説明

圧電発振器、及びその製造方法

【課題】 小型化に対応するとともに、汎用性のある圧電振動子を利用して、製造コストを抑えた圧電発振器を提供すること。
【解決手段】 実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分が樹脂で封止されるようになっており、実装端子部62を底面に有する基板60と、この基板の上面に固定され、蓋体で封止されたパッケージ36内に圧電振動片37を収容し、この圧電振動片と電気的に接続された外部端子部42,43をパッケージの表面に有する圧電振動子35と、パッケージ36の基板60に実装する面と反対の面に固定され、発振回路を構成するための発振回路素子と50を備え、基板60は、その上面に、実装端子部62と電気的に接続された導電用端子部63a〜63dを有し、外部端子部42,43および導電用端子部63a〜63dが、発振回路素子50と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子と発振回路素子とを有する圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、圧電発振器は広く使用されている。
従来、この圧電発振器は、パッケージの内部空間内に圧電振動片および発振回路素子をともに収容して構成されている。すなわち、圧電振動片の表面には励振電極が設けられており、この励振電極はパッケージ内を引き回された電極膜と電気的に接続され、この電極膜は発振回路素子と電気的に接続されている。これにより、圧電振動片と発振回路素子とは電気的に接続され、圧電振動片の動作は発振回路素子により制御されている。
ところが、近年、圧電発振器の小型化は目ざましく、上述のように、圧電振動片と発振回路素子とを同一のパッケージ内に収容することが困難になってきている。
【0003】
このため、図33に示すような圧電発振器10が出願されている。図33は、圧電発振器10の分解斜視図である(例えば、特許文献1参照)。
この圧電発振器10は、圧電振動子1と発振回路素子8とを有している。
圧電振動子1は、セラミックからなる複数の基板を積層して形成されたパッケージ2の内部空間S内に圧電振動片4を収容し、蓋体3で封止されている。ここで、圧電振動片4は表面に励振電極5が設けられており、この励振電極5と電気的に接続された電極膜(図示せず)はセラミックの積層基板を利用されて引き回され、パッケージ2の開口端面に電極パッド6を形成するようにしている。
【0004】
そして、発振回路素子8は、圧電振動子1の蓋体3の上面に搭載され、発振回路素子8の端子9と電極パッド6とをボンディングワイヤ(図示せず)で接続するようにしている。また、圧電発振器10は、電極膜(図示せず)をパッケージ2内で引き回して、側面に電極パッド6の一部と電気的につながった制御用端子7を有し、この制御用端子7を介して圧電振動片4の動作を制御するためのデータが発振回路素子8に書き込まれている。
これにより、圧電発振器10においては、狭い内部空間S内に圧電振動片4と発振回路素子8とを一緒に収容することがなくなるため、小型化されても製造が容易となる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−320240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、圧電発振器10では、上述のように、発振回路素子8と圧電振動片4とを電気的に接続するために、パッケージ2の積層基板を利用して電極膜(図示せず)を引き回したり、開口端面の電極パッド6や側面の制御用端子7を形成しなければならなかった。
このため、圧電振動子1に比べて、より小型化された汎用性のある圧電振動子があるにも拘らず、圧電発振器専用の圧電振動子1をつくらなければならず、製造コストが高くなっていた。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためのものであり、小型化に対応するとともに、汎用性のある圧電振動子を利用して、製造コストを抑えた圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、第1の発明によれば、実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分が樹脂で封止されるようになっており、前記実装端子部を底面に有する基板と、この基板の上面に固定され、蓋体で封止されたパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続された外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、前記パッケージの前記基板に実装する面と反対の面に固定され、発振回路を構成するための発振回路素子とを備え、前記基板は、その上面に、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を有し、前記外部端子部および前記導電用端子部が、前記発振回路素子と電気的に接続されている圧電発振器により達成される。
【0009】
第1の発明の構成によれば、圧電発振器は、蓋体で封止されたパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続された外部端子部をパッケージの表面に有する圧電振動子と、パッケージの基板に実装する面と反対の面に固定され、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えている。したがって、パッケージの狭い空間内に圧電振動片と発振回路素子とを一緒に収容しなくてもすむため、小型化されても製造が容易となる。
また、基板に実装端子部を設けており、この基板の上面に、実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を有し、外部端子部および導電用端子部が発振回路素子と電気的に接続されている。すなわち、圧電振動子に設けられていた従来の実装端子の代わりに、基板に実装端子部を設け、基板の上面に、この実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を形成することで、パッケージの外側において、実装端子部と発振回路素子と外部端子部とを電気的に接続できる。したがって、従来のように電極膜をパッケージ内で引き回して、開口端面に電極パッドを設けなくても、実装端子部と発振回路素子と圧電振動子を電気的に接続することができる。
かくして、小型化に対応するとともに、汎用性のある圧電振動子を利用して、製造コストを抑えた圧電発振器を提供することができる。
【0010】
第2の発明によれば、第1の発明の構成において、前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記外部端子部が向くようにして固定され、前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記蓋体の上面に固定され、前記基板は、前記外部端子部と対向する位置に形成されるとともに、この位置から周縁に向かって延伸された接続用端子部を有し、この接続用端子部および前記導電用端子部が前記発振回路素子とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明の構成によれば、圧電振動子は、基板の上面に外部端子部が向くようにして固定されるが、基板は、外部端子部と対向する位置に形成されるとともに、この位置から周縁に向かって延伸された接続用端子部を有する。このため、圧電振動子の外部端子部は、基板の周縁の接続用端子部と電気的に接続されている。そして、この接続端子部および実装端子部と接続された導電用端子部が、発振回路素子とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている。このため、従来のように電極をパッケージ内で引き回したり、開口端面に電極パッドを設けたりすることなく、実装端子部と発振回路素子と圧電振動子とを電気的に接続できる。
【0012】
第3の発明によれば、第1の発明の構成において、前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記蓋体が対向するようにして固定され、前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記外部端子部が設けられた面に固定され、前記外部端子部および前記導電用端子部とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明の構成によれば、圧電振動子は基板の上面に、蓋体が対向するようにして固定されている。また、発振回路素子は、圧電振動子の外部端子部が設けられた面に固定されている。そして、発振回路素子は、圧電振動子の外部端子部、および実装端子部と電気的に接続された導電用端子部と、ワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている。このため、圧電振動子と発振回路素子、発振回路素子と実装端子部とは、それぞれ電気的に接続されている。したがって、電極をパッケージ内で引き回したり、開口端面に電極パッドを設けたりすることなく、実装端子部と発振回路素子と圧電振動子とを電気的に接続できる。
さらに、第3の発明では、発振回路素子は、外部端子部が設けられた面に固定されているため、第2の発明で設けられた基板上の接続用端子部を利用しなくても、外部端子部と発振回路素子とを直接ワイヤボンディングでき、また、第2の発明に比べて、外部端子部と発振回路素子との距離が短くなり、浮遊容量も小さくできる。
【0014】
第4の発明によれば、第3の発明の構成において、前記基板は、前記蓋体と対向する領域に孔が形成されていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、基板は、蓋体と対向する領域に孔が形成されているので、その基板の孔に蓋体が挿入され、挿入された蓋体の厚みの分について、圧電発振器の低背化が可能となる。
【0015】
第5の発明によれば、第1ないし第4の発明のいずれかの構成において、前記基板は、前記圧電振動片の動作を制御する信号を前記発振回路素子に書き込むための制御用端子部を上面に有し、この制御用端子部と前記発振回路素子とがワイヤボンディングにより接続されていることを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、圧電振動片の動作を制御する信号を発振回路素子に書き込むための制御用端子部は、基板の上面に設けられているので、従来のように電極をパッケージ内で引き回して、例えば側面に露出することなく形成でき、制御端子部を有する圧電発振器であっても、汎用性のある圧電振動子を用いることができる。
【0016】
