説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減できるCMISトランジスタを有する半導体装置を提供する。
【解決手段】pチャネルトランジスタは、半導体基板100における第1の領域上に形成された第1のゲート構造150Aと、第1のゲート構造150Aの側壁上に形成された第1のスペーサ構造とを有する。nチャネルトランジスタは、半導体基板100における第2の領域上に形成された第2のゲート構造150Bと、第2のゲート構造150Bの側壁上に形成された第2のスペーサ構造とを有する。第1のスペーサ構造における第1のゲート構造150Aの側壁との接触部分の含有酸素濃度は、第2のスペーサ構造における第2のゲート構造150Bの側壁との接触部分の含有酸素濃度よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、CMISトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、CMIS(complementary metal insulator semiconductor )トランジスタのゲート構造を構成するゲート絶縁膜及びゲート電極として、従来のシリコン酸化膜及びポリシリコン膜に代えて、高誘電率酸化膜及び金属含有膜(いわゆるhigh-k/メタル構造)を用いる技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、high-k/ポリシリコン構造やhigh-k/メタル構造は、その界面や側面が酸化されやすいという短所を有している。例えば、ゲート構造の側壁に設けられるスペーサ構造として、シリコン酸化膜からなる従来のオフセットスペーサを用いた場合、ゲート構造の界面や側面等に固定電荷が発生して、ゲート電極の実効仕事関数が変化する。その結果、ゲート端部の影響が顕著となる短チャネル領域(例えばゲート長が100nm以下のゲート構造)において、閾値電圧が大きく変化する。また、シリコン酸化膜からなる従来のオフセットスペーサを用いた場合、ゲート構造中の金属含有膜が酸化されてしまうという問題点もある。
【0004】
それに対して、非特許文献1や特許文献1には、オフセットスペーサとして、従来のシリコン酸化膜に代えて、非酸化性のシリコン窒化膜を用いる技術が提案されている。
【0005】
他方、スペーサ構造として、従来、シリコン窒化膜からなるサイドウォールスペーサも用いられてきたが、これは、微細化に伴ってフリンジ容量の相対的な増大をもたらし、その結果、駆動能力向上を妨げる一因となりつつある。
【0006】
それに対して、非特許文献2には、サイドウォールスペーサ材料として、シリコン窒化膜よりも誘電率の低い材料を用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6049114号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】T. Watanabe 他、Impact of Hf Concentration on Performance and Reliability for HfSiON-CMOSFET、2004 International Electron Devices Meeting 、2004年12月、p.507-510
【非特許文献2】C.H.Ko 他、A Novel CVD-SiBCN Low-K Spacer Technology for High-Speed Applications、2008 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers、2008年6月、p.108-109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6(a)は、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサを用いた従来のCMOS(complementary metal oxide semiconductor )トランジスタの断面構成を示している。図6(a)に示すように、STI(shallow trench isolation)11によって半導体基板10がNMOS領域10AとPMOS領域10Bとに区画されている。NMOS領域10B上には、下層のSiON膜12A及び上層のhigh-k膜13Aからなるゲート絶縁膜14Aを介して、金属含有膜からなるメタルゲート電極15Aが形成されている。PMOS領域10B上には、下層のSiON膜12B及び上層のhigh-k膜13Bからなるゲート絶縁膜14Bを介して、金属含有膜からなるメタルゲート電極15Bが形成されている。ここで、メタルゲート電極15A及び15Bに代えて、ゲート14A及び14Bと接する下層の金属含有膜と上層のポリシリコン膜とからなる多層膜ゲート電極を形成してもよい。ゲート絶縁膜14A及びメタルゲート電極15AからなるNMOSゲート構造の側壁上には、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサ16A、L字サイドウォールスペーサ17A及びLDD(lightly doped drain )サイドウォールスペーサ18Aが順次形成されている。ゲート絶縁膜14B及びメタルゲート電極15BからなるPMOSゲート構造の側壁上には、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサ16B、L字サイドウォールスペーサ17B及びLDD(lightly doped drain )サイドウォールスペーサ18Bが順次形成されている。NMOS領域10Aにおけるスペーサ構造の下側にはn型LDD領域19Aが形成されていると共に、n型LDD領域19Aの外側にはn型ソース・ドレイン領域20Aが形成されている。PMOS領域10Bにおけるスペーサ構造の下側にはp型LDD領域19Bが形成されていると共に、p型LDD領域19Bの外側にはn型ソース・ドレイン領域20Bが形成されている。
【0010】
図6(a)に示す従来のCMOSトランジスタのように、オフセットスペーサにシリコン酸化膜を用いた場合、前述のように、ゲート構造の界面や側面等に負の固定電荷が発生して、ゲート電極の実効仕事関数が変化する。図7(a)は、ゲート構造中に固定電荷が発生する前の仕事関数(WF)を示し、図7(b)は、ゲート構造中に負の固定電荷が発生した後の実効仕事関数(eWF)を示している。尚、図7(a)及び(b)において、PSはポリシリコン電極、Metalは金属電極、HKはhigh-k層、ILは界面層、Si−subはシリコン基板、CBは伝導帯、VBは価電子帯を表す。図7(b)に示すように、ゲート構造中に負の固定電荷が発生すると、実効仕事関数は通常増大する。これは、閾値電圧からみれば、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増大して不利になる一方、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少して有利になる。
【0011】
図8(a)は、界面層及びHfSiONからなるhigh-k層の積層構造を持つゲート絶縁膜と、ポリシリコン(Poly−Si)からなるゲート電極とから構成されたゲート構造の側壁上に、シリコン酸化膜(SiO2 膜)からなるオフセットスペーサ(OSS)が形成された場合に、ゲート絶縁膜中に負の固定電荷(Fix charge)が生じている様子を示している。また、図8(b)は、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれのオフセットスペーサにSiO2 膜を用いた場合におけるゲート長と閾値電圧との関係を示している。図8(b)に示すように、オフセットスペーサにSiO2 膜を用いた場合、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増大している一方、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少している。
【0012】
図6(b)は、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサを用いた従来のCMOSトランジスタの断面構成を示している。尚、図6(b)において、図6(a)に示す従来のCMOSトランジスタと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。図6(b)に示す従来のCMOSトランジスタが、図6(a)に示す従来のCMOSトランジスタと異なっている点は、ゲート絶縁膜14A及びメタルゲート電極15AからなるNMOSゲート構造の側壁上に、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサ16Aに代えて、非酸化性のシリコン窒化膜からなるオフセットスペーサ21Aが形成されていると共に、ゲート絶縁膜14B及びメタルゲート電極15BからなるPMOSゲート構造の側壁上に、シリコン酸化膜からなるオフセットスペーサ16Bに代えて、非酸化性のシリコン窒化膜からなるオフセットスペーサ21Bが形成されていることである。
【0013】
