説明

基板検査装置

【課題】ウェハを基板検査装置に取り付ける際の偏心等に影響されることなく、ウェハの外周端部が検査できる基板検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る基板検査装置1は、ウェハ2を保持するウェハ支持部10と、ウェハ2の端部を観察するラインセンサカメラ21、2次元カメラ22、23、24と、ウェハ支持部10とラインセンサカメラ21、2次元カメラ22、23、24とを相対移動させる移動部と、相対移動中にラインセンサカメラ21、2次元カメラ22、23、24がウェハ2の端部を観察できるように移動部を制御する制御部とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検基板の端部を検査する基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体装置に用いられる半導体ウェハ(以下、単にウェハと称する)は、例えば厚みが1mm未満の円盤状に形成されており、そのため半導体装置の製造過程において外周端部が欠け、割れ等(以下、単に欠陥と呼ぶ)が発生することがあり、それらの欠陥を防ぐために、切り出されたウェハの外周端部に面取りを施している。また、上記のように面取りを施した場合においても、搬送装置の不具合等によりウェハの外周端部に欠陥が生じることがある。この欠陥は、ウェハに回路を焼き付ける際に不良発生の原因ともなるために、例えば特許文献1に示すような基板検査装置を用いて、ウェハを回転させながら欠陥の有無を検査することが知られている。また、特許文献1には、外周端部の欠陥部分をCCDカメラで撮像することにより、欠陥部分を検査する手法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−325389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の基板検査装置では、ウェハを基板検査装置に取り付ける際の偏心等により、検査対象であるウェハの外周端部が検査しにくいという課題があった。
【0005】
以上のような課題に鑑みて、本発明では、ウェハを基板検査装置に取り付ける際の偏心等に影響されることなく、ウェハの外周端部が検査できる基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題に鑑みて、本発明に係る基板検査装置は、被検基板を保持する保持部と、前記被検基板の端部を観察する観察部と、前記保持部と前記観察部とを相対移動させる移動部と、前記相対移動中に前記観察部が前記端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部とを備えて構成されている。上記構成の基板検査装置において、前記移動部は、円盤状の前記被検基板の中心を回転中心として前記被検基板を回転させる回転移動部と、前記被検基板の径方向に沿って前記観察部を相対移動させる駆動部とを有する構成が好ましい。
【0007】
上記構成の基板検査装置において、前記観察部は、前記被検基板に観察光を照射しその反射光を受光する平面状の受光部を備えた2次元撮像部により構成され、前記2次元撮像部が、前記被検基板の回転平面に対して上面側、下面側あるいは前記被検基板の外周端面と対向する位置との少なくとも1ヶ所に配置されている構成が好ましい。また、上記構成の基板検査装置において、さらに前記観察部は、前記被検基板に観察光を照射しその反射光を受光するライン状の受光部を備えた1次元撮像部を有して構成され、また前記1次元撮像部が、前記被検基板の回転平面に対して上面側または下面側に配置されている構成が好ましい。
【0008】
また、上記構成の基板検査装置において、前記観察部は前記端部の位置情報を基に、前記被検基板の端部形状を算出する演算部を備えている構成が好ましい。さらに、上記構成の基板検査装置において、前記演算部は、全周に満たない所定角度の前記被検基板の前記端部形状に基づいて前記被検基板の全周の前記端部形状を算出する構成が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る端部検査装置によれば、ウェハを基板検査装置に取り付ける際の偏心等に影響を低減し、ウェハの外周端部を検査しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について、実施例1から実施例4を挙げて説明する。説明の便宜上、図1に示す矢印の方向をXYZ方向として定義する。ここで、まず被検対象であるウェハ2について説明する。ウェハ2は、薄い円盤状に形成されており、その直径は規格(SEMI)管理されているため略円形とみなすことが可能であり、また表面にはウェハ2から取り出される複数の半導体チップ(チップ領域)に対応した回路パターン(図示せず)が形成される。図4に示すように、ウェハ2の上平面2eにおける外周端部内側には、回路パターンが形成されていない上ベベル部2cがリング状に形成され、この上ベベル部2cの径方向内側に回路パターンが形成される。
