説明

半導体モジュール

【課題】金属ブロックと半導体素子とのはんだ付け性及び金属ブロックと樹脂との密着性を確保すると共に、製造コストの上昇を抑えた半導体モジュール、及びその製造方法等を提供すること。
【解決手段】本半導体モジュールは、金属ブロックと、前記金属ブロックの一方の面に設けられた半導体素子設置領域にはんだ層を介して設置された半導体素子と、前記金属ブロック及び前記半導体素子に樹脂をモールドして形成されるモールド部と、を有し、前記金属ブロックの一方の面は、めっき領域と、粗化領域と、を含み、前記半導体素子設置領域は、前記めっき領域に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂によるモールド部を備える半導体モジュール等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属ブロック上にはんだ層を介して半導体素子を設置し、その半導体素子を被覆するように樹脂をモールドした半導体モジュールが知られている。
【0003】
このような半導体モジュールでは、例えば、金属ブロックに設置される半導体素子直下のはんだ厚みの安定性を向上するとともに、金属ブロックと樹脂との密着度を確保するために、半導体素子が設置される金属ブロックの表面における半導体素子設置領域以外の部分に複数の方形凹部を略等間隔で縦横に配置していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、金属ブロック上の半導体素子を設置する領域には、めっき等の表面処理が施されていないため、酸化しやすく、はんだ濡れ性確保のために厳しい温湿度管理や還元処理が必要である等の問題があった。又、金属ブロックがCuの無垢材である場合には、はんだ接合の際に金属間化合物としてCuSnが形成され、カーケンダルボイドが発生する等の問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、金属ブロックの表面全体にNiめっきを施すことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−186622号公報
【特許文献2】特開2003−124406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、Niめっきと樹脂とは密着性が悪く、金属ブロックと樹脂とが剥離する虞がある。金属ブロックと樹脂とが剥離すると、はんだ層にクラックが入る等の信頼性上の問題が生じる。そのため、従来は、表面全体にNiめっきが施された金属ブロックと樹脂との密着性を確保すべく、金属ブロックの樹脂が形成される領域に、高価なポリアミド樹脂等のプライマを塗布しており、製造コストを上昇させる要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、金属ブロックと半導体素子とのはんだ付け性及び金属ブロックと樹脂との密着性を確保すると共に、製造コストの上昇を抑えた半導体モジュール、及びその製造方法等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本半導体モジュールは、金属ブロックと、前記金属ブロックの一方の面に設けられた半導体素子設置領域にはんだ層を介して設置された半導体素子と、前記金属ブロック及び前記半導体素子に樹脂をモールドして形成されるモールド部と、を有し、前記金属ブロックの一方の面は、めっき領域と、粗化領域と、を含み、前記半導体素子設置領域は、前記めっき領域に設けられていることを要件とする。
【0010】
本半導体モジュールの製造方法は、金属ブロックと、前記金属ブロックの一方の面に設けられた半導体素子設置領域にはんだ層を介して設置された半導体素子と、前記金属ブロック及び前記半導体素子に樹脂をモールドして形成されるモールド部と、を有する半導体モジュールの製造方法であって、複数の半導体素子設置領域が並設された帯状の金属材料を準備し、前記金属材料の一方の面の所定領域にめっきを施し、前記複数の半導体素子設置領域を含むめっき領域を形成する第1工程と、前記めっき領域をマスクで被覆する第2工程と、前記金属材料の一方の面の前記マスクから露出する領域を粗化し、粗化領域を形成する第3工程と、前記金属材料を短手方向に切断して個片化し、前記半導体素子設置領域を少なくとも1つ含む金属ブロックを形成する第4工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属ブロックと半導体素子とのはんだ付け性及び金属ブロックと樹脂との密着性を確保すると共に、製造コストの上昇を抑えた半導体モジュール、及びその製造方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体モジュール1の外観を例示する斜視図である。
【図2】図1の半導体モジュール1の要部要素を便宜上分解して例示する分解斜視図である。
【図3】図1の半導体モジュール1の各ラインに沿った断面図である。
【図4】ドライブ基板90と半導体モジュール1の接続方法の一例を示す図であり、(A)は、半導体モジュール1の上方からの透視図であり、(B)は、(A)におけるラインA−Aに沿った断面図である。
【図5】樹脂モールド部60の延長側部62と冷却板50の側面50bとの密着態様の好ましい複数の例を示す図である。
【図6】金属ブロック30に半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。
【図7】凹部35を拡大して例示する断面図である。
【図8】粗化領域30bの表面粗度と粗化領域30bと樹脂モールド部60とのせん断強度との関係を例示する図であり、(A)は金属ブロック30の材料が銅である場合、(B)は金属ブロック30の材料がアルミニウムである場合の図である。
【図9】金属ブロック30の製造方法について例示する平面図(その1)である。
【図10】金属ブロック30の製造方法について例示する平面図(その2)である。
【図11】金属ブロック30の製造方法について例示する平面図(その3)である。
【図12】金属ブロック30の製造方法について例示する平面図(その4)である。
【図13】金属ブロック30の製造方法について例示する平面図(その5)である。
【図14】半導体モジュール1の実装状態の一例を示す断面図である。
【図15】金属ブロック30Aに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。
【図16】金属ブロック30Bに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。
【図17】金属ブロック30Bに半導体素子10が設置されていない状態を例示する断面図である。
【図18】凹部37を拡大して例示する平面図である。
【図19】金属ブロック30Cに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。
【図20】半導体モジュール1を含むハイブリッドシステム600の一例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体モジュール1の外観を例示する斜視図であり、(A)は、上方から見た斜視図であり、(B)は、下方から見た斜視図である。尚、搭載状態に応じて上下方向が異なるが、以下では、便宜上、半導体モジュール1の冷却板側を下方とする。また、用語の定義として、「中心側」または「中央側」とは、半導体モジュール1の中心O(図1(A)参照)を基準とする。尚、中心Oは凡そであればよく、厳密に決定されるべき性質のものでない。図2は、図1の半導体モジュール1の要部要素を便宜上分解して例示する分解斜視図である。
【0015】
図示の例では、半導体モジュール1は、ハイブリッド車又は電気自動車で使用されるモータ駆動用のインバータを構成する。
