説明

半導体装置の製造方法及び磁気ヘッドの製造方法

【課題】高温環境下における配線層内でのボイドの発生を抑制して配線層の導通不良を抑制し、半導体装置の信頼性を向上しうる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】層間絶縁膜34に、配線溝38を形成する工程と、配線溝38内に、Cuを主材料とする配線層44を形成する工程と、配線溝38内に埋め込まれた配線層44の表面に対して、アンモニア及び水素が溶解された純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線層の主材料に銅を用いた配線構造を有する半導体装置の製造方法、及び配線層の主材料に銅を用いた配線構造を有する磁気ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の大規模集積化に伴い、配線の設計ルールも世代とともに縮小化されている。従来、配線層は、配線材料を堆積した後、リソグラフィー及びドライエッチングを用いてパターニングすることにより、形成されていたが、世代が進むにつれ、技術的な限界が生じ始めている。このため、従来の配線形成プロセスに変わる新たな形成プロセスとして、層間絶縁膜に溝パターンやホールパターンを形成した後、この溝やホールに配線材料を埋め込む、いわゆるダマシンプロセスと呼ばれる手法が利用されつつある。また、配線形成プロセスの移行に伴い、配線材料には、従来から配線材料として用いられていたアルミニウムよりも比抵抗が低くエレクトロマイグレーション耐性に優れた銅(Cu)が用いられるようになってきている。
【0003】
このような配線形成プロセスを用いてトランジスタ等の半導体素子を高集積化した多層配線構造を有する半導体装置の開発が急速に進められている。これにあわせて、配線層におけるエレクトロマイグレーションを抑制すること等により半導体装置の信頼性を向上することを目的とする手法がこれまでに数多く報告されている(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
【特許文献1】特開2000−323476号公報
【特許文献2】特開2002−246391号公報
【特許文献3】特開2003−142580号公報
【特許文献4】特開2005−183814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の動作時には、装置自身が発熱して温度が上昇する。従来から、このような動作時の温度上昇や配線形成後のプロセス等により、多層配線構造が高温環境下にさらされると、配線層のCu原子や配線層内に形成されている空孔が移動して配線層内に巨大なボイドが発生し、このボイドにより配線層の導通不良が発生することが知られている。
【0005】
配線層の幅が1μm以上の世代においては、配線層内に生じるボイドのサイズに対して配線層の幅が充分に大きくなっている。このため、ボイドによる導通不良が半導体装置の動作特性や信頼性に与える影響は大きくなかった。
【0006】
しかしながら、配線層の幅が0.5μm以下の世代となると、配線層内に生じたボイドによる配線抵抗の上昇が半導体装置の動作特性や信頼性に与える影響が無視できないものとなってくる。特に、今後0.2μm以下の幅を有する配線層のような微細な配線層を形成する場合、ボイドによる導通不良の発生を抑制することが不可欠となる。
【0007】
上記特許文献1乃至3においては、半導体装置の信頼性の向上を目的とする手法が開示されている。しかしながら、これらは、配線層におけるエレクトロマイグレーションに対する耐性を向上することにより信頼性の向上を図ったものである。これまで、熱によって生じるボイドに起因する配線層の導通不良に関する対策は充分になされていなかった。
【0008】
本願出願人は、かかる対策として、窒素ガスと水とを同時に配線層の表面に吹き付けることにより、熱によるボイドの発生を抑制して半導体装置の信頼性を向上する方法を提案している(特許文献4を参照)。
【0009】
また、ハードディスク等の磁気記録装置の磁気ヘッドにおいても、書き込み磁場を発生させるためのコイルを構成する配線層の微細化が進行している。その最小配線幅は、1μmを切ってきている。したがって、上記の半導体装置の場合と同様に、磁気ヘッドにおける配線層においても、熱によって生じるボイドに起因する導通不良に関する対策を行う必要がある。
【0010】
本発明の目的は、高温環境下における配線層内でのボイドの発生を抑制して配線層の導通不良を抑制し、半導体装置の信頼性を向上しうる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、高温環境下における配線層内でのボイドの発生を抑制して配線層の導通不良を抑制し、磁気ヘッドの信頼性を向上しうる磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、絶縁膜に、開口部を形成する工程と、前記開口部内に、Cuを主材料とする配線層を形成する工程と、前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の他の観点によれば、絶縁膜に、コイルパターンを有する開口部を形成する工程と、前記開口部内に、Cuを主材料とし、コイルを構成する配線層を形成する工程と、前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有する磁気ヘッドの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体装置の製造方法において、絶縁膜に、開口部を形成する工程と、開口部内に、Cuを主材料とする配線層を形成する工程と、開口部内に埋め込まれた配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有するので、高温環境下における配線層のCu原子の移動が抑制され、配線層の導通不良の発生率を低減することができる。これにより、ストレスマイグレーション耐性に優れた信頼性の高い配線構造を有する半導体装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、磁気ヘッドの製造方法において、絶縁膜に、コイルパターンを有する開口部を形成する工程と、開口部内に、Cuを主材料とし、コイルを構成する配線層を形成する工程と、開口部内に埋め込まれた配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有するので、高温環境下における配線層のCu原子の移動が抑制され、コイルを構成する配線層の導通不良の発生率を低減することができる。これにより、信頼性の高い配線構造を有する磁気ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[本発明の原理]
まず、本発明の原理について図1乃至図3を用いて説明する。図1は配線層上に拡散防止膜を形成した後の表面を二次イオン質量分析法によって分析した結果を示すグラフ、図2及び図3は配線層上に形成された拡散防止膜の表面粗さを測定した結果を示すグラフである。
【0017】
本発明による半導体装置の製造方法は、絶縁膜に、開口部を形成する工程と、開口部内に、Cuを主材料とする配線層を形成する工程と、開口部内に埋め込まれた配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有することに主たる特徴がある。
【0018】
同様に、本発明による磁気ヘッドの製造方法は、絶縁膜に、コイルパターンを有する開口部を形成する工程と、開口部内に、Cuを主材料とし、コイルを構成する配線層を形成する工程と、開口部内に埋め込まれた配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程とを有することに主たる特徴がある。
【0019】
すなわち、本発明による半導体装置の製造方法、及び本発明のよる磁気ヘッドの製造方法は、開口部内に埋め込まれた配線層の表面に対して水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程において、窒素ガスと同時に吹き付ける水として、アンモニア及び水素を溶解させた純水を用いるものである。なお、本願明細書においては、アンモニア及び水素を溶解させた純水のことを適宜「アンモニア添加水素水」と称する。
