説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】Q値の高いモノリシックインダクタ素子を備える半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置50は、半導体基板1と、半導体基板1上に設けられた層間絶縁膜6と、層間絶縁膜6の上部に埋め込むように設けられ、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層7と、層間絶縁膜6上及び第1インダクタ配線層7上を覆うように設けられ、第1インダクタ配線層7に沿って延びる少なくとも一つの溝状接続孔10を有するバリア絶縁膜9と、バリア絶縁膜10上に、第1インダクタ配線層7に沿って延びるように形成されると共に、溝状接続孔10を埋め込んで第1インダクタ配線層7に電気的に接続された第2インダクタ配線層11とを備える。第2インダクタ配線層11は、その長さ方向に延びるように上面側に設けられた少なくとも一つの溝状凹部12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、インダクタ素子を有する半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造プロセスによって製造されるモノリシックインダクタ素子が、移動体通信分野等における高周波アナログ集積回路、特に、VCO(Voltage Controlled Oscillator)回路のような高周波共振回路に用いられている。インダクタ素子は、VCO回路の消費電流、ノイズ等の性能を決定する重要な素子であり、モノリシックインダクタ素子においても高性能(高Q値)が求められている。
【0003】
図7及び図8は、半導体製造プロセスにより製造された、従来のモノリシックインダクタ素子の平面構造及び断面構造を示す図である。
【0004】
図7に示すように、半導体製造プロセスによって製造された金属配線層107(一般には多層金属配線層の最上金属配線層)がスパイラルパターンに形成され、インダクタ素子のコイル部を構成している。
【0005】
また、金属配線層107のスパイラル内部側端に対し、金属配線層107よりも下層に設けられた金属配線層104がビア108を介して電気的に接続されている。更に、金属配線層104は、金属配線層107の下方を通って交差するようにスパイラル領域(スパイラルパターンの形成された領域)の外部に引き出され、回路端子(図示せず)と接続されている。この一方、金属配線層107のスパイラル外部側端は、金属配線層107が延長されることによりスパイラル領域の外側に引き出され、他の回路端子(図示せず)と接続されている。
【0006】
図8は、図7におけるVIII-VIII'線による断面図である。ここに示される通り、半導体基板101上に、絶縁分離層となる絶縁膜102、更にその上に第1の層間絶縁膜103が形成されている。第1の層間絶縁膜103の上部に埋め込まれるように、金属配線層104が形成されている。
【0007】
第1の層間絶縁膜103及び金属配線層104上を覆うように、第1のバリア絶縁膜105が形成され、更にその上に、第2の層間絶縁膜106が形成されている。第2の層間絶縁膜106の上部に埋め込まれるように金属配線層107が形成されている。また、図7に示した通り、金属配線層107のスパイラル内部側端の下方に金属配線層104の端部が位置している。この部分において、バリア絶縁膜105と第2の層間絶縁膜106とを貫通し、金属配線層104と金属配線層107とを電気的に接続するビア108が設けられている。
【0008】
尚、装置において、インダクタ素子を構成するスパイラルパターンの他にも最上層金属配線は設けられている。図8において、このような配線を金属配線層110として示している。また、金属配線層107及び金属配線層110と、第2の層間絶縁膜106とを覆うように、他のバリア絶縁膜109が形成されている。
【0009】
尚、特許文献1には、従来のモノリシックインダクタ素子においては一層の金属配線層により構成されていたコイル部について、2層の金属配線層を並列接続した構成が開示されている。これにより、配線抵抗(直流抵抗)を低減することができ、Q値が向上すると説明されている。
【特許文献1】特許第2986081号
【特許文献2】特開2003−209183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
インダクタ素子のQ値を向上するためには、インダクタ素子を形成する金属配線についての配線抵抗(直流抵抗)を低減し、更に、高周波動作における配線抵抗(高周波抵抗)を低減すること、インダクタ素子と半導体基板との間に発生する寄生容量を低減することが重要である。
【0011】
図7及び図8に示す従来のモノリシックインダクタ素子では、特許文献1にも記載されている通り、直流抵抗が高い。
【0012】
また、インダクタが高周波動作する際には、インダクタ素子に流れる電流が金属配線層の表面部に集中する効果が発生し、これは表皮効果と呼ばれる。このため、インダクタ素子の高周波抵抗は、配線の表面積によって大きな影響を受ける。従来のモノリシックインダクタ素子では、金属配線層の表面積が小さいことから、高周波抵抗も高くなっている。
