説明

可変流量オイルポンプ

【課題】潤滑用ポンプ及び制御用ポンプを有する可変流量オイルポンプにおいて、より細やかな吐出量の制御を可能としてポンプ駆動力のさらなる低減を図る。
【解決手段】制御用ポンプ35が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ36,37を有し、前記制御用ポンプ35の吐出ポート36c,37cとエンジン各部に向かう給油路67との連通状態を切り替える油路切り替えバルブ51を備え、前記各オイルポンプ36,37の一方が、エンジン各部に向かう給油路67と常時連通するメインポンプ36とされ、前記各オイルポンプ36,37の他方が、前記油路切り替えバルブ51の作動により前記給油路67との連通の有無を切り替えるサブポンプ37とされ、前記サブポンプ37の吐出量が、前記メインポンプ36の吐出量よりも多くなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エンジン等に好適な可変流量オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記可変流量オイルポンプとして、エンジンのクランクシャフトの回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ及び制御用ポンプを有し、制御用ポンプの吐出ポートには油路切り替えバルブを設け、この油路切り替えバルブの作動により、制御用ポンプの吐出ポートとエンジン各部に向かう給油路との連通の有無を切り替えることで、ポンプ全体の吐出量を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、上記潤滑用ポンプ及び制御用ポンプを互いに同軸上に有し、潤滑用ポンプのポンプロータは駆動軸に固定的に支持する一方、制御用ポンプのポンプロータは駆動軸に磁石等を介して断接可能に支持し、駆動軸の回転数に応じて制御用ポンプの駆動の有無を切り替えるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−223755号公報
【特許文献2】特開平02−153281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の構成では、制御用ポンプからエンジンへの給油の有無によってポンプ全体の吐出量を制御しているが、より細やかな吐出量の制御を可能としてポンプ駆動力のさらなる低減を図ることが要望されている。
【0005】
そこで本発明は、潤滑用ポンプ及び制御用ポンプを有する可変流量オイルポンプにおいて、より細やかな吐出量の制御を可能としてポンプ駆動力のさらなる低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、エンジン(13)のクランクシャフト(21)の回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)を有し、前記制御用ポンプ(35)からエンジン各部への給油量を可変とする可変流量オイルポンプ(31)において、
前記制御用ポンプ(35)が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ(36,37)を有することを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、エンジン(13)のクランクシャフト(21)の回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)を有し、前記制御用ポンプ(35)からエンジン各部への給油量を可変とするべく、前記制御用ポンプ(35)の吐出ポートとエンジン各部に向かう給油路(67)との連通状態を切り替える油路切り替えバルブ(51)を備える可変流量オイルポンプ(31)において、
前記制御用ポンプ(35)が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ(36,37)を有し、これら各オイルポンプ(36,37)の一部が、エンジン各部に向かう給油路(67)と常時連通するメインポンプ(36)とされ、前記各オイルポンプ(36,37)の他の一部が、前記油路切り替えバルブ(51)の作動により前記給油路(67)との連通の有無を切り替えるサブポンプ(37)とされ、前記サブポンプ(37)の吐出量が、前記メインポンプ(36)の吐出量よりも多くなるように設定されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記油路切り替えバルブ(51)が、前記メインポンプ(36)からの吐出圧を受けて作動することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)が同軸上に配置されることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)が単一のポンプボディ(38)を共有し、前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)の軸方向に関して、前記メインポンプ(36)が前記サブポンプ(37)よりも前記ポンプボディ(38)の外側に配置されることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、
