説明

半導体集積回路

【課題】少なくともロジック回路ブロックを含む半導体集積回路において、半導体集積回路の電源用パッドとロジック回路ブロックの電源ラインとを接続する電源配線、及び/又は、半導体集積回路のグランド用パッドとロジック回路ブロックのグランドラインとを接続するグランド配線の抵抗値を下げる。
【解決手段】この半導体集積回路は、半導体基板と、半導体基板上にそれぞれの層間絶縁膜を介して形成され、半導体基板に形成された複数のトランジスタに接続されて複数のトランジスタと共に少なくともロジック回路ブロックを構成する複数の配線層と、複数の配線層が形成された半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成され、複数の配線層における最大膜厚の5倍〜20倍の膜厚を有する最上層の配線層とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に形成された複数のトランジスタと、半導体基板上にそれぞれの層間絶縁膜を介して形成された複数の配線層とによって構成される少なくともロジック回路ブロックを含む半導体集積回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、ロジック回路ブロックに用いられる配線層の膜厚は、通常、厚くても400nm程度であり、配線の抵抗値が無視できない。そのような配線の中でも、電源配線やグランド配線においては、多数のロジック回路に流れる電流が重畳されて様々なノイズが発生するので、複数の回路間又は複数の回路ブロック間におけるノイズの干渉が問題となる。特に、ロジック回路とアナログ回路とを混載する半導体集積回路においては、ロジック回路において発生するディジタルノイズのアナログ回路への回り込みが大きな問題となる。
【0003】
関連する技術として、特許文献1及び特許文献2には、高周波成分の電源ノイズを排除するために、残留インダクタンスが小さく、面積を拡大させることなく、しかも十分な容量を与えるバイパスコンデンサを含む機能スタンダードセル及びこれを有する半導体集積回路が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたスタンダードセルは、入力及び出力信号端子を含む少なくとも1つの機能回路素子が形成された半導体基板と、半導体基板の上方に形成された、入力及び出力信号端子を配線するための少なくとも1層からなる信号配線層と、信号配線層の上方に形成された3端子コンデンサとを備え、3端子コンデンサは、電源配線層と、絶縁層を介して電源配線層を挟む第1及び第2の接地配線層とを有し、機能回路素子は、電源配線層及び第1の接地配線層から電源供給を受ける。
【0005】
また、特許文献2に開示された半導体集積回路は、多層配線層を有するスタンダードセル又はマクロセルを少なくとも1つ含む半導体集積回路であって、半導体基板の上方に形成された、少なくとも1層からなる信号配線層と、信号配線層の上方に形成された3端子コンデンサとを備え、3端子コンデンサは、電源配線層と、絶縁層を介して電源配線層を挟む第1及び第2の接地配線層とを有し、機能回路素子は、電源配線層及び第1の接地配線層から電源供給を受ける。
【0006】
特許文献1及び特許文献2によれば、バイパスコンデンサの電源配線層(電極)の上下両側に絶縁層を介して第1及び第2の接地配線層(電極)を設けることにより、バイパスコンデンサの容量を増大することができる。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、電源配線又は接地配線の抵抗値を下げることに関しては、特に開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−224195号公報(第1頁、図3)
【特許文献2】特開2007−165922号公報(第1頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記の点に鑑み、本発明の幾つかの態様によれば、少なくともロジック回路ブロックを含む半導体集積回路において、半導体集積回路の電源用パッドとロジック回路ブロックの電源ラインとを接続する電源配線、及び/又は、半導体集積回路のグランド用パッドとロジック回路ブロックのグランドラインとを接続するグランド配線の抵抗値を下げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る半導体集積回路は、半導体基板と、半導体基板上にそれぞれの層間絶縁膜を介して形成され、半導体基板に形成された複数のトランジスタに接続されて複数のトランジスタと共に少なくともロジック回路ブロックを構成する複数の配線層と、複数の配線層が形成された半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成され、複数の配線層における最大膜厚の5倍〜20倍の膜厚を有する最上層の配線層とを具備する。