【0013】
また、配線抵抗(直流抵抗)を小さくするために、インダクタ素子のスパイラルパターンを、最上層金属配線層とその下層の金属配線層とを並列接続した構造としている特許文献1の例では、該金属配線層と半導体基板との距離が小さくなっており、これは寄生容量が増大する一因となる。
【0014】
以上のようなことから、従来のモノリシックインダクタ素子において、比較的低いQ値(例えば、5未満)しか得られていない。このため、より高いQ値の得られるモノリシックインダクタ素子を実現することが課題となっている。
【0015】
以上に鑑み、本発明は、直流抵抗及び高周波抵抗が共に小さく、より高いQ値が得られるモノリシックインダクタ素子を備える半導体装置と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜の上部に埋め込むように設けられ、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層と、層間絶縁膜上及び第1インダクタ配線層上を覆うように設けられ、第1インダクタ配線層に沿って延び且つ縦方向に貫通する少なくとも一つの溝状接続孔を有するバリア絶縁膜と、バリア絶縁膜上に、第1インダクタ配線層に沿って延びるように形成されると共に、溝状接続孔を埋め込んで第1インダクタ配線層に電気的に接続された第2インダクタ配線層とを備え、第2インダクタ配線層は、その長さ方向に延びるように上面側に設けられた少なくとも一つの溝状凹部を有する。
【0017】
このような半導体装置によると、以下に説明する通り、半導体基板との間の寄生容量増加を抑制しながら、モノリシックインダクタ素子の直流抵抗及び高周波抵抗を共に低減することができる。
【0018】
まず、前記半導体装置が有するインダクタは、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層と第2インダクタ配線層とが並列されていることにより、従来構造に比べて大幅に低減された直流抵抗を有する。
【0019】
これと共に、第2インダクタ配線層が溝状接続孔を埋め込んでおり且つ上面側に溝状凹部を備えることにより、第2インダクタ配線層は上面側及び下面側に共に凹凸形状を有する。これによりインダクタの表面積を増加させることがき、表皮効果の発生する高周波動作時に電流の流れる部分が増加することから高周波抵抗についても大幅に低減される。
【0020】
これらのことから、インダクタのQ値を向上し、例えば10以上とすることができる。
【0021】
尚、第1インダクタ配線層よりも下方に形成され、第1インダクタ配線層の内側端部に対し少なくとも一つの金属ビアを介して電気的に接続された配線層を備え、配線層は、スパイラルパターンの外側にまで引き出されていることが好ましい。
【0022】
これにより、インダクタの内側端部からの電気的な引き出しを行なうことができる。
【0023】
また、溝状凹部は、溝状接続孔の上方に位置していてもよい。このような構造は、後に述べる製造方法に適している。
【0024】
また、溝状接続孔及び溝状凹部は、それぞれ複数設けられていることが好ましい。
【0025】
このようにすると、インダクタの表面積をより大きくすることができ、高周波抵抗の低減に有利である。
【0026】
また、第2インダクタ配線層の厚さは、第1インダクタ配線層の厚さよりも大きく、且つ、溝状接続孔の幅よりも小さいことが好ましい。
【0027】
第2インダクタ配線層を厚くすると、インダクタの抵抗(特に直流抵抗)を低減することができる。これは、インダクタのQ値向上に有利である。また、第2インダクタ配線層の厚さを溝状接続孔の幅よりも小さくすることにより、溝状凹部の形成を容易にすることができる。
【0028】
また、層間絶縁膜上部に埋め込むように形成され、第1インダクタ配線層と同じ材料からなる最上層配線層と、バリア絶縁膜上に形成され、第2インダクタ配線層と同じ材料からなるパッド電極とを備えることが好ましい。
【0029】
つまり、最上層配線層を形成している層を利用して第1インダクタ配線層が形成され、パッド電極を形成している層を利用して第2インダクタ配線層が形成されているのが良い。このようにすると、インダクタと半導体基板との間の距離が短くなるのを避けながら、複数層からなるインダクタを実現することができる。これらのことは、インダクタ抵抗の低減と寄生容量の低減とに有利である。
【0030】
また、第1インダクタ配線層は、Cu膜を含み、第2インダクタ配線層は、Al膜又はAlCu膜を含むことが好ましい。
【0031】
それぞれの材料の例として、このようなものを挙げることができる。特に、最上層配線層及びパッド電極を設ける場合には、このような材料を用いるのが良い。
【0032】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、層間絶縁膜を形成する工程(a)と、層間絶縁膜の上部に埋め込むように、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層を形成する工程(b)と、層間絶縁膜上及び第1インダクタ配線層上を覆うバリア絶縁膜を形成する工程(c)と、バリア絶縁膜に、第1インダクタ配線層に沿って延び且つ縦方向に貫通する少なくとも一つの溝状接続孔を形成する工程(d)と、バリア絶縁膜上に、第1インダクタ配線層に沿って延びると共に、溝状接続孔を埋め込んで第1インダクタ配線層に電気的に接続する第2インダクタ配線層を形成する工程(e)とを備え、工程(e)において、第2インダクタ配線層の長さ方向に延びるように上面側に少なくとも一つの溝状凹部を設ける。
