説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタを有する半導体装置において、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止する。
【解決手段】半導体装置は、MISトランジスタnTrを備えている。MISトランジスタは、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた活性領域10aと、活性領域及び素子分離領域上に形成され、高誘電率膜15aを有するゲート絶縁膜16aと、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極19aとを備えている。ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分には、窒化領域20x,20yが設けられている。窒化領域20x,20yに含まれる窒素の窒素濃度をn1,n2とし、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をnとしたとき、n1>n、且つ、n2>nの関係式が成り立っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の低消費電力化及び高速化に伴い、ゲート絶縁膜として、例えばハフニウム(Hf)系膜等の高誘電率膜を用い、ゲート電極として、金属膜又は金属膜とシリコン膜とを用いたMISFET(以下、「MISトランジスタ」という)を備えた半導体装置が提案されている。
【0003】
n型MISトランジスタの閾値電圧を低くするために、ゲート絶縁膜として、例えばランタン(La)を含むHf系膜を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ゲート絶縁膜として、Laを含むHf系膜を用いることにより、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができるのは、次のような理由による。Hf系膜にLaを含ませると、Hf系膜中にダイポールが形成される。その結果、フラットバンド電圧がマイナス側へシフトし、n型MISトランジスタの実効仕事関数がバンドエッジ側へシフトするため、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができる。
【0005】
以下に、従来の半導体装置の構成について、図14及び図15(a) 〜(b) を参照しながら説明する。従来の半導体装置は、Laを含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタを有する半導体装置である。図14は、従来の半導体装置の構成を示す平面図である。図15(a) は、従来の半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図15(b) は、従来の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図15(a) 及び(b) は、それぞれ、図14に示すXVa-XVa線及びXVb-XVb線のそれぞれにおける断面図である。
【0006】
図14及び図15(a) 〜(b) に示すように、従来の半導体装置は、n型MISトランジスタnTrを備えている。半導体基板100には、p型ウェル領域102が形成されている。
【0007】
図15(a) 〜(b) に示すように、n型MISトランジスタnTrは、素子分離領域101に囲まれた活性領域100a上に形成されたゲート絶縁膜103Aと、ゲート絶縁膜103A上に形成されたゲート電極105Aと、活性領域100aにおけるゲート電極105Aの側方下に形成されたn型エクステンション領域106(特に、図15(a) 参照)と、ゲート電極105Aの側面上に形成されたサイドウォール108Aと、活性領域100aにおけるサイドウォール108Aの外側方下に形成されたn型ソースドレイン領域109(特に、図15(a) 参照)とを備えている。
【0008】
図14に示すように、素子分離領域101に囲まれた活性領域100a上には、ゲート絶縁膜(図15(a),(b):103A参照)を介して、ゲート電極105Aが形成されている。ゲート電極105Aの側面上には、サイドウォール108Aが形成されている。
【0009】
ゲート絶縁膜103Aは、Laを含む高誘電率膜103を有している。ゲート電極105Aは、金属膜104及びシリコン膜105を有している。サイドウォール108Aは、内側サイドウォール107及び外側サイドウォール108を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−194352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
閾値電圧を調整する調整用金属(例えばLa等)を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタについて、本願発明者が鋭意検討を重ねた結果、以下の問題を新たに見出した。
【0012】
半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅を狭くすることが必要とされる。しかしながら、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタの場合、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなるという問題が発生する。
【0013】
この問題について、図16を参照しながら説明する。図16は、ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0014】
活性領域のゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜のゲート幅方向の一端までの突き出し量(図15(b):D参照)の大きさを一定にし、ゲート幅(図15(b):W参照)の大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図16に示す。
【0015】
図16の実線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさVthhは、ゲート幅がWl(Wl>Wh)のときの閾値電圧の大きさVthlよりも高い(Vthh>Vthl)。
【0016】
図16の破線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅がWlのときの閾値電圧の大きさと同一であることが理想的である。即ち、ゲート幅が狭くなっても、閾値電圧が高くならないことが理想的である。しかしながら、図16の実線に示すように、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなる。
【0017】
前記に鑑み、本発明の目的は、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタを有する半導体装置において、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、MISトランジスタを備えた半導体装置であって、MISトランジスタは、半導体基板における素子分離領域に囲まれた活性領域と、活性領域及び素子分離領域上に形成され、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備え、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分には、窒化領域が設けられており、窒化領域に含まれる窒素の窒素濃度をnxとし、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をnとしたとき、nx>nの関係式が成り立っていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る半導体装置によると、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分には、窒化領域が設けられ、窒化領域の窒素濃度nxが、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分の窒素濃度nよりも高い。即ち、nx>nの関係式が成り立っている。これにより、熱処理の際に、窒化領域に、素子分離領域に含まれる酸素(O)が拡散されることを防止することができるため、素子分離領域に含まれるOが、窒化領域を通って、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。このため、高誘電率膜に含まれる調整用金属(例えばLa)と、素子分離領域に含まれるOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを防止することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0020】
本発明に係る半導体装置において、窒化領域は、ゲート絶縁膜のゲート幅方向の一端側に設けられた第1の窒化領域と、ゲート絶縁膜のゲート幅方向の他端側に設けられた第2の窒化領域とを有し、第1の窒化領域のゲート幅方向の幅をw1とし、第2の窒化領域のゲート幅方向の幅をw2とし、活性領域のゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜のゲート幅方向の一端までの突き出し量をd1とし、活性領域のゲート幅方向の他端からゲート絶縁膜のゲート幅方向の他端までの突き出し量をd2としたとき、w1≦d1、且つ、w2≦d2の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0021】
このようにすると、第1,第2の窒化領域を、活性領域上には形成せずに、素子分離領域上にのみ形成することができる。これにより、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分の窒素濃度nを、一定にすることができる。このため、MISトランジスタの実効仕事関数を、一定にすることができるため、MISトランジスタのトランジスタ特性を安定にすることができる。
【0022】
本発明に係る半導体装置において、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分には、窒化領域が形成されていないことが好ましい。
【0023】
本発明に係る半導体装置において、素子分離領域におけるゲート電極のゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域におけるゲート電極下に位置する部分の窒素濃度よりも高いことが好ましい。
【0024】
