説明

基板上への金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの形成方法

本出願は、基板上への金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの形成方法と、上記方法により作成されるパターンと、上記パターンの用法とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上への金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの形成方法と、上記方法により作成されるパターンと、上記パターンの用法とに関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、ソフトリソグラフィが、マイクロおよびナノ構造表面を化学的に製造する汎用技術にまで発達してきている[非特許文献1、2]。総合してソフトリソグラフィとして知られるいくつかの技術の中で、マイクロ接触プリント(micro contact printing:μCP)が最も一般的に用いられる方法となった[非特許文献1]。当初μCP技術は、分子の転写(transfer)のために開発されたものであり、金属の転写にも応用された[非特許文献3]。
【0003】
有機材料を金属と接触させる2つのソフトリソグラフィ方法、つまりナノ転写プリント(nanotransfer printing:nTP)[非特許文献4、特許文献1]およびソフト接触積層(soft‐contact lamination:ScL)[非特許文献5]がこれまでに開発されてきている。これらのソフトリソグラフィ方法は、複数のデバイスの並行製造に使用可能である。両方法を図1に概略的に示す。
【0004】
nTPの場合(図1a)、ポリジメチルシロクサン(polydimethilsiloxane:PDMS)をパターン化Siウェハ上にドロップキャスティングすることにより製造されたパターン化弾性スタンプ上に金属薄層が蒸着される。蒸着された金属層は、基板上の有機層と等角接触(conformal contact)する。金属−有機物インターフェースにおける化学結合形成の結果として、金属−有機物の付着は、金属−PDMSの付着よりも強く、金属層はPDMSスタンプから有機層上へ転写される。このプロセスは、いかなる追加気圧も加えずに、大気条件下で行われる。Au/アルカンジチオール/GaAsへテロジャンクション[非特許文献6]およびAu/メルカプトシラン/Siへテロジャンクション[非特許文献7]において、先端がAuである電極を製造することにより、かかるプロセスは実施されてきた。別のプロセスにおいては、金はシリコンウェハ上にパターン形成され、その後、選択されたポリマーへ、高圧(9〜30bar)且つ100℃と140℃との間の高温で転写される[非特許文献8]。
【0005】
ScLの場合、金属−有機物の付着は、ファンデルワールス相互作用に基づき、金属−PDMS相互作用よりも弱い。このようにこのプロセスでは、金属はPDMSから有機層へ転写されないが、PDMSはAu層に残り、PDMS/金属/有機物/基板ヘテロジャンクションとなる(図1b)。金属層は、シャドウマスク蒸着を用いて、非構造平坦PDMS層の表面上に作成される。このプロセスは、いかなる追加気圧も加えずに、大気条件で行われる[非特許文献9]。
【0006】
しかしながら、両プロセスは、50nmを下回る微小寸法(critical dimensions)までは縮小不可能である。ScLの場合、シャドウマスク蒸着技術を用いて金属構造が平坦スタンプ上に定められるため、プロセスの縮小は困難である。nTPの場合、転写に対する微小寸法は以下のスタンプの性質により制限される。
・スタンプ材料は、ステップエッジを越える転写が可能であるように、硬すぎるべきではない。
・スタンプにおける構造のアスペクト比は、座屈(buckling)、側面倒壊(lateral collapse)および天盤倒壊(roof collapse)に対して最適化されなければならない。
・構造化スタンプ上への金の蒸着は、蒸着角度と、スタンプのアスペクト比とに決定的に依存する。
・スタンプから基板上への接触領域におけるAu層の転写は、スタンプ表面上の均質のAu層の破壊を必要とする。Au層の破壊により、エッジが粗くなる可能性がある。
【0007】
上述のプロセスに加え、基板上に固定された分子層上に金属をパターンありまたはなしで直接蒸着することも可能である。しかしながら、分子層への金属原子の拡散を回避することが困難であるということが知られている。I〜V特性を支配する(dominate)、例えばフィラメントの形成を、分子層にわたってこれら金属原子は容易にもたらす可能性がある。GaAs/ジチオール/Auジャンクションについて、ヂチオール誘導体の単分子層上へのAuの蒸着は、GaAsと蒸着金との間に直接接触が生じることを回避することができないということが示された[非特許文献10]。かかる「ショート(shorts)」はIV特性を支配する。nTPの場合、これら直接接触は全く発見されなかった。
【特許文献1】ルーおよびその他、米国特許第6946332(B2)号明細書
【非特許文献1】シア,Y(Xia, Y)、ホワイトサイズ,G(Whitesides, G)著、材料科学年次評論誌(Annu. Rev. Mater. Sci.)28、1998年、153〜184
【非特許文献2】マイケル,B(Michel, B)およびその他著、IBM研究開発ジャーナル(IBM J. Res. & Dev.)45、2001年、697〜719
【非特許文献3】スー,J.W.P(Hsu, J. W. P.)、マテリアルズトゥデイ(Materials Today)7月/8月号、2005年、42〜54
【非特許文献4】ルー,Y.‐L.(Loo, Y. ‐L)、ウィレット,R.L.,バルドウィン(Willet, R. L. Baldwin)、K.W.・J.A.ロジャーズ(K. W., J. A. Rogers)著、応用物理学レター(Appl. Phys. Lett.)、2002年、81」、562〜564
【非特許文献5】ルー,Y.‐L.およびその他著、米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、2002年、99、10252
【非特許文献6】ルー,Y.‐L.およびその他著、真空科学技術B(J. Vac. Sci. Technol. B)、2002年、20、2853
【非特許文献7】ルー,Y.‐L.、ウィレット,R.L.・バルドウィン、K.W.,J.A.ロジャーズ著、JACS、2002年、124、7654〜7655
【非特許文献8】ハインズ,D.R.(Hines, D. R.)およびその他著、応用物理学レター(Applied Physics Letters)、2005年、86、63101
【非特許文献9】バーナーズ,D.A.(Bernards, D. A.)、ビーガラ(Biegala)、Z.A.・S.、シュリンカー,J.D.(Slinker, J. D.)、マリアラス,G.G.(Malliaras, G. G.)、フローレス‐トレス,S.(Flores‐Torres, S.)、アブルーニャ,H.D.(Abruna, H. D.)、ロジャーズ,J.A.(Rogers, J. A.)、応用物理学レター、2004年、84、3675
【非特許文献10】スー,J.W.P.およびその他、真空科学技術ジャーナルB(J. Vac. Sci. Technol. B)、2003年、21、1928〜1935
【発明の開示】
【0008】
上述の技術はいずれも、50〜100nmの低い寸法までは縮小できなかった。さらに、nm範囲の表面粗度を有するパターンを形成することも、滑らかなエッジを有するパターンを形成することも不可能であった。
【0009】
したがって、50〜100nmの低い寸法まで縮小可能であり、実行が簡単であり、異なる金属、金属酸化物および半導体材料に対して汎用である製造プロセスを提供することが、本発明の課題である。さらに、滑らかなエッジを有し、平均表面粗度≦2nmであるパターンの形成を可能とするプロセスを提供することも本発明の課題である。本発明の課題は、基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを形成する方法により解決され、上記方法は以下のステップを含む。
a)第1の基板を用意する。
b)上記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを形成する。
c)第2の基板を用意し、上記第2の基板を、上記第1の基板上の上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと等角接触させる。
d)上記第2の基板を上記第1の基板から分離させ、このように上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを、上記第2の基板に付着させ、上記第2の基板とともに上記第1の基板から分離させる。
【0010】
ある実施形態において、ステップb)は以下の一連のステップにより行われる。
ba)上記第1の基板上にレジストパターンを形成する。
bb)上記レジストパターンを板上に有する上記第1の基板の上に金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を形成する。
