説明

基板洗浄装置および基板洗浄方法

【課題】基板自体を研磨してしまうことなく、基板のエッジ部に強固に付着した異物を良好に除去することができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板洗浄装置1は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成された当接部材32を、基板Wのエッジ部Eに当接させることにより、エッジ部Eに付着した異物を除去する。このため、基板Wのエッジ部を研磨してしまうことなくエッジ部Eに強固に付着した金属膜やスラリー等の異物を良好に除去することができる。また、当接部材32を構成する弾性材料の中には、砥粒としてのシリカが混入されているため、エッジ部Eに強固に付着した異物を良好に剥離しつつ除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板洗浄ブラシを用いた基板処理装置および基板処理方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク、または磁気ディスクなどが含まれ、特に、半導体ウエハ等の円板形状の基板のエッジ部に付着した異物を除去する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ等の基板を製造する工程では、基板Wのエッジ部に付着した異物を除去する基板洗浄装置が使用されている。図12は、従来の基板洗浄装置の一例を示した図である。図12の基板洗浄装置は、基板Wを保持部110上に保持しつつ回転させ、回転する基板Wのエッジ部Eに研磨テープ120を当接させることにより、基板Wのエッジ部Eから異物を除去する。研磨テープ120の表面にはダイヤモンド等の砥粒が接着されているため、研磨テープ120は、基板Wのエッジ部Eを研磨しつつエッジ部E上の異物を除去することができる。また、図13は、従来の基板洗浄装置の他の一例を示した図である。図13の基板洗浄装置は、基板Wを保持部210上に保持しつつ回転させ、回転する基板Wのエッジ部Eに樹脂製のブラシ220を当接させることにより、基板Wのエッジ部Eから異物を除去する。
【0003】
このような従来の基板洗浄装置については、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−241434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図12に示した従来の基板洗浄装置は、研磨テープ120によって基板Wのエッジ部E自体を研磨しつつ、エッジ部E上の異物を除去するものであった。このため、研磨により発生した研磨屑を除去するために二次洗浄を行う必要があり、洗浄処理の工程数が増加してしまうという問題があった。
【0006】
一方、図13に示した基板洗浄装置では、基板Wのエッジ部Eを研磨してしまうことはないものの、樹脂製のブラシが柔らかすぎるため、金属膜やスラリーのようにエッジ部Eに強固に付着した異物を除去することはできなかった。近年では、搬送時のクロスコンタミネーションを防止するため、基板Wのエッジ部Eに付着したタングステン等の金属膜やCMPプロセスの残渣スラリーを良好に除去したいという技術的要請が高まっている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、基板自体を研磨してしまうことなく、基板のエッジ部に強固に付着した異物を良好に除去することができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板のエッジ部を洗浄する基板洗浄装置であって、基板のエッジ部に当接部材を当接させる当接手段と、基板を保持しつつ当接部材と相対移動させる相対移動手段と、を備え、前記当接部材は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板洗浄装置であって、前記当接部材は、前記弾性材料にシリカを混入させたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板洗浄装置であって、基板の主面にリンス液を供給するリンス液供給手段を更に備え、前記リンス液供給手段は、リンス液として純水を供給することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、非洗浄時に前記当接部材を液体中に浸漬した状態で待機させる待機部を更に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、前記当接手段は、基板のエッジ部の異なる領域に当接する複数の前記当接部材を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の基板洗浄装置であって、前記複数の当接部材は、基板のエッジ部の一方の傾斜面に当接する第1当接部材と、基板のエッジ部の頂部に当接する第2当接部材と、基板のエッジ部の他方の傾斜面に当接する第3当接部材と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、前記当接部材の当接面を撮影する撮影手段と、前記撮影手段により取得された画像データに基づいて前記当接部材に付着した汚れを検出する検出手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の基板洗浄装置であって、前記当接手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて、基板のエッジ部に対する前記当接部材の当接位置を変更することを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、基板は円形基板であり、前記相対移動手段は、基板を中心軸周りに回転させることにより基板のエッジ部と前記当接部材とを相対移動させることを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、基板のエッジ部を洗浄する基板洗浄方法であって、基板のエッジ部に当接部材を当接させる当接工程と、前記当接工程を継続しつつ、基板を保持しつつ基板と当接部材を相対移動させる相対移動工程と、を備え、前記当接部材は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の基板洗浄方法であって、前記当接部材は、前記弾性材料にシリカを混入させたことを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の基板洗浄方法であって、前記当接工程においては、前記基板の主面にリンス液の供給を行うもので、リンス液として純水を供給することを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項10から請求項12までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記当接部材を液体中に浸漬した状態で待機させる待機工程を更に備えることを特徴とする。
【0021】