【0010】
ここで、最上層の配線層が、半導体集積回路の電源用パッドとロジック回路ブロックの電源ラインとを直接接続し、及び/又は、半導体集積回路のグランド用パッドとロジック回路ブロックのグランドラインとを直接接続するために用いられるようにしても良い。
【0011】
さらに、最上層の配線層が、半導体集積回路の電源用パッドとロジック回路ブロックの電源ラインとを直接接続する第1の配線と、半導体集積回路のグランド用パッドとロジック回路ブロックのグランドラインとを直接接続する第2の配線とを含み、第1の配線と第2の配線とが、交互に入り込んだ櫛歯状の形状を有するようにしても良い。
【0012】
以上において、半導体基板に形成された複数の回路素子と、複数の配線層と、最上層の配線層とによって、高周波回路ブロックがさらに構成されるようにしても良い。その場合に、高周波回路ブロックにおいて、最上層の配線層にインダクタが形成されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1つの観点によれば、複数のトランジスタと複数の配線層とによって構成される少なくともロジック回路ブロックを含む半導体集積回路において、複数の配線層における最大膜厚の5倍〜20倍の膜厚を有する最上層の配線層が設けられるので、半導体集積回路の電源用パッドとロジック回路ブロックの電源ラインとを直接接続し、及び/又は、半導体集積回路のグランド用パッドとロジック回路ブロックのグランドラインとを直接接続するために最上層の配線層を用いることにより、電源配線及び/又はグランド配線の抵抗値を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の構成例を示すブロック図。
【図2】図1に示すローノイズアンプの構成例を示す回路図。
【図3】図1に示すVCOの構成例を示す回路図。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトを示す平面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の構成例を示すブロック図である。この半導体集積回路(IC)は、例えば、無線通信を行う無線マウス等の装置において、無線通信を行うために用いられる。
【0016】
図1に示す半導体集積回路は、高周波(RF)回路ブロック10と、低周波(LF)回路ブロック40と、ロジック回路ブロック50とによって構成される。高周波回路ブロック10は、ローノイズアンプ(LNA)11と、ミキサー12と、変調回路21と、パワーアンプ(PA)22と、発振回路31と、制御電圧生成回路32と、電圧制御発振器(VCO)33及び34と、可変分周回路35及び36と、セレクタ(選択回路)37とを含んでいる。低周波回路ブロック40は、フィルタ部41と、ディジタル/アナログ変換器(DAC)42とを含んでいる。また、ロジック回路ブロック50は、ディジタル復調回路51と、ディジタル変調回路52と、制御回路61とを含んでいる。
【0017】
アンテナANTは、半導体集積回路の外付け部品として実現しても良いし、W−CSP(Waferlevel Chip Size Package)技術等を利用してオンチップで形成しても良い。ローノイズアンプ11は、外部から電波を受信したアンテナANTから供給される高周波の受信信号をローノイズで増幅する。ミキサー12は、ローノイズアンプ11によって増幅された受信信号に、VCO33によって生成される信号(局部発振信号)RXを掛け合わせることにより、受信信号をダウンコンバートする。
【0018】
フィルタ部41は、ミキサー12によってダウンコンバートされた受信信号に対し、複素フィルタ等によって実現されるバンドパスフィルタ処理を施すことにより、イメージ除去を行いながらベースバンド信号を抽出する。ディジタル復調回路51は、ベースバンド信号に対してディジタル復調処理を施すことにより受信データを得て、得られた受信データを制御回路61に出力する。例えば、送信側においてディジタル変調方式としてFSK(周波数シフトキーイング)が用いられている場合には、ディジタル復調回路51は、ベースバンド信号に対してFSKの復調処理を施す。
【0019】
一方、ディジタル変調回路52は、制御回路61から供給される送信データに基づいて、搬送波をディジタル変調するために用いられる変調信号を生成する。例えば、ディジタル変調方式としてFSKが用いられる場合には、ディジタル変調回路52は、送信データに基づいて、搬送波を周波数変調するための変調信号を生成する。DAC42は、ディジタルの変調信号をアナログの変調信号に変換する。
