可変特性を有する医療管材とその製造方法
管材は、複数の個別の分離した略リング状部材が連続して配置され、一緒に溶着または接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成している。リング状部材は熱可塑性材料または熱硬化性材料で形成されていてもよい。リング状部材は可塑性材料製リング、金属製リング、未補強の可塑性材料製リング、および/または、金属補強された可塑性材料製リングが管状構造体の長尺部に沿って組み立てられて、可変な撓み性と捩れ耐性を供与することができる。管状構造体はその断面が何らかの幾何学的形状であればよく、捩れることなく、屈曲し、捻り、または、湾曲することができる。リング状部材は互いに異なる曲げ弾性率をそなえている。リング状部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材とを組み合わせたものが、管状構造体の互いに異なる各部または区分に沿って組み立てられている。リング状部材は金属製であってもよく、弾性と可撓性に富むエラストマー粘着剤で接着することができるが、リング状部材は互いに長さが異なっていてもよいし、管材の一部または一区分の特性次第で、互いに密接させて溶着されたり、互いから更に離隔して溶着されてもよい。発明の別な局面では、医療管材は、管状構造体を制御するための二次管腔と引張りワイヤを更に備えていてもよい。リング状部材は頭端が切り落とされて、曲げ偏倚を供与するようになっていてもよい。本発明のまた別な局面では、リング状部材は組太政部材の異なる各部または異なる各区分ごとに、直径および/または組成が変動するようにしてもよい。本発明の更に別な局面では、リング状部材の幾つかは放射線不透過性であってもよいし、或いは、リング状部材は異なる色から成り、管状構造体に沿ってインジケータとして作用するようにしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、医療用装置に関するものであり、特に、身体組織または身体空洞(キャビティ)に挿入するのに適しており、複数可変特性で変動する医療管材と、その製造方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
医療管材には、カテーテル、廃液管、接近ポート、内視鏡本体部などとして使用される管材がある。各種の医療管材の要件は、用途で決まる。特に、医療管材の特定の長さは応用例ごとに従って変動することがある。例えば、医療管材の特定長さは非常に可撓性に富みながらも自在に押すことができる必要がある場合もあれば、壁薄にされながらも、捩れ耐性を有している必要があることもある。更に、管材は、特殊領域でのみ、上記のような特性を示す必要がある。
【0003】
大半の医療管材は、連続成形プロセスで1本の可塑材から押出し成形される。押出される素材が押出し成形装置を出て低温化する際に、該素材の速度または張力を変えることにより、或る特性または変化特性が付与される。しかし、変化特性は、1種類の素材しか押しだされないという事実によって限りがある。近年の押出し成形技術の進歩により、多数の素材の同時押出し成形を行えるようになった。これにより、押出し成形される管材に利用可能な変形例が加わる。それでも、これは未だに直線プロセスで、押出し成形される素材の連続流れによって制約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、或る長さに亘って複数の可変特性で変動する医療管材と、製造された管材の長尺部に沿って特性変化を生じさせることができるようにした管材製造方法とが必要となる。例えば、管材の長さは、或る長さに亘って剛性に富み、別な或る長さに亘って可撓性に富み、また、更に別な或る長さに亘って、再度、剛性に富むようにしてもよい。管材の直径を大きく変動させることが望ましいこともある。また別な応用例では、特殊領域で、極度に捩れ耐性のある管材が必要となる場合もある。壁を極薄にした場合の捩れ耐性は、現在の押出し成形プロセスでは、得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主として、身体組織または身体空洞に挿入するようになった医療管材と、該管材の或る長さに沿って管材を異なった風に変化させる製造方法を目的としている。本発明の一観点では、医療管材は或る長さに亘って複数の可変特性で変動し、かかる管材は、複数の個別の分離した略リング状部材が連続して配置され、一緒に溶着または接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成している。リング状部材は熱可塑性材料または熱硬化性材料から形成されていてもよい。リング状部材は可塑材製リング、金属製リング、未補強可塑材製リング、および/または、金属補強された可塑材製リングが管状構造体の長尺部に沿って組み立てられて、可変な撓み性と捩れ耐性を供与することができる。管状構造体は、捩れることなく、屈曲し、捻り、または、湾曲することができる。管状構造体はその断面が、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、または、何らかの幾何学的形状であればよい。リング状部材は互いに異なる曲げ弾性率をそなえている。リング状部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材とを組み合わせたものが、管状構造体の互いに異なる各部または区分に沿って組み立てられ、管状構造体が屈曲させられ、捻られ、湾曲させられると、剛性リング状部材が補強の役割を果たして、管腔の寸法と形状を維持し、また、可撓性リング状部材が伸び縮みするように働いて、捩れを阻止する。リング状部材は金属製であってもよいし、弾性と可撓性に富むエラストマー粘着剤で接着されていてもよく、リング状部材は互いに長さが異なっていてもよいし、管材の一部または一区分の特性次第で、互いに密接させて溶着されたり、互いから更に離隔して溶着されてもよい。
【0006】
本発明の別な観点では、医療管材は、管状構造体を制御するために、二次管腔と引張りワイヤとを更に備えている。リング状部材のうちの少なくとも1個は頭端を切取った形状にされて、曲げ偏倚を供与するようになっているのが、分かる。頭端を切取った形状の部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材が交互に設けられている。本発明のまた別な観点では、リング状部材は管状構造体の異なる部分または異なる区分の直径および/または組成を変動させることができる。本発明の別な観点では、リング状部材のあるものは放射線不透過性であってもよいし、或いは、リング状部材は異なる色からなり、管状構造体に沿ってインジケータとして動作するようにしてもよい。本発明の医療管材の応用例には、AV導入装置、泌尿器鞘部材、尿管接近用鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材、尿管ステント、套管針カニューレ、吸引/潅注用管材、通気用管材、真空管材、分離鞘部材導入装置、気管切開用管材、挿管用管材、消化管用管材、空腸造痩管、体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテル、内視鏡シャフト、廃液管、ガイドカテーテル、水頭症シャント、ガイドワイヤ、血管再形成拡張バルーン、血管グラフト、胆管造影カテーテル、血管塞栓切除/血栓摘出カテーテル、および、中心静脈カテーテルなどがある。
【0007】
本発明の別な観点では、或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、複数のリング状部材を加熱して、該部材を支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含んでいる。本発明の方法は、加熱工程より前に、第2の支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を設置することで、後で、管状構造体に第2管腔または制御管材を形成する工程を更に含んでいる。この方法は、加熱工程の前に、組み立てられたリング状部材の上に制御管材を形成する工程を更に含んでいる。制御管材は、少なくとも1本の、ガラス、シリコーン、熱収縮性ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の物質からなる管材を備えており、かかる管材は、組み立てられたリング状部材よりも溶融温度が高い。この方法は、エラストマー粘着剤またはエラストマー分散液で管状構造体を被膜する工程を更に含んでいる。本発明の別な観点では、心棒は身体空洞の特殊領域に接近するための予備成形された湾曲部を備えており、かかる心棒の具体例としては、収縮可能、膨張可能、または、溶融可能な心棒であって、管状構造体の直径と管腔寸法を変動させることができるようになっているものがあり、このような心棒は電気分解可能なエポキシ樹脂から形成することができる。
【0008】
本発明の別な観点では、或る長さに亘って複数特性で変動する医療管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、溶剤またはそれ以外の化学合成物を使って支持部材または心棒上に複数のリング状部材を溶着させる工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、溶着工程は、リング状部材を溶剤に浸漬して、部材を溶融する工程を更に含んでいる。
【0009】
本発明の別な観点では、或る長さに亘って複数特性で変動する医療管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、粘着剤を用いて支持部材または心棒上に複数のリング状部材を一緒に接着する工程とを含んでいる。粘着剤は光動性または熱活性がある。
【0010】
本発明の別な観点では、薄壁管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、可塑材でワイヤを被膜する工程と、心棒の周囲に被膜ワイヤを巻いて複数の巻き線を形成する工程と、可塑材が溶融して複数の巻き線を接着するまで、巻き線状の被膜ワイヤを加熱し、ワイヤで補強された管材を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、可塑材はポリウレタンと、熱可塑性材料と、熱硬化性材料のうち少なくとも1つを含んでいる。本発明のまた別な観点では、ワイヤは、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含んでおり、或いは、ワイヤは、同時押出し成形プロセスで、可塑材で被膜される。本発明のこの方法は、被膜ワイヤが加熱されると、巻き線を圧縮する工程を更に含んでいる。
【0011】
本発明のまた別な観点では、この方法は、成形により巻き線を圧縮する工程を更に含んでいる。この方法は、管材が冷却された後で、ワイヤで補強された管材を心棒から取出す工程を更に含んでいる。可塑材が、巻き線全部の上で、巻き線全部の下で、巻き線全部のの間で成形されるまで、巻き線状の被膜された管材も加熱される。この方法は、溶剤ベースの溶液中に管材を浸し、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいる。本発明の別な観点では、心棒は先細り形状にされて、管材の長尺部全体に亘って直径が変動するような管材を設け、被膜ワイヤの代用として心棒の周囲に線条を巻きつけてもよく、心棒は、結果として得られた管材の成形体が加熱工程の後で心棒から取出せるような形状なら、どのような形状でもよく、心棒は多数部分からなる心棒でもよい。
【0012】
本発明のまた別な観点では、或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法が開示されており、かかる方法は、可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、可塑材の第2層で、ばね補強材を被膜して、ばね補強された管材を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、第1層および第2層は各々が押出し成形プロセスか鋳造プロセスのいずれかで形成される。本発明のばね補強材は、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含む予備的に巻き線状態にされたワイヤであってもよい。本発明の方法は、溶剤ベースの溶液中に管材を浸して、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいる。
【0013】
本発明のまた別な観点では、或る長さに亘って複数の異なる特性で変化する、捩れ耐性のある薄壁管材のまた別な製造方法が開示されており、かかる方法は、可塑材の第1層で心棒を被膜し、第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、溶剤ベースの溶液中に、ばね補強された第1層を浸して、管材の第2層を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、第2層は不浸透性であり、心棒は先細り形状にされて、管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けており、心棒は、結果として得られた管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
医療管材が図1に例示されており、参照番号10によって示されている。医療管材10は身体組織または身体空洞に挿入するようになっている。管材10は近位端12、遠位端14、長尺部、および、少なくとも1個の管腔15からなる。管材10は、複数の個別の非連続的な略リング状の部材16が連続して配置されて、切れ目無く続く管状構造体18を形成するような構成になっている。図2は、本発明の管材10の、連続して配置されることになる1個の略リング状のプラスチックリング16の斜視図を示している。本発明の一観点では、リング状部材(リング状要素)16は熱可塑性材料で形成される。本発明のまた別な観点では、リング状部材16は熱硬化性材料で形成される。リング状部材16は、連続して配置され、その後で、熱または化学反応によって溶着または接着されて、実質的に切れ目無く続く形状を成形することができる。
