動力式カッター
動力式カッターは、ハウジング(2)と、ハウジング内に搭載されている2ストローク内燃機関(エンジン)(24)と、エンジンが作動しているときに、エンジンを加速できるスロットルスイッチと、ハウジング上に搭載されている支持アーム(7)であって、ハウジングの前方に突出している支持アーム(7)と、支持アームの端部上に回転可能に搭載されているブレード搭載機構(70、90、86、92)であって、エンジンが作動しているときに、エンジン(24)により回転駆動されることが可能なブレード搭載機構(70、90、86、92)と、エンジンに対して、空気を含むガソリンを提供するキャブレタ(126)であって、少なくとも2つの動作モードで作動することが可能で、エンジンが冷えているときは第1モードで、エンジンが暖かいときは第2モードで作動することが可能なキャブレタ(126)と、キャブレタに対して空気を提供する空気取入れ部(314)と、キャブレタに対して、空気取入れ部から吸引した空気をフィルタ処理する空気フィルタ処理機構(316)と、ガソリンをキャブレタに提供するガソリンタンク(124)と、エンジンの動作により生成される排気ガスを、エンジンから排出する排気部(146)と、エンジンの動作を制御する電子コントローラと、動力式カッターの電気部品に電力を供給する電源と、を備える。エンジン上に搭載される温度センサが設けられ、温度センサは、エンジンの温度の関数である信号を前記エンジンコントローラに提供し、キャブレタは、キャブレタを、2つの動作モード間で切り替える電気制御コールドスタート機構を備え、電子コントローラが、エンジンが冷えていると判断したときには、電子コントローラは電気信号を、電気制御コールドスタート機構に提供して、キャブレタの前記動作モードを第1モードに変更させることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力式(パワー)カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な動力式(パワー)カッターは、2ストローク内燃機関(エンジン)が搭載されているハウジングを備えている。ハウジングの側面には、ハウジングの前方に延伸している支持アームが取り付けられている。支持アームの端部には、通常は研削ディスクの形状の切削ブレードが回転可能に搭載されている。モーターは、駆動ベルトを介して、駆動可能に切削ブレードに接続されている。エンジンの回転出力は、駆動ベルトを介して切削ブレードを回転駆動する。駆動ベルトは、遠心クラッチを介して駆動され、それにより、エンジンの出力駆動スピンドルを、エンジンが低速作動のときはベルトとの係合から切り離すことが可能となり、エンジンの作動を継続させ、同時に、切削ブレードと係合しているすべての駆動も切り離して、ブレードを静止状態にすることができる。
【0003】
ハウジングには、ガソリンタンクも搭載されており、ガソリンタンクから、キャブレタを介してエンジンにガソリンが提供される。オイルタンクもまた設けることができ、ガソリンと混合して、エンジンを潤滑する潤滑オイルを供給する。
【0004】
ハウジングの後部には、動力式カッターを支持するための後部ハンドルが搭載されており、後部ハンドルは、押下されるとエンジンを加速するトリガースイッチを含んでいる。トリガースイッチを押下すると、空気を含むオイルとガソリンの混合物が、より大量にエンジンに注入され、それにより、エンジン速度が加速される。
【0005】
英国特許第2232913号と、WO2005/056225は、そのような動力式カッターの例を示している。
【0006】
すべての2ストロークエンジンについての既知の問題は、クランクシャフト114(図19に示されている参照番号を使用している)とピストン1000の潤滑である。これは、オイルとガソリンの混合物がまず、点火される前に、ピストン16上方のチャンバ122の中へ強制的に送り込まれる前に、ピストン1000に下方のシリンダ120の中のチャンバ18を通過するという事実のためである。これにより、ピストン1000の裏面上のクランクシャフト114の周りにポンプで汲み上げられている潤滑オイルの使用が妨げられてしまう。従って、2ストロークエンジンの既存の設計においては、空気を含むガソリンと潤滑オイルの混合物は、エンジン内で燃焼され、クランクシャフト114とピストン1000を潤滑するためのオイルが、燃焼サイクルの間にガソリンと共に燃焼される前に燃焼されてしまう。2ストロークエンジンを使用するときに共通の問題は、オペレータがオイルをガソリンに追加するのを忘れたり、一貫性のない方法で追加したりして、エンジンに損傷を与えることである。これは、動力式カッターの場合が特にそうであり、それは動力式カッターがしばしばオペレータに貸与されるからである。そのため、オペレータはその動力式カッターの使用に慣れておらず、オペレータが長く所有することもなく、オペレータはその動力式カッターを前に誰が使用したかも知らず、また、前のオペレータがどのように使用したかも知らず、そしてオペレータがその動力式カッターを所有しているわけではないので、動力式カッターに対して長期のメンテナンスを考慮する理由があまりないのである。従って、動力式カッターの2ストロークエンジンへの損傷を防止または制限するための機構を設けて、空気を含むガソリンがエンジン内に送られる前に、十分な潤滑オイルが含まれることを確実にすることが望ましい。
【0007】
潤滑オイルをガソリンタンクの中のガソリンに直接追加することができる。しかし、これはオペレータが、ガソリンに対する潤滑オイルの正確な混合比を確実に達成することにかかっている。これは、ガソリンタンクの中に既にどのくらいの量のガソリンが入っているのか、およびどのくらいの量の潤滑オイルが既に加えられているのかを判断することが難しいために、困難である場合がある。従って、潤滑オイルで満たされている別のオイルタンクを用意し、潤滑オイルがタンクから汲み上げられてガソリンと混合するようにすることが好ましい。これにより、ガソリンに加えられるオイルの量をより正確に制御することが可能になる。
【0008】
動力式カッターの2ストロークエンジンは、エンジンに動力を与える、空気を含むガソリンを提供するためのキャブレタを使用する。そのようなキャブレタの典型的なデザインが図31に示されている。図31を参照すると、キャブレタは、ハウジング1002を備え、ハウジング1002通して空気通路1004が形成され、空気通路1004を通して、空気は矢印Qの方向に通過できる。空気通路1004は、その入口と出口において、同じ断面積を有している。しかし、空気通路1004の途中の一部には、狭窄部1006が形成されており、狭窄部1006は、空気通路の断面積を縮小し、ベンチュリ(一部の径が縮小している管)として作用する。つまり、空気通路1004は、空気がそこを通過するときに、最初は狭くなり、その後膨張する。これにより、空気の流量が、空気通路1004の狭部1008を通過するときに増大する。
【0009】
ガソリンは、入口1010を介してキャブレタ内に送られ、第1チャンバ1012に充填される。第1チャンバ1012は、ガソリン通路1016を介して第2チャンバ1014に接続されている。ガソリンは、ガソリン通路1016を介して第2チャンバ1014に充填される。
【0010】
尖った先端と、細長い本体を有する調整可能ニードル弁1020が、ガソリン通路1016に搭載されており、ガソリン通路1016内で軸方向にスライド可能である。ガソリン通路1016は、狭部1018を備えている。調整可能ニードル弁1020の先端は、狭部1018に向けて突起しており、調整可能ニードル弁1020が狭部1018に向けて移動されるときに狭部1018を遮蔽することができ、また調整可能ニードル弁1020が狭部1018から遠ざかるように移動されるときに、狭部1018を開くことができる。
【0011】
先端から離れている、調整可能ニードル弁1020の後端は、第2チャンバ1014の中へ突起している。調整可能ニードル弁1020の後端には、ピボットポイント1026を介して第2レバー1024に接続する第1レバー1022が取り付けられている。第2チャンバ1014の壁の1つは、第2チャンバ1014の体積を調整するように動くことができるダイヤフラム1032である。空洞チャンバ1034が、ダイヤフラム1032の他方の側に形成されている。第2レバー1024の端部は、ダイヤフラム1032に接続している。第2レバー1024はまた、バネ1030を介して、第2チャンバ1014の堅固な壁1028にも接続している。バネ1030は、第2レバーを所定の位置に付勢し、それにより第1レバー1022を所定の角度位置に付勢する。ダイヤフラム1032の屈曲により、バネ1030の付勢力に対抗する、第1および第2レバーの回転運動が引き起こされる。第1レバー1022の運動は、調整可能ニードル弁1020の軸方向のスライド運動を引き起こし、調整可能ニードル弁1020のその先端を、狭部1018へ向けて、またはそこから遠ざかるように移動する。
【0012】
第1通路1036は、高速ニードル弁1038を介して第2チャンバ1014に接続している。第1通路1036の他端は、空気通路1004の狭部1008に接続している。第2通路1040は、アイドルニードル弁1042を介して第2チャンバ1014に接続している。第2通路1040の他端は、3つの小ベント1044を介して、狭部1008の下流の空気通路1004と接続している。高速ニードル弁1038は予め設定されており、第1通路1036を通るガソリン流量を制限する。アイドルニードル弁1042は予め設定されており、第2通路1040を通るガソリンの流量を制限する。
【0013】
空気経路1004の中で、狭部1008の前方には、キャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046が位置している。プレート1046は、最大量の空気が通路1004に入り込むことを可能にする、空気通路1004の方向に延伸する開位置(図示のように)と、空気通路1004を横切って延伸し、空気通路1004に入り込むことができる空気量を実質的に減少する閉位置の間で回転できる。
【0014】
空気通路1004の中であって、狭部1008の下流には、キャブレタに対するスロットルとして作用する第2回転プレート1048が位置している。プレート1048は、最大量の空気が通路1004から出ることを可能にする、空気通路1004の方向に延伸する開位置と、空気通路1004を横切って延伸し、空気通路1004から出ることができる空気量を実質的に減少する閉位置の間で回転できる。プレート1048は、その開位置と閉位置の中間において示されている。
【0015】
キャブレタが通常の使用状態のときは、第1回転プレート1046はその開状態にある。空気は、空気通路を通して吸引され、狭部1008を通過することで速度を上げる。狭部1008を通過する空気の移動により、ガソリンは第1通路1036から空気の流れの中に取り込まれ、空気通路1004を通過する。空気の量、従って、第1通路1036から取り出されるガソリンの量は、第2回転プレート1048の角度位置に依存する。第2回転プレート1048が開位置のときは、最大量の空気が空気通路を通過することができ、第1通路1036から最大量のガソリンを取り出す。第2開連プレート1048が閉位置のときは、最小量の空気が空気通路を通過することができ、第1通路1036から最少量のガソリンを取り出す。第2回転プレート1048が閉位置のときに、十分な量のガソリンが空気通路1004の空気の流れに入り込むことを確実にするために、第2通路1040もまたガソリンを空気の流れに提供する。しかし、第2通路1040の出口は、第2回転プレート1048の下流の空気通路に接続しており、空気の流れに常に十分な量の燃料が入り込むことを確実にしている。
【0016】
ガソリンが2つの通路1036と1040から取り出されると、第2チャンバ1014におけるガソリンの量は減少する。ガソリンの量が減少すると、ダイヤフラム1032が屈曲し、ガソリンの損失を収容するために、第2チャンバ1014の体積を減少する。ダイヤフラム1032が屈曲すると、第1および第2回転レバー1024と1022を、バネ1030の付勢力に対抗して移動し、それにより、調整可能ニードル弁1020を軸方向にスライドさせ、その先端を狭部1018から遠ざけるように移動して開き、ガソリンが第1チャンバ1012から第2チャンバ1014内に流れることを可能にする。第2チャンバ1014が満杯になると、ダイヤフラム1032が屈曲して、追加のガソリンを収容するようになり、レバーを回転して、調整可能ニードル弁1020の先端を狭部1018に向けて移動し、ガソリン通路を流れるガソリン量を減少する。ダイヤフラム1032の運動は、狭部1018に対する調整可能ニードル弁1020の先端の移動を確実にし、第2チャンバ1014内のガソリン量を制限するように制御される。
【0017】
エンジンが冷えているときは、第1回転プレート1046は閉位置に置かれる。これにより、空気通路1004に入り込む空気の量を減少し、従って、空気通路に、空気に対するより高い比のガソリンを提供し、冷えたエンジンを作動することが可能になる。
【0018】
第1回転プレート1046の角度位置は、動力式カッターのオペレータによる手動で調整される分離レバーに接続されているボーデン(Bowden)ケーブルを使用して設定される。第2回転プレート1048の角度位置は、オペレータにより手動で調整されるハンドル上に搭載されているトリガースイッチ1070に接続されているボーデンケーブルを使用して設定される。
【0019】
動力式カッターにおけるキャブレタの設計に関しての問題は、エンジンが冷えているときには、エンジンのスムーズな動作を確実にするために、オペレータが第1回転プレートの角度位置を常時調整しなければならないということである。これは、オペレータもまた動力式カッターを使用しようと努めている場合は特に難しい。
【発明の概要】
【0020】
従って、動力式カッターであって、
ハウジングと、
該ハウジング内に搭載されている2ストローク内燃機関(エンジン)と、
該エンジンが作動しているときに、該エンジンを加速できるスロットルスイッチと、
該ハウジング上に搭載されている支持アームであって、該ハウジングの前方に突出している支持アームと、
該支持アームの端部上に回転可能に搭載されているブレード搭載機構であって、該エンジンが作動しているときに、該エンジンにより回転駆動されることが可能なブレード搭載機構と、
該エンジンに対して、空気を含むガソリンを提供するキャブレタであって、少なくとも2つの動作モードで作動することが可能で、該エンジンが冷えているときは第1モードで、該エンジンが暖かいときは第2モードで作動することが可能なキャブレタと、
該キャブレタに対して空気を提供する空気取入れ部と、
該キャブレタに対して、該空気取入れ部から吸引した該空気をフィルタ処理する空気フィルタ処理機構と、
ガソリンを該キャブレタに提供するガソリンタンクと、
該エンジンの該動作により生成される排気ガスを、該エンジンから排出する排気部と、
該エンジンの該動作を制御する電子コントローラと、
該動力式カッターの電気部品に電力を供給する電源と、を備え、
該エンジン上に搭載される温度センサが設けられ、該温度センサは、該エンジンの温度の関数である信号を該エンジンコントローラに提供し、
該キャブレタは、該キャブレタを、2つの動作モード間で切り替える電気制御コールドスタート機構を備え
該電子コントローラが、該エンジンが冷えていると判断したときには、該電子コントローラは電気信号を、該電気制御コールドスタート機構に提供して、該キャブレタの該動作モードを第1モードに変更させる、動力式カッターが提供される。
【0021】
第1動作モードにおいては、キャブレタは、混合物中のガソリンの量が少ない、キャブレタが第2動作モードの場合よりも、ガソリンの量がより多い、空気を含むガソリンをエンジンに提供する。ガソリンの量がより多い混合物は、エンジンが冷えているときの動作を可能にする。いったんエンジンが暖まれば、キャブレタは、第2動作モードでの作動に切り替わることができる。エンジンが暖かいまたは冷えているとみなされる温度は、エンジンの設計に依存して異なる。電子コントローラは、温度センサにより提供された信号を所定のパラメータと比較して、エンジンを暖かいまたは冷えているとみなすべきであるのかを判断する。
【0022】
この判断に基づいて、電子コントローラはキャブレタの動作モードを選択する。
【0023】
電源は、少なくとも電子コントローラと、温度センサ(直接または電子コントローラを介して)と、電気制御コールドスタート機構(直接または電子コントローラを介して)とに電力を供給する。
【0024】
電気制御コールドスタート機構は、キャブレタをその第1動作モードに維持できる。
【0025】
電子コントローラは、連続電気信号を電気制御コールドスタート機構に提供して、キャブレタの動作モードを第1モードに維持できる。代替的に、または追加的に、電源からの電力は、キャブレタが第1動作モードのときに、電気制御コールドスタート機構に連続的に供給することができる。いずれの場合も、電気制御コールドスタート機構は、連続信号または電力の連続供給が停止したときは、キャブレタの動作モードを、第1動作モードから第2動作モードへ変更できる。
【0026】
キャブレタのある設計においては、いったん信号が送られると、キャブレタは、電子コントローラから要求される更なる電気信号なしで、第1動作モードに維持される。そのような設計においては、コールドスタート機構が、キャブレタの動作モードを第2モードに変更するためには、第2電気信号が、電子コントローラにより供給される必要がある。従って、そのような設計においては、電子コントローラは電気信号を電気制御コールドスタート機構に提供して、キャブレタの動作モードを第2モードに変更させる。
【0027】
理想的には、キャブレタが第2動作モードのときは、電力は電気制御コールドスタート機構に供給されない。
【0028】
キャブレタが通常条件下で作動しているときは、エンジンは暖かいので、第2動作モードで作動している。動力式カッターは、ほとんどの時間、キャブレタが第2動作モードのときに作動している。電力は電源から直接、または電子コントローラを介して、信号の一部として電気制御コールドスタート機構に供給されて、キャブレタを第2動作モードに変更するが、いったんキャブレタが第2動作モードになれば、電気制御コールドスタート機構に電力を供給しないで、電力が使用されている間、電源から取り出される電力量を最小にすることが望ましい。
【0029】
好ましくは、電気制御コールドスタート機構は、電子コントローラから信号を受信すると起動されるソレノイドを備える。
【0030】
ソレノイドは、キャブレタ内の多数の装置を起動または停止するために使用できる。例えば、ソレノイドは、図32を参照して記述したキャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046を制御するために使用できる。しかし、ソレノイドは、・・・のとき最も有効である。
【0031】
ソレノイドを、キャブレタ内の通路を開閉するために利用して、それらの通路を通過する空気および/またはガソリンの流量を制御して、キャブレタの動作モードを変更することができる。
【0032】
電子コントローラは、ソレノイドに連続電気信号を提供でき、それにより、キャブレタが第1動作モードで作動中に、ソレノイドは通路を開状態または閉状態に保つ。更に、電力を連続的にソレノイドに供給でき、それにより、キャブレタがその第1動作モードで作動中に、ソレノイドは通路を開状態または閉状態に保つ。
【0033】
ソレノイドは通路を開閉して、連続信号または電力の連続供給が停止したときは、キャブレタの動作モードを第1動作モードから第2動作モードに変更できる。
【0034】
しかし、キャブレタがその第2動作モードのときは電力がソレノイドに供給されないことが好ましい。
【0035】
代替的に、電気制御コールドスタート機構は加熱要素を備える。
【0036】
2ストロークエンジンが損傷を受けることなく作動するためには、潤滑オイルを、空気を含むガソリンと共にエンジン内に供給する必要がある。これは、オイルを、ガソリンタンク内のガソリンに加えることにより達成でき、ガソリンとオイルの混合物には、キャブレタを通過するときに空気が取り込まれる。しかし、動力式カッターには、潤滑オイル用に別のオイルタンクが設けられるものがある。潤滑オイルはタンクから汲み上げられ、典型的には、キャブレタを通過することにより空気が取り込まれた後にガソリンに加えられる。
【0037】
従って、エンジンに潤滑オイルを提供するためのオイルタンク128と、潤滑オイルをオイルタンクから汲み上げてガソリンと混合するための動力式オイルポンプが設けられ、オイルポンプへの電力は電子コントローラにより制御され、キャブレタがその第1動作モードで作動中は、電子コントローラは、オイルポンプへの電力を切り、電源から取り出される電力量を削減することができる。
【0038】
オイルポンプと、電気制御コールドスタート機構が同時に作動されると、動力式カッターは、より多くの電力を生成することを要求される。動力式カッターにおける電力の生成は、より多くの電力を生成することが必要になると、ジェネレータのサイズが増大するために制限される。動力式カッターは、オペレータ地面から持ち上げて支えなければならないので、その重量は問題であり、ジェネレータのサイズを最小化することが望ましく、それにより、利用できる電力量は制限される。エンジンは、エンジンに供給される空気を含むガソリンに潤滑オイルを加えなくても、短時間の間は、実質的な損傷を受けることなく作動可能であることが判明した。この時間は、エンジンを暖めるために必要な時間よりも長く、このため、キャブレタがその第2動作モードで作動することが保証される。
【0039】
電源は、エンジンによる駆動されるジェネレータであってもよい。
【0040】
本発明の多数の実施の形態がここで添付される図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、第1の側からの動力式(パワー)カッターの透視図を示す。
【図2】図2は、第2の側からの動力式カッターの側面図を示す。
【図3】図3は、ベルトドライブと支持アームの水平方向断面の概略図を示す。
【図4】図4は、支持アームの前方部と後方部の概略図を示す。
【図5】図5は、支持アームの前方部と後方部の間の接続部の水平方向断面図の概略図を示す。
【図6】図6は、ベルトテンショナを示す。
【図7】図7は、前方部と、駆動ホイールと、ブレードおよびブレードガードのコンピュータによる図を示す。
【図8】図8は、図7に示されている方向とは反対方向からの、ブレードとブレードガードのコンピュータによる図を示す。
【図9】図9は、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図10】図10は、保持ナットを省略した、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図11】図11は、第1支持ディスクを省略した、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図12】図12は、ブレードガードを有する前方支持体のコンピュータによる図を示す。
【図13】図13は、アダプタが第1位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図14】図14は、アダプタが第2位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図15】図15は、アダプタが第2位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図16】図16は、ブレード支持体の断面図を示す。
【図17】図17は、第1透視方向からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図18】図18は、第2透視方向からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図19】図19は、動力式カッターの本体の垂直方向断面図の概略図を示す。
【図20】図20は、燃料キャップの透視図を示す。
【図21】図21は、第の1側からの燃料キャップの分解図を示す。
【図22】図22は、第2の側からの分解図を示す。
【図23】図23は、エアフィルタを有する動力式カッターの一部の垂直方向断面の概略図を示す。
【図24】図24は、フィルタのコンピュータにより生成された図を示す。
【図25】図25は、フィルタの洗浄動作の概略図を示す。
【図26】図26は、フィルタの洗浄動作の概略図を示す。
【図27】図27は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図28】図28は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図29】図29は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図30】図30は、エアフィルタ処理システムの第2実施の形態を示す。
【図31】図31は、キャブレタの従来技術の設計を示す。
【図32】図32は、容量センサユニットの設計を示す。
【図33】図33は、動力式カッターのエンジンの模式図を示す。
【図34】図34は、エンジン用の制御システムの概略図を示す。
【図35】図35は、オイルポンプの設計図を示す。
【図36】図36は、プライマーの概略図を示す。
