説明

半導体製造装置、スパッタリング装置、ドライエッチング装置及び半導体装置の製造方法

【課題】プラズマを用いる半導体製造装置における反応チャンバ内のプラズマ密度の分布を制御し、半導体基板面内の膜形成あるいは加工を均一に行うことができる半導体製造装置を提供する。
【解決手段】電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマ10を発生させることで全体プラズマ11の密度を制御するための複数の分割RF電極7を備えたRF電極部5を有する。その各々の分割RF電極7に、別々に電力を供給する電力供給手段を有することにより、分割RF電極7に供給された電力に応じた密度を有する複数の部分プラズマ10が発生する。この複数の部分プラズマ10が集合して全体プラズマ11が形成される。部分プラズマ10の密度を制御することにより、全体プラズマ11の密度を制御する。この全体プラズマ11を用いてその基板の面内を均一に処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを用いて基板の処理を行う半導体製造装置に関し、特に、プラズマによりイオン化された粒子を用いて、基板に膜を形成するスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の平行平板型のスパッタリング装置の模式断面図を示している。スパッタリング処理を行う反応チャンバ21内の下側に、半導体基板23を載置するためのアースされたステージ22が設置されている。半導体基板23の上側には膜材料として使用するターゲット24が設置されている。ターゲット24の上にはRF(Radio Frequency)放電によりプラズマを発生させるためのRF電極25が設置されている。RF電極25はRF電源26と電気的に接続されている。
【0003】
次に、このスパッタリング装置を用いた膜形成方法について説明する。半導体基板23の表面に膜を形成するためには、まずターゲット24をスパッタリングするために、例えばAr等のガスを反応チャンバ21内に導入する。次に、RF電源26により、RF電極25に電圧を供給する。電圧を供給することにより、ステージ22とRF電極25の間に高周波の交流が発生し、Arガスがプラズマ化する。そして、同図に示すように半導体基板23とターゲット24の間にプラズマ27が発生する。プラズマ27中では、Arガスがイオン化し、そのArイオンがターゲット24に引き寄せられて衝突することにより、ターゲット24の材料が飛び出して、半導体基板23上に付着する。ここで、反応チャンバ21内に発生しているプラズマ27は、半導体基板23上において常に密度が一定であるとした場合には、半導体基板23上の面内に均一に膜を形成することができる。
【0004】
なお、ターゲットをそのまま配置することに代えて、特許文献1では、ターゲットを複数分割して配置している。また、特許文献2では、RF電極への周波数を固定することに代えて、RF電極への周波数を複数に変化させている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−234893号公報
【特許文献2】特開2000−156374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、図5に図示されているプラズマ27の形状を見るとわかるように、実際にはプラズマ27の密度は半導体基板23上で均一な分布にはなっていない。その理由を以下に説明する。反応チャンバ21内は、プラズマ形成及びターゲットを叩く、すなわち、スパッタリングを行うためのイオン源としてArガスを導入している。また、反応チャンバ21内はスパッタリングを安定して行うために、圧力を一定に保つ必要がある。したがって、反応チャンバ21内からガスを排気しなければならない。同図において、Ar排出ガス28をステージ22の両脇から排気している。したがって、プラズマ27の密度は、排出ガス28の流れに近いところは小さくなる。プラズマ27の密度が小さくなっている領域では、スパッタリング反応が抑制され、その結果として半導体基板23に形成されるスパッタリング膜は面内において、その中央部よりも周辺部の方が薄くなる。
【0007】
図6には、横軸にステージ位置、縦軸にプラズマ27の密度の値をとった模式的なグラフを示す。このグラフからわかるように、プラズマ27の密度はステージ中央部で大きく、周辺に行くに従い小さくなる。このような関係が、半導体基板23の膜厚分布に反映されることになる。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2においては、反応チャンバ内の排気等による装置起因のプラズマ密度の変化には対応できない。
【0009】
本発明の目的は、プラズマを用いる半導体製造装置における反応チャンバ内のプラズマ密度の分布を制御し、半導体基板面内の膜形成あるいは加工を均一に行うことができる半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜を形成しまたは膜を除去すべく制御するための複数の分割RF電極と、複数の前記分割RF電極に、前記膜の厚さを均一にするように複数の電力を供給する電力供給手段とを有する半導体製造装置であることを要旨とする。