bc)上記第1の基板から上記レジストパターンを除去し、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを上記第1の基板上に残す。
【0011】
別の実施形態において、ステップb)は以下の一連のステップにより行われる。
ba)上記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を形成する。
bb)板上に上記金属の層を有する上記第1の基板上にレジストパターンを形成する。
bc)エッチング技術を用いて、上記レジストパターンに覆われていない位置にある上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を除去する。
bd)上記第1の基板から上記レジストパターンを除去し、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを上記第1の基板上に残す。
【0012】
なお別の実施形態において、ステップb)は以下のステップにより行われる。
ba)、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層がパターン化されるように、パターン化マスクを通して上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層が形成される上記パターン化マスクを用いて、上記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料を形成する。
【0013】
この実施形態において、レジストパターンに関して、上記第1の基板上の上記レジストパターンは、上記第1の基板上に存在するレジストを有する位置と、上記第1の基板上に存在するレジストを有さない位置とを含むことが好ましい。
【0014】
この実施形態においては、レジストパターンがまず形成され、その後、金属、金属酸化物および/または半導体材料が形成される(「レジスト第一(resist first)」の実施形態)のであるが、ステップbb)において、ステップbb)において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、上記存在するレジストを有する位置と上記存在するレジストを有さない位置との両位置において上記レジストパターン上の上記第1の基板上に形成されることが好ましい。
【0015】
ある実施形態において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、連続層として形成される。
【0016】
「レジスト第一」の実施形態において、ステップb)により形成される上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する位置と、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有さない位置とを含み、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの上記位置は、ステップba)において上記第1の基板上に存在するレジストがないところ、ステップba)の上記レジストパターンの位置と一致することが好ましい。
【0017】
この実施形態においては、金属、金属酸化物および/または半導体材料の層がまず形成され、その後、レジストパターンが形成される(「レジスト第二(resist second)」の実施形態)のであるが、ステップb)により形成される上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する位置と、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有さない位置とを含み、上記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの上記位置は、ステップbb)において上記第1の基板上に存在するレジストがあるところ、ステップba)の上記レジストパターンの位置と一致することが好ましい。
【0018】
この実施形態において、レジストパターンに関して、上記レジストパターンは、リソグラフィプロセスにより形成され、好ましくは、光リソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、UVナノインプリントリソグラフィおよびナノインプリントリソグラフィを含む組から選択されるリソグラフィプロセスにより形成されることが好ましい。
【0019】
上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、気相成長法、スパッタリング、蒸着法、ウェット化学成長法、めっきおよび自己集合を含む組から選択されるプロセスにより、第1の基板上に形成される。
【0020】
上記レジストパターンの除去は、上記レジストパターンを、アセトン、イソプロパノール、Nピロリドンのような溶媒と、AZ除去剤のような特殊なレジスト除去剤と、上記溶媒および上記特殊なレジスト除去剤のいかなる組合せとに溶かすことにより起こることが好ましい。
【0021】
上記第1の基板は、単結晶材料、多結晶材料、GaAs、Si、SiO、雲母のような材料、ガラスやフロートガラスのようなアモルファス化合物、およびペロブスカイトを含む組から選択される材料から作成されることが好ましい。
【0022】
上記金属は、Au、Ti、Pt、Ag、Cr、Cu、Alを含む組から選択され、上記金属酸化物は、Al、AgO、TiO、SiO、DyScO、イットリア安定化ジルコニア(yttria stabilized zirconia:YSZ)を含む組から選択され、上記半導体材料は、Si、Ge、GaAs、GaN、InSb、InP、CdS、ZnSeを含む組から選択されることが好ましい。
【0023】
ある実施形態において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、潤滑剤の層が上記第1の基板上に存在することなく、または上記潤滑剤の層が上記第1の基板上にまたは上記第1の基板上の上記レジストパターンが存在する場合には上記第1の基板上の上記レジストパターン上に事前に形成されていることなく、上記第1の基板上に、または上記第1の基板上の上記レジストパターンが存在する場合には上記第1の基板上の上記レジストパターン上に直接形成され、このように上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、形成後、上記第1の基板および/または上記レジストパターンと直接接触する。
【0024】
「レジスト第一」の実施形態において、ステップba)は以下のように行われる。
ba)上記第1の基板上にレジストパターンを形成し、その後、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと、板上にレジストパターンを有する上記第1の基板との間の付着を弱めるために、潤滑剤の層を上記第1の基板上の上記レジストパターンに形成する。
【0025】
「レジスト第二」の実施形態において、ステップba)は、以下のように行われる。
ba)潤滑剤の層を上記第1の基板へ形成し、その後、金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を、潤滑剤の層を板上に有する上記第1の基板へ形成し、上記潤滑剤の層は、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと上記第1の基板との間の付着を弱めるという目的を担う。
【0026】
レジストに関しないこの実施形態においては、ステップba)は、以下のように行われる。
ba)金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を、潤滑剤の層を板上に有する上記第1の基板へ形成し、上記潤滑剤の層は、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと上記第1の基板との間の付着を弱めるという目的を担う。
【0027】
上記潤滑剤は、ペルフルオロ‐アルキルトリクロロシランCのようなフルオロシラン、CH終端を有するシラン誘導体、テフロンおよびテフロン類似の材料を含む組から選択されることが好ましい。
【0028】
「レジスト第一」の実施形態において、ステップba)において、上記潤滑剤の層は、上記第1の基板上の上記レジストパターンへ形成され、その場合、続けてステップbc)において上記レジストパターンを除去した後、上記潤滑剤の層は上記存在するレジストを有さない位置にのみ存在することが好ましい。
【0029】
ステップbb)において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、存在するレジストを有する位置にある上記レジストパターンと直接接触し、存在するレジストを有さない位置にある上記潤滑剤と直接接触するように、レジストパターンを板上に有する上記第1の基板上に形成されることがより好ましい。
【0030】