【図37】図37は、回転可能オン/オフスイッチを示す。
【図38】図38は、スイッチの分解図を示す。
【図39A】図39Aは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39B】図39Bは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39C】図39Cは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39D】図39Dは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39E】図39Eは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図40】図40は、スイッチの断面図を示す。
【図41】図41は、ノブの裏面を示す。
【図42】図42は、ノブと、ボルトおよびバネを示す。
【図43】図43は、スイッチの後方図を示す。
【図44】図44は、スイッチの後方図を示す。
【図45A】図45Aは、低速度で作動している電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図45B】図45Bは、高速度で作動している電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46A】図46Aは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46B】図46Bは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46C】図46Cは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図47】図47は、ソレノイドを有するキャブレタを示す。
【図48】図48は、加熱要素を有するキャブレタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1と2を参照すると、動力式カッターは、2ストローク内燃機関(エンジン)24を内部に搭載している本体2と、前部ハンドル4と、後部ハンドル6と、支持アーム7と、支持アーム7上に回転可能に搭載され、ラバーベルト26とブレードガード22を介してエンジン24により駆動される切削ブレード10と、を備えている。スターター12は、エンジン24を起動するために設けられている。プラスチックカバー19は、図2に示されているように、支持アーム7の外側を覆っている。
【0043】
図3を参照すると、支持アーム7は2つの部、つまり、前方部8と後方部20を備えている。後方部20は鋳鉄から製造されており、ボルト(図示せず)を使用して、後部ハウジング32の側面に堅固に取り付けられている。前方部8は鋳鉄から製造されており、後方部20上にスライド可能に搭載されている。前方部は、矢印Aの方向にスライド可能である。前方部8を後方部20上にスライド可能に搭載する方法は、下記に、より詳細に記述する。
【0044】
エンジン24は、ラバーベルト26用の駆動ホイール30を搭載する出力軸28を有している。出力軸は、遠心クラッチ(図示せず)を介して、よく知られている方法で駆動ホイール30を駆動する。被駆動ホイール32は、支持アームの前方部8の端部上に回転可能に搭載されている。被駆動ホイール32は、下記に記述するように、前方部8上に搭載されている切削ブレード10に接続されている。ベルト26は、後方部20の周囲であって、2つのホイール30、32の間を通過して、エンジンの回転を切削ブレード10に伝達する。前方部8を、後方部20に対してスライド可能にする目的は、下記に記述するように、ベルト26に張力を与えることができるようにするためである。ハブ16は、駆動ホイール30を覆っている。
【0045】
支持アーム7の後方部および前方部間の相互接続は、図3、4、5および6を参照してここで記述する。
【0046】
図3と4を参照すると、後方部20は、後方部20の幅方向に形成されている2つの細長いスロット40を備えている。細長いスロット40はお互いに整列され、同じ長さを有し、支持アームの後方部20に沿ってその長さ方向に延伸している。前方部8を通して、2つの対応する孔46が形成されている。孔46を有する前方部8の部分は、細長いスロット40を有する後方部20の部分に沿って位置しており、それにより、孔46は、対応するスロット40と整列している。ボルト42は、孔46と対応するスロット40それぞれを通過している。ナット44はボルト42上にネジで取り付けられ、後方部および前方部を共に挟み、摩擦を利用してそれらを保持している。スロット40は、ボルト42が、従って、前方部8が、後方部20に対してスライドすることを可能にしている。
【0047】
後方部20を前方部8に対してスライドさせるために、ナット44は緩められて、それにより両者はお互いに対して移動可能となる。そして前方部8は、所望の位置にスライドされ(下記に記述するベルトテンショナを使用して)、その後ナット44は締められて後方部20を前方部8に挟みつけて両者の間の移動を防止する。
【0048】
前方および後方相互接続機構は、図2に示されているように、前方部8が、後方部20のいずれの側にも位置できるように設計されている。通常の動作においては、前方部8は、エンジン24と同様に、後方部20と同じ側に位置している。これは、位置Bとして示されている。この位置においては、切削ブレード10は、動力式カッターの中心軸により近づいて位置している。しかし、切削ブレードを、本体2のエッジに向けて位置させて、壁の近くで切削できるようにすることが望ましいこともある。そのため、前方部8を、後方部20の他方の側に移動して、矢印Dで示されている前方部8の縦軸48の周りを、位置Cまで180度回転することができる。両者の位置において、被駆動ホイール32は同じ位置に位置しており、そのため、ベルト26により駆動できる。
【0049】
ここで、図4、5および6を参照して、ベルトテンショナを記述する。
【0050】
図5と6を参照すると、ベルトテンショナは、図4において分かるように、ボルト42が通過する2つの孔46を有するメタルプレート50を備えている。プレート50の位置は、ボルト42の位置により固定されている。メタルプレート50上には、整列しているアパチャーを形成する2つのフープ(輪)52が形成されている。細長いボルト54の軸は、フープ52を通過している。細長いボルト54は自由に回転可能で、フープ52内で軸方向にスライド可能である。ナット56は、ボルト54上にネジにより搭載されている。バネ58は、ナット56とフープ52のひとつにより挟まれている。バネ58は、ナットの回転を防止する。従って、ボルト54が回転すると、ナット56は、ボルト54の回転方向により決まる方向に、ボルト54の長さに沿って移動する。ナット56の位置は、バネ58により、フープ52に対して固定されている。ストッパ60は、支持アームの後方部20上に一体的に形成されている。
【0051】
ベルト26に張力を与えるために、細長いボルトが回転され、それによりナットはボルト54のヘッド62に向けて移動する。その場所はバネ58により固定されているので、ナットはフープ52に対して静止状態を維持して、ボルト54をフープ52内で軸方向に移動して、ボルト54の端部64をストッパ60に接近させる。ストッパ60が係合されると、端部64、従って、ボルト54はそれ以上移動できず、それによりナットは移動を開始する。ナットの移動により、バネ58は、従って、フープ52は、細長いボルト54のヘッド62に向けて移動する。これにより、プレート50と、2つのボルト42と、前方部8が、ナット56と、2つのスロット40内でスライドしているボルト42と共に移動する。しかし、ベルト26の張力が高まると、前方部8と、従って、ボルト42とプレート50は、それ以上移動することが妨げられる。しかし、細長いボルト54を更に回転すると、ナット56は、その長さ方向に沿って移動を続ける。従って、バネ58は圧縮され、力をフープ上に加え、それによりプレート50は、その力を前方部8に伝達する。これによりベルト26に張力が加えられる。バネ58が更に圧縮されると、より大きな力がベルト26に加えられる。インジケータ66がプレート50に追加されて、バネ58の圧縮量が、ベルト26への適正な大きさの力を加えるのに十分になったかが示される。
【0052】
ここで、前方部8上に搭載されているブレードを記述する。
【0053】
図7を参照すると、被駆動ホイール32が前方部8上に回転可能に搭載されている。被駆動ホイール32は、下記に、より詳細に記述するように、スピンドル70を介して切削ブレード10に駆動接続されている。ブレードガード22は、下記に、より詳細に記述するように、スピンドル70の周りに回転搭載されている。把持部72は、ブレードガード22に堅固に取り付けられており、オペレータは、ブレードガード22を回転するために、把持部72を保持することができる。
【0054】
図12から18は、前方部8が切削ブレード10を回転可能に支持するための機構を示している。
【0055】
図17と18を参照すると、被駆動ホイール32は、フランジ付きナット74を介して、スピンドル70に堅固に取り付けられている。被駆動ホイール32の回転により、スピンドル70が回転する。スピンドル70は、2つのボールベアリングレース76を使用して前方部8内に搭載されており、ボールベアリングレース76のそれぞれは、スピンドル70に堅固に取り付けられている内部トラック78と、前方部8に堅固に接続されている外部トラック80と、2つのトラック78、80の間に挟まれているボールベアリング82の一組であって、外部トラック80を内部トラック78に対して回転可能にする一組のボールベアリング82と、を備えている。
【0056】
スピンドル70の長さの一部に沿って、2つの平坦表面84が形成されている(図16参照)。第2支持ディスク86は、スピンドル70と同じ直径を有する、ほぼ円形である中心孔を備えているが、スピンドル70の平坦表面84に寸法的に対応する2つの平坦側面を有している。第2支持ディスク86は、スピンドル70の端部上に搭載されており、2つの平坦表面84により形成されているスピンドル70上の肩部88に隣接している。平坦表面84は、第2支持ディスクがスピンドル70に回転固定されることを確実にし、それにより、スピンドル70の回転は、第2支持ディスク86の回転という結果になる。
【0057】
アダプタ90(下記に、より詳細に記述する)が、スピンドル70上に搭載されている。アダプタは、スピンドル70の周りを自由に回転可能である。切削ブレード10は、アダプタ90上に搭載されている。
【0058】
第1支持ディスク92は、スピンドル70と同じ直径を有する、ほぼ円形である中心孔を備えているが、スピンドル70の平坦表面84に寸法的に対応する2つの平坦側面を有している。第1支持ディスク92は、スピンドル70の端部上に搭載されており、切削ブレード10に隣接している。平坦表面84は、第1支持ディスク92がスピンドル70に回転固定されることを確実にし、それにより、スピンドル70の回転は、第1支持ディスク86の回転という結果になる。
【0059】
ネジ山付きの孔94が、スピンドル70の端部に形成されている(図10から12参照)。第2フランジ付きナット96が、孔94の中へネジで取り付けられている。ナット96のフランジは、第1支持ディスク92をブレード10に対して押し付け、その結果、第1支持ディスク92がブレード10を第2支持ディスク86に対して押し付ける。ブレード10は、2つの支持ディスク86、92の間に挟まれる。スピンドル70による支持ディスク86、92の回転は、2つのディスク86、92の間に挟まれているブレード10の摩擦接触により、ブレードの回転という結果になる。ブレード10を摩擦により駆動することにより、ブレードが動力式カッターの動作中に係合されると、スピンドル70に対してのブレード10の回転運動が可能となる。
【0060】
ここで、自動ブレード支持調整機構を記述する。
【0061】
異なるサイズの切削ブレードを使用できる。異なるサイズの切削ブレード10は、スピンドル70が通過するその中心において、異なるサイズの孔を有している。本動力式カッターは、2つの異なるサイズの孔を有する切削ブレード10を、その中心を通して適合できるように意図されている。これは、アダプタ90を使用することにより達成される。
【0062】
図17と18を参照すると、アダプタは2つの支持ディスク86、92の間のスピンドル70上に搭載されている。スピンドル70の周りを自由に回転可能であると同時に、アダプタ90はディスク86、92の間のスピンドル70に沿って軸方向にスライド可能である。
【0063】
アダプタ90は、前方部98と後方部100を備えている。前方部98は、第1外径を有しており、後方部100は、より大きな第2外径を有している。この2つの部により、異なる直径の孔を有するブレード10をスピンドル70上に搭載することが可能になる。図14から18において、第1径の中心孔を有するブレード10が、アダプタ90の後方部100上に搭載されていることが分かる。図13において、第2径の中心孔を有するブレード10が、アダプタ90の前方部98上に搭載されていることが分かる。
【0064】
バネ102は、第2支持ディスク86とアダプタ90の内部肩部104の間に挟まれている。バネ102は、アダプタを第1支持ディスク92に向けて付勢する。サークリップ106がスピンドル70の周りに位置しており、アダプタ90の軸方向の移動の最大距離を制限している。アダプタ90がその最大距離までのスライドが可能になり、サークリップ106に隣接すると、後方部100は、支持ディスク86、92の間の中心に位置することになる。
【0065】
アダプタの後方部100と同じ径の中心孔を有するブレード10がアダプタ上に搭載されると、図14から18に示されているように、ブレード10はアダプタの後方部100上に取り付けられることになる。そのため、ブレード10は、2つの支持ディスク86、92の間の中心に位置することになる。しかし、アダプタの前方部98と同じ径の中心孔を有するブレード10がアダプタ上に搭載されると、図13に示されているように、ブレード10は、アダプタの前方部98上に取り付けられることなり、後方部上にスライドすることが妨げられる。ブレード10が、支持ディスク86、92によりスピンドル70上に固定されるためには、ブレード10はこの2つの間の中心に位置していなければならない。第1支持ディスク92がブレードの後にスピンドル70上に搭載されると、第1支持ディスク92はブレード10とアダプタ90を、バネ102の付勢力に対抗して押し、図13に示されているように、アダプタ90を、第2支持ディスク86に向けて移動する。ブレードがスピンドル70にしっかり搭載されると、支持ディスクの間の中心に位置することになる。前方部も同様に中心に搭載される。アダプタにより、2つのタイプのブレードの使用が可能になり、ブレードはそのサイズに従って自動的に移動する。
【0066】
ここで、回転ブレードガード22を記述する。
【0067】
図15を参照すると、ブレードガード22は、2つのラバー108、110の間に挟まれることにより保持されている。ブレードガード22は、スピンドル70の周りを回転可能である。しかし、ブレードガード22は2つのラバー108、110により摩擦で保持されている。ガード22を回転するためには、オペレータは、ガード22とラバー108、110の間の摩擦に打ち勝たなくてはならない。
【0068】
メタルブラケット112が、4つのボルト114を介して、前方部8に取り付けられている。ボルトは、前方部8を自由に通過して、ブラケット112内に形成されているネジ山付きの孔にネジにより係合されている。ヘリカルバネ116が、各ボルト114のヘッド118と前方部8の間に挟まれており、ボルト114が孔からでるように付勢して、ブラケット112を前方部に向けて引っ張る。ブラケットと前方部8の間に挟まれて、第1ラバー108と、ガード22と、第2ラバー110は、ラバー/ガード/ラバーのサンドイッチ構造を形成している。バネ116の強度により、ラバー108、110とガードの間の摩擦力の大きさが決定される。
【0069】
ガードを回転するために、オペレータは、把持部72を保持し、ガードとラバー108、110の間の摩擦力に打ち勝つことにより、ガード22を回転する。
【0070】
ここで、オイルおよびガソリン管理システムの第1設計を図19を参照して記述する。
【0071】
2ストローク内燃機関は、回転可能クランク114に接続されているピストン1000がスライド可能に搭載されているシリンダ120を備える。シリンダ120内のピストン1000の往復運動は、よく知られた方法でクランクシャフト114の回転運動を引き起こす。ピストンの運動は、シリンダ内の空気を含むガソリン/オイルの混合物を燃焼することにより引き起こされ、その燃焼の点火は、スパークプラグ730の点火により引き起こされる。エンジンは、よく知られている方法で燃料を燃焼して、出力軸20に接続されているクランクシャフト114の回転運動を生成する。排気ガスは、エンジン24から排気部146を通して周囲の大気に放出される。エンジン速度は、キャブレタ126がエンジンに提供する空気を含むガソリン/オイルの混合物の量により決定され、その結果、オペレータがトリガースイッチ1070を押す量に関係している。
【0072】
動力式カッターは、ガソリンタンク124を備え、ガソリンタンク124の中には、2ストローク内燃機関24を駆動するためにガソリンが入っている。ガソリンは、タンク124から、断続線により全体を示されている通路144を介して、キャブレタ126を通過し、キャブレタ126で、ガソリンは、シリンダ120に送られる前に空気と混合され、シリンダ120内において燃焼される。空気の供給の詳細については、そのフィルタ処理も含めて、下記に、より詳細に記述する。図示されているように、第2タンク128もまた本体2に搭載されており、第2タンク128には、潤滑オイルが含まれている。オイルは、オイルポンプ130の標準設計を介して、タンク128から汲み出され、オイルポンプ130は、クランクシャフト114からのギヤ装置(図示せず)を介して駆動されるクランクシャフトハウジング上に搭載されている。オイルポンプ130は、断続線により示されているオイル通路142を通してオイルを、ポンプ130を介してオイルタンク128から汲み出し、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132に送り込み、例えば、液体またはスプレーまたは霧状の適切な形状で、オイルを、キャブレタ126により生成された空気/ガソリンの混合物と混合する。オイルは、ガソリンに対して1:50の比で注入される。
【0073】
センサユニット140は、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内、または通路132に隣接するオイル通路142に搭載されているセンサを備える。センサは、通路内のオイル流量のパラメータを測定し、センサユニットに組み込まれている信号プロセッサを使用して、オイルが、通路132内に所定のパラメータに従って正しく汲み出されているかを、オイルが通路132に入るときのオイルの圧力をチェックすることにより、または通路132内のオイルの存在を検出することにより決定する。そのようなパラメータは、オイルが通路132内に汲み出される率(速度)であってもよい。
【0074】
1つのタイプのセンサユニットの構成を、ここで図32を参照して記述する。センサユニットは、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054へ、ワイヤ1056を介して接続されている2つのメタルプレート1050、1052から構成されているセンサを備える。メタルプレートは、キャブレタ126とシリンダ120の間であって、オイル通路142に下流の通路132内に位置している。信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は、信号をプレート1050、1052に送り、2つのプレートの容量を決定する。容量は、空気を含むガソリンと潤滑オイルから構成されている、プレート1050、1052間の物質により決まる。潤滑オイルの量が変化すると、プレートの容量も変化する。この容量は、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054により解析されて、容量が所定の限界を超えていれば、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は信号を電子点火システムに提供する。
【0075】
エンジンは、電子点火システムにより制御される。センサユニット140は、通路132内に汲み出されているオイルの量についての信号を電子点火システムに提供する。オイルタンクが空のために、またはオイルパイプ142内に障害(物)があるために、またはポンプに欠陥があるために不十分な、または過度の、またはまったくオイルが通路に送られないときは、センサユニット140は、信号を点火システムに送る。そして点火システムは、点火システムの設定に従って、エンジンをアイドルモードにするか、エンジンを完全に止めてしまうかのいずれかを行う。これにより、適切な量の潤滑オイルが、2ストロークエンジン内で燃焼される前に、常にガソリンに追加されることが確実になる。
【0076】
センサユニット140は、センサユニット140内に組み込まれている信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054を有するものとして記述されてきたが、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は、電子点火システム内に組み込み、センサユニットはセンサのみを備えるということも可能であることは、この明細者を読む者には理解されるであろう。
【0077】
オイルおよびガソリン管理システムの第2設計を、ここで図を参照して記述する。
【0078】
図33を参照すると、2ストローク内燃機関は、回転可能クランク114に接続されているピストン1000がスライド可能に搭載されているシリンダ120を備える。シリンダ120内のピストン1000の往復運動は、よく知られた方法でクランクシャフト114の回転運動を引き起こす。ピストンの運動は、シリンダ内の空気を含むガソリン/オイルの混合物を燃焼することにより引き起こされ、その燃焼の点火は、スパークプラグ730の点火により引き起こされる。エンジンは、よく知られている方法で混合物を燃焼して、出力軸に接続されているクランクシャフト114の回転運動を生成する。排気ガスは、エンジンから排気部146を通して周囲の大気に放出される。エンジンは、よく知られている方法で、プルコードを使用してスタートさせる。エンジン速度は、キャブレタ126がエンジンに提供する空気を含むガソリン/オイルの混合物の量により決定され、その結果、オペレータがトリガースイッチ1070を押す量に関係している。
【0079】
動力式カッターは、ガソリンタンク124を備えており、ガソリンタンク124には、2ストローク内燃機関24を駆動するためのガソリンが入っている。ガソリンは、タンク124から通路144を介してキャブレタ126を通過し、シリンダ120に送られて、そこで燃焼される前に、キャブレタ126内で、エアフィルタ890からの空気と混合される。第2タンク128もまた図示されているように本体内に搭載され、第2タンク128内には潤滑オイルが含まれている。オイルは、オイルポンプ700を介してタンク128から汲み出される。オイルポンプ700は、線で示されているオイル通路142を通して、ポンプ130を介してオイルをオイルタンク128から汲み出して、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内に送り込み、オイルは、例えば、スプレーまたは霧状の適切な形状で、キャブレタ126により生成された空気/ガソリンの混合物と混合される。
【0080】
センサ140は、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内に搭載されている。センサは、ガソリン/空気の混合物に追加されているオイルの量を監視し、電気ケーブル701を介して、通路132内のオイルの量を示す信号を電子コントローラ716へ送り返す(図34参照)。電子コントローラは、信号を処理して、オイルの量が所定のパラメータに従っているか否かを決定する信号プロセッサを備えている。電子コントローラがオイルが十分な量だけ供給されていないと判断すると、電子コントローラは、エンジンをアイドルモードにするか、またはエンジンを完全に止めてしまう。
【0081】
そのようなセンサは容量タイプであってよく、それによりセンサは2つのプレート間の容量の変化を監視し、ここにおいて、容量はガソリン/空気の混合物内にあるオイルの量の関数である。そのようなセンサは、図32を参照して前述してある。
【0082】
キャブレタ126を、ここで図47を参照して記述する。キャブレタの設計は、図31を参照して前述したキャブレタと類似している。同じ機能がある場合は、同じ参照番号を使用している。
【0083】
