eが投影されるので、異なる楕円の式を導き出すことで多重楕円の収束点を算出することができる。即ち、複数の楕円式の焦点位置2個の内、収束点5−0は同一点となるが、他方の焦点は異なる位置を示す。この現象から多重楕円の収束点を求めることができる。
【実施例8】
【0044】
図23は、ディスプレイ装置の対角線の位置にそれぞれ検出装置を取り付けて、ディスプレイ装置のサイズを自動的に検出して、ポインターで指し示した点にカーソルを移動させる実施例を示す図である。本実施例では、図23に示すように、画面の対角線の角の位置に検出装置11−1と11−2を取り付ける。ディスプレイ装置100は長方形をしているので、左上に取り付けた検出装置11−1と、右下に取り付けた検出装置11−2により、ディスプレイ装置の縦横サイズを規定することができる。即ち、ディスプレイ装置の表示部画面を検出装置11−1と11−2の配置により簡易に特定することができた。
また、ディスプレイ装置100がコンピュータに接続されている場合には、光源モジュールをポインターとして用いることにより、カーソルをポインターの指示点に移動させることができる。また、ポインターにはマウスの左クリックや右クリックに相当するスイッチをつけることで、手書き入力により画面に書き込んだりすることができる。また、マウスのようにコンピュータ画面を自在に操作することができる。
【0045】
また、複数の光源モジュールをポインターとして利用する場合には、同じ同心円の円弧を追跡することにより、複数の円弧を識別することができ、各々の位置情報を計測することができる。円弧を追跡する方法としては、図24に示すように、円弧の形が24Aから24Bあるいは24Cから24Dに連続的に変化することを利用できる。また、円弧の中心である同心円中心が連続的に変化すること、光源モジュールの位置が連続的に変化することを利用する。即ち、これらの位置は突然に別の位置に移動することがなく、通常は連続的に移動するので、他の円弧と識別することができるのである。
また、通常の検出装置はカラーのRGB三色を検出する画素を有している。したがって、3個の光源モジュールの識別には、RGB三色のレーザ光源を用いることで簡易に識別することができる。
同心円干渉模様の円半径が大きい場合、検出装置などの検出装置は円の曲率半径を精度よく検出することが困難になる。その場合には、図25に示すように、検出装置11のサイズよりも大きなレンズ13を用いて、干渉模様を縮小して検出装置が撮像できるようにする方法が有効である。また、図26に示すように、検出装置11よりも大きなサイズの散乱板13−sに干渉模様を投影し、この散乱光を結像レンズ13を用いて検出装置11に結像させる方法も有効である。
【実施例9】
【0046】
図27は、平面に投影された等間隔の干渉模様から光源モジュールの3D位置を計測する実施例を示す図である。
まず、光源モジュールには、前面リング凸面/後面凹面の光学レンズを搭載した。前面のリング凸面は、x=0.3*(y−1.5)^1.55の断面を持つ非球面レンズとした。ここでxは光軸であり、yは光軸に垂直でレンズの半径方向の軸とした。後面の凹レンズは曲率半径62mmの球面レンズとした。レンズ直径はΦ6mmで、レンズ厚さ3mm、屈折率1.51とした。
レーザ光源の波長を850nmとし、これをコリメータレンズで平行光とした後に、上記の前面リング凸面/後面凹面レンズに入射させた。レーザ光源からレンズ全面までの距離を3mm、レンズ後面から投影平面までの距離を3000mmとした場合に、投影平面に形成される同心円干渉模様は円中心から外周部に至るまで、そのピッチが全て0.85〜0.86mmになることがシミュレーション結果から分かった。これを図28(a)、(b)に示す。即ち、光源の光軸と平面が垂直であれば、干渉模様のピッチは平面内ではどこでもほぼ同じ(等間隔の同心円)になることが判明した。また、この干渉模様のピッチは距離に比例することも分かった。従って、検出装置が検出した同心円の曲率から同心円中心を算出でき、次に、同心円のピッチから、光源モジュールまでの光軸上の距離を計算できることが確認できた。
【0047】
また、平面が光源モジュールの光軸4に対して傾いている場合には、多重楕円の間隔の変化から平面の傾き角度を算出することができる。平面の傾き角度が分かれば、上記と同様に光源モジュールまでの距離を求めることができる。
本計測方法を応用すると、例えば、光源モジュールをポインターとして利用してプレゼンテーションを行っている人の動作とポインティング箇所を効果的に計測することができる。プレゼンテーションの表示画面の近くに検出装置を設置し、ポインターが指し示した箇所とポインターそのものの位置を連続的に記録する。これはプレゼンテーターの動きや行動と同時に、プレゼンテーション資料のポイント箇所とを同時に記録することになり、プレゼンテーションの要約やリプレイに有効な計測方法となる。
【実施例10】
【0048】
図29は、光源モジュールをポインターとして利用し、対象物のサイズを計測する実施例を示す図である。本実施例では、図29に示すように、干渉模様の検出器である検出装置11が部屋の天井の角に複数台取り付けてある。部屋の中には、壁側に窓291やテレビ292があり、天井には2つの照明293、294が設置されている。例えば、ポインターの指示点が窓291の寸法と同じになるように窓をポインターにより丸で取り囲む。丸の上下左右の位置を窓291の寸法とすることで、四角い窓の寸法とその場所を簡易に計測することができる。同様にテレビ292の寸法と位置を簡易に計測することができる。また、天上には同じような照明が2台設置してあるが、これらの位置と寸法も同様にポインターで囲むことにより簡易に計測することができる。
上記では、対象物を丸で囲むことにより、位置やサイズを計測したが、窓のようにサイズが長方形となっている場合には対角の2点をポインティングすることによりそのサイズと位置を計測することもできる。また、テレビやラジオなどの寸法も対角の2点をポイントすることにより簡易に計測することができる
【実施例11】
【0049】
図30は、検出装置の方向と位置が分かる位置計測システムの実施例を示す図である。本実施例では、図30に示すように、天井に光源モジュール3−aと3−bを距離Lだけ離して設置し、床面へ同心円干渉模様5−aと5−bを投影する。干渉模様の中心5−a−0と5−b−0も距離L離れて投影される。また、これらの干渉模様は約半分の領域で重なるようにし、交互にパルス発光させて投影した。これにより干渉模様が検出器の上で重なりあって識別が複雑になることを避けた。同心円5−aの中心5−a−0を便宜的に各々(0,0)とし、同心円5−bの中心5−b−0を(0,L)と設定する。
図30において、イメージセンサーなどの検出装置11の中心位置を11−0とすると、検出装置は干渉模様5−aと5−bを検出することにより、検出装置の中心11−0から同心円中心5−a−0と5−b−0へのベクトルRaとRbを算出することができる。各々のベクトルの長さはRaとRbである。したがって、検出装置11−0は原点から半径Raの位置に存在することが分かり、位置座標は曲座標では(Ra,t)で表される。ここで角度tは、図31に示すように、x軸(ベクトルL)となす角度である。このtが求まれば、検出装置11の位置座標が決定される。
【0050】
Rb^2=Ra^2+L^2−2*Ra*L*cos(t) (6)
この式から、cos(t)を求めることができる。
また、距離RaやRbの誤差が大きいと予想される場合には、図31に示すように、明確に計測できる角度t0を利用するのがよい。即ち、
L^2=Ra^2+Rb^2−2*Ra*Rb*cos(t0) (7)
を用いて、不明確な値の精度を高めることができる。その後で、角度tを求めて、検出装置の位置座標を得ることができる。
本実施例では、光源モジュールを識別する方法として、同心円干渉模様を検出する検出装置に通常の画像撮影速度よりも速く光信号を受光できる受光素子を設置する方法がある。図32は、撮影のフレーム速度より速く光を検出する受光素子を備えた検出装置の一例を示す図である。本例の検出装置は2次元配列した受光素子アレイ321を備える。高速の受光素子322としては、アバランシェフォトダイオードなどを利用することができる。通常検出装置が撮影する画像情報は1秒間に30フレームであることが多いが、半導体レーザを用いた光源では、1秒間に100万回程度パルス発光させることができる。このパルス発光のパターンを検出装置が識別できれば、多数の光源モジュールを識別して、位置計測することができる。
【実施例12】
【0051】
図33は、光源モジュールを建物の天井に多数個取り付け、人を所望の位置に誘導する位置情報システムの実施例を示す図である。本実施例では、図33に示すように、建物の天井に取り付けた光源モジュールから各部屋(Room A−F)に通ずる廊下(Hall way)の床に投影された干渉模様(5−11、5−12、・・・・5−32)を表している。2個の干渉模様が同じ床面に投影されるように光源モジュールが配置されている。各光源モジュールにはID番号5−11、5−12、・・・・5−32が設定されており、各光源モジュールはID番号に対応して異なるパルス発光パターンで発光させる。
図34は、レーザ光源の発光パルスパターンの一例を示す図である。例えば、図34に示すように、パルスONを1、OFFを0として、光源モジュール5−11は8ビット(00000001)で繰り返し発光する。光源モジュール5−12は8ビット(00000010)で繰り返し発光する。同様に光源モジュール5−15は8ビット(00000101)で繰り返し発光する。このようにパルス発光パターンを光源モジュールIDに対応させることで、検出装置は光源モジュールを識別することができる。8ビットであれば、256個の発光モジュールを識別できる。この場合には信号の混信を起こさないために光源モジュールの発光タイミングをずらして発光させればよい。また、ID番号を振る方法として発光周波数を利用することもできる。1kHz,2kHzなど各々の光源モジュールに固有の周波数を割り付けておくと、発光タイミングをずらさなくとも各々の周波数を周波数検出機で識別することができる。
【0052】
検出装置としてイメージセンサーを用いた場合、画像撮影速度が比較的遅く、30フレーム/秒程度であるものが多い。そこで本実施例ではイメージセンサーの横に1秒間に10万回の信号を受信できる高速受光素子を取り付けた。これにより高速でパルス発光する光の信号を十分に識別することができた。
また、演算装置の中には、予め、光源モジュールID番号とその室内位置を入力しておいた。これにより、検出装置が検出したパルス発光パターンから、大まかな位置情報を把握することができる。この位置情報の上に、さらに同心円干渉模様から得られる高精度の位置情報を加えることにより、建物全体の中の何処にいるかを正確に把握することができた。
【0053】
上記の位置情報システムは位置誘導システムに利用することができる。例えば人に検出装置を携帯させ、検出した位置情報から所望の部屋までどちらに向かって進めばいいかを音声などで案内することができる。また、案内手段としては、検出装置にディスプレイ装置を取り付け、地図で案内させることもできる。また、検出装置に振動装置を取り付け、目的位置から外れると振動して知らせる手段を取ることも出来る。
上記の位置情報システムはまた、ロボットを目的の場所に誘導する装置としても利用することができる。ロボットの頭に同心円干渉模様の検出装置を取り付けることにより、ロボットが建物内にて自らの位置を簡易に知ることができる。よって、目的位置に到達することができる。また、ロボットなどが複数存在する場合にも、この方法により自らの位置を知ることができ、ロボットが互いに接触せず共同作業をすることができる。また、目的位置に検出装置を取り付けておき、無線通信機能によりロボットにその位置を知らせる。そして、その目的位置に精度よくロボットが移動させることもできる。また、検出装置を置いた目的位置にロボットが荷物を運搬するようにすることもできる。
【実施例13】
【0054】
図35は、光源モジュールの光軸が光の送信方向を決める光空間通信システムの実施例を示す図である。本実施例では、図35に示すように、光空間通信では光送信機30は光受信機31の方向を定めて光信号を送信する。光送信機30の光送信方向と光源モジュールの光軸4とが合致するように光源モジュール3を光送信機30に取り付ける。光送信機30は角度を自由に調節できる角度調節装置32の上に設置されている。光受信機には同心円干渉模様の検出装置11を取り付ける。そして、同心円中心から光受信機がどの程度離れているかを演算装置12が算出し、その結果を無線などの手段を通じて角度調節装置32にフィードバックする。そして、光送信機の光送信方向が光受信機の位置と合致させる。そして、光送信機から光受信機に向かって光空間通信を行う。本実施例によれば、光通信方向と光源モジュールの光軸4を一致させることができるので、極めて簡易に光送信方向を精度よく決定することができる。
