説明

基板処理装置、基板の製造方法、及び、半導体デバイスの製造方法

【課題】SiCエピタキシャル成長装置に代表される誘導加熱により基板処理装置において、装置の高さを高くせずに基板載置領域の均熱長を確保する。
【解決手段】基板を処理する処理室と、処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、処理室内で基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、被誘導体の筒状の側壁の上端側及び下端側の厚さは、筒状の側壁の中央部の厚さより薄い。また、誘導コイルの上端側及び下端側は、中央部と比較して密に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置、半導体デバイスの製造方法及び基板の製造方法、特に炭化ケイ素(以下、SiCとする)エピタキシャル膜を基板上に成膜する工程を有する基板処理装置、半導体デバイスの製造方法及び基板製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SiCは、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。一方で、SiCはシリコン(以下Siとする)に比べて結晶基板やデバイスの作製が難しいことが知られている。
【0003】
一方で、SiCを用いてデバイスを作製する場合は、SiC基板の上にSiCエピタキシャル膜を形成したウェーハを用いる。このSiC基板上にSiCエピタキシャル膜を形成するSiCエピタキシャル成長装置の一例として特許文献1がある。
【0004】
特許文献1には、1500度から1800度程度まで反応室を加熱するため誘導加熱を用いることが記載されており、磁気コイルから発生される磁場によって発熱するサセプタにより反応室が形成されることが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−3885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるような高さ方向に複数のウェーハを配置し、一括してウェーハの処理を行う場合は、反応室内のボート(若しくは、ウェーハ)が載置される基板載置領域における高さ方向の熱の均一性を確保することが重要となる。しかしながら、その構造上、反応室の上部、及び、下部では、熱逃げが発生してしまい、反応室の上部、及び、下部では、その温度が低下してしまう。これを解決するためには、例えば、磁気コイルの上端及び下端を延ばし、基板載置領域に対して加熱領域を大きくすることで基板載置領域の均熱を確保することが考えられる。しかしながら、この方法では基板処理装置を高くなってしまい、設置の問題や、コストの増加等が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、処理室内で基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、被誘導体の筒状の側壁の上端側及び下端側の厚さは、筒状の側壁の中央部の厚さより薄い基板処理装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、基板を処理する処理室と、処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、処理室内で基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、誘導コイルの上端側及び下端側は、誘導コイルの中央部より密に構成される基板処理装置が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、複数の基板をボートに保持した状態で反応室内に搬入するボートローディング工程と、反応室を囲うように設けられた被誘導体を誘導コイルに電流を流すことにより加熱すると共に、反応室内に成膜ガスを供給し、所定の膜を形成する成膜工程と、成膜工程において成膜された複数の基板を反応室から搬出するボートアンローディング工程と、を有し、成膜工程において、被誘導体の上端側及び下端側の発熱量が中央部の発熱量より大きい基板の製造方法又は半導体デバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
基板載置領域における均熱長を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用される半導体製造装置の斜視図である。
【図2】本発明が適用される処理炉の側面断面図である。
【図3】本発明が適用される処理炉の平面断面図である。
【図4】本発明が適用される半導体製造装置のガス供給ユニットを説明する図である。
【図5】本発明が適用される半導体製造装置の制御構成を示すブロック図である。
【図6】本発明を説明するために簡略化した図2に示される処理炉の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、基板処理装置の一例であるSiCエピタキシャル成長装置における、高さ方向にSiCウェーハを並べる、所謂バッチ式縦型SiCエピタキシャル成長装置で説明する。なお、バッチ式縦型SiCエピタキシャル成長装置とすることで、一度に処理できるSiCウェーハの数が多くなりスループットが向上する。
【0013】
<全体構成>
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施形態に於けるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置、および、半導体デバイスの製造工程の一つであるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法について説明する。