図31に開示されたキャブレタと、図47のキャブレタの間の主な相違は、キャブレタに対してチョークとして機能する第1回転プレート1046が除去されていることである。その代わりに第3通路1100が追加されている。第3通路1100は、ソレノイド弁1102を介して第2チャンバ1014に接続されている。第3通路1100の他端は、狭部1008の下流の空気通路1004と接続されている。ソレノイド弁1102は、ソレノイド714とピン1106を備えている。ピンは、ピン1106の先端が、第3通路1100内の狭窄部1108に係合して第3通路1100を閉鎖する第1位置と、先端が、狭窄部1108から離れて位置して、第3通路1100を開く第2位置の間で、軸方向にスライド可能である(矢印M)。ピン1106は、その第1位置に付勢される。電流の供給によるソレノイドの起動により、ピン1106は付勢力に対抗して、第1位置から第2位置へ移動して第3通路1100を開く。電流を除去しソレノイド714の起動を停止することにより、ピン1106は付勢力の影響のもとで、第2位置から第1位置へ移動して第3通路1100を閉じる。
【0084】
通常の動作においては、キャブレタは、図31を参照して記述したキャブレタと同じ方法で機能する。ソレノイド714には電流は供給されず、ピン1106は狭窄部1108と係合して、第3通路1100を閉鎖する。しかし、エンジンが冷えているときは、電流をソレノイド714に供給して、それにより、ピン1106を狭窄部から離れるようにスライドさせて第3通路1100の閉鎖を解除でき、それにより、ガソリンを第3通路1100を通して空気通路1004に入れることができる。これにより空気通路1004から出ていく、空気を含むガソリン内の空気の量に対するガソリンの量を増加することができ、エンジンが冷えているときに、エンジンをスムーズに作動することが可能になる。エンジンがいったん暖かくなれば、ソレノイド714を、ソレノイド714への電流を除去することにより切ることができ、それによりピン1106を狭窄部1108に向けてスライドさせて第3通路を閉鎖し、更なるガソリンが通過することを防止する。
【0085】
第3通路1100に追加して、空洞チャンバ1034と空気通路の間に接続されている第4通路1110がある。この通路は、2つの間に空気通路を提供する。空気通路1004内の空気圧が増加または減少すると、これらの増減は空洞チャンバ1034に伝達される。そしてこれらの増減は、第2チャンバおよび空気通路1004へのガソリンの流量に影響を与えるダイヤフラム1032を介して、第2チャンバ1014へ伝達される。第4通路1110は、キャブレタの性能を改善するフィードバック機構として作用する。
【0086】
ソレノイドは、エンジンが冷えているときに使用されて、より豊富なガソリンが含まれている空気/ガソリンの混合物を提供してエンジンのスタートを支援する。エンジンが暖かくなれば、ソレノイドは切られる。エンジンの温度は、エンジンブロック上に位置しているセンサ710により測定される。ソレノイド714は、キャブレタの既存の設計上のチョークと置き換えて使用され、それにより、エンジンが冷えているときにエンジンをスタートさせるために、オペレータが弁を手動で調整できるようになる。電子コントローラ716は、エンジンの温度に関係してソレノイドを作動する。
【0087】
類似の方法でソレノイドを使用するキャブレタの代替の設計は、米国特許第7,264,230号において見られる。これは、図47を参照して前述した設計と置き換えて使用できる。米国特許第7,264,230号のキャブレタは、ソレノイドを使用して空気ブリード通路を開閉する。空気ブリード通路を通って空気は流れる。
【0088】
第2の代替設計を、ここで図48を参照して記述する。キャブレタ126を、ここで図48を参照して記述する。キャブレタの設計は、図31を参照して前述したキャブレタと類似している。同じ機能が存在するときは、同じ参照番号を使用してある。
【0089】
図31で開示されたキャブレタと、図47のキャブレタの間の主な相違は、キャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046が除去され、加熱要素1200と置き換えられていることである。エンジンが冷えているときは、加熱要素1200のスイッチが入れられ、空気流がキャブレタを通過するときに空気流を加熱する。これにより、加熱された空気を含むガソリンが提供され、容認される作動温度に達するまで、エンジンがスムーズに作動することを可能にする。加熱要素1200は、電子コントローラ716により制御できる。加熱要素1200は、前述したものと置き換えることができる。
【0090】
キャブレタ126の第3代替設計は、図31を参照して前述したキャブレタを使用することである。しかし、チョークとして作用する第1回転プレート1046の運動を、ボーデン(Bowden)ケーブルを手動で使用して制御する代わりに、ソレノイドを使用して制御し、ソレノイドは電子コントローラ716により制御される。
【0091】
エンジン点火システムは電子コントローラ716により制御され、その機能は図34を参照して下記に、より詳細に記述する。
【0092】
クランクシャフト114の端部上には、フライホイール702が搭載されており、フライホイール702は、インペラ(羽根車)を形成する多数のメタルフィン704を含んでいる。フライホイール702が回転すると、インペラは、エンジンの外側の周りに空気を吹き付ける。インペラ702に隣接して、2つのジェネレータ706、708がある。この2つのジェネレータは、磁石と、回転するフライホイール702により引き起こされるインダクタンスの変化を利用して電気を生成する。フライホイール702が回転することにより、ジェネレータ706、708は電気を生成する。第1ジェネレータ706は、エンジンの点火システムと、電子コントローラ716に電気を提供するために使用される。第2ジェネレータ708は、オイルポンプ700と、キャブレタ内のソレノイド714に電気を提供するために使用される。両者は、ケーブル717を介して電子コントローラ716に接続されている。
【0093】
フライホイールに隣接して、2つのセンサ710、712も搭載されている。第1センサ710は、エンジンブロックの温度を監視して、温度を示す信号を電気ケーブル711を介して電子コントローラ716に送る。第2センサ712は、フライホイール702の角度位置を監視して、電気ケーブル713を介して、フライホイール702の角度位置を示す信号を、電子コントローラ716に送り返す。この信号は、電子コントローラ716により、その角度位置と共に、フライホイール702の回転速度を決定するためにも使用できる。
【0094】
オイルポンプ700は、電動オイルポンプ700であり、その電力は、電気ケーブル715を介して、電子コントローラ716により供給される。オイルポンプは図35に示されている。
【0095】
このタイプのオイルポンプは、欧州特許第1236894号に記載されている。図35を参照すると、オイルポンプはピストン850を備えており、ピストン850は、停止機構1204により決定される軸方向の運動の限界範囲で、ハウジング1202内で軸方向にスライド可能である。バネ854は、ピストン850を所定の位置に付勢する。チャンバ852は、ピストン850の下方に位置している。ソレノイド1206はピストンを取り囲み、電流が供給されると、ピストンを軸方向に移動する。ピストン850は、バネ854により矢印Rの方向に付勢される。ソレノイドの起動によりピストンは、バネ854の付勢力に対抗して矢印Rとは反対方向に移動する。通路1208が、ピストン850を通して形成されている。オイルは、入口1210を介して通路内に供給される。ボールベアリング1212とバネ1214を備える第1弁が、通路1208の端部とチャンバ852の間に位置している。ボールベアリング1216とバネ1218を備える第2弁が、チャンバ852のベース間に位置している。ピストンが、バネ854の付勢力により矢印Rの方向に移動しているときにチャンバ852を拡大し、第1弁は開き、第2弁は閉じ、チャンバをオイルで満たす。ピストンが、ソレノイド1206の起動により矢印Rとは反対方向にあるときは、チャンバ852のサイズを縮小して、第1弁は閉じ、第2弁は開き、チャンバ852からオイルを出口1220を通して放出する。
【0096】
オイルポンプ700は、オイルポンプに正方形電圧信号892を送る電子コントローラ716により駆動される(図45A参照)。電圧がV1のとき、ポンプのピストン850は移動させられ、オイルチャンバ852のサイズを縮小する。これにより、予め設定されたオイルの量が、チャンバ852から汲み出される。電圧が「0」のときは、ピストンはバネ854によりその開始位置に戻り、チャンバ852を拡大して、チャンバ852がオイルで満たされるようになる。正方形電圧信号892の周波数が高いほど、オイルポンプ700は単位時間に、より多くのオイルを汲み出す。オイルポンプは、2つの速度(第1速度は図45Aに示され、第2速度は図45Bに示され、正方形電圧信号892の周波数、従って、ピストン850の動きは2倍になっている)で作動可能であり、その全体の動作を下記に、より詳細に記述する。
【0097】
スパークプラグ730は、ケーブル732を介して電子コントローラ716に接続されている。スパークプラグの点火は、電子コントローラ716により制御される。
【0098】
プライマー734は、動力式カッターのハウジング800の後部壁736上に搭載されている。プライマーは手動ポンプである。パイプ738は、ガソリンタンク124からプライマー734に接続されている。第2パイプ740は、プライマーからキャブレタ126に接続されている。プライマーがどのように機能するかの原理を、図36を参照してここで簡単に記述する。プライマーは、直列に位置している2つの弁742、744から構成されており、この弁により、ガソリンがこの弁のみを通して一方方向に流れることが可能になる(矢印AとBにより示されている)。2つの弁742、744の間には、動力式カッターのユーザによりアクセス可能な壁を形成するラバードーム746を有するチャンバ750が位置している。1つの弁742は、ガソリンがチャンバ750に入ることのみを可能にし、他の弁は、ガソリンがチャンバ750から出ることのみを可能にする。プライマーを使用するために、オペレータはラバードーム746を圧縮する(断続線748により示されている)。これにより、弁の間に形成されているチャンバ750内の体積を減少し、従って、ガソリンを含むことができる空間の体積を減少する。このように、第2弁742が閉じたままになっているので、ガソリンはプライマーから1つの弁744を通して放出され、ガソリンが弁742を介してチャンバ750から出ることが防止される。オペレータがドーム746を解放すると、チャンバ750の体積は増加し、ガソリンは、第1弁744が閉じたままになっているので、第2弁742を通してチャンバ750内に吸引され、ガソリンが、弁744を通してチャンバ750に入ることが防止される。ドーム746の圧縮と解放を繰り返すことにより、ガソリンはプライマー734を通して汲み出される。プライマーは、オペレータがガソリンをタンク124からキャブレタ126へ、パイプ738、740を通して汲み出すことができるように配置されている。
【0099】
プライマーの目的は、オペレータがガソリンをキャブレタに送ることができるようにすることである。そうでなければ、オペレータは、十分な量のガソリンがキャブレタ126内に吸引されるまで、何回もプルコードを使用して、エンジンを回転することが必要となる。
【0100】
DECO弁752が、シリンダ120の側面上の搭載されている。弁752は、エンジンをスタートする前に、オペレータにより手動で開かれる。DECO弁752が開かれると、DECO弁752は点火の前に、シリンダ120内の圧力を減少する。これにより、ガソリン/空気の混合物の必要な圧縮量が減少するので、プルコードを使用してエンジンをスタートすることがより容易になる。エンジンがスタートすると、DECO弁は自動的に閉じる。
【0101】
電子コントローラ716は、回転可能ノブ758の形状のオン/オフスイッチ754を有している。このスイッチは、電気ケーブル756を介して電子コントローラに接続されている。
【0102】
ポインタ764としてのノブ758は、その周辺部において一体的に形成されている。回転可能ノブ758は、2つの角度位置を有しており、その間で回転できる。第1位置においては、スイッチはONである。この位置において、ポインタ764はONラベル762(図1参照)を指し示している。第2位置においては、スイッチはOFFである。この位置においては、ポインタ764はOFFラベル760を指し示している。回転可能ノブがON位置のとき、オペレータはエンジンをスタートすることが可能で、動力式カッターを使用できる。回転可能ノブ758がOFF位置のときは、エンジンをスタートすることはできない。エンジンの作動中に回転可能ノブ758がONからOFF位置へ移動されると、エンジンは自動的に止まる。
【0103】
安全ボタン766が、ノブ758の中心に位置している。エンジンが作動しているとき(つまり、ノブがON位置)に安全ボタン766を押すと、エンジンは止まる。そしてノブ758は自動的にOFF位置に戻る。安全ボタンが押された後に、ノブ758がOFF位置に戻るのを妨げられると、エンジンは、ノブ758がOFF位置まで戻ることができるまでは、スタートすることができない。
【0104】
ノブ758と安全ボタン766を含む、ON/OFFスイッチ754用アセンブリの構成をここで記述する。
【0105】
ON/OFFスイッチアセンブリは、回転可能ノブ758と、クランク768と、スイッチカムと、安全ボタン766から構成されている。
【0106】
クランク768は、ハウジング800の後方壁736内に堅固に固定されており、回転できないようになっている。クランク768は、マイクロスイッチ774(図49C参照)が堅固に搭載されているソケット772を備えている。
【0107】
クランク768の外側には、ノブ758が回転可能に搭載されている。クランク768の内側には、スイッチカム770が回転可能に搭載されている。ボルト778が、ノブ758内に形成されている管状凹部776の底部を通過し、スイッチカム770にネジで堅固に取り付けられている。ボルト778のヘッドと、凹部776の底部の間には、バネ780が挟まれている。ボルト778とバネ780は、ノブ758とスイッチカム770をクランク768上に保持し、バネがボルト778のヘッドを、凹部776の底部から遠ざけるように付勢しているとき、それらをお互いに向かうように付勢する。ノブは、クランク768に対して、制限された移動範囲(ONとOFF位置の間)で回転できる。位置の範囲は、ハウジングの後部壁736のエッジに形成されている凹部788と係合しているノブの下側に形成されているペグ786により制限される。スイッチカム770もまた、クランク768に対して、制限された移動範囲で回転できる。追加的に、スイッチカム770はボルト778の縦方向軸に平行な方向において、制限された移動範囲で、クランク768に対して軸方向にスライドでき、その範囲は、凹部776内のボルト778の長さにより制限されている。ボルト778は、スイッチカム770と共に回転およびスライドする。
【0108】
安全ボタン766は、ノブ758内に形成されている管状凹部776内に搭載されており、凹部776内に位置しているボルト778の端部とバネ780を取り囲んでいる(図40参照)。安全ボタン766は凹部776内を、スイッチカム770に向かうように、またはそこから遠ざかるように、軸方向にスライドできる。安全ボタンの軸に沿う外側方向への移動範囲は、ストッパ782により制限されており、ストッパ782はそれぞれノブ758の内部ステップと係合している。ボルト778のヘッドは、安全ボタン766の下側に直接接している。安全ボタンを押すと、ボルト778は、底部を通して押され、バネ780を圧縮し、スイッチカム770をクランク768とノブ758から遠ざけるように移動する。
【0109】
ノブ758とクランク768の間には、長いヘリカルバネ784が接続されている。ヘリカルバネ784は、図41において最もよく分かるようにノブ758の下側に形成されている円形チャネル790内に位置している。一端が、チャネル790の端部において壁792に接している。他端は、クランク772上に形成されているストッパ(図示せず)に接している。バネ784は、クランクに対して、ノブ758を、そのOFF位置へ回転的に付勢する。
【0110】
図43と44において最もよく分かるように、スイッチカム770とクランク768の間には、板バネ794が接続されている。板バネ794の一端は、小さなボルト796を使用してスイッチカム770に接続されている。他端は、クランク768上のストッパ798に接している。板バネ794は、クランクに対して、スイッチカム770をOFF位置へ回転的に付勢する。
【0111】
ノブ758の下側には、2つのランプ(傾斜部)820が形成されており、各ランプは、図41において最もよく分かるようにランプ端822を有している。ノブ758に面しているスイッチカム770の側には、ランプ凹部824が形成されており、ランプ凹部824は図9において最もよく分かるように凹端部826を有している。スイッチアセンブリがOFF位置のとき、つまり、ノブ758とスイッチカム770の両者がそれぞれのバネ784、794の付勢力のもとでそのOFF位置にあるときは、2つのランプ820のそれぞれは、対応するランプ凹部824内に位置しており、各ランプ820のランプ端822は、対応するランプ凹部824のランプ凹端部826に対して直接接している。
【0112】
クランク768の下側には、2つのクランクランプ828が形成されており、それぞれのランプ828は、図39Cにおいて最もよく分かるようにクランクランプ端部830を有している。ノブ758に面しているスイッチカム770の側には、スイッチカムクランクランプ832が形成されており、スイッチカムクランクランプ832は図40において最もよく分かるようにスイッチカムクランクランプ端部834を有している。スイッチアセンブリがOFF位置のとき、つまり、ノブとスイッチカム770の両者が、それぞれのバネ784、794の付勢力のもとでそのOFF位置のときは、2つのスイッチカムクランクランプ832のそれぞれは、図39Cに示されているように、対応するクランクランプ828の下端部(クランクランプ端部830から遠ざかる方向のクランクランプ828の端部)に対して位置している。
【0113】
スイッチカム770のエッジの周りには、図39Aと39Bにおいて最もよく分かるように周辺カム836が形成されている。マイクロスイッチ774は、マイクロスイッチ774の本体から突出するピン838を備えている。ピン838は、マイクロスイッチ774の本体内へ、または本体から出るように軸方向にスライド可能であり、マイクロスイッチ774内のバネ(図示せず)により最も外側の位置に付勢される。ピン838は周辺カム836と係合する。スイッチカム770の回転により、ピン838が周辺カム836に沿ってスライドし、それにより、バネの付勢力に対抗してマイクロスイッチ774の本体内に押し込められるか、またはバネの影響下で、マイクロスイッチ774の本体から出るようにスライドできる。スイッチカム770がそのOFF位置のときは、図8Aに示されているように、ピンは、マイクロスイッチ774の本体内に押し込まれる。スイッチカムがそのON位置に回転されたときは、ピン838は、図39Bに示されているように、その最も外側の位置まで延伸する。
【0114】
ON/OFFスイッチに対するアセンブリがどのように作動するかをここで記述する。
【0115】
最初に、ノブ758とスイッチカム770は両者ともそのOFF位置にある。動力式カッターのオペレータは、ON/OFFスイッチを使用してユニットのスイッチを入れることを所望する。オペレータは、手を使って、ノブ758をそのOFF位置からON位置へ回転する。ノブ758が回転すると、回転運動がノブ758からスイッチカム770へ各ランプ820のランプ端822により伝達され、各ランプ820は、それが接している各対応するランプ凹部824のランプ凹端部826を図40における矢印Mの方向に押し、それにより、スイッチカム770はノブ758と共に回転するので、スイッチカム770が調和して回転する。スイッチカム770が回転すると、2つのスイッチカムクランクランプ832は、最初は、クランクランプ828の下端部に対して位置しているが(図39Cに示されている)、静止しているクランクランプ828を上方にずり上げる(図39Dに示されている)。スイッチカムクランクランプ832が、スイッチカム770の回転によりクランクランプ828を上方にずり上げると、スイッチカム770は、ノブ758から遠ざかるように(図40における矢印Nの方向)軸方向に強制的にスライドさせられ、バネ780を圧縮し、ボルト778のヘッドを、凹部776の底部へ向けて移動する。スイッチカムが、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834が整列するように十分に回転すると、スイッチカム770は、バネ780の付勢力のもとでノブ758に向けて軸方向にスライドし、図39Eに示されているように、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接することを確実にする。図39Eに示されているように、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接すると、スイッチカム770はそのON位置になり、板バネ794の影響下で、そのOFF位置に戻ることが妨げられるが、これは、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに押し合って、お互いの運動が妨げられるからである。ノブ758は、バネ784に打ち勝つバネ780の作用によりランプ凹部824内に保持されているランプ820により、バネ784の影響下で、そのOFF位置に戻ることが妨げられる。スイッチカム770がOFF位置(図39A参照)からON位置(図39B)に回転すると、周辺カム836が回転し、それによりピン838がマイクロスイッチ774の本体から延伸することが可能になる。これにより、電子コントローラ716が動力式カッターを起動して、プルコードが引っ張られたときに動力式カッターをスタートすることを可能とする接続が形成される。
【0116】
そのため、ON/OFFスイッチのアセンブリは今はONであり、ノブ758とスイッチカム770の両者がON位置にあり、それにより、ピン838がマイクロスイッチ774の本体から延伸することが可能になる。ON/OFFスイッチアセンブリをそのOFF位置に切り替える方法は2通りある。
【0117】
第1の方法は、安全ボタン766を押すことである。安全ボタン766を押すと、ボルト778のヘッドがノブ758の凹部776の底部に向けてスライドし、バネ780を圧縮し、それにより、スイッチカム770がノブ758から遠ざかるように軸方向にスライドする。スイッチカム770が軸方向にスライドすると、スイッチカム770は、クランク768から遠ざかるように移動し、それにより、クランクランプ828とスイッチカムクランクランプ832はお互いから遠ざかるように移動し、そのため、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834が切り離される。そのため、スイッチカム770は、板バネ794の影響下で、そのOFF位置に回転して戻ることができる。ノブは、ランプ凹部824内に保持されているランプ820によりそのON位置に保持されているので、ノブ858もまた、ランプ凹部824がスイッチカム770と共に回転するときに、そのOFF位置に戻る。ランプ820が、ノブ758に対してのスイッチカム770のスライド運動によりランプ凹部824から切り離されると、ノブ758は、ノブ758とクランク768の間のバネ784の影響下で、そのOFF位置に戻る。
【0118】
ON/OFFスイッチアセンブリをOFFに切り替える第2の方法は、ノブ758を回転することである。オペレータは、ノブ758をそのOFF位置まで回転する。ランプ820はランプ凹部824内に保持されているので、ノブ758の回転は、スイッチカム770の回転を引き起こす。しかし、スイッチカム770は、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接しているので、その回転が妨げられる。従って、ランプ820は、ランプ凹部824から出るようにスライドし、ランプ端部822はランプ凹端部826から遠ざかるように移動する。ランプ820がランプ凹部824から出るようにスライドすると、回転を妨げられているスイッチカム770は、ランプ820とランプ凹部824のカム作用により、ノブ758から遠ざかるように軸方向にスライドする。スイッチカム770がノブ758から十分に離れるまでスライドすると、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834はお互いから離れるようにスライドして、お互いから切り離される。このようにして、スイッチカム770は、板バネ794の影響下で、そのOFF位置まで回転することができる。ノブ758は、オペレータおよび/またはバネ784の影響下で移動する。そのため、ノブ758とスイッチカム770の両者は、OFF位置に戻り、そこでバネ784、794により保持される。
【0119】
ノブとスイッチカム770の両者がOFF位置まで戻ると、ランプ820はランプ凹部824と係合して、それによりスイッチを再び使用して、動力式カッターのスイッチを入れることができるようになる。
【0120】
動力式カッターの動作をここで記述する。
【0121】