【0016】
図3は、図1の半導体モジュール1の各ラインに沿った断面図であり、(A)は、ラインA−Aに沿った断面図であり、(B)は、ラインB−Bに沿った断面図であり、(C)は、ラインC−Cに沿った断面図であり、(D)は、ラインD−Dに沿った断面図である。
【0017】
半導体モジュール1は、主なる構成要素として、半導体素子10と、配線部材20,22と、金属ブロック30と、絶縁シート40と、冷却板50と、樹脂モールド部60とを含む。
【0018】
半導体素子10は、パワー半導体素子を含み、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(metal oxide semiconductor field‐effect transistor)のようなスイッチング素子を含んでよい。尚、図示の例では、半導体モジュール1はインバータを構成し、半導体素子10は、正極ラインと負極ラインとの間に互いに並列に配置されるU相、V相、W相の各上アーム及び各下アームを構成するIGBT及びダイオードであってよい。
【0019】
配線部材20,22は、金属板(リードフレーム基材)から加工されて構成される。図示の例では、配線部材20は、電源ライン用の配線部材(電源ライン用リード)である。また、配線部材22は、ピン状の形態を有し、信号伝達用の配線部材(信号ライン用リード)である。配線部材20は、はんだ等により、対応する半導体素子10の端子に接続されてもよい。図示の例では、配線部材20は、はんだ層80により、対応する半導体素子10に接続される。また、配線部材22は、ワイヤボンディング(アルミ細線)等により、対応する半導体素子10の端子に接続されてもよい。例えばIGBTに関しては、配線部材20は、金属ブロック30を介してIGBTのコレクタ電極に接続される。また、配線部材20は、IGBTのエミッタ電極に接続される。配線部材22は、IGBTのゲート電極に接続される。
【0020】
金属ブロック30は、熱(過渡熱等)を吸収し拡散するヒートシンク機能を備える。金属ブロック30は、ヒートシンク機能を有するものであれば金属以外の材料で構成されてもよいが、好ましくは、銅や銅合金、或いはアルミニウムのような、熱拡散性の優れた金属から形成される。金属ブロック30の上面には、はんだ等により半導体素子10が設置される。図示の例では、金属ブロック30の上面には、はんだ層82を介して半導体素子10が設置される。金属ブロック30は、主に、半導体素子10の駆動時に生じる半導体素子10からの熱を吸収し内部に拡散する。なお、金属ブロック30については、別途、詳説する。
【0021】
絶縁シート40は、例えば樹脂シートからなり、金属ブロック30と冷却板50との間の電気的な絶縁性を確保しつつ、金属ブロック30から冷却板50への高い熱伝導を可能とする。絶縁シート40は、図3等に例示するように、金属ブロック30の下面よりも大きい外形を有する。
【0022】
尚、絶縁シート40は、好ましくは、はんだや金属膜等を用いることなく、直接、金属ブロック30と冷却板50を接合する。これにより、はんだを用いる場合に比べて、熱抵抗を低くすることができ、工程を簡素化することができる。また、冷却板50側にもはんだ付け用表面処理が不要となる。例えば、絶縁シート40は、後述の樹脂モールド部60と同様の樹脂材料(エポキシ樹脂)からなり、後述の樹脂モールド部60のモールド時の圧力及び温度により金属ブロック30及び冷却板50に接合する。
【0023】
冷却板50は、熱伝導性の良い材料から形成され、例えば、アルミなどの金属により形成されてもよい。冷却板50は、下面側にフィン54を有する。フィン54の数や配列態様は、特に言及しない限り任意である。また、フィン54の構成(形状・高さ等)も任意であってよい。フィン54は、例えばストレートフィンやピンフィンの千鳥配置等で実現されてもよい。半導体モジュール1の実装状態では、フィン54は、冷却水や冷却空気のような冷却媒体と接触する。このようにして、半導体素子10の駆動時に生じる半導体素子10からの熱は、金属ブロック30、絶縁シート40及び冷却板50を介して、冷却板50のフィン54から冷却媒体へと伝達され、半導体素子10の冷却が実現される。
【0024】
尚、フィン54は、冷却板50と一体で形成されてもよいし(例えば、アルミダイカスティング)、溶接等により冷却板50と一体化されてもよい。
【0025】
冷却板50は、一方向(本例では、図1のY方向)の両端部に締結部52を含む。各締結部52は、ボルト座面を提供し、ボルト座面には、ボルト挿通用の締結穴53が形成される。冷却板50は、冷却媒体が連通する冷却媒体流路を形成する流路形成部材(水路、ハウジング等)100に締結されてもよい(図14参照)。
【0026】
冷却板50の締結部52は、図1等に例示するように、冷却板50の端部における他の領域よりもY方向に突出した領域内に形成される。即ち、図1に示す例では、締結部52は、両端部にそれぞれ2箇所形成され、各端部において、2箇所の締結部52は、X方向で両側の領域であって、その間の領域よりもY方向に突出した領域内に形成される。尚、冷却板50の締結部52は、例えばプレス加工により冷却板50と一体に形成されるが、冷却板50とは別に形成され、冷却板50に溶接等により固定されてもよい。
【0027】
樹脂モールド部60は、図3等に例示するように、半導体素子10、配線部材20,22、金属ブロック30、絶縁シート40及び冷却板50を樹脂でモールドすることにより形成される。即ち、樹脂モールド部60は、冷却板50の上面に対して、半導体モジュール1の主要構成要素(半導体素子10、配線部材20,22、金属ブロック30及び絶縁シート40)を内部に封止する部位である。尚、使用される樹脂は、例えばエポキシ樹脂であってよい。但し、配線部材20,22については、周辺装置との接続用端子20a,22a及びそれらを所定位置まで引き出すための付属部分(以下、付属部分を含めて単に端子20a,22aという)が、樹脂モールド部60から露出する。また、冷却板50は、締結部52が樹脂モールド部60から露出する。即ち、締結部52は、冷却板50における樹脂モールド部60との密着領域よりも(Y方向)側方側に設定される。尚、配線部材20,22の各端子20a,22aは、樹脂モールド部60によるモールド封止後のリードカット及びフォーミングにより最終形状が実現されてもよい。
【0028】
ここで、本実施の形態では、図1、図3(A)及び(C)等に例示するように、配線部材20,22の各端子20a,22aは、樹脂モールド部60からX方向に露出して延在するのに対して、冷却板50の締結部52は、樹脂モールド部60からY方向に露出して延在する。即ち、配線部材20,22の各端子20a,22aと冷却板50の締結部52とは、樹脂モールド部60からの露出方向が直交する関係となっている。換言すると、配線部材20,22の各端子20a,22aは、半導体モジュール1のX方向の両側面にて樹脂モールド部60から露出し、冷却板50の締結部52は、導体モジュール1のY方向の両側面にて樹脂モールド部60から露出する。
【0029】
このような構成によれば、冷却板50の締結部52(特に締結穴53)の鉛直方向上方に、配線部材20,22の各端子20a,22aが延在しないので、後述の流路形成部材(水路、ハウジング等)100(図14参照)に冷却板50の締結部52を真上からボルト締結することが可能となり、ボルト締結の作業性が良好であると共に、無駄なスペースを無くすことができる。また、図4に例示するように、配線部材22の各端子(信号端子)22aをドライブ基板90に接続する際、ドライブ基板90のX方向の両端が、配線部材22の各端子(信号端子)22aの存在領域(信号端子エリア)に対して上下方向で対向する。従って、ドライブ基板90の中央部(図においてWで指示する領域)を活用する際、レイアウトの自由度が高くなる(例えば、ドライブ基板90内において高電圧の回路ブロックと低電圧の回路ブロックとを分けやすくなる)。
