説明

光路変更部材を用いたプロセスカートリッジの間隔測定方法、及びその測定方法を用いて測定されるプロセスカートリッジ

【課題】簡単な操作でプロセスカートリッジの設計上に過大な制約を与えることのない、像担持体と現像剤担持体の間隔Dsの測定方法、及びその測定方法を用いて測定されるプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】少なくとも像担持体と現像剤担持体とを有するプロセスカートリッジに対し、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を、発光素子と受光素子を用いて測定するプロセスカートリッジの間隔測定方法であって、前記発光素子から発せられる光の光路を光路変更部材により変更させ、且つ前記光を前記像担持体と前記現像剤担持体との間に通して前記間隔を測定することを特徴とするプロセスカートリッジの間隔測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式を用いた画像形成装置におけるプロセスカートリッジの間隔測定方法、及びその間隔測定方法を用いて測定したプロセスカートリッジに関する。更に詳しくは、像担持体と現像剤担持体の間隔を発光素子と受光素子を用いて測定するプロセスカートリッジの間隔測定方法、及びその間隔測定方法を用いて測定されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置において、プロセスカートリッジと呼ばれるユニット構造の装置を画像形成装置に着脱自在に内蔵するタイプの画像形成装置が普及している。
【0003】
ここでいうプロセスカートリッジとは、少なくとも、現像剤担持体を備えた現像装置と像担持体とを一体的に構成したユニットであるが、それに加えて、帯電装置やクリーニング装置等の複数のプロセス手段を一体的にユニット化したものもある。このプロセスカートリッジを定期的に交換することにより、消耗品の更新が容易になり、画像形成装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0004】
一方、電子写真方式を用いた画像形成装置の画質に対する要求品質は近年益々高くなっているが、画像濃度等の画質に大きな影響を与える要素として、像担持体と現像剤担持体の間隔(以下、単に間隔ともいう)Dsがある。即ち、間隔Dsが大きすぎれば現像時におけるトナーの現像剤担持体から像担持体への移動が困難となり、濃度ムラになる。反対に間隔Dsが小さすぎると、キャリアとトナーの2成分現像剤では現像剤の詰まりが発生し、トナーのみの1成分現像剤では現像ローラから感光体へのリークが発生する。
【0005】
この間隔Dsの値を一定に設定するために従来種々の方法が試みられており、隙間ゲージを用いて直接的に間隔Dsを測定する方法や、光ビームを用いてプロセスカートリッジに設けた透明な窓部を通して間隔Dsを間接的に測定する方法が一般的であった。
【0006】
然るに、隙間ゲージを用いて間隔Dsを測定する方法では、周囲の部材に干渉しないように、かつ像担持体の表面に損傷を与えないように測定するという難しさがあり、光ビームを用いた方法では、窓部の汚染や損傷により測定が困難になるといった問題があった。
【0007】
これらの問題に対し、プロセスカートリッジに窓部を設けることなく、光ビームを開放された空間に通すという構成により、プロセスカートリッジの像担持体と現像剤担持体の間隔を測定するという光学的測定方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
図7は、特許文献1に記載されたプロセスカートリッジ100を示す断面図である。プロセスカートリッジ100には、感光体ドラム10、現像装置20、クリーニング装置30、及び帯電ローラ40が枠体100bにより保持されている。現像装置20の感光体ドラム10と対向する位置には現像ローラ24が配設されている。
【0009】
図7に示すプロセスカートリッジ100は、感光体ドラム10と現像ローラ24の2つの円筒体の表面の間隔Dsをプロセスカートリッジ100の外部から見通せる位置に開口部30a、30bを設けるという構成を有している。
【0010】
しかしながら、外部から間隔Dsを見通せる位置に開口部30a、30bを設けるためには、感光体ドラム10と現像ローラ24との回転軸の2つの中心線を結んだ面に直角で、かつ2つの面の間隔の内側を通る範囲を光ビームの光路Kとして確保する必要がある。即ち、この範囲には部材を配設することができず、空間にしなければならないという制約が生じる。この制約は、近年の画像形成装置の小型化や多機能化等による多くの要求を満たす上で、プロセスカートリッジ及びその周辺を構成する部材の設計に対し、大きな制約となるものである。
【特許文献1】特開平5−323693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、間隔Dsの測定を簡単な操作で容易に行うことができ、かつプロセスカートリッジ及びその周辺部材の設計上に過大な制約を与えることのない、測定方法及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、下記の測定方法及びプロセスカートリッジを用いることにより達成することが出来る。
【0013】
即ち、
1.少なくとも像担持体と現像剤担持体とを有するプロセスカートリッジに対し、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を、発光素子と受光素子を用いて測定するプロセスカートリッジの間隔測定方法であって、前記発光素子から発せられる光の光路を光路変更部材により変更させ、且つ前記光を前記像担持体と前記現像剤担持体との間に通して前記間隔を測定することを特徴とするプロセスカートリッジの間隔測定方法、