まず、オペレータはDECO弁752を起動して、プライマー734を使用して、いくらかのガソリンをキャブレタ126の中へ汲み出す。そして、オペレータはノブ758をON位置に回転することにより、ON/OFFスイッチをONにする。そしてオペレータはプルコードを引っ張り、エンジンのクランク114を回転する。クランク114が回転するとフライホイール702もまた回転して、それにより2つのジェネレータ706、708は、動力式カッターを作動するための十分な電気を生成する。
【0122】
電子コントローラは、センサ710を使用してエンジンの温度をチェックする。エンジンが冷えていれば、第2ジェネレータ708からの電気を使用して、キャブレタ内のソレノイド714に電力を供給して、「自動チョーク」を設定する。第2ジェネレータ708は、ポンプ700とソレノイド714の両者に同時に電力を供給するのに十分な能力は有してない。従って、電子コントローラ716がソレノイド714を作動しているときは、オイルポンプ700のスイッチを切る。エンジンが損傷を受ける前の、潤滑オイルが必要でない期間は、エンジンを暖めるのに必要な時間よりも長いことが判明した。
【0123】
電子コントローラはスパークプラグに電力を供給して、エンジン内の燃焼を引き起こし、その電力は第1ジェネレータ706により提供され、そのタイミングは、フライホイール702の角度位置に関連してセンサ712により提供される信号に基づいて、電子コントローラ716により決定される。
【0124】
いったんエンジンが点火されると、DECO弁は自動的に閉じる。電子コントローラ716はエンジン温度の監視を続け、温度が所定の温度に到達すると、電子コントローラ716はキャブレタ126内のソレノイド714のスイッチを切る。そして、電子コントローラ716は、正方形電圧信号をオイルポンプへ供給し始め、オイルの汲み出しを開始する。電子コントローラは、フライホイール702の角度位置を監視するセンサ712から提供された信号を使用してエンジン速度を監視して回転速度を計算する。回転速度が所定値よりも低いときは、電子コントローラ716は信号(図35A)をオイルポンプ700に送り、低速での汲み出しを行わせる。回転速度が所定値よりも高いときは、電子コントローラ716は信号(図35B)をオイルポンプ700に送り、より高速での汲み出しを行わせる。エンジンの速度は、オペレータがケーブルを介してキャブレタに接続しているトリガースイッチを絞ることに関連している。
【0125】
エンジンが作動中は、電子コントローラ716はセンサ140を使用して、ガソリン/空気の混合物へ追加されているオイルを監視する。センサ140が、オイルポンプ700により汲み出されているオイルの流量が所定量より下がった(例えば、オイルパイプ142に障害物がある、またはタンク128が空)ことを示す信号を送ると、電子コントローラは、点火システムを使用してエンジンをアイドルモードにし、それによりエンジンは作動するが、最小速度で作動する。
【0126】
エンジンコントローラは、クランクシャフトの角度位置に対するスパークプラグの点火のタイミングを変えるか、またはクランクシャフトの回転数に対するスパークプラグの点火数を変えることにより、エンジンをアイドルモードにすることができる。エンジンコントローラは、クランクシャフトの2回または3回の回転毎にスパークを点火することができ、例えば、エンジンが通常の作動中の場合のように、スパークプラグが毎回転毎に点火されるときの半分または1/3の動力のみを提供することができる。
【0127】
オペレータは、センサ140がオイルの流れを検出するまでは、トリガースイッチ1070を使用してエンジンの速度を上げることはできない。これにより、エンジンが、潤滑油の欠乏により損傷を受けることが防止される。エンジンは、エンジンが損傷を受ける前にかなりの長い期間アイドルモードで作動できるということが判明した。
【0128】
本明細書を読めば、エンジンをアイドルモードにすることの代替として、エンジンを完全に切ることもできるということは理解されよう。その場合は、電子コントローラ716は、オイルがセンサにより再び検出されるまで、エンジンがスタートされないことを確実にする。
【0129】
オペレータが動力式カッターを止めるために、オペレータは安全ボタン766を押すか、ノブ758をそのOFF位置まで回転する。
【0130】
オイルが空気を含むガソリンに供給されているかを感知する、前述したシステムの代替システムをここで記述する。この代替設計においては、センサ140が除去され、その代わり、エンジンの作動中にオイルポンプ700へ供給されている電流が監視されて、オイルがオイルポンプにより汲み出されているかが判断される。
【0131】
図46A、46Bおよび46Cを参照すると、図46Aは、オイルポンプ700に供給される電圧を示し、図46Bは、オイルポンプが汲み上げ動作はしてはいるが、オイルがまったく汲み上げられていないときのオイルポンプ700へ供給される電流を示し、図46Cは、オイルポンプがオイルを汲み上げているときのオイルポンプへ供給される電流を示している。オイルポンプ700は、低速で作動している。
【0132】
線900により示されている正方形波電圧V1は、図46Aに示されているように、オイルポンプへ供給される。オイルがオイルポンプ700を通して汲み上げられているときは(図46C参照)、線902により示されている電流は、加えられている電圧がV1に上昇するt0におけるゼロから上昇を開始し、I1に向けて増大する。I1に到達すると、電流量は、再びl1に増大する(906)前に低下する(904)。電流は、t3秒において再び上昇し始める前に、t2秒後において低下する。オイルポンプ700内のピストン850が、ソレノイド1206によりその最大行程距離に到達し、そしてその最大行程距離において、ピストン850の衝撃により少し跳ね返されるときに電流の低下が起きる。しかし、オイルがオイルポンプ700によりまったく汲み上げられていないときであって、しかしポンプは依然として作動しているときは、オイルポンプ内のピストン850の移動速度は、抵抗がより少ないために増大する。そのため、最大移動距離により早く到達する。従って、図46Bに示されているように、電流値が低下(908)する前により小さな電流値I2に到達し、再びI1に向けて上昇(910)する。更に、電流が低下(908)して、再び上昇(910)する前は、オイルポンプ700がオイルを汲み上げていたときよりもより少ない時間で済む。電子コントローラ716内の信号プロセッサは、電圧パルスの開始に対して電流がいつ低下し始めるかと、その時点における電流値を監視することができ、それにより、ポンプがオイルを汲み上げているか否かを判断できる。オイルを汲み上げていないときは、電子コントローラはエンジンをアイドルモードにできる。
【0133】
燃料キャップの構成を、ここで図20から23を参照して記述する。
【0134】
ガソリンタンク124は、図19に概略を示しているように、ユニットの本体内に搭載される。ガソリンタンク124は、図2に示されているように、燃料キャップ13により封止される。
【0135】
燃料キャップは内部キャップ202と、クラッチ204と、外部キャップ206と、を備える。内部キャップは、その一端210が封止されている管状の構成である。側壁212の内部表面上にはネジ山208が形成されている。燃料キャップが燃料タンク上にネジで取り付けられると、ネジ山208は、燃料タンク124のネック部分の外部表面の周りに形成されているネジ山とスライドして係合する。
【0136】
端部210に隣接する内部キャップ202の内部には、シール214が位置している。燃料キャップが燃料タンク上にネジで取り付けられると、シール214により、タンクからガソリンが漏れないことが確実になる。内部キャップ2は、外部キャップ206内に位置している。クラッチ204がこの両者に挟まれている。クリップ216が内部キャップの溝218内に位置しており、外部キャップ内に形成されている内部溝220と係合している。クリップは、外部キャップの内部で内部キャップを保持し、同時に、内部キャップが外部キャップ206内で自由に回転することを可能にする。内部キャップは、内部キャップと一体的に形成されている多数の歯222を備えている。歯は、クラッチ内に形成されている対応するスロット224内に位置しており、そのため、内部キャップの回転によりクラッチ204が回転する。クラッチ204上には、複数の弾力性アーム226が形成されており、弾力性アーム226の端部上にはペグ228が搭載されている。ペグ228は、外部キャップの内部端壁230に向かって面している。壁上には、複数のリッジ232が形成されている。クラッチ上のペグは、外部キャップの中のリッジ232と協働するように配置されている。
【0137】
外部キャップ206の回転により、リッジ232がペグ228と係合し、それによりクラッチ204が回転し、その結果、クラッチ204が歯222を介して内部キャップ202を回転する。燃料キャップが燃料タンクにネジで取り付けられると、内部キャップ202はネジ山により燃料タンクのネック部分と係合し、内部キャップ202の回転は、オペレータがフィンガーグリップ234を使用して外部キャップ6を回転することにより、外部キャップ6の回転により引き起こされる。内部キャップ内に位置しているシール214が燃料タンクのネック部分の端部と係合すると、内部キャップ202は更なる回転が妨げられる。これにより、クラッチ204の更なる回転が妨げられる。しかし、オペレータが外部キャップ206に回転力を加え続けると、リッジ232はペグ228上に乗り上げられ、ペグ228の移動が、ペグ228を搭載している弾力性アーム226により可能になる。このようにして、オペレータは外部キャップを回転でき、同時に、内部キャップは静止状態を保ち、それにより、オペレータが燃料キャップを、燃料タンクのネック部分上に締め付け過ぎることが妨げられる。
【0138】
前述した任意のキャブレタ126に対する空気フィルタ処理機構をここで記述する。
【0139】
2ストロークエンジンはキャブレタ126を備え、キャブレタ126は、液体燃料を空気と混合してエンジンに動力を与える可燃性混合物を生成する。しかし、動力式カッターの動作により大量のホコリが生成され、このホコリが周囲の空気と混合する。これは、ホコリを含む空気という結果になる。キャブレタに入る空気が、ホコリを含まないことを確実にするためには、空気は、ホコリを除去するフィルタシステムを通過しなければならない。
【0140】
フィルタシステムを、ここで図23から29を参照して記述する。
【0141】
本体2の内部には、プラスチックベース318と、プリーツ(ひだ)を形成するために折りたたまれたフィルタ紙320を備えるフィルタユニット316がある。フィルタユニット316は本体2内に位置しており、そのため、プリーツ320は、動力式カッターが図1と2に示されているように格納位置のときは、垂直方向下方にぶら下がっている。
【0142】
空気は、キャブレタ126によりフィルタシステムを通して吸引される。空気は、本体2の後部上のスロット314に入り込む。空気は、フィルタユニット316の下のスペース322まで通過し(矢印G)、そして、フィルタユニット316上方のスペース324まで、フィルタ紙320を通して通過する。空気により運ばれているいかなるホコリもフィルタユニット316により捕獲され、フィルタ紙320のプリーツ内に保持される。
【0143】
そして清浄な空気はスペース324からホース326を通って、フィルタユニット316の下方のスペース322の下方に位置しているキャブレタ126まで通過する。
【0144】
オペレータが、フィルタ紙320のプリーツに捕獲されているホコリを除去できるようにするために、清浄装置が設けられている。清浄装置は、プラスチックベース330の上部に搭載されているラバーフラップ328と、プラスチックベース330の底部に取り付けられているブラシ332と、剛性アーム338を介してプラスチックベース330に取り付けられているハンドル334と、を備えている。ベース330は、フィルタユニット316の下方のスペース322内で、本体2全体にわたり幅方向にスライド可能である。この運動は、オペレータが、本体2側から離れているハンドル334を引っ張ることにより引き起こされる。2つのバネ336が、ハンドル334を本体2側に向けて付勢する。
【0145】
フィルタユニットを清浄するために、オペレータはハンドル334を引っ張り、ベース330を、矢印Hの方向に本体2の幅方向全体にわたって移動し、そしてハンドル334を解放して、バネ336の付勢力により反対方向に戻れるようにする。
【0146】
ベース330が幅方向全体にわたってスライドすると、図25において最もよく分かるように、ラバーフラップ328はプリーツ320を係合し、プリーツ320のホコリをたたく。ホコリは、フィルタユニット316の下方のスペース322のベース340に落ちる。
【0147】
ブラシ332は、スペース322のベース340と、スライドして係合する。ブラシ332は、移動方向に依存して、ホコリを一方または他方側へ払い落す。アパチャー344が、本体2の一方の側上に形成されている。ブラシが本体の側部に近づくと、ブラシは、ベースに沿って掃き集められたホコリをアパチャーを通して押し、本体2から外に出す。
【0148】
図4は、プリーツ320の方向に直交して移動するフラップ28を示しているが、当業者であれば、図26に示されているように、フィルタ紙320を回転して、プリーツが、フラップ328のスライド運動の方向と平行に動くようにできるということは理解されよう。そのような状況においては、ラバーフラップ28は、複数のブラシ342と置き換えることができる。
【0149】
後部ハンドルの構成を、ここで図1と2を参照して記述する。
【0150】
動力式カッターの本体は、堅固にお互いが接続されている多数のプラスチッククラムシェル(二枚貝状外殻)から構成され、プラスチックケースの形状に構成されている。後部クラムシェル430は、後部ハンドル6に接続されている。動力式カッターの現在の設計においては、後部ハンドル6は後部クラムシェル430と統合されている。しかし、ハンドル6が壊れたときは、クラムシェル430全体を交換する必要がある。ハンドルが壊れることはよくあることなので、全体を交換することを回避することが望ましい。
【0151】
従って、本発明における後部ハンドル6は、後部クラムシェル430(または本体2)のハンドルとは分離したものとして構成されている。
【0152】
後部ハンドル6は、別個の単一クラムシェル431から構成され、単一クラムシェル431は、その上部432において2つの点434で、そしてその底部において単一の点436で接合されている。3つの点434、436のそれぞれは、プラスチッククラムシェル430内にネジで取り付けられるボルトを使用して接合される。振動減衰材料をボルトと連携して使用して、本体2からハンドル6へ伝送される振動量を減少することができる。そのような振動減衰材料を使用すると、3つの点のそれぞれにおいて、後部クラム430に対してハンドル6の運動を制限できる。この運動は直線的であっても、回転的であってもよい。そのような構成の1つでは、ボルトを振動減衰材料で取り囲み、振動減衰材料を、ボルトと後部ハンドル6のクラムシェルの部品の間で挟む。
【0153】
後部ハンドル6の上部432は、クロスバー(横棒)の形状である。その形状は、ハンドルの上部432をクラムシェル430の後部に締め付けるボルトがお互いが整列するような形状であり、それにより、後部ハンドル6に対して回転軸440が提供され、後部ハンドル6は制限された量だけ回転軸440の周りを回転できる。
【0154】
当業者であれば、ハンドルを、お互いが堅固に接続されている多数のクラムシェルから構成できるということは理解されよう。ラバーソフトグリップオーバーモールド442をより快適にするために、ハンドルに追加することもできる。
【0155】
空気フィルタ処理システムの第2実施の形態を、ここで図30を参照して記述する。
【0156】
フィルタ装置はボックス400を備え、ボックス400の中には、プリーツが付けられ、ボックス内部から、その上部から垂れ下がるフィルタ紙402が搭載されている。スペース404は、プリーツの下方に形成されている。大きなアパチャー406が、フィルタ紙の下方のボックスの側に形成されており、そこを通して、ドロワー(引出し部)408はスライド可能である。ドロワーは、フィルタ紙402直下のスペース404の中に位置しているレセプタクル(容器、貯蔵所)410を備えている。ドロワー408は、ボックスの中のネジ山付き孔414にネジ山により係合するネジ412を介して、定位置に締め付けることができる。空気は、スロット314を通って通過してボックスの中に入り、フィルタ紙402の下方のスペース404の中のレセプタクル410の中に入り、そして、フィルタ紙402を通って、フィルタ紙402の上部のスペース416の中に入り、そして、柔軟チューブ418を通って、フィルタ紙の上方のスペース416から出て、キャブレタ126に入る。ボックス400に入る空気に含まれているいかなるホコリも、フィルタ紙402により遮られる。
【0157】
2つのシステムの組合せが提案されており、本提案によれば、フィルタ紙402内のいかなるホコリも、フィルタ紙402からドロワー408の中へ振い落され、そしてドロワー408は、ホコリを空にするために取り外すことができる。
【0158】
第1システムは、上述した第1実施の形態において開示したものと非常に類似しており、ドロワー408の前端部に取り付けられているラバーフラップ420を備えている。ドロワー408がボックス400の中へ挿入されると、ラバーフラップ420は、プリーツが付けられたフィルタ紙402と係合する。ドロワー408がボックス400の中へスライドすると、ラバーフラップ420は、各プリーツのベースに連続して当たり、プリーツ上のいかなるホコリも、ドロワー408の中へたたき落す。このため、ドロワー408をボックス400の中へ挿入またそこから取り外す動作により、フィルタ紙402上のホコリは解放され、除去することが可能になる。
【0159】
第2システムは、動力式鋸の2ストロークエンジン24用のスタート12のスターターコード422を利用する。エンジンをスタートするときは、パワーコード422を回転するために、パワーコード422を引っ張る必要がある。コード422が引っ張られると、コード422はプーリーホイール424を回転し、それにより、エクセントリックピン426が、プーリー420の軸428の周りを回転する。これにより、ボックス400の一方の側が、矢印Yにより示されているように上下に振動する。ボックス400の他方の側は、動力式カッターの本体に、軸435の周りを回転するように取り付けられている。ボックス400の往復運動により、フィルタ紙402の中のホコリは、フィルタ紙402からドロワー408の中へ振い落とされる。
【0160】
各システムは、フィルタ紙402の中に捕獲されているホコリを、ドロワーの中へ落とす。オペレータが最初に動力式カッターをスタートすると、スターターコードを引っ張る動作により、フィルタ紙402が洗浄される。そして、オペレータは引き続き、ドロワー408を挿入または取り外すことにより、動力式カッターの動作中にフィルタ紙を洗浄することができる。
【0161】
当業者には、この2つのシステムを組み合わせて使用すると同時に、別個に使用でき、動力式カッターは、一方の、または他方のシステムのみを有しているということは理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力式(パワー)カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な動力式(パワー)カッターは、2ストローク内燃機関(エンジン)が搭載されているハウジングを備えている。ハウジングの側面には、ハウジングの前方に延伸している支持アームが取り付けられている。支持アームの端部には、通常は研削ディスクの形状の切削ブレードが回転可能に搭載されている。モーターは、駆動ベルトを介して、駆動可能に切削ブレードに接続されている。エンジンの回転出力は、駆動ベルトを介して切削ブレードを回転駆動する。駆動ベルトは、遠心クラッチを介して駆動され、それにより、エンジンの出力駆動スピンドルを、エンジンが低速作動のときはベルトとの係合から切り離すことが可能となり、エンジンの作動を継続させ、同時に、切削ブレードと係合しているすべての駆動も切り離して、ブレードを静止状態にすることができる。
【0003】
ハウジングには、ガソリンタンクも搭載されており、ガソリンタンクから、キャブレタを介してエンジンにガソリンが提供される。オイルタンクもまた設けることができ、ガソリンと混合して、エンジンを潤滑する潤滑オイルを供給する。
【0004】
ハウジングの後部には、動力式カッターを支持するための後部ハンドルが搭載されており、後部ハンドルは、押下されるとエンジンを加速するトリガースイッチを含んでいる。トリガースイッチを押下すると、空気を含むオイルとガソリンの混合物が、より大量にエンジンに注入され、それにより、エンジン速度が加速される。
【0005】
英国特許第2232913号と、WO2005/056225は、そのような動力式カッターの例を示している。
【0006】
すべての2ストロークエンジンについての既知の問題は、クランクシャフト114(図19に示されている参照番号を使用している)とピストン1000の潤滑である。これは、オイルとガソリンの混合物がまず、点火される前に、ピストン16上方のチャンバ122の中へ強制的に送り込まれる前に、ピストン1000に下方のシリンダ120の中のチャンバ18を通過するという事実のためである。これにより、ピストン1000の裏面上のクランクシャフト114の周りにポンプで汲み上げられている潤滑オイルの使用が妨げられてしまう。従って、2ストロークエンジンの既存の設計においては、空気を含むガソリンと潤滑オイルの混合物は、エンジン内で燃焼され、クランクシャフト114とピストン1000を潤滑するためのオイルが、燃焼サイクルの間にガソリンと共に燃焼される前に燃焼されてしまう。2ストロークエンジンを使用するときに共通の問題は、オペレータがオイルをガソリンに追加するのを忘れたり、一貫性のない方法で追加したりして、エンジンに損傷を与えることである。これは、動力式カッターの場合が特にそうであり、それは動力式カッターがしばしばオペレータに貸与されるからである。そのため、オペレータはその動力式カッターの使用に慣れておらず、オペレータが長く所有することもなく、オペレータはその動力式カッターを前に誰が使用したかも知らず、また、前のオペレータがどのように使用したかも知らず、そしてオペレータがその動力式カッターを所有しているわけではないので、動力式カッターに対して長期のメンテナンスを考慮する理由があまりないのである。従って、動力式カッターの2ストロークエンジンへの損傷を防止または制限するための機構を設けて、空気を含むガソリンがエンジン内に送られる前に、十分な潤滑オイルが含まれることを確実にすることが望ましい。
【0007】
潤滑オイルをガソリンタンクの中のガソリンに直接追加することができる。しかし、これはオペレータが、ガソリンに対する潤滑オイルの正確な混合比を確実に達成することにかかっている。これは、ガソリンタンクの中に既にどのくらいの量のガソリンが入っているのか、およびどのくらいの量の潤滑オイルが既に加えられているのかを判断することが難しいために、困難である場合がある。従って、潤滑オイルで満たされている別のオイルタンクを用意し、潤滑オイルがタンクから汲み上げられてガソリンと混合するようにすることが好ましい。これにより、ガソリンに加えられるオイルの量をより正確に制御することが可能になる。
【0008】
動力式カッターの2ストロークエンジンは、エンジンに動力を与える、空気を含むガソリンを提供するためのキャブレタを使用する。そのようなキャブレタの典型的なデザインが図31に示されている。図31を参照すると、キャブレタは、ハウジング1002を備え、ハウジング1002通して空気通路1004が形成され、空気通路1004を通して、空気は矢印Qの方向に通過できる。空気通路1004は、その入口と出口において、同じ断面積を有している。しかし、空気通路1004の途中の一部には、狭窄部1006が形成されており、狭窄部1006は、空気通路の断面積を縮小し、ベンチュリ(一部の径が縮小している管)として作用する。つまり、空気通路1004は、空気がそこを通過するときに、最初は狭くなり、その後膨張する。これにより、空気の流量が、空気通路1004の狭部1008を通過するときに増大する。
【0009】
ガソリンは、入口1010を介してキャブレタ内に送られ、第1チャンバ1012に充填される。第1チャンバ1012は、ガソリン通路1016を介して第2チャンバ1014に接続されている。ガソリンは、ガソリン通路1016を介して第2チャンバ1014に充填される。
【0010】
尖った先端と、細長い本体を有する調整可能ニードル弁1020が、ガソリン通路1016に搭載されており、ガソリン通路1016内で軸方向にスライド可能である。ガソリン通路1016は、狭部1018を備えている。調整可能ニードル弁1020の先端は、狭部1018に向けて突起しており、調整可能ニードル弁1020が狭部1018に向けて移動されるときに狭部1018を遮蔽することができ、また調整可能ニードル弁1020が狭部1018から遠ざかるように移動されるときに、狭部1018を開くことができる。
【0011】