ある実施形態において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンがステップb)において上記第1の基板上に形成された後、ステップc)より先に転写媒介層が上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンへ形成され、上記転写媒介層は、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと上記第2の基板との間の付着を媒介する目的を担い、その場合、上記転写媒介層は、少なくとも2つの終端を有する化合物を含む材料から作成され、その場合1つの終端はチオールのような金属結合基、金属酸化物結合基または半導体結合基であり、他の終端は制御可能な付着を上記第2の基板へ提供することが好ましい。
【0031】
このような制御可能性は、例えば上記終端と相互作用する溶媒の適切な選択によって達成される。
【0032】
上記転写媒介層は、親水性溶媒との相互作用のための極性基を有する少なくとも1つの化合物を含むことにより、制御可能な付着を提供しており、上記化合物は、好ましくはアルカンチオールのような自己集合化単分子層を形成すること、または上記転写媒介層は、CaOの層のように水に可溶であることがより好ましい。
【0033】
ある実施形態において、上記第2の基板は、ポリマー材料から作成され、好ましくはエラストマー、プラストマー、イオノマーおよびレジストを含む組から選択されるポリマー材料から作成される。
【0034】
ある実施形態において、ステップc)の間に、またはステップc)の後でステップd)の前に、上記第2の基板と、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとは、互いに等角接触している間、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと上記第1の基板との間の付着を弱めるために、極性溶媒に曝される、または極性溶媒の中へ入れられ、その場合上記極性溶媒は、有機極性溶媒、無機極性溶媒およびそれらの混合物の組から選択され、好ましくは、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドおよびアセトニトリルの組、およびそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0035】
上記溶媒は、その中に溶解されるいかなる追加溶質も有さないことが好ましい。
【0036】
ここで用いる「追加溶質(Added solutes)」は、例えば実験者または製造者によって上記溶媒へ特別に加えられるいかなる溶質も上記溶媒が含まないことを示すことを意図している。しかしながら「追加溶質」は、溶解不純物または溶解気体または湿度の存在を排除するものではない。
【0037】
別の実施形態において、ステップb)の後でステップc)の前に、上記第1の基板上の上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、界面活性剤の溶液中に入れられ、その後任意ですすぎ洗いされ、その場合、上記界面活性剤は、第1級アミンを有するアルカン鎖から形成されるジチオカルバミン酸誘導体を含む組から選択され、上記界面活性剤が溶解している溶媒は、イソプロパノール、エタノールおよび水と、それらの混合物とを含む組から選択されることが好ましい。
【0038】
ある実施形態において、上記方法は追加ステップ:
e1)第3の基板を用意し、前記第3の基板を、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを板上に有する第2の基板と等角接触させ、前記第2の基板を前記第3の基板から分離させ、このように前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを前記第3の基板に付着させ、前記第3の基板とともに前記第2の基板から分離させること
を含む。
【0039】
上記第3の基板は、上記第2の基板から上記第3の基板への上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの転写を可能にするメルカプト基またはアミノ基のような官能基を板上に有することが好ましい。
【0040】
ある実施形態において、上記第3の基板は、ステップe1)より先に、上記第3の基板の表面上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のさらなるパターンを有する、および/または機能を提供する追加層を板上に有する、および/またはナノワイヤ、ナノカラム、カーボンナノチューブで覆われている、および/またはTiOまたはペロブスカイトのような交換可能な酸化物を板上に有する。
【0041】
ある実施形態において、上記方法は追加ステップ:
e2)好ましくは上記第2の基板を別の基板に積層し、それによって上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを2つの該基板に挟むことにより、上記第2の基板に付着する上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを有する上記第2の基板を、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、有機電界効果トランジスタ(organic field effect transistor:OFET)、分子電子デバイスまたはセンサデバイスのようなフレキシブルな有機電子デバイスの作成に用いること
を含む。
【0042】
ある実施形態において、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、上記第1の基板、上記第2の基板および存在する場合は上記第3の基板への付着力を有し、その場合上記第3の基板への付着力は、上記第1の基板への付着力より大きい上記第2の基板への付着力より大きい。
【0043】
上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは金のパターンであり、上記第1の基板は、板上に酸化物層を有するまたは有さないSi、または雲母、またはガラスであり、上記第2の基板はポリオレフィンプラストマー(polyolefine plastomer:POP)またはポリジメチルシロクサン(polydimethylsiloxane:PDMS)、またはサーリンのようなイオノマーであり、上記第3の基板は、存在する場合、上記第3の基板上への上記金のパターンの付着を可能にするために官能基で任意に官能化された(functionalized)Si、雲母またはガラスであることが好ましい。
【0044】
上記官能化は、メルカプト基またはアミノ基またはカルボキシ基を有する化合物を、好ましくはデンドリマー化合物を用いることにより起こることがより好ましい。
【0045】
ある実施形態において、ステップe1)は、機能を提供するいかなる追加層も上記第3の基板上に欠いて行われ、その場合ステップe1)は、上記第2の基板と、上記第2の基板上の上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとを、イソプロパノール、エタノール、メタノール、プロパノールおよびヘキサンのような溶媒に曝す、または上記溶媒中に入れることにより、上記第2の基板と上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力を弱めることにより行われることが好ましい。
【0046】
別の実施形態において、ステップe1)は、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを板上に有する上記第2の基板と、上記第3の基板との間に溶媒を入れ、それによって上記第3の基板と、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力、または存在する場合、上記第3の基板上の上記転写媒介層と上記金属、金属酸化物および/半導体材料のパターンとの間の付着力を増加させることにより、上記第2の基板と上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力を弱めることにより行われる。
【0047】
ある実施形態において、上記第2の基板は、ドロップキャスティング、カーリング、好ましくは熱誘導カーリングまたは光誘導カーリング、および熱エンボス加工を含む組から選択される方法により作成される。
【0048】
上記第2の基板は、ステップc)において上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンが等角接触される平坦な表面を有することが好ましい。
【0049】
上記第2の基板は、上記平坦な表面と反対側に安定化硬裏面を有することがより好ましい。
【0050】
ある実施形態において、ステップc)およびe1)における上記等角接触は、1秒〜120分の範囲の期間起こる。
【0051】
ある実施形態において、ステップc)およびe1)における上記等角接触は、平均圧力1mbar〜5barでのプレスプロセスである。
【0052】
本発明による方法により製造される、基板上の金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンによっても、本発明の課題は解決される。
【0053】
上記パターンは、上記パターンに欠陥またはアーティファクト(artifacts)を有さないことが好ましい。
【0054】
電子装置、ポリマー装置、生物医学装置において、本発明によるパターンを使用することによっても、本発明の課題は解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