本実施例では、光源モジュールの光軸を光空間通信の光送信方向を決める手段として用いたが、光源モジュールの光軸は部品組み立ての軸あわせ手段やゲームなどにおける方向の設定手段などにも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、同心円干渉模様を形成するのに適した光源モジュール、およびその同心円干渉模様を利用して物体の1次元、2次元または3次元の位置を計測する位置計測システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)、(b)は、光学レンズの上側半分と下側半分を通過した光が干渉を起こす原理を説明するための図である。
【図2】CCDに直接干渉模様を投影して撮影したときの干渉模様を示す図である。
【図3】光学レンズの上側半分を通過した光同士で干渉を起こす原理を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
【図5】シミュレーションにより得られた同心円干渉パタンの一部分を示す図である。
【図6】(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光同士、あるいは下半分を通過した光同士が干渉し、同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
【図7】投影面におけるインナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光の強度を示すグラフである。
【図8】光入射面と光出射面の両方ともが凸形状の曲率を持つレンズ1−5の例を示す図である。
【図9】光入射面と光出射面の両方ともが凹形状の曲率を持つレンズ1−6の例を示す図である。
【図10】光軸を通る平面によるレンズの断面が2個の三角形状となるレンズ1−7の例を示す図である。
【図11】光軸付近に凸形状のインナーレンズ1−8−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−8−outを有するレンズの例を示す図である。
【図12】凹形状のインナーレンズ1−9−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−9−outを有するレンズの例を示す図である。
【図13】光軸付近にある焦点距離のインナーレンズ1−10−inを有し、その外側にアウターレンズ1−10−outを有するレンズの例を示す図である。
【図14】レンズの3光路を通過した光が対象物上で干渉し、同心円模様を形成するレンズを示す図である。
【図15】光軸付近に空洞でレンズがなく、外周部にだけレンズ部材があるレンズの例を示す図である。
【図16】凹形状のインナーレンズ1−13−inと凹形状のアウターレンズ1−13−outを有するレンズの例を示す図である。
【図17】レンズを2枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図18】レンズを3枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図19】レンズと他の光学部品を組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図20】同心円干渉模様を形成するレンズと半導体レーザ光源を光源モジュールとして用い、このモジュールが指し示す指示点を計測する位置計測システムの実施例を示す図である。
【図21】円弧から同心円中心を求める方法を説明するための図である。
【図22】実施例14において、光源モジュール3の指し示す方向がディスプレイ装置100に対して傾いている場合を説明するための図である。
【図23】ディスプレイ装置の対角線の位置にそれぞれ検出装置を取り付けて、ディスプレイ装置のサイズを自動的に検出して、ポインターで指し示した点にカーソルを移動させる実施例を示す図である。
【図24】円弧を追跡する方法を示す図である。
【図25】検出装置11のサイズよりも大きなレンズ13を用いて、干渉模様を縮小して検出装置が撮像できるようにする方法を示す図である。
【図26】検出装置11よりも大きなサイズの散乱板13−sに干渉模様を投影し、この散乱光を結像レンズ13を用いて検出装置11に結像させる方法を示す図である。
【図27】平面に投影された等間隔の干渉模様から光源モジュールの3D位置を計測する実施例を示す図である。
【図28】(a)、(b)は、光源の光軸と平面が垂直であれば、干渉模様のピッチは平面内ではどこでもほぼ同じになるというシミュレーション結果を示す図である。
【図29】光源モジュールをポインターとして利用し、対象物のサイズを計測する実施例を示す図である。
【図30】検出装置の方向と位置が分かる位置計測システムの実施例を示す図である。
【図31】検出装置の位置座標を求める方法を説明するための図である。
【図32】撮影のフレーム速度より速く光を検出する受光素子を備えた検出装置の一例を示す図である。
【図33】光源モジュールを建物の天井に多数個取り付け、人を所望の位置に誘導する位置情報システムの実施例を示す図である。
【図34】レーザ光源の発光パルスパターンの一例を示す図である。
【図35】光源モジュールの光軸が光の送信方向を決める光空間通信システムの実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 光学レンズ
2 レーザ光源
3 光源モジュール
4 光源モジュールの光軸
5 干渉点
10 対象物
11 検出装置
12 演算装置
30 光送信機
31 光受信機
32 角度調節装置
100 ディスプレイ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、同心円干渉模様を形成するのに適した光源モジュール、およびその同心円干渉模様を利用して、物体の1次元、2次元または3次元の位置を計測する位置計測システムに関するものである。本発明は位置計測の他、例えば、ポインター、距離画像の入力装置、位置情報システムなどとして利用することができる。
【背景技術】
【0002】
一般には対象物の向きを計測する方法は容易ではない。例えば、ポインターの指し示す方向を計測する方法として、ポインターにLED光源を2個とりつけて、その2点をカメラ2台で撮影し三角測量の原理でそれら各々の位置を算出して、ポインターの向きを計測する方法はあるが、実際にはポインターは10cm程度の長さであり、カメラとポインターが数m離れると、位置精度が低く、ポインターの方向を精度よく計測することはできない。また、三角測量の場合には2つ以上のカメラが常に同一の点を撮影できることが必要だが、現実には一方が隠れてしまうことが多く、常時計測することは容易ではない。また、カメラ2台以上を用いた三角測量では、各カメラの光軸方向とカメラ間の位置を精度高く配置した後に位置補正をする必要がある、これら一連の作業が面倒、などの問題もある。
その他、現在提案されている技術としては、レーザポインターで指し示した点をプロジェクターに取り付けたCCDカメラで検出し、その座標にカーソルを移動させる方法がある。しかし、この方法は投影型の表示の場合にのみ利用できるもので、通常のディスプレイには適用できず、汎用性がないと言う問題がある。その他の方法としてジャイロ方式のポインターがある。これは角度センサーであるジャイロを利用してジャイロポインターの3次元的な回転移動量を測定し、その移動量を無線でコンピュータに送信し、カーソルを移動させるものである。しかし、この方法は、ジャイロポインターの回転移動量だけを計測するものであり、人間が実際にジャイロポインターで指し示すベクトル方向とカーソル位置とは全く関係がなく、指し示す位置が分かりづらいという問題がある。この他にも光や超音波を利用してポインターの3次元位置を計測してコンピュータへの入力手段とする方法が提案されているが、これらはいずれもポインターが指し示すベクトル方向が不明で、普段人間が自然に表現する「指や手の延長線上が指示点」という機能を実現できない。
【0003】
一方で、位置計測を高精度に行う方法として、光の干渉を利用する光干渉計測法がよく用いられている。光干渉計測法としては、例えば、レーザ光源から出た光をビームスプリッターなどを用いて2つに分割し、その一方を対象物に照射し、他方を参照光としてミラーに照射して元の光路に戻し、対象物からの反射光と参照光とを重ね合わせて干渉させる方法がある。この方法は波長以下の分解能で位置や変位を計測できるという利点がある。しかし、この方法ではビームスプリッターや反射ミラーなどの光学部品が必要で、部品数が多くかつコストが高いという問題がある。また、これらの部品の組立には高い位置精度が要求され、手間がかかりコストが高いという問題がある。また、移動する対象物に対して光干渉計測法を適用する場合には、対象物を自動追跡して、光を連続的に照射することが必要で、コストがさらに高くなるという欠点がある。
【0004】
また、次の特許文献1には、部品点数を少なくすることができるレーザ干渉測長機が開示されている。
【特許文献1】特公平4−8724号公報
【0005】
この測長機は屈折率分布型レンズを用いる。この屈折率分布型レンズは、光学用ガラスロッドの屈折率をイオン拡散によって中心軸から離れる程、屈折率の値を小さくするようにしたものである。屈折率分布型レンズの入射端と反対側の出射端に例えば金を蒸着した半透鏡が形成されている。干渉は、レーザ装置からの直接光と、屈折率分布型レンズの半透鏡で反射され更にレーザ装置出射端面で反射されて再度屈折率分布型レンズに入射される反射光との間で生ずる。この測長機は上記のものに比べて部品点数はある程度減らすことはできるが、屈折率分布型レンズを用意し、半透鏡を形成する必要があり、コスト面では十分とはいえない。
【0006】
その他の光干渉計測法としては、回折格子やスリットなどを使用する方法がある。回折格子やスリットを用いて光干渉を発生させるには、波長程度のピッチで回折格子やスリットを形成しなければならないので、微細加工が必要であり、これらの部品は値段が高いと言う問題がある。スリットを用いた場合には、レーザ光を照射しても通過する光量が大幅に減少し、通常の環境では利用しづらいと言う問題がある。
【0007】
また、対象物の向きを計測する手段として、対象物に光投影装置を取り付け、そこから同心円模様を壁などに映し出し、壁に設置したイメージセンサーなどの検出装置で同心円を検出して同心円中心を算出することで対象物の向きを計測することができるが、この場合には光投影装置は壁との距離に応じて干渉模様がボケないように焦点を合わせる必要があり、対象物がダイナミックに移動する場合には焦点を合わせる時間が間に合わないという問題がある。また、自動焦点機構などが必要でコストがかかるという問題がある。
以上のように、現状では、動く対象物の向き、方向を精度良く計測する適切な手段がない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、対象物の向きを計測する手段として、カメラ2台で対象物を撮影する方法では、計測の位置精度が低く、対象物の向きを精度よく計測することができない。また、カメラ2台の配置や位置補正などの工程が面倒である。高精度に位置計測できる光干渉の従来の技術では、干渉光学系の部品のコストが高いこと、組立に要求される位置精度が高いこと、部品数が多く組立工数がかかること、移動体の位置計測には向かないこと、などの問題があった。また、同心円模様をプロジェクターで投影する方法は、焦点合わせに時間がかかったり、サイズが大きい、重い、消費電力が大きいなどの問題がある。
【0009】
従って本発明の目的は、光の干渉を利用した位置計測を単純な構成で低コストで行うための光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、レーザ光を放射する光源と、第1のレンズと、第2のレンズとがこの順に並んだ光源モジュールであって、前記第1のレンズは、前記光源から放出された光を光軸と平行な光線とするものであり、前記第2のレンズは、レンズの半径方向において光の出射方向を連続的に変化させる曲率を有し、前記平行な光線を通過させ光軸上平面において仮想的に2つ以上の光源から放出された光であるように同心円状の干渉模様を対象物に形成し得るレンズ面を有する光源モジュールにより、達成される。