この装置によれば、複数の分割RF電極に、複数の電力を供給する電力供給手段を有することにより、各々の分割RF電極が供給される電力に応じたRF放電をさせる。この分割RF電極に供給された電力に応じた密度を有する複数の部分プラズマを発生させる。この複数の部分プラズマが集合することにより、全体プラズマが形成されているので、部分プラズマの密度を制御することにより、膜を均一にするように全体プラズマの密度を制御する。したがって、基板に形成されている膜等を均一に処理することができる。
【0011】
また、本発明は、上記の装置において、前記電力供給手段は、複数の前記分割RF電極に対応した複数のRF電源を有し、前記RF電源から供給される電力を独立に制御して、前記分割RF電極に電力を供給する半導体製造装置であることを要旨とする。
【0012】
この装置によれば、分割RF電極にそれぞれに対応した電力供給部を有している。その電力供給部から独立して電力を供給することにより、分割RF電極に供給するパワーを独立に制御することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の装置において、前記電力供給手段は、電力供給部から電力分配器を介して各々の前記分割RF電極に対して各々の電力を供給する半導体製造装置であることを要旨とする。
この装置によれば、1つの電力供給部から電力分配器を介して各々の分割RF電極に電圧を供給することにより、半導体製造装置に電力供給部を余分に設ける必要がない。
【0014】
また、本発明は、上記の装置において、各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体を有する半導体製造装置であることを要旨とする。
この装置によれば、分割RF電極間に絶縁体を設けることにより、分割RF電極間の電気的な接続を防止する。これにより、複数の分割RF電極に複数の電力を供給することで安定した部分プラズマを発生させることができる。
【0015】
また、本発明は、電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜形成すべく制御するための複数の分割RF電極と、複数の前記分割RF電極に、基板の面内を均一に膜形成をするように複数の電力を供給する電力供給手段と、各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体と、前記RF電極部の下部にターゲットと電気的に絶縁するための絶縁体とを有するスパッタリング装置であることを要旨とする。
【0016】
また、本発明は、電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜または基板を除去すべく制御するための複数の分割RF電極と、複数の前記分割RF電極に前記膜の厚さを均一に除去するように複数の電力を供給する電力供給手段と、各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体とを有するドライエッチング装置であることを要旨とする。
【0017】
上記発明においては、スパッタリング装置やドライエッチング装置に適用することが望ましい。
【0018】
また、本発明は、半導体基板上に複数の部分プラズマを形成する手順と、複数の前記部分プラズマの密度を制御することで、前記部分プラズマが集合して形成されている全体プラズマの密度を均一に膜を形成するように制御する手順と、前記半導体基板にスパッタリング法で膜形成をする手順とを有する半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
この方法によれば、複数の部分プラズマを形成し、部分プラズマ密度を制御することにより、部分プラズマの集合体として形成されている全体プラズマの密度を、均一に膜を形成するように制御する。このように密度が制御された全体プラズマを用いることにより、スパッタリング法にて半導体基板に均一に膜を形成することができる。
【0019】
また、本発明は、半導体基板上に複数の部分プラズマを形成する手順と、複数の前記部分プラズマの密度を制御することで、前記部分プラズマが集合して形成されている全体プラズマの密度を均一に膜または基板を除去するように制御する手順と、前記半導体基板の面内にドライエッチング法で均一に膜あるいは基板の除去を均一にする手順とを有する半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
この方法によれば、複数の部分プラズマを形成し、部分プラズマ密度を制御することにより、部分プラズマの集合体として形成されている全体プラズマの密度を、均一に膜を形成するように制御する。このように密度が制御された全体プラズマを用いることにより、ドライエッチング法にて基板または膜を均一に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る実施形態の半導体製造装置の1つであるスパッタリング装置とその膜形成方法について、図1〜図3を用いて説明する。
