半導体デバイス製造プロセスモニタ装置および方法並びにパターンの断面形状推定方法及びその装置
【課題】
半導体デバイスの製造プロセスをモニタする装置において,被評価パターンの断面形状,あるいは被評価パターンのプロセス条件,あるいは被評価パターンのデバイス特性を,パターンを非破壊で計測可能にする。
【解決手段】
露光プロセス,あるいはエッチングプロセスにおいて,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前記パターンのデバイス特性を推定するのに有効な画像特徴量を算出し,前記画像特徴量を予めデータベースに保存しておいたパターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前期パターンのデバイス特性とSEM像から算出した前記画像特徴量とを関連づける学習データに照合することにより,被評価パターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前記パターンのデバイス特性を算出する。
半導体デバイスの製造プロセスをモニタする装置において,被評価パターンの断面形状,あるいは被評価パターンのプロセス条件,あるいは被評価パターンのデバイス特性を,パターンを非破壊で計測可能にする。
【解決手段】
露光プロセス,あるいはエッチングプロセスにおいて,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前記パターンのデバイス特性を推定するのに有効な画像特徴量を算出し,前記画像特徴量を予めデータベースに保存しておいたパターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前期パターンのデバイス特性とSEM像から算出した前記画像特徴量とを関連づける学習データに照合することにより,被評価パターンの断面形状,あるいは前記パターンのプロセス条件,あるいは前記パターンのデバイス特性を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体デバイス製造プロセスにおいて,ウェーハ上に形成された回路パターンを評価・管理する半導体デバイス製造プロセスモニタ装置および方法並びにパターンの断面形状推定方法及びその装置に関し,特に測長SEMによるパターンの断面形状管理,およびプロセス条件管理,およびデバイス特性管理に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトランジスタのデバイス特性は,主にゲート配線幅(ゲート長)に依存しており,半導体デバイス製造プロセスにおいては,測長用の電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)を用いて,このパターンの線幅を測長・管理していた。しかし,近年急速に進む半導体回路パターンの微細化に伴い,トランジスタの短チャンネル化が進み,デバイス特性を決める要因は,配線幅に加え,半導体パターンの断面形状が,前記パターンに大きな影響を与えるようになってきた。ここでは,半導体製造工程において,半導体デバイスのパターンの断面形状の管理について説明する。
【0003】
図1は,半導体デバイスのパターンの断面形状の正常形状および異常形状の例を示した図である。図1(a)は,形成する半導体デバイスのパターンにおいて,一般的に最も望ましいと考えられている断面形状の例を示しており,パターン側壁の傾斜角がほぼ垂直であり,かつ,パターン底部(102)において,パターン側壁が下地の面に対し,ほぼ直交しており,かつ,パターン上部(101)において,パターン上面とパターン側壁がほぼ直交している。これに対し,図1(b)から(j)は,形成する半導体デバイスのパターンにおいて,一般的に異常形状と分類されるもので,所望のデバイス特性が得られない場合があるパターンの断面形状の例である。ただし,所望の回路を形成する為に,故意に図1(b)から(j)のパターン形状を形成する場合もある。
【0004】
図1(b)は,パターン側壁の傾斜角が90°より小さくなったパターンである。このようなパターンの形状を順テーパと呼ぶ。図1(c)は,パターン側壁の傾斜角が90°より大きくなったパターンである。このようなパターンの形状を逆テーパと呼ぶ。図1(d)は,パターン中央部が細くなり,パターン側壁が,内側に湾曲した形状のパターンである。このようなパターンの形状をボーイングと呼ぶ。図1(e)は,パターン上部のコーナ形状が,丸まったパターンである。このようなパターンの形状をトップラウンディングと呼ぶ。図1(f)は,パターン上部のコーナ部が突き出した形状をしたパターンである。このようなパターンの形状をオーバハングと呼ぶ。図1(g)は,パターン底部の形状が裾を引いた形状をしたパターンである。このようなパターンの形状を裾引きと呼ぶ。図1(h)は,パターン底部で,下地面と側壁部が交わる箇所が,パターン上部の側壁よりもパターン内側に入り込んだ形状をしたパターンである。このようなパターンの形状をノッチと呼ぶ。図1(i)は,パターン高さが,所望するパターン高さよりも低くなっているパターンである。このようなパターンの形状を膜減り形状と呼ぶ。図1(i)は,パターン幅が,所望するパターンの太さよりも細く,あるいは,太くなったパターンである。
【0005】
上記(b)から(j)の形状は,半導体デバイスの製造プロセスの条件が不適切なために生じる形状異常の例である。半導体デバイスの回路パターンにおいて,ゲート長はパターン底部の寸法となるため,パターンの形状によらず底部の寸法を計測することが重要となる。
しかし,ゲートプロセスでは,この配線パターンをマスクとして,イオン打ち込みを行い,トランジスタのソース/ドレインを形成する。このため,パターン側壁の傾斜やパターン底部の形状がイオン打ち込み工程の処理結果に影響を与え,その結果デバイス特性が変化することから,ゲートパターンの断面形状を管理することが重要となる。
【0006】
また露光プロセスにおいては,露光マスクをもとにレジスト上にパターンを転写し,転写パターンを基に現像を行い,レジスパターンを形成する。次に形成したレジストパターンをマスクパターンとして,次エッチングプロセスで下地膜のエッチングを行うことから,レジストパターンの断面形状に異常がある場合には,次のエッチング工程においても,下地膜のエッチングパターン形成に異常を引き起こす可能性がある。このように,ゲートプロセスにおいても,露光プロセスにおいても,パターンの断面形状評価は非常に重要である。
【特許文献1】特開平10−125749
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,従来の測長SEMでは,主に配線パターンの線幅やコンタクトホールの穴径など,トップダウン方向(ウェーハに対して垂直上方)からの2次元形状の寸法の計測に用いられ,上述のような断面形状を評価・管理することは困難であった。前記断面形状の評価・管理を行うには,次のような問題があった。
(1)トップダウン方向から撮像したSEM像(以降,トップダウンSEM像とよぶ)から,形成パターンの断面形状,あるいは前記パターン形成時のプロセスパラメタ,あるいは前記パターンのデバイス性能の一部あるいは全てを計測することが困難であった。
(2)前記断面形状,あるいはプロセスパラメタ,あるいはデバイス性能の計測結果を基に,形成パターンの良否判定を行う方法がなかった。
(3)形成パターンに不良があった場合に,パターン形成不良の要因となるプロセス条件の調整量を算出し,前記プロセスにフィードバックする方法がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これに対し,本発明では,露光プロセスあるいは,エッチングプロセスにおいて,形成パターンの断面形状,あるいはるプロセス条件,あるいはデバイス特性を,測長SEMにより推定・管理する半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置および方法を提供する。本発明では,半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置を,次に述べる手段を備えて構成した。様々な断面形状のパターン,あるいは様々なプロセス条件で形成されたパターン,あるいは様々なデバイス特性のパターンのSEM像を取得する手段と,前記SEM像の特徴を定量化する画像特徴量を算出する手段と,前記画像特徴量と,形成パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス性能との対応関係(以降,学習データと呼ぶ)をデータベースに登録する手段と,被評価パターンのSEM像から前記画像特徴量を算出する手段と,被評価パターンの前記画像特徴量と,データベースに登録された前記学習データに基づいて,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を推定する手段とで構成することを特徴とする。
【0009】
更に必要に応じて,前記推定手段により推定した結果をユーザに提示する手段,あるいは前記推定手段により推定した結果が,目標許容範囲内であるかの良否判定する手段と,前記判定手段による被評価パターンの良否判定結果を基に露光プロセス,あるいはエッチングプロセス等のプロセス条件の調整量を算出する手段と,露光機,あるいはエッチング装置に,前記調整量を,フィードバックする手段,あるいは前記推定手段により推定した結果の適正値からのずれをもとに露光プロセス,あるいはエッチングプロセス等のプロセス条件の調整量を算出する手段と,前記調整量をフィードバックする手段の一部あるいは全てで構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の全てあるいは一部を非破壊・高スループットで,管理することを可能となる。更には,前記算出結果をもとに,形成パターンの良否判定,あるいは適正値からのずれ量の算出を行い,必要に応じて,露光プロセス,あるいはエッチングプロセス,あるいは露光マスク設計への調整量を算出し,前記調整量をフィードバックすることで,高度なプロセス管理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下,本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
〔測長SEMの構成〕
図2は本発明において試料の二次電子像(Secondary Electron:SE像)あるいは反射電子像(Backscattered Electron:BSE像)を取得する走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)の構成概要のブロックを示す。また,SE像とBSE像を総称してSEM像と呼ぶ。また,ここで取得される画像は測定対象を垂直方向から観察したトップダウン画像(以降,トップダウンSEM像とよぶ),あるいは任意の傾斜角方向から観察したチルト画像(以降,チルトSEM像とよぶ)の一部または全てを含む。
【0013】
(203)は電子銃であり,電子線(204)を発生する。ステージ(217)上におかれた試料である半導体ウェーハ(201)上の任意の位置において電子線が焦点を結んで照射されるように,偏向器(206)および対物レンズ(208)により電子線の照射位置と絞りとを制御する。電子線を照射された半導体ウェーハ(201)からは,2次電子と反射電子が放出され,2次電子は(209)の2次電子検出器により検出される。一方,反射電子は(210)および(211)の反射電子検出器により検出される。反射電子検出器(210)と(211)とは互いに異なる方向に設置されている。
【0014】
2次電子検出器(209)および反射電子検出器(210)および(211)で検出された2次電子および反射電子はA/D変換機(212),(213),(214)でデジタル信号に変換され,画像メモリ(222)に格納され,CPU(221)で目的に応じた画像処理が行われる。
【0015】
図3は半導体ウェーハ上に電子線を走査して照射した際,半導体ウェーハ上から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す。電子線は,例えば図3(a)に示すようにX,Y方向に(301)〜(303)又は(304)〜(306)のように走査して照射される。電子線の偏向方向を変更することによって走査方向を変化させることが可能である。X方向に走査された電子線(301)〜(303)が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG1〜G3で示している。同様にY方向に走査された電子線(304)〜(306)が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG4〜G6で示している。前記G1〜G6において放出された電子の信号量は,それぞれ図3(b)内に示した画像(309)における画素H1〜H6の明度値になる(G,Hにおける右下の添え字1〜6は互いに対応する)。(308)は画像上のX,Y方向を示す座標系である。
【0016】
図2中の(215)はコンピュータシステムであり,撮像レシピを基に試料を撮像するため,ステージコントローラ(219)や偏向制御部(220)に対して制御信号を送る,あるいは半導体ウェーハ(201)上の観察画像に対し各種画像処理を行う等の処理・制御を行う。また,処理・制御部215はディスプレイ(216)と接続されており,ユーザに対して画像等を表示するGUI(Graphic User Interface)を備える。(217)はXYステージであり,半導体ウェーハ(201)を移動させ,前記半導体ウェーハの任意の位置の画像撮像を可能にしている。XYステージ(217)により観察位置を変更することをステージシフト,偏向器(206)により電子線を偏向することにより観察位置を変更することをビームシフトと呼ぶ。
【0017】
図2では反射電子像の検出器を2つ備えた実施例を示したが,前記反射電子像の検出器の数を減らすことも,あるいは増やすことも可能である。また,前述したコンピュータシステム215における処理・制御の一部又は全てを異なる複数台の処理端末に割り振って処理・制御することも可能である。
【0018】
図2に示す装置を用いて測定対象を任意の傾斜角方向から観察したチルト画像を得る方法としては(1)電子光学系より照射する電子線を偏向し,電子線の照射角度を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式(例えば特開2000−348658号公報),(2)半導体ウェーハを移動させるステージ(217)自体を傾斜させる方式(図2においてはチルト角218でステージが傾斜している),(3)電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式等がある。
〔半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置〕
ここでは,本発明の実施における半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置(406)の概要を,図4を用いて説明する。本装置(406)は,露光プロセスあるいは,エッチングプロセスにおいて形成されたパターンにおけるモニタ項目(前記パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の一部あるいは全て)を非破壊でモニタすることを特徴とし,前記モニタ項目の算出結果をもとにパターン形成状態を把握するのに有効な様々な計測・評価を行うことを可能とする。破線で囲んだ箇所(401)は,半導体製造プロセスの処理フローを示しており,露光(403)および現像(404)を行い,レジストパターンを形成し,形成したレジストパターンを基にエッチング(405)を行い,回路パターンを形成する。
【0019】
本実施例では,現像後に形成されたレジストパターンあるいは,エッチング後に形成された回路パターン(以後,両者を被評価パターンと呼ぶ)のSEM像を取得し(407),モニタ項目を選択する(408)。前記選択は,ユーザが,必要なモニタ項目を選択する。次に前記選択のモニタ項目別に,前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(409)を行う。最後に算出した前記画像特徴量と,データベース(413)に予め登録しておいた,推定用の学習データ(モニタ項目と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,モニタ項目別の推定エンジン(410)により,被評価パターンのモニタ項目ついて,推定値を算出する(411)。また必要に応じて前記算出結果を,後述の表示方法で画面表示し,ユーザに提示する(412)。
【0020】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法)
上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置(406)は,被評価パターンのSEM像を基に,被評価パターンのモニタ項目(被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の全てあるいは一部)について推定値を算出し,後述の画面表示方法によって,ユーザに前記算出結果を提示するものである。ここでは,上述の方法により算出したモニタ項目を用いて,後述のプロセス条件調整量を,前記プロセスへのフィードバックすることでプロセスモニタを行う方法(以後,プロセスモニタ方法と呼ぶ)について述べる。
【0021】
図14は,本発明における半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の説明図である。破線で囲んだ箇所(1705)は,半導体デバイスの製造プロセスのフローを示しており,露光(1702)および現像(1703)を行い,レジストパターンを形成し,形成したレジストパターンを基にエッチング(1704)を行い,回路パターンを形成する。
【0022】
本実施例では,現像(1703)後に形成されたレジストパターンあるいは,エッチング(1704)後に形成された回路パターンのSEM像を取得し(1710),モニタ項目を選択する(1711)。前記選択は,ユーザが,必要なモニタ項目を選択する。次に前記選択のモニタ項目別に,前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1712)を行う。算出した前記画像特徴量と,データベース(1715)に予め登録しておいた,学習データ(モニタ項目と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)を用いて,モニタ項目別の推定エンジン(1713)により,被評価パターンのモニタ項目の全てあるいは一部の推定値を算出する(1714)。前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1716),規格を満たしている場合は,次工程(1717)に移る。規格を満たさない場合は,フィードバックする工程を選択し(1718),エッチング工程(1704)にフィードバックする場合は,エッチング条件の調整量を算出し(1720),エッチング工程(1704)にフィードバックする。露光工程(1702)にフィードバックする場合は,露光条件の調整量を算出し(1719),露光工程(1702)にフィードバックする。以上によって,プロセスモニタを行う。
【0023】
ここで述べたプロセスモニタ方法は,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンのモニタ項目の推定値を算出し,前記算出結果を用いて,露光プロセスで形成されたレジストパターン,あるいはエッチングプロセスで形成されたエッチングパターンを管理する方法の一例であり,前述のような構成により,従来のパターンの線幅管理だけはできなかった各モニタ項目のプロセスモニタを行うことが可能となる。