第6の発明によれば、第5の発明の構成において、前記制御用端子部と電気的に接続された書込み端子が、基板の底面に形成されていることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、制御用端子部と電気的に接続された書込み端子が、基板の底面に形成されているため、主に実装端子部しか設けらておらず、面積的に余裕のある底面に、書込み端子を大きく形成できる。したがって、例えば、書き込み時のプローブピンのコンタクトミスを低減して歩留まりを向上できる。
【0017】
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかの構成において、前記圧電振動子の表面であって、前記発振回路素子の端子部とこの端子部と電気的に接続されるべき前記外部端子部及び/又は前記基板上の端子との間には、電極パターンが設けられていることを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、圧電振動子の表面であって、発振回路素子の端子部とこの端子部と電気的に接続されるべき外部端子部及び/又は基板上の端子との間には、電極パターンが設けられている。このため、各端子の配置上、ボンディングワイヤの引き回しが困難な場合であっても、例えば、発振回路素子の端子部と電極パターンをワイヤボンディングし、電極パターンと制御端子部とをワイヤボンディングするなどして、電極パターンを利用してボンディングワイヤを引き回せる。したがって、各端子間におけるボンディングワイヤの引き回しが容易になる。
なお、第7の発明の圧電振動子は、表面に電極パターンが設けられているため、厳密にいうとこの完成された圧電振動子の姿は汎用品ではない。しかし、電極パターンは圧電振動子の表面に設けられているため、汎用性のある圧電振動子の表面に、後から電極パターンを形成すれば、汎用性の圧電振動子を利用できる。また、汎用性のある圧電振動子の表面に後から電極パターンを形成しない場合であっても、電極パターンは、従来のようにパッケージ内を引き回されるわけではないので、従来に比べて製造コストは安価で、また、小型化にも対応できるため、第1ないし第6の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0018】
第8の発明は、第7の発明の構成において、前記圧電振動子は、その表面に、厚み方向に沿うように導電体が設けられており、この導電体を通じて、前記発振回路素子の端子部と前記基板上の端子との間に設けられた前記電極パターンが、前記基板上の端子と電気的に接続されていることを特徴とする。
第8の発明の構成によれば、圧電振動子は、その表面に、厚み方向に沿うように導電体が設けられており、この導電体を通じて、発振回路素子の端子部と基板上の端子との間に設けられた電極パターンが、基板上の端子と電気的に接続されている。このため、電極パターンと発振回路素子の端子部とをワイヤボンディングすれば、発振回路素子の端子部は、電極パターンおよび導電体を介して、基板上の端子と電気的に接続されることになる。したがって、圧電振動子と基板との間に、ボンディングワイヤを引き回すスペースが不要となって、圧電発振器を小型化できる。
【0019】
第9の発明によれば、第1ないし第8の発明のいずれかの構成において、前記基板の前記圧電振動子が固定される領域は凹状となっていることを特徴とする。
第9の発明の構成によれば、基板の圧電振動子が固定される領域は凹状となっている。このため、この凹状が圧電振動子を基板に配置する際のガイドとなり、容易に圧電振動子を配置できる。
また、圧電振動子が固定される領域を凹状にすることで、基板には、凹状の底面よりも一段高くなる部分が形成されるため、その一段高くなった部分に、例えば接続用端子部や導電用端子部を配置することができる。そうすると、他の実施形態と比べて、例えば接続用端子部や導電用端子部が発振回路素子に近づいて、容易にボンディングワイヤをうつことができる。さらに、圧電振動子を基板に接続する際の接着剤が、例えば接続用端子部や導電用端子部に流れ込むことを防止して、ワイヤボンディングの接続不良を防止できる。
【0020】
第10の発明によれば、第9の発明の構成において、前記凹状の一部は、段部を有さないように形成されていることを特徴とする。
第10の発明の構成によれば、凹状の一部は、段部を有さないように形成されているため、基板には、凹状の内壁に囲まれずに水平方向に開放された領域が形成される。このため、この開放された領域を各電子部品の搭載スペースとして有効に活用することができ、例えば、凹状の内壁に囲まれた領域だけでなく、この開放された領域も使って圧電振動子を効率よく搭載して、圧電発振器の小型化に貢献できる。
【0021】
第11の発明によれば、第9または第10の発明のいずれかの構成において、前記基板に一対の側壁部を設けることで、前記凹状が形成されるようになっており、前記側壁部は、高さ方向について、その端面の位置が前記発振回路素子の端子部の位置と略同じであることを特徴とする。
第11の発明の構成によれば、基板に一対の側壁部を設けることで、凹状が形成されているので、凹状の一部は段部を有さないようになっており、第10の発明と同様の作用効果を発揮する。
そして、側壁部は、高さ方向について、その端面の位置が発振回路素子の端子部の位置と略同じである。したがって、側壁部の高さ方向の端面に、例えば接続用端子部や導電用端子部を配置して、この端子と発振回路素子の端子部とをワイヤボンディングすれば、第9および第10の発明に比べて、ボンディングワイヤをより短くすることができる。
【0022】
第12の発明によれば、第1ないし第11の発明のいずれかの構成において、前記基板及び/又は前記圧電振動子の表面には、前記発振回路素子と電気的に接続された端子部が設けられていることを特徴とする。
第12の発明の構成によれば、基板及び/又は圧電振動子の表面には、発振回路素子と電気的に接続された端子部が設けられているので、この端子部に発振回路素子以外の電子部品を接続すれば、その電子部品と前記発振回路素子とを電気的に接続することができる。
【0023】
第13の発明によれば、第1ないし第12の発明のいずれかの構成において、前記実装端子部の一部に、有底の孔が形成されていることを特徴とする。
第13の発明の構成によれば、実装端子部の一部に、有底の孔が形成されている。このため、圧電発振器を実装する際の実装基板と実装端子とを接続する半田等が、有底の孔の内面に付着してフィレットを形成し、接合強度が向上する。
【0024】
また、上記目的は、第14の発明によれば、蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部と、前記外部端子部と対向する位置に形成するとともに、この位置から周縁に向かって延伸した接続用端子部とを形成する基板形成工程と、前記基板の上面に前記圧電振動子を接続するマウント工程と、前記蓋体に前記発振回路素子を接続固定する素子固定工程と、前記発振回路素子と前記導電用端子部および接続用端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程とを備え、前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部と接続用端子部を形成し、次いで、前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する圧電発振器の製造方法により達成される。
【0025】
第14の発明の構成によれば、平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、基板の上面には、実装端子部と電気的に接続された導電用端子部と、外部端子部と対向する位置に形成するとともに、この位置から周縁に向かって延伸した接続用端子部とを形成する基板形成工程と、基板の上面に圧電振動子を接続するマウント工程と、蓋体に発振回路素子を接続固定する素子固定工程と、発振回路素子と導電用端子部および接続用端子部とを、それぞれワイヤボンディングするボンディング工程とを備えている。
このため、パッケージの狭い空間内に圧電振動片と発振回路素子とを一緒に収容しなくてもすみ、小型化されても製造が容易となる。さらに、従来のように電極をパッケージ内で引き回したり、開口端面に電極パッドを設けたりしなくても、実装端子部と発振回路素子と外部端子部とを電気的に接続でき、汎用性のある圧電振動子を用いて圧電発振器をつくることができる。
そして、基板形成工程において、基板には、複数の圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部と接続用端子部を形成し、複数の圧電発振器に対応して、マウント工程と素子固定工程とボンディング工程と封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断するようにしているので、一度の製造工程で、複数の圧電発振器を製造することができる。
【0026】
また、上記目的は、第15の発明によれば、蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を形成する基板形成工程と、前記圧電振動子を基板の上面に前記蓋体が対向するようにして接続するマウント工程と、前記発振回路素子を前記パッケージの前記外部端子部が設けられた面に固定する素子固定工程と、前記発振回路素子と前記導電用端子部および外部端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程とを備え、前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部を形成し、前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する圧電発振器の製造方法により達成される。
【0027】
第15の発明の構成によれば、平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、基板の上面には、実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を形成する基板形成工程と、圧電振動子を基板の上面に蓋体が対向するようにして接続するマウント工程と、発振回路素子をパッケージの外部端子部が設けられた面に固定する素子固定工程と、発振回路素子と導電用端子部および外部端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程とを備えている。
このため、第14の発明と同様に、パッケージの狭い空間内に圧電振動片と発振回路素子とを一緒に収容しなくてもよく、小型化されても製造が容易となる。また、第14の発明と同様に、電極をパッケージ内で引き回したり、開口端面に電極パッドを設けたりすることなく、実装端子部と発振回路素子と外部端子部とを電気的に接続でき、汎用性のある圧電振動子を用いて圧電発振器をつくることができる。
さらに、圧電振動子を基板に蓋体が対向するように固定することで、発振回路素子をパッケージの外部端子部を設けた面に固定できるようになったため、基板に接続用端子部を設けなくても、外部端子部と発振回路素子とをワイヤボンディングできる。