【0033】
このような半導体装置の製造方法によると、先に説明した半導体装置を製造することができる。
【0034】
尚、工程(e)において、溝状接続孔内及びバリア絶縁膜上にAl又はAlCuからなる膜を低温スパッタ法により堆積した後、該膜を所定のパターンに形成する工程を含むことが好ましい。
【0035】
低温スパッタ法を用いると、溝状接続孔上方においてAl又はAlCuからなる膜の上面に生じる凹み形状がリフローによって失われるのを抑制することができる。これにより、第2インダクタ配線層の上面側において溝状凹部を容易に形成することができる。ここで、低温スパッタ法とは、一般的なスパッタ法が例えば200℃程度にて行なわれるのに対し、これよりも低い温度(例えば100℃程度)にて行なうスパッタ法である。
【0036】
また、低温スパッタ法は、100℃以上で且つ150℃以下の温度にて行なうことが好ましい。
【0037】
一般的なスパッタ法よりも低い温度範囲の具体例としてこのような温度範囲とすると、溝状凹部を容易に形成することができる。
【0038】
また、工程(e)は、溝状接続孔内及びバリア絶縁膜上にAl又はAlCuからなる膜を形成した後、所定領域の膜の上部をエッチング除去して溝状凹部を形成する工程を含むことが好ましい。
【0039】
このようにすると、溝状接続孔の深さ等とは関係なく溝状凹部を形成することができる。そのため、例えばより深い溝状凹部とすることにより、更にインダクタ素子の表面積を増加し、高周波抵抗の低減に貢献することができる。
【0040】
また、工程(b)において、層間絶縁膜の上部に埋め込むように第1インダクタ配線層と同じ材料からなる最上層配線層を形成し、工程(e)において、バリア絶縁膜上に、第2インダクタ配線層と同じ材料からなるパッド電極を形成することが好ましい。
【0041】
このようにすると、最上層配線層と同時に第1インダクタ配線層を形成すると共に、パッド電極と同時に第2インダクタ配線層を形成することができる。よって、新たな工程を追加することは不要であり、製造の工数及びコストの増加を抑制することができる。
【0042】
また、工程(a)よりも前に、半導体基板上に他の層間絶縁膜及びその上部に埋め込まれた配線層を形成する工程と、層間絶縁膜中に、配線層と第1インダクタ配線層とを電気的に接続するための少なくとも一つの金属ビアを形成する工程とを備え、配線層は、スパイラルパターンの外側にまで引き出されていることが好ましい。
【0043】
このようにすると、インダクタの内側端部からの電気的な引き出しを行なう配線層を設けることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の半導体装置及びその製造方法によると、インダクタの直流抵抗及び高周波抵抗を共に低減すると共に、インダクタと半導体基板との間の寄生容量を抑制することができる。これにより、高いQ値を有するモノリシックインダクタ素子を形成することができ、高周波アナログ回路の消費電流を大幅に低減することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、寸法、形状、材料等は、いずれも例示するものであって、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。
【0046】
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)は、本実施形態にて例示する半導体装置50が備えるモノリシックインダクタ素子の平面構成を模式的に示す図であり、図2は、半導体装置50の断面構成を模式的に示す図である。図1(a)及び(b)におけるII-II'線による断面が図2に含まれている。また、インダクタのIII-III'線による断面を拡大して図3に示している。尚、図2及び図3は、どちらも各層の厚さを強調して表現しており、強調の程度が異なる。図3の方が実際の形状(縦横の比率等)に近いとは言えるが、やはり正確に反映しているわけではない。
【0047】
図2に示す通り、例示的な半導体装置50は、半導体基板1を用いて形成されている。半導体基板1上には絶縁分離層となる絶縁膜2が形成され、その上に第1層間絶縁膜3が形成されている。絶縁膜2は、例えばSiO2 膜からなり、第1層間絶縁膜3は、例えばSiO2 膜からなっている。
【0048】
第1層間絶縁膜3の上部に、インダクタ素子の引き出し配線となる金属配線層4が設けられている。金属配線層4は、第1層間絶縁膜3に設けられた溝の側面及び底面に設けられたバリアメタル膜4aと、バリアメタル膜4aを介して前記の溝を充填するCu膜4bとを含む構造である。
【0049】
第1層間絶縁膜3上及び金属配線層4上を覆うように、例えばSiN膜からなり、Cuの拡散を防止するための第1バリア絶縁膜5が形成されている。該第1バリア絶縁膜5の上に、SiO2 膜からなる第2層間絶縁膜6が形成されている。
