説明

加工物支持構造体及びこれにアクセスするための装置

本発明は、底面及び周縁(P)を有する少なくとも1つの加工物(W)を格納するための加工物容器(12)に関する。1つの実施形態においては、加工物支持構造体(202)は、容器包囲体(12)の中に配置され、容器包囲体(12)の中に複数の垂直方向積重ね式格納棚を形成する。1つの実施形態においては、各格納棚は、加工物を実質的に水平方向の向きに支持するための第1タイン及び第2タイン(206)を含む。格納棚上に着座する加工物(W)の底面及び周縁(P)は、第1タイン及び第2タイン(206)の両方の外縁(207)を越えて延びる。本発明によるエンドエフェクタは、加工物(W)の延長部分又は「把持区域」と係合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、加工物支持構造体及びこの構造体内に格納される加工物にアクセスするための加工物移送装置に関する。より具体的には、本発明は、移送デバイスが、キャリア内に格納された加工物のいずれにもランダムにアクセスすることができるような加工物を支持するための構造体を含む。
【0002】
本明細書は、2005年7月8日に米国特許商標庁に願された「End Effector Tine and Transfer Methods」という表題の、引用により全体が本明細書に組み入れられる米国仮特許出願連続番号第60/697,528号に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
前面開閉一体型ポッド(FOUP)又は標準機械的インターフェース(SMIF)ポッドのような在来のウェハ容器は、多くの場合、半導体ウェハを支持するために、固定ピッチ間隔の棚を含む。図1は、在来のFOUP10の1つの実施形態を示す。FOUP10は、ハウジング即ちシェル12と、このシェル12と機械的に結合するFOUPドア14とを含む。上部18、背面20、第1横部22、第2横部24、及び底部26を含むハウジング12は、包囲体28を定める。包囲体は、第1横部22の内面32及び第2横部24の内面(図示せず)に配置される支持部30を含む。各支持部30は、多数の棚16を含む。一対の棚16間の各スロットは、単一のウェハを格納する。各支持部30は、ウェハがFOUP10内に位置する間、ウェハの周縁の一部を覆う。ウェハの外縁に対するアクセスは、棚構造体により阻止される。したがって、ウェハは、典型的には、隣接したウェハ間に到達しなければならない薄刃のエンドエフェクタにより取り扱われ、後で、真空チャック又は何らかの種類の縁支持部及び/又は把持構成のいずれかによりウェハを固定する。ウェハを固定するためのこれらの方法は、多くの場合、ウェハの後縁及び前縁又は後縁上のどこかでウェハを支持する。
【0004】
この在来のウェハ固定手法は、25年にわたり、半導体製造の業界において広く普及している。しかし、この手法には、ウェハが大きくなるとき、深刻になる多数の欠点がある。また、より薄いウェハの使用が増えており、かかる薄いウェハは、その縁が支持される非常に曲がりやすい。
【0005】
在来のウェハ支持部及びキャリアのアーキテクチャの欠陥の幾つかは、以下のものを含む。
【0006】
〔1.ウェハのマッピング〕
ビーム遮断式マッピングは、ウェハの有無、及び、ウェハの容器内の垂直方向位置を求めるための最も信頼できる方法であることがわかった。しかし、300mmのFOUPアーキテクチャによるビーム遮断式マッピングは、感知素子を容器に位置決めするのに高価で複雑な機構を必要とする。
【0007】
〔2.エンドエフェクタのブレード移動区域〕
ウェハにアクセスするためには、エンドエフェクタのブレードは、最初、所望の位置に到達するまで隣接したウェハ間を移動しなければならず、その位置において、ウェハを支持棚から持ち上げる。ウェハの直径が増加するに伴い、ウェハの質量及びウェハを支持するのに必要なブレード長さも増加する。大きい直径のウェハに対するエンドエフェクタの妥当な変形特性を維持するためには、エンドエフェクタのブレードはより厚いものでなければならない。エンドエフェクタのブレードの厚さが増加した場合、より厚いエンドエフェクタがウェハに接触することなしにウェハ間を通ることを可能にするように、ウェハ間のピッチも増加させなければならない。容器の大きさを増加させなければならないか又は在来の容器内にはより少ないウェハしか格納できないかのいずれかになる。さらに、エンドエフェクタの追加の移動長さは、ウェハの反り、ひずみ、及びゆがみ、並びに、時間効率的なウェハの取り扱いに必要とされる迅速な水平方向運動及び垂直方向運動によるエンドエフェクタの振動特性を受けやすい。これらすべては、移動するエンドエフェクタとウェハとの間のどのような偶発的な接触もなしで達成されなければならない。エンドエフェクタとウェハとの間の接触は、ウェハ上の敏感な回路に対して深刻な損傷をもたらす傾向、並びに、容器内の他のすべてのウェハを汚染することがある粒子バーストを発生させる傾向がある。
【0008】
〔3.エンドエフェクタの移動経路効率〕
在来のエンドエフェクは、ウェハを容器内に配置し、次いで、次のウェハにランダムにアクセスするための垂直方向運動の間隙を可能にするように引込み、次いでこのウェハは引込められて処理されるようになるか又は計測位置に運ばれる。したがって、容器における各ウェハ交換に対して4つの水平方向の移動が必要になる。
【0009】
〔4.処理/計測チャックの複雑性〕
典型的には、ウェハは、処理又は測定のために、平らなチャック又はプラテン上に配置される。多くの適用例において、ウェハは、真空を適用することにより、チャックに固定され(及び平坦化され)る。在来の真空又はエッジグリップ・エンドエフェクタの使用は、ウェハの解除及びエンドエフェクタのブレードの引込みを可能にするようにチャックにおける大きい切り取り領域を必要とする。
【0010】
〔5.多数のウェハの取り扱い〕
今日のアーキテクチャでは、多数のウェハを同時に摘まむ又は配置すること、又は、物質移動モードにおいて所望のウェハの個々の選択を可能にすることは、非常に困難である。
【0011】
したがって、これらの特徴をもつエンドエフェクタを有することが有利である。本明細書に説明されるエンドエフェクタ及びタイン構造体の種々の実施形態は、こうした特徴を提供する。
【発明の開示】
【0012】