また、外部端子部と発振回路素子はパッケージの同一面に設けるので、第14の発明に比べて、外部端子部と発振回路素子との距離が短くなり、浮遊容量も小さくできる。
そして、基板形成工程において、基板には、複数の圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部を形成し、複数の圧電発振器に対応して、マウント工程と素子固定工程とボンディング工程と封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断するようにしているので、一度の製造工程で、複数の圧電発振器を製造することができる。
【0028】
第16の発明は、第14または第15の発明のいずれかの構成において、前記基板形成工程において、前記基板に貫通孔を形成して、この貫通孔内に導電部材を充填し、この導電部材を介して前記実装端子部と前記導電用端子部とを電気的に接続することを特徴とする。
第16の発明の構成によれば、基板形成工程において、基板に貫通孔を形成して、この貫通孔内に導電部材を充填し、この導電部材を介して実装端子部と導電用端子部とを電気的に接続する。このため、基板形成工程より後の封止工程において、例えば金型のキャビティ内に樹脂を注入する際、実装端子部と導電用端子部とを電気的に接続するための貫通孔は、導電部材を充填して塞がっている状態にあるので、樹脂が貫通孔を通って、所望しない位置に流れ出してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1ないし図3は、本発明の圧電発振器の第1の実施の形態を示しており、図1はその概略分解斜視図、図2はその概略平面図、図3は図2のA−A線概略切断端面図である。尚、理解の便宜のため、図1および図2では、後述する樹脂モールド部を図示せず、また、図1および図3では、ボンディングワイヤを図示していない。
図において、圧電発振器30は、圧電振動片を収容した圧電振動子35と、発振回路を構成するための発振回路素子として、例えば半導体素子であるICチップ50とを備えている。
【0030】
圧電振動子35には、汎用性のある製品が用いられており、ここでは、蓋体32で封止されたパッケージ36内に圧電振動片37を収容した所謂表面実装型の圧電振動子35が用いられている。
パッケージ36は、図1および図3に示すように、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成され、一部の基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S1を有しており、開口された矩形の箱状に形成されている。
この内部空間S1が、圧電振動片37を収容する空間となる。
すなわち、図3に示されているように、パッケージ36の内側底部の左端部付近において、内部空間S1に露出するように、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した電極部40が設けられている。この電極部40は、図面には表れないが、図2におけるパッケージ36の幅方向(図において上下の方向)の両端付近に同じ形態で、それぞれ形成されている。
【0031】
図3の電極部40は、パッケージ36内を引き回されて、図1および図3に示すパッケージ36の底面36aに設けられた外部端子部42と接続されている。同様にして、上述した図示されない他方の電極部は、パッケージ36の底面36aに設けられた図1に示す外部端子部43と接続されている。
この電極部40と他方の図示しない電極部は、後述するようにしてICチップ50と電気的に接続されて、圧電振動片37に駆動電圧を供給するものである。すなわち、図3に示されているように、この電極部40の表面に導電性接着剤45が塗布され、この導電性接着剤45に、圧電振動片37の表面に設けられた引出し電極部47が載置されて、導電性接着剤45が硬化されることで接合されている。尚、図3で示されていない他方の電極部にも同様に導電性接着剤が適用されて、圧電振動片37の駆動用の引出し電極部48(図1参照)と接合されている。
尚、導電性接着剤45としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、シリコーン系、エポキシ系またはポリイミド系導電性接着剤等を利用することができる。
【0032】
圧電振動片37は、例えば水晶で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができ、例えば、水晶ウエハを定められた方向に沿って、矩形にカットした所謂ATカット振動片や、音叉型の振動片を用いることができる。本実施形態の場合、圧電振動片37は、図1に示すように、その表面に駆動用の電極としての励振電極と、この励振電極に接続され、圧電振動片37の接合端に引き出して形成した、上記引出し電極47,48とが設けられたATカット振動片を用いている。
【0033】
蓋体32は、圧電振動片37を内部空間S1内で気密に封止するためのものであり、この実施形態では、板状の蓋体を用いている。蓋体32は、ロウ材を使用して、パッケージ36の開口端に固定することで封止している。
本実施形態において、蓋体32には、導体金属、例えば、金属系のFe−Ni−Coの合金等が用いられ、図1および図3に示すように、シールリング33によりパッケージ36と接合されている。そして、パッケージ36の底面36aに露出して形成されるとともに、圧電振動片37と電気的に接続されていないダミー端子部44と、導電部41を通じて接続されている。そして、本実施形態では、後述する構造により、ダミー端子部44を用いて蓋体32をアース接地することで、マザーボード等から受けるノイズの影響を抑制している。
【0034】
次に、発振回路素子としてのICチップ50は、内部に図示しない集積回路で形成した発振回路を収容したものである。このICチップ50は、パッケージ36の外部端子部42,43が設けられた面とは異なる面に固定されている。本実施形態では、外部端子部42,43が設けられた面と反対の面にある蓋体32の上面であって、その中心付近に例えば、エポキシ系やシリコーン系の接着剤を用いて固定されている。
ICチップ50の蓋体32との接合面と反対の面には、いくつかの端子部が設けられており、図1および図2では、端子部51aないし51jの10個の端子部が、ICチップ50の周縁に沿うように露出している。ICチップ50の端子部の数は、ICチップの種類によりこれよりも多い場合も少ない場合もあるのは勿論である。例えば、この実施形態では、ICチップ50の端子部51a,51jは、後述するように、圧電振動子35と接続される端子である。端子部51b,51e,51iは、後述するように、実装端子部と接続された発振回路の入出力端子である。端子部51c,51d,51g,51hは、発振回路にデータを書き込むための端子である。端子部51fはグランド端子である。
【0035】
ここで、このようにICチップ50を搭載した圧電振動子35は、図1ないし図3に示されるように、基板60の上面のほぼ中央付近に、外部端子部42,43、及びダミー端子部44を有する底面36aが向くようにして固定されている。
基板60は、圧電発振器30をマザーボードに実装するための実装端子部62とICチップ50と圧電振動子35とを電気的に接続するためのものであって、例えばタングステンメタライズ上にニッケル、金メッキで形成した電極パターンが印刷された平板である。
すなわち、基板60は、セラミックやエポキシ樹脂などの絶縁材料を、圧電振動子35の外形よりも若干大きめに平板状にしてなり、図1に示されるように、四隅に、平面視において1/4円でなるキャスタレーション部61が形成されている。このキャスタレーション部61は、後述するように、基板60製作時に、複数の圧電振動子を固定できる大きさの基板を個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の、切断線の交差個所に形成した案内となる円形のスルーホールやビアホールに基づき形成されるものである。
【0036】
また、基板60は、底面の四隅付近に実装端子部62を有している(なお、図1では作図の関係上、四隅のうち1つの端子部を図示していない。)。この四隅付近の実装端子部62は、四隅のキャスタレーション部61の表面に設けられた導電パターンを介して、基板60の上面周縁の四隅付近に設けられた導電用端子部63a,63b,63c,63dと、それぞれ電気的に接続されている。
そして、導電用端子部63aは上述したICチップ50の端子部51bと、導電用端子部63bは端子部51eと、導電用端子部63cは端子部51fと、導電用端子部63dは端子部51iと、それぞれ金線等でワイヤボンディングされている。
なお、導電用端子部63cは、図1に示すように、基板60上面を引き回されて、圧電振動子35を載置した際のダミー端子部44と対向する位置にまで延伸され、蓋体32をアース接地できるようにしている。
【0037】
また、基板60は、その上面であって圧電振動子35が載置されていない周縁領域に、圧電振動片37の動作を制御する信号をICチップ50に書き込むための複数の制御用端子部64を有している。すなわち、この複数の制御用端子部64は、ICチップ50の端子部51c,51d,51g,51hと、それぞれ金線等でワイヤボンディングされて導通可能となっており、本実施形態の制御用端子部64では、ICチップ50に温度補償用のデータを書き込んで、圧電振動片37の特性に対応した温度補償を行うようになっている。
【0038】
そして、基板60は、その上面に接続用端子部65,65が形成されている。この接続用端子部65,65は、圧電振動子35とICチップ50とを電気的に接続するための端子である。すなわち、接続用端子部65,65は、図1に示すように、圧電振動片37と電気的に接続された外部端子部42,43と対向する位置に形成された65a,65aの部分を有するとともに、この65a,65aの位置から周縁に向かって延伸された65b,65bの部分を有している。この65b,65bの部分は、圧電振動子35を基板60に固定した際に、パッケージ36の底で隠れてしまう65a,65aの部分を、パッケージ36の側面より外側に露出するための延伸部であって、ICチップ50の端子部51a,51jと金線等でワイヤボンディングされている。
【0039】
そして、圧電発振器30は、図3に示すように、基板60の底面四隅に設けられた実装端子部62を除き、少なくとも導通可能な部分が樹脂66で封止されている。すなわち、樹脂66は、電気的に導通可能な部分である各端子やワイヤボンディングの金線等を絶縁するものである。本実施形態では、導通可能な部分を絶縁するとともに内部構造を保護するため、基板60の底面が露出するようにして、全体が樹脂66で封止されている。また、樹脂66は、成形性や絶縁性に優れた合成樹脂として、例えば、エポキシ系の樹脂を成形型内に射出して、図示するように成形することで形成されている。