ここで用いる「基板を金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと等角接触させる(to bring a substrate into conformal contact with a pattern of metal, metal oxide and/or semiconductor material)」という言葉は、上記基板への上記パターンの転写を可能とする上記基板と上記パターンとの間のいかなる接触も表すことを意図している。ある実施形態において、このような転写を起こすためには圧力を加えることが必要であり、このような例において、「と等角接触させる(to bring into conformal contact with)」という言葉は「にプレスする(to press on(to))」と均等となる。
【0056】
本発明の目的のために役立つレジストは、当業者にはよく知られている。本発明の目的のために役立つレジストの例は、フォトレジスト、電子ビームレジスト、X線レジスト、ナノインプリントレジストなどである。本発明に役立つレジストのより具体的な例は、PMMA(電子ビーム)、AZ5214(フォト)、NXR2010‐3020(ナノインプリント)またはその他である。
【0057】
時には、本出願において、ある基板を別の基板上の金属パターンと等角接触させ、その後、基板を他の基板から「分離(separating)」させるということに言及する。この分離プロセスは、かかる分離が起こる具体的な方向を示すということも、該基板のみが移動される一方で他の基板は固定位置に維持されることを示すということも全く意図していない。そうではなく、「分離」プロセスは、ある基板が他の基板に相対的に移動されることを示したり、または両基板が互いに相対的に移動されることを示したり、または他の基板が該基板に相対的に移動されることを示したりもする。このような「分離」プロセスのある実施形態においては、ある基板は他の基板から単純に持ち上げられる場合、またはその逆の場合がある。
【0058】
時には、本出願において、レジストパターンが存在しないレジストパターンの位置と「一致する(coincide)」、上記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの位置に言及する。同様に、時には、レジストが基板上に存在するレジストパターンの位置と「一致する」、基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの位置に言及する。互いに「一致する」異なるパターンの2組の位置への言及は、その最も単純な形で、2つのパターンの個々の位置が重複し得ることを意味する場合がある。別の実施形態においては、このような「一致する」は、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターン内の個々の位置が、レジストが存在するレジストパターンの位置と一致することを意味し、その場合金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンはレジストパターンのポジ像(positive image)である。または、別の実施形態においては、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの個々の位置が、レジストが存在しないレジストパターンの位置と一致する、ということを意味し、その場合金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンはレジストパターンのネガ像(negative image)であることを意味する。
【0059】
本出願において、時には、「第1の基板(first substrate)」、「第2の基板(second substrate)」および「第3の基板(third substrate)」に言及する。本発明による方法は、その最も単純な形で、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンをある基板から別の基板へ転写することを目的とする。この意味で、「第2の基板」は、上記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンが転写される「ターゲット基板(target substrate)」であると見なす場合がある。同様に、該金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンが続けて「第3の基板」へ転写されることになれば、かかる「第3の基板」を「ターゲット基板」と見なす場合がある。3つの基板全部が転写プロセスに関する場合、すなわち金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンが第1の基板から第2の基板を介して第3の基板へ転写される場合、第2の基板は、「シャトル基板(shuttle substrate)」として効果的に機能し、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを第1の基板から第3の基板へ転写する目的を担う。
【0060】
本発明による方法は、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを≦10nmほども小さくなり得る寸法で製造することを可能にする。エッジ粗度が、第1の基板上に作成される金属、金属酸化物および/または半導体材料のエッジ粗度により定められるところのパターンの転写を、本発明による方法は可能にする。さらに本発明による方法は、ステップエッジを越えてパターンを転写することも可能にする。さらに本発明による方法は、吸着原子を分子層へ導入することなく、有機層への金属接触を作ることも可能にする。このように、この方法は、デバイス動作中にフィラメントの形成を引き起こす欠陥の導入を回避する。
【0061】
当発明者らにより、レジストパターンのネガ像またはポジ像であり、したがってその寸法についてはレジストパターンの寸法によってのみ限定される金属/金属酸化物/半導体材料パターンを、別の基板へ、比較的軟らかくて且つポリマーである性質を有することが好ましい中間シャトル基板を用いて転写することが可能であるという驚くべき発見がなされた。本発明による方法は、有機層の非侵入的接触(non invasive contacting)に使用可能である。このプロセスは拡張可能であり、大気条件下で≦20nmの寸法におけるパターン転写を可能にする。このプロセスは実行が容易である。
【0062】
金属/金属酸化物/半導体材料と第1の基板との相互作用が、金属/金属酸化物/半導体材料と第2の基板(「シャトル基板」)との相互作用よりも小さくなるように、金属/金属酸化物/半導体材料と第1の基板とを選択することにより、第1の基板から第2の基板へのパターンの転写が達成可能であり、次に続く基板(第3の基板など)のパターンへの相互作用がパターンと第2の基板との間の相互作用よりも強い場合、次の基板への転写も達成可能であることを、当発明者らは発見した。あるいは、それぞれの相互作用は、潤滑剤層または他の中間層の使用により、および/または対応する相互作用を弱める溶液の使用により調節可能である。
【0063】
このようなパターンにおいて本発明により達成される決定的な寸法は、表面上の金属/金属酸化物/半導体材料構造の製造に適用される方法論によってのみ制限される。このようなパターンは、リソグラフィ法を用いて大抵は生成されるレジストパターンのネガ像またはポジ像として形成可能であり、≦20nmの寸法で得られる。
【0064】
本発明によるシャトル転写プリントプロセスの異なる変種を、以下の節において説明する。そこでプロセス1は、潤滑剤層用いて、第2の基板としてのポリマーパッド上へ金属層を転写するプロセスを説明し、一方プロセス2から4については、潤滑剤層なし(プロセス2)、極性溶媒の使用(プロセス3)、界面活性剤溶液の使用(プロセス4)に関する。
【0065】
[プロセス1(図2aを参照のこと)]
このプロセスステップは、平坦基板表面上のレジストパターンの作成に関する(1)。続いて、金属層の蒸着/堆積(3)および持ち上げステップ(4)の前に、潤滑剤層が基板上へ堆積される(2)。このプロセスおよび他の実施形態におけるこのような持ち上げステップは、適切な溶媒中にレジストパターンを溶解させるにより行われる。このプロセスは、潤滑剤層によって基板から分離される構造化金属層をもたらす。金属層は、概してポリマー製の転写パッドと等角接触される(5)。潤滑剤層上の金属層の付着力が、金属層とポリマーとの間の相互作用より弱い場合、金属層はポリマー上へ転写される(6)。
【0066】
[プロセス2(図2bを参照のこと)]
このプロセスステップは、平坦基板表面上のレジストパターンの作成に関する(1)。続いて、持ち上げステップ(3)の前に、基板上へ金属が蒸着される(2)。金属層はポリマーパッドと等角接触される(4)。潤滑層上の金属層の付着力が、金属層とポリマーと間の相互作用よりも弱いため、金属層はポリマー上へ転写可能である(5)。
【0067】
[プロセス3(図2cを参照のこと)]
このプロセスステップは、レジストの作成に関する(1)。続いて、持ち上げステップ(3)の前に、金属が蒸着される(2)。金属層はポリマーパッドと等角接触され(4)、極性溶媒へ浸される(5)。溶媒がAu層と表面との間に引き込まれ、それにより金属層と基板表面との間の付着力は弱められ、ポリマーパッド上への金属パターンの転写(6)が容易となる。