本発明に係る半導体装置において、素子分離領域におけるゲート電極のゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域における活性領域のゲート長方向の側方に位置する部分の窒素濃度よりも高いことが好ましい。
【0025】
本発明に係る半導体装置において、窒素濃度nxは、2×1022atoms/cm3以上であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、窒素濃度nは、1×1022atoms/cm3以下であることが好ましい。
【0027】
本発明に係る半導体装置において、MISトランジスタは、n型MISトランジスタであることが好ましい。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、ゲート絶縁膜は、調整用金属を含むことが好ましい。
【0029】
本発明に係る半導体装置において、調整用金属は、ランタンであることが好ましい。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、ゲート電極は、ゲート絶縁膜上に形成された金属膜と、金属膜上に形成されたシリコン膜とを有することが好ましい。
【0031】
本発明に係る半導体装置において、金属膜における素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度は、金属膜における活性領域上に位置する部分の窒素濃度よりも高いことが好ましい。
【0032】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における活性領域上に形成されたゲート絶縁膜及びゲート電極を有するMISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板に、活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(a)と、活性領域及び素子分離領域上に、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜用膜を形成する工程(b)と、ゲート絶縁膜用膜上に、ゲート電極用膜を形成する工程(c)と、ゲート電極用膜及びゲート絶縁膜用膜をパターニングして、素子分離領域上においてゲート幅方向の両端を露出するゲート絶縁膜用膜及びゲート電極用膜を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の両端部を窒化して、素子分離領域上に位置する窒化領域を形成する工程(e)と、工程(e)の後に、ゲート電極用膜及びゲート絶縁膜用膜をパターニングして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する工程(f)とを備え、工程(d)において、ゲート絶縁膜及びゲート電極のゲート幅方向の両端が規定され、工程(f)において、ゲート絶縁膜及びゲート電極のゲート長方向の両端が規定されることを特徴とする。
【0033】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の両端部を窒化して、素子分離領域上に位置する窒化領域を設ける。これにより、ゲート絶縁膜のゲート幅方向の両端部に、素子分離領域上に位置する窒化領域を設け、窒化領域の窒素濃度を、ゲート絶縁膜における活性領域上に位置する部分の窒素濃度よりも高くすることができる。これにより、熱処理の際に、窒化領域に、素子分離領域に含まれるOが拡散されることを防止することができるため、素子分離領域に含まれるOが、窒化領域を通って、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。このため、高誘電率膜に含まれる調整用金属(例えばLa)と、素子分離領域に含まれるOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを防止することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0034】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(e)において、窒化領域に含まれる窒素の窒素濃度をNXとし、ゲート絶縁膜用膜における活性領域上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をNとしたとき、NX>Nの関係式が成り立っていることが好ましい。
【0035】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(d)において、ゲート絶縁膜用膜は、そのゲート幅方向の一端が、活性領域のゲート幅方向の一端から突き出し量D1の分だけ、素子分離領域上に突き出して形成される一方、ゲート絶縁膜用膜は、そのゲート幅方向の他端が、活性領域のゲート幅方向の他端から突き出し量D2の分だけ、素子分離領域上に突き出して形成され、工程(e)において、ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の一端部が窒化された第1の窒化領域と、ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の他端部が窒化された第2の窒化領域とを有する窒化領域が形成され、第1の窒化領域のゲート幅方向の幅をW1とし、第2の窒化領域のゲート幅方向の幅をW2としたとき、W1≦D1、且つ、W2≦D2の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、第1,第2の窒化領域を、活性領域上には形成せずに、素子分離領域上にのみ形成することができる。これにより、ゲート絶縁膜用膜における活性領域上に位置する部分の窒素濃度を、一定にすることができる。このため、ゲート絶縁膜用膜がパターニングされてなるゲート絶縁膜を有するMISトランジスタの実効仕事関数を、一定にすることができるため、MISトランジスタのトランジスタ特性を安定にすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a) は、第1の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図であり、(b) は、第2の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。
【図2】ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【図3】(a) は、第3の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図であり、(b) は、第4の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。
【図4】ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図6】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、図5に示すVIa-VIa線における断面図である。(b) は、ゲート幅方向の断面図であり、図5に示すVIb-VIb線における断面図である。
【図7】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図8】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図9】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図10】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図11】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図12】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図13】(a) 〜(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、(b) は、ゲート幅方向の断面図である。
【図14】従来の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図15】(a) 〜(b) は、従来の半導体装置の構成を示す断面図である。(a) は、ゲート長方向の断面図であり、図14に示すXVa-XVa線における断面図である。(b) は、ゲート幅方向の断面図であり、図14に示すXVb-XVb線における断面図である。
【図16】ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願発明者が新たに見出した上記の問題について、本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を見出した。この知見について、図1(a) 〜(b) 及び図2を参照しながら説明する。図1(a) は、第1の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図1(b) は、第2の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図2は、ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0040】
図1(a) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrAが形成されている。一方、図1(b) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrBが形成されている。
【0041】
n型MISトランジスタTrA,TrBは、活性領域50x上に形成されたゲート絶縁膜52A,52Bと、ゲート絶縁膜52A,52B上に形成されたゲート電極54A,54Bとを備えている。ゲート絶縁膜52A,52Bは、Laを含む高誘電率膜52a,52bを有している。ゲート電極54A,54Bは、金属膜53a,53b及びシリコン膜54a,54bを有している。
【0042】
図1(a) に示すように、活性領域50xのゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜52Aのゲート幅方向の一端までの突き出し量Dの大きさは、Daである。一方、図1(b) に示すように、活性領域50xのゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜52Bのゲート幅方向の一端までの突き出し量Dの大きさは、Db(Db<Da)である。
【0043】
図1(a) に示すn型MISトランジスタTrAを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、突き出し量Dの大きさを、Da(一定)とし、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図2の太線に示す。