先端から離れている、調整可能ニードル弁1020の後端は、第2チャンバ1014の中へ突起している。調整可能ニードル弁1020の後端には、ピボットポイント1026を介して第2レバー1024に接続する第1レバー1022が取り付けられている。第2チャンバ1014の壁の1つは、第2チャンバ1014の体積を調整するように動くことができるダイヤフラム1032である。空洞チャンバ1034が、ダイヤフラム1032の他方の側に形成されている。第2レバー1024の端部は、ダイヤフラム1032に接続している。第2レバー1024はまた、バネ1030を介して、第2チャンバ1014の堅固な壁1028にも接続している。バネ1030は、第2レバーを所定の位置に付勢し、それにより第1レバー1022を所定の角度位置に付勢する。ダイヤフラム1032の屈曲により、バネ1030の付勢力に対抗する、第1および第2レバーの回転運動が引き起こされる。第1レバー1022の運動は、調整可能ニードル弁1020の軸方向のスライド運動を引き起こし、調整可能ニードル弁1020のその先端を、狭部1018へ向けて、またはそこから遠ざかるように移動する。
【0012】
第1通路1036は、高速ニードル弁1038を介して第2チャンバ1014に接続している。第1通路1036の他端は、空気通路1004の狭部1008に接続している。第2通路1040は、アイドルニードル弁1042を介して第2チャンバ1014に接続している。第2通路1040の他端は、3つの小ベント1044を介して、狭部1008の下流の空気通路1004と接続している。高速ニードル弁1038は予め設定されており、第1通路1036を通るガソリン流量を制限する。アイドルニードル弁1042は予め設定されており、第2通路1040を通るガソリンの流量を制限する。
【0013】
空気経路1004の中で、狭部1008の前方には、キャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046が位置している。プレート1046は、最大量の空気が通路1004に入り込むことを可能にする、空気通路1004の方向に延伸する開位置(図示のように)と、空気通路1004を横切って延伸し、空気通路1004に入り込むことができる空気量を実質的に減少する閉位置の間で回転できる。
【0014】
空気通路1004の中であって、狭部1008の下流には、キャブレタに対するスロットルとして作用する第2回転プレート1048が位置している。プレート1048は、最大量の空気が通路1004から出ることを可能にする、空気通路1004の方向に延伸する開位置と、空気通路1004を横切って延伸し、空気通路1004から出ることができる空気量を実質的に減少する閉位置の間で回転できる。プレート1048は、その開位置と閉位置の中間において示されている。
【0015】
キャブレタが通常の使用状態のときは、第1回転プレート1046はその開状態にある。空気は、空気通路を通して吸引され、狭部1008を通過することで速度を上げる。狭部1008を通過する空気の移動により、ガソリンは第1通路1036から空気の流れの中に取り込まれ、空気通路1004を通過する。空気の量、従って、第1通路1036から取り出されるガソリンの量は、第2回転プレート1048の角度位置に依存する。第2回転プレート1048が開位置のときは、最大量の空気が空気通路を通過することができ、第1通路1036から最大量のガソリンを取り出す。第2開連プレート1048が閉位置のときは、最小量の空気が空気通路を通過することができ、第1通路1036から最少量のガソリンを取り出す。第2回転プレート1048が閉位置のときに、十分な量のガソリンが空気通路1004の空気の流れに入り込むことを確実にするために、第2通路1040もまたガソリンを空気の流れに提供する。しかし、第2通路1040の出口は、第2回転プレート1048の下流の空気通路に接続しており、空気の流れに常に十分な量の燃料が入り込むことを確実にしている。
【0016】
ガソリンが2つの通路1036と1040から取り出されると、第2チャンバ1014におけるガソリンの量は減少する。ガソリンの量が減少すると、ダイヤフラム1032が屈曲し、ガソリンの損失を収容するために、第2チャンバ1014の体積を減少する。ダイヤフラム1032が屈曲すると、第1および第2回転レバー1024と1022を、バネ1030の付勢力に対抗して移動し、それにより、調整可能ニードル弁1020を軸方向にスライドさせ、その先端を狭部1018から遠ざけるように移動して開き、ガソリンが第1チャンバ1012から第2チャンバ1014内に流れることを可能にする。第2チャンバ1014が満杯になると、ダイヤフラム1032が屈曲して、追加のガソリンを収容するようになり、レバーを回転して、調整可能ニードル弁1020の先端を狭部1018に向けて移動し、ガソリン通路を流れるガソリン量を減少する。ダイヤフラム1032の運動は、狭部1018に対する調整可能ニードル弁1020の先端の移動を確実にし、第2チャンバ1014内のガソリン量を制限するように制御される。
【0017】
エンジンが冷えているときは、第1回転プレート1046は閉位置に置かれる。これにより、空気通路1004に入り込む空気の量を減少し、従って、空気通路に、空気に対するより高い比のガソリンを提供し、冷えたエンジンを作動することが可能になる。
【0018】
第1回転プレート1046の角度位置は、動力式カッターのオペレータによる手動で調整される分離レバーに接続されているボーデン(Bowden)ケーブルを使用して設定される。第2回転プレート1048の角度位置は、オペレータにより手動で調整されるハンドル上に搭載されているトリガースイッチ1070に接続されているボーデンケーブルを使用して設定される。
【0019】
動力式カッターにおけるキャブレタの設計に関しての問題は、エンジンが冷えているときには、エンジンのスムーズな動作を確実にするために、オペレータが第1回転プレートの角度位置を常時調整しなければならないということである。これは、オペレータもまた動力式カッターを使用しようと努めている場合は特に難しい。
【発明の概要】
【0020】
従って、動力式カッターであって、
ハウジングと、
該ハウジング内に搭載されている2ストローク内燃機関(エンジン)と、
該エンジンが作動しているときに、該エンジンを加速できるスロットルスイッチと、
該ハウジング上に搭載されている支持アームであって、該ハウジングの前方に突出している支持アームと、
該支持アームの端部上に回転可能に搭載されているブレード搭載機構であって、該エンジンが作動しているときに、該エンジンにより回転駆動されることが可能なブレード搭載機構と、
該エンジンに対して、空気を含むガソリンを提供するキャブレタであって、少なくとも2つの動作モードで作動することが可能で、該エンジンが冷えているときは第1モードで、該エンジンが暖かいときは第2モードで作動することが可能なキャブレタと、
該キャブレタに対して空気を提供する空気取入れ部と、
該キャブレタに対して、該空気取入れ部から吸引した該空気をフィルタ処理する空気フィルタ処理機構と、
ガソリンを該キャブレタに提供するガソリンタンクと、
該エンジンの該動作により生成される排気ガスを、該エンジンから排出する排気部と、
該エンジンの該動作を制御する電子コントローラと、
該動力式カッターの電気部品に電力を供給する電源と、を備え、
該エンジン上に搭載される温度センサが設けられ、該温度センサは、該エンジンの温度の関数である信号を該エンジンコントローラに提供し、
該キャブレタは、該キャブレタを、2つの動作モード間で切り替える電気制御コールドスタート機構を備え
該電子コントローラが、該エンジンが冷えていると判断したときには、該電子コントローラは電気信号を、該電気制御コールドスタート機構に提供して、該キャブレタの該動作モードを第1モードに変更させる、動力式カッターが提供される。
【0021】
第1動作モードにおいては、キャブレタは、混合物中のガソリンの量が少ない、キャブレタが第2動作モードの場合よりも、ガソリンの量がより多い、空気を含むガソリンをエンジンに提供する。ガソリンの量がより多い混合物は、エンジンが冷えているときの動作を可能にする。いったんエンジンが暖まれば、キャブレタは、第2動作モードでの作動に切り替わることができる。エンジンが暖かいまたは冷えているとみなされる温度は、エンジンの設計に依存して異なる。電子コントローラは、温度センサにより提供された信号を所定のパラメータと比較して、エンジンを暖かいまたは冷えているとみなすべきであるのかを判断する。
【0022】
この判断に基づいて、電子コントローラはキャブレタの動作モードを選択する。
【0023】
電源は、少なくとも電子コントローラと、温度センサ(直接または電子コントローラを介して)と、電気制御コールドスタート機構(直接または電子コントローラを介して)とに電力を供給する。
【0024】
電気制御コールドスタート機構は、キャブレタをその第1動作モードに維持できる。
【0025】
電子コントローラは、連続電気信号を電気制御コールドスタート機構に提供して、キャブレタの動作モードを第1モードに維持できる。代替的に、または追加的に、電源からの電力は、キャブレタが第1動作モードのときに、電気制御コールドスタート機構に連続的に供給することができる。いずれの場合も、電気制御コールドスタート機構は、連続信号または電力の連続供給が停止したときは、キャブレタの動作モードを、第1動作モードから第2動作モードへ変更できる。
【0026】
キャブレタのある設計においては、いったん信号が送られると、キャブレタは、電子コントローラから要求される更なる電気信号なしで、第1動作モードに維持される。そのような設計においては、コールドスタート機構が、キャブレタの動作モードを第2モードに変更するためには、第2電気信号が、電子コントローラにより供給される必要がある。従って、そのような設計においては、電子コントローラは電気信号を電気制御コールドスタート機構に提供して、キャブレタの動作モードを第2モードに変更させる。
【0027】
理想的には、キャブレタが第2動作モードのときは、電力は電気制御コールドスタート機構に供給されない。
【0028】
キャブレタが通常条件下で作動しているときは、エンジンは暖かいので、第2動作モードで作動している。動力式カッターは、ほとんどの時間、キャブレタが第2動作モードのときに作動している。電力は電源から直接、または電子コントローラを介して、信号の一部として電気制御コールドスタート機構に供給されて、キャブレタを第2動作モードに変更するが、いったんキャブレタが第2動作モードになれば、電気制御コールドスタート機構に電力を供給しないで、電力が使用されている間、電源から取り出される電力量を最小にすることが望ましい。
【0029】
好ましくは、電気制御コールドスタート機構は、電子コントローラから信号を受信すると起動されるソレノイドを備える。
【0030】
ソレノイドは、キャブレタ内の多数の装置を起動または停止するために使用できる。例えば、ソレノイドは、図32を参照して記述したキャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046を制御するために使用できる。しかし、ソレノイドは、・・・のとき最も有効である。
【0031】
ソレノイドを、キャブレタ内の通路を開閉するために利用して、それらの通路を通過する空気および/またはガソリンの流量を制御して、キャブレタの動作モードを変更することができる。
【0032】
電子コントローラは、ソレノイドに連続電気信号を提供でき、それにより、キャブレタが第1動作モードで作動中に、ソレノイドは通路を開状態または閉状態に保つ。更に、電力を連続的にソレノイドに供給でき、それにより、キャブレタがその第1動作モードで作動中に、ソレノイドは通路を開状態または閉状態に保つ。
【0033】
ソレノイドは通路を開閉して、連続信号または電力の連続供給が停止したときは、キャブレタの動作モードを第1動作モードから第2動作モードに変更できる。
【0034】
しかし、キャブレタがその第2動作モードのときは電力がソレノイドに供給されないことが好ましい。
【0035】
代替的に、電気制御コールドスタート機構は加熱要素を備える。
【0036】
2ストロークエンジンが損傷を受けることなく作動するためには、潤滑オイルを、空気を含むガソリンと共にエンジン内に供給する必要がある。これは、オイルを、ガソリンタンク内のガソリンに加えることにより達成でき、ガソリンとオイルの混合物には、キャブレタを通過するときに空気が取り込まれる。しかし、動力式カッターには、潤滑オイル用に別のオイルタンクが設けられるものがある。潤滑オイルはタンクから汲み上げられ、典型的には、キャブレタを通過することにより空気が取り込まれた後にガソリンに加えられる。
【0037】
従って、エンジンに潤滑オイルを提供するためのオイルタンク128と、潤滑オイルをオイルタンクから汲み上げてガソリンと混合するための動力式オイルポンプが設けられ、オイルポンプへの電力は電子コントローラにより制御され、キャブレタがその第1動作モードで作動中は、電子コントローラは、オイルポンプへの電力を切り、電源から取り出される電力量を削減することができる。
【0038】
オイルポンプと、電気制御コールドスタート機構が同時に作動されると、動力式カッターは、より多くの電力を生成することを要求される。動力式カッターにおける電力の生成は、より多くの電力を生成することが必要になると、ジェネレータのサイズが増大するために制限される。動力式カッターは、オペレータ地面から持ち上げて支えなければならないので、その重量は問題であり、ジェネレータのサイズを最小化することが望ましく、それにより、利用できる電力量は制限される。エンジンは、エンジンに供給される空気を含むガソリンに潤滑オイルを加えなくても、短時間の間は、実質的な損傷を受けることなく作動可能であることが判明した。この時間は、エンジンを暖めるために必要な時間よりも長く、このため、キャブレタがその第2動作モードで作動することが保証される。
【0039】
電源は、エンジンによる駆動されるジェネレータであってもよい。
【0040】
本発明の多数の実施の形態がここで添付される図面を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、第1の側からの動力式(パワー)カッターの透視図を示す。
【図2】図2は、第2の側からの動力式カッターの側面図を示す。
【図3】図3は、ベルトドライブと支持アームの水平方向断面の概略図を示す。
【図4】図4は、支持アームの前方部と後方部の概略図を示す。
【図5】図5は、支持アームの前方部と後方部の間の接続部の水平方向断面図の概略図を示す。
【図6】図6は、ベルトテンショナを示す。
【図7】図7は、前方部と、駆動ホイールと、ブレードおよびブレードガードのコンピュータによる図を示す。
【図8】図8は、図7に示されている方向とは反対方向からの、ブレードとブレードガードのコンピュータによる図を示す。
【図9】図9は、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図10】図10は、保持ナットを省略した、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図11】図11は、第1支持ディスクを省略した、ブレードとブレードガードの拡大図のコンピュータによる図を示す。
【図12】図12は、ブレードガードを有する前方支持体のコンピュータによる図を示す。
【図13】図13は、アダプタが第1位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図14】図14は、アダプタが第2位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図15】図15は、アダプタが第2位置の側からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図16】図16は、ブレード支持体の断面図を示す。
【図17】図17は、第1透視方向からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図18】図18は、第2透視方向からの、回転支持機構の断面図のコンピュータによる図を示す。
【図19】図19は、動力式カッターの本体の垂直方向断面図の概略図を示す。
【図20】図20は、燃料キャップの透視図を示す。
【図21】図21は、第の1側からの燃料キャップの分解図を示す。
【図22】図22は、第2の側からの分解図を示す。
【図23】図23は、エアフィルタを有する動力式カッターの一部の垂直方向断面の概略図を示す。
【図24】図24は、フィルタのコンピュータにより生成された図を示す。
【図25】図25は、フィルタの洗浄動作の概略図を示す。
【図26】図26は、フィルタの洗浄動作の概略図を示す。
【図27】図27は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図28】図28は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図29】図29は、フィルタの更なるコンピュータにより生成された図を示す。
【図30】図30は、エアフィルタ処理システムの第2実施の形態を示す。
【図31】図31は、キャブレタの従来技術の設計を示す。
【図32】図32は、容量センサユニットの設計を示す。
【図33】図33は、動力式カッターのエンジンの模式図を示す。
【図34】図34は、エンジン用の制御システムの概略図を示す。
【図35】図35は、オイルポンプの設計図を示す。
【図36】図36は、プライマーの概略図を示す。
【図37】図37は、回転可能オン/オフスイッチを示す。
【図38】図38は、スイッチの分解図を示す。
【図39A】図39Aは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39B】図39Bは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39C】図39Cは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39D】図39Dは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図39E】図39Eは、スイッチカムとマイクロスイッチを示す。
【図40】図40は、スイッチの断面図を示す。
【図41】図41は、ノブの裏面を示す。
【図42】図42は、ノブと、ボルトおよびバネを示す。
【図43】図43は、スイッチの後方図を示す。
【図44】図44は、スイッチの後方図を示す。
【図45A】図45Aは、低速度で作動している電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図45B】図45Bは、高速度で作動している電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46A】図46Aは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46B】図46Bは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図46C】図46Cは、感知機構の第2実施の形態に対して、電子コントローラからオイルポンプへ送られる電気信号を示す。
【図47】図47は、ソレノイドを有するキャブレタを示す。
【図48】図48は、加熱要素を有するキャブレタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1と2を参照すると、動力式カッターは、2ストローク内燃機関(エンジン)24を内部に搭載している本体2と、前部ハンドル4と、後部ハンドル6と、支持アーム7と、支持アーム7上に回転可能に搭載され、ラバーベルト26とブレードガード22を介してエンジン24により駆動される切削ブレード10と、を備えている。スターター12は、エンジン24を起動するために設けられている。プラスチックカバー19は、図2に示されているように、支持アーム7の外側を覆っている。
【0043】
図3を参照すると、支持アーム7は2つの部、つまり、前方部8と後方部20を備えている。後方部20は鋳鉄から製造されており、ボルト(図示せず)を使用して、後部ハウジング32の側面に堅固に取り付けられている。前方部8は鋳鉄から製造されており、後方部20上にスライド可能に搭載されている。前方部は、矢印Aの方向にスライド可能である。前方部8を後方部20上にスライド可能に搭載する方法は、下記に、より詳細に記述する。
【0044】
エンジン24は、ラバーベルト26用の駆動ホイール30を搭載する出力軸28を有している。出力軸は、遠心クラッチ(図示せず)を介して、よく知られている方法で駆動ホイール30を駆動する。被駆動ホイール32は、支持アームの前方部8の端部上に回転可能に搭載されている。被駆動ホイール32は、下記に記述するように、前方部8上に搭載されている切削ブレード10に接続されている。ベルト26は、後方部20の周囲であって、2つのホイール30、32の間を通過して、エンジンの回転を切削ブレード10に伝達する。前方部8を、後方部20に対してスライド可能にする目的は、下記に記述するように、ベルト26に張力を与えることができるようにするためである。ハブ16は、駆動ホイール30を覆っている。
【0045】
支持アーム7の後方部および前方部間の相互接続は、図3、4、5および6を参照してここで記述する。
【0046】
図3と4を参照すると、後方部20は、後方部20の幅方向に形成されている2つの細長いスロット40を備えている。細長いスロット40はお互いに整列され、同じ長さを有し、支持アームの後方部20に沿ってその長さ方向に延伸している。前方部8を通して、2つの対応する孔46が形成されている。孔46を有する前方部8の部分は、細長いスロット40を有する後方部20の部分に沿って位置しており、それにより、孔46は、対応するスロット40と整列している。ボルト42は、孔46と対応するスロット40それぞれを通過している。ナット44はボルト42上にネジで取り付けられ、後方部および前方部を共に挟み、摩擦を利用してそれらを保持している。スロット40は、ボルト42が、従って、前方部8が、後方部20に対してスライドすることを可能にしている。
【0047】
後方部20を前方部8に対してスライドさせるために、ナット44は緩められて、それにより両者はお互いに対して移動可能となる。そして前方部8は、所望の位置にスライドされ(下記に記述するベルトテンショナを使用して)、その後ナット44は締められて後方部20を前方部8に挟みつけて両者の間の移動を防止する。
【0048】
前方および後方相互接続機構は、図2に示されているように、前方部8が、後方部20のいずれの側にも位置できるように設計されている。通常の動作においては、前方部8は、エンジン24と同様に、後方部20と同じ側に位置している。これは、位置Bとして示されている。この位置においては、切削ブレード10は、動力式カッターの中心軸により近づいて位置している。しかし、切削ブレードを、本体2のエッジに向けて位置させて、壁の近くで切削できるようにすることが望ましいこともある。そのため、前方部8を、後方部20の他方の側に移動して、矢印Dで示されている前方部8の縦軸48の周りを、位置Cまで180度回転することができる。両者の位置において、被駆動ホイール32は同じ位置に位置しており、そのため、ベルト26により駆動できる。
【0049】
ここで、図4、5および6を参照して、ベルトテンショナを記述する。
【0050】
図5と6を参照すると、ベルトテンショナは、図4において分かるように、ボルト42が通過する2つの孔46を有するメタルプレート50を備えている。プレート50の位置は、ボルト42の位置により固定されている。メタルプレート50上には、整列しているアパチャーを形成する2つのフープ(輪)52が形成されている。細長いボルト54の軸は、フープ52を通過している。細長いボルト54は自由に回転可能で、フープ52内で軸方向にスライド可能である。ナット56は、ボルト54上にネジにより搭載されている。バネ58は、ナット56とフープ52のひとつにより挟まれている。バネ58は、ナットの回転を防止する。従って、ボルト54が回転すると、ナット56は、ボルト54の回転方向により決まる方向に、ボルト54の長さに沿って移動する。ナット56の位置は、バネ58により、フープ52に対して固定されている。ストッパ60は、支持アームの後方部20上に一体的に形成されている。
【0051】
ベルト26に張力を与えるために、細長いボルトが回転され、それによりナットはボルト54のヘッド62に向けて移動する。その場所はバネ58により固定されているので、ナットはフープ52に対して静止状態を維持して、ボルト54をフープ52内で軸方向に移動して、ボルト54の端部64をストッパ60に接近させる。ストッパ60が係合されると、端部64、従って、ボルト54はそれ以上移動できず、それによりナットは移動を開始する。ナットの移動により、バネ58は、従って、フープ52は、細長いボルト54のヘッド62に向けて移動する。これにより、プレート50と、2つのボルト42と、前方部8が、ナット56と、2つのスロット40内でスライドしているボルト42と共に移動する。しかし、ベルト26の張力が高まると、前方部8と、従って、ボルト42とプレート50は、それ以上移動することが妨げられる。しかし、細長いボルト54を更に回転すると、ナット56は、その長さ方向に沿って移動を続ける。従って、バネ58は圧縮され、力をフープ上に加え、それによりプレート50は、その力を前方部8に伝達する。これによりベルト26に張力が加えられる。バネ58が更に圧縮されると、より大きな力がベルト26に加えられる。インジケータ66がプレート50に追加されて、バネ58の圧縮量が、ベルト26への適正な大きさの力を加えるのに十分になったかが示される。