【0020】
変調回路21は、DAC42から供給されるアナログの変調信号に基づいて、VCO34によって生成される送信用の搬送周波数の信号(搬送波)TXを変調する。なお、変調回路21とVCO34とを一体的に構成しても良い。パワーアンプ22が、変調回路21によって変調された搬送波を増幅してアンテナANTに供給することにより、アンテナANTから外部に電波が送信される。
【0021】
発振回路31は、水晶振動子等の振動子を用いて発振動作を行うことにより、所定の周波数を有する基準信号を生成する。ただし、発振回路31に接続される水晶振動子は、半導体集積回路の外部に設けられる。あるいは、発振回路31を省略して、半導体集積回路の外部から基準信号を供給するようにしても良い。
【0022】
制御電圧生成回路32は、位相比較回路と、チャージポンプと、ループフィルタとを含んでおり、セレクタ37によって選択された分周信号の位相と発振回路31から供給される基準信号の位相とを比較して、VCO33及び34の発振周波数を制御するための制御電圧を生成する。
【0023】
VCO33は、受信モードにおいて、制御電圧生成回路32から供給される制御電圧に従う周波数で発振動作を行うことにより、受信信号をダウンコンバートするために用いられる信号(局部発振信号)RXを生成する。可変分周回路35は、VCO33によって生成される信号RXを、制御回路61によって設定された分周比で分周する。
【0024】
また、VCO34は、送信モードにおいて、制御電圧生成回路32から供給される制御電圧に従う周波数で発振動作を行うことにより、送信用の搬送周波数の信号(搬送波)TXを生成する。可変分周回路36は、VCO34によって生成される信号TXを、制御回路61によって設定された分周比で分周する。
【0025】
制御回路61の制御の下で、セレクタ37は、受信モードにおいて、可変分周回路35から出力される分周信号を選択し、送信モードにおいて、可変分周回路36から出力される分周信号を選択する。これにより、受信モードにおいては、VCO33及び可変分周回路35が、制御電圧生成回路32と共にPLL回路を構成し、送信モードにおいては、VCO34及び可変分周回路36が、制御電圧生成回路32と共にPLL回路を構成する。受信系の回路及び送信系の回路は、常時動作していても良いが、必要のないときには一方の動作を停止しても良い。
【0026】
ここで、受信系の可変分周回路35における分周比をN:1に設定することにより、可変分周回路35が信号RXを1/Nに分周するので、受信モードにおいて、基準信号の周波数をN倍に逓倍した信号RXが得られる。また、送信系の可変分周回路36における分周比をN:1に設定することにより、可変分周回路36が信号TXを1/Nに分周するので、送信モードにおいて、基準信号の周波数をN倍に逓倍した信号TXが得られる。
【0027】
制御回路61は、送信モード及び受信モードにおいて、選択された無線通信チャンネルに従って可変分周回路35及び36の分周比を設定することにより、信号TX及びRXの周波数をそれぞれ設定する。また、制御回路61は、半導体集積回路全体の制御や、受信データ及び送信データのディジタル処理等を実行する。制御回路61は、リンク層回路62や、ホストインタフェース(I/F)63等を含んでおり、リンク層のプロトコル処理を実行し、外部のホストコンピュータとの間でデータ転送を行う。
【0028】
図2は、図1に示すローノイズアンプの構成例を示す回路図である。このローノイズアンプ(LNA)は、アンテナ接続用のパッドPANT1及びPANT2に供給される受信信号を差動増幅するNチャネルMOSトランジスタQ11及びQ12と、トランジスタQ11及びQ12のソースと電源電位VSS(図2においては、グランド電位とする)との間に接続された定電流源CS11と、トランジスタQ11及びQ12のドレインにそれぞれカスコード接続されたNチャネルMOSトランジスタQ13及びQ14と、トランジスタQ13のドレインと電源電位VDDとの間に接続されたインダクタL11及びキャパシタC11と、トランジスタQ14のドレインと電源電位VDDとの間に接続されたインダクタL12及びキャパシタC12と、DCカット用のキャパシタC13及びC14と、トランジスタQ11及びQ12のゲートにバイアス電圧VBSを印加するための抵抗R11及びR12とを含んでいる。
【0029】
トランジスタQ13の負荷となるインダクタL11及びキャパシタC11は共振回路を構成し、トランジスタQ14の負荷となるインダクタL12及びキャパシタC12も共振回路を構成する。これらの共振回路の共振周波数は、受信信号の搬送周波数付近に設定される。例えば、受信信号の搬送周波数が2.4GHzである場合には、共振周波数も2.4GHz付近に設定される。このような共振回路による負荷を設けることにより、高周波の受信信号をローノイズで増幅することができる。図2に示す例においては差動増幅型のローノイズアンプが用いられているが、シングル型のローノイズアンプを用いても良い。