【0040】
本実施形態は以上のように構成されており、次に、圧電発振器30の製造方法について説明する。
図4は、圧電発振器30の製造工程の一例を簡単に説明するためのフローチャートである。
図において、先ず、圧電振動子と、ICチップと、圧電振動子を搭載する基板とを、別々に用意する。
【0041】
すなわち、圧電振動子は、複数個の汎用性のある圧電振動子を用意する。具体的には、図1ないし図3において詳しく説明したいわゆる表面実装型の圧電振動子35と同じものであって、例えばセラミック製のパッケージの表面に外部端子部42,43を形成し、圧電振動片37を接合後に蓋体32で気密に封止して、その振動周波数等に関して必要な検査を終えた圧電振動子を複数用意する(ステップ1−2)。
ICチップは、発振回路を内蔵した半導体素子であり、市販の決められたタイプのものに限らず、注文生産により製造したものでもよく、ここでは、図1ないし図3で既に説明したタイプのものを用意する(ステップ1−3)。
【0042】
そして、基板については、図5に示すように、複数の圧電振動子を搭載できる大きさの平板状の基板60−1を用意し、この基板60−1に搭載すべき複数の圧電振動子に対応した電極パターンを形成する(ステップ1−1:基板形成工程)。
すなわち、セラミックやエポキシ樹脂などの絶縁材料を、複数の圧電振動子を固定するための大きさに成型し、後述するステップ6及びステップ8の切断の工程において個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の縦の切断線C1,C1,・・・と横の切断線C2,C2,・・・の交差個所に、貫通した円形のビアホールを含むスルーホール(以下、「スルーホール」という)60a,60a,60a,・・・を形成する。
また、基板60−1については、完成後の基板60(図1参照)に相当する領域と、この領域と隣の完成後の基板60に相当する領域との間であって、制御用端子部64を形成する側に、完成後には切り取られている切取り領域D2を設けておく。この切取り領域D2は、後で詳細に説明するが、完成後の制御用端子部64に相当する電極と接続されている電極を形成する領域であって、樹脂封止後であっても、ICチップにデータを書き込むことができるようにした領域である。
【0043】
そして、基板60−1に、複数の圧電振動子を搭載すべき各々の位置に対応させて、電極パターンを例えばメタライズ印刷する。
具体的には、基板60−1の底面(図5の裏面)に、各スルーホール60aの切取り領域D2を除く周囲であって、各スルーホール60aの円弧に沿うようにして完成後の実装端子部62(図1参照)に相当する電極パターン(図示せず)を形成する。また、基板60−1の上面(図5の表面)についても、各スルーホール60aの切取り領域D2を除く周囲であって、各スルーホール60aの円弧に沿うようにして完成後の導電用端子部63a,63b,63c,63dに相当する電極パターン63を形成する。
この際、基板60−1底面の各スルーホール60aの周りにある電極パターン(図示せず)と基板60−1上面の各電極パターン63とをそれぞれ接続するため、図1に示したキャスタレーション部61の表面の導電パターンを形成する。この導電パターンは、例えば、スルーホール60aの開口部をふさぐように導電ペーストを塗布し、基板の底面側から貫通孔内を吸引することで、この導電ペーストをスルーホール60aの内壁に塗布して乾燥させるようにして形成する。
【0044】
また、基板60−1の上面については、圧電振動子を搭載する領域以外の領域に、切取り領域D2をまたがるようにして、電極パターン64a,64a,・・・を形成する。この電極パターン64a,64a,・・・のうち、切取り領域D2以外に配置されている部分は、完成後には各制御用端子部64となる。
また、基板60−1の上面に、複数の圧電振動子を搭載する際、複数の圧電振動子の外部端子部(図1に示す符号42,43の端子)のぞれぞれと対向する位置に電極パターン65a−1,65a−1,・・・を形成するとともに、この電極パターン65a−1,65a−1,・・・の位置から圧電振動子を搭載する領域以外の領域に延伸した電極パターン65b−1,65b−1,・・・を形成する。これらの電極パターン65a−1,・・・,及び65b−1,・・・は、完成後に接続用端子部65となる。
【0045】
次いで、複数の圧電発振器に対応して、以降の工程を行う。
まず、図6に示すように、基板60−1の上面に、ステップ1−2で用意した複数の汎用性のある圧電振動子35a,35a,・・・を接続する。なお、図6では、理解の便宜上、圧電振動子35aは輪郭のみ図示している。すなわち、複数の圧電振動子35aの外部端子部(図1に示す符号42,43の端子)が、基板60−1の上面に設けた電極パターン65a−1,65a−1,・・・のそれぞれに対向するようにして接続する(ステップ2:マウント工程)。
その後、各圧電振動子35aの蓋体(図1ないし図3の符号32を参照)の上面に、ステップ1−3で用意したICチップをエポキシ系やシリコーン系の接着剤を用いて接続固定し(ステップ3:素子固定工程)、複数のICチップと基板60−1上の複数の電極パターン65b−1,64a,63とを、図3に示すように、それぞれ金線などでワイヤボンディングする(ステップ4:ボンディング工程)。
【0046】
そして、図7に示すように、ボンディングワイヤ等の保護や、各電極パターン間等の絶縁を目的とし、例えばエポキシ系の合成樹脂66aを成形型内に射出して、全体を封止する(ステップ5:封止工程)。この際、この封止工程では、隣接する完成後の基板60(図1参照)と基板60との間に形成されている切取り領域D2には、樹脂66aは塗布しない。また、少なくとも完成後に実装端子部となる電極パターンを樹脂66aで封止してはならない。なお、上述した各部品の保護や絶縁効果を得ることができれば、例えば、本実施形態のように、基板60−1の底面を全て外部に露出させてもよい。
【0047】
次いで、隣接する完成後の基板60(図1参照)と基板60との間に形成されている切取り領域D2をまたがるように形成した各電極パターン64aを、図7に示す切断線C3に沿って基板60−1とともに切断する。なお、この際、縦の切断線C1,C1,・・・に沿って基板60−1を切断し、大まかに個々の圧電発振器に個片化する(ステップ6)。
そして、樹脂封止されておらず、外部に露出した電極パターン64aにプローブをあて、ICチップに温度補償用のデータを書き込んで、圧電振動子の特性に対応した温度補償を行う(ステップ7)。ここで、圧電振動片の特性は製造する圧電振動子ごとに異なっているため、温度補償用のデータは製造する各圧電発振器毎に異なるが、上述のステップ6で、基板60−1は既に個片化しているので、各圧電振動子毎の特性を把握して、各圧電振動子の特性に応じた温度補償が可能となる。
その後、図6に示す横の切断線C2,C2,・・・に沿って基板60−1を切断することで圧電発振器の形を整え(ステップ8)、検査をして完成させる。
【0048】
なお、図4ないし図7に示す製造方法では、複数の圧電振動子35を縦横方向に並べて載置することができる大きさを有する一枚の基板60−1を用意して、圧電発振器30を製造している。この点、例えば、図8に示すように、基板については、圧電発振器を一列にのみ連続してつくれる大きさにし、完成後の制御用端子部64に相当する複数の電極パターン64bの各々にリードフレーム67の一方の端部を接続し、このリードフレーム67の他方の端部の各々に、他に列をなしている基板上の電極パターン64bを接続して、図4ないし図7に示す製造方法と同様に、一度に多数の圧電発振器を製造できるようにしてもよい。
【0049】
また、図4ないし図7に示す製造方法では、電極パターン64aに温度補償用のデータ等を書き込む際にプローブをあてる必要があるため、図7の切取り領域D2には、樹脂66aは塗布しないように、表面に凹凸が形成された樹脂型を用いて樹脂成型する必要がある。そこで、このような複雑な樹脂型を用いずに、単純な樹脂型を用いて製造方法について以下に詳述する。
【0050】
図9(a)は基板60−1の圧電振動子、ICチップ等が搭載される側の平面図、図9(b)は、基板60−1の実装端子が形成される側の平面図である。また、図10は、図9の基板60−1にICチップを搭載した圧電振動子を載置して樹脂モールドし、図9のJ−J線の位置で切断した場合の概略切断断面図である。
図9(a)に示すように、基板60−1の樹脂成型される面に設けられた各電極パターン64aは、切取り領域D2に設けられていない。そして、この各電極パターン64aは、各スルーホール112を介して、図9(b)に示す実装面側に形成された各電極パターン64cと電気的に接続されている。この各電極パターン64cは、切取り領域D2に形成されており、個片化された後は(完成後には)、実装端子となる部分62aには配置されないようになっている。
【0051】
このような基板60−1に、図10のようにICチップ50aを搭載した圧電振動子35aを載置して、各ICチップ50aと各電極パターン64aとをボンディングワイヤ76によって電気的に接続する。次に、基板60−1に樹脂66aを形成した後、図9および図10に示す切断線C1およびC3の位置で切断して個片化する。この個片化された切取り部を有する圧電発振器は、図10に示すように、温度補償用のデータ等の書き込みに用いる電極パターン64cが、切取り領域D2の実装面側の外部に露出している状態となる。そして、この外部に露出した電極パターン64cにプローブ等を接触させ、温度補償用のデータ等を書き込んだ後、各切断線C2に沿って基板を切断し、検査を行って圧電発振器を完成させる。
【0052】
このような製造方法によれば、樹脂封止された電極パターン64aは、スルーホール112を介して実装面側の外部に露出した電極パターン64cと接続されているので、基板60−1の圧電振動子を載置する側の表面全体を樹脂モールドしても温度補償用のデータ等を書き込みできる。したがって、複雑な樹脂型を用いることなく、圧電発振器を製造できる。また、この製造時のみ用いる電極パターン64cは、切取り領域D2に設けるようにしたので、圧電発振器の実装面が小さく実装面に電極パターンを設けるスペースがなくても書き込みが行える。そして、電極パターン64cは、切り取られて完成後には存在しないので、圧電発振器を実装基板へ実装する際に、実装端子との間で実装用の半田等によりショートしてしまう恐れもない。
【0053】
本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器30は以上のように構成されており、パッケージの内部空間S1内に圧電振動片37とICチップ50とを一緒にせず、ICチップ50は圧電振動子35の蓋体32の上面に載置されたため、小型化しても製造が容易で、かつ、ICチップ50の動作によって圧電振動片37に熱的影響を与えることがない。
