説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】配線のマイグレーション耐性を向上させるとともに、シリコンの配線内部への拡散を抑制する。
【解決手段】半導体装置100は、シリコン基板101、シリコン基板101上に設けられ、SiCN膜103、SiOC膜105およびSiO2膜107からなる第一絶縁膜、当該第一絶縁膜中に設けられ、主として銅含有金属からなる第一銅配線111、を含む。第一銅配線111の内部の表面近傍に、シリコンが導入されたSi−O偏在層115を有し、導入されたシリコンの少なくとも一部が、Si−O結合を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、銅含有金属を含む配線を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速化に対する要請から、配線材料として銅等の低抵抗材料が利用されるようになってきた。配線材料として銅含有金属を用いる場合、層間絶縁膜の下層に銅(Cu)の拡散を防止するバリア絶縁膜が設けられる。
【0003】
一方、半導体素子の微細化が進むにつれ、配線間の寄生容量の増加による信号遅延が顕著になり、その改善が望まれている。その対策として、層間絶縁膜に低誘電率膜(Low−k膜)が用いられている。また、上述したバリア絶縁膜についても、誘電率を低下させることが求められる。
【0004】
ところが、バリア絶縁膜の誘電率の低下は、バリア絶縁膜の膜密度の低下につながる。膜密度の低下は、銅の酸化耐性の低下につながるため、銅配線表面が酸化されやすくなってしまう。これにより、EM(エレクトロマイグレーション)、SIV(ストレス誘起ボイド)、またはTDDB(酸化膜の経時破壊)といった信頼性の低下が生じる懸念があった。
【0005】
銅配線の表面処理に関して、従来、特許文献1〜特許文献3および非特許文献1に記載のものがある。
【0006】
特許文献1には、銅配線の表面をアンモニアプラズマに曝すことが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、銅配線形成後、アンモニアプラズマ処理とシランガス処理を行うことが記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、シランガスとアンモニアガスとを含む混合ガス中で、プラズマを発生する条件で銅配線を処理することが記載されている。
【0009】
また、非特許文献1には、銅配線に、アンモニアプラズマとシラン照射とを組み合わせた処理を行うことが記載されている。
【特許文献1】米国特許6146988号明細書
【特許文献2】米国特許6599827号明細書
【特許文献3】特開2002−246391号公報
【非特許文献1】Laurent G. Gosset他9名、「Integration and characterization of a self-aligned barrier to Cu diffusion based on copper silicide」、Conference Proceedings AMC XIX、p.321−328、2004年
【非特許文献2】J.A.Kerr、「Strengths of Chemical Bonds」、CRC Handbook of Chemistry and Physics、73rd Edition、1992−1993、p.9−131〜9−132
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上述した特許文献1〜特許文献3および非特許文献1に記載の技術は、それぞれ、以下の点で改善の余地を有していた。
【0011】
まず、特許文献1においては、アンモニアプラズマ処理により配線中の銅が還元されるが、その後の工程で銅が再酸化されて、マイグレーション耐性が低下してしまう懸念があった。
【0012】
また、特許文献2、特許文献3および非特許文献1に記載の技術においては、シリコン原子が配線内部に拡散してしまい、配線の抵抗が上昇してしまう懸念があった。また、配線上部に銅シリサイド層の形成により抵抗が上昇する場合があった。また、シリサイド層の形成時に異常反応が進行しやすく、配線上に一定の膜厚のシリサイド層を均一に形成することが困難であった。このため、配線上に接続プラグを形成する際の埋設不良等により、製造歩留まりが低下する懸念があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に設けられた第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜中に設けられ、主として銅含有金属からなる配線と、
を含み、
前記配線の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域を有し、
導入された前記シリコンの少なくとも一部が、Si−O結合を形成している、半導体装置が提供される。
【0014】
本発明の半導体装置において、前記基板が半導体基板であってもよい。
また、本発明によれば、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられた第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜中に設けられ、主として銅含有金属からなる配線と、
を含み、
前記配線の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域を有し、
導入された前記シリコンの少なくとも一部が、Si−O結合を形成している、半導体装置が提供される。
【0015】
銅含有金属からなる配線の表面は、通常、酸化されやすい。配線表面の酸化により銅酸化物の層が存在すると、配線と上層との密着性が低下して、配線の延在方向に銅が動きやすくなり、マイグレーション耐性が低下する。これに対し、本発明の半導体装置においては、主として銅含有金属からなる配線の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域が設けられている。このため、配線の内部の表面近傍における銅の移動が効果的に抑制される。よって、マイグレーション耐性を向上させることができる。また、本発明の半導体装置においては、導入されたシリコンの少なくとも一部がSi−O結合を形成している。このため、導入されたシリコンの配線内部への拡散が効果的に抑制される構成となっている。
【0016】
本発明によれば、
基板上に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜中に、主として銅含有金属からなる配線を形成する工程と、
前記配線の表面近傍の銅を還元する工程と、
銅を還元する前記工程の後、シリコンを含むガスに前記配線の上部を曝し、前記配線の内部の表面近傍にシリコンを導入する工程と、
シリコンを導入する前記工程で導入された前記シリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法において、前記基板が半導体基板であってもよい。
また、本発明によれば、
半導体基板上に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜中に、主として銅含有金属からなる配線を形成する工程と、
前記配線の表面近傍の銅を還元する工程と、
銅を還元する前記工程の後、シリコンを含むガスに前記配線の上部を曝し、前記配線の内部の表面近傍にシリコンを導入する工程と、
シリコンを導入する前記工程で導入された前記シリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法においては、配線の表面近傍の銅を還元することにより、配線表面の銅酸化物が除去される。そして、銅を還元した後、配線の表面近傍にシリコンを導入することにより、配線の表面における銅の移動を抑制する。これにより、配線のマイグレーション耐性を向上させることができる。また、配線に導入されたシリコンを酸素と結合させてSi−O結合を形成することにより、シリコンを配線の表面近傍にとどめ、配線内部への拡散を抑制できる。このため、配線内部の抵抗上昇を効果的に抑制できる。