【0011】
また、ウェハ2の下平面2hにおける外周端部内側には、下ベベル部2dが上ベベル部2cと表裏対称に形成される。そして、上ベベル部2cと下ベベル部2dとに繋がるウェハ端面には、アペックス部2iが形成される。ここで、上平面2eと上ベベル部2cとによって形成されるエッジ部を境界2fとし、また、アペックス部2iと上ベベル部2cとによって形成されるエッジ部を境界2gとする。なお、図2に示すように、ウェハ2の外周端部には、位置決めとして使用する所定形状に切り欠かれたノッチ2aが1つ形成されている。
【実施例1】
【0012】
以下において、本発明の第1実施例について説明する。まず図1には、本発明に係る基板検査装置の一例としての基板検査装置1を示しており、ウェハ2の端部近傍を撮像することにより、端部近傍において欠陥発生の有無を検査するように構成されている。基板検査装置1は、ウェハ支持部10、観察部20および画像処理部30を主体に構成されている。まず、ウェハ支持部10は、XYステージ11、θステージ12、回転軸13、ウェハホルダ14から構成されている。XYステージ11は、その内部にXY駆動機構(図示せず)を有しており、XY駆動機構が駆動することによって、ウェハ支持部10がベース平面3に沿ってXY方向に移動自在となっている。θステージ12は、XYステージ11の上面に設置されて内部にθ駆動機構(図示せず)を有しており、θ駆動機構が駆動することにより、回転軸13が回転中心軸Aを中心として矢印Bの方向に回転する構成となっている。
【0013】
ウェハホルダ14は、略円盤状に形成されてその下面で回転軸13と連結しており、さらに内部に設けられた真空吸着機構(図示せず)により、ウェハホルダ14上に載置されたウェハ2の下平面2hを吸着保持する構成となっている。回転軸13は、θステージ12からZ軸正方向に延びており、θ駆動機構が駆動することによって回転し、これによりウェハホルダ14およびウェハホルダ14に吸着保持されたウェハ2を回転させることが可能となっている。なお、ウェハ2はウェハホルダ14より大きな径を有しているため、ウェハホルダ14上に吸着保持された状態において、上ベベル部2c、下ベベル部2dおよびアペックス部2iが、ウェハホルダ14の外周端部から径方向側方にはみ出るようになっている。
【0014】
観察部20は、図2に示すように、ラインセンサカメラ21、2次元カメラ22、23、24から構成されている。ラインセンサカメラ21は、その内部に対物レンズ(図示せず)、落射照明(図示せず)およびラインセンサ21aを備えて構成され、ラインセンサ21aにおいて1次元の像(1次元の画像データ)が連続して検出されて、後述する画像処理部30に出力される。ここで、ラインセンサカメラ21は、ウェハ2の上平面2eのZ軸正方向に設置されるとともに、ラインセンサ21aがウェハ2の径方向と一致するように向けられている。さらにこのとき、ラインセンサカメラ21の光軸はZ軸負方向に向けられている。よって、ラインセンサカメラ21により、ウェハ2の端部近傍における上平面2eおよび上ベベル部2cの明視野像を得ることが可能である。なお、照明は対物レンズの光軸方向からの落射照明及び斜方照明により行われている。
【0015】
2次元カメラ22は、その内部に対物レンズ(図示せず)、落射照明(図示せず)およびイメージセンサ22aを備えて構成され、イメージセンサ22aにおいて2次元の像(2次元の画像データ)が検出されて、基板検査装置1の外部に設けられたディスプレイ100に出力される。ここで、2次元カメラ23、24も2次元カメラ22と同様の構成となっている。つまり、2次元カメラ23は内部にイメージセンサ23a、2次元カメラ24は内部にイメージセンサ24aを備えて構成され、各イメージセンサ23a、24aにおいて2次元の像(2次元の画像データ)が検出されて、これらがディスプレイ100に出力される。また、2次元カメラ22は、ウェハ2の上平面2eのZ軸正方向に設置されて、その光軸がZ軸負方向に向けられている。よって、2次元カメラ22は、ウェハ2の観察領域2bにおける上平面2eおよび上ベベル部2cの明視野像を得ることが可能となっている。
【0016】
さらに、2次元カメラ24は、ウェハ2の下平面2hのZ軸負方向に設置されており、その光軸がZ軸正方向に向けられており、ここで2次元カメラ22と24との光軸は一致して2次元カメラ22と24とは対向して、ウェハ2に関して上下対称となるように設置されている。よって、2次元カメラ24は、ウェハ2の観察領域2bにおける下平面2hおよび下ベベル部2dの明視野像を得ることが可能となっている。