【0030】
図3は、図1に示すVCOの構成例を示す回路図である。このVCOは、差動対を構成するNチャネルMOSトランジスタQ21及びQ22と、トランジスタQ21及びQ22のソースと電源電位VSS(図3においては、グランド電位とする)との間に接続された定電流源CS21と、トランジスタQ21及びQ22のドレインと電源電位VDDとの間にそれぞれ接続されたインダクタL21及びL22と、制御電圧入力端子とトランジスタQ21及びQ22のドレインとの間にそれぞれ接続されたバリキャップ(バラクタダイオード)VC21及びVC22とを含んでいる。
【0031】
トランジスタQ21のドレインは、出力端子A及びトランジスタQ22のゲートに接続され、トランジスタQ22のドレインは、出力端子B及びトランジスタQ21のゲートに接続されている。図3に示すVCOは、制御電圧入力端子に印加される電圧が高いほど、高い周波数で発振し、制御電圧入力端子に印加される電圧が低いほど、低い周波数で発振する。図3に示す例においては差動増幅型のVCOが用いられているが、シングル型のVCOを用いても良い。
【0032】
次に、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトについて説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトを従来の半導体集積回路のレイアウトと比較して示す平面図である。図4の(a)は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトを示しており、図4の(b)は、従来の半導体集積回路のレイアウトを示している。図4において、RF(高周波)領域には、図1に示す高周波回路ブロック10が配置され、LF(低周波)領域には、図1に示す低周波回路ブロック40が配置され、GA(ゲートアレイ)領域には、図1に示すロジック回路ブロック50を構成するゲートアレイが配置される。
【0033】
図2及び図3に示すように、高周波回路ブロックのローノイズアンプ(LNA)やVCOにおいてはインダクタが用いられるので、図4に示すように、RF領域においてインダクタ(図4においては、1組のインダクタLA及びLBを示す)が形成される。半導体集積回路においてインダクタを形成するために、RFオプションとして、通常のメタル配線層の上層に、通常のメタル配線層の最大膜厚の5倍〜20倍の膜厚を有する最上層のメタル配線層(本願においては、「厚膜メタル配線層」ともいう)が用いられる。例えば、通常のメタル配線層の最大膜厚が400nm程度である場合に、通常のメタル配線層の最大膜厚の10倍の膜厚を有する厚膜メタル配線層を用いる場合には、その膜厚は4μm程度となる。
【0034】
厚膜メタル配線層は、低いシート抵抗値を有しており、インダクタの寄生抵抗を小さくすることができる。また、通常のメタル配線層にインダクタを形成する場合と比較して、インダクタと半導体基板との間の距離が大きくなり、インダクタの寄生容量を小さくすることができる。このように、インダクタの寄生抵抗及び寄生容量を小さくすることにより、インダクタのQ値を高くすることができる。
【0035】
また、厚膜メタル配線層は、ICパッケージに形成された端子との間の配線(ボンディングワイヤー等)が接続されるパッド(外部接続端子)を形成したり、配線層間に形成されるキャパシタ(MIM:メタル・インシュレータ・メタル)の電極を形成するためにも用いられる。しかしながら、文献調査やチップ解析によれば、それら以外の回路素子を形成するために厚膜メタル配線層が使用された例はない。その理由は、次のように推測される。
【0036】
ロジック回路ブロックは、自動配置配線プログラムによってレイアウト設計される。一方、厚膜メタル配線層は、通常のメタル配線層よりも厚い膜厚を有しているので、通常のメタル配線層におけるように狭い間隔で狭い幅の配線をレイアウトすることが不可能であり、自動配置配線プログラムによるレイアウト設計に適さない。従って、ロジック回路ブロックの上部に厚膜メタル配線層を設けることは行われていなかった。
【0037】
図4の(b)に示すように、従来の半導体集積回路のレイアウトにおいては、GA領域に厚膜メタル配線層の配線パターンが形成されていない。厚膜メタル配線層に形成された電源用パッドPD1及びPD2には、通常のメタル配線層に形成された電源配線が接続されており、この電源配線を介して、GA領域に配置されたロジック回路ブロックの電源ラインに電源電位VDDが供給される。また、厚膜メタル配線層に形成されたグランド用パッドPS1及びPS2には、通常のメタル配線層に形成されたグランド配線が接続されており、このグランド配線を介して、GA領域に配置されたロジック回路ブロックのグランドラインにグランド電位VSSが供給される。