【0014】
基板処理装置(成膜装置)としての半導体製造装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、主要部が配置される筐体12を有する。前記半導体製造装置10には、例えばSiC等で構成された基板としてのウェーハ14(図2参照)を収納する基板収容器として、フープ(以下、ポッドと称す)16がウェーハキャリアとして使用される。前記筐体12の正面側には、ポッドステージ18が配置されており、該ポッドステージ18にポッド16が搬送される。ポッド16には、例えば25枚のウェーハ14が収納され、蓋が閉じられた状態で前記ポッドステージ18にセットされる。
【0015】
前記筐体12内の正面であって、前記ポッドステージ18に対向する位置には、ポッド搬送装置20が配置されている。又、該ポッド搬送装置20の近傍にはポッド収納棚22、ポッドオープナ24及び基板枚数検知器26が配置されている。前記ポッド収納棚22は前記ポッドオープナ24の上方に配置され、ポッド16を複数個載置した状態で保持する様に構成されている。前記基板枚数検知器26は、前記ポッドオープナ24に隣接して配置され、前記ポッド搬送装置20は前記ポッドステージ18と前記ポッド収納棚22と前記ポッドオープナ24との間でポッド16を搬送する。前記ポッドオープナ24はポッド16の蓋を開けるものであり、前記基板枚数検知器26は蓋を開けられたポッド16内のウェーハ14の枚数を検知する様になっている。
【0016】
前記筐体12内には、基板移載機28、基板保持具としてのボート30が配置されている。前記基板移載機28は、アーム(ツイーザ)32を有し、図示しない駆動手段により昇降可能且つ回転可能な構造となっている。前記アーム32は、例えば5枚のウェーハ14を取出すことができ、前記アーム32を動かすことにより、前記ポッドオープナ24の位置に置かれたポッド16及びボート30間にてウェーハ14を搬送する。
【0017】
前記ボート30は、例えばカーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で構成されており、複数枚のウェーハ14を水平姿勢で、且つ互いに中心を揃えた状態で整列させて縦方向に積上げ、保持する様に構成されている。尚、前記ボート30の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料で構成された中空筒状の断熱部材としてボート断熱部34が配置されており、後述する被加熱体48からの熱が処理炉40の下方側に伝わりにくくなる様に構成されている(図2参照)。
【0018】
前記筐体12内の背面側上部には前記処理炉40が配置されている。該処理炉40内に複数枚のウェーハ14を装填した前記ボート30が搬入され、熱処理が行われる。
【0019】
<処理炉構成>
次に、図2、図3、図4に於いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する前記半導体製造装置10の前記処理炉40について説明する。処理炉40には、第1のガス供給口68を有する第1のガス供給ノズル60、第2のガス供給口72を有する第2のガス供給ノズル70、及び第1のガス排気口90が設けられる。又、不活性ガスを供給する第3のガス供給口360、第2のガス排気口390が図示されている。
【0020】
処理炉40は、石英又はSiC等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成された反応管42を備えている。反応管42の下方には、反応管42と同心円状にマニホールド36が配設されている。該マニホールド36は、例えばステンレス等からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。該マニホールド36は、反応管42を支持する様に設けられている。尚、マニホールド36と反応管42との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。マニホールド36が図示しない保持体に支持されることにより、反応管42は垂直に据付けられた状態になっている。該反応管42とマニホールド36により、反応容器が形成されている。
【0021】
処理炉40は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成された被誘導体48及び磁場発生部としての誘導コイル50を具備している。被誘導体48の筒中空部には、反応室44が形成れており、SiC等で構成された基板としてのウェーハ14を保持したボート30を収納可能に構成されている。これらの被誘導体48と誘導コイル50にて加熱部が構成される。なお、加熱部については後で詳述する。
【0022】
また、図2の右枠内に示されるように、ウェーハ14は、円環状の下部ウェーハホルダ15に保持され、上面を円板状の上部ウェーハホルダ15aで覆われた状態でボート30に保持されるとよい。これにより、ウェーハ上部から落下しているパーティクルからウェーハ14を守ることができると共に、成膜面(ウェーハ14の下面)に対して裏面側の成膜を抑制することができる。また、ウェーハホルダ15の分ボート柱から成膜面を離すことができ、ボート柱の影響を小さくすることができる。ボート30は、水平姿勢で、且つ、互いに中心を揃えた状態で縦方向に整列するようにウェーハホルダ15に保持されたウェーハ14を保持するよう構成されている。被誘導体48は、該反応管42の外側に設けられた誘導コイル50により発生される磁場によって加熱される様になっており、被誘導体48が発熱することにより、反応室44内が加熱される様になっている。
【0023】
被誘導体48の近傍には、反応室44内の温度を検出する温度検出体として図示しない温度センサが設けられている。誘導コイル50及び温度センサは、温度制御部52と電気的に接続されており、温度センサにより検出された温度情報に基づき、誘導コイル50への通電具合が調節されることで、反応室44内の温度が所望の温度分布となる様所定のタイミングにて制御される様構成されている(図5参照)。