【0017】
2次元カメラ23は、ウェハ2の観察領域2bの径方向側方に設置されており、その光軸は回転中心軸Aと直交している。つまり、2次元カメラ22、23、24のそれぞれの対物レンズの光軸は、観察領域2bを含む同一平面上に設置されている。ここで、2次元カメラ23は、ウェハ2の観察領域2bにおける上ベベル部2c、下ベベル部2dおよびアペックス部2iの明視野像を得ることが可能となっている。なお、ラインセンサカメラ21は、2次元カメラ22、23、24の設置平面に対して矢印Bとは反対方向に設置角度Cを有して設置されている(図2を参照)。
【0018】
画像処理部30は、ラインセンサカメラ21から出力された1次元画像データを入力して、その1次元画像データを基にウェハ2の径方向に関して、上ベベル部2cの中点位置を算出するとともに、XY駆動機構に対して駆動信号を出力する構成となっている。なお、上ベベル部2cの中点位置の算出方法および駆動信号の詳細については後述する。
【0019】
以上、ここまでは基板検査装置1の各構成部材について説明したが、以下においては、ウェハ2の端部を検査する際の各構成部材の動作について説明する。
【0020】
まず、ウェハ2がウェハホルダ14上に吸着保持された状態において、θ駆動機構を駆動させることでウェハ2を高速で矢印Bの方向に1回転させる。このとき、2次元カメラ22、23、24による撮像は行わず、ラインセンサカメラ21によりウェハ2の端部近傍における、全周分の端部近傍の明視野像を得て、これを画像処理部30に出力する。そして、画像処理部30に入力された明視野像は、例えばノッチ2aの位置を基準(0度)として、端部近傍の上平面2e、上ベベル部2cの各明視野像と各回転角度とが1対1に対応している。
【0021】
そして、画像処理部30において、図5(a)に示すように、各回転角度における明視野像を演算処理することにより、光強度とウェハ2の径方向位置との関係を求める。ここで、例えば図3(a)に示す領域を撮像して得られた明視野像について説明する。ラインセンサカメラ21は、上平面2eに対して光軸が垂直となるように設置されているので、上平面2e部分では多くの反射光が受光されて光強度は高くなる。一方、上ベベル部2c部分では、斜方照明により上平面2eほど多くの反射光が受光されず、さらに上ベベル部2cの径方向外側では、反射光が受光されず光強度はほぼ0となり、よって、上平面2e、上ベベル部2cおよび上ベベル部2cの径方向外側において、光強度に明確な違いが現れる。なお、上ベベル部2cの径方向外側で光強度がほぼ0となる所は、アペックス部2iのウェハ径方向の端とみなすことができる。
【0022】
上記のようにして得られた図5(a)に示すグラフを、微分演算することで図5(b)に示すグラフが得られる。このとき、図5(b)から、図5(a)において光強度が大きく変化する点(変極点)の径方向位置が求まるが、この位置が図3および図4に示す境界2fおよび境界2gと対応している。また、境界2fおよび境界2gの位置から、上ベベル部2cの径方向におけるベベル幅Dを求め、さらに、境界2fと境界2gとの中間点に相当するベベル中点2mの位置を算出する(図5(b)を参照)。なお、このベベル中点2mは、ウェハ2の回転中心軸Aから距離Rの位置にある。そして、算出されたベベル幅Dおよびベベル中点2mは、その回転角度情報とともに画像処理部30の内部に設けられたメモリ(図示せず)に記憶される。
【0023】
一方で、ウェハ2とウェハホルダ14との間に偏心がある場合、回転中心軸Aから上ベベル部2c部までの距離Rが回転角度ごとに異なる。例えば図3(b)に示すような、上記とは異なる回転角度の端部近傍を、上述と同様にラインセンサカメラ21によって撮像し、光強度とウェハ2の径方向位置との関係を求めて、さらにそれを微分演算することにより、図5(c)に示すグラフが得られる。そして、図5(c)より境界2f’、境界2g’を求め、さらにベベル幅D’およびベベル中点2m’が求められる。なおこのとき、ベベル中点2m’は、ウェハ2の回転中心軸Aから距離R’の位置にあり、距離R>距離R’の大小関係であるとする。そして、算出されたベベル幅D’およびベベル中点2m’は、その回転角度情報とともに画像処理部30の内部に設けられたメモリに記憶される。
【0024】
ここで、ベベル中点2m’はベベル中点2mよりδmだけ径方向内側に位置している。このようにして、各回転角度それぞれについてベベル幅Dおよびベベル中点2mの算出を行い、算出されたウェハ2の全周分のベベル幅Dおよびベベル中点2mが、その回転角度情報とともにメモリに記憶されている。
【0025】