【0052】
ここで、前方部8上に搭載されているブレードを記述する。
【0053】
図7を参照すると、被駆動ホイール32が前方部8上に回転可能に搭載されている。被駆動ホイール32は、下記に、より詳細に記述するように、スピンドル70を介して切削ブレード10に駆動接続されている。ブレードガード22は、下記に、より詳細に記述するように、スピンドル70の周りに回転搭載されている。把持部72は、ブレードガード22に堅固に取り付けられており、オペレータは、ブレードガード22を回転するために、把持部72を保持することができる。
【0054】
図12から18は、前方部8が切削ブレード10を回転可能に支持するための機構を示している。
【0055】
図17と18を参照すると、被駆動ホイール32は、フランジ付きナット74を介して、スピンドル70に堅固に取り付けられている。被駆動ホイール32の回転により、スピンドル70が回転する。スピンドル70は、2つのボールベアリングレース76を使用して前方部8内に搭載されており、ボールベアリングレース76のそれぞれは、スピンドル70に堅固に取り付けられている内部トラック78と、前方部8に堅固に接続されている外部トラック80と、2つのトラック78、80の間に挟まれているボールベアリング82の一組であって、外部トラック80を内部トラック78に対して回転可能にする一組のボールベアリング82と、を備えている。
【0056】
スピンドル70の長さの一部に沿って、2つの平坦表面84が形成されている(図16参照)。第2支持ディスク86は、スピンドル70と同じ直径を有する、ほぼ円形である中心孔を備えているが、スピンドル70の平坦表面84に寸法的に対応する2つの平坦側面を有している。第2支持ディスク86は、スピンドル70の端部上に搭載されており、2つの平坦表面84により形成されているスピンドル70上の肩部88に隣接している。平坦表面84は、第2支持ディスクがスピンドル70に回転固定されることを確実にし、それにより、スピンドル70の回転は、第2支持ディスク86の回転という結果になる。
【0057】
アダプタ90(下記に、より詳細に記述する)が、スピンドル70上に搭載されている。アダプタは、スピンドル70の周りを自由に回転可能である。切削ブレード10は、アダプタ90上に搭載されている。
【0058】
第1支持ディスク92は、スピンドル70と同じ直径を有する、ほぼ円形である中心孔を備えているが、スピンドル70の平坦表面84に寸法的に対応する2つの平坦側面を有している。第1支持ディスク92は、スピンドル70の端部上に搭載されており、切削ブレード10に隣接している。平坦表面84は、第1支持ディスク92がスピンドル70に回転固定されることを確実にし、それにより、スピンドル70の回転は、第1支持ディスク86の回転という結果になる。
【0059】
ネジ山付きの孔94が、スピンドル70の端部に形成されている(図10から12参照)。第2フランジ付きナット96が、孔94の中へネジで取り付けられている。ナット96のフランジは、第1支持ディスク92をブレード10に対して押し付け、その結果、第1支持ディスク92がブレード10を第2支持ディスク86に対して押し付ける。ブレード10は、2つの支持ディスク86、92の間に挟まれる。スピンドル70による支持ディスク86、92の回転は、2つのディスク86、92の間に挟まれているブレード10の摩擦接触により、ブレードの回転という結果になる。ブレード10を摩擦により駆動することにより、ブレードが動力式カッターの動作中に係合されると、スピンドル70に対してのブレード10の回転運動が可能となる。
【0060】
ここで、自動ブレード支持調整機構を記述する。
【0061】
異なるサイズの切削ブレードを使用できる。異なるサイズの切削ブレード10は、スピンドル70が通過するその中心において、異なるサイズの孔を有している。本動力式カッターは、2つの異なるサイズの孔を有する切削ブレード10を、その中心を通して適合できるように意図されている。これは、アダプタ90を使用することにより達成される。
【0062】
図17と18を参照すると、アダプタは2つの支持ディスク86、92の間のスピンドル70上に搭載されている。スピンドル70の周りを自由に回転可能であると同時に、アダプタ90はディスク86、92の間のスピンドル70に沿って軸方向にスライド可能である。
【0063】
アダプタ90は、前方部98と後方部100を備えている。前方部98は、第1外径を有しており、後方部100は、より大きな第2外径を有している。この2つの部により、異なる直径の孔を有するブレード10をスピンドル70上に搭載することが可能になる。図14から18において、第1径の中心孔を有するブレード10が、アダプタ90の後方部100上に搭載されていることが分かる。図13において、第2径の中心孔を有するブレード10が、アダプタ90の前方部98上に搭載されていることが分かる。
【0064】
バネ102は、第2支持ディスク86とアダプタ90の内部肩部104の間に挟まれている。バネ102は、アダプタを第1支持ディスク92に向けて付勢する。サークリップ106がスピンドル70の周りに位置しており、アダプタ90の軸方向の移動の最大距離を制限している。アダプタ90がその最大距離までのスライドが可能になり、サークリップ106に隣接すると、後方部100は、支持ディスク86、92の間の中心に位置することになる。
【0065】
アダプタの後方部100と同じ径の中心孔を有するブレード10がアダプタ上に搭載されると、図14から18に示されているように、ブレード10はアダプタの後方部100上に取り付けられることになる。そのため、ブレード10は、2つの支持ディスク86、92の間の中心に位置することになる。しかし、アダプタの前方部98と同じ径の中心孔を有するブレード10がアダプタ上に搭載されると、図13に示されているように、ブレード10は、アダプタの前方部98上に取り付けられることなり、後方部上にスライドすることが妨げられる。ブレード10が、支持ディスク86、92によりスピンドル70上に固定されるためには、ブレード10はこの2つの間の中心に位置していなければならない。第1支持ディスク92がブレードの後にスピンドル70上に搭載されると、第1支持ディスク92はブレード10とアダプタ90を、バネ102の付勢力に対抗して押し、図13に示されているように、アダプタ90を、第2支持ディスク86に向けて移動する。ブレードがスピンドル70にしっかり搭載されると、支持ディスクの間の中心に位置することになる。前方部も同様に中心に搭載される。アダプタにより、2つのタイプのブレードの使用が可能になり、ブレードはそのサイズに従って自動的に移動する。
【0066】
ここで、回転ブレードガード22を記述する。
【0067】
図15を参照すると、ブレードガード22は、2つのラバー108、110の間に挟まれることにより保持されている。ブレードガード22は、スピンドル70の周りを回転可能である。しかし、ブレードガード22は2つのラバー108、110により摩擦で保持されている。ガード22を回転するためには、オペレータは、ガード22とラバー108、110の間の摩擦に打ち勝たなくてはならない。
【0068】
メタルブラケット112が、4つのボルト114を介して、前方部8に取り付けられている。ボルトは、前方部8を自由に通過して、ブラケット112内に形成されているネジ山付きの孔にネジにより係合されている。ヘリカルバネ116が、各ボルト114のヘッド118と前方部8の間に挟まれており、ボルト114が孔からでるように付勢して、ブラケット112を前方部に向けて引っ張る。ブラケットと前方部8の間に挟まれて、第1ラバー108と、ガード22と、第2ラバー110は、ラバー/ガード/ラバーのサンドイッチ構造を形成している。バネ116の強度により、ラバー108、110とガードの間の摩擦力の大きさが決定される。
【0069】
ガードを回転するために、オペレータは、把持部72を保持し、ガードとラバー108、110の間の摩擦力に打ち勝つことにより、ガード22を回転する。
【0070】
ここで、オイルおよびガソリン管理システムの第1設計を図19を参照して記述する。
【0071】
2ストローク内燃機関は、回転可能クランク114に接続されているピストン1000がスライド可能に搭載されているシリンダ120を備える。シリンダ120内のピストン1000の往復運動は、よく知られた方法でクランクシャフト114の回転運動を引き起こす。ピストンの運動は、シリンダ内の空気を含むガソリン/オイルの混合物を燃焼することにより引き起こされ、その燃焼の点火は、スパークプラグ730の点火により引き起こされる。エンジンは、よく知られている方法で燃料を燃焼して、出力軸20に接続されているクランクシャフト114の回転運動を生成する。排気ガスは、エンジン24から排気部146を通して周囲の大気に放出される。エンジン速度は、キャブレタ126がエンジンに提供する空気を含むガソリン/オイルの混合物の量により決定され、その結果、オペレータがトリガースイッチ1070を押す量に関係している。
【0072】
動力式カッターは、ガソリンタンク124を備え、ガソリンタンク124の中には、2ストローク内燃機関24を駆動するためにガソリンが入っている。ガソリンは、タンク124から、断続線により全体を示されている通路144を介して、キャブレタ126を通過し、キャブレタ126で、ガソリンは、シリンダ120に送られる前に空気と混合され、シリンダ120内において燃焼される。空気の供給の詳細については、そのフィルタ処理も含めて、下記に、より詳細に記述する。図示されているように、第2タンク128もまた本体2に搭載されており、第2タンク128には、潤滑オイルが含まれている。オイルは、オイルポンプ130の標準設計を介して、タンク128から汲み出され、オイルポンプ130は、クランクシャフト114からのギヤ装置(図示せず)を介して駆動されるクランクシャフトハウジング上に搭載されている。オイルポンプ130は、断続線により示されているオイル通路142を通してオイルを、ポンプ130を介してオイルタンク128から汲み出し、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132に送り込み、例えば、液体またはスプレーまたは霧状の適切な形状で、オイルを、キャブレタ126により生成された空気/ガソリンの混合物と混合する。オイルは、ガソリンに対して1:50の比で注入される。
【0073】
センサユニット140は、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内、または通路132に隣接するオイル通路142に搭載されているセンサを備える。センサは、通路内のオイル流量のパラメータを測定し、センサユニットに組み込まれている信号プロセッサを使用して、オイルが、通路132内に所定のパラメータに従って正しく汲み出されているかを、オイルが通路132に入るときのオイルの圧力をチェックすることにより、または通路132内のオイルの存在を検出することにより決定する。そのようなパラメータは、オイルが通路132内に汲み出される率(速度)であってもよい。
【0074】
1つのタイプのセンサユニットの構成を、ここで図32を参照して記述する。センサユニットは、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054へ、ワイヤ1056を介して接続されている2つのメタルプレート1050、1052から構成されているセンサを備える。メタルプレートは、キャブレタ126とシリンダ120の間であって、オイル通路142に下流の通路132内に位置している。信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は、信号をプレート1050、1052に送り、2つのプレートの容量を決定する。容量は、空気を含むガソリンと潤滑オイルから構成されている、プレート1050、1052間の物質により決まる。潤滑オイルの量が変化すると、プレートの容量も変化する。この容量は、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054により解析されて、容量が所定の限界を超えていれば、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は信号を電子点火システムに提供する。
【0075】
エンジンは、電子点火システムにより制御される。センサユニット140は、通路132内に汲み出されているオイルの量についての信号を電子点火システムに提供する。オイルタンクが空のために、またはオイルパイプ142内に障害(物)があるために、またはポンプに欠陥があるために不十分な、または過度の、またはまったくオイルが通路に送られないときは、センサユニット140は、信号を点火システムに送る。そして点火システムは、点火システムの設定に従って、エンジンをアイドルモードにするか、エンジンを完全に止めてしまうかのいずれかを行う。これにより、適切な量の潤滑オイルが、2ストロークエンジン内で燃焼される前に、常にガソリンに追加されることが確実になる。
【0076】
センサユニット140は、センサユニット140内に組み込まれている信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054を有するものとして記述されてきたが、信号ジェネレータ/信号プロセッサ1054は、電子点火システム内に組み込み、センサユニットはセンサのみを備えるということも可能であることは、この明細者を読む者には理解されるであろう。
【0077】
オイルおよびガソリン管理システムの第2設計を、ここで図を参照して記述する。
【0078】
図33を参照すると、2ストローク内燃機関は、回転可能クランク114に接続されているピストン1000がスライド可能に搭載されているシリンダ120を備える。シリンダ120内のピストン1000の往復運動は、よく知られた方法でクランクシャフト114の回転運動を引き起こす。ピストンの運動は、シリンダ内の空気を含むガソリン/オイルの混合物を燃焼することにより引き起こされ、その燃焼の点火は、スパークプラグ730の点火により引き起こされる。エンジンは、よく知られている方法で混合物を燃焼して、出力軸に接続されているクランクシャフト114の回転運動を生成する。排気ガスは、エンジンから排気部146を通して周囲の大気に放出される。エンジンは、よく知られている方法で、プルコードを使用してスタートさせる。エンジン速度は、キャブレタ126がエンジンに提供する空気を含むガソリン/オイルの混合物の量により決定され、その結果、オペレータがトリガースイッチ1070を押す量に関係している。
【0079】
動力式カッターは、ガソリンタンク124を備えており、ガソリンタンク124には、2ストローク内燃機関24を駆動するためのガソリンが入っている。ガソリンは、タンク124から通路144を介してキャブレタ126を通過し、シリンダ120に送られて、そこで燃焼される前に、キャブレタ126内で、エアフィルタ890からの空気と混合される。第2タンク128もまた図示されているように本体内に搭載され、第2タンク128内には潤滑オイルが含まれている。オイルは、オイルポンプ700を介してタンク128から汲み出される。オイルポンプ700は、線で示されているオイル通路142を通して、ポンプ130を介してオイルをオイルタンク128から汲み出して、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内に送り込み、オイルは、例えば、スプレーまたは霧状の適切な形状で、キャブレタ126により生成された空気/ガソリンの混合物と混合される。
【0080】
センサ140は、キャブレタ126とシリンダ120の間の通路132内に搭載されている。センサは、ガソリン/空気の混合物に追加されているオイルの量を監視し、電気ケーブル701を介して、通路132内のオイルの量を示す信号を電子コントローラ716へ送り返す(図34参照)。電子コントローラは、信号を処理して、オイルの量が所定のパラメータに従っているか否かを決定する信号プロセッサを備えている。電子コントローラがオイルが十分な量だけ供給されていないと判断すると、電子コントローラは、エンジンをアイドルモードにするか、またはエンジンを完全に止めてしまう。
【0081】
そのようなセンサは容量タイプであってよく、それによりセンサは2つのプレート間の容量の変化を監視し、ここにおいて、容量はガソリン/空気の混合物内にあるオイルの量の関数である。そのようなセンサは、図32を参照して前述してある。
【0082】
キャブレタ126を、ここで図47を参照して記述する。キャブレタの設計は、図31を参照して前述したキャブレタと類似している。同じ機能がある場合は、同じ参照番号を使用している。
【0083】
図31に開示されたキャブレタと、図47のキャブレタの間の主な相違は、キャブレタに対してチョークとして機能する第1回転プレート1046が除去されていることである。その代わりに第3通路1100が追加されている。第3通路1100は、ソレノイド弁1102を介して第2チャンバ1014に接続されている。第3通路1100の他端は、狭部1008の下流の空気通路1004と接続されている。ソレノイド弁1102は、ソレノイド714とピン1106を備えている。ピンは、ピン1106の先端が、第3通路1100内の狭窄部1108に係合して第3通路1100を閉鎖する第1位置と、先端が、狭窄部1108から離れて位置して、第3通路1100を開く第2位置の間で、軸方向にスライド可能である(矢印M)。ピン1106は、その第1位置に付勢される。電流の供給によるソレノイドの起動により、ピン1106は付勢力に対抗して、第1位置から第2位置へ移動して第3通路1100を開く。電流を除去しソレノイド714の起動を停止することにより、ピン1106は付勢力の影響のもとで、第2位置から第1位置へ移動して第3通路1100を閉じる。
【0084】
通常の動作においては、キャブレタは、図31を参照して記述したキャブレタと同じ方法で機能する。ソレノイド714には電流は供給されず、ピン1106は狭窄部1108と係合して、第3通路1100を閉鎖する。しかし、エンジンが冷えているときは、電流をソレノイド714に供給して、それにより、ピン1106を狭窄部から離れるようにスライドさせて第3通路1100の閉鎖を解除でき、それにより、ガソリンを第3通路1100を通して空気通路1004に入れることができる。これにより空気通路1004から出ていく、空気を含むガソリン内の空気の量に対するガソリンの量を増加することができ、エンジンが冷えているときに、エンジンをスムーズに作動することが可能になる。エンジンがいったん暖かくなれば、ソレノイド714を、ソレノイド714への電流を除去することにより切ることができ、それによりピン1106を狭窄部1108に向けてスライドさせて第3通路を閉鎖し、更なるガソリンが通過することを防止する。
【0085】
第3通路1100に追加して、空洞チャンバ1034と空気通路の間に接続されている第4通路1110がある。この通路は、2つの間に空気通路を提供する。空気通路1004内の空気圧が増加または減少すると、これらの増減は空洞チャンバ1034に伝達される。そしてこれらの増減は、第2チャンバおよび空気通路1004へのガソリンの流量に影響を与えるダイヤフラム1032を介して、第2チャンバ1014へ伝達される。第4通路1110は、キャブレタの性能を改善するフィードバック機構として作用する。
【0086】
ソレノイドは、エンジンが冷えているときに使用されて、より豊富なガソリンが含まれている空気/ガソリンの混合物を提供してエンジンのスタートを支援する。エンジンが暖かくなれば、ソレノイドは切られる。エンジンの温度は、エンジンブロック上に位置しているセンサ710により測定される。ソレノイド714は、キャブレタの既存の設計上のチョークと置き換えて使用され、それにより、エンジンが冷えているときにエンジンをスタートさせるために、オペレータが弁を手動で調整できるようになる。電子コントローラ716は、エンジンの温度に関係してソレノイドを作動する。
【0087】
類似の方法でソレノイドを使用するキャブレタの代替の設計は、米国特許第7,264,230号において見られる。これは、図47を参照して前述した設計と置き換えて使用できる。米国特許第7,264,230号のキャブレタは、ソレノイドを使用して空気ブリード通路を開閉する。空気ブリード通路を通って空気は流れる。
【0088】
第2の代替設計を、ここで図48を参照して記述する。キャブレタ126を、ここで図48を参照して記述する。キャブレタの設計は、図31を参照して前述したキャブレタと類似している。同じ機能が存在するときは、同じ参照番号を使用してある。
【0089】
図31で開示されたキャブレタと、図47のキャブレタの間の主な相違は、キャブレタに対してチョークとして作用する第1回転プレート1046が除去され、加熱要素1200と置き換えられていることである。エンジンが冷えているときは、加熱要素1200のスイッチが入れられ、空気流がキャブレタを通過するときに空気流を加熱する。これにより、加熱された空気を含むガソリンが提供され、容認される作動温度に達するまで、エンジンがスムーズに作動することを可能にする。加熱要素1200は、電子コントローラ716により制御できる。加熱要素1200は、前述したものと置き換えることができる。
【0090】
キャブレタ126の第3代替設計は、図31を参照して前述したキャブレタを使用することである。しかし、チョークとして作用する第1回転プレート1046の運動を、ボーデン(Bowden)ケーブルを手動で使用して制御する代わりに、ソレノイドを使用して制御し、ソレノイドは電子コントローラ716により制御される。
【0091】
エンジン点火システムは電子コントローラ716により制御され、その機能は図34を参照して下記に、より詳細に記述する。
【0092】
クランクシャフト114の端部上には、フライホイール702が搭載されており、フライホイール702は、インペラ(羽根車)を形成する多数のメタルフィン704を含んでいる。フライホイール702が回転すると、インペラは、エンジンの外側の周りに空気を吹き付ける。インペラ702に隣接して、2つのジェネレータ706、708がある。この2つのジェネレータは、磁石と、回転するフライホイール702により引き起こされるインダクタンスの変化を利用して電気を生成する。フライホイール702が回転することにより、ジェネレータ706、708は電気を生成する。第1ジェネレータ706は、エンジンの点火システムと、電子コントローラ716に電気を提供するために使用される。第2ジェネレータ708は、オイルポンプ700と、キャブレタ内のソレノイド714に電気を提供するために使用される。両者は、ケーブル717を介して電子コントローラ716に接続されている。
【0093】
フライホイールに隣接して、2つのセンサ710、712も搭載されている。第1センサ710は、エンジンブロックの温度を監視して、温度を示す信号を電気ケーブル711を介して電子コントローラ716に送る。第2センサ712は、フライホイール702の角度位置を監視して、電気ケーブル713を介して、フライホイール702の角度位置を示す信号を、電子コントローラ716に送り返す。この信号は、電子コントローラ716により、その角度位置と共に、フライホイール702の回転速度を決定するためにも使用できる。
【0094】
オイルポンプ700は、電動オイルポンプ700であり、その電力は、電気ケーブル715を介して、電子コントローラ716により供給される。オイルポンプは図35に示されている。
【0095】
このタイプのオイルポンプは、欧州特許第1236894号に記載されている。図35を参照すると、オイルポンプはピストン850を備えており、ピストン850は、停止機構1204により決定される軸方向の運動の限界範囲で、ハウジング1202内で軸方向にスライド可能である。バネ854は、ピストン850を所定の位置に付勢する。チャンバ852は、ピストン850の下方に位置している。ソレノイド1206はピストンを取り囲み、電流が供給されると、ピストンを軸方向に移動する。ピストン850は、バネ854により矢印Rの方向に付勢される。ソレノイドの起動によりピストンは、バネ854の付勢力に対抗して矢印Rとは反対方向に移動する。通路1208が、ピストン850を通して形成されている。オイルは、入口1210を介して通路内に供給される。ボールベアリング1212とバネ1214を備える第1弁が、通路1208の端部とチャンバ852の間に位置している。ボールベアリング1216とバネ1218を備える第2弁が、チャンバ852のベース間に位置している。ピストンが、バネ854の付勢力により矢印Rの方向に移動しているときにチャンバ852を拡大し、第1弁は開き、第2弁は閉じ、チャンバをオイルで満たす。ピストンが、ソレノイド1206の起動により矢印Rとは反対方向にあるときは、チャンバ852のサイズを縮小して、第1弁は閉じ、第2弁は開き、チャンバ852からオイルを出口1220を通して放出する。
【0096】
オイルポンプ700は、オイルポンプに正方形電圧信号892を送る電子コントローラ716により駆動される(図45A参照)。電圧がV1のとき、ポンプのピストン850は移動させられ、オイルチャンバ852のサイズを縮小する。これにより、予め設定されたオイルの量が、チャンバ852から汲み出される。電圧が「0」のときは、ピストンはバネ854によりその開始位置に戻り、チャンバ852を拡大して、チャンバ852がオイルで満たされるようになる。正方形電圧信号892の周波数が高いほど、オイルポンプ700は単位時間に、より多くのオイルを汲み出す。オイルポンプは、2つの速度(第1速度は図45Aに示され、第2速度は図45Bに示され、正方形電圧信号892の周波数、従って、ピストン850の動きは2倍になっている)で作動可能であり、その全体の動作を下記に、より詳細に記述する。