さらに、圧電振動子35は、その外部端子部42,43の位置に対応させた接続用端子部65を有する基板60の上面に固定され、この接続用端子部65とICチップ50はワイヤボンディングされているので、パッケージ36内で電極を引き回すことなく、圧電振動子35とICチップ50とを接続することができる。また、基板60は、底面に実装端子部62を有するとともに、上面に実装端子部62と電気的に接続された導電用端子部63b、63dを有し、この導電用端子部63b、63dとICチップ50は各々ワイヤボンディングされているので、実装端子部62とICチップ50は電気的に接続される。したがって、汎用品としての圧電振動子35を利用して、実装端子部62とICチップ50と圧電振動子35とを電気的に接続させた圧電発振器を製造することができる。
【0054】
また、図1ないし図7では、一つのICチップ50を圧電振動子35の上面に固定しているが、必要であれば、ICチップ50以外の例えばコンデンサ等の電子部品を搭載してもよい。その際、圧電発振器の平面図であって、樹脂を透かして見た場合の図11に示すように、基板60の表面に、ICチップ50とワイヤボンディングにより電気的に接続された端子部68を設けるとよい。これにより、圧電振動子35の蓋体32の上面に電子部品69を固定できない場合であっても、端子部68に電子部品69を接続すれば、この電子部品69とICチップ50とを電気的に接続することができる。なお、図11の端子部68は、電子部品69の端子69aが導電用端子部63dと接続できるように配置されている。
【0055】
図12および図13は、本発明の第1の実施形態に係る第1の変形例の圧電発振器であって、図12は圧電発振器の製造方法について図5で説明した基板の変形例、図13は図12のE−E線切断断面図である。
これらの図において、図1ないし図11の圧電発振器30と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第1の実施形態に係る圧電発振器の変形例が、第1の実施形態と主に異なるのは、基板形成工程において、完成後の実装端子部62と電極パターン63a乃至63dとを電気的に接続する方法についてである。
【0056】
すなわち、本変形例では、基板形成工程(図4におけるステップ1−1)において、複数の圧電振動子を搭載できる平板状の基板60−2を用意し、この基板60−2に、円形のスルーホールなどでなる貫通孔80を形成する。この貫通孔80は、完成後の実装端子部62と導電用端子部63a乃至63dとを電気的に接続するための孔である。
具体的には、完成後の導電用端子部63a乃至63d(図1参照)に相当する電極パターン63、及び完成後の実装端子部62(図1参照)に相当する電極パターン62−1が形成される領域に、個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の切断線C1,C1・・・をまたがるようにして貫通孔80を形成する。
【0057】
そして、貫通孔80内に導電部材82を充填する。導電部材82は、完成後の実装端子部62と導電用端子部63a乃至63dとを電気的に接続でき、かつ、貫通孔80を塞ぐことができればよく、ここでは、パッケージ36との接合強度を加味して、タングステン(W)をメタライズし、その表面にニッケル(Ni)及び金(Au)をメッキして貫通孔80を塞ぐようにしている。
【0058】
また、より好ましくは、貫通孔80は、図13の変形例である図14に示されるように、個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の切断線C1,C1・・・の位置ではなく、この切断線C1,C1・・・からずらした位置に形成する。そして、完成後の実装端子部62(図1参照)の一部に有底の孔が形成されるように、底面の各電極パターン62−1を配置する領域であって、かつ、個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の切断線C1,C1・・・の位置に、有底の孔84を形成し、この有底の孔84の内面に、電極パターン62−1と一体に形成される電極を形成する。
【0059】
本第1の実施形態に係る第1の変形例は以上のように構成されており、このため第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。
また、完成後の実装端子部62と導電用端子部63a乃至63dとを電気的に接続するための貫通孔80には、導電部材82を充填しているため、貫通孔80はこの導電部材82で塞がれた状態となる。このため、基板形成工程より後の封止工程(図4のステップ5)において、例えば金型のキャビティー内に樹脂を注入した際、樹脂が貫通孔80を通過して、上面側から底面側に流れ出してしまうようなことを防止できる。
さらに、より好ましくは、図14では、貫通孔80の位置を切断線C1,C1・・・からずらし、代わりに切断線C1,C1の位置に有底の孔84を形成している。これにより、一度の製造工程で、複数の実装端子62の一部に、有底の孔を形成し、そして、圧電発振器を実装する際、実装基板と実装端子62とを接続する半田等が、この有底の孔の内面に付着してフィレットを形成し、接合強度を向上できる。
【0060】
図15は、本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例の圧電発振器130の概略縦断面図である。
この図において、図1ないし図14の圧電発振器30と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第1の実施形態の第2の変形例に係る圧電発振器130が、第1の実施形態と異なるのは、樹脂に周波数調整用の孔を設けた点である。
【0061】
すなわち、圧電振動子35のパッケージ36の開口端面には、低融点ガラス等のロウ材33を介して、光を透過するガラス等の材料で形成された蓋体32が接合されている。
そして、この蓋体32の表面と外部空間とを連通するようにして、樹脂66には直線状の貫通孔66cが形成されている。なお、ICチップ50はこの貫通孔66cを塞がないように配置されている。
【0062】
本第1の実施形態の第2の変形例は以上のように構成されており、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに、樹脂モールド後に、貫通孔66cを通じてレーザー光Lを圧電振動片37上の励振電極や錘等(図示せず)に照射することができ、このため、製造過程において圧電振動片37が熱等の応力を受けた場合であっても、質量削減方式により周波数を精度よく調整することができる。
【0063】
図16および図17は、本発明の圧電発振器の第2の実施形態であり、図16はその概略平面図、図17は概略分解図である。尚、図16および図17ともに、理解の便宜のため、第1の実施形態における図3で示した樹脂66を図示していない。
これらの図において、図1ないし図15の圧電発振器30,130と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第2の実施形態に係る圧電発振器70が第1の実施形態と主に異なるのは、圧電振動子35が逆さにされて基板60に接続固定されている点である。
【0064】
すなわち、圧電振動子35には第1の実施形態と同様に汎用性のある製品が用いられているが、図17に示すように、圧電振動子35は、基板60の上面に蓋体32が対向するようにして接続固定されている。
そして、このように蓋体32側を基板60に接続することで、外部端子部42,43が設けられた面が上方を向くように配置され、この外部端子部42,43が設けられた面と同じ面に、ICチップ50が接続固定できるようにされている。
また、ICチップ50が外部端子部42,43が設けられた面に固定されたことで、外部端子部42,43とICチップ50とは、圧電振動子35の同一面でワイヤボンディグされている。
【0065】
本発明の第2の実施形態は以上のように構成されており、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、さらに、第1の実施形態における基板60上の接続用端子部65を設けなくても、外部端子部42,43とICチップ50とを直接ワイヤボンディングできる。また、外部端子部42,43とICチップ50は圧電振動子35の同じ面に設けられているため、第1の実施形態に比べて、外部端子部42,43とICチップ50との距離が短くなり、ボンディングワイヤの長さを短くして浮遊容量も小さくできる。
【0066】
図18は第2の実施形態の第1の変形例であって、図16のF−F線の位置において切断した場合の概略切断断面図である。
この図において、図1ないし図17の圧電発振器30,70,130と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図18において、第2の実施形態の第1の変形例に係る圧電発振器90が、第2の実施形態と主に異なるのは、基板60は、蓋体32と対向する領域に孔86が形成されている点である。
【0067】
すなわち、図18において、圧電振動子35は、パッケージ36の開口端面36bの周縁に蓋体32が接合されず、開口端面36b側に段部が形成されるように蓋体35が接合されている。また、基板60は、蓋体32およびロウ材33の厚みと略同じか、或いはそれ以上の厚みを有している。
そして、図18において、基板60は、蓋体32と対向する領域に、厚み方向に貫通した貫通孔からなる孔86が形成されており、この孔86の周辺と、パッケージ36の開口端面36bの周縁とが接合されるようにして、蓋体32が孔86に挿入されている。
【0068】
本第2の実施形態の第1の変形例は以上のように構成されており、このため、基板60の孔86に蓋体32が挿入され、挿入された蓋体32の厚みの分について、圧電発振器90の低背化が可能となる。また、この孔86は、圧電振動子35を基板60に搭載する際のガイドともなる。
また、本第2の実施形態の第1の変形例の場合、蓋体32は外部に露出しているため、図18に示すように、製品下面からレーザー光Lを照射し、光を透過するガラス等の蓋体32を透過させて、質量削減方式により周波数調整できる。したがって、図15に示す第1の実施形態の第2の変形例のように、樹脂66に貫通孔66cを設けなくてもよい。
【0069】
なお、この孔86は、図18では貫通孔となっているが、図18の変形例である図19に示されるように、有底の孔であっても、孔がない場合に比べて低背化は可能となり、また、圧電振動子35を搭載する際のガイドとなる。そして、例えばパッケージ60の開口端面36bの周縁まで蓋体32が接合されるなどして、開口端面36bの周縁と基板60とを接合できない場合において(パッケージの側壁の位置が図19の点線の位置にある場合)、有底の孔86の底面と圧電振動子35とを接合することができる。
また、基板60の孔86が有底の孔の場合は、蓋体32の表面と外部空間とを連通するようにして、基板60に直線状の貫通孔60eを設け、この貫通孔60eを通じてレーザー光Lを圧電振動片上の励振電極や錘等(図示せず)に照射して、周波数調整をするようにしてもよい。
【0070】