【0024】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の例(1)露光プロセスパラメタのモニタ方法)
ここでは,本発明における上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法おいて,モニタする工程を露光工程とし,モニタ項目を露光条件とした場合の実施例について,図16(a)を用いて説明する。
【0025】
本実施例では,現像(1903)後に形成されたレジストパターンのSEM像を取得し(1910),モニタ項目として露光条件を選択する(1911)。前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1912)を行う。算出した前記画像特徴量と,データベース(1915)に予め登録しておいた,学習データ(露光条件と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)を用いて,露光条件の推定エンジン(1913)により,被評価パターンの露光条件を算出する(1914)。
【0026】
前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1916),規格を満たしている場合は,次工程(1917)に移る。規格を満たさない場合は,露光工程(1902)へのフィードバックを選択し(1918),露光条件の調整量を算出し(1919),露光工程(1902)にフィードバックする。以上により,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの露光条件を算出し,前記算出結果を用いて,露光プロセスで形成されたレジストパターン形成を管理することが可能となる。本方法は,本発明のプロセスモニタ方法の一例であり,上述に示した構成で,例えば露光工程,あるいはエッチング工程における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の管理を行うことを特徴とする。
【0027】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の例(2)露光プロセスパラメタのモニタ方法)
ここでは,本発明における上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法おいて,モニタする工程を露光工程とし,モニタ項目を被評価パターンの断面形状とした場合の実施例について図16(b)を用いて説明する。
【0028】
本実施例では,現像(1933)後に形成されたレジストパターンのSEM像を取得し(1940),モニタ項目として断面形状を選択する(1941)。前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1942)を行う。次に算出した前記画像特徴量と,データベース(1945)に予め登録しておいた学習データ(断面形状と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,断面形状の推定エンジン(1943)により,被評価パターンの断面形状を算出する(1944)。
前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1946),規格を満たしている場合は,次工程(1947)に移る。規格を満たさない場合は,露光工程(1932)へのフィードバックを選択し(1948),被評価パターンのSEM像より,露光条件の推定に用いる画像特徴量を算出する(1949)。算出した前記画像特徴量と,データベース(1945)に予め登録しておいた学習データ(露光条件と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,
露光条件の推定エンジン(1950)により,露光条件を推定する(1951)。前記推定結果から,露光条件の調整量を算出し(1952),露光工程(1932)にフィードバックする。
【0029】
以上により,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を算出し,前記断面形状が不良であった場合には,露光条件の調整量を算出し,露光工程にフィードバックすることでレジストパターン形成を管理することが可能となる。本方法は,本発明のプロセスモニタ方法の一例であり,上述に示した構成で,例えば露光工程,あるいはエッチング工程における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の管理を行うことを特徴とする。
(断面形状算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(a)を用いて説明する。
【0030】
本方法は,大きくは,4つのSTEPからなる。STEP1,2で断面形状推定用の学習データ(断面形状と画像特徴量の関係をあらわす学習データ)を作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0031】
予め様々なプロセス条件などで,形成した様々な形状の断面形状のパターン(1801)のSEM像を取得し(1802),また同時に,AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)計測,あるいは汎用SEMによる断面計測,あるいはその他の断面計測手段により,前記パターンの断面形状を計測する(1803)(STEP1)。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1804),算出した画像特徴量と断面形状とを関連づける学習データを作成する(1805)。作成した学習データを断面形状推定用学習データとよぶ(STEP2)。
次に,被評価パターンのSEM像を取得する(1806)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1807),算出した前記画像特徴量と,STEP2で作成した断面形状推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1808)により,被評価パターンの断面形状を算出する(1809)(STEP4)。
【0032】
上記STEP1で計測する断面形状(1803)の一例を図11に示す。算出する断面形状は,AFM,あるは汎用SEM計測による計測,あるいはその他の断面計計測手段により取得し,例えば,パターンの高さ(1301),あるいは線幅情報であるTop-CD(1302),あるいはMiddle−CD(1303),あるいはBottom−CD(1304),あるいはコーナの丸まり形状(1305),あるいは裾引き形状(1306),あるいはパターン側壁部の形状(1307)などがある。
【0033】
上記STEP4において,算出する被評価パターンの断面形状としては,図11に示したパターンの高さ(1301),あるいは線幅情報であるTop−CD(1302),あるいはMiddle−CD(1303), あるいはBottom−CD(1304),あるいはコーナの丸まり形状(1305),あるいは裾引き形状(1306),あるいはパターン側壁部の形状(1307)などがある。算出する断面形状としては,例えば,図1に示した(a)正常パターン,あるいは(b)順テーパパターン,あるいは(c)逆テーパパターン,あるいは(d)ボーイングパターン,あるいは(e)トップラウンディングパターン,あるいは(f)オーバハングパターン,あるいは(g)裾引きパターン,あるいは(h)ノッチパターンを代表例とするその他,半導体製造プロセスで形成される様々な形状のパターンの断面形状を計測可能とする。
【0034】
STEP1においては,様々なプロセス条件などで,実際に形成した様々な断面形状パターンを計測する方法について述べたが,その他の方法として,シミュレーションを用いて,様々な断面形状パターンの計測データを算出する方法もある。その場合,リソシミュレーションにより,様々な断面形状のパターンを算出し,次に形成されるパターンのSEM像を電子線シミュレーションにより算出する。電子線シミュレーションによりえられるSEM像を前記SEM撮像(1802)の結果とし,リソシミュレーションにより得られる,パターンの断面形状を,前記断面形状計測(1803)の結果とする。このようにシミュレーション結果をもとに推定用学習データを作成することで,予め様々な断面形状パターンを実際に作る作業が不要になり,効率的に学習データを作成できる。
【0035】
(プロセス条件算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンのプロセス条件をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(b)を用いて説明する。
【0036】
本方法は,大きくは,4つのSTEPからなる。STEP1,2でプロセス条件推定用の学習データ(プロセス条件と画像特徴量の関係をあらわす学習データ)を作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0037】
予め様々なプロセス条件で形成した様々なパターン(1821)のSEM像を測長SEMにより取得する(1822)。(STEP1)。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1824),算出した画像特徴量と断面形状とを関連づける学習データを作成する(1825)。作成した学習データをプロセス条件推定用学習データとよぶ(STEP2)。
次に,被評価パターンのSEM像を取得する(1826)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1827),算出した画像特徴量と,STEP2で作成したプロセス条件推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1828)により,被評価パターンのプロセス条件形状を算出する(1829)(STEP4)。
STEP1においては,様々なプロセス条件で形成したパターンを計測する方法について,述べたが,その他の方法として,シミュレーションを用いて,様々なプロセス条件で形成したパターンの計測データを算出する方法もある。その場合,リソシミュレーションにより,様々なプロセス条件で形成したパターンを算出し,次に形成されるパターンのSEM像を電子線シミュレーションにより算出する。電子線シミュレーションにより得られるSEM像を前記SEM撮像(1822)の結果とし,リソシミュレーションで与えたプロセス条件(1823)と併せて,プロセス条件推定用学習データを作成する(1825)。このようにシミュレーション結果をもとに推定用学習データを作成することで,予め様々なパターンを実際に作る作業が不要になり,効率的に学習データを作成できる。
【0038】
(デバイス特性算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンのデバイス特性をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(c)を用いて,説明する。本方法は,断面形状算出手法と同様に,大きくは,4つのSTEPからなり,STEP1,2でデバイス特性算出用の学習データを作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンで形成された回路のデバイス特性を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0039】
予め様々なプロセス条件などで,形成した様々な断面形状パターン(1841)のSEM像を測長SEMにより取得し(1842),また同時に,被評価パターンで形成された回路のデバイス特性の計測する(1843)(STEP1)。デバイス特性の計測方法については,後述する。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1844),算出した画像特徴量と,被評価パターンで形成される回路のデバイス特性とを,関連づける学習データを作成する(1845)。作成した学習データをデバイス特性推定用学習データとよぶ(STEP2)。
【0040】
一方、被評価パターンのSEM像を取得する(1846)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1847),算出した画像特徴量と,STEP2で作成したデバイス特性推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1848)により,被評価パターンのデバイス特性を算出する(1849)(STEP4)。STEP1での計測する被評価パターンで形成された回路のデバイス特性として,閾値電圧,ドレイン電流,漏れ電流,遅延時間,動作速度などを,SEM計測を行ったパターンを用いて生成されたデバイスに対して,プローブ検査等により計測する。
【0041】
〔推定に用いる画像特徴量の算出)
・画像画像特徴量
ここでは,前述の図4で示した断面形状モニタ装置(406)において,被評価パターンのSEM像からパターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を捉える画像特徴量を算出(408)する方法の一例を説明する。図5は,本発明の実施における被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。次に述べる処理により,図5(a)に示す被評価パターンのSEM像(501)から,画像特徴量算出範囲(503)を抽出し,図5(b)に示すラインプロファイル(504)を作成し,作成したラインプロファイルから,被評価パターンの断面形状算出に有効な様々な画像特徴量を算出する。
【0042】
処理の詳細な手順を説明する。まず,図5(a)に示すように,SEM像(501)から,ラインプロファイル作成に必要な画像特徴量算出範囲(503)を指定する。例えば,被評価パターン(502)が,SEM像の視野内をY方向(図の上下方向)に伸びるラインパターンであった場合,画像特徴量算出範囲(503)とは,X方向(図の左右方向)に少なくとも画像特徴量を算出する箇所が全て含まれる範囲であり,Y方向にはSEM像によるノイズを低減させるために,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理に必要な画素数(1次電子の走査ライン数)の範囲であり,例えば図5(a)に示すSEM像(501)上において,Y方向に伸びるラインパターン(502)が被評価パターンである場合には,複数画素分(例えば100画素)の画像範囲を選択する。このとき,画素値の平均化に用いる画素数が多ければSEM像特有のノイズ成分を低減することができる。なお,Y方向の選択範囲は,被評価パターンの形状により,適宜変更することができる。
【0043】
次に,選択した画像範囲において,各X座標の画素値(信号強度値)をY方向に平均化する処理を施し,X方向のラインプロファイルを作成する。これまでの処理により,被評価パターンの画像特徴量算出範囲(503)でのラインプロファイル(504)を作成する。次に,算出したラインプロファイル(504)より,被評価パターンのライン幅,エッジ部の幅などの各種の寸法情報に相当する画像特徴量を算出する。図5(b)の上段および下段の図は,被評価パターンの断面形状(516)と,ラインプロファイル(504)との関係を示したものである。ラインプロファイル(504)は,SEMにより得られる2次電子強度をあらわしており,一般的に2次電子強度は,計測対象の傾斜角に応じて大きくなるため,被評価パターンの側壁部(518)での信号強度は,平坦部(517)での信号強度よりも大きくなる。このようにラインパターンの側壁部などで2次電子強度が大きくなり,それがSEM像上で帯状に連なった部分をホワイトバンドと呼ぶ。被評価パターンの断面形状の変化を捉える画像特徴量として,図5(b)下段に示す種々な画像特徴量を算出する。
【0044】
パターンのボトム幅(515)は,ラインパターン断面形状の根元での幅の傾向を捉え,パターンのトップ幅(506)は,ラインパターン断面形状の頂上での幅の傾向を捉え,ラインプロファイルのピーク幅(505)は,ラインパターン断面形状の中腹部での幅の傾向を捉え,左側のワイトバンド内側の平均幅(510)は,ラインパターン断面形状の左側頂点部の丸まりを捉え,右側のホワイトバンド内側の平均幅(507)は,ラインパターン断面形状の右側頂点部の形状を捉え,右側のホワイトバンド外側の平均幅(512)は,ラインパターン断面形状の右側根元部の形状を捉え,左側のホワイトバンド外側の平均幅(509)は,ラインパターン断面形状の左根元部の形状を捉え,右側のホワイトバンド幅(513)は,ラインパターン断面形状の右側壁部の幅の傾向を捉え,左側のホワイトバンド幅(514)は,ラインパターン断面形状の左側壁部の幅の傾向を捉える。
【0045】
ここで述べた9個の画像特徴量は,断面形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0046】
・チルト画像特徴量
前述のSEM像より算出したラインプロファイルを利用して算出した特徴においては,被評価パターンの断面形状を捉える場合に,被評価パターンのトップダウン像のみを用いていることから,たとえば,ラインパターンの側壁形状や,高さ情報や,フッティング形状が,パターンの形状によっては,上手く観測できない可能性がある。そこで,ここでは上述の測長SEMの説明において述べたチルトSEM像を用いることで,上記のような状況においてもパターンの断面形状を捉える画像特徴量を算出する方法について述べる。
【0047】
図21(a)に,正常に形成されたラインパターン(2901)のトップダウンSEM像(2902),およびチルトSEM像(2903)の例を示す。被評価パターン(2901)が,左右対称の理想的な形状であった場合には,そのトップダウンSEM像(2902)において,右側壁部のホワイトバンドの幅と左側壁部のホワイトバンドの幅は,ほぼ同じ幅となる(厳密には,照射する電子銃のスキャン方向,計測対象の帯電状態によって異なる)。一方,同じラインパターン(2901)をチルト像(2903)においては,チルト方向によって,例えば,右側壁部のホワイトバンドが太くなり,左側壁部のホワイトバンドが細くなる。
【0048】
前述のような傾向が見られる理由について,図21(c)を用いて簡単に説明する。チルトSEM像を得る方法は,測長SEMの構成で説明したようにいくつかあるが,簡単のため被評価パターンが傾き(2916),パターン上方からSEMの電子が照射されるとする(2919)。このとき,パターンが傾斜していることから,ラインパターン(2916)の右側壁部(2918)には,多くの領域に電子線が照射され,右側壁部(2918)による右側壁側のホワイトバンド(2914)は,トップダウンSEM像でのホワイトバンドに比べ,太くなる。一方,ラインパターン(2916)の左側壁部(2917)では,電子線が照射される領域が少なく,左側壁側のホワイトバンド(2913)は,トップダウンSEM像でのホワイトバンドに比べ細くなる。
【0049】
このように,被評価パターンを傾けることにより,ラインパターンの側壁部の観測領域が広くすることができ(図21(a)の例では,被評価パターン(2916)の右側壁部側),その側壁部の観測をトップダウンSEM像に比べ詳細に行うことが可能となる。チルトSEM像より得られたラインプロファイルから,図5(b)に示した線幅特徴量と同様の画像特徴量を算出することで,チルトSEM像によって得られる断面形状を捉える画像特徴量を算出することができる。
【0050】
ここで述べた画像特徴量は,測長SEMのチルト計測機能を利用し,チルトSEM像より算出したラインプロファイル(2920)より算出した被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0051】