【0019】
このように、本発明によれば、配線の抵抗の上昇を抑制しつつ、配線のEM耐性等のマイグレーション耐性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明において、配線の内部の表面近傍に導入されたシリコンは、銅のグレインバウンダリーに存在していてもよいし、銅の結晶格子がシリコンに置換された状態として存在していてもよい。
【0021】
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、主として銅含有金属からなる配線の内部の表面近傍にシリコンを導入し、導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成することにより、配線のマイグレーション耐性を向上させるとともに、シリコンの配線内部への拡散を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、共通の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0024】
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図1に示した半導体装置100は、半導体基板等の基板(シリコン基板101)、シリコン基板101上に設けられた第一絶縁膜(SiCN膜103、SiOC膜105およびSiO2膜107)、および当該第一絶縁膜中に設けられ、主として銅含有金属からなる配線(第一銅配線111)、を含む。また、半導体装置100は、第一銅配線111の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域(図2(c)のSi偏在層153)を有し、導入されたシリコンの少なくとも一部が、Si−O結合を形成している(Si−O偏在層115)。
【0025】
なお、本実施形態および以下の実施形態において、配線の内部における表面近傍とは、配線内部における配線の上面近傍の領域をいい、たとえば、配線の上面から半導体基板に向かって10nm程度以下の厚さの領域をいう。本実施形態においては、この第一銅配線111の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域が層状に設けられている。
【0026】
また、半導体装置100においては、第一銅配線111の内部の表面近傍に導入されたシリコンのすべてが、Si−O結合を形成している。これにより、第一銅配線111中に導入されたシリコンの配線内部への拡散がさらに確実に抑制される。これにより、シリコンを第一銅配線111の表層近傍のみにさらに確実に偏在させることができる。
【0027】
半導体装置100においては、第一銅配線111の内部の表面近傍において、第一銅配線111を構成する元素全体に対するシリコンの割合が5atom%以上30atom%以下である。具体的には、第一銅配線111の表面近傍における銅の酸化をより一層効果的に抑制し、マイグレーション耐性をさらに向上させる観点では、第一銅配線111の上面において、Cu、Si、O、CおよびNの合計に対するSiの割合をたとえば5atom%以上、好ましくは10atom%以上とする。また、第一銅配線111内部へのシリコンの拡散をさらに効果的に抑制する観点では、第一銅配線111の上面において、Cu、Si、O、CおよびNの合計に対するSiの割合をたとえば30atom%以下、好ましくは20atom%以下とする。なお、第一銅配線111の上面におけるCu、Si、O、CおよびNの合計に対するSiの割合は、たとえばXPS(X線光電子分光)法を用いて測定することができる。
【0028】
また、半導体装置100においては、第一銅配線111の内部の表面近傍に、Cu−O結合が実質的に存在しない。ここで、Cu−O結合が実質的に存在しないとは、第一銅配線111中の銅のEMによる信頼性の低下が実用上問題ない程度に抑制されるように、第一銅配線111表面近傍における銅の酸化が抑制されていることをいう。たとえば、XPS法により第一銅配線111の表面に存在する結合を分析したときに、Cu−O結合が検出限界未満であることをいう。また、たとえばXPS法により第一銅配線111の表面に存在する結合を分析したときに、第一銅配線111の表面から2nmの深さにおいて、Cu−O結合に由来するピーク(530.3eV付近)の強度とSi−ON結合に由来するピーク(532.2eV付近)強度との合計に対するCu−O結合に由来するピーク(530.3eV付近)強度の割合が5%未満であることをいう。
【0029】
また、半導体装置100においては、第一銅配線111の内部の表面近傍に、銅シリサイド層が形成されていない。なお、本実施形態および以下の実施形態において、第一銅配線111の上部に銅シリサイドが形成されていても、層状になっていないものは許容される。
【0030】
第一絶縁膜は、SiCN膜103、SiOC膜105およびSiO2膜107がこの順に接して設けられた第一層間絶縁膜である。この第一層間絶縁膜は、低誘電率であるSiOC膜105を含む。また、SiO2膜107は、たとえばプラズマ酸化膜である。第一層間絶縁膜には、これを貫通する配線溝が設けられており、配線溝中に第一配線113が埋設されている。第一配線113は、上述した第一銅配線111と、第一銅配線111の側面および底面を被覆するバリアメタル膜109とから構成される。
【0031】
また、半導体装置100は、第一銅配線111上に、第一銅配線111に接して設けられた第二絶縁膜を含む。この第二絶縁膜は、たとえばSiC膜、SiCN膜、SiOC膜、SiCON膜等の構成元素としてシリコンと炭素とを含む膜またはSiN膜とする。層間絶縁膜の誘電率をさらに効果的に低下させる観点では、第二絶縁膜の比誘電率をたとえば4未満とする。一方、後工程におけるCu−O結合の生成をさらに確実に抑制する観点では、第二絶縁膜の比誘電率を4以上とする。本実施形態および以下の実施形態では、第二絶縁膜がSiC膜117である場合を中心に説明する。SiC膜117は、銅の拡散を防止するバリア絶縁膜として機能する。
【0032】
SiC膜117の上部には、SiOC膜119およびSiO2膜121がこの順に接して設けられている。SiC膜117、SiOC膜119およびSiO2膜121は、第二層間絶縁膜として機能する。第二層間絶縁膜中には、第一配線113に接して設けられた接続プラグ127が埋設されている。接続プラグ127は、第二層間絶縁膜を貫通するビアホールの側面から底面にわたって設けられたバリアメタル膜123と、バリアメタル膜123上に設けられた銅プラグ125とから構成される。
【0033】
第二層間絶縁膜に接して、SiCN膜129、SiOC膜131およびSiO2膜133がこの順に接して設けられた第三層間絶縁膜がさらに設けられている。第三層間絶縁膜中には、バリアメタル膜135と第二銅配線137とから構成される第二配線139が埋設されている。
【0034】
半導体装置100においては、さらに、第三層間絶縁膜上に、SiCN膜141および多層膜143がこの順に積層されている。
【0035】
次に、図1に示した半導体装置100の製造方法を説明する。半導体装置100の製造方法は、以下の工程を含む。
ステップ11:シリコン基板101上に、SiCN膜103、SiOC膜105およびSiO2膜107をこの順に成膜して第一絶縁膜を形成する工程、
ステップ12:第一絶縁膜中に、主として銅含有金属からなる第一銅配線111を形成する工程、
ステップ13:第一銅配線111の表面近傍の銅を還元する工程、
ステップ14:銅を還元するステップ13の後、シリコンを含むガスに第一銅配線111の上部を曝し、第一銅配線111の内部の表面近傍にシリコンを導入する工程、および
ステップ15:シリコンを導入するステップ14で導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる工程。
【0036】