【0011】
また、前記第2のレンズは、光軸付近に配置されたインナーレンズと、その外側に配置されたアウターレンズより構成することができる。光源から放出された光が、前記インナーレンズおよびアウターレンズにより異なる3光路を通過するようにすることができる。前記第2のレンズは、光軸を中心とする多角形の入射面または出射面を有することができる。前記干渉模様のピッチがほぼ等間隔となるようにすることができる。
【0012】
本発明に係る位置計測システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備える。ここで、前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して垂直に位置し、同心円形状の干渉模様を検出するようにでき、また前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して斜めに位置し、多重楕円形状の干渉模様を検出するようにできる。前記干渉模様の曲率から、前記同心円形状の中心または前記多重楕円形状の中心を算出することができる。また、前記干渉模様の曲率と前記干渉模様の間隔から、前記光源モジュールの3次元位置を算出することができる。さらに、前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の変調信号でパルス発光し、前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。
【0013】
前記検出装置は前記パルス発光の固有の変調信号を検出する受光部を具備しており、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。前記検出装置は縦横に配列された受光素子アレイを備えることができる。前記光源モジュールは複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の発光波長を有し、前記検出装置が前記発光波長を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。また、前記光源モジュールが複数個設けられており、前記検出装置が前記光源モジュールを検出した瞬間から前記演算装置は前記検出信号を追跡を実施し、前記追跡により前記干渉模様を識別し、前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することができる。前記検出装置がレンズを有し、前記検出装置の受光部のサイズより大きな領域の干渉模様を検出することができる。前記光源モジュールから前記干渉模様が投影され、前記投影された干渉模様を前記検出装置が検出することで、前記光源モジュールと前記検出装置と前記演算装置の少なくとも一つの位置を計測することができる。
【0014】
本発明に係るポインター計測システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記干渉模様がある対象物に投影され、前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置を算出することにより、前記光源モジュールが指し示している対象物の位置を計測するものである。
例えば、前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の複数点を指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測され、前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の丸で囲むように指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測される。前記対象物は例えばディスプレイ装置であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置をマーキング表示する。また、前記対象物は例えばコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置に、カーソルを移動させる。
【0015】
前記光源モジュールにはマウスの右クリックおよび左クリックに相当するスイッチが具備され、前記光源モジュールによりマウスカーソルのように操作できる。前記表示領域を特徴づける2個所以上に、前記検出装置を配置し、前記表示領域を特定することができる。前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置と前記干渉模様の同心円間隔から前記光源モジュールの位置を計測することができる。前記光源モジュールには前記干渉模様の同心円あるいは同心楕円の間隔がほぼ等間隔に形成される前記第2のレンズを使用し、前記光源モジュールと前記対象物との距離に概ね比例して前記同心円間隔が変化することを利用して、前記光源モジュールの位置を計測することができる。
前記干渉模様が投影される対象物は例えばコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置にカーソルを移動させると共に、前記光源モジュールの位置を計測し、前記カーソル位置と前記光源モジュール位置を記録することができる。
【0016】
本発明に係る位置情報システムは、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、隣り合う前記光源モジュールから投影された前記同心円干渉模様が重なりあう範囲において、屋内を移動する移動物体が向いている方向と位置の両方の情報を取得するものである。
前記光源モジュールは例えば屋内に取り付けられ、前記検出装置が移動物体に付着させられることにより、前記移動物体はそれ自身の位置情報を取得することができる。また、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の変調信号でパルス発光し、前記検出器が前記固有の変調のパルス発光を検出し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することができる。また、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の波長の光を発光し、前記検出器は前記固有の波長の光を識別して受光し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することができる。
【0017】
前記光源モジュールは例えば室内の天井または壁面に2個以上以上取り付けられ、前記移動物体の位置情報に基いて前記移動物体を目的位置に誘導する誘導装置を具備することができる。前記移動物体が物品を配達する配達装置であり、前記位置情報に基いて前記配達装置が物品を目的位置に配達するようにすることができる。前記誘導装置がディスプレイ装置を有し、前記ディスプレイ装置に地図を表示することができる。前記誘導装置が機械的振動部を有し、前記機械的振動部を振動させることで前記移動物体を誘導することをができる。前記光源モジュールは例えば屋内に取り付けられ、前記演算装置が前記光源モジュールへ向かう方角と距離を算出することができる。
【0018】
本発明に係る光空間通信装置は、前記干渉模様を形成する光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号を演算処理する演算装置とを備え、光空間通信の光送信機に前記光源モジュールまたは前記検出装置が装着され、前記光源モジュールまたは前記検出装置の少なくとも一つの位置情報にもとづいて、光空間通信の光受信機の位置が特定され、その特定された方向に向かって光空間通信の光送信機の光信号が発されるものである。前記光受信機を前記検出装置に装着し、前記光送信機を前記光源モジュールに装着し、かつ前記光受信機の位置が前記同心円干渉模様の中心位置に位置するように前記光送信機の発生する光信号の角度を調節するための角度調節装置を備えることができる。
前記同心円状の干渉模様とは、ほぼ同心円の干渉模様を含み、さらには円や楕円だけではなくこれに類する形状の干渉模様を含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光の干渉を利用した位置計測を単純な構成で低コストで行うための光源モジュールおよびこれを用いた位置計測システムを得ることができる。また、光源モジュールの位置と向き、および光源モジュールを取り付けた物体の位置と向きを単純な構成で低コストで簡易に計測することができる。また、光源モジュールをポインターとして利用すると、ポインターが指し示す箇所を精度よく計測できる。また、ポインターで指し示した物体の寸法と位置を単純な構成で低コストで簡易に計測することができる。また、光源モジュールを天井などに設置し、検出装置を携帯することで、高精度の位置情報システムを構築することができる。本発明では、光の干渉を利用するが、光干渉模様は距離の遠近に関わらず常にクリアーな像が形成されるので、焦点機構などが不要であるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る光学レンズ系をまず説明し、その後に、これを用いた位置計測システムについて説明する。ここで、光学レンズ系は、1つまたは複数の光学レンズから構成される。
最初に、本発明に係る光学レンズ系として同心円干渉模様(干渉縞)を形成するレンズの原理を説明する。レンズを用いて同心円干渉模様を形成する方法としては、大きく分けて2種類ある。一つはレンズの光軸上の断面において、その光軸で分けられた片側半分を通過した光と、もう片側半分を通過した光が対象物上で干渉する場合である。もう一つはレンズの光軸上の断面において、レンズの片側半分を通過した光同士が干渉する場合である。
【0021】
図1(a)、(b)は、光学レンズの上側半分と下側半分を通過した光が干渉を起こす原理を説明するための図である。図1(a)は光学レンズの光軸を通過する平面におけるレンズ断面を示し、図1(b)は円錐形状の光学レンズの断面図と正面図を示している。図示のように、光学レンズ1−1は光入射面が円錐形状であり、光出射面は平面で構成されている。光学レンズ1−1uは、レンズ1−1を光源方向から見た正面図である。このように、光学レンズ1−1は、光軸上あるいは光軸近傍に形状の特異点があるレンズ面を有している。
レーザ光源2から放射された光は光学レンズ1−1に入射する。光軸より上側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−1−1を経由して照射される。同様に、光軸より下側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−2−1を経由して照射される。対象物10上の同一点(干渉点)5に到達した光は、同一光源より発されたレーザ光であるので干渉する。このように、一つの光源から放出されたレーザ光は光軸上平面において仮想的に2点の光源2−1、2−2から放出されたレーザ光であるように、対象物に投影される。
【0022】
いま、光源2から干渉点5に至る光路2−1−1と光路2−2−1の光路長を各々L1、L2とし、その光路差をΔLとし、また、光路2−1−1と光路2−2−1を通って干渉点5に到達した光の強度は同じとすると、干渉点5における光の電界強度Iは光路長L1、L2と波長λとの関数になっており、以下の式で表される。
E=exp(2πL1/λ*i)+exp(2πL2/λ*i)
=2cos(π*ΔL/λ)*exp(iπ(L1+L2)/λ) (1)
ここで、iは虚数単位、λはレーザ光の波長である。また、光路長は空気とレンズの屈折率を考慮した値となる。ここで、光の強度Iは電界強度の2乗で表されるので、
I=|E|2 (2)
となる。
【0023】
この式を応用して、コンピュータにより光干渉をシミュレーションすることができる。
光学レンズ1−1は光軸対称の形状を有しているので、光軸を中心とした同心円の干渉模様が形成されることが予想された。円錐レンズを用いて実際に干渉模様が形成されるかどうかを調べた。その結果を図2に示す。図2は、CCDに直接干渉模様を投影して撮影したときの干渉模様を示す図である。このとき、CCDサイズは約12mm×10mmで、レンズからCCDの距離は60cmとした。円錐レンズの形状はレンズ径Φ16mm、円錐部の高さ1.5mm、円錐高さを含む全体の厚さ5mmとした。円錐レンズの頂上とレーザ光源の距離は1〜2mm程度とした。その結果、図2に示すような同心円が実際に形成できることが確認できた。ここで、円錐レンズはレーザ光を対象物上で重ね合わせる働きをしている。