・差分チルト画像特徴量
上述のようにチルト線幅特徴量を用いることで,トップダウンSEM像の線幅特徴量のみを用いた場合に比べ,より良好な断面形状の算出結果が得ることが可能ではあるが,被評価パターンの断面形状を捉える画像特徴量として,チルト角を変えて算出した前記画像特徴量の変化量を用いる方法もある(以降,本画像特徴量を差分チルト線幅特徴量とよぶ)。ここでは,前記差分チルト特徴量がパターンの断面形状算出に有効となる一例について図21(a)(b)を用いて説明する。
【0052】
被評価パターンの断面形状が,正常な場合をパターンA(2901),パターン高さが低くなった場合をパターンB(2909)とする。このパターンAの線幅特徴量およびチルト線幅特徴量おいては,上述のように,チルト画像を用いることから,チルト線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドは,トップダウンSEM像の場合に比べ太り,左側壁部のホワイトバンドは,トップダウンSEM像の場合に比べ細くなる。
【0053】
一方で,パターンBのように,パターン高さが低くなったパターンでは,チルトSEM画像を用いても,チルト線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドと,トップダウンSEM像の線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドの値は,パターンAの場合に比べ変わらず,また左側側壁部のホワイトバンドと,トップダウンSEM像の線幅特徴量の左側壁部のホワイトバンドの値も,パターンAの場合に比べ変わらない。これは,パターンBの側壁部の高さが短くなっていることから,チルト画像によって,被評価パターンの側壁部の観測領域を広くしても,ホワイトバンド幅の増加に現れないことによる。
【0054】
よって,パターンAの差分チルト線幅特徴量のホワイトバンド幅は,パターンBの差分チルト線幅特徴量のホワイトバンド幅に比べて大きな値となる。ここで述べた差分チルト線幅特徴量は,チルト角を変えて得られたチルト画像から得られた被評価パターンの立体形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0055】
・テクスチャ情報
本発明の実施における被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を,図6を用いて説明する。ここで説明する画像特徴量は,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンが含まれる画像領域内の2次元情報を算出することを特徴とする。前記画像特徴量の例として,被評価パターンが含まれる画像領域内のテクスチャ解析することで,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法について述べる。
【0056】
本画像特徴量の算出方法を,図6を用いて説明する。SEM像(601)において,被評価パターンのテクスチャ解析を行うテクスチャ解析領域(602)を指定する。テクスチャ解析領域(602)は,その領域内に少なくとも被評価パターンが含まれるように指定する。ここではテクスチャ解析方法の一例として,テクスチャ解析領域(602)内で信号強度の頻度分布(603)をもとめ,頻度分布(603)の形状を示す画像特徴量を算出し,これを被評価パターンの画像特徴量とする。頻度分布の形状を示す画像特徴量として,例えば,平均,分散,歪度,尖度がある。
【0057】
信号強度iの頻度をP(i)としたとき,各画像特徴量は,(数1)で与えられる。
【0058】
【数1】
例えば,半導体プロセス条件によって,被評価パターンの頂上部が平坦でなく,波打った形状となった場合,SEM像(604)のテクスチャ解析領域(605)内での信号強度の頻度分布(606)より算出したテクスチャ特徴量は,歪度と尖度が,パターンの頂上が平坦なパターンのSEM像(601)に比べ小さくなる。ここで示したようなテクスチャ特徴量を用いることにより,パターンの断面形状の傾向を捉とらえることができる。ここで述べたテクスチャ解析において,SEMの信号強度の頻度分布から算出される特徴量は,パターンの断面形状を捉える画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。
【0059】
またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0060】
・ラインプロファイル解析
(ノッチ検出画像特徴量)
図7は,本発明の実施における被評価パターンのSEM像から被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。被評価パターンの断面形状に起因して,SEM像から得られる前述のラインプロファイルに特定の傾向が発生し,そのラインプロファイルの傾向を解析し,画像特徴量として算出する。ここでは,前記画像特徴量の一例として,レジストパターンのノッチ形状(903)を検出可能とする画像特徴量について図7を用いて述べる。図7(a)(b)は,ラインパターンの断面形状を示しており,図7(a)は,正常なラインパターンの断面形状(901)であり,図7(b)は,ラインパターン底部が,ライン内側に入り込み(903),異常な断面形状のラインパターン(902)である。このような異常な断面形状(903)をノッチとよぶ。
【0061】
図7(a)(b)の各々の形状パターンのSEM像より得られるラインプロファイルを比較すると,図7(b)のノッチ(903)に対応するパターン右側壁部のラインプロファイル,即ち図7(d)のラインプロファイル(905)は,図7(a)の正常なラインパターン(901)のパターン右側壁部に対応する図7(c)のラインプロファイル(904)と比べて,ラインプロファイルの山の麓部(906)の信号強度が低くなる傾向がある。
【0062】
ラインプロファイルのこのような傾向は,被評価パターンの断面形状に起因したパターンの帯電状態,および帯電に伴う2次電子の振る舞いに因ることが考えられる。ここでは,前述のラインプロファイルの山の麓部(906)の信号強度が低くなる傾向を,画像特徴量として算出する。画像特徴量の算出方法として,例えば,観察パターンの下地部のSEMの信号強度とノッチ部の信号強度の差分(907)を画像特徴量として算出する。
【0063】
ここで述べた被評価パターンを撮像したSEM像より得られるラインプロファイルの形状解析により算出することで得られるノッチ形状を検出する画像特徴量は,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一つであり,このような被評価パターンの様々な断面形状に起因して発生するラインプロファイルの形状変化を捉える画像特徴量を用いることで,後述の被評価パターンの断面形状算出において良好な断面形状の算出結果をえることが可能となる。また本画像特徴量は,ノッチ発生の有無,あるいは,ノッチの程度(ライン底部が,ラインパターンの内側に入り込む程度(903))を表す指標値としても用いることが可能である。
【0064】
また,上述のトップダウンSEM像より得たラインプロファイルを解析して得た画像特徴量では,ノッチ部周辺のパターンの帯電状態,および帯電に伴う2次電子の振る舞いに因る画像特徴量であり,ノッチ部の自身での2次電子の振る舞い(ノッチ部のパターンエッジにおける2次電子放出(以降,エッジ効果とよぶ))を表しているわけではない。
【0065】
そこで図9(b)に示すように,上述の測長SEMの説明において述べたチルトSEM画像を用いることで,ラインパターン底部のノッチ部(1104)に直接,SEMの電子(1106)を照射させることで,ノッチ部でのエッジ効果が観測されるSEM像を取得し,そのラインプロファイルを解析することで,ノッチの程度をあらわす画像特徴量が算出可能となる。
【0066】
(オーバハング検出画像特徴量)
図8は,本発明における被評価パターンのSEM像から被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。被評価パターンの断面形状に起因して,チルトSEM像から得られる前述のラインプロファイルに特定の傾向が発生し,そのラインプロファイルの傾向を解析し,画像特徴量として算出する。
【0067】
図8(a)は,パターンの断面形状の側壁が逆テーパになったもの(1001)で,この形状をオーバハングとよぶ。図8(b)は,正常な形状のパターンの断面形状(1004)を示す。図8(a)〜(f)は,それぞれ,オーバハングであるパターンのトップダウンのSEM像から算出したラインプロファイル(1007)およびチルト画像から算出したラインプロファイル(1008)と,正常な形状パターンのトップダウンのSEM像から算出したラインプロファイル(1009)およびチルト画像から算出したラインプロファイル(1010)である。
【0068】
トップダウンSEM像から算出したそれぞれのプロファイル(1007)(1009)には,ほとんど違いはないが,チルトSEM画像から算出したそれぞれのプロファイル(1008)(1010)では,正常パターン(1004)のラインプロファイル(1010)では,上述のように,左右いずれかのホワイトバンドが太くなるが(図8(b)では右側壁部のホワイトバンドが太っている),オーバハングしたパターン(1001)では,パターン形状に起因した,パターンの帯電状態,2次電子の振る舞いから,ある程度のチルト角までは,ラインプロファイル(1008)のホワイトバンドが太らない傾向がある。このような,正常パターン(1004)とオーバハングパターン(1001)でのラインプロファイルの違いを捉える画像特徴量を算出し,被評価パターンの断面形状算出に用いる画像特徴量とする。
【0069】
ラインプロファイルから算出する画像特徴量として,例えば前述のチルト線幅特徴量がある。ここに述べた被評価パターンを撮像したチルトSEM像により得られるラインプロファイルの線幅特徴量は,オーバハング形状になっている被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一例であり,このような被評価パターンの様々な断面形状に起因して発生するチルトSEM像より得られるラインプロファイルより得られる画像特徴量を用いることで,の被評価パターンの断面形状算出において,良好な断面形状の算出結果を得ることが可能となる。
【0070】
(推定エンジンの選択)
ここでは,本発明におけるモニタ項目(被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の一部あるいは全て)の推定における推定エンジンの選択について説明する。前記推定エンジンは,学習データであらわされるモニタ項目と画像特徴量との対応関係により適当なエンジンを決定する。本推定で用いる推定エンジンの一例を挙げるが,推定エンジンは,本例に限定されず,その他の推定エンジンを用いることもできる。ここでは,推定エンジンの例として,尤度推定法,および重回帰分析を使った方法,およびk-NN法を用いた推定を挙げる。
【0071】
各推定エンジンは,次のような特徴があり,上述の通り,モニタ項目と画像特徴量との関係により適当な推定エンジンを選択する。前記モニタ項目と画像特徴量間の分布において,連続性があり,分布に偏りが少ない場合は,前記分布に対し,関数式による近似を行う尤度推定法,あるいは重回帰法が適している。両手法は,近似を行うことで,学習データに含まれる例外値の影響を受けにくい利点がある。
【0072】
ただし,近似する適当な関数式を設定する必要があるという欠点がある。一方,前記分布において,連続性が低く,分布に偏りがある場合は,分布に対し,関数式の近似を行わないk-NN法が適している。本手法は,関数式による近似を行わないことから,関数式の近似が困難な場合に有効であるとう利点がる。ただし,学習データの例外値に影響を受けやすいという欠点がある。以上のような利点,欠点を考慮して,モニタ項目と画像特徴量の関係から,適当な推定エンジンを選択する。次に,各推定エンジンを用いたモニタ項目の推定の例について順に説明する。
【0073】
・尤度推定
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の推定方法の一例を,図12および図13を用いて説明する。上述の推定エンジンに,先に述べた尤度推定法を用いる方法について説明する。ここでは,推定対象として,断面形状を推定することとする。プロセス条件を推定する場合は,断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定エンジンを尤度推定法としたが,尤度推定法には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。図12は,図 10(STEP2)における断面形状推定用の学習データの作成方法を示す図であり,図13は,上述の図12(STEP4)における被評価パターンより算出した画像特徴量を断面形状推定用の学習データに照合することで,被評価パターンの断面形状を算出する方法を示す図である。なお,ここでは,簡単のために,断面形状推定に用いる画像特徴量を3個としている。
【0074】
上述のSTEP1で,様々な断面形状のSEM像を取得し,STEP2において,STEP1で取得したSEM像から画像特徴量を算出し,画像特徴量毎に算出した画像特徴量と観測対象の断面形状との対応関係を求める。
【0075】
図12の上段のグラフ(1401),(1402),(1403)は,算出した画像特徴量と観測対象の断面形状(例えば,パターン高さ等)との対応関係を,横軸に断面形状,縦軸に各画像特徴量m1,m2,m3でプロットしたものである。次に図12の下段のグラフ(1404),(1405),(1406)に示すように,図12の上段の各グラフ(1401),(1402),(1403)を平滑化することで,各画像特徴量m1,m2,m3の断面形状と画像特徴量を関連付ける学習データを作成する。
【0076】
学習データをあらわす関数をMk(i)とし,iは,断面形状をあらわす値であり,各特長量毎に学習データを作成する。k(k=1・・・・n)は,各画像特徴量をあらわす。nは画像特徴量の数である。算出した学習データは,演算装置に接続された記憶媒体に保存される。
【0077】
上述の(STEP3)で,被評価パターンのSEM像を取得し,(STEP4)において,(STEP3)で取得したSEM像から画像特徴量を算出し,算出した画像特徴量をこの記憶媒体に保存されている断面形状推定用の学習データに照合することで立体形を推定する。
【0078】
図13において,被評価パターンのSEM像から算出した各画像特徴量の値をf1,f2,f3とする。図13の上段に示すように,各画像特徴量f1,f2,f3の値が,各学習データ(1501),(1502),(1503)上で,(1504),(1505),(1506)であったとする。
【0079】
各画像特徴量f1,f2,f3に関し,画像特徴量fkのばらつきが標準偏差σkの正規分布に従うという仮定して, (数2)に示す尤度関数pk(i)(k=1・・・・n)を求める。pk(i)は,断面形状(例えばパターンの高さ等)が,iである確立をわらわす値である。
【0080】
【数2】
σkは画像特徴量fkのプロセスばらつきの実情に合わせた値を与える。
算出した尤度関数の例を,図13のグラフ(1507), (1508), (1509)に示す。各画像特徴量において,この尤度が高くなるほど,被評価パターンの断面形状に近い断面形状をあらわしていることとなる。(数3)に示すように各画像特徴量から算出した尤度分布を掛け合わせ,最も値が高くなる断面形状(1510)が被評価パターンの断面形状をあらわす値となる(数4)。
【0081】
【数3】
【0082】
【数4】
ここで述べた尤度推定による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
【0083】
重回帰式
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件を推定する方法の一例として,上述の図10(STEP2)における断面形状推定用の学習データに重回帰式を用いた推定方法を示す。プロセス条件を推定する場合は,断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定に重回帰分析を用いたが,重回帰分析には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。つまり上述の被評価パターンのSEM像より算出した画像特徴量毎に,目的とする断面形状推定に適した重み(回帰変数)を掛け合わせ,その和によって,被評価パターンの断面形状を算出する。
【0084】
回帰変数は,図10(STEP2)における断面形状推定用の学習データ作成する段階で,様々な断面形状のパターンの計測結果をもとに算出し,求められた重回帰式を断面形状推定学習データとして,演算装置に接続された記憶媒体に保存される。なお,ここで用いる重回帰式の一例としては,以下の(数5)等であらわされる。
【0085】
【数5】
【0086】
被評価パターンの断面形状を算出するために,被評価パターンのSEM像から(数5)で用いられる画像特徴量を算出し,各画像特徴量を重回帰式の断面形状推定学習データに当てはめ,被評価パターンの断面形状を算出する。ここで述べた重回帰式による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
(k-NN法)
図24は,本発明の実施例における半導体パターンの断面形状,あるいはプロセス条件の推定方法の一例として,上述の推定エンジンに最近傍法を用い,図11で述べた被評価パターンの断面形状のうちパターンの高さ(1301)を推定する方法について説明する図である。プロセス条件を推定する場合は,推定する断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定エンジンを最近傍法としたが,最近傍法には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。
【0087】
図24(a)は,最近傍法を用いて,半導体パターンの断面形状,あるいはプロセス条件の推定方法の処理フローを示した図である。本手法は,図10 (STEP2)における断面形状推定用学習データとして,様々な断面形状のパターン(以降,学習データの任意のサンプルを学習サンプルと呼ぶ)のSEM像の画像特徴量と,その断面形状との組み合わせをそのまま登録する。つまり,尤度推定法で行ったような学習データを表す関数の作成は行わない。次に被評価パターンのSEM像(2800)の画像特徴量(2801)を算出し,後述する方法で,特徴量空間において被評価パターンに対して近傍の上位k個の学習サンプルを選択(2804)する。この選択した上位k個の学習サンプルのパターンの高さについて,被評価パターン-学習サンプル間の変位ベクトルに基づく補間値(2805)を算出し,被評価パターンの高さの推定値する(2806)。ここでkは,1から学習サンプルの総数までの任意の値を設定することができ,特徴量空間内での学習サンプルの分布状態に基づき定める。
【0088】
前述の特徴量空間において,被評価パターンに対して,近傍上位k個の学習サンプルを選択(2804)する際の概念図を図24(b)に示す。ここでは,画像特徴量の数を9個(f =( f1, ・・・, f9)T)とし,その特徴量空間内に,学習ステップで登録した学習サンプル(2803)が分布している。
【0089】
次に,計測対象から算出した画像特徴量(f '=( f1', ・・・, f9')T)をもとに,特徴量空間において被評価パターン(2832)との距離d( f ,f ')が近い上位k個の学習サンプルを選択する.また,距離d( f ,f ')はユークリッド距離として次式で与える.
【0090】
【数6】
選択されたk個の学習サンプルの膜厚から,次式で与える補間式により,被評価パターンの高さHを算出する.