まず、本装置で用いるスパッタリング装置の構成について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態で用いるスパッタリング装置の特に反応チャンバを示す模式断面図である。スパッタリング装置の反応チャンバ1内の下側には、電気的にアースされている水平方向に円盤状のステージ2を有している。ステージ2の上には、スパッタリング法で膜形成させるための半導体基板3が載置されている。同図における反応チャンバ1の上部には、膜材料として用いられる円柱状のターゲット4を有している。ターゲット4の上部には、RF(Radio Frequency)電極部5を有している。RF電極部5は、絶縁体6と分割RF電極7を有している。絶縁体6は、例えば石英ガラス等で円柱状に形成されており、ターゲット4と電気的に絶縁させている。絶縁体6の上には、分割RF電極7が配置されている。同図では、分割RF電極7は2つに分割されている。すなわち、周辺部の分割RF電極7aと中央部の分割RF電極7bとに分割されている。
【0022】
分割RF電極7aと分割RF電極7bとの間には、絶縁体6がリング状に配置されている。分割RF電極7a及び7bへ電力を供給する電力供給手段は、RF電源9を用いる。RF電源9は電力分配器8と電気配線13によって電気的に接続されている。電力分配器8は、電気配線13aによって分割RF電極7aと、電気配線13bによって分割RF電極7bの各々に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、分割RF電極7a及び分割RF電極7bへの電力供給は、電力分配器8を介して供給される。
【0023】
図2は、スパッタリング装置が有するRF電極部5を上部側から見た平面模式図である。RF電極部5全体の形状は、円盤状であり、その周辺部は分割RF電極7aが配置され、中央部には分割RF電極7bが配置されている。分割RF電極7aと分割RF電極7bとの間には電気的に相互に独立となるように絶縁体6がリング状に配置されている。絶縁体6は、分割RF電極7及びターゲット4とをより確実に電気的な接続を防止する。なお、同図に示すリング状の絶縁体6は、図1の模式断面図で示したように、ターゲット4上に配置されている絶縁体6と一体となっていてもよいし、別々の部品として配置してもよい。
【0024】
次に、本実施形態のスパッタリング装置を用いた半導体基板3への膜形成方法について図1を用いて説明する。スパッタリング装置の反応チャンバ1内で、まず、RF電源9から分割RF電極7に電力を供給する。本実施形態における分割RF電極に電力を供給する電圧供給手段は、1つのRF電源9から供給される電力を電力分配器8によって、分割RF電極7a及び分割RF電極7bに所定の比率で分配して供給する手段を用いている。ここでは、分割RF電極7aに供給される電圧と分割RF電極7bに供給される電圧との比を、例えば6:4に設定する。
【0025】
分割RF電極7a及び分割RF電極7bに電力を供給することにより、ステージ2とターゲット4の間にRFパワーが供給される。また、反応チャンバ1内には、Arガスを導入する。なお、導入するガスはAr以外の不活性気体、例えばXeやNe等を用いてもよい。導入されたArは、ステージ2とターゲット4の間に発生しているRFパワーによって、発生するRF放電によりプラズマ化する。ここで、Arプラズマの発生密度は、供給されているRFパワーに依存する。本実施形態においては、ステージ2の周辺部上側に配置されている分割RF電極7aにより発生する部分プラズマ10aと、ステージ2の中央部上側に配置されている分割RF電極7bにより発生する部分プラズマ10bが形成される。本実施形態において、部分プラズマ形成手段は、上記のように複数の分割RF電極7により実現されている。また、絶縁体6を有することにより、確実に分割RF電極7同士、およびターゲット4と分割RF電極7との間を電気的に接続されるのを防止することができる。したがって、各々の分割RF電極7に供給されるRFパワーの強さに応じた部分プラズマ10を安定して形成することができる。
【0026】
分割RF電極7aに供給されるRFパワーと、分割RF電極7bに供給されるRFパワーとの比は6:4なので、部分プラズマ10aの密度と、部分プラズマ10bの密度とでは、部分プラズマ10aの方が、密度が高くなる。同図において、部分プラズマ10aは、ステージ2とターゲット4との間の周辺近傍に想像線を用いて表現されている。同様にして、部分プラズマ10bは、ステージ2とターゲット4との間の中央部付近に部分プラズマ10aよりも小さく、円盤形状として想像線で表現されている。
【0027】
部分プラズマ10aと部分プラズマ10bとは、集合して1つの全体プラズマ11を形成する。全体プラズマ11の形状は、中央部が薄く周辺部が厚くなっている。本実施形態で用いているスパッタリング装置においては、反応チャンバ1内の余分なArの排出ガス12は、ステージ2の周辺部近傍から排出される。Arプラズマもその排出ガス12と同じように、反応チャンバ1のガス排出口(図示せず)から排出されてしまう。したがって、周辺部の部分プラズマ10aの密度は低下する。しかし、部分プラズマ10aにおいて密度の低下が生じても、ステージ2の中央部近傍に形成されている部分プラズマ10bとほぼ同等のプラズマ密度になるように設定している。すなわち、ステージ2の周辺部のプラズマ密度の低下を想定し、部分プラズマ10a及び10bの密度を制御している。このように、複数の部分プラズマ10を制御することにより、部分プラズマ10の集合体である全体プラズマ11の密度を制御することができる。すなわち、全体プラズマ密度制御手段は、各々の部分プラズマ10の密度を制御することにより実現されている。
【0028】