【0024】
図3は、光学レンズの上側半分を通過した光同士で干渉を起こす原理を説明するための図である。図3に示した光学レンズ1−2は光軸部分と最外周部分が光軸に垂直な面を有している。レーザ光源2から出射されたレーザ光はコリメータレンズ1cで平行にされ、レンズ1−2に入射する。光軸部を通過した光はそのまま直進するが、光軸より少し上側の領域を通過する光はレンズにより屈折され、下側に進行する。光がさらに上側の領域を通過するに従い、より大きく屈折されるが、ある点で最も強く屈折した後は再び光軸に平行な光線に戻っていく。そして、最外周部を通過する光は光軸と平行に進行する。このような光の挙動を起こさせるレンズでは、図3に示すように、対象物の同一点5に到達する光が存在し、干渉を起こす。本レンズは光軸対称の形状を有しているので、干渉模様は光軸を中心とした同心円の形状となる。このレンズの場合でも、各干渉点を通る光軸上の平面においては、仮想的な2つの光源2−1i、2−2iから干渉点に光が到達していると考えることができる。この場合、仮想的な光源の位置は各干渉点に応じて位置が移動することになる。
【実施例1】
【0025】
図4(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
本実施例では、図4(a)に示すように、光軸に窪みのある光軸対象のリング形状レンズ1−3を用いる。図4(b)において、レンズ1−3はレンズの断面図を示し、レンズ1−3uはレンズを光源方向から見た正面図を示すものである。ここで、レンズ外径は3mmとした。光軸上の平面におけるレンズの入射面はx=0.5*(y―1.5)1.5(単位はmm)の非球面で構成されている。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yは光軸に垂直な半径方向の軸である。レンズ1−3の光出射面は平面とした。レンズ素材の屈折率は1.51とした。
【0026】
レーザ光源2から放射された光はコリメータレンズ1cを介して光学レンズ1−3に入射する。光軸より上側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−3−1を経由して照射される。同様に、光軸より下側を通過した光は対象物10に光線軌跡2−3−2を経由して照射される。対象物10上の同一点(干渉点)5に到達した光は、同一光源より発されたレーザ光であるので干渉する。このように、一つの光源から放出されたレーザ光は光軸上平面において仮想的に2点の光源2−1、2−2から放出されたレーザ光であるように、対象物に投影される。本実施例では、点光源の光をコリメータレンズを用いて平行光とし、これを上記レンズに入射させているが、平行光は、無限遠の光源と考えることができ、この無限遠の光源を上記レンズにより、仮想的に2点の光源としている。
このレンズ1−3に半導体レーザ2から出射した光をコリメータレンズ1cで平行光として入射させた場合にどのような干渉模様が形成されるかをシミュレーションにより調べた。半導体レーザの光は一般にガウシアン分布の強度分布を持つので、ここではレンズ外径3mmの外径部を通過する光の強度は、レンズ中心部(光軸)を通過する光の強度の3.4%にまで減少する、としてシミュレーションを行った。その結果、4m先の対象物に約直径4mの同心円干渉模様が形成されることが分かった。その干渉パタンの一部分を図5に示す。図5には円中心から1000mm〜1010mm離れた位置の同心円干渉模様が示されている。このグラフでは、ちょうど1.0mmピッチで同心円ができることが確認できる。
【実施例2】
【0027】
図6(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光同士、あるいは下半分を通過した光同士が干渉し、同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
本実施例では、図6(a)に示すように、光軸中心付近のインナーレンズ1−4−inとその外側を取り囲むアウターレンズ1−4−outで構成されるレンズ1−4を用いる。図6(b)において、レンズ1−4はレンズの断面図を示し、レンズ1−4uはレンズを光源方向から見た正面図を示すものである。インナーレンズの光入射面はその断面形状を二次曲線(放物曲線)面x=0.6*y*y(単位はmm)とした。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yはこれに垂直な方向とした。インナーレンズ1−4−inのレンズ径は2.0mmとした。アウターレンズ1−4−outの光入射面はn=1.52のn次曲線面x=1.4*(y−3)^1.52とした(記号^は累乗を表す)。アウターレンズのレンズ径は3mmとした。この式はアウターレンズの非球面がx−y平面においてy=3を中心としたn次曲線であることを示しており、これは最外周部を通過する光はレンズを直進して通過し、屈折せずに進むことを示している。レンズの屈折率は1.51とした。このレンズの場合でも、光軸上の平面において、インナーレンズ1−4−inの光路で仮想的な光源2−2があり、アウターレンズ1−4−outの光路で仮想的な光源2−1,2−3がある、と考えることができる。
【0028】
このレンズを用いて、3m先に投影される光強度分布をシミュレーションにより調べた。本レンズにおいては、インナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光が干渉するので、各々のレンズを通過して対象物に投影される光の強度が同程度であることが望まれる。なぜならば、干渉により光は強めあったり、弱めあったりする訳であるが、光強度が同じであれば、完全に打ち消しあった光強度0の暗点と完全に強めあった光強度が2倍の明点が交互に発生するので、光強度のコントラストが明瞭となるという特徴がある。
図7は、投影面におけるインナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光の強度を示すグラフである。図において縦軸は光強度で横軸はy軸方向(投影面)の位置(mm)であり、このグラフから3m以上に光が広がっていることが分かる。インナーレンズとアウターレンズを通過した光は共に光強度4〜6の間にあり、だいたい同じような光強度にあることが分かった。光干渉により十分に明暗のコントラストが取れることが判明した。
【実施例3】
【0029】
同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を以下に示す。
図8は、光入射面と光出射面の両方ともが凸形状の曲率を持つレンズ1−5の例を示す図である。同心円干渉模様は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉して形成される。このレンズは光出射面も曲率をもつので光の広がり角度が大きくなり、大きいサイズの同心円を形成できる効果がある。
図9は、光入射面と光出射面の両方ともが凹形状の曲率を持つレンズ1−6の例を示す図である。このレンズも、同心円干渉模様はレンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉して形成される。光出射面も曲率をもつので光の広がり角度が大きくなり、大きいサイズの同心円を形成できる効果がある。
図10は、光軸を通る平面によるレンズの断面が2個の三角形状となるレンズ1−7の例を示す図である。ここでは光入射面が三角形で、光出射面は平面で構成されているが、これとは逆に光入射面を平面とし、光出射面を三角形としてもよい。このレンズでは、同心円干渉模様はインナーレンズ1−7−inとアウターレンズ1−7−outを通過した光が干渉して形成される。
【0030】
図11は、光軸付近に凸形状のインナーレンズ1−8−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−8−outを有するレンズの例を示す図である。ここでは、外側のレンズ1−8−outはインナーレンズ1−8−inと接する領域において、光は屈折せずに直進する曲率面を有している。このレンズでは、同心円干渉模様はインナーレンズ1−8−inとアウターレンズ1−8−outを通過した光が干渉して形成される。
図12は、凹形状のインナーレンズ1−9−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−9−outを有するレンズの例を示す図である。同心円干渉模様はインナーレンズ1−9−inとアウターレンズ1−9−outを通過した光が干渉して形成される。このレンズでは、光出射側の断面形状を球面レンズとした。これにより、同心円干渉模様の間隔を変える効果がえられる。
図13は、光軸付近にある焦点距離のインナーレンズ1−10−inを有し、その外側にアウターレンズ1−10−outを有するレンズを示す図である。インナーレンズ1−10−inは焦点距離を持つ球面であり、アウターレンズ1−10−outもある焦点距離を持つ球面で構成されている。このようなレンズを用いても、同心円干渉模様を形成することができる。
【0031】
図14は、レンズの3光路を通過した光が対象物上で干渉し、同心円模様を形成するレンズの例を示す図である。光軸付近のインナーレンズ1−11−inと外側レンズの断面上部に位置するアウターレンズ1−11−out1と、外側レンズの断面下部に位置するアウターレンズ1−11−out2の3光路を通過した光は対象物上で干渉する。この場合、干渉する光は3方向から対象物に到達するが、インナーレンズ、アウターレンズとも光軸に対して対称な位置に存在するので、干渉模様は同心円の形状を示す。しかし、干渉模様の強度は式(1)に第三番目の光路L3を加えた式となり、式(1)で示される単純な周期関数ではなく、複雑な強弱を有する関数となる。
図15は、光軸付近に空洞でレンズがなく、外周部にだけレンズ部材があるレンズの例を示す図である。このような構造にしても、光軸より上側のレンズを通過した光と下側を通過した光が対象物上で同心円の干渉模様を形成する。
【0032】
図16は、凹形状のインナーレンズ1−13−inと凹形状のアウターレンズ1−13−outを有するレンズの例を示す図である。同心円干渉模様はインナーレンズ1−13−inを通過した光と、アウターレンズ1−13−outを通過した光が対象物上で干渉して形成される。
上記の実施例では全てレンズは光軸に対して対称な形状をしているが、本発明は光軸に対して垂直な平面によるレンズ断面において、多角形を有する形状であっても同様の効果を得ることができる。例えば、円錐レンズで得られたと同様な効果は正16角形錐などのような多角形錐でも得られる。
また、上記の実施例ではレンズは1枚しか利用していないが、例えば、図13のようなレンズはインナーレンズ1−10−inの代わりに同じようなレンズ径のレンズを、アウターレンズ1−10−outのような1枚のレンズと組み合わせることによって実現できることは言うまでもない。
【実施例4】
【0033】
図17は、レンズを2枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例では、実施例1で利用した円錐レンズ1−1と両凹面レンズ1−14を組み合わせた光学レンズ系により同心円干渉模様を形成した。この場合、両凹面レンズ1−14は円錐レンズ1−1から出射される光を広角に拡大して投影する働きをしている。このように、実施例1〜3で述べたレンズは様々に組み合わせて、同心円干渉模様を形成することができる。本実施例では、レンズを組み合わせることにより、同心円干渉模様を広角に投影できる効果がある。
図18は、レンズを3枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例の光学レンズ系は、図示のように、コリメータレンズ1cを用いて、レーザ光源2の光を平行光とし、その後に円錐レンズ1−15を介在させて光に進行方向を変更し、次に対象物上で同心円干渉模様を描くように光を重ねるためのレンズ1−16を設置するものである。ここでは、円錐レンズはコリメート光の進行方向を変更し、光源が光軸上の断面においてあたかも2個存在するかのように、光路を分岐する役割を果たしており、その後のレンズが光を対象物10上で重ね合わせる働きをしている。円錐レンズは、実施例1のように、対象物上で同心円干渉模様を形成するように光を重ねる役割は果たしていない。しかしながら、本発明においても、同心円干渉模様は、円錐レンズ1−15の上半分を通過した光と下半分を通過した光が干渉することにより形成されている。すなわち、光を重ねる働きをするレンズ1−16により、レンズ全体を通過した光同士が対象物10上で干渉するのである。