【0030】
尚、冷却板50の締結部52の延在方向及び配線部材20,22の各端子20a,22aの延在方向は、平面視で略直角であればよく、上記の効果を実質的に損なわない範囲で90度からずれてもよい。また、冷却板50の締結部52の延在方向及び配線部材20,22の各端子20a,22aの延在方向は、必ずしも樹脂モールド部60の対応する側面に対して略垂直である必要はなく、また、配線部材20,22の各端子20a,22aは、樹脂モールド部60からの露出後に上下方向やY方向に曲げられた部位を有してもよい。実質的には、配線部材20,22の各端子20a,22aは、締結部52が露出する側の樹脂モールド部60の側面とは異なる側面側に位置すればよい。
【0031】
樹脂モールド部60は、好ましくは、図3(C)及び図3(D)にて対比的に示すように、配線部材20,22の端子20a,22aが露出する側部領域(図3(C))において、該側部領域と隣接する側部領域(図3D)よりも側方に突出したリブ部66を有する。リブ部66は、配線部材20,22の露出部付近で配線部材20,22に対して上下方向に延在する。即ち、リブ部66は、配線部材20,22の各端子20a,22aの根本(樹脂モールド部60に対する根本)を上下方向から覆う態様で設けられる。リブ部66は、配線部材20,22の端子20a,22aが露出する側部領域のみに対応して設けられる。従って、図1(B)に例示するように、樹脂モールド部60の側部は、リブ部66間が凹状になり、全体として凹凸状となる。これにより、樹脂モールド部60の側部においてY方向で隣り合う配線部材20,22の各端子20a,22a間の沿面距離を増加することができる。
【0032】
また、リブ部66は、好ましくは、図3(C)に例示するように、上下方向で配線部材20,22の露出位置のみならず、樹脂モールド部60の側部の高さ方向の広範囲に亘って設けられる。これにより、樹脂モールド部60の端部の強度・剛性を高めることができる。例えば、リブ部66は、下方向では、冷却板50の上面50cまで延在してもよいし、或いは、図3(C)に例示するように、冷却板50の下面50aと同一平面まで延在してもよい。また、リブ部66は、上方向では、配線部材20,22の各端子20a,22aを超えて延在してよく、例えば、図3(C)に例示するように、樹脂モールド部60の上面を構成する高さまで延在してもよい。
【0033】
樹脂モールド部60は、図3等に例示するように、実質的には、配線部材20,22の略全体(上述の露出した端子20a,22a部分、及び、半導体素子10との接続面を除く)、半導体素子10の上面(配線部材20,22の設置部分を除く)及び側面、金属ブロック30の上面(半導体素子10等の設置部分を除く)及び側面、絶縁シート40の上面(金属ブロック30の設置部分を除く)及び側面、及び、冷却板50の上面に密着する。
【0034】
また、樹脂モールド部60は、好ましくは、図3(B)に例示するように、冷却板50の下面50aと同一平面まで延在して冷却板50の側面50bに密着する延長側部62を有する。これにより、冷却板50の上面50cでの樹脂モールド部60の密着に加えて、冷却板50の側面50bでの樹脂モールド部60の密着が得られるので、冷却板50と樹脂モールド部60との密着性を効率的に高めることができる。また、樹脂モールド部60の反り等による冷却板50からの樹脂モールド部60の剥離を防止することができる。また、冷却板50の上面50cにおける樹脂モールド部60との密着部において、表面処理(粗化、プライマ処理)を無くすことが可能である。但し、必要に応じて、かかる表面処理を維持してもよい。
【0035】
尚、延長側部62は、上下方向では、少なくとも、冷却板50の側面50bより上方から冷却板50の下面50aと同一平面まで延在すればよい。図3(B)に示す例では、延長側部62は、上述のリブ部66と同様、上下方向で樹脂モールド部60の側部の全体に亘って設けられる。尚、図示の例では、リブ部66が存在する領域では、延長側部62は、リブ部66と一体的な関係となり、リブ部66の内側(樹脂モールド部60の中心側)に画成されることになる(図3(D)参照)。
【0036】
この延長側部62は、好ましくは、密着性を高めるために、冷却板50における広範囲の側面50bに対して設けられる。例えば、図示の例では、延長側部62は、冷却板50のY方向の端部において、締結部52以外の領域における冷却板50の側面50bに対して設けられる。即ち、延長側部62は、冷却板50のY方向の両端部において、X方向での2つの締結部52の間の領域における冷却板50の側面50bに対して設けられる。また、延長側部62は、冷却板50のX方向の両端部において、冷却板50の側面50bに対してY方向の全長に亘って設けられる。即ち、延長側部62は、冷却板50のX方向の両端部において、冷却板50の側面50bに対して全面的に設けられる。これにより、冷却板50の締結部52以外の実質的に全ての領域における冷却板50の側面50bに対して延長側部62が設けられるので、冷却板50と樹脂モールド部60との密着性を効果的に高めることができる。
【0037】
図5は、樹脂モールド部60の延長側部62と冷却板50の側面50bとの密着態様の好ましい複数の例を示す図である。尚、図5に関してのみ、見易さの観点から、樹脂モールド部60のハッチングが他の図と異なる。尚、図5は、図3(B)に相当する断面を示す。
【0038】
樹脂モールド部60の延長側部62と冷却板50の側面50bとの密着を更に高めるため、図5に例示するように、冷却板50の下面50aに薄肉部51が形成されてもよい。薄肉部51は、図5に例示するように、冷却板50の下面50aにおける側面50b側に形成される。即ち、薄肉部51は、冷却板50の端部の下面50aを薄肉化することにより形成される。樹脂モールド部60の延長側部62は、薄肉部51において冷却板50の下面50aを覆う。この際、樹脂モールド部60の延長側部62の部分であって、薄肉部51において冷却板50の下面50aを覆う部分は、冷却板50の冷却板50の中心側の下面50aと実質的に面一になるような厚みに設定される。
【0039】
薄肉部51は、冷却板50の側面50bにおける樹脂モールド部60の延長側部62が設けられる範囲で設けられる。即ち、薄肉部51は、延長側部62が存在しない締結部52以外の領域における冷却板50の側面50bに対して設けられる。薄肉部51は、好ましくは、延長側部62に対応して、冷却板50の締結部52以外の実質的に全ての領域における冷却板50の側面50bに対応して設けられる。薄肉部51は、エッチング、プレス、機械加工、ダイキャスト用の型の形状等の任意の方法で形成されてもよい。
【0040】
より具体的には、図5において、(A)で示す例では、薄肉部51は、冷却板50の端部の下面50aを一定厚さtで薄肉化することで形成される。
【0041】
図5において、(B)で示す例では、薄肉部51は、冷却板50の端部の下面50aを可変厚さで薄肉化することで形成される。薄肉化する厚さは、冷却板50の端部の縁部から中心側に向かって、第1厚さtから、該第1厚さtよりも厚い第2厚さtを介して、第1厚さtへと変化する。尚、代替的に、第1厚さtから、該第1厚さtよりも厚い第2厚さtを介して、第3厚さ(0以上で冷却板50の厚さよりも薄い厚さ)へと変化してもよい。
【0042】
図5において、(C)で示す例では、薄肉部51は、冷却板50の端部の下面50aを可変厚さで薄肉化することで形成される。薄肉化する厚さは、冷却板50の端部の縁部から中心側に向かって、第1厚さtから徐々に厚さ0へと変化する。尚、代替的に、薄肉化する厚さは、冷却板50の端部の縁部から中心側に向かって、第1厚さtから徐々に第4厚さ(0より大きく第1厚さtよりも薄い厚さ)まで徐々に変化してもよい。
【0043】