【0024】
尚、好ましくは、反応室44内に於いて前記第1及び第2のガス供給ノズル60,70と第1のガス排気口90との間であって、前記被加熱体48とウェーハ14との間には、被加熱体48とウェーハ14との間の空間を埋める様、鉛直方向に延在し断面が円弧状の構造物300を反応室44内に設けるのがよい。例えば、図3に示す様に、対向する位置にそれぞれ構造物300を設けることで、第1及び第2のガス供給ノズル60,70から供給されるガスが、被誘導体48の内壁に沿ってウェーハ14を迂回するのを防止することができる。構造物300としては、好ましくはカーボングラファイト等で構成すると、耐熱及びパーティクルの発生を抑制することができる。
【0025】
反応管42と被誘導体48との間には、例えば誘電されにくいカーボンフェルト等で構成された断熱材54が設けられ、該断熱材54を設けることにより、被誘導体48の熱が反応管42或は該反応管42の外側へ伝達するのを抑制することができる。
【0026】
又、誘導コイル50の外側には、反応室44内の熱が外側に伝達するのを抑制する為の、例えば水冷構造である外側断熱壁55が反応室44を囲む様に設けられている。更に、外側断熱壁55の外側には、誘導コイル50により発生された磁場が外側に漏れるのを防止する磁気シール58が設けられている。
【0027】
図2に示す様に、被誘導体48とウェーハ14との間には、少なくとも1つの第1のガス供給口68が設けられた第1のガス供給ノズル60が設置される。又、被誘導体48とウェーハ14との間の第1のガス供給ノズル60とは異なる箇所には、少なくとも1つの第2のガス供給口72が設けられた第2のガス供給ノズル70が設けられる。また、第1のガス排気口90も同様に被加熱体48とウェーハ14との間に配置される。又、反応管42と断熱材54との間に、第3のガス供給口360及び第2のガス排気口390が配置されている。なお、第1のガス供給ノズル60及び第2のガス供給ノズル70から供給されるガス種については、後述する。
【0028】
第1のガス供給口68及び第1のガス供給ノズル60は、例えばカーボングラファイトで構成され、反応室44内に設けられる。又、第1のガス供給ノズル60は、マニホールド36を貫通する様に該マニホールド36に取付けられている。該第1のガス供給ノズル60は、第1のガスライン222を介してガス供給ユニット200に接続される。
【0029】
前記第2のガス供給口72は、例えばカーボングラファイトで構成され、反応室44内に設けられる。また、第2のガス供給ノズル70は、マニホールド36を貫通する様に、該マニホールド36に取付けられている。また、第2のガス供給ノズル70は、第2のガスライン260を介してガス供給ユニット200に接続されている。
【0030】
又、第1のガス供給ノズル60及び第2のガス供給ノズル70に於いて、基板の配列領域に第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72が1つ設けられていてもよく、ウェーハ14の所定枚数毎に設けられていてもよい。
【0031】
<排気系>
図2に示す様に、第1のガス排気口90が、ボート30より下部に設けられ、マニホールド36には、第1のガス排気口90に接続されたガス排気管230が貫通する様に設けられている。該ガス排気管230の下流側には、図示しない圧力検出器としての圧力センサ及び、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214を介して真空ポンプ等の真空排気装置220が接続されている。圧力センサ及びAPCバルブ214には、圧力制御部98が電気的に接続されており、該圧力制御部98は圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ214の開度を調整し、処理炉40内の圧力が所定の圧力となる様所定のタイミングにて制御する様に構成されている(図5参照)。
【0032】
上記した様に、第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72から供給されたガスはSi又はSiCで構成されたウェーハ14に対し平行に流れ、第1のガス排気口90より排気されるので、ウェーハ14全体が効率的且つ均一にガスに晒される。
【0033】
また、ボート30の下には、反応室からの輻射熱によりマニホールド36等が加熱されないようにボート断熱部34Aが設けられる。また、本実施形態では、反応室にて加熱された成膜ガスが高温のままマニホールド36等に到達しないように、成膜ガスと熱交換を行い、成膜ガスの温度を下げるための熱交換部が設けられている。具体的には、ボート断熱部34Aを中空筒状とし、その側面に沿って成膜ガスが排気されるようにしている。また、当該ボート断熱部34Aを囲むように、第1熱交換部34B、及び、ガス供給ノズル60(70)の下部に設けられた第2熱交換部が設けられる。これらの第1熱交換部34B及び第2熱交換部34Cは、ボート断熱部34Aと間隙を有するように配置され、また、排気される成膜ガスの流路を反応室内における成膜ガスの流路より狭くしている。これにより、成膜ガスは、狭い流路を介して排気されるので、より熱交換の効率が良くなる。
【0034】
又、図3に示す様に、第3のガス供給口360は反応管42と断熱材54との間に配置され、マニホールド36を貫通する様に取付けられている。更に、第2のガス排気口390が、反応管42と断熱材54との間であり、第3のガス供給口360に対して対向する様に配置され、第2のガス排気口390はガス排気管230に接続されている。第3のガス供給口360は、マニホールド36を貫通する第3のガスライン240に形成され、第3のガスラインは、ガス供給ユニット200に接続される。また、図4に示されるように、第3のガスラインは、バルブ212f、MFC211fを介してガス供給源210fと接続されている。該ガス供給源210fからは不活性ガスとして、例えば希ガスのArガスが供給され、SiCエピタキシャル膜成長に寄与するガスが反応管42と断熱材54との間に進入するのを防ぎ、反応管42の内壁又は断熱材54の外壁に不要な生成物が付着するのを防止することができる。