【0038】
一方、図4の(a)に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトにおいては、GA領域に厚膜メタル配線層の配線パターンが形成されている。厚膜メタル配線層に形成された電源用パッドPD1及びPD2には、厚膜メタル配線層に形成された厚膜電源配線111が接続されており、この厚膜電源配線111を介して、GA領域に配置されたロジック回路ブロックの電源ラインに電源電位VDDが供給される。また、厚膜メタル配線層に形成されたグランド用パッドPS1及びPS2には、厚膜メタル配線層に形成された厚膜グランド配線112が接続されており、この厚膜グランド配線112を介して、GA領域に配置されたロジック回路ブロックのグランドラインにグランド電位VSSが供給される。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路の構造を示す断面図である。図5の(a)は、GA領域の構造を示しており、図5の(b)は、RF領域の構造を示している。図5においては、最上層の厚膜メタル配線層までが示されており、それ以上の層は省略されている。
【0040】
図5の(a)及び(b)に示すように、P型の半導体基板70(本実施形態においては、シリコン基板とする)内に、Pウエル71及びNウエル72が形成されている。Pウエル71内には、NチャネルMOSトランジスタのソース・ドレインとなる1組のN型不純物拡散領域73及び74が形成されている。また、Nウエル72内には、PチャネルMOSトランジスタのソース・ドレインとなる1組のP型不純物拡散領域75及び76が形成されている。
【0041】
半導体基板70上において、1組のN型不純物拡散領域73及び74に挟まれた領域には、ゲート絶縁膜81(例えば、シリコン酸化膜)が形成されており、さらに、ゲート絶縁膜81上に、NチャネルMOSトランジスタのゲート電極82(例えば、ポリシリコン)が形成されている。また、1組のP型不純物拡散領域75及び76に挟まれた領域には、ゲート絶縁膜83(例えば、シリコン酸化膜)が形成されており、さらに、ゲート絶縁膜83上に、PチャネルMOSトランジスタのゲート電極84(例えば、ポリシリコン)が形成されている。
【0042】
複数のトランジスタが形成された半導体基板70上には、第1層の層間絶縁膜91、第1層のメタル配線層ALA、第2層の層間絶縁膜92、第2層のメタル配線層ALB、第3層の層間絶縁膜93、第3層のメタル配線層ALC、第4層の層間絶縁膜94、及び、第4層のメタル配線層ALDが形成されている。メタル配線層の材料としては、例えば、アルミニウムが用いられる。
【0043】
各層の配線層の配線は、その下層の層間絶縁膜に形成された開口(ビアホール又はコンタクトホール)を介して、さらにその下層の配線層の配線又は半導体基板70内の不純物拡散領域に接続されている。このようにして、GA領域における複数の配線層ALA〜ALDは、半導体基板70に形成された複数のトランジスタに接続されてロジック回路ブロックを構成する。図5の(a)には、第4層のメタル配線層ALDに形成されたロジック回路ブロックの電源ライン101及びグランドライン102が示されている。
【0044】
本実施形態においては、さらにその上に、最上層の層間絶縁膜95及び最上層の厚膜メタル配線層ALEが形成される。最上層の厚膜メタル配線層ALEにおいて、半導体集積回路の電源用パッドPD1及びPD2(図4の(a)参照)とロジック回路ブロックの電源ライン101とを直接接続する厚膜電源配線111と、半導体集積回路のグランド用パッドPS1及びPS2(図4の(a)参照)とロジック回路ブロックのグランドライン102とを直接接続する厚膜グランド配線112とが形成されている。
【0045】
GA領域においては、配線の幅や間隔が狭いので、最上層の厚膜メタル配線層ALEは、通常の配線のために用いることはできないが、電源配線やグランド配線を形成するために用いることは可能である。最上層の厚膜メタル配線層ALEにおいて低抵抗の厚膜電源配線111や厚膜グランド配線112を形成することにより、多数のロジック回路が動作することによってロジック回路ブロックの電源ライン101やグランドライン102に発生するノイズを低減してロジック回路の誤動作を防止すると共に、ロジック回路ブロックからアナログ回路ブロック(高周波回路ブロック及び低周波回路ブロック)に回り込むノイズを低減することができる。
【0046】