図5において、(D)で示す例では、薄肉部51は、冷却板50の端部の下面50aを可変厚さで薄肉化することで形成される。薄肉化する厚さは、冷却板50の端部の縁部から中心側に向かって、第1厚さtから、該第1厚さtよりも厚い第2厚さtまで徐々に変化する。
【0044】
図5に示すいずれの例においても、樹脂モールド部60の延長側部62は、薄肉部51において冷却板50の下面50a側まで回り込む(薄肉部51を下方側から覆う)ことで、冷却板50の端部を上下から囲むように密着することができ、樹脂モールド部60と冷却板50との密着性を高めることができる。尚、図5に示す各例は、あくまで代表的な複数の例に過ぎない。また、図5に示す各例は、任意に組み合わせることも可能である。薄肉部51の形状は、樹脂モールド部60の延長側部62が、冷却板50の冷却板50の中心側の下面50aと実質的に面一になる範囲で、冷却板50の側面50bから冷却板50の下面50a側まで回り込むことができればよい。
【0045】
ここで、図6を参照して、金属ブロック30について詳説する。図6は、金属ブロック30に半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。図6に例示するように、金属ブロック30の上面は、めっき領域30aと、粗化領域30bとに分割されている。めっき領域30aは、金属ブロック30の上面の中央部近傍の半導体素子設置領域30cを含むようにY方向に沿って帯状に形成されている。
【0046】
なお、帯状とは、面内の一方向の長さが他方向の長さよりも長い形状の総称である。従って、具体的形状は長方形等に限られることはなく、例えば、長手方向の一部分が狭いなど幅方向の間隔が一定でなくてもよいし、円弧状に湾曲していたり、波状であったり、ギザギザ状(三角波状)であったりしてもよい。又、これらを組み合わせた形状であってもよい。
【0047】
又、図6では、めっき領域30aは半導体素子設置領域30cを含むように金属ブロック30の長手方向に沿って帯状に形成されているが、めっき領域30aは、半導体素子設置領域30cを含むように金属ブロック30の短手方向に沿って帯状に形成される場合もあり得る。例えば、金属ブロック30に半導体素子設置領域30cが1つだけ設けられているような場合である。このように、めっき領域30aは、半導体素子設置領域30cを含むように金属ブロック30に対して帯状に形成されている。
【0048】
半導体素子設置領域30cは金属ブロック30の上面に予め形成された線ではなく、はんだ層82を介して半導体素子10の設置が予定されている領域である。粗化領域30bは、めっき領域30aを挟持するように、めっき領域30aの両側にY方向に沿って帯状に形成されている。金属ブロック30の一方の側には、切り欠き部30xが設けられている。但し、切り欠き部30xは位置決め等に用いるものであり、必ずしも必要ではない。
【0049】
めっき領域30aは、金属ブロック30の上面に、例えば、ニッケルめっきが施されている領域である。但し、めっきの種類はニッケルめっきには限定されず、銀めっき、金めっき、錫めっき、パラジウムめっき等の銅よりも酸化し難く、はんだ濡れ性が良好な様々なめっきを用いることができる。又、めっき領域30aには、複数のめっき層が積層されていてもよい。例えば、金属ブロック30の上面にニッケルめっき層を形成し、更にニッケルめっき層上に金めっき層を積層した形態や、金属ブロック30の上面にニッケルめっき層を施し、更にニッケルめっき層上にパラジウムめっき層及び金めっき層をこの順番で積層した形態等とすることができる。
【0050】
金属ブロック30の上面にめっき領域30aを設ける理由は、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際の、はんだ濡れ性を確保するためである。つまり、前述のように、半導体素子設置領域30cに、めっき等の表面処理が施されていないと、酸化しやすく、はんだ濡れ性確保のために厳しい温湿度管理や還元処理が必要である等の問題がある。特に、金属ブロック30が銅の無垢材である場合には、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際にCuSnの化合物が形成される問題や、カーケンダルボイドが発生する等の問題がある。
【0051】
そこで、本実施の形態では、金属ブロック30の上面にめっき領域30aを設け、めっき領域30aに半導体素子設置領域30cを設けている。これにより、金属ブロック30の上面に、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際のはんだ濡れ性を確保することができる。又、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際に金属間化合物であるNiSnが形成されるが、NiSnは拡散が遅いため、カーケンダルボイドが発生し難い。
【0052】
めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域には、開口部の平面形状が略矩形状の凹部35が形成されている。凹部35は、めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域に、所定の間隔を隔てて複数個形成されている。図7は、凹部35を拡大して例示する断面図である。図7に例示するように、凹部35は、底部に楔状部35aが形成され、その上に楔状部35aに連通する矩形状部35bが形成された断面形状を有する。なお、楔状部35aは底部の面積よりも矩形状部35bに連通する部分の面積が小さくなるように(逆テーパ状に)形成されている。凹部35の開口部の大きさ(平面形状)は、例えば、0.2〜0.5mm角程度とすることができる。又、楔状部35a及び矩形状部35bの深さは、例えば、それぞれ0.2〜0.5mm程度とすることができる。
【0053】
めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域に凹部35を形成する理由は、金属ブロック30と樹脂モールド部60との密着性を確保するためである。半導体素子10、配線部材20,22、金属ブロック30を覆うように樹脂モールド部60を形成すると、樹脂モールド部60を構成するエポキシ樹脂等の樹脂材料が凹部35内に充填され硬化する。そのため、半導体素子10が動作する際等に、金属ブロック30と樹脂モールド部60との界面を剥離する方向に熱応力が加わっても、凹部35の楔状部35a内に充填された樹脂が抜けることはないため、金属ブロック30のめっき領域30aと樹脂モールド部60との界面剥離を防止することが可能となり、金属ブロック30のめっき領域30aと樹脂モールド部60との密着性を確保することができる。
【0054】
なお、前述のように、従来はニッケルめっきと樹脂とは密着性が良くないため、金属ブロック上の樹脂が形成される領域に、ポリアミド樹脂等のプライマを塗布していた。本実施の形態では、めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域に凹部35を形成したため、ポリアミド樹脂等のプライマを塗布することなく、金属ブロック30と樹脂モールド部60との十分な密着性を確保できる。その結果、金属ブロック30の製造コストを低減することができる。
【0055】
なお、例えば、X方向に並設する3個の凹部35を繋げて、X方向が長手方向、Y方向が短手方向の凹部を形成しても同様の効果(密着性の確保)を奏する。
【0056】
粗化領域30bは、金属ブロック30の上面に、多数の微細な凹凸を形成した領域である。金属ブロック30の上面に粗化領域30bを形成するには、例えば、粗化領域30bを形成したい領域以外をマスクした状態で、銅めっき液中で金属ブロック30を陰極として高電流密度でめっき処理を施す方法を用いることができる(所謂粗化めっき)。これにより、金属ブロック30の上面に、突起状の銅電着物が形成されて粗化された粗化領域30bが形成される。