本発明の1つの側面は、半導体ウェハ又は基板を支持するための新規な装置を提供することである。1つの実施形態においては、本発明は、1つ又はそれ以上のウェハの格納及び搬送、並びに、個々のウェハ又はウェハの群のランダムなアクセスによるつかみ及び配置の取り扱いを可能にする構造体を含む。
【0013】
本発明の別の側面は、一対の片持ち構造体により各ウェハを支持するタイン構造体を提供することである。1つの実施形態においては、1対の片持ち構造体の各々は、ウェハを支持するための2つの接触面を含み、一方の接触面は遠位端部にあり、他方の接触面は近位端部にある。ウェハが片持ち構造体の上に位置する間、ウェハの周縁は露出され、即ち、エンドエフェクタがアクセス可能である。ウェハの底面の一部もまた露出され、即ち、エンドエフェクタがアクセス可能であり、1つの実施形態においては「把持区域」と呼ばれる。別の実施形態においては、各片持ち構造体は、第3接触面を含む。
【0014】
本発明のさらに別の側面は、エンドエフェクタが支持構造体の外側に沿ってウェハ間を移動することができるタイン構造体を提供することである。1つの実施形態においては、一対の片持ち構造体は、片持ち構造体の上に着座したウェハの一部が各片持ち構造体の外縁を越えて外方に延びるように離間される。本発明によるエンドエフェクタは、次いで、各ウェハの外側に沿ってウェハ間を移動して、単にウェハを支持棚から持ち上げるために、ウェハ表面全体を横切って移動する必要性をなくすことができる。1つの実施形態においては、エンドエフェクタは、エンドエフェクタのアームをウェハの下に位置決めできる高さになるまで、ウェハの外側に沿って移動する。この距離は、一例に過ぎないが、数ミリメートルを含み、エンドエフェクタがウェハ表面を横切って移動することを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を説明する目的だけのために、加工物支持構造体102を、キャリア又は容器を参照して説明する。容器又はキャリアは、以下に限られるものではないが、半導体ウェハ、基板、フラットパネルディスプレイなどを保持、格納、移送、又は保護するのに用いられる可動の閉じた又は開いた構造体を含む。こうした容器は、以下に限られるものではないが、ウェハカセット、標準機械的インターフェース(SMIF: Standard Mechanical Interface)ポッド、及び前面開閉一体型ポッド(FOUP: Front Opening Unified Pod)を含む。機械的に開くことができるドアを含む容器においては、本発明は、前面開放容器及び/又は底面開放容器と共に用いられるのがよい。もちろん、加工物支持構造体102はこうした容器に限られるものではなく、任意の種類の加工物格納の要求に合わせて用いることができる。
【0016】
図2及び図4〜図8は、支持構造体102の1つの実施形態を示す。本実施形態においては、各支持構造体102は、ベース部材104と多数のタイン(tine;鹿の角)又は片持ちアーム106とを含む。各タイン106は、ベース部材104から延び又は突出する片持ち構造体を形成する。タイン106は、以下に限られるものではないが、平らな表面、矩形の断面積を有する形状、円形断面積を有する形状を含むいずれかの形状を含むことができる。図2Aは、距離d1だけ分離された各タイン106を示し、好ましい実施形態においては、距離d1は、10mmである。距離d1は、他の距離であってもよい。理想的な距離d1はない。距離d1は、単純に、ウェハWを格納棚(例えば、図4におけるタイン106b1、106b2)から、ウェハWを格納棚から取出すことができる高さまで垂直方向に持ち上げるのに十分なだけ大きくなければならず、ウェハは、すぐ上に配置された格納棚(例えば、図4におけるタイン106a1、106a2)に接触しない。
【0017】
図4〜図8は、底部開放容器と共に用いられる支持構造体102を示す。図4に示すベース部材104は、容器ドア12から上方に延びる。ベース部材104は、容器ドア12から分離した構造体を含んでいてもよいし、容器ドア12の一部である構造体を含んでいてもよい。
【0018】
任意の数のタイン106がベース部材104から延び又は突出し、支持構造体(単一のウェハを支持するタイン106の各対、又は、格納棚)がキャリア内に配置されている場合、タイン106の数は、幾つのウェハがキャリア内に格納されるかを単に決定する。例えば、図4に示すウェハ支持部102の各々は、ベース部材104及び4つのタイン106を含む。したがって、図4に示す支持構造体102は、4つまでのウェハWを格納することができる。各ウェハWは、格納棚と呼ばれる一対のタイン106によって支持される。図4は、タインの最も上の対106a1、106a2にウェハが置かれていないことを示すと共に、タイン106b1、106b2がウェハW1を支持し、タイン106c1、106c2がウェハW2を支持し、タイン106d1、106d2がウェハW3を支持することを示している。タイン106の各対は、ウェハWが互いに実質的に平行であるように実質的に水平方向の向きでウェハWを支持することが好ましい。図4は、タインがベース部材104に成形された状態を示す。各タイン106はまた、ベース部材104に固着又は固定された別個の部品であってもよい。
【0019】
図2Aは、タイン106が第1端部、即ち、近位端部112と、第2端部、即ち、遠位端部114と、外縁107とを含む状態を示す。支持構造体102がFOUP内に配置される場合に、各タイン106の外縁107は、容器シェル12の内面(例えば、図1に示すように、FOUPの側壁22の表面32)に面している。タイン106は、ウェハの底面又は周縁Pとの最小の接触量で、ウェハWを支持することが好ましい。本実施形態においては、各タイン106は、第1支持部108及び第2支持部110という2つの表面だけでウェハWに接触し又は支持している。第1支持部108は、タイン106の第1端部112又はその近くに配置される。第2支持部110は、タイン106の第2端部114又はその近くに配置される。タイン106のその他の部分がウェハWに接触することは、本発明の範囲内である。さらに、第1支持部108及び第2支持部110は、タイン106に沿った他の位置に配置されてもよい。タイン106が支持部を1つだけ有し、他の支持部がベース部材104によって設けられることもまた、本発明の範囲内である。好ましい実施形態においては、各格納棚は、ベース部材104と2つのタイン106との間に割り当てられる少なくとも3つの支持部を含む。
【0020】