【0068】
[プロセス4(図2dを参照のこと)]
このプロセスステップは、平坦基板表面上のレジストパターンの作成に関する(1)。続いて、持ち上げステップ(3)より先に、金属が基板上へ蒸着される(2)。金属層は、長アルキル鎖を有する第1級アミンから導かれるジチオカルバミン酸誘導体を含む溶液中に浸される。分子は、界面活性剤の特性を有し、金属層と基板との間の空間へ入り込む能力も有する。任意の時間の後、基板は水ですすぎ洗いされ、パターン転写(6)のためにポリマーパッドと等角接触される(5)。
【0069】
ポリマーパッドから、金属パターンはターゲット基板上へ最終的に転写可能である。この最後のステップの必要条件は、金属とポリマーパッドとの間の付着力が金属とターゲット基板との間の付着力よりも弱いことである。
【0070】
ターゲット基板は、金属と強い相互作用を有する官能基を有してもよく、いかなる方法でパターン形成されてもよく、または何らかの機能を提供すべき有機層を板上に有してもよく、またはナノワイヤ/ナノカラム、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes:CNT)などで覆われていてもよく、交換可能な酸化物またはペロブスカイトの組の固体であってもよい。
【0071】
プロセス5および6は、ポリマーパッドからSi/SiO基板上への金属パターンの転写を説明する。
【0072】
[プロセス5]
このプロセスステップは、プロセス1〜4のいずれかによって形成された金属パターンを有するポリマーパッドに関する(1)。ポリマーパッド上の金属層は、溶媒(例えばイソプロパノール、エタノール、ヘキサン)によって濡れて(2)、Si/SiO2基板と等角接触される(3)。溶媒はAu層と表面との間に引き込まれ、それにより金属層とポリマーパッドとの間の付着力が弱められ、Si/SiO上への金属パターンの転写が容易になる(4)。(図2e)
【0073】
[プロセス6]
このプロセスステップは、平坦基板表面上のレジストパターンの作成に関する(1)。続いて、金属層の蒸着/堆積(3)および持ち上げステップ(4)の前に、潤滑剤層が基板上へ堆積される(2)。続いて、金属層の蒸着/堆積(3)および持ち上げステップ(4)の前に、転写媒介層が堆積される(2)。続いて、転写媒介層が金属層上へ堆積される(5)。転写媒介層/金属集合(assembly)はポリマーパッドへ等角接触される(6)。潤滑剤層上の金属層の付着力が、金属層/転写媒介層と転写媒介層/ポリマーとの間の相互作用より弱いため、金属層は転写媒介層とともにポリマー上へ転写可能である(7)。ポリマーパッド上の転写媒介層は、ポリマー(7)上へ等角接触される。ポリマーパッド上の転写媒介層は、Si/SiO基板と等角接触される(8)。続いて、ポリマーパッド上の転写媒介層は、溶媒(例えばイソプロパノール、エタノール、ヘキサン)中に浸され、溶媒派転写媒介層と金属表面との間に引き込まれ、それにより金属層とポリマーパッドとの間の付着力が弱まり、Si/SiO基板上への金属パターンの転写(9)が容易になる。最後に、金属パターンはSi/SiO基板へ恒久的に転写される(10)。(図2fを参照のこと)
【0074】
あるいは転写パッドは、1つのポリマーの上のフレキシブルな有機電子デバイスの作成に用いられる場合もある。
【0075】
単結晶物質上または他結晶物質や、GaAs、Si、SiO、雲母のような単結晶または他結晶複合材料、ガラスおよびフロートガラスのようなアモルファス複合材料、およびペロブスカイトなどの上に、レジストパターンは形成可能である。具体的な実施形態については、SiO、雲母、フロートガラスが使用された。
【0076】
レジストパターンは、光リソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、UVナノインプリントリソグラフィまたはナノインプリントリソグラフィにより形成可能である。具体的な実施形態については、レジストパターンは光リソグラフィまたは電子ビームリソグラフィにより形成された。
【0077】
レジストプロセスの後、表面は剥離層で不動態化される。具体的な実施形態については、潤滑剤層が使用されないか、または1,1,2,2,‐トリデカフルオロ‐オクチル‐トリクロロシランが使用される。
【0078】
このプロセス用の転写パッドは、一般的にエラストマー製、プラストマー製、イオノマー製およびレジスト製であってよい。パッドは、ドロップキャスティングおよび熱誘導または光誘導カーリングにより作成されるか、または熱エンボス加工技術により作成される。パッドは、極めて滑らか且つ平坦であるべきである。具体的な実施形態については、ダウケミカルズ社(Dow Chemicals)製POP(Affinity VP8770G)およびPDMS(Sylgard 184、ダウコーニング)が使用された。転写パッドは硬裏面へ付されてもよい。転写パッドは転写媒介層で化学的に修飾されてもよい。
【0079】
さらに、説明のため与えられ、本発明を限定するものではない以下の実験例に言及する。
【0080】
具体的な全実施形態は、Auを金属として用いて実施された。
【0081】
転写されたパターンは、光学電子顕微鏡観察、走査型電子顕微鏡観察および原子間力電子顕微鏡観察を用いて調査された。転写されたAu層はプローブセットアップおよびアナライザを用いて電気的特徴がつけられた。
【実験例1】
【0082】
PMMAレジストを、天然酸化物を有するウェハ上へスピンコートし、電子ビームリソグラフィを用いてパターン形成した。成長後、デスカムプラズマ処理を用いて、トレンチを洗浄した。ペルフルオロ‐アルキルトリクロロシランを、該ウェハ上へ蒸着した。20nmのAuを、2・10−7mbarの気圧において、ウェハ上へ8Å/秒の速度で蒸着した。アセトンおよびイソプロパノールを用いて、持ち上げを行った。パターン形成されたAuを、新しく作った裏面なしPOPパッド上へ転写した(図3aおよびb)。図3bの背景は、SEM画像取得時における帯電効果を防ぐために必要であるAuのスパッタ薄膜による。このように形成されたAu線は、〜50nmの寸法を有し、この大きさは5〜10nmまで容易に縮小可能である。
【実験例2】
【0083】
20nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、天然酸化物層を有するSiウェハ上へ3Å/秒の速度で蒸着した。PDMSパッドをSiOウェハからすばやく剥離させることにより、新しく作った裏面なしPDMSパッド上へAuを転写した。Au層(図4a)は折りたたみ(folding)を示すが、これはPDMSのフレキシビリティによるものである。
【実験例3a】
【0084】
15nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、天然酸化物層を有するSiウェハ上へ3Å/秒の速度で蒸着した。PDMSパッド上へSiOウェハからイソプロパノールへ浸漬後、新しく作ったガラス裏面付PDMSパッド上へAuを転写した。Au層(図4b)はいくつかクラックを示すが、これはPDMSのフレキシビリティによるものである。
【実験例3b】
【0085】
20nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、雲母基板上へ3Å/秒の速度で蒸着した。水に浸した後、新しく作った裏面付POPパッド上へAuを転写した。水を、雲母シートとAu層との間に毛細管力により引き込み、Auを雲母から剥離させた。Auと雲母との間の界面へひとたび水が完全に引き込まれると、雲母シートはAu層から剥離される(図5)。
【実験例4】
【0086】
15nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、ガラス基板上へ3Å/秒の速度で蒸着した。0.01Mのデシルジチオカルバミン酸ナトリウム塩溶液中に2.5時間浸し、MilliQ水ですすぎ洗いした後、新しく作った裏面なしPOPパッド上へAuを転写した。続けて、Au層転写のため、Au層をPOPの薄シートと等角接触させた(図6)。
【実験例5】
【0087】
1000nmのSiO層を有するシリコンチップを、PAMAM‐OS G6デンドリマーのメタノール溶液1mM中に5分間浸し、アルゴンの蒸気の下で乾燥させた。パターン形成された金(実験例1により作成)を有するPOPを、PAMAM‐OS G6修飾表面上へ2分間プレスした。POP除去後、金をPAMAM‐OS表面へ転写した(図7)。
【実験例6】
【0088】
2つの電極が互いに90度の角度をなして交わり、クロスバーを形成するように、実験例1の金パターンを有するPOP片上へ、実験例1において説明したようにして第2のパターンを転写する(図8)。
【実験例7】
【0089】
PMMAレジストを、天然酸化物を有するウェハ上へスピンコートし、電子ビームリソグラフィを用いてパターン形成した。成長後、デスカムプラズマ処理を用いて、トレンチを洗浄した。20nmのAuを、2・10−7mbarの気圧において、ウェハ上へ8Å/秒の速度で蒸着した。アセトンおよびイソプロパノールを用いて、持ち上げを行った。チップを、PAMAM‐OS G6のメタノール溶液中に5分間浸し、アルゴンを吹き付けて乾燥させた。2つの電極が互いに90度の角度をなして交わり、クロスバーを形成するように、実験例1の金パターンを有するPOP片を、該チップ上へ配置した。POPを除去すると、第2の電極がチップ上に残った(図9)。