【0091】
【数7】
ここで,wj,h0,は選択されたk個の学習サンプルから,最小二乗法により算出する。
【0092】
以上により,半導体パターンの断面形状の一例であるパターンの高さの推定が可能となる。
【0093】
ここで述べたk-NN法による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
【0094】
〔本発明の構成〕
ここでは,本発明における断面形状モニタ装置/方法,あるいはプロセス条件モニタ装置/方法,あるいはデバイス特性モニタ装置/方法を実現する構成について,図17を用いて説明する。
【0095】
前記装置/方法の構成要素としては,測長SEM(2006),画像処理/推定処理用コンピュータ(2010),AFM(2007)あるいは,断面計測用汎用SEM(2008),リソシミュレータ(2012),/電子線シミュレータ(2013),データベース記憶用装置(2011)からなり,またプロセス管理対象の装置として,露光装置(2001),現像装置(2002),エッチング装置(2003),露光マスク設計用コンピュータ(2009)からなり,各々がネットワークで接続して構成される。
【0096】
上述の図17で示した構成に対して,測長SEM,断面形状計測装置の替わりに,AFM搭載測長SEMによって構成してもよい。これにより構成が簡易となり,また,計測対象のSEM像と,断面計測データのアドレッシングが容易となり,学習データ作成時の計測を効率的に行うことができる。
【0097】
〔GUI〕
入力GUI
図18は,本発明における断面形状モニタ装置あるいは方法, およびプロセス条件モニタ装置あるいは方法,およびデバイス特性モニタ装置あるいは方法における入力GUI(Graphic User Interface)画面の一例である。本入力GUIにより,ユーザは,断面形状モニタ,あるいはプロセス条件モニタ,あるいはデバイス特性モニタによる半導体プロセスモニタの詳細な各種設定が可能となる。本発明の前記装置,あるいは前記方法は,本図に示した機能を選択可能とする後述の項目の全て,あるいは,一部を,入力GUIとしてもつことを特徴とする。以下に選択可能とする項目について述べる。
【0098】
GUI項目の一つは,評価対象とする製造工程を指定する項目(2401)であり,リソグラフィ工程(2402),およびエッチング工程(2403)の選択を可能とする。他の項目としては,評価モードを指定する項目(2404)であり,断面形状モニタ(2405),およびプロセス条件モニタ(2430),およびデバイス特性モニタ(2406)の選択を可能とする。更に,評価パターン種を指定する項目(2407)としてラインパターンの幅(2408)とホールパターンのホール径(2409)が入力できるようになっており,更に,推定に使用する画像特徴量の項目(2410)としてMPPC特徴量(2411),テクスチャ情報(2412),OPC評価指標(2413),ラインエッジラフネス(2414)などの画像特徴量を選択できるようになっている。更にまた,断面形状をモニタするときの計測ポイントの指定およびグラフィカルに指定箇所を表示する項目(2415)として,評価パターンの高さ(2425),幅(2416),コーナ部形状(2417),側壁の形状(2418),フッティング部の形状(2419),側壁の傾斜角(2426)等を表示し,モニタ時の出力評価指標(2420)の項目として,例えば,コーナ部形状(2421),top-CD, middle-CD(2422),bottom-CD(2423),フッティング形状(2424)等を選択できるようになっている。
【0099】
以上にあげた項目は,すべてをユーザが設定することが可能であり,また,一部の項目を選んだ場合に,適当な選択項目を自動選択させることも可能である。また,選択項目は,以前の計測履歴をもとに学習を行い,代表的な計測項目を自動的に選択させることも可能である(例えば,評価プロセス(2401)がリソグラフィ工程(2402),評価モード(2404)が断面形状(2405),評価パターン種(2407)が,ラインパターン(2408)の場合に,推定に使用する画像特徴量(2410)として,MPPC特徴量(2411)を自動選択し,出力評価指標としてtop-CD, middle-CD(2422),bottom-CD(2422)を自動選択するなど)。
【0100】
ここで述べたGUI入力によるモニタ装置,あるいは方法における各種設定項目をユーザが設定可能にする方法は一例であるが,このようにユーザにモニタの詳細設定方法を提供することで,様々なプロセス管理の要求に対応することを可能とする。
【0101】
・出力GUI
図19、図20及び図22は,本発明における断面形状モニタ装置あるいはあるいは方法,およびデバイス特性モニタ装置あるいは方法における出力GUI画面の一例である。本出力GUIにより,ユーザは, 断面形状モニタ,あるいはデバイス特性モニタによる半導体プロセスモニタの詳細なモニタリング結果を,詳細かつ判りやすく確認することができる。
【0102】
図19に示す出力GUI画面は,算出したパターンの断面形状(断面形状)をモニタする為のGUIの一例であり,次に示すような,出力項目の全てあるいは,一部をもつことを特徴とする。一つは,評価対象プロセス(2501)を表示する項目であり,リソグラフィ工程(2502),エッチング工程(2503)を表示する。更に,評価モードを表示する項目があり,断面形状モニタ(2505),プロセス条件モニタ(2530),デバイス特性モニタ(2506)であることを表示する。また,評価パターン種(2507)を表示する項目があり,例えば,ラインパターン,ホールパターン等を表示(2508)する。
【0103】
また,モニタしている断面形状の算出結果を表示する項目(2510)があり,算出した断面形状(断面形状)をグラフィカルに表示し(2510),かつ,各計測箇所および,計測結果をオーバレイ表示する。例えば,パターンの高さ(2511),幅(2513),コーナ形状(2514),側壁形状(2515),フッティング形状(2516),側壁傾斜角(2512)等を表示する。また,算出した計測値を表示する項目(2511)があり,例えば,middle-CDを管理する場合(2512),計測数値が表示される。また複数の評価指標値を並べて表示可能である(2513)。
【0104】
上記した項目はGUI出力によるモニタ装置,あるいは方法における各種表示項目は一例であるが,このようにユーザに算出結果を詳細に表示可能とすることで,様々なプロセス管理の要求に対応し,またグラフィカルに表示することにより,ユーザにプロセスの管理状況を分かり分かりやすく提供することが可能となる。
【0105】
図20に示す出力GUI画面は,算出したプロセス管理用の評価指標値のウェーハ面内での分布を表示し,ユーザに提示するGUIの一例であり,本GUIハ,図19で説明した表示項目のうちの算出した断面形状のグラフィカルな表示(2510)に替えて,評価パターンから算出した評価指標値を,ウェーハ面内の複数箇所で算出した場合に,その評価値のウェーハ面内での分布を表示する(2610)。表示する指標値の数値の違いを表示色の違い或いは,明度値の違いで表現し(2609),ウェーハ面上での分布を表示する(2610)。ここで表示する評価指標はGUIにより選択可能であり(2612),複数の指標値を評価指標の一覧(2611)から選択して(2613),重ねて表示することが可能である。以上のように,ウェーハ面上での指標値の分布を表示することで,ウェーハ面上でのパターンの断面形状あるいは,デバイス特性をモニタすることが可能となる。
【0106】
図22に示す出力GUI画面は,算出したプロセス管理用の評価指標値の時間変化を表示するGUIの一例である。本GUIは,図19で示した表示項目に加え,評価パターンから算出した評価指標値の時間変化を表示する(2709)。本例では,横軸に時間をとり,縦軸にモニタする評価指標をとる。ここで表示する評価指標は,GUIにより指定可能であり(2711),複数の評価指標を一覧(2711)から選択した(2712),表示することが可能である。本GUIは,評価指標値の時間変化をモニタする方法の一例であるが,このように評価指標の時間変化をモニタすることにより,ユーザがパターン形成状態の変化を随時モニタすることが可能となる。
【0107】
図23に示すGUI画面は,算出した評価パターンの立体形状を表示することを特徴とするGUIであり,図19で示した表示項目に加え,評価パターンから算出した立体形状を3次元表示(2802)する。また,同じ画面上に評価プロセス選択部(2801)を設けて評価するプロセスが指定できる。また,評価モード選択部(2803)を表示して画像表示部(2805)に表示した立体形状の3次元表示(2802)の評価モード(立体形状又はデバイス特性)を選択できる。更にまた,被評価パターン種選択部(2804)を表示して評価するパターンの種類を選択し,ライン幅を入力できるようになっている。
【0108】
本GUIは,評価パターンから算出した断面形状を表示する方法の一例であるが,このようにユーザに評価パターンの3次元形状を提示することにより,パターンの生成結果をユーザに直感的により判りやすく提示することで,生成パターンの不具合の早期発見などが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
LSIの微細化・高密度化に伴う設計マージンの減少等により,半導体デバイスの製造工程で形成されるパターンの管理は,従来の寸法管理のみでは,適切な管理ができなくなり,形成されたパターンの断面形状まで管理することが求められつつある。本発明は,露光プロセス,あるいはエッチングプロセスで形成されたパターンの断面形状を,被評価パターンを非破壊でSEM像から算出することを可能とすることを特徴とし,効率の良いプロセス管理が可能となり,その産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明で計測対象とするパターンの断面形状を示す図である。
【図2】本発明を実現するためのシステムの1実施例を示す図である。
【図3】撮像シーケンスを表す図である。
【図4】本発明における半導体プロセスモニタ装置の実施例を示す図である。
【図5】被評価パターンの断面形状算出のためにSEM像より算出する線幅特徴量算出の方法を説明する図である。
【図6】被評価パターンの断面形状算出のためにSEM像より算出するテクスチャ特徴量算出の方法を説明する図である。
【図7】被評価パターンのノッチ形状を検出する方法を示す図である。
【図8】被評価パターンのオーバハング形状を検出する方法を示す図である。
【図9】被評価パターンのノッチ形状を検出する方法を示す図である。
【図10】断面形状を算出するステップのフローを示す図である。
【図11】本発明において算出する被評価パターンの断面形状について説明する図である。
【図12】被評価パターンの断面形状の尤度推定に用いる学習データを作成する方法を説明する図である。
【図13】被評価パターンの断面形状を尤度推定によって断面形状を算出する方法を説明する図である。
【図14】本発明におけるプロセスモニタ方法の実施例を示す図である。
【図15】被評価パターンの断面形状,プロセス条件,デバイス特性算出方法を示した図である。
【図16】露光パラメタモニタ方法および断面形状モニタ方法の実施例を示す図である。
【図17】本発明の構成の1実施例を示す図である。
【図18】本発明における入力GUIを示す図である。
【図19】本発明における出力GUIを示す図である。
【図20】本発明における出力GUIを示す図である。
【図21】被評価パターンの断面形状算出のためにチルトSEM像より算出する画像特徴量算出の方法を説明する図である。
【図22】本発明における出力GUIを示す図である。
【図23】本発明における出力GUIを示す図である。
【図24】被評価パターンの断面形状をk-NN法によって算出する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0111】
202・・・電子光学系 212,213,214・・・A/D変換部 215・・・処理・制御部 216・・・ディスプレイ 406・・・半導体デバイスのプロセスモニタ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体デバイス製造プロセスにおいて,ウェーハ上に形成された回路パターンを評価・管理する半導体デバイス製造プロセスモニタ装置および方法並びにパターンの断面形状推定方法及びその装置に関し,特に測長SEMによるパターンの断面形状管理,およびプロセス条件管理,およびデバイス特性管理に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトランジスタのデバイス特性は,主にゲート配線幅(ゲート長)に依存しており,半導体デバイス製造プロセスにおいては,測長用の電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)を用いて,このパターンの線幅を測長・管理していた。しかし,近年急速に進む半導体回路パターンの微細化に伴い,トランジスタの短チャンネル化が進み,デバイス特性を決める要因は,配線幅に加え,半導体パターンの断面形状が,前記パターンに大きな影響を与えるようになってきた。ここでは,半導体製造工程において,半導体デバイスのパターンの断面形状の管理について説明する。
【0003】
図1は,半導体デバイスのパターンの断面形状の正常形状および異常形状の例を示した図である。図1(a)は,形成する半導体デバイスのパターンにおいて,一般的に最も望ましいと考えられている断面形状の例を示しており,パターン側壁の傾斜角がほぼ垂直であり,かつ,パターン底部(102)において,パターン側壁が下地の面に対し,ほぼ直交しており,かつ,パターン上部(101)において,パターン上面とパターン側壁がほぼ直交している。これに対し,図1(b)から(j)は,形成する半導体デバイスのパターンにおいて,一般的に異常形状と分類されるもので,所望のデバイス特性が得られない場合があるパターンの断面形状の例である。ただし,所望の回路を形成する為に,故意に図1(b)から(j)のパターン形状を形成する場合もある。
【0004】
図1(b)は,パターン側壁の傾斜角が90°より小さくなったパターンである。このようなパターンの形状を順テーパと呼ぶ。図1(c)は,パターン側壁の傾斜角が90°より大きくなったパターンである。このようなパターンの形状を逆テーパと呼ぶ。図1(d)は,パターン中央部が細くなり,パターン側壁が,内側に湾曲した形状のパターンである。このようなパターンの形状をボーイングと呼ぶ。図1(e)は,パターン上部のコーナ形状が,丸まったパターンである。このようなパターンの形状をトップラウンディングと呼ぶ。図1(f)は,パターン上部のコーナ部が突き出した形状をしたパターンである。このようなパターンの形状をオーバハングと呼ぶ。図1(g)は,パターン底部の形状が裾を引いた形状をしたパターンである。このようなパターンの形状を裾引きと呼ぶ。図1(h)は,パターン底部で,下地面と側壁部が交わる箇所が,パターン上部の側壁よりもパターン内側に入り込んだ形状をしたパターンである。このようなパターンの形状をノッチと呼ぶ。図1(i)は,パターン高さが,所望するパターン高さよりも低くなっているパターンである。このようなパターンの形状を膜減り形状と呼ぶ。図1(i)は,パターン幅が,所望するパターンの太さよりも細く,あるいは,太くなったパターンである。
【0005】
上記(b)から(j)の形状は,半導体デバイスの製造プロセスの条件が不適切なために生じる形状異常の例である。半導体デバイスの回路パターンにおいて,ゲート長はパターン底部の寸法となるため,パターンの形状によらず底部の寸法を計測することが重要となる。
しかし,ゲートプロセスでは,この配線パターンをマスクとして,イオン打ち込みを行い,トランジスタのソース/ドレインを形成する。このため,パターン側壁の傾斜やパターン底部の形状がイオン打ち込み工程の処理結果に影響を与え,その結果デバイス特性が変化することから,ゲートパターンの断面形状を管理することが重要となる。
【0006】
また露光プロセスにおいては,露光マスクをもとにレジスト上にパターンを転写し,転写パターンを基に現像を行い,レジスパターンを形成する。次に形成したレジストパターンをマスクパターンとして,次エッチングプロセスで下地膜のエッチングを行うことから,レジストパターンの断面形状に異常がある場合には,次のエッチング工程においても,下地膜のエッチングパターン形成に異常を引き起こす可能性がある。このように,ゲートプロセスにおいても,露光プロセスにおいても,パターンの断面形状評価は非常に重要である。
【特許文献1】特開平10−125749
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,従来の測長SEMでは,主に配線パターンの線幅やコンタクトホールの穴径など,トップダウン方向(ウェーハに対して垂直上方)からの2次元形状の寸法の計測に用いられ,上述のような断面形状を評価・管理することは困難であった。前記断面形状の評価・管理を行うには,次のような問題があった。
(1)トップダウン方向から撮像したSEM像(以降,トップダウンSEM像とよぶ)から,形成パターンの断面形状,あるいは前記パターン形成時のプロセスパラメタ,あるいは前記パターンのデバイス性能の一部あるいは全てを計測することが困難であった。
(2)前記断面形状,あるいはプロセスパラメタ,あるいはデバイス性能の計測結果を基に,形成パターンの良否判定を行う方法がなかった。
(3)形成パターンに不良があった場合に,パターン形成不良の要因となるプロセス条件の調整量を算出し,前記プロセスにフィードバックする方法がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これに対し,本発明では,露光プロセスあるいは,エッチングプロセスにおいて,形成パターンの断面形状,あるいはるプロセス条件,あるいはデバイス特性を,測長SEMにより推定・管理する半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置および方法を提供する。本発明では,半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置を,次に述べる手段を備えて構成した。様々な断面形状のパターン,あるいは様々なプロセス条件で形成されたパターン,あるいは様々なデバイス特性のパターンのSEM像を取得する手段と,前記SEM像の特徴を定量化する画像特徴量を算出する手段と,前記画像特徴量と,形成パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス性能との対応関係(以降,学習データと呼ぶ)をデータベースに登録する手段と,被評価パターンのSEM像から前記画像特徴量を算出する手段と,被評価パターンの前記画像特徴量と,データベースに登録された前記学習データに基づいて,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を推定する手段とで構成することを特徴とする。
【0009】
更に必要に応じて,前記推定手段により推定した結果をユーザに提示する手段,あるいは前記推定手段により推定した結果が,目標許容範囲内であるかの良否判定する手段と,前記判定手段による被評価パターンの良否判定結果を基に露光プロセス,あるいはエッチングプロセス等のプロセス条件の調整量を算出する手段と,露光機,あるいはエッチング装置に,前記調整量を,フィードバックする手段,あるいは前記推定手段により推定した結果の適正値からのずれをもとに露光プロセス,あるいはエッチングプロセス等のプロセス条件の調整量を算出する手段と,前記調整量をフィードバックする手段の一部あるいは全てで構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の全てあるいは一部を非破壊・高スループットで,管理することを可能となる。更には,前記算出結果をもとに,形成パターンの良否判定,あるいは適正値からのずれ量の算出を行い,必要に応じて,露光プロセス,あるいはエッチングプロセス,あるいは露光マスク設計への調整量を算出し,前記調整量をフィードバックすることで,高度なプロセス管理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下,本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
〔測長SEMの構成〕