図2Aは、さらに、タイン106が付加的な支持部116を含むのがよいことも示す。図2Aの実施形態においては、構造体118が、タイン106の近位端部112と遠位端部114との間の任意の箇所から延びている。付加的な支持部116は、構造体118の遠位端部119に配置されることが好ましいが、もちろん、構造体118に沿ったどこに配置されてもよい。付加的な支持部116は、付加的な支持箇所を与え、例えば、支持構造体102が薄いウェハを格納しているときに望ましい。
【0021】
在来の容器における格納棚とは異なり、タイン106は、ウェハを支持するが、2つの支持パッド108、110間に位置するウェハの周囲部Pへのアクセス又は接近を可能にする。図2Aは、ウェハの周囲部P、及びウェハWの一定の領域120が支持パッド108、110の間を越えて延びる状態を示す。タイン106を越えて延び又は張り出すウェハWの領域120を「把持区域」と称する。把持区域120は、ウェハWが1対のタイン106の上に着座している間、エンドエフェクタ又は他の機械的装置がウェハWに接触する又はこれを把持するためのアクセス領域を構成する。1対のタイン(例えば、タイン106a1、106a2)の間の距離d1がウェハWの直径Dよりも小さいことによって、把持区域120が構成される。したがって、各タイン106は、ウェハWの下を通る。
【0022】
在来のエンドエフェクタを用いてFOUP又はSMIF内に格納されたウェハに接近又はアクセスするには、多数の複雑で精密な運動を必要とする。第1に、エンドエフェクタを、FOUP格納領域の中に、且つ、エンドエフェクタとFOUPから取出すべきウェハとを整列させる所定の位置まで挿入する。この所定の位置に到達するために、エンドエフェクタを、隣接したウェハ(例えば、図2BにおけるウェハW1、W2)間をFOUPの後面に向かって移動させる。エンドエフェクタは、ウェハ表面から数ミリメートルの範囲内にずっとある。次いで、エンドエフェクタを上昇させ、ウェハの底面に接触させ、ウェハが棚から完全に持ち上げられるまで上昇させ続ける。次いで、エンドエフェクタの上にウェハが着座したら、エンドエフェクタを、2つの隣接した棚及び隣接したウェハのいずれにも接触させることなしに、容器から取出す。エンドエフェクタはこの狭い領域(例えば2つの隣接した棚間の領域)内でずっと作動し、例えば、どちらかの棚に接触してウェハを損傷させてはならない。
【0023】
エンドエフェクタがFOUPにウェハを下ろすとき、在来のエンドエフェクタは、隣接したウェハ間のこの狭い領域内を2回移動し、次いで、FOUP内の別のウェハまですぐに移動しなければならない。例えば、FOUP内にウェハを下ろすために、エンドエフェクタをFOUPの中に移動させ、ウェハを格納棚上に下ろす。次いで、エンドエフェクタをFOUPの外に引込め、2つの隣接したウェハ間のレベルでFOUPの外に移動させる。エンドエフェクタがウェハを処理し終わると、エンドエフェクタを垂直方向に移動させ、2つの隣接した別のウェハの間に挿入す。次いで、エンドエフェクタは、同じ運動を繰り返して、新しいウェハをFOUPから取出す。エンドエフェクタは、ウェハ間を移動する間、偶発的に、ウェハに当たったり又は接触したりしてウェハを損傷させることがある。
【0024】
支持構造体102が容器(例えば、FOUP)内に配置される場合、本発明は、エンドエフェクタがその支持パッドをウェハの下に位置決めするためにウェハの面全体を横切って移動する必要を簡単になくす。最低でも、エンドエフェクタの支持パッドを位置決めするために、エンドエフェクタは、各ウェハの非常に小さい部分だけを横切って移動すればよい。「把持区域」120を構成することにより、エンドエフェクタは、ウェハの周囲又は周縁の外側に沿ってFOUPの包囲体の中を垂直方向に移動することができる。例えば、エンドエフェクタがウェハに係合するのに適した高さに到達したら、エンドエフェクタの支持パッドを位置決めして、ウェハを支持して、ウェハを格納棚から持ち上げるまで、エンドエフェクタのアームは、ウェハの方向に小さい距離だけ移動するに過ぎない。エンドエフェクタは、ウェハを支持棚から持ち上げるのに、ウェハの面全体を横切って移動する必要はない。
【0025】
図2A及び図4は、エンドエフェクタ200の1つの実施形態を示す。従来、エンドエフェクタは、ウェハ又は任意その他の物品(例えば、レチクル、FPD等)を取得し、支持し、搬送する任意の構造体を含むことができ、ロボット機構(例えば、ロボットアーム)により駆動され、又はこれに取り付けられている。エンドエフェクタは受動的にウェハを取得してもよいし(例えば、エンドエフェクタはタインを含む)、能動的にウェハを取得してもよい(例えば、エンドエフェクタは、ウェハ搭載位置とウェハ接触位置との間で移動する把持機構を含む)。本実施形態においては、エンドエフェクタ200は、第1アーム202及び第2アーム204を有している。第1アーム202は、第1支持パッド210及び第2支持パッド12を含む。第2アーム204は第1支持パッド214及び第2支持パッド216を含む。好ましい実施形態においては、3つ又はそれ以上の支持パッドがウェハを支持する。例えば、第1アーム202は2つの支持パッドを有し、第2アームは1つの支持パッドを有し、その逆であってもよい。第1アーム202上の第1支持パッド210及び第2支持パッド212と、第2アーム204上の第1支持パッド214及び第2の支持パッド216とは、互いに離れている。エンドエフェクタ200が2つのアーム202、204間に割り当てられる2つ又は3つ以上の支持パッドを含むことは、本発明の範囲内である。
【0026】
第1アーム202上の第1支持パッド210及び第2支持パッド212と、第2アーム204上の第1支持パッド214及び第2支持パッド216とは、受動的な支持部であってもよいし、能動的な支持部であってもよい。支持部が受動的である場合、支持パッド210〜216は常に図4に示す位置にあるままである。この場合、ウェハWは重力により支持パッド210〜216上に位置するままである。支持パッド210〜216が能動的な支持部である場合、少なくとも1つの支持部、好ましくは各支持部が、ウェハ搭載位置とウェハ把持位置との間を移動する。ウェハ搭載位置は、ウェハをエンドエフェクタ上に着座させることを可能にする。ウェハがエンドエフェクタ上に着座した後、支持パッドは、ウェハの周縁に接触するまでウェハの中央に向かって移動する。
【0027】