そして、回転角度が0度(ノッチ2a)の位置のベベル幅Dを基準として、各回転角度ごとのベベル幅Dをグラフに表示することにより、例えば図6のようになる。図6は、ウェハ2とウェハホルダ14との間の偏心により、ベベル幅Dが一定周期間隔で変化していることを示すとともに、また、端部近傍に欠陥が存在することにより、ベベル幅Dが急激に変化する位置(回転角度)を検出することが可能である。また、ラインセンサカメラ21によって撮像する前に、画像処理部30に既知であるノッチ2aの大きさおよび形状を入力しておくことで、XY駆動機構を駆動させつつラインセンサカメラ21によってノッチ2aの端部形状に追従しながら撮像することも可能となる。
【0026】
次に、θ駆動機構を駆動させてウェハ2を矢印Bの方向に回転さながら、2次元カメラ22、23、24によってウェハ2の端部近傍を撮像し、得られた2次元の画像データをディスプレイ100に出力する。そうすることで、ディスプレイ100にはウェハ2の端部近傍における、上平面2e、上ベベル部2c、アペックス部2iおよび下ベベル部2hの画像が表示されて欠陥の有無を目視で検査可能となる。このとき、2次元カメラ22の撮像範囲(例えば図3において、2点破線で囲んだ領域22b、22c)における径方向中心と、上記撮像範囲に位置している上ベベル部2cのベベル中点2mとが、常に一致するように画像処理部30は、メモリに記憶されている情報を基にXY駆動機構に対して駆動信号を出力しながらウェハ2を回転させる。
【0027】
具体的には、2次元カメラ22、23、24によって撮像される観察領域2bに位置しているウェハ2のベベル幅Dおよびベベル中点2mを回転角度情報を基に読み出す。そして、画像処理部30は、上ベベル部2cにおける回転速度等を考慮した上で、2次元カメラ22の撮像範囲における径方向中心と、撮像範囲に位置している上ベベル部2cのベベル中点2mとが一致するように、XY駆動機構に対して駆動信号を出力することで、ウェハ支持部10およびウェハ2をXY方向に移動させる。例えば、図3(b)に示す領域を撮像する時には、図3(a)に示す領域を撮像する場合と比較して、XY駆動機構によってウェハ支持部10およびウェハ2が、δmだけ径方向外側に移動する。こうすることによって、上ベベル部2c全体が撮像されてウェハ2の端部を検査可能となる。
【0028】
上記のように、θ駆動機構を駆動させてウェハ2を矢印Bの方向に回転させるとともに、XY駆動機構によってウェハ支持部10およびウェハ2を移動させながら、2次元カメラ22、23、24によってウェハ2の端部近傍を撮像することで、ウェハ2の端部の全周分の画像がディスプレイ100に表示されて検査可能となる。なお、2次元カメラ22の撮像範囲における径方向中心と、ベベル中心2mとを一致させるように制御することで、ウェハ2とウェハホルダ14との偏心の影響が打ち消され、2次元カメラ24においても撮像範囲を良好に保て、2次元カメラ23においても合焦状態を良好に保つことができる。
【実施例2】
【0029】
以下において、本発明の第2実施例について説明する。第2実施例では、上記の基板検査装置1を用いる構成となっており、よって、ここでは基板検査装置1の構成説明は省略し、ウェハ2の端部を検査する際の各構成部材の動作を中心に説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、矢印Bの方向に回転するウェハ2の端部近傍を、ラインセンサカメラ21および2次元カメラ22、23、24によって撮像し、2次元カメラ22、23、24において得られた2次元の画像データがディスプレイ100に出力されることで、ウェハ2の端部近傍が検査可能となる。このとき、各2次元カメラによる撮像と同時に、ラインセンサカメラ21においては、実施例1の場合と同様に、回転角度情報とともにベベル幅Dおよびベベル中点2mが順次算出され、画像処理部30のメモリに記憶されている。
【0031】
ここで、上述のようにラインセンサカメラ21において撮像されたウェハ2の端部近傍が、設置角度Cだけ回転した後に2次元カメラ22、23、24によって撮像される構成となっている。よって、画像処理部30は、2次元カメラ22の撮像範囲に位置している、ウェハ2の端部近傍のベベル幅Dおよびベベル中点2mをメモリから読み出すことが可能である。そして、上ベベル部2cにおける回転速度等および設置角度Cを考慮した上で、2次元カメラ22の撮像範囲の径方向中心と、その撮像範囲に位置している上ベベル部2cのベベル中点2mとが一致するように、画像処理部30は、XY駆動機構に対して駆動信号を出力してウェハ支持部10およびウェハ2を移動させる。
【0032】
このようにして、ウェハ2を回転させることで、ラインセンサカメラ21によりウェハ2の各回転角度におけるベル幅Dおよびベベル中点2mを算出しつつ、同時にその算出結果に基づいて、XY駆動機構によってウェハ支持部10およびウェハ2を移動させる。そうすることで、2次元カメラ22、23、24によって、ウェハ2の端部の全周分の画像がディスプレイ100に表示されて検査可能となる。