【0015】
図5を参照すると、一連の個別の不連続の部材から構成されている管材は、捩れることなく、曲がり、形づくられ、または、コイル状に巻くことができることが分かる。特に、管材10はその長尺部に沿って複数の可変特性を備えている。これは、例えば、複数のリング状部材16を利用して互いに異なる曲げ弾性率を供与することにより、達成される。例えば、管材の長尺部は、可撓性リング状部材が剛性リング状部材によって分離された構成にすることができ、すなわち、管状構造体の撓む部分は管状構造体の剛性部または半剛性部に隣接して形成されて、可変な可撓性を供与することができる。このような構成により、より柔軟かつ可撓性に富む素材が湾曲部に沿って配置されて伸張することができるようになるため、剛性素材が変形することはない。好ましい実施形態は、非常に剛性の熱可塑性材料の間に非常に軟質の生体適合性のある熱可塑性材料が挟まれた構成になっている。換言すると、リング状部材16は、異なる化学組成と異なる硬度の2個以上の互いに異なる素材から形成されており、これらが交互に溶着または接着されて、連続する管材を形成し、その管材の周囲部分は交互に剛性と可撓性を示す。
【0016】
再度、図3を参照すると、本発明の複数の可変特性を備えている医療管材10の製造プロセスが例示されており、支持部材または心棒20を使用することで、リング状部材16の組立体を細長い連続配置に保持している。特に、医療管材10の製造プロセスは、支持部材または心棒20の上に複数のリング状部材16を連続配置に設置する工程と、複数のリング状部材16を加熱して、支持部材または心棒20の上にリング状部材を溶着する工程とを含んでいる。また別な管腔が、成形された管状構造体18に組み込まれ、該構造体は、例えば、細長いワイヤなどと一緒に管腔を維持する。次に、配置または組立てが完了したリング状部材16は加熱され、リング状部材16は心棒20の上に溶着される。
【0017】
本発明の別な観点では、熱を加える前に、配置または組立てが完了したリング状部材16の上に制御管を設置することが考えられる。制御管はガラス、シリコーン、熱収縮可能ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の素材からなる管材であればよいが、かかる素材は組立て完了後のリング状部材16よりも溶融温度が高い。制御管と組立て完了後のリング状部材16が炉内に設置されると、可塑材のリング状部材16が溶着し合うまで、シリコーン制御管は組立て完了したリング状部材16の上に被せられる。これに代わる例として、熱可塑性材料のリング状部材16が溶着し合うまで、心棒20が加熱されるようにしてもよい。制御管と心棒(単数または複数)20は、後で管材10から取出される。
【0018】
本発明のまた別な観点では、リング状部材16は、内径または外径のいずれか一方の部分、或いは、内径と外径の両方の組み合わせ部分が、心棒20と一緒になった熱可塑性材料または付与された熱硬化性材料から成る。シリコーン管材の圧縮スリーブが構造体に被せられ、加熱されるか、または、硬化できるようにされるか、いずかの処理を受ける。結果として得られた製品は、圧縮スリーブが除去されてしまうと、撓み性と展性に非常に富み、それでいて、驚くべき柱強度を備えている。この構造とその変形例は、展性シャフト把持装置などに適用できる。また別な観点では、入れ子式ばねが多様なタイプのU字型ジョイントと置換できる。
【0019】
これに代わるものとして、本発明のプロセスは、次のような熱硬化性材料で達成される。ばねワイヤが所望のピッチで心棒上に巻かれる。次に、それがシリコーンのような熱硬化性材料で被膜される。次いで、シリコーンの圧縮管がばねワイヤの上に被せられ、この組立体を硬化させることができるようになる。更に、管はシリコーン管と心棒から取り外される。ばねは事前に巻かれていてもよいし、熱可塑性材料を流動させるのに必要な熱に耐えられないようなスチール以外の各種素材から作成されてもよい。
【0020】
本発明のまた別な観点では、プロセス全体が、同じ結果を達成するのに反対の態様で達成されてもよい。これは、同時押出し成形されるワイヤを事前にばね状に巻いてから所望の直径の管の中に挿入することにより、実施することができる。ばねコイルを加圧するためのバルーンまたはそれ以外の同様のメカニズムが心棒として内径部分に挿入され、組立体が加熱される。その結果、圧縮部材が内側にきて、静止部材が外側にくる。
【0021】
多種類の低摩擦面で心棒を被膜することで仕上げの済んだ管の取出しを助けることが分かる。例えば、テフロン(登録商標)被膜(テフロン(登録商標)・コーティング)や、多様な金型剥離剤が有効であると分かっている。
【0022】
多数管腔も、本発明の溶着プロセスまたは接着プロセスに容易に含めることができる。これは、多数の方法で達成することができる。第1の方法は、曲がりくねった心棒に溝を設け、溝にステンレス管を埋めることである。前と同様、心棒上に曲がりくねった押出し成形材を設置する。結果として得られた組立体が取り外されると、ステンレス管がワイヤ押出し成形材の可塑材中に埋設されることになる。多数管腔を達成するまた別な方法は、別個の複数心棒をワイヤ押出し成形材で巻いてから、各心棒の周囲に個別にシリコン圧縮スリーブを設置する代わりに、心棒を含む組立体を互いに隣合わせに並べて置き、それら両方の上に圧縮スリーブを被せる。心棒を多様な形状にして、結果として得られた管の内側の形状と外側の形状が異なる管腔を設けるようにしてもよい。このようなコンセプトのもう1つ別なバージョンは、心棒と心棒の間の可塑材(または、非可塑材でも同様に作用すると思われる)のストリップまたは押出し成形材とそれら心棒を組立てると、組立て完了した心棒はその周囲に押出し成形ワイヤが巻きつけられた状態になる。次に、組立体は溶着または接着されて、心棒と心棒の間の可塑材が非常に薄い壁となって管腔を形成する。
【0023】
このようにして、複数管腔をカテーテルの主要管腔の外部または内部に設けることができることが分かる。カテーテルの全体寸法について途方もない利点が達成されるのは、壁厚が一定に保たれていることを要件とする従来の押出し成形技術とは異なり、本発明のカテーテルの壁は局所的肉厚を増すことができるばかりか、複数の長尺部や複数区分を異なる素材から作ることができるようになっているからである。
【0024】
本発明に従って構成される管材は、極度に肉厚が薄くなっている区分を設けた構成になっていてもよい点で、特にユニークである。図1から図6は、管の直径と管の肉厚との間の関係を例示している。通常、径が大きく(5.08mm以上:0.200インチ以上)、壁が非常に薄い(0.381mm以下:0.015インチ以下)である管材は、曲げられ、コイル状にされ、捻られると、極度に捩れる。しかし、本発明に従って構築された管材は同じ状況でも捩れることはなく、というのも、主要な剛性材を変形させずに、柔素材が曲げられるからである。管材が曲げられ、形をつくられ、湾曲されると、剛性材が補強材として作用して管腔の寸法と形状を保つが、柔素材は長い弧に沿って伸びて、短い弧に沿って圧縮するのが分かる。薄壁管材に沿って正常に蓄積されて管材を捩れさせる応力は本発明の複合構造に吸収および分散されるため、管材が捩れることはない。捩れのない管材は、壁厚対直径の割合が20:1を超過して構成され、この割合は標準的な押出し成形では不可能である。ワイヤコイルで補強された管材により、管材は非常に薄壁にして作成することができる。直径対壁の高い割合も、ワイヤコイルを使って押出し成形された管を補強する場合には、達成可能である。しかしながら、ワイヤ補強材はヒステリシスを生じ、付加的な管腔を形成するのに問題を生じさせる。更に、管材の形成は切れ目無く連続する形態で実施されるが、管材の長尺部に沿った特殊領域における変動については斟酌しない。
【0025】
本発明の別な実施形態では、複数の可変特性を備えた医療管材10の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒20の上に複数のリング状部材16を連続する配置で設置する工程と、支持部材または心棒20上の複数のリング状部材16を溶剤またはそれ以外の化合物を用いて溶着させる工程とを含んでいる。すなわち、この実施形態は、溶剤を使用して多様なリング状部材16を一緒に溶着させて、切れ目なく連続する管状構造体18を形成することを思量している。リング状部材16は支持部材または心棒20の上に所望の順序で配置され、または、組立てられて、特殊な応用例に備えている。次いで、組立てが完了した部材に溶剤が付与されて、これら部材が一緒に溶融されて、切れ目無く連続する或る長さの管材を形成するようになっている。本発明のまた別な観点では、組立てが完了した部材16は溶剤に浸漬されて、部材が溶融される。
【0026】
本発明のまた別な実施形態では、粘着剤を使用して多様なリング状部材16を粘着し、切れ目無く連続する管状構造体18を形成することができる。例えば、熱活性粘着剤はリング状部材として形成され、剛性リング状部材16と可撓性リング状部材16の各々の間に設置される。熱が付与されると、粘着剤は活性化され、リング状部材16は接着される。また別な観点では、光動性粘着剤を使用してリング状部材16を接着することができる。このような粘着剤の一例は、紫外線光を付与することにより硬化されるエポキシである。それ以外の粘着剤は、シアノアクリレートや多様なラバーセメントなどがあり、特殊な効果を達成するために使用される。本発明のまた別な観点は、シリコーンまたはそれ以外のエラストマー粘着剤のような、弾性と可撓性に富むラバー状の粘着剤を使用して、剛性のリング状部材16を一緒に接着することを思量している。このような構成により、普通なら直径が大きい薄壁管材を捩じらせる力を接着剤が吸収および分散させることができるとともに、管腔の形状を維持することができる。例えば、一連の剛性リング状部材が心棒の上に緩く組立てられ、或いは、成形されて、後で、エラストマー粘着剤または分散剤で被膜される。剛性リング状部材間を流動するエラストマー粘着剤が剛性部材間に弾性と可撓性に富む領域を形成する。代替の実施形態は、心棒の上に組立てられた後で弾性と可撓性に富む粘着剤で一緒に接着される複数の金属リングの使用を思量している。このような構成の曲げ特性は、金属製のリング状部材の長さを変動させることにより付与される。例えば、半剛性部分は、可撓性部分の金属製リング状部材と比較して長い金属製リング状部材から成っている。可撓性部分の金属性リング状部材はより短くて、曲げ半径を密で小さくすることができる。
【0027】
本発明の管材とその製造プロセスは、押出し成形に勝る顕著な利点を提供するが、それは、高感度の可撓性部分を補強することができる一方で、感度の劣る領域は独立して存在するか、未補強のままにすることができる。更に、管材の一部しか可撓性ではなく、他の部分が剛性または半剛性であるような多数の医療応用例が存在する。一部は非常に柔らかくなければいけないが、同時に圧縮不能で捩れることがないようにしなければならず、しかも、曲がりくねった管腔を通って誘導することができるのに十分な剛性を備えた部分を有していなければならない応用例もある。互いに相容れない複数の要件を持つ具体例として、内視鏡シャフト、泌尿器カテーテル、胆管カテーテル、血管カテーテルがあるが、これらについては後段で更に説明する。このような装置の大半が、大型主要管腔と1本以上の二次管腔と非常に可撓性に富む部分とを設けた壁薄管材の恩恵を得ており、非常に可撓性に富む部分は、二次管腔内の引張りワイヤまたはケーブルによって制御することができる。
【0028】
図7を参照すると、本発明の別な実施形態による管材30の或る長尺部が、交互のリング状部材32を設けられているのが例示されており、これら部材は好ましい曲げ偏倚(曲げ付勢:曲げバイアス)36を供与するように成形されている。この実施形態では、剛性の高いほうのリング状部材32aは頭端が切り落とされた形状、すなわち、楔形形状にされて、剛性の低いほうのリング状部材32bも同様である。頭端が切り落とされた形状または楔形形状の部材32a、32bを交互に配置した好ましい構成は、好ましい曲げ偏倚36を供与する。換言すると、剛性の低いほうの部分に隣接している可撓性の高いほうの部分は、剛性の高い部分に隣接している可撓性の低い部分の反対側に位置しており、圧縮負荷が加えられると、可撓性が大きいほうの部分が存在する側に向かって偏倚を供与する。引張り負荷が付与された場合には、反対のことが起こる。図面で分かるように、偏倚配置は、不連続の個別のリング状部材の剛性配置または半剛性配置に隣接して形成される。図8は、図7の曲げ偏倚を設けた管材の端面図を例示している。図9および図10は、本発明の別な実施形態に従ってそれぞれに真っ直ぐな状態と曲がった状態にあるワイヤリングで補強した管材の側面図であり、図11は図9のワイヤリングで補強した管材の端面図である。
【0029】
図12を参照すると、管材40の或る長尺部が第1の直径42と少なくとも第2の直径44を有しているが例示されている。互いに異なる複数の直径は、心棒を成形して部材46を一緒に溶融して切れ目無く連続する管材を形成する際に、多様なリング状部材46を組立てた結果である。小さいほうの素材、大きいほうの素材、柔らかいほうの素材、硬いほうの素材を多数の異なる配置して組立てるやり方は何通りでもできることが分かる。更に、組立て完了後の管材の長尺部に沿ってインジケータ部材すなわち放射線不透過性部材が組立てられると、多様に着色した部材の配置ができあがる。例えば、管材の剛性部分が特殊な径で特殊な長さに作られたのに続いて、第2の径(第1の径より大きいか小さい)で半剛性部分が作られ、さらにその続きに、第3の径(第2の径より大きいか小さい)で可撓性の非常に高い部分が作られ、それに続いて、第4の径(第3の径より大きいか小さい)で剛性または半剛性の部分が作られるようになっていてもよい。
【0030】
本発明はまた、心棒の使用と、湾曲形状や、それ以外の、多様な用途に適う複数の有用な形や形状部をも思量している。例えば、ガイドカテーテルは、肉体の特殊な解剖学的領域に接近するために事前に形成された湾曲部を設けて構成される。心棒または形状部は収縮可能、膨張可能、溶融可能、などといった特性を持ち、管状本体部が多様な直径と管腔寸法で設けられるようにしている。一例として、心棒または形状部は電気分解可能なエポキシ樹脂から構成されていてもよい。心棒または形状部は、電気衝撃が印加されるまでは、形状を維持したままである。素材は、電気エネルギーの印加時に分離し、管状本体部内に複雑な管腔の形状を残す。