前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)の軸方向に関して、前記メインポンプ(36)側にポンプ駆動部(32a)が配置されることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)が、互いに同一の吐出周期を有し、かつ互いに略半周期の位相差を有することを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)が単一の駆動軸(32)を共有し、前記駆動軸(32)には、前記各ポンプ(33〜35)のポンプロータ(33d,34d,36d,37d)にそれぞれ相対回転不能に係合する複数の係合部(48)が設けられ、前記各係合部(48)とこれらにそれぞれ係合する各ポンプロータ(33d,34d,36d,37d)の被係合部(49)とのそれぞれの間に、前記駆動軸(32)の軸方向に関する隙間(s1)が設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1,2に記載した発明によれば、制御用ポンプが単一のオイルポンプを有する場合と比べて、ポンプ全体の吐出量をより細かに制御可能となり、ポンプ駆動力のさらなる低減を図ることができる。
また、請求項2に記載した発明によれば、油路切り替えバルブの作動によりエンジン各部への給油路との連通の有無を切り替えるサブポンプの吐出量を、エンジン各部への給油路と常時連通するメインポンプの吐出量よりも多くすることで、ポンプ全体の吐出量制御の幅を広げてポンプ駆動力のさらなる低減を図ることができる。
請求項3に記載した発明によれば、メインポンプの吐出圧を利用して油路切り替えバルブを簡易に作動できると共に、油路切り替えバルブをメインポンプのリリーフ弁としても利用できる。
請求項4に記載した発明によれば、各ポンプを別軸に設ける場合と比べて部品点数を削減すると共に構造を簡素化し、小型軽量化及びコストダウンを図ることができる。
請求項5に記載した発明によれば、比較的吐出量が多く作動音の大きいサブポンプをポンプボディの内側に配置でき、ポンプ全体の作動音を低減できる。
請求項6に記載した発明によれば、常時駆動負荷の掛かるメインポンプをポンプ駆動部に近付けることができ、駆動軸への負荷を軽減できる。
請求項7に記載した発明によれば、メインポンプ及びサブポンプにより発生する脈動を容易かつ効果的に抑えることができる。
請求項8に記載した発明によれば、各ポンプのポンプロータの側面がポンプボディの内側面に摺接して各ポンプロータの軸方向の位置決めがなされる構成であっても、駆動軸に伸縮等が生じた際にこれを前記隙間で吸収でき、各ポンプのフリクションの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における自動二輪車の左側面図である。
【図2】上記自動二輪車のエンジンの左側面図である。
【図3】上記エンジンの要部をクランク軸線と平行に切断して後方から見た断面図である。
【図4】上記エンジンの要部の右側面図である。
【図5】上記エンジンのオイルポンプユニットの右側面図である。
【図6】図5のA−A断面図に油路切り替えバルブの断面図を加えた説明図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】上記油路切り替えバルブの第一作動説明図である。
【図9】上記油路切り替えバルブの第二作動説明図である。
【図10】上記油路切り替えバルブを図5のB方向から見た矢視図である。
【図11】上記オイルポンプユニットのバルブ取り付け面を図5のB方向から見た矢視図である。
【図12】上記オイルポンプユニットにおけるエンジン回転数とポンプ駆動力との関係を示す特性図である。
【図13】上記オイルポンプユニットにおけるポンプ回転数と発生油圧との関係を示す特性図である。
【図14】上記オイルポンプユニットにおけるポンプ回転数とポンプ駆動トルクとの関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0010】
図1に示す自動二輪車(鞍乗り型車両)1において、その前輪2はフロントフォーク3の下端部に軸支される。フロントフォーク3の上部はステアリングステム4を介して車体フレーム5前端のヘッドパイプ6に操向可能に枢支される。ステアリングステム4(又はフロントフォーク3)の上部には操向ハンドル4aが取り付けられる。ヘッドパイプ6からはメインフレーム7が後方に延びてピボットフレーム8に連なる。ピボットフレーム8にはスイングアーム9の前端部が上下揺動可能に枢支される。スイングアーム9の後端部には後輪11が軸支される。スイングアーム9と車体フレーム5との間にはクッションユニット12が介設される。車体フレーム5の内側には自動二輪車1の原動機であるエンジン(内燃機関)13が搭載される。
【0011】
スイングアーム9の左アームは中空とされ、その内部にエンジン13から導出したドライブシャフトが挿通される。このドライブシャフトを介して、エンジン13と後輪11との間の動力伝達がなされる。
自動二輪車1の車体前部はフロントカウル15により覆われ、車体後部はリヤカウル16により覆われる。リヤカウル16の後部両側には左右パニアケース17がビルトインされる。メインフレーム7の上方には燃料タンク18が配設され、燃料タンク18の後方にはシート19が配設される。
【0012】