図6(b)に示す従来のCMOSトランジスタのように、オフセットスペーサに非酸化性のシリコン窒化膜を用いた場合、ゲート構造の界面や側面等に、(シリコン酸化膜を用いた場合と比べて)相対的に正の固定電荷が発生して、ゲート電極の実効仕事関数が変化する。図7(a)は、ゲート構造中に固定電荷が発生する前の仕事関数(WF)を示し、図7(c)は、ゲート構造中に正の固定電荷が発生した後の実効仕事関数(eWF)を示している。尚、図7(a)及び(c)において、PSはポリシリコン電極、Metalは金属電極、HKはhigh-k層、ILは界面層、Si−subはシリコン基板、CBは伝導帯、VBは価電子帯を表す。図7(c)に示すように、ゲート構造中に正の固定電荷が発生すると、実効仕事関数は通常減少する。これは、閾値電圧からみれば、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少して有利になる一方、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増加して不利になる。
【0014】
図8(b)は、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれのオフセットスペーサにSiN膜を用いた場合におけるゲート長と閾値電圧との関係を示している。図8(b)に示すように、オフセットスペーサにSiN膜を用いた場合、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少している一方、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増加している。
【0015】
尚、フリンジ容量の観点からは、オフセットスペーサとして、シリコン酸化膜に代えてシリコン窒化膜を用いると、シリコン窒化膜の誘電率がシリコン酸化膜の誘電率よりも高いことに起因して容量が増大してしまうというデメリットが生じる。
【0016】
前記に鑑み、本発明は、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減できるCMISトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために種々の検討を行った結果、本願発明者らは、pチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造材料として、例えばシリコン酸化膜等の酸化性絶縁膜を用いる一方、nチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造材料として、例えばシリコン窒化膜等の非酸化性絶縁膜を用いるという発明を想到した。
【0018】
すなわち、本発明に係る半導体装置は、半導体基板における第1の領域上に形成された第1のゲート構造と、前記第1のゲート構造の側壁上に形成された第1のスペーサ構造とを有するpチャネルトランジスタと、前記半導体基板における第2の領域上に形成された第2のゲート構造と、前記第2のゲート構造の側壁上に形成された第2のスペーサ構造とを有するnチャネルトランジスタとを備え、前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度は、前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度よりも高い。
【0019】
本発明に係る半導体装置によると、pチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造の含有酸素濃度(具体的には酸素のatomic %:以下同じ)が高いため、ゲート電極の実効仕事関数を増大させることができるので、pチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。また、nチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造の含有酸素濃度が低いため、ゲート電極の実効仕事関数を減少させることができるので、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。従って、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減して駆動力を向上させたCMISトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接する第1のオフセットスペーサを含み、前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと異なる絶縁膜からなる第2のオフセットスペーサを含んでいてもよい。この場合、前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して形成され且つ前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサをさらに含んでいてもよい。或いは、前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して形成され且つ前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサをさらに含んでいてもよい。尚、前記第1のオフセットスペーサ及び前記第2のオフセットスペーサのそれぞれの幅は特に限定されるものではないが、閾値電圧低減効果の点からは5nm以上であることが好ましく、微細化の点からは10nm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接するオフセットスペーサを含み、前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと異なる絶縁膜からなるサイドウォールスペーサを含んでいてもよい。この場合、前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して形成され且つ前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサをさらに含んでいてもよい。また、本発明に係る半導体装置において、前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接するサイドウォールスペーサを含み、前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記サイドウォールスペーサと異なる絶縁膜からなるオフセットスペーサを含んでいてもよい。この場合、前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して形成され且つ前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサをさらに含んでいてもよい。尚、前記オフセットスペーサの幅は特に限定されるものではないが、閾値電圧低減効果の点からは5nm以上であることが好ましく、微細化の点からは10nm以下であることが好ましい。また、前記サイドウォールスペーサは、L字サイドウォールスペーサであるか、LDDサイドウォールスペーサであるか、又は、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサの順に形成された積層サイドウォールスペーサであってもよい。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分は、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜から構成されていてもよい。このようにすると、pチャネルトランジスタのゲート電極の実効仕事関数を確実に増大させ、それにより、pチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を確実に減少させることができる。また、本発明に係る半導体装置において、前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分は、シリコン窒化膜、又は酸素を実質的に含まない比誘電率8未満の低誘電率絶縁膜から構成されていてもよい。このようにすると、nチャネルトランジスタのゲート電極の実効仕事関数を確実に減少させ、それにより、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を確実に減少させることができる。この場合、前記低誘電率絶縁膜は、SiC膜、BN膜、SiBCN膜又はSiBN膜であってもよい。尚、本発明に係る半導体装置において、CMIS全体として、スペーサ構造への比誘電率の高い材料の使用を最小限に抑制することにより、或いは、スペーサ構造への低誘電率材料の使用を促進することにより、フリンジ容量を抑えて駆動能力を向上させることができる。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、前記第1のゲート構造及び前記第2のゲート構造はそれぞれ、高誘電率絶縁膜、及び前記高誘電率絶縁膜上に形成された金属含有膜を含んでいてもよい。