【0031】
本発明の薄壁管材の製造プロセスのまた別な一例を以下に示す。
(1)第一に、スチールの心棒が機械加工により意図した管の内径または形状に一致させられる。
(2)第二に、例えば直径が、約0.152mm(約0.006インチ)のステンレス鋼は、その上にポリウレタンの層が同時押出し成形されて、結果として、約0.508mm(約0.020インチ)の直径となる。
(3)同時押出し成形されたワイヤは心棒の長尺部の周囲に密に巻かれて、その両端は、結果として生じたコイルが巻き戻らないように固着される。
(4)第四に、巻きつけられたコイルの外径(O.D.)よりも小さい内径(I.D.)のシリコーン管材が組立体の全体に被せられて、巻き線状のコイルを完全に覆うようにする。
(5)第五に、組立体は炉の中に設置され、摂氏約180度で15分ないし30分放置される(これは、成形材料ペレサン(Pellethane)向けの処理。他の可塑材は異なるパラメータを要する)。
(6)第六に、組立体は炉から取り出され、低温化される。組立体が低温になったら、シリコーン鞘部材を取り出す。
(7)第七に、巻き線状コイルが心棒から取り出される。
【0032】
このプロセスの結果として、肉厚が、約0.381mm(約0.015インチ)の管材と、そこに埋設されたステンレスワイヤの補強コイルが得られる。この管材は現実に捩れることがなく、内径面と外径面が非常に平滑である。更に、心棒は先細り状にされて、管材には一方端から他方端まで可変径が供与される。これ以外の具体例では、結果として生じた管材の物理的特性はワイヤの直径、同時押出し成形される可塑材の径、ワイヤや化合物のような可塑材の種類と特性、硬度を変動させることにより調節することができる。管材の内径について保有される公差は非常に大きく、約0.0254mm(約0.001インチ)以下である。外径の公差はこれに匹敵する。このプロセスについての直径範囲は極めて大きい。基本型を作成する場合の内径範囲は、約0.660mmから約19.05mm(0.026インチから0.75インチ)であり、ワイヤの直径の範囲は、約0.102mmから約0.203mm(0.004インチから0.008インチ)である。
【0033】
2種以上の互いに異なる種類のワイヤ/可塑材押出し成形材が一緒に巻かれて、ワイヤはこのプロセスの働きで必要要件ではない。このプロセスは、押出し成形または伝統的鋳造によって実践できない、または、得ることのできない寸法まで薄くした壁の管材を成形するのには有用となる。心棒は丸み付けする必要がなく、同じ心棒の上に丸い成形物と丸くない成形物の両方を組み合わせることができる。
【0034】
主たる要件は、加熱サイクルが終了すると、結果として生じる成形体を心棒から取り外すことができる点である。普通では稀な形状を利用する場合、これは、分離心棒や犠牲辛抱など、例えば、酸の中で溶融させることによって取り外すことができる心棒を使って達成することができる。
【0035】
本発明の方法は、次のような製品を構築する際に適用されるが、全部を構築するのではないにしても、少なくとも一部を構築する際を含む。
1. AV導入装置: このような装置は血管へ接近するために使用される。先行技術のAV導入装置は、通例、約50.8mmから約76.2mm(約2インチ〜約3インチ)の長さの通例はかなり厚い壁を廻らせたフルオロポリマーである。本発明のAV導入装置は肉厚を減じており、同時に、捩れ耐性を増大させている。血管外科医もこのような装置のもっと長いものを使って、血管系の多様な部分に接近し、このような鞘部材を使って多様な医薬を注入し、或いは、鞘部材を器具の導入と取出し用の高速路として利用している。このような長い導入装置は長さが70センチメートル以上あって、本発明のAV導入装置が提供し得る、より高い捩れ耐性と可撓性によって、信じられない利益を得ている。特に、本発明の鞘部材は内部はもとより外部も摩擦低下被膜で覆うことができ、かかる被膜としては親水性被膜のほかにヘパリン添加被膜があるが、それ以外の医学的に有益な表面処理を施すこともできる。
2. 泌尿器鞘部材: 本発明の方法によって、異なる泌尿器鞘部材を製造することができるが、例えば、尿管鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材など、多様な処置手順のために内視鏡を向かわせるために修正を加えられたものが挙げられる。
3. 尿管ステント: これらは本発明のプロセスで作成することができ、薄壁、高い柱強度、卓越した可撓性を備えている点で有益である。泌尿器科関係ではありふれた知識であるが、薄くて可撓性に富むステントは患者にとっては快適であるが、医者が設置するには難易度が高くなる。より大型で剛性の高いステントは設置するのが簡単であるが、患者には不快である。本発明のステントは、小型と可撓性の両方を兼備し、しかも尚、固有の柱強度のせいで設置が簡単である。
4. 套管針カニューレ: これらは非常に薄壁に作ることができ、しかも、可撓性に富み(または、可撓性がない)、捩れや圧縮に対する耐性を高めることができる。これは、コイルの代わりに編組構造体を使った本発明の接着プロセスまたは溶着プロセスにより達成することができる。また別な観点では、カニューレ鞘部材を、最初はカニューレそれ自体より先に挿入することができるようにした折り畳み構造にすることができる。
5. 吸引/潅注(S/I)管材: 先行技術のS/I管材は目下のところPVCから作成されており、壁が非常に厚いため、真空下で管が捩れたり、崩壊するのを防止する。本発明のプロセスを利用した場合、次のような利点が達成される。すなわち、管材は捩れ耐性があるが、壁厚が薄く、よって、軽量となり、経費も環境に配慮せずともPVCに匹敵し、従って、使用される可塑材の全体量も低減できる。目下のところ、S/I管材は、そこに1ポンドまたは2ポンドのPVC管材を含んでいる。本発明のS/I管材は可塑材の全重量を約10分の1ポンドにまで低減し、医者がより簡単に使用することができるようになっている。更に、潅注管材のワイヤは電気式加熱により、流体が患者の体内に導入された際に、流体の温度を体温またはそれに近い温度にすることができる。
【0036】
6. 通気管: この管材を使用して腹腔鏡外科手術用の二酸化炭素ガスを搬送するが、S/I管材と幾つか同じ問題がある。より軽量で可塑材廃棄率の低い管材を作ることができ、壁の中の加熱素子は、体温と同じガスがそれより低温ガスの代用として導入することができるようにすることにより、患者に利益となる。
7. 真空管材: 本発明のプロセスは、医療状況であれ、医療状況以外であれ、どのような状況についても有益であるが、この場合、真空管材が薄壁にされて、更に好ましくは、捩れ耐性を有している必要が存在する。このプロセスを利用して、薄壁の圧力管材を製造することもできる。
8. 分離鞘部材導入装置: 本発明のプロセスは、修正することにより、分離鞘部材導入装置を作成することができる。ワイヤ押出し成形材を特殊心棒の上に巻きつけて、心棒の各側の半円形の管材を作ってから、分離鞘部材を一緒に溶着または接着することができる。
9. 気管切開用管材: 薄壁の捩れのない気管切開用管材は、本発明のプロセスの利益にあずかっている。バルーンで一杯になった管腔を呼吸用管と一緒に容易に溶着または接着させることができる。同じ利点が、緊急時に使用されるクリコシロデクトミー(crycothyrodectomy)管材に適用される。
10. 挿管用管材: 挿管用管材は非常に壁が薄く、捩れ耐性も高く、このことで、気管が圧迫状態になってしまう小児科症状やその他の事例で特に、この種の装置が広く役立つことになる。可撓性を付与することえ、鼻腔管材としても理想的になるだろう。
【0037】
11. G‐管材/J‐管材: 消化管用管材および空腸造痩管材を使って、恒久給餌を行えるうえに、同様に、小さい径、挿入時の高い柱強度、安全性を求めた捩れ耐性かの恩恵にあずかれる。
12. ERCPカテーテル: 体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテルは非常に長いカテーテルで、通例は、胆嚢管の胆石を治療するために使用される。これらは、高い柱強度や薄い壁厚に加えて、高い捩れ耐性の恩恵にあずかる。
13. 内視鏡シャフト: 可撓性に富み、操舵可能な内視鏡が必要とするシャフトは、内部部材を良好に保護するばかりでなく、領域ごとに可撓性が異なるうえに、全体で良好な柱強度を示す必要がある。このシャフトはまた、複数の管腔を収容する必要がある。
14. 廃液管: 廃液管や吸引管も薄い壁、軽量、および、捩れ耐性の利益にあずかる。
15. ガイドカテーテル: 心臓病額で心臓動脈に接近するために広く使用されるガイドカテーテルは、注意深い設計により、形状、硬度、操作自在性、トルク強度、捩れ耐性などの多様な設計基準に適うものである。これらは平滑かつ非塞栓性でなければならない。本発明の接着プロセスおよび溶着プロセスは、これら装置を構築する際の良い基本となる。シャフトの長尺部に沿って比較的硬質の部材を設けることにより、または、ワイヤ上に押出し成形するのに使用される可塑材を変えることにより、トルク強度またはトルク性能は本発明の装置で改善することができる。
【0038】
16. 水頭症シャント: 脳室から過剰な水頭液を廃液するために使用される、このようなシャントに関わる、ありふれた問題として、かかるシャントが捩れる可能性があり、適切な廃液を阻害する場合がある点が挙げられる。これは、修正を必要とするし、または、患者の不快を増すだけであり、感染の機会も増える可能性がある。本発明のプロセスに従ってこれらシャントの各部を製造することにより、崩壊耐性と捩れ耐性のあるシャントを作ることができるようになる。
17. ガイドワイヤ: 泌尿器学や放射線学を含む多数の応用例でガイドワイヤが使われる。ガイドワイヤは通常は密に巻かれたステンレス鋼のばねを使って構築されてから、テフロン(登録商標)または可塑材で被覆することにより潤滑性を得る。これらの長さは通例は2フィートから6フィートであり、直径は約1mm以下である。このような構造は、本発明のプロセスを利用して製造することができる。
18. 血管再形成バルーンおよび拡張バルーン: これらのバルーンが設置されるカテーテルは、3フィート以上の長さに亘って15気圧以上程度の遷移能力を必要とする。ここでもまた、優れた柱強度を備えた補強された薄壁の利点が非常に役に立つ。
19. 血管グラフト: 多様なグラフト設計が広く利用されており、これらの具体例として、大動脈不ラフと、透析グラフト、バイパスグラフト、動脈グラフトなど、抹消血管の多様な部位に適用する多数の設計が挙げられる。これらは全て、捩れ耐性や崩壊耐性のほかに、優れた可撓性の恩恵にあずかる。多様な被膜や表面加工例も適用することができる。
20. 胆管造影カテーテル: 胆管に造影媒体を搬送するために使用されるカテーテルは、捩れ耐性と薄壁の互いに矛盾し合う要件が妥協を必要とするせいで、使用するのが困難である。壁が非常に薄いうえに捩れ耐性を保てる本発明の管材はこれには当てはまらない。
【0039】
21. 血管塞栓摘出/塞栓切除カテーテル: これら小径のカテーテルは血餅を排除するためにバルーンが設けられており、塞栓切除術の場合は、カテーテルはばね性本体部が設けられて、本発明のプロセスをその本質に適合させることができる。塞栓摘出カテーテルについては、このカテーテルは小さいプロファイル、大きくなった膨張管腔、および、大きくなったガイドワイヤ管腔などの恩恵を得ることができる。
22. 中心静脈カテーテル: これらのカテーテルは装置の近くに設置されて、鎖骨下静脈や腕頭静脈のいずれかを通って上位大静脈に接近する。このカテーテルは、とりわけ、腎臓疾患の事例の緊急治療に使われる。このようなカテーテルは2本〜3本の管腔を設けて構築されることが多く、血液を迅速に抜き取っては戻す能力を必要とする。これらが本発明のプロセスから得る利点は、壁がより薄く作られ、流れを増大させられること、或いは、プロファイルを低減できること、その両方の点である。これらのカテーテルはほぼ捩れることがなく、挿入時の支援を行う、優れた柱強度を備えている。本発明のプロセスは広く使用される被膜に全く干渉することがなく、超音波により、より効能があがる。
【0040】
本発明の前段の開示と説明は例示と具体例であり、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、寸法、形状、素材を多様に変更することができるばかりか、例示の構成の細部の変更も多様にできる。このような理由から、上述の説明は本発明を限定するものと解釈するべきではなく、好ましい実施形態の単なる具体例にすぎないものと理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態による、或る長さの医療管材を例示した斜視図である。
【図2】本発明の管材の、連続して配置されることになる1個の可塑リングを例示した斜視図である。
【図3】本発明のプロセスに従って形成される本発明の医療管材を例示した斜視図である。
【図4】本発明の複合管材が真っ直ぐな状態であるのを例示した側面図である。
【図5】図4の複合管材が曲がった状態であるのを例示した側面図である。
【図6】図4の複合管材を例示した端面図である。
【図7】本発明の別な実施形態に従って曲げ偏倚を備えた管材を例示した側面図である。
【図8】曲げ偏倚を備えた、図7の管材の端面図である。
【図9】本発明のまた別な実施形態による、ワイヤリングで補強された管材が真っ直ぐな状態であるのを例示した側面図である。
【図10】図9のワイヤリングで補強された管材が曲がった状態または円形の状態であるのを例示した側面図である。
【図11】図9のワイヤリングで補強された管材の端面図である。
【図12(a)】本発明のまた別な実施形態に従って、直径が変動する管材を例示した斜視図である。
【図12(b)】本発明のまた別な実施形態に従って、直径が変動する管材を例示した斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、医療用装置に関するものであり、特に、身体組織または身体空洞(キャビティ)に挿入するのに適しており、複数可変特性で変動する医療管材と、その製造方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