【0035】
又、反応管42と断熱材54との間に供給された不活性ガスは、第2のガス排気口390よりガス排気管230の下流側にあるAPCバルブ214を介して真空排気装置220から排気される。
【0036】
<各ガス供給系に供給されるガスの詳細>
次に、図4を用いて、第1のガス供給系及び第2のガス供給系について説明する。図4に示されるように、該第1のガスライン222は、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスに対して流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ(以下MFCとする)211a,211b,211c、及び、バルブ212a,212b,212cを介して、例えばSiH4ガス供給源210a、HClガス供給源210b、不活性ガス供給源210cに接続されている。
【0037】
上記構成により、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスのそれぞれの供給流量、濃度、分圧、供給タイミングを反応室44内に於いて制御することができる。バルブ212a,212b,212c、MFC211a,211b,211cは、ガス流量制御部78に電気的に接続されており、それぞれ供給するガスの流量が所定流量となる様に、所定のタイミングにて制御される様になっている(図5参照)。尚、SiH4ガス、HClガス、不活性ガスのそれぞれのガス供給源210a,210b、210c、バルブ212a,212b、212c、MFC211a,211b,211c、第1のガスライン222、第1のガス供給ノズル60及び該第1のガス供給ノズル60に少なくとも1つ設けられる第1のガス供給口68により、ガス供給系として第1のガス供給系が構成される。
【0038】
また、第2のガスライン260は、C(炭素)原子含有ガスとして、例えばC3H8ガスに対して流量制御手段としてのMFC211d及びバルブ212dを介してC3H8ガス供給源210dに接続され、還元ガスとして、例えばH2ガスに対して流量制御手段としてのMFC211e及びバルブ212eを介してH2ガス供給源210eに接続されている。
【0039】
上記構成により、C3H8ガス、H2ガスの供給流量、濃度、分圧を反応室44内に於いて制御することができる。バルブ212d,212e、MFC211d,211eは、ガス流量制御部78に電気的に接続されており、供給するガス流量が所定の流量となる様、所定のタイミングにて制御される様になっている(図5参照)。尚、C3H8ガス、H2ガスのガス供給源210d,210e、バルブ212d,212e、MFC211d,211e、第2のガスライン260、第2のガス供給ノズル70、第2のガス供給口72により、ガス供給系として第2のガス供給系が構成される。
【0040】
このように、Si原子含有ガスとC原子含有ガスを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル内では、SiC膜が堆積しないようにすることができる。また、還元ガスである水素ガスは、ノズル内のSi原子含有ガスの分解を抑制するためC原子含有ガスを供給する第2のガス供給ノズル70を介して供給している。この場合、還元ガスをC原子含有ガスのキャリアガスとして用いることが可能となる。なお、Si原子含有ガスのキャリアとしては、アルゴン(Ar)のような不活性ガス(特に希ガス)を用いることにより、Si膜の堆積を抑制することが可能となる。更に、第1のガス供給ノズル60には、HClのような塩素原子含有ガスを供給している。このようにすると、Si原子含有ガスが熱により分解し、第1のガス供給ノズル内に堆積可能な状態となったとしても、塩素によりエッチングモードとすることが可能となり、第1のガス供給ノズル内へのSi膜の堆積をより抑制することが可能になる。また、塩素原子含有ガスには、堆積した膜をエッチングする効果もあり、第1のガス供給口68の閉塞を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、SiCエピタキシャル膜を形成する際に流すCl(塩素)原子含有ガスとしてHClガスを例示したが、塩素ガスを用いてもよい。
【0042】
又、上述ではSiCエピタキシャル膜を形成する際に、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを供給したが、Si原子とCl原子を含むガス、例えばテトラクロロシラン(以下SiCl4とする)ガス、トリクロロシラン(以下SiHCl3)ガス、ジクロロシラン(以下SiH2Cl2)ガスを供給してもよい。また、言うまでもないが、これらのSi原子及びCl原子を含むガスは、Si原子含有ガスでも有り、又は、Si原子含有ガス及びCl原子含有ガスの混合ガスともいえる。特に、SiCl4は、熱分解される温度が比較的高いため、ノズル内のSi消費抑制の観点から望ましい。
【0043】
又、上述ではC(炭素)原子含有ガスとしてC3H8ガスを例示したが、エチレン(以下C2H4とする)ガス、アセチレン(以下C2H2とする)ガスを用いてもよい。
【0044】
また、還元ガスとしてH2ガスを例示したが、これに限らず他のH(水素)原子含有ガスを用いても良い。更には、キャリアガスとしては、Ar(アルゴン)ガス、He(ヘリウム)ガス、Ne(ネオン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうち少なくとも1つを用いてもよいし、上記したガスを組合わせた混合ガスを用いてもよい。