ステップ15のSi−O結合を形成させる工程は、たとえば第一銅配線111の内部の表面近傍に導入されたシリコンの一部にSi−O結合を形成させる工程とする。こうすれば、後工程における銅の再酸化を効果的に抑制できる。また、本実施形態においては、ステップ15のSi−O結合を形成させる工程が、第一銅配線111の上部を酸化処理する工程(ステップ16)である。さらに、ステップ16の第一銅配線111の酸化処理は、第一銅配線111が形成されたシリコン基板101を加熱処理する工程(ステップ17)である。
【0037】
また、ステップ15のSi−O結合を形成させる工程の後、第一銅配線111が形成された第一絶縁膜上に接して第二絶縁膜を形成する工程(ステップ18)、をさらに含む。ステップ18は、たとえばSiC膜、SiCN膜、SiOC膜、SiCON膜またはSiN膜を形成する工程を含み、本実施形態では、SiC膜117を形成する工程である。
【0038】
図2(a)〜図2(c)および図3(a)〜図3(c)は、半導体装置100の製造工程を示す断面図である。以下、これらの図面を参照して、シングルダマシン法を用いた半導体装置100の製造工程をさらに詳細に説明する。
【0039】
まず、図2(a)に示したように、トランジスタ等の素子(不図示)が形成されたシリコン基板101上に、SiC系のバリア絶縁膜として、SiCN膜103を形成する。そして、SiCN膜103上に、SiOC膜105およびSiO2膜107を順次積層する。その後、リソグラフィー技術を用いてSiO2膜107およびSiOC膜105の所定の領域を選択的に除去し、さらにSiCN膜103をエッチバックして、配線溝を形成する。
【0040】
次に、バリアメタル膜109として、たとえばTa系メタル膜を形成する。そして、スパッタリング法によりCuシード膜(不図示)を形成する。さらに、めっき技術を用いて、配線溝を埋め込むようにCuめっき膜を形成する。そして、CMP(Chemical Mechanical Polish)技術を用いて、SiO2膜107の上部に形成されたCuめっき膜を除去し、配線溝中に埋設された第一銅配線111を得る。
【0041】
つづいて、図2(b)に示したように、第一銅配線111の銅配線露出面151を還元処理し、第一銅配線111の表面近傍に存在する銅を還元する。還元処理は、たとえば、プラズマを生成する状態で、水素を含むガスに配線の上部を曝すことにより行われる。さらに具体的には、第一銅配線111表面の水素プラズマ(H2−P)処理またはアンモニアプラズマ(NH3−P)処理とする。または水素を含むガス雰囲気での熱処理のいずれかとする。
【0042】
そして、図2(c)に示したように、銅配線露出面151から第一銅配線111の内部の表面近傍に、シリコンを導入し、Si偏在層153を形成する。たとえば、第一銅配線111が形成されたSiO2膜107の上面全面を、プラズマを生成しない状態で、シリコンを含むガスに配線の上部を曝す。シリコンを含むガスとして、たとえば、SiH4等のシラン系ガスを用いる。プラズマを生成しない状態でシリコンの導入を行うことにより、第一銅配線111へのシリコンの過剰な導入を抑制し、第一銅配線111の表面近傍に選択的にシリコンを導入することができる。また、このとき、シリコン基板101の加熱温度をたとえば300℃以下、好ましくは200℃以下とすることにより、銅シリサイド層の形成をさらに確実に抑制できる。
【0043】
本実施形態においては、導入されたシリコンが後工程でSi−O結合を形成し、第一銅配線111の表面近傍に保持される。このため、シリコンを比較的高濃度で導入した場合においても、導入されたシリコンの配線内部への拡散を抑制することができる。よって、第一銅配線111を曝すガス中のシリコン濃度を比較的高くすることができる。
【0044】
Si偏在層153の厚さは、たとえば0.5nm以上10nm以下とする。また、Si偏在層153の厚さは配線のマイグレーション耐性をさらに向上させる観点では、たとえば2nm以上とする。一方、Si偏在層153の厚さは、配線の抵抗の上昇をさらに抑制する観点では、たとえば2nm以下とする。
【0045】
次いで、図3(a)に示したように、シリコンが導入された銅配線露出面151を酸化処理し、導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる。これにより、Si偏在層153の少なくとも一部をSi−O偏在層115とする。なお、図3(a)は、Si偏在層153全体をSi−O偏在層115とした場合を例示している。Si−O偏在層115を形成する際に、一つのシリコン原子に一つの酸素原子が結合してもよいし、二以上の酸素原子が結合してもよい。第一銅配線111中に導入されたシリコンにSi−O結合を形成させることにより、導入されたシリコンを第一銅配線111の表面近傍にとどめ、後工程で第一銅配線111内部に拡散しないようにすることができる。
【0046】
また、この酸化処理の際に、銅配線露出面151近傍には、還元処理された銅が存在するが、銅に比べてシリコンの方が酸素と結合しやすいため、Si−O結合が優先的に形成される。また、このとき、Cu−O結合が実質的に形成されないようにするとよい。
【0047】
また、この工程で、第一銅配線111の内部の表面近傍に導入されたシリコンのうち、一部のシリコンがSi−O結合を形成しているようにする。こうすれば、余剰のシリコンが残存している状態とすることができるので、後工程で第一銅配線111が酸化される条件に曝された際に、余剰のシリコンが優先的にSi−Oを形成し、Cu−Oの形成をさらに確実に抑制できる。
【0048】
または、この段階で、導入されたシリコンの少なくとも一部が、後工程でさらに酸素との結合できる結合手を残存させているようにする。つまり、酸化工程で、第一銅配線111中に導入されたすべてのシリコンの4本の結合手がすべて結合してしまわないようにする。こうすることにより、後工程においても、第一銅配線111中に導入されたシリコンが優先的に酸化されるため、後工程における銅の再酸化がさらに効果的に抑制される。
【0049】
なお、銅配線露出面151を酸化処理する方法として、具体的には、第一銅配線111が形成されたシリコン基板101をたとえば250℃以上350℃以下の温度において、酸素分圧がたとえば10-6atm以上、好ましくは10-5atm以上の雰囲気で処理する方法が挙げられる。加熱温度を250℃以上とすることにより、第一銅配線111の表面近傍に導入されたシリコン原子を確実に酸化することができる。また、加熱温度を350℃以下とすることにより、第一銅配線111およびシリコン基板101上に形成された素子の劣化を抑制し、製造安定性をさらに向上させることができる。
【0050】
酸化処理の後、図3(b)に示したように、SiO2膜107の上面全面に、接続プラグ127のバリア絶縁膜として機能するSiC膜117を形成する。SiC膜117を形成する際には、成膜後、所定の加熱処理を行ってもよい。本実施形態においては、第一銅配線111の内部の表面近傍にシリコンが存在するため、たとえば加熱処理により第一銅配線111が酸化される場合にも、第一銅配線111中のシリコンが優先的に酸化されるため、銅の再酸化が効果的に抑制される。また、SiC膜117の形成工程が終了した段階で、Si偏在層153全体がSi−O偏在層115となっている構成とすることにより、シリコンの配線内部への拡散をさらに効果的に抑制できる。
【0051】
さらに、図3(c)に示したように、SiC膜117上にSiOC膜119およびSiO2膜121を順次形成する。そして、SiO2膜121、SiOC膜119およびSiC膜117の所定の領域を選択的に除去して、第一配線113の直上にビアホールを形成する。そして、ビアホール中に、第一銅配線111の形成方法を用いてバリアメタル膜123およびCuめっき膜を順次形成し、第一銅配線111に接続する接続プラグ127を得る。
【0052】
その後、SiO2膜121上にSiCN膜129、SiOC膜131およびSiO2膜133を順次形成し、これらの膜中に、接続プラグ127に接続する第二配線139を形成する。さらに、SiO2膜133上に、SiCN膜141および多層膜143を順次形成する。以上の手順により、図1に示した半導体装置100が得られる。