図2を併せて参照し、エンジン13は、クランクシャフト21の回転中心軸線C0を車幅方向(左右方向)に沿わせたV型エンジンであり、クランクケース22上には前後シリンダ23a,23bが立設される。前後シリンダ23a,23b内にはそれぞれピストン24が往復動可能に嵌装され、これら各ピストン24の往復動がコンロッド24aを介してクランクシャフト21の回転動に変換される。
【0013】
前後シリンダ23a,23b間には、これらの吸気ポートに接続されるスロットルボディ25が配置される。前シリンダ23aの前方及び後シリンダ23bの後方には、これらの排気ポートから延びる排気管26が配置される。
なお、図中符号27はクランクケース22の後部内に収容されるトランスミッションを、符号28はトランスミッション27の変速段を切り替えるチェンジ機構を、符号29はクランクケース22下方に取り付けられるオイルパンを、符号31はオイルパン29内のエンジンオイル((以下、単にオイルという)をエンジン各部に圧送するオイルポンプユニットをそれぞれ示す。
【0014】
図2〜4を参照し、オイルポンプユニット31は、クランクケース22の下部内側に取り付けられ、エンジン運転時に常時回転する回転部材(クランクシャフト21又はその回転動力が常時伝達される多板クラッチのクラッチアウタ等)の回転に伴い駆動する。オイルポンプユニット31は、クランクシャフト21と平行なポンプ駆動軸(以下、単に駆動軸という)32を有する。駆動軸32の右端部には、前記回転部材との連動用の従動部材(例えばドリブンスプロケット)32aが一体回転可能に取り付けられる。なお、符号C1は駆動軸32の回転中心軸線を示す。
【0015】
図3を参照し、オイルポンプユニット31は、複数のトロコイド型のオイルポンプを左右方向に沿って(クランク軸線C0と平行に)並べた構成を有する。
具体的には、オイルポンプユニット31は、左側から順にスカベンジポンプ33及びフィードポンプ34、並びにトランスミッションや動弁装置等の機器制御用の油圧を発生する制御用ポンプ35を同軸に並べた構成を有する。
【0016】
フィードポンプ34は、クランクケース22下方のオイルパン29内のオイルをエンジン各部の給油箇所に向けて圧送する。スカベンジポンプ33は、クランクケース22におけるクランクシャフト21を収容する空間(以下、クランク室22aという)からオイルパン29内の空間(以下、オイルパン室29aという)へオイルを戻す。制御用ポンプ35は、前記機器にその作動用の油圧を供給する。なお、図中符号22bはクランク室22aの底壁を示す。
【0017】
図5,6を参照し、オイルポンプユニット31は、単一のポンプボディ38及び駆動軸32を有し、これらを各ポンプ33,34,35が共用する。ポンプボディ38の右端からは駆動軸32の右端部が突出し、この駆動軸32の右端部に前記従動部材32aが固定される。ポンプボディ38の左端からは駆動軸32の左端部が突出し、この駆動軸32の左端部にウォータポンプ39(図3参照)の駆動軸39aの右端部が一体回転可能に係合する。すなわち、ウォータポンプ39は左右方向に沿う駆動軸39aを有し、この駆動軸39aをオイルポンプユニット31の駆動軸32と同軸に配置する。
【0018】
ポンプボディ38は、フィードポンプ34及びスカベンジポンプ33用のロータ収容部33a,34a、吸入ポート33b,34b及び吐出ポート33c,34cを形成する左分割体38aと、制御用ポンプ35における後述する第一及び第二オイルポンプ36,37用のロータ収容部36a,37a、吸入ポート36b,37b及び吐出ポート36c,37cを形成する右分割体38bと、左分割体38aの左端を閉塞する左蓋体38cと、右分割体38bの右端を閉塞する右蓋体38dと、左右分割体38a,38b間に挟まれる隔壁板38eとに分割構成される。
【0019】
左蓋体38cは、左分割体38aの左端に複数のボルト38fにより締結固定され、右蓋体38dは、右分割体38b及び隔壁板38eを貫通する長尺の複数のボルト38gにより左分割体38aの右端に締結固定される。これにより、各分割体38a,38b、各蓋体38c,38d及び隔壁板38eが一体に結合される。
【0020】
各ロータ収容部33a,34aは、フィードポンプ34及びスカベンジポンプ33のポンプロータ33d,34dをそれぞれ収容する。各ポンプロータ33d,34dは、アウタロータ及びインナロータからなる周知の構成を有する。各ポンプロータ33d,34d(インナロータ)は、ポンプボディ38の中心部に保持された駆動軸32と一体回転可能である。
【0021】
図2を併せて参照し、ポンプボディ38の左上部には、オイルポンプユニット31のエンジン13(自動二輪車1)への取り付け状態で前下がりに傾斜するエンジン取り付け面41が形成される。エンジン取り付け面41は左右方向に沿う平坦状をなし、このエンジン取り付け面41がクランク室22aの底壁22b下方のポンプ取り付け面42に下方から油密に整合する。この状態で、ポンプボディ38(オイルポンプユニット31)がクランク室22aの底壁22bに複数のボルト38hにより締結固定される。
【0022】
図6を参照し、左分割体38aの上部左側には、スカベンジポンプ33の吸入ポート33bが形成される。吸入ポート33bは、その上方のエンジン取り付け面41側に延び、エンジン取り付け面41にて吸入口33eを開口する。この吸入口33eに対向するように、クランク室22aの底壁22bのポンプ取り付け面42には開口22cが形成される。吸入口33e及び開口22cは、オイルポンプユニット31のクランクケース22への取り付け状態で互いに連通する。
