説明

加速度情報生成装置

【課題】車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報から加速度を推定できるようにする。
【解決手段】車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報を車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換し(210)、車速と走行時間の関係を表す車速情報から予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出する(240)。更に、予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を加速度と走行距離の関係を表す加速度情報に変換する(260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行に伴って検出した車速情報から加速度情報を生成する加速度情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行した経路データおよびこの経路を走行した際の走行データ(燃費、所要時間、平均車速)をデータベースに記憶しておき、このデータベースから現在走行している経路に対応した走行データを抽出して出力する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−3147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された装置は、車速センサを用いて検出した平均車速をデータベースに記憶し、このデータベースから現在走行している経路に対応した平均車速を抽出して出力する構成となっている。このような装置では、走行地点と車速の関係を把握できるようにするため、時間軸に対するデータではなく距離軸に対するデータとして車速情報が管理される。すなわち、図9(a)に示されるような車速と時間の関係を表すデータとしてではなく、図9(b)に示されるような車速と走行距離の関係を表すデータとして車速情報が管理される。
【0004】
ところで、車両の加速度は、車速を時間で微分することにより容易に算出することができる。具体的には、車両の加速度aは、車速をv、時間をtとして、a=dV/dtを用いて算出することができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたような装置では、図9(b)に示したように車速と走行距離の関係を表すデータとして車速情報が管理されているので、上記した数式を用いて加速度aを容易に算出することができないといった問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みたもので、車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報から加速度を推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報を、車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換する車速情報変換手段と、車速情報変換手段により変換された車速と走行時間の関係を表す車速情報から予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出する加速度算出手段と、を備えたことである。
【0008】
このような構成では、車速と走行距離の関係を表す車速情報が車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換され、この変換された車速と走行時間の関係を表す車速情報から予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が算出されるので、車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報から加速度を推定することができる。
【0009】
また、本発明の第2の特徴は、加速度算出手段により算出された予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を、加速度と走行距離の関係を表す加速度情報に変換する加速度情報変換手段を備えたことである。
【0010】
このような構成では、予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が加速度と走行距離の関係を表す加速度情報に変換されるので、各走行地点における加速度を容易に認識することが可能である。
【0011】
また、本発明の第3の特徴は、車速情報変換手段が、記憶手段に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の車速を算出して車速と走行時間の関係を表す車速情報を特定することである。
【0012】
このように、車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の車速を算出して車速と走行時間の関係を表す車速情報を特定することができる。
【0013】
また、本発明の第4の特徴は、車速情報変換手段が、記憶手段に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間が経過する前の車速と一定時間が経過した後の車速を抽出し、この2点の車速を補間することにより一定時間が経過した時点の車速を算出することである。
【0014】
このように、車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間が経過する前の車速と一定時間が経過した後の車速を抽出し、この2点の車速を補間することにより一定時間が経過した時点の車速を算出することができる。
【0015】
また、本発明の第5の特徴は、加速度算出手段が、車速情報変換手段により算出された車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出することである。
