説明

半導体ウェーハの処理方法及び処理装置

【課題】洗浄等の半導体ウェーハの処理方法は大口径化に従って、エッジ部分のダメージ増加、洗浄品質維持、洗浄装置の巨大化、スループットの点で十分とは言えない。
【解決手段】半導体ウェーハの表面を撥水化する撥水工程と、酸化性ガスにより表面を親水化する親水工程とを含む半導体ウェーハの処理方法を提供する。該半導体ウェーハの例としてのシリコンウェーハの撥水化処理は、表面の酸化膜除去を行うことを含んでよい。上記親水化の際に若しくはその前にウェット化又は湿潤化工程を含んでもよい。酸化性ガスは、酸素を含むガス、水蒸気を含むガス、その他半導体ウェーハの表面を酸化できるものを含んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの表面の洗浄、乾燥、その他の表面処理方法、及び、処理装置に関し、より詳しくは、該半導体ウェーハの表面状態に応じた処理を行う方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハは、半導体デバイスのための素材であり、その物性、成分だけでなく、形状、表面粗さ、表面の化学的性質、欠陥密度等、種々の要請がある。そのため、単結晶インゴットをスライスした後、表面の研磨、その他の処理が行われる。種々の処理には、摩耗粉、コンタミ、ゴミ等が発生し、適切な洗浄が望まれる。一方、製品として出荷される半導体ウェーハは、比較的安定な表面と、通常の大気雰囲気にさらされてもその特性が変わらないものが望まれる。特に運搬を考えれば、ウェット状態のウェーハは好ましくなく、出荷時には、乾燥させておくことが望まれる。
【0003】
近年の半導体ウェーハの品質に対する要請は高く、バッチ式よりも枚葉式が好まれるが、種々の表面処理をウェット状態で行った後、乾燥のために、半導体ウェーハを高速回転させて乾燥させるスピン乾燥が採用されている。
【0004】
一方、近年の半導体ウェーハの大口径化に伴い、スピン乾燥で用いられる回転を行った場合、周速がかなり高くなり、半導体ウェーハの特性に及ぼす影響が懸念されている。図17は、半導体ウェーハをシリコンウェーハを例にして、その表面処理方法をフローチャートで示す。フローは、大きく3つのセクションに分けられる。最初が本処理とここでは呼ぶものである。そして、ウェットの状態からドライの状態まで持って行く最終処理、更には、出荷のための取出処理である。各工程の処理内容はフローの左側のボックスの中に簡単に記してある。その右側のボックスには、半導体ウェーハのその工程での表面状態が簡単に記してある。
【0005】
具体的には、まず、半導体ウェーハは、フッ酸水若しくはフッ化水素ガスにより処理され、表面の酸化膜が除去される(S2)。このとき、下地の金属シリコンが表面に現れるので、表面は、水が接触しても濡れることなく水滴を作る撥水状態となる(S2)。次に、オゾン水で表面を酸化し、表面を親水性にする(S4)。
【0006】
この状態では、表面にコンタミ等が残っているおそれがあるため、更に、フッ酸水又はフッ化水素ガスにより表面の酸化膜を除去する(S1010)。このとき、上述したように、半導体ウェーハの表面は撥水性に変えられる(S1010)。次に、再びオゾン水で、この半導体ウェーハ表面に親水性膜を作り、表面を親水性にする(S1070)。このようにすることで、フッ酸水等に入っていたコンタミや不純物が半導体ウェーハの表面に残ることなく、洗浄され得る。次に、オゾン水中のコンタミを取り除くため、超純水で洗浄するが、このときも表面は親水性である(S1080)。このままでは出荷できないため、この半導体ウェーハ表面の液体をスピン乾燥により飛散させて半導体ウェーハ表面を乾燥させることが通常行われる(S1090)。
【0007】
ところで、水膜が形成されたウェーハ上に洗浄ガス(例えば、オゾンや、フッ化水素)、を噴射し、この洗浄ガスが水膜に多く溶け込み、溶解度が高い洗浄溶液を使ってウェーハを洗浄することが、そして、更に乾燥ガス(例えば、IPA)を供給し水膜を乾燥させることが開示されている(例えば、特許文献1)。また、基板Wの表面上に処理液を接触させて液膜を形成し、処理液よりも高い温度のオゾンガスを作用させてこの基板Wを表面処理し、オゾンによる基板表面処理の反応速度を上げる発明が開示されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−305175号公報
【特許文献2】特願2003−59879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、表面を最終的に乾燥するために行われるスピン乾燥は、半導体ウェーハの大口径化に伴い、次第に困難になってきている。スピン乾燥は、遠心力を利用して表面上の液体(水分を含んでよい)を除去するもので、一定の角速度で中心からの距離rに比例して遠心力が大きくなるところ、半導体ウェーハの径が大きくなるにつれて、中心近傍と周辺近傍での遠心力の差が大きくなってくる。中心近傍の遠心力を維持しようとすると、周辺での遠心力が大きくなり、スピン乾燥に伴う半導体ウェーハのひずみが懸念される。例えば、直径が200mmの半導体ウェーハを3000rpmで回転させると外周の速度は、約30m/秒であるが、直径が300mmの半導体ウェーハ場合は、約50m/秒になる。更に、直径が450mmの半導体ウェーハ場合は、約70m/秒にもなる。このため、外周縁部のバランスがうまく取れないと、振動の原因にもなる。また、回転モーメントが半径の増大と共に大きくなるので、所定の時間に所定の回転数を維持するスピン乾燥装置では、加速トルクが増大する。そのため、モータの容量を増大する等により装置自身を大型化せざるを得なくなってきている。更に、スピン乾燥は、タクトタイムが短くないので、生産性が向上しない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウェーハの表面状態を利用し、工程の簡略化やタクトタイムの短縮化、そして、生産設備のコストダウンを狙いとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、半導体ウェーハの表面を撥水化する撥水工程と、酸化性ガスにより表面を親水化する親水工程とを含む半導体ウェーハの処理方法を提供する。ここで、半導体ウェーハは、シリコンウェーハを含んでよい。表面の撥水化処理は、半導体ウェーハの表面の酸化膜除去を行うことを含んでよい。上記親水化の際に若しくはその前にウェット化又は湿潤化工程を含んでもよい。酸化性ガスは、酸素を含むガス、水蒸気を含むガス、その他半導体ウェーハの表面を酸化できるものを含んでよい。この酸化には、酸化物を生成するだけでなく、表面物質と相互作用した結果、表面から電子を奪い取ることや、表面元素の価数を増加させることを含んでよい。親水化工程後、半導体ウェーハ表面はドライであってよい。
【0011】
より具体的には以下のものを含んでよい。
(1)半導体ウェーハの処理方法であって、前記半導体ウェーハの表面から少なくとも一部の酸化膜を除去する撥水工程と、前記半導体ウェーハの表面に液体がある場合に、該液体を除去する液体除去工程と、酸化性ガスにより前記表面の少なくとも一部に酸化膜を付与し、当該酸化性ガス流に巻き込まれる周囲気体の気体流及び/又は前記酸化性ガス流は、前記液体の不飽和蒸気圧を有し、前記表面の上の前記液体を蒸発させる親水工程と、をこの順で含む処理方法を提供することができる。
【0012】
ここで、撥水化の程度は、その表面の液体(例えば水)の接触角を測定することによって判断することができる。接触角が、12度以上であれば、一応撥水化したといえるが、32度以上であるほうが本方法の効果を高めることができ、より好ましい。更に接触角が65度以上であれば、半導体ウェーハ表面の液体(水分を含んでよい)をはじく効果が極めて高いと考えられる。このように微小サイズにおける効果は、半導体ウェーハの乾燥という点において極めて重要である。巨視的な見方の液体除去では必ずしも容易ではない液体(水分を含んでよい)の気化が乾燥の最終工程となるが、このような液体((水分を含んでよい)の通常の気化速度は極めて遅いからである。半導体ウェーハがシリコンウェーハの場合、酸化膜は、酸化ケイ素であり、親水性を呈する。一方、この酸化膜を除去し、金属ケイ素を表面に出した場合は、撥水性を呈する。従って、酸化膜の少なくとも一部を除去若しくは付与することにより、撥水化若しくは親水化することができる。撥水化すると、表面の液体(水分を含んでよい)を除去しやすくなるが、それだけで半導体ウェーハの表面から除去することは容易ではない。撥水化により、表面のある部分が液体をはじいてその隣に移動させたとしても、その隣の場所も同じく撥水化されたら、両方の場所が同等な状態となるため、結局は半導体ウェーハ上に存在することになるからである。また、上記液体除去工程は、水平に保持される半導体ウェーハの表面にある液体を、重力、遠心力、風力等を利用して液体を除去することを含んでよい。
【0013】
また、酸化性ガスは、オゾンガス、過酸化水素ガス、又はその混合ガスを含んでよい。更に不活性ガス(例えばアルゴンガスや窒素ガス)を含んでもよく、更にこれらに水蒸気(純水)を含んでもよい。また、最終処理において、酸化性ガスにより表面を親水化する場合、その親水性膜の厚さは、保護膜として、4.0Å以上が好ましいと考えられる。また、より被覆性を得るために更に5.0Å以上が好ましいと考えられる。但し、あまり厚くすると一般には次工程において親水性膜を取り除く工程が容易ではなくなるので、親水性膜の厚さは約60Å以下が好ましいと考えられる。しかしながら、親水性膜を取り除くことがそれほど難しくなくなれば、それ以上の膜厚であってもよい。ここで、親水化の程度は、その表面の例えば水の接触角を測定することによって判断することができる。接触角が、12度以下が好ましく、3度以下である方がより好ましい。上記酸化性ガス流は、例えばノズルから噴射される気体流を含んでよい。この気体流は、周囲の気体(例えば、窒素等の不活性ガス、大気等を含むことができる)を巻き込み一緒になって、前記半導体ウェーハの表面に噴射されてよい。また、このような気体流及び/又はガス流が不飽和水蒸気圧を有するとは、その温度での該液体の飽和蒸気圧に達するまでの該液体の蒸気を含んでいないことを意味することができる。即ち、このような気体流及び/又はガス流は、該液体の蒸気を更に含むことができる。