及び、
2.1に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法により前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔が測定されることを特徴とするプロセスカートリッジ、
である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る測定方法、及びその測定方法により測定されるプロセスカートリッジを用いることにより、簡単な操作で容易に測定でき、かつプロセスカートリッジの設計上に過大な制約を与えない、測定方法及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は前記実施の形態に限定されない。
【0016】
図1は、本発明に係るプロセスカートリッジを装着する画像形成装置であるカラー画像形成装置の全体構成を示す概要図である。
【0017】
図1に示すカラー画像形成装置は、プロセスカートリッジ100Y、100M、100C、100Bkと、ベルト形状の中間転写体である中間転写ベルト16と、転写ローラ17Y、17M、17C、17Bkと、定着装置70とを備えている。中間転写体16のベルト材料としてはポリイミド等の樹脂が一般に使用されている。
【0018】
プロセスカートリッジ100Y、100M、100C、100Bkは、矢印の時計方向に回転可能な像担持体としての感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkをそれぞれ備えている。感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkの周囲には、帯電器11Y、11M、11C、11Bk、露光装置12Y、14M、14C、14Bkがそれぞれ配置される。更に、各色の現像装置13Y、13M、13C、13Bk、及びクリーニング装置としての感光体クリーナ15Y、15M、15C、15Bkがそれぞれ配置される。
【0019】
プロセスカートリッジ100Y、100M、100C、100Bkは、中間転写ベルト16に対して4つ並列に配置されているが、例えば、プロセスカートリッジ100Bk、100Y、100C、100Mといった、画像形成方法に合わせた順序に適宜設定される。
【0020】
中間転写ベルト16は、バックアップローラ31、支持ローラ32によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkと同じ周速度をもって回転可能な構成となっている。また、中間転写ベルト16は、バックアップローラ31と支持ローラ32との中間に位置するその一部が感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkとそれぞれ接するように配置されている。ベルト用クリーニング装置50は中間転写ベルト16に当接する位置に備えられている。支持ローラ32はテンションローラの役割を担い、中間転写ベルト16面方向に移動可能に配置され、中間転写ベルト16のテンションを調節することができる。
【0021】
転写ローラ17Y、17M、17C、17Bkは、中間転写ベルト16の内側であって、中間転写ベルト16と感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置される。また、転写ローラ17Y、17M、17C、17Bkは、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bkと対向する位置で、中間転写ベルト16にトナー画像を転写する一次転写部(ニップ部)を形成している。
【0022】
二次転写ローラ33は、中間転写ベルト16のトナー像が担持される表面側に、中間転写ベルト16を介し二次転写ローラ33と対向して配置されている。この中間転写ベルト16を介したバックアップローラ31と二次転写ローラ33とで二次転写部(ニップ部)を形成している。
【0023】
定着装置70は、記録材Pが上記二次転写部を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0024】
図1に示す画像形成装置のプロセスカートリッジ100Yにおいては、感光体ドラム10Yを回転駆動させている。これと連動して帯電器11Yが駆動し、感光体ドラム10Yの表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム10Yは、次に、露光装置12Yによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0025】
続いて前記静電潜像は、イエロー現像装置13Yによって現像され、感光体ドラム10Yの表面にトナー画像が形成される。
【0026】
このトナー画像は、感光体ドラム10Yと中間転写ベルト16との一次転写部(ニップ部)を通過すると同時に、転写ローラ17Yから印加される転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト16の外周面に順次、一次転写される。
【0027】
この後、感光体ドラム10Y上に残存したトナーは、感光体クリーナ15Yによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム10Yは、次の転写サイクルに供される。
【0028】