図2A及び図4に示すエンドエフェクタ200とアーム202、204の構成は、図示目的のために過ぎない。エンドエフェクタ200は、他の構成を有していてもよく、アーム202、204は各々、例えば、1つの支持パッドだけを含んでいてもよいし、ビーム遮断式センサシステム230を組み込むものであってもよい。ビーム遮断式センサは、半導体製造技術において知られており、多くの場合、容器内に格納された各ウェハの真の位置を正確に割り出して、間違いも欠けもない配置及びランダムなアクセス位置にあるウェハの取出しを提供するのに用いられる。こうしたセンサシステムは、当該技術分野においてよく知られており、したがって、本明細書ではさらなる開示を必要としない。
【0028】
事実上、在来のエンドエフェクタのブレードが排除され、エンドエフェクタは、ウェハ間の隙間空間内を移動することはない。エンドエフェクタ構造体のアーム202、204は、変形を最小にし且つ振動を制御するのに必要とされる任意適当な厚さを有するのがよい。第1アーム202上の第1支持パッド210及び第2支持パッド212、及び、第2アーム204上の第1支持パッド214及び第2支持パッド216は、受動的な保持/支持面であってもよいし、方向232に運動する能動的な保持面であってもよい。エンドエフェクタのアーム202、204が方向232に移動できない場合、エンドエフェクタ200は、最初、支持パッド210、212、214、216がウェハの「把持区域」120の実質的に下に配置されるまで、ウェハの下で方向234に移動する。次いで、エンドエフェクタ200は、垂直方向(図2Bにおける方向236)に移動して、ウェハWの底面20と係合し、ウェハWを制御された量だけ格納棚から持ち上げる。次いで、エンドエフェクタ200は、ウェハWを容器から引出す。
【0029】
エンドエフェクタ200が、方向232に移動するアーム202、204を有する場合、エンドエフェクタ200は、容器内に格納されているウェハの有無に干渉されることなしに、垂直方向236に自由に移動することができる。アーム202、204の各々が引込み位置に配置されている間、アーム202、204間の距離は、容器内に格納された各ウェハの距離Dよりも大きくなければならない。作動中、エンドエフェクタ200は、最初、各アーム202、204の支持部が実質的に容器内に格納されたウェハの「把持区域」120と垂直方向に整列するまで方向234に移動する。エンドエフェクタ200は、アーム202、204が所望のウェハレベルに配置されるまで、垂直方向236に移動する。アーム202、204は、支持パッド210、212、214、216が実質的に図1Aに示す位置に配置されるまでウェハの方向に延びる。エンドエフェクタ200は、垂直方向236上方に移動し、ウェハWをタイン106から持ち上げた後、ウェハWを方向234に容器から取出す。
【0030】
図3は、図2Aに示すエンドエフェクタ200がウェハチャック50と共に作動する状態を示す。ウェハチャック50は、他の半導体デバイスがエンドエフェクタ200に順応してもよいことを示している。具体的には、ウェハチャック50は、4つの逃げチャネル52、54、56、58を含む。各逃げチャネルは、エンドエフェクタ200がウェハWをチャック50の上に下ろすことができ且つウェハチャック50と接触しないように整列される。ウェハWがチャック50上に着座されると、エンドエフェクタのアーム202、204は、方向232にチャック50から横方向に離れるように移動し、次いで、方向234にチャック50から引込む。
【0031】
図4〜図8は、エンドエフェクタの種々の実施形態を示す。図4は、受動的なフィンガをもつエンドエフェクタ200の実施形態を示す。エンドエフェクタ200は、第1アーム202及び第2アーム204を有する本体201を含む。図4では、第1アーム202及び第2アーム204は、湾曲構造体として示されている。本体201及びアーム202、204は、異なる形状を有していてもよい。支持パッド210、212、214、216の各々は、ウェハの底面に接触する平らな接触面218と、後退停止面220とを有し、後退停止面220は、実際には、ウェハが接触面218から滑り落ちることを防止する。各支持パッドは、接触面218とウェハとの間の接触量を最小にする異なる形状の接触面を有するのがよい。付加的な支持を与える選択的な第3フィンガ222を有するエンドエフェクタ200が示されている。第3フィンガ222は、ウェハ接触面224を含む。
【0032】
作動中、エンドエフェクタ200が方向234にウェハに向かって移動するとき、エンドエフェクタ200は、フィンガ202、204が、容器から取出すべきウェハの把持区域120の下に移動するように位置決めされる。エンドエフェクタ200は、支持パッド210、212、214、216の接触面218が、図2Aに示す位置に実質的に配置されるまで前方に移動する。この時点で、エンドエフェクタ200は、ウェハが最初に接触面218上に着座されるまで上方に移動し、ウェハが格納棚(例えば、1対のタイン106)から持ち上げられるまで上方に移動し続ける。次いで、エンドエフェクタ200は、ウェハが容器から取出されるまで方向234に引込む。
【0033】
図5は、エンドエフェクタ300の別の実施形態を示す。エンドエフェクタ300は、第1アーム302及び第2アーム304を含む。第1アーム302は、第1支持パッド310及び第2支持パッド312を有する。第2アーム304は、第1支持パッド314及び第2支持パッド316を有する。エンドエフェクタ300は、さらに、付加的な支持を行う支持パッド315を有する第3アーム314を含むことができる。
【0034】
図5は、各アームがエンドエフェクタ本体301にピン留めされていることを示す。第1アーム302は、エンドエフェクタ本体301に対して枢動ピン320の周りで枢動する。第2アーム304は、エンドエフェクタ本体301に対して枢動ピン322の周りで枢動する。各アームは、アームがエンドエフェクタ本体301に対して回転させる他の機械的装置によって、本体301に固着されていてもよい。本実施形態では、第1アーム302は、アクチュエータ324によって枢動ピン320を中心に回転し、第2アームは、アクチュエータ326によって枢動ピン322を中心に回転する。図5は、第1アーム302が引込み位置Aと加工物支持位置Bとの間を移動する状態を示す。第2アーム304もまた、引込み位置と加工物支持位置との間を移動する。
【0035】