【0097】
スパークプラグ730は、ケーブル732を介して電子コントローラ716に接続されている。スパークプラグの点火は、電子コントローラ716により制御される。
【0098】
プライマー734は、動力式カッターのハウジング800の後部壁736上に搭載されている。プライマーは手動ポンプである。パイプ738は、ガソリンタンク124からプライマー734に接続されている。第2パイプ740は、プライマーからキャブレタ126に接続されている。プライマーがどのように機能するかの原理を、図36を参照してここで簡単に記述する。プライマーは、直列に位置している2つの弁742、744から構成されており、この弁により、ガソリンがこの弁のみを通して一方方向に流れることが可能になる(矢印AとBにより示されている)。2つの弁742、744の間には、動力式カッターのユーザによりアクセス可能な壁を形成するラバードーム746を有するチャンバ750が位置している。1つの弁742は、ガソリンがチャンバ750に入ることのみを可能にし、他の弁は、ガソリンがチャンバ750から出ることのみを可能にする。プライマーを使用するために、オペレータはラバードーム746を圧縮する(断続線748により示されている)。これにより、弁の間に形成されているチャンバ750内の体積を減少し、従って、ガソリンを含むことができる空間の体積を減少する。このように、第2弁742が閉じたままになっているので、ガソリンはプライマーから1つの弁744を通して放出され、ガソリンが弁742を介してチャンバ750から出ることが防止される。オペレータがドーム746を解放すると、チャンバ750の体積は増加し、ガソリンは、第1弁744が閉じたままになっているので、第2弁742を通してチャンバ750内に吸引され、ガソリンが、弁744を通してチャンバ750に入ることが防止される。ドーム746の圧縮と解放を繰り返すことにより、ガソリンはプライマー734を通して汲み出される。プライマーは、オペレータがガソリンをタンク124からキャブレタ126へ、パイプ738、740を通して汲み出すことができるように配置されている。
【0099】
プライマーの目的は、オペレータがガソリンをキャブレタに送ることができるようにすることである。そうでなければ、オペレータは、十分な量のガソリンがキャブレタ126内に吸引されるまで、何回もプルコードを使用して、エンジンを回転することが必要となる。
【0100】
DECO弁752が、シリンダ120の側面上の搭載されている。弁752は、エンジンをスタートする前に、オペレータにより手動で開かれる。DECO弁752が開かれると、DECO弁752は点火の前に、シリンダ120内の圧力を減少する。これにより、ガソリン/空気の混合物の必要な圧縮量が減少するので、プルコードを使用してエンジンをスタートすることがより容易になる。エンジンがスタートすると、DECO弁は自動的に閉じる。
【0101】
電子コントローラ716は、回転可能ノブ758の形状のオン/オフスイッチ754を有している。このスイッチは、電気ケーブル756を介して電子コントローラに接続されている。
【0102】
ポインタ764としてのノブ758は、その周辺部において一体的に形成されている。回転可能ノブ758は、2つの角度位置を有しており、その間で回転できる。第1位置においては、スイッチはONである。この位置において、ポインタ764はONラベル762(図1参照)を指し示している。第2位置においては、スイッチはOFFである。この位置においては、ポインタ764はOFFラベル760を指し示している。回転可能ノブがON位置のとき、オペレータはエンジンをスタートすることが可能で、動力式カッターを使用できる。回転可能ノブ758がOFF位置のときは、エンジンをスタートすることはできない。エンジンの作動中に回転可能ノブ758がONからOFF位置へ移動されると、エンジンは自動的に止まる。
【0103】
安全ボタン766が、ノブ758の中心に位置している。エンジンが作動しているとき(つまり、ノブがON位置)に安全ボタン766を押すと、エンジンは止まる。そしてノブ758は自動的にOFF位置に戻る。安全ボタンが押された後に、ノブ758がOFF位置に戻るのを妨げられると、エンジンは、ノブ758がOFF位置まで戻ることができるまでは、スタートすることができない。
【0104】
ノブ758と安全ボタン766を含む、ON/OFFスイッチ754用アセンブリの構成をここで記述する。
【0105】
ON/OFFスイッチアセンブリは、回転可能ノブ758と、クランク768と、スイッチカムと、安全ボタン766から構成されている。
【0106】
クランク768は、ハウジング800の後方壁736内に堅固に固定されており、回転できないようになっている。クランク768は、マイクロスイッチ774(図49C参照)が堅固に搭載されているソケット772を備えている。
【0107】
クランク768の外側には、ノブ758が回転可能に搭載されている。クランク768の内側には、スイッチカム770が回転可能に搭載されている。ボルト778が、ノブ758内に形成されている管状凹部776の底部を通過し、スイッチカム770にネジで堅固に取り付けられている。ボルト778のヘッドと、凹部776の底部の間には、バネ780が挟まれている。ボルト778とバネ780は、ノブ758とスイッチカム770をクランク768上に保持し、バネがボルト778のヘッドを、凹部776の底部から遠ざけるように付勢しているとき、それらをお互いに向かうように付勢する。ノブは、クランク768に対して、制限された移動範囲(ONとOFF位置の間)で回転できる。位置の範囲は、ハウジングの後部壁736のエッジに形成されている凹部788と係合しているノブの下側に形成されているペグ786により制限される。スイッチカム770もまた、クランク768に対して、制限された移動範囲で回転できる。追加的に、スイッチカム770はボルト778の縦方向軸に平行な方向において、制限された移動範囲で、クランク768に対して軸方向にスライドでき、その範囲は、凹部776内のボルト778の長さにより制限されている。ボルト778は、スイッチカム770と共に回転およびスライドする。
【0108】
安全ボタン766は、ノブ758内に形成されている管状凹部776内に搭載されており、凹部776内に位置しているボルト778の端部とバネ780を取り囲んでいる(図40参照)。安全ボタン766は凹部776内を、スイッチカム770に向かうように、またはそこから遠ざかるように、軸方向にスライドできる。安全ボタンの軸に沿う外側方向への移動範囲は、ストッパ782により制限されており、ストッパ782はそれぞれノブ758の内部ステップと係合している。ボルト778のヘッドは、安全ボタン766の下側に直接接している。安全ボタンを押すと、ボルト778は、底部を通して押され、バネ780を圧縮し、スイッチカム770をクランク768とノブ758から遠ざけるように移動する。
【0109】
ノブ758とクランク768の間には、長いヘリカルバネ784が接続されている。ヘリカルバネ784は、図41において最もよく分かるようにノブ758の下側に形成されている円形チャネル790内に位置している。一端が、チャネル790の端部において壁792に接している。他端は、クランク772上に形成されているストッパ(図示せず)に接している。バネ784は、クランクに対して、ノブ758を、そのOFF位置へ回転的に付勢する。
【0110】
図43と44において最もよく分かるように、スイッチカム770とクランク768の間には、板バネ794が接続されている。板バネ794の一端は、小さなボルト796を使用してスイッチカム770に接続されている。他端は、クランク768上のストッパ798に接している。板バネ794は、クランクに対して、スイッチカム770をOFF位置へ回転的に付勢する。
【0111】
ノブ758の下側には、2つのランプ(傾斜部)820が形成されており、各ランプは、図41において最もよく分かるようにランプ端822を有している。ノブ758に面しているスイッチカム770の側には、ランプ凹部824が形成されており、ランプ凹部824は図9において最もよく分かるように凹端部826を有している。スイッチアセンブリがOFF位置のとき、つまり、ノブ758とスイッチカム770の両者がそれぞれのバネ784、794の付勢力のもとでそのOFF位置にあるときは、2つのランプ820のそれぞれは、対応するランプ凹部824内に位置しており、各ランプ820のランプ端822は、対応するランプ凹部824のランプ凹端部826に対して直接接している。
【0112】
クランク768の下側には、2つのクランクランプ828が形成されており、それぞれのランプ828は、図39Cにおいて最もよく分かるようにクランクランプ端部830を有している。ノブ758に面しているスイッチカム770の側には、スイッチカムクランクランプ832が形成されており、スイッチカムクランクランプ832は図40において最もよく分かるようにスイッチカムクランクランプ端部834を有している。スイッチアセンブリがOFF位置のとき、つまり、ノブとスイッチカム770の両者が、それぞれのバネ784、794の付勢力のもとでそのOFF位置のときは、2つのスイッチカムクランクランプ832のそれぞれは、図39Cに示されているように、対応するクランクランプ828の下端部(クランクランプ端部830から遠ざかる方向のクランクランプ828の端部)に対して位置している。
【0113】
スイッチカム770のエッジの周りには、図39Aと39Bにおいて最もよく分かるように周辺カム836が形成されている。マイクロスイッチ774は、マイクロスイッチ774の本体から突出するピン838を備えている。ピン838は、マイクロスイッチ774の本体内へ、または本体から出るように軸方向にスライド可能であり、マイクロスイッチ774内のバネ(図示せず)により最も外側の位置に付勢される。ピン838は周辺カム836と係合する。スイッチカム770の回転により、ピン838が周辺カム836に沿ってスライドし、それにより、バネの付勢力に対抗してマイクロスイッチ774の本体内に押し込められるか、またはバネの影響下で、マイクロスイッチ774の本体から出るようにスライドできる。スイッチカム770がそのOFF位置のときは、図8Aに示されているように、ピンは、マイクロスイッチ774の本体内に押し込まれる。スイッチカムがそのON位置に回転されたときは、ピン838は、図39Bに示されているように、その最も外側の位置まで延伸する。
【0114】
ON/OFFスイッチに対するアセンブリがどのように作動するかをここで記述する。
【0115】
最初に、ノブ758とスイッチカム770は両者ともそのOFF位置にある。動力式カッターのオペレータは、ON/OFFスイッチを使用してユニットのスイッチを入れることを所望する。オペレータは、手を使って、ノブ758をそのOFF位置からON位置へ回転する。ノブ758が回転すると、回転運動がノブ758からスイッチカム770へ各ランプ820のランプ端822により伝達され、各ランプ820は、それが接している各対応するランプ凹部824のランプ凹端部826を図40における矢印Mの方向に押し、それにより、スイッチカム770はノブ758と共に回転するので、スイッチカム770が調和して回転する。スイッチカム770が回転すると、2つのスイッチカムクランクランプ832は、最初は、クランクランプ828の下端部に対して位置しているが(図39Cに示されている)、静止しているクランクランプ828を上方にずり上げる(図39Dに示されている)。スイッチカムクランクランプ832が、スイッチカム770の回転によりクランクランプ828を上方にずり上げると、スイッチカム770は、ノブ758から遠ざかるように(図40における矢印Nの方向)軸方向に強制的にスライドさせられ、バネ780を圧縮し、ボルト778のヘッドを、凹部776の底部へ向けて移動する。スイッチカムが、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834が整列するように十分に回転すると、スイッチカム770は、バネ780の付勢力のもとでノブ758に向けて軸方向にスライドし、図39Eに示されているように、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接することを確実にする。図39Eに示されているように、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接すると、スイッチカム770はそのON位置になり、板バネ794の影響下で、そのOFF位置に戻ることが妨げられるが、これは、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに押し合って、お互いの運動が妨げられるからである。ノブ758は、バネ784に打ち勝つバネ780の作用によりランプ凹部824内に保持されているランプ820により、バネ784の影響下で、そのOFF位置に戻ることが妨げられる。スイッチカム770がOFF位置(図39A参照)からON位置(図39B)に回転すると、周辺カム836が回転し、それによりピン838がマイクロスイッチ774の本体から延伸することが可能になる。これにより、電子コントローラ716が動力式カッターを起動して、プルコードが引っ張られたときに動力式カッターをスタートすることを可能とする接続が形成される。
【0116】
そのため、ON/OFFスイッチのアセンブリは今はONであり、ノブ758とスイッチカム770の両者がON位置にあり、それにより、ピン838がマイクロスイッチ774の本体から延伸することが可能になる。ON/OFFスイッチアセンブリをそのOFF位置に切り替える方法は2通りある。
【0117】
第1の方法は、安全ボタン766を押すことである。安全ボタン766を押すと、ボルト778のヘッドがノブ758の凹部776の底部に向けてスライドし、バネ780を圧縮し、それにより、スイッチカム770がノブ758から遠ざかるように軸方向にスライドする。スイッチカム770が軸方向にスライドすると、スイッチカム770は、クランク768から遠ざかるように移動し、それにより、クランクランプ828とスイッチカムクランクランプ832はお互いから遠ざかるように移動し、そのため、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834が切り離される。そのため、スイッチカム770は、板バネ794の影響下で、そのOFF位置に回転して戻ることができる。ノブは、ランプ凹部824内に保持されているランプ820によりそのON位置に保持されているので、ノブ858もまた、ランプ凹部824がスイッチカム770と共に回転するときに、そのOFF位置に戻る。ランプ820が、ノブ758に対してのスイッチカム770のスライド運動によりランプ凹部824から切り離されると、ノブ758は、ノブ758とクランク768の間のバネ784の影響下で、そのOFF位置に戻る。
【0118】
ON/OFFスイッチアセンブリをOFFに切り替える第2の方法は、ノブ758を回転することである。オペレータは、ノブ758をそのOFF位置まで回転する。ランプ820はランプ凹部824内に保持されているので、ノブ758の回転は、スイッチカム770の回転を引き起こす。しかし、スイッチカム770は、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834がお互いに接しているので、その回転が妨げられる。従って、ランプ820は、ランプ凹部824から出るようにスライドし、ランプ端部822はランプ凹端部826から遠ざかるように移動する。ランプ820がランプ凹部824から出るようにスライドすると、回転を妨げられているスイッチカム770は、ランプ820とランプ凹部824のカム作用により、ノブ758から遠ざかるように軸方向にスライドする。スイッチカム770がノブ758から十分に離れるまでスライドすると、クランクランプ端部830とスイッチカムクランクランプ端部834はお互いから離れるようにスライドして、お互いから切り離される。このようにして、スイッチカム770は、板バネ794の影響下で、そのOFF位置まで回転することができる。ノブ758は、オペレータおよび/またはバネ784の影響下で移動する。そのため、ノブ758とスイッチカム770の両者は、OFF位置に戻り、そこでバネ784、794により保持される。
【0119】
ノブとスイッチカム770の両者がOFF位置まで戻ると、ランプ820はランプ凹部824と係合して、それによりスイッチを再び使用して、動力式カッターのスイッチを入れることができるようになる。
【0120】
動力式カッターの動作をここで記述する。
【0121】
まず、オペレータはDECO弁752を起動して、プライマー734を使用して、いくらかのガソリンをキャブレタ126の中へ汲み出す。そして、オペレータはノブ758をON位置に回転することにより、ON/OFFスイッチをONにする。そしてオペレータはプルコードを引っ張り、エンジンのクランク114を回転する。クランク114が回転するとフライホイール702もまた回転して、それにより2つのジェネレータ706、708は、動力式カッターを作動するための十分な電気を生成する。
【0122】
電子コントローラは、センサ710を使用してエンジンの温度をチェックする。エンジンが冷えていれば、第2ジェネレータ708からの電気を使用して、キャブレタ内のソレノイド714に電力を供給して、「自動チョーク」を設定する。第2ジェネレータ708は、ポンプ700とソレノイド714の両者に同時に電力を供給するのに十分な能力は有してない。従って、電子コントローラ716がソレノイド714を作動しているときは、オイルポンプ700のスイッチを切る。エンジンが損傷を受ける前の、潤滑オイルが必要でない期間は、エンジンを暖めるのに必要な時間よりも長いことが判明した。
【0123】
電子コントローラはスパークプラグに電力を供給して、エンジン内の燃焼を引き起こし、その電力は第1ジェネレータ706により提供され、そのタイミングは、フライホイール702の角度位置に関連してセンサ712により提供される信号に基づいて、電子コントローラ716により決定される。
【0124】
いったんエンジンが点火されると、DECO弁は自動的に閉じる。電子コントローラ716はエンジン温度の監視を続け、温度が所定の温度に到達すると、電子コントローラ716はキャブレタ126内のソレノイド714のスイッチを切る。そして、電子コントローラ716は、正方形電圧信号をオイルポンプへ供給し始め、オイルの汲み出しを開始する。電子コントローラは、フライホイール702の角度位置を監視するセンサ712から提供された信号を使用してエンジン速度を監視して回転速度を計算する。回転速度が所定値よりも低いときは、電子コントローラ716は信号(図35A)をオイルポンプ700に送り、低速での汲み出しを行わせる。回転速度が所定値よりも高いときは、電子コントローラ716は信号(図35B)をオイルポンプ700に送り、より高速での汲み出しを行わせる。エンジンの速度は、オペレータがケーブルを介してキャブレタに接続しているトリガースイッチを絞ることに関連している。
【0125】
エンジンが作動中は、電子コントローラ716はセンサ140を使用して、ガソリン/空気の混合物へ追加されているオイルを監視する。センサ140が、オイルポンプ700により汲み出されているオイルの流量が所定量より下がった(例えば、オイルパイプ142に障害物がある、またはタンク128が空)ことを示す信号を送ると、電子コントローラは、点火システムを使用してエンジンをアイドルモードにし、それによりエンジンは作動するが、最小速度で作動する。
【0126】
エンジンコントローラは、クランクシャフトの角度位置に対するスパークプラグの点火のタイミングを変えるか、またはクランクシャフトの回転数に対するスパークプラグの点火数を変えることにより、エンジンをアイドルモードにすることができる。エンジンコントローラは、クランクシャフトの2回または3回の回転毎にスパークを点火することができ、例えば、エンジンが通常の作動中の場合のように、スパークプラグが毎回転毎に点火されるときの半分または1/3の動力のみを提供することができる。
【0127】
オペレータは、センサ140がオイルの流れを検出するまでは、トリガースイッチ1070を使用してエンジンの速度を上げることはできない。これにより、エンジンが、潤滑油の欠乏により損傷を受けることが防止される。エンジンは、エンジンが損傷を受ける前にかなりの長い期間アイドルモードで作動できるということが判明した。
【0128】
本明細書を読めば、エンジンをアイドルモードにすることの代替として、エンジンを完全に切ることもできるということは理解されよう。その場合は、電子コントローラ716は、オイルがセンサにより再び検出されるまで、エンジンがスタートされないことを確実にする。
【0129】
オペレータが動力式カッターを止めるために、オペレータは安全ボタン766を押すか、ノブ758をそのOFF位置まで回転する。
【0130】
オイルが空気を含むガソリンに供給されているかを感知する、前述したシステムの代替システムをここで記述する。この代替設計においては、センサ140が除去され、その代わり、エンジンの作動中にオイルポンプ700へ供給されている電流が監視されて、オイルがオイルポンプにより汲み出されているかが判断される。
【0131】
図46A、46Bおよび46Cを参照すると、図46Aは、オイルポンプ700に供給される電圧を示し、図46Bは、オイルポンプが汲み上げ動作はしてはいるが、オイルがまったく汲み上げられていないときのオイルポンプ700へ供給される電流を示し、図46Cは、オイルポンプがオイルを汲み上げているときのオイルポンプへ供給される電流を示している。オイルポンプ700は、低速で作動している。
【0132】
線900により示されている正方形波電圧V1は、図46Aに示されているように、オイルポンプへ供給される。オイルがオイルポンプ700を通して汲み上げられているときは(図46C参照)、線902により示されている電流は、加えられている電圧がV1に上昇するt0におけるゼロから上昇を開始し、I1に向けて増大する。I1に到達すると、電流量は、再びl1に増大する(906)前に低下する(904)。電流は、t3秒において再び上昇し始める前に、t2秒後において低下する。オイルポンプ700内のピストン850が、ソレノイド1206によりその最大行程距離に到達し、そしてその最大行程距離において、ピストン850の衝撃により少し跳ね返されるときに電流の低下が起きる。しかし、オイルがオイルポンプ700によりまったく汲み上げられていないときであって、しかしポンプは依然として作動しているときは、オイルポンプ内のピストン850の移動速度は、抵抗がより少ないために増大する。そのため、最大移動距離により早く到達する。従って、図46Bに示されているように、電流値が低下(908)する前により小さな電流値I2に到達し、再びI1に向けて上昇(910)する。更に、電流が低下(908)して、再び上昇(910)する前は、オイルポンプ700がオイルを汲み上げていたときよりもより少ない時間で済む。電子コントローラ716内の信号プロセッサは、電圧パルスの開始に対して電流がいつ低下し始めるかと、その時点における電流値を監視することができ、それにより、ポンプがオイルを汲み上げているか否かを判断できる。オイルを汲み上げていないときは、電子コントローラはエンジンをアイドルモードにできる。
【0133】
燃料キャップの構成を、ここで図20から23を参照して記述する。
【0134】
ガソリンタンク124は、図19に概略を示しているように、ユニットの本体内に搭載される。ガソリンタンク124は、図2に示されているように、燃料キャップ13により封止される。
【0135】
燃料キャップは内部キャップ202と、クラッチ204と、外部キャップ206と、を備える。内部キャップは、その一端210が封止されている管状の構成である。側壁212の内部表面上にはネジ山208が形成されている。燃料キャップが燃料タンク上にネジで取り付けられると、ネジ山208は、燃料タンク124のネック部分の外部表面の周りに形成されているネジ山とスライドして係合する。
【0136】
端部210に隣接する内部キャップ202の内部には、シール214が位置している。燃料キャップが燃料タンク上にネジで取り付けられると、シール214により、タンクからガソリンが漏れないことが確実になる。内部キャップ2は、外部キャップ206内に位置している。クラッチ204がこの両者に挟まれている。クリップ216が内部キャップの溝218内に位置しており、外部キャップ内に形成されている内部溝220と係合している。クリップは、外部キャップの内部で内部キャップを保持し、同時に、内部キャップが外部キャップ206内で自由に回転することを可能にする。内部キャップは、内部キャップと一体的に形成されている多数の歯222を備えている。歯は、クラッチ内に形成されている対応するスロット224内に位置しており、そのため、内部キャップの回転によりクラッチ204が回転する。クラッチ204上には、複数の弾力性アーム226が形成されており、弾力性アーム226の端部上にはペグ228が搭載されている。ペグ228は、外部キャップの内部端壁230に向かって面している。壁上には、複数のリッジ232が形成されている。クラッチ上のペグは、外部キャップの中のリッジ232と協働するように配置されている。
