基板処理装置
【課題】大型基板上においても光による均一な処理を行うことの可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板32を載置する基板載置部33を備える処理室13と、処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部11と、処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓15と、前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部16と、処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口23を有するガス配管21と、処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、前記複数のガス導入口が、前記透過窓境界部に設けられるように基板処理装置を構成する。
【解決手段】基板32を載置する基板載置部33を備える処理室13と、処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部11と、処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓15と、前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部16と、処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口23を有するガス配管21と、処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、前記複数のガス導入口が、前記透過窓境界部に設けられるように基板処理装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光などの光を用いた基板処理技術に関し、特に、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイや有機EL照明、有機薄膜太陽電池の製造において用いられる封止技術や表面平坦化技術等に使用される光CVD(Chemical Vapor Deposition)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイや有機EL照明の製造においては、製造した有機EL素子を最終段階でガラス封止するが、最終段階に至る工程途中においては、酸化珪素膜(SiO膜)や窒化珪素膜(SiN膜)等のバリア膜を用いて仮封止が行われる。この仮封止においては、10−1g/m2・day程度の水蒸気透湿度が要求され、また、低温(約室温〜100℃)でバリア膜を形成することが要求される。また、近年、被処理基板が大型化しており、例えば1500mm×1800mm以上の大型基板にも対応する必要がある。
【0003】
低温でCVD法により成膜する技術として、光CVD法が知られている。光CVD法においては、例えば、処理室の上部に石英製の光透過窓を設け、光透過窓の外側にキセノンランプ等の光源を設け、処理室内へ処理用ガスを導入するとともに、光透過窓を介して光源からの光を、処理室内の被処理基板に照射し、被処理基板にCVD膜を堆積するものである。
下記の特許文献1には、光透過窓の厚さを薄くするため、複数の光透過窓を用いた基板処理装置において、半導体の被処理基板を移動させながら、光透過窓を介して、光源からの光を被処理基板に照射して、被処理基板を処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−146811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術においては、処理用ガスが処理室の側面から導入されており、大型基板上に均一な厚さの膜を形成するうえでの課題がある。
本発明の目的は、大型基板上においても光による均一な処理を行うことの可能な基板処理装置を提供することにあり、特に、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することの可能な、光CVD法を用いた基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る基板処理装置は、処理室内へ光を透過させるための複数の透過窓を備える基板処理装置において、処理用ガスを処理室内へ導入するための複数のガス導入口を、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けるようにするものであり、例えば、本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は次のとおりである。すなわち、
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
このように基板処理装置を構成すると、透過窓の厚さを薄くできるとともに、ガス導入口が、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられるので、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の垂直断面を表す模式図である。
【図2】本発明の実施例に係るガス配管の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例に係るガス配管の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る透過窓を上方から見た平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る透過窓と透過窓支持部を側方から見た垂直断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る透過窓を上方から見た平面図である。
【図7】本発明の実施例に係る熱線入り透過窓を上方から見た平面図である。
【図8】本発明の実施例に係る加熱用配管を内蔵する透過窓支持部の垂直断面図である。
【図9】本発明の実施例に係る、表面に凸凹が形成された透過窓の垂直断面図である。
【図10】本発明の実施例に係る発光部の構成の説明図である。
【図11】本発明の実施例に係るOリングの説明図である。
【図12】本発明の実施例に係るOリングとOリング劣化防止材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例に係る基板処理装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係る基板処理装置10の垂直断面を表す模式図である。図1において、13は、基板32を処理する処理室であり、基板処理時には減圧される。33は、基板処理時に基板32が載置される基板載置部である。基板載置部33内には、基板載置部33を冷却し、基板32を冷却するための冷却用配管35が内蔵されている。冷却用配管35には、例えば水やLLC(ロングライフクーラント)等の冷媒が循環される。基板32を冷却する理由は、光CVD法を用いる場合、高温で成膜速度が大幅に抑制されるためである。例えば、TEOS(Tetra Ethoxy Silane)やOMCTS(Octa Methyl Cyclo Tetra Siloxane)を成膜用ガスに用いる場合は、約100℃以上では成膜が抑制される。
【0010】
34は、基板32と後述する発光部11の水平方向の位置関係を変える駆動部であり、図1の例では、基板載置部33を水平方向(XY方向)に動かすための駆動部である。駆動部35は、制御部70により制御され、基板処理時に、基板載置部33をX方向、又はY方向、あるいはXY両方向に動かす。なお、駆動部34を、基板載置部33を動かすのではなく、発光部11を水平方向(XY方向)に動かすための駆動部とすることもできる。基板32と発光部11の水平方向の位置関係を相対的に変えることにより、後述の透過窓支持部16の影響を軽減し、基板上に照射される発光部11からの光の量を、より均一にすることができる。31は、基板32に所定のパターンのCVD膜を形成するためのマスクである。
【0011】
11は、処理室13内の基板32に対して真空紫外光を照射するための発光部である。本例では、発光部11は、キセノン(Xe2)エキシマランプを用い、波長172nmの真空紫外光11aを発生する。発光部11は、処理室13の外に設けられる。各ランプ間の距離は、基板32に照射する光を均一にするため、20mm以下としている。
15は、発光部11からの光を透過させるための透過窓であり、本実施例では合成石英から構成される。透過窓15は、処理室13の内と外を隔てる隔壁に、複数設けられる。複数設けることにより、面積を分割できるので、透過窓15の厚さを薄くできる。詳しくは、処理室13の内と外を隔てる隔壁に、透過窓15を支持するための透過窓支持部16が設けられ、透過窓支持部16にOリング51を介して、透過窓15が取り付けられる。このように、透過窓支持部16は、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられる。Oリング51は、図1に示すように、透過窓15の上下両面に設けられ、処理室13内を気密状態に保つ。本例では、透過窓支持部16は、なるべく透過光を遮らないよう、幅20mm以下のステンレススチールで構成される。