【0050】
第2層間絶縁膜6の上部に埋め込むように、インダクタ素子のコイル部の構成要素である第1インダクタ配線層7が形成されている。第1インダクタ配線層7は、バリアメタル膜7aとCu膜7bとを含む構造である。また、第1バリア絶縁膜5及び第2層間絶縁膜6を貫通し、金属配線層4と第1インダクタ配線層7を接続する金属ビア8が形成されている。
【0051】
第2層間絶縁膜6上及び第1インダクタ配線層7上を覆うように、例えばSiN膜からなる第2バリア絶縁膜9が形成されている。第2バリア絶縁膜9は、第1インダクタ配線層7上に沿って延び且つ縦方向(第2バリア絶縁膜9の厚さ方向)に貫通する溝状接続孔10を有している。
【0052】
更に、第2バリア絶縁膜9を介して第1インダクタ配線層7の上方に、第1インダクタ配線層7に沿って延びる第2インダクタ配線層11が形成されている。第2インダクタ配線層11は、バリアメタル膜11a及びAlCu膜11bを含む構造であり、溝状接続孔10を埋め込むようにして第1インダクタ配線層7と接続されている。
【0053】
また、第2インダクタ配線層11の上面側に、第2インダクタ配線層11の長さ方向に延びる溝状凹部12が形成されている。
【0054】
第2インダクタ配線層11は、下面側において、溝状接続孔10を埋め込む部分が凸形状となっていると共に、埋め面側において、溝状凹部12を有しており、上面側及び下面側のいずれについても凹凸の有る構造になっている。上面側及び下面側の凹凸は、いずれも、第2インダクタ配線層11が延びる方向(長さ方向)に沿って延びている。また、溝状凹部12は、溝状接続孔10の上方に配置されている。
【0055】
以上のように、第1インダクタ配線層7と、第2インダクタ配線層11とが並列され且つ溝状接続孔10の部分において接続されて、インダクタ素子のコイル部分が構成されている。
【0056】
次に、インダクタ素子を含む半導体装置50の平面構成について、図1(a)及び(b)を用いて説明する。
【0057】
図1(a)は、第1インダクタ配線層7上に(第2バリア絶縁膜9を介して)積層された第2インダクタ配線層11について示している。
【0058】
第1インダクタ配線層7及び第2インダクタ配線層11が積層され且つ同一のスパイラルパターンを形成している部分が、インダクタ素子のコイル部21となっている。これに対し、コイル部21の外部端子に接続されたコイル外部端子引き出し部23は、第1インダクタ配線層7だけからなる。コイル外部端子引き出し部23は、コイル部21の外部において、集積回路端子(図示せず)と接続している。
【0059】
スパイラルパターンの線幅は例えば5μm〜50μm程度、線間隔は例えば3μm以上である。
【0060】
また、第2インダクタ配線層11の上面側に形成された溝状凹部12が示されている。溝状凹部12は複数本(この例では三本)、第2インダクタ配線層11が延びる方向に沿って形成されている。また、溝状凹部12の下方には、第2バリア絶縁膜9に形成された溝状接続孔10が位置している。
【0061】
次に、図1(b)は、第1インダクタ配線層7と、第1インダクタ配線層7の下方に形成された金属配線層4とについて示している。金属配線層4は、インダクタ素子の内側端部に接続するための金属ビア8と共に、コイル外部端子引き出し部23を構成している。コイル外部端子引き出し部23は、第1インダクタ配線層7に対して下方を通って交差するようにコイル部21の外まで電気的な引き出しを行ない、更に、集積回路端子(図示せず)と接続している。
【0062】
半導体装置50は、インダクタ素子を構成する部分の他にも最上層配線層30を備え、これは、第1インダクタ配線層7と同様にバリアメタル膜30a及びCu膜30bを含む構造である。また、最上層配線層30に接続されたパッド電極31も備えられ、これは第2インダクタ配線層11と同様にバリアメタル膜31aとAlCu膜31bとを含む構造である。更に、引き出し配線としての金属配線層4の他に、集積回路を構成する他の金属配線層32も備えられ、これは、金属配線層4と同様にバリアメタル膜32aとCu膜32bとを含む構造である。これらに関しても、図1(a)及び(b)と図2に示している。
【0063】
次に、インダクタ素子のコイル部21の構造について、図3を用いて説明する。図3にも示す通り、インダクタ素子のコイル部21は、第1インダクタ配線層7と、その上方に第2バリア絶縁膜9を介して形成された第2インダクタ配線層11とを含む。第1インダクタ配線層7は、例えば、厚さ約20nmのバリアメタル膜7aと厚さ約600nmのCu膜7bとからなり、約40mΩ/□のシート抵抗を有する。また、第2インダクタ配線層11は、例えば、厚さ約130nmのバリアメタル膜11aと厚さ約2.5μmのAlCu膜11bとからなり、約10mΩ/□のシート抵抗を有する。第2バリア絶縁膜9は、例えばSiN膜であり、厚さは約500nmである。
【0064】
第2バリア絶縁膜9に設けられ、第1インダクタ配線層7と第2インダクタ配線層11とを並列接続する溝状接続孔10は、例えば幅が約3μm、間隔が約3μmであり、スパイラルパターンの線幅に応じた本数が形成される。
【0065】