【0137】
外部キャップ206の回転により、リッジ232がペグ228と係合し、それによりクラッチ204が回転し、その結果、クラッチ204が歯222を介して内部キャップ202を回転する。燃料キャップが燃料タンクにネジで取り付けられると、内部キャップ202はネジ山により燃料タンクのネック部分と係合し、内部キャップ202の回転は、オペレータがフィンガーグリップ234を使用して外部キャップ6を回転することにより、外部キャップ6の回転により引き起こされる。内部キャップ内に位置しているシール214が燃料タンクのネック部分の端部と係合すると、内部キャップ202は更なる回転が妨げられる。これにより、クラッチ204の更なる回転が妨げられる。しかし、オペレータが外部キャップ206に回転力を加え続けると、リッジ232はペグ228上に乗り上げられ、ペグ228の移動が、ペグ228を搭載している弾力性アーム226により可能になる。このようにして、オペレータは外部キャップを回転でき、同時に、内部キャップは静止状態を保ち、それにより、オペレータが燃料キャップを、燃料タンクのネック部分上に締め付け過ぎることが妨げられる。
【0138】
前述した任意のキャブレタ126に対する空気フィルタ処理機構をここで記述する。
【0139】
2ストロークエンジンはキャブレタ126を備え、キャブレタ126は、液体燃料を空気と混合してエンジンに動力を与える可燃性混合物を生成する。しかし、動力式カッターの動作により大量のホコリが生成され、このホコリが周囲の空気と混合する。これは、ホコリを含む空気という結果になる。キャブレタに入る空気が、ホコリを含まないことを確実にするためには、空気は、ホコリを除去するフィルタシステムを通過しなければならない。
【0140】
フィルタシステムを、ここで図23から29を参照して記述する。
【0141】
本体2の内部には、プラスチックベース318と、プリーツ(ひだ)を形成するために折りたたまれたフィルタ紙320を備えるフィルタユニット316がある。フィルタユニット316は本体2内に位置しており、そのため、プリーツ320は、動力式カッターが図1と2に示されているように格納位置のときは、垂直方向下方にぶら下がっている。
【0142】
空気は、キャブレタ126によりフィルタシステムを通して吸引される。空気は、本体2の後部上のスロット314に入り込む。空気は、フィルタユニット316の下のスペース322まで通過し(矢印G)、そして、フィルタユニット316上方のスペース324まで、フィルタ紙320を通して通過する。空気により運ばれているいかなるホコリもフィルタユニット316により捕獲され、フィルタ紙320のプリーツ内に保持される。
【0143】
そして清浄な空気はスペース324からホース326を通って、フィルタユニット316の下方のスペース322の下方に位置しているキャブレタ126まで通過する。
【0144】
オペレータが、フィルタ紙320のプリーツに捕獲されているホコリを除去できるようにするために、清浄装置が設けられている。清浄装置は、プラスチックベース330の上部に搭載されているラバーフラップ328と、プラスチックベース330の底部に取り付けられているブラシ332と、剛性アーム338を介してプラスチックベース330に取り付けられているハンドル334と、を備えている。ベース330は、フィルタユニット316の下方のスペース322内で、本体2全体にわたり幅方向にスライド可能である。この運動は、オペレータが、本体2側から離れているハンドル334を引っ張ることにより引き起こされる。2つのバネ336が、ハンドル334を本体2側に向けて付勢する。
【0145】
フィルタユニットを清浄するために、オペレータはハンドル334を引っ張り、ベース330を、矢印Hの方向に本体2の幅方向全体にわたって移動し、そしてハンドル334を解放して、バネ336の付勢力により反対方向に戻れるようにする。
【0146】
ベース330が幅方向全体にわたってスライドすると、図25において最もよく分かるように、ラバーフラップ328はプリーツ320を係合し、プリーツ320のホコリをたたく。ホコリは、フィルタユニット316の下方のスペース322のベース340に落ちる。
【0147】
ブラシ332は、スペース322のベース340と、スライドして係合する。ブラシ332は、移動方向に依存して、ホコリを一方または他方側へ払い落す。アパチャー344が、本体2の一方の側上に形成されている。ブラシが本体の側部に近づくと、ブラシは、ベースに沿って掃き集められたホコリをアパチャーを通して押し、本体2から外に出す。
【0148】
図4は、プリーツ320の方向に直交して移動するフラップ28を示しているが、当業者であれば、図26に示されているように、フィルタ紙320を回転して、プリーツが、フラップ328のスライド運動の方向と平行に動くようにできるということは理解されよう。そのような状況においては、ラバーフラップ28は、複数のブラシ342と置き換えることができる。
【0149】
後部ハンドルの構成を、ここで図1と2を参照して記述する。
【0150】
動力式カッターの本体は、堅固にお互いが接続されている多数のプラスチッククラムシェル(二枚貝状外殻)から構成され、プラスチックケースの形状に構成されている。後部クラムシェル430は、後部ハンドル6に接続されている。動力式カッターの現在の設計においては、後部ハンドル6は後部クラムシェル430と統合されている。しかし、ハンドル6が壊れたときは、クラムシェル430全体を交換する必要がある。ハンドルが壊れることはよくあることなので、全体を交換することを回避することが望ましい。
【0151】
従って、本発明における後部ハンドル6は、後部クラムシェル430(または本体2)のハンドルとは分離したものとして構成されている。
【0152】
後部ハンドル6は、別個の単一クラムシェル431から構成され、単一クラムシェル431は、その上部432において2つの点434で、そしてその底部において単一の点436で接合されている。3つの点434、436のそれぞれは、プラスチッククラムシェル430内にネジで取り付けられるボルトを使用して接合される。振動減衰材料をボルトと連携して使用して、本体2からハンドル6へ伝送される振動量を減少することができる。そのような振動減衰材料を使用すると、3つの点のそれぞれにおいて、後部クラム430に対してハンドル6の運動を制限できる。この運動は直線的であっても、回転的であってもよい。そのような構成の1つでは、ボルトを振動減衰材料で取り囲み、振動減衰材料を、ボルトと後部ハンドル6のクラムシェルの部品の間で挟む。
【0153】
後部ハンドル6の上部432は、クロスバー(横棒)の形状である。その形状は、ハンドルの上部432をクラムシェル430の後部に締め付けるボルトがお互いが整列するような形状であり、それにより、後部ハンドル6に対して回転軸440が提供され、後部ハンドル6は制限された量だけ回転軸440の周りを回転できる。
【0154】
当業者であれば、ハンドルを、お互いが堅固に接続されている多数のクラムシェルから構成できるということは理解されよう。ラバーソフトグリップオーバーモールド442をより快適にするために、ハンドルに追加することもできる。
【0155】
空気フィルタ処理システムの第2実施の形態を、ここで図30を参照して記述する。
【0156】
フィルタ装置はボックス400を備え、ボックス400の中には、プリーツが付けられ、ボックス内部から、その上部から垂れ下がるフィルタ紙402が搭載されている。スペース404は、プリーツの下方に形成されている。大きなアパチャー406が、フィルタ紙の下方のボックスの側に形成されており、そこを通して、ドロワー(引出し部)408はスライド可能である。ドロワーは、フィルタ紙402直下のスペース404の中に位置しているレセプタクル(容器、貯蔵所)410を備えている。ドロワー408は、ボックスの中のネジ山付き孔414にネジ山により係合するネジ412を介して、定位置に締め付けることができる。空気は、スロット314を通って通過してボックスの中に入り、フィルタ紙402の下方のスペース404の中のレセプタクル410の中に入り、そして、フィルタ紙402を通って、フィルタ紙402の上部のスペース416の中に入り、そして、柔軟チューブ418を通って、フィルタ紙の上方のスペース416から出て、キャブレタ126に入る。ボックス400に入る空気に含まれているいかなるホコリも、フィルタ紙402により遮られる。
【0157】
2つのシステムの組合せが提案されており、本提案によれば、フィルタ紙402内のいかなるホコリも、フィルタ紙402からドロワー408の中へ振い落され、そしてドロワー408は、ホコリを空にするために取り外すことができる。
【0158】
第1システムは、上述した第1実施の形態において開示したものと非常に類似しており、ドロワー408の前端部に取り付けられているラバーフラップ420を備えている。ドロワー408がボックス400の中へ挿入されると、ラバーフラップ420は、プリーツが付けられたフィルタ紙402と係合する。ドロワー408がボックス400の中へスライドすると、ラバーフラップ420は、各プリーツのベースに連続して当たり、プリーツ上のいかなるホコリも、ドロワー408の中へたたき落す。このため、ドロワー408をボックス400の中へ挿入またそこから取り外す動作により、フィルタ紙402上のホコリは解放され、除去することが可能になる。
【0159】
第2システムは、動力式鋸の2ストロークエンジン24用のスタート12のスターターコード422を利用する。エンジンをスタートするときは、パワーコード422を回転するために、パワーコード422を引っ張る必要がある。コード422が引っ張られると、コード422はプーリーホイール424を回転し、それにより、エクセントリックピン426が、プーリー420の軸428の周りを回転する。これにより、ボックス400の一方の側が、矢印Yにより示されているように上下に振動する。ボックス400の他方の側は、動力式カッターの本体に、軸435の周りを回転するように取り付けられている。ボックス400の往復運動により、フィルタ紙402の中のホコリは、フィルタ紙402からドロワー408の中へ振い落とされる。
【0160】
各システムは、フィルタ紙402の中に捕獲されているホコリを、ドロワーの中へ落とす。オペレータが最初に動力式カッターをスタートすると、スターターコードを引っ張る動作により、フィルタ紙402が洗浄される。そして、オペレータは引き続き、ドロワー408を挿入または取り外すことにより、動力式カッターの動作中にフィルタ紙を洗浄することができる。
【0161】
当業者には、この2つのシステムを組み合わせて使用すると同時に、別個に使用でき、動力式カッターは、一方の、または他方のシステムのみを有しているということは理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力式カッターであって、
ハウジング(2)と、
前記ハウジング内に搭載されている2ストロークエンジン(24)と、
前記エンジンが作動しているときに、前記エンジンを加速できるスロットルスイッチと、
前記ハウジング上に搭載されている支持アーム(7)であって、前記ハウジングの前方に突出している支持アーム(7)と、
前記支持アームの端部上に回転可能に搭載されているブレード搭載機構(70、90、86、92)であって、前記エンジンが作動しているときに、前記エンジン(24)により回転駆動されることが可能なブレード搭載機構(70、90、86、92)と、
前記エンジンに対して、空気を含むガソリンを提供するキャブレタ(126)であって、少なくとも2つの動作モードで作動することが可能で、前記エンジンが冷えているときは第1モードで、前記エンジンが暖かいときは第2モードで作動することが可能なキャブレタ(126)と、
前記キャブレタに対して空気を提供する空気取入れ部(314)と、
前記キャブレタに対して、前記空気取入れ部から吸引した前記空気をフィルタ処理する空気フィルタ処理機構(316)と、
ガソリンを前記キャブレタに提供するガソリンタンク(124)と、
前記エンジンの前記動作により生成される排気ガスを、前記エンジンから排出する排気部(146)と、
前記エンジンの前記動作を制御する電子コントローラと、
前記動力式カッターの電気部品に電力を供給する電源と、を備え、
前記エンジン上に搭載される温度センサが設けられ、前記温度センサは、前記エンジンの温度の関数である信号を前記エンジンコントローラに提供し、
前記キャブレタは、前記キャブレタを、2つの動作モード間で切り替える電気制御コールドスタート機構を備え、
前記電子コントローラが、前記エンジンが冷えていると判断したときには、前記電子コントローラは電気信号を、前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを第1モードに変更させることを特徴とする動力式カッター。
【請求項2】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記キャブレタを第1動作モードに維持することを特徴とする請求項1に記載の動力式カッター。
【請求項3】
前記電子コントローラは、連続電気信号を前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを、第1モードに維持することを特徴とする請求項1または2に記載の動力式カッター。
【請求項4】
前記電源からの電力は、前記キャブレタが第1動作モードのときは、前記電気制御コールドスタート機構に連続して供給されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項5】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記連続信号、または前記電力の連続供給が停止したときは、前記キャブレタの前記動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに変えることを特徴とする請求項3または4に記載の動力式カッター。
【請求項6】
前記電子コントローラは、電気信号を前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを第2動作モードに変えさせることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項7】
前記キャブレタが第2動作モードのときは、前記電気制御コールドスタート機構には電力が供給されないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項8】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記電子コントローラから信号を受信すると起動される、ソレノイドを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項9】
前記ソレノイドは、前記キャブレタ内の通路を開閉するために利用され、空気および/またはガソリンの、それらの通路を通過する流量を制御して、前記キャブレタの前記動作モードを変えることを特徴とする請求項8に記載の動力式カッター。
【請求項10】
前記電子コントローラは、前記キャブレタが第1動作モードで作動している間は、ソレノイドが前記通路の開状態または閉状態を保つために、連続電気信号を前記ソレノイドに提供することを特徴とする請求項8または9に記載の動力式カッター。
【請求項11】
前記キャブレタが第1動作モードで作動している間は、ソレノイドが前記通路の開状態または閉状態を保つために、電力が前記ソレノイドに連続的に供給されることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項12】
前記ソレノイドは、前記連続信号または前記電力の連続供給が停止したときは、前記通路を開き、または閉じて、前記キャブレタの前記動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに変えることを特徴とする請求項10または11に記載の動力式カッター。
【請求項13】
前記キャブレタが第2動作モードのときは、前記ソレノイドには電力が供給されないことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項14】
前記電気制御コールドスタート機構は、加熱要素を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項15】
前記エンジンに潤滑オイルを提供するオイルタンク(128)と、潤滑オイルを前記オイルタンクから汲み出して、ガソリンと混合する電動オイルポンプ(130)と、が設けられ、前記オイルポンプへの前記電力は、前記電子コントローラにより制御されており、
前記キャブレタが第1動作モードで作動する時に、前記電子コントローラは、前記オイルポンプへの前記電力を切り、前記電源から取り出される前記電力量を減少することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項16】
前記電源は、前記エンジンにより駆動されるジェネレータであることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項1】
動力式カッターであって、
ハウジング(2)と、
前記ハウジング内に搭載されている2ストロークエンジン(24)と、
前記エンジンが作動しているときに、前記エンジンを加速できるスロットルスイッチと、
前記ハウジング上に搭載されている支持アーム(7)であって、前記ハウジングの前方に突出している支持アーム(7)と、
前記支持アームの端部上に回転可能に搭載されているブレード搭載機構(70、90、86、92)であって、前記エンジンが作動しているときに、前記エンジン(24)により回転駆動されることが可能なブレード搭載機構(70、90、86、92)と、
前記エンジンに対して、空気を含むガソリンを提供するキャブレタ(126)であって、少なくとも2つの動作モードで作動することが可能で、前記エンジンが冷えているときは第1モードで、前記エンジンが暖かいときは第2モードで作動することが可能なキャブレタ(126)と、
前記キャブレタに対して空気を提供する空気取入れ部(314)と、
前記キャブレタに対して、前記空気取入れ部から吸引した前記空気をフィルタ処理する空気フィルタ処理機構(316)と、
ガソリンを前記キャブレタに提供するガソリンタンク(124)と、
前記エンジンの前記動作により生成される排気ガスを、前記エンジンから排出する排気部(146)と、
前記エンジンの前記動作を制御する電子コントローラと、
前記動力式カッターの電気部品に電力を供給する電源と、を備え、
前記エンジン上に搭載される温度センサが設けられ、前記温度センサは、前記エンジンの温度の関数である信号を前記エンジンコントローラに提供し、
前記キャブレタは、前記キャブレタを、2つの動作モード間で切り替える電気制御コールドスタート機構を備え、
前記電子コントローラが、前記エンジンが冷えていると判断したときには、前記電子コントローラは電気信号を、前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを第1モードに変更させることを特徴とする動力式カッター。
【請求項2】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記キャブレタを第1動作モードに維持することを特徴とする請求項1に記載の動力式カッター。
【請求項3】
前記電子コントローラは、連続電気信号を前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを、第1モードに維持することを特徴とする請求項1または2に記載の動力式カッター。
【請求項4】
前記電源からの電力は、前記キャブレタが第1動作モードのときは、前記電気制御コールドスタート機構に連続して供給されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項5】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記連続信号、または前記電力の連続供給が停止したときは、前記キャブレタの前記動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに変えることを特徴とする請求項3または4に記載の動力式カッター。
【請求項6】
前記電子コントローラは、電気信号を前記電気制御コールドスタート機構に提供して、前記キャブレタの前記動作モードを第2動作モードに変えさせることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項7】
前記キャブレタが第2動作モードのときは、前記電気制御コールドスタート機構には電力が供給されないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項8】
前記電気制御コールドスタート機構は、前記電子コントローラから信号を受信すると起動される、ソレノイドを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項9】
前記ソレノイドは、前記キャブレタ内の通路を開閉するために利用され、空気および/またはガソリンの、それらの通路を通過する流量を制御して、前記キャブレタの前記動作モードを変えることを特徴とする請求項8に記載の動力式カッター。
【請求項10】
前記電子コントローラは、前記キャブレタが第1動作モードで作動している間は、ソレノイドが前記通路の開状態または閉状態を保つために、連続電気信号を前記ソレノイドに提供することを特徴とする請求項8または9に記載の動力式カッター。
【請求項11】
前記キャブレタが第1動作モードで作動している間は、ソレノイドが前記通路の開状態または閉状態を保つために、電力が前記ソレノイドに連続的に供給されることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項12】
前記ソレノイドは、前記連続信号または前記電力の連続供給が停止したときは、前記通路を開き、または閉じて、前記キャブレタの前記動作モードを、第1動作モードから第2動作モードに変えることを特徴とする請求項10または11に記載の動力式カッター。
【請求項13】
前記キャブレタが第2動作モードのときは、前記ソレノイドには電力が供給されないことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項14】
前記電気制御コールドスタート機構は、加熱要素を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項15】
前記エンジンに潤滑オイルを提供するオイルタンク(128)と、潤滑オイルを前記オイルタンクから汲み出して、ガソリンと混合する電動オイルポンプ(130)と、が設けられ、前記オイルポンプへの前記電力は、前記電子コントローラにより制御されており、
前記キャブレタが第1動作モードで作動する時に、前記電子コントローラは、前記オイルポンプへの前記電力を切り、前記電源から取り出される前記電力量を減少することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【請求項16】
前記電源は、前記エンジンにより駆動されるジェネレータであることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の動力式カッター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図39D】
【図39E】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46A】
【図46B】
【図46C】
【図47】
【図48】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
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【図27】
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【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
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【図39E】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46A】
【図46B】
【図46C】
【図47】
【図48】
【公表番号】特表2010−531950(P2010−531950A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514009(P2010−514009)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058727
【国際公開番号】WO2009/004091
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058727
【国際公開番号】WO2009/004091
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】
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