【0057】
なお、所謂粗化めっきによる方法に代えて、金属ブロック30の上面の所定の領域を、例えば蟻酸を主成分とするエッチング液により表面処理して微細な凹凸を形成し、粗化領域30bを形成してもよい(所謂エッチング粗化)。又、金属ブロック30の上面の所定の領域に、アルミナ砥粒等の研磨剤を高圧で吹きつけて微細な凹凸を形成し、粗化領域30bを形成してもよい(所謂ブラスト処理)。
【0058】
金属ブロック30の上面に粗化領域30bを設ける理由は、金属ブロック30と樹脂モールド部60との密着性を確保するためである。つまり、半導体素子10、配線部材20,22、金属ブロック30を覆うように樹脂モールド部60を形成すると、樹脂モールド部60を構成するエポキシ樹脂等の樹脂材料が粗化領域30bの微細な凹凸上に形成されるため、アンカー効果により、金属ブロック30の粗化領域30bと樹脂モールド部60との密着性を確保することができる。なお、粗化領域30bの微細な凹凸は、Ra=1〜2μm程度の表面粗度にすると好適である。
【0059】
図8は、粗化領域30bの表面粗度と粗化領域30bと樹脂モールド部60とのせん断強度との関係を例示する図である。図8(A)は金属ブロック30の材料が銅である場合を、図8(B)は金属ブロック30の材料がアルミニウムである場合を示している。図8(A)及び図8(B)に例示するように、金属ブロック30の材料が銅である場合もアルミニウムである場合も、粗化領域30bの表面粗度Raを1〜2μm程度の粗さにすることにより、無垢(Ra<0.1μm)の場合に比べて、せん断強度が向上する。つまり、粗化領域30bの表面粗度Raを1〜2μm程度の粗さにすることにより、金属ブロック30の粗化領域30bと樹脂モールド部60との密着性を向上することができる。なお、金属ブロック30の粗化領域30bと樹脂モールド部60との密着性は、粗化領域30bの表面粗度以外に、粗化領域30bの表面積とも密接に関係しており、同じ表面粗度でも表面積が大きくなると密着性が向上する。
【0060】
次に、金属ブロック30の製造方法について説明する。図9〜図13は、金属ブロック30の製造方法について例示する平面図である。まず、図9に例示する工程では、フープ材31を準備する(図9は、フープ材31の一部を示している)。フープ材31は、最終的に個片化されて金属ブロック30となる帯状の金属材料であり、予め複数の半導体素子設置領域30cが並設されている。但し、半導体素子設置領域30cはフープ材31の上面に予め形成された線ではなく、はんだ層82を介して半導体素子10の設置が予定されている領域である。
【0061】
フープ材31としては、例えば、銅や銅合金、或いはアルミニウム等を用いることができる。フープ材31の長さは、例えば、数十m程度とすることができる。フープ材31の幅は、完成状態の金属ブロック30の所望の幅に合わせて適宜設定できるが、例えば、20〜50mm程度とすることができる。フープ材31の厚さは、完成状態の金属ブロック30の所望の幅に合わせて適宜設定できるが、例えば、1〜10mm程度とすることができる。
【0062】
次に、図10に例示する工程では、フープ材31の上面にめっきを施し、めっき領域31aを形成する。めっき領域31aは、フープ材31の上面の中央部近傍にY方向に沿って帯状に形成する。めっき領域31aは、最終的に個片化されて金属ブロック30が形成される際にめっき領域30aとなる領域である。
【0063】
具体的には、フープ材31の上面の複数の半導体素子設置領域30cが並設する帯状の領域を露出するように、フープ材31の上面をマスク(図示せず)で被覆する。マスクで被覆するには、例えば、レジスト材料を塗布しても良いが、マスクする領域の幅に対応する幅を有するマスキングテープ(帯状の部材)を用いて貼り付けると好適である。作業性が良く、貼り付けの位置精度が向上するため、製造コストの低減が可能となるからである。続いて、フープ材31の上面のマスクから露出する領域に、例えば、無電解めっき法によりニッケルめっきを施し、めっき領域31aを形成する。めっき領域31aの厚さは、例えば、4〜10μm程度とすることができる。その後、マスクを剥離する。但し、図10に例示する工程において、ニッケルめっきに代えて、前述のめっき材料を用いても良い。
【0064】
次に、図11に例示する工程では、フープ材31の上面のめっき領域31aを除く領域を粗化し、粗化領域31bを形成する。粗化領域31bは、めっき領域31aを挟持するように、めっき領域31aの両側にY方向に沿って帯状に形成する。粗化領域31bは、最終的に個片化されて金属ブロック30が形成される際に粗化領域30bとなる領域である。
【0065】
具体的には、フープ材31の上面のめっき領域31aをマスク(図示せず)で被覆する。マスクで被覆するには、例えば、レジスト材料を塗布しても良いが、マスクする領域の幅に対応する幅を有するマスキングテープ(帯状の部材)を用いて貼り付けると好適である。作業性が良く、貼り付けの位置精度が向上するため、製造コストの低減が可能となるからである。続いて、フープ材31の上面のマスクから露出する領域に、例えば、前述の粗化めっきやエッチング粗化、或いはブラスト処理等を施し、多数の微細な凹凸を有する粗化領域31bを形成する。粗化領域31bの表面粗度Raは、例えば、1〜2μm程度の粗さにすることができる。その後、マスキングテープを剥離する。
【0066】
次に、図12に例示する工程では、めっき領域31aの半導体素子設置領域30cを除く領域に、開口部の平面形状が略矩形状であり、底部に楔状部35aが形成され、その上に楔状部35aに連通する矩形状部35bが形成された凹部35を形成する。又、フープ材31の一方の粗化領域31bに、プレス加工により、切り欠き部30xを形成する。なお、Cは、最終的にフープ材31を切断する切断位置を示している(以降、切断位置Cとする)。但し、切断位置Cはフープ材31の上面に予め形成された線ではなく、フープ材31の切断が予定されている位置である。
【0067】
楔状部35a及び矩形状部35bを有する凹部35は、例えば、図13に例示するように第1のプレス加工により凹部35xを形成し、更に金型39を用いて凹部35の途中まで第2のプレス加工をすることにより形成できる。その後、図12に例示する構造体をプレス加工により切断位置Cで短手方向に切断して個片化することにより、図6に例示する金属ブロック30が完成する。金属ブロック30の製造には、例えば、順送型を用いることができる。
【0068】
なお、図11に例示する工程の後、図11に例示する構造体をプレス加工により切断位置Cで切断して個片化してから、凹部35や切り欠き部30xを形成してもよい。
【0069】
このように、金属ブロック30の上面の一部にめっき領域30aを設け、めっき領域30aに半導体素子設置領域30cを設けることにより、金属ブロック30の上面に、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際のはんだ濡れ性を確保することができる。又、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際に金属間化合物であるNiSnが形成されるが、NiSnは拡散が遅いため、カーケンダルボイドが発生し難い。
【0070】
又、ニッケルめっき等と樹脂の密着性は良くないが、めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域に凹部35を形成することにより、金属ブロック30のめっき領域30aと樹脂モールド部60との密着性を確保することができる。
【0071】
又、金属ブロック30の上面のめっき領域30aを除く領域に粗化領域30bを設けることによりアンカー効果が生じ、金属ブロック30の粗化領域30bと樹脂モールド部60との密着性を確保することができる。
【0072】