【0024】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板におけるpチャネルトランジスタ形成領域及びnチャネルトランジスタ形成領域のそれぞれの上に第1のゲート構造及び第2のゲート構造を形成するゲート形成工程と、前記第1のゲート構造及び前記第2のゲート構造のそれぞれの側壁上に第1のスペーサ構造及び第2のスペーサ構造を形成するスペーサ形成工程とを備え、前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度は、前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度よりも高い。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、pチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造の含有酸素濃度が高いため、ゲート電極の実効仕事関数を増大させることができるので、pチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。また、nチャネルトランジスタのゲート構造側壁に接触する部分のスペーサ構造の含有酸素濃度が低いため、ゲート電極の実効仕事関数を減少させることができるので、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。従って、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減して駆動力を向上させたCMISトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。尚、各トランジスタのゲート構造の形成順は特に限定されるものではなく、例えば、各トランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極にそれぞれ同じ材料を用いて各トランジスタのゲート構造を同時に形成してもよい。
【0026】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記スペーサ形成工程は、前記第1のゲート構造の側壁と接する第1のオフセットスペーサを形成する工程と、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと異なる絶縁膜からなる第2のオフセットスペーサを形成する工程とを含んでいてもよい。ここで、各オフセットスペーサの形成順は特に限定されるものではなく、第1のオフセットスペーサを形成してから第2のオフセットスペーサを形成してもよいし、第2のオフセットスペーサを形成してから第1のオフセットスペーサを形成してもよい。また、前記第1のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記第2のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成してもよい。ここで、前記第1のゲート構造の側壁上に形成した当該他のオフセットスペーサをさらに除去してもよい。或いは、前記第2のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁と接し且つ前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記第1のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成してもよい。ここで、前記第2のゲート構造の側壁上に形成した当該他のオフセットスペーサをさらに除去してもよい。さらに、前記スペーサ形成工程は、前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して第1のサイドウォールスペーサを形成する工程と、前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して第2のサイドウォールスペーサを形成する工程とを含んでいてもよい。ここで、前記第1のサイドウォールスペーサ及び前記第2のサイドウォールスペーサはそれぞれ、L字サイドウォールスペーサを含んでいてもよいし、前記第1のサイドウォールスペーサ及び前記第2のサイドウォールスペーサとして、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサを順次形成した後、当該各LDDサイドウォールスペーサを除去してもよい。
【0027】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記スペーサ形成工程は、前記第1のゲート構造の側壁と接するオフセットスペーサを形成する工程と、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと異なる絶縁膜からなるサイドウォールスペーサを形成する工程とを含んでいてもよい。この場合、前記オフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記サイドウォールスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサを形成してもよい。また、本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記スペーサ形成工程は、前記第1のゲート構造の側壁と接するサイドウォールスペーサを形成する工程と、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記サイドウォールスペーサと異なる絶縁膜からなるオフセットスペーサを形成する工程とを含んでいてもよい。この場合、前記オフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記サイドウォールスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサを形成してもよい。尚、前記サイドウォールスペーサ及び前記他のサイドウォールスペーサはそれぞれ、L字サイドウォールスペーサを含んでいてもよいし、前記サイドウォールスペーサ及び前記他のサイドウォールスペーサとして、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサを順次形成した後、当該各LDDサイドウォールスペーサを除去してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る半導体装置によると、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減できる高性能化CMISトランジスタを有する半導体装置を得ることができる。
【0029】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によると、性能のみならず加工性の観点でも優れた前述の半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)〜(d)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(d)はそれぞれ、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【図4】図4(a)〜(d)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】図5(a)〜(d)はそれぞれ、第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の断面図である。
【図6】図6(a)、(b)はそれぞれ、従来の半導体装置の断面図である。
【図7】図7(a)は、ゲート構造中に固定電荷が発生する前の仕事関数(WF)を示す図であり、図7(b)は、ゲート構造中に負の固定電荷が発生した後の実効仕事関数(eWF)を示す図であり、図7(c)は、ゲート構造中に正の固定電荷が発生した後の実効仕事関数(eWF)を示す図である。
【図8】図8(a)は、界面層及びHfSiONからなるhigh-k層の積層構造を持つゲート絶縁膜と、ポリシリコン(Poly−Si)からなるゲート電極とから構成されたゲート構造の側壁上に、シリコン酸化膜(SiO2 膜)からなるオフセットスペーサ(OSS)が形成された場合に、ゲート絶縁膜中に負の固定電荷(Fix charge)が生じている様子を示す図であり、図8(b)は、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれのオフセットスペーサにSiO2 膜及びSiN膜をそれぞれ用いた場合におけるゲート長と閾値電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1(a)〜(d)は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0033】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板100に例えばSTI構造の素子分離領域101を形成することにより、nチャネルトランジスタ形成領域(以下、nMIS領域という)100Aとpチャネルトランジスタ形成領域(以下、pMIS領域という)100Bとを区画する。次に、nMIS領域100A上に、下層の界面層102A及び上層のhigh-k層103Aからなるゲート絶縁膜104Aを介して、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなるゲート電極105Aを形成すると共に、pMIS領域100B上に、下層の界面層102B及び上層のhigh-k層103Bからなるゲート絶縁膜104Bを介して、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなるゲート電極105Bを形成する。具体的には、半導体基板100上に、界面層102A及び102Bとなる例えばシリコン酸化膜、high-k層103A及び103Bとなる高誘電率絶縁膜(例えばHfSiON膜)、金属含有膜、並びにポリシリコン膜を順次形成した後、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれのゲート形成領域を覆うマスクパターンを用いて前述のように積層された各膜に対してエッチングを行う。これにより、ゲート絶縁膜104A及びゲート電極105Aからなるnチャネルトランジスタのゲート構造150Aが形成されると共に、ゲート絶縁膜104B及びゲート電極105Bからなるpチャネルトランジスタのゲート構造150Bが形成される。