【0044】
一方、図1(b) に示すn型MISトランジスタTrBを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、突き出し量Dの大きさを、Db(一定)とし、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図2の細線に示す。
【0045】
図2に示すように、ゲート幅WがWa、言い換えれば、比較的広い場合、突き出し量DがDaのときの閾値電圧の大きさと、突き出し量DがDbのときの閾値電圧の大きさとは同一である。
【0046】
一方、図2に示すように、ゲート幅WがWb、言い換えれば、比較的狭い場合、突き出し量DがDaのときの閾値電圧の大きさVthaは、突き出し量DがDbのときの閾値電圧の大きさVthbよりも高い(Vtha>Vthb)。
【0047】
図2に示すように、突き出し量DがDa,Dbの何れの場合も、ゲート幅WがWbのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅WがWaのときの閾値電圧の大きさよりも高い。即ち、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなる。
【0048】
また、図2に示すように、突き出し量DがDaの場合での閾値電圧が高くなる度合い(太線参照)は、突き出し量DがDbの場合での閾値電圧が高くなる度合い(細線参照)よりも高い。即ち、突き出し量が多くなるに連れて、閾値電圧が高くなる度合いが高くなる。このことから判るように、閾値電圧が高くなる要因として、突き出し量が密接に関係している。
【0049】
ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
【0050】
Laを含む高誘電率膜の形成後に施される熱処理の際に、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域と接する部分)に酸素(O)が拡散されて、高誘電率膜に含まれるLaとOとが反応すると、ダイポールの中性化が生じる。その結果、フラットバンド電圧がプラス側へシフトし、n型MISトランジスタの実効仕事関数がミッドギャップ側へシフトするため、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなる。高誘電率膜に含まれるLaと反応するOの拡散源は、主に、素子分離領域等が考えられる。熱処理は、例えば、n型ソースドレイン注入領域に含まれるn型不純物を活性化させる為の熱処理等が考えられる。
【0051】
突き出し量Dを一定にして、ゲート幅Wを狭くした場合、ゲート幅Wを狭くするに連れて、ゲート幅Wに対する突き出し量Dの割合が大きくなる。ゲート幅Wに対する突き出し量Dの割合が大きい場合は、小さい場合に比べて、高誘電率膜における素子分離領域と接する割合が多い。このため、熱処理の際に、高誘電率膜における素子分離領域から拡散されるO量の割合が多いため、ダイポールの中性化が顕著に生じるので、n型MISトランジスタの閾値電圧が顕著に高くなる。
【0052】
以上から判るように、本願発明者が新たに見出した上記の問題について、本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、閾値電圧が高くなることを防止するには、突き出し量を少なくすることが有効であるという知見を見出した。
【0053】
以上の知見を鑑みて、本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を見出した。この知見について、図3(a) 〜(b) 及び図4を参照しながら説明する。図3(a) は、第3の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図3(b) は、第4の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図4は、ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0054】
図3(a) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrCが形成されている。一方、図3(b) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrDが形成されている。
【0055】
n型MISトランジスタTrC,TrDは、活性領域50x上に形成されたゲート絶縁膜52C,52Dと、ゲート絶縁膜52C,52D上に形成されたゲート電極54C,54Dとを備えている。ゲート絶縁膜52C,52Dは、Laを含む高誘電率膜52c,52dを有している。ゲート電極54C,54Dは、金属膜53c,53d及びシリコン膜54c,54dを有している。
【0056】
図3(b) に示すように、ゲート絶縁膜52Dのゲート幅方向の端部には、窒化領域55dが設けられている。
【0057】
活性領域50xのゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜52Cのゲート幅方向の一端までの突き出し量Dの大きさは、Dcである。一方、活性領域50xのゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜52Dのゲート幅方向の一端までの突き出し量Dの大きさは、Ddである。Dc=Ddである。
【0058】
ゲート絶縁膜52Cのゲート幅方向の端部55cに含まれる窒素の窒素濃度を、ncとし、ゲート絶縁膜52Cにおける活性領域50x上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度を、Ncとしたとき、nc=Ncである。端部55cのゲート幅方向の幅は、窒化領域55dのゲート幅方向の幅と同じである。
【0059】
窒化領域55dに含まれる窒素の窒素濃度を、ndとし、ゲート絶縁膜52Dにおける活性領域50x上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度を、Ndとしたとき、nd>Ndである。Nc=Ndである。
【0060】
図3(a) に示すn型MISトランジスタTrCを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、窒素濃度ncを窒素濃度Ncと同一とし(nc=Nc,但し、Nc=Nd)、且つ、突き出し量Dの大きさを、Dc(但し、Dc=Dd)として、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図4の太線に示す。
【0061】
一方、図3(b) に示すn型MISトランジスタTrDを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、窒素濃度ndを窒素濃度Ndよりも高くし(nd>Nd,但し、Nd=Nc)、且つ、突き出し量Dの大きさを、Dd(但し、Dd=Dc)として、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図4の細線に示す。
【0062】
図4に示すように、ゲート幅WがWc、言い換えれば、比較的広い場合、nc=Ncのときでの閾値電圧の大きさと、nd>Ndのときでの閾値電圧の大きさとは同一である。
【0063】
一方、図4に示すように、ゲート幅WがWd、言い換えれば、比較的狭い場合、nc=Ncのときでの閾値電圧の大きさVthcは、nd>Ndのときでの閾値電圧の大きさVthdよりも高い(Vthc>Vthd)。
【0064】
図4に示すように、nc=Nc及びnd>Ndの何れの場合も、ゲート幅WがWdのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅WがWcのときの閾値電圧の大きさよりも高い。即ち、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなる。
【0065】
また、図4に示すように、nd>Ndの場合での閾値電圧が高くなる度合い(細線参照)は、nc=Ncの場合での閾値電圧が高くなる度合い(太線参照)よりも低い。即ち、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度が高くなることにより、閾値電圧が高くなる度合いが低くなる。
【0066】
ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度を高くすることにより、閾値電圧が高くなる度合いを低くすることができるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
【0067】
ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度を高くすることによって、Laを含む高誘電率膜の形成後に施される熱処理の際に、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分に、素子分離領域に含まれるOが拡散されることを防止することができる。このため、素子分離領域に含まれるOが、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分を通って、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。このため、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分)に含まれるLaと、素子分離領域に含まれるOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを防止することができる。その結果、フラットバンド電圧がプラス側へシフトし、n型MISトランジスタの実効仕事関数がミッドギャップ側へシフトすることを防止することができるため、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0068】
以上から判るように、本願発明者がさらに鋭意検討を重ねた結果、閾値電圧が高くなることを防止するには、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度を高くすることが有効であるという知見を見出した。本発明は、本願発明者が見出した知見に基づいて成された発明である。
【0069】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0070】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成について、図5及び図6(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図6(a) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。図6(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。具体的には、図6(a) 〜(b) は、それぞれ、図5に示すVIa-VIa線及びVIb-VIb線のそれぞれにおける断面図である。