半導体装置50のインダクタ素子において、第1インダクタ配線層7と第2インダクタ配線層11とからなる2層構造を有することにより、コイル部21におけるシート抵抗は約8mΩ/□となっている。このため、本実施形態にて例示する半導体装置50において、モノリシックインダクタ素子の直流抵抗は、図7及び図8に示す一層構造のインダクタ素子に比べて約五分の一に低減されている。更に、特許文献1に示された2層構造のインダクタ素子と比べても、直流抵抗は約三分の一である。このように直流抵抗を低くすることができることから、インダクタ素子のQ値を増大することができる。
【0066】
また、コイル部21において、第2インダクタ配線層11は、下面側において溝状接続孔10の部分が凸形状(段差約500nm)を有し、上面側において溝状凹部12による凹形状(段差約500nm)を有している。このように上下面に凹凸形状を有することにより、コイル部21の表面積を増大することができる。例えば、特許文献1の場合に比べると表面積を約10%増大することができる。また、溝状接続孔10及び溝状凹部12は共にコイル部21に沿って延びているため、これらの部分の表面付近において、コイル部21に沿って電流が流れることができる。これらのことから、表皮効果の発生する高周波動作時において、高周波抵抗を低減することができ、その結果としてQ値を向上することができる。
【0067】
また、第1インダクタ配線層7は、半導体装置50における最上層配線層30と同じ層に形成される。このため、インダクタ素子を半導体基板1から最大限まで離して形成することができる。例えば、Cu配線層を6層形成する場合、インダクタ素子と半導体基板との間の距離は、例示する半導体装置50において約5μmである。これに対し、例えば2層の配線層(最上層である第6層と、第5層)を並列接続している特許文献1の場合、前記の距離は約4μmである。このことから、インダクタ素子と半導体基板との間に生じる寄生容量を低減し、Q値を増大することができる。
【0068】
尚、パッド電極31と同じ層に形成する第2インダクタ配線層11については、比較的自由に膜厚を設定し、コイル部21の抵抗を低減するために利用できる。
【0069】
以上のように、本実施形態に例示した半導体装置50によると、モノリシックインダクタ素子において、直流抵抗、高周波抵抗及び寄生容量についていずれも大幅な低減が可能である。この結果、従来では一般に5未満程度であったQ値を向上し、例えば10以上とすることもできる。
【0070】
尚、図4(a)に示すように、第2インダクタ配線層11におけるAlCu膜11b上に、AlCu膜よりも電気伝導率の大きな金属膜13(金膜、銅膜等)を形成することにより、更に高周波抵抗を低減してQ値を向上することもできる。
【0071】
また、以上では、第2インダクタ配線層11について、溝状接続孔10を埋め込む下面側に凸の部分から、溝状凹部12以外の上面側に凸の部分までが一体に形成されている場合を説明している。しかし、図4(b)に示すように、上面側の凸部11c及び下面側の凸部dの一方又は両方が本体部11eとは別に形成され、これら複数の部分とバリアメタル膜11aとから成る第2インダクタ配線層11であっても構わない。
【0072】
また、以上において、コイル部21における第1インダクタ配線層7の全体の上に第2インダクタ配線層11が形成されており、これは望ましい構成である。しかし、これに限定はされない。例えば、コイル部21の外側端部又は内側端部付近において第2インダクタ配線層11が形成されていない領域を有する等は考えられる。
【0073】
また、溝状接続孔10及び溝状凹部12は、コイル部21の全体に亘って連続して形成されており、これも望ましい構成である。しかし、これには限定されない。溝状接続孔10、溝状凹部12が部分的に途切れていたり、形成されていない領域が部分的に存在したりしたとしても一定の効果は発揮され、このような例も考えられる。
【0074】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、第1の実施形態にて例示した半導体装置50の製造方法を説明する。図5(a)及び(b)、図6(a)及び(b)は、モノリシックインダクタ素子を含む半導体装置50の製造工程を説明するための模式的な断面図である。
【0075】
まず、図5(a)に示す工程を行なう。初めに、半導体基板1上に絶縁分離層となる絶縁膜2を形成し、その上に第1層間絶縁膜3を形成する。
【0076】
その後、第1層間絶縁膜3の上部に埋め込むように、インダクタ素子に対する引き出し配線となる金属配線層4を形成する。このために、まず第1層間絶縁膜3に対して金属配線層4のパターンを有する引き出し配線溝を形成した後、該引き出し配線溝の底面及び側面に対して膜厚約20nmのTaN膜をスパッタ法にて堆積してバリアメタル膜4aとする。尚、バリアメタル膜4aは、Cuの拡散防止及び酸化防止を目的として形成される。
【0077】
続いて、バリアメタル膜4a上に厚さ約100nmのCu膜をスパッタ法にて堆積した後、該Cu膜上を含む第1層間絶縁膜3上の全面に、電界メッキ法によりCu膜を堆積させる。更に、CMP(Chemical Mechanical Polishing )法により、引き出し配線溝からはみ出した不要な部分のCu膜及びTaN膜を研磨して除去する。このようにして、第1層間絶縁膜3の上部に形成した引き出し配線溝を埋め込むように、バリアメタル膜4aとCu膜4bとからなる金属配線層4が形成される。