【0045】
<加熱部の詳細>
次に、加熱部について図6を用いて詳細に説明する。図6は、図2に示す処理炉40の内、説明をわかりやすくするために必要な部材を取り出した図である。
【0046】
本実施形態では、まず、ボート30(若しくは、複数のウェーハ14)が載置される基板載置領域を囲むように設置された筒状の被誘導体48の側壁の厚さを上端部と下端部で薄くし、中央の領域(Aの範囲)では、上端部又は下端部と比較して厚くしている。誘導加熱方式では、誘導コイル50からの磁場により被誘導体48に誘導電流が流れることにより発生するジュール熱で加熱が行われる。ここで、被誘導体48を薄くすると被誘導体の抵抗値が高くなるため、発生するジュール熱も大きくなる。一方、被誘導体48を厚くすると被誘導体の抵抗値が低くなるため発生するジュール熱は小さくなる。従って、図6に示すように被誘導体48の上端部及び下端部を薄くすることで、上端部及び下端部では、発熱が大きくなり、熱逃げによる温度の低下を補填することが可能となる。その結果、基板載置領域における均熱を確保することが可能となる。また、中央部に対して上端部、下端部の発熱量を大きくしない場合と比較すると、加熱領域を小さくできるため装置全体の高さを低くすることが可能となる。
【0047】
また、基板載置領域は、被誘導体48を同じ厚さとし、基板載置領域より上部の被誘導体を薄くしてもよい。これにより、被誘導体をすべて同じ厚さとする場合と比較して、熱バッファ層として基板載置領域より上方に設けなければならない量を少なくでき、装置全体の高さを低くすることができる。更には、被誘導体48の側壁を薄くする上端側の領域(B)は、ボート30が載置される基板載置領域の上端部を含むように構成するとよい。即ち、被誘導体48の側壁の上端側の薄い領域(B)の下端は、ボート30の上端より低くするとよい。このように、被誘導体48の側壁を薄くする上端側の領域(B)をボート30が載置される基板載置領域まで含むように構成し、上部への熱逃げ分を補填するようにすることで、装置の高さをより低くすることが可能となる。また、被誘導体48の下端側も同様の理由から、その側壁を薄くする領域(C)が基板載置領域を含むように構成すると良い。即ち、被誘導体48の側壁の下端側の薄い領域(C)の上端は、ボート30の下端より高くすると良い。
【0048】
また、図6に示されるように、被誘導体48の側壁の薄い部分と厚い部分の境界部は、徐々に薄くなるような構造とすることが望ましい。徐々に薄くなる構造とせずに段差を有するように構成すると、段差の角部に熱による応力が集中し、被誘導体の寿命が短くなってしまう。
【0049】
次に、誘導コイル50について説明する。誘導加熱方式においては、誘導コイル50が密に構成される領域は、誘導磁場が多く生成されるため被誘導体48におけるジュール熱の生成も大きくなる。そこで、本実施形態では、被誘導体の側壁の厚さを上端部及び下端部と中央部で異ならせるのに加えて、誘導コイル50の上端部及び下端部において、誘導コイル50を比較的密(領域E及び領域F)に構成し、誘導コイル50の中央部では比較的粗(領域D)に構成している。これにより、被誘導体48の側壁の厚薄による温度制御に加えて誘導コイル50の粗密により基板載置領域の温度の均一性を確保することができる。また、被誘導体48と同様に、誘導コイル50を密に構成する領域(E)の下端をボート30の上端より低くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。また、誘導コイル50を密に構成する領域(F)の上端をボート30の下端より高くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、被誘導体48の側壁の厚さが変わる位置と、誘導コイル50の粗密が変わる位置とがずらして構成している。より具体的には、誘導コイル50が粗に構成されている領域(D)において、被誘導体48の側壁が厚い部分と薄い部分を有するように構成している。このように構成することで、上部から”被誘導体:薄、誘導コイル:密、発熱量:大”⇒”被誘導体:薄、誘導コイル:粗、発熱量:中”⇒”被誘導体:厚、誘導コイル:粗、発熱量:小”というように構成されるため段階的に被誘導体の発熱量を調整できるようになる。なお、本実施形態では、誘導コイル50が粗となっている領域において、被誘導体48が厚い部分と薄い部分とを有することにしているが、その逆に、誘導コイル50が密となっている領域において、被誘導体48が厚い部分と薄い部分とを有するように構成しても良い。
【0051】
また、誘導コイル50が密に構成される領域は、上端の領域(E)より下端の領域(F)のほうが長く構成されている。これにより、上端側と比較して加熱量を大きくすることができ、被誘導体48及び断熱材54により囲われている上端側に対し、ボート断熱部34Aや第1熱交換部34B、第2熱交換部34C等の排気経路が設けられており熱逃げが大きい下端側の熱の補填を確実にできるようになる。
【0052】
また、ガス供給ノズル60(70)の下部に設けられた第2熱交換部34Cは、誘導コイル50の下端側の領域(F)に含まれるように構成される。これにより、第2熱交換部34Cを成膜ガスの加熱領域としても使用することが可能となり、成膜ガスの温度上昇を助けることができる。
【0053】
<制御部>
次に、図5に於いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10を構成する各部の制御構成について説明する。
【0054】
温度制御部52、ガス流量制御部78、圧力制御部98、駆動制御部108は、操作部及び入出力部を構成し、半導体製造装置10全体を制御する主制御部150に電気的に接続されている。又、温度制御部52、ガス流量制御部78、圧力制御部98、駆動制御部108は、コントローラ152として構成されている。