図2は本発明において試料の二次電子像(Secondary Electron:SE像)あるいは反射電子像(Backscattered Electron:BSE像)を取得する走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)の構成概要のブロックを示す。また,SE像とBSE像を総称してSEM像と呼ぶ。また,ここで取得される画像は測定対象を垂直方向から観察したトップダウン画像(以降,トップダウンSEM像とよぶ),あるいは任意の傾斜角方向から観察したチルト画像(以降,チルトSEM像とよぶ)の一部または全てを含む。
【0013】
(203)は電子銃であり,電子線(204)を発生する。ステージ(217)上におかれた試料である半導体ウェーハ(201)上の任意の位置において電子線が焦点を結んで照射されるように,偏向器(206)および対物レンズ(208)により電子線の照射位置と絞りとを制御する。電子線を照射された半導体ウェーハ(201)からは,2次電子と反射電子が放出され,2次電子は(209)の2次電子検出器により検出される。一方,反射電子は(210)および(211)の反射電子検出器により検出される。反射電子検出器(210)と(211)とは互いに異なる方向に設置されている。
【0014】
2次電子検出器(209)および反射電子検出器(210)および(211)で検出された2次電子および反射電子はA/D変換機(212),(213),(214)でデジタル信号に変換され,画像メモリ(222)に格納され,CPU(221)で目的に応じた画像処理が行われる。
【0015】
図3は半導体ウェーハ上に電子線を走査して照射した際,半導体ウェーハ上から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す。電子線は,例えば図3(a)に示すようにX,Y方向に(301)〜(303)又は(304)〜(306)のように走査して照射される。電子線の偏向方向を変更することによって走査方向を変化させることが可能である。X方向に走査された電子線(301)〜(303)が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG1〜G3で示している。同様にY方向に走査された電子線(304)〜(306)が照射された半導体ウェーハ上の場所をそれぞれG4〜G6で示している。前記G1〜G6において放出された電子の信号量は,それぞれ図3(b)内に示した画像(309)における画素H1〜H6の明度値になる(G,Hにおける右下の添え字1〜6は互いに対応する)。(308)は画像上のX,Y方向を示す座標系である。
【0016】
図2中の(215)はコンピュータシステムであり,撮像レシピを基に試料を撮像するため,ステージコントローラ(219)や偏向制御部(220)に対して制御信号を送る,あるいは半導体ウェーハ(201)上の観察画像に対し各種画像処理を行う等の処理・制御を行う。また,処理・制御部215はディスプレイ(216)と接続されており,ユーザに対して画像等を表示するGUI(Graphic User Interface)を備える。(217)はXYステージであり,半導体ウェーハ(201)を移動させ,前記半導体ウェーハの任意の位置の画像撮像を可能にしている。XYステージ(217)により観察位置を変更することをステージシフト,偏向器(206)により電子線を偏向することにより観察位置を変更することをビームシフトと呼ぶ。
【0017】
図2では反射電子像の検出器を2つ備えた実施例を示したが,前記反射電子像の検出器の数を減らすことも,あるいは増やすことも可能である。また,前述したコンピュータシステム215における処理・制御の一部又は全てを異なる複数台の処理端末に割り振って処理・制御することも可能である。
【0018】
図2に示す装置を用いて測定対象を任意の傾斜角方向から観察したチルト画像を得る方法としては(1)電子光学系より照射する電子線を偏向し,電子線の照射角度を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式(例えば特開2000−348658号公報),(2)半導体ウェーハを移動させるステージ(217)自体を傾斜させる方式(図2においてはチルト角218でステージが傾斜している),(3)電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式等がある。
〔半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置〕
ここでは,本発明の実施における半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置(406)の概要を,図4を用いて説明する。本装置(406)は,露光プロセスあるいは,エッチングプロセスにおいて形成されたパターンにおけるモニタ項目(前記パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の一部あるいは全て)を非破壊でモニタすることを特徴とし,前記モニタ項目の算出結果をもとにパターン形成状態を把握するのに有効な様々な計測・評価を行うことを可能とする。破線で囲んだ箇所(401)は,半導体製造プロセスの処理フローを示しており,露光(403)および現像(404)を行い,レジストパターンを形成し,形成したレジストパターンを基にエッチング(405)を行い,回路パターンを形成する。
【0019】
本実施例では,現像後に形成されたレジストパターンあるいは,エッチング後に形成された回路パターン(以後,両者を被評価パターンと呼ぶ)のSEM像を取得し(407),モニタ項目を選択する(408)。前記選択は,ユーザが,必要なモニタ項目を選択する。次に前記選択のモニタ項目別に,前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(409)を行う。最後に算出した前記画像特徴量と,データベース(413)に予め登録しておいた,推定用の学習データ(モニタ項目と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,モニタ項目別の推定エンジン(410)により,被評価パターンのモニタ項目ついて,推定値を算出する(411)。また必要に応じて前記算出結果を,後述の表示方法で画面表示し,ユーザに提示する(412)。
【0020】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法)
上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置(406)は,被評価パターンのSEM像を基に,被評価パターンのモニタ項目(被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の全てあるいは一部)について推定値を算出し,後述の画面表示方法によって,ユーザに前記算出結果を提示するものである。ここでは,上述の方法により算出したモニタ項目を用いて,後述のプロセス条件調整量を,前記プロセスへのフィードバックすることでプロセスモニタを行う方法(以後,プロセスモニタ方法と呼ぶ)について述べる。
【0021】
図14は,本発明における半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の説明図である。破線で囲んだ箇所(1705)は,半導体デバイスの製造プロセスのフローを示しており,露光(1702)および現像(1703)を行い,レジストパターンを形成し,形成したレジストパターンを基にエッチング(1704)を行い,回路パターンを形成する。
【0022】
本実施例では,現像(1703)後に形成されたレジストパターンあるいは,エッチング(1704)後に形成された回路パターンのSEM像を取得し(1710),モニタ項目を選択する(1711)。前記選択は,ユーザが,必要なモニタ項目を選択する。次に前記選択のモニタ項目別に,前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1712)を行う。算出した前記画像特徴量と,データベース(1715)に予め登録しておいた,学習データ(モニタ項目と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)を用いて,モニタ項目別の推定エンジン(1713)により,被評価パターンのモニタ項目の全てあるいは一部の推定値を算出する(1714)。前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1716),規格を満たしている場合は,次工程(1717)に移る。規格を満たさない場合は,フィードバックする工程を選択し(1718),エッチング工程(1704)にフィードバックする場合は,エッチング条件の調整量を算出し(1720),エッチング工程(1704)にフィードバックする。露光工程(1702)にフィードバックする場合は,露光条件の調整量を算出し(1719),露光工程(1702)にフィードバックする。以上によって,プロセスモニタを行う。
【0023】
ここで述べたプロセスモニタ方法は,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンのモニタ項目の推定値を算出し,前記算出結果を用いて,露光プロセスで形成されたレジストパターン,あるいはエッチングプロセスで形成されたエッチングパターンを管理する方法の一例であり,前述のような構成により,従来のパターンの線幅管理だけはできなかった各モニタ項目のプロセスモニタを行うことが可能となる。
【0024】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の例(1)露光プロセスパラメタのモニタ方法)
ここでは,本発明における上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法おいて,モニタする工程を露光工程とし,モニタ項目を露光条件とした場合の実施例について,図16(a)を用いて説明する。
【0025】
本実施例では,現像(1903)後に形成されたレジストパターンのSEM像を取得し(1910),モニタ項目として露光条件を選択する(1911)。前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1912)を行う。算出した前記画像特徴量と,データベース(1915)に予め登録しておいた,学習データ(露光条件と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)を用いて,露光条件の推定エンジン(1913)により,被評価パターンの露光条件を算出する(1914)。
【0026】
前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1916),規格を満たしている場合は,次工程(1917)に移る。規格を満たさない場合は,露光工程(1902)へのフィードバックを選択し(1918),露光条件の調整量を算出し(1919),露光工程(1902)にフィードバックする。以上により,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの露光条件を算出し,前記算出結果を用いて,露光プロセスで形成されたレジストパターン形成を管理することが可能となる。本方法は,本発明のプロセスモニタ方法の一例であり,上述に示した構成で,例えば露光工程,あるいはエッチング工程における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の管理を行うことを特徴とする。
【0027】
(半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法の例(2)露光プロセスパラメタのモニタ方法)
ここでは,本発明における上述の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法おいて,モニタする工程を露光工程とし,モニタ項目を被評価パターンの断面形状とした場合の実施例について図16(b)を用いて説明する。
【0028】
本実施例では,現像(1933)後に形成されたレジストパターンのSEM像を取得し(1940),モニタ項目として断面形状を選択する(1941)。前記取得のSEM像より,画像特徴量の算出処理(1942)を行う。次に算出した前記画像特徴量と,データベース(1945)に予め登録しておいた学習データ(断面形状と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,断面形状の推定エンジン(1943)により,被評価パターンの断面形状を算出する(1944)。
前記算出結果が,所望の規格を満たしているかを判断し(1946),規格を満たしている場合は,次工程(1947)に移る。規格を満たさない場合は,露光工程(1932)へのフィードバックを選択し(1948),被評価パターンのSEM像より,露光条件の推定に用いる画像特徴量を算出する(1949)。算出した前記画像特徴量と,データベース(1945)に予め登録しておいた学習データ(露光条件と画像特徴量の対応関係をあらわす学習データ)とを用いて,
露光条件の推定エンジン(1950)により,露光条件を推定する(1951)。前記推定結果から,露光条件の調整量を算出し(1952),露光工程(1932)にフィードバックする。
【0029】
以上により,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を算出し,前記断面形状が不良であった場合には,露光条件の調整量を算出し,露光工程にフィードバックすることでレジストパターン形成を管理することが可能となる。本方法は,本発明のプロセスモニタ方法の一例であり,上述に示した構成で,例えば露光工程,あるいはエッチング工程における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の管理を行うことを特徴とする。
(断面形状算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(a)を用いて説明する。
【0030】
本方法は,大きくは,4つのSTEPからなる。STEP1,2で断面形状推定用の学習データ(断面形状と画像特徴量の関係をあらわす学習データ)を作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0031】
予め様々なプロセス条件などで,形成した様々な形状の断面形状のパターン(1801)のSEM像を取得し(1802),また同時に,AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)計測,あるいは汎用SEMによる断面計測,あるいはその他の断面計測手段により,前記パターンの断面形状を計測する(1803)(STEP1)。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1804),算出した画像特徴量と断面形状とを関連づける学習データを作成する(1805)。作成した学習データを断面形状推定用学習データとよぶ(STEP2)。
次に,被評価パターンのSEM像を取得する(1806)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1807),算出した前記画像特徴量と,STEP2で作成した断面形状推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1808)により,被評価パターンの断面形状を算出する(1809)(STEP4)。
【0032】
上記STEP1で計測する断面形状(1803)の一例を図11に示す。算出する断面形状は,AFM,あるは汎用SEM計測による計測,あるいはその他の断面計計測手段により取得し,例えば,パターンの高さ(1301),あるいは線幅情報であるTop-CD(1302),あるいはMiddle−CD(1303),あるいはBottom−CD(1304),あるいはコーナの丸まり形状(1305),あるいは裾引き形状(1306),あるいはパターン側壁部の形状(1307)などがある。
【0033】
上記STEP4において,算出する被評価パターンの断面形状としては,図11に示したパターンの高さ(1301),あるいは線幅情報であるTop−CD(1302),あるいはMiddle−CD(1303), あるいはBottom−CD(1304),あるいはコーナの丸まり形状(1305),あるいは裾引き形状(1306),あるいはパターン側壁部の形状(1307)などがある。算出する断面形状としては,例えば,図1に示した(a)正常パターン,あるいは(b)順テーパパターン,あるいは(c)逆テーパパターン,あるいは(d)ボーイングパターン,あるいは(e)トップラウンディングパターン,あるいは(f)オーバハングパターン,あるいは(g)裾引きパターン,あるいは(h)ノッチパターンを代表例とするその他,半導体製造プロセスで形成される様々な形状のパターンの断面形状を計測可能とする。
【0034】
STEP1においては,様々なプロセス条件などで,実際に形成した様々な断面形状パターンを計測する方法について述べたが,その他の方法として,シミュレーションを用いて,様々な断面形状パターンの計測データを算出する方法もある。その場合,リソシミュレーションにより,様々な断面形状のパターンを算出し,次に形成されるパターンのSEM像を電子線シミュレーションにより算出する。電子線シミュレーションによりえられるSEM像を前記SEM撮像(1802)の結果とし,リソシミュレーションにより得られる,パターンの断面形状を,前記断面形状計測(1803)の結果とする。このようにシミュレーション結果をもとに推定用学習データを作成することで,予め様々な断面形状パターンを実際に作る作業が不要になり,効率的に学習データを作成できる。
【0035】
(プロセス条件算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンのプロセス条件をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(b)を用いて説明する。
【0036】
本方法は,大きくは,4つのSTEPからなる。STEP1,2でプロセス条件推定用の学習データ(プロセス条件と画像特徴量の関係をあらわす学習データ)を作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0037】
予め様々なプロセス条件で形成した様々なパターン(1821)のSEM像を測長SEMにより取得する(1822)。(STEP1)。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1824),算出した画像特徴量と断面形状とを関連づける学習データを作成する(1825)。作成した学習データをプロセス条件推定用学習データとよぶ(STEP2)。
次に,被評価パターンのSEM像を取得する(1826)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1827),算出した画像特徴量と,STEP2で作成したプロセス条件推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1828)により,被評価パターンのプロセス条件形状を算出する(1829)(STEP4)。
STEP1においては,様々なプロセス条件で形成したパターンを計測する方法について,述べたが,その他の方法として,シミュレーションを用いて,様々なプロセス条件で形成したパターンの計測データを算出する方法もある。その場合,リソシミュレーションにより,様々なプロセス条件で形成したパターンを算出し,次に形成されるパターンのSEM像を電子線シミュレーションにより算出する。電子線シミュレーションにより得られるSEM像を前記SEM撮像(1822)の結果とし,リソシミュレーションで与えたプロセス条件(1823)と併せて,プロセス条件推定用学習データを作成する(1825)。このようにシミュレーション結果をもとに推定用学習データを作成することで,予め様々なパターンを実際に作る作業が不要になり,効率的に学習データを作成できる。
【0038】
(デバイス特性算出の処理フロー)
ここでは,本発明における被評価パターンのデバイス特性をSEM像から算出する方法の処理フローの一例を,図15(c)を用いて,説明する。本方法は,断面形状算出手法と同様に,大きくは,4つのSTEPからなり,STEP1,2でデバイス特性算出用の学習データを作成し,STEP3,4で被評価パターンのSEM像から,被評価パターンで形成された回路のデバイス特性を推定する。以下に各ステップについて説明する。
【0039】