【0023】
左分割体38aの下部右側には、スカベンジポンプ33におけるオイルパン室29aに開口する吐出ポート33cが形成される。これにより、オイルポンプユニット31の駆動時には、スカベンジポンプ33がクランク室22a内のオイルを吸入ポート33bより吸入すると共に、このオイルを吐出ポート33cより吐出してオイルパン室29aに戻す。
【0024】
図2を併せて参照し、クランク室22aとオイルパン室29aとを仕切る仕切り壁たる底壁22bは、クランクウェブの回転軌跡に沿うように側面視円弧状に形成される。この底壁22bの下端部に、前記開口22cが形成される。
【0025】
図3,4を併せて参照し、左分割体38aの下部右側には、フィードポンプ34の吸入ポート34bが形成される。吸入ポート34bは、その下方にノズル状に延び、オイルパン室29aに向けて吸入口34eを開口する。この吸入口34eには、オイルパン室29a内のオイルに浸るストレーナ43の上端部が接続される。
【0026】
左分割体38aの上部右側には、フィードポンプ34におけるエンジン各部への給油路に連通する吐出ポート34cが形成される。これにより、オイルポンプユニット31の駆動時には、フィードポンプ34がストレーナ43を介してオイルパン室29a内のオイルを吸入ポート34bより吸入すると共に、このオイルを吐出ポート34cより吐出してエンジン各部に圧送する。フィードポンプ34が吐出したオイルは、例えばオイルフィルタ44及びオイルクーラ45を経てメインオイルギャラリー46に至った後、エンジン各部の給油箇所に適宜供給される。
【0027】
図6を参照し、ポンプボディ38の下部内には、フィードポンプ34の吸入ポート34b、並びに制御用ポンプ35の第一及び第二オイルポンプ36,37の各吸入ポート36b,37bを含んで左右に延びる連通空間47が形成される。フィードポンプ34並びに第一及び第二オイルポンプ36,37は、ストレーナ43を介して連通空間47内に導入したオイルを各吸入ポート34b,36b,37bより吸入する。
【0028】
制御用ポンプ35は、駆動軸32に沿う方向(左右方向、以下、ポンプ軸方向という)で並ぶ第一オイルポンプ36及び第二オイルポンプ37を有する。
第一オイルポンプ36は、エンジン各部(前記機器)に向かう給油路67と常時連通するメインポンプとされ、第二オイルポンプ37は、後述する油路切り替えバルブ51の作動により前記給油路67との連通の有無を切り替えるサブポンプとされる。
【0029】
第一オイルポンプ36は、右分割体38b右側のロータ収容部36aにポンプロータ36dを収容し、第二オイルポンプ37は、右分割体38b左側のロータ収容部37aにポンプロータ37dを収容する。すなわち、第一オイルポンプ36は、第二オイルポンプ37よりもポンプ軸方向でポンプボディ38の外側に配置される。第一オイルポンプ36よりもポンプ軸方向外側には、前記従動部材32aが配置される。
【0030】
第一及び第二オイルポンプ36,37の各吸入ポート36b,37bは連通空間47に開放し、第一及び第二オイルポンプ36,37の各吐出ポート36c,37cはポンプボディ38の上部に別個に開放する。
【0031】
第一及び第二オイルポンプ36,37、フィードポンプ34並びにスカベンジポンプ33の各吸入ポート33b,34b,36b,37bは、ポンプ軸方向で並ぶように設けられる。同様に、第一及び第二オイルポンプ36,37、フィードポンプ34並びにスカベンジポンプ33の各吐出ポート33c,34c,36c,37cも、ポンプ軸方向で並ぶように設けられる。
【0032】
各ポンプロータ36d,37dは、アウタロータ及びインナロータからなる周知の構成を有する。各ポンプロータ36d,37d(インナロータ)は駆動軸32と一体回転可能である。ポンプロータ37dのポンプ軸方向での幅(厚さ)は、ポンプロータ36dのそれの約二倍とされる。すなわち、第二オイルポンプ37の一回転当たりの基本吐出量(ポンプ容量)は、第一オイルポンプ36のそれの約二倍とされる。
ここで、第一及び第二オイルポンプ36,37は、互いに同一の吐出周期を有するが、互いに約半周期の位相差を有しており、潤滑系の脈動の発生を抑えている。
【0033】
図7を併せて参照し、駆動軸32には、第一及び第二オイルポンプ36,37、フィードポンプ34並びにスカベンジポンプ33のポンプロータ33d,34d,36d,37dをそれぞれ一体回転可能に係合させる複数の係合ピン48が固設される。第一及び第二オイルポンプ36,37並びにフィードポンプ34の各ポンプロータ34d,36d,37dの左側面には、対応する係合ピン48を係合させる係合溝49がそれぞれ形成され、スカベンジポンプ33のポンプロータ33dの右側面には、対応する係合ピン48を係合させる係合溝49が形成される。
そして、各係合ピン48と対応する各係合溝49の底面との間には、前記駆動軸32の軸方向(ポンプ軸方向)に関する隙間s1がそれぞれ形成される。
【0034】
第一及び第二オイルポンプ36,37に吸入されたオイルは、各吐出ポート36c,37cより吐出された後、油路切り替えバルブ51を経ることにより、前記給油路67に合流する第一及び第二給油路62a,64aと各吸入ポート36b,37bに至る第一及び第二戻し路63a,66aとの少なくとも一方に適宜供給される。
【0035】