【0020】
ダマシンプロセスにおいてCMP法による平坦化を行った後に露出したCuを主材料とする配線層の表面は、純Cuに近いものの、若干の酸化層が最表面に露出した状態となっている。従来、CMP法による平坦化の後、直ちに配線材料であるCuの拡散を防止するSiC膜等よりなる拡散防止膜が形成されていた。このような従来の工程により形成された多層配線が高温環境下にさらされると、配線材料であるCu原子や配線層中の空孔が移動し、配線層内にボイドが発生していた。このようなボイドは、配線層の導通不良の原因のひとつとなるものである。
【0021】
本願出願人は、かかるボイドに起因する導通不良の発生を抑制する手法として、層間絶縁膜の配線溝内に配線層を埋め込んでCMP法による平坦化を行った後、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する前に、配線層の表面に対して、窒素ガスと水とを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程を含む半導体装置の製造方法を提案している(特許文献4を参照)。特許文献4に開示された窒素二流体処理においては、純水、純水に炭酸を溶存させた炭酸水等が、窒素ガスと同時に配線層の表面に対して吹き付けられている。
【0022】
さらに、本願発明者等は、層間絶縁膜の配線溝内に配線層を埋め込んでCMP法による平坦化を行った後、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する前に、配線層の表面に対して、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行うことにより、多層配線が高温環境下にさらされた場合であっても、配線層の導通不良の発生率が極めて低くなることを発見した。加えて、本願発明者等は、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を用いた場合の導通不良の発生率は、特許文献4に記載された窒素二流体処理を用いた場合と比較して更に低くなることを見出した。
【0023】
アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を用いた本発明による導通不良の発生率の更なる低下は、以下の要因によるものであると考えられる。
【0024】
まず、第1の要因として、アンモニア添加水素水により、露出したCu層表面が還元され、又はCu層の表面の酸化が防止されることが考えられる。
【0025】
また、第2の要因として、アンモニア添加水素水を用いた窒素二流体処理に伴い、Cu層の表面に存在する窒素量が増加することが考えられる。
【0026】
さらに、第3の要因として、アンモニア添加水素水により、露出したCu層の表面が清浄化されることが考えられる。
【0027】
特許文献4に記載された窒素二流体処理との比較では、本発明による窒素二流体処理では、これら第1乃至第3の要因が効果的に導通不良の発生に寄与しているものと考えられる。
【0028】
図1は、ダマシンプロセスによりCuを主材料とする配線層を形成した後、配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上に拡散防止膜としてSiC膜を形成した半導体装置の表面近傍を二次イオン質量分析法により分析した結果を示すグラフである。図1に示すグラフAは、配線層を形成した後、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行ってから配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上にSiC膜を形成した場合の結果を示している。グラフBは、配線層を形成した後、特許文献4に記載された従来の窒素二流体処理を行ってから配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上にSiC膜を形成した場合の結果を示している。なお、グラフBに示す特許文献4に記載された従来の窒素二流体処理では、窒素ガスと同時に純水(イオン交換水)を吹き付けた。グラフCは、配線層を形成した後、窒素二流体処理を行わずに、直ちに、配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上にSiC膜を形成した場合の結果を示している。
【0029】
図1に示す二次イオン質量分析法による分析結果から、窒素二流体処理を行った場合(グラフA及びグラフB)には、Cuを主材料とする配線層とSiC膜との界面付近に僅かであるが窒素が検出されていることが分かる。さらに、グラフAとグラフBとを比較すると、窒素二流体処理において窒素ガスと同時に吹き付ける水としてアンモニア添加水素水を用いることにより、配線層とSiC膜との界面付近に存在する窒素量が僅かに増加することが分かる。
【0030】
このように、窒素二流体処理を行うことにより、窒素が、Cu層の表面に吸着したり、化合物等の形態で存在したりするようになり、その窒素量が、アンモニア添加水素水を用いることにより増加することが分かる。
【0031】
窒素二流体処理によりCuを主材料とする配線層の表面に窒素が付着すると、次のような機構により、高温環境下にさらされた場合であっても配線層の導通不良の発生率が低く抑えられると考えられる。すなわち、Cuを主材料とする配線層の表面に窒素が吸着した状態でCuの拡散を防止する拡散防止膜を形成すると、窒素の存在により、高温環境下にさらされた場合において配線層のCu原子の移動が困難となる。この結果、配線層内におけるボイドの発生が抑制され、配線層の導通不良の発生率が低く抑えられ配線層のストレスマイグレーション耐性が向上されると考えられる。
【0032】
窒素二流体処理においてアンモニア添加水素水を用いると、Cuを主材料とする配線層の表面に付着する窒素の量が増加する。このため、通常の純水等を用いる場合と比較して、配線層内におけるボイドの発生が更に抑制され、配線層の導通不良の発生率が更に低く抑えられと考えられる。これにより、配線層のストレスマイグレーション耐性が更に向上すると考えられる。
【0033】
また、窒素二流体処理により吹き付けられた水も、高温環境下にさらされた場合の導通不良の発生の抑制に寄与していると考えられる。すなわち、配線層の表面に吹き付けられた水は、その表面を清浄化するとともに、Cuを主材料とする配線層の表面に存在する水酸基と、SiCよりなる拡散防止膜の有する水素基との間を結合する。これにより、拡散防止膜が配線層上に高い密着性で形成されるため、高温環境下にさらされた場合において配線層のCu原子の移動が困難となる。この結果、配線層内におけるボイドが抑制され、配線層の導通不良の発生率が低く抑えられ配線層のストレスマイグレーション耐性が向上されると考えられる。
【0034】
窒素二流体処理により高温環境下における配線層のCu原子の移動が抑制されることは、配線層上に形成された拡散防止膜の平均粗さを測定した図2及び図3に示す結果から確認されている。
【0035】
図3は、ダマシンプロセスにより配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上に形成されたSiC膜の表面の平均粗さを測定した結果を示すグラフである。本発明によるアンモニア添加水素水を用いた窒素二流体処理を行った場合、特許文献4に記載された従来の窒素二流体処理を行った場合、及び窒素二流体処理を行わない場合のそれぞれについて、堆積後初期のSiC膜、及び200℃の温度で504時間放置したSiC膜の表面の平均粗さを測定した。表面の平均粗さの測定には、原子間力顕微鏡を用いた。また、それぞれの場合について、熱処理後初期のSiC膜の表面の平均粗さから堆積後初期のSiC膜の表面の平均粗さを引いた平均粗さの変化量を求めた。
【0036】
図2に示すグラフから、窒素二流体処理を行った場合が、窒素二流体処理を行っていない他の場合と比較して、全体的に表面の平均粗さが小さく、また、表面の平均粗さの熱処理による変化量が小さく抑えられていることが分かる。さらに、このように配線層上に形成された拡散防止膜の表面の平均粗さの熱処理による変化量が小さく抑えられていることから、窒素二流体処理によって、熱処理による配線層のCu原子の移動が困難となっており、配線層のボイドの発生が抑制されるといえる。