【0071】
本実施形態に係る半導体装置は、図5及び図6(a) 〜(b) に示すように、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた活性領域10a上に形成されたn型MISトランジスタnTrを備えている。
【0072】
素子分離領域11は、図5に示すように、第1〜第4の素子分離部11x〜11wを有している。
【0073】
第1,第2の素子分離部11x,11yは、図5に示すように、素子分離領域11における活性領域10aのゲート幅方向の側方に位置する部分である。該部分のうち、一方の部分が、第1の素子分離部11xであり、他方の部分が、第2の素子分離部11yである。第1の素子分離部11xは、活性領域10aのゲート幅方向の一端(図5の紙面において上端)と接している。一方、第2の素子分離部11yは、活性領域10aのゲート幅方向の他端(図5の紙面において下端)と接している。第1の素子分離部11xと第2の素子分離部11yとは、それらの間に活性領域10aを挟んで、ゲート幅方向に沿って対向している。
【0074】
第3,第4の素子分離部11v,11wは、図5に示すように、素子分離領域11における活性領域10aのゲート長方向の側方に位置する部分である。該部分のうち、一方の部分が、第3の素子分離部11vであり、他方の部分が、第4の素子分離部11wである。第3の素子分離部11vは、活性領域10aのゲート長方向の一端(図5の紙面において左端)と接している。一方、第4の素子分離部11wは、活性領域10aのゲート長方向の他端(図5の紙面において右端)と接している。第3の素子分離部11vと第4の素子分離部11wとは、それらの間に活性領域10aを挟んで、ゲート長方向に沿って対向している。
【0075】
n型MISトランジスタnTrは、図6(a) 〜(b) に示すように、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた活性領域10aと、活性領域10a及び素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に形成されたゲート絶縁膜16aと、ゲート絶縁膜16a上に形成されたゲート電極19aと、活性領域10aにおけるゲート電極19aの側方下に形成されたn型エクステンション領域21a(特に、図6(a) 参照)と、ゲート電極19aの側面上に形成されたサイドウォール24と、活性領域10aにおけるサイドウォール24の外側方下に形成されたn型ソースドレイン領域25a(特に、図6(a) 参照)と、n型ソースドレイン領域25a上に形成された第1のシリサイド膜26a(特に、図6(a) 参照)と、ゲート電極19a上に形成された第2のシリサイド膜26bとを備えている。
【0076】
図6(a) 〜(b) に示すように、ゲート絶縁膜16aは、調整用金属(例えばLa)を含む高誘電率膜15aを有している。ゲート電極19aは、金属膜17a及びシリコン膜18aを有している。サイドウォール24は、断面形状がL字状の内側サイドウォール22及び外側サイドウォール23を有している。
【0077】
図6(b) に示すように、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11上に位置する部分には、第1,第2の窒化領域20x,20yが設けられている。第1の窒化領域20xは、ゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の一端側に設けられ、第1の素子分離部11x上に位置している。第2の窒化領域20yは、ゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の他端側に設けられ、第2の素子分離部11y上に位置している。
【0078】
図6(a) 〜(b) に示すように、半導体基板10上には、n型MISトランジスタnTrを覆うように、層間絶縁膜27が形成されている。図6(a) に示すように、層間絶縁膜27に設けられた第1のコンタクトホール28a内には、第1のコンタクトプラグ29aが形成され、第1のコンタクトプラグ29aは、第1のシリサイド膜26aに接している。図6(b) に示すように、層間絶縁膜27に設けられた第2のコンタクトホール28b内には、第2のコンタクトプラグ29bが形成され、第2のコンタクトプラグ29bは、第2のシリサイド膜26bに接している。
【0079】
図5に示すように、素子分離領域11に囲まれた活性領域10a上には、ゲート絶縁膜(図6(a),(b) :16a参照)を介して、ゲート電極(図6(a),(b):19a参照)が形成されている。ゲート電極の側面上には、サイドウォール24が形成されている。活性領域10aにおけるサイドウォール24の外側方下には、n型ソースドレイン領域(図示省略,図6(a):25a参照)が形成されている。n型ソースドレイン領域上には、第1のシリサイド膜(図示省略,図6(a):26a参照)が形成されている。ゲート電極上には、第2のシリサイド膜26bが形成されている。半導体基板10上には、n型MISトランジスタnTrを覆うように、層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27に設けられた第1,第2のコンタクトホール内には、第1,第2のシリサイド膜と接する第1,第2のコンタクトプラグ29a,29bが形成されている。
【0080】
第1の窒化領域20xに含まれる窒素の窒素濃度をn1とし、第2の窒化領域20yに含まれる窒素の窒素濃度をn2とし、ゲート絶縁膜16aにおける活性領域10a上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をnとしたとき、n1>n、且つ、n2>nの関係式が成り立っている。窒素濃度n1,n2は、例えば2×1022atoms/cm3以上である(n1≧2×1022atoms/cm3,n2≧2×1022atoms/cm3)。窒素濃度nは、例えば1×1022atoms/cm3以下である(n≦1×1022atoms/cm3)。
【0081】
第1の窒化領域20xのゲート幅方向の幅をw1(図6(b) 参照)とし、第2の窒化領域20yのゲート幅方向の幅をw2(図6(b) 参照)とし、活性領域10aのゲート幅方向の一端からゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の一端までの突き出し量をd1とし、活性領域10aのゲート幅方向の他端からゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の他端までの突き出し量をd2としたとき、w1≦d1、且つ、w2≦d2の関係式が成り立っている。本実施形態では、例えば、w1=d1、且つ、w2<d2である。
【0082】
活性領域10aのゲート幅方向の一端とは、図6(b) に示すように、活性領域10aの表面における第1の素子分離部11xと接する端をいう。活性領域10aのゲート幅方向の他端とは、活性領域10aの表面における第2の素子分離部11yと接する端をいう。
【0083】
ゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の一端とは、図6(b) に示すように、第1の素子分離部11x上に位置する端をいう。ゲート絶縁膜16aのゲート幅方向の他端とは、第2の素子分離部11y上に位置する端をいう。
【0084】
素子分離領域11におけるゲート電極19aのゲート幅方向の側方に位置する部分は、窒素を含み(図6(b) に示すX印参照)、該窒素は、後述の通り、第1,第2の窒化領域20X,20Yの形成の際に利用する窒素(例えば、プラズマに含まれる窒素)に由来する。
【0085】
素子分離領域11におけるゲート電極19aのゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域11におけるゲート電極19a下に位置する部分の窒素濃度よりも高い。素子分離領域11におけるゲート電極19aのゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域11における活性領域10aのゲート長方向の側方に位置する部分(第3,第4の素子分離部11v,11w)の窒素濃度よりも高い。
【0086】
ゲート電極19aのゲート幅方向の両端部及びゲート電極19aの上面部は、窒素を含み(図6(b) に示すX印参照)、該窒素は、後述の通り、第1,第2の窒化領域20X,20Yの形成の際に利用する窒素(例えば、プラズマに含まれる窒素)に由来する。
【0087】
金属膜17aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分の窒素濃度は、金属膜17aにおける活性領域10a上に位置する部分の窒素濃度よりも高い。
【0088】
シリコン膜18aにおける活性領域10a上に位置する部分における上部の窒素濃度は、該部分における下部の窒素濃度よりも高い。シリコン膜18aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分の窒素濃度は、該部分における下部の窒素濃度よりも高い。
【0089】
以下に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図7(a) 〜(b) 、図8(a) 〜(b) 、図9(a) 〜(b) 、図10(a) 〜(b) 、図11(a) 〜(b) 、図12(a) 〜(b) 及び図13(a) 〜(b) を参照しながら説明する。図7(a) 〜図13(a) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。図7(b) 〜図13(b) は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。
【0090】
まず、図7(a) 〜(b) に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板10の上部に、素子分離領域11を選択的に形成する。これにより、半導体基板10に、素子分離領域11に囲まれた活性領域10aが形成される。ゲート幅W(図7(b) 参照)は、例えば200nmである。ゲート幅Wは、活性領域10aのゲート幅方向の幅である。活性領域10aを囲む素子分離領域11は、第1の素子分離部11x(図7(b) 参照)と、第2の素子分離部11y(図7(b) 参照)と、第3の素子分離部11v(図7(a) 参照)と、第4の素子分離部11w(図7(a) 参照)とを有する。その後、半導体基板10に、p型ウェル領域12を形成する。
【0091】