【実施例5】
【0034】
図19は、レンズと他の光学部品を組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。本実施例では、レーザ光源から放射された光がハーフミラーにより分岐された後に、対象物に投影され、同心円状の干渉模様が形成される。図18に示すように、レーザ光源2から放射された光はコリメータレンズ1cにより平行光にされる。次に、半分の光を透過し、残り半分の光を反射するハーフミラーの働きをする面を両面に持つガラス板1hを光路に介在させる。これにより図19に示すように、ガラス板1hの光出射側の面で反射された光がガラス板1hの光入射側で再び反射されて次の凸レンズ1−17に入射する。即ち、ガラス板1hに反射されずに進行した光とガラス板1hに2度反射された光が共に凸レンズ1−17に入射し、対象物10上で重なりあい、同心円状の干渉模様を形成する。
この場合、ガラス板1hの存在により、仮想的光源2−1が存在すると考えることができる。即ち、光源2と光源2−1から放射されたレーザ光が凸レンズ1−17に入射し、これが同心円状の干渉模様を形成すると考えることができる。厳密な意味においては、干渉模様は完全な円ではない。つまり、光源2あるいは光源2−1が光学レンズ1−16の光軸上に存在しないので、厳密な意味においては、干渉模様は完全な円形状ではないが、光源2と光源2−1の位置が離れていない場合には擬似的に円形状を形成する。
本実施例のように、レーザ光を分岐する手段を導入して同心円を形成すると、同心円形状を形成するための特殊な形状をしたレンズが不要で、普通の凸レンズ1−17を利用して同心円干渉模様を形成できる。即ち、レンズ設計が容易になる。
本実施例では、ハーフミラーの働きをするガラス板1hを斜めに傾けて光路内に介在させたが、コリメータレンズ1cを取り外して、ガラス板1hを光軸に垂直に介在させても同心円干渉模様を形成することができる。この場合には干渉模様は完全な円形をする。仮想的な光源2−1は光軸上に存在することになり、実際の光源2よりレンズから遠い側に位置する。
本実施例では、ハーフミラーの働きをする面を両面に持つ板ガラスを利用して、レーザ光を分岐したが、その他の光分岐手段、例えば、三角プリズムのハーフミラーなどの光分岐手段を用いて光を分岐し、その後、元のレーザ光と重ね合わせて同心円的な形状の干渉模様を形成できることはいうまでもない。
【実施例6】
【0035】
次に、本発明に係る光学レンズ系を用いた位置計測システムについて説明する。
図20は、同心円干渉模様を形成するレンズと半導体レーザ光源を光源モジュールとして用い、このモジュールが指し示す指示点を計測する位置計測システムの実施例を示す図である。本実施例は、半導体レーザ2、コリメータレンズ1cおよび同心円干渉模様を形成するリング形状レンズ1−3を有する光源モジュール3と、ディスプレイ装置100と、同心円干渉模様を検出する検出装置(例えばイメージセンサー)11と、検出した干渉模様のデータを演算処理する演算装置12とを備える。
光源モジュール3は、波長850nmの半導体レーザ2と同心円干渉模様を形成するリング形状レンズ1−3とを含む。レンズ外径は3mmとした。光軸上の平面におけるレンズの入射面はx=0.5*(y―1.5)*√(y―1.5)(単位はmm)の非球面で構成されている。ここで、xは光軸で光の進行方向を正とし、yは光軸に垂直な半径方向の軸である。レンズ1−3の光出射面は平面とした。レンズ素材の屈折率は1.51とした。このレンズ1−3に半導体レーザ2から出射した光をコリメータレンズ1cで平行光として入射させた。
【0036】
この光源モジュールをポインターなどとして利用する場合には、前記レンズ1−3の光軸の延長線上にある同心円干渉模様の中心点が指示点となる。ディスプレイ装置100の角に検出装置11を設置し、同心円干渉模様5の一部を検出させた。検出装置11には850nmより長波長の光のみを通過させる赤外線フィルターを取り付けた。これにより、室内灯などのノイズとなる光を遮断した。検出装置11には同心円干渉模様の一部分である円弧が多数投影された。この円弧の画像を演算装置12により、画像処理し、同心円中心を算出した。円弧から同心円中心を求める方法を、図21に示す。円弧から任意の3点5−1,5−2,5−3をとり、2本の線分を決める。数学の定理より、その各々の線分の垂直2等分線の交点が円中心5−0となる。この円中心が光源モジュール3の指示点となる。円弧の任意の3点は、検出装置が検出した全ての円弧情報から抽出することができるので、その点数を多くすればするほど、ノイズ成分がキャンセルされ高い位置精度で中心点を求めることができる。
上記のように、ディスプレイ装置100に検出装置11を取り付けて、同心円干渉模様を検出し、演算装置12で光源モジュール3が指し示した位置を算出した。この位置にカーソルを移動させる信号を演算装置12からディスプレイ装置100に送信することで、光源モジュール3はポインター装置として利用することができた。
上記の実施例では、検出装置は1個しか利用していないが、複数個取り付けることができる。この場合には、同心円の外径が小さくても、検出装置で同心円を検出することができるようになる。
【実施例7】
【0037】
図22は、実施例14において、光源モジュール3の指し示す方向がディスプレイ装置100に対して傾いている場合を説明するための図である。図22に示すように、ディスプレイ装置100が光源モジュール3の光軸に対して垂直である場合には投影される干渉模様は同心円5cとなるが、ディスプレイ装置100が光軸に対して傾いている場合には多重楕円5eが投影される。この多重楕円5eは、数学の定理によると、楕円の焦点位置5−0に収束する。即ち、楕円に存在する2つの焦点位置の内、光源モジュールに近い側の焦点5−0を核として、楕円が多重に広がっていく様相すなわち多重楕円5eを呈する。X軸とY軸を長軸、短軸とする楕円は以下の式で表される。
【0038】
【数1】
【0039】
次に楕円を基準にしたこの座標系を、投影された平面の固定座標系x−yに変換する。この2つの座標系は同一平面内に存在するので、平行移動(p,q)と回転θの座標変換を行えば対応づけることができる。
【0040】
【数2】
【0041】
関係式(4)を(3)に代入すると、次式が得られる。
【0042】
【数3】
【0043】
ディスプレイ装置100に設置した検出装置11で一つの楕円の座標(x、y)を5点読みとり、式(5)に代入する。未知数はa、b、p、q、θの5個なので、座標を5点読みとることで未知数を求めることができる。楕円式が求められれば、焦点位置は容易に算出できる。焦点位置は2つ存在するので、そのどちらが多重楕円の収束点5−0であるかを決定しなければならない。この収束点5−0は光源モジュール3に近い方の収束点であるので、検出装置の照度情報から光源がどちらの方向に存在するかが分かる。この情報を元に、収束点5−0を決定することができる。
あるいは、検出装置11には複数の楕円5eが投影されるので、異なる楕円の式を導き出すことで多重楕円の収束点を算出することができる。即ち、複数の楕円式の焦点位置2個の内、収束点5−0は同一点となるが、他方の焦点は異なる位置を示す。この現象から多重楕円の収束点を求めることができる。
【実施例8】
【0044】
図23は、ディスプレイ装置の対角線の位置にそれぞれ検出装置を取り付けて、ディスプレイ装置のサイズを自動的に検出して、ポインターで指し示した点にカーソルを移動させる実施例を示す図である。本実施例では、図23に示すように、画面の対角線の角の位置に検出装置11−1と11−2を取り付ける。ディスプレイ装置100は長方形をしているので、左上に取り付けた検出装置11−1と、右下に取り付けた検出装置11−2により、ディスプレイ装置の縦横サイズを規定することができる。即ち、ディスプレイ装置の表示部画面を検出装置11−1と11−2の配置により簡易に特定することができた。
また、ディスプレイ装置100がコンピュータに接続されている場合には、光源モジュールをポインターとして用いることにより、カーソルをポインターの指示点に移動させることができる。また、ポインターにはマウスの左クリックや右クリックに相当するスイッチをつけることで、手書き入力により画面に書き込んだりすることができる。また、マウスのようにコンピュータ画面を自在に操作することができる。
【0045】
また、複数の光源モジュールをポインターとして利用する場合には、同じ同心円の円弧を追跡することにより、複数の円弧を識別することができ、各々の位置情報を計測することができる。円弧を追跡する方法としては、図24に示すように、円弧の形が24Aから24Bあるいは24Cから24Dに連続的に変化することを利用できる。また、円弧の中心である同心円中心が連続的に変化すること、光源モジュールの位置が連続的に変化することを利用する。即ち、これらの位置は突然に別の位置に移動することがなく、通常は連続的に移動するので、他の円弧と識別することができるのである。
また、通常の検出装置はカラーのRGB三色を検出する画素を有している。したがって、3個の光源モジュールの識別には、RGB三色のレーザ光源を用いることで簡易に識別することができる。
同心円干渉模様の円半径が大きい場合、検出装置などの検出装置は円の曲率半径を精度よく検出することが困難になる。その場合には、図25に示すように、検出装置11のサイズよりも大きなレンズ13を用いて、干渉模様を縮小して検出装置が撮像できるようにする方法が有効である。また、図26に示すように、検出装置11よりも大きなサイズの散乱板13−sに干渉模様を投影し、この散乱光を結像レンズ13を用いて検出装置11に結像させる方法も有効である。
【実施例9】
【0046】
図27は、平面に投影された等間隔の干渉模様から光源モジュールの3D位置を計測する実施例を示す図である。
まず、光源モジュールには、前面リング凸面/後面凹面の光学レンズを搭載した。前面のリング凸面は、x=0.3*(y−1.5)^1.55の断面を持つ非球面レンズとした。ここでxは光軸であり、yは光軸に垂直でレンズの半径方向の軸とした。後面の凹レンズは曲率半径62mmの球面レンズとした。レンズ直径はΦ6mmで、レンズ厚さ3mm、屈折率1.51とした。
レーザ光源の波長を850nmとし、これをコリメータレンズで平行光とした後に、上記の前面リング凸面/後面凹面レンズに入射させた。レーザ光源からレンズ全面までの距離を3mm、レンズ後面から投影平面までの距離を3000mmとした場合に、投影平面に形成される同心円干渉模様は円中心から外周部に至るまで、そのピッチが全て0.85〜0.86mmになることがシミュレーション結果から分かった。これを図28(a)、(b)に示す。即ち、光源の光軸と平面が垂直であれば、干渉模様のピッチは平面内ではどこでもほぼ同じ(等間隔の同心円)になることが判明した。また、この干渉模様のピッチは距離に比例することも分かった。従って、検出装置が検出した同心円の曲率から同心円中心を算出でき、次に、同心円のピッチから、光源モジュールまでの光軸上の距離を計算できることが確認できた。
【0047】
また、平面が光源モジュールの光軸4に対して傾いている場合には、多重楕円の間隔の変化から平面の傾き角度を算出することができる。平面の傾き角度が分かれば、上記と同様に光源モジュールまでの距離を求めることができる。
本計測方法を応用すると、例えば、光源モジュールをポインターとして利用してプレゼンテーションを行っている人の動作とポインティング箇所を効果的に計測することができる。プレゼンテーションの表示画面の近くに検出装置を設置し、ポインターが指し示した箇所とポインターそのものの位置を連続的に記録する。これはプレゼンテーターの動きや行動と同時に、プレゼンテーション資料のポイント箇所とを同時に記録することになり、プレゼンテーションの要約やリプレイに有効な計測方法となる。
【実施例10】
【0048】