図6を参照し、油路切り替えバルブ51は、第一及び第二オイルポンプ36,37の吐出ポート36c,37cと、第一及び第二給油路62a,64a及び第一及び第二戻し路63a,66aとの連通状態を選択的に切り替える所謂スプールバルブとして構成される。油路切り替えバルブ51は、その長手方向(左右方向)に沿う円筒状のバルブボディ52と、このバルブボディ52内に左右方向で往復動可能に挿通されるバルブ本体53とを有する。油路切り替えバルブ51は、エンジン13(自動二輪車1)への取り付け状態で、駆動軸32よりも下方に配置される(図2,5参照)。なお、符号C2は油路切り替えバルブ51の中心軸線を示す。
【0036】
図5,6を参照し、バルブボディ52は、ポンプボディ38とは別体に設けられる。バルブボディ52の右側部(後述する油路形成部52a)の上部後側には、前記エンジン13への取り付け状態で後下がりに傾斜するボディ取り付け面54が形成される。ボディ取り付け面54は左右方向に沿う平坦状をなし、このボディ取り付け面54がバルブボディ52の下部前側に形成されたバルブ取り付け面55に下方から油密に整合する。この状態で、バルブボディ52がポンプボディ38に複数のボルト52cにより締結固定される。
【0037】
バルブボディ52の左端は左方に開口し、この左端よりバルブ本体53及びこれを右側に付勢する圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングという)56がバルブボディ52内に挿入される。バルブボディ52の左端はエンドキャップ57により閉塞され、このエンドキャップ57とバルブ本体53との間でスプリング56が所定量圧縮される。
【0038】
バルブボディ52の右側部には、右端側から順に、第一オイルポンプ36の吐出ポート36cに第一導入路61aを介して連通する第一導入口61、第一オイルポンプ36の吸入ポート36bに第一戻し路63aを介して連通する第一戻し口63、第二給油路64aに連通する第二導出口64、第二オイルポンプ37の吐出ポート37cに第二導入路65aを介して連通する第二導入口65、第二オイルポンプ37の吸入ポート37bに第二戻し路66aを介して連通する第二戻し口66を有する。第一導入口61は、第一給油路62aに連通する第一導出口62を含んで形成される。
【0039】
以下、油路切り替えバルブ51における各導入口61,65、各導出口62,64及び各戻し口63,66を形成する部位(右側部)を油路形成部52a、その左側に延びて主にスプリング56を収納する部位(左側部)を駆動部52bという。
【0040】
図10,11を併せて参照し、油路形成部52aの上部後側に形成された前記ボディ取り付け面54には、左側から順に第一導入口61(第一導出口62)、第一戻し口63、第二導出口64、第二導入口65、第二戻し口66がポンプ軸方向と直交するスリット状をなして開口する。
一方、ポンプボディ38の下部前側に形成されたバルブ取り付け面55には、左側から順に第一導入路61a(第一給油路62a)、第一戻し路63a、第二給油路64a、第二導入路65a、第二戻し路66aがポンプ軸方向と直交するスリット状をなして開口する。
【0041】
換言すれば、バルブ取り付け面55には、第一導入路61aを通じて第一オイルポンプ36の吐出ポート36cが開口し、第一戻し路63aを通じて第一オイルポンプ36の吸入ポート36bが開口し、第二導入路65aを通じて第二オイルポンプ37の吐出ポート37cが開口し、第二戻し路66aを通じて第二オイルポンプ37の吸入ポート37bが開口する。
【0042】
図6を参照し、バルブ本体53の右側部は、右側に開放する有底円筒状をなす第一バルブ部53aとされ、バルブ本体53の左側部は、左側に開放する有底円筒状をなす第二バルブ部53bとされる。第一バルブ部53aは、油路形成部52aの右側内に挿入され、第二バルブ部53bは、油路形成部52aの左側部内に挿入される。
各バルブ部53a,53bは、その外周面を油路形成部52aの内周面に摺接させることで、各導入口61,65、各導出口62,64及び各戻し口63,66を適宜開閉させる。
【0043】
各バルブ部53a,53bは互いに左右に離間し、これら各バルブ部53a,53bが連結部53cを介して一体に連結される。連結部53cは各バルブ部53a,53bよりも細身の棒状をなし、この連結部53cが第二バルブ部53bと共に油路形成部52aの左側部内(第二油路切り替え部58b内)に挿入される。連結部53cの外周面と油路形成部52aの内周面との間には、環状の空間53dが形成される。
【0044】
以下、バルブ本体53が右側に移動しきったときに第一バルブ部53aを収容する油路形成部52a右側の部位を第一油路切り替え部58aとし、バルブ本体53が右側に移動しきったときに第二バルブ部53b及び連結部53cを収容する油路形成部52a左側の部位を第二油路切り替え部58bとする。
【0045】
第一油路切り替え部58a内には第一導入口61、第一導出口62及び第一戻し口63が開口し、第二油路切り替え部58b内には第二導入口65、第二導出口64及び第二戻し口66が開口する。
【0046】
油路形成部52aにおいて、比較的吐出量の大きい第二オイルポンプ37に対応する第二油路切り替え部58bは、比較的吐出量の小さい第一オイルポンプ36に対応する第一油路切り替え部58aよりもバルブ長手方向の幅が大きくされる。
【0047】
バルブ本体53が右側に移動しきった状態において、第一バルブ部53aの右端部とバルブボディ52の右底部との間はオイルが流通可能であり、この流通部分に、バルブボディ52のバルブ長手方向(左右方向)右端側に設けられた第一導入口61及び第一導出口62が連通する。