【0055】
<SiC膜の形成方法>
次に、上述した半導体製造装置10を用い、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウェーハ14等の基板上に、例えばSiC膜を形成する基板の製造方法について説明する。尚、以下の説明に於いて半導体製造装置10を構成する各部の動作は、コントローラ152により制御される。
【0056】
先ず、ポッドステージ18に複数枚のウェーハ14を収納したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置20によりポッド16をポッドステージ18からポッド収納棚22へ搬送し、ストックする。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収納棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、該ポッドオープナ24によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器26によりポッド16に収納されているウェーハ14の枚数を検知する。
【0057】
次に、基板移載機28により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェーハ14を取出し、ボート30に移載する。
【0058】
複数枚のウェーハ14がボート30に装填されると、ウェーハ14を保持したボート30は、昇降モータ122による昇降台114及び昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬入(ボートローディング)される。この状態では、シールキャップ102はOリング(図示せず)を介してマニホールド36の下端をシールした状態となる。
【0059】
ボート30搬入後、反応室44内が所定の圧力(真空度)となる様に、真空排気装置220によって真空排気される。この時、反応室44内の圧力は、圧力センサ(図示せず)によって測定され、測定された圧力に基づき第1のガス排気口90及び第2のガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。又、ウェーハ14及び反応室44内が所定の温度となる様前記被誘導体48が加熱される。この時、反応室44内が所定の温度分布となる様、温度センサ(図示せず)が検出した温度情報に基づき誘導コイル50への通電具合がフィードバック制御される。また、被誘導体の発熱量は、上端側及び下端側が中央部と比較して高くなるように加熱される。これにより、反応室内の均熱が確保される。続いて、回転機構104により、ボート30が回転されることで、ウェーハ14が周方向に回転される。
【0060】
続いて、SiCエピタキシャル成長反応に寄与するSi(シリコン)原子含有ガス及びCl(塩素)原子含有ガスは、それぞれガス供給源210a,210bから供給され、前記第1のガス供給口68より前記反応室44内に噴出される。又、C(炭素)原子含有ガス及び還元ガスであるH2ガスが、所定の流量となる様に対応する前記MFC211d,211eの開度が調整された後、バルブ212d,212eが開かれ、それぞれのガスが第2のガスライン260に流通し、第2のガス供給ノズル70に流通して第2のガス供給口72より反応室44内に導入される。
【0061】
第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72より供給されたガスは、反応室44内の被誘導体48の内側を通り、第1のガス排気口90からガス排気管230を通って排気される。第1のガス供給口68及び第2のガス供給口72より供給されたガスは、反応室44内を通過する際に、SiC等で構成されるウェーハ14と接触し、ウェーハ14表面上にSiCエピタキシャル膜成長がなされる。
【0062】
又、ガス供給源210fより、不活性ガスとしての希ガスであるArガスが所定の流量となる様に対応するMFC211fの開度が調整された後、バルブ212fが開かれ、第3のガスライン240に流通し、第3のガス供給口360から反応室44内に供給される。第3のガス供給口360から供給された不活性ガスとしての希ガスであるArガスは、反応室44内の断熱材54と反応管42との間を通過し、第2のガス排気口390から排気される。
【0063】
次に、予め設定された時間が経過すると、上述したガスの供給が停止され、図示しない不活性ガス供給源より不活性ガスが供給され、反応室44内の被加熱体48の内側の空間が不活性ガスで置換されると共に、反応室44内の圧力が常圧に復帰される。
【0064】
その後、昇降モータ122によりシールキャップ102が下降され、マニホールド36の下端が開口されると共に、処理済みのウェーハ14がボート30に保持された状態でマニホールド36の下端から反応管42の外部に搬出(ボートアンローディング)され、ボート30に保持されたウェーハ14が冷える迄、ボート30を所定位置にて待機させる。待機させた該ボート30のウェーハ14が所定温度迄冷却されると、基板移載機28により、ボート30からウェーハ14を取出し、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送して収納する。その後、ポッド搬送装置20によりウェーハ14が収納されたポッド16をポッド収納棚22、又は前記ポッドステージ18に搬送する。この様にして、半導体製造装置10の一連の作動が完了する。
【0065】
以上、本実施形態を図面を用いて説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、被誘導体48の厚薄と誘導コイル50の粗密を組合せて使用しているが、必要に応じてどちらか一方のみの構成としても良い。また、被誘導体48の厚い部分を薄い部分に対して外側に突き出す形で形成しているが、これに限らず、被誘導体48の厚い部分を内側に突き出す形で形成しても良い。更に、被誘導体48の厚薄、及び、誘導コイル50の粗密を2段階で記載したが、3段階以上に変化させても良い。