【0012】
21は、処理用ガスを処理室13内へ導入するためのガス配管である。図1の例では、ガス配管21は、ガスノズル22を複数有し、ガスノズル22の先端には、それぞれガス導入口23が設けられている。ガスノズル22は、透過窓境界部にある透過窓支持部16に設けられ、ガス配管21から基板載置部33へ向けて延伸している。このように、ガスノズル22を設けることにより、ガス導入口23が基板載置部33に近づくので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布を制御することが容易となり、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。
【0013】
ガス配管21は、処理室13外において、処理用ガス供給管27aとクリーニング用ガス供給管27bに接続される。処理用ガス供給管27aには、ガス流れを開閉するためのバルブ24a、ガス流量を制御するための流量制御装置25a、処理用ガスの供給源である処理用ガス供給源26aが、この順に接続されている。クリーニング用ガス供給管27bには、ガス流れを開閉するためのバルブ24b、ガス流量を制御するための流量制御装置25b、クリーニング用ガスの供給源であるクリーニング用ガス供給源26bが、この順に接続されている。本実施例では、成膜処理用のガスとして、TEOSを用いるが、OMCTSやHMDSO(Hexa Methyl Disiloxane)やTMCTS(Tetra Methyl Cyclotetrasiloxane)を用いることもできる。
また、クリーニング用ガスとしては、NF3ガスを用いる。成膜処理を行うと、基板32だけでなく、基板載置部33や透過窓支持部16や透過窓15にも成膜されてしまう。そのため、成膜処理後に基板32を処理室13から搬出した後、処理室13内にクリーニング用ガスを流して、リモートプラズマにより処理室13内に付着した堆積膜を除去するクリーニング処理を行うものである。
【0014】
14は、処理室13の下方に設けられた排気室であり、本実施例では複数の排気口41aと41bを備える。処理室13内のガスは、基板載置部33と処理室13の側壁との間の空間を通り、排気室14に達する。排気口41aと41bには、排気管42が接続され、排気管42には圧力調整バルブ43と真空ポンプ44が接続されている。圧力調整バルブ43は、処理室13内の圧力を調整する。排気口41aと41b、排気管42、圧力調整バルブ43、真空ポンプ44から、処理室13内のガスを処理室外へ排気するガス排気部が構成されている。
【0015】
12は、処理室13の上方に隣接して設けられた、透過窓15を加熱するための加熱室である。加熱室12において、加熱ガス導入口36から、例えば、約100℃に加熱された窒素ガスを加熱室12内に導入する。加熱室12内に導入された加熱窒素ガスは、透過窓15を、例えば、約100℃以上に加熱する。その後、透過窓15を加熱した窒素ガスは、加熱ガス排気口37から、加熱室12外へ排気される。加熱室12、加熱ガス導入口36等から、透過窓15を加熱するための加熱部が構成される。このように、透過窓15を加熱することにより、透過窓15に堆積膜が付着するのを防止することができる。
なお、加熱室12内は大気圧としてもよいが、減圧して用いることもできる。加熱室12を減圧して用いる場合は、透過窓15の厚さをより薄くすることが可能である。
【0016】
70は、基板処理装置10の各構成部に接続されており、各構成部を制御する制御部である。制御部70は、例えば、バルブ24a、バルブ24bの開閉動作、流量制御装置25a、流量制御装置25bの流量制御動作、圧力制御バルブ43の圧力制御動作、駆動部35の駆動動作、発光部11の発光強度等を制御する。
【0017】
図1の例のガス配管21について、図2を用いて説明する。図2は、図1の実施例に係るガス配管の斜視図である。図2の例では、平面視が四角の透過窓15が16個、縦方向に4列、横方向に4列の格子状に、配置されている。ガス配管21は、5本に分岐され、分岐されたガス配管21に、それぞれ開閉バルブ24、ガスノズル22が設けられている。分岐されたガス配管21は、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられている。ガスノズル22は、格子状に配置された透過窓15の角の位置に設けられている。ガスノズル22の先端のガス導入口23から、処理用ガスが噴出される。このように、ガス導入口23が基板載置部33に近い位置にあるので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布を制御することが容易となり、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。また、処理用ガスが透過窓15に接触する量を抑制できるので、透過窓15への成膜を抑制できる。
【0018】
次に、図2のガス配管21の変形例について、図3を用いて説明する。図3は、図2の変形例に係るガス配管の斜視図である。図3の例では、ガスノズル22が設けられておらず、複数のガス導入口23が、ガス配管21に直接設けられている点が、図2の例と異なる。他は、図2の例と同じである。このように、格子状に配置された透過窓15の角の位置に限らず、透過窓15の辺の位置に、複数のガス導入口23を設けているので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布が均一化され易く、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。
なお、図2や図3において、ガスノズル22又はガス導入口23の径、ガスノズル22の長さ、各ノズル22等からのガス流量は、全てのノズル22等で必ずしも同一である必要はない。また、ガスノズル22又はガス導入口23の配置や面内の分布も均一である必要はなく、面内の位置やガス種等に応じて適宜変更してもよい。
また、図2や図3において、ガス配管21が、透過窓の直下でなく、透過窓境界部に設けられるので、ガス配管21が発光部11からの光を遮るのを抑制することができる。また、複数のガス導入口23の少なくとも一部が、透過窓境界部に設けられるので、均一な厚さの膜を形成することが容易となるが、複数のガス導入口23の全てが、透過窓境界部に設けられると、均一な厚さの膜を形成することが更に容易となる。
【0019】
次に、透過窓15と透過窓支持部16について、図4と図5を用いて説明する。図4は、図1の実施例に係る透過窓15を上方から見た平面図である。図5は、図4の実施例に係る透過窓15と透過窓支持部16を左側方から見た垂直断面図である。
図4の例では、平面視が四角の透過窓15が18個、縦方向に3列、横方向に6列の格子状に、配置されている。透過窓15は、例えば、縦が150mm、横が150mm、厚さが10mmの略直方体の合成石英である。透過窓支持部16は、格子状に配置された透過窓15と透過窓15の間の透過窓境界部、および透過窓全体の左右両端と上下両端に設けられている。詳しくは、図4のX方向(横方向)に延伸する、4つの透過窓支持部16(Y1)〜16(Y4)が示されている。また、図4のY方向(縦方向)に延伸する、7つの透過窓支持部16(X1)〜16(X7)が示されている。17は、透過窓支持部16の強度を補強するための梁である。このように、透過窓支持部16は、4つの横方向の棒状部材と、7つの横方向の棒状部材とで構成される格子状の枠と、該格子状の枠を補強する梁17とから構成されている。
ガス配管21は、図4には示されていないが、4つの透過窓支持部16(Y1)、16(Y2)、16(Y3)、16(Y4)に沿って、X方向(横方向)に延伸するように、4本設けられている。
【0020】
図5は、図4に示す透過窓支持部16(Y1)〜16(Y3)を、図4の左側面から見た垂直断面図である。図5に示すように、ガス配管21は、透過窓支持部16の両脇に設けられ、透過窓支持部16により支えられている。ガス配管21には、図3に示すような、複数のガス導入口23が、ガス配管21の下側に設けられており、ガスを下方の基板32の方向に向けて噴出する。
また、透過窓支持部16には、板状のガスフローガイド54が設けられている。ガスフローガイド54は、ガス配管21に設けてもよい。図4の透過窓支持部16(Y1)〜16(Y4)に設けられたガスフローガイド54により、図4の透過窓の全域は、横方向に長い長方形の3つの領域に仕切られることになる。3つの領域とは、透過窓支持部16(Y1)と16(Y2)で挟まれた領域と、16(Y2)と16(Y3)で挟まれた領域と、16(Y3)と16(Y4)で挟まれた領域である。ガスフローガイド54は、処理室13内へ導入されるガスの流れる方向を、下方に規制するもので、図5に示すガスフローガイド54の面は、図4のY方向を向いており、基板32の面と垂直である。ガスフローガイド54により、ガス導入口23から噴出されるガスの流れが、当該噴出されたガス導入口23の周辺に制限され易くなる。ガスフローガイド54がない場合は、基板32の中心部にガスの流れが集中し、中心部の膜厚が周辺部よりも厚くなる傾向があるが、この傾向が、ガスフローガイド54により改善される。なお、ガスフローガイド54が、真空紫外光を遮り、膜厚分布に影響を与えないよう、配慮することが必要である。
【0021】