【0078】
尚、引き出し配線となる金属配線層4と同じ工程により、集積回路を構成する等の他の金属配線層32も形成される。
【0079】
次に、図5(b)に示す工程を行なう。初めに、金属配線層4及び金属配線層32上を含む第1層間絶縁膜3上を覆うように、第1バリア絶縁膜5を形成する。このためには、CVD(Chemical Vapor Deposition )法を用い、膜厚約200nmのSiN膜を堆積する。第1バリア絶縁膜5は、Cuの拡散防止及び酸化防止のために設けられる。
【0080】
続いて、第1バリア絶縁膜5上に、CVD法によりSiO2 膜を形成した後、CMP法による平坦化を行ない、第2層間絶縁膜6を形成する。
【0081】
続いて、第2層間絶縁膜6の上部に、インダクタ素子のコイル部21のスパイラルパターンを有するコイル部配線溝を形成する。更に、コイル部配線溝内の所定の領域に、金属ビア8を形成するためのビア開口を形成する。ビア開口は、第2層間絶縁膜6及び第1バリア絶縁膜5を貫通して金属配線層4に達する。
【0082】
次に、コイル部配線溝及びビア開口の側面及び底面を覆うように、膜厚約20nmのTaN膜をスパッタ法にて堆積し、バリアメタル膜7aとする。これは、Cuの拡散防止及び酸化防止のために形成する。更に、前記バリアメタル膜7a上に、膜厚約100nmのCu膜をスパッタ法により堆積した後、該Cu膜上を含む第2層間絶縁膜6上の全面に、電界メッキ法によりCu膜を堆積させる。その後、CMP法により、コイル部配線溝からはみ出した不要な部分のCu膜及びTaN膜を研磨して除去する。このようにして、第2層間絶縁膜6の上部に形成したコイル部配線溝とビア開口とを埋め込むように、バリアメタル膜7aとCu膜7bとからなる第1インダクタ配線層7及び金属ビア8が形成される。
【0083】
尚、インダクタ素子を構成する第1インダクタ配線層7と同じ工程により、集積回路を構成する多層配線のうちの最上層配線層30(第1インダクタ配線層7以外の部分)も形成される。
【0084】
次に、図6(a)に示す工程を行なう。まず、第1インダクタ配線層7及び最上層配線層30上を含む第2層間絶縁膜6上の全面に、第2バリア絶縁膜としてSiN膜を形成する。これは、Cuの拡散防止及び酸化防止を目的として、CVD法により膜厚約500nmに堆積する。
【0085】
続いて、フォトリソグラフィ技術及びRIE(Reactive Ion Etching)技術を用い、第2バリア絶縁膜9に、第1インダクタ配線層7のCu膜7bに達する溝状接続孔10と、最上層配線層30のCu膜30bに達する開口33とを形成する。
【0086】
次に、図6(b)に示す工程を行なう。初めに、第2バリア絶縁膜9上、溝状接続孔10内に、スパッタ法により膜厚約30nmのTi膜を形成し、その上に膜厚約100nmのTiN膜を堆積し、バリアメタル膜11aとする。その後、スパッタ法により、バリアメタル膜11a上に膜厚約2.5μmのAlCu膜11bを堆積する。バリアメタル膜11aは、Cuの拡散防止及び酸化防止のために形成される。
【0087】
ここで、AlCu膜11b形成のためのスパッタは、比較的低温の条件、例えば約100℃において行なう。このような低温スパッタを行なうと、溝状接続孔10内にAlCuが充填されると共に、第2バリア絶縁膜9に対する溝状接続孔10の凹み形状がAlCu膜11b上に転写され、AlCu膜11bの上面側に溝状凹部12が形成される。これは、低温の条件であるためにAlCuのリフローが抑制されるためである。
【0088】
このように、第2インダクタ配線層11は、下面側において溝状接続孔10を埋める部分を有すると共に、上面側に溝状凹部12を有することにより、上面及び下面の両方に凹凸形状を備えることになる。これにより、インダクタ素子の表面積が増加し、高周波抵抗が低減される。
【0089】
尚、一般のスパッタは、例えば200℃程度の条件にて行なわれる。また、低温スパッタの温度について、前記では一例として約100℃としたが、スパッタが可能であり且つリフローを抑制することのできる温度範囲であればよい。例えば、100〜150℃程度の範囲である。
【0090】
続いて、リソグラフィ技術及びRIE技術を用い、バリアメタル膜11a及びAlCu膜11bを第1インダクタ配線層7に沿って延びるスパイラルパターンに形成し、第2インダクタ配線層11とする。これにより、第1インダクタ配線層7上に、溝状接続孔10の部分を通じて第2インダクタ配線層11が並列接続されたインダクタ素子が形成される。
【0091】
尚、第2インダクタ配線層11と同時に、最上層配線層30の所定の部分上に、開口33を通じて最上層配線層30と接続するパッド電極31も形成される。
【0092】
以上のようにして、2層の金属層(インダクタ配線層)を並列接続した積層構造のモノリシックインダクタ素子を含む半導体装置50が形成される。
【0093】