【0066】
以上、本実施形態によれば、以下記載する効果のうち少なくなくとも一つ効果を有する。
(1)筒状の被誘導体48の側壁の上端側の厚さ及び下端側の厚さを中央部の厚さと比較して薄く構成したことにより、反応室の上端側及び下端側にて生じる熱逃げによる温度低下を補填することができ、基板載置領域における均熱を確保できる。また、反応室の上端側、及び、下端側での発熱量を大きくしているため均熱を確保するために必要な加熱領域を小さくすることができ、装置全体の高さを低くすることができる。
【0067】
(2)上記(1)において、被誘導体48の側壁の厚さを薄くする領域(B)の下端をボート30の上端より低くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。また、被誘導体48の側壁の厚さを薄くする領域(C)の上端をボート30の下端より高くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。
【0068】
(3)上記(1)又は(2)において、被誘導体48の厚い部分から薄い部分に向かって徐々に薄くなるように構成することにより、熱応力による被誘導体48の破損を抑制することができる。
【0069】
(4)誘導コイル50を上端側及び下端側を中央部と比較して密に構成することにより、反応室の上端側及び下端側にて生じる熱逃げによる温度低下を補填することができ、基板載置領域における均熱を確保できる。また、反応室の上端側、及び、下端側での発熱量を大きくしているため均熱を確保するために必要な加熱領域を小さくすることができ、装置全体の高さを低くすることができる。
【0070】
(5)上記(4)において、誘導コイル50を密に構成する領域(E)の下端をボート30の上端より低くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。また、誘導コイル50を密に構成する領域(F)の上端をボート30の下端より高くすることにより、より加熱領域を小さくすることができ、装置の高さを更に低くすることができる。
【0071】
(6)上記(4)又は(5)において、誘導コイル50が密に構成される上端側の領域(E)より誘導コイル50が密に構成される下端側の領域(F)のほうが大きくなるように構成することにより、より基板載置領域の均熱を確保することができる。
【0072】
(7)上記(4)乃至(6)のいずれか一つにおいて、ガス供給ノズル60(70)の下部に設けられた第2熱交換部34Cの上端を誘導コイル50が密に構成される領域(F)に含まれるように構成することにより、成膜ガスを効率よく加熱することができる。
【0073】
(8)被誘導体48の厚薄が変化する位置と誘導コイル50の粗密が変化する位置とをずらして構成することにより、より細かく温度の調整を行うことができる。
【0074】
以上、実施形態においては、SiCエピタキシャル成長装置を用いて説明してきたが、本発明はそれに限らず、誘導加熱方式を用いる基板処理装置、特に誘導加熱方式を用いるバッチ式縦型基板処理装置全般に用いることができる。
【0075】
以下、本実施形態に含まれる発明の主な態様を以下に付記する。
(付記1)
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、
前記処理室内で前記基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、
前記被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、
前記被誘導体の前記筒状の側壁の上端側及び下端側の厚さは、前記筒状の側壁の中央部の厚さより薄い基板処理装置。
【0076】
(付記2)付記1において、前記筒状の側壁の上端側の薄い領域の下端は、前記ボートの上端より低い基板処理装置。
【0077】
(付記3)付記1又は2において、前記筒状の側壁の下端側の薄い領域の上端は、前記ボートの下端より高い基板処理装置。
【0078】
(付記4)付記1乃至3のいずれか一つにおいて、前記筒状の側壁の薄い部分と前記筒状の側壁の厚い部分との境界は、前記厚い部分から前記薄い部分に向けて徐々に薄くなる基板処理装置。
【0079】
(付記5)付記1乃至4のいずれか一つにおいて、前記誘導コイルの上端側及び下端側は、前記誘導コイルの中央部より密に構成される基板処理装置。
【0080】
(付記6)付記5において、前記誘導コイルの上端側の密に構成された領域の下端は、前記ボートの上端より低い基板処理装置。
【0081】
(付記7)付記5又は6において、前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域の上端は、前記ボートの下端より高い基板処理装置。
【0082】
(付記8)付記5乃至7のいずれか一つにおいて、前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域は、前記誘導コイルの上端側の密に構成された領域より大きい基板処理装置。
【0083】
(付記9)付記5乃至8のいずれか一つにおいて、前記処理室内に設けられ、前記基板に成膜ガスを供給するガス供給ノズルと、前記ガス供給ノズルの下部に設けられた熱交換部とを更に具備し、前記熱交換部の上端は、前記ガス供給ノズルの前記前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域に含まれる基板処理装置。
【0084】
(付記10)付記5乃至9のいずれか一つにおいて、前記被誘導体の筒状の側壁の厚さが変化する位置と前記誘導コイルの粗密が変化する位置は、異なる位置である基板処理装置。