図20ないし図22は、本発明の第2の実施形態に係る第2ないし第4の変形例についての概略平面図である。
これらの図において、図1ないし図19の圧電発振器30,70,90,130と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図20ないし図22において、第2ないし第4の変形例に係る圧電発振器が、第2の実施形態と主に異なるのは、圧電振動子の表面に、外部端子部とは別の電極パターンが設けられており、この電極パターンを介してワイヤボンディングされている点である。
【0071】
すなわち、図20ないし図22における圧電振動子35には、ICチップ50の端子部と、この端子部と電気的に接続されるべき外部端子部42,43、及び/又は基板上面の各端子63a〜63d,64との間に、電極パターンが設けられている。
具体的には、図20の第2の変形例に係る圧電発振器72−1では、圧電振動子35の外部端子部42,43が設けられた面に、外部端子部42に接続されるとともに、この外部端子部42と電気的に接続されるべきICチップ50の端子部51jの近傍まで延びた延伸部42aが設けられている。
【0072】
また、図21の第3の変形例に係る圧電発振器72−2では、圧電振動子35の外部端子部42,43が設けられた面に、ICチップ50の端子部(図示せず)の位置及び数に対応した複数の電極パターン42bが設けられており、これら複数の電極パターン42b上にICチップ50の端子部がフリップチップボンディングされている。そして、各電極パターン42bは、ICチップ50の端子部から、この端子部が電気的に接続されるべき基板60上の各端子に近づくように引き回されている。
また、図22の第4の変形例に係る圧電発振器72−3では、圧電振動子35の外部端子部42,43が設けられた面に、複数の電極パターン42cが形成されており、これらの各電極パターン42cとICチップ50の各端子部とがそれぞれワイヤボンディングされ、各電極パターン42cとICチップ50の各端子部が電気的に接続されるべき基板60上の各端子とがそれぞれワイヤボンディングされている。
【0073】
なお、図20ないし図22の圧電発振器72−1ないし72−3では、圧電振動子35に一つのICチップ50のみが接続固定されているが、必要であれば、ICチップ50以外の例えばコンデンサ等の電子部品を搭載してもよい。その際、例えば図20の圧電発振器72−1のさらなる変形例である図23に示されるように、圧電振動子35の表面に、ICチップ50とワイヤボンディングにより電気的に接続されるようにした端子部68,68を設けるとよい。これにより、端子部68,68に電子部品69を接続すれば、この電子部品69とICチップ50とを電気的に接続することができる。なお、図23では、端子部68,68のうちの一つは、導電用端子部63bとワイヤボンディングにより電気的に接続されるようになっている。
【0074】
また、図20ないし図22において形成した各電極パターン42a,42b,42cや各端子42,43,44等を厚目にメッキすることで、ICチップ50を圧電振動子35に接合する際にペースト状の接着剤が流れ出したとしても、接着剤が各電極あるいは各端子の表面に付着してしまうことを防止できる。なお、この際、各電極パターン42a,42b,42c等の他に、或いは代わりに、例えばスクリーン印刷で凸部を形成して接着剤の流れを制御するようにしても勿論よい。
【0075】
本発明の第2の実施形態の第2ないし第4に係る変形例は以上のように構成されており、このため、例えば市販されているICチップ50の端子部の配置により、ワイヤボンディングの引き回しが困難な場合であっても、圧電振動子35の表面に外部端子部42,43とは別の電極パターン42a〜42cが設けられているので、この電極パターン42a〜42cを利用して容易にワイヤボンディングできる。
なお、本第2の実施形態の各変形例では、圧電振動子35自体に電極パターン42a〜42cが設けられているため、厳密にいうとこの完成された圧電振動子の姿は汎用品ではない。しかし、電極パターン42a〜42cは圧電振動子35の表面に設けられているため、汎用性のある圧電振動子35の表面に、後から電極パターン42a〜42cを形成すれば、汎用品を利用できる。また、汎用性のある圧電振動子35の表面に後から電極パターン42a〜42cを形成しない場合であっても、電極パターン42a〜42cは、従来のようにパッケージ36内を引き回されるわけではないので、従来に比べて製造コストは安価で、また、小型化にも対応できるため、第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
図24および図25は、本発明の第2の実施形態に係る第4の変形例のさらなる変形例であって、図24はその概略平面図、図25は図24の特徴ある部分を拡大した斜視図である。
これらの図において、図1ないし図23の圧電発振器30,70,90,72−3,130と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図24および図25において、圧電発振器72−4が、第2の実施形態に係る第4の変形例と主に異なるのは、圧電振動子35の表面に設けられた電極パターンと基板上面の各端子との接続構造についてである。
【0077】
すなわち、圧電発振器72−4は、導電体88を通じて、電極パターン42d,42d・・・が基板上の端部付近に配置された端子63a〜63d,64と電気的に接続されている。
具体的には、図22に係る圧電発振器72−3と同様に、ICチップ50の端子部と、この端子部と電気的に接続されるべき基板上面の各端子63a〜63d,64との間に、複数の電極パターン42dを有し、これら複数の電極パターン42dとICチップ50の端子部とがそれぞれワイヤボンディングされている。
【0078】
そして、図25に示されるように、圧電発振器72−4は、圧電振動子35の側面に設けられた1/4円の凹状のキャスタレーションの内面に、厚み方向に沿うように導電体88を有し、この導電体88と電極パターン42dとが電気的に接続されている。
また、基板60は、導電用端子部63a〜63d、及び制御用端子部64の位置が、各導電体88の位置に、それぞれ合うように形成され、これら導電用端子部63a〜63d、及び制御用端子部64と各導電体88とが、例えば導電性接着剤や半田89によりそれぞれ接続されている。
【0079】
本発明の第2の実施形態に係る第4の変形例のさらなる変形例は以上のように構成されており、このため、各電極パターン42dとICチップ50の各端子部とをそれぞれワイヤボンディングすれば、ICチップ50の端子部は、各電極パターン42dおよび各導電体88を介して、基板上の各端子63a〜63d,64と電気的に接続されることになる。したがって、圧電振動子35と基板60との間に、ボンディングワイヤを引き回すスペースが不要となって、圧電発振器72−4を小型化できる。
【0080】
図26および図27は、本発明の圧電発振器の第3の実施形態であり、図26はその概略平面図、図27は図26のB−B線概略切断端面図である。尚、理解の便宜のため、図26では上述した各実施形態で説明した樹脂66は図示せず、また、図27では一部のボンディングワイヤを図示している。
これらの図において、図1ないし図7の圧電発振器30と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第3の実施形態に係る圧電発振器73が第1の実施形態と主に異なるのは、基板60に凹部が形成されている点である。
【0081】
すなわち、基板60の圧電振動子35が固定される領域は凹状60bとなっており、基板60の周縁は凹状60bよりも一段高い土手となっている。
そして、基板60の凹状60bの底面であって、外部端子部42,43(図1参照)と対向する位置には、接続用端子部65の一部分65aが設けられ、この65aの部分は、基板60内を引き回わされて、凹状60bより一段高い周縁に形成された接続用端子部65の一部分65bと接続されている。
また、基板60の凹状60bよりも一段高い周縁には、制御用端子部64や導電用端子部63a〜63dも配置されている。
【0082】
本発明の第3の実施形態は以上のように構成されており、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに、基板60の圧電振動子35が固定される領域は凹状60bとなっているため、この凹状60bが圧電振動子35を基板60に配置する際のガイドとなり、容易に圧電振動子35を配置できる。
また、ボンディングワイヤ74と接続される接続用端子部65の一部分65bは、基板の凹状60bの底面よりも一段高い周縁に配置され、かつ、圧電振動子35は凹状60bの領域に挿入されているため、接続用端子部65の一部分65bは、第1の実施形態よりもICチップ50に近づくことになる。したがって、ボンディングワイヤ74の引き下ろしの距離が短くなるため、ワイヤボンディングが容易になる。
さらに、圧電振動子35を基板60に固定する際の接着剤が、接続用端子部の一部分65bや制御用端子部64、導電用端子部63a〜63dに流れ込むことを防止して、ワイヤボンディングの接続不良を防止できる。
【0083】
図28は、本発明の第3の実施形態の第1の変形例に係る概略分解斜視図である。尚、この図では、理解の便宜のため、上述した各実施形態で説明した樹脂やボンディングワイヤは図示していない。
この図において、図1および図27の圧電発振器30,70,90,73等と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
本第3の実施形態の第1の変形例に係る圧電発振器92が第3の実施形態と主に異なるのは、基板60に設けられた凹部の形状についてである。
【0084】
すなわち、凹状60bの一部は、段部を有さないように形成され、内壁60cに囲まれずに水平方向(図28ではY方向)に開放された領域が形成されている。
具体的には、図28における基板60は、少なくとも圧電振動子35が固定される領域が凹状60bとなっており、周縁の長手方向(図28のY方向)に沿った2辺は、凹状60bの底面よりも一段高い土手60d,60dとなっており、短手方向(図28のX方向)に沿った2辺は段部を有さず、土手60d,60dが存在しない。
【0085】
そして、ワイヤボンディングされる端子、ここでは、接続用端子部65,65の部分65b,65b、導電用端子部63a,63b,63c,63d、制御用端子部64が、全て、凹状60bの底面ではなく、土手60d,60dに配置されている。
なお、接続用端子部65,65の外部端子部42,43と対向する位置に形成された65a,65aの部分は、それぞれ内壁60c,60cに延伸されて、土手60d,60dに設けられた65b,65bの部分と電気的に接続されている。また、ダミー端子44も、内壁60cに延伸されて、土手60dに設けられた導電用端子部63cと電気的に接続されている。
【0086】