【0014】
(2)前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハであることを特徴とする上記(1)に記載の処理方法を提供することができる。
【0015】
ここで少なくとも一部とは、全体を含む概念であり、表及び/又は裏面に関する。上記撥水工程は、半導体ウェーハ表面の少なくとも一部を撥水化することを含んでよく、また少なくとも一部の酸化膜を除去することを含んでもよい。上記撥水工程には、このような酸化膜の除去に伴い汚染物質を除去することを含むことができる。一方、上記親水工程は、半導体ウェーハ表面の少なくとも一部に酸化膜を付与することを含んでよい。半導体ウェーハはこのような酸化膜で保護され得る。
【0016】
(3)前記撥水工程は、前記半導体ウェーハの表面に液体を直接に接触させて行うウェット工程を含むことを特徴とする上記(1)又は上記(2)に記載の処理方法を提供することができる。
【0017】
ここで、ウェット工程は、主に水又は水溶液等を用いる工程であってよい。親水工程の前とは、親水工程が、最後に行う工程(該親水工程の後に、親水工程を行う場合を除く)であり、その後に乾燥工程を含む必要がないことをいう。ウェット工程では、後に続く乾燥工程が、望まれる。特に、乾燥が容易でない流体及びそのような流体をはじく性質を有する半導体ウェーハ表面の組合せも有効である。
【0018】
(4)前記撥水工程は、フッ酸水及び/又はフッ化水素ガスを用いることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の処理方法を提供することができる。
【0019】
撥水工程は、フッ酸水及び/又はフッ化水素ガスが半導体ウェーハ表面に形成された親水性の二酸化ケイ素を除去する工程を含んでよい。ここで、フッ酸水による半導体ウェーハ表面上の化学反応式は、以下の通りであると考えられる。
6HF+SiO → HSiF+2H
即ち、フッ酸水は、表面の二酸化ケイ素と反応し、ヘキサフルオロケイ酸と水を生成するので、二酸化ケイ素除去ができる。このヘキサフルオロケイ酸は、常温で液相であって水に溶け易いので、水溶液等の除去により同時に除去されると考えられる。また、フッ化水素ガスによる半導体ウェーハ表面上の化学反応式は、以下の通りであると考えられる。
4HF+SiO → SiF+2H
より詳細には、以下の通りであると考えられる。
HF+HO → H+HF
+HF+SiO → SiF+4H
即ち、フッ化水素ガスは、表面の二酸化ケイ素と反応し、四フッ化ケイ素と水を生成するので、二酸化ケイ素除去ができる。この四フッ化ケイ素は、常温で気相なので、空気中に分散され、そして生成した水もその大部分は蒸発すると考えられる。以上のようなフッ酸水若しくはフッ化水素ガスの反応メカニズムにより、撥水性のシリコン金属が剥き出しになり、半導体ウェーハ表面は撥水性となる。
【0020】
フッ酸水には、例えばフッ化アンモニウム(NHF)等の緩衝液で希釈したものを含んでよい。また、フッ化水素ガスには、フッ酸水に窒素をバブリングして得られる水蒸気を含むガスやフッ化水素酸を含むガスを含んでよく、その他の緩衝ガスで希釈したものを含んでよい。
【0021】
また、撥水工程において、フッ酸水若しくはフッ化水素ガスと共に、あるいはこれらを用いた後に、液体除去用ガスを用いてより迅速に液体除去を行ってもよい。ここで、水分等の液体を含む処理剤を供給することなく、液体除去用ガスを供給してよい。このようなガスには、不活性ガス、窒素ガス、又は0〜100%の有機ガスを含むことができる。有機ガスには、IPA(イソプロピルアルコール)ガスを含むことができる。ここで、液体は、水分を含んでよく、更に、該液体は、水、水溶液、水溶性の液体、水と親和性のある液体等を含むことができる。
【0022】
(5)前記液体除去工程は、半導体ウェーハを1500rpm以下で回転させることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の処理方法を提供することができる。
【0023】
ここで、半導体ウェーハの回転は、1500rpm以下、より好ましくは、500rpm以下、更に好ましくは、300rpm以下である。特に回転に伴って振動が大きくならない範囲のものが好ましく、特に半導体ウェーハの固定に支障が生じない範囲の回転速度が好ましい。
【0024】
このように半導体ウェーハの回転速度を低く抑えるのは、特に直径が300mm以上の半導体ウェーハの場合有効である。更に、直径が450mm以上ではより効果的になる。上述するように、同一回転速度では、遠心力が直径に比例して大きくなり、中心部近傍と、周縁部近傍での遠心力の差が大きくなるからである。このため、周縁部近傍では、遠心力等に起因する内部応力や歪みが半導体ウェーハの特性に影響を与える恐れがあり、また、薄い半導体ウェーハを回転させることによる振動に対する対応が困難となってくるからである。
【0025】
(6)前記液体除去工程は、半導体ウェーハを傾斜させることを含むことを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の処理方法を提供することができる。
【0026】
液体除去工程(プレ乾燥ともいう)は、撥水工程又は親水工程において液体が用いられて、半導体ウェーハ表面がウェットの状態のときに、行うと効果的である。この液体除去工程は、風力と表面張力を利用して半導体ウェーハ表面の水滴等を液体除去用ガスの噴射によりブローすることを含んでよく、半導体ウェーハを傾斜しないで、液体除去用ガスの噴射によりブローのみを行ってもよい。このように液体除去工程は、半導体ウェーハの回転速度に依存しない方法を含むことが好ましい。半導体ウェーハを処理する際に均一性を得るために半導体ウェーハを回転する場合があり、質の異なる方法を組み合わせると互いに補い合うことができるからである。液体除去用ガスは、不活性ガス、窒素ガス、又は0〜100%の有機ガスを含むことができる。有機ガスには、IPA(イソプロピルアルコール)ガスを含むことができる。液体除去用ガスの噴射は、半導体ウェーハの略中心位置に半導体ウェーハ上面に向かうように備えられたノズルによっても行うことができる。この液体除去用ガス噴射工程によれば、半導体ウェーハの中心部分の液体除去を容易に行うことができる。また、この液体除去工程は、遠心力を利用して半導体ウェーハ周縁部近傍にある水滴を効果的に除去することを含んでよい。この工程によれば、大口径の半導体ウェーハの場合には、低速回転であっても半導体ウェーハ周縁の液体を容易に除去することができる。また、この液体除去工程は、重力を利用して液体除去を行う半導体ウェーハ傾斜工程を含むことができる。このように液体除去工程は、風力、遠心力、重力を利用して、半導体ウェーハ表面の液体(水分を含んでよい)を除去することができ、利用する力のそれぞれの特性に合わせて、これらの手法を単独で、若しくは組み合わせて用いることができる。
【0027】
(7)半導体ウェーハを洗浄する装置であって、該半導体ウェーハの表面の親水性膜を除去可能な撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを供給する手段と、前記親水性膜除去後に現れた撥水性の表面を親水性に変えることができる親水性処理ガスを供給する手段と、前記親水性膜の除去に際して、該半導体ウェーハを1500rpm以下で回転させることができる回転手段と、を含み、前記撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを前記半導体ウェーハ上に供給する際、又は、供給した後に、前記半導体ウェーハを所定の速度で回転させる制御を行うことを特徴とする半導体ウェーハの洗浄装置を提供することができる。
【0028】
ここで、親水性膜は、酸化膜を含んでよい。酸化膜は、一般に水に対する濡れ性が高い。撥水性処理液は、フッ酸水、フッ化水素ガス、これらに関連する化合物や混合物を含んでよい。特に、シリコンウェーハの表面に形成されやすい酸化膜(例えば、酸化珪素膜)を溶解、分解等により、表面から除去可能なものが好ましい。撥水性処理液は、液体でなくてもよく、例えば、ガスであってもよい。またそれらの混合物であってもよい。
【0029】
(8)前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハであることを特徴とする上記(7)に記載の半導体ウェーハの洗浄装置を提供できる。
【0030】
更に、前記半導体ウェーハの表面を洗浄する処理液体を供給する手段を含むことができる。半導体ウェーハの表面を洗浄する処理液体は、水、水溶液、純水、超純水を含んでよい。コンタミを防ぐために、純水、超純水がより好ましい。撥水性処理ガスを供給する手段、親水性処理ガスを供給する手段、表面を洗浄する処理液体を供給する手段としては、これらの処理液、処理ガスを含んでよい。
【0031】
(9)更に、半導体ウェーハ表面の液体を除去する液体除去手段を含むことを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の半導体ウェーハの洗浄装置を提供できる。
【0032】
上記半導体ウェーハを保持しつつ所定の速度で回転可能な保持装置は、例えば、半導体ウェーハを載置可能な回転テーブルを含んでよい。また、半導体ウェーハをその周縁部分を把持することによりチャック可能な装置を含んでよい。所定の速度は、一定の回転速度であってもよく、可変の回転速度であってもよい。高速で周縁部の応力が増加するので、最大回転速度(例えば、1500rpm)を決めておくのが好ましい。速度変化は、駆動装置のトルク特性、被回転物である半導体ウェーハ内の応力が不必要に大きくならないように制御するのが好ましい。撥水性処理液若しくは撥水性処理ガス、又は、親水性処理ガスを半導体ウェーハの表面に供給可能に配置されたノズルとは、それらの液体若しくはガスを噴出する開口を有すればよい。これらの液体又はガスは、この開口から直接半導体ウェーハの表面に向かって噴射されてもよく、また、間接的に、例えば、反射や別経路経由により供給されてよい。送風装置は、上記ノズルを含むことができ、上記ノズルは半導体ウェーハ表面の液体を吹く送風装置として機能してよい。