【0053】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態においては、第一銅配線111の内部の表面近傍に、シリコンが偏在するSi−O偏在層115が形成されている。このため、第一銅配線111の延在方向における配線中の銅の移動が抑制されて、マイグレーション耐性が向上する。また、シリコンが偏在するSi−O偏在層115において、偏在するシリコンがSi−O結合を形成している。このため、導入されたシリコンが第一銅配線111の表面近傍に保持され、第一銅配線111内部への拡散が抑制される。これにより、第一銅配線111の抵抗の上昇が抑制される。
【0054】
また、本実施形態においては、第一銅配線111の内部の表面近傍にシリコンが偏在するSi偏在層153が形成される。Si偏在層153は、第一銅配線111の内部の表面近傍において、銅原子の酸化を抑制するバリア層として機能する。そして、ステップ15において、第一銅配線111中に導入されたシリコンのうち、一部にSi−O結合を形成させて、他の一部を余剰シリコンとして残存させることにより、SiO2膜107に接する上層を形成する際の第一銅配線111中に含まれる銅の酸化が効果的に防止される。このため、還元された第一銅配線111中の銅が後の製造工程で酸化されてしまわないようにすることができる。第一銅配線111表面近傍におけるCu−O結合の形成が抑制されるため、EM等を効果的に抑制し、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、接続プラグ127と第一銅配線111との間にSi−O偏在層115が存在するため、後述する第四の実施形態に記載の半導体装置(図15)に比べて、エレクトロマイグレーション(EM)をより一層抑制することができる。
【0056】
ここで、配線中の銅よりもシリコンが優先的に酸化される原因として、銅と酸素との結合エネルギーよりもシリコンと酸素との結合エネルギーの方が大きいことが推察される。非特許文献2には、Cu−Oの結合エネルギーが64.3±5.0kcal/molであるのに対し、Si−O結合の結合エネルギーが191.1±3.2kcal/molであることが記載されている。酸素との結合エネルギーが銅より大きいシリコンが配線の内部の配線近傍に存在するため、後工程で配線表面が酸化された際に、銅よりもシリコンが優先的に酸素と結合し、銅の酸化が抑制されるものと推察される。
【0057】
また、本実施形態においては、第一銅配線111中に導入されたシリコンが、酸化処理において、Si−O結合を形成する。これにより、銅の酸化を抑制しつつ、半導体装置100の完成時にSi偏在層153中の余剰のシリコン原子の残存を抑制できる。このため、余剰に導入されたシリコンが残存して第一銅配線111内部に拡散することを抑制できる。このため、第一銅配線111の抵抗の上昇が抑制される。この効果は、SiC膜117の形成工程が終了した段階で、Si−O偏在層115中のシリコンの実質的にすべてがSi−O結合を形成しているときに顕著に発揮される。
【0058】
次に、半導体装置100の構成を他の構成と比較してさらに説明する。他の構成として、第一銅配線111にシリコンが導入されておらず、また、SiC膜117に代えてSiON膜が設けられた装置を考える。この場合、第一銅配線111上にSiON膜を形成する工程において、第一銅配線111表面が、気相で成長したSi−O、Si−Nに曝される。このため、本実施形態の構成のように、第一銅配線111の内部にSi偏在層153およびSi−O偏在層115が形成されるのではなく、第一銅配線111の上部に、Si−O結合およびSi−N結合を含む層が形成される。また、この場合、第一銅配線111中にシリコンが導入されていないため、SiON膜の成膜時等において、第一銅配線111の表面が酸化する懸念がある。
【0059】
さらに、この他の構成の場合、SiON膜の形成工程で、通常、銅シリサイド層が形成される。銅シリサイドの形成反応の制御は比較的難しく、条件によっては、異常反応が生じやすく、銅シリサイド層が均一に形成されない懸念がある。銅シリサイドが均一に形成されないと、接続プラグ形成時の埋設不良の原因となる。また、銅シリサイド層の形成により、配線の抵抗が上昇する。このように、銅シリサイド層の生成は、製造歩留まりが低下する原因となる。
【0060】
これに対し、本実施形態によれば、第一銅配線111の表面近傍にSi偏在層153が安定的に形成されるとともに、第一銅配線111中の銅の酸化が効果的に抑制される。また、本実施形態においては、第一銅配線111へのシリコンの導入をたとえば300℃以下の低温で行うため、第一銅配線111上部への銅シリサイド層の形成が抑制される。このため、接続プラグ127の製造安定性に優れ、また、接続プラグ127と第一配線113との接続抵抗の上昇も抑制される。
【0061】
以下の実施形態においては、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0062】
(第二の実施形態)
第一の実施形態においては、第一銅配線111中に導入されたシリコンの酸化処理を行った後、第一銅配線111上にSiC膜117を形成したが、これらを逆の順序で行うこともできる。本実施形態では、半導体装置100を製造する際に、第一銅配線111中にシリコンを導入した後、まずSiC膜117を形成し、その後、第一銅配線111中に導入されたシリコンを酸化する手順について説明する。
【0063】
本実施形態の製造方法は、シリコンを導入するステップ14の後、Si−O結合を形成するステップ15の前に、第一銅配線111が形成された第一絶縁膜上に接して第二絶縁膜を形成する工程(ステップ19)を含む。第二絶縁膜は、たとえば第一の実施形態に記載の膜とすることができる。本実施形態では、第二絶縁膜として、第一絶縁膜上に接するSiC膜117を形成する。また、Si−O結合を形成するステップ15が、SiC膜117を通じて第一銅配線111の表面近傍に酸素を拡散させる工程(ステップ20)を含む。
【0064】
図4(a)および図4(b)は、本実施形態における半導体装置100の別の製造工程を示す断面図である。
本実施形態においても、まず、第一の実施形態と同様にして、図2(a)〜図2(b)を参照して前述した手順により、第一銅配線111の表面近傍にSi偏在層153を形成する。
【0065】
次に、図4(a)に示したように、Si偏在層153が形成されたSiO2膜107の上面全面にSiC膜117を形成する。このとき、後工程でSiC膜117中を酸素が透過できる程度の密度でSiC膜117を形成する。具体的には、SiC膜117を、比誘電率kが2.8以上4未満の膜とする。比誘電率を2.8以上とすることにより、膜の製造安定性をさらに向上させることができる。また、比誘電率を4未満とすることにより、SiC膜117を介してSi偏在層153中にさらに好適に酸素を供給するとともに、層間絶縁膜の誘電率をさらに効果的に低下させることができる。一方、過剰な酸素の拡散をさらに抑制することによりCu−O結合の生成をさらに確実に抑制する観点では、SiC膜117の比誘電率を4以上とすることもできる。
【0066】
つづいて、図4(b)に示したように、SiC膜117により被覆されたSi偏在層153の少なくとも一部、好ましくは全体をSi−O偏在層115とする。つまり、Si偏在層153中の少なくとも一部のシリコンをSi−O結合させる。Si−O偏在層115は、たとえば、SiC膜117の成膜後の加熱処理により形成することができる。SiC膜117の成膜後の加熱処理は、たとえば約350℃において、酸素分圧が10-6atm〜10-4atm程度の雰囲気で行う。
【0067】
その後、図3(c)を参照して前述した手順を用いて上層を形成する。こうして、半導体装置100(図1)が得られる。
【0068】
本実施形態においても、第一銅配線111の内部の表面近傍にSi−O偏在層115が形成されるため、第一の実施形態と同様の効果が得られる。
【0069】
(第三の実施形態)
第一の実施形態においては、Si偏在層153中のシリコンがSi−O結合を形成している構成を例示したが、Si偏在層153中のシリコンが、Si−O結合またはSi−N結合を形成していてもよい。
【0070】
図5は、このような半導体装置の構成を示す断面図である。図5に示した半導体装置110の基本構成は図1に示した半導体装置100と同様であるが、半導体装置110では、第一銅配線111の内部の表面近傍に導入されたシリコンの少なくとも一部が、Si−N結合を形成している点が異なる。また、半導体装置110においては、SiO2膜107の内部の表面近傍に、Si−N結合が存在する。