さらに、図4の(a)に示すように、厚膜電源配線111と厚膜グランド配線112とが交互に入り込んだ櫛歯状の形状を有するように配線パターンを設定することにより、厚膜電源配線111と厚膜グランド配線112とがバイパスコンデンサを形成するので、ノイズを一層低減することができる。また、低抵抗の厚膜配線を用いることにより、電源用パッド及びグランド用パッドとバイパスコンデンサとの間を低抵抗で接続することができるので、ノイズ低減効果が大きい。
【0047】
一方、RF領域においては、図5の(b)に示すように、最上層の厚膜メタル配線層ALEにおいて渦巻状に形成されたパターン113によって、図4の(a)に示すインダクタLA又はLBが構成される。また、RF領域においては、トランジスタ及びインダクタに加えて、バリキャップやキャパシタ等の複数の回路素子が形成されている。これら複数の回路素子と、複数の配線層ALA〜ALDと、最上層の厚膜メタル配線層ALEとによって、高周波回路ブロックが構成される。
【0048】
このように、本実施形態においては、最上層の厚膜メタル配線層ALEが、GA領域においてもRF領域においても有効に利用される。なお、RF領域を有さない半導体集積回路において本発明を実施した場合にも、上記のような効果を奏することができるので、本発明は有効である。
【符号の説明】
【0049】
10 高周波回路ブロック、 11 ローノイズアンプ(LNA)、 12 ミキサー、 21 変調回路、 22 パワーアンプ(PA)、 31 発振回路、 32 制御電圧生成回路、 33、34 電圧制御発振器(VCO)、 35、36 可変分周回路、 37 セレクタ、 40 低周波回路ブロック、 41 フィルタ部、 42 ディジタル/アナログ変換器(DAC)、 50 ロジック回路ブロック、 51 ディジタル復調回路、 52 ディジタル変調回路、 61 制御回路、 62 リンク層回路、 63 ホストインタフェース(I/F)、 70 半導体基板、 71 Pウエル、 72 Nウエル、 73、74 N型不純物拡散領域、 75、76 P型不純物拡散領域、 81、83 ゲート絶縁膜、 82、84 ゲート電極、 91〜95 層間絶縁膜、 101 電源ライン、 グランドライン102、 111 厚膜電源配線、 112 厚膜グランド配線、 ALA〜ALD 通常のメタル配線層、 ALE 厚膜メタル配線層、 Q11〜Q22 トランジスタ、 L11〜L22 インダクタ、 C11〜C14 キャパシタ、 V21、V22 バリキャップ、 CS11、CS21 定電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上にそれぞれの層間絶縁膜を介して形成され、前記半導体基板に形成された複数のトランジスタに接続されて前記複数のトランジスタと共に少なくともロジック回路ブロックを構成する複数の配線層と、
前記複数の配線層が形成された前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して形成され、前記複数の配線層における最大膜厚の5倍〜20倍の膜厚を有する最上層の配線層と、
を具備する半導体集積回路。
【請求項2】
前記最上層の配線層が、前記半導体集積回路の電源用パッドと前記ロジック回路ブロックの電源ラインとを直接接続し、及び/又は、前記半導体集積回路のグランド用パッドと前記ロジック回路ブロックのグランドラインとを直接接続するために用いられる、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記最上層の配線層が、前記半導体集積回路の電源用パッドと前記ロジック回路ブロックの電源ラインとを直接接続する第1の配線と、前記半導体集積回路のグランド用パッドと前記ロジック回路ブロックのグランドラインとを直接接続する第2の配線とを含み、前記第1の配線と前記第2の配線とが、交互に入り込んだ櫛歯状の形状を有する、請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記半導体基板に形成された複数の回路素子と、前記複数の配線層と、前記最上層の配線層とによって、高周波回路ブロックがさらに構成される、請求項1〜3のいずれか1項記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記高周波回路ブロックにおいて、前記最上層の配線層にインダクタが形成されている、請求項4記載の半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−171415(P2011−171415A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32145(P2010−32145)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】