【0033】
ここで、上記撥水性処理ガスを供給する手段は、保持装置により保持された半導体ウェーハの表面の親水性膜を除去可能な撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを供給可能に配置されたノズルを含むことができる。また、上記親水性処理ガスを供給する手段は、保持装置により保持された半導体ウェーハの親水性膜除去後に現れた撥水性の表面を親水性に変えることができる親水性処理ガスを供給可能に配置されたノズルを含むことができる。そして、上記半導体ウェーハを1500rpm以下で回転させることができる回転手段は、前記半導体ウェーハを所定の速度で回転させる制御装置を含むことができる。
【0034】
上記回転手段は、液体除去手段とすることもできる。この液体除去手段は、送風装置を含むことができる。また、ウェーハ傾斜手段を含むことができる。このように、液体除去手段は遠心力、風力、重力等を利用して、半導体ウェーハ表面の液体(水分を含んでよい)を除去する。上記送風手段は、風力を利用して半導体ウェーハ表面の水滴等を液体除去用ガスの噴射手段によりブローしてもよい。液体除去用ガスは、不活性ガス、窒素ガス、又は0〜100%の有機ガスを含むことができる。有機ガスには、IPA(イソプロピルアルコール)ガスを含むことができる。液体除去用ガスの噴射手段は、半導体ウェーハの略中心位置に半導体ウェーハ上面に向かうように備えられたノズルによっても行うことができる。この液体除去用ガス噴射手段によれば、半導体ウェーハの中心部分の液体除去を容易に行うことができる。また、半導体ウェーハ回転手段は、遠心力を利用して半導体ウェーハ表面の水滴等を移動させるように半導体ウェーハを回転させることができる。該回転手段は、半導体ウェーハを所定の速度で回転させる制御を行うことができる。この手段によれば、大口径の半導体ウェーハの場合に、低速回転であっても半導体ウェーハ周縁の液体を容易に除去することができる。遠心力は、中心部分ではあまり効果的ではないので、上述の液体除去用ガス噴射手段により中心部の水滴を周縁部近傍に移動させることができる。また、ウェーハ傾斜手段は、重力を利用して液体除去を行うことができる。
【0035】
(10)複数の半導体ウェーハを洗浄する装置であって、該半導体ウェーハの表面の親水性膜を除去可能な撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを供給する手段と、前記親水性膜除去後に現れた撥水性の表面を親水性に変えることができる親水性処理ガスを供給する手段と、前記複数の半導体ウェーハを収納可能な収納手段と、を含むことを特徴とする半導体ウェーハの洗浄装置を提供できる。該洗浄装置は、更に、前記親水性膜を除去する撥水性処理の前若しくは後に、該表面の液体を除去する液体除去用ガスを供給する手段を更に含むことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明において、親水性膜を有する半導体ウェーハ表面に、酸化膜除去液及び/又は酸化膜除去ガスを噴射して、前記半導体ウェーハ表面を撥水性に変えるステップ(S10)と、前記半導体ウェーハ表面に、酸化性ガスを噴射して親水性膜を形成するステップ(S40)と、を備えている。また、前記酸化性ガスを噴射させる場合に、前記半導体ウェーハを1500rpm以下の回転数で回転させる。そのため、半導体ウェーハの処理方法で、スピン乾燥させるステップを省略することができる。従って、半導体ウェーハを高速回転させる必要がないので、遠心力による半導体ウェーハの歪みをなくすことができ、また回転のための装置も簡易なものに変えられるので、装置全体を簡素化できる。また、スピン乾燥で用いられるようなチャンバーを利用する必要がないので、処理時間の短縮、高スループットを実現できる。また、半導体ウェーハの回転で引き起こされる気流の巻き上がりも小さいので、半導体ウェーハにパーティクルが付着するおそれも小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について詳しく説明するが、以下の記載は、本発明の実施例を説明するためになされたもので、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。また、同一若しくは同種類の要素については、同一若しくは関連性のある符号を用い、重複する説明は省略する。
【0038】
図1は、本発明の実施例に係るウェーハ処理装置の概略図である。このウェーハ処理装置100は、枚葉式の処理装置であり、半導体ウェーハ10(以下、ウェーハという)が固定される載置部材110(図12参照)と、同載置部材110が入ったチャンバー130と、ウェーハ10の表面に酸化膜除去液を噴射する処理液噴射装置及び/又は酸化膜除去ガスを噴射するガス噴射装置210、230、150、170から主に構成されている。また、必要により液体除去用ガスの噴射装置190(例えば、窒素ガス噴射装置)を加えてもよい。
【0039】
載置部材110(図12参照)は、円形で外径が300mm以上の大口径ウェーハであるウェーハ10を載置する部材である。また、載置部材110は、ACサーボモータ(図示せず)の回転軸に接続された回転部材(図示せず)に固定され、回転可能に備えられている。なお、載置部材(図示せず)は、ウェーハ10のエッジ部分(端縁部)を、円周に沿って等間隔に配置された複数の取り付けチャック(図示せず)で機械的に保持される形態に限らず、減圧吸着等によって保持される形態であってもよい。また、ウェーハ10が水平姿勢を保持する形態に限定されず、斜めや、垂直方向に支持される形態であってもよい。載置部材の詳細については後述する。
【0040】
上述する処理液噴射装置は、オゾン水を噴射するオゾン水噴射装置210、フッ酸水(フッ化水素酸水溶液)を噴射するフッ酸水噴射装置230を含んでおり、それぞれ図示しないブラケットにより固定される。
【0041】
オゾン水噴射装置210は、ウェーハ10の上方に位置し斜め下方に向かってオゾン水を小径の穴から噴射する筒状をしたノズル212u、212d、及びこれらにオゾン水を送る配水管214を含んで構成される。配水管214は、調整弁(図示せず)及び圧送するためのポンプ(図示せず)を介してオゾン水供給装置218に接続されている。なお、本発明ではノズル212u、212dは、筒状に限定されない。ノズルの形状の詳細については後述する。
【0042】
フッ酸水噴射装置230は、フッ酸水を噴射するノズル232u、232d、及びこれらにフッ酸水を送る配水管234を含んで構成される。この配水管234は、調整弁(図示せず)及び圧送するためのポンプ(図示せず)を介してフッ酸水供給装置238に接続されている。ノズル232u、232dは、ノズル212u、212dと同様な構造をしている。
【0043】
ガス噴射装置は、オゾンガスを噴射するオゾンガス噴射装置150及びフッ化水素ガスを噴射するフッ化水素ガス噴射装置170を備える。なお、ウェーハ処理装置100は、後述するように処理内容により、フッ化水素ガス噴射装置170を省略することができる。この場合は、フッ酸水噴射装置230のみで処理が行われる。
【0044】
オゾンガス噴射装置150は、前記ウェーハ10の上方からオゾンガスを噴射するノズル152uと、下方から噴射するノズル152dと、これらのノズル152u、152dにオゾンガスを送るガス管154とから構成され、調整弁(図示せず)を介して圧縮されたオゾンガスを供給するオゾンガス発生装置158に接続されている。当該ノズル152u、152dは、ウェーハ10に対して移動及び向きの変更ができる保持部材(図示せず)により保持されている。
【0045】
フッ化水素ガス噴射装置170は、フッ化水素ガスを噴射するノズル172u、172d、及び、フッ化水素ガスを送るガス管174を含んで構成される。このガス管174は、調整弁(図示せず)を介して圧縮されたフッ化水素ガスを供給するフッ化水素ガス発生装置180に接続される。また、ノズル172u、172dは、ノズル152u、152dと同様に設けられている。フッ化水素ガス発生装置180の詳細については後述する。
【0046】
ウェーハ処理装置100は、液体除去用ガス噴射装置190を必要に応じて備えることができる。液体除去用ガス噴射装置190は、液体除去用ガスを噴射するノズル192u、192d及び、液体除去用ガスを送るガス管194を含んでよい。このガス管194は、調整弁(図示せず)を介して圧縮された液体除去用ガスを供給する液体除去用ガス発生装置(図示せず)に接続される。また、ノズル192u、192dは、前記ノズル172u、172d、152u、152dと同様な位置に同様な方法でウェーハ処理装置100に設けられる。
【0047】
チャンバー130は、ウェーハ10を載せた載置部材を内部に収納して、各表面処理を行うための実質的な密閉空間を提供する。このチャンバー130は、真空ポンプ(図示せず)につながる排気口132が設けられ、ウェーハ10の各処理工程で用いられたガスを排出できるように構成されている。
【0048】
また、オゾンガス噴射装置150、オゾン水噴射装置210、フッ酸水噴射装置230、載置部材の回転部材、チャンバー130に備えられる排気口132など、ウェーハ処理装置100の可動部はコントローラ(図示せず)に接続されて、制御可能に構成される。
【0049】