予め様々なプロセス条件などで,形成した様々な断面形状パターン(1841)のSEM像を測長SEMにより取得し(1842),また同時に,被評価パターンで形成された回路のデバイス特性の計測する(1843)(STEP1)。デバイス特性の計測方法については,後述する。次に,取得したSEM像より,後述の画像特徴量を算出し(1844),算出した画像特徴量と,被評価パターンで形成される回路のデバイス特性とを,関連づける学習データを作成する(1845)。作成した学習データをデバイス特性推定用学習データとよぶ(STEP2)。
【0040】
一方、被評価パターンのSEM像を取得する(1846)(STEP3)。取得した被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出し(1847),算出した画像特徴量と,STEP2で作成したデバイス特性推定用学習データとを用いて,後述の推定エンジン(1848)により,被評価パターンのデバイス特性を算出する(1849)(STEP4)。STEP1での計測する被評価パターンで形成された回路のデバイス特性として,閾値電圧,ドレイン電流,漏れ電流,遅延時間,動作速度などを,SEM計測を行ったパターンを用いて生成されたデバイスに対して,プローブ検査等により計測する。
【0041】
〔推定に用いる画像特徴量の算出)
・画像画像特徴量
ここでは,前述の図4で示した断面形状モニタ装置(406)において,被評価パターンのSEM像からパターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を捉える画像特徴量を算出(408)する方法の一例を説明する。図5は,本発明の実施における被評価パターンのSEM像から画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。次に述べる処理により,図5(a)に示す被評価パターンのSEM像(501)から,画像特徴量算出範囲(503)を抽出し,図5(b)に示すラインプロファイル(504)を作成し,作成したラインプロファイルから,被評価パターンの断面形状算出に有効な様々な画像特徴量を算出する。
【0042】
処理の詳細な手順を説明する。まず,図5(a)に示すように,SEM像(501)から,ラインプロファイル作成に必要な画像特徴量算出範囲(503)を指定する。例えば,被評価パターン(502)が,SEM像の視野内をY方向(図の上下方向)に伸びるラインパターンであった場合,画像特徴量算出範囲(503)とは,X方向(図の左右方向)に少なくとも画像特徴量を算出する箇所が全て含まれる範囲であり,Y方向にはSEM像によるノイズを低減させるために,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理に必要な画素数(1次電子の走査ライン数)の範囲であり,例えば図5(a)に示すSEM像(501)上において,Y方向に伸びるラインパターン(502)が被評価パターンである場合には,複数画素分(例えば100画素)の画像範囲を選択する。このとき,画素値の平均化に用いる画素数が多ければSEM像特有のノイズ成分を低減することができる。なお,Y方向の選択範囲は,被評価パターンの形状により,適宜変更することができる。
【0043】
次に,選択した画像範囲において,各X座標の画素値(信号強度値)をY方向に平均化する処理を施し,X方向のラインプロファイルを作成する。これまでの処理により,被評価パターンの画像特徴量算出範囲(503)でのラインプロファイル(504)を作成する。次に,算出したラインプロファイル(504)より,被評価パターンのライン幅,エッジ部の幅などの各種の寸法情報に相当する画像特徴量を算出する。図5(b)の上段および下段の図は,被評価パターンの断面形状(516)と,ラインプロファイル(504)との関係を示したものである。ラインプロファイル(504)は,SEMにより得られる2次電子強度をあらわしており,一般的に2次電子強度は,計測対象の傾斜角に応じて大きくなるため,被評価パターンの側壁部(518)での信号強度は,平坦部(517)での信号強度よりも大きくなる。このようにラインパターンの側壁部などで2次電子強度が大きくなり,それがSEM像上で帯状に連なった部分をホワイトバンドと呼ぶ。被評価パターンの断面形状の変化を捉える画像特徴量として,図5(b)下段に示す種々な画像特徴量を算出する。
【0044】
パターンのボトム幅(515)は,ラインパターン断面形状の根元での幅の傾向を捉え,パターンのトップ幅(506)は,ラインパターン断面形状の頂上での幅の傾向を捉え,ラインプロファイルのピーク幅(505)は,ラインパターン断面形状の中腹部での幅の傾向を捉え,左側のワイトバンド内側の平均幅(510)は,ラインパターン断面形状の左側頂点部の丸まりを捉え,右側のホワイトバンド内側の平均幅(507)は,ラインパターン断面形状の右側頂点部の形状を捉え,右側のホワイトバンド外側の平均幅(512)は,ラインパターン断面形状の右側根元部の形状を捉え,左側のホワイトバンド外側の平均幅(509)は,ラインパターン断面形状の左根元部の形状を捉え,右側のホワイトバンド幅(513)は,ラインパターン断面形状の右側壁部の幅の傾向を捉え,左側のホワイトバンド幅(514)は,ラインパターン断面形状の左側壁部の幅の傾向を捉える。
【0045】
ここで述べた9個の画像特徴量は,断面形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0046】
・チルト画像特徴量
前述のSEM像より算出したラインプロファイルを利用して算出した特徴においては,被評価パターンの断面形状を捉える場合に,被評価パターンのトップダウン像のみを用いていることから,たとえば,ラインパターンの側壁形状や,高さ情報や,フッティング形状が,パターンの形状によっては,上手く観測できない可能性がある。そこで,ここでは上述の測長SEMの説明において述べたチルトSEM像を用いることで,上記のような状況においてもパターンの断面形状を捉える画像特徴量を算出する方法について述べる。
【0047】
図21(a)に,正常に形成されたラインパターン(2901)のトップダウンSEM像(2902),およびチルトSEM像(2903)の例を示す。被評価パターン(2901)が,左右対称の理想的な形状であった場合には,そのトップダウンSEM像(2902)において,右側壁部のホワイトバンドの幅と左側壁部のホワイトバンドの幅は,ほぼ同じ幅となる(厳密には,照射する電子銃のスキャン方向,計測対象の帯電状態によって異なる)。一方,同じラインパターン(2901)をチルト像(2903)においては,チルト方向によって,例えば,右側壁部のホワイトバンドが太くなり,左側壁部のホワイトバンドが細くなる。
【0048】
前述のような傾向が見られる理由について,図21(c)を用いて簡単に説明する。チルトSEM像を得る方法は,測長SEMの構成で説明したようにいくつかあるが,簡単のため被評価パターンが傾き(2916),パターン上方からSEMの電子が照射されるとする(2919)。このとき,パターンが傾斜していることから,ラインパターン(2916)の右側壁部(2918)には,多くの領域に電子線が照射され,右側壁部(2918)による右側壁側のホワイトバンド(2914)は,トップダウンSEM像でのホワイトバンドに比べ,太くなる。一方,ラインパターン(2916)の左側壁部(2917)では,電子線が照射される領域が少なく,左側壁側のホワイトバンド(2913)は,トップダウンSEM像でのホワイトバンドに比べ細くなる。
【0049】
このように,被評価パターンを傾けることにより,ラインパターンの側壁部の観測領域が広くすることができ(図21(a)の例では,被評価パターン(2916)の右側壁部側),その側壁部の観測をトップダウンSEM像に比べ詳細に行うことが可能となる。チルトSEM像より得られたラインプロファイルから,図5(b)に示した線幅特徴量と同様の画像特徴量を算出することで,チルトSEM像によって得られる断面形状を捉える画像特徴量を算出することができる。
【0050】
ここで述べた画像特徴量は,測長SEMのチルト計測機能を利用し,チルトSEM像より算出したラインプロファイル(2920)より算出した被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0051】
・差分チルト画像特徴量
上述のようにチルト線幅特徴量を用いることで,トップダウンSEM像の線幅特徴量のみを用いた場合に比べ,より良好な断面形状の算出結果が得ることが可能ではあるが,被評価パターンの断面形状を捉える画像特徴量として,チルト角を変えて算出した前記画像特徴量の変化量を用いる方法もある(以降,本画像特徴量を差分チルト線幅特徴量とよぶ)。ここでは,前記差分チルト特徴量がパターンの断面形状算出に有効となる一例について図21(a)(b)を用いて説明する。
【0052】
被評価パターンの断面形状が,正常な場合をパターンA(2901),パターン高さが低くなった場合をパターンB(2909)とする。このパターンAの線幅特徴量およびチルト線幅特徴量おいては,上述のように,チルト画像を用いることから,チルト線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドは,トップダウンSEM像の場合に比べ太り,左側壁部のホワイトバンドは,トップダウンSEM像の場合に比べ細くなる。
【0053】
一方で,パターンBのように,パターン高さが低くなったパターンでは,チルトSEM画像を用いても,チルト線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドと,トップダウンSEM像の線幅特徴量の右側壁部のホワイトバンドの値は,パターンAの場合に比べ変わらず,また左側側壁部のホワイトバンドと,トップダウンSEM像の線幅特徴量の左側壁部のホワイトバンドの値も,パターンAの場合に比べ変わらない。これは,パターンBの側壁部の高さが短くなっていることから,チルト画像によって,被評価パターンの側壁部の観測領域を広くしても,ホワイトバンド幅の増加に現れないことによる。
【0054】
よって,パターンAの差分チルト線幅特徴量のホワイトバンド幅は,パターンBの差分チルト線幅特徴量のホワイトバンド幅に比べて大きな値となる。ここで述べた差分チルト線幅特徴量は,チルト角を変えて得られたチルト画像から得られた被評価パターンの立体形状算出に有効な画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0055】
・テクスチャ情報
本発明の実施における被評価パターンのSEM像から,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を,図6を用いて説明する。ここで説明する画像特徴量は,被評価パターンのSEM像から,被評価パターンが含まれる画像領域内の2次元情報を算出することを特徴とする。前記画像特徴量の例として,被評価パターンが含まれる画像領域内のテクスチャ解析することで,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法について述べる。
【0056】
本画像特徴量の算出方法を,図6を用いて説明する。SEM像(601)において,被評価パターンのテクスチャ解析を行うテクスチャ解析領域(602)を指定する。テクスチャ解析領域(602)は,その領域内に少なくとも被評価パターンが含まれるように指定する。ここではテクスチャ解析方法の一例として,テクスチャ解析領域(602)内で信号強度の頻度分布(603)をもとめ,頻度分布(603)の形状を示す画像特徴量を算出し,これを被評価パターンの画像特徴量とする。頻度分布の形状を示す画像特徴量として,例えば,平均,分散,歪度,尖度がある。
【0057】
信号強度iの頻度をP(i)としたとき,各画像特徴量は,(数1)で与えられる。
【0058】
【数1】
例えば,半導体プロセス条件によって,被評価パターンの頂上部が平坦でなく,波打った形状となった場合,SEM像(604)のテクスチャ解析領域(605)内での信号強度の頻度分布(606)より算出したテクスチャ特徴量は,歪度と尖度が,パターンの頂上が平坦なパターンのSEM像(601)に比べ小さくなる。ここで示したようなテクスチャ特徴量を用いることにより,パターンの断面形状の傾向を捉とらえることができる。ここで述べたテクスチャ解析において,SEMの信号強度の頻度分布から算出される特徴量は,パターンの断面形状を捉える画像特徴量の一例である。このような被評価パターンの断面形状の傾向を捉える画像特徴量(以降,本画像特徴量を線幅特徴量とよぶ)は,図15(a)で説明した被評価パターンの断面形状算出において,有効な特徴量となる。
【0059】
またプロセス条件の変動は,形成パターンの断面形状の変動にあらわれることから,前記線幅特徴量により,形成パターンの断面形状の変動を捉えることで,プロセス条件の傾向を捉えることができる。よって前記線幅特徴量は,図15(b)で説明した被評価パターンのプロセス条件算出において,有効な特徴量となる。更に,形成パターンのデバイス性能においても,その性能はパターンの断面形状に大きな影響を受けることから,前記線幅特徴量を用いることで,図15(c)で説明した方法において,デバイス性能を推定することができる。
【0060】
・ラインプロファイル解析
(ノッチ検出画像特徴量)
図7は,本発明の実施における被評価パターンのSEM像から被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。被評価パターンの断面形状に起因して,SEM像から得られる前述のラインプロファイルに特定の傾向が発生し,そのラインプロファイルの傾向を解析し,画像特徴量として算出する。ここでは,前記画像特徴量の一例として,レジストパターンのノッチ形状(903)を検出可能とする画像特徴量について図7を用いて述べる。図7(a)(b)は,ラインパターンの断面形状を示しており,図7(a)は,正常なラインパターンの断面形状(901)であり,図7(b)は,ラインパターン底部が,ライン内側に入り込み(903),異常な断面形状のラインパターン(902)である。このような異常な断面形状(903)をノッチとよぶ。
【0061】
図7(a)(b)の各々の形状パターンのSEM像より得られるラインプロファイルを比較すると,図7(b)のノッチ(903)に対応するパターン右側壁部のラインプロファイル,即ち図7(d)のラインプロファイル(905)は,図7(a)の正常なラインパターン(901)のパターン右側壁部に対応する図7(c)のラインプロファイル(904)と比べて,ラインプロファイルの山の麓部(906)の信号強度が低くなる傾向がある。
【0062】
ラインプロファイルのこのような傾向は,被評価パターンの断面形状に起因したパターンの帯電状態,および帯電に伴う2次電子の振る舞いに因ることが考えられる。ここでは,前述のラインプロファイルの山の麓部(906)の信号強度が低くなる傾向を,画像特徴量として算出する。画像特徴量の算出方法として,例えば,観察パターンの下地部のSEMの信号強度とノッチ部の信号強度の差分(907)を画像特徴量として算出する。
【0063】
ここで述べた被評価パターンを撮像したSEM像より得られるラインプロファイルの形状解析により算出することで得られるノッチ形状を検出する画像特徴量は,被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一つであり,このような被評価パターンの様々な断面形状に起因して発生するラインプロファイルの形状変化を捉える画像特徴量を用いることで,後述の被評価パターンの断面形状算出において良好な断面形状の算出結果をえることが可能となる。また本画像特徴量は,ノッチ発生の有無,あるいは,ノッチの程度(ライン底部が,ラインパターンの内側に入り込む程度(903))を表す指標値としても用いることが可能である。
【0064】
また,上述のトップダウンSEM像より得たラインプロファイルを解析して得た画像特徴量では,ノッチ部周辺のパターンの帯電状態,および帯電に伴う2次電子の振る舞いに因る画像特徴量であり,ノッチ部の自身での2次電子の振る舞い(ノッチ部のパターンエッジにおける2次電子放出(以降,エッジ効果とよぶ))を表しているわけではない。
【0065】
そこで図9(b)に示すように,上述の測長SEMの説明において述べたチルトSEM画像を用いることで,ラインパターン底部のノッチ部(1104)に直接,SEMの電子(1106)を照射させることで,ノッチ部でのエッジ効果が観測されるSEM像を取得し,そのラインプロファイルを解析することで,ノッチの程度をあらわす画像特徴量が算出可能となる。
【0066】
(オーバハング検出画像特徴量)
図8は,本発明における被評価パターンのSEM像から被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量を算出する方法の一例を説明する図である。被評価パターンの断面形状に起因して,チルトSEM像から得られる前述のラインプロファイルに特定の傾向が発生し,そのラインプロファイルの傾向を解析し,画像特徴量として算出する。
【0067】
図8(a)は,パターンの断面形状の側壁が逆テーパになったもの(1001)で,この形状をオーバハングとよぶ。図8(b)は,正常な形状のパターンの断面形状(1004)を示す。図8(a)〜(f)は,それぞれ,オーバハングであるパターンのトップダウンのSEM像から算出したラインプロファイル(1007)およびチルト画像から算出したラインプロファイル(1008)と,正常な形状パターンのトップダウンのSEM像から算出したラインプロファイル(1009)およびチルト画像から算出したラインプロファイル(1010)である。
【0068】
トップダウンSEM像から算出したそれぞれのプロファイル(1007)(1009)には,ほとんど違いはないが,チルトSEM画像から算出したそれぞれのプロファイル(1008)(1010)では,正常パターン(1004)のラインプロファイル(1010)では,上述のように,左右いずれかのホワイトバンドが太くなるが(図8(b)では右側壁部のホワイトバンドが太っている),オーバハングしたパターン(1001)では,パターン形状に起因した,パターンの帯電状態,2次電子の振る舞いから,ある程度のチルト角までは,ラインプロファイル(1008)のホワイトバンドが太らない傾向がある。このような,正常パターン(1004)とオーバハングパターン(1001)でのラインプロファイルの違いを捉える画像特徴量を算出し,被評価パターンの断面形状算出に用いる画像特徴量とする。
【0069】
ラインプロファイルから算出する画像特徴量として,例えば前述のチルト線幅特徴量がある。ここに述べた被評価パターンを撮像したチルトSEM像により得られるラインプロファイルの線幅特徴量は,オーバハング形状になっている被評価パターンの断面形状算出に有効な画像特徴量の一例であり,このような被評価パターンの様々な断面形状に起因して発生するチルトSEM像より得られるラインプロファイルより得られる画像特徴量を用いることで,の被評価パターンの断面形状算出において,良好な断面形状の算出結果を得ることが可能となる。
【0070】
(推定エンジンの選択)
ここでは,本発明におけるモニタ項目(被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の一部あるいは全て)の推定における推定エンジンの選択について説明する。前記推定エンジンは,学習データであらわされるモニタ項目と画像特徴量との対応関係により適当なエンジンを決定する。本推定で用いる推定エンジンの一例を挙げるが,推定エンジンは,本例に限定されず,その他の推定エンジンを用いることもできる。ここでは,推定エンジンの例として,尤度推定法,および重回帰分析を使った方法,およびk-NN法を用いた推定を挙げる。
【0071】
各推定エンジンは,次のような特徴があり,上述の通り,モニタ項目と画像特徴量との関係により適当な推定エンジンを選択する。前記モニタ項目と画像特徴量間の分布において,連続性があり,分布に偏りが少ない場合は,前記分布に対し,関数式による近似を行う尤度推定法,あるいは重回帰法が適している。両手法は,近似を行うことで,学習データに含まれる例外値の影響を受けにくい利点がある。
【0072】
ただし,近似する適当な関数式を設定する必要があるという欠点がある。一方,前記分布において,連続性が低く,分布に偏りがある場合は,分布に対し,関数式の近似を行わないk-NN法が適している。本手法は,関数式による近似を行わないことから,関数式の近似が困難な場合に有効であるとう利点がる。ただし,学習データの例外値に影響を受けやすいという欠点がある。以上のような利点,欠点を考慮して,モニタ項目と画像特徴量の関係から,適当な推定エンジンを選択する。次に,各推定エンジンを用いたモニタ項目の推定の例について順に説明する。
【0073】
・尤度推定