なお、図5においては、ガスフローガイド54の面が図4のY方向を向く透過窓支持部16(Y1)〜16(Y3)のみを示したが、図4のY方向に延伸する透過窓支持部16(X1)〜16(X7)に、それぞれの面が図4のX方向を向くガスフローガイド54を設けることもできる。このようにすると、図4の透過窓の全域は、それぞれの透過窓15毎の四角形の18の領域に仕切られることになり、ガス導入口23から噴出されるガスの流れを、より制限しやすくなる。
【0022】
また、図5に示すように、透過窓支持部16、あるいはガス配管21には、反射部材52が設けられている。反射部材52は例えばアルミ製の板であり、ガス導入口23が面する位置には、穴が開けられている。反射部材52により、紫外光が反射され、基板32に対する紫外光の照射量を増加することができる。
【0023】
また、図5に示すように、透過窓支持部16には、発熱線53が設けられている。発熱線53は、電気抵抗の高いニクロム線等の金属で構成される。発熱線53に、電流を供給することにより、透過窓支持部16を加熱し、透過窓支持部16の熱により、透過窓15を加熱する。図5では、透過窓支持部16と透過窓15が離れているが、両者を接触させることが好ましく、このようにすると透過窓15を効果的に加熱することができる。
【0024】
次に、図4の変形例を、図6を用いて説明する。図6は、図4の実施例の変形例であり、透過窓15を上方から見た平面図である。
図6の例では、平面視が縦長の長方形の透過窓15が、横方向に12個、配置されている。透過窓支持部16は、透過窓全体の左右両端と上下両端に各1個、および透過窓15と透過窓15の間の透過窓境界部に11個、計15個設けられている。詳しくは、図6のY方向(縦方向)に延伸する、13個の透過窓支持部16(X1)〜16(X13)が並んでいる。また、図6の上下両端に、X方向(横方向)に延伸する、2個の透過窓支持部16(Y1)、16(Y2)が配置されている。ガス配管21は、図6には示されていないが、13個の透過窓支持部16(X1)〜16(X13)に沿って設けられている。各透過窓支持部16には、図5と同様の、Oリング51、反射部材52、発熱線53、ガスフローガイド54が設けられている。
【0025】
次に、透過窓を加熱するための加熱部について説明する。図1においては、前述したように、加熱室12により透過窓を加熱するための加熱部を構成した。また、図5においては、発熱線53により透過窓を加熱するための加熱部を構成した。ここでは、透過窓を加熱するための別の方法を説明する。図7は、熱線入り透過窓を上方から見た平面図である。このように、透過窓15に熱線18を内蔵、または貼付することにより、透過窓15を直接加熱することができる。
図8は、加熱用配管55を内蔵する透過窓支持部16の垂直断面図である。例えば、加熱用配管55には、シリコンオイル等の難燃性オイルから構成されるヒートオイルを循環する。あるいは、加熱用配管55を、例えばセメント抵抗のような大電力用途の巻線型抵抗器を熱芯として内蔵することで構成することもできる。図8に示すガス配管21や反射部材52は、図5と同様である。
【0026】
次に、透過窓15の表面に形成される凸凹部について、図9を用いて説明する。図9は、表面に凸凹部が形成された透過窓15の垂直断面図である。図1に示すように、発光部11から照射される真空紫外光11aは、直進性が強いため、透過窓支持部16で遮られる。したがって、透過窓支持部16の直下の部分は、影となり、発光部11から照射される真空紫外光11aが届き難い。そこで、本実施例では、図9に示すように、透過窓15の上下両面に、凸凹部を形成している。このようにすると、発光部11から照射される光線を屈折または散乱させ、該光線に斜め成分を持たせることができ、透過窓支持部16の影を減じることができる。
透過窓15の表面に凸凹部を形成する方法としては、透過窓15の合成石英表面を機械加工してもよいし、あるいは、NF3ガス等を用いてプラズマエッチングしてもよい。
【0027】
次に、基板32に届く光の強さを均一にする方法について、図10を用いて説明する。図10は、発光部11の構成例の説明図で、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側面図である。図10の例では、図10(a)に示すように、5つの真空紫外光ランプ57a、57b、57c、57d、57eが配置されている。したがって、中央の真空紫外光ランプ57cの直下では、その両側の真空紫外光ランプ57a、57b、57d、57eからの光の影響により、光の強度が強くなるという課題がある。
【0028】
この課題を解決するため、図10の実施例では、真空紫外光ランプに印加する電力を、ランプの位置により変えるようにしている。詳しくは、図10(a)に示すように、両端の真空紫外光ランプ57aと57eを、交流電源58aに接続し、中央の真空紫外光ランプ57cを、交流電源58cに接続し、中間の真空紫外光ランプ57bと57dを、交流電源58bに接続している。そして、中央の真空紫外光ランプ57cへの印加電力を、中間の真空紫外光ランプ57bと57dへの印加電力よりも小さくし、中間の真空紫外光ランプ57bと57dへの印加電力を、両端の真空紫外光ランプ57aと57eへの印加電力よりも小さくしている。こうすることにより、基板32に照射される光の強度を、より均一化することができる。
【0029】
また、図10の実施例では、真空紫外光ランプの高さ位置、つまり、ランプと基板32との間の距離を、ランプの位置により変えるようにしている。詳しくは、図10(b)に示すように、中央の真空紫外光ランプ57cの高さ位置を、中間の真空紫外光ランプ57bと57dの高さ位置よりも高くし、中間の真空紫外光ランプ57bと57dの高さ位置を、両端の真空紫外光ランプ57aと57eの高さ位置よりも高くしている。こうすることにより、基板32に照射される光の強度を、より均一化することができる。
上述した、ランプの位置により真空紫外光ランプに印加する電力を変える第1の方法と、真空紫外光ランプの高さ位置を変える第2の方法は、それぞれ単独に用いてもよいし、併用してもよい。
【0030】
次に、透過窓15に配置するOリング51について、図11と図12を用いて説明する。図11は、Oリングの配置についての説明図である。図12は、Oリングの配置についての詳細説明図である。図11に示すように、Oリング51は、各透過窓15の周縁部に配置される。また、図1に示すように、Oリング51は、各透過窓15の上下各面に配置される。
図12(a)に示すように、Oリング51が配置される透過窓15の周辺部には、Oリング劣化防止材56が、予めコーティングされる。Oリング劣化防止材56は、真空紫外光の反射材か、又は吸収剤であり、真空紫外光により劣化しない材料で構成され、反射材では、例えば、被覆されたアルミコーティングで構成される。
このようにすると、Oリング51が真空紫外光に直接晒されることがないので、Oリング51の劣化を防止できる。
【0031】
次に、基板処理の実施例を説明する。この実施例において、基板処理装置の各構成部は、制御部70により制御される。
まず、基板32が基板搬送機(不図示)により処理室13内へ搬入され、基板載置部35上に載置される。基板載置部35内の冷却用配管35には、冷媒が流され、基板載置部35および基板32を室温以下に冷却する。処理室13内は、真空ポンプ44により20〜80Paに減圧される。この状態において、処理用ガス源26aから、処理用ガスである例えばTEOSガスが、流量制御装置25aにより流量制御されつつ、ガス配管21のガス導入口23から、処理室13内へ導入される。同時に、発光部11のキセノンエキシマランプから、放射強度30〜100mW/cm2、波長172nmの真空紫外光が、加熱室12を経由し、透過窓15を介して、処理室13内の基板32上へ照射される。TEOSガスは、真空紫外光により分解され、酸化珪素膜として基板32上へ堆積し、基板のCVD処理が行われる。
【0032】
この基板処理時において、加熱室12内へ加熱された窒素ガスが供給され、透過窓15を加熱して、透過窓15に成膜されることを防止する。透過窓支持部16が、発熱線53や加熱用配管55を備える場合や、透過窓15が熱線18を備える場合は、これらを単独に使用してもよいし、あるいは加熱室12と併用するようにしてもよい。なお、透過窓15を加熱して、透過窓15に成膜されることを防止する機能は、透過窓15を複数備える構成だけでなく、透過窓15を1つ備える構成においても有効である。
【0033】
また基板処理時において、駆動部34により、基板32と発光部11の水平方向の位置関係が変化される。例えば、透過窓支持部16が、図4に示すような格子状である場合は、基板32と発光部11の水平方向の位置関係は、縦方向(Y方向)と横方向(X方向)の両方向においてそれぞれ変化される。また、透過窓支持部16が、図6に示すような、透過窓全体を横方向に分断する棒状部材を持たない形状である場合は、基板32と発光部11の水平方向の位置関係は、図6の矢印に示すように横方向(X方向)においてのみ変化すればよい。こうすることにより、透過窓支持部16の影響を軽減し、基板32上に照射される発光部11からの光の量を、より均一にすることができる。また、照射される光による基板32の温度上昇も均一化される。
【0034】
CVD処理が終了すると、処理室13内に窒素ガス等の不活性ガスが供給され、TEOSガスと置換されるとともに、処理室13内の圧力が大気圧に戻される。その後、処理済みの基板32が、基板搬送機(不図示)により処理室13の外部に搬出される。