【0037】
さらに、アンモニア添加水素水を用いた窒素二流体処理を行った場合は、特許文献4に記載された従来の窒素二流体処理を行った場合と比較して、全体的に表面の粗さが小さく、また、表面の平均粗さの熱処理による変化量が小さく抑えられている。このことから、窒素二流体処理においてアンモニア添加水素水を用いることにより、配線層のボイドの発生を更に抑制することができるといえる。
【0038】
また、図3は、ダマシンプロセスにより配線層が埋め込まれた層間絶縁膜上に窒素二流体処理を行ってから形成されたSiC膜の表面の平均粗さと、窒素二流体処理に代えて他の処理を行ってから形成されたSiC膜の表面の平均粗さとを比較したグラフである。窒素二流体処理としては、アンモニア添加水素水を用いた窒素二流体処理を行った場合と、特許文献4に記載された従来の窒素二流体処理を行った場合とについて、SiC膜の表面の平均粗さを測定した。また、これら窒素二流体処理を行った場合のほか、窒素二流体処理に代えて、水素プラズマ処理を行った場合と、アンモニアプラズマ処理を行った場合とについて、SiC膜の表面の平均粗さを測定した。いずれの場合においても、堆積後に熱処理等を行っていない未処理の状態のSiC膜について表面の平均粗さを測定した。表面の平均粗さの測定には、原子間力顕微鏡を用いた。
【0039】
図3に示すグラフから、窒素二流体処理を行った場合が、水素プラズマ処理を行った場合及びアンモニアプラズマ処理を行った場合のいずれの場合よりも、SiC膜の表面の平均粗さが小さくなっていることが分かる。さらに、窒素二流体処理においてアンモニア添加水素水を用いることにより、SiC膜の表面の平均粗さが更に小さくなっていることが分かる。
【0040】
上述したように、本発明によれば、配線溝内にCuを主材料とする配線層を埋め込みCMP法により平坦化した後、Cuの拡散防止膜を形成する前に、配線層の表面にアンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行うことにより、高温環境下において配線層のCu原子の移動が抑制され、配線層内でのボイドの発生が抑制される。
【0041】
したがって、本発明による半導体装置の製造方法によれば、配線層のストレスマイグレーション耐性に優れた高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
【0042】
また、前述のように、ハードディスク等の磁気記録装置の磁気ヘッドにおいても、書き込み磁場を発生させるためのコイルを構成する配線層の微細化が進行しており、配線層内におけるボイドの派生を抑制することが課題となっている。
【0043】
本発明による磁気ヘッドの製造方法によれば、書き込み磁場を発生するためのコイルを構成する配線層内におけるボイドの発生が抑制され、高い信頼性を有する磁気ヘッドを提供することができる。
【0044】
本発明による窒素二流体処理の処理条件等の詳細は以下の通りである。
【0045】
窒素二流体処理において窒素ガスと水とを同時に吹き付けるためのスプレー装置としては、例えば、大日本スクリーン製造株式会社製のソフトスプレー、ナノスプレー等の窒素二流体スプレーや、東芝メカトロニクス株式会社製の窒素二流体スプレー等を用いることができる。
【0046】
窒素二流体処理において吹き付けるアンモニア添加水素水に用いる純水としては、半導体装置の製造プロセスに使用可能な純度を有するものであればよい。例えば、比抵抗17.6MΩ・cm以上、粒径0.5μm未満のパーティクル数が数個/mLレベルの純水であればよい。
【0047】
このような純水に、アンモニア及び水素を溶解させてアンモニア添加水素水を調製する。アンモニア添加水素水のアンモニア濃度は例えば0.1〜5.0ppm、水素濃度は例えば0.1〜5.0ppmに設定する。
【0048】
また、窒素二流体処理において吹き付けるアンモニア添加水素水の流量は、所望の値に適宜設定することができるが、例えば、50〜300mL/minに設定することができる。
【0049】
また、窒素ガスと混合して吹き付けられる前のアンモニア添加水素水には、例えば500kHz以上の超音波振動を印加しておいてもよい。アンモニア添加水素水に超音波振動を予め印加しておくことで、Cuを主体とする配線層の表面に形成されている酸化物をより効果的に除去することができる。なお、印加する超音波振動の周波数は、500kHzよりも高い周波数であることが望ましい。これは、周波数が500kHz以下の超音波振動では、振動によってパターンにダメージを与える虞があるためである。
【0050】
窒素二流体処理において吹き付ける窒素ガスの流量は、所望の値に適宜設定することができるが、例えば、5〜200L/min、より好ましくは30〜100L/minに設定することができる。これは、流量が小さすぎると窒素二流体処理による後述の効果が充分に得られない一方で、流量が大きすぎるとパターン倒れを招く虞があるからである。
【0051】
また、窒素二流体処理において窒素ガスと水とを吹き付ける時間についても、吹き付ける水の種類、水の流量、窒素ガスの流量等の諸条件に応じて適宜設定することができるが、例えば、5〜300sec程度に設定することができる。
【0052】
また、上記の窒素二流体処理の後、拡散防止膜を形成する前に、配線層が埋め込まれた層間絶縁膜の表面に対して水素プラズマを照射する水素プラズマ処理を行ってもよい。層間絶縁膜の表面及び配線層の表面に対して水素プラズマ処理を行うことにより、これら表面が清浄化されるため、高い密着性で拡散防止膜を形成することができる。これにより、配線構造体を有する半導体装置、磁気ヘッドの信頼性を向上することができる。
【0053】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法について図4乃至図11を用いて説明する。図4乃至図11は本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0054】
まず、素子分離膜12が形成されたシリコン基板10に、例えば、通常のMOSトランジスタの製造方法と同様にして、ゲート電極14及びソース/ドレイン拡散層16を有するMOSトランジスタを形成する(図4(a)を参照)。なお、シリコン基板10上には、MOSトランジスタのみならず、種々の半導体素子を形成することができる。
【0055】
次いで、MOSトランジスタが形成されたシリコン基板10上に、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により、例えば膜厚0.1μmのシリコン窒化膜18を形成する。
【0056】
次いで、シリコン窒化膜18上に、例えばCVD法により、例えば膜厚1.5μmのPSG(Phosphorous Silicate Glass)膜20を形成する。PSG膜20の成膜時の基板温度は、例えば600℃に設定する。
【0057】
次いで、例えば化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により、PSG膜20の膜厚が例えば200nmとなるまでPSG膜20の表面を研磨し、PSG膜20の表面を平坦化する。
【0058】
次いで、PSG膜20上に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのSiC膜22を形成する(図4(b)を参照)。このSiC膜22は、パッシベーション膜として機能するものである。
【0059】
こうして、シリコン窒化膜18と、PSG膜20と、SiC膜22とが順次積層されてなる層間絶縁膜24を形成する。
【0060】
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、SiC膜22、PSG膜20及びシリコン窒化膜18に、シリコン基板10に達するコンタクトホール26を形成する。
【0061】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚15nmのTi(チタン)膜と、例えば膜厚15nmのTiN(窒化チタン)膜と、例えば300nmのW(タングステン)膜とを順次形成する。
【0062】