又、フープ材31を用いて金属ブロック30を形成することにより、マスキング処理の作業性や位置精度が向上するため、金属ブロック30の製造コストを低減することができる。
【0073】
なお、図6では、金属ブロック30の上面に3個の半導体素子設置領域30cを設ける例を示したが、金属ブロック30の上面に設ける半導体素子設置領域30cは1個や2個でもよいし、4個以上であってもよい。
【0074】
図14は、半導体モジュール1の実装状態の一例を示す断面図である。図14では、図1のラインA−Aに沿って切断した断面(図3(A)に相当する断面)で半導体モジュール1の実装状態が示される。
【0075】
半導体モジュール1は、図14に例示するように、冷却媒体(本例では、水)が連通する冷却媒体流路102を形成する流路形成部材(水路、ハウジング等)100に締結される。より具体的には、半導体モジュール1は、冷却板50の下面50a側が、即ちフィン54側が冷却媒体流路102に向く向きで、流路形成部材100にボルト110により締結される。この目的のため、流路形成部材100には、ボルト110の締結位置(即ち、冷却板50の締結部52の締結穴53の位置)に対応してネジ穴106が形成される。ボルト110は、冷却板50の締結部52の締結穴53を通して、流路形成部材100のネジ穴106に締め込まれる。尚、冷却媒体流路102は、図14に例示するように、冷却板50の下面50aと流路形成部材100とにより協動して形成される。
【0076】
また、冷却板50の下面50aと流路形成部材100との間には、冷却板50の下面50aと流路形成部材100の間をシールするためのシール材120が設けられる。即ち、シール材120は、流路形成部材100の冷却媒体流路102内からの冷却媒体の漏れを防止するために、流路形成部材100のシール部108と冷却板50の下面50aのシール部55との間に設けられる。冷却板50の下面50aのシール部55は、冷却板50の外周部の全周に亘って設けられてよい(但し、冷却媒体流路102の入口や出口には、必要に応じて他の態様のシールが実現されてもよい)。同様に、流路形成部材100のシール部108は、冷却板50の下面50aのシール部55に対応して設けられる。シール部55及びシール部108は、好ましくは、金属ブロック30の側部よりも側方側で且つ樹脂モールド部60の側部よりも中心側に設定される。これにより、シール領域を効率的に確保することができると共に、半導体モジュール1のY方向での小型化を図ることができ、また、樹脂モールド部60が水のような冷却媒体に晒されることを防止することができる。また、シール部55がボルト110の締結位置(締結部52)よりも冷却板50の中心側に設定されるので、ボルト110の締結位置(締結部52)をシール領域(シール部55)から離間させることができる。
【0077】
図示の例では、シール部108は、冷却板50の締結部52を支持する支持面109から下方に段差を設定して形成される。この段差により生成される冷却板50の下面50aのシール部55とシール部108との間の隙間に、シール材120が弾性的に潰された状態で配設される。シール材120は、例えば断面が略円形のゴムパッキンであるが、シール部55及びシール部108間でシールを実現するものであれば、任意の材料・断面で形成されてもよい。シール材120は、シール部55及びシール部108に対応した形状・外形を有し、シール部55及びシール部108が冷却板50の外周部の全周に亘って設けられる場合、冷却板50の外周部に対応したリング状の外形を有してもよい。尚、シール部55及びシール部108の関係(隙間等)は、シール材120と協動して、シール部55及びシール部108間で必要なシールを実現するものであれば任意であってよい。
【0078】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態に係る金属ブロック30とは異なる粗化領域を設けた金属ブロック30Aを例示する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0079】
図15は、金属ブロック30Aに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。図15に例示するように、金属ブロック30Aの上面は、めっき領域30aと、粗化領域32bとに分割されている。金属ブロック30Aのめっき領域30aの両側にはY方向に沿って帯状の凹部が設けられ、この凹部には金属板32が圧入されている。金属板32の上面は粗化されて粗化領域32bとされている。金属ブロック30Aの一方の側には、切り欠き部30xが設けられている。但し、切り欠き部30xは位置決め等に用いるものであり、必ずしも必要ではない。
【0080】
金属板32は、金属ブロック30Aの本体(金属板32以外の部分)とは異なる金属(異種材)から構成されている。つまり、金属ブロック30Aの本体の材料が、例えば、銅である場合には、金属板32の材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、SUS(CrとNiを主成分とするステンレス鋼)、銀やこれらの合金等の銅以外の材料を用いることができる。金属板32の厚さは、例えば、0.1〜4mm程度とすることができる。
【0081】
このように、金属ブロック30Aの上面は、金属ブロック30Aの一部に圧入された金属ブロック30Aとは異なる材料からなる金属板32の上面を含み、金属板32の上面は粗化されて粗化領域32bとされており、金属ブロック30Aの上面の金属板32の上面を除く領域はめっき領域30aとされている。
【0082】
なお、金属板32は、金属ブロック30Aの本体の一部のみに設けられているため、金属板32としてどのような材料を選定したとしても、金属ブロック30Aの放熱性能を悪化させることはない。従って、金属板32の材料は、放熱性(熱伝導率等)を考慮せずに自由に選定できるため、樹脂との相性のよい材料を選定することが好ましい。
【0083】
金属ブロック30Aを製造するには、まず、図9に例示する工程と同様にフープ材31を準備する際に、金型でフープ材31の巻き方向(長手方向)に帯状の凹部を形成する。そして、形成した帯状の凹部に金属板32を圧入し、金属板32の上面をフープ材31の上面の一部に露出させる。
【0084】
次に、図10に例示する工程と同様に、フープ材31の上面にめっきを施し、めっき領域31aを形成する。この際、金属板32として、めっき領域31aの形成に用いるめっきが形成できない金属を選定してくことが好ましい。第1の実施の形態で説明した、フープ材31の上面の複数の半導体素子設置領域30cが並設する帯状の領域を露出するように、フープ材31の上面をマスク(図示せず)で被覆する工程が削除できるからである。つまり、マスク(図示せず)で被覆しなくても、フープ材31の上面の金属板32の上面を除く領域のみに選択的にめっきが施され、めっき領域31aが形成される。その結果、金属ブロック30Aの製造コストを低減することができる。
【0085】
次に、図11〜図13と同様の工程を実施することにより、金属ブロック30Aが完成する。
【0086】
このように、第2の実施の形態では、金属ブロック30Aの上面の中央部近傍にめっき領域30aを形成し、めっき領域30aに半導体素子設置領域30cを設けている。そして、めっき領域30aの半導体素子設置領域30cを除く領域には、開口部の平面形状が略矩形状の凹部35が形成されている。更に、めっき領域30aを挟持するように、めっき領域30aの両側に金属板32を圧入し金属板32の上面を粗化している。これにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、金属板32として、めっき領域31aの形成に用いるめっきが形成できない金属を選定することにより、めっき領域30aを形成する際にマスクを用いなくても、所望の部分のみを選択的にめっきすることが可能となり、金属ブロック30Aの製造コストを低減することができる。