【0035】
基板32が搬出された後、例えば、NF3等のフッ素を含むクリーニングガスが、クリーニングガス源26bから、流量制御装置25bにより流量制御されつつ、ガス配管21のガス導入口23から、処理室13内に導入される。このようにして、クリーニングガスにより、処理室13内や透過窓15の内側に堆積した付着物を除去するクリーニング処理が行われる。クリーニング処理が終了すると、クリーニングガスを排気管42から排気するとともに、不活性ガスを処理室13内に供給し、処理室13内のクリーニングガスを不活性ガスに置換する。本実施例では、ノズル詰まりの防止も兼ねて、処理用ガスとNF3ガスの配管を共通化している。
なお、CVD処理を複数回行った後、クリーニング処理を行うのが、生産効率上、好ましい。
【0036】
本明細書には、少なくとも次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓の厚さを薄くできるとともに、ガス導入口が、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられるので、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することが容易となる。
【0037】
第2の発明は、前記第1の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス配管が発光部からの光を遮るのを、抑制することができる。
【0038】
第3の発明は、前記第2の発明の基板処理装置であって、
透過窓を加熱するための加熱部が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓に成膜されることを、抑制することができる。
【0039】
第4の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓外部に隣接して設けられ、加熱された気体が充填される加熱室である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓を効果的に加熱することができる。
【0040】
第5の発明は、前記第1の発明ないし第4の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部と前記透過窓の間には、Oリング劣化防止材を介して、Oリングが設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、Oリングの劣化を抑制することができる。
【0041】
第6の発明は、前記第1の発明ないし第5の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓の表面には、前記発光部から照射される光を屈折又は散乱させるための凸凹が形成されている基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、発光部からの光を有効的に使用することができる。
【0042】
第7の発明は、前記第1の発明ないし第6の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、光を反射する反射部材が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、発光部からの光を有効的に使用することができる。
【0043】
第8の発明は、前記第1の発明ないし第7の発明の基板処理装置であって、
前記発光部と前記基板載置部との水平方向の位置関係を、変化させることのできる駆動部を備える基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓支持部の影響を軽減し、基板上に照射される発光部からの光の量を、より均一にすることができる。
【0044】
第9の発明は、前記第1の発明ないし第8の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部には、処理室内へ導入されるガスの流れる方向を規制する板状のガスフローガイドが設けられ、該板状のガスフローガイドの面は、基板の面と垂直である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス導入口からのガス流を、より均一に基板上に流すことができる。
【0045】
第10の発明は、前記第1の発明ないし第9の発明の基板処理装置であって、
前記発光部を複数備え、該複数の発光部の中央部に位置する発光部から照射される光の強度を、周辺部に位置する発光部から照射される光の強度よりも弱くするか、あるいは、中央部に位置する発光部と基板との間隔を、周辺部に位置する発光部と基板との間隔よりも大きくするようにした基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、基板上に照射される発光部からの光の強度を、より均一にすることができる。
【0046】
第11の発明は、前記第2の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、ガス配管から前記基板載置部へ向けて延伸するガスノズルが接続され、該ガスノズルの先端に前記ガス導入口が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス導入口からのガス流を、より均一に基板上に流すことができる。
【0047】
第12の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓支持部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、加熱部を構成することが容易となる。
【0048】
第13の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓に設けられる熱線である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、加熱部を構成することが容易となる。
【符号の説明】
【0049】
10:基板処理装置、11:発光部、12:加熱室、13:処理室、14:排気室、15:透過窓、16:透過窓支持部、17:梁、18:熱線、21:ガス配管、22:ノズル、23:ガス導入口、24a:開閉バルブ、24b:開閉バルブ、25a:流量制御装置、25b:流量制御装置、26a:処理用ガス源、26b:クリーニングガス源、27a:処理用ガス供給管、27b:クリーニングガス供給管、31:マスク、32:基板、33:基板載置部、34:駆動部、35:冷却用配管、36:加熱ガス導入口、37:加熱ガス排気口、41a:排気口、41b:排気口、42:排気管、43:圧力調整装置、44:真空ポンプ、51:Oリング、52:反射部材、53:発熱線、54:ガスフローガイド、55:加熱用配管、56:Oリング劣化防止剤、57:ランプ、58:交流電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外光などの光を用いた基板処理技術に関し、特に、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイや有機EL照明、有機薄膜太陽電池の製造において用いられる封止技術や表面平坦化技術等に使用される光CVD(Chemical Vapor Deposition)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイや有機EL照明の製造においては、製造した有機EL素子を最終段階でガラス封止するが、最終段階に至る工程途中においては、酸化珪素膜(SiO膜)や窒化珪素膜(SiN膜)等のバリア膜を用いて仮封止が行われる。この仮封止においては、10−1g/m2・day程度の水蒸気透湿度が要求され、また、低温(約室温〜100℃)でバリア膜を形成することが要求される。また、近年、被処理基板が大型化しており、例えば1500mm×1800mm以上の大型基板にも対応する必要がある。
【0003】
低温でCVD法により成膜する技術として、光CVD法が知られている。光CVD法においては、例えば、処理室の上部に石英製の光透過窓を設け、光透過窓の外側にキセノンランプ等の光源を設け、処理室内へ処理用ガスを導入するとともに、光透過窓を介して光源からの光を、処理室内の被処理基板に照射し、被処理基板にCVD膜を堆積するものである。
下記の特許文献1には、光透過窓の厚さを薄くするため、複数の光透過窓を用いた基板処理装置において、半導体の被処理基板を移動させながら、光透過窓を介して、光源からの光を被処理基板に照射して、被処理基板を処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−146811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術においては、処理用ガスが処理室の側面から導入されており、大型基板上に均一な厚さの膜を形成するうえでの課題がある。