医療管材には、カテーテル、廃液管、接近ポート、内視鏡本体部などとして使用される管材がある。各種の医療管材の要件は、用途で決まる。特に、医療管材の特定の長さは応用例ごとに従って変動することがある。例えば、医療管材の特定長さは非常に可撓性に富みながらも自在に押すことができる必要がある場合もあれば、壁薄にされながらも、捩れ耐性を有している必要があることもある。更に、管材は、特殊領域でのみ、上記のような特性を示す必要がある。
【0003】
大半の医療管材は、連続成形プロセスで1本の可塑材から押出し成形される。押出される素材が押出し成形装置を出て低温化する際に、該素材の速度または張力を変えることにより、或る特性または変化特性が付与される。しかし、変化特性は、1種類の素材しか押しだされないという事実によって限りがある。近年の押出し成形技術の進歩により、多数の素材の同時押出し成形を行えるようになった。これにより、押出し成形される管材に利用可能な変形例が加わる。それでも、これは未だに直線プロセスで、押出し成形される素材の連続流れによって制約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、或る長さに亘って複数の可変特性で変動する医療管材と、製造された管材の長尺部に沿って特性変化を生じさせることができるようにした管材製造方法とが必要となる。例えば、管材の長さは、或る長さに亘って剛性に富み、別な或る長さに亘って可撓性に富み、また、更に別な或る長さに亘って、再度、剛性に富むようにしてもよい。管材の直径を大きく変動させることが望ましいこともある。また別な応用例では、特殊領域で、極度に捩れ耐性のある管材が必要となる場合もある。壁を極薄にした場合の捩れ耐性は、現在の押出し成形プロセスでは、得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主として、身体組織または身体空洞に挿入するようになった医療管材と、該管材の或る長さに沿って管材を異なった風に変化させる製造方法を目的としている。本発明の一観点では、医療管材は或る長さに亘って複数の可変特性で変動し、かかる管材は、複数の個別の分離した略リング状部材が連続して配置され、一緒に溶着または接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成している。リング状部材は熱可塑性材料または熱硬化性材料から形成されていてもよい。リング状部材は可塑材製リング、金属製リング、未補強可塑材製リング、および/または、金属補強された可塑材製リングが管状構造体の長尺部に沿って組み立てられて、可変な撓み性と捩れ耐性を供与することができる。管状構造体は、捩れることなく、屈曲し、捻り、または、湾曲することができる。管状構造体はその断面が、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、または、何らかの幾何学的形状であればよい。リング状部材は互いに異なる曲げ弾性率をそなえている。リング状部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材とを組み合わせたものが、管状構造体の互いに異なる各部または区分に沿って組み立てられ、管状構造体が屈曲させられ、捻られ、湾曲させられると、剛性リング状部材が補強の役割を果たして、管腔の寸法と形状を維持し、また、可撓性リング状部材が伸び縮みするように働いて、捩れを阻止する。リング状部材は金属製であってもよいし、弾性と可撓性に富むエラストマー粘着剤で接着されていてもよく、リング状部材は互いに長さが異なっていてもよいし、管材の一部または一区分の特性次第で、互いに密接させて溶着されたり、互いから更に離隔して溶着されてもよい。
【0006】
本発明の別な観点では、医療管材は、管状構造体を制御するために、二次管腔と引張りワイヤとを更に備えている。リング状部材のうちの少なくとも1個は頭端を切取った形状にされて、曲げ偏倚を供与するようになっているのが、分かる。頭端を切取った形状の部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材が交互に設けられている。本発明のまた別な観点では、リング状部材は管状構造体の異なる部分または異なる区分の直径および/または組成を変動させることができる。本発明の別な観点では、リング状部材のあるものは放射線不透過性であってもよいし、或いは、リング状部材は異なる色からなり、管状構造体に沿ってインジケータとして動作するようにしてもよい。本発明の医療管材の応用例には、AV導入装置、泌尿器鞘部材、尿管接近用鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材、尿管ステント、套管針カニューレ、吸引/潅注用管材、通気用管材、真空管材、分離鞘部材導入装置、気管切開用管材、挿管用管材、消化管用管材、空腸造痩管、体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテル、内視鏡シャフト、廃液管、ガイドカテーテル、水頭症シャント、ガイドワイヤ、血管再形成拡張バルーン、血管グラフト、胆管造影カテーテル、血管塞栓切除/血栓摘出カテーテル、および、中心静脈カテーテルなどがある。
【0007】
本発明の別な観点では、或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、複数のリング状部材を加熱して、該部材を支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含んでいる。本発明の方法は、加熱工程より前に、第2の支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を設置することで、後で、管状構造体に第2管腔または制御管材を形成する工程を更に含んでいる。この方法は、加熱工程の前に、組み立てられたリング状部材の上に制御管材を形成する工程を更に含んでいる。制御管材は、少なくとも1本の、ガラス、シリコーン、熱収縮性ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の物質からなる管材を備えており、かかる管材は、組み立てられたリング状部材よりも溶融温度が高い。この方法は、エラストマー粘着剤またはエラストマー分散液で管状構造体を被膜する工程を更に含んでいる。本発明の別な観点では、心棒は身体空洞の特殊領域に接近するための予備成形された湾曲部を備えており、かかる心棒の具体例としては、収縮可能、膨張可能、または、溶融可能な心棒であって、管状構造体の直径と管腔寸法を変動させることができるようになっているものがあり、このような心棒は電気分解可能なエポキシ樹脂から形成することができる。
【0008】
本発明の別な観点では、或る長さに亘って複数特性で変動する医療管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、溶剤またはそれ以外の化学合成物を使って支持部材または心棒上に複数のリング状部材を溶着させる工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、溶着工程は、リング状部材を溶剤に浸漬して、部材を溶融する工程を更に含んでいる。
【0009】
本発明の別な観点では、或る長さに亘って複数特性で変動する医療管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、粘着剤を用いて支持部材または心棒上に複数のリング状部材を一緒に接着する工程とを含んでいる。粘着剤は光動性または熱活性がある。
【0010】
本発明の別な観点では、薄壁管材の製造方法が開示されるが、かかる方法は、可塑材でワイヤを被膜する工程と、心棒の周囲に被膜ワイヤを巻いて複数の巻き線を形成する工程と、可塑材が溶融して複数の巻き線を接着するまで、巻き線状の被膜ワイヤを加熱し、ワイヤで補強された管材を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、可塑材はポリウレタンと、熱可塑性材料と、熱硬化性材料のうち少なくとも1つを含んでいる。本発明のまた別な観点では、ワイヤは、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含んでおり、或いは、ワイヤは、同時押出し成形プロセスで、可塑材で被膜される。本発明のこの方法は、被膜ワイヤが加熱されると、巻き線を圧縮する工程を更に含んでいる。
【0011】
本発明のまた別な観点では、この方法は、成形により巻き線を圧縮する工程を更に含んでいる。この方法は、管材が冷却された後で、ワイヤで補強された管材を心棒から取出す工程を更に含んでいる。可塑材が、巻き線全部の上で、巻き線全部の下で、巻き線全部のの間で成形されるまで、巻き線状の被膜された管材も加熱される。この方法は、溶剤ベースの溶液中に管材を浸し、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいる。本発明の別な観点では、心棒は先細り形状にされて、管材の長尺部全体に亘って直径が変動するような管材を設け、被膜ワイヤの代用として心棒の周囲に線条を巻きつけてもよく、心棒は、結果として得られた管材の成形体が加熱工程の後で心棒から取出せるような形状なら、どのような形状でもよく、心棒は多数部分からなる心棒でもよい。
【0012】
本発明のまた別な観点では、或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法が開示されており、かかる方法は、可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、可塑材の第2層で、ばね補強材を被膜して、ばね補強された管材を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、第1層および第2層は各々が押出し成形プロセスか鋳造プロセスのいずれかで形成される。本発明のばね補強材は、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含む予備的に巻き線状態にされたワイヤであってもよい。本発明の方法は、溶剤ベースの溶液中に管材を浸して、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいる。
【0013】
本発明のまた別な観点では、或る長さに亘って複数の異なる特性で変化する、捩れ耐性のある薄壁管材のまた別な製造方法が開示されており、かかる方法は、可塑材の第1層で心棒を被膜し、第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、溶剤ベースの溶液中に、ばね補強された第1層を浸して、管材の第2層を形成する工程とを含んでいる。本発明のこの方法では、第2層は不浸透性であり、心棒は先細り形状にされて、管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けており、心棒は、結果として得られた管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
医療管材が図1に例示されており、参照番号10によって示されている。医療管材10は身体組織または身体空洞に挿入するようになっている。管材10は近位端12、遠位端14、長尺部、および、少なくとも1個の管腔15からなる。管材10は、複数の個別の非連続的な略リング状の部材16が連続して配置されて、切れ目無く続く管状構造体18を形成するような構成になっている。図2は、本発明の管材10の、連続して配置されることになる1個の略リング状のプラスチックリング16の斜視図を示している。本発明の一観点では、リング状部材(リング状要素)16は熱可塑性材料で形成される。本発明のまた別な観点では、リング状部材16は熱硬化性材料で形成される。リング状部材16は、連続して配置され、その後で、熱または化学反応によって溶着または接着されて、実質的に切れ目無く続く形状を成形することができる。
【0015】
図5を参照すると、一連の個別の不連続の部材から構成されている管材は、捩れることなく、曲がり、形づくられ、または、コイル状に巻くことができることが分かる。特に、管材10はその長尺部に沿って複数の可変特性を備えている。これは、例えば、複数のリング状部材16を利用して互いに異なる曲げ弾性率を供与することにより、達成される。例えば、管材の長尺部は、可撓性リング状部材が剛性リング状部材によって分離された構成にすることができ、すなわち、管状構造体の撓む部分は管状構造体の剛性部または半剛性部に隣接して形成されて、可変な可撓性を供与することができる。このような構成により、より柔軟かつ可撓性に富む素材が湾曲部に沿って配置されて伸張することができるようになるため、剛性素材が変形することはない。好ましい実施形態は、非常に剛性の熱可塑性材料の間に非常に軟質の生体適合性のある熱可塑性材料が挟まれた構成になっている。換言すると、リング状部材16は、異なる化学組成と異なる硬度の2個以上の互いに異なる素材から形成されており、これらが交互に溶着または接着されて、連続する管材を形成し、その管材の周囲部分は交互に剛性と可撓性を示す。
【0016】
再度、図3を参照すると、本発明の複数の可変特性を備えている医療管材10の製造プロセスが例示されており、支持部材または心棒20を使用することで、リング状部材16の組立体を細長い連続配置に保持している。特に、医療管材10の製造プロセスは、支持部材または心棒20の上に複数のリング状部材16を連続配置に設置する工程と、複数のリング状部材16を加熱して、支持部材または心棒20の上にリング状部材を溶着する工程とを含んでいる。また別な管腔が、成形された管状構造体18に組み込まれ、該構造体は、例えば、細長いワイヤなどと一緒に管腔を維持する。次に、配置または組立てが完了したリング状部材16は加熱され、リング状部材16は心棒20の上に溶着される。
【0017】
本発明の別な観点では、熱を加える前に、配置または組立てが完了したリング状部材16の上に制御管を設置することが考えられる。制御管はガラス、シリコーン、熱収縮可能ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の素材からなる管材であればよいが、かかる素材は組立て完了後のリング状部材16よりも溶融温度が高い。制御管と組立て完了後のリング状部材16が炉内に設置されると、可塑材のリング状部材16が溶着し合うまで、シリコーン制御管は組立て完了したリング状部材16の上に被せられる。これに代わる例として、熱可塑性材料のリング状部材16が溶着し合うまで、心棒20が加熱されるようにしてもよい。制御管と心棒(単数または複数)20は、後で管材10から取出される。