【0048】
これにより、第一バルブ部53aの内部空間には、吐出ポート36cからの油圧が常時付与される。すなわち、第一バルブ部53aの内部空間は、第一オイルポンプ36からの油圧を常時受ける油圧受け部53eとされる。この油圧受け部53eが受けた第一オイルポンプ36からの油圧により、バルブ本体53がスプリング56の付勢力に抗して左側へ移動する。
【0049】
第二バルブ部53bの左側には、やや薄肉の円筒状をなす延長部53fが一体に連設される。延長部53fは、その内部にスプリング56を収容した状態で駆動部52b内に挿通される。この延長部53fが、バルブ本体53移動時のスプリング56の伸縮のガイドとなる。延長部53fの左端部は、バルブ本体53の左側への所定以上の移動時にエンドキャップ57に突き当たってバルブ本体53の左側への所定以上の移動を制限するストッパ部53gとされる。
【0050】
図6を参照し、バルブ本体53が右側に移動しきったときには、第一導入口61と第一導出口62とが互いに連通すると共に、第二導入口65と第二導出口64とが空間53dを介して互いに連通する。このとき、第一戻し口63は第一バルブ部53aに閉じられ、第二戻し口66は第二バルブ部53bに閉じられる。
【0051】
一方、図8を参照し、バルブ本体53が左側に所定量移動したときには、第一導入口61と第一導出口62とが互いに連通したままで、第二導出口64が第一バルブ部53aに閉じられると共に、第二導入口65と第二戻し口66とが空間53dを介して互いに連通する。このとき、第二導出口64は第一バルブ部53aに閉じられる。
そして、図9を参照し、バルブ本体53がさらに左側に移動したときには、第一導入口61及び第一導出口62に第一戻し口63がさらに連通する。
【0052】
いま、エンジン13及びオイルポンプユニット31の回転数が低く第一オイルポンプ36の吐出圧が低い状態では、バルブ本体53は左側に移動せず右側に移動しきった状態となる(図6参照)。このとき、前述の如く、第一導入口61と第一導出口62とが互いに連通すると共に、第二導入口65と第二導出口64とが空間53dを介して互いに連通する。これにより、第一及び第二オイルポンプ36,37からの油圧が全て給油路67を通じて機器に供給される。
【0053】
上記状態から、エンジン13及びオイルポンプユニット31の回転数が上昇して第一オイルポンプ36の吐出圧が上昇すると、この油圧を受けてバルブ本体53が左側に所定量移動する(図8参照)。このとき、前述の如く、第一導入口61と第一導出口62とが互いに連通したままで、第二導出口64が第一バルブ部53aに閉じられると共に、第二導入口65と第二戻し口66とが空間53dを介して互いに連通する。これにより、第一オイルポンプ36からの油圧は全て給油路67を通じて機器に供給され、第二オイルポンプ37からの油圧は第二戻し路66aを通じて第二オイルポンプ37の吸入ポート37bに還流される。
【0054】
その後、さらにエンジン13及びオイルポンプユニット31の回転数が上昇してバルブ本体53がさらに左側に移動すると、前述の如く、第一導入口61、第一導出口62及び第一戻し口63の三者が互いに連通する(図9参照)。これにより、第一オイルポンプ36からの油圧の一部が余剰油圧として第一戻し路63aを通じて第一オイルポンプ36の吸入ポート36bに還流される。この状態で、バルブ本体53のさらなる左側への移動が抑えられる(バルブ本体53が左側に移動しきった状態となる)。
【0055】
ここで、図12はエンジン13の回転数(r/min、ひいてはオイルポンプユニット31の回転数)とポンプ駆動力(kW)との関係を示すグラフであり、図13はオイルポンプユニット31の回転数(r/min)と発生油圧(kPa)との関係を示すグラフであり、図14はオイルポンプユニット31の回転数(r/min)とポンプ駆動トルク(Nm)との関係を示すグラフである。
【0056】
図12〜14において、本実施形態のオイルポンプユニット31(第二オイルポンプ37の容量が第一オイルポンプ36の容量の約二倍)の特性線を実線で示し、第一及び第二オイルポンプ36,37のポンプ容量が同等の場合の特性線を二点鎖線で示し、油路切り替えバルブ51を有さない場合のオイルポンプユニット31の特性線を一点鎖線で示す。
【0057】
そして、図中符号*1はオイルポンプユニット31におけるバルブ本体53が移動しない(右側に移動しきった)低回転領域を、符号*2はオイルポンプユニット31におけるバルブ本体53が左側に所定量移動した中回転領域を、符号*3はオイルポンプユニット31におけるバルブ本体53が左側に移動しきった高回転領域をそれぞれ示す。また、図中符号*2’は各オイルポンプ36,37のポンプ容量が同等の場合における領域*2に相当する領域を、符号*3’は各オイルポンプ36,37のポンプ容量が同等の場合における領域*3に相当する領域をそれぞれ示す。
【0058】
さらに、図中符号*4はオイルポンプユニット31におけるバルブ本体53が移動を開始する回転数を、符号*5はオイルポンプユニット31における第二導出口64が閉じると共に第二導入口65と第二戻し口66とが連通する回転数を、符号(*6)はオイルポンプユニット31における第一導入口61、第一導出口62及び第一戻し口63の三者が連通する回転数をそれぞれ示す。また、図中符号*5’は各オイルポンプ36,37のポンプ容量が同等の場合における回転数*5に相当する回転数を、符号*6’は各オイルポンプ36,37のポンプ容量が同等の場合における回転数*6に相当する回転数をそれぞれ示す。