【0071】
さらに具体的には、半導体装置110においては、第一銅配線111の内部の表面近傍は、Si−OおよびSi−N偏在層145となっている。Si−OおよびSi−N偏在層145は、Si−O結合とSi−N結合を含む薄層状の領域である。なお、Si−OおよびSi−N偏在層145中のSi−N結合の分布に特に制限はなく、たとえば、Si−OおよびSi−N偏在層145全体に、Si−N結合およびSi−O結合が存在していてもよい。また、Si偏在層153の一部、つまり第一銅配線111の表面から所定の深さの層状の領域中にSi−N結合が存在するとともに、Si偏在層153全体にSi−O結合が存在していてもよい。この場合、Si−O結合の偏在領域の厚さよりもSi−N結合の偏在領域の厚さが薄く、第一銅配線111の表面近傍にSi−N結合が濃縮されている。こうすることにより、第一銅配線111の過剰な酸化をさらに確実に抑制できる。
【0072】
また、半導体装置110において、第一銅配線111中に導入されたシリコンのすべてがSi−O結合またはSi−N結合を形成している構成とすることもできる。こうすれば、Si−OおよびSi−N偏在層145中に余剰のシリコンがシリコン原子の状態で残存していない状態とすることができる。このため、Si−OおよびSi−N偏在層145中のシリコンが第一銅配線111内部に拡散することをより一層確実に抑制できる。
【0073】
次に、半導体装置110の製造方法を説明する。図6(a)〜図6(c)は、半導体装置110の製造工程を示す断面図である。
【0074】
半導体装置110の製造の基本手順としては、第一の実施形態で上述した半導体装置100の製造手順を用いることができる。ただし、本実施形態においては、シリコンを導入するステップ14の後、Si−O結合を形成するステップ15の前に、導入された前記シリコンの少なくとも一部にSi−N結合を形成させる(ステップ21)を含む。また、ステップ21のSi−N結合を形成させる工程において、SiO2膜107の内部の表面近傍にSi−N結合を形成する。
【0075】
さらに具体的には、第一の実施形態において図2(a)〜図2(c)を参照して前述した方法により、シリコン基板101上にSiCN膜103、SiOC膜105およびSiO2膜107を形成し、これらの膜中にバリアメタル膜109および第一銅配線111を形成する。そして、第一銅配線111の表面近傍にシリコンを導入してSi偏在層153を形成する(図2(c))。
【0076】
次に、図6(a)に示したように、Si偏在層153が形成されたSiO2膜107の全面を窒化処理する。具体的には、プラズマを生成する状態で、アンモニア等の窒素を含むガスに第一銅配線111の上部を曝す。窒化処理により、第一銅配線111中に導入されたシリコンの少なくとも一部がSi−N結合を形成し、Si偏在層153の少なくとも一部がSi−N偏在層155となる。また、このとき、SiO2膜107の内部の表面近傍にもSi−N結合が形成される。酸化処理に先立ちSi−N偏在層155を形成することにより、第一銅配線111内部への過剰の酸素の供給を遮断することができる。
【0077】
つづいて、図6(b)に示したように、Si−N偏在層155を酸化処理し、Si−N偏在層155の少なくとも一部をSi−OおよびSi−N偏在層145とする。酸化処理は、具体的には、第一の実施形態においてSi−O偏在層115を形成する方法が用いられる。
【0078】
また、酸化処理は、熱処理などによる穏やかな処理とすることが望ましい。熱処理による酸化処理とすることにより、酸素プラズマなどの強い酸化処理に比べて、SiO2膜107の表層のSi−N結合までSi−O化されてしまうことを抑制できる。また、熱処理による酸化処理を用いれば、酸素プラズマのような強い酸化処理の場合に対して、第一銅配線111にCu−O結合ができてしまわないようにすることができる。
【0079】
そして、図6(c)に示したように、Si−OおよびSi−N偏在層145が形成されたSiO2膜107の上面全面に、SiC膜117を形成する。SiC膜117の形成が完了した段階で、Si偏在層153の全体がSi−OおよびSi−N偏在層145となっているようにするとよい。その後、図3(c)を参照して前述した手順によって、図5に示した半導体装置110が得られる。
【0080】
本実施形態においては、Si偏在層153の酸化に先立ち、第一銅配線111上面の窒化処理を行い、Si偏在層153中のシリコンの少なくとも一部を窒化してSi−N偏在層155を形成する。酸化処理の前にSi−N偏在層155を形成しておくことにより、窒化処理の後の酸化処理において、第一銅配線111中に酸素が過剰に導入されないようにすることができる。このため、第一銅配線111の過剰な酸化が抑制される。よって、第一銅配線111中の未結合のシリコンを確実に酸化するとともに、銅の酸化をより一層確実に抑制することができる。また、窒化処理によりSi−N偏在層155が形成されるので、Si偏在層153中のシリコンを第一銅配線111の表面近傍にさらに確実にとどめることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、窒化処理により、SiO2膜107の内部の表面近傍にもSi−N結合が形成されて、窒化層147が得られる。このため、第一銅配線111上面近傍における層間絶縁膜の強度をより一層向上させることができる。
【0082】
なお、本実施形態においても、第二の実施形態のように、第一銅配線111上にSiC膜117を形成した後、第一銅配線111中に導入されたシリコンの酸化処理を行うことができる。図7(a)および図7(b)は、第二の実施形態に記載の方法を用いて半導体装置110を製造する工程を示す断面図である。図7(a)に示したように、第一銅配線111およびSiO2膜107の内部の表面近傍に、それぞれSi−N偏在層155および窒化層147を形成する。次に、図7(b)に示したように、SiO2膜107上にSiC膜117を形成する。そして、たとえば第二の実施形態に記載の方法を用いて、SiC膜117を通じて第一銅配線111中に導入されたシリコンを酸化し、Si−OおよびSi−N偏在層145を形成する。
【0083】
なお、以上の実施形態においては、下層の第一銅配線111の内部の表面近傍にシリコン導入領域が形成される場合を例に説明したが、上層の第二配線139についても同様に、その内部の表面近傍にシリコンが導入された領域が設けられていてもよい。
【0084】
(第四の実施形態)
以上の実施形態においては、接続プラグ127の底面が第一銅配線111の上面と略同一水準に位置する場合を例に説明したが、接続プラグ127の底面の位置はこれには限られず、接続プラグ127の底面近傍が第一銅配線111中に陥入していてもよい。
【0085】
具体的には、本実施形態の半導体装置は、第一銅配線111上に設けられた導電性の接続プラグ127を含む。そして、接続プラグ127の底部が、たとえば第一銅配線111内部の表面近傍にシリコンが導入された領域(Si−O偏在層115)中に位置する。
【0086】
たとえば、本実施形態において、接続プラグ127の底面が、シリコンが導入された領域(Si−O偏在層115)の底面と略同一水準に位置していてもよい。
【0087】
また、本実施形態において、接続プラグ127の底部が、シリコンが導入された領域(Si−O偏在層115)よりも第一銅配線111の内部におけるシリコン基板101側に位置してもよい。
【0088】
以下、第一および第二の実施形態の半導体装置100において、接続プラグ127がSi偏在層153に陥入し、接続プラグ127の底部がSi−O偏在層115中に埋設されて、その底面がSi−O偏在層115の底面と略同一水準に位置する場合を例に説明する。
【0089】
図15は、本実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。図15に示した半導体装置の基本構成は第一および第二の実施形態に記載の半導体装置100と同様であるが、上述したように、接続プラグ127の底面の位置が異なる。
【0090】