【0018】
本発明のまた別な観点では、リング状部材16は、内径または外径のいずれか一方の部分、或いは、内径と外径の両方の組み合わせ部分が、心棒20と一緒になった熱可塑性材料または付与された熱硬化性材料から成る。シリコーン管材の圧縮スリーブが構造体に被せられ、加熱されるか、または、硬化できるようにされるか、いずかの処理を受ける。結果として得られた製品は、圧縮スリーブが除去されてしまうと、撓み性と展性に非常に富み、それでいて、驚くべき柱強度を備えている。この構造とその変形例は、展性シャフト把持装置などに適用できる。また別な観点では、入れ子式ばねが多様なタイプのU字型ジョイントと置換できる。
【0019】
これに代わるものとして、本発明のプロセスは、次のような熱硬化性材料で達成される。ばねワイヤが所望のピッチで心棒上に巻かれる。次に、それがシリコーンのような熱硬化性材料で被膜される。次いで、シリコーンの圧縮管がばねワイヤの上に被せられ、この組立体を硬化させることができるようになる。更に、管はシリコーン管と心棒から取り外される。ばねは事前に巻かれていてもよいし、熱可塑性材料を流動させるのに必要な熱に耐えられないようなスチール以外の各種素材から作成されてもよい。
【0020】
本発明のまた別な観点では、プロセス全体が、同じ結果を達成するのに反対の態様で達成されてもよい。これは、同時押出し成形されるワイヤを事前にばね状に巻いてから所望の直径の管の中に挿入することにより、実施することができる。ばねコイルを加圧するためのバルーンまたはそれ以外の同様のメカニズムが心棒として内径部分に挿入され、組立体が加熱される。その結果、圧縮部材が内側にきて、静止部材が外側にくる。
【0021】
多種類の低摩擦面で心棒を被膜することで仕上げの済んだ管の取出しを助けることが分かる。例えば、テフロン(登録商標)被膜(テフロン(登録商標)・コーティング)や、多様な金型剥離剤が有効であると分かっている。
【0022】
多数管腔も、本発明の溶着プロセスまたは接着プロセスに容易に含めることができる。これは、多数の方法で達成することができる。第1の方法は、曲がりくねった心棒に溝を設け、溝にステンレス管を埋めることである。前と同様、心棒上に曲がりくねった押出し成形材を設置する。結果として得られた組立体が取り外されると、ステンレス管がワイヤ押出し成形材の可塑材中に埋設されることになる。多数管腔を達成するまた別な方法は、別個の複数心棒をワイヤ押出し成形材で巻いてから、各心棒の周囲に個別にシリコン圧縮スリーブを設置する代わりに、心棒を含む組立体を互いに隣合わせに並べて置き、それら両方の上に圧縮スリーブを被せる。心棒を多様な形状にして、結果として得られた管の内側の形状と外側の形状が異なる管腔を設けるようにしてもよい。このようなコンセプトのもう1つ別なバージョンは、心棒と心棒の間の可塑材(または、非可塑材でも同様に作用すると思われる)のストリップまたは押出し成形材とそれら心棒を組立てると、組立て完了した心棒はその周囲に押出し成形ワイヤが巻きつけられた状態になる。次に、組立体は溶着または接着されて、心棒と心棒の間の可塑材が非常に薄い壁となって管腔を形成する。
【0023】
このようにして、複数管腔をカテーテルの主要管腔の外部または内部に設けることができることが分かる。カテーテルの全体寸法について途方もない利点が達成されるのは、壁厚が一定に保たれていることを要件とする従来の押出し成形技術とは異なり、本発明のカテーテルの壁は局所的肉厚を増すことができるばかりか、複数の長尺部や複数区分を異なる素材から作ることができるようになっているからである。
【0024】
本発明に従って構成される管材は、極度に肉厚が薄くなっている区分を設けた構成になっていてもよい点で、特にユニークである。図1から図6は、管の直径と管の肉厚との間の関係を例示している。通常、径が大きく(5.08mm以上:0.200インチ以上)、壁が非常に薄い(0.381mm以下:0.015インチ以下)である管材は、曲げられ、コイル状にされ、捻られると、極度に捩れる。しかし、本発明に従って構築された管材は同じ状況でも捩れることはなく、というのも、主要な剛性材を変形させずに、柔素材が曲げられるからである。管材が曲げられ、形をつくられ、湾曲されると、剛性材が補強材として作用して管腔の寸法と形状を保つが、柔素材は長い弧に沿って伸びて、短い弧に沿って圧縮するのが分かる。薄壁管材に沿って正常に蓄積されて管材を捩れさせる応力は本発明の複合構造に吸収および分散されるため、管材が捩れることはない。捩れのない管材は、壁厚対直径の割合が20:1を超過して構成され、この割合は標準的な押出し成形では不可能である。ワイヤコイルで補強された管材により、管材は非常に薄壁にして作成することができる。直径対壁の高い割合も、ワイヤコイルを使って押出し成形された管を補強する場合には、達成可能である。しかしながら、ワイヤ補強材はヒステリシスを生じ、付加的な管腔を形成するのに問題を生じさせる。更に、管材の形成は切れ目無く連続する形態で実施されるが、管材の長尺部に沿った特殊領域における変動については斟酌しない。
【0025】
本発明の別な実施形態では、複数の可変特性を備えた医療管材10の製造方法が開示されるが、かかる方法は、支持部材または心棒20の上に複数のリング状部材16を連続する配置で設置する工程と、支持部材または心棒20上の複数のリング状部材16を溶剤またはそれ以外の化合物を用いて溶着させる工程とを含んでいる。すなわち、この実施形態は、溶剤を使用して多様なリング状部材16を一緒に溶着させて、切れ目なく連続する管状構造体18を形成することを思量している。リング状部材16は支持部材または心棒20の上に所望の順序で配置され、または、組立てられて、特殊な応用例に備えている。次いで、組立てが完了した部材に溶剤が付与されて、これら部材が一緒に溶融されて、切れ目無く連続する或る長さの管材を形成するようになっている。本発明のまた別な観点では、組立てが完了した部材16は溶剤に浸漬されて、部材が溶融される。
【0026】
本発明のまた別な実施形態では、粘着剤を使用して多様なリング状部材16を粘着し、切れ目無く連続する管状構造体18を形成することができる。例えば、熱活性粘着剤はリング状部材として形成され、剛性リング状部材16と可撓性リング状部材16の各々の間に設置される。熱が付与されると、粘着剤は活性化され、リング状部材16は接着される。また別な観点では、光動性粘着剤を使用してリング状部材16を接着することができる。このような粘着剤の一例は、紫外線光を付与することにより硬化されるエポキシである。それ以外の粘着剤は、シアノアクリレートや多様なラバーセメントなどがあり、特殊な効果を達成するために使用される。本発明のまた別な観点は、シリコーンまたはそれ以外のエラストマー粘着剤のような、弾性と可撓性に富むラバー状の粘着剤を使用して、剛性のリング状部材16を一緒に接着することを思量している。このような構成により、普通なら直径が大きい薄壁管材を捩じらせる力を接着剤が吸収および分散させることができるとともに、管腔の形状を維持することができる。例えば、一連の剛性リング状部材が心棒の上に緩く組立てられ、或いは、成形されて、後で、エラストマー粘着剤または分散剤で被膜される。剛性リング状部材間を流動するエラストマー粘着剤が剛性部材間に弾性と可撓性に富む領域を形成する。代替の実施形態は、心棒の上に組立てられた後で弾性と可撓性に富む粘着剤で一緒に接着される複数の金属リングの使用を思量している。このような構成の曲げ特性は、金属製のリング状部材の長さを変動させることにより付与される。例えば、半剛性部分は、可撓性部分の金属製リング状部材と比較して長い金属製リング状部材から成っている。可撓性部分の金属性リング状部材はより短くて、曲げ半径を密で小さくすることができる。
【0027】
本発明の管材とその製造プロセスは、押出し成形に勝る顕著な利点を提供するが、それは、高感度の可撓性部分を補強することができる一方で、感度の劣る領域は独立して存在するか、未補強のままにすることができる。更に、管材の一部しか可撓性ではなく、他の部分が剛性または半剛性であるような多数の医療応用例が存在する。一部は非常に柔らかくなければいけないが、同時に圧縮不能で捩れることがないようにしなければならず、しかも、曲がりくねった管腔を通って誘導することができるのに十分な剛性を備えた部分を有していなければならない応用例もある。互いに相容れない複数の要件を持つ具体例として、内視鏡シャフト、泌尿器カテーテル、胆管カテーテル、血管カテーテルがあるが、これらについては後段で更に説明する。このような装置の大半が、大型主要管腔と1本以上の二次管腔と非常に可撓性に富む部分とを設けた壁薄管材の恩恵を得ており、非常に可撓性に富む部分は、二次管腔内の引張りワイヤまたはケーブルによって制御することができる。
【0028】
図7を参照すると、本発明の別な実施形態による管材30の或る長尺部が、交互のリング状部材32を設けられているのが例示されており、これら部材は好ましい曲げ偏倚(曲げ付勢:曲げバイアス)36を供与するように成形されている。この実施形態では、剛性の高いほうのリング状部材32aは頭端が切り落とされた形状、すなわち、楔形形状にされて、剛性の低いほうのリング状部材32bも同様である。頭端が切り落とされた形状または楔形形状の部材32a、32bを交互に配置した好ましい構成は、好ましい曲げ偏倚36を供与する。換言すると、剛性の低いほうの部分に隣接している可撓性の高いほうの部分は、剛性の高い部分に隣接している可撓性の低い部分の反対側に位置しており、圧縮負荷が加えられると、可撓性が大きいほうの部分が存在する側に向かって偏倚を供与する。引張り負荷が付与された場合には、反対のことが起こる。図面で分かるように、偏倚配置は、不連続の個別のリング状部材の剛性配置または半剛性配置に隣接して形成される。図8は、図7の曲げ偏倚を設けた管材の端面図を例示している。図9および図10は、本発明の別な実施形態に従ってそれぞれに真っ直ぐな状態と曲がった状態にあるワイヤリングで補強した管材の側面図であり、図11は図9のワイヤリングで補強した管材の端面図である。
【0029】
図12を参照すると、管材40の或る長尺部が第1の直径42と少なくとも第2の直径44を有しているが例示されている。互いに異なる複数の直径は、心棒を成形して部材46を一緒に溶融して切れ目無く連続する管材を形成する際に、多様なリング状部材46を組立てた結果である。小さいほうの素材、大きいほうの素材、柔らかいほうの素材、硬いほうの素材を多数の異なる配置して組立てるやり方は何通りでもできることが分かる。更に、組立て完了後の管材の長尺部に沿ってインジケータ部材すなわち放射線不透過性部材が組立てられると、多様に着色した部材の配置ができあがる。例えば、管材の剛性部分が特殊な径で特殊な長さに作られたのに続いて、第2の径(第1の径より大きいか小さい)で半剛性部分が作られ、さらにその続きに、第3の径(第2の径より大きいか小さい)で可撓性の非常に高い部分が作られ、それに続いて、第4の径(第3の径より大きいか小さい)で剛性または半剛性の部分が作られるようになっていてもよい。
【0030】
本発明はまた、心棒の使用と、湾曲形状や、それ以外の、多様な用途に適う複数の有用な形や形状部をも思量している。例えば、ガイドカテーテルは、肉体の特殊な解剖学的領域に接近するために事前に形成された湾曲部を設けて構成される。心棒または形状部は収縮可能、膨張可能、溶融可能、などといった特性を持ち、管状本体部が多様な直径と管腔寸法で設けられるようにしている。一例として、心棒または形状部は電気分解可能なエポキシ樹脂から構成されていてもよい。心棒または形状部は、電気衝撃が印加されるまでは、形状を維持したままである。素材は、電気エネルギーの印加時に分離し、管状本体部内に複雑な管腔の形状を残す。
【0031】
本発明の薄壁管材の製造プロセスのまた別な一例を以下に示す。
(1)第一に、スチールの心棒が機械加工により意図した管の内径または形状に一致させられる。
(2)第二に、例えば直径が、約0.152mm(約0.006インチ)のステンレス鋼は、その上にポリウレタンの層が同時押出し成形されて、結果として、約0.508mm(約0.020インチ)の直径となる。
(3)同時押出し成形されたワイヤは心棒の長尺部の周囲に密に巻かれて、その両端は、結果として生じたコイルが巻き戻らないように固着される。
(4)第四に、巻きつけられたコイルの外径(O.D.)よりも小さい内径(I.D.)のシリコーン管材が組立体の全体に被せられて、巻き線状のコイルを完全に覆うようにする。
(5)第五に、組立体は炉の中に設置され、摂氏約180度で15分ないし30分放置される(これは、成形材料ペレサン(Pellethane)向けの処理。他の可塑材は異なるパラメータを要する)。
(6)第六に、組立体は炉から取り出され、低温化される。組立体が低温になったら、シリコーン鞘部材を取り出す。
(7)第七に、巻き線状コイルが心棒から取り出される。
【0032】
このプロセスの結果として、肉厚が、約0.381mm(約0.015インチ)の管材と、そこに埋設されたステンレスワイヤの補強コイルが得られる。この管材は現実に捩れることがなく、内径面と外径面が非常に平滑である。更に、心棒は先細り状にされて、管材には一方端から他方端まで可変径が供与される。これ以外の具体例では、結果として生じた管材の物理的特性はワイヤの直径、同時押出し成形される可塑材の径、ワイヤや化合物のような可塑材の種類と特性、硬度を変動させることにより調節することができる。管材の内径について保有される公差は非常に大きく、約0.0254mm(約0.001インチ)以下である。外径の公差はこれに匹敵する。このプロセスについての直径範囲は極めて大きい。基本型を作成する場合の内径範囲は、約0.660mmから約19.05mm(0.026インチから0.75インチ)であり、ワイヤの直径の範囲は、約0.102mmから約0.203mm(0.004インチから0.008インチ)である。
【0033】
2種以上の互いに異なる種類のワイヤ/可塑材押出し成形材が一緒に巻かれて、ワイヤはこのプロセスの働きで必要要件ではない。このプロセスは、押出し成形または伝統的鋳造によって実践できない、または、得ることのできない寸法まで薄くした壁の管材を成形するのには有用となる。心棒は丸み付けする必要がなく、同じ心棒の上に丸い成形物と丸くない成形物の両方を組み合わせることができる。