本発明の目的は、大型基板上においても光による均一な処理を行うことの可能な基板処理装置を提供することにあり、特に、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することの可能な、光CVD法を用いた基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る基板処理装置は、処理室内へ光を透過させるための複数の透過窓を備える基板処理装置において、処理用ガスを処理室内へ導入するための複数のガス導入口を、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けるようにするものであり、例えば、本発明に係る基板処理装置の代表的な構成は次のとおりである。すなわち、
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
このように基板処理装置を構成すると、透過窓の厚さを薄くできるとともに、ガス導入口が、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられるので、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の垂直断面を表す模式図である。
【図2】本発明の実施例に係るガス配管の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例に係るガス配管の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る透過窓を上方から見た平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る透過窓と透過窓支持部を側方から見た垂直断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る透過窓を上方から見た平面図である。
【図7】本発明の実施例に係る熱線入り透過窓を上方から見た平面図である。
【図8】本発明の実施例に係る加熱用配管を内蔵する透過窓支持部の垂直断面図である。
【図9】本発明の実施例に係る、表面に凸凹が形成された透過窓の垂直断面図である。
【図10】本発明の実施例に係る発光部の構成の説明図である。
【図11】本発明の実施例に係るOリングの説明図である。
【図12】本発明の実施例に係るOリングとOリング劣化防止材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例に係る基板処理装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施例に係る基板処理装置10の垂直断面を表す模式図である。図1において、13は、基板32を処理する処理室であり、基板処理時には減圧される。33は、基板処理時に基板32が載置される基板載置部である。基板載置部33内には、基板載置部33を冷却し、基板32を冷却するための冷却用配管35が内蔵されている。冷却用配管35には、例えば水やLLC(ロングライフクーラント)等の冷媒が循環される。基板32を冷却する理由は、光CVD法を用いる場合、高温で成膜速度が大幅に抑制されるためである。例えば、TEOS(Tetra Ethoxy Silane)やOMCTS(Octa Methyl Cyclo Tetra Siloxane)を成膜用ガスに用いる場合は、約100℃以上では成膜が抑制される。
【0010】
34は、基板32と後述する発光部11の水平方向の位置関係を変える駆動部であり、図1の例では、基板載置部33を水平方向(XY方向)に動かすための駆動部である。駆動部35は、制御部70により制御され、基板処理時に、基板載置部33をX方向、又はY方向、あるいはXY両方向に動かす。なお、駆動部34を、基板載置部33を動かすのではなく、発光部11を水平方向(XY方向)に動かすための駆動部とすることもできる。基板32と発光部11の水平方向の位置関係を相対的に変えることにより、後述の透過窓支持部16の影響を軽減し、基板上に照射される発光部11からの光の量を、より均一にすることができる。31は、基板32に所定のパターンのCVD膜を形成するためのマスクである。
【0011】
11は、処理室13内の基板32に対して真空紫外光を照射するための発光部である。本例では、発光部11は、キセノン(Xe2)エキシマランプを用い、波長172nmの真空紫外光11aを発生する。発光部11は、処理室13の外に設けられる。各ランプ間の距離は、基板32に照射する光を均一にするため、20mm以下としている。
15は、発光部11からの光を透過させるための透過窓であり、本実施例では合成石英から構成される。透過窓15は、処理室13の内と外を隔てる隔壁に、複数設けられる。複数設けることにより、面積を分割できるので、透過窓15の厚さを薄くできる。詳しくは、処理室13の内と外を隔てる隔壁に、透過窓15を支持するための透過窓支持部16が設けられ、透過窓支持部16にOリング51を介して、透過窓15が取り付けられる。このように、透過窓支持部16は、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられる。Oリング51は、図1に示すように、透過窓15の上下両面に設けられ、処理室13内を気密状態に保つ。本例では、透過窓支持部16は、なるべく透過光を遮らないよう、幅20mm以下のステンレススチールで構成される。
【0012】
21は、処理用ガスを処理室13内へ導入するためのガス配管である。図1の例では、ガス配管21は、ガスノズル22を複数有し、ガスノズル22の先端には、それぞれガス導入口23が設けられている。ガスノズル22は、透過窓境界部にある透過窓支持部16に設けられ、ガス配管21から基板載置部33へ向けて延伸している。このように、ガスノズル22を設けることにより、ガス導入口23が基板載置部33に近づくので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布を制御することが容易となり、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。
【0013】
ガス配管21は、処理室13外において、処理用ガス供給管27aとクリーニング用ガス供給管27bに接続される。処理用ガス供給管27aには、ガス流れを開閉するためのバルブ24a、ガス流量を制御するための流量制御装置25a、処理用ガスの供給源である処理用ガス供給源26aが、この順に接続されている。クリーニング用ガス供給管27bには、ガス流れを開閉するためのバルブ24b、ガス流量を制御するための流量制御装置25b、クリーニング用ガスの供給源であるクリーニング用ガス供給源26bが、この順に接続されている。本実施例では、成膜処理用のガスとして、TEOSを用いるが、OMCTSやHMDSO(Hexa Methyl Disiloxane)やTMCTS(Tetra Methyl Cyclotetrasiloxane)を用いることもできる。
また、クリーニング用ガスとしては、NF3ガスを用いる。成膜処理を行うと、基板32だけでなく、基板載置部33や透過窓支持部16や透過窓15にも成膜されてしまう。そのため、成膜処理後に基板32を処理室13から搬出した後、処理室13内にクリーニング用ガスを流して、リモートプラズマにより処理室13内に付着した堆積膜を除去するクリーニング処理を行うものである。
【0014】
14は、処理室13の下方に設けられた排気室であり、本実施例では複数の排気口41aと41bを備える。処理室13内のガスは、基板載置部33と処理室13の側壁との間の空間を通り、排気室14に達する。排気口41aと41bには、排気管42が接続され、排気管42には圧力調整バルブ43と真空ポンプ44が接続されている。圧力調整バルブ43は、処理室13内の圧力を調整する。排気口41aと41b、排気管42、圧力調整バルブ43、真空ポンプ44から、処理室13内のガスを処理室外へ排気するガス排気部が構成されている。
【0015】
12は、処理室13の上方に隣接して設けられた、透過窓15を加熱するための加熱室である。加熱室12において、加熱ガス導入口36から、例えば、約100℃に加熱された窒素ガスを加熱室12内に導入する。加熱室12内に導入された加熱窒素ガスは、透過窓15を、例えば、約100℃以上に加熱する。その後、透過窓15を加熱した窒素ガスは、加熱ガス排気口37から、加熱室12外へ排気される。加熱室12、加熱ガス導入口36等から、透過窓15を加熱するための加熱部が構成される。このように、透過窓15を加熱することにより、透過窓15に堆積膜が付着するのを防止することができる。
なお、加熱室12内は大気圧としてもよいが、減圧して用いることもできる。加熱室12を減圧して用いる場合は、透過窓15の厚さをより薄くすることが可能である。
【0016】
70は、基板処理装置10の各構成部に接続されており、各構成部を制御する制御部である。制御部70は、例えば、バルブ24a、バルブ24bの開閉動作、流量制御装置25a、流量制御装置25bの流量制御動作、圧力制御バルブ43の圧力制御動作、駆動部35の駆動動作、発光部11の発光強度等を制御する。
【0017】