インダクタを構成する2層の金属層のうちの上側の層(第2インダクタ配線層11)は、パッド電極31の層を利用して形成するため、集積回路の配線形成に関するルールに制約されることなく厚膜化することができる。これによって、インダクタの直流抵抗を大きく低減することができる。また、パッド電極31と同時に形成することにより、製造工程を増やすことなく製造することができる。
【0094】
また、インダクタ素子を構成する2層の金属層のうちの下側の層(第1インダクタ配線層7)は、半導体基板1から最も離れた配線層である最上層配線層30と同じ層を利用して形成する。このため、インダクタ素子と半導体基板1との距離を大きくして、寄生容量を低減することができる。また、従来に対して製造工程を増やすことなく製造することができる。
【0095】
また、低温スパッタ法を用いてAlCu膜11bを形成することにより、溝状接続孔10の凹形状を上に溝状凹部12として転写することができる。このため、第2インダクタ配線層11の上面側に凹凸形状を設けるために新たな工程を必要とすることはない。
【0096】
このように、第1の実施形態にて説明した効果を有する半導体装置50は、製造工程の増加を避けて製造することができる。
【0097】
但し、第2インダクタ配線層11の形成方法として他の方法を取っても良い。例えば、次のような方法も考えられる。
【0098】
つまり、図6(b)にいてバリアメタル膜11aを形成した後、通常のスパッタ法等によりAlCu膜11bを形成する。この際、AlCu膜11bの上面は平坦になっても良い。次に、フォトリソグラフィ技術及びRIE技術を用い、AlCu膜11bの上部をエッチングし、所定のパターンの溝状凹部12を形成する。その後、更にフォトリソグラフィ技術及びRIE技術を用い、第1インダクタ配線層7のスパイラルパターンに沿って延びる形状にAlCu膜11bを形成し、バリアメタル膜11aと共に第2インダクタ配線層11とする。
【0099】
このような方法によると、製造工程は増加することになるが、溝状凹部12の形状についての自由度が増す。つまり、溝状接続孔10の深さ、幅、数等とは関わりなく溝状凹部12を形成することができ、特に、溝状接続孔10よりも深い溝状凹部12を形成することもできる。このため、第2インダクタ配線層11の表面積を更に増加することができ、高周波抵抗の低減に貢献する。
【0100】
また、第2インダクタ配線層11におけるAlCu膜11b上に、AlCu膜11bよりも伝導率を大きな金属膜(金膜、銅膜等)を形成する工程(図4(a)の構造を設ける工程)を更に備えていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本開示の半導体装置及びその製造方法は、Q値が高い(例えば10以上)モノリシックインダクタ素子を備える半導体装置を実現し、高周波アナログ集積回路の高性能化にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に例示する半導体装置が備えるインダクタ素子の平面構成を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に例示する半導体装置の要部断面を説明する図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に例示する半導体装置におけるインダクタ素子の断面構造を説明する図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に例示する半導体装置におけるインダクタ素子の変形例の断面構造を説明する図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明するための図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、図5(b)に続き、本発明の一実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明するための図である。
【図7】図7は、従来の半導体装置におけるインダクタ素子の平面構成を示す図である。
【図8】図8は、従来の半導体装置の断面を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 半導体基板
2 絶縁膜
3 第1層間絶縁膜
4 金属配線層
4a バリアメタル膜
4b Cu膜
5 第1バリア絶縁膜
6 第2層間絶縁膜
7 第1インダクタ配線層
7a バリアメタル膜
7b Cu膜
8 金属ビア
9 第2バリア絶縁膜
10 溝状接続孔
11 第2インダクタ配線層
11a バリアメタル膜
11b AlCu膜
12 溝状凹部
21 コイル部
23 コイル外部端子引き出し部
30 最上層配線層
30a バリアメタル膜
30b Cu層
31 パッド電極
31a バリアメタル膜
31b AlCu膜
32 金属配線層
32a バリアメタル膜
32b Cu膜
33 開口
50 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられた層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上部に埋め込むように設けられ、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層と、