図29は、光源モジュールをポインターとして利用し、対象物のサイズを計測する実施例を示す図である。本実施例では、図29に示すように、干渉模様の検出器である検出装置11が部屋の天井の角に複数台取り付けてある。部屋の中には、壁側に窓291やテレビ292があり、天井には2つの照明293、294が設置されている。例えば、ポインターの指示点が窓291の寸法と同じになるように窓をポインターにより丸で取り囲む。丸の上下左右の位置を窓291の寸法とすることで、四角い窓の寸法とその場所を簡易に計測することができる。同様にテレビ292の寸法と位置を簡易に計測することができる。また、天上には同じような照明が2台設置してあるが、これらの位置と寸法も同様にポインターで囲むことにより簡易に計測することができる。
上記では、対象物を丸で囲むことにより、位置やサイズを計測したが、窓のようにサイズが長方形となっている場合には対角の2点をポインティングすることによりそのサイズと位置を計測することもできる。また、テレビやラジオなどの寸法も対角の2点をポイントすることにより簡易に計測することができる
【実施例11】
【0049】
図30は、検出装置の方向と位置が分かる位置計測システムの実施例を示す図である。本実施例では、図30に示すように、天井に光源モジュール3−aと3−bを距離Lだけ離して設置し、床面へ同心円干渉模様5−aと5−bを投影する。干渉模様の中心5−a−0と5−b−0も距離L離れて投影される。また、これらの干渉模様は約半分の領域で重なるようにし、交互にパルス発光させて投影した。これにより干渉模様が検出器の上で重なりあって識別が複雑になることを避けた。同心円5−aの中心5−a−0を便宜的に各々(0,0)とし、同心円5−bの中心5−b−0を(0,L)と設定する。
図30において、イメージセンサーなどの検出装置11の中心位置を11−0とすると、検出装置は干渉模様5−aと5−bを検出することにより、検出装置の中心11−0から同心円中心5−a−0と5−b−0へのベクトルRaとRbを算出することができる。各々のベクトルの長さはRaとRbである。したがって、検出装置11−0は原点から半径Raの位置に存在することが分かり、位置座標は曲座標では(Ra,t)で表される。ここで角度tは、図31に示すように、x軸(ベクトルL)となす角度である。このtが求まれば、検出装置11の位置座標が決定される。
【0050】
Rb^2=Ra^2+L^2−2*Ra*L*cos(t) (6)
この式から、cos(t)を求めることができる。
また、距離RaやRbの誤差が大きいと予想される場合には、図31に示すように、明確に計測できる角度t0を利用するのがよい。即ち、
L^2=Ra^2+Rb^2−2*Ra*Rb*cos(t0) (7)
を用いて、不明確な値の精度を高めることができる。その後で、角度tを求めて、検出装置の位置座標を得ることができる。
本実施例では、光源モジュールを識別する方法として、同心円干渉模様を検出する検出装置に通常の画像撮影速度よりも速く光信号を受光できる受光素子を設置する方法がある。図32は、撮影のフレーム速度より速く光を検出する受光素子を備えた検出装置の一例を示す図である。本例の検出装置は2次元配列した受光素子アレイ321を備える。高速の受光素子322としては、アバランシェフォトダイオードなどを利用することができる。通常検出装置が撮影する画像情報は1秒間に30フレームであることが多いが、半導体レーザを用いた光源では、1秒間に100万回程度パルス発光させることができる。このパルス発光のパターンを検出装置が識別できれば、多数の光源モジュールを識別して、位置計測することができる。
【実施例12】
【0051】
図33は、光源モジュールを建物の天井に多数個取り付け、人を所望の位置に誘導する位置情報システムの実施例を示す図である。本実施例では、図33に示すように、建物の天井に取り付けた光源モジュールから各部屋(Room A−F)に通ずる廊下(Hall way)の床に投影された干渉模様(5−11、5−12、・・・・5−32)を表している。2個の干渉模様が同じ床面に投影されるように光源モジュールが配置されている。各光源モジュールにはID番号5−11、5−12、・・・・5−32が設定されており、各光源モジュールはID番号に対応して異なるパルス発光パターンで発光させる。
図34は、レーザ光源の発光パルスパターンの一例を示す図である。例えば、図34に示すように、パルスONを1、OFFを0として、光源モジュール5−11は8ビット(00000001)で繰り返し発光する。光源モジュール5−12は8ビット(00000010)で繰り返し発光する。同様に光源モジュール5−15は8ビット(00000101)で繰り返し発光する。このようにパルス発光パターンを光源モジュールIDに対応させることで、検出装置は光源モジュールを識別することができる。8ビットであれば、256個の発光モジュールを識別できる。この場合には信号の混信を起こさないために光源モジュールの発光タイミングをずらして発光させればよい。また、ID番号を振る方法として発光周波数を利用することもできる。1kHz,2kHzなど各々の光源モジュールに固有の周波数を割り付けておくと、発光タイミングをずらさなくとも各々の周波数を周波数検出機で識別することができる。
【0052】
検出装置としてイメージセンサーを用いた場合、画像撮影速度が比較的遅く、30フレーム/秒程度であるものが多い。そこで本実施例ではイメージセンサーの横に1秒間に10万回の信号を受信できる高速受光素子を取り付けた。これにより高速でパルス発光する光の信号を十分に識別することができた。
また、演算装置の中には、予め、光源モジュールID番号とその室内位置を入力しておいた。これにより、検出装置が検出したパルス発光パターンから、大まかな位置情報を把握することができる。この位置情報の上に、さらに同心円干渉模様から得られる高精度の位置情報を加えることにより、建物全体の中の何処にいるかを正確に把握することができた。
【0053】
上記の位置情報システムは位置誘導システムに利用することができる。例えば人に検出装置を携帯させ、検出した位置情報から所望の部屋までどちらに向かって進めばいいかを音声などで案内することができる。また、案内手段としては、検出装置にディスプレイ装置を取り付け、地図で案内させることもできる。また、検出装置に振動装置を取り付け、目的位置から外れると振動して知らせる手段を取ることも出来る。
上記の位置情報システムはまた、ロボットを目的の場所に誘導する装置としても利用することができる。ロボットの頭に同心円干渉模様の検出装置を取り付けることにより、ロボットが建物内にて自らの位置を簡易に知ることができる。よって、目的位置に到達することができる。また、ロボットなどが複数存在する場合にも、この方法により自らの位置を知ることができ、ロボットが互いに接触せず共同作業をすることができる。また、目的位置に検出装置を取り付けておき、無線通信機能によりロボットにその位置を知らせる。そして、その目的位置に精度よくロボットが移動させることもできる。また、検出装置を置いた目的位置にロボットが荷物を運搬するようにすることもできる。
【実施例13】
【0054】
図35は、光源モジュールの光軸が光の送信方向を決める光空間通信システムの実施例を示す図である。本実施例では、図35に示すように、光空間通信では光送信機30は光受信機31の方向を定めて光信号を送信する。光送信機30の光送信方向と光源モジュールの光軸4とが合致するように光源モジュール3を光送信機30に取り付ける。光送信機30は角度を自由に調節できる角度調節装置32の上に設置されている。光受信機には同心円干渉模様の検出装置11を取り付ける。そして、同心円中心から光受信機がどの程度離れているかを演算装置12が算出し、その結果を無線などの手段を通じて角度調節装置32にフィードバックする。そして、光送信機の光送信方向が光受信機の位置と合致させる。そして、光送信機から光受信機に向かって光空間通信を行う。本実施例によれば、光通信方向と光源モジュールの光軸4を一致させることができるので、極めて簡易に光送信方向を精度よく決定することができる。
本実施例では、光源モジュールの光軸を光空間通信の光送信方向を決める手段として用いたが、光源モジュールの光軸は部品組み立ての軸あわせ手段やゲームなどにおける方向の設定手段などにも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、同心円干渉模様を形成するのに適した光源モジュール、およびその同心円干渉模様を利用して物体の1次元、2次元または3次元の位置を計測する位置計測システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)、(b)は、光学レンズの上側半分と下側半分を通過した光が干渉を起こす原理を説明するための図である。
【図2】CCDに直接干渉模様を投影して撮影したときの干渉模様を示す図である。
【図3】光学レンズの上側半分を通過した光同士で干渉を起こす原理を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光と下半分を通過した光が同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
【図5】シミュレーションにより得られた同心円干渉パタンの一部分を示す図である。
【図6】(a)、(b)は、レンズの上半分を通過した光同士、あるいは下半分を通過した光同士が干渉し、同心円干渉模様を形成する光学レンズ系の実施例を示す図である。
【図7】投影面におけるインナーレンズを通過した光とアウターレンズを通過した光の強度を示すグラフである。
【図8】光入射面と光出射面の両方ともが凸形状の曲率を持つレンズ1−5の例を示す図である。
【図9】光入射面と光出射面の両方ともが凹形状の曲率を持つレンズ1−6の例を示す図である。
【図10】光軸を通る平面によるレンズの断面が2個の三角形状となるレンズ1−7の例を示す図である。
【図11】光軸付近に凸形状のインナーレンズ1−8−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−8−outを有するレンズの例を示す図である。
【図12】凹形状のインナーレンズ1−9−inを有し、その外側に凹形状のアウターレンズ1−9−outを有するレンズの例を示す図である。
【図13】光軸付近にある焦点距離のインナーレンズ1−10−inを有し、その外側にアウターレンズ1−10−outを有するレンズの例を示す図である。
【図14】レンズの3光路を通過した光が対象物上で干渉し、同心円模様を形成するレンズを示す図である。
【図15】光軸付近に空洞でレンズがなく、外周部にだけレンズ部材があるレンズの例を示す図である。
【図16】凹形状のインナーレンズ1−13−inと凹形状のアウターレンズ1−13−outを有するレンズの例を示す図である。
【図17】レンズを2枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図18】レンズを3枚組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図19】レンズと他の光学部品を組み合わせて、同心円干渉模様を形成する実施例を示す図である。
【図20】同心円干渉模様を形成するレンズと半導体レーザ光源を光源モジュールとして用い、このモジュールが指し示す指示点を計測する位置計測システムの実施例を示す図である。
【図21】円弧から同心円中心を求める方法を説明するための図である。
【図22】実施例14において、光源モジュール3の指し示す方向がディスプレイ装置100に対して傾いている場合を説明するための図である。
【図23】ディスプレイ装置の対角線の位置にそれぞれ検出装置を取り付けて、ディスプレイ装置のサイズを自動的に検出して、ポインターで指し示した点にカーソルを移動させる実施例を示す図である。
【図24】円弧を追跡する方法を示す図である。
【図25】検出装置11のサイズよりも大きなレンズ13を用いて、干渉模様を縮小して検出装置が撮像できるようにする方法を示す図である。
【図26】検出装置11よりも大きなサイズの散乱板13−sに干渉模様を投影し、この散乱光を結像レンズ13を用いて検出装置11に結像させる方法を示す図である。
【図27】平面に投影された等間隔の干渉模様から光源モジュールの3D位置を計測する実施例を示す図である。
【図28】(a)、(b)は、光源の光軸と平面が垂直であれば、干渉模様のピッチは平面内ではどこでもほぼ同じになるというシミュレーション結果を示す図である。
【図29】光源モジュールをポインターとして利用し、対象物のサイズを計測する実施例を示す図である。
【図30】検出装置の方向と位置が分かる位置計測システムの実施例を示す図である。