また、図15に示した半導体装置においては、接続プラグ127の上層として形成された第二配線139についても、その内部の表面近傍にSi−O偏在領域157が形成されており、第一銅配線111上のバリア絶縁膜がSiC膜159となっている。
【0091】
図15に示した半導体装置は、接続プラグ127が埋設されるビアホールを形成するビアエッチング条件を制御して、第一銅配線111の内部の表面近傍にシリコンが導入された領域よりもビア底を深く形成したときの構造である。
【0092】
この構造は、第一または第二の実施形態に記載の方法を用いて得ることができる。ただし、この構造の製造方法は、第一銅配線111の上部に、第一銅配線111に接続する接続プラグ127を形成する工程(ステップ22)を含み、ステップ22が、SiC膜117を貫通するとともに第一銅配線111の内部にわたる接続孔を形成し、この接続孔を埋め込むように導電膜を形成し、接続孔の外部に形成された導電膜を除去する工程を含む。そして、接続孔を形成する工程において、接続孔の底面が、第一銅配線111の上面よりもシリコン基板101側に位置するように貫通孔を形成する。
【0093】
本実施形態によれば、図1に示した半導体装置100の構造に比較して、ビア抵抗の上昇が抑えられる。また、第一銅配線111とバリア絶縁膜であるSiC膜117にはシリコン導入領域が存在するため、以上の実施形態に記載の半導体装置と同程度の寿命向上効果が得られる。
【0094】
(第五の実施形態)
図16は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)上にCu配線を形成した例である。図16は、MOSFET22、第1層目の配線層M1L、および第2層目の配線層M2Lを示す断面図である。
【0095】
図16において、基板20に設けられた活性領域内に、MOSFET22が形成されている。MOSFET22は、ソース領域22S、ドレイン領域22D、ゲート絶縁膜22Iおよびゲート電極22Gを含んで構成される。符号21は、素子分離絶縁膜である。
【0096】
MOSFET22を覆うように、SiO2からなる層間絶縁膜30およびSiCNからなるストッパ膜31が形成されている。ドレイン領域22Dに対応する位置に、層間絶縁膜30およびストッパ膜31を貫通するビアホール32が形成されている。ビアホール32の内面を、TiNからなるバリアメタル層33が覆う。ビアホール32内に、タングステンからなるプラグ34が充填されている。
【0097】
ストッパ膜31の上に、たとえばSiOCからなる層間絶縁膜35、およびSiO2膜46が形成されている。この層間絶縁膜35に、ストッパ膜31まで達する配線溝36が形成されている。配線溝36は、プラグ34が配置されている位置を通過する。配線溝36の底面および側面を、たとえばTa系バリアメタル層37が覆う。配線溝36内に、銅からなる配線38が充填されている。層間絶縁膜30、層間絶縁膜35、プラグ34および配線38等が、第1層目の配線層M1Lを構成する。
【0098】
第1層目の配線層M1Lの上に、SiCNからなるバリア層40が形成されている。バリア層40の上に、SiOCからなる層間絶縁膜41、SiO2膜47が形成されている。層間絶縁膜41およびバリア層40に、第1層目の配線層M1Lまで達するビアホール42が形成されている。さらに、層間絶縁膜41に、その深さ方向の途中まで達する配線溝43が形成されている。配線溝43は、ビアホール42の配置された位置を通過する。
【0099】
Ta系バリアメタル層44が、配線溝43およびビアホール42の内面を覆う。配線溝43およびビアホール42内に、銅からなる配線45が充填されている。層間絶縁膜41および配線45等が、第2層目の配線層M2Lを構成する。第2の配線層M2L上には、たとえば、SiCNからなるバリア層40が形成される。
【0100】
第1層目の配線層M1L表面、および第2層目の配線層M2L表面には、それぞれたとえばSi−O偏在層115が形成されている。
【0101】
本実施形態では 第1層目の配線層M1Lはシングルダマシン法で形成され、第2層目の配線層M2Lは既知のデュアルダマシン法で形成されている。また、第2層目の配線層にはストッパ膜は用いていない。第2層目の配線層M2Lはシングルダマシン法で形成してもよく、第2層目の配線層にはストッパ膜を用いてもよい。
【0102】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0103】
たとえば、以上の実施形態においては、層間絶縁膜が、低誘電率絶縁膜としてSiOC膜105を含む場合を例示したが、低誘電率絶縁膜はSiOC膜105には限られず、ポリオルガノシロキサン膜、水素化シロキサン膜、またはこれらの膜がポーラス化された膜であってもよい。これらの膜の製造方法は特に限定されず、たとえばCVD(chemical vapor deposition)法や塗布法により形成される。
【0104】
ポリオルガノシロキサンとしては、たとえば、MSQ(メチルシルセスキオキサン)等のメチルポリシロキサン;
MHSQ(メチル化ハイドロジェンシルセスキオキサン)等の水素化メチルポリシロキサン;
OSG(Organo−Silicate Glass);および
CDO(Carbon Doped Oxide)が挙げられる。
【0105】
また、水素化シロキサンとしては、たとえば、HSQ(ハイドロジェンシルセスキオキサン);および
梯子型水素化シロキサン等のラダーオキサイドが挙げられる。このうち、梯子型水素化シロキサンとは、梯子型の分子構造を有するポリマーのことであり、配線遅延防止の観点から誘電率2.9以下のものが好ましく、また膜密度が低いものが好ましい。たとえば、膜密度が1.50g/cm2以上1.58g/cm2以下、波長633nmの屈折率が1.38以上1.40以下であることが好ましい。こうした膜材料の具体例としてラダーオキサイドとよばれるL−Ox等を例示することができる。なお、L−Oxをポーラス化した絶縁材料を用いることもできる。
【0106】
また、低誘電率絶縁膜として、パリレン系樹脂;
サイトップ(登録商標)等のフッ素系樹脂;
SiLK(登録商標)等の非フッ素系芳香族含有有機樹脂;
ポリアリールエーテル(PAE);および
ポリフェニレン等の有機樹脂の膜を用いることもできる。
【0107】
低誘電率絶縁膜の比誘電率は、たとえば3.5以下、好ましくは3以下とすることができる。また、低誘電率絶縁膜は、Si、OおよびHを構成元素として含む膜とすることができる。また、低誘電率絶縁膜は、Si、C、OおよびHを構成元素として含む膜とすることができる。
【0108】
また、以上の実施形態においては、銅配線が設けられた半導体装置を例に説明したが、配線は、銅含有金属から主として構成されていればよい。また、配線の形成方法はめっき法には限られず、たとえば、CVD法を用いてもよい。
【実施例】
【0109】
(実験例1)
第三の実施形態に記載の半導体装置110を作製した(装置1)。装置1においては、第一銅配線111の前処理を、アンモニアプラズマ処理、シリコン導入、窒化、酸化、SiC膜117形成、の順に行った。
【0110】
また、半導体装置110の製造方法を用いて第一銅配線111を形成した後、アンモニアプラズマを用いた還元処理のみを行い、Si偏在層153の形成および酸化処理を行わず、半導体装置を作製した(装置2:図8以降の図中、NH3−Pとも表す。)。
【0111】
さらに、装置1において第一銅配線111上のバリア絶縁膜をSiC膜117に代えてSiCN膜とした半導体装置を作製した(装置3)。また、装置2において、第一銅配線111上のバリア絶縁膜をSiCN膜とした装置を作製した(装置4)。
【0112】
装置1〜装置4において、第一銅配線111表面の還元処理においては、アンモニアプラズマ処理(200〜300℃、1〜30秒)を行った。
また、装置1および装置3において、シリコンの導入においては、200〜300℃、1〜10torrの圧力下で、SiH4(SiH4の流量約30〜100sccmに対してN2の流量約500〜1000sccm)を約1〜30秒間作用させて行った。また、装置1および装置3において、第一銅配線111の窒化処理においては、アンモニアプラズマ処理(200〜300℃、1〜30秒)を行った。さらに、装置1および装置3において、第一銅配線111の酸化処理は、シリコン基板101を300〜350℃において、酸素分圧10-7〜10-5atmで5〜30秒加熱することにより行った。