図3は、スパッタリング装置の反応チャンバ1内での全体プラズマの密度分布を示すグラフである。同図においては、横軸にステージ位置をとり、縦軸にプラズマ密度をとっている。本実施形態においては、部分プラズマ密度制御手段として、ステージ2の上側に配置されている分割RF電極7に供給されるRFパワーを制御することで、各々の分割RF電極7によって形成される部分プラズマ10の密度を制御している。これにより、全体プラズマ密度制御手段は、密度が制御された部分プラズマ10の集合体で構成される。同図においては、分割RF電極7aと分割RF電極7bとに供給する電力比が6:4の場合を示している。したがって、全体プラズマ11においては、ステージ2の周辺部のプラズマ密度が高く、中央部でのプラズマ密度は低くなっている。本実施形態においては、同図のように、ステージ2に対して、周辺部のプラズマ密度を高くし、中央部のプラズマ密度を低くするような分布にすることにより、スパッタリング手段として、スパッタリング法による半導体基板3の面内に均一に膜を形成することができる。
【0029】
本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)複数の部分プラズマ10を形成し、部分プラズマ10の密度を制御することにより、部分プラズマ10の集合体として形成されている全体プラズマ11の密度を、均一に膜を形成するように制御することができる。このように密度が制御された全体プラズマ11を用いることにより、スパッタリング法にて半導体基板に均一に膜を形成することができる。
(2)複数の分割RF電極に、複数の電力を供給する電力供給手段を有することにより、各々の分割RF電極が供給される電力に応じたRF放電をさせることができる。したがって、分割RF電極に供給された電力に応じた密度を有する複数の部分プラズマを発生させることができる。この複数の部分プラズマが集合することにより、全体プラズマが形成されているので、部分プラズマの密度を制御することにより、全体プラズマの密度を膜を均一にするように制御することができる。したがって、基板に形成されている膜等を均一に処理することができる。
(3)分割RF電極7の間に絶縁体6を設けることにより、分割RF電極7の間の電気的な接続を防止する。これにより、複数の分割RF電極7に複数の電力を供給することで安定した部分プラズマを発生させることができる。
(4)1つの電力供給部としてのRF電源9から電力分配器を介して各々の分割RF電極に電圧を供給することにより、半導体製造装置にRF電源9を余分に設ける必要がない。
【0030】
本発明の実施形態は上記に限らず、以下のように変形してもよい。
(変形例1)本実施形態では2つの分割RF電極7を用いているが、それに代えて分割RF電極7を、3つや4つ等、n個(nは2以上の自然数)に分割されていても構わない。
(変形例2)本実施形態では分割RF電極7a及び分割RF電極7bに対して、電力分配器を用いた電力供給手段を有している。それに代えて、図4のように、それぞれ独立した複数のRF電源9a及びRF電源9bをそれぞれ電気配線13aにより分割RF電極7aと、電気配線13bにより分割RF電極7bとを電気的に接続することにより、電力を供給する電力供給手段を有していてもよい。各々のRF電源9の電力供給値を制御することで、さらに分割RF電極に供給する電力を詳細に制御することができる。したがって、分割RF電極7によるRF放電によって発生する部分プラズマ10の密度をより詳細に制御することができる。
(変形例3)本実施形態で説明したスパッタリング装置に限らず、ドライエッチング装置に用いてもよい。例えば、平行平板型等のドライエッチング装置においては、やはりRF電極により、プラズマを発生させて半導体基板表面あるいは、半導体基板に形成された膜をドライエッチング法により除去する。半導体基板面内を均一にドライエッチングするという課題に対して、本実施形態で説明したように部分プラズマを形成し、その密度を制御することにより、全体プラズマの密度を制御する。これにより、半導体基板面内を均一にドライエッチングすることができる。また、部分プラズマの形成は、分割RF電極を用いることにより実現できる。
(変形例4)本実施形態で説明したスパッタリング装置に限らず、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)装置に用いてもよい。例えば、平行平板型等のPECVD装置においては、やはりRF電極により、プラズマを発生させて半導体基板表面に膜をCVD法により形成する。半導体基板面内を均一にCVD法により膜形成するという課題に対して、本実施形態で説明したように部分プラズマを形成し、その密度を制御することにより、全体プラズマの密度を制御する。これにより、半導体基板面内を均一にCVD法により膜形成することができる。また、部分プラズマの形成は、分割RF電極を用いることにより実現できる。
【0031】
以下、上記実施形態から導き出される技術的思想を記載する。
(1)電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜または基板を除去すべく制御するための複数の分割RF電極と、複数の前記分割RF電極に前記膜の厚さを均一に形成するように複数の電力を供給する電力供給手段と、各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体とを有するPECVD装置。