【0059】
以上説明したように、上記実施形態における可変流量オイルポンプは、エンジン13のクランクシャフト21の回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ(フィードポンプ34及びスカベンジポンプ33)及び制御用ポンプ35を有し、前記制御用ポンプ35からエンジン各部への給油量を可変とするものにおいて、前記制御用ポンプ35が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ36,37を有することを特徴とする。
【0060】
より具体的には、上記可変流量オイルポンプは、前記制御用ポンプ35からエンジン各部への給油量を可変とするべく、前記制御用ポンプ35の吐出ポート36c,37cとエンジン各部に向かう給油路67との連通状態を切り替える油路切り替えバルブ51を備えるものにおいて、前記各オイルポンプ36,37の一方(第一オイルポンプ36)が、エンジン各部に向かう給油路67と常時連通するメインポンプ36とされ、前記各オイルポンプ36,37の他方(第二オイルポンプ37)が、前記油路切り替えバルブ51の作動により前記給油路67との連通の有無を切り替えるサブポンプ37とされ、前記サブポンプ37の吐出量が、前記メインポンプ36の吐出量よりも多くなるように設定されるものである。
【0061】
この構成によれば、制御用ポンプ35が単一のオイルポンプを有する場合と比べて、ポンプ全体の吐出量をより細かに制御可能となり、ポンプ駆動力のさらなる低減を図ることができる。
また、油路切り替えバルブ51の作動によりエンジン各部への給油路67との連通の有無を切り替えるサブポンプ37の吐出量を、エンジン各部への給油路67と常時連通するメインポンプ36の吐出量よりも多くすることで、ポンプ全体の吐出量制御の幅を広げてポンプ駆動力のさらなる低減を図ることができる。
【0062】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記油路切り替えバルブ51が、前記メインポンプ36からの吐出圧を受けて作動することで、メインポンプ36の吐出圧を利用して油路切り替えバルブ51を簡易に作動できると共に、油路切り替えバルブ51をメインポンプ36のリリーフ弁としても利用できる。
【0063】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記潤滑用ポンプ33,34及び制御用ポンプ35が同軸上に配置されることで、各ポンプ33〜35を別軸に設ける場合と比べて部品点数を削減すると共に構造を簡素化し、小型軽量化及びコストダウンを図ることができる。
【0064】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記メインポンプ36及びサブポンプ37が単一のポンプボディ38を共有し、前記メインポンプ36及びサブポンプ37の軸方向に関して、前記メインポンプ36が前記サブポンプ37よりも前記ポンプボディ38の外側に配置されることで、比較的吐出量が多く作動音の大きいサブポンプ37をポンプボディ38の内側に配置でき、ポンプ全体の作動音を低減できる。
【0065】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記メインポンプ36及びサブポンプ37の軸方向に関して、前記メインポンプ36側にポンプ駆動部(従動部材32a)が配置されることで、常時駆動負荷の掛かるメインポンプ36をポンプ駆動部に近付けることができ、駆動軸32への負荷を軽減できる。
【0066】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記メインポンプ36及びサブポンプ37が、互いに同一の吐出周期を有し、かつ互いに約半周期の位相差を有することで、メインポンプ36及びサブポンプ37により発生する脈動を容易かつ効果的に抑えることができる。
【0067】
また、上記可変流量オイルポンプは、前記潤滑用ポンプ33,34及び制御用ポンプ35が単一の駆動軸32を共有し、前記駆動軸32には、前記各ポンプ33〜35のポンプロータ33d,34d,36d,37dにそれぞれ相対回転不能に係合する複数の係合ピン48が設けられ、前記各係合ピン48とこれらにそれぞれ係合する各ポンプロータ33d,34d,36d,37dの係合溝49とのそれぞれの間に、前記駆動軸32の軸方向に関する隙間s1が設定されることで、各ポンプ33〜35のポンプロータ33d,34d,36d,37dの側面がポンプボディ38の内側面に摺接して各ポンプロータ33d,34d,36d,37dの軸方向の位置決めがなされる構成であっても、駆動軸32に伸縮等が生じた際にこれを前記隙間s1で吸収でき、各ポンプロータ33d,34d,36d,37dのフリクションの増加を抑制できる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、スカベンジポンプを有さない構成や、制御用ポンプが三つ以上のオイルポンプを有する構成の可変流量オイルポンプに適用してもよい。また、V型エンジンに限らず並列エンジンや単気筒エンジン等の多種のエンジンに適用することも可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)に限らず三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両にも適用できる等、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0069】