【0034】
次に、半導体基板100上の全面に亘って、酸化性膜(含有酸素濃度(具体的には酸素のatomic %)が高い膜)、例えばシリコン酸化膜を堆積した後、当該シリコン酸化膜に対してエッチバックを行う。これによって、図1(a)に示すように、ゲート構造150A及び150Bのそれぞれの側壁上に、シリコン酸化膜からなる酸化性オフセットスペーサ106A及び106Bを形成する。
【0035】
この状態のままでは、nチャネルトランジスタのゲート構造150A及びpチャネルトランジスタのゲート構造150Bのそれぞれと接触する部分のスペーサ構造が酸化性膜から構成されるため、後の不純物活性化アニール工程等の熱処理において、各ゲート構造150A及び150Bの側面や界面等が酸化されてしまう。これにより、通常、ゲート電極の実効仕事関数が増大するため、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少して有利になるが、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増大して不利になる。
【0036】
そこで、本実施形態においては、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aと接触する部分のスペーサ構造を非酸化性とするために、図1(a)に示すように、ゲート構造150B及びその側壁上の酸化性オフセットスペーサ106Bを含むpMIS領域100Bをフォトレジスト107によって選択的に覆った後、図1(b)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上の酸化性オフセットスペーサ106Aを選択的に除去し、その後、フォトレジスト107を除去する。
【0037】
尚、本実施形態においては、酸化性オフセットスペーサ106A及び106Bとなる酸化性被膜の堆積時の雰囲気やフォトレジスト107の除去時の雰囲気によって、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側面や界面等が酸化されてしまい、ゲート電極の実効仕事関数が増大し、それにより、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値が若干増大するというデメリットが生じる懸念がある。しかしながら、後の不純物活性化アニール工程等の熱処理を実施する時点で、pチャネルトランジスタのゲート構造150Aと接触する部分のスペーサ構造が酸化性膜のままである場合に生じるデメリットと比較して、本実施形態のように、pチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上の酸化性オフセットスペーサ106Aつまり酸化性膜を除去することによるデメリットは小さい。
【0038】
次に、半導体基板100上の全面に亘って、非酸化性膜(含有酸素濃度が低い膜)、例えばシリコン窒化膜を堆積した後、当該シリコン窒化膜に対してエッチバックを行う。これにより、図1(c)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上に、シリコン窒化膜からなる非酸化性オフセットスペーサ108Aを形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁上に酸化性オフセットスペーサ106Bを介して、シリコン窒化膜からなる非酸化性オフセットスペーサ108Bを形成する。
【0039】
この状態で、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aと接触する部分のスペーサ構造を非酸化性とし、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bと接触する部分のスペーサ構造を酸化性とすることができるので、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれの閾値電圧を下げることができる。
【0040】
次に、ゲート構造150B並びにその側壁上の酸化性オフセットスペーサ106B及び非酸化性オフセットスペーサ108Bを含むpMIS領域100Bをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造150A及びその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ108Aをマスクとして、nMIS領域100Aにn型不純物をイオン注入することにより、図1(d)に示すように、n型LDD領域111Aを形成する。また、ゲート構造150A及びその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ108Aを含むnMIS領域100Aをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造150B並びにその側壁上の酸化性オフセットスペーサ106B及び非酸化性オフセットスペーサ108Bをマスクとして、pMIS領域100Bにp型不純物をイオン注入することにより、図1(d)に示すように、p型LDD領域111Bを形成する。
【0041】
次に、図1(d)に示すように、ゲート構造150Aの側壁上に非酸化性オフセットスペーサ108Aを介して、L字サイドウォールスペーサ109A及びLDDサイドウォールスペーサ110Aを順次形成すると共に、ゲート構造150Bの側壁上に、酸化性オフセットスペーサ106B及び非酸化性オフセットスペーサ108Bを介して、L字サイドウォールスペーサ109B及びLDDサイドウォールスペーサ110Bを順次形成する。すなわち、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上に形成されるスペーサ構造は、非酸化性オフセットスペーサ108A、L字サイドウォールスペーサ109A及びLDDサイドウォールスペーサ110Aからなり、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁上に形成されるスペーサ構造は、酸化性オフセットスペーサ106B、非酸化性オフセットスペーサ108B、L字サイドウォールスペーサ109B及びLDDサイドウォールスペーサ110Bからなる。
【0042】
次に、ゲート構造150B及びその側壁上のスペーサ構造を含むpMIS領域100Bをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造150A及びその側壁上のスペーサ構造をマスクとして、nMIS領域100Aにn型不純物をイオン注入することにより、図1(d)に示すように、n型ソース・ドレイン領域112Aを形成する。また、ゲート構造150A及びその側壁上のスペーサ構造を含むnMIS領域100Aをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造150B及びその側壁上のスペーサ構造をマスクとして、pMIS領域100Bにp型不純物をイオン注入することにより、図1(d)に示すように、p型ソース・ドレイン領域112Bを形成する。
【0043】
最後に、LDD領域111A及び111B並びにソース・ドレイン領域112A及び112Bのそれぞれの注入不純物を活性化させるための活性化アニールを行う。
【0044】
以上に説明した本実施形態によると、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁に接触する部分のスペーサ構造つまり酸化性オフセットスペーサ106Bが酸化性を有する(つまり含有酸素濃度が高い)ため、ゲート電極の実効仕事関数を増大させることができるので、pチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。また、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁に接触する部分のスペーサ構造つまり非酸化性オフセットスペーサ108Aが非酸化性を有する(つまり含有酸素濃度が低い)ため、ゲート電極の実効仕事関数を減少させることができるので、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。従って、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減して駆動力を向上させたCMISトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