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性の推定方法の一例を,図12および図13を用いて説明する。上述の推定エンジンに,先に述べた尤度推定法を用いる方法について説明する。ここでは,推定対象として,断面形状を推定することとする。プロセス条件を推定する場合は,断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定エンジンを尤度推定法としたが,尤度推定法には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。図12は,図 10(STEP2)における断面形状推定用の学習データの作成方法を示す図であり,図13は,上述の図12(STEP4)における被評価パターンより算出した画像特徴量を断面形状推定用の学習データに照合することで,被評価パターンの断面形状を算出する方法を示す図である。なお,ここでは,簡単のために,断面形状推定に用いる画像特徴量を3個としている。
【0074】
上述のSTEP1で,様々な断面形状のSEM像を取得し,STEP2において,STEP1で取得したSEM像から画像特徴量を算出し,画像特徴量毎に算出した画像特徴量と観測対象の断面形状との対応関係を求める。
【0075】
図12の上段のグラフ(1401),(1402),(1403)は,算出した画像特徴量と観測対象の断面形状(例えば,パターン高さ等)との対応関係を,横軸に断面形状,縦軸に各画像特徴量m1,m2,m3でプロットしたものである。次に図12の下段のグラフ(1404),(1405),(1406)に示すように,図12の上段の各グラフ(1401),(1402),(1403)を平滑化することで,各画像特徴量m1,m2,m3の断面形状と画像特徴量を関連付ける学習データを作成する。
【0076】
学習データをあらわす関数をMk(i)とし,iは,断面形状をあらわす値であり,各特長量毎に学習データを作成する。k(k=1・・・・n)は,各画像特徴量をあらわす。nは画像特徴量の数である。算出した学習データは,演算装置に接続された記憶媒体に保存される。
【0077】
上述の(STEP3)で,被評価パターンのSEM像を取得し,(STEP4)において,(STEP3)で取得したSEM像から画像特徴量を算出し,算出した画像特徴量をこの記憶媒体に保存されている断面形状推定用の学習データに照合することで立体形を推定する。
【0078】
図13において,被評価パターンのSEM像から算出した各画像特徴量の値をf1,f2,f3とする。図13の上段に示すように,各画像特徴量f1,f2,f3の値が,各学習データ(1501),(1502),(1503)上で,(1504),(1505),(1506)であったとする。
【0079】
各画像特徴量f1,f2,f3に関し,画像特徴量fkのばらつきが標準偏差σkの正規分布に従うという仮定して, (数2)に示す尤度関数pk(i)(k=1・・・・n)を求める。pk(i)は,断面形状(例えばパターンの高さ等)が,iである確立をわらわす値である。
【0080】
【数2】
σkは画像特徴量fkのプロセスばらつきの実情に合わせた値を与える。
算出した尤度関数の例を,図13のグラフ(1507), (1508), (1509)に示す。各画像特徴量において,この尤度が高くなるほど,被評価パターンの断面形状に近い断面形状をあらわしていることとなる。(数3)に示すように各画像特徴量から算出した尤度分布を掛け合わせ,最も値が高くなる断面形状(1510)が被評価パターンの断面形状をあらわす値となる(数4)。
【0081】
【数3】
【0082】
【数4】
ここで述べた尤度推定による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
【0083】
重回帰式
ここでは,本発明における被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件を推定する方法の一例として,上述の図10(STEP2)における断面形状推定用の学習データに重回帰式を用いた推定方法を示す。プロセス条件を推定する場合は,断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定に重回帰分析を用いたが,重回帰分析には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。つまり上述の被評価パターンのSEM像より算出した画像特徴量毎に,目的とする断面形状推定に適した重み(回帰変数)を掛け合わせ,その和によって,被評価パターンの断面形状を算出する。
【0084】
回帰変数は,図10(STEP2)における断面形状推定用の学習データ作成する段階で,様々な断面形状のパターンの計測結果をもとに算出し,求められた重回帰式を断面形状推定学習データとして,演算装置に接続された記憶媒体に保存される。なお,ここで用いる重回帰式の一例としては,以下の(数5)等であらわされる。
【0085】
【数5】
【0086】
被評価パターンの断面形状を算出するために,被評価パターンのSEM像から(数5)で用いられる画像特徴量を算出し,各画像特徴量を重回帰式の断面形状推定学習データに当てはめ,被評価パターンの断面形状を算出する。ここで述べた重回帰式による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
(k-NN法)
図24は,本発明の実施例における半導体パターンの断面形状,あるいはプロセス条件の推定方法の一例として,上述の推定エンジンに最近傍法を用い,図11で述べた被評価パターンの断面形状のうちパターンの高さ(1301)を推定する方法について説明する図である。プロセス条件を推定する場合は,推定する断面形状をプロセス条件に置き換えればよい。ここでは推定エンジンを最近傍法としたが,最近傍法には限らず,その他の推定エンジンを用いることができ,前述の計測対象の画像特徴量を入力として,断面形状,あるいはプロセス条件を推定する手法であれば,特に限定するものはない。
【0087】
図24(a)は,最近傍法を用いて,半導体パターンの断面形状,あるいはプロセス条件の推定方法の処理フローを示した図である。本手法は,図10 (STEP2)における断面形状推定用学習データとして,様々な断面形状のパターン(以降,学習データの任意のサンプルを学習サンプルと呼ぶ)のSEM像の画像特徴量と,その断面形状との組み合わせをそのまま登録する。つまり,尤度推定法で行ったような学習データを表す関数の作成は行わない。次に被評価パターンのSEM像(2800)の画像特徴量(2801)を算出し,後述する方法で,特徴量空間において被評価パターンに対して近傍の上位k個の学習サンプルを選択(2804)する。この選択した上位k個の学習サンプルのパターンの高さについて,被評価パターン-学習サンプル間の変位ベクトルに基づく補間値(2805)を算出し,被評価パターンの高さの推定値する(2806)。ここでkは,1から学習サンプルの総数までの任意の値を設定することができ,特徴量空間内での学習サンプルの分布状態に基づき定める。
【0088】
前述の特徴量空間において,被評価パターンに対して,近傍上位k個の学習サンプルを選択(2804)する際の概念図を図24(b)に示す。ここでは,画像特徴量の数を9個(f =( f1, ・・・, f9)T)とし,その特徴量空間内に,学習ステップで登録した学習サンプル(2803)が分布している。
【0089】
次に,計測対象から算出した画像特徴量(f '=( f1', ・・・, f9')T)をもとに,特徴量空間において被評価パターン(2832)との距離d( f ,f ')が近い上位k個の学習サンプルを選択する.また,距離d( f ,f ')はユークリッド距離として次式で与える.
【0090】
【数6】
選択されたk個の学習サンプルの膜厚から,次式で与える補間式により,被評価パターンの高さHを算出する.
【0091】
【数7】
ここで,wj,h0,は選択されたk個の学習サンプルから,最小二乗法により算出する。
【0092】
以上により,半導体パターンの断面形状の一例であるパターンの高さの推定が可能となる。
【0093】
ここで述べたk-NN法による被評価パターンの断面形状算出方法は,被評価パターンのSEM像より算出した上述の画像特徴量を用いて,被評価パターンの断面形状を算出する方法の一例であり,このように,上でいくつか例をあげた画像特徴量の全てあるいは,一部を用いて推定処理を行うことで,被評価パターンの断面形状,あるいはプロセス条件,あるいはデバイス特性を算出することができる。
【0094】
〔本発明の構成〕
ここでは,本発明における断面形状モニタ装置/方法,あるいはプロセス条件モニタ装置/方法,あるいはデバイス特性モニタ装置/方法を実現する構成について,図17を用いて説明する。
【0095】
前記装置/方法の構成要素としては,測長SEM(2006),画像処理/推定処理用コンピュータ(2010),AFM(2007)あるいは,断面計測用汎用SEM(2008),リソシミュレータ(2012),/電子線シミュレータ(2013),データベース記憶用装置(2011)からなり,またプロセス管理対象の装置として,露光装置(2001),現像装置(2002),エッチング装置(2003),露光マスク設計用コンピュータ(2009)からなり,各々がネットワークで接続して構成される。
【0096】
上述の図17で示した構成に対して,測長SEM,断面形状計測装置の替わりに,AFM搭載測長SEMによって構成してもよい。これにより構成が簡易となり,また,計測対象のSEM像と,断面計測データのアドレッシングが容易となり,学習データ作成時の計測を効率的に行うことができる。
【0097】
〔GUI〕
入力GUI
図18は,本発明における断面形状モニタ装置あるいは方法, およびプロセス条件モニタ装置あるいは方法,およびデバイス特性モニタ装置あるいは方法における入力GUI(Graphic User Interface)画面の一例である。本入力GUIにより,ユーザは,断面形状モニタ,あるいはプロセス条件モニタ,あるいはデバイス特性モニタによる半導体プロセスモニタの詳細な各種設定が可能となる。本発明の前記装置,あるいは前記方法は,本図に示した機能を選択可能とする後述の項目の全て,あるいは,一部を,入力GUIとしてもつことを特徴とする。以下に選択可能とする項目について述べる。
【0098】
GUI項目の一つは,評価対象とする製造工程を指定する項目(2401)であり,リソグラフィ工程(2402),およびエッチング工程(2403)の選択を可能とする。他の項目としては,評価モードを指定する項目(2404)であり,断面形状モニタ(2405),およびプロセス条件モニタ(2430),およびデバイス特性モニタ(2406)の選択を可能とする。更に,評価パターン種を指定する項目(2407)としてラインパターンの幅(2408)とホールパターンのホール径(2409)が入力できるようになっており,更に,推定に使用する画像特徴量の項目(2410)としてMPPC特徴量(2411),テクスチャ情報(2412),OPC評価指標(2413),ラインエッジラフネス(2414)などの画像特徴量を選択できるようになっている。更にまた,断面形状をモニタするときの計測ポイントの指定およびグラフィカルに指定箇所を表示する項目(2415)として,評価パターンの高さ(2425),幅(2416),コーナ部形状(2417),側壁の形状(2418),フッティング部の形状(2419),側壁の傾斜角(2426)等を表示し,モニタ時の出力評価指標(2420)の項目として,例えば,コーナ部形状(2421),top-CD, middle-CD(2422),bottom-CD(2423),フッティング形状(2424)等を選択できるようになっている。
【0099】
以上にあげた項目は,すべてをユーザが設定することが可能であり,また,一部の項目を選んだ場合に,適当な選択項目を自動選択させることも可能である。また,選択項目は,以前の計測履歴をもとに学習を行い,代表的な計測項目を自動的に選択させることも可能である(例えば,評価プロセス(2401)がリソグラフィ工程(2402),評価モード(2404)が断面形状(2405),評価パターン種(2407)が,ラインパターン(2408)の場合に,推定に使用する画像特徴量(2410)として,MPPC特徴量(2411)を自動選択し,出力評価指標としてtop-CD, middle-CD(2422),bottom-CD(2422)を自動選択するなど)。
【0100】
ここで述べたGUI入力によるモニタ装置,あるいは方法における各種設定項目をユーザが設定可能にする方法は一例であるが,このようにユーザにモニタの詳細設定方法を提供することで,様々なプロセス管理の要求に対応することを可能とする。
【0101】
・出力GUI
図19、図20及び図22は,本発明における断面形状モニタ装置あるいはあるいは方法,およびデバイス特性モニタ装置あるいは方法における出力GUI画面の一例である。本出力GUIにより,ユーザは, 断面形状モニタ,あるいはデバイス特性モニタによる半導体プロセスモニタの詳細なモニタリング結果を,詳細かつ判りやすく確認することができる。
【0102】
図19に示す出力GUI画面は,算出したパターンの断面形状(断面形状)をモニタする為のGUIの一例であり,次に示すような,出力項目の全てあるいは,一部をもつことを特徴とする。一つは,評価対象プロセス(2501)を表示する項目であり,リソグラフィ工程(2502),エッチング工程(2503)を表示する。更に,評価モードを表示する項目があり,断面形状モニタ(2505),プロセス条件モニタ(2530),デバイス特性モニタ(2506)であることを表示する。また,評価パターン種(2507)を表示する項目があり,例えば,ラインパターン,ホールパターン等を表示(2508)する。
【0103】
また,モニタしている断面形状の算出結果を表示する項目(2510)があり,算出した断面形状(断面形状)をグラフィカルに表示し(2510),かつ,各計測箇所および,計測結果をオーバレイ表示する。例えば,パターンの高さ(2511),幅(2513),コーナ形状(2514),側壁形状(2515),フッティング形状(2516),側壁傾斜角(2512)等を表示する。また,算出した計測値を表示する項目(2511)があり,例えば,middle-CDを管理する場合(2512),計測数値が表示される。また複数の評価指標値を並べて表示可能である(2513)。
【0104】
上記した項目はGUI出力によるモニタ装置,あるいは方法における各種表示項目は一例であるが,このようにユーザに算出結果を詳細に表示可能とすることで,様々なプロセス管理の要求に対応し,またグラフィカルに表示することにより,ユーザにプロセスの管理状況を分かり分かりやすく提供することが可能となる。
【0105】
図20に示す出力GUI画面は,算出したプロセス管理用の評価指標値のウェーハ面内での分布を表示し,ユーザに提示するGUIの一例であり,本GUIハ,図19で説明した表示項目のうちの算出した断面形状のグラフィカルな表示(2510)に替えて,評価パターンから算出した評価指標値を,ウェーハ面内の複数箇所で算出した場合に,その評価値のウェーハ面内での分布を表示する(2610)。表示する指標値の数値の違いを表示色の違い或いは,明度値の違いで表現し(2609),ウェーハ面上での分布を表示する(2610)。ここで表示する評価指標はGUIにより選択可能であり(2612),複数の指標値を評価指標の一覧(2611)から選択して(2613),重ねて表示することが可能である。以上のように,ウェーハ面上での指標値の分布を表示することで,ウェーハ面上でのパターンの断面形状あるいは,デバイス特性をモニタすることが可能となる。
【0106】
図22に示す出力GUI画面は,算出したプロセス管理用の評価指標値の時間変化を表示するGUIの一例である。本GUIは,図19で示した表示項目に加え,評価パターンから算出した評価指標値の時間変化を表示する(2709)。本例では,横軸に時間をとり,縦軸にモニタする評価指標をとる。ここで表示する評価指標は,GUIにより指定可能であり(2711),複数の評価指標を一覧(2711)から選択した(2712),表示することが可能である。本GUIは,評価指標値の時間変化をモニタする方法の一例であるが,このように評価指標の時間変化をモニタすることにより,ユーザがパターン形成状態の変化を随時モニタすることが可能となる。
【0107】
図23に示すGUI画面は,算出した評価パターンの立体形状を表示することを特徴とするGUIであり,図19で示した表示項目に加え,評価パターンから算出した立体形状を3次元表示(2802)する。また,同じ画面上に評価プロセス選択部(2801)を設けて評価するプロセスが指定できる。また,評価モード選択部(2803)を表示して画像表示部(2805)に表示した立体形状の3次元表示(2802)の評価モード(立体形状又はデバイス特性)を選択できる。更にまた,被評価パターン種選択部(2804)を表示して評価するパターンの種類を選択し,ライン幅を入力できるようになっている。
【0108】
本GUIは,評価パターンから算出した断面形状を表示する方法の一例であるが,このようにユーザに評価パターンの3次元形状を提示することにより,パターンの生成結果をユーザに直感的により判りやすく提示することで,生成パターンの不具合の早期発見などが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
LSIの微細化・高密度化に伴う設計マージンの減少等により,半導体デバイスの製造工程で形成されるパターンの管理は,従来の寸法管理のみでは,適切な管理ができなくなり,形成されたパターンの断面形状まで管理することが求められつつある。本発明は,露光プロセス,あるいはエッチングプロセスで形成されたパターンの断面形状を,被評価パターンを非破壊でSEM像から算出することを可能とすることを特徴とし,効率の良いプロセス管理が可能となり,その産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明で計測対象とするパターンの断面形状を示す図である。
【図2】本発明を実現するためのシステムの1実施例を示す図である。
【図3】撮像シーケンスを表す図である。
【図4】本発明における半導体プロセスモニタ装置の実施例を示す図である。
【図5】被評価パターンの断面形状算出のためにSEM像より算出する線幅特徴量算出の方法を説明する図である。
【図6】被評価パターンの断面形状算出のためにSEM像より算出するテクスチャ特徴量算出の方法を説明する図である。
【図7】被評価パターンのノッチ形状を検出する方法を示す図である。
【図8】被評価パターンのオーバハング形状を検出する方法を示す図である。
【図9】被評価パターンのノッチ形状を検出する方法を示す図である。
【図10】断面形状を算出するステップのフローを示す図である。
【図11】本発明において算出する被評価パターンの断面形状について説明する図である。
【図12】被評価パターンの断面形状の尤度推定に用いる学習データを作成する方法を説明する図である。
【図13】被評価パターンの断面形状を尤度推定によって断面形状を算出する方法を説明する図である。
【図14】本発明におけるプロセスモニタ方法の実施例を示す図である。
【図15】被評価パターンの断面形状,プロセス条件,デバイス特性算出方法を示した図である。
【図16】露光パラメタモニタ方法および断面形状モニタ方法の実施例を示す図である。
【図17】本発明の構成の1実施例を示す図である。
【図18】本発明における入力GUIを示す図である。
【図19】本発明における出力GUIを示す図である。
【図20】本発明における出力GUIを示す図である。
【図21】被評価パターンの断面形状算出のためにチルトSEM像より算出する画像特徴量算出の方法を説明する図である。
【図22】本発明における出力GUIを示す図である。
【図23】本発明における出力GUIを示す図である。
【図24】被評価パターンの断面形状をk-NN法によって算出する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0111】
202・・・電子光学系 212,213,214・・・A/D変換部 215・・・処理・制御部 216・・・ディスプレイ 406・・・半導体デバイスのプロセスモニタ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造プロセスの途中において所定のプロセスを経て試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得し、
該取得した対象パターンのSEM像の特徴量を求め、
該求めた対象パターンのSEM像の特徴量を、種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶しておいたデータベースと照合して推定モデルを当てはめ、