次に、本発明の別の実施例に係るウェーハ処理装置(図示せず)について説明する。この半導体処理装置(図示せず)は、複数のウェーハを洗浄するバッチ式の装置であって、複数のウェーハが固定される固定部材(図示せず)と、同固定部材(図示せず)が入ったチャンバー(図示せず)と、ウェーハの表面に酸化膜除去液を噴射する処理液噴射装置(図示せず)及び/又は酸化膜除去ガスを噴射するガス噴射装置(図示せず)から主に構成され、必要により、液体除去用ガスの噴射装置(図示せず)を加えてもよい。該固定部材(図示せず)は、例えば複数のウェーハを水平に載せて固定することができる載置部材(図示せず)でもよく、複数のウェーハが縦向きとなるように保持し固定できる保持部材(図示せず)でもよい。例えば、食器洗い機におけるラックのようなものを備えることができる。また、ウェーハの固定形態はこれらに限らず、バッチ式のウェーハ洗浄装置に用いることができる。このような半導体処理装置は、液体除去手段として、ウェーハに振動を与え、表面の水滴等の除去を促進可能な加振装置を含んでもよい。
【0050】
次に、ウェーハ処理装置100の作動例を説明する。まず、チャンバー130の入口134から、ウェーハ10を入れ、載置部材上に置く。この載置部材に置かれたウェーハ10の上側及び下側の所定の位置に、オゾン水噴射装置150のノズル152u、152dを移動させる。ノズル152u、152dから所定流量(0.1〜20L/分)のオゾン水を所定時間噴射させる。このときオゾン水がウェーハ10上に均一に噴射するように、ノズル152u、152dを所定の動きで揺動させ、必要ならば載置部材の回転部材を所定の回転数(例えば、300rpm以下)で回転させる。同様に、フッ酸水などの処理液や、オゾンガス等の処理ガスのウェーハ10への噴射を、それぞれ所定の順番又は、混合した薬液又はガスで、ウェーハ10の表面が処理される。
【0051】
図2は、フッ化水素ガス発生装置の概念図である。フッ化水素ガス発生装置180は、フッ酸水が入った容器182と、この容器182の側面下部に接続され窒素ガス(N2−Gas)を吹き込む管184と、容器182の上部に設けられ発生したフッ化水素ガスを送り出す管186から構成されている。このフッ化水素ガス発生装置180によれば、フッ化水素ガスは、容器182の中に貯められたフッ酸水に、管184から吹き込まれる窒素ガスをバブリングさせることにより、多少の水蒸気を含んだガスとして発生する。以下ウェーハ10の具体的な例として、単結晶シリコンウェーハ(以下、単に「ウェーハ」という)を挙げて、詳しく工程を説明する。
【0052】
<第1の実施例:処理工程>
図3には、本発明の第1の実施例に関するウェーハ10の処理方法のフローチャートを示す。この処理工程(S810)は、本処理(S2、S4)と、処理工程(又は処理方法)である最終処理(S10、S40)と、取出処理(S100)とから構成されている。また、必要に応じて最終処理には、液体除去工程(S30、S31)を含むこともできる。ここで、液体除去工程は、水分除去工程を含んでよい。以下の実施例では、フッ酸水等の水分を含む液体を用いるので、水分除去工程という。図3において、左列は処理工程を示し、一方、右列は、基板表面状態を示す。この基板表面状態は、左列の処理工程によりウェーハ10の表面(表面及び/又は裏面)がどのような性状を呈するようになるかを示している。以下順に説明する。
【0053】
上述するように、ウェーハ10をチャンバー130の入口134から入れて載置部材上に置く。ウェーハ10の固定が十分であることを確認し、ウェーハ10にフッ酸水をノズル232u、232dから、又は、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させる(S2)。このとき、フッ酸水又はフッ化水素ガスが均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。するとウェーハ10の表面にある酸化膜がフッ酸水及び/又はフッ化水素ガスにより溶解除去され、例えば純水を表面上に接触させたとしても撥水してしまう撥水性の状態になる(S2)。続いて、ウェーハ10表面にオゾン水をノズル212u、212dから噴射する(S4)。このとき、同様に、オゾン水が均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。この処理により表面のシリコンが酸化され酸化膜を形成して親水性の状態となる(S4)。
【0054】
上述するように、ウエット工程(フッ酸水やオゾン水による工程を含んでよい)が含まれるので表面に残存する液体を、ウェーハ10から除去する水分除去工程(S30)を行うとより効果的である。この水分除去工程(S30)として、液体除去用ガス(例えば窒素ガス)をノズル192u、192dから噴射することを含むことができる。
【0055】
このように表面が親水性となったウェーハ10の表面に、フッ酸水をノズル232u、232dから、又は、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させる(S10)。このとき、上述のS2工程と同様、フッ酸水又はフッ化水素ガスが均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。この工程により、上述のS2工程と同様、ウェーハ10の表面が撥水性に変わる(S10)。フッ酸水のような水分を含む処理剤の供給を止めて、ウェーハ10の回転を継続した場合、表面に残存する可能性がある水分は、撥水性のため表面で水滴を形成し、比較的低速の回転によって生じる遠心力により、容易にウェーハ10の表面から、除去され、これを水分除去工程とすることができる(S31)。従って、見かけ上、ウェーハ10の表面は乾いているように見える。しかしながら、低速のため遠心力はあまり大きくなく、特にウェーハ10の中心近傍は、理論上遠心力は極めて小さくなる。このような場合に残った水滴は、この水分除去工程(S31)において、更に液体除去用ガスを噴射するようにしてもよい。これにより、少なくとも周縁部へ移動させることができる。周縁部では、比較的遠心力が大きいので、条件によってはウェーハ10のエッジ部分(端縁部)から系外へ該水滴を除去することが可能である。
【0056】
次に、撥水性の表面を持つウェーハ10にオゾンガスを噴射する(S40)。オゾンガスには、1ppm〜40%の範囲で所定濃度のオゾンガスを含むことができ、その他に0〜99%の窒素と、更に残りの大部分には酸素を含むことができる(以下、(S40)で同じ)。このオゾンガスの噴射により、ウェーハ10の表面の水分の蒸発と、酸化膜の形成による親水性への状態変化が起きる(S40)。この酸化膜は、ウェーハ10の表面を保護する膜であり、次処理(例えば、デバイス形成処理)へ移行するまで、ウェーハ10の表面を守ることができる。以上のようにして、表面が乾燥し酸化膜が形成されたウェーハを取り出し(S100)、出荷若しくは検査工程へと搬送される。
【0057】
図4は、ウェーハ表面10の状態の変化を図3の各工程において、順に模式的にあらわしたものである。なお、ここでは、説明のためウェーハ10の上側の表面だけについて述べるが、下面についても同様であると考えられる。
【0058】
図4(a)は、図3の工程(S4)が終了したときのウェーハ10の表面の状態を模式的に表している。表面に薄く広がっているのは、オゾン水処理により形成された酸化膜(例えば、SiO)である。この酸化膜610は親水性なので、オゾン水620はその上にやや厚く広がっている。
【0059】
図4(b)は、図3の工程(S10)におけるウェーハ10表面の状態を表している。ウェーハ10の上方には、ノズル232u若しくは前記ノズル172uが往復移動可能に備えられ、フッ酸水720若しくはフッ化水素ガス722が噴射される。図4(a)に示すようなオゾン水層620は、フッ酸水720若しくはフッ化水素ガス722によって押しのけられ、下地の酸化膜に直接接触、化学変化を生じさせる。フッ酸水720若しくはフッ化水素ガス722は、酸化膜(例えば、SiO)を溶解若しくは分解するので、酸化膜610を消滅させる。これによって、撥水性であるシリコン金属がむき出しになり、ウェーハ10の表面は、撥水性を呈する。
【0060】
図4(c)は、図3のS40工程後のウェーハ10の表面の状態を表している。ウェーハ10の上側に、ノズル152uを往復移動可能に保持する保持治具に固定し、オゾンガス712を噴出させる。すると、ウェーハ10表面で剥き出しになっていたシリコンにオゾンガス712が反応して、保護膜用としての薄い酸化膜620を形成する。また同時に、本処理の工程S10で残留し得るフッ酸水720等は、オゾンガス712により吹き飛ばされ、純水(図示せず)により洗浄される。
【0061】
このように、上記S2、S4、S10、S40の工程においては、各種の処理液710、720や処理ガス712、722を、ウェーハ10の表面にムラなく均一に噴射するためにウェーハ10を回転させた。均一条件を満たすには、その回転速度を、1500rpm以下にすることができ、更に500rpm以下としてもよく、そして更に300rpm以下であってもよい場合がある。
【0062】
また、前記S2及びS10の前記撥水工程において、例えば水の接触角が12度又はそれ以上となるような処理を行った後、処理液の供給を止め、ウェーハ10をウエットの状態のまま回転させる水分除去工程を行うことができる(S31)。この場合であれば、表面の水を周縁近傍部に移動させて除去可能な回転数とすることも可能である。このような回転速度として、例えば、約1500rpm、更に約500rpm、そして約300rpm等を例としてあげることができる。これらの回転数は、ウェーハ10の撥水状態、水の種類、温度、その他の条件により適宜選択される。
【0063】
一方、通常スピン乾燥といわれる乾燥方法では、ウェーハ10の表面状態が、親水性であっても十分水を除去する必要があるため、1500rpmを超える、更に2000rpm以上の、そして2500rpm以上で回転させることが重要となる。このような回転数で回転させると、ウェーハ10に加わる力は決して無視できるものではない。
【0064】
図7は、本発明の実施例2に係るウェーハ処理装置300の概略図である。基本的には、図1のウェーハ処理装置100と同じであるが、超純水318を準備し、配管314に接続されるノズル312d及びノズル312uからウェーハ10の裏面及び表面に向けて噴射することができる点において異なる。
【0065】