以上の転写サイクルは、プロセスカートリッジ100M、100C、100Bkでも同様に行われ、第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され中間転写ベルト16上に重ね合わせられて、フルカラートナー像が形成される。
【0029】
中間転写ベルト16に転写されたフルカラートナー像は、転写ベルト16の回転でバックアップローラ31が設置された二次転写部(ニップ部)に到る。
【0030】
記録材Pは、二次転写部の中間転写ベルト16とバックアップローラ31との間に所定のタイミングで給送される。バックアップローラ31及び二次転写ローラ33による圧接搬送と中間転写ベルト16の回転により、前記中間転写ベルト16に担持されたトナー像が記録材P上に転写される。
【0031】
トナー像が転写された記録材Pは、定着装置70に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を定着する。尚、転写の終了した中間転写ベルト16は、二次転写部の下流に設けたベルト用クリーニング装置50で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。
【0032】
本実施の形態においては、4つのプロセスカートリッジ100Y、100M、100C、100Bkはそれぞれ単独に、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして構成している。即ち、プロセスカートリッジ100Y、100M、100C、100Bkの着脱により、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Bk、帯電器11Y、11M、11C、11Bk、露光装置12Y、12M、12C、12Bk、現像装置13Y、13M、13C、13Bk、及び感光体クリーナ15Y、15M、15C、15Bkが同時に着脱される。
【0033】
図2は、本発明に係るプロセスカートリッジの第1の実施形態について、その構成と、間隔Dsを測定するための測定方法とを説明するための断面図である。第1の実施形態におけるプロセスカートリッジ100には、1成分現像剤が用いられている。
【0034】
始めに、第1の実施形態におけるプロセスカートリッジ100の構成について説明する。
【0035】
プロセスカートリッジ100は、像担持体としての感光体ドラム10、帯電器11、現像装置13、及び感光体クリーナ15等からなる。
【0036】
プロセスカートリッジ100の骨格は、感光体クリーナ15のハウジングを兼ねたクリーナー・ドラム枠体101と、現像装置13のハウジングである現像枠体102とからなる。帯電器11はクリーナー・ドラム枠体101に保持される。
【0037】
感光体ドラム10は回転軸10aを介してクリーナー・ドラム枠体101に回転自在に保持される。
【0038】
また、感光体クリーナ15のクリーナー・ドラム枠体101にはクリーニングブレード151を保持するブレード保持部材152が配設される。
【0039】
クリーニングブレード151は弾性を有するウレタン樹脂等からなり、感光体ドラム10に圧接する位置に配設され、感光体ドラム10上の一次転写後に残るトナーを除去する。クリーニングブレード151を保持するブレード保持部材152は、金属等の材料で形成され、クリーナー・ドラム枠体101に配設される。
【0040】
クリーナー・ドラム枠体101と現像枠体102との取り付けは、例えば取付治具等を用いて正確に位置出しして行われる。本実施の形態では、クリーナー・ドラム枠体101と現像枠体102とを別体としたが、同一枠体による一体構成としても良い。
【0041】
次に、現像装置13について、図2を用いて説明する。現像装置13は、トナーのみから構成される一成分系現像剤を用い、感光体ドラム10の表面にトナーを供給することにより現像を行う装置である。
【0042】
現像装置13は、ハウジングとしての現像枠体102、現像剤担持体としての現像ローラ131、規制ブレード134、ブレード保持具135、供給ローラ136、及び回転体137を有する。
【0043】
現像ローラ131は、現像枠体102に保持され、例えば、導電性の円柱基体と、基体の外周にシリコーンゴム等の硬度の高い物質を用いて形成した弾性層等により形成される。規制ブレード134は先端が現像ローラ131に圧接する位置に取り付けられ、現像ローラ131上のトナーの付着量を規制する。
【0044】
現像ローラ131を押圧する位置に配設される供給ローラ136は、図示しないモータにより現像ローラ131と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ136は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層等により形成される。
【0045】
現像枠体102の内部には現像剤を攪拌する回転体137が設けられ、回転体137には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体137の矢印方向への回転により現像剤を搬送する。搬送羽根により搬送された現像剤は、現像枠体102の内部を2つに隔てる隔壁102bに設けられた開口部(参照符号なし)を介して供給ローラ136に供給される。
【0046】
画像形成時には現像ローラ131が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ136の回転により現像剤が現像ローラ131上に供給される。現像ローラ131上に供給された現像剤は、規制ブレード134により薄層化された後、感光体ドラム10との対向領域に搬送され、感光体ドラム10上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかった現像剤は、現像ローラ131の回転に伴って、供給ローラ136により現像ローラ131から掻き取られ回収される。