【0016】
このように、車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出することができる。
【0017】
また、本発明の第6の特徴は、加速度算出手段が、車速情報変換手段により算出された車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔の2点の車速を抽出し、この2点の車速から一定時間間隔毎の加速度を算出することである。
【0018】
このように、車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔の2点の車速を抽出し、この2点の車速から一定時間間隔毎の加速度を算出することができる。
【0019】
また、本発明の第7の特徴は、加速度情報変換手段は、加速度算出手段によって算出された予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報から一定距離に到達する前の加速度と一定距離に到達した後の加速度を抽出し、この2点の加速度から一定距離に到達した地点の加速度を算出することである。
【0020】
このように、予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報から一定距離に到達する前の加速度と一定距離に到達した後の加速度を抽出し、この2点の加速度から一定距離に到達した地点の加速度を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る加速度情報生成装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を図1に示す。このハイブリッド車両には、エンジン1、発電機2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、タイヤ5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10が搭載されている。また、このハイブリッド車両には、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14およびナビゲーションECU20を有するナビゲーション装置が搭載されている。本実施形態に係る加速度情報生成装置は、このナビゲーション装置により構成されている。
【0022】
ハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。
【0023】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0024】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0025】
また、バッテリ9は、ハイブリッド車両の外部の電源(例えば、家庭用コンセントを介して供給される電源)に接続されることで、その外部電源から電力供給を受け、受けた電力を蓄積する。以下、この種の充電を、プラグイン充電という。
【0026】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0027】
より具体的には、HV制御部10は、以下の(A)、(B)の処理を行う。
(A)ナビゲーションECU20からの指令に基づいてアシスト走行、内燃充電のタイミングを切り替える。
(B)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
【0028】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量を多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。
【0029】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。
【0030】
地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0031】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの向き、長さ等の情報を有している。
【0032】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0033】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14等と信号の授受を行う。
【0034】
具体的には、制御部24は、経路算出処理30、ナビゲーション処理40、学習制御処理100、加速度情報算出処理200、充電計画処理300、走行時処理400等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0035】
経路算出処理30において、制御部24は、図示しない操作装置を用いたユーザによる目的地指定に基づいて、指定された目的地までの最適な経路を、地図データを用いて決定する。
【0036】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理30によって確定した目的地点までの経路(以下、案内経路という;予定経路の一例に相当する)に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、図示しない画像表示装置、スピーカ等を用いて、ドライバに対して行う。
【0037】
学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する走行状況の履歴を、セグメント毎に、耐久記憶媒体23に記憶する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。なお、この処理においては、同じセグメントでも走行方向が違えば異なるセグメントであるとして扱う。
【0038】