次いで、例えばCMP法により、層間絶縁膜24の表面が露出するまで、W膜、TiN膜、及びTi膜を研磨し、層間絶縁膜24上のW膜、TiN膜、及びTi膜に除去する。こうして、コンタクトホール26内に埋め込まれ、Ti膜、TiN膜、及びW膜よりなるコンタクトプラグ28を形成する(図4(c)を参照)。
【0063】
次いで、コンタクトプラグ28が埋め込まれた層間絶縁膜24のSiC膜22上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚150nmのSiOC膜30を形成する。
【0064】
次いで、SiOC膜30上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜32を形成する。
【0065】
こうして、SiC膜22上に、SiOC膜30と、シリコン酸化膜32とが順次積層されてなる層間絶縁膜34を形成する(図4(d)を参照)。
【0066】
次いで、層間絶縁膜34に形成される配線溝の形成予定領域を露出するフォトレジスト膜36を形成する(図5(a)を参照)。
【0067】
次いで、フォトレジスト膜36をマスクとして及びSiC膜30をストッパとして、シリコン酸化膜32及びSiOC膜30を順次エッチングする。こうして、シリコン酸化膜32及びSiOC膜30に配線溝38を形成する。配線溝38を形成した後、マスクとして用いたフォトレジスト膜36を除去する(図5(b)を参照)。
【0068】
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚30nmのTaN膜よりなるバリアメタル層40と、例えば膜厚30nmのCu膜とを連続して堆積する。
【0069】
次いで、バリアメタル層40上に形成されたCu膜をシードとして、電解メッキにより更にCu膜を堆積し、例えばトータル膜厚1μmのCu膜42を形成する(図5(c)を参照)。
【0070】
次いで、CMP法により、シリコン酸化膜32が露出するまで、Cu膜42及びバリアメタル層40を研磨し、シリコン酸化膜32上のCu膜42及びバリアメタル層40を除去する。こうして、配線溝38内に埋め込まれ、TaN膜よりなりCuの拡散を防止するバリアメタル層40と配線層の主要部をなすCu膜42とを有する配線層44を形成する(図6(a)を参照)。
【0071】
CMP法により配線層44を埋め込んだ後、層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面に対して、アンモニア及び水素を純水に溶解させて調製したアンモニア添加水素水と、窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う。窒素二流体処理の条件は、例えば、処理時間を30秒、アンモニア添加水素水中のアンモニア濃度を1ppm、アンモニア添加水素水の流量を150mL/min、窒素ガスの流量を50L/minとする。なお、アンモニア添加水素水に超音波振動を予め印加し、層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面に対して、超音波振動が印加されたアンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付けてもよい。
【0072】
窒素二流体処理においては、例えば、層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面に近接して配置したスプレー装置のノズル46から、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面に対して同時に吹き付ける(図6(b)を参照)。このとき、ノズル46の位置を適宜変更し、各位置においてアンモニア添加水素水と窒素ガスとを吹き付ける。或いは、ノズル46を適宜移動しながらアンモニア添加水素水と窒素ガスとを吹き付ける。これにより、配線溝44に埋め込まれた配線層44の表面の全体に均一にアンモニア添加水素水と窒素ガスとを吹き付ける。窒素二流体処理を行うことにより、高温環境下に半導体装置がさらされた場合において配線層44のCu原子の移動が抑制され、配線層44内でのボイドの発生を抑制することができる。この結果、配線層44における導通不良の発生を抑制することができる。
【0073】
窒素二流体処理を行った後、層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面に対して水素プラズマを照射する。水素プラズマを照射することにより、層間絶縁膜34の表面及び配線層44の表面が清浄化され、層間絶縁膜34及び配線層44上に拡散防止膜を高い密着性で形成することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0074】
水素プラズマを照射した後、層間絶縁膜34及び配線層44上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのSiC膜48を形成する(図6(c)を参照)。SiC膜48は、配線層材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能する。
【0075】
次いで、SiC膜48上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚450nmのSiOC膜54を形成する。
【0076】
次いで、SiOC膜54上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚100nmのシリコン酸化膜56を形成する。
【0077】
次いで、シリコン酸化膜56上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜58を形成する。このシリコン窒化膜58は、後述するように、配線溝等を形成するためのエッチングの際のハードマスクとして用いられる。
【0078】
こうして、配線溝38に配線層44が埋め込まれた層間絶縁膜34上に、SiC膜48と、SiOC膜54と、シリコン酸化膜56と、シリコン窒化膜58とが順次積層されてなる層間絶縁膜60が形成される(図7(a)を参照)。
【0079】
次いで、フォトリソグラフィーにより、シリコン窒化膜58上に、シリコン酸化膜56及びSiOC膜58に形成される配線層の形成予定領域を露出するフォトレジスト膜62を形成する(図7(b)を参照)。
【0080】
次いで、フォトレジスト膜62をマスクとして、シリコン窒化膜58を異方性エッチングする。シリコン窒化膜58をエッチングした後、マスクとして用いたフォトレジスト膜62を除去する(図8(a)を参照)。
【0081】
次いで、シリコン窒化膜58及びシリコン窒化膜58のエッチングにより露出したシリコン酸化膜56上に、フォトリソグラフィーにより、ビアホールの形成予定領域を露出するフォトレジスト膜64を形成する(図8(b)を参照)。
【0082】
次いで、フォトレジスト膜64をマスクとして、シリコン酸化膜56及SiOC膜54をエッチングする。このエッチングでは、SiOC膜54の中央部付近においてエッチングが停止するように、エッチング時間を制御する。エッチング終了後、マスクとして用いたフォトレジスト膜64を除去する(図9(a)を参照)。
【0083】
次いで、シリコン窒化膜58をハードマスクとして、シリコン酸化膜56、SiOC膜54、及びSiC膜48をエッチングする。これにより、シリコン酸化膜54及びSiC膜48に配線層のビア部を埋め込むためのビアホール66を形成し、ビアホール66を含む領域のシリコン酸化膜56及びSiOC膜54に、配線層を埋め込むための配線溝68を形成する(図9(b)を参照)。
【0084】
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚30nmのTaN膜よりなるバリアメタル層70と、例えば膜厚30nmのCu膜とを連続して堆積する。
【0085】
次いで、バリアメタル層70上に形成されたCu膜をシードとして、電解メッキにより更にCu膜を堆積し、例えばトータル膜厚1μmのCu膜72を形成する(図10(a)を参照)。
【0086】