次に、図7(a) 〜(b) に示すように、半導体基板10上に、高誘電率膜13を形成する。高誘電率膜13の材料としては、比誘電率が8以上の金属酸化物、例えばHfSiO、HfSiON、HfO、HfON、HfZrO及びHfZrON等のハフニウム酸化物が挙げられる。その後、高誘電率膜13上に、調整用金属を含む調整用金属膜14を形成する。調整用金属として、例えばランタン(La)を用いる。
【0092】
次に、図8(a) 〜(b) に示すように、熱処理により、高誘電率膜13に、調整用金属膜14に含まれる調整用金属を導入する。これにより、高誘電率膜13中に、ダイポールが形成される。このようにして、半導体基板10上に、調整用金属を含む高誘電率膜15を有するゲート絶縁膜用膜16を形成する。その後、高誘電率膜15上に残存する調整用金属膜14を選択的に除去する。
【0093】
次に、図8(a) 〜(b) に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜用膜16上に、例えば窒化チタン(TiN)又は窒化タンタル(TaN)からなる金属膜17を形成する。その後、例えばCVD法により、金属膜17上に、例えばポリシリコンからなるシリコン膜18を形成する。このようにして、ゲート絶縁膜用膜16上に、金属膜17及びシリコン膜18を有するゲート電極用膜19を形成する。
【0094】
次に、図8(a) 〜(b) に示すように、フォトリソグラフィ法により、ゲート電極用膜19上に、ゲート電極用膜19のゲート幅方向の両端部を露出するレジストパターンRe1を形成する。レジストパターンRe1のゲート幅方向の幅は、ゲート絶縁膜(後述の図11(b):16a参照)及びゲート電極(後述の図11(b):19a参照)のゲート幅方向の幅と同じである。
【0095】
図8(b) に示すように、レジストパターンRe1のゲート幅方向の一端を、活性領域10aのゲート幅方向の一端から突き出し量Dr1の分だけ、第1の素子分離部11xの上方に突き出して形成する。一方、レジストパターンRe1のゲート幅方向の他端を、活性領域10aのゲート幅方向の他端から突き出し量Dr2の分だけ、第2の素子分離部11yの上方に突き出して形成する。
【0096】
突き出し量Dr1は、例えば突き出し量Dr2よりも小さい。突き出し量Dr1は、例えば100nm〜150nmである。突き出し量Dr2は、例えば150nm〜300nmである。
【0097】
次に、図9(a) 〜(b) に示すように、例えばドライエッチングにより、レジストパターンRe1をマスクとして、金属膜17及びシリコン膜18を有するゲート電極用膜19、並びに調整用金属を含む高誘電率膜15を有するゲート絶縁膜用膜16を順次パターニングする。その後、レジストパターンRe1を除去する。このようにして、素子分離領域11上においてゲート幅方向の両端(両側面)を露出するゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aを形成する。ゲート絶縁膜用膜16Aは、調整用金属を含む高誘電率膜15Aを有する。ゲート電極用膜19Aは、金属膜17A及びシリコン膜18Aを有する。
【0098】
このとき、素子分離領域11におけるゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の側方に位置する部分の上面が露出される。
【0099】
ゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aは、それらのゲート幅方向の一端が、活性領域10aのゲート幅方向の一端から突き出し量D1の分だけ、第1の素子分離部11x上に突き出して形成される。一方、ゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aは、それらのゲート幅方向の他端が、活性領域10aのゲート幅方向の他端から突き出し量D2の分だけ、第2の素子分離部11y上に突き出して形成される。
【0100】
突き出し量D1は、突き出し量Dr1(図8(b) 参照)と同じであり、突き出し量D1は、例えば100nm〜150nmである。突き出し量D2は、突き出し量Dr2(図8(b) 参照)と同じであり、突き出し量D2は、例えば150nm〜300nmである。
【0101】
ゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の幅は、ゲート絶縁膜(後述の図11(b):16a参照)及びゲート電極(後述の図11(b):19a参照)のゲート幅方向の幅と同じである。
【0102】
ゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の一端は、ゲート絶縁膜及びゲート電極のゲート幅方向の一端と合致する。ゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の他端は、ゲート絶縁膜及びゲート電極のゲート幅方向の他端と合致する。
【0103】
このように、ゲート電極用膜19及びゲート絶縁膜用膜16を順次パターニングして、ゲート絶縁膜及びゲート電極のゲート幅方向の両端を規定する。
【0104】
次に、図9(a) 〜(b) に示すように、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端を、例えば窒素を含むプラズマの雰囲気に晒す。これにより、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端部を窒化して、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の一端部が窒化されてなる第1の窒化領域20Xを形成すると共に、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の他端部が窒化されてなる第2の窒化領域20Yを形成する。
【0105】
このとき、ゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の両端(両側面)及び上面、並びに素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)におけるゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の側方に位置する部分の上面が、窒素を含むプラズマの雰囲気に晒される。このため、ゲート電極用膜19Aにおける、窒素を含むプラズマの雰囲気に晒された部分は、該部分以外の部分よりも、窒素濃度が高くなる。素子分離領域11における、窒素を含むプラズマの雰囲気に晒された部分は、該部分以外の部分よりも、窒素濃度が高くなる。図9(b) に示す×印は、ゲート電極用膜19A及び素子分離領域11における窒素を含む部分を示す。
【0106】
金属膜17Aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分は、金属膜17Aにおける活性領域10a上に位置する部分よりも、窒素濃度が高くなる。
【0107】
シリコン膜18Aにおける活性領域10a上に位置する部分における上部は、該部分における下部よりも、窒素濃度が高くなる。シリコン膜18Aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分は、該部分における下部よりも、窒素濃度が高くなる。
【0108】
素子分離領域11におけるゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の側方に位置する部分は、素子分離領域11におけるゲート電極用膜19A下に位置する部分よりも、窒素濃度が高くなる。素子分離領域11におけるゲート電極用膜19Aのゲート幅方向の側方に位置する部分は、素子分離領域11における活性領域10aのゲート長方向の側方に位置する部分(第3,第4の素子分離部11v,11w)よりも、窒素濃度が高くなる。
【0109】
第1の窒化領域20Xに含まれる窒素の窒素濃度をN1とし、第2の窒化領域20Yに含まれる窒素の窒素濃度をN2とし、ゲート絶縁膜用膜16Aにおける活性領域10a上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をNとしたとき、N1>N、且つ、N2>Nの関係式が成り立っている。
【0110】
第1の窒化領域20Xと第2の窒化領域20Yとは、同一の工程で形成される。このため、窒素濃度N1と窒素濃度N2とは、実質的に同じである(N1=N2)。
【0111】
窒素濃度N1,N2は、例えば2×1022atoms/cm3以上である(N1≧2×1022atoms/cm3,N2≧2×1022atoms/cm3)。
【0112】
窒素濃度Nは、例えば1×1022atoms/cm3以下である(N≦1×1022atoms/cm3)。具体的には、第1に例えば、高誘電率膜13(調整用金属が導入される前の高誘電率膜)の材料として、窒素を含まない高誘電率材料(HfSiO、HfO及びHfZrO等)を用いた場合、窒素濃度Nは、0atoms/cm3である。第2に例えば、高誘電率膜13の材料として、窒素を含む高誘電率材料(HfSiON、HfON、HfZrON等)を用いた場合、窒素濃度Nは、高誘電率膜13に含まれる窒素の窒素濃度と実質的に同じである。
【0113】
第1の窒化領域20Xのゲート幅方向の幅をW1とし、第2の窒化領域20Yのゲート幅方向の幅をW2としたとき、W1≦D1、且つ、W2≦D2の関係式が成り立っている。
【0114】
第1の窒化領域20Xと第2の窒化領域20Yとは、同一の工程で形成される。このため、幅W1と幅W2とは、実質的に同じである(W1=W2)。
【0115】
幅W1,W2は、例えば50nm〜100nmである。
【0116】
幅W1を、突き出し量D1以下として(W1≦D1)、第1の窒化領域20Xを、素子分離領域11(第1の素子分離部11x)上にのみ形成し、活性領域10a上には形成しない。同様に、幅W2を、突き出し量D2以下として(W2≦D2)、第2の窒化領域20Yを、素子分離領域11(第2の素子分離部11y)上にのみ形成し、活性領域10a上には形成しない。このように、第1,第2の窒化領域20X,20Yを、活性領域10a上に形成しないのは、以下のような理由による。
【0117】
一般に、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタの場合、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分は、MISトランジスタの実効仕事関数の決定に大きく寄与する一方、高誘電率膜における素子分離領域上に位置する部分は、MISトランジスタの実効仕事関数の決定に大きく寄与しない。
【0118】
一般に、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタの場合、高誘電率膜に含まれる窒素の窒素濃度が高くなるに連れて、高誘電率膜中に形成されるダイポールの量が多くなって、MISトランジスタの実効仕事関数が低くなる。
【0119】