【0045】
尚、本実施形態において、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁上に形成されるスペーサ構造は、酸化性オフセットスペーサ106Bと非酸化性オフセットスペーサ108Bとが積層された構造を有している。しかし、比誘電率の高いシリコン窒化膜を非酸化性オフセットスペーサ108Bに用いた場合、フリンジ容量が増大して駆動能力の点で不利となる。そこで、図1(c)に示すように、非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bを形成した後、図2(a)に示すように、ゲート構造150A及びその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ108Aを含むnMIS領域100Aをフォトレジスト121によって選択的に覆った後、図2(b)に示すように、ゲート構造150Bの側壁上の非酸化性オフセットスペーサ108Bを選択的に除去してもよい。その後、フォトレジスト121を除去した後、図1(d)に示す工程と同様の工程を実施することにより、図2(c)に示す半導体装置を得ることができる。
【0046】
また、図1(d)に示す本実施形態の半導体装置において、例えばストレスライナー膜による応力印加の強化等のために、不純物活性化アニール後に、図3(a)に示すように、ゲート構造150Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Aを除去すると共に、ゲート構造150Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Bを除去してもよい。同様に、図2(c)に示す本実施形態の変形例の半導体装置において、図3(b)に示すように、ゲート構造150Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Aを除去すると共に、ゲート構造150Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Bを除去してもよい。
【0047】
また、本実施形態においては、図1(b)に示す工程で、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上の酸化性オフセットスペーサ106Aを選択的に除去した後、図1(c)に示す工程で、各ゲート構造150A及び150Bのそれぞれの側壁上に非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bを堆積した。しかし、これに代えて、図1(c)に示す非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bの堆積工程を行うことなく、図3(c)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上に、非酸化性を有するL字サイドウォールスペーサ109A、及びLDDサイドウォールスペーサ110Aを順次形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁上に、酸化性オフセットスペーサ106Bを介して、L字サイドウォールスペーサ109B及びLDDサイドウォールスペーサ110Bを順次形成してもよい。この場合、例えばストレスライナー膜による応力印加の強化等のために、不純物活性化アニール後に、ゲート構造150Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Aを除去すると共に、ゲート構造150Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ110Bを除去してもよい。或いは、図1(c)に示す非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bの堆積工程を行うことなく、図3(d)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁上に、非酸化性を有するLDDサイドウォールスペーサ110Aを形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造150Bの側壁上に、酸化性オフセットスペーサ106Bを介して、LDDサイドウォールスペーサ110Bを形成してもよい。すなわち、L字サイドウォールスペーサ109A及び109Bの形成を省略してもよい。
【0048】
以上のように、本実施形態と同様の効果を奏するスペーサ構造には種々のバリエーションが存在するが、本実施形態の構成又はいずれかのバリエーションの構成の選択は、イオン注入等のプロセスの難易度等を考慮して行われる。
【0049】
また、本実施形態において、酸化性オフセットスペーサ106A及び106B並びに非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bのそれぞれの幅は特に限定されるものではないが、閾値電圧低減効果の点からは5nm以上であることが好ましく、微細化の点からは10nm以下であることが好ましい。
【0050】
また、本実施形態において、酸化性オフセットスペーサ106A及び106Bとして、シリコン酸化膜を用いたが、これに代えて、他の酸素含有絶縁膜、例えばシリコン酸窒化膜等を用いてもよい。
【0051】
また、本実施形態において、非酸化性オフセットスペーサ108A及び108Bとして、シリコン窒化膜を用いたが、これに代えて、酸化性オフセットスペーサ106A及び106Bよりも含有酸素濃度が低い又は実質的に酸素を含まない他の絶縁膜を用いてもよい。特に、フリンジ容量低減の観点からは、実質的に酸素を含まない比誘電率8未満の低誘電率絶縁膜、例えばSiC膜、BN膜、SiBCN膜又はSiBN膜等を用いることが好ましい。また、nチャネルトランジスタのゲート構造150Aの側壁と接触するスペーサ構造として、非酸化性を有するL字サイドウォールスペーサ109A又はLDDサイドウォールスペーサ110Aを用いる場合(図3(c)、(d)参照)、これらのサイドウォールスペーサとして、シリコン窒化膜又は前述の低誘電率絶縁膜等を用いてもよいことは言うまでもない。さらに、本実施形態の半導体装置において、CMIS全体として、スペーサ構造への比誘電率の高い材料の使用を最小限に抑制することにより、或いは、スペーサ構造への低誘電率材料の使用を促進することにより、フリンジ容量を抑えて駆動能力を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態において、ゲート電極105A及び105Bとして、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなる積層構造を用いたが、ゲート電極105A及び105Bの構造が特に限定されないことは言うまでもない。例えば、nチャネルトランジスタのゲート電極105Aと、pチャネルトランジスタのゲート電極105Bとで異なる材料を用いてもよい。ゲート絶縁膜104A及び104Bについても同様である。また、各トランジスタのゲート構造150A及び150Bの形成順も特に限定されるものではないが、例えば、本実施形態のように各トランジスタのゲート絶縁膜104A及び104B並びにゲート電極105A及び105Bにそれぞれ同じ材料を用いる場合には、各トランジスタのゲート構造150A及び150Bを同時に形成してもよい。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。第1の実施形態では、各トランジスタのスペーサ構造として、酸化性オフセットスペーサの形成を行ってから、非酸化性オフセットスペーサの形成を行った。それに対して、本実施形態では、各トランジスタのスペーサ構造として、非酸化性オフセットスペーサの形成を行ってから、酸化性オフセットスペーサの形成を行う。
【0054】
図4(a)〜(d)は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0055】
まず、図4(a)に示すように、半導体基板200に例えばSTI構造の素子分離領域201を形成することにより、nチャネルトランジスタ形成領域(以下、nMIS領域という)200Aとpチャネルトランジスタ形成領域(以下、pMIS領域という)200Bとを区画する。次に、nMIS領域200A上に、下層の界面層202A及び上層のhigh-k層203Aからなるゲート絶縁膜204Aを介して、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなるゲート電極205Aを形成すると共に、pMIS領域200B上に、下層の界面層202B及び上層のhigh-k層203Bからなるゲート絶縁膜204Bを介して、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなるゲート電極205Bを形成する。具体的には、半導体基板200上に、界面層202A及び202Bとなる例えばシリコン酸化膜、high-k層203A及び203Bとなる高誘電率絶縁膜(例えばHfSiON膜)、金属含有膜、並びにポリシリコン膜を順次形成した後、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれのゲート形成領域を覆うマスクパターンを用いて前述のように積層された各膜に対してエッチングを行う。これにより、ゲート絶縁膜204A及びゲート電極205Aからなるnチャネルトランジスタのゲート構造250Aが形成されると共に、ゲート絶縁膜204B及びゲート電極205Bからなるpチャネルトランジスタのゲート構造250Bが形成される。