図5は、本発明の第2及び第3の実施例に係るウェーハ10の表面の処理方法に関するフローチャートである。処理工程S820は、第2の実施例に係る処理工程であり、S830は第3の実施例に係る処理工程である。なお、処理工程S810は、第1の実施例に係る処理工程であるが、第2、第3の工程と比較するため、参考として記載したものである。図3の工程と同様に、基板表面状態と表記した右列は、ウェーハ10の表面の状態を表したものである。以下、これらの処理工程ついて具体的に説明する。
【0066】
<第2の実施例:処理工程>
処理工程(S820)は、本処理(S2、S4)と、第2の実施例に係る処理工程(方法)である最終処理(S10、S20、S40)と、取出処理(S100)とから構成されている。また、必要により最終処理に、水分除去工程(S30、S31)を含むことができる。
【0067】
図3の場合と同様、ウェーハ10をチャンバー430の入口134から入れて載置部材上に置く。ウェーハ10の固定が十分であることを確認し、ウェーハ10にフッ酸水をノズル232u、232dから、又は、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させる(S2)。このとき、フッ酸水又はフッ化水素ガスが均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。するとウェーハ10の表面にある酸化膜がフッ酸水及び/又はフッ化水素ガスにより溶解除去され、例えば純水を表面上に接触させたとしても撥水してしまう撥水性の状態になる(S2)。続いて、ウェーハ10表面にオゾン水をノズル212u、212dから噴射する(S4)。このとき、同様に、オゾン水が均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。この処理により表面のシリコンが酸化され酸化膜を形成して親水性の状態となる(S4)。ここで、ウェーハ10の表面のオゾン水除去のために水分除去工程(S30)を行ってもよい。なお、親水性の表面では、水滴を転がすように水分を除去することができないが、多少とも水分を減らす効果がある。
【0068】
このように表面が親水性となったウェーハ10の表面に、フッ酸水をノズル232u、232dから、又は、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させる(S10)。このとき、上述のS2工程と同様、フッ酸水又はフッ化水素ガスが均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。この工程により、上述のS2工程と同様、ウェーハ10の表面が撥水性に変わる(S10)。ここで、水分を含むフッ酸水等の供給を止め、ウェーハ10を単に回転させると、表面に残存する可能性がある水分は、撥水性のため表面で水滴を形成し、比較的低速の回転によって生じる遠心力により、容易にウェーハ10の表面から、除去される(S31)。上述するように更に液体除去用ガスを噴射する水分除去工程(S31)を行ってもよい。尚、S10の後に(S31)、フッ酸水の供給を止めて、フッ化水素ガスに液体除去用ガスを含めて噴射してもよい。フッ酸水若しくはフッ化水素ガスにおける処理の残渣を洗い流すために、更に、超純水で洗浄を行う(S20)。この洗浄は、洗浄液として超純水を用いる以外は、上記S4やS10の処理工程と同様の作業を行う。従って、ウェーハ10は、例えば200rpmで回転される。そして、超純水の供給を止めて所定速度での回転を続けると、見かけ上、ウェーハ10の表面は乾いているように見える(S31)。ここで、上述するように液体除去用ガスを噴射する水分除去工程(S31)を更に行ってもよい。
【0069】
次に、撥水性の表面を持つウェーハ10にオゾンガスを噴射する(S40)。このオゾンガスの噴射により、ウェーハ10の表面の水分の蒸発と、酸化膜の形成による親水性への状態変化が起きる(S40)。この酸化膜は、ウェーハ10の表面を保護する膜であり、次処理(例えば、デバイス形成処理)へ移行するまで、ウェーハ10の表面を守ることができる。以上のようにして、表面が乾燥し酸化膜が形成されたウェーハ10を取り出し(S100)、出荷若しくは検査工程へと搬送される。
【0070】
〈第3の実施例:処理工程〉
処理工程(S830)は、本処理(S2、S4)と、第3の実施例に係る処理工程としての最終処理(S10、S11、S20、S40)と、取出処理(S100)とから構成されている。また、必要により最終処理に、水分除去工程(S30、S31)を含むことができる。
【0071】
本処理(S2、S4)は、これまで述べてきたものと実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。S4工程の後で、表面残存する可能性がある液体の除去を積極的に行いたい場合には、上述するような液体除去用ガスを噴射する水分除去工程(S31)を行ってもよい。
【0072】
S4工程で表面を親水性にしたウェーハ10の表面に、フッ酸水をノズル232u、232dから噴射させ、併せて、ウェーハ10を例えば200rpmで回転させる(S10)。表面残存する可能性があるフッ酸水を、積極的に除去したい場合には、フッ酸水の供給を停止して回転を続けるような水分除去工程(S31)だけでなく、上述するような液体除去用ガスを噴射する水分除去工程(S31)を行ってもよい。なお、S10において、ウェーハ表面の液体除去を容易に可能にするため、フッ酸水と共に液体除去用ガスを噴射してもよい。次に、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させ、併せて、ウェーハ10を例えば200rpmで回転させる(S11)。このとき、上述のS2工程と同様、フッ酸水又はフッ化水素ガスが均一に表面に行き渡るように、ウェーハ10を比較的低速(例えば、200rpm)で回転させる。処理工程820との違いは、フッ酸水処理(S10)とフッ化水素ガス処理(S11)とをこの順に行うことであるが、このようにすると、オゾン水処理により生じた不純物をフッ酸水処理(S10)により十分洗浄することができ、かつ、表面酸化膜を均一につけることが容易となる(S11)。なお、S11において、ウェーハ表面の液体除去を容易に可能にするため、フッ化水素ガスと共に液体除去用ガスを噴射してもよい。更に、フッ酸水及びフッ化水素ガスにおける処理の残渣を洗い流すために、超純水で洗浄を行う(S20)。この洗浄は、洗浄液として超純水を用いる以外は、上記S4やS10の処理工程と同様の作業を行う。従って、ウェーハ10は、例えば200rpmで回転されるが、超純水の供給を止め、回転を継続すれば(S31)、見かけ上、ウェーハ10の表面は乾いているように見える。このとき表面残存する可能性があるフッ酸水を、更に積極的に除去したい場合には、上述するような液体除去用ガスを噴射する水分除去工程(S31)を行ってもよい。
【0073】
次は撥水性の表面を持つウェーハ10にオゾンガスを噴射する工程(S40)であるが、上述してきたものと同一であるので、ここでは説明を割愛する。その次は取り出し工程(S100)であるが、これは、上述してきたものと同一であるので、ここでは説明を割愛する。
【0074】
以上のように、これらの処理工程(S820、S830)でも、前記S810と同様に、処理液710、720等や処理ガス712、722を、ウェーハ10の表面にムラなく均一に噴射させる目的以外で載置部材を回転させる必要がないので、ウェーハ10は、1500rpm以下等の比較的、低い回転数で回転させるだけで足りるので、ウェーハ10に加わる力を小さくすることができる。
【0075】
図6は、本発明の第4〜第6の実施例に関し、ウェーハ10の処理方法(処理工程)S840、S850、S860の具体例をフローチャートによって示している。この図において、右列には、基板表面状態と記しているが、それぞれの工程後のウェーハ10の表面の状態を表現している。以下、これらの処理方法ついて具体的に説明する。
【0076】
〈第4の実施例:処理工程〉
処理工程(S840)は、本処理(S2、S4)と、第4の実施例に係る処理工程としての最終処理(S10、S48、S50)と、取出処理(S100)とから構成される。
【0077】
本処理(S2、S4)は、これまで述べてきたものと実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。最終処理(S10、S48、S50)は、水分除去工程(S30、S31)を含むことができる。
【0078】
S4工程で水分除去工程(S30)を行った後若しくは行うことなく表面を親水性にしたウェーハ10の表面に、フッ酸水をノズル232u、232dから噴射させ、若しくは、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させ、併せて、ウェーハ10を例えば200rpmで回転させる(S10)。この工程により、上述のS2工程と同様、ウェーハ10の表面が撥水性に変わる(S10)。水分を含む処理剤を供給しないので、表面に残存する可能性がある水分は、撥水性のため表面で水滴を形成し、比較的低速の回転によって生じる遠心力により、容易にウェーハ10の表面から、除去される(S10)。ここで、更にウェーハ10の表面のフッ酸水除去を風力を用いて行う水分除去工程(S31)を行ってもよい。なお、S10において、フッ酸水又はフッ化水素ガスに液体除去用ガスを含めて噴射してもよく、このようにすると水分除去工程(S31)と同様に液体除去が可能である。次に、純水により、表面を洗浄する(S48)。これは、洗浄液として純水を用いる以外は、上記S4やS10の処理工程と同様の作業を行う。従って、ウェーハ10は、例えば200rpmで回転される。表面が撥水性なので、超純水の供給を止めて回転を継続した場合、ウェーハ10の表面は乾いているように見える(S31)。ここで、オプションとしてウェーハ10の表面のフッ酸水除去を風力を用いて行う水分除去工程(S31)を行ってもよい。
【0079】