制御部24は、この図に示す学習制御処理100を繰り返し実行し、その繰り返しの各回において、まずステップ110で、現在の走行状況の情報を取得する。走行状況とは、走行時の外部環境、および、走行時の車両挙動のうちいずれかまたは両方の情報をいう。走行状況の情報として取得する情報は、例えば、現在走行中のリンクのリンクID、現在走行中のセグメントのセグメントID、現在の車両の向き、現在の車両の速度、当該リンクの道路種別、当該セグメントにおける消費電気量等を含む。
【0039】
ここで、リンクID、セグメントIDは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定することができる。また、車両の向きは方位センサ12から取得できる。また、現在の車両の速度は車速センサ13から取得できる。また、当該道路の道路種別は、地図データから取得する。また、当該リンク内における走行距離は、車速センサの出力を利用して算出してもよい。
【0040】
続いてステップ140では、既存の学習情報の読み出しを行う。具体的には、ステップ110で取得したセグメントIDについての走行状況の履歴情報が、耐久記憶媒体23にあれば、それを読み出す。
【0041】
続いてステップ150では、ステップ140で読み出した当該セグメントの情報と、ステップ110で新たに取得した当該セグメントの走行状況の情報とを組み合わせて最適化する。最適化としては、例えば、読み出した情報と新たに取得した情報の平均を算出する方法を採用してもよい。なお、ステップ140で、当該セグメントについての走行状況の履歴がなかった場合には、ステップ150では、ステップ110で取得したデータそのものを最適化されたデータとする。最適化された走行状況データは、セグメントIDが含まれているので、道路と、その道路における走行状況の情報とが紐付けられたデータである。
【0042】
続いてステップ160では、最適化されたデータを、当該セグメントについての新たな走行状況の履歴、すなわち学習情報として、耐久記憶媒体23に記憶する。ステップ160の後、学習制御処理100の1回分の実行が終了する。
【0043】
このような学習制御処理100を実行することで、セグメントのそれぞれについての走行状況の履歴が耐久記憶媒体23に記憶されることになる。例えば、車速と走行距離の関係を表す車速情報が耐久記憶媒体23に記憶される。
【0044】
また、制御部24は、ステップ160において、自車両がどのような経路を走行したかの情報(以下、経路履歴という)を、自車両が走行する度に、学習情報の一部として耐久記憶媒体23に記憶する。具体的には、車両の走行(例えばエンジン始動からエンジンオフまで)毎に、その走行のあった日時、その走行において通ったリンクの順序、および目的地(すなわちその走行の終点)の情報を、周知のベイジアンネットモデルの学習データとして、耐久記憶媒体23に記憶する。
【0045】
次に、学習制御処理100により耐久記憶媒体23に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報から車両の加速度を算出する加速度情報算出処理200について説明する。
【0046】
図4に、この加速度情報算出処理200のフローチャートを示す。加速度算出区間が特定され、加速度情報算出処理200の開始が指示されると、制御部24は、加速度情報算出処理200を開始する。制御部24は、この加速度情報算出処理200において、車速情報変換処理(210)、加速度算出処理(S240)、加速度情報変換処理(260)の順に各処理を実施して車両の加速度を表す加速度情報を算出する。
【0047】
図5に、車速情報変換処理210のフローチャートを示す。この車速情報変換処理210では、まず、耐久記憶媒体23から車速情報を読み込む(212)。耐久記憶媒体23には、車速と走行距離との関係を表す車速情報が記憶されており、加速度算出区間の車速情報を耐久記憶媒体23から読み込む。
【0048】
次に、初期化処理を行う(214)。具体的には、変数n=0、変数j=0、保持走行時間S=0、保持車速V=0、走行距離Ln−1=0を設定する。
【0049】
次に、ステップ212にて読み込まれた加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ218〜ステップ230の処理を実施したか否かを判定する(216)。本車速情報変換処理210では、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ218〜ステップ230の処理を順次実施するようになっており、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ218〜ステップ230の処理を実施したか否かを判定する。
【0050】
ここで、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ218〜ステップ230の処理を実施してないので、ステップ216の判定はNOとなり、次に、ステップ212にて読み込まれた車速情報の最初のデータから走行時間を算出する(218)。走行時間は、走行距離を車速で除算することにより算出することができる。すなわち、今回読み込まれたデータの走行距離をL、前回読み込まれたデータの走行距離をLn−1、車速をVとすると、走行時間Sは、S=(L−Ln−1)/Vとして算出することができる。ここでは、走行距離Ln−1=0として走行時間S=L/Vを算出する。
【0051】
次に、今回と前回の走行時間差が単位時間(1秒)以上か否かを判定する(220)。具体的には、ステップ218にて算出された走行時間をS、保持走行時間をS、単位時間を1秒として、S−S>1か否かを判定する。ここでは、S=0として、S>1か否かを判定する。
【0052】
ここで、今回と前回の走行時間差が単位時間未満の場合、ステップ230へ進み、変数nの値を1だけ増加させ(230)、ステップ216へ戻る。そして、ステップ212にて読み込まれた車速情報の2番目のデータに対してステップ213、218の処理を行う。
【0053】