【0056】
次に、半導体基板200上の全面に亘って、非酸化性膜(含有酸素濃度(具体的には酸素のatomic %)が低い膜)、例えばシリコン窒化膜を堆積した後、当該シリコン窒化膜に対してエッチバックを行う。これによって、図4(a)に示すように、ゲート構造250A及び250Bのそれぞれの側壁上に、シリコン窒化膜からなる非酸化性オフセットスペーサ206A及び206Bを形成する。
【0057】
この状態のままでは、nチャネルトランジスタのゲート構造250A及びpチャネルトランジスタのゲート構造250Bのそれぞれと接触する部分のスペーサ構造が非酸化性膜から構成されるため、後の不純物活性化アニール工程等の熱処理において、各ゲート構造250A及び250Bの側面や界面等が還元されてしまう。これによって、通常、ゲート電極の実効仕事関数が減少するため、nチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が減少して有利になるが、pチャネルトランジスタでは閾値電圧の絶対値が増大して不利になる。
【0058】
そこで、本実施形態においては、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bと接触する部分のスペーサ構造を酸化性とするために、図4(a)に示すように、ゲート構造250A及びその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ206Aを含むnMIS領域200Aをフォトレジスト207によって選択的に覆った後、図4(b)に示すように、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上の非酸化性オフセットスペーサ206Bを選択的に除去し、その後、フォトレジスト207を除去する。
【0059】
次に、半導体基板200上の全面に亘って、酸化性膜(含有酸素濃度が高い膜)、例えばシリコン酸化膜を堆積した後、当該シリコン酸化膜に対してエッチバックを行う。これにより、図4(c)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁上に非酸化性オフセットスペーサ206Aを介して、シリコン酸化膜からなる酸化性オフセットスペーサ208Aを形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上に、シリコン酸化膜からなる酸化性オフセットスペーサ208Bを形成する。
【0060】
この状態で、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aと接触する部分のスペーサ構造を非酸化性とし、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bと接触する部分のスペーサ構造を酸化性とすることができるので、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタのそれぞれの閾値電圧を下げることができる。
【0061】
次に、ゲート構造250B及びその側壁上の酸化性オフセットスペーサ208Bを含むpMIS領域200Bをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造250A並びにその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ206A及び酸化性オフセットスペーサ208Aをマスクとして、nMIS領域200Aにn型不純物をイオン注入することにより、図4(d)に示すように、n型LDD領域211Aを形成する。また、ゲート構造250A並びにその側壁上の非酸化性オフセットスペーサ206A及び酸化性オフセットスペーサ208Aを含むnMIS領域200Aをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造250B及びその側壁上の酸化性オフセットスペーサ208Bをマスクとして、pMIS領域200Bにp型不純物をイオン注入することにより、図4(d)に示すように、p型LDD領域211Bを形成する。
【0062】
次に、図4(d)に示すように、ゲート構造250Aの側壁上に、非酸化性オフセットスペーサ206A及び酸化性オフセットスペーサ208Aを介して、L字サイドウォールスペーサ209A及びLDDサイドウォールスペーサ210Aを順次形成すると共に、ゲート構造250Bの側壁上に、酸化性オフセットスペーサ208Bを介して、L字サイドウォールスペーサ209B及びLDDサイドウォールスペーサ210Bを順次形成する。すなわち、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁上に形成されるスペーサ構造は、非酸化性オフセットスペーサ206A、酸化性オフセットスペーサ208A、L字サイドウォールスペーサ209A及びLDDサイドウォールスペーサ210Aからなり、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上に形成されるスペーサ構造は、酸化性オフセットスペーサ208B、L字サイドウォールスペーサ209B及びLDDサイドウォールスペーサ210Bからなる。
【0063】
次に、ゲート構造250B及びその側壁上のスペーサ構造を含むpMIS領域200Bをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造250A及びその側壁上のスペーサ構造をマスクとして、nMIS領域200Aにn型不純物をイオン注入することにより、図4(d)に示すように、n型ソース・ドレイン領域212Aを形成する。また、ゲート構造250A及びその側壁上のスペーサ構造を含むnMIS領域200Aをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造250B及びその側壁上のスペーサ構造をマスクとして、pMIS領域200Bにp型不純物をイオン注入することにより、図4(d)に示すように、p型ソース・ドレイン領域212Bを形成する。
【0064】
最後に、LDD領域211A及び211B並びにソース・ドレイン領域212A及び212Bのそれぞれの注入不純物を活性化させるための活性化アニールを行う。
【0065】
以上に説明した本実施形態によると、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁に接触する部分のスペーサ構造つまり酸化性オフセットスペーサ208Bが酸化性を有する(つまり含有酸素濃度が高い)ため、ゲート電極の実効仕事関数を増大させることができるので、pチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。また、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁に接触する部分のスペーサ構造つまり非酸化性オフセットスペーサ206Aが非酸化性を有する(つまり含有酸素濃度が低い)ため、ゲート電極の実効仕事関数を減少させることができるので、nチャネルトランジスタの閾値電圧の絶対値を減少させることができる。従って、pチャネルトランジスタ及びnチャネルトランジスタの閾値電圧を共に低減して駆動力を向上させたCMISトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
【0066】
尚、第1の実施形態では酸化性オフセットスペーサを先に形成したのに対して、本実施形態では非酸化性オフセットスペーサを先に形成した。ここで、ゲート絶縁膜とゲート電極とからなるゲート構造中の界面や側面等が酸化されるか還元されるかは、基本的には、後の不純物活性化アニール工程等の熱処理時に、ゲート構造側壁と接触する部分のスペーサ構造が酸化性であるか非酸化性であるかによって決まるが、ゲート構造側壁と接触する部分のスペーサ構造の形成も、ゲート構造中の界面や側面等が酸化されるか還元されるかについて若干の影響を及ぼすと考えられる。
【0067】
すなわち、第1の実施形態のように、酸化性オフセットスペーサを先に形成した後、nチャネルトランジスタの酸化性オフセットスペーサのみを除去した場合には、ゲート構造中の界面や側面等が酸化されてしまうため、ゲート電極の実効仕事関数が増大するので、nチャネルトランジスタで閾値電圧が増大するというデメリットが生じる懸念がある。他方、本実施形態のように、非酸化性オフセットスペーサを先に形成した後、pチャネルトランジスタの非酸化性オフセットスペーサのみを除去した場合には、ゲート構造中の界面や側面等が還元されてしまうため、ゲート電極の実効仕事関数が減少するので、pチャネルトランジスタで閾値電圧が増大するというデメリットが生じる懸念がある。従って、酸化性オフセットスペーサと非酸化性オフセットスペーサのどちらを先に形成するかは、nチャネルトランジスタとpチャネルトランジスタのどちらを優先的に考えるかやプロセスの難易度等を考慮して選択される。