このため、仮に、窒化領域を、活性領域上に形成した場合、次のような問題がある。この場合、高誘電率膜における活性領域上に位置する部分(言い換えれば、MISトランジスタの実効仕事関数の決定に大きく寄与する部分)に含まれる窒素の窒素濃度は、一定にならず、該部分は、窒化領域を含む部分(即ち、窒素濃度の比較的高い高濃度部分)と、窒化領域を含まない部分(即ち、窒素濃度の比較的低い低濃度部分)とを有する。このため、MISトランジスタにおいて、高濃度部分での実効仕事関数が、低濃度部分での実効仕事関数よりも低くなる。従って、MISトランジスタの実効仕事関数が、一定にならず、MISトランジスタのトランジスタ特性が、不安定になるという問題がある。
【0120】
そこで、本実施形態では、W1≦D1とし、且つ、W2≦D2とし、第1の窒化領域20X及び第2の窒化領域20Yを、活性領域10a上に形成しない。これにより、高誘電率膜15Aにおける活性領域10a上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度を、一定にすることができる。このため、高誘電率膜15Aがパターニングされてなる高誘電率膜(後述の図11(a) 〜(b):15a参照)を有するゲート絶縁膜(後述の図11(a) 〜(b):16a参照)を備えたMISトランジスタの実効仕事関数を、一定にし、MISトランジスタのトランジスタ特性を安定にすることができる。
【0121】
次に、図10(a) 〜(b) に示すように、フォトリソグラフィ法により、ゲート電極用膜19A及び素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に、ゲート電極用膜19Aのゲート長方向の両端部を露出するレジストパターンRe2を形成する。レジストパターンRe2のゲート長方向の幅は、ゲート絶縁膜(後述の図11(a):16a参照)及びゲート電極(後述の図11(a):19a参照)のゲート長方向の幅と同じである。
【0122】
次に、図11(a) 〜(b) に示すように、例えばドライエッチングにより、レジストパターンRe2をマスクとして、金属膜17A及びシリコン膜18Aを有するゲート電極用膜19A、並びに調整用金属を含む高誘電率膜15Aを有するゲート絶縁膜用膜16Aを順次パターニングする。その後、レジストパターンRe2を除去する。このようにして、活性領域10a及び素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に、調整用金属を含む高誘電率膜15aを有するゲート絶縁膜16a、並びに金属膜17a及びシリコン膜18aを有するゲート電極19aを順次形成する。ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分には、第1,第2の窒化領域20x,20yが設けられている。
【0123】
ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aは、それらのゲート幅方向の一端が、活性領域10aのゲート幅方向の一端から突き出し量d1の分だけ、第1の素子分離部11x上に突き出して形成されている。一方、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aは、それらのゲート幅方向の他端が、活性領域10aのゲート幅方向の他端から突き出し量d2の分だけ、第2の素子分離部11y上に突き出して形成されている。
【0124】
突き出し量d1は、突き出し量Dr1,D1(前述の図8(b),図9(b) 参照)と同じであり、突き出し量d1は、例えば100nm〜150nmである。突き出し量d2は、突き出し量Dr2,D2(前述の図8(b),図9(b) 参照)と同じであり、突き出し量d2は、例えば150nm〜300nmである。
【0125】
第1の窒化領域20xに含まれる窒素の窒素濃度を、n1とし、第2の窒化領域20yに含まれる窒素の窒素濃度を、n2とし、ゲート絶縁膜16aにおける活性領域10a上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度を、nとしたとき、n1>n、且つ、n2>nの関係式が成り立っている。
【0126】
上述の通り、第1の窒化領域20Xの窒素濃度N1と、第2の窒化領域20Yの窒素濃度N2とは、実質的に同じである(N1=N2)。このため、第1の窒化領域20Xがパターニングされてなる第1の窒化領域20xの窒素濃度n1と、第2の窒化領域20Yがパターニングされてなる第2の窒化領域20yの窒素濃度n2とは、実質的に同じである(n1=n2)。
【0127】
窒素濃度n1,n2は、例えば2×1022atoms/cm3以上である(n1≧2×1022atoms/cm3,n2≧2×1022atoms/cm3)。窒素濃度nは、例えば1×1022atoms/cm3以下である(n≦1×1022atoms/cm3)。
【0128】
第1の窒化領域20xのゲート幅方向の幅をw1とし、第2の窒化領域20yのゲート幅方向の幅をw2としたとき、w1≦d1、且つ、w2≦d2の関係式が成り立っている。本実施形態では、例えば、w1=d1、且つ、w2<d2である。
【0129】
上述の通り、第1の窒化領域20Xの幅W1と、第2の窒化領域20Yの幅W2とは、実質的に同じである(W1=W2)。このため、第1の窒化領域20Xがパターニングされてなる第1の窒化領域20xの幅w1と、第2の窒化領域20Yがパターニングされてなる第2の窒化領域20yの幅w2とは、実質的に同じである(w1=w2)。
【0130】
幅w1は、幅W1(図9(b) 参照)と同じであり、幅w1は、例えば50nm〜100nmである。幅w2は、幅W2(図9(b) 参照)と同じであり、幅w2は、例えば50nm〜100nmである。
【0131】
素子分離領域11におけるゲート電極19aのゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域11におけるゲート電極19a下に位置する部分の窒素濃度よりも高い。素子分離領域11におけるゲート電極19aのゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、素子分離領域11における活性領域10aのゲート長方向の側方に位置する部分(第3,第4の素子分離部11v,11w)の窒素濃度よりも高い。
【0132】
金属膜17aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分の窒素濃度は、金属膜17aにおける活性領域10a上に位置する部分の窒素濃度よりも高い。
【0133】
シリコン膜18aにおける活性領域10a上に位置する部分における上部の窒素濃度は、該部分における下部の窒素濃度よりも高い。シリコン膜18aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分の窒素濃度は、該部分における下部の窒素濃度よりも高い。
【0134】
なお、一般に、素子分離領域に含まれる窒素は、熱処理により、素子分離領域中を移動し難い。同様に、一般に、金属膜に含まれる窒素は、熱処理により、金属膜中を移動し難い。これに対し、一般に、シリコン膜に含まれる窒素は、熱処理により、シリコン膜中を移動し易い。このため、シリコン膜18aに含まれる窒素は、シリコン膜18aの形成後に施される熱処理(例えば、n型ソースドレイン注入領域に含まれるn型不純物を活性化させる為の熱処理等)により、シリコン膜18a中を移動し、シリコン膜18aにおける窒素濃度の高低関係が変動する可能性がある。
【0135】
このように、ゲート電極用膜19A及びゲート絶縁膜用膜16Aを順次パターニングして、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aのゲート長方向の両端を規定する。
【0136】
本実施形態では、図9(a) 〜(b) に示すように、ゲート電極用膜19及びゲート絶縁膜用膜16を順次パターニングして(ゲート電極用膜19及びゲート絶縁膜用膜16のゲート幅方向の両端部を順次除去して)、ゲート幅方向の両端を露出するゲート絶縁膜用膜16A及びゲート電極用膜19Aを形成した後、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端部を窒化して第1,第2の窒化領域20X,20Yを形成し、その後、図11(a) 〜(b) に示すように、ゲート電極用膜19A及びゲート絶縁膜用膜16Aを順次パターニングして(ゲート電極用膜19A及びゲート絶縁膜用膜16Aのゲート長方向の両端部を順次除去して)、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aを形成する。
【0137】
本実施形態では、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端部を窒化した後、ゲート電極用膜19A及びゲート絶縁膜用膜16Aのゲート長方向の両端部を順次除去して、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aを形成するため、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aのゲート長方向の両端(両側面)が窒化されることを防止することができる。
【0138】
本実施形態では、2回のパターニングにより、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aを形成するため、ゲート絶縁膜16a及びゲート電極19aの平面形状は、矩形状となる(図5参照)。これに対し、従来では、1回のパターニングにより、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成するため、ゲート絶縁膜及びゲート電極の平面形状は、角部が丸みを帯びた形状となる(前述の図14参照)。
【0139】
次に、図11(a) 〜(b) に示すように、活性領域10aにおけるゲート電極19aの側方下に、n型エクステンション注入領域21を形成する。
【0140】
次に、図12(a) 〜(b) に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えば酸化シリコン(SiO2)からなる内側サイドウォール用膜及び例えば窒化シリコン(SiN)からなる外側サイドウォール用膜を順次形成する。その後、外側サイドウォール用膜及び内側サイドウォール用膜に対して、例えば異方性ドライエッチングを順次行う。これにより、ゲート電極19aの側面上に、断面形状がL字状の内側サイドウォール22及び外側サイドウォール23を有するサイドウォール24を形成する。
【0141】
次に、図12(a) 〜(b) に示すように、活性領域10aにおけるサイドウォール24の外側方下に、n型ソースドレイン注入領域25を形成する。
【0142】