【実験例8】
【0090】
20nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、パターン形成されたSi/SiO基板上へ3Å/秒の速度で蒸着した。ポリオレフィン上へのAuパターンの転写のため、ポリマーを90℃まで熱し、2つのSi/SiO基板との間で〜30分間プレスした。POPを室温へ冷却した後、AuをPOP上へ転写するため、POPをAuパターンと等角接触させた。30μlのヘキサンをPOPパッド上へかける。120秒後、ヘキサンは蒸発し、Auパターンを有するPOPパッドはターゲットSi/SiO基板と等角接触する(図10)。図10は、従来の光リソグラフィにより得られたAu電極も比較のために示している。
【実験例9】
【0091】
20nmのAuを、2・10−6mbarの気圧において、ガラス基板上へ3Å/秒の速度で蒸着した。メルカプト‐ウンデカン酸のエタノール溶液1mM中にAuを5分間浸し、その後純粋なエタノールですすぎ洗いし、窒素を吹き付けて乾燥させた。新しく作った裏面なしPOPパッド上へ金を転写した。天然酸化物を有するシリコン片を硫酸中で洗浄し、MilliQ水ですすぎ洗いし、焼きなましを施した。イソプロパノールを一滴、該片上へ滴下した。続けて、POP上のAu層を、イソプロパノールを有する該片と等角接触させた。1分後、POPを持ち上げると、金がシリコン片上に残った(図11)。
【0092】
明細書、特許請求の範囲および/または添付図面において開示した本発明の特徴は、別々にも、そのいかなる組み合わせでも、本発明をその様々な形態で実現する材料(material)であってもよい。
【0093】
以下で、図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】ナノ転写プリントプロセス(nTP)の概略図(a)、およびソフト接触積層プロセス(ScL)の概略図(b)を示す。
【図2】図2a)〜f)は、本発明によるプロセスの6つの異なる実施形態の概略図を示す。
【図3a】図3a)〜b)は、本発明によるプロセス1によって得られた結果を示す。ここでそれぞれ、図3aは、幅およそ100nmのAuの線を示し、図3bは、幅47.8nmであるAuの線および幅50nmであるAuの線を示す。
【図4a】プロセス2を用いて、裏面なしのPDMS上へSiOから転写された15nmのAu層の顕微鏡画像を示す。
【図4b】プロセス2を用いて、裏面ありのPDMS上へSiOから転写された15nmのAu層の顕微鏡画像を示す。
【図5】プロセス3を用いて、裏面なしのPOP上へ雲母から転写された20nmAu層の原子間力顕微鏡(atomic force microscope:AFM)画像を示し、平均表面粗度は0.5nmである。
【図6】プロセス4を用いて、裏面なしのPOP上へSiOから転写された15nmのAu層の顕微鏡画像を示す。
【図7】POPをシャトル基板(「第2の基板」)として用いた、PAMMA‐G6修飾SiO表面上のAuパターンの光学画像を示す。
【図8】本発明による方法によりPOP上へ形成されたクロスバー構造の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像を示す。
【図9】POPをシャトル基板として用いて、本発明による方法によりPAMMAM‐G6修飾SiO表面上に作成されたクロスバー構造の操作型電子顕微鏡画像を示す。
【図10】Si/SiO上のクロスバー構造(Au上にAu)の光学顕微鏡画像を示す。
【図11】ガラス基板からPOPシャトル基板を介してSi/SiOターゲット基板へ転写されたAuの光学電子顕微鏡画像を示す。
【図12】本発明によるクロスバー構造のI‐V曲線のいくつかの記録を示す。I‐V曲線は、同一のクロスバー構造を用いて数回測定された。異なる量が異なる記録として示された。下部Au電極はプロセス2により基板2上に製造され、1,4,ベンゼンジチオール(benzenedithiol)の単分子層がAu電極上へ作られ、続いて上部電極もプロセス2により作成された。電流はナノアンペア(nano Ampere:nA)で表示されている。このデバイスにおいて測定された電流は、最新技術により製造されたデバイスにおいて測定された電流よりも5桁の大きさで小さい。しかしながら、最新技術のデバイスにおいて測定された高電流は、欠陥を原因とするフィラメント形成を示し、デバイスにおけるフィラメント形成の結果である。 最新技術の測定結果と比較すると、本発明によるクロスバー構造で測定された小さな量の電流は、電流が本発明により形成された分子層を介しており、相当に高い電流を生じさせるであろうフィラメントが関与していないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを形成する方法であって、
a)第1の基板を用意するステップと、
b)前記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを形成するステップと、
c)第2の基板を用意し、前記第2の基板を、前記第1の基板上の前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと等角接触させるステップと、
d)前記第2の基板を前記第1の基板から分離させ、このように前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを、前記第2の基板に付着させ、前記第2の基板とともに前記第1の基板から分離させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップb)は、
ba)前記第1の基板上にレジストパターンを形成するステップと、
bb)前記レジストパターンを板上に有する前記第1の基板の上に金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を形成するステップと、
bc)前記第1の基板から前記レジストパターンを除去し、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを前記第1の基板上に残すステップと
により行われること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)は、
ba)前記第1の基板上に金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を形成するステップと、
bb)板上に前記金属の層を有する前記第1の基板上にレジストパターンを形成するステップと、
bc)エッチング技術を用いて、前記レジストパターンに覆われていない位置にある前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を除去するステップと、
bd)前記第1の基板から前記レジストパターンを除去し、金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを前記第1の基板上に残すステップと
により行われること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)は、
ba)前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層がパターン化されるように、パターン化マスクを通して前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層が形成される前記パターン化マスクを用いて、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層が形成されるステップ
により行われること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基板上の前記レジストパターンは、前記第1の基板上に存在するレジストを有する位置と、前記第1の基板上に存在するレジストを有さない位置とを含むこと、を特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップbb)において、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、前記存在するレジストを有する位置と前記存在するレジストを有さない位置との両位置において前記レジストパターン上の前記第1の基板上に形成されること、を特徴とする請求項2および5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、連続層として形成されること、を特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ステップb)により形成される前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する位置と、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有さない位置とを含み、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの前記位置は、ステップba)において前記第1の基板上に存在するレジストがないところ、ステップba)の前記レジストパターンの位置と一致すること、を特