【図31】検出装置の位置座標を求める方法を説明するための図である。
【図32】撮影のフレーム速度より速く光を検出する受光素子を備えた検出装置の一例を示す図である。
【図33】光源モジュールを建物の天井に多数個取り付け、人を所望の位置に誘導する位置情報システムの実施例を示す図である。
【図34】レーザ光源の発光パルスパターンの一例を示す図である。
【図35】光源モジュールの光軸が光の送信方向を決める光空間通信システムの実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 光学レンズ
2 レーザ光源
3 光源モジュール
4 光源モジュールの光軸
5 干渉点
10 対象物
11 検出装置
12 演算装置
30 光送信機
31 光受信機
32 角度調節装置
100 ディスプレイ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を放射する光源と、第1のレンズと、第2のレンズとがこの順に並んだ光源モジュールであって、前記第1のレンズは、前記光源から放出された光を光軸と平行な光線とするものであり、前記第2のレンズは、レンズの半径方向において光の出射方向を連続的に変化させる曲率を有し、前記平行な光線を通過させ光軸上平面において仮想的に2つ以上の光源から放出された光であるように同心円状の干渉模様を対象物に形成し得るレンズ面を有するものであることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記第2のレンズが、光軸付近に配置されたインナーレンズと、その外側に配置されたアウターレンズより構成されたことを特徴とする請求項1記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記光源から放出された光が、前記インナーレンズおよびアウターレンズにより光軸上平面において異なる3光路を通過することを特徴とする請求項2記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記第2のレンズが、光軸に対して垂直な平面内で多角形の形状を有し、前記多角形が光軸について軸対称であることを特徴とする請求項1記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記干渉模様のピッチがほぼ等間隔となるようにされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項7】
前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して垂直に位置し、同心円形状の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項8】
前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して斜めに位置し、多重楕円形状の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項9】
前記干渉模様の曲率から、前記同心円形状の中心または前記多重楕円形状の中心を算出することを特徴とする請求項7または8記載の位置計測システム。
【請求項10】
前記干渉模様の曲率と前記干渉模様の間隔から、前記光源モジュールの3次元位置を算出することを特徴とする請求項9記載の位置計測システム。
【請求項11】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の変調信号でパルス発光し、前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項12】
前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出する受光部を具備しており、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項11記載の位置計測システム。
【請求項13】
前記検出装置が縦横に配列された受光素子アレイを備えたことを特徴とする請求項12記載の位置計測システム。
【請求項14】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の発光波長を有し、前記検出装置が前記発光波長を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項15】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記検出装置が前記光源モジュールを検出した瞬間から前記演算装置は前記検出信号を追跡を実施し、前記追跡により前記干渉模様を識別し、前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項16】
前記検出装置がレンズを有し、前記検出装置の受光部のサイズより大きな領域の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項17】
前記光源モジュールから前記干渉模様が投影され、前記投影された干渉模様を前記検出装置が検出することで、前記光源モジュールと前記検出装置と前記演算装置の少なくとも一つの位置が計測されることを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項18】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記干渉模様がある対象物に投影され、前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置を算出することにより、前記光源モジュールが指し示している対象物の位置を計測することを特徴とするポインター計測システム。
【請求項19】
前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の複数点を指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測されることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項20】
前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の丸で囲むように指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測されることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項21】
前記対象物がディスプレイ装置であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置をマーキング表示することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項22】
前記対象物がコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置に、カーソルを移動させることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項23】
前記光源モジュールにはマウスの右クリックおよび左クリックに相当するスイッチが具備され、前記光源モジュールによりマウスカーソルのように操作できることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項24】
前記表示領域を特徴づける2個所以上に、前記検出装置を配置し、前記表示領域を特定することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項25】
前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置と前記干渉模様の同心円間隔から前記光源モジュールの位置を計測することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項26】
前記光源モジュールには前記干渉模様の同心円あるいは同心楕円の間隔がほぼ等間隔に形成される前記第2のレンズを使用し、前記光源モジュールと前記対象物との距離に概ね比例して前記同心円間隔が変化することを利用して、前記光源モジュールの位置を計測することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項27】
前記干渉模様が投影される対象物がコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置にカーソルを移動させると共に、前記光源モジュールの位置を計測し、前記カーソル位置と前記光源モジュール位置を記録することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項28】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備えた位置情報システムであって、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、隣り合う前記光源モジュールから投影された前記同心円干渉模様が重なりあう範囲において、屋内を移動する移動物体が向いている方向と位置の両方の情報を取得することを特徴とする位置情報システム。
【請求項29】
前記光源モジュールが屋内に取り付けられ、前記検出装置が移動物体に付着させられることにより、前記移動物体はそれ自身の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項30】
前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の変調信号でパルス発光し、前記検出器が前記固有の変調のパルス発光を検出し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項31】
前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の波長の光を発光し、前記検出器は前記固有の波長の光を識別して受光し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項32】
前記光源モジュールが室内の天井または壁面に2個以上以上取り付けられ、前記移動物体の位置情報に基いて前記移動物体を目的位置に誘導する誘導装置を具備することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項33】
前記移動物体が物品を配達する配達装置であり、前記位置情報に基いて前記配達装置が物品を目的位置に配達することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項34】
前記誘導装置がディスプレイ装置を有し、前記ディスプレイ装置に地図を表示することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項35】
前記誘導装置が機械的振動部を有し、前記機械的振動部を振動させることで前記移動物体を誘導することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項36】
前記光源モジュールが屋内に取り付けられ、前記演算装置が前記光源モジュールへ向かう方角と距離を算出することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項37】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号を演算処理する演算装置とを備えた光空間通信装置であって、光空間通信の光送信機に前記光源モジュールまたは前記検出装置が装着され、前記光源モジュールまたは前記検出装置の少なくとも一つの位置情報にもとづいて、光空間通信の光受信機の位置が特定され、その特定された方向に向かって光空間通信の光送信機の光信号が発されることを特徴とする光空間通信装置。
【請求項38】
前記光受信機を前記検出装置に装着し、前記光送信機を前記光源モジュールに装着し、かつ前記光受信機の位置が前記同心円干渉模様の中心位置に位置するように前記光送信機の発生する光信号の角度を調節するための角度調節装置を備えたことを特徴とする請求項37記載の光空間通信装置。