次いで、CMP法により、シリコン窒化膜58が露出するまで、Cu膜72及びTaN膜よりなるバリアメタル層70を研磨し、シリコン窒化膜58上のCu膜72及びバリアメタル層70を除去する。こうして、ビアホール66内及び配線溝68内に埋め込まれ、TaN膜よりなりCuの拡散を防止するバリアメタル層70と配線層の主要部をなすCu膜72とを有する配線層74を形成する(図10(b)を参照)。配線層74は、ビアホール66に埋め込まれたビア部により配線層44に電気的に接続される。
【0087】
CMP法により配線層74を埋め込んだ後、配線層44を形成した場合と同様にして、層間絶縁膜60表面及び配線層74表面に対して、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う(図11(a)を参照)。窒素二流体処理を行うことにより、配線層74についても、高温環境下にさらされた場合に、配線層74のCu原子の移動が抑制され、配線層74内でのボイドの発生を抑制することができる。この結果、配線層74における導通不良の発生を抑制することができる。
【0088】
窒素二流体処理を行った後、配線層44を形成した場合と同様にして、層間絶縁膜60の表面及び配線層74の表面に対して水素プラズマを照射する。水素プラズマを照射することにより、層間絶縁膜60の表面及び配線層74の表面が清浄化され、層間絶縁膜60及び配線層74上に拡散防止膜を高い密着性で形成することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0089】
水素プラズマを照射した後、層間絶縁膜60及び配線層74上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのSiC膜76を形成する(図11(b)を参照)。SiC膜76は、配線層材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能する。
【0090】
以後、図7(a)乃至図11(b)に示す工程と同様の工程を適宜繰り返すことにより、MOSトランジスタが形成されたシリコン基板10上に、複数の配線層を有する多層配線構造を形成する。
【0091】
このように、本実施形態によれば、層間絶縁膜の配線溝やビアホール等の開口部に配線層となるTaN膜及びCu膜を埋め込んでCMP法により平坦化した後、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能するSiC膜を形成する前に、配線層の表面に対して、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行うので、高温環境下において配線層のCu原子の移動を抑制し、配線層内でのボイドの発生を抑制することができる。これにより、配線層のストレスマイグレーション耐性に優れた高い信頼性を有する半導体装置を提供することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、窒素二流体処理を行った後、層間絶縁膜の表面及び配線層の表面に対して水素プラズマを照射するので、層間絶縁膜の表面及び配線層の表面が清浄化され、層間絶縁膜及び配線層上に、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能するSiC膜を高い密着性で形成することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0093】
(評価結果)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法の評価結果について説明する。本実施形態による半導体装置の製造方法により製造された多層配線構造を有する半導体装置について、高温放置実験を行い、導通不良の発生率を測定した。
【0094】
高温放置実験は、本実施形態による半導体装置の製造方法により、5層の配線層を形成した後、シリコン酸化膜を層間絶縁膜としてアルミニウムよりなる電極パットを形成した半導体装置について行った。高温放置実験を行った実施例1、2は以下の通りである。
【0095】
実施例1は、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を30秒間行った場合である。アンモニア添加水素水中のアンモニア濃度は1ppm、アンモニア添加水素水の流量は150mL/min、窒素ガスの流量は50L/minとした。
【0096】
実施例2は、窒素二流体処理において、1MHz、60Wの超音波振動を印加したアンモニア添加水素水を用いた場合である。窒素二流体処理の処理時間、アンモニア添加水素水中のアンモニア濃度、アンモニア添加水素水の流量、窒素ガスの流量等の他の条件は、実施例1による場合と同様にした。
【0097】
高温放置実験では、半導体装置を放置する温度を200℃に設定し、放置時間70時間、170時間、340時間、及び500時間の場合についてそれぞれ導通不良の発生率を測定した。
【0098】
以下の比較例1、2についても同様の高温放置実験を行った。
【0099】
比較例1は、炭酸ガス封入水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行った場合である。炭酸ガス封入水としては、比抵抗0.2MΩ・cmのものを用いた。炭酸ガス封入水の流量は150mL/min、窒素ガスの流量は50L/minとした。
【0100】
比較例2は、配線溝内に配線層を埋め込みCMP法により平坦化した後、窒素二流体処理を行わずに直ちに拡散防止膜を形成した場合である。
【0101】
なお、比較例1、2のいずれの場合においても、窒素二流体処理においてアンモニア添加水素水に代えて炭酸封入水を用いる点又は窒素二流体処理を行わない点を除いては、実施例1、2による場合と同様に半導体装置を製造した。
【0102】
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2についての高温放置実験の結果は以下のようになった。
【0103】
実施例1の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ0%、2%、6%、10%であった。
【0104】
実施例2の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、いずれも0%であった。
【0105】
比較例1の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ1%、5%、11%、16%であった。
【0106】
比較例2の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ8%、27%、46%、52%であった。
【0107】
上記の高温放置実験の結果から、本実施形態による半導体装置の製造方法によれば、従来の場合と比較して、高温環境下にさらされた際の導通不良の発生率を大幅に低減することができることが確認された。また、実施例1の結果と実施例2の結果とを比較すると、アンモニア添加水素水に超音波振動を印加した実施例2の方が、導通不良の発生率がより低減されていることが分かる。
【0108】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による磁気ヘッドの製造方法について図12乃至図15を用いて説明する。図12は磁気ヘッドの構造を示す斜視図、図13乃至図15は本実施形態による磁気ヘッドの製造方法を示す工程断面図である。
【0109】
図12はハードディスク用の誘導型薄膜磁気ヘッドの構造を示しており、図13乃至図15は図12に示す誘導型薄膜磁気ヘッドにおける第1層目及び第2層目のコイルの製造工程を示している。なお、図13乃至図15においては、コイル以外の構成要素について適宜図示を省略している。また、以下では、再生ヘッドを省略して誘導型薄膜磁気ヘッドについてのみを説明する。
【0110】
まず、図12に示すように、スライダーの母体となるAl−TiC基板78上に、Al膜(図示せず)を成膜したのち、NiFe合金からなる所定パターンの下部磁気コア層80を設ける。
【0111】
次いで、下部磁気コア層80の上にスパッタリング法等によって、Alからなるライトギャップ層82を設ける。なお、この場合、後の工程において、下部磁気コア層80の上部磁気コア層122と接続する接続部81を露出させておく。
【0112】