【0047】
図3は、本発明に係るプロセスカートリッジの第2の実施形態についての構成と、間隔Dsを測定するための測定方法とを説明するための断面図である。第2の実施形態におけるプロセスカートリッジ100には、2成分現像剤が用いられている。
【0048】
第2の実施形態におけるプロセスカートリッジ100の構成は、第1の実施形態におけるプロセスカートリッジ100の構成と類似しており、同一の機能及び構成を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成を有する部位についてのみ説明する。
【0049】
第2の実施形態におけるプロセスカートリッジ100の構成が第1の実施形態におけるプロセスカートリッジ100の構成と異なっている主な点は、現像剤を撹拌するローラと、現像ローラ131へ供給するローラの構成が異なる点である。即ち、第1の実施形態では、回転体137、供給ローラ136によりトナーを撹拌、搬送して、現像ローラ131へと供給する。これに対し、第2の実施形態では、2つの撹拌ローラ138、139により2成分現像剤を撹拌、搬送して、現像ローラ131へと供給するもので、この撹拌ローラ138、139は樹脂又は金属の材料によりスクリュー状に形成された形状を有している。
【0050】
更に、第1の実施形態では規制ブレード134が現像ローラ131に一定の圧力で接触しているが、第2の実施形態では規制ブレード134の先端と現像ローラ131表面との間が所定の間隔に保たれている。
【0051】
次に、本発明に係るプロセスカートリッジ100の第1又は第2の実施形態に対する、感光体ドラム10と現像ローラの間隔Dsを測定するための測定方法について説明する。
【0052】
感光体ドラム10と現像ローラ131の間隔Dsは、図示しない公知の長穴とねじ、又はスペーサとねじ等を用いた構成により寸法調整可能に構成されている。
【0053】
図2又は図3において、CFは感光体ドラム10の中心軸10aと現像ローラ131の中心軸131aを結んで形成される平面を示す。
【0054】
本発明に係る第1の光路変更部材としての第1のミラーM1、及び本発明に係る第2の光路変更部材としての第2のミラーM2の2つのミラーは、本実施の形態においては、後述するDs測定治具に装着されている。
【0055】
光路K1、K2、K3は、本発明に係る発光素子Hkから発光され、受光素子Hsにより受光されるまでの光ビームの光路である。発光素子Hkは例えばレーザ光等を光ビームとして発光する素子である。
【0056】
トナー飛散防止用ダクト90は、内部に交換可能なフィルタを収納し、図示しない連通口と吸引口とを備えたダクトである。トナー飛散防止用ダクト90の連通口に図示しないファンモータに連結する連結用ダクトを連結させ、吸引口より現像装置13から飛散するトナーを吸引する。
【0057】
第1のミラーM1は、発光素子Hkから発光される光ビームの光路K1上に配設され、光ビームを反射して光路K2を形成する。同様に、第2のミラーM2は、第1のミラーM1により反射されて形成される光路K2上に配設され、光ビームを反射して光路K3を形成する。
【0058】
光路K2は、平面CFに直角に交叉し、感光体ドラム10と現像ローラとの間隔Dsの一部を通る平面上に形成される。
【0059】
光路K1、K3は、光路K2を基準として、感光体ドラム10、現像ローラ131、クリーナー・ドラム枠体101、現像枠体102、ブレード保持具135、帯電器11、及びトナー飛散防止用ダクト90等、光路の障害となる部材を避けた位置に形成される。発光素子Hk、受光素子Hs、及びミラーM1、M2は、光路K1、K2、K3に対応する位置に配設される。
【0060】
間隔Dsの測定精度を適正に確保するため、ミラーM1、M2の面精度(直径10mmに対する面精度)を0.24μm以下とする必要があるが、精度を上げるためには望ましくは0.10μm以下としたい。また、製造技術上0.02μm未満の面精度のミラーを製作することは困難であるため、本発明に用いる光路変更部材の面精度は0.02μm以上、0.24μm以下とする。
【0061】
本実施の形態においては、間隔Dsの測定に下記の機材を用いている。
【0062】
1.発光素子Hk及び受光素子Hs:高速・高精度デジタル寸法測定器(キーエンス社製、LED方式、型式LS−7030M)
2.ミラーM1、M2:フェムト低分散ミラー(シグマ光機株式会社製、品番:FLM1−12.7C05−800)
なお、本実施の形態では光路変更部材としてミラーを用いたが、ミラーをプリズムに置き換えても本発明の適用が可能である。
【0063】
また、本実施の形態では2つの光路変更部材を用いた構成としているが、光路変更部材を1つ又は3つ以上としても本発明を適用することができる。
【0064】
本発明に係る光路変更部材を用いて感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsの測定を行うことにより、隙間ゲージの使用や透明な窓部の形成を必要としない。また、感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsをプロセスカートリッジの外部から通しで見通せる開口部を確保する必要がないため、プロセスカートリッジの設計上の自由度が高い。
【0065】