図1の例のガス配管21について、図2を用いて説明する。図2は、図1の実施例に係るガス配管の斜視図である。図2の例では、平面視が四角の透過窓15が16個、縦方向に4列、横方向に4列の格子状に、配置されている。ガス配管21は、5本に分岐され、分岐されたガス配管21に、それぞれ開閉バルブ24、ガスノズル22が設けられている。分岐されたガス配管21は、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられている。ガスノズル22は、格子状に配置された透過窓15の角の位置に設けられている。ガスノズル22の先端のガス導入口23から、処理用ガスが噴出される。このように、ガス導入口23が基板載置部33に近い位置にあるので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布を制御することが容易となり、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。また、処理用ガスが透過窓15に接触する量を抑制できるので、透過窓15への成膜を抑制できる。
【0018】
次に、図2のガス配管21の変形例について、図3を用いて説明する。図3は、図2の変形例に係るガス配管の斜視図である。図3の例では、ガスノズル22が設けられておらず、複数のガス導入口23が、ガス配管21に直接設けられている点が、図2の例と異なる。他は、図2の例と同じである。このように、格子状に配置された透過窓15の角の位置に限らず、透過窓15の辺の位置に、複数のガス導入口23を設けているので、基板32表面に流れる処理用ガスの分布が均一化され易く、基板32上に堆積されるCVD膜の基板面内の膜厚均一性を向上することができる。
なお、図2や図3において、ガスノズル22又はガス導入口23の径、ガスノズル22の長さ、各ノズル22等からのガス流量は、全てのノズル22等で必ずしも同一である必要はない。また、ガスノズル22又はガス導入口23の配置や面内の分布も均一である必要はなく、面内の位置やガス種等に応じて適宜変更してもよい。
また、図2や図3において、ガス配管21が、透過窓の直下でなく、透過窓境界部に設けられるので、ガス配管21が発光部11からの光を遮るのを抑制することができる。また、複数のガス導入口23の少なくとも一部が、透過窓境界部に設けられるので、均一な厚さの膜を形成することが容易となるが、複数のガス導入口23の全てが、透過窓境界部に設けられると、均一な厚さの膜を形成することが更に容易となる。
【0019】
次に、透過窓15と透過窓支持部16について、図4と図5を用いて説明する。図4は、図1の実施例に係る透過窓15を上方から見た平面図である。図5は、図4の実施例に係る透過窓15と透過窓支持部16を左側方から見た垂直断面図である。
図4の例では、平面視が四角の透過窓15が18個、縦方向に3列、横方向に6列の格子状に、配置されている。透過窓15は、例えば、縦が150mm、横が150mm、厚さが10mmの略直方体の合成石英である。透過窓支持部16は、格子状に配置された透過窓15と透過窓15の間の透過窓境界部、および透過窓全体の左右両端と上下両端に設けられている。詳しくは、図4のX方向(横方向)に延伸する、4つの透過窓支持部16(Y1)〜16(Y4)が示されている。また、図4のY方向(縦方向)に延伸する、7つの透過窓支持部16(X1)〜16(X7)が示されている。17は、透過窓支持部16の強度を補強するための梁である。このように、透過窓支持部16は、4つの横方向の棒状部材と、7つの横方向の棒状部材とで構成される格子状の枠と、該格子状の枠を補強する梁17とから構成されている。
ガス配管21は、図4には示されていないが、4つの透過窓支持部16(Y1)、16(Y2)、16(Y3)、16(Y4)に沿って、X方向(横方向)に延伸するように、4本設けられている。
【0020】
図5は、図4に示す透過窓支持部16(Y1)〜16(Y3)を、図4の左側面から見た垂直断面図である。図5に示すように、ガス配管21は、透過窓支持部16の両脇に設けられ、透過窓支持部16により支えられている。ガス配管21には、図3に示すような、複数のガス導入口23が、ガス配管21の下側に設けられており、ガスを下方の基板32の方向に向けて噴出する。
また、透過窓支持部16には、板状のガスフローガイド54が設けられている。ガスフローガイド54は、ガス配管21に設けてもよい。図4の透過窓支持部16(Y1)〜16(Y4)に設けられたガスフローガイド54により、図4の透過窓の全域は、横方向に長い長方形の3つの領域に仕切られることになる。3つの領域とは、透過窓支持部16(Y1)と16(Y2)で挟まれた領域と、16(Y2)と16(Y3)で挟まれた領域と、16(Y3)と16(Y4)で挟まれた領域である。ガスフローガイド54は、処理室13内へ導入されるガスの流れる方向を、下方に規制するもので、図5に示すガスフローガイド54の面は、図4のY方向を向いており、基板32の面と垂直である。ガスフローガイド54により、ガス導入口23から噴出されるガスの流れが、当該噴出されたガス導入口23の周辺に制限され易くなる。ガスフローガイド54がない場合は、基板32の中心部にガスの流れが集中し、中心部の膜厚が周辺部よりも厚くなる傾向があるが、この傾向が、ガスフローガイド54により改善される。なお、ガスフローガイド54が、真空紫外光を遮り、膜厚分布に影響を与えないよう、配慮することが必要である。
【0021】
なお、図5においては、ガスフローガイド54の面が図4のY方向を向く透過窓支持部16(Y1)〜16(Y3)のみを示したが、図4のY方向に延伸する透過窓支持部16(X1)〜16(X7)に、それぞれの面が図4のX方向を向くガスフローガイド54を設けることもできる。このようにすると、図4の透過窓の全域は、それぞれの透過窓15毎の四角形の18の領域に仕切られることになり、ガス導入口23から噴出されるガスの流れを、より制限しやすくなる。
【0022】
また、図5に示すように、透過窓支持部16、あるいはガス配管21には、反射部材52が設けられている。反射部材52は例えばアルミ製の板であり、ガス導入口23が面する位置には、穴が開けられている。反射部材52により、紫外光が反射され、基板32に対する紫外光の照射量を増加することができる。
【0023】
また、図5に示すように、透過窓支持部16には、発熱線53が設けられている。発熱線53は、電気抵抗の高いニクロム線等の金属で構成される。発熱線53に、電流を供給することにより、透過窓支持部16を加熱し、透過窓支持部16の熱により、透過窓15を加熱する。図5では、透過窓支持部16と透過窓15が離れているが、両者を接触させることが好ましく、このようにすると透過窓15を効果的に加熱することができる。
【0024】
次に、図4の変形例を、図6を用いて説明する。図6は、図4の実施例の変形例であり、透過窓15を上方から見た平面図である。
図6の例では、平面視が縦長の長方形の透過窓15が、横方向に12個、配置されている。透過窓支持部16は、透過窓全体の左右両端と上下両端に各1個、および透過窓15と透過窓15の間の透過窓境界部に11個、計15個設けられている。詳しくは、図6のY方向(縦方向)に延伸する、13個の透過窓支持部16(X1)〜16(X13)が並んでいる。また、図6の上下両端に、X方向(横方向)に延伸する、2個の透過窓支持部16(Y1)、16(Y2)が配置されている。ガス配管21は、図6には示されていないが、13個の透過窓支持部16(X1)〜16(X13)に沿って設けられている。各透過窓支持部16には、図5と同様の、Oリング51、反射部材52、発熱線53、ガスフローガイド54が設けられている。
【0025】
次に、透過窓を加熱するための加熱部について説明する。図1においては、前述したように、加熱室12により透過窓を加熱するための加熱部を構成した。また、図5においては、発熱線53により透過窓を加熱するための加熱部を構成した。ここでは、透過窓を加熱するための別の方法を説明する。図7は、熱線入り透過窓を上方から見た平面図である。このように、透過窓15に熱線18を内蔵、または貼付することにより、透過窓15を直接加熱することができる。
図8は、加熱用配管55を内蔵する透過窓支持部16の垂直断面図である。例えば、加熱用配管55には、シリコンオイル等の難燃性オイルから構成されるヒートオイルを循環する。あるいは、加熱用配管55を、例えばセメント抵抗のような大電力用途の巻線型抵抗器を熱芯として内蔵することで構成することもできる。図8に示すガス配管21や反射部材52は、図5と同様である。
【0026】
次に、透過窓15の表面に形成される凸凹部について、図9を用いて説明する。図9は、表面に凸凹部が形成された透過窓15の垂直断面図である。図1に示すように、発光部11から照射される真空紫外光11aは、直進性が強いため、透過窓支持部16で遮られる。したがって、透過窓支持部16の直下の部分は、影となり、発光部11から照射される真空紫外光11aが届き難い。そこで、本実施例では、図9に示すように、透過窓15の上下両面に、凸凹部を形成している。このようにすると、発光部11から照射される光線を屈折または散乱させ、該光線に斜め成分を持たせることができ、透過窓支持部16の影を減じることができる。
透過窓15の表面に凸凹部を形成する方法としては、透過窓15の合成石英表面を機械加工してもよいし、あるいは、NF3ガス等を用いてプラズマエッチングしてもよい。
【0027】
次に、基板32に届く光の強さを均一にする方法について、図10を用いて説明する。図10は、発光部11の構成例の説明図で、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側面図である。図10の例では、図10(a)に示すように、5つの真空紫外光ランプ57a、57b、57c、57d、57eが配置されている。したがって、中央の真空紫外光ランプ57cの直下では、その両側の真空紫外光ランプ57a、57b、57d、57eからの光の影響により、光の強度が強くなるという課題がある。