【0113】
これらの装置について、配線間のEM寿命を評価した。図8および図9は、接続プラグのEM寿命の評価結果を示す図である。図8および図9においては、縦軸において、装置2におけるEM寿命を1として規格化して示した。
【0114】
図8は、バリア絶縁膜にSiC(k=3.5)膜を用いた場合で、成膜の前処理としてアンモニアプラズマによる還元処理を実施した装置2と、前処理として第三の実施形態に記載の技術を用いた装置1、さらにバリア絶縁膜にSiCN(k=4.9)膜を用いた場合で、成膜の前処理としてアンモニアプラズマによる還元処理を実施した装置4と、前処理として第三の実施形態に記載の技術を用いた装置3の不良率50%のエレクトロマイグレーション(EM)寿命T50(a.u.)である。
【0115】
図8および図9の縦軸においては、SiC(k=3.5)膜を用いた場合で成膜の前処理をアンモニアプラズマを実施した装置2の場合を1に規格化している。
【0116】
図8より、配線上のバリア絶縁膜をSiC(k=3.5)膜として第三の実施形態の技術を適用した装置1の場合、アンモニアプラズマ処理のみを行った装置2と比較して、約40倍の寿命向上が確認され、許容レベルをクリアした。
【0117】
また、配線上のバリア絶縁膜をSiCN(k=4.9)膜とした場合、SiC(k=3.5)の場合と比較して、アンモニアプラズマ処理のみを行った装置4でも76倍を示し、誘電率がk=4.0以上であれば許容レベルをクリアした。
【0118】
また、第三の実施形態の技術を用いた装置3では、さらに寿命が向上し、98倍という結果が得られた。
【0119】
なお、装置1および装置3におけるSi偏在層153中のシリコン濃度は、約15atom%であった。
【0120】
また、図9は、Si偏在層153中のシリコンの濃度とT50(a.u.)との関係を示す図である。なお、シリコン濃度は、Si偏在層153の構成元素がCu/Si/C/N/Oであるとして、構成元素全体中のSi濃度として計算した。図9より、Si偏在層153中のSi濃度を約10atom%以上とすることにより、EMをより一層効果的に抑制できる。
【0121】
なお、ここではシリコンの導入にSiH4ガスを用いたが、他に、Si26、SiH2Cl2、SiCl4などの無機シラン;
モノメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機シラン;
等を用いても同様なSi導入ができる。特に、Si26を用いた場合、さらに低温でSiを導入できるメリットがある。
【0122】
(実験例2)
実験例1の装置1および装置2について、第一銅配線111間のブレークダウン耐圧を測定した。具体的には、第一配線113間に電界を形成した際の耐ブレークダウン電圧を調べた。なお、装置1および装置2のそれぞれについて、20サンプルの測定の平均値を求めた。
【0123】
結果を図10に示す。図10の縦軸においても、装置2の耐圧を1として、規格化して示した。図10より、装置1では、装置2に対し、電界耐圧が1.5倍程度向上している。
【0124】
(実験例3)
第三の実施形態に記載の半導体装置の構成に準ずる積層膜を形成した。具体的には、シリコン基板上に銅膜を形成した。銅膜形成後、その表面をアンモニアプラズマ処理し、SiH4ガスに曝し、さらに窒化および酸化した(積層膜1)。一方、シリコン基板上に銅膜を形成した。銅膜形成後、表面のアンモニアプラズマ処理を行った積層膜も作製した(積層膜2)。
なお、積層膜1および積層膜2における銅膜の還元処理、ならびに積層膜2におけるシリコンの導入処理、窒化処理および酸化処理の各条件は、実験例1と同様にした。
【0125】
これらの積層膜の表面のXPS(X線光電子分光)測定を行い、銅表面に存在する結合を調べた。図11(a)および図11(b)は、それぞれ、積層膜2および積層膜1の測定結果を示す。図11(a)より、積層膜2では、還元処理した銅が再酸化されて、Cu−O結合に由来するピーク(530.3eV)が深さ約10nmのところまで生成している。
【0126】
これに対し、積層膜1では、図11(b)に示したように、Cu−O結合に由来するピークが検出限界以下であり、銅の再酸化が抑制されている。また、Si−ON結合(532.2eV)およびSi−N結合に由来するピークが存在することから、銅膜の表面に、Si−OおよびSi−N偏在層が形成されていると推察される。また、第一銅配線111の表面からのSi−ON結合の形成領域の深さの方が、第一銅配線111の表面からのSi−N結合の形成領域の深さよりも大きいことが示唆される。
【0127】
また、図11(a)および図11(b)より、積層膜2におけるCu−O結合の形成領域の深さが、積層膜1におけるSi−ON結合の形成領域の深さよりもさらに深いことが示唆される。
【0128】
さらに、XRD(X線回折装置)により積層膜1中の銅膜を測定したところ、銅シリサイドに起因する信号は確認されなかった。
【0129】
なお、積層膜1において、銅の酸化処理の後、銅膜の上に拡散防止膜や層間絶縁膜を形成した場合にも、銅膜内部の表面近傍に実質的にCu−O結合が存在しない状態が維持されると考えられる。
【0130】
(実験例4)
実験例1で前述した装置1および装置2について、図12に示した位置のTEM−EELS測定を行い、N/O強度比を求めた。結果を図13に示す。図13では、装置2におけるN/O強度比を1として規格化して示した。図13より、装置1においては、装置2よりも第一銅配線111表面における窒素含有率が高いことがわかる。
【0131】
なお、装置1のTEM観察を行ったところ、第一銅配線111の表面近傍におけるシリサイド層の形成は確認されなかった。
【0132】
(実験例5)
実験例1で作製した装置1において、SiC膜117に代えて比誘電率k=4.9のSiCN膜を形成した装置(装置3)を作製した。装置1および装置3の配線間容量を評価した。評価は、第一銅配線111のラインアンドスペースL/Sが120nm/120nmである構成、および100nm/100nmである構成について行った。
【0133】
結果を図14に示す。図14では、比誘電率k=4.9のSiCN膜を有する装置3の配線間容量を100%として規格化している。図14より、第一銅配線111上部に形成するバリア絶縁膜をSiC膜117とすることにより、SiCN膜を用いた場合よりも配線間容量を低下できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図3】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】図1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図6】図5の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図5の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】実施例における半導体装置のEMの評価結果を示す図である。
【図9】実施例における半導体装置のEMの評価結果を示す図である。
【図10】実施例における半導体装置の耐圧の評価結果を示す図である。
【図11】実施例における半導体装置のXPS分析結果を示す図である。
【図12】実施例における半導体装置のEELS測定位置を説明する図である。
【図13】実施例における半導体装置のTEM−EELS測定結果を示す図である。
【図14】実施例における半導体装置の配線間容量の測定結果を示す図である。
【図15】本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図16】本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0135】
M1L 第1層目の配線層
M2L 第2層目の配線層
20 基板
21 素子分離絶縁膜
22 MOSFET
22D ドレイン領域
22G ゲート電極
22I ゲート絶縁膜
22S ソース領域
30 層間絶縁膜
31 ストッパ膜
32 ビアホール