【0068】
尚、本実施形態において、nチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上に形成されるスペーサ構造は、非酸化性オフセットスペーサ206Aと酸化性オフセットスペーサ208Aとが積層された構造を有している。しかし、これに代えて、図4(c)に示すように、酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bを形成した後、ゲート構造250B及びその側壁上の酸化性オフセットスペーサ208Bを含むpMIS領域200Aをフォトレジスト(図示省略)によって選択的に覆った後、ゲート構造250Aの側壁上の酸化性オフセットスペーサ208Aを選択的に除去してもよい。その後、前記フォトレジストを除去した後、図4(d)に示す工程と同様の工程を実施することにより、図5(a)に示す半導体装置を得ることができる。
【0069】
また、図4(d)に示す本実施形態の半導体装置において、例えばストレスライナー膜による応力印加の強化等のために、不純物活性化アニール後に、図5(b)に示すように、ゲート構造250Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Aを除去すると共に、ゲート構造250Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Bを除去してもよい。同様に、図5(a)に示す本実施形態の変形例の半導体装置において、図5(c)に示すように、ゲート構造250Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Aを除去すると共に、ゲート構造250Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Bを除去してもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、図4(b)に示す工程で、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上の非酸化性オフセットスペーサ206Bを選択的に除去した後、図4(c)に示す工程で、各ゲート構造250A及び250Bのそれぞれの側壁上に酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bを堆積した。しかし、これに代えて、図4(c)に示す酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bの堆積工程を行うことなく、図5(d)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁上に非酸化性オフセットスペーサ206Aを介して、L字サイドウォールスペーサ209A及びLDDサイドウォールスペーサ210Aを順次形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上に、酸化性を有するL字サイドウォールスペーサ209B、及びLDDサイドウォールスペーサ210Bを順次形成してもよい。この場合、例えばストレスライナー膜による応力印加の強化等のために、不純物活性化アニール後に、ゲート構造250Aの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Aを除去すると共に、ゲート構造250Bの側壁上のLDDサイドウォールスペーサ210Bを除去してもよい。或いは、図4(c)に示す酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bの堆積工程を行うことなく、図5(e)に示すように、nチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁上に非酸化性オフセットスペーサ206Aを介して、LDDサイドウォールスペーサ210Aを形成すると共に、pチャネルトランジスタのゲート構造250Bの側壁上に、酸化性を有するLDDサイドウォールスペーサ210Bを形成してもよい。すなわち、L字サイドウォールスペーサ209A及び209Bの形成を省略してもよい。
【0071】
以上のように、本実施形態と同様の効果を奏するスペーサ構造には種々のバリエーションが存在するが、本実施形態の構成又はいずれかのバリエーションの構成の選択は、イオン注入等のプロセスの難易度等を考慮して行われる。
【0072】
また、本実施形態において、非酸化性オフセットスペーサ206A及び206B並びに酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bのそれぞれの幅は特に限定されるものではないが、閾値電圧低減効果の点からは5nm以上であることが好ましく、微細化の点からは10nm以下であることが好ましい。
【0073】
また、本実施形態において、酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bとして、シリコン酸化膜を用いたが、これに代えて、他の酸素含有絶縁膜、例えばシリコン酸窒化膜等を用いてもよい。また、pチャネルトランジスタのゲート構造250Aの側壁と接触するスペーサ構造として、酸化性を有するL字サイドウォールスペーサ209B又はLDDサイドウォールスペーサ210Bを用いる場合(図5(d)、(e)参照)、これらのサイドウォールスペーサとして、シリコン酸化膜又は前述のシリコン酸窒化膜等を用いてもよいことは言うまでもない。
【0074】
また、本実施形態において、非酸化性オフセットスペーサ206A及び206Bとして、シリコン窒化膜を用いたが、これに代えて、酸化性オフセットスペーサ208A及び208Bよりも含有酸素濃度が低い又は実質的に酸素を含まない他の絶縁膜を用いてもよい。特に、フリンジ容量低減の観点からは、実質的に酸素を含まない比誘電率8未満の低誘電率絶縁膜、例えばSiC膜、BN膜、SiBCN膜又はSiBN膜等を用いることが好ましい。さらに、本実施形態の半導体装置において、CMIS全体として、スペーサ構造への比誘電率の高い材料の使用を最小限に抑制することにより、或いは、スペーサ構造への低誘電率材料の使用を促進することにより、フリンジ容量を抑えて駆動能力を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態において、ゲート電極205A及び205Bとして、下層の金属含有膜及び上層のポリシリコン膜からなる積層構造を用いたが、ゲート電極205A及び205Bの構造が特に限定されないことは言うまでもない。例えば、nチャネルトランジスタのゲート電極205Aと、pチャネルトランジスタのゲート電極205Bとで異なる材料を用いてもよい。ゲート絶縁膜204A及び204Bについても同様である。また、各トランジスタのゲート構造250A及び250Bの形成順も特に限定されるものではないが、例えば、本実施形態のように各トランジスタのゲート絶縁膜204A及び204B並びにゲート電極205A及び205Bにそれぞれ同じ材料を用いる場合には、各トランジスタのゲート構造250A及び250Bを同時に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上に説明したように、本発明は、高性能化CMISトランジスタを有する半導体装置の実現等に有用である。
【符号の説明】
【0077】
100、200 半導体基板
100A、200A nMIS領域
100B、200B pMIS領域
101、201 素子分離領域
102A、102B、202A、202B 界面層
103A、103B、203A、203B high-k層
104A、104B、204A、204B ゲート絶縁膜
105A、105B、205A、205B ゲート電極
106A、106B、208A、208B 酸化性オフセットスペーサ
107、121、207 フォトレジスト
108A、108B、206A、206B 非酸化性オフセットスペーサ
109A、109B、209A、209B L字サイドウォールスペーサ
110A、110B、210A、210B LDDサイドウォールスペーサ
111A、211A n型LDD領域
111B、211B p型LDD領域
112A、212A n型ソース・ドレイン領域
112B、212B p型ソース・ドレイン領域
150A、150B、250A、250B ゲート構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板における第1の領域上に形成された第1のゲート構造と、前記第1のゲート構造の側壁上に形成された第1のスペーサ構造とを有するpチャネルトランジスタと、
前記半導体基板における第2の領域上に形成された第2のゲート構造と、前記第2のゲート構造の側壁上に形成された第2のスペーサ構造とを有するnチャネルトランジスタとを備え、
前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度は、前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接する第1のオフセットスペーサを含み、