【0028】
この課題を解決するため、図10の実施例では、真空紫外光ランプに印加する電力を、ランプの位置により変えるようにしている。詳しくは、図10(a)に示すように、両端の真空紫外光ランプ57aと57eを、交流電源58aに接続し、中央の真空紫外光ランプ57cを、交流電源58cに接続し、中間の真空紫外光ランプ57bと57dを、交流電源58bに接続している。そして、中央の真空紫外光ランプ57cへの印加電力を、中間の真空紫外光ランプ57bと57dへの印加電力よりも小さくし、中間の真空紫外光ランプ57bと57dへの印加電力を、両端の真空紫外光ランプ57aと57eへの印加電力よりも小さくしている。こうすることにより、基板32に照射される光の強度を、より均一化することができる。
【0029】
また、図10の実施例では、真空紫外光ランプの高さ位置、つまり、ランプと基板32との間の距離を、ランプの位置により変えるようにしている。詳しくは、図10(b)に示すように、中央の真空紫外光ランプ57cの高さ位置を、中間の真空紫外光ランプ57bと57dの高さ位置よりも高くし、中間の真空紫外光ランプ57bと57dの高さ位置を、両端の真空紫外光ランプ57aと57eの高さ位置よりも高くしている。こうすることにより、基板32に照射される光の強度を、より均一化することができる。
上述した、ランプの位置により真空紫外光ランプに印加する電力を変える第1の方法と、真空紫外光ランプの高さ位置を変える第2の方法は、それぞれ単独に用いてもよいし、併用してもよい。
【0030】
次に、透過窓15に配置するOリング51について、図11と図12を用いて説明する。図11は、Oリングの配置についての説明図である。図12は、Oリングの配置についての詳細説明図である。図11に示すように、Oリング51は、各透過窓15の周縁部に配置される。また、図1に示すように、Oリング51は、各透過窓15の上下各面に配置される。
図12(a)に示すように、Oリング51が配置される透過窓15の周辺部には、Oリング劣化防止材56が、予めコーティングされる。Oリング劣化防止材56は、真空紫外光の反射材か、又は吸収剤であり、真空紫外光により劣化しない材料で構成され、反射材では、例えば、被覆されたアルミコーティングで構成される。
このようにすると、Oリング51が真空紫外光に直接晒されることがないので、Oリング51の劣化を防止できる。
【0031】
次に、基板処理の実施例を説明する。この実施例において、基板処理装置の各構成部は、制御部70により制御される。
まず、基板32が基板搬送機(不図示)により処理室13内へ搬入され、基板載置部35上に載置される。基板載置部35内の冷却用配管35には、冷媒が流され、基板載置部35および基板32を室温以下に冷却する。処理室13内は、真空ポンプ44により20〜80Paに減圧される。この状態において、処理用ガス源26aから、処理用ガスである例えばTEOSガスが、流量制御装置25aにより流量制御されつつ、ガス配管21のガス導入口23から、処理室13内へ導入される。同時に、発光部11のキセノンエキシマランプから、放射強度30〜100mW/cm2、波長172nmの真空紫外光が、加熱室12を経由し、透過窓15を介して、処理室13内の基板32上へ照射される。TEOSガスは、真空紫外光により分解され、酸化珪素膜として基板32上へ堆積し、基板のCVD処理が行われる。
【0032】
この基板処理時において、加熱室12内へ加熱された窒素ガスが供給され、透過窓15を加熱して、透過窓15に成膜されることを防止する。透過窓支持部16が、発熱線53や加熱用配管55を備える場合や、透過窓15が熱線18を備える場合は、これらを単独に使用してもよいし、あるいは加熱室12と併用するようにしてもよい。なお、透過窓15を加熱して、透過窓15に成膜されることを防止する機能は、透過窓15を複数備える構成だけでなく、透過窓15を1つ備える構成においても有効である。
【0033】
また基板処理時において、駆動部34により、基板32と発光部11の水平方向の位置関係が変化される。例えば、透過窓支持部16が、図4に示すような格子状である場合は、基板32と発光部11の水平方向の位置関係は、縦方向(Y方向)と横方向(X方向)の両方向においてそれぞれ変化される。また、透過窓支持部16が、図6に示すような、透過窓全体を横方向に分断する棒状部材を持たない形状である場合は、基板32と発光部11の水平方向の位置関係は、図6の矢印に示すように横方向(X方向)においてのみ変化すればよい。こうすることにより、透過窓支持部16の影響を軽減し、基板32上に照射される発光部11からの光の量を、より均一にすることができる。また、照射される光による基板32の温度上昇も均一化される。
【0034】
CVD処理が終了すると、処理室13内に窒素ガス等の不活性ガスが供給され、TEOSガスと置換されるとともに、処理室13内の圧力が大気圧に戻される。その後、処理済みの基板32が、基板搬送機(不図示)により処理室13の外部に搬出される。
【0035】
基板32が搬出された後、例えば、NF3等のフッ素を含むクリーニングガスが、クリーニングガス源26bから、流量制御装置25bにより流量制御されつつ、ガス配管21のガス導入口23から、処理室13内に導入される。このようにして、クリーニングガスにより、処理室13内や透過窓15の内側に堆積した付着物を除去するクリーニング処理が行われる。クリーニング処理が終了すると、クリーニングガスを排気管42から排気するとともに、不活性ガスを処理室13内に供給し、処理室13内のクリーニングガスを不活性ガスに置換する。本実施例では、ノズル詰まりの防止も兼ねて、処理用ガスとNF3ガスの配管を共通化している。
なお、CVD処理を複数回行った後、クリーニング処理を行うのが、生産効率上、好ましい。
【0036】
本明細書には、少なくとも次の発明が含まれる。すなわち、第1の発明は、
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓の厚さを薄くできるとともに、ガス導入口が、透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられるので、大型基板上においても均一な厚さの膜を形成することが容易となる。
【0037】
第2の発明は、前記第1の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス配管が発光部からの光を遮るのを、抑制することができる。
【0038】
第3の発明は、前記第2の発明の基板処理装置であって、
透過窓を加熱するための加熱部が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓に成膜されることを、抑制することができる。
【0039】
第4の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓外部に隣接して設けられ、加熱された気体が充填される加熱室である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓を効果的に加熱することができる。
【0040】
第5の発明は、前記第1の発明ないし第4の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部と前記透過窓の間には、Oリング劣化防止材を介して、Oリングが設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、Oリングの劣化を抑制することができる。
【0041】
第6の発明は、前記第1の発明ないし第5の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓の表面には、前記発光部から照射される光を屈折又は散乱させるための凸凹が形成されている基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、発光部からの光を有効的に使用することができる。
【0042】
第7の発明は、前記第1の発明ないし第6の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、光を反射する反射部材が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、発光部からの光を有効的に使用することができる。
【0043】
第8の発明は、前記第1の発明ないし第7の発明の基板処理装置であって、
前記発光部と前記基板載置部との水平方向の位置関係を、変化させることのできる駆動部を備える基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、透過窓支持部の影響を軽減し、基板上に照射される発光部からの光の量を、より均一にすることができる。
【0044】
第9の発明は、前記第1の発明ないし第8の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部には、処理室内へ導入されるガスの流れる方向を規制する板状のガスフローガイドが設けられ、該板状のガスフローガイドの面は、基板の面と垂直である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス導入口からのガス流を、より均一に基板上に流すことができる。