【実施例3】
【0033】
以下において、本発明の第3実施例について説明する。第3実施例では、上記の基板検査装置1を用いる構成となっており、よって、ここでは基板検査装置1装置の構成説明は省略し、ウェハ2の端部を検査する際の各構成部材の動作を中心に説明する。
【0034】
まず、実施例1と同様に、ラインセンサカメラ21のみによりウェハ2の端部近傍における上平面2eおよび上ベベル部2cの明視野像を得て、これを画像処理部30に出力する。このとき、上述のようにウェハ2の直径は、規格(SEMI)管理されているため略円形とみなすことが可能である。また、ベベル幅Dの変動はウェハ2とウェハホルダ14との偏心量に比べてはるかに小さいため、略一定とみなすことが可能である。そのため、例えばウェハ2を回転させて、ラインセンサカメラ21によりウェハ2の端部近傍を半周分(180度分)だけ撮像する。こうすることで、画像処理部30は、撮像された半周分の明視野像を基に撮像されていない残り半周分の明視野像を予測し、結果としてウェハ2の全周分のベベル幅Dおよびベベル中点2mを演算して求めて、回転角度情報とともにメモリに記憶させる。
【0035】
次に、上述の実施例1と同様に、θ駆動機構を駆動させてウェハ2を矢印Bの方向に回転させるとともに、メモリに記憶されているベベル幅Dおよびベベル中点2mを参照しながら、XY駆動機構によってウェハ2を移動させる。そして、そのウェハ2の端部近傍を、2次元カメラ22、23、24によって撮像することで、ウェハ2の端部の全周分の画像がディスプレイ100に表示されて検査可能となる。
【0036】
以下において、本発明の第4実施例について説明する。この第4実施例においては、図7に示す基板検査装置50を用いることにより、ウェハ2の端部を検査する構成となっている。
【0037】
まず、基板検査装置50の構成について説明する。基本構成は、上述の基板検査装置1と同様となっており、基板検査装置1と同一番号が付された部材は、実施例1で説明したとおりであり、ここでの説明は省略する。基板検査装置50の観察部25は、2次元カメラ22、23、24から構成されており、基板検査装置1の観察部20において用いられていた、ラインセンサカメラ21を有していない。また、2次元カメラ22は、その内部のイメージセンサ22aにより2次元の像(2次元の画像データ)が検出されるが、この画像データはディスプレイ100に対して出力されると同時に、画像処理部30に対しても出力される構成となっている。
【0038】
次に、基板検査装置50を用いてウェハ2の端部を検査する際における、各構成部材の動作を説明する。まず、回転するウェハ2の端部近傍を、2次元カメラ22、23、24によって逐次撮像し、2次元カメラ22、23、24において得られた各2次元の画像データが、ディスプレイ100に出力されて検査可能となる。このとき、2次元カメラ22は、得られた2次元の画像データを画像処理部30に対しても出力する。そして、画像処理部30は、上述の実施例1と同様に、入力された2次元の画像データを基に、各回転角度における明視野像を演算処理することにより、境界2fおよび境界2gの位置から上ベベル部2cの径方向におけるベベル幅Dおよびベベル中点2mが求められる。
【0039】
そして、2次元カメラ22の撮像範囲における径方向中心と、撮像範囲に位置している上ベベル部2cのベベル中点2mとが一致するように、画像処理部30はXY駆動機構に対して駆動信号を逐次出力してウェハ2を移動させる。このようにして、回転するウェハ2の端部近傍を、2次元カメラ22、23、24によって逐次撮像するとともに、同時に画像処理部30はXY駆動機構に対して駆動信号を逐次出力することで、ウェハ2の端部の全周分の画像がディスプレイ100に逐次出力されて検査可能となる。
【0040】
ここで、本発明の効果を簡潔にまとめると、第1に、ウェハ2とウェハホルダ14との間に偏心があり、ベベル幅が変動する場合であっても、常に2次元カメラ22、23および24の撮像状態を良好に保って、境界2fおよび境界2gを含む外周端部が撮像可能となり、よって、欠陥検出の精度を高めることが可能となるとともに、検査の作業効率を高めることが可能となる。第2に、ウェハ2の端部に例えば欠陥、レジストの回り込みおよび塗装ムラ等の不良が生じている場合、図5(b)に示すグラフにおいて、境界2fまたは境界2gの位置が急激に変化したり、または、ベベル幅Dが急激に変化することにより、確実に欠陥を検出することが可能となり、よって欠陥検出の精度を高めることが可能となる。
【0041】
上述の実施例において、ベース平面3に対してウェハ支持部10およびウェハ2をXY方向に移動させる構成に限られず、観察部20、25をXY方向に移動させる構成でも良い。