本第3の実施形態の第1の変形例は以上のように構成されており、このため、第3の実施形態と同様の作用効果を発揮する。また、基板60には、内壁60cに囲まれずに水平方向(図28ではY方向)に開放された領域が形成され、この開放された領域を各電子部品の搭載スペースとして有効に活用することができる。これにより、例えば、図28の接続端子部65,65の65a,65aの部分が端部付近に配置されるようにY方向の長さを短くして、圧電振動子35を載置した場合は、第3の実施形態と比べて、圧電発振器92をY方向について小型化できる。また、この開放された領域にコンデンサ等の他の電子部品を搭載することも可能となる。
なお、図28では、基板は2辺について段部がない凹状が形成されているが、前記作用効果を発揮できれば、例えば、図29に示すように、基板60は2辺以上について段部がない凹状が形成されるなど、本変形例はこの形状に限られるものではない。
【0087】
図30ないし図32は、第3の実施形態の第2の変形例に係る圧電発振器132であって、図30は圧電発振器132の概略平面図、図31は図30のH−H線切断断面図、図32は圧電発振器132の概略底面図である。尚、この図では、理解の便宜のため、樹脂を透明にして、樹脂の中を透かして見ることができるように図示している。また、上述した各実施形態で説明したボンディングワイヤの一部を図示していない。
この図において、図1および図29の圧電発振器30,70,73,90,92等と同一の符号を付した箇所は共通の構成であるから、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0088】
本第2の変形例に係る圧電発振器132が第3の実施形態と主に異なるのは、圧電振動子35およびICチップ50の配置と、基板60に側壁部を設けたことである。
すなわち、圧電振動子35およびICチップ50の配置については、第2の実施形態と同様に、圧電振動子35は、外部端子部42,43が上方を向き、蓋体32が基板60の上面に対向するようにして、基板60に接続固定されている。そして、この外部端子部42,43が設けられた面と同じ面に、ICチップ50が接続固定されている。
【0089】
基板60は、短手方向の両端の上面に、一対の側壁部106,106が設けられて、圧電振動子35が固定される領域が凹状60bに形成されている。このようにして、基板60は、一対の側壁部106,106が設けられた方向(図30の短手方向)以外の方向(図30の長手方向)については、上述した第3の実施形態の第2の変形例のように段部を有さず、外部に向かって開放された領域となっている。
【0090】
ここで、この側壁部106,106は、高さ方向(図31の上下方向)について、その端面106a,106aの位置が、ICチップ50の端子部の位置と略同様となっている。具体的には、側壁部106の端面106aの位置は、圧電振動子106の外部端子部42,43が設けられた面の高さと、ICチップ50の端子部が設けられている面の高さとの間に配置されるようになっている。図31の側壁部106の端面106aの場合は、
圧電振動子106の外部端子部42,43が設けられた面と同じ高さになるように配置されている。そして、この側壁部106,106の高さ方向の端面106a,106aには、導電用端子部63bや制御用端子部64,64などが設けられ、これらの各端子部はICチップ50の端子部と金線等でワイヤボンディングされている。
【0091】
さらに、この制御用端子部64,64と電気的に接続された書込み端子104,104が、基板60の底面に形成されている。
具体的には、基板60の底面には、実装端子部62および書込み端子104のみが配置されており、実装端子部62は略四隅に、書込み端子104は長手方向の略中央部付近に配置されている。そして、この底面の書込み端子104は、基板60の側面(図31では側壁部106の側面および基板60の側面)の高さ方向に沿った溝内の導電パターン102を利用して、端面106a上の制御用端子部64と接続するようになっている。
【0092】
本発明の第3の実施形態の第2の変形例は以上のように構成され、このため、第3の実施形態およびその第1の変形例と同様の作用効果を発揮する。さらに、側壁部106は、高さ方向について、その端面106aの位置がICチップ50の端子部の位置と略同様とされ、端面106aに導電用端子部63b等を配置して、ICチップ50の端子部とワイヤボンディングされるようになっている。したがって、第3の実施形態およびその第1の変形例に比べて、よりボンディングワイヤを短くして浮遊容量も小さくできる。
また、制御用端子部64と電気的に接続された書込み端子104は、実装端子部62しか設けらておらず、面積的に余裕のある基板60の底面に形成されているため、書込み端子104を大きく形成できる。したがって、例えば、書き込み時のプローブピンのコンタクトミスを低減して歩留まりを向上できる。
【0093】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせ、または省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の圧電発振器の第1の実施の形態に係る概略分解斜視図。
【図2】本発明の圧電発振器の第1の実施の形態に係る概略平面図。
【図3】図2のA−A線概略切断端面図。
【図4】第1の実施の形態に係る圧電発振器の製造工程の一例を説明するためのフローチャート。
【図5】図4のステップ1−1を説明するための図。
【図6】図4のステップ2を説明するための図。
【図7】図4のステップ5およびステップ6を説明するための図。
【図8】第1の実施形態の圧電発振器の他の製造方法を説明するための図。
【図9】図9(a)は基板の圧電振動子、ICチップ等が搭載される側の平面図、図9(b)は、基板の実装端子が形成される側の平面図。
【図10】図9の基板にICチップを搭載した圧電振動子を載置して樹脂モールドし、図9のJ−J線の位置で切断した場合の概略切断断面図。
【図11】第1の実施形態の変形例に関する概略平面図。
【図12】圧電発振器の製造方法について図5で説明した基板の変形例。
【図13】図12のE−E線切断断面図。
【図14】図13の変形例に係る切断断面図。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る第2の変形例の圧電発振器の概略縦断面図。
【図16】本発明の圧電発振器の第2の実施形態に係る概略平面図。
【図17】本発明の圧電発振器の第2の実施形態に係る概略分解図。
【図18】第2の実施形態の第1の変形例であって、図16のF−F線の位置において切断した概略切断断面図。
【図19】図18の変形例に係る概略切断断面図。
【図20】本発明の第2の実施形態の第2の変形例における概略平面図。
【図21】本発明の第2の実施形態の第3の変形例における概略平面図。
【図22】本発明の第2の実施形態の第4の変形例における概略平面図。
【図23】図20の圧電発振器の変形例に係る概略平面図。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る第3・第4の変形例のさらなる変形例の概略平面図。
【図25】図24の特徴ある部分を拡大した斜視図。
【図26】本発明の圧電発振器の第3の実施形態に係る概略平面図。
【図27】図26のB−B線概略切断端面図。
【図28】本発明の第3の実施形態の変形例に係る概略分解斜視図。
【図29】本発明の第3の実施形態の変形例に係る基板の一例。
【図30】第3の実施形態の第2の変形例に係る圧電発振器の概略平面図。
【図31】図30のH−H線切断断面図。
【図32】第3の実施形態の第2の変形例に係る圧電発振器の概略底面図。
【図33】従来の圧電発振器の分解斜視図。
【符号の説明】
【0095】
30・・・圧電発振器、32・・・蓋体、36・・・パッケージ、50・・・発振回路素子(ICチップ)、60・・・基板、62・・・実装端子部、63a,63b,63c,63d・・・導電用端子部、65・・・接続用端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分が樹脂で封止されるようになっており、
前記実装端子部を底面に有する基板と、
この基板の上面に固定され、蓋体で封止されたパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続された外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、
前記パッケージの前記基板に実装する面と反対の面に固定され、発振回路を構成するための発振回路素子と
を備え、
前記基板は、その上面に、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を有し、
前記外部端子部および前記導電用端子部が、前記発振回路素子と電気的に接続されている
ことを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記外部端子部が向くようにして固定され、
前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記蓋体の上面に固定され、
前記基板は、前記外部端子部と対向する位置に形成されるとともに、この位置から周縁に向かって延伸された接続用端子部を有し、この接続用端子部および前記導電用端子部が前記発振回路素子とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記蓋体が対向するようにして固定され、
前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記外部端子部が設けられた面に固定され、前記外部端子部および前記導電用端子部とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記基板は、前記蓋体と対向する領域に孔が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記基板は、前記圧電振動片の動作を制御する信号を前記発振回路素子に書き込むための制御用端子部を上面に有し、この制御用端子部と前記発振回路素子とがワイヤボンディングにより接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記制御用端子部と電気的に接続された書込み端子が、前記基板の底面に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧電発振器。
【請求項7】
前記圧電振動子の表面であって、前記発振回路素子の端子部と、この端子部と電気的に接続されるべき前記外部端子部及び/又は前記基板上の端子との間には、電極パターンが設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項8】