33 バリアメタル層
34 プラグ
35 層間絶縁膜
36 配線溝
37 バリアメタル層
38 配線
40 バリア層
41 層間絶縁膜
42 ビアホール
43 配線溝
44 Ta系バリアメタル層
45 配線
46 SiO2
47 SiO2
100 半導体装置
101 シリコン基板
103 SiCN膜
105 SiOC膜
107 SiO2
109 バリアメタル膜
110 半導体装置
111 第一銅配線
113 第一配線
115 Si−O偏在層
117 SiC膜
119 SiOC膜
121 SiO2
123 バリアメタル膜
125 銅プラグ
127 接続プラグ
129 SiCN膜
131 SiOC膜
133 SiO2
135 バリアメタル膜
137 第二銅配線
139 第二配線
141 SiCN膜
143 多層膜
145 Si−OおよびSi−N偏在層
147 窒化層
151 銅配線露出面
153 Si偏在層
155 Si−N偏在層
157 Si−O偏在層
159 SiC膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第一絶縁膜と、
前記第一絶縁膜中に設けられ、主として銅含有金属からなる配線と、
を含み、
前記配線の内部の表面近傍に、シリコンが導入された領域を有し、
導入された前記シリコンの少なくとも一部が、Si−O結合を形成している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記基板が半導体基板である半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記シリコンが導入された領域が、
前記配線の内部の表面近傍に層状に設けられた半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線の内部の表面近傍に導入された前記シリコンのうち、一部の前記シリコンが前記Si−O結合を形成している半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至3いずれかに記載の半導体装置において、
導入された前記シリコンの少なくとも一部が、Si−N結合を形成している半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、導入された前記シリコンのすべてが、Si−O結合またはSi−N結合を形成している半導体装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の半導体装置において、
前記配線の非形成領域において、前記第一絶縁膜の内部の表面近傍に、Si−N結合が存在する半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線の内部の表面近傍に、銅シリサイド層が形成されていない半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線の内部の表面近傍において、前記配線を構成する元素全体に対するシリコンの割合が5原子%以上30原子%以下である半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかに記載の半導体装置において、
前記第一絶縁膜が低誘電率膜を含む半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかに記載の半導体装置において、
前記第一絶縁膜上に前記配線に接して設けられた第二絶縁膜を含み、
前記第二絶縁膜が、SiC膜、SiCN膜、SiOC膜、SiCON膜またはSiN膜である半導体装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線の内部の表面近傍に、Cu−O結合が実質的に存在しない半導体装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線上に設けられた導電性の接続プラグを含み、
前記接続プラグの底部が、前記シリコンが導入された領域に位置する半導体装置。
【請求項14】
請求項1乃至12いずれかに記載の半導体装置において、
前記配線上に設けられた導電性の接続プラグを含み、
前記接続プラグの底部が、前記シリコンが導入された領域よりも前記配線の内部における前記基板側に位置する半導体装置。
【請求項15】
基板上に第一絶縁膜を形成する工程と、
前記第一絶縁膜中に、主として銅含有金属からなる配線を形成する工程と、
前記配線の表面近傍の銅を還元する工程と、
銅を還元する前記工程の後、シリコンを含むガスに前記配線の上部を曝し、前記配線の内部の表面近傍にシリコンを導入する工程と、
シリコンを導入する前記工程で導入された前記シリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記基板が半導体基板である、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の半導体装置の製造方法において、
導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程が、前記配線の内部の表面近傍に導入された前記シリコンの一部にSi−O結合を形成させる工程である半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15または16に記載の半導体装置の製造方法において、
シリコンを導入する前記工程の後、導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程の前に、導入された前記シリコンの少なくとも一部にSi−N結合を形成させる工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−N結合を形成させる前記工程において、前記第一絶縁膜の内部の表面近傍にSi−N結合を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項15乃至19いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程が、前記配線の上部を酸化処理する工程を含み、
導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程の後、前記配線が形成された前記第一絶縁膜上に接して第二絶縁膜を形成する工程を含み、
第二絶縁膜を形成する前記工程が、SiC膜、SiCN膜、SiOC膜、SiCON膜またはSiN膜を形成する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項15乃至19いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程が、前記配線の上部を酸化処理する工程を含み、
配線の上部を酸化処理する前記工程が、前記配線が形成された前記基板を加熱処理する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項15乃至19いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
シリコンを導入する前記工程の後、導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程の前に、前記配線が形成された前記第一絶縁膜上に接して第二絶縁膜を形成する工程を含み、
第二絶縁膜を形成する前記工程が、SiC膜、SiCN膜、SiOC膜、SiCON膜またはSiN膜を形成する工程を含み、
導入されたシリコンの少なくとも一部にSi−O結合を形成させる前記工程が、前記第二絶縁膜を通じて前記配線の内部の表面近傍に酸素を拡散させる工程を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−235125(P2007−235125A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25338(P2007−25338)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】