【0042】
上述の実施例において、ベベル幅Dおよびベベル中点2mを得るための装置はラインセンサカメラ21に限られず、ウェハ2の偏芯量と回転角度の関係が明らかになれば良く、例えばプリアライメントセンサを流用する構成でも良い。
【0043】
上述の実施例において、XY駆動機構の駆動に関して、2次元カメラ22の撮像範囲における径方向中心とベベル中点2mとを一致させる駆動に限られず、例えば、境界2fと境界2gとの間の任意点と一致させるように駆動させる構成でも良い。
【0044】
上述の実施例において、ラインセンサカメラ21の設置場所は、ウェハ2のZ軸正方向に限られず、例えばウェハ2のZ軸負方向に設置して、2次元カメラ24の撮像範囲の径方向中心に、下ベベル部2dのベベル中点2mを一致させる構成でも良い。
【0045】
上述の第3実施例において、ラインセンサカメラ21によって撮像する領域は、ウェハ2の半周分(180度分)に限られず、例えば90度分の領域でも良く、さらには全周分の端部状態が予測できれば撮像する角度領域に制限はない。
【0046】
上述の実施例において、2次元カメラ22、23、24を、それぞれウェハ2の観察領域2bから同じ距離だけ離れて位置に配置することにより、2次元カメラ22の焦点を合わせることで、同時に2次元カメラ23、24の焦点も合うので、下ベベル部2hおよびアペックス部2iの画像のデフォーカスを防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例に係る基板検査装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る基板検査装置の構成を示す斜視図である。
【図3】ベベル部の撮像を説明するための説明図である。
【図4】図3中のIV−IV部分を示す断面図である。
【図5】(a)は図3(a)部の光強度を示すグラフで、(b)は(a)を微分処理したグラフで、(c)は図3(b)部の光強度グラフを微分処理したグラフである。
【図6】ウェハのベベル幅と回転角度との関係を示したグラフである。
【図7】本発明の第4実施例に係る基板検査装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板検査装置 2 被検基板
10 ウェハ支持部(ステージ) 20 観察部
21 ラインセンサカメラ(1次元撮像部)
21a ラインセンサ(ライン状の受光部)
22、23、24 2次元カメラ(2次元撮像部)
22a、23a、24a イメージセンサ(平面状の受光部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検基板を保持する保持部と、
前記被検基板の端部を観察する観察部と、
前記保持部と前記観察部とを相対移動させる移動部と、
前記相対移動中に前記観察部が前記端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記移動部は、円盤状の前記被検基板の中心を回転中心として前記被検基板を回転させる回転移動部と、
前記被検基板の径方向に沿って前記観察部を相対移動させる駆動部とを有することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記観察部は、前記被検基板に観察光を照射しその反射光を受光する平面状の受光部を備えた2次元撮像部により構成され、
前記2次元撮像部が、前記被検基板の回転平面に対して上面側、下面側あるいは前記被検基板の外周端面と対向する位置との少なくとも1ヶ所に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
さらに前記観察部は、前記被検基板に観察光を照射しその反射光を受光するライン状の受光部を備えた1次元撮像部を有して構成され、
前記1次元撮像部が、前記被検基板の回転平面に対して上面側または下面側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記観察部は、前記端部の位置情報を基に前記被検基板の端部形状を算出する演算部を備えていることを特徴とする請求項1から4に記載の基板検査装置。
【請求項6】
前記演算部は、全周に満たない所定角度の前記被検基板の前記端部形状に基づいて前記被検基板の全周の前記端部形状を算出することを特徴とする請求項5に記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−52966(P2009−52966A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218676(P2007−218676)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】