【0034】
主たる要件は、加熱サイクルが終了すると、結果として生じる成形体を心棒から取り外すことができる点である。普通では稀な形状を利用する場合、これは、分離心棒や犠牲辛抱など、例えば、酸の中で溶融させることによって取り外すことができる心棒を使って達成することができる。
【0035】
本発明の方法は、次のような製品を構築する際に適用されるが、全部を構築するのではないにしても、少なくとも一部を構築する際を含む。
1. AV導入装置: このような装置は血管へ接近するために使用される。先行技術のAV導入装置は、通例、約50.8mmから約76.2mm(約2インチ〜約3インチ)の長さの通例はかなり厚い壁を廻らせたフルオロポリマーである。本発明のAV導入装置は肉厚を減じており、同時に、捩れ耐性を増大させている。血管外科医もこのような装置のもっと長いものを使って、血管系の多様な部分に接近し、このような鞘部材を使って多様な医薬を注入し、或いは、鞘部材を器具の導入と取出し用の高速路として利用している。このような長い導入装置は長さが70センチメートル以上あって、本発明のAV導入装置が提供し得る、より高い捩れ耐性と可撓性によって、信じられない利益を得ている。特に、本発明の鞘部材は内部はもとより外部も摩擦低下被膜で覆うことができ、かかる被膜としては親水性被膜のほかにヘパリン添加被膜があるが、それ以外の医学的に有益な表面処理を施すこともできる。
2. 泌尿器鞘部材: 本発明の方法によって、異なる泌尿器鞘部材を製造することができるが、例えば、尿管鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材など、多様な処置手順のために内視鏡を向かわせるために修正を加えられたものが挙げられる。
3. 尿管ステント: これらは本発明のプロセスで作成することができ、薄壁、高い柱強度、卓越した可撓性を備えている点で有益である。泌尿器科関係ではありふれた知識であるが、薄くて可撓性に富むステントは患者にとっては快適であるが、医者が設置するには難易度が高くなる。より大型で剛性の高いステントは設置するのが簡単であるが、患者には不快である。本発明のステントは、小型と可撓性の両方を兼備し、しかも尚、固有の柱強度のせいで設置が簡単である。
4. 套管針カニューレ: これらは非常に薄壁に作ることができ、しかも、可撓性に富み(または、可撓性がない)、捩れや圧縮に対する耐性を高めることができる。これは、コイルの代わりに編組構造体を使った本発明の接着プロセスまたは溶着プロセスにより達成することができる。また別な観点では、カニューレ鞘部材を、最初はカニューレそれ自体より先に挿入することができるようにした折り畳み構造にすることができる。
5. 吸引/潅注(S/I)管材: 先行技術のS/I管材は目下のところPVCから作成されており、壁が非常に厚いため、真空下で管が捩れたり、崩壊するのを防止する。本発明のプロセスを利用した場合、次のような利点が達成される。すなわち、管材は捩れ耐性があるが、壁厚が薄く、よって、軽量となり、経費も環境に配慮せずともPVCに匹敵し、従って、使用される可塑材の全体量も低減できる。目下のところ、S/I管材は、そこに1ポンドまたは2ポンドのPVC管材を含んでいる。本発明のS/I管材は可塑材の全重量を約10分の1ポンドにまで低減し、医者がより簡単に使用することができるようになっている。更に、潅注管材のワイヤは電気式加熱により、流体が患者の体内に導入された際に、流体の温度を体温またはそれに近い温度にすることができる。
【0036】
6. 通気管: この管材を使用して腹腔鏡外科手術用の二酸化炭素ガスを搬送するが、S/I管材と幾つか同じ問題がある。より軽量で可塑材廃棄率の低い管材を作ることができ、壁の中の加熱素子は、体温と同じガスがそれより低温ガスの代用として導入することができるようにすることにより、患者に利益となる。
7. 真空管材: 本発明のプロセスは、医療状況であれ、医療状況以外であれ、どのような状況についても有益であるが、この場合、真空管材が薄壁にされて、更に好ましくは、捩れ耐性を有している必要が存在する。このプロセスを利用して、薄壁の圧力管材を製造することもできる。
8. 分離鞘部材導入装置: 本発明のプロセスは、修正することにより、分離鞘部材導入装置を作成することができる。ワイヤ押出し成形材を特殊心棒の上に巻きつけて、心棒の各側の半円形の管材を作ってから、分離鞘部材を一緒に溶着または接着することができる。
9. 気管切開用管材: 薄壁の捩れのない気管切開用管材は、本発明のプロセスの利益にあずかっている。バルーンで一杯になった管腔を呼吸用管と一緒に容易に溶着または接着させることができる。同じ利点が、緊急時に使用されるクリコシロデクトミー(crycothyrodectomy)管材に適用される。
10. 挿管用管材: 挿管用管材は非常に壁が薄く、捩れ耐性も高く、このことで、気管が圧迫状態になってしまう小児科症状やその他の事例で特に、この種の装置が広く役立つことになる。可撓性を付与することえ、鼻腔管材としても理想的になるだろう。
【0037】
11. G‐管材/J‐管材: 消化管用管材および空腸造痩管材を使って、恒久給餌を行えるうえに、同様に、小さい径、挿入時の高い柱強度、安全性を求めた捩れ耐性かの恩恵にあずかれる。
12. ERCPカテーテル: 体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテルは非常に長いカテーテルで、通例は、胆嚢管の胆石を治療するために使用される。これらは、高い柱強度や薄い壁厚に加えて、高い捩れ耐性の恩恵にあずかる。
13. 内視鏡シャフト: 可撓性に富み、操舵可能な内視鏡が必要とするシャフトは、内部部材を良好に保護するばかりでなく、領域ごとに可撓性が異なるうえに、全体で良好な柱強度を示す必要がある。このシャフトはまた、複数の管腔を収容する必要がある。
14. 廃液管: 廃液管や吸引管も薄い壁、軽量、および、捩れ耐性の利益にあずかる。
15. ガイドカテーテル: 心臓病額で心臓動脈に接近するために広く使用されるガイドカテーテルは、注意深い設計により、形状、硬度、操作自在性、トルク強度、捩れ耐性などの多様な設計基準に適うものである。これらは平滑かつ非塞栓性でなければならない。本発明の接着プロセスおよび溶着プロセスは、これら装置を構築する際の良い基本となる。シャフトの長尺部に沿って比較的硬質の部材を設けることにより、または、ワイヤ上に押出し成形するのに使用される可塑材を変えることにより、トルク強度またはトルク性能は本発明の装置で改善することができる。
【0038】
16. 水頭症シャント: 脳室から過剰な水頭液を廃液するために使用される、このようなシャントに関わる、ありふれた問題として、かかるシャントが捩れる可能性があり、適切な廃液を阻害する場合がある点が挙げられる。これは、修正を必要とするし、または、患者の不快を増すだけであり、感染の機会も増える可能性がある。本発明のプロセスに従ってこれらシャントの各部を製造することにより、崩壊耐性と捩れ耐性のあるシャントを作ることができるようになる。
17. ガイドワイヤ: 泌尿器学や放射線学を含む多数の応用例でガイドワイヤが使われる。ガイドワイヤは通常は密に巻かれたステンレス鋼のばねを使って構築されてから、テフロン(登録商標)または可塑材で被覆することにより潤滑性を得る。これらの長さは通例は2フィートから6フィートであり、直径は約1mm以下である。このような構造は、本発明のプロセスを利用して製造することができる。
18. 血管再形成バルーンおよび拡張バルーン: これらのバルーンが設置されるカテーテルは、3フィート以上の長さに亘って15気圧以上程度の遷移能力を必要とする。ここでもまた、優れた柱強度を備えた補強された薄壁の利点が非常に役に立つ。
19. 血管グラフト: 多様なグラフト設計が広く利用されており、これらの具体例として、大動脈不ラフと、透析グラフト、バイパスグラフト、動脈グラフトなど、抹消血管の多様な部位に適用する多数の設計が挙げられる。これらは全て、捩れ耐性や崩壊耐性のほかに、優れた可撓性の恩恵にあずかる。多様な被膜や表面加工例も適用することができる。
20. 胆管造影カテーテル: 胆管に造影媒体を搬送するために使用されるカテーテルは、捩れ耐性と薄壁の互いに矛盾し合う要件が妥協を必要とするせいで、使用するのが困難である。壁が非常に薄いうえに捩れ耐性を保てる本発明の管材はこれには当てはまらない。
【0039】
21. 血管塞栓摘出/塞栓切除カテーテル: これら小径のカテーテルは血餅を排除するためにバルーンが設けられており、塞栓切除術の場合は、カテーテルはばね性本体部が設けられて、本発明のプロセスをその本質に適合させることができる。塞栓摘出カテーテルについては、このカテーテルは小さいプロファイル、大きくなった膨張管腔、および、大きくなったガイドワイヤ管腔などの恩恵を得ることができる。
22. 中心静脈カテーテル: これらのカテーテルは装置の近くに設置されて、鎖骨下静脈や腕頭静脈のいずれかを通って上位大静脈に接近する。このカテーテルは、とりわけ、腎臓疾患の事例の緊急治療に使われる。このようなカテーテルは2本〜3本の管腔を設けて構築されることが多く、血液を迅速に抜き取っては戻す能力を必要とする。これらが本発明のプロセスから得る利点は、壁がより薄く作られ、流れを増大させられること、或いは、プロファイルを低減できること、その両方の点である。これらのカテーテルはほぼ捩れることがなく、挿入時の支援を行う、優れた柱強度を備えている。本発明のプロセスは広く使用される被膜に全く干渉することがなく、超音波により、より効能があがる。
【0040】
本発明の前段の開示と説明は例示と具体例であり、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、寸法、形状、素材を多様に変更することができるばかりか、例示の構成の細部の変更も多様にできる。このような理由から、上述の説明は本発明を限定するものと解釈するべきではなく、好ましい実施形態の単なる具体例にすぎないものと理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態による、或る長さの医療管材を例示した斜視図である。
【図2】本発明の管材の、連続して配置されることになる1個の可塑リングを例示した斜視図である。
【図3】本発明のプロセスに従って形成される本発明の医療管材を例示した斜視図である。
【図4】本発明の複合管材が真っ直ぐな状態であるのを例示した側面図である。
【図5】図4の複合管材が曲がった状態であるのを例示した側面図である。
【図6】図4の複合管材を例示した端面図である。
【図7】本発明の別な実施形態に従って曲げ偏倚を備えた管材を例示した側面図である。
【図8】曲げ偏倚を備えた、図7の管材の端面図である。
【図9】本発明のまた別な実施形態による、ワイヤリングで補強された管材が真っ直ぐな状態であるのを例示した側面図である。
【図10】図9のワイヤリングで補強された管材が曲がった状態または円形の状態であるのを例示した側面図である。
【図11】図9のワイヤリングで補強された管材の端面図である。
【図12(a)】本発明のまた別な実施形態に従って、直径が変動する管材を例示した斜視図である。
【図12(b)】本発明のまた別な実施形態に従って、直径が変動する管材を例示した斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体組織または身体空洞に挿入するようにされ、或る長さに亘って複数の可変特性で変動する医療管材であって、
複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に溶着または接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成することを特徴とする、医療管材。
【請求項2】
前記リング状部材は熱可塑性材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項3】
前記リング状部材は熱硬化性材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項4】
前記リング状部材は、プラスチック材料製リング、金属製リング、未補強のプラスチック材料製リング、および、金属補強されたプラスチック材料製リングのうち少なくとも1種類を含んでおり、これらリングが、管状構造体の長尺部に沿って組み立てられて、可変な撓み性と捩れ耐性を供与することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項5】
前記管状構造体は、捩れることなく、屈曲し、捻り、または、湾曲することができることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項6】
前記管状構造体は、その断面が、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、または、何らかの幾何学的形状であることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項7】
前記リング状部材は互いに異なる曲げ弾性率を有することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項8】
前記リング状部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材とを組み合わせたものが、前記管状構造体の互いに異なる各部または区分に沿って組み立てられることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項9】
前記金属製リングはプラスチック材料で被膜されており、エラストマーリングと交互に組立てられることを特徴とする、請求項4に記載の医療管材。
【請求項10】
前記管状構造体が屈曲させられ、捻られ、湾曲させられると、前記剛性リング状部材が補強の役割を果たして、管腔の寸法と形状を維持し、また、前記可撓性リング状部材が伸び縮みするように働いて、捩れを阻止することを特徴とする、請求項8に記載の医療管材。
【請求項11】
前記リング状部材は金属製であり、弾性と可撓性に富むエラストマー粘着剤で接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項12】