図4は、本発明に係る第1又は第2の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する際のDs測定治具の一実施形態の構成を示す概略図である。
【0066】
Ds測定治具Jは、発光素子取付部Jaと、受光素子取付部Jbと、第1のミラー取付部Jcと、第2のミラー取付部Jdとを有する。発光素子取付部Jaには発光素子Hk、受光素子取付部Jbには受光素子Hs、第1のミラー取付部Jcには第1のミラーM1、第2のミラー取付部Jdには第2のミラーM2、がそれぞれ装着される。
【0067】
間隔Dsの測定は、感光体ドラム10と現像ローラ131とを仮止めしたプロセスカートリッジ100をDs測定治具Jに装着して行われる。
【0068】
なお、本実施の形態では、Ds測定治具Jに発光素子Hk、受光素子Hs、第1のミラーM1、第2のミラーM2、及びプロセスカートリッジ100を装着したが、発光素子Hk及び受光素子HsはDs測定治具Jに装着せずに別置きとしても良い。
【0069】
本発明に係る測定治具を用いることにより、間隔Dsの測定を簡単な操作で正確に行うことができる。
【0070】
図5は、本発明に係る第1又は第2の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する手順を示すフローチャートである。
【0071】
以下、図4及び図5を用いて間隔Dsを測定する手順について説明する。
【0072】
始めに、測定するプロセスカートリッジ100に対し、感光体ドラム10と現像ローラ131との少なくともどちらか一方を仮止め状態にする(ステップS1)。仮止め状態としたプロセスカートリッジ100をDs測定治具Jに装着する(ステップS2)。
【0073】
次に、発光素子Hkを発光させて間隔Dsを測定する(ステップS3)。測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っているかどうかを確認する(ステップS4)。
【0074】
測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っていない(ステップS4否定)ときはステップS7に進み、感光体ドラム10又は現像ローラ131の取付位置をずらして間隔Dsの調整を行う(ステップS7)。次いで、ステップS3に戻って再度間隔Dsの測定を行い、測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っていない(ステップS4否定)間はステップS7、ステップS3、及びステップS4の工程を繰り返す。
【0075】
測定した間隔Dsが基準値の範囲内である(ステップS4肯定)ときはステップS5に進み、仮止め状態の感光体ドラム10又は現像ローラ131を本締めにして間隔Dsを固定する(ステップS5)。測定を終えたプロセスカートリッジ100をDs測定治具Jから取り外す(ステップS6)。
【0076】
なお、本実施の形態においては、感光体ドラム10又は現像ローラ131の仮止め、間隔調整、及び本締めの各作業を、間隔Dsの測定時にDs測定治具Jにプロセスカートリッジ100を装着したまま行っているが、作業時に取り外す手順としても良い。即ち、間隔Dsの測定時のみにプロセスカートリッジ100をDs測定治具Jに装着し、測定終了後にプロセスカートリッジ100を取り外し、測定結果に基づいて間隔Dsを調整して本締めの作業を行うという手順である。
【0077】
本発明の第1又は第2の実施形態に係るプロセスカートリッジ100を用いて間隔Dsの測定作業を行うことにより、間隔Dsの調整を正確且つ容易に行うことができる。
【0078】
本発明に係るプロセスカートリッジの第3の実施形態として、光路変更部材を直接プロセスカートリッジ内に配設するという構成を有するプロセスカートリッジ100がある。
【0079】
このプロセスカートリッジ100の構成は、図2又は図3で説明した第1又は第2の実施形態としてのプロセスカートリッジ100の構成と類似しており、同一の機能及び構成を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0080】
第3のプロセスカートリッジ100が第1又は第2のプロセスカートリッジ100と異なる点は、図2又は図3に示すミラーM1、M2が測定治具Jに配設されているのに対し、第3のプロセスカートリッジ100ではプロセスカートリッジ100内に配設されている点である。発光素子Hk及び受光素子Hsは図示しない専用の取付治具によって保持される。
その他の構成は第1又は第2のプロセスカートリッジ100と同一であるため、説明は省略する。
【0081】
図6は、本発明に係る第2の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する手順を示すフローチャートである。
【0082】
以下、図6を用いて間隔Dsを測定する手順について説明する。
【0083】
始めに、測定するプロセスカートリッジ100に対し、感光体ドラム10と現像ローラ131との少なくともどちらか一方を仮止め状態にする(ステップS11)。仮止め状態としたプロセスカートリッジ100に発光素子Hk及び受光素子Hsの取付治具を装着する(ステップS12)。
【0084】
次に、発光素子Hkを発光させて間隔Dsを測定する(ステップS13)。測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っているかどうかを確認する(ステップS14)。
【0085】