前記圧電振動子は、その表面に、厚み方向に沿うように導電体が設けられており、この導電体を通じて、前記発振回路素子の端子部と前記基板上の端子との間に設けられた前記電極パターンが、前記基板上の端子と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項7に記載の圧電発振器。
【請求項9】
前記基板の前記圧電振動子が固定される領域は凹状となっている、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項10】
前記凹状の一部は、段部を有さないように形成されている、ことを特徴とする請求項9に記載の圧電発振器。
【請求項11】
前記基板に一対の側壁部を設けることで、前記凹状が形成されるようになっており、前記側壁部は、高さ方向について、その端面の位置が前記発振回路素子の端子部の位置と略同じであることを特徴とする請求項9または10に記載の圧電発振器。
【請求項12】
前記基板及び/又は前記圧電振動子の表面には、前記発振回路素子と電気的に接続された端子部が設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項13】
前記実装端子部の一部に、有底の孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項14】
蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、
平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部と、前記外部端子部と対向する位置に形成するとともに、この位置から周縁に向かって延伸した接続用端子部とを形成する基板形成工程と、
前記基板の上面に前記圧電振動子を接続するマウント工程と、
前記蓋体に前記発振回路素子を接続固定する素子固定工程と、
前記発振回路素子と前記導電用端子部および接続用端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、
前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程と
を備え、
前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部と接続用端子部を形成し、
次いで、前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する
ことを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項15】
蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの表面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、
平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を形成する基板形成工程と、
前記圧電振動子を基板の上面に前記蓋体が対向するようにして接続するマウント工程と、
前記発振回路素子を前記パッケージの前記外部端子部が設けられた面に固定する素子固定工程と、
前記発振回路素子と前記導電用端子部および外部端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、
前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程と
を備え、
前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部を形成し、
前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する
ことを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項16】
前記基板形成工程において、前記基板に貫通孔を形成して、この貫通孔内に導電部材を充填し、この導電部材を介して前記実装端子部と前記導電用端子部とを電気的に接続する、ことを特徴とする請求項14または15に記載の圧電発振器の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分が樹脂で封止されるようになっており、
前記実装端子部を底面に有する基板と、
この基板の上面に固定され、蓋体で封止されたパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続された外部端子部を前記パッケージの底面に有する圧電振動子と、
前記パッケージの前記基板に実装する面と反対の面に固定され、発振回路を構成するための発振回路素子と
を備え、
前記基板は、その上面に、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を有し、
前記外部端子部および前記導電用端子部が、前記発振回路素子と電気的に接続されている
ことを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記外部端子部が向くようにして固定され、
前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記蓋体の上面に固定され、
前記基板は、前記外部端子部と対向する位置に形成されるとともに、この位置から周縁に向かって延伸された接続用端子部を有し、この接続用端子部および前記導電用端子部が前記発振回路素子とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記圧電振動子は、前記基板の上面に前記蓋体が対向するようにして固定され、
前記発振回路素子は、前記圧電振動子の前記外部端子部が設けられた面に固定され、前記外部端子部および前記導電用端子部とワイヤボンディングによりそれぞれ接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記基板は、前記蓋体と対向する領域に孔が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記基板は、前記圧電振動片の動作を制御する信号を前記発振回路素子に書き込むための制御用端子部を上面に有し、この制御用端子部と前記発振回路素子とがワイヤボンディングにより接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記制御用端子部と電気的に接続された書込み端子が、前記基板の底面に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧電発振器。
【請求項7】
前記基板の前記圧電振動子が固定される領域は凹状となっている、ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の圧電発振器。
【請求項8】
前記凹状の一部は、内壁に囲まれずに水平方向に開放された領域を有することを特徴とする請求項7に記載の圧電発振器
【請求項9】
前記基板に一対の側壁部を設けることで、前記凹状が形成されるようになっており、前記側壁部は、高さ方向について、その端面の位置が前記発振回路素子の端子部の位置と略同じであることを特徴とする請求項7または8に記載の圧電発振器。
【請求項10】
蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの底面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、
平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部と、前記外部端子部と対向する位置に形成するとともに、この位置から周縁に向かって延伸した接続用端子部とを形成する基板形成工程と、
前記基板の上面に前記圧電振動子を接続するマウント工程と、
前記蓋体に前記発振回路素子を接続固定する素子固定工程と、
前記発振回路素子と前記導電用端子部および接続用端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、
前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程と
を備え、
前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部と接続用端子部を形成し、
次いで、前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する
ことを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項11】
蓋体で封止したパッケージ内に圧電振動片を収容し、この圧電振動片と電気的に接続した外部端子部を前記パッケージの底面に有する圧電振動子と、発振回路を構成するための発振回路素子とを備えた圧電発振器の製造方法であって、
平板状の基板を用意して、この基板の底面に実装端子部を形成し、前記基板の上面には、前記実装端子部と電気的に接続された導電用端子部を形成する基板形成工程と、
前記圧電振動子を基板の上面に前記蓋体が対向するようにして接続するマウント工程と、
前記発振回路素子を前記パッケージの前記外部端子部が設けられた面に固定する素子固定工程と、
前記発振回路素子と前記導電用端子部および外部端子部とを、それぞれワイヤボンディングにより接続するボンディング工程と、
前記実装端子部を除き、少なくとも導通可能な部分を樹脂で封止する封止工程と
を備え、
前記基板形成工程において、前記基板には、複数の前記圧電振動子を実装できる大きさの基板を用意するようにして、前記複数の圧電発振器に対応した実装端子部と導電用端子部を形成し、
前記複数の圧電発振器に対応して、前記マウント工程と前記素子固定工程と前記ボンディング工程と前記封止工程とを行った後に、個々の圧電発振器に切断する
ことを特徴とする圧電発振器の製造方法。
【請求項12】
前記基板形成工程において、前記基板に貫通孔を形成して、この貫通孔内に導電部材を充填し、この導電部材を介して前記実装端子部と前記導電用端子部とを電気的に接続する、ことを特徴とする請求項10または11に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項13】
前記基板形成工程において、前記実装端子部が形成される領域であって、前記個々の圧電発振器に対応した大きさに切断する際の切断線の位置に、有底の孔を形成することを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の圧電発振器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−50529(P2006−50529A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5606(P2005−5606)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】