次に、撥水性の表面を持つウェーハ10にオゾンガスを噴射する(S50)。オゾンガスには、1ppm〜40%の範囲で所定濃度のオゾン(気体)を含むことができる。また、その残りには酸素を含むことができる(以下、(S50)で同じ)。また前記オゾン(気体)には、他に0〜99%の窒素や0〜99%の二酸化炭素を含むことができる。このオゾンガスの噴射により、ウェーハ10の表面の水分の蒸発と、酸化膜の形成による親水性への状態変化が起きる(S50)。この酸化膜は、ウェーハ10の表面を保護する膜であり、次処理(例えば、デバイス形成処理)へ移行するまで、ウェーハ10の表面を守ることができる。以上のようにして、表面が乾燥し酸化膜が形成されたウェーハ10を取り出し(S100)、出荷若しくは検査工程へと搬送される。
【0080】
<第5の実施例:処理工程>
処理工程(S850)は、本処理(S2、S4)と、第5の実施例に係る処理工程としての最終処理(S10、S50)と、取出処理(S100)とから構成されている。
【0081】
本処理(S2、S4)は、これまで述べてきたものと実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。最終処理は、水分除去工程(S30、S31)を含むことができる。
【0082】
S4工程で表面を親水性にしたウェーハ10の表面に、水分除去工程(S30)を行った後若しくは同工程を行うことなくフッ酸水をノズル232u、232dから噴射させ、若しくは、フッ化水素ガスをノズル172u、172dから噴射させ、併せて、ウェーハ10を例えば200rpmで回転させる(S10)。この工程により、上述のS2工程と同様、ウェーハ10の表面が撥水性に変わる(S10)。水分を含む処理剤が供給されなければ、表面に残存する可能性がある水分は、撥水性のため表面で水滴を形成し、比較的低速の回転によって生じる遠心力により、容易にウェーハ10の表面から、除去される(S10)。ここで、ウェーハ10の表面のフッ酸水除去を風力を利用して行う水分除去工程(S31)を行ってもよい。
【0083】
次に、撥水性の表面を持つウェーハ10に、オゾンガスを噴射する(S50)。このオゾンガスの噴射により、ウェーハ10の表面が酸化膜の形成により親水性へ状態変化する(S50)。このときできる酸化膜は、ウェーハ10の表面を保護する膜であり、後の処理(例えば、デバイス形成処理)へ移行するまで、ウェーハ10の表面を守ることができる。以上のようにして、表面が乾燥し酸化膜が形成されたウェーハ10を取り出し(S100)、出荷若しくは検査工程へと搬送される。
【0084】
<第6の実施例:処理工程>
処理工程(S860)は、本処理(S2、S4)と、第6の実施例に係る処理工程としての最終処理(S10、S50、S60)と、取出処理(S100)とから構成されている。
【0085】
本処理(S2、S4)は、これまで述べてきたものと実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。また、最終処理においても、先の処理工程(S850)と、オゾンガスによる処理(S60)が追加される以外は、同一である。従って、工程(S60)以外の説明は、省略する。
【0086】
工程(S50)において、表面が親水性になったウェーハ10に、更に、オゾンガスによる処理を施す(S60)。オゾンガスには、1ppm〜40%の範囲で所定濃度のオゾンガスを含むことができ、その他に0〜99%の窒素と、更に残りの大部分には酸素を含むことができる。ここでも上述するように、ウェーハ10の回転が行われる。既に表面は前の工程(S50)により親水性になっているが、更に酸化膜を充実させることで、より安定的な保護膜をつけることができる(S60)。そして、後の処理(例えば、デバイス形成処理)へ移行するまで、ウェーハ10の表面を守ることができる。以上のようにして、表面が乾燥し酸化膜が形成されたウェーハ10を取り出し(S100)、出荷若しくは検査工程へと搬送される。
【0087】
以上のように、ウェーハ10は、上述する処理工程(S840、S850、S860)の何れにおいても前記処理工程(S810)と同様に、ウェット処理があっても、乾燥のための高速スピンが必要なく、例えば、1500rpm以下の比較的、低い回転速度で回転させるだけで足りる。従って、ウェーハ10に発生する応力を低く抑制することができる。
【0088】
次に、本発明に係る半導体ウェーハの処理方法を、従来からの処理方法と比較する。比較は、本発明に係る処理方法によって得られた実験例1、2のウェーハ10と、従来からの処理方法によって得られた比較実験例1、2のウェーハ等との特性の比較により行う。また、別の処理方法によって得られた比較実験例3のウェーハの特性とも比較する。本発明に係る処理方法は上記実施例の方法で行い、また、図1に表す装置を用いた。
【0089】
本発明に係る半導体ウェーハの処理方法は、図1に表す装置を用いて、上記実施例の方法で行った。具体的には、図3に示す第1の実施例(S810)に従って処理を行い、実験例1及び実験例2のウェーハ10を得た。また、図3に示す第1の実施例(S810)中でフッ酸水処理した(S10)後のウェーハを参考実験例1として得た。実験例1及び2は、具体的には直径450mmのウェーハ10に対して、フッ酸水で処理し(S2)、オゾン水で処理し(S4)、フッ酸水で処理し(S10)、フッ酸水を供給しないで回転を継続する水分除去工程(S31)を行い、オゾンガスで処理して(S40)半導体ウェーハを得た。
【0090】
一方、上記実施例と比較する処理方法として、図17に示す比較例(S1000)の処理方法を行った。具体的には、直径300mmのウェーハ10に対して、フッ酸水で処理し(S2)、オゾン水で処理し(S4)親水性となった表面を持つウェーハ10に、フッ酸水で処理し(S1010)、オゾン水で更に処理し(S1070)、超純水で処理し(S1080)、スピン乾燥を行って乾燥させた(S1090)。そして表面が酸化保護膜で覆われた比較実験例1及び比較実験例2のウェーハを得た。
【0091】
また、別の処理方法として、図示しないがSC−1液処理を含む別の比較例を行った。具体的には、直径300mmのウェーハ10に対して、フッ酸水で処理し、オゾン水で処理し親水性となった表面を持つウェーハ10に、フッ酸水で処理し、過酸化水素水が含まれるSC−1液で処理し、超純水で処理し、スピン乾燥を行って乾燥させた。このようなRCA洗浄に用いられるSC−1液処理を含む処理工程を行い、比較実験例3のウェーハ10を得た。
【0092】
図8は、実験例1と、比較実験例1の各特性を示したものである。前記特性として、(a)水の接触角、(b)パーティクルの数、(c)酸化膜の厚みを、それぞれ測定しプロットしたグラフである。
【0093】
図9は、実験例2、比較実験例2、比較実験例3、及び参考実験例1の各特性を示したものである。前記特性として、(a)水の接触角、(b)酸化膜(親水性膜)の厚みを、それぞれ測定しプロットしたグラフである。
【0094】
表1は、図8及び図9の中から、接触角及び酸化膜の厚みについて中央値を抜き出し、記載したものである。
【表1】

【0095】
最初に、表1又は図8(a)、図9(a)に示される水の接触角は、いずれも接触角測定機を用いて同様に測定した。水の接触角の測定結果は、実験例1及び実験例2では、それぞれ約3.98度、約5.00度であった。一方、比較実験例1及び比較実験例2では、それぞれ約3.02度、約4.20度であった。また、比較実験例3では約4.00度であった。従って、図3に示す第1の実施例(S810)即ちオゾンガス処理で得られた実験例1及び2は、図17に示す比較例(S1000)即ちオゾン水処理で得られた比較実験例1及び2と同様に、充分に親水化されたことがわかる。また、図示しない別の比較例即ちSC−1液処理で得られた比較実験例3とも親水化の程度が、同様であったことがわかる。更に、実験例1は、実験例2と同様な水の接触角の測定結果が得られたので、図3に示す第1の実施例(S810)によるウェーハ品質の再現性が確認できた。なお、図3に示す第1の実施例(S810)中のフッ酸水処理をした(S10)後に得られた参考実験例1では、水の接触角は66度以上あり、ウェーハ10表面の水の除去が極めて高いことがわかった。
【0096】
図10は、前記実験例1及び比較実験例1の接触角測定を行ったウェーハ10の部位を示す図である。所定の結晶方向にノッチをつけてマークされたウェーハ10の中央からやや右側の場所で、図中×印をつけた3点において測定を行った。上記実験例1について10枚、比較実験例1についても10枚を測定し、それぞれ、実験例1における平均値及び比較実験例1における平均値を求め、それらの平均値を比較すると、比はほぼ1であった。
【0097】
次に、表1又は図8(c)、図9(b)に示される酸化膜の膜厚測定は、エリプソメーターを用いて同様に測定した。実験例1及び比較実験例1では、一のウェーハ10に対して10箇所測定し、実験例2、比較実験例2及び参考実験例1では81箇所測定した。酸化膜の膜厚の測定結果は、実験例1及び実験例2では、それぞれ約6.0Å、約5.7Åであった。一方、比較実験例1及び比較実験例2では、それぞれ約6.2Å、約6.4Åであった。従って、図3に示す第1の実施例(S810)即ちオゾンガス処理で得られた実験例1及び2は、好ましい5.0Å以上の厚さの酸化膜が形成され、図17に示す比較例(S1000)即ちオゾン水処理で得られた比較実験例1及び2と同様に充分な酸化膜が形成されたことがわかる。また、実験例1は、実験例2と同様な酸化膜厚の測定結果が得られたので、図3に示す第1の実施例(S810)によるウェーハ品質の再現性が確認できた。なお、図3に示す第1の実施例(S810)中のフッ酸水で処理をして(S10)得られた参考実験例1では、約3.6Åの厚さの酸化膜が形成されていたが、これは、測定するまでの間に空気中の酸素によりウェーハ10の表面が酸化したためと考えられる。
【0098】