測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っていない(ステップS14否定)ときはステップS17に進み、感光体ドラム10又は現像ローラ131の取付位置をずらして間隔Dsの調整を行う(ステップS17)。次いで、ステップS13に戻って再度間隔Dsの測定を行い、測定した間隔Dsが基準値の範囲に入っていない(ステップS14否定)間はステップS14、ステップS17、及びステップS13の工程を繰り返す。
【0086】
測定した間隔Dsが基準値の範囲内である(ステップS14肯定)ときはステップS15に進み、仮止め状態の感光体ドラム10又は現像ローラ131を本締めにして間隔Dsを固定する(ステップS15)。
【0087】
最後に、発光素子Hk及び受光素子Hsの取付治具を取り外す(ステップS16)。
【0088】
なお、本実施の形態においては、測定終了後も光路変更部材をそのままプロセスカートリッジ内に残す構成としているが、測定終了後に光路変更部材を取り外す構成としても良い。
【0089】
第3の実施形態に係るプロセスカートリッジ100を用いることにより、第1及び第2の実施形態のような光路変更部材を内蔵する複雑な測定治具を用いる必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係るプロセスカートリッジを装着する画像形成装置であるカラー画像形成装置の全体構成を示す概要図である。
【図2】本発明に係るプロセスカートリッジの第1の実施形態について、その構成と、間隔Dsを測定するための測定方法とを説明するための断面図である。
【図3】本発明に係るプロセスカートリッジの第2の実施形態について、その構成と、間隔Dsを測定するための測定方法とを説明するための断面図である。
【図4】本発明に係る第1又は第2の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する際の測定治具について説明するための概略図である。
【図5】本発明に係る第1又は第2の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る第3の実施形態としてのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムと現像ローラの間隔Dsを測定する手順を示すフローチャートである。
【図7】特許文献1に記載されたプロセスカートリッジ100を示す断面図である。
【符号の説明】
【0091】
10 感光体ドラム(像担持体)
13、20 現像装置
15 感光体クリーナ(クリーニング装置)
24、131 現像ローラ(現像剤担持体)
30 クリーニング装置
100 プロセスカートリッジ
Ds 間隔(像担持体と現像剤担持体の間隔)
Hk 発光素子
Hs 受光素子
J Ds測定治具
K、K1、K2、K3 光路
M1 第1のミラー(第1の光路変更部材)
M2 第2のミラー(第2の光路変更部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも像担持体と現像剤担持体とを有するプロセスカートリッジに対し、前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔を、発光素子と受光素子を用いて測定するプロセスカートリッジの間隔測定方法であって、
前記発光素子から発せられる光の光路を光路変更部材により変更させ、且つ前記光を前記像担持体と前記現像剤担持体との間に通して前記間隔を測定することを特徴とするプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項2】
複数の前記光路変更部材を用いて前記間隔を測定することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項3】
前記プロセスカートリッジ及び前記光路変更部材を装着した測定治具を用いて前記間隔を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジ及び前記光路変更部材を装着した前記測定治具に、前記発光素子及び前記受光素子を装着して前記間隔を測定することを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項5】
前記光路変更部材がミラー又はプリズムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項6】
前記ミラー又は前記プリズムは、面精度が0.02μm以上、0.24μm以下の反射面を有することを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法により前記像担持体と前記現像剤担持体との間隔が測定されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジの間隔測定方法に記載された前記光路変更部材を内蔵することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記光路変更部材がミラー又はプリズムであることを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記ミラー又は前記プリズムは、面精度が0.02μm以上、0.24μm以下の反射面を有することを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−53311(P2009−53311A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218174(P2007−218174)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】