該当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定し、
該推定した前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する
ことを特徴とする半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項2】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記種々の立体形状パターンが、該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項3】
前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件として,露光機のフォーカス位置,あるいはドーズ量,あるいは露光時間,あるいはベーク温度,あるいはベーク時間,あるいはエッチング装置での,エッチング時間,あるいはチャンバー内温度,あるいはガス流量,あるいはガス圧の全てあるいは一部を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項4】
前記所定のプロセスが露光工程後の現像工程であって、前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する工程において判定した結果を、前記露光工程にフィードバックすることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項5】
前記所定のプロセスがエッチング工程であって、前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する工程において判定した結果を、前記エッチング工程の前の露光工程又は前記エッチング工程の何れかにフィードバックすることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項6】
半導体デバイスの製造プロセスの途中において所定のプロセスを経て試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得するSEM像取得手段と、
該SEM像取得手段で取得したSEM像の特徴量を求める特徴量算出手段と、
種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶するデータベース手段と、
前記特徴量算出手段で算出した特徴量を前記データベース手段に前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータと関連付けて記憶しておいた種々の立体形状パターンのSEM像の画像特徴量のデータと照合して推定モデルを当てはめる推定モデル照合手段と、
該推定モデル照合手段で当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定する断面形状推定手段と、
該断面形状推定手段で推定した前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準を比較して該基準を満たしているかを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項7】
前記データベース手段に断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶する前記種々の立体形状パターンは該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項8】
前記データベース手段に記憶する前記立体形状パターンを形成するためのプロセス条件として,露光機のフォーカス位置,あるいはドーズ量,あるいは露光時間,あるいはベーク温度,あるいはベーク時間,あるいはエッチング装置での,エッチング時間,あるいはチャンバー内温度,あるいはガス流量,あるいはガス圧の全てあるいは一部を含むことを特徴とすることを含む特徴とする請求項7記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項9】
前記所定のプロセスが露光工程後の現像工程であって、前記判定手段で判定した結果を、前記露光工程にフィードバックするフィードバック手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項10】
前記所定のプロセスがエッチング工程であって、前記判定手段で判定した結果を、前記エッチング工程の前の露光工程又は前記エッチング工程の何れかにフィードバックするフィードバック手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項11】
試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得し、
該取得した対象パターンのSEM像の特徴量を求め、
該求めた対象パターンのSEM像の特徴量を、種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶しておいたデータベースと照合して推定モデルを当てはめ、
該当てはめた推定モデルに基づいて前記パターンの断面形状を推定する
ことを特徴とするパターンの断面形状推定方法。
【請求項12】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記種々の立体形状パターンが、該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項13】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンで形成された回路のデバイス特性と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項14】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記対象パターンのSEM像の特徴量に類似した画像の特徴量を有する複数の候補を抽出し、該抽出した複数の候補の画像の特徴量の情報を用いて前記立体形状パターンの断面形状を推定することを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項15】
前記立体形状パターンの断面形状を推定することを、複数備えた推定エンジンの中から選択した推定エンジンを用いて行うことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項16】
前記対象パターンのSEM像を取得する工程において、前記対象パターンを傾斜方向から観察したチルトSEM像を取得することを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項17】
試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得するSEM像取得手段と、
該SEM像取得手段で取得したSEM像の特徴量を求める特徴量算出手段と、
種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶するデータベース手段と、
前記特徴量算出手段で算出した特徴量を前記データベース手段に前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータと関連付けて記憶しておいた種々の立体形状パターンのSEM像の画像特徴量のデータと照合して推定モデルを当てはめる推定モデル照合手段と、
該推定モデル照合手段で当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定する断面形状推定手段と
を備えたことを特徴とするパターンの断面形状推定装置。
【請求項18】
前記データベース手段に断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶する前記種々の立体形状パターンは該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項19】
前記データベース手段に、前記対象パターンのSEM像の特徴量を前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項20】
前記推定モデル照合手段は、前記データベース手段から前記対象パターンのSEM像の特徴量に類似した画像の特徴量を有する複数の候補を抽出し、前記断面形状推定手段は前記抽出した複数の候補の画像の特徴量を補間して前記立体形状パターンの断面形状を求めることを特徴とする請求項17乃至19の何れかに記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項21】
前記推定モデル照合手段は、前記立体形状パターンの断面形状を推定するための推定エンジンを複数備え、該複数備えた推定エンジンの中から選択した推定エンジンを用いて前記立体形状パターンの断面形状を推定することを特徴とする請求項20記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項22】
前記SEM像取得手段は、前記対象パターンを傾斜方向から観察したチルトSEM像を取得することを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項23】
前記断面形状推定手段で推定した前記対象パターンの断面形状を該断面形状の複数の寸法計測箇所の計測値と並べて画面上に表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項1】
半導体デバイスの製造プロセスの途中において所定のプロセスを経て試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得し、
該取得した対象パターンのSEM像の特徴量を求め、
該求めた対象パターンのSEM像の特徴量を、種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶しておいたデータベースと照合して推定モデルを当てはめ、
該当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定し、
該推定した前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する
ことを特徴とする半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項2】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記種々の立体形状パターンが、該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項3】
前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件として,露光機のフォーカス位置,あるいはドーズ量,あるいは露光時間,あるいはベーク温度,あるいはベーク時間,あるいはエッチング装置での,エッチング時間,あるいはチャンバー内温度,あるいはガス流量,あるいはガス圧の全てあるいは一部を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項4】
前記所定のプロセスが露光工程後の現像工程であって、前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する工程において判定した結果を、前記露光工程にフィードバックすることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項5】
前記所定のプロセスがエッチング工程であって、前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準と比較して該基準を満たしているかを判定する工程において判定した結果を、前記エッチング工程の前の露光工程又は前記エッチング工程の何れかにフィードバックすることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ方法。
【請求項6】
半導体デバイスの製造プロセスの途中において所定のプロセスを経て試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得するSEM像取得手段と、
該SEM像取得手段で取得したSEM像の特徴量を求める特徴量算出手段と、
種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶するデータベース手段と、
前記特徴量算出手段で算出した特徴量を前記データベース手段に前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータと関連付けて記憶しておいた種々の立体形状パターンのSEM像の画像特徴量のデータと照合して推定モデルを当てはめる推定モデル照合手段と、
該推定モデル照合手段で当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定する断面形状推定手段と、
該断面形状推定手段で推定した前記対象パターンの断面形状を予め設定した基準を比較して該基準を満たしているかを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項7】
前記データベース手段に断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶する前記種々の立体形状パターンは該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項8】
前記データベース手段に記憶する前記立体形状パターンを形成するためのプロセス条件として,露光機のフォーカス位置,あるいはドーズ量,あるいは露光時間,あるいはベーク温度,あるいはベーク時間,あるいはエッチング装置での,エッチング時間,あるいはチャンバー内温度,あるいはガス流量,あるいはガス圧の全てあるいは一部を含むことを特徴とすることを含む特徴とする請求項7記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項9】
前記所定のプロセスが露光工程後の現像工程であって、前記判定手段で判定した結果を、前記露光工程にフィードバックするフィードバック手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項10】
前記所定のプロセスがエッチング工程であって、前記判定手段で判定した結果を、前記エッチング工程の前の露光工程又は前記エッチング工程の何れかにフィードバックするフィードバック手段を更に備えたことを特徴とする請求項6記載の半導体デバイスの製造プロセスモニタ装置。
【請求項11】
試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得し、
該取得した対象パターンのSEM像の特徴量を求め、
該求めた対象パターンのSEM像の特徴量を、種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶しておいたデータベースと照合して推定モデルを当てはめ、
該当てはめた推定モデルに基づいて前記パターンの断面形状を推定する
ことを特徴とするパターンの断面形状推定方法。
【請求項12】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記種々の立体形状パターンが、該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項13】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記データベースに対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンで形成された回路のデバイス特性と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項14】
前記推定モデルを当てはめる工程において、前記対象パターンのSEM像の特徴量に類似した画像の特徴量を有する複数の候補を抽出し、該抽出した複数の候補の画像の特徴量の情報を用いて前記立体形状パターンの断面形状を推定することを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項15】
前記立体形状パターンの断面形状を推定することを、複数備えた推定エンジンの中から選択した推定エンジンを用いて行うことを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項16】
前記対象パターンのSEM像を取得する工程において、前記対象パターンを傾斜方向から観察したチルトSEM像を取得することを特徴とする請求項11記載のパターンの断面形状推定方法。
【請求項17】
試料上に形成された対象パターンのSEM像を取得するSEM像取得手段と、
該SEM像取得手段で取得したSEM像の特徴量を求める特徴量算出手段と、
種々の立体形状パターンについて取得したSEM像から得た画像の特徴量のデータと前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶するデータベース手段と、
前記特徴量算出手段で算出した特徴量を前記データベース手段に前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータと関連付けて記憶しておいた種々の立体形状パターンのSEM像の画像特徴量のデータと照合して推定モデルを当てはめる推定モデル照合手段と、
該推定モデル照合手段で当てはめた推定モデルに基づいて前記対象パターンの断面形状を推定する断面形状推定手段と
を備えたことを特徴とするパターンの断面形状推定装置。
【請求項18】
前記データベース手段に断面形状を計測して得たデータとを関連付けて記憶する前記種々の立体形状パターンは該立体形状パターンを形成するためのプロセス条件を変化させて形成したものであって、前記対象パターンのSEM像の特徴量を、前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項19】
前記データベース手段に、前記対象パターンのSEM像の特徴量を前記立体形状パターンの断面形状を計測して得たデータおよび前記立体形状パターンを形成したときのプロセス条件と関連付けて記憶しておくことを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項20】
前記推定モデル照合手段は、前記データベース手段から前記対象パターンのSEM像の特徴量に類似した画像の特徴量を有する複数の候補を抽出し、前記断面形状推定手段は前記抽出した複数の候補の画像の特徴量を補間して前記立体形状パターンの断面形状を求めることを特徴とする請求項17乃至19の何れかに記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項21】
前記推定モデル照合手段は、前記立体形状パターンの断面形状を推定するための推定エンジンを複数備え、該複数備えた推定エンジンの中から選択した推定エンジンを用いて前記立体形状パターンの断面形状を推定することを特徴とする請求項20記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項22】
前記SEM像取得手段は、前記対象パターンを傾斜方向から観察したチルトSEM像を取得することを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【請求項23】
前記断面形状推定手段で推定した前記対象パターンの断面形状を該断面形状の複数の寸法計測箇所の計測値と並べて画面上に表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項17記載のパターンの断面形状推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−129059(P2007−129059A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320319(P2005−320319)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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