前記層間絶縁膜上及び前記第1インダクタ配線層上を覆うように設けられ、前記第1インダクタ配線層に沿って延び且つ縦方向に貫通する少なくとも一つの溝状接続孔を有するバリア絶縁膜と、
前記バリア絶縁膜上に、前記第1インダクタ配線層に沿って延びるように形成されると共に、前記溝状接続孔を埋め込んで前記第1インダクタ配線層に電気的に接続された第2インダクタ配線層とを備え、
前記第2インダクタ配線層は、その長さ方向に延びるように上面側に設けられた少なくとも一つの溝状凹部を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1インダクタ配線層よりも下方に形成され、前記第1インダクタ配線層の内側端部に対し少なくとも一つの金属ビアを介して電気的に接続された配線層を備え、
前記配線層は、前記スパイラルパターンの外側にまで引き出されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記溝状凹部は、前記溝状接続孔の上方に位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つにおいて、
前記溝状接続孔及び前記溝状凹部は、それぞれ複数設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つにおいて、
前記第2インダクタ配線層の厚さは、前記第1インダクタ配線層の厚さよりも大きく、且つ、前記溝状接続孔の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つにおいて、
前記層間絶縁膜上部に埋め込むように形成され、前記第1インダクタ配線層と同じ材料からなる最上層配線層と、
前記バリア絶縁膜上に形成され、前記第2インダクタ配線層と同じ材料からなるパッド電極とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つにおいて、
前記第1インダクタ配線層は、Cu膜を含み、
前記第2インダクタ配線層は、Al膜又はAlCu膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
半導体基板上に、層間絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記層間絶縁膜の上部に埋め込むように、スパイラルパターンを有する第1インダクタ配線層を形成する工程(b)と、
前記層間絶縁膜上及び前記第1インダクタ配線層上を覆うバリア絶縁膜を形成する工程(c)と、
前記バリア絶縁膜に、前記第1インダクタ配線層に沿って延び且つ縦方向に貫通する少なくとも一つの溝状接続孔を形成する工程(d)と、
前記バリア絶縁膜上に、前記第1インダクタ配線層に沿って延びると共に、前記溝状接続孔を埋め込んで前記第1インダクタ配線層に電気的に接続する第2インダクタ配線層を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(e)において、前記第2インダクタ配線層の長さ方向に延びるように上面側に少なくとも一つの溝状凹部を設けることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記工程(e)は、前記溝状接続孔内及び前記バリア絶縁膜上にAl又はAlCuからなる膜を低温スパッタ法により堆積した後、前記膜を所定のパターンに形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記低温スパッタ法は、100℃以上で且つ150℃以下の温度にて行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一つにおいて、
前記工程(e)は、前記溝状接続孔内及び前記バリア絶縁膜上にAl又はAlCuからなる膜を形成した後、所定領域の前記膜の上部をエッチング除去して前記溝状凹部を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一つにおいて、
前記工程(b)において、前記層間絶縁膜の上部に埋め込むように前記第1インダクタ配線層と同じ材料からなる最上層配線層を形成し、
前記工程(e)において、前記バリア絶縁膜上に、前記第2インダクタ配線層と同じ材料からなるパッド電極を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一つにおいて、
前記工程(a)よりも前に、前記半導体基板上に他の層間絶縁膜及びその上部に埋め込まれた配線層を形成する工程と、
前記層間絶縁膜中に、前記配線層と前記第1インダクタ配線層とを電気的に接続するための少なくとも一つの金属ビアを形成する工程とを備え、
前記配線層は、前記スパイラルパターンの外側にまで引き出されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−141097(P2010−141097A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315511(P2008−315511)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】