第1アーム302及び第2アーム304の各々が引込み位置(例えば位置A)にあるとき、第1アーム320及び第2アーム340は、各タイン106の外縁106と容器壁の内面との間を移動するため、エンドエフェクタ300は、容器の包囲体の中のウェハ間を垂直方向に移動することができる。したがって、エンドエフェクタ300は、方向234に全く移動することなしに、ウェハ間を方向236に垂直方向に移動し、ウェハ間の移動時間を減少させる。作動中、エンドエフェクタ300は、ウェハ「つかみ」位置で停止する。アーム302、304は位置Bに移動し、支持パッド310、312、314、316をウェハの下に配置する。エンドエフェクタ300は、ウェハが支持パッド上に着座するまで上昇し、そして、上昇し続け、ウェハを格納棚から持ち上げる。次いで、エンドエフェクタ300は、引込み、ウェハを容器の包囲体28の外に取出す。
【0036】
図6は、エンドエフェクタ400の別の実施形態を示す。エンドエフェクタ400は、第1アーム402及び第2アーム404を有する本体401を含む。図6では、第1アーム402及び第2アーム404は、湾曲構造体として示されている。アーム402、404は、異なる形状を有していてもよい。支持パッド410、412、414、416の各々は、スロット415を有する円筒形アクチュエータとして示されている。支持パッド410〜416は、他の形状を有していてもよい。付加的な支持のための支持パッド424をもつ選択的な第3のフィンガ420を有するエンドエフェクタ400が示されている。
【0037】
作動中、エンドエフェクタ400は、支持パッド410〜416がウェハWに隣接して位置決めされるまで方向434、436に沿って移動する。この時点で、支持パッド410〜416は、各支持パッドがウェハWの周縁に接触し、効率的にウェハを把持するまで、ウェハWに向かって方向R1に移動する。本実施形態では、ウェハの周縁Pは、各支持パッドのスロット415に嵌まる。次いで、エンドエフェクタ400は、方向436に沿って上方に移動し、ウェハWを格納棚から上昇させる。次いで、エンドエフェクタ400は、ウェハが容器の包囲体から取出されるまで、方向434に引込む。
【0038】
図7は、エンドエフェクタ500の別の実施形態を示す。エンドエフェクタ500は、第1アーム502及び第2アーム504を含む。第1アーム502は、第1支持パッド510及び第2支持パッド512を有する。第2アームは、第1支持パッド514及び第2支持パッド516を有する。
【0039】
図7は、各アームがエンドエフェクタ本体501にピン留めされていることを示す。第1アーム502は、エンドエフェクタ本体501に対して枢動ピン520の周りで枢動する。第2アーム504は、エンドエフェクタ本体501に対して枢動ピン522の周りで枢動する。各アームは、アームをエンドエフェクタ本体501に対して回転させる他の機械的装置によって本体501に固着されていてもよい。第1アーム502は、引込み位置Aと加工物支持位置Bとの間を移動する。第2アーム504もまた、引込み位置Aと加工物支持位置B(図示せず)との間を移動する。
【0040】
図8は、エンドエフェクタ600を示す。本実施形態では、エンドエフェクタ600は、その上に着座するウェハをウェハの中心周りに回転させることができる。エンドエフェクタ600は、第1アーム602及び第2アーム604を含む。第1アーム602は、第1支持パッド及び第2支持パッド612を含む。第2アーム604は、第1支持パッド614及び第2支持パッド616を含む。本実施形態では、各支持パッドは、エンドエフェクタ600上に着座したウェハを回転させるための回転可能な支持機構を含む。
【0041】
本実施形態では、第1アーム602は、エンドエフェクタ本体601にピン620によって回転可能に取り付けられている。第2アーム604は、エンドエフェクタ本体601にピン622によって回転可能に取り付けられている。第1アクチュエータ624により、第1アーム602をピン620の周りで回転させる。第2アクチュエータ626により、第2アームを第2ピン622の周りで回転させる。したがって、第1アーム602及び第2アーム604は、位置Aと位置Bとの間で回転する。アーム602、604は、他の方法によって本体601に回転可能に固定されていてもよい。
【0042】
多くの場合、例えば、識別コードを読み取るために、又は、ウェハ周囲部Pのノッチを含む幾何学的基準を整列させるために、ウェハWをその垂直方向中心軸の周りで回転させることが必要である。図8に示すエンドエフェクタ600は、ウェハWをエンドエフェクタ600上で回転させるために回転可能支持パッド610、612、614、616をもつエンドエフェクタの例示的な実施形態に過ぎない。同様に、ウェハ周囲の上面又は底面上の識別マークを読み取るのに用いられる機構は、撮像装置(カメラ)又はエンドエフェクタ上に取り付けられるその他の手段を使用することにより可能にすることができる。この「現場処理」を達成することにより、時間及び床空間を節約し、費用及び機構の複雑さを軽減する。
【0043】
本明細書に説明されるエンドエフェクタの種々の実施形態は、エンドエフェクタのアームがウェハの周縁Pの外側で垂直方向に移動することを可能にする。したがって、処理又は計測ツールチャックのウェハ支持面のほぼ全体を、ウェハを支持するのに用いることができ、大部分、エンドエフェクタのブレード(例えばアーム及び本体)を受け入れる必要がない。図3は、エンドエフェクタ200と共に作動する計測又は処理ツールチャック50の1つの実施形態を示す。本実施形態においては、チャック50は、ウェハ支持面51と、各支持パッドを受け入れる4つのくぼみ又はチャネルと、第1スロット60及び第2スロットと有する本体62を含む。図3は、支持面51の上に直接着座したウェハWを示す。ウェハWを支持面51の上方で支持するために支持面51から延びるリフトピン又はその他の支持構造体を有することもまた、本発明の範囲内である。ウェハWは、以下に限られるものではないが、真空、重力、又は静電引力を含む当該技術分野に知られている任意の方法によって、支持面51(又は他の支持構造体)上に固着されてもよい。
【0044】