このような処理を繰り返し、今回と前回の走行時間差が単位時間以上になると、ステップ220の判定はYESとなり、次に、展開車速Vを算出する(222)。この展開車速Vは、加速度算出区間の始点を基準として1秒後、2秒後、3秒後、…、といった単位時間が経過する各時点の車速である。この展開車速Vは、車速情報から単位時間(1秒)が経過する前の車速(保持車速Vに相当する)と一定時間が経過した後の車速(車速Vに相当する)を抽出し、この2点の車速を補間して単位時間(1秒)が経過した時点の車速を算出することにより求めることができる。具体的には、展開車速Vは、車速をV、保持車速をV、走行時間をS、保持走行時間をS、単位時間をT=1秒とすると、V=(V−V)/(S−S)×1+Vとして算出することができる。
【0054】
次に、保持走行時間Sをステップ218にて算出された走行時間Sに置き換える(224)、保持車速Vをステップ222にて算出された展開車速Vに置き換える(226)。
【0055】
次に、変数jの値を1だけ増加させ(228)、ステップ230にて変数nの値を1だけ増加させた後、ステップ216へ戻る。
【0056】
上記した処理を繰り返すことにより、加速度算出区間の始点を基準として1秒後、2秒後、3秒後、…、といった単位時間が経過する各時点の展開車速Vが順次算出される。このようにして、車速と走行距離の関係を表す車速情報が車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換される。なお、この車速と走行距離の関係を表す車速情報は、RAM21に記憶される。
【0057】
そして、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ218〜ステップ230の処理を実施し終えると、ステップ216の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0058】
図4の説明に戻り、上記した車速情報変換処理210により、車速と走行距離の関係を表す車速情報が車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換されると、次に、加速度算出処理240を実施する。
【0059】
図6に、加速度算出処理240のフローチャートを示す。この加速度算出処理240では、まず、RAM21に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報を読み込む(242)。
【0060】
次に、初期化処理を行う(244)。具体的には、変数n=0、変数j=0、展開車速Vj−1=0を設定する。
【0061】
次に、ステップ242にて読み込まれた加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ248、250の処理を実施したか否かを判定する(246)。本加速度算出処理240では、ステップ242にて読み込まれた加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ248、250の処理を順次実施するようになっており、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ248、250の処理を順次実施したか否かを判定する。
【0062】
ここで、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ248、250の処理を実施してないので、ステップ246の判定はNOとなり、次に、ステップ242にて読み込まれた車速情報の最初のデータから加速度を算出する(248)。加速度Aは、今回読み込まれたデータの展開車速をV、前回読み込まれたデータの展開車速をVn−1、単位時間T=1秒すると、A=(V−Vn−1)/1として算出することができる。
【0063】
次に、変数nの値を1だけ増加させ(250)、ステップ246に戻る。そして、ステップ242にて読み込まれた車速情報の2番目のデータに対してステップ248、250の処理を行う。
【0064】
上記した処理を繰り返すことにより、加速度算出区間の始点を基準として1秒後、2秒後、3秒後、…、といった単位時間が経過する各時点の加速度Aが順次算出される。このようにして、車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が算出される。なお、この加速度情報は、RAM21に記憶される。
【0065】
そして、加速度算出区間における全ての車速情報に対してステップ248、250の処理を実施し終えると、ステップ246の判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0066】
図4の説明に戻り、上記した加速度算出処理240により、一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が算出されると、次に、この加速度情報を加速度と走行時間の関係を表す加速度情報に変換する加速度情報変換処理260を実施する。
【0067】
図7に、加速度情報変換処理260のフローチャートを示す。この加速度情報変換処理260では、まず、RAM21から加速度情報を読み込む(262)。
【0068】
次に、初期化処理を行う(264)。具体的には、変数n=0、変数j=0、保持走行距離L=0、保持車速V=0、保持加速度A=0を設定する。
【0069】
次に、ステップ262にて読み込まれた全ての加速度情報に対してステップ268〜290の処理を実施したか否かを判定する(266)。
【0070】
ここでは、全ての加速度情報に対してステップ268〜290の処理を実施していないので、ステップ266の判定はNOとなり、次に、走行距離を算出する。走行距離は、車速を単位時間で除算することにより算出することができる。すなわち、読み込まれた車速をV、単位時間T=1秒とすると、走行距離Lは、L=V/1=Vとして算出することができる。
【0071】