【0087】
又、金属板32は、金属ブロック30Aの本体の一部のみに設けられているため、金属板32としてどのような材料を選定したとしても、金属ブロック30Aの放熱性能を悪化させることはない。その結果、金属板32の材料は、放熱性(熱伝導率等)を考慮せずに自由に選定できるため、樹脂との相性のよい材料を選択すること可能となり、その上面を粗化することにより、樹脂との密着性を一層向上することができる。
【0088】
なお、金属板32の上面は、粗化することが原則であるが、樹脂との相性のよい材料を選定することにより、樹脂との密着性が十分に確保できる場合には、粗化しなくても構わない。
【0089】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、めっき領域30aに第2の実施の形態とは形状の異なる凹部が設けられた金属ブロック30Bを例示する。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0090】
図16は、金属ブロック30Bに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。図17は、金属ブロック30Bに半導体素子10が設置されていない状態を例示する断面図である。図16及び図17に例示するように、金属ブロック30Bは、凹部35が凹部36に置換された点が、金属ブロック30A(図15参照)と相違する。このように、X方向が短手方向、Y方向が長手方向の凹部をY方向に並設してもよい。
【0091】
凹部36は凹部35とは断面形状が異なるが、凹部35の楔状部35aと同様に、底部の面積よりも開口部の面積が小さくなるように(逆テーパ状に)形成されている。その結果、半導体素子10、配線部材20,22、金属ブロック30Bを覆うように樹脂モールド部60を形成すると、樹脂モールド部60を構成するエポキシ樹脂等の樹脂材料が凹部36内に充填され硬化する。そのため、半導体素子10が動作する際等に、金属ブロック30Bと樹脂モールド部60との界面を剥離する方向に熱応力が加わっても、凹部36内に充填された樹脂が抜けることはないため、金属ブロック30Bのめっき領域30aと樹脂モールド部60との界面剥離を防止することが可能となり、金属ブロック30Bのめっき領域30aと樹脂モールド部60との密着性を確保することができる。
【0092】
なお、凹部36の開口部の大きさ(平面形状)は、例えば、0.2〜0.5mm角程度とすることができる。又、凹部36の深さは、例えば、0.2〜0.5mm程度とすることができる。
【0093】
金属ブロック30Bの製造方法は、金属ブロック30Aの製造方法と略同一であるが、フープ材31の巻き方向(長手方向)に、金属板32を圧入する帯状の凹部を金型で形成する際に、凹部36を同時に形成する点のみが異なる。
【0094】
なお、半導体素子設置領域30cに、はんだ層82を介して半導体素子10を設置する際に、固化するとはんだ層82となる溶融状態のはんだ材料が凹部36に流入することを防止するため、図18に示すように、各半導体素子設置領域30cを囲むように、平面視額縁状の凹部37を形成することが好ましい。この際、凹部37は、凹部36よりも深いことが好ましい。凹部37は、フープ材31の巻き方向(長手方向)に、金属板32を圧入する帯状の凹部を金型で形成する際に、凹部36と共に形成することができる。このように、凹部36及び37は、金属板32を圧入する帯状の凹部を金型で形成する際に、同時に形成できるため、金属ブロック30Bの製造コストを上昇させる要因とはならない。
【0095】
このように、第3の実施の形態では、めっき領域30aに、X方向が短手方向、Y方向が長手方向の凹部をY方向に並設した。このような形態でも第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0096】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第1の実施の形態に係る金属ブロック30とは異なるめっき領域及び粗化領域を設けた金属ブロック30Cを例示する。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0097】
図19は、金属ブロック30Cに半導体素子10が設置されていない状態を例示する斜視図である。図19に例示するように、金属ブロック30Cの上面は、めっき領域30dと、粗化領域30eとに分割されている。めっき領域30dは、金属ブロック30Cの上面の中央部近傍の各半導体素子設置領域30cを含むように形成されている。粗化領域30eは、金属ブロック30Cの上面のめっき領域30dを除く領域に形成されている。金属ブロック30Cの一方の側には、切り欠き部30xが設けられている。但し、切り欠き部30xは位置決め等に用いるものであり、必ずしも必要ではない。
【0098】
めっき領域30dを設ける理由、めっき領域30dの材料や厚さ等はめっき領域30aの場合と同様であるため、その説明は省略する。又、粗化領域30eを設ける理由、粗化領域30eの形成方法や好適な表面粗度等は粗化領域30bの場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0099】
金属ブロック30Cでは、金属ブロック30とは異なり、めっき領域30dや粗化領域30eをY方向に沿って帯状には形成していない。しかしながら、めっき領域30dに各半導体素子設置領域30cを設けているため、各半導体素子設置領域30cにはんだ層82を介して半導体素子10を設置する際のはんだ濡れ性の確保等、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。又、金属ブロック30Cの上面のめっき領域30dを除く領域に粗化領域30eを形成しているため、金属ブロック30Cと樹脂モールド部60との密着性の確保等、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0100】
めっき領域30dや粗化領域30eは、めっき領域30aや粗化領域30bとほぼ同様にして製造することができるが、マスキングの方法が異なる。すなわち、金属ブロック30Cでは、めっき領域30dや粗化領域30eをY方向に沿って帯状に形成しないため、めっき工程や粗化工程においてマスクする領域の幅に対応する幅を有するマスキングテープ(帯状の部材)を貼り付ける方法を用いることができない。従って、レジスト材料を塗布する必要があり、金属ブロック30と比べるとマスキングの作業性が劣るため、製造コストの観点では金属ブロック30の方が優れている。
【0101】
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第1の実施の形態に係る金属ブロック30、第2の実施の形態に係る金属ブロック30A、第3の実施の形態に係る金属ブロック30B、又は第4の実施の形態に係る金属ブロック30Cを備えた半導体モジュール1を含むハイブリッドシステムを例示する。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する。
【0102】
図20は、半導体モジュール1を含むハイブリッドシステム600の一例を示す概要図である。
【0103】
図示の例では、ハイブリッドシステム600は、電池602と、インバータ610と、モータジェネレータ620,622とを含む。半導体モジュール1は、IPM(Intelligent Power Module)612として実現されてもよい。IPM612は、インバータ610内部に搭載され、ECU614からの信号によりPWM制御で交流(DC)と直流(AC)間の変換を行う。尚、図示の例では、インバータ610内部にDC/DC昇圧コンバータ616が追加されている。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0105】