(2)プラズマを用いて半導体基板上に膜形成をするPECVD装置を用いる半導体装置の製造方法であって、部分プラズマ形成手段により、前記半導体基板上に複数の部分プラズマを形成する手順と、全体プラズマ密度制御手段により、複数の前記部分プラズマの密度を制御することで、前記部分プラズマが集合して形成される全体プラズマの密度を前記半導体基板の面内に均一に膜形成するように制御する手順と、PECVD手段により、前記半導体基板にPECVD法で膜形成をする手順とを有する半導体装置の製造方法。
(3)電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体のプラズマの密度を、膜あるいは基板を除去するために制御するための複数の分割RF電極を備えたRF電極部と、複数の前記分割RF電極に、基板の面内を均一に膜あるいは基板の除去をするように複数の電力を供給する電力供給手段と、前記RF電極部が有する各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体とを有するRF電極部。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態における半導体製造装置としてのスパッタリング装置の反応チャンバを示す模式断面図。
【図2】スパッタリング装置の上部電極部を鉛直上側から見た模式平面図。
【図3】反応チャンバ内のステージ位置とプラズマ密度の関係を示すグラフ。
【図4】変形例におけるスパッタリング装置の反応チャンバを示す模式断面図。
【図5】従来のスパッタリング装置の反応チャンバを示す模式断面図。
【図6】反応チャンバ内のステージ位置とプラズマ密度の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0033】
1…スパッタリング装置の反応チャンバ、2…ステージ、3…半導体基板、4…ターゲット、5…RF電極部、6…絶縁体、7…分割RF電極、8…電力分配器、9…RF電源、10…部分プラズマ、11…全体プラズマ、12…排出ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜を形成しまたは膜を除去すべく制御するための複数の分割RF電極と、
複数の前記分割RF電極に、前記膜の厚さを均一にするように複数の電力を供給する電力供給手段と、
を有する半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体製造装置であって、
前記電力供給手段は、複数の前記分割RF電極に対応した複数のRF電源を有し、
前記RF電源から供給される電力を独立に制御して、前記分割RF電極に電力を供給する半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体製造装置であって、
前記電力供給手段は、電力供給部から電力分配器を介して各々の前記分割RF電極に対して各々の電力を供給する半導体製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体製造装置であって、
各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体を有する半導体製造装置。
【請求項5】
電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ、前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜形成すべく制御するための複数の分割RF電極と、
複数の前記分割RF電極に、基板の面内を均一に膜形成をするように複数の電力を供給する電力供給手段と、
各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体と、
前記RF電極部の下部にターゲットと電気的に絶縁するための絶縁体と、
を有するスパッタリング装置。
【請求項6】
電気的に相互に独立したRF放電により複数の部分プラズマを発生させ,前記部分プラズマが集合した全体プラズマの密度を、膜または基板を除去すべく制御するための複数の分割RF電極と、
複数の前記分割RF電極に前記膜の厚さを均一に除去するように複数の電力を供給する電力供給手段と、
各々の前記分割RF電極の間を電気的に絶縁するための絶縁体と、
を有するドライエッチング装置。
【請求項7】
半導体基板上に複数の部分プラズマを形成する手順と、
複数の前記部分プラズマの密度を制御することで、前記部分プラズマが集合して形成されている全体プラズマの密度を均一に膜を形成するように制御する手順と、
前記半導体基板にスパッタリング法で膜形成をする手順と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板上に複数の部分プラズマを形成する手順と、
複数の前記部分プラズマの密度を制御することで、前記部分プラズマが集合して形成されている全体プラズマの密度を均一に膜または基板を除去するように制御する手順と、
前記半導体基板の面内にドライエッチング法で均一に膜あるいは基板の除去を均一にする手順と、
を有する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−54334(P2006−54334A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235231(P2004−235231)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】