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)により形成される前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する位置と、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有さない位置とを含み、前記第1の基板上に存在する金属、金属酸化物および/または半導体材料を有する前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの前記位置は、ステップbb)において前記第1の基板上に存在するレジストがあるところ、ステップba)の前記レジストパターンの位置と一致すること、を特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記レジストパターンは、リソグラフィプロセスにより形成され、好ましくは、光リソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、UVナノインプリントリソグラフィおよびナノインプリントリソグラフィを含む組から選択されるリソグラフィプロセスにより形成されること、を特徴とする請求項2〜3、5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、気相成長法、スパッタリング、蒸着法、ウェット化学成長法、めっきおよび自己集合を含む組から選択されるプロセスにより、第1の基板上に形成されること、を特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記レジストパターンの除去は、前記レジストパターンを、アセトン、イソプロパノール、Nピロリドンのような溶媒と、AZ除去剤のような特殊なレジスト除去剤と、前記溶媒および前記特殊なレジスト除去剤のいかなる組合せとに溶かすことにより起こること、を特徴とする請求項2〜3、5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基板は、単結晶材料、多結晶材料、GaAs、Si、SiO、雲母のような材料、ガラスやフロートガラスのようなアモルファス化合物、およびペロブスカイトを含む組から選択される材料から作成されること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記金属は、Au、Ti、Pt、Ag、Cr、Cu、Alを含む組から選択され、前記金属酸化物は、Al、AgO、TiO、SiO、DyScO、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含む組から選択され、前記半導体材料は、Si、Ge、GaAs、GaN、InSb、InP、CdS、ZnSeを含む組から選択されること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、潤滑剤の層が前記第1の基板上に存在することなく、または前記潤滑剤の層が前記第1の基板上にまたは前記第1の基板上の前記レジストパターンが存在する場合には前記第1の基板上の前記レジストパターン上に事前に形成されていることなく、前記第1の基板上に、または前記第1の基板上の前記レジストパターンが存在する場合には前記第1の基板上の前記レジストパターン上に直接形成され、このように前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、形成後、前記第1の基板および/または前記レジストパターンと直接接触すること、を特徴とする請求項2〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
請求項2に従属する場合、ステップba)は、
ba)前記第1の基板上にレジストパターンを形成し、その後、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと、板上にレジストパターンを有する前記第1の基板との間の付着を弱めるために、潤滑剤の層を前記第1の基板上の前記レジストパターンに形成する
ように行われること、を特徴とする請求項2、5〜8、10〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項3に従属する場合、ステップba)は、
ba)潤滑剤の層を前記第1の基板へ形成し、その後、金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を、潤滑剤の層を板上に有する前記第1の基板へ形成し、前記潤滑剤の層は、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと前記第1の基板との間の付着を弱めるという目的を担う
ように行われること、を特徴とする請求項3および5〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項4に従属する場合、ステップba)は、
ba)金属、金属酸化物および/または半導体材料の層を、潤滑剤の層を板上に有する前記第1の基板へ形成し、前記潤滑剤の層は、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと前記第1の基板との間の付着を弱めるという目的を担う
ように行われること、を特徴とする請求項4、および5〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記潤滑剤は、ペルフルオロ‐アルキルトリクロロシランCのようなフルオロシラン、CH終端を有するシラン誘導体、テフロンおよびテフロン類似の材料を含む組から選択されること、を特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項16に従属する場合、ステップba)において、前記潤滑剤の層は、前記第1の基板上の前記レジストパターンへ形成され、その場合、続けてステップbc)において前記レジストパターンを除去した後、前記潤滑剤の層は前記存在するレジストを有さない位置にのみ存在すること、を特徴とする請求項16および19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ステップbb)において、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料の層は、存在するレジストを有する位置にある前記レジストパターンと直接接触し、存在するレジストを有さない位置にある前記潤滑剤と直接接触するように、レジストパターンを板上に有する前記第1の基板上に形成される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンがステップb)において前記第1の基板上に形成された後、ステップc)より先に転写媒介層が前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンへ形成され、前記転写媒介層は、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと前記第2の基板との間の付着を媒介する目的を担うこと、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記転写媒介層は、少なくとも2つの終端を有する化合物を含む材料から作成され、その場合1つの終端はチオールのような金属結合基、金属酸化物結合基または半導体結合基であり、他の終端は制御可能な付着を前記第2の基板へ提供すること、を特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記転写媒介層は、親水性溶媒との相互作用のための極性基を有する少なくとも1つの化合物を含むことにより、制御可能な付着を提供しており、前記化合物は、好ましくはアルカンチオールのような自己集合化単分子層を形成すること、または前記転写媒介層は、CaOの層のように水に可溶であること、を特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の基板は、ポリマー材料から作成され、好ましくはエラストマー、プラストマー、イオノマーおよびレジストを含む組から選択されるポリマー材料から作成されること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
ステップc)の間に、またはステップc)の後でステップd)の前に、前記第2の基板と、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとは、互いに等角接触している間、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンと前記第1の基板との間の付着を弱めるために、極性溶媒に曝される、または極性溶媒の中へ入れられること、を特徴とする請求項1〜15、22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記極性溶媒は、有機極性溶媒、無機極性溶媒および前記有機極性溶媒と前記無機極性溶媒との混合物の組から選択され、好ましくは、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドおよびアセトニトリルの組、および、前記水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドおよびアセトニトリルの混合物から選択されること、を特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒は、前記溶媒中に溶解されるいかなる追加溶質も有さないこと、を特徴とする請求項26〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