エンドエフェクタ200のアーム202、204を受け入れるために、チャック本体62は、エンドエフェクタ200がウェハを支持面51上に配置した後で各アームがチャック本体62の中を通ることを可能にする凹んだ領域又はチャネルを含む。例えば、チャック本体62は、支持パッド214がチャック本体62の中を通ることを可能にする凹面52と、支持パッド216がチャック本体62の中を通ることを可能にする凹面54と、支持パッド212がチャック本体62の中を通ることを可能にする凹面56と、支持パッド210がチャック本体62の中を通ることを可能にする凹面58とを含む。作動中、エンドエフェクタ200は、ウェハWを支持面51上に配置し、垂直方向下方にチャック本体62の中に移動したままである。エンドエフェクタは、チャックがウェハWをスピンさせることを可能にするために、チャック50から引き下がらなければならない。アーム202、204がチャック本体62から離れるように方向232に移動できないならば、エンドエフェクタはチャック50から方向234に引き下がらないであろう。1つの実施形態においては、エンドエフェクタが効率的にチャック本体62の底面を通過し、次いで、チャック50から離れるように方向234に引き下がることができるように、各凹面は、チャック本体62を完全に貫いて延びる。
【0045】
変形例として、チャック本体62は、支持面51よりも下の所定の高さに配置された第1水平方向スロット60及び第2水平方向スロット63を含む。水平方向スロットにより、エンドエフェクタがアーム202、204を、スロット60、63と整列する高さまで下げ、次いで、スロット60、63の中を方向234に通して、チャック50から離れるように引込めることを可能にする。アーム202は、スロット60内でチャック本体62を通り抜け、アーム204は、スロット63内でチャック本体62を通り抜ける。エンドエフェクタ200が(図3に示すように)第3アーム222を含む場合、チャック本体62は、第3アーム222を受け入れるために第5の凹面65を含む。作動中、エンドエフェクタ200がウェハWを支持面51上に配置した後、エンドエフェクタは垂直方向下方に移動し続け、アーム222は凹面65内で本体62を通り抜ける。チャック本体62における各凹面は、少量の支持面51を取り去る。しかし、凹面による支持面51における減少は最小である。
【0046】
半導体処理においては、ウェハは、多くの場合、0.7mm〜1.0mmまでの開始厚さを有する。次いで、全製造工程シーケンスのどこかの中間段階において、ウェハは、0.3mmより少ない厚さまで薄くされる。薄くされたウェハは、非常に可撓性があり脆く、容器におけるウェハ縁支持の歴史的な方法並びに在来の縁把持方法は十分ではない。
【0047】
各格納棚は、多数の点でウェハを支持する。具体的には、各格納棚は、少なくとも3つの接触点又は支持パッドによってウェハを支持することが好ましい。1つの実施形態においては、2つのタイン106を含む格納棚は、各タイン106上の単一の支持パッド(例えば、支持パッド110)及び各ベース部材104に配置された支持パッド(例えば、支持パッド108)を含み、これらのすべては、ウェハを水平方向の向き又は姿勢で支持するために、実質的に同じ高さにある。別の実施形態では、各タイン106は、付加的な支持パッド(例えば、支持パッド116)を含んで、付加的な支持を行う。もちろん、各タイン106及び/又はベース部材104は、付加的な支持パッドを含んでいてもよい。エンドエフェクタ及び格納棚の両方に対する付加的な支持パッドの数及び幾何学的形状は、エンドエフェクタが各タイン106と相互作用する必要条件によってのみ制限される。
【0048】
図9は、在来のFOUP10内のウェハ支持構造体202の1つの実施形態を示す。FOUP10は、ハウジング即ちシェル12と、FOUPシェル12と機械的に結合するFOUPドア14とを含む。上部18、後部20、第1横部22、第2横部24、及び底部26を含むハウジング12は、包囲体28を定める。
【0049】
本実施形態においては、支持構造体202は、FOUPシェル12の上部18及び底部26に固定される。例えば、各支持構造体202の上端203は、3つの固定具によりFOUPシェル12の上部18に固定される。支持構造体202の下端(図示せず)は、FOUPシェル12の底部26に固定される。支持構造体202が、FOUPシェル12の上部18又は底部26のいずれかに固定されることも、FOUPシェル12に他の方法によって固定されることも本発明の範囲内である。各支持構造体202は、さらに、FOUPシェル12と一体に成形されていてもよい。例えば、各ベース部材204は、FOUPシェル12の後部20に成形されてもよいし、FOUPシェル12の他の面のいずれか(例えば、上部18、底部26、第1横部22、第2横部24等の面)に成形されてもよい。別の実施形態では、支持構造体202は、ベース部材204を含まなくてもよい。その代わりに、各格納棚は、1つ又は2つ以上のタイン206を含み、各タインがFOUPシェル12に固定又は成形されていてもよい。例えば、各タイン206の近位端部214は、FOUPシェル12の後部に配置された一対のスロットに留められる一対のタブを含む。図9は、2つの支持構造体202が2つの別個の構造体からなる状態を示す。しかし、ベース部材204及び/又はタイン206等の支持構造体の任意の部分は、単一の材料片からなっていてもよい。
【0050】
図9は、例示的な目的のために、1対のタイン206を含む格納棚の1つの実施形態を示す。各タイン206は、ベース部材204から延び又は突出する。タイン206は、第1端部、即ち、近位端部214と、第2端部、即ち、遠位端部216とを含む。2つのタイン206及びベース部材204の組み合わせは、2つの支持パッド208、2つの支持パッド210、及び2つの支持パッド212という6つの支持パッドによって、単一のウェハWを支持する。支持パッド210は、各タイン206の遠位端部216又はその近くに配置される。他の4つの支持パッド208、212は、タイン206の近位端部の上に配置されてもよいし、ベース部材204の上に配置されてもよいし、これらの組み合わせであってもよい。タイン206の他の部分がウェハWに接触すること、又は、支持パッドが他の位置に配置されることは、本発明の範囲内である。
【0051】
図9は、ウェハWが格納棚上に着座している間、ウェハの周縁P及びウェハWの一部が支持パッド208、212間において各タイン206の外縁を越えて張り出し又は延びていることを示す。上述のように、ウェハWがFOUP10内で着座している間、ウェハWの張り出し部分は、エンドエフェクタが係合する「把持」領域又は「アクセス」領域と呼ばれる。
【0052】