次に、今回と前回の差分距離が単位距離(1メートル)よりも大きいか否かを判定する(270)。差分距離は、今回の走行距離をL、前回の走行距離をLn−1、単位距離をT=1メートルとすると、差分距離は(L−Ln−1)として表される。ここでは、(L−Ln−1)>1か否かを判定する。
【0072】
ここで、差分距離が単位距離(1メートル)以下の場合、ステップ270の判定はNOとなり、次に、変数nの値を1だけ増加させ(272)、ステップ266へ戻る。そして、ステップ262にて読み込まれた加速度情報の2番目のデータに対してステップ268〜270の処理を行う。
【0073】
このような処理を繰り返し実施し、差分距離が単位距離(1メートル)よりも大きくなると、ステップ270の判定はYESとなり、次に、単位距離(1メートル)経過時の時間Sを算出する(274)。加速度をA、単位時間をT=1とすると、単位距離(1メートル)経過時の時間Sは、S=1/(A×1)として算出することができる。
【0074】
次に、差分速度と差分加速度を算出する(276)。今回の車速をV、保持車速をVとすると、差分速度はV−Vとして算出することができる。また、今回の加速度をA、保持加速度をAとすると、差分加速度はA−Aとして算出することができる。
【0075】
次に、差分距離が単位距離(1メートル)よりも大きいか否かを判定する(278)。
【0076】
差分距離が単位距離以下の場合、ステップ278の判定はNOとなり、S272へ進む。また、差分距離が単位距離よりも大きい場合、ステップ278の判定はYESとなり、次に、展開車速を算出する(280)。展開車速Vは、差分速度(V−V)、単位時間T=1、1メートル経過時の時間をS、保持車速をVとすると、V=(V−V)/1×S+Vとして算出することができる。
【0077】
次に、展開加速度を算出する(282)。展開加速度Aは、差分加速度(A−A)、単位時間T=1、1メートル経過時の時間をS、保持加速度をAとすると、A=(A−A)/1×S+Aとして算出することができる。
【0078】
次に、保持走行距離Lに、保持走行距離に単位距離を加算した値を代入する(284)。
【0079】
次に、保持車速Vをステップ280にて算出された展開車速Vに置き換え、保持加速度Aをステップ282にて算出された展開加速度Aに置き換える(286)。
【0080】
次に、変数jの値を1だけ増加させ(288)、差分距離(L−Ln−1)を、差分距離−1に置き換え(290)、ステップ278へ戻る。
【0081】
上記した処理を繰り返すことにより、加速度算出区間の始点を基準として1メートル、2メートル、3メートル、…、といった単位距離に到達する各地点の加速度Aが順次算出される。なお、この加速度情報は、RAM21に記憶される。
【0082】
そして、加速度算出区間における全ての加速度情報に対してステップ268〜290の処理を実施し終えると、ステップ266の判定はYESとなり、本処理を終了する。なお、このようにして算出された加速度情報は、学習情報として耐久記憶媒体23に記憶される。
【0083】
図8に、図4に示された加速度情報算出処理200により算出される車速情報および加速度情報の算出例を示す。(a)は、耐久記憶媒体23に記憶された車速と走行距離の関係を表す車速情報を表している。この車速情報は、車速情報変換処理210により(b)に示すような車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換される。更に、加速度算出処理240により、この車速と走行時間の関係を表す車速情報から(c)に示すような一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が算出される。更に、加速度情報変換処理260により、この加速度情報は(d)に示すような加速度と走行時間の関係を表す加速度情報に変換される。なお、図8(c)、(d)には、比較のため車速情報が重ねて表示されている。
【0084】
このように、図4に示された加速度情報算出処理200により、図8(a)に示したような車速と走行距離の関係を表す車速情報から図8(c)に示したような加速度を表す加速度情報が算出され、図8(d)に示したような各地点の加速度を表す加速度情報が算出される。
【0085】
図2の説明に戻り、充電計画処理300では、計画区間内の充電計画として、当該区間内の車両の走行方法の予定とともにSOC管理計画を作成する。具体的には、まず、計画区間内の各セグメントにおいて、当該セグメントを走行した場合にどれだけの量のエネルギーが必要かを、計画区間内の学習情報から算出し、学習情報と取得した基準SOCの情報に基づいて、目的地までの各セグメント毎に、最適な走行方法を決定するとともに学習情報に基づいてSOC管理計画を作成する。
【0086】
制御部24は、目的地点および目的地点までの案内経路が決定しており、かつ、当該予定経路について充電計画処理300が実行されており、かつ、ハイブリッド車両が走行しているときに、走行時処理400を実行する。
【0087】
この走行時処理400において、制御部24は、現在位置に対応する目標SOCを現在のSOC管理計画から読み出してHV制御部10に送信する。この目標SOCを受けることで、HV制御部10は、計画区間において、充電計画による走行方法から導かれたSOC管理計画に沿うように車両の走行方法を制御する。その結果、HV制御部10は、充電計画の通りに車両の走行方法を制御することができ、燃費の低減を実現することができる。
【0088】
上記した構成によれば、車速と走行距離の関係を表す車速情報が車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換され、この変換された車速と走行時間の関係を表す車速情報から予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が算出されるので、車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報から加速度を推定することができる。
【0089】