ステップb)の後でステップc)の前に、前記第1の基板上の前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、界面活性剤の溶液中に入れられることと、その後任意ですすぎ洗いされること、を特徴とする請求項1〜15、22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記界面活性剤は、第1級アミンを有するアルカン鎖から形成されるジチオカルバミン酸誘導体を含む組から選択され、前記界面活性剤が溶解している溶媒は、イソプロパノール、エタノールおよび水と、イソプロパノール、エタノールおよび水の混合物とを含む組から選択されること、を特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、
e1)第3の基板を用意し、前記第3の基板を、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを板上に有する第2の基板と等角接触させ、前記第2の基板を前記第3の基板から分離させ、このように前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを前記第3の基板に付着させ、前記第3の基板とともに前記第2の基板から分離させる追加ステップ
を含むこと、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第3の基板は、前記第2の基板から前記第3の基板への前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンの転写を可能にするメルカプト基またはアミノ基のような官能基を板上に有すること、を特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第3の基板は、ステップe1)より先に、前記第3の基板の表面上に金属、金属酸化物および/または半導体材料のさらなるパターンを有すること、および/または機能を提供する追加層を板上に有すること、および/またはナノワイヤ、ナノカラム、カーボンナノチューブで覆われていること、および/またはTiOまたはペロブスカイトのような交換可能な酸化物を板上に有すること、を特徴とする請求項31〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、
e2)好ましくは前記第2の基板を別の基板に積層し、それによって前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを2つの該基板に挟むことにより、前記第2の基板に付着する前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを有する前記第2の基板を、有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、分子電子デバイスまたはセンサデバイスのようなフレキシブルな有機電子デバイスの作成に用いる追加ステップ
を含むこと、を特徴とする請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは、前記第1の基板、前記第2の基板および存在する場合は前記第3の基板への付着力を有し、その場合前記第3の基板への付着力は、前記第1の基板への付着力より大きい前記第2の基板への付着力より大きいこと、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンは金のパターンであり、前記第1の基板は、板上に酸化物層を有するまたは有さないSi、または雲母、またはガラスであり、前記第2の基板はポリオレフィンプラストマー(POP)またはポリジメチルシロクサン(PDMS)、またはサーリンのようなイオノマーであり、前記第3の基板は、存在する場合、前記第3の基板上への前記金のパターンの付着を可能にするために官能基で任意に官能化されたSi、雲母またはガラスであること、を特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記官能化は、メルカプト基またはアミノ基またはカルボキシ基を有する化合物を、好ましくはデンドリマー化合物を用いることにより起こること、を特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ステップe1)は、機能を提供するいかなる追加層も前記第3の基板上に欠いて行われること、を特徴とする請求項1〜31、35〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
ステップe1)は、前記第2の基板と、前記第2の基板上の前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとを、イソプロパノール、エタノール、メタノール、プロパノールおよびヘキサンのような溶媒に曝す、または前記溶媒中に入れることにより、前記第2の基板と前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力を弱めることにより行われること、を特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップe1)は、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンを板上に有する前記第2の基板と、前記第3の基板との間に溶媒を入れ、それによって前記第3の基板と、前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力、または存在する場合、前記第3の基板上の前記転写媒介層と前記金属、金属酸化物および/半導体材料のパターンとの間の付着力を増加させることにより、前記第2の基板と前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンとの間の付着力を弱めることにより行われること、を特徴とする請求項31〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記第2の基板は、ドロップキャスティング、カーリング、好ましくは熱誘導カーリングまたは光誘導カーリング、および熱エンボス加工を含む組から選択される方法により作成されること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記第2の基板は、ステップc)において前記金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターンが等角接触される平坦な表面を有すること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記第2の基板は、前記平坦な表面と反対側に安定化硬裏面を有すること、を特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ステップc)およびe1)における前記等角接触は、1秒〜120分の範囲の期間起こること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
ステップc)およびe1)における前記等角接触は、平均圧力1mbar〜5barでのプレスプロセスであること、を特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
請求項1〜45のいずれかに記載の方法により製造される、基板上の金属、金属酸化物および/または半導体材料のパターン。
【請求項47】
前記パターンに欠陥またはアーティファクトを有さないこと、を特徴とする請求項46に記載のパターン。
【請求項48】
電子装置、ポリマー装置、生物医学装置における請求項46〜47のいずれかに記載のパターンの使用。

【図11】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−533838(P2009−533838A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501927(P2009−501927)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002665
【国際公開番号】WO2007/112878
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【出願人】(502314333)フォルシュングツェントルム・ユーリッヒ・ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】FORSCHUNGSZENTRUM JULICH GMBH
【住所又は居所原語表記】Wilhelm−Johnen−Strasse, 52425 Julich Germany
【Fターム(参考)】