図10は、FOUP10に挿入されたエンドエフェクタ700を示す。エンドエフェクタ700は、本体701、第1アーム702、及び第2アーム704を含む。本体701は、一例に過ぎないが、エンドエフェクタ本体701を任意の数の運動(例えば、6自由度の運動)によって移動させるためのロボットアームに接続するのがよい。第1アーム702は、近位端部706及び遠位端部708を有する。第2アーム704は、近位端部707及び遠位端部709を有する。
【0053】
図10のエンドエフェクタ700の実施形態は、2つの支持パッドを各アーム上に含む。第1アーム702は、近位端部706に配置された支持パッド710と、遠位端部708に配置された第2支持パッド712とを含む。第2アーム704は、近位端部707に配置された支持パッド714と、遠位端部709に配置された支持パッド716とを含む。各アームは、任意の数の支持パッドを含むことができ、各支持パッドは、エンドエフェクタのアームに沿ったどこにでも配置することができる。支持パッドは、支持構造体202と干渉しないことが好ましい。図10は、各支持パッド710〜716を受動的なパッドとして示す。変形例として、各支持パッド710〜716は、図4〜図8に示したエンドエフェクタの実施形態と同様な能動的なパッドを含んでいてもよい。
【0054】
エンドエフェクタ700がFOUP包囲体28内に配置されたとき、アーム702、704は、図10に示すように、ウェハの周縁Pの周りに沿った形状又は輪郭を有する。好ましい実施形態においては、ウェハの周縁Pと、第1横部22及び第2横部24等のFOUPシェル12の各横部との間の距離は、エンドエフェクタ700のアーム702、704が、支持構造体202又はウェハW又はFOUPシェル12のどの部分にも接触せずに、包囲体28の中で垂直方向に移動するのに十分に大きい。この距離が、図10に示すように、エンドエフェクタ700のアーム702、704が、支持構造体202又はウェハWのどの部分にも接触せずに、包囲体28の中で垂直方向に移動できないほど小さいことも本発明の範囲内である。したがって、ウェハを格納棚の上に設置した後、エンドエフェクタ700を別の高さまで上昇させ/下降させてから、包囲体の外に移動させ、包囲体28に挿入し戻さなければならない。
【0055】
在来のエンドエフェクタとは異なり、アーム702、704は、接触パッド710〜716をウェハの下に配置するために、又は、ウェハを格納棚から持ち上げるために、ウェハの下を移動しないことが好ましい。アーム702、704をウェハWの外側に維持することにより、アーム702、704のいずれかがFOUP10内に位置するウェハ表面に接触する可能性及び/又は損傷する可能性がなくなる。図10に示すアーム702、704の形状は、例示的な目的のために過ぎない。アーム702、704は、他の形状及び/又は構成を含んでいてもよい。
【0056】
エンドエフェクタ700のアーム702、704は、さらに、各タイン206の周りに沿った形状又は輪郭を有することが好ましい。支持パッド710〜716が能動的なパッドである場合、例えば、ウェハの周縁Pの方向に又はそれから離れるように移動することができる場合、エンドエフェクタ700は、FOUP包囲体28の中の任意の高さに配置され、最初、FOUP包囲体28から引込む必要はなく、次いで、FOUP10内の別の高さまで垂直方向に移動することができる。支持パッドが引込むことにより、エンドエフェクタ700はその所望の位置まで移動することができる。エンドエフェクタ700が所望の位置に到達すると、支持パッド710〜716は、ウェハに向かって延び、各支持パッド710〜716がウェハWの下に配置される。これにより、エンドエフェクタ700がウェハWをタイン206又は棚から持ち上げたときに、ウェハWが(好ましくは水平方向に)支持され、ウェハWをFOUP10から取出す。
【0057】
上述のタインシステム及びエンドエフェクタは、例示的な目的のために過ぎず、本発明はそれに限定されるものではないことを理解すべきである。タインシステム及びエンドエフェクタの好ましい実施形態をこのように説明したが、当業者であれば、システム内の特定の利点は、実現されることが明らかである。さらに、種々の修正、適合、代替技術は、本発明の範囲及び精神の中で行うことができることを理解すべきである。例えば、格納棚及びエンドエフェクタは、半導体製造設備において示されるが、上述の本発明の概念の多数は、他の非半導体製造用途と関連して用いるのにも同様に適用可能であることが明らかである。格納棚はまた、加工物キャリアに限られるものではないことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来技術によるFOUPの斜視図である。
【図2A】本発明の実施形態の断面図である。
【図2B】本発明の実施形態の側面図である。
【図3】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図4】本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図7】本発明の別の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態の平面図である。
【図10】本発明によるエンドエフェクタの1つの実施形態と関連した容器の断面平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び周縁を有する少なくとも1つの加工物を格納するための加工物容器であって、
容器シェル及び容器ドアによって定められる包囲体と、
前記包囲体の中に配置された加工物支持構造体と、を有し、
前記加工物支持構造体は、複数の垂直方向積重ね式格納棚を前記包囲体の中に有し、前記格納棚の各々は、加工物を実質的に水平方向の向きに支持し、
前記加工物支持構造体は、ベース部材と、前記容器シェルに面する外縁を有する第1タインと、前記容器シェルに面する外縁を有する第2タインと、を有し、
加工物が前記複数の垂直方向積重ね式格納棚の1つの上に着座したとき、前記加工物の周縁の一部は前記第1及び第2のタインの前記外縁を越えて延びる、加工物容器。
【請求項2】
前記加工物支持構造体は、前記容器ドアの一部として成形される、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項3】
前記加工物支持構造体は、前記容器シェルの一部として成形される、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項4】
前記加工物支持構造体は、前記容器シェルに固着される、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項5】