【請求項1】
レーザ光を放射する光源と、第1のレンズと、第2のレンズとがこの順に並んだ光源モジュールであって、前記第1のレンズは、前記光源から放出された光を光軸と平行な光線とするものであり、前記第2のレンズは、レンズの半径方向において光の出射方向を連続的に変化させる曲率を有し、前記平行な光線を通過させ光軸上平面において仮想的に2つ以上の光源から放出された光であるように同心円状の干渉模様を対象物に形成し得るレンズ面を有するものであることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記第2のレンズが、光軸付近に配置されたインナーレンズと、その外側に配置されたアウターレンズより構成されたことを特徴とする請求項1記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記光源から放出された光が、前記インナーレンズおよびアウターレンズにより光軸上平面において異なる3光路を通過することを特徴とする請求項2記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記第2のレンズが、光軸に対して垂直な平面内で多角形の形状を有し、前記多角形が光軸について軸対称であることを特徴とする請求項1記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記干渉模様のピッチがほぼ等間隔となるようにされたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項7】
前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して垂直に位置し、同心円形状の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項8】
前記検出装置が前記光源モジュールの光軸に対して斜めに位置し、多重楕円形状の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項9】
前記干渉模様の曲率から、前記同心円形状の中心または前記多重楕円形状の中心を算出することを特徴とする請求項7または8記載の位置計測システム。
【請求項10】
前記干渉模様の曲率と前記干渉模様の間隔から、前記光源モジュールの3次元位置を算出することを特徴とする請求項9記載の位置計測システム。
【請求項11】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の変調信号でパルス発光し、前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項12】
前記検出装置が前記パルス発光の固有の変調信号を検出する受光部を具備しており、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項11記載の位置計測システム。
【請求項13】
前記検出装置が縦横に配列された受光素子アレイを備えたことを特徴とする請求項12記載の位置計測システム。
【請求項14】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記各光源モジュールが固有の発光波長を有し、前記検出装置が前記発光波長を検出することにより、各々の前記干渉模様を識別し、前記演算装置が前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項15】
前記光源モジュールが複数個設けられており、前記検出装置が前記光源モジュールを検出した瞬間から前記演算装置は前記検出信号を追跡を実施し、前記追跡により前記干渉模様を識別し、前記光源モジュール位置と前記干渉模様の位置を識別して計測することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項16】
前記検出装置がレンズを有し、前記検出装置の受光部のサイズより大きな領域の干渉模様を検出することを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項17】
前記光源モジュールから前記干渉模様が投影され、前記投影された干渉模様を前記検出装置が検出することで、前記光源モジュールと前記検出装置と前記演算装置の少なくとも一つの位置が計測されることを特徴とする請求項6記載の位置計測システム。
【請求項18】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備え、前記干渉模様がある対象物に投影され、前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置を算出することにより、前記光源モジュールが指し示している対象物の位置を計測することを特徴とするポインター計測システム。
【請求項19】
前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の複数点を指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測されることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項20】
前記光源モジュールがある対象物の外郭部分の丸で囲むように指し示すことにより、前記対象物の外郭寸法が計測されることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項21】
前記対象物がディスプレイ装置であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置をマーキング表示することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項22】
前記対象物がコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置に、カーソルを移動させることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項23】
前記光源モジュールにはマウスの右クリックおよび左クリックに相当するスイッチが具備され、前記光源モジュールによりマウスカーソルのように操作できることを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項24】
前記表示領域を特徴づける2個所以上に、前記検出装置を配置し、前記表示領域を特定することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項25】
前記演算装置が前記干渉模様の同心円中心の位置と前記干渉模様の同心円間隔から前記光源モジュールの位置を計測することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項26】
前記光源モジュールには前記干渉模様の同心円あるいは同心楕円の間隔がほぼ等間隔に形成される前記第2のレンズを使用し、前記光源モジュールと前記対象物との距離に概ね比例して前記同心円間隔が変化することを利用して、前記光源モジュールの位置を計測することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項27】
前記干渉模様が投影される対象物がコンピュータに接続されたディスプレイまたは投影映像の表示領域であり、前記対象物の近傍に設置された前記検出装置が、前記干渉模様を検出し、前記光源モジュールが指し示した位置にカーソルを移動させると共に、前記光源モジュールの位置を計測し、前記カーソル位置と前記光源モジュール位置を記録することを特徴とする請求項18記載のポインター計測システム。
【請求項28】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号に基いて前記光源モジュールおよび前記検出装置および前記干渉模様の位置の少なくとも一つの位置を求める演算装置とを備えた位置情報システムであって、前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、隣り合う前記光源モジュールから投影された前記同心円干渉模様が重なりあう範囲において、屋内を移動する移動物体が向いている方向と位置の両方の情報を取得することを特徴とする位置情報システム。
【請求項29】
前記光源モジュールが屋内に取り付けられ、前記検出装置が移動物体に付着させられることにより、前記移動物体はそれ自身の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項30】
前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の変調信号でパルス発光し、前記検出器が前記固有の変調のパルス発光を検出し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項31】
前記光源モジュールが屋内に2個以上取り付けられ、前記光源モジュールが各々固有の波長の光を発光し、前記検出器は前記固有の波長の光を識別して受光し、前記演算装置は前記光源モジュールを識別することで、前記屋内における前記移動物体の位置情報を取得することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項32】
前記光源モジュールが室内の天井または壁面に2個以上以上取り付けられ、前記移動物体の位置情報に基いて前記移動物体を目的位置に誘導する誘導装置を具備することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項33】
前記移動物体が物品を配達する配達装置であり、前記位置情報に基いて前記配達装置が物品を目的位置に配達することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項34】
前記誘導装置がディスプレイ装置を有し、前記ディスプレイ装置に地図を表示することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項35】
前記誘導装置が機械的振動部を有し、前記機械的振動部を振動させることで前記移動物体を誘導することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項36】
前記光源モジュールが屋内に取り付けられ、前記演算装置が前記光源モジュールへ向かう方角と距離を算出することを特徴とする請求項28記載の位置情報システム。
【請求項37】
前記干渉模様を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の光源モジュールと、前記干渉模様を検出する検出装置と、前記検出装置からの検出信号を演算処理する演算装置とを備えた光空間通信装置であって、光空間通信の光送信機に前記光源モジュールまたは前記検出装置が装着され、前記光源モジュールまたは前記検出装置の少なくとも一つの位置情報にもとづいて、光空間通信の光受信機の位置が特定され、その特定された方向に向かって光空間通信の光送信機の光信号が発されることを特徴とする光空間通信装置。
【請求項38】
前記光受信機を前記検出装置に装着し、前記光送信機を前記光源モジュールに装着し、かつ前記光受信機の位置が前記同心円干渉模様の中心位置に位置するように前記光送信機の発生する光信号の角度を調節するための角度調節装置を備えたことを特徴とする請求項37記載の光空間通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2007−327966(P2007−327966A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192691(P2007−192691)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2004−151102(P2004−151102)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2004−151102(P2004−151102)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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