前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと異なる絶縁膜からなる第2のオフセットスペーサを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して形成され且つ前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサをさらに含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して形成され且つ前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサをさらに含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のオフセットスペーサ及び前記第2のオフセットスペーサのそれぞれの幅は、5nm以上で且つ10nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接するオフセットスペーサを含み、
前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと異なる絶縁膜からなるサイドウォールスペーサを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して形成され且つ前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサをさらに含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造は、前記第1のゲート構造の側壁と接するサイドウォールスペーサを含み、
前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記サイドウォールスペーサと異なる絶縁膜からなるオフセットスペーサを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第2のスペーサ構造は、前記第2のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して形成され且つ前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサをさらに含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記オフセットスペーサの幅は、5nm以上で且つ10nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記サイドウォールスペーサは、L字サイドウォールスペーサであるか、LDDサイドウォールスペーサであるか、又は、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサの順に形成された積層サイドウォールスペーサであることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分は、シリコン酸化膜又はシリコン酸窒化膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分は、シリコン窒化膜、又は酸素を実質的に含まない比誘電率8未満の低誘電率絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置において、
前記低誘電率絶縁膜は、SiC膜、BN膜、SiBCN膜又はSiBN膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート構造及び前記第2のゲート構造はそれぞれ、高誘電率絶縁膜、及び前記高誘電率絶縁膜上に形成された金属含有膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
半導体基板におけるpチャネルトランジスタ形成領域及びnチャネルトランジスタ形成領域のそれぞれの上に第1のゲート構造及び第2のゲート構造を形成するゲート形成工程と、
前記第1のゲート構造及び前記第2のゲート構造のそれぞれの側壁上に第1のスペーサ構造及び第2のスペーサ構造を形成するスペーサ形成工程とを備え、
前記第1のスペーサ構造における前記第1のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度は、前記第2のスペーサ構造における前記第2のゲート構造の側壁との接触部分の含有酸素濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記スペーサ形成工程は、
前記第1のゲート構造の側壁と接する第1のオフセットスペーサを形成する工程と、
前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと異なる絶縁膜からなる第2のオフセットスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記第2のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁と接し且つ前記第2のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記第1のオフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して前記第1のオフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記スペーサ形成工程は、
前記第1のゲート構造の側壁上に前記第1のオフセットスペーサを介して第1のサイドウォールスペーサを形成する工程と、
前記第2のゲート構造の側壁上に前記第2のオフセットスペーサを介して第2のサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のサイドウォールスペーサ及び前記第2のサイドウォールスペーサはそれぞれ、L字サイドウォールスペーサを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項20に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のサイドウォールスペーサ及び前記第2のサイドウォールスペーサとして、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサを順次形成した後、当該各LDDサイドウォールスペーサを除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記スペーサ形成工程は、
前記第1のゲート構造の側壁と接するオフセットスペーサを形成する工程と、
前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと異なる絶縁膜からなるサイドウォールスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の半導体装置の製造方法において、
前記オフセットスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記サイドウォールスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記スペーサ形成工程は、
前記第1のゲート構造の側壁と接するサイドウォールスペーサを形成する工程と、
前記第2のゲート構造の側壁と接し且つ前記サイドウォールスペーサと異なる絶縁膜からなるオフセットスペーサを形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載の半導体装置の製造方法において、
前記オフセットスペーサを形成すると同時に前記第1のゲート構造の側壁と接し且つ前記オフセットスペーサと同じ絶縁膜からなる他のオフセットスペーサを形成した後、当該他のオフセットスペーサを選択的に除去し、その後、前記サイドウォールスペーサを形成すると同時に前記第2のゲート構造の側壁上に前記オフセットスペーサを介して前記サイドウォールスペーサと同じ絶縁膜からなる他のサイドウォールスペーサを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項24又は26に記載の半導体装置の製造方法において、
前記サイドウォールスペーサ及び前記他のサイドウォールスペーサはそれぞれ、L字サイドウォールスペーサを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
請求項24又は26に記載の半導体装置の製造方法において、
前記サイドウォールスペーサ及び前記他のサイドウォールスペーサとして、L字サイドウォールスペーサ及びLDDサイドウォールスペーサを順次形成した後、当該各LDDサイドウォールスペーサを除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−108825(P2011−108825A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261971(P2009−261971)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】