次いで、ライトギャップ層82上にレジストを塗布し、所定パターンにパターニングした後、例えば200℃に加熱して硬化させることにより、例えば厚さ3.5μmの層間絶縁膜84を形成する。なお、図12においては、下部磁気コア層80と上部磁気コア層122とに挟まれた領域以外における層間絶縁膜は図示を省略している。
【0113】
次いで、層間絶縁膜84上にレジスト86を塗布し(図13(a)を参照)、第1層目の平面スパイラル状のコイルパターンを有する配線溝88を形成した後、例えば200℃に加熱して硬化させる。こうして、第1層目のコイルパターンを有する配線溝88が形成された例えば膜厚3μmの層間絶縁膜90を形成する(図13(b)を参照)。
【0114】
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚30nmのTaN膜よりなるバリアメタル層92と、例えば膜厚30nmのCu膜とを連続して堆積する。
【0115】
次いで、バリアメタル層92上に形成されたCu膜をシードとして、電解メッキにより更にCu膜を堆積し、例えばトータル膜厚3μmのCu膜94を形成する。
【0116】
次いで、CMP法により、層間絶縁膜90が露出するまで、Cu膜94及びバリアメタル層92を研磨し、層間絶縁膜90上のCu膜94及びバリアメタル層92を除去する。こうして、配線溝88内に埋め込まれ、TaN膜よりなりCuの拡散を防止するバリアメタル層92と配線層の主要部をなすCu膜94とを有する配線層96を形成する(図13(c)を参照)。配線層96は、第1層目の平面スパイラル状のコイルを構成する。
【0117】
CMP法により配線層96を埋め込んだ後、層間絶縁膜90の表面及び配線層96の表面に対して、アンモニア及び水素を純水に溶解させて調製したアンモニア添加水素水と、窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う(図14(a)を参照)。窒素二流体処理の条件は、例えば、処理時間を30秒、アンモニア添加水素水中のアンモニア濃度を1ppm、アンモニア添加水素水の流量を150mL/min、窒素ガスの流量を50L/minとする。なお、アンモニア添加水素水に超音波振動を予め印加し、層間絶縁膜90の表面及び配線層96の表面に対して、超音波振動が印加されたアンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付けてもよい。窒素二流体処理を行うことにより、高温環境下に磁気ヘッドがさらされた場合において配線層96のCu原子の移動が抑制され、配線層96内でのボイドの発生を抑制することができる。この結果、配線層96における導通不良の発生を抑制することができる。
【0118】
窒素二流体処理を行った後、層間絶縁膜90の表面及び配線層96の表面に対して水素プラズマを照射する。水素プラズマを照射することにより、層間絶縁膜90の表面及び配線層96の表面が清浄化され、層間絶縁膜90及び配線層96上に拡散防止膜を高い密着性で形成することができる。これにより、磁気ヘッドの信頼性を向上することができる。
【0119】
水素プラズマを照射した後、層間絶縁膜90及び配線層96上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのSiC膜98を形成する。SiC膜98は、配線層材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能する。
【0120】
次いで、SiC膜98上にレジストを塗布し、所定パターンにパターニングした後、例えば200℃に加熱して硬化させることにより、例えば膜厚3.5μmの絶縁膜100を形成する。
【0121】
こうして、SiC膜98と絶縁膜100とが順次積層されてなる層間絶縁膜102を形成する。
【0122】
次いで、層間絶縁膜102上にレジスト104を塗布し(図14(b)を参照)、第2層目の平面スパイラル状のコイルパターンを有する配線溝106を形成した後、例えば200℃に加熱して硬化させる。こうして、第2層目のコイルパターンを有する配線溝106が形成された例えば膜厚3μmの層間絶縁膜108を形成する(図14(c)を参照)。
【0123】
次いで、全面に、例えばスパッタ法により、例えば膜厚30nmのTaN膜よりなるバリアメタル層110と、例えば膜厚30nmのCu膜とを連続して堆積する。
【0124】
次いで、バリアメタル層110上に形成されたCu膜をシードとして、電解メッキにより更にCu膜を堆積し、例えばトータル膜厚3μmのCu膜112を形成する。
【0125】
次いで、CMP法により、層間絶縁膜108が露出するまで、Cu膜112及びバリアメタル層110を研磨し、層間絶縁膜108上のCu膜112及びバリアメタル層110を除去する。こうして、配線溝106内に埋め込まれ、TaN膜よりなりCuの拡散を防止するバリアメタル層110と配線層の主要部をなすCu膜112とを有する配線層114を形成する(図15(a)を参照)。配線層114は、第2層目の平面スパイラル状のコイルを構成する。
【0126】
CMP法により配線層114を埋め込んだ後、配線層96を形成した場合と同様にして、層間絶縁膜108の表面及び配線層114の表面に対して、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う(図15(b)を参照)。窒素二流体処理を行うことにより、高温環境下に磁気ヘッドがさらされた場合において配線層114のCu原子の移動が抑制され、配線層114内でのボイドの発生を抑制することができる。この結果、配線層114における導通不良の発生を抑制することができる。
【0127】
窒素二流体処理を行った後、配線層96を形成した場合と同様にして、層間絶縁膜108の表面及び配線層114の表面に対して水素プラズマを照射する。水素プラズマを照射することにより、層間絶縁膜108の表面及び配線層114の表面が清浄化され、層間絶縁膜108及び配線層114上に拡散防止膜を高い密着性で形成することができる。これにより、磁気ヘッドの信頼性を向上することができる。
【0128】
水素プラズマを照射した後、層間絶縁膜108及び配線層114上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのSiC膜116を形成する。SiC膜116は、配線層材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能する。
【0129】
次いで、SiC膜116上にレジストを塗布し、所定パターンにパターニングした後、例えば200℃に加熱して硬化させることにより、例えば膜厚3.5μmの絶縁膜118を形成する。
【0130】
こうして、SiC膜116と絶縁膜118とが順次積層されてなる層間絶縁膜120を形成する。
【0131】
次いで、スパッタリング法によってNiFeメッキシード層(図示せず)を設けたのち、メッキフレームとなるフォトレジストマスク(図示せず)を利用して、選択的にNiFeを電解メッキすることによって図12に示す上部磁気コア層122を形成し、次いで、フォトレジストマスクを除去したのち、イオンミーリングを施すことによって露出するNiFeメッキシード層を除去する。
【0132】
次いで、全面にAl膜を設けて保護膜(図示せず)としたのち、Al−TiC基板78を切断し、磁気コア先端部124の長さ、即ち、ギャップ深さを調整するために研削、研磨等のスライダー加工を行うことにより、図12に示す磁気ヘッドが完成する。図12においては、コア長をLで示している。
【0133】
このように、本実施形態によれば、層間絶縁膜の配線溝に配線層となるTaN膜及びCu膜を埋め込んでCMP法により平坦化した後、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能するSiC膜を形成する前に、配線層の表面に対して、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行うので、高温環境下において配線層のCu原子の移動を抑制し、配線層内でのボイドの発生を抑制することができる。これにより、高い信頼性を有する磁気ヘッドを提供することができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、窒素二流体処理を行った後、層間絶縁膜の表面及び配線層の表面に対して水素プラズマを照射するので、層間絶縁膜の表面及び配線層の表面が清浄化され、層間絶縁膜及び配線層上に、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜として機能するSiC膜を高い密着性で形成することができる。これにより、磁気ヘッドの信頼性を向上することができる。