前記リング状部材は、互いに長さが異なっており、管材の一部または一区分の特性次第で、互いに密接させて溶着されたり、互いから更に離隔して溶着されることを特徴とする、請求項11に記載の医療管材。
【請求項13】
前記管状構造体を制御するための二次管腔と引張りワイヤとを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項14】
前記リング状部材のうちの少なくとも1個は頭端を切取った形状にされて、曲げ偏倚を供与することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項15】
前記頭端を切取った形状の部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材が交互に設けられることを特徴とする、請求項14に記載の医療管材。
【請求項16】
前記リング状部材は前記管状構造体の異なる部分または異なる区分の直径を変動させていることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項17】
前記リング状部材の組成は、前記管状構造体の異なる部分、または、異なる区分で変動していることを特徴とする、請求項16に記載の医療管材。
【請求項18】
前記リング状部材は、前記管状構造体の各部内、または、各区分内の好ましい弾性率に従って組立てられることを特徴とする、請求項17に記載の医療管材。
【請求項19】
前記リング状部材のうち少なくとも1つは放射線不透過性であることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項20】
前記リング状部材は異なる色からなり、前記管状構造体に沿ってインジケータとして動作することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項21】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に溶着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
複数のリング状部材を加熱して、該部材を支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項22】
前記加熱工程より前に、第2の支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を設置することで、後で、前記管状構造体に第2管腔または制御管材を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱工程の前に、組立てが完了したリング状部材の上に制御管材を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記制御管材は、少なくとも1本の、ガラス、シリコーン、熱収縮性ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の物質からなる管材を備えており、前記管材は、組立てが完了したリング状部材よりも溶融温度が高いことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は、連続して配置され、一緒に溶着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
溶剤またはそれ以外の化合物を用いて、複数のリング状部材を一緒に支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項26】
前記溶着工程は、前記リング状部材を溶剤中に浸漬させて、前記リング状部材を溶着させる工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
粘着剤を用いて、複数のリング状部材を一緒に支持部材または心棒上に接着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項28】
前記粘着剤は光動性または熱活性であることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
エラストマー粘着剤またはエラストマー分散液で前記管状構造体を被膜する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記心棒は身体空洞の特殊領域に接近するための予備成形された湾曲部を備えていることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記心棒の具体例としては、収縮可能、膨張可能、または、溶融可能な心棒であって、前記管状構造体の直径と管腔寸法を変動させることができるようになっているものがあることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記心棒は電気分解可能なエポキシ樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記管材は、AV導入装置、泌尿器鞘部材、尿管接近用鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材、尿管ステント、套管針カニューレ、吸引/潅注用管材、通気用管材、真空管材、分離鞘部材導入装置、気管切開用管材、挿管用管材、消化管用管材、空腸造痩管、体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテル、内視鏡シャフト、廃液管、ガイドカテーテル、水頭症シャント、ガイドワイヤ、血管再形成拡張バルーン、血管グラフト、胆管造影カテーテル、血管血栓摘出/塞栓切除カテーテル、または、中心静脈カテーテルなどとして使用されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項34】
薄壁管材の製造方法であって、
可塑材でワイヤを被膜する工程と、
心棒の周囲に被膜ワイヤを巻いて複数の巻き線を形成する工程と、
可塑材が溶融して複数の巻き線を接着するまで、巻き線状の被膜ワイヤを加熱し、ワイヤで補強された管材を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項35】
前記可塑材はポリウレタンと、熱可塑性材料と、熱硬化性材料のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ワイヤは、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ワイヤは、同時押出し成形プロセスで、可塑材で被膜されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記管材は肉厚が、約0.382mm(約0.015インチ)以下であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記管材は内径が、約0.660mmから約19.05mm(約0.026インチから約0.75インチ)の範囲であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記内径の公差は、約0.0254mm(約0.001インチ)以下であることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記被膜ワイヤが加熱されている時に、前記巻き線を圧縮する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記巻き線を圧縮するための金型を設ける工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記管材が低温化された後で、前記心棒からワイヤで補強された管材を取出す工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記可塑材が、前記巻き線の全部の上に、前記巻き線の全部の下に、前記巻き線の全部の同士の間に形成されてしまうまで、前記巻き線状の被膜管材が加熱されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
溶剤ベースの溶液中に前記管材を浸し、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動するような管材を設けるようにしたことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記ワイヤの被膜とは異なる素材を含む線条を設ける工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記被膜ワイヤの代用として心棒の周囲に線条を巻きつけていることを特徴とする、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が前記加熱工程の後で心棒から取出せるような形状なら、どのような形状でもよいことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法であって、
可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、
第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、
可塑材の第2層で、ばね補強材を被膜して、ばね補強された管材を形成する工程とを含んでいることを特徴とする製造方法。
【請求項52】
前記第1層は押出し成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1層は成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記第2層は押出し成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記第2層は成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記ばね補強材は、金属材料と第2のプラスチック材料のうち少なくとも一方を含む予備的に巻き線状態にされたワイヤであることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記ばね補強材は、前記第1層の周囲に巻き線状態にされた、金属材料と第2のプラスチック材料のうち少なくとも一方を含むワイヤであることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
溶剤ベースの溶液中に前記管材を浸して、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けていることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよいことを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法であって、
可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、
第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、
溶剤ベースの溶液中で、ばね補強された第1層を浸し、前記管材の第2層を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項63】
前記第2層は不浸透性であることを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けていることを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよいことを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項65に記載の方法。
【請求項1】
身体組織または身体空洞に挿入するようにされ、或る長さに亘って複数の可変特性で変動する医療管材であって、
複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に溶着または接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成することを特徴とする、医療管材。
【請求項2】
前記リング状部材は熱可塑性材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項3】
前記リング状部材は熱硬化性材料で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項4】
前記リング状部材は、プラスチック材料製リング、金属製リング、未補強のプラスチック材料製リング、および、金属補強されたプラスチック材料製リングのうち少なくとも1種類を含んでおり、これらリングが、管状構造体の長尺部に沿って組み立てられて、可変な撓み性と捩れ耐性を供与することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項5】
前記管状構造体は、捩れることなく、屈曲し、捻り、または、湾曲することができることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項6】
前記管状構造体は、その断面が、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、または、何らかの幾何学的形状であることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項7】
前記リング状部材は互いに異なる曲げ弾性率を有することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項8】
前記リング状部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材とを組み合わせたものが、前記管状構造体の互いに異なる各部または区分に沿って組み立てられることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項9】