【0085】
(付記11)
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、
前記処理室内で前記基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、
前記被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、
前記誘導コイルの上端側及び下端側は、前記誘導コイルの中央部より密に構成される基板処理装置。
【0086】
(付記12)付記11において、前記誘導コイルの上端側の密に構成された領域の下端は、前記ボートの上端より低い基板処理装置。
【0087】
(付記13)付記11又は12において、前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域の上端は、前記ボートの下端より高い基板処理装置。
【0088】
(付記14)付記11乃至13のいずれか一つにおいて、前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域は、前記誘導コイルの上端側の密に構成された領域より大きい基板処理装置。
【0089】
(付記15)付記11乃至14のいずれか一つにおいて、前記処理室内に設けられ、前記基板に成膜ガスを供給するガス供給ノズルと、前記ガス供給ノズルの下部に設けられた熱交換部とを更に具備し、前記熱交換部の上端は、前記ガス供給ノズルの前記前記誘導コイルの下端側の密に構成された領域に含まれる基板処理装置。
【0090】
(付記16)
複数の基板をボートに保持した状態で反応室内に搬入するボートローディング工程と、
前記反応室を囲うように設けられた被誘導体を誘導コイルに電流を流すことにより加熱すると共に、前記反応室内に成膜ガスを供給し、所定の膜を形成する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記複数の基板を前記反応室から搬出するボートアンローディング工程と、を有し、
前記成膜工程において、前記被誘導体の上端側及び下端側の発熱量が中央部の発熱量より大きい基板の製造方法又は半導体デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0091】
10:半導体製造装置、12:筐体、14:ウェーハ、15:ウェーハホルダ、15a:上部ウェーハホルダ、15b:下部ウェーハホルダ、16:ポッド、18:ポッドステージ、20:ポッド搬送装置、22:ポッド収納棚、24:ポッドオープナ、26:基板枚数検知器、28:基板移載機、30:ボート、32:アーム、34A:ボート断熱部、34B:第1熱交換部、34C:第2熱交換部、36:マニホールド、40:処理炉、42:反応管、44:反応室、48:被誘導体、50:誘導コイル、52:温度制御部、54:断熱材、55:外側断熱壁、58:磁気シール、60:第1のガス供給ノズル、68:第1のガス供給口、70:第2のガス供給ノズル、72:第2のガス供給口72、78:ガス流量制御部、90:第1のガス排気口、98:圧力制御部、150:主制御部、152:コントローラ、200:ガス供給ユニット、210:ガス供給源、211:MFC、212:バルブ、214:APCバルブ、222:第1のガスライン、230:ガス排気管、260:第2のガスライン、300:構造物、360:第3のガス供給口、390:第2のガス排気口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、
前記処理室内で前記基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、
前記被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、
前記被誘導体の前記筒状の側壁の上端側及び下端側の厚さは、前記筒状の側壁の中央部の厚さより薄い基板処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記誘導コイルの上端側及び下端側は、前記誘導コイルの中央部より密に構成される基板処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記被誘導体の筒状の側壁の厚さが変化する位置と前記誘導コイルの粗密が変化する位置は、異なる位置である基板処理装置。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に収容され、複数枚の基板を鉛直方向にそれぞれが間隔を成すように保持するボートと、
前記処理室内で前記基板の収容領域を囲うように設けられ、筒状の側壁を有する被誘導体と、
前記被誘導体を誘導加熱する誘導コイルと、を具備し、
前記誘導コイルの上端側及び下端側は、前記誘導コイルの中央部より密に構成される基板処理装置。
【請求項5】
複数の基板をボートに保持した状態で反応室内に搬入するボートローディング工程と、
前記反応室を囲うように設けられた被誘導体を誘導コイルに電流を流すことにより加熱すると共に、前記反応室内に成膜ガスを供給し、所定の膜を形成する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記複数の基板を前記反応室から搬出するボートアンローディング工程と、を有し、
前記成膜工程において、前記被誘導体の上端側及び下端側の発熱量が中央部の発熱量より大きい基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175076(P2012−175076A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38804(P2011−38804)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】