【0045】
第10の発明は、前記第1の発明ないし第9の発明の基板処理装置であって、
前記発光部を複数備え、該複数の発光部の中央部に位置する発光部から照射される光の強度を、周辺部に位置する発光部から照射される光の強度よりも弱くするか、あるいは、中央部に位置する発光部と基板との間隔を、周辺部に位置する発光部と基板との間隔よりも大きくするようにした基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、基板上に照射される発光部からの光の強度を、より均一にすることができる。
【0046】
第11の発明は、前記第2の発明の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、ガス配管から前記基板載置部へ向けて延伸するガスノズルが接続され、該ガスノズルの先端に前記ガス導入口が設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、ガス導入口からのガス流を、より均一に基板上に流すことができる。
【0047】
第12の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓支持部に設けられる基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、加熱部を構成することが容易となる。
【0048】
第13の発明は、前記第3の発明の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓に設けられる熱線である基板処理装置。
このように基板処理装置を構成すると、加熱部を構成することが容易となる。
【符号の説明】
【0049】
10:基板処理装置、11:発光部、12:加熱室、13:処理室、14:排気室、15:透過窓、16:透過窓支持部、17:梁、18:熱線、21:ガス配管、22:ノズル、23:ガス導入口、24a:開閉バルブ、24b:開閉バルブ、25a:流量制御装置、25b:流量制御装置、26a:処理用ガス源、26b:クリーニングガス源、27a:処理用ガス供給管、27b:クリーニングガス供給管、31:マスク、32:基板、33:基板載置部、34:駆動部、35:冷却用配管、36:加熱ガス導入口、37:加熱ガス排気口、41a:排気口、41b:排気口、42:排気管、43:圧力調整装置、44:真空ポンプ、51:Oリング、52:反射部材、53:発熱線、54:ガスフローガイド、55:加熱用配管、56:Oリング劣化防止剤、57:ランプ、58:交流電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の基板処理装置であって、
透過窓を加熱するための加熱部が設けられる基板処理装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓外部に隣接して設けられ、加熱された気体が充填される加熱室である基板処理装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部と前記透過窓の間には、Oリング劣化防止材を介して、Oリングが設けられる基板処理装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓の表面には、前記発光部から照射される光を屈折又は散乱させるための凸凹が形成されている基板処理装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、光を反射する反射部材が設けられる基板処理装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記発光部と前記基板載置部との水平方向の位置関係を、変化させることのできる駆動部を備える基板処理装置。
【請求項9】
前記請求項1ないし請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部には、処理室内へ導入されるガスの流れる方向を規制する板状のガスフローガイドが設けられ、該板状のガスフローガイドの面は、基板の面と垂直である基板処理装置。
【請求項10】
前記請求項1ないし請求項9に記載の基板処理装置であって、
前記発光部を複数備え、該複数の発光部の中央部に位置する発光部から照射される光の強度を、周辺部に位置する発光部から照射される光の強度よりも弱くするか、あるいは、中央部に位置する発光部と基板との間隔を、周辺部に位置する発光部と基板との間隔よりも大きくするようにした基板処理装置。
【請求項11】
前記請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、ガス配管から前記基板載置部へ向けて延伸するガスノズルが接続され、該ガスノズルの先端に前記ガス導入口が設けられる基板処理装置。
【請求項12】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓支持部に設けられる基板処理装置。
【請求項13】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓に設けられる熱線である基板処理装置。
【請求項1】
基板を載置する基板載置部を備える処理室と、
処理室の外に設けられ処理室内に光を照射する発光部と、
処理室内外を隔てる隔壁に設けられ、光を透過させるための複数の透過窓と、
前記透過窓と透過窓の間の透過窓境界部に設けられ、透過窓を支持する透過窓支持部と、
処理用ガスを処理室内へ導入するための、複数のガス導入口を有するガス配管と、
処理室内のガスを処理室外へ排気するガス排気部とを備え、
前記複数のガス導入口の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管の少なくとも一部が、前記透過窓境界部に設けられる基板処理装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の基板処理装置であって、
透過窓を加熱するための加熱部が設けられる基板処理装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓外部に隣接して設けられ、加熱された気体が充填される加熱室である基板処理装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部と前記透過窓の間には、Oリング劣化防止材を介して、Oリングが設けられる基板処理装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし請求項5に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓の表面には、前記発光部から照射される光を屈折又は散乱させるための凸凹が形成されている基板処理装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、光を反射する反射部材が設けられる基板処理装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記発光部と前記基板載置部との水平方向の位置関係を、変化させることのできる駆動部を備える基板処理装置。
【請求項9】
前記請求項1ないし請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓支持部には、処理室内へ導入されるガスの流れる方向を規制する板状のガスフローガイドが設けられ、該板状のガスフローガイドの面は、基板の面と垂直である基板処理装置。
【請求項10】
前記請求項1ないし請求項9に記載の基板処理装置であって、
前記発光部を複数備え、該複数の発光部の中央部に位置する発光部から照射される光の強度を、周辺部に位置する発光部から照射される光の強度よりも弱くするか、あるいは、中央部に位置する発光部と基板との間隔を、周辺部に位置する発光部と基板との間隔よりも大きくするようにした基板処理装置。
【請求項11】
前記請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記ガス配管には、ガス配管から前記基板載置部へ向けて延伸するガスノズルが接続され、該ガスノズルの先端に前記ガス導入口が設けられる基板処理装置。
【請求項12】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓支持部に設けられる基板処理装置。
【請求項13】
前記請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記透過窓を加熱するための加熱部が、前記透過窓に設けられる熱線である基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−12628(P2012−12628A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147456(P2010−147456)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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