【0135】
(評価結果)
次に、本実施形態による磁気ヘッドの製造方法の評価結果について説明する。本実施形態による磁気ヘッドの製造方法により製造された多層配線構造を有する磁気ヘッドについて、高温放置実験を行い、導通不良の発生率を測定した。
【0136】
高温放置実験を行った実施例3、4は以下の通りである。
【0137】
実施例3は、アンモニア添加水素水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を30秒間行った場合である。アンモニア添加水素水中のアンモニア濃度は1ppm、アンモニア添加水素水の流量は150mL/min、窒素ガスの流量は50L/minとした。
【0138】
実施例4は、実施例3におけるレジストよりなる絶縁膜84、90、100、108、118に代えて、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたPECVD法によりシリコン酸化膜を形成したものである。窒素二流体処理は、実施例3による場合と同様に行った。
【0139】
また、以下の比較例3、4についても同様の高温放置実験を行った。
【0140】
比較例3では、窒素二流体処理を行わなかった点を除いては、実施例3による場合と同様に磁気ヘッドを形成した。
【0141】
比較例4では、窒素二流体処理を行わなかった点を除いては、実施例4による場合と同様に磁気ヘッドを形成した。
【0142】
高温放置実験では、磁気ヘッドを放置する温度を、実施例3及び比較例3ではそれぞれ140℃に設定し、実施例4及び比較例4ではそれぞれ200℃に設定し、放置時間70時間、170時間、340時間、及び500時間の場合についてそれぞれ導通不良の発生率を測定した。
【0143】
実施例3、実施例4、比較例3、及び比較例4についての高温放置実験の結果は以下のようになった。
【0144】
実施例3の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ2%、4%、8%、15%であった。
【0145】
実施例4の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、いずれも0%であった。
【0146】
比較例3の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ15%、28%、48%、70%であった。
【0147】
比較例4の場合、放置時間70時間、170時間、340時間、500時間での導通不良の発生率は、それぞれ7%、25%、43%、56%であった。
【0148】
上記の高温放置実験の結果から、本実施形態による磁気ヘッドの製造方法によれば、従来の場合と比較して、高温環境下にさらされた際の導通不良の発生率を大幅に低減することができることが確認された。また、実施例3の結果と実施例4の結果とを比較すると、層間絶縁膜を構成する絶縁膜としてレジスト膜を用いた場合よりもシリコン酸化膜を用いた場合の方が、導通不良の発生率がより低減されていることが分かる。
【0149】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0150】
例えば、上記実施形態では、層間絶縁膜に、SiOC膜、シリコン酸化膜、レジスト膜等を用いる場合について説明したが、層間絶縁膜はこれらに限定されるものではなく、種々の絶縁膜を用いることができる。層間絶縁膜として、Si(シリコン)及びO(酸素)を含む無機系絶縁材料よりなる絶縁膜や、C(炭素)及びH(水素)を含む炭化水素等の有機系絶縁材料よりなる絶縁膜を広く用いることができる。
【0151】
また、上記実施形態では、配線材料であるCuの拡散を防止する拡散防止膜としてSiC膜を形成する場合について説明したが、Cuの拡散防止膜として形成する膜は、SiC膜に限定されるものではない。Cuの拡散防止膜として、SiC膜のほか、例えば、シリコン窒化膜、ポリイミド膜、ジルコニウムナイトライド膜等を形成してもよい。
【0152】
また、上記第1実施形態では、配線層74を形成するにあたっては、デュアルダマシンプロセスによりビアホール66内及び配線溝68内にTaN膜70及びCu膜72を同時に埋め込む場合について説明したが、シングルダマシンプロセスによりビアホール及び配線溝を別々に形成し、これらにTaN膜及びCu膜を別々に埋め込んでもよい。
【0153】
また、上記実施形態では、半導体装置、磁気ヘッドを製造する場合について説明したが、本発明は、Cuを主材料とする配線層を有する配線構造体の製造方法に広く適用することができる。
【0154】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
【0155】
(付記1)
絶縁膜に、開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、Cuを主材料とする配線層を形成する工程と、
前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0156】
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜及び前記配線層上に、Cuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0157】
(付記3)
付記2記載の半導体装置の製造方法において、
前記拡散防止膜は、SiC膜又はシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0158】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜の表面及び前記配線層の表面に対して水素プラズマを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0159】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程では、アンモニア及び水素を溶解させた前記純水に超音波振動を印加し、超音波振動が印加された前記純水と前記窒素ガスとを同時に吹き付ける
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0160】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線層を形成する工程では、前記開口部が形成された前記絶縁膜上に導電体膜を形成し、前記導電体膜を研磨することにより、前記絶縁膜を露出するとともに前記開口部内に前記導電体膜を埋め込み、前記導電体膜よりなる前記配線層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0161】
(付記7)
付記6記載の半導体装置の製造方法において、
前記開口部を形成する工程では、ビアホールと、前記ビアホールを含む領域に形成された配線溝とを有する前記開口部を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0162】
(付記8)
絶縁膜に、コイルパターンを有する開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、Cuを主材料とし、コイルを構成する配線層を形成する工程と、
前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程と
を有することを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0163】
(付記9)
付記8記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜及び前記配線層上に、Cuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0164】
(付記10)