前記金属製リングはプラスチック材料で被膜されており、エラストマーリングと交互に組立てられることを特徴とする、請求項4に記載の医療管材。
【請求項10】
前記管状構造体が屈曲させられ、捻られ、湾曲させられると、前記剛性リング状部材が補強の役割を果たして、管腔の寸法と形状を維持し、また、前記可撓性リング状部材が伸び縮みするように働いて、捩れを阻止することを特徴とする、請求項8に記載の医療管材。
【請求項11】
前記リング状部材は金属製であり、弾性と可撓性に富むエラストマー粘着剤で接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項12】
前記リング状部材は、互いに長さが異なっており、管材の一部または一区分の特性次第で、互いに密接させて溶着されたり、互いから更に離隔して溶着されることを特徴とする、請求項11に記載の医療管材。
【請求項13】
前記管状構造体を制御するための二次管腔と引張りワイヤとを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項14】
前記リング状部材のうちの少なくとも1個は頭端を切取った形状にされて、曲げ偏倚を供与することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項15】
前記頭端を切取った形状の部材は、可撓性リング状部材と剛性リング状部材が交互に設けられることを特徴とする、請求項14に記載の医療管材。
【請求項16】
前記リング状部材は前記管状構造体の異なる部分または異なる区分の直径を変動させていることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項17】
前記リング状部材の組成は、前記管状構造体の異なる部分、または、異なる区分で変動していることを特徴とする、請求項16に記載の医療管材。
【請求項18】
前記リング状部材は、前記管状構造体の各部内、または、各区分内の好ましい弾性率に従って組立てられることを特徴とする、請求項17に記載の医療管材。
【請求項19】
前記リング状部材のうち少なくとも1つは放射線不透過性であることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項20】
前記リング状部材は異なる色からなり、前記管状構造体に沿ってインジケータとして動作することを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項21】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に溶着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
複数のリング状部材を加熱して、該部材を支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項22】
前記加熱工程より前に、第2の支持部材または心棒の上に複数のリング状部材を設置することで、後で、前記管状構造体に第2管腔または制御管材を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱工程の前に、組立てが完了したリング状部材の上に制御管材を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記制御管材は、少なくとも1本の、ガラス、シリコーン、熱収縮性ポリオレフィン、PTFE、FEP、金属、または、それ以外の物質からなる管材を備えており、前記管材は、組立てが完了したリング状部材よりも溶融温度が高いことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は、連続して配置され、一緒に溶着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
溶剤またはそれ以外の化合物を用いて、複数のリング状部材を一緒に支持部材または心棒上に溶着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項26】
前記溶着工程は、前記リング状部材を溶剤中に浸漬させて、前記リング状部材を溶着させる工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
或る長さに亘り複数の可変特性で変動する医療管材を製造する方法であって、医療管材は複数の個別の分離した略リング状部材を備えており、該リング状部材は連続して配置され、一緒に接着されて、切れ目無く連続する管状構造体を形成しており、前記方法は、
支持部材または心棒上に複数のリング状部材を連続配置で設置する工程と、
粘着剤を用いて、複数のリング状部材を一緒に支持部材または心棒上に接着させる工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項28】
前記粘着剤は光動性または熱活性であることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
エラストマー粘着剤またはエラストマー分散液で前記管状構造体を被膜する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記心棒は身体空洞の特殊領域に接近するための予備成形された湾曲部を備えていることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記心棒の具体例としては、収縮可能、膨張可能、または、溶融可能な心棒であって、前記管状構造体の直径と管腔寸法を変動させることができるようになっているものがあることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記心棒は電気分解可能なエポキシ樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記管材は、AV導入装置、泌尿器鞘部材、尿管接近用鞘部材、尿道および膀胱接近用鞘部材、腎臓接近用鞘部材、尿管ステント、套管針カニューレ、吸引/潅注用管材、通気用管材、真空管材、分離鞘部材導入装置、気管切開用管材、挿管用管材、消化管用管材、空腸造痩管、体外逆方向性胆管膵臓造影カテーテル、内視鏡シャフト、廃液管、ガイドカテーテル、水頭症シャント、ガイドワイヤ、血管再形成拡張バルーン、血管グラフト、胆管造影カテーテル、血管血栓摘出/塞栓切除カテーテル、または、中心静脈カテーテルなどとして使用されることを特徴とする、請求項1に記載の医療管材。
【請求項34】
薄壁管材の製造方法であって、
可塑材でワイヤを被膜する工程と、
心棒の周囲に被膜ワイヤを巻いて複数の巻き線を形成する工程と、
可塑材が溶融して複数の巻き線を接着するまで、巻き線状の被膜ワイヤを加熱し、ワイヤで補強された管材を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項35】
前記可塑材はポリウレタンと、熱可塑性材料と、熱硬化性材料のうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ワイヤは、金属材と第2の可塑材のうち少なくとも一方を含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ワイヤは、同時押出し成形プロセスで、可塑材で被膜されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記管材は肉厚が、約0.382mm(約0.015インチ)以下であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記管材は内径が、約0.660mmから約19.05mm(約0.026インチから約0.75インチ)の範囲であることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記内径の公差は、約0.0254mm(約0.001インチ)以下であることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記被膜ワイヤが加熱されている時に、前記巻き線を圧縮する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記巻き線を圧縮するための金型を設ける工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記管材が低温化された後で、前記心棒からワイヤで補強された管材を取出す工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記可塑材が、前記巻き線の全部の上に、前記巻き線の全部の下に、前記巻き線の全部の同士の間に形成されてしまうまで、前記巻き線状の被膜管材が加熱されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
溶剤ベースの溶液中に前記管材を浸し、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動するような管材を設けるようにしたことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記ワイヤの被膜とは異なる素材を含む線条を設ける工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記被膜ワイヤの代用として心棒の周囲に線条を巻きつけていることを特徴とする、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が前記加熱工程の後で心棒から取出せるような形状なら、どのような形状でもよいことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法であって、
可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、
第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、
可塑材の第2層で、ばね補強材を被膜して、ばね補強された管材を形成する工程とを含んでいることを特徴とする製造方法。
【請求項52】
前記第1層は押出し成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1層は成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記第2層は押出し成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記第2層は成形プロセスで形成されることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記ばね補強材は、金属材料と第2のプラスチック材料のうち少なくとも一方を含む予備的に巻き線状態にされたワイヤであることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記ばね補強材は、前記第1層の周囲に巻き線状態にされた、金属材料と第2のプラスチック材料のうち少なくとも一方を含むワイヤであることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
溶剤ベースの溶液中に前記管材を浸して、管材の外側層を形成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けていることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよいことを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
或る長さに亘って複数の異なる特性で変動する、捩れ耐性のある薄壁管材の製造方法であって、
可塑材の第1層で心棒を被膜する工程と、
第1層の上に、ばね補強材を設置する工程と、
溶剤ベースの溶液中で、ばね補強された第1層を浸し、前記管材の第2層を形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項63】
前記第2層は不浸透性であることを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記心棒は先細り形状にされて、前記管材の長尺部全体に亘って直径が変動する管材を設けていることを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記心棒は、結果として得られた前記管材の成形体が心棒から取出せるような形状であれば、どのような形状であってもよいことを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記心棒は多数部分からなる心棒であることを特徴とする、請求項65に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【公表番号】特表2007−524480(P2007−524480A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551162(P2006−551162)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/001129
【国際公開番号】WO2005/072806
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(503000978)アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション (70)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/001129
【国際公開番号】WO2005/072806
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(503000978)アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション (70)
【Fターム(参考)】
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