次に、図示しないが、実験例2、比較実験例2、比較実験例3及び参考実験例1の酸化膜厚の前記各測定データをそれぞれプロットすることにより等高線図とし、これらを比較した。その結果、実験例2では、酸化膜(親水性膜)の膜厚の最大値と最小値の差が約3Åとなり、等高線も略等間隔で描かれた。また比較実験例2、比較実験例3も同様な結果が得られた。従って、図3に示す第1の実施例(S810)で得られた実験例2には、図17に示す比較例(S1000)即ちオゾン水処理で得られた比較実験例2、並びに図示しない別の比較例即ちSC−1液処理で得られた比較実験例3と同様に平坦な酸化膜(親水性膜)が形成されることがわかる。なお、図3に示す第1の実施例(S810)中のフッ酸水処理をした(S10)直後に得られた参考実験例1は、表面の膜厚が約3.6Åと、実験例2、比較実験例2、及び比較実験例3と比べて薄いが、膜厚の最大値と最小値の差が約3Åと薄く、また等高線も略等間隔で描かれているので、表面が平坦に形成されていることがわかる。
【0099】
その次に、ウェーハ10表面の洗浄度を、ウェーハ10表面の単位面積あたりのパーティクル数をパーティクルカウンターで検出することにより調べた。図8(b)に示されるように、実験例1は、比較実験例1よりもパーティクルの付着が少なく、表面が高洗浄なウェーハ10であったことがわかる。また、実験例2及び比較実験例2のウェーハ10表面の洗浄度については図示しないが、表面に付着しているパーティクルをレーザー表面検査装置で検出し、輝点(LPD:Light Point Defect)として可視化して比較した。その結果、実験例2では、パーティクルが比較実験例2と略同数の僅かしか検出されず、ウェーハ10の表面洗浄度が高品質であったことがわかる。更に、実験例1と実験例2は、同様な高洗浄度の測定結果が得られたので、図3に示す第1の実施例(S810)によるウェーハ品質の再現性が確認できた。
【0100】
また、実験例1を得た図3に示す第1の実施例(S810)の処理時間は2分であったのに対して、比較実験例1を得た図17に示す比較例(S1000)の処理時間は2分30秒であり、約20%の時間短縮を行うことができた。
【0101】
従って、図3に示すオゾンガスを用いる第1の実施例(S810)を採用すると、図17に示すオゾン水を用いる比較例(S1000)と同等なウェーハ10の高品質を維持したまま、処理時間の大幅な短縮が可能である。
【0102】
次に、図5に示す第2の実施例(S820)を行い実験例3のウェーハ10を得て、特性を調べた。具体的には、S820は、直径450mmのウェーハ10に対して、フッ酸水で処理し(S2)、オゾン水で処理し(S4)、フッ酸水で処理し(S10)、超純水で処理し(S20)、濃度2%のオゾンガスを含んだガスを流量10L/minで2分間噴射する処理をした(S40)。前記オゾンガスを含んだガスには、0.5%の窒素と、残りの大部分には酸素が含まれていた。
【0103】
また、第2の実施例に係る処理工程(S820)即ちオゾンガスを用いる処理によっても、ウェーハ10の表面に、シリコン表面が撥水性から親水性に変化し酸化膜が成膜される。これは、第2の実施例に係る処理工程(S820)は、図3に示すオゾンガスを用いる第1の実施例(S810)に、超純水による洗浄工程(S20)を加えただけなので、オゾンガスによる処理工程(S40)に影響を及ぼすことはないことから明らかであり、実際に、エリプソメーターで酸化膜厚を測定することにより、わかった。
【0104】
従って、図5に示すオゾンガスを用いる第2の実施例(S820)を採用することによっても、ウェーハ10の表面に図3に示すオゾンガスを用いる第1の実施例(S810)と同等な酸化膜が成膜されるので、図17に示すオゾン水を用いる比較例(S1000)と同等なウェーハ10の高品質を維持したまま、処理時間の大幅な短縮が可能である。
【0105】
図11は、ウェーハ処理装置100に用いられるACサーボモータと、従来のスピン乾燥用槽に用いられるACサーボモータのスペックを比較したグラフである。図11(a)は、200、300、450mmのウェーハ10を用いた場合に、ACサーボモータのスペックを比較例として挙げた。特に、450mmのウェーハ10を用いた場合であって、本発明の第1の実施例に従う方法で行ったときのACサーボモータのスペックを実施例として記した。また、図11(b)は、これらの数値をグラフにした片対数グラフである。
【0106】
スピン乾燥を行う場合は、最大回転速度として、約3000rpmが乾燥のために必要として要求される。ウェーハ10の径が200mmのときは、電力やトルクがそれほど必要でないが、径が300、450と上がるに従って、急激に必要な電力が大きくなり、トルクも大きくなる。また、重量も急激に大きくなる。しかしながら、本実施例の場合は、必要とされる最大回転速度は、500rpmであるので、電力はそれほど大きくなくてもよくなる。トルクは、回転初期に最も大きなトルクが必要になるので、ここではあまり差異がみられない。モータは、低回転しか要求されないため、振動対策等が軽減され、必要な重量は、200mmのものよりも小さくてよい。また、本実施例の場合は、スピン乾燥のような高速回転を必要としないため、大口径のウェーハ10を載置部材に固定しても、遠心力で端縁部が歪むことはない。
【0107】
図11から明らかなように、450mmのウェーハ10を本発明に係るウェーハ処理装置100で使用したときのACサーボモータは、従来のスピン乾燥用チャンバーを使用したときに比べて、電力、回転数、重さのいずれをとっても低スペック化できることがわかる。従って、ウェーハ処理装置100全体を小型化することができ、また省エネを図ることができる。
【0108】
図12は、図1において述べてきた載置部材110を具現化した一例を示す概略図である。図12(a)はウェーハ10を載せたときの載置部材110全体の斜視図であり、図12(b)は、6つあるピン114の内一つを取り上げデフォルメしてウェーハ10との関係を示す斜視図であり、図12(c)は、(b)の部分拡大正面図である。図12(a)に示すように、ほぼ水平に置かれたウェーハ10の外周に沿って、等間隔で6箇所ピン114が配置されている。このピン114の上端部には、ボビン形状のコマ116がそれぞれ取付けられており、コマ116の凹部118にウェーハ10の周縁部が入り込み、この周縁部でウェーハ10が保持される。6本のピン114は、その主要部であるロッド115が、回転部材(図示せず)に立設され、それぞれのコマ116によって、実質的に水平面を出せるように高さ調整機構(図示せず)を備える。
【0109】
回転部材(図示せず)は、ACサーボモータ(図示せず)の回転軸に接続され、回転可能に備えられている。上述したように、ピン114は、回転部材(図示せず)上にほぼ垂直に立設したロッド115及びコマ116から構成される。このコマ116は、上述した凹部118を挟んで、上下に配置されたそれぞれ円錐台形状の止めコマ部119及び支持コマ部117から構成される。下方の支持コマ部117は、上に向かう程細くなるテーパー状の側面を備え、上方の止めコマ部119は、逆に下に向かう程細くなるテーパー状の側面を備える。特に、止めコマ部119は、中心に軸穴を設け、ピン114から脱着可能に取付けられる。
【0110】
図13は、別の載置部材120にウェーハ10を載置させたときの概略図である。図13(a)は、斜視した概略図であり、図13(b)は、正面視した概略図である。載置部材120は、ウェーハ10を下方から所定位置に保持するものである。載置部材120は、円錐台形状の支台125と、支台125の上面に設けられた係止部127とを含み構成されている。支台125の円錐部がウェーハ10のエッジ部分(端縁部)を下方から支持し、係止部127がウェーハ10の側面を係止している。
【0111】
図14は、ノズル302の形状例について具現化した例を示す概略図であり、ウェーハ10に液体やガスを噴射している様子を表している。ノズル302は、図1若しくは図3において述べたノズル212u、212d、232u、232d、152u、152d、172u、172d、192u、192d、312u、312dに相当する。ここでは、ウェーハ10の上方に一つ描いて説明する。なお、ノズル302は、図14に表した形状に限定するものではない。
【0112】
図14(a)に示されるように、ノズル302は、直線状の筒であって、ウェーハ10の上方若しくは下方に配置されている。ノズル302は、内径φ5mmの中空部の先端部がウェーハ10側に向けられてそのまま噴射口となっている。この噴射口からは液体や気体がウェーハ10に向かって直線的に噴射される。このときノズル302は、その表面近傍を所定方向に揺動しながら噴射する。従って、筒型のノズル302を揺動して噴射することにより、ウェーハ10の表面全体に液体やガスを均一に行き渡らせることができる。なお、ノズル302は、その先端が向く角度を変えてウェーハ10全体に液体やガスが噴射させてもよい。また、噴射時にウェーハ10を回転させてもよい。
【0113】
図14(b)に示されるように、ノズル302は横棒型をしていて、その長手方向がウェーハ10の半径に沿うように、上方若しくは下方に配置されている。ノズル302は、ウェーハ10の半径よりも長い寸法であって、ウェーハ10側に長手方向へ沿って、小径の穴が複数個、列をなして開けられている。これらの穴から液体や気体がウェーハ10に向かって直線的に噴射される。このとき、ウェーハ10を回転させると、半径に沿って円を描くように順にウェーハ10の表面に液体やガスが噴射される。このようにノズル302を横棒型にし、長手方向に設けられた複数の穴から液体やガスを噴射させ、ウェーハ10を回転させることにより、ウェーハ10の表面全体に液体やガスを均一に行き渡らせることができる。なお、横棒型のノズル302を用いてガスを噴射する場合には、複数の穴を設ける代わりに長手方向にスリットを設けても同様の効果が得られる。
【0114】
図14(c)に示されるように、ノズル302(液体除去用ガス噴射装置190のノズル192u、192dは除く)は、シャワーヘッド型の形状をしていて、ウェーハ10の上方若しくは下方に配置されている。これらの先端には、ウェーハ10側に小径の穴が複数設けられ、液体又はガスが放射状に噴射若しくは噴霧可能になっている。このように、ノズル302をシャワーヘッド型にし、複数の穴から放射状に噴射若しくは噴霧することにより、ノズル302の前記揺動動作やウェーハ10の前記回転動作を行わなくても、ウェーハ10の表面全体に液体やガスを均一に行き渡らせることができる。なお、シャワーヘッド型のノズル302を用いて噴射若しくは噴霧しながら前記揺動動作や前記回転動作を組合わせた場合は、ウェーハ10の表面全体に液体又はガスをより均一に行き渡らせることができる。