付記9記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記拡散防止膜は、SiC膜又はシリコン窒化膜である
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0165】
(付記11)
付記8乃至10のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜の表面及び前記配線層の表面に対して水素プラズマを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0166】
(付記12)
付記8乃至11のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程では、アンモニア及び水素を溶解させた前記純水に超音波振動を印加し、超音波振動が印加された前記純水と前記窒素ガスとを同時に吹き付ける
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0167】
(付記13)
付記8乃至12のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記配線層を形成する工程では、前記開口部が形成された前記絶縁膜上に導電体膜を形成し、前記導電体膜を研磨することにより、前記絶縁膜を露出するとともに前記開口部内に前記導電体膜を埋め込み、前記導電体膜よりなる前記配線層を形成する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【0168】
(付記14)
付記8乃至13のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記絶縁膜は、Si及びOを含む無機系絶縁材料、又はC及びHを含む有機系絶縁材料よりなる
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】配線層上に拡散防止膜を形成した後の表面を二次イオン質量分析法によって分析した結果を示すグラフである。
【図2】配線層上に形成された拡散防止膜の表面粗さを測定した結果を示すグラフ(その1)である。
【図3】配線層上に形成された拡散防止膜の表面粗さを測定した結果を示すグラフ(その2)である。
【図4】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図6】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図7】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図8】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図9】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図10】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図11】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その8)である。
【図12】磁気ヘッドの構造を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態による磁気ヘッドの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図14】本発明の第2実施形態による磁気ヘッドの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図15】本発明の第2実施形態による磁気ヘッドの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【符号の説明】
【0170】
10…シリコン基板
12…素子分離膜
14…ゲート電極
16…ソース/ドレイン拡散層
18…シリコン窒化膜
20…PSG膜
22…SiC膜
24…層間絶縁膜
26…コンタクトホール
28…コンタクトプラグ
30…SiOC膜
32…シリコン酸化膜
34…層間絶縁膜
36…フォトレジスト膜
38…配線溝
40…バリアメタル層
42…Cu膜
44…配線層
46…ノズル
48…SiC膜
54…SiOC膜
56…シリコン酸化膜
58…シリコン窒化膜
60…層間絶縁膜
62…フォトレジスト膜
64…フォトレジスト膜
66…ビアホール
68…配線溝
70…バリアメタル層
72…Cu膜
74…配線層
76…SiC膜
78…Al−TiC基板
80…下部磁気コア層
81…接続部
82…ライトギャップ層
84…層間絶縁膜
86…レジスト
88…配線溝
90…層間絶縁膜
92…バリアメタル層
94…Cu膜
96…配線層
98…SiC膜
100…絶縁膜
102…層間絶縁膜
104…レジスト
106…配線溝
108…層間絶縁膜
110…バリアメタル層
112…Cu膜
114…配線層
116…SiC膜
118…絶縁膜
120…層間絶縁膜
122…上部磁気コア層
124…磁気コア先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に、開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、Cuを主材料とする配線層を形成する工程と、
前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜及び前記配線層上に、Cuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜の表面及び前記配線層の表面に対して水素プラズマを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程では、アンモニア及び水素を溶解させた前記純水に超音波振動を印加し、超音波振動が印加された前記純水と前記窒素ガスとを同時に吹き付ける
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記配線層を形成する工程では、前記開口部が形成された前記絶縁膜上に導電体膜を形成し、前記導電体膜を研磨することにより、前記絶縁膜を露出するとともに前記開口部内に前記導電体膜を埋め込み、前記導電体膜よりなる前記配線層を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記開口部を形成する工程では、ビアホールと、前記ビアホールを含む領域に形成された配線溝とを有する前記開口部を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
絶縁膜に、コイルパターンを有する開口部を形成する工程と、
前記開口部内に、Cuを主材料とし、コイルを構成する配線層を形成する工程と、
前記開口部内に埋め込まれた前記配線層の表面に対して、アンモニア及び水素を溶解させた純水と窒素ガスとを同時に吹き付ける窒素二流体処理を行う工程と
を有することを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜及び前記配線層上に、Cuの拡散を防止する拡散防止膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程の後に、前記絶縁膜の表面及び前記配線層の表面に対して水素プラズマを照射する工程を更に有する
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の磁気ヘッドの製造方法において、
前記窒素二流体処理を行う工程では、アンモニア及び水素を溶解させた前記純水に超音波振動を印加し、超音波振動が印加された前記純水と前記窒素ガスとを同時に吹き付ける
ことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−180420(P2007−180420A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379531(P2005−379531)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】