次に、図13(a) 〜(b) に示すように、例えば900℃の熱処理を行う。これにより、n型エクステンション注入領域21に含まれるn型不純物を活性化し、n型エクステンション領域21aを形成する。それと共に、n型ソースドレイン注入領域25に含まれるn型不純物を活性化し、n型ソースドレイン領域25aを形成する。
【0143】
このとき、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)上に位置する部分には、第1,第2の窒化領域20x,20yが設けられている。第1,第2の窒化領域20x,20yは、自身に酸素(O)が拡散されることを防止することができる。これにより、素子分離領域11に含まれるOが、第1,第2の窒化領域20x,20yを通って、高誘電率膜15a(特に、高誘電率膜15aにおける活性領域10a上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。
【0144】
次に、図13(a) 〜(b) に示すように、n型ソースドレイン領域25a上に、第1のシリサイド膜26aを形成する。それと共に、シリコン膜18a上に、第2のシリサイド膜26bを形成する。その後、半導体基板10上の全面に、層間絶縁膜27を形成する。その後、層間絶縁膜27に、第1のシリサイド膜26aの表面の一部を露出させる第1のコンタクトホール28a、及び第2のシリサイド膜26bの表面の一部を露出させる第2のコンタクトホール28bを形成する。その後、第1のコンタクトホール28a及び第2のコンタクトホール28b内に、例えばW(タングステン)等からなる金属膜を埋め込み、第1のコンタクトプラグ29a及び第2のコンタクトプラグ29bを形成する。
【0145】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0146】
本実施形態によると、ゲート絶縁膜16aにおける第1の素子分離部11x上に位置する部分に、第1の窒化領域20xを設け、第1の窒化領域20xの窒素濃度n1を、ゲート絶縁膜16aにおける活性領域10a上に位置する部分の窒素濃度nよりも高くする。即ち、n1>nの関係式を成り立たせる。これにより、熱処理の際に、第1の窒化領域20xに、素子分離領域11に含まれる酸素(O)が拡散されることを防止することができるため、素子分離領域11に含まれるOが、第1の窒化領域20xを通って、高誘電率膜15a(特に、高誘電率膜15aにおける活性領域10a上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。
【0147】
特に、ゲート絶縁膜16aにおける第1の素子分離部11x上に位置する部分の全部分に、第1の窒化領域20xを設ける。言い換えれば、第1の窒化領域20xのゲート幅方向の幅w1を、突き出し量d1と同じにする(w1=d1)。これにより、ゲート絶縁膜16aにおける第1,第2の窒化領域20x,20y以外の領域が、第1の素子分離部11xと接することを防止することができる。
【0148】
それと共に、ゲート絶縁膜16aにおける第2の素子分離部11y上に位置する部分に、第2の窒化領域20yを設け、第2の窒化領域20yの窒素濃度n2を、窒素濃度nよりも高くする。即ち、n2>nの関係式を成り立たせる。これにより、熱処理の際に、第2の窒化領域20yに、素子分離領域11に含まれるOが拡散されることを防止することができるため、素子分離領域11に含まれるOが、第2の窒化領域20yを通って、高誘電率膜15a(特に、高誘電率膜15aにおける活性領域10a上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。
【0149】
このように、ゲート絶縁膜16aにおける第2の素子分離部11y上に位置する部分の一部分に、第2の窒化領域20yを設ける。これにより、突き出し量d2が比較的多い場合であっても、ゲート絶縁膜16aにおける第1,第2の窒化領域20x,20y以外の領域が、第2の素子分離部11yと接する部分を少なくすることができる。
【0150】
以上のように、素子分離領域11に含まれるOが、第1,第2の窒化領域20x,20yを通って、高誘電率膜15a(特に、高誘電率膜15aにおける活性領域10a上に位置する部分)に拡散することを防止することができる。このため、高誘電率膜15aに含まれる調整用金属(例えばLa)と、素子分離領域11に含まれるOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを防止することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、n型MISトランジスタnTrの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0151】
加えて、図9(b) に示すように、ゲート絶縁膜用膜16のゲート幅方向の両端部を除去して、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端を露出した後、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端部を窒化して第1,第2の窒化領域20X,20Yを形成する。このように、第1,第2の窒化領域20X,20Yを形成するために、ゲート絶縁膜用膜16のゲート幅方向の両端部を除去する。このとき、突き出し量D1,D2を少なくすることができ、延いては、突き出し量d1,d2を少なくすることができる。このため、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11(第1,第2の素子分離部11x,11y)と接する部分を少なくすることができる。このため、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11と接する部分を通って、素子分離領域11から高誘電率膜15a(特に、高誘電率膜15aにおける活性領域10aと接する部分)に拡散されるO量を少なくすることができる。このため、高誘電率膜15aに含まれる調整用金属(例えばLa)と、素子分離領域11に含まれるOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることをさらに防止することができる。
【0152】
さらに、w1≦d1、且つ、w2≦d2の関係式が成り立っている。これにより、ゲート絶縁膜16aにおける活性領域10a上に位置する部分の窒素濃度nを、一定にすることができる。このため、n型MISトランジスタnTrの実効仕事関数を、一定にすることができるため、n型MISトランジスタnTrのトランジスタ特性を安定にすることができる。
【0153】
なお、本実施形態では、例えば、図9(b) に示すように、ゲート絶縁膜用膜16Aのゲート幅方向の両端を、窒素を含むプラズマの雰囲気に晒すことにより、第1,第2の窒化領域20X,20Yを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0154】
例えばイオン注入により、注入エネルギーが20keV,注入ドーズ量が5×1014ions/cm2,注入角度が15°のイオン注入条件で、ゲート絶縁膜用膜に、窒素を含むイオンを注入することにより、第1,第2の窒化領域を形成してもよい。注入角度とは、半導体基板10の主面に直交する法線に対して傾斜する角度をいう。このとき、ゲート電極用膜の両端(両側面)及び上面、並びに素子分離領域におけるゲート電極用膜の側方に位置する部分の上面に、窒素を含むイオンが注入される。
【0155】
なお、本実施形態では、図11(b) に示すように、ゲート絶縁膜16aにおける第1の素子分離部11x上に位置する部分の全部分に、第1の窒化領域20xを設ける、言い換えれば、w1=d1である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、w1<d1であってもよい。即ち、w1≦d1の関係式が成り立っていればよい。特に、w1=d1であることが好ましい。このようにすると、上述の通り、ゲート絶縁膜16aにおける第1,第2の窒化領域20x,20y以外の領域が、第1の素子分離部11xと接することを防止することができる。
【0156】
なお、本実施形態では、図11(b) に示すように、ゲート絶縁膜16aにおける第2の素子分離部11y上に位置する部分の一部分に、第2の窒化領域20yを設ける、言い換えれば、w2<d2である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、w2=d2であってもよい。即ち、w2≦d2の関係式が成り立っていればよい。特に、w2=d2であることが好ましい。このようにすると、ゲート絶縁膜における第1,第2の窒化領域以外の領域が、第2の素子分離部と接することを防止することができる。
【0157】
なお、本実施形態では、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11上に位置する部分のうち、第1の素子分離部11x上に位置する部分の全部分に第1の活性領域20xを設けると共に、第2の素子分離部11y上に位置する部分の一部分に第2の窒化領域20yを設けた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分に、窒化領域を設ければよい。
【0158】
なお、本実施形態では、図11(b) に示すように、第1の窒化領域20xのゲート幅方向の幅w1と、第2の窒化領域20yのゲート幅方向の幅w2とが実質的に同じである(w1=w2)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の窒化領域のゲート幅方向の幅と、第2の窒化領域のゲート幅方向の幅とを、互いに異ならせてもよい。但し、上述の通り、第1,第2の窒化領域を、素子分離領域(第1,第2の素子分離部)上にのみ形成することが好ましい。
【0159】
なお、本実施形態では、図11(b) に示すように、第1の窒化領域20xの窒素濃度n1と、第2の窒化領域20yの窒素濃度n2とが実質的に同じである(n1=n2)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の窒化領域の窒素濃度と、第2の窒化領域の窒素濃度とを、互いに異ならせてもよい。
【0160】
なお、本実施形態では、ゲート絶縁膜16aにおける素子分離領域11上に位置する部分に設ける領域として、窒素を含む第1,第2の窒化領域20x,20yを用いた場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分に設ける領域は、熱処理の際に自身にOが拡散されることを防止することができる領域であればよい。
【0161】
なお、本実施形態では、調整用金属として、例えばLaを用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。Laの代わりに、例えば他のランタノイド元素又はマグネシウム(Mg)等を用いてもよい。
【0162】