例えば、上述した実施の形態では、半導体モジュール1における半導体素子10は、U相、V相、W相の各上アーム及び各下アームの計6アームを構成しているが、半導体モジュール1内に実装されるアーム数は任意である。半導体モジュール1が、例えば2つのモータを駆動するためのインバータとして具現化される場合、半導体素子10は、第1のモータ用のU相、V相、W相の各上アーム及び各下アーム、第2のモータ用のU相、V相、W相の各上アーム及び各下アームを構成してもよい。また、1アームについて、並列で複数の半導体素子10が実装されてもよい。
【0106】
また、半導体モジュール1は、他の構成(例えば、モータ駆動用のDC/DC昇圧コンバータの素子の一部)を含んでよいし、また、半導体モジュール1は、半導体素子10と共に、他の素子(コンデンサ、リアクトル等)を含んでよい。また、半導体モジュール1は、冷却構造が必要なモジュールであれば任意であり、インバータを構成する半導体モジュールに限定されることはない。また、半導体モジュール1は、車両用のインバータに限らず、他の用途(鉄道、エアコン、エレベータ、冷蔵庫等)で使用されるインバータとして実現されてもよい。
【0107】
また、上述した第1の実施の形態において、半導体モジュール1がY方向に複数個配置される場合、互いに隣接しあう半導体モジュール1は、互いに対してX方向にオフセットして互い違いに(千鳥状に)配置されてもよい。即ち、互いに隣接しあう2つの半導体モジュール1の一方の締結部52間の空いた領域(Y方向の端部における凹領域)に、他方の半導体モジュール1の締結部52の1つが入り込む態様で、半導体モジュール1がY方向に複数個配置されてもよい。この場合も、2つ以上の半導体モジュール1をY方向に並べて実装する場合に、Y方向で短い距離のスペースを利用して効率的に実装することができ、Y方向の省スペース化(モジュール全体としての小型化)を図ることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 半導体モジュール
10 半導体素子
20 配線部材
20a 端子
22 配線部材
22a 端子
30,30A,30B,30C 金属ブロック
30a,30d,31a めっき領域
30b,30e,31b,32b 粗化領域
30c 半導体素子設置領域
30x 切り欠き部
31 フープ材
32 金属板
35,36,37 凹部
35a 楔状部
35b 矩形状部
39 金型
40 絶縁シート
50 冷却板
50a 冷却板の下面
50b 冷却板の側面
50c 冷却板の上面
51 薄肉部
52 締結部
53 締結穴
54 フィン
55 シール部
60 樹脂モールド部
62 延長側部
66 リブ部
80 はんだ層
82 はんだ層
90 ドライブ基板
100 流路形成部材
102 冷却媒体流路
106 ネジ穴
108 シール部
109 支持面
110 ボルト
120 シール材
600 ハイブリッドシステム
602 電池
610 インバータ
612 IPM
616 DC/DC昇圧コンバータ
620,622 モータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ブロックと、
前記金属ブロックの一方の面に設けられた半導体素子設置領域にはんだ層を介して設置された半導体素子と、
前記金属ブロック及び前記半導体素子に樹脂をモールドして形成されるモールド部と、を有し、
前記金属ブロックの一方の面は、めっき領域と、粗化領域と、を含み、
前記半導体素子設置領域は、前記めっき領域に設けられている半導体モジュール。
【請求項2】
前記めっき領域は、前記金属ブロックに対して帯状に形成されている請求項1記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記めっき領域には複数の凹部が形成されている請求項2記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記粗化領域は、前記めっき領域の両側に帯状に形成されている請求項2又は3記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記金属ブロックの一方の面は、前記金属ブロックの一部に圧入された前記金属ブロックとは異なる材料からなる金属板の上面を含み、
前記金属板の上面は粗化領域とされており、
前記金属ブロックの一方の面の前記金属板の上面を除く領域はめっき領域とされている請求項1乃至4の何れ一項記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記半導体素子設置領域は、前記金属ブロックの一方の面に複数個設けられている請求項1乃至5の何れか一項記載の半導体モジュール。
【請求項7】
金属ブロックと、前記金属ブロックの一方の面に設けられた半導体素子設置領域にはんだ層を介して設置された半導体素子と、前記金属ブロック及び前記半導体素子に樹脂をモールドして形成されるモールド部と、を有する半導体モジュールの製造方法であって、
複数の半導体素子設置領域が並設された帯状の金属材料を準備し、前記金属材料の一方の面の所定領域にめっきを施し、前記複数の半導体素子設置領域を含むめっき領域を形成する第1工程と、
前記めっき領域をマスクで被覆する第2工程と、
前記金属材料の一方の面の前記マスクから露出する領域を粗化し、粗化領域を形成する第3工程と、
前記金属材料を短手方向に切断して個片化し、前記半導体素子設置領域を少なくとも1つ含む金属ブロックを形成する第4工程と、を有する半導体モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記第1工程よりも前に、前記金属材料の一部に前記金属材料とは異なる材料からなる金属板を圧入し、前記金属板の上面を前記金属材料の一方の面の一部に露出させる工程を更に有し、
前記第1工程では、前記金属材料の一方の面の前記金属板の上面を除く領域に選択的にめっきを施して前記めっき領域を形成する請求項7記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記第1工程よりも前に、前記複数の半導体素子設置領域が並設する帯状の領域を露出するように、前記金属材料の一方の面を第2のマスクで被覆する工程を更に有し、
前記第1工程では、前記金属材料の一方の面の前記第2のマスクから露出する領域にめっきを施して前記めっき領域を形成し、
前記第3工程では、前記第2のマスクを除去した後、前記粗化領域を形成する請求項8記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記めっき領域に複数の凹部を形成する第5工程を更に有する請求項7乃至9の何れか一項記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記金属材料はフープ材である請求項7乃至10の何れか一項記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記マスク及び前記第2のマスクの何れか一方又は双方は、マスクする領域の幅に対応する幅を有する帯状の部材である請求項7乃至11の何れか一項記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜6の何れか一項記載の半導体モジュールを含むハイブリッドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−146919(P2012−146919A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5961(P2011−5961)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】