13 エンジン
21 クランクシャフト
32 駆動軸
32a 従動部材(ポンプ駆動部)
33 スカベンジポンプ(潤滑用ポンプ)
33d ポンプロータ
34 フィードポンプ(潤滑用ポンプ)
34d ポンプロータ
35 制御用ポンプ
36 第一オイルポンプ(メインポンプ)
36c 吐出ポート
36d ポンプロータ
37 第二オイルポンプ(サブポンプ)
37c 吐出ポート
37d ポンプロータ
38 ポンプボディ
48 係合ピン(係合部)
49 係合溝(被係合部)
51 油路切り替えバルブ
67 給油路
s1 隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(13)のクランクシャフト(21)の回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)を有し、前記制御用ポンプ(35)からエンジン各部への給油量を可変とする可変流量オイルポンプ(31)において、
前記制御用ポンプ(35)が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ(36,37)を有することを特徴とする可変流量オイルポンプ。
【請求項2】
エンジン(13)のクランクシャフト(21)の回転に連動して駆動する潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)を有し、前記制御用ポンプ(35)からエンジン各部への給油量を可変とするべく、前記制御用ポンプ(35)の吐出ポートとエンジン各部に向かう給油路(67)との連通状態を切り替える油路切り替えバルブ(51)を備える可変流量オイルポンプ(31)において、
前記制御用ポンプ(35)が、互いに吐出量の異なる複数のオイルポンプ(36,37)を有し、これら各オイルポンプ(36,37)の一部が、エンジン各部に向かう給油路(67)と常時連通するメインポンプ(36)とされ、前記各オイルポンプ(36,37)の他の一部が、前記油路切り替えバルブ(51)の作動により前記給油路(67)との連通の有無を切り替えるサブポンプ(37)とされ、前記サブポンプ(37)の吐出量が、前記メインポンプ(36)の吐出量よりも多くなるように設定されることを特徴とする可変流量オイルポンプ。
【請求項3】
前記油路切り替えバルブ(51)が、前記メインポンプ(36)からの吐出圧を受けて作動することを特徴とする請求項2に記載の可変流量オイルポンプ。
【請求項4】
前記潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)が同軸上に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の可変流量オイルポンプ。
【請求項5】
前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)が単一のポンプボディ(38)を共有し、前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)の軸方向に関して、前記メインポンプ(36)が前記サブポンプ(37)よりも前記ポンプボディ(38)の外側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の可変流量オイルポンプ。
【請求項6】
前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)の軸方向に関して、前記メインポンプ(36)側にポンプ駆動部(32a)が配置されることを特徴とする請求項4又は5に記載の可変流量オイルポンプ。
【請求項7】
前記メインポンプ(36)及びサブポンプ(37)が、互いに同一の吐出周期を有し、かつ互いに略半周期の位相差を有することを特徴とする請求項2から6の何れか1項に記載の可変流量オイルポンプ。
【請求項8】
前記潤滑用ポンプ(33,34)及び制御用ポンプ(35)が単一の駆動軸(32)を共有し、前記駆動軸(32)には、前記各ポンプ(33〜35)のポンプロータ(33d,34d,36d,37d)にそれぞれ相対回転不能に係合する複数の係合部(48)が設けられ、前記各係合部(48)とこれらにそれぞれ係合する各ポンプロータ(33d,34d,36d,37d)の被係合部(49)とのそれぞれの間に、前記駆動軸(32)の軸方向に関する隙間(s1)が設定されることを特徴とする請求項2から7の何れか1項に記載の可変流量オイルポンプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−62837(P2012−62837A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208448(P2010−208448)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000144810)株式会社山田製作所 (183)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】