前記加工物支持構造体は、前記容器ドアに固着される、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項6】
前記第1タイン及び第2タインは、前記ベース部材から水平方向に延びる、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項7】
前記第1タイン及び第2タインは各々、前記ベース部材に固着された近位端部を有する、請求項6に記載の加工物容器。
【請求項8】
前記第1タイン及び第2タインは各々、前記ベース部材と一緒に成形された近位端部を有する、請求項6に記載の加工物容器。
【請求項9】
前記ベース部材は、単一構造体を有する、請求項6に記載の加工物容器。
【請求項10】
前記ベース部材は、第1ベース部材と、第2ベース部材とを有する、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項11】
前記垂直方向積重ね式格納棚は各々、加工物を支持するための少なくとも2つの支持パッドを有する、請求項1に記載の加工物容器。
【請求項12】
前記第1タインは、前記第1ベース部材から水平方向に延び、前記第2タインは、前記第2ベース部材から水平方向に延びる、請求項10に記載の加工物容器。
【請求項13】
前記第1ベース部材及び第2ベース部材は前記容器シェルに成形されることを特徴とする請求項12に記載の加工物容器。
【請求項14】
前記第1ベース部材及び第2ベース部材は、前記容器ドアと一体に成形される、請求項12に記載の加工物容器。
【請求項15】
底面及び周縁を有する少なくとも1つの加工物を格納するための加工物容器であって、
容器シェルによって定められる包囲体と、
前記包囲体の中に配置された加工物支持構造体と、を有し、
前記加工物支持構造体は、複数の垂直方向積重ね式格納棚を前記包囲体の中に有し、前記格納棚の各々は、加工物を支持し、
前記加工物支持構造体は、ベース部材と、前記容器シェルに面する外縁を有する第1タインと、前記容器シェルに面する外縁を有する第2タインと、を有し、
加工物が前記複数の垂直方向積重ね式格納棚の1つの上に着座したとき、前記加工物の周縁の一部は前記第1及び第2のタインの前記外縁を越えて延びる、加工物容器。
【請求項16】
前記ベース部材は、前記容器シェルの一部として成形される、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項17】
前記ベース部材は、前記容器シェルに固着される、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項18】
前記第1タインは、支持パッドを有する遠位端部を有する、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項19】
前記第2タインは、支持パッドを有する遠位端部を有する、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項20】
前記複数の格納棚は各々、少なくとも2つの支持パッドを有する、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項21】
前記第1タイン及び前記第2タインは、前記ベース部材から水平方向に延びる、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項22】
前記ベース部材は、第1ベース部材及び第2ベース部材を有し、前記第1タインは、前記第1ベース部材から水平方向に延び、前記第2タインは、前記第2ベース部材から水平方向に延びる、請求項15に記載の加工物容器。
【請求項23】
底面及び周縁を有する少なくとも1つの加工物を格納するための加工物容器であって、
容器シェルによって定められる包囲体を有し、前記包囲体は、上内面、後内面、第1横内面、第2横内面、及び下内面を有し、
更に、前記包囲体の中に配置された加工物支持構造体を有し、
前記加工物支持構造体は、複数の垂直方向積重ね式格納棚を前記包囲体の中に有し、前記格納棚の各々は、加工物を支持し、
前記加工物支持構造体は、前記容器シェルの第1横内面に面する縁を有する第1タインと、前記容器シェルの第2横内面に面する縁を有する第2タインと、を有し、
加工物が前記複数の垂直方向積重ね式格納棚の1つの上に着座したとき、前記加工物の周縁の一部は、前記第1横内面に面する前記第1タインの縁及び前記第2横内面に面する前記第2タインの縁を越えて延びる、加工物容器。
【請求項24】
前記第1タイン及び前記第2タインは、前記容器シェルの後内面に成形された近位端部を有する、請求項23に記載の加工物容器。
【請求項25】
前記第1タイン及び前記第2タインは、前記容器シェルの後内面に固着された近位端部を有する請求項23に記載の加工物容器。
【請求項26】
前記第1タインは、前記容器シェルの第1横内面に成形された近位端部を含み、前記第2タインは前記容器シェルの第2横内面に成形された近位端部を含む、請求項23に記載の加工物容器。
【請求項27】
前記第1タインは、前記容器シェルの第1横内面に固着された近位端部を含み、前記第2タインは容器シェルの前記第2内面に固着された近位端を含むことを特徴とする請求項23に記載の加工物容器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−500854(P2009−500854A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520376(P2008−520376)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026281
【国際公開番号】WO2007/008555
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(306029419)アシスト テクノロジーズ インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Asyst Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】46897 Bayside Parkway,Fremont,California 94538,U.S.A.
【Fターム(参考)】