なお、本実施形態では、突き出し量d1が、突き出し量d2よりも小さい(d1<d2)場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1に例えば、突き出し量d1が、突き出し量d2と同じでもよい(d1=d2)。第2に例えば、突き出し量d1が、突き出し量d2よりも大きくてもよい(d1>d2)。
【0163】
なお、本実施形態では、調整用金属を含む高誘電率膜15aを有するゲート絶縁膜16aを具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、活性領域上に形成された下地膜と、下地膜上に形成された調整用金属を含む高誘電率膜とを有するゲート絶縁膜でもよい。下地膜の材料としては、例えば、酸化シリコン等が挙げられる。
【0164】
本実施形態の場合、図6(b) に示すように、調整用金属を含む高誘電率膜15aは、素子分離領域11と接する。これに対し、酸化シリコンからなる下地膜と調整用金属を含む高誘電率膜とを有するゲート絶縁膜の場合、例えば、酸化シリコンからなる下地膜を熱酸化によって形成すると、活性領域上には下地膜が形成されるが、素子分離領域上には下地膜が形成されない。このため、調整用金属を含む高誘電率膜は、素子分離領域と接して形成されるため、熱処理の際に、素子分離領域に含まれるOが、調整用金属を含む高誘電率膜に拡散する。従って、酸化シリコンからなる下地膜と調整用金属を含む高誘電率膜とを有するゲート絶縁膜の場合においても、ゲート絶縁膜における素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分に、窒化領域を設けることにより、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
なお、本実施形態では、n型MISトランジスタnTrを備えた半導体装置を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとを備えた半導体装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上説明したように、本発明は、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができ、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0167】
10 半導体基板
10a 活性領域
11 素子分離領域
11x 第1の素子分離部
11y 第2の素子分離部
11v 第3の素子分離部
11w 第4の素子分離部
12 p型ウェル領域
13 高誘電率膜
14 調整用金属膜
15,15a 調整用金属を含む高誘電率膜
16,16A ゲート絶縁膜用膜
16a ゲート絶縁膜
17,17A,17a 金属膜
18,18A,18a シリコン膜
19,19A ゲート電極用膜
19a ゲート電極
20X,20x 第1の窒化領域
20Y,20y 第2の窒化領域
21 n型エクステンション注入領域
21a n型エクステンション領域
22 内側サイドウォール
23 外側サイドウォール
24 サイドウォール
25 n型ソースドレイン注入領域
25a n型ソースドレイン領域
26a 第1のシリサイド膜
26b 第2のシリサイド膜
27 層間絶縁膜
28a 第1のコンタクトホール
28b 第2のコンタクトホール
29a 第1のコンタクトプラグ
29b 第2のコンタクトプラグ
Re1 レジストパターン
Re2 レジストパターン
d1,d2,Dr1,Dr2,D1,D2 突き出し量
w1,w2,W1,W2 幅
50 半導体基板
50x 活性領域
51 素子分離領域
52a,52b, 52c, 52d Laを含む高誘電率膜
52A,52B, 52C, 52D ゲート絶縁膜
53a,53b, 53c, 53d 金属膜
54a,54b, 54c, 54d シリコン膜
54A,54B, 54C, 54D ゲート電極
55c 端部
55d 窒化領域
W ゲート幅
D 突き出し量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MISトランジスタを備えた半導体装置であって、
前記MISトランジスタは、
半導体基板における素子分離領域に囲まれた活性領域と、
前記活性領域及び前記素子分離領域上に形成され、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを備え、
前記ゲート絶縁膜における前記素子分離領域上に位置する部分のうち、少なくとも一部分には、窒化領域が設けられており、
前記窒化領域に含まれる窒素の窒素濃度をnxとし、前記ゲート絶縁膜における前記活性領域上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をnとしたとき、
nx>n
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記窒化領域は、前記ゲート絶縁膜のゲート幅方向の一端側に設けられた第1の窒化領域と、前記ゲート絶縁膜のゲート幅方向の他端側に設けられた第2の窒化領域とを有し、
前記第1の窒化領域のゲート幅方向の幅をw1とし、
前記第2の窒化領域のゲート幅方向の幅をw2とし、
前記活性領域のゲート幅方向の一端から前記ゲート絶縁膜のゲート幅方向の一端までの突き出し量をd1とし、
前記活性領域のゲート幅方向の他端から前記ゲート絶縁膜のゲート幅方向の他端までの突き出し量をd2としたとき、
w1≦d1、且つ、w2≦d2
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜における前記活性領域上に位置する部分には、前記窒化領域が形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域における前記ゲート電極のゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、前記素子分離領域における前記ゲート電極下に位置する部分の窒素濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域における前記ゲート電極のゲート幅方向の側方に位置する部分の窒素濃度は、前記素子分離領域における前記活性領域のゲート長方向の側方に位置する部分の窒素濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記窒素濃度nxは、2×1022atoms/cm3以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記窒素濃度nは、1×1022atoms/cm3以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記MISトランジスタは、n型MISトランジスタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート絶縁膜は、調整用金属を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記調整用金属は、ランタンであることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上に形成された金属膜と、前記金属膜上に形成されたシリコン膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記金属膜における前記素子分離領域上に位置する部分の窒素濃度は、前記金属膜における前記活性領域上に位置する部分の窒素濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
半導体基板における活性領域上に形成されたゲート絶縁膜及びゲート電極を有するMISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板に、前記活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(a)と、
前記活性領域及び前記素子分離領域上に、高誘電率膜を有するゲート絶縁膜用膜を形成する工程(b)と、
前記ゲート絶縁膜用膜上に、ゲート電極用膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート電極用膜及び前記ゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記素子分離領域上においてゲート幅方向の両端を露出する前記ゲート絶縁膜用膜及び前記ゲート電極用膜を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の両端部を窒化して、前記素子分離領域上に位置する窒化領域を形成する工程(e)と、
前記工程(e)の後に、前記ゲート電極用膜及び前記ゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を形成する工程(f)とを備え、
前記工程(d)において、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極のゲート幅方向の両端が規定され、
前記工程(f)において、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極のゲート長方向の両端が規定されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(e)において、前記窒化領域に含まれる窒素の窒素濃度をNXとし、前記ゲート絶縁膜用膜における前記活性領域上に位置する部分に含まれる窒素の窒素濃度をNとしたとき、
NX>N
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)において、前記ゲート絶縁膜用膜は、そのゲート幅方向の一端が、前記活性領域のゲート幅方向の一端から突き出し量D1の分だけ、前記素子分離領域上に突き出して形成される一方、前記ゲート絶縁膜用膜は、そのゲート幅方向の他端が、前記活性領域のゲート幅方向の他端から突き出し量D2の分だけ、前記素子分離領域上に突き出して形成され、
前記工程(e)において、前記ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の一端部が窒化された第1の窒化領域と、前記ゲート絶縁膜用膜のゲート幅方向の他端部が窒化された第2の窒化領域とを有する前記窒化領域が形成され、
前記第1の窒化領域のゲート幅方向の幅をW1とし、前記第2の窒化領域のゲート幅方向の幅をW2としたとき、
W1≦D1、且つ、W2≦D2
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−38800(P2012−38800A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175247(P2010−175247)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】