【0115】
図15は、ノズルの別の形状例及びその配置例を示す概略図である。図15(a)は、傘付ノズル304の概略図である。傘付ノズル304は、直線状の筒部306とラッパ状の傘部308とから構成され、筒部306の先端近傍の途中に位置する接続部分307に、傘部308の付け根が接続され、一体となっている。筒部306は、小径の筒であり、内径φ5mmの中空部の先端がそのまま噴射口となってここから液体や気体がウェーハ10に向かって直線的に噴射される。傘部308は、噴射口の周りを離れながら囲みガードする薄い部材であり、前記接続部分307の外周を離れて外方に広がりながら、先端方向へ延出して設けられている。この延出した傘部308の先端は、筒部306の先端よりも突き出して設けられている。また、ノズル304は、ウェーハ10の上方若しくは下方に配置されていて、噴射口から液体や気体が噴射されるとき、ウェーハ10の表面近傍を所定方向に揺動する。
【0116】
図15(b)は、傘付ノズル304をウェーハ10の側方に配置した例を示す概略図である。傘付ノズル304は、噴射口をウェーハ10に向けて、その側方に配置されている。このような傘付ノズル304からは噴射物316が、ウェーハ10表面に沿うように噴射される。ウェーハ10の側方に配置する傘付ノズル304を、図中の矢印で表したようにウェーハ10の上下へ移動可能とすると、ウェーハ10の上方及び下方のノズル304の共用構造が簡単に実現することができる。
【0117】
図16は、ノズルの噴射メカニズムの模式図である。図16(a)は、傘付ノズル304の噴射の様子を表した図である。図16(b)は、傘部308を含まない直線状の筒部306からの噴射の様子を表した図である。まず図16(b)に従って、傘部308を含まない筒部306の噴射の様子について説明する。筒部306からは、液体又はガスの噴射物310が、ウェーハ10に向かって、勢いよく直線的に噴射される。噴射の勢いに応じて、噴射物310が筒部306の噴射口近傍の空気(図示せず)が巻込まれる。巻込まれた空気は、噴射物310と一緒にウェーハ10に噴射される。このとき、巻込まれた空気の僅かなパーティクル312も一緒に噴射される可能性がある。また、空気(図示せず)の巻込みにより噴射口近傍は負圧になるので、周囲の空気が噴射口に向かって流れる空気(図示せず)の流れが生じる。よって筒部306から噴射している間は途切れることなく空気の流れが起こり、噴射物310とともに周囲の空気(図示せず)がウェーハ10に噴射され続ける。すると、ウェーハ10の処理環境の空気中に浮遊している僅かなパーティクル312を集めて一緒に噴射してしまう可能性があり、自由落下により付着する以上のパーティクル312をウェーハ10の表面に付着させてしまう可能性がある。また、パーティクル312を巻込んで勢いよく吹き付ける可能性があるので、自由落下による付着よりもパーティクル312をウェーハ10表面に強固に付着させる可能性又はウェーハ10表面を傷つける可能性がある。これに対して、図16(a)に示すように、傘付ノズル304を用いて噴射物310を噴射する場合は、噴射口近傍の空気の流れが傘部308でブロックされ、処理環境全体の空気が巻込まれて一緒に噴射されることはないので、パーティクル312を集めてウェーハ10に付着させることはない。従って、傘付ノズル304は、周囲の空気を噴射することがないので、空気中の僅かなパーティクル312の付着防止ができ、各処理工程で表面清浄度が高いウェーハ10を得ることができる。
【0118】
ノズル302は、例えば、筒型、横棒型、シャワーヘッド型、傘付型、その他の各種形状のノズルを適宜組合わせてもよい。即ち各噴射装置210、230、150、170、190等ごとや、ウェーハ10の上方、下方、若しくは側方に設けられるかにより、ノズル形状が異なってもよい。
【0119】
また、ウェーハ処理装置100は、複数のノズル302を用いて同一のウェーハ10に液体及び/又はガスを噴射する構成となっているので、1つのノズル302を共通にして使用することができれば、構造は簡単になり、コスト低減に役立つ。従って、ノズル302が、全て又はその一部を共有するように接続して、液体やガスを噴射若しくは噴霧させる構造にしてもよい。

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】第1の実施例に係るウェーハ処理装置の概略図である。
【図2】フッ化水素ガス発生装置の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るウェーハの処理方法の要部のフローチャートである。
【図4】ウェーハ表面の状態を時系列順にあらわした図である。
【図5】本発明の第2及び第3の実施例に係る半導体ウェーハの処理方法の要部のフローチャートである。
【図6】本発明の第4〜第6の実施例に係る半導体ウェーハの処理方法の要部のフローチャートである。
【図7】第2の実施例に係るウェーハ処理装置の概略図である。
【図8】半導体ウェーハ処理方法のオゾンガスで処理工程後のウェーハ品質特性を示すヒストグラムである。
【図9】実験例2、参考例、及び比較例等のウェーハの特性を示した図である。
【図10】成膜水準テストを行ったウェーハ上の測定ポイントを示す図である。
【図11】ウェーハ処理装置に用いられるACサーボモータとスピン乾燥用槽に用いられるACサーボモータの特性を比較したグラフである。
【図12】載置部材を示す概略図である。
【図13】別の載置部材にウェーハを載置させたときの概略図である。
【図14】ノズルの形状例を示す概略図である。
【図15】ノズルの別の形状例及びその配置例を示す概略図である。
【図16】ノズルの噴射の様子を表した図である。
【図17】従来の半導体ウェーハ表面処理方法である。
【符号の説明】
【0121】
10 半導体ウェーハ
100、300 ウェーハ処理装置
130 チャンバー
150 オゾンガス噴射装置
158 オゾンガス発生装置
170 フッ化水素ガス噴射装置
180 フッ化水素ガス発生装置
210 オゾン水噴射装置
230 フッ酸水噴射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハの処理方法であって、
前記半導体ウェーハの表面から少なくとも一部の酸化膜を除去する撥水工程と、
前記半導体ウェーハの表面に液体がある場合に、該液体を除去する液体除去工程と、
酸化性ガスにより前記表面の少なくとも一部に酸化膜を付与し、当該酸化性ガス流に巻き込まれる周囲気体の気体流及び/又は前記酸化性ガス流は、前記液体の不飽和蒸気圧を有し、前記表面の上の前記液体を蒸発させる親水工程と、をこの順で含む処理方法。
【請求項2】
前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハであることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記撥水工程は、前記半導体ウェーハの表面に液体を直接に接触させて行うウェット工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項4】
前記撥水工程は、フッ酸水及び/又はフッ化水素ガスを用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の処理方法。
【請求項5】
前記液体除去工程は、半導体ウェーハを1500rpm以下で回転させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の処理方法。
【請求項6】
前記液体除去工程は、半導体ウェーハを傾斜させることを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の処理方法。
【請求項7】
半導体ウェーハを洗浄する装置であって、
該半導体ウェーハの表面の親水性膜を除去可能な撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを供給する手段と、
前記親水性膜除去後に現れた撥水性の表面を親水性に変えることができる親水性処理ガスを供給する手段と、
前記親水性膜の除去に際して、該半導体ウェーハを1500rpm以下で回転させることができる回転手段と、を含み、
前記撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを前記半導体ウェーハ上に供給する際、又は、供給した後に、前記半導体ウェーハを所定の速度で回転させる制御を行うことを特徴とする半導体ウェーハの洗浄装置。
【請求項8】
前記半導体ウェーハは、シリコンウェーハであることを特徴とする請求項7に記載の半導体ウェーハの洗浄装置。
【請求項9】
更に、半導体ウェーハ表面の液体を除去する液体除去手段を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体ウェーハの洗浄装置。
【請求項10】
複数の半導体ウェーハを洗浄する装置であって、
該半導体ウェーハの表面の親水性膜を除去可能な撥水性処理液若しくは撥水性処理ガスを供給する手段と、
前記親水性膜除去後に現れた撥水性の表面を親水性に変えることができる親水性処理ガスを供給する手段と、
前記複数の半導体ウェーハを収納可能な収納手段と、を含むことを特徴とする半導体ウェーハの洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−272411(P2009−272411A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120746(P2008−120746)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】