また、予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報が加速度と走行距離の関係を表す加速度情報に変換されるので、各走行地点における加速度を容易に認識することが可能である。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、ナビゲーション装置により加速度情報生成装置を構成した例を示したが、ナビゲーション装置を用いることなく、加速度情報生成装置を構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、車速情報変換処理210において、車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の車速を算出して前記車速と走行時間の関係を表す車速情報を特定する例を示したが、例えば、時間間隔を変化させて車速を算出してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、加速度算出処理240において、車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出する例を示したが、例えば、時間間隔を変化させて加速度を表す加速度情報を算出してもよい。
【0094】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、耐久記憶媒体23が記憶手段に相当し、車速情報変換処理210が車速情報変換手段に相当し、加速度算出処理240が加速度算出手段に相当し、加速度情報変換処理260が加速度情報変換手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係る加速度情報生成装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を示す図である。
【図2】ナビゲーションECUの構成を示す図である。
【図3】学習制御処理のフローチャートである。
【図4】加速度情報算出処理のフローチャートである。
【図5】車速情報変換処理のフローチャートである。
【図6】加速度算出処理のフローチャートである。
【図7】加速度情報変換処理のフローチャートである。
【図8】加速度情報算出処理により算出される車速情報および加速度情報の算出例を示す図である。
【図9】課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0096】
1…エンジン、2…発電機、3…モータ、4…差動装置、5a、5b…タイヤ、
6、8…インバータ、7…DCリンク、9…バッテリ、10…HV制御部、
11…GPSセンサ、12…方位センサ、13…車速センサ、14…地図DB記憶部、
20…ナビゲーションECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に伴って検出した車速と走行距離の関係を表す車速情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記車速と走行距離の関係を表す車速情報を、車速と走行時間の関係を表す車速情報に変換する車速情報変換手段と、
前記車速情報変換手段により変換された前記車速と走行時間の関係を表す車速情報から予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出する加速度算出手段と、を備えたことを特徴とする加速度情報生成装置。
【請求項2】
前記加速度算出手段により算出された前記予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を、加速度と走行距離の関係を表す加速度情報に変換する加速度情報変換手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加速度情報生成装置。
【請求項3】
前記車速情報変換手段は、前記記憶手段に記憶された前記車速と走行距離の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の車速を算出して前記車速と走行時間の関係を表す車速情報を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の加速度情報生成装置。
【請求項4】
前記車速情報変換手段は、前記記憶手段に記憶された前記車速と走行距離の関係を表す車速情報から前記一定時間が経過する前の車速と前記一定時間が経過した後の車速を抽出し、この2点の車速を補間することにより前記一定時間が経過した時点の車速を算出することを特徴とする請求項3に記載の加速度情報生成装置。
【請求項5】
前記加速度算出手段は、前記車速情報変換手段により算出された前記車速と走行時間の関係を表す車速情報から一定時間間隔毎の加速度を表す加速度情報を算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の加速度情報生成装置。
【請求項6】
前記加速度算出手段は、前記車速情報変換手段により算出された前記車速と走行時間の関係を表す車速情報から前記一定時間間隔の2点の車速を抽出し、この2点の車速から前記一定時間間隔毎の加速度を算出することを特徴とする請求項5に記載の加速度情報生成装置。
【請求項7】
前記加速度情報変換手段は、前記加速度算出手段によって算出された前記予め定められた時間間隔毎の加速度を表す加速度情報から一定距離に到達する前の加速度と前記一定距離に到達した後の加速度を抽出し、この2点の加速度から一定距離に到達した地点の加速度を算出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の加速度情報生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−85827(P2009−85827A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257563(P2007−257563)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】