請求項14に係る発明は、請求項10から請求項13までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記当接工程においては、複数の前記当接部材がそれぞれ基板のエッジ部の異なる領域に当接することを特徴とする。
【0022】
請求項15に係る発明は、請求項14に記載の基板洗浄方法であって、前記複数の当接部材は、基板のエッジ部の一方の傾斜面に当接する第1当接部材と、基板のエッジ部の頂部に当接する第2当接部材と、基板のエッジ部の他方の傾斜面に当接する第3当接部材と、を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項16に係る発明は、請求項10から請求項15までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、前記当接部材の当接面を撮影する撮影工程と、前記撮影工程において取得された画像データに基づいて前記当接部材に付着した汚れを検出する汚れ検出工程と、を更に備えることを特徴とする。
【0024】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の基板洗浄方法であって、前記当接工程においては、前記汚れ検出工程の検出結果に基づいて、基板のエッジ部に対する前記当接部材の当接位置を変更することを特徴とする。
【0025】
請求項18に係る発明は、請求項10から請求項17までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、基板は円形基板であり、前記相対移動工程においては、基板を中心軸周りに回転させることにより基板のエッジ部と前記当接部材とを相対移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1または請求項10に記載の発明によれば、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成された当接部材を基板のエッジ部に当接させることにより、エッジ部に付着した異物を除去する。このため、基板のエッジ部を研磨してしまうことなくエッジ部に強固に付着した金属膜やスラリー等の異物を良好に除去することができる。
【0027】
特に、請求項2または請求項11に記載の発明によれば、シリカを混入させた弾性材料により構成された当接部材を基板のエッジ部に当接させることにより、エッジ部に付着した異物を除去する。このため、基板のエッジ部に付着した異物をより良好に除去することができる。
【0028】
特に、請求項3または請求項12に記載の発明によれば、リンス液として純水を供給する。このため、リンス液を除去するための二次洗浄を行う必要はない。
【0029】
特に、請求項4または請求項13に記載の発明によれば、非洗浄時に当接部材を液体中に浸漬した状態で待機させる。このため、当接部材は、所定の圧縮弾性率を維持することができる。
【0030】
特に、請求項5または請求項14に記載の発明によれば、複数の前記当接部材をそれぞれ基板のエッジ部の異なる領域に当接させる。このため、基板のエッジ部の複数の領域に付着した異物をそれぞれ効率よく除去することができる。
【0031】
特に、請求項6または請求項15に記載の発明によれば、基板のエッジ部の一方の傾斜面、頂部、および他方の傾斜面に付着した異物を、それぞれ効率よく除去することができる。
【0032】
特に、請求項7または請求項16に記載の発明によれば、当接部材の当接面を撮影し、取得された画像データに基づいて当接部材に付着した汚れを検出する。このため、当接部材上の汚れを情報として認識することができる。
【0033】
特に、請求項8または請求項17に記載の発明によれば、当接部材の汚れの程度に応じて、基板のエッジ部に対する当接部材の当接位置を変更する。このため、当接部材を交換することなく、当接部材から基板への異物の再付着を防止することができる。
【0034】
特に、請求項9または請求項18に記載の発明によれば、円形基板を中心軸周りに回転させることにより基板のエッジ部と当接部材とを相対移動させる。このため、基板のエッジ部と当接部材とを容易に相対移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板洗浄装置1の上面図である。また、図2は、基板洗浄装置1を図1のII−II線で切断した縦断面図である。この基板洗浄装置1は、円板形状の基板Wのエッジ部(辺縁部)Eを洗浄することにより、エッジ部Eに付着した金属膜やスラリー等の異物を除去するための装置である。図1および図2に示したように、基板洗浄装置1は、主として、基板保持回転部10と、純水供給部20と、エッジ当接機構30と、制御部40とを備えている。
【0037】
基板保持回転部10は、基板Wを水平姿勢に保持しつつ基板Wの主面と垂直な軸を中心として基板Wを回転させるための機構である。図2に示したように、基板保持回転部10は、基板Wを下面側から支持するための支持部11と、支持部11を回転させるための回転駆動機構12とを有している。支持部11は、所定の吸引圧で基板Wの下面に吸着しつつ、基板Wを水平姿勢に固定保持する。回転駆動機構12は、モータ等の駆動源を有しており、支持部11および支持部11上に支持された基板Wを一体として回転させる。基板Wは、その中心を通る鉛直軸の周りに回転するため、回転中の基板Wのエッジ部Eはほぼ同一の軌跡を通る。このように、この実施形態では、支持部11、回転駆動機構12が、本発明の「相対移動手段」として機能している。
【0038】
純水供給部20は、基板Wの上面(主面)にリンス液としての純水を供給するための機構である。図1および図2に示したように、純水供給部20は、基板保持回転部10の支持部11の上方に配置された吐出ノズル21を有している。また、図2に示したように、吐出ノズル21は、純水供給ライン22を介して純水供給源23と接続されており、純水供給ライン22の経路途中には、開閉弁24が介挿されている。このため、開閉弁24を開放すると、純水供給源23から純水供給ライン22を通って吐出ノズル21へ純水が供給され、吐出ノズル21から基板Wの上面に向けて純水が吐出される。吐出ノズル21は、基板Wのほぼ回転中心に向けて純水を吐出する。このため、基板Wを回転させつつ純水を吐出すると、吐出された純水は、基板Wの回転中心から基板Wの上面全体に拡がりつつ基板Wのエッジ部Eまで供給される。
【0039】
エッジ当接機構30は、基板Wのエッジ部Eに対して当接部材32を当接させるための機構である。図1および図2に示したように、エッジ当接機構30は、旋回アーム31と、旋回アーム31の先端に取り付けられた当接部材32と、旋回アーム31を旋回および昇降させるための駆動機構33と、当接部材32を待機させるための待機部34とを有している。旋回アーム31は、遊端側の先端部が下方に屈曲した略L字形の剛性部材であり、その下方に屈曲した先端部の基板W側の面に当接部材32が取り付けられている。また、旋回アーム31の旋回中心側の端部には、駆動機構33が接続されている。駆動機構33は、モータ等を利用した公知の種々の機構により実現される。駆動機構33を動作させると、旋回アーム31は鉛直軸周りに旋回し、旋回アーム31の先端部に取り付けられた当接部材32は、基板Wのエッジ部Eに当接する当接位置(図1中の実線位置)と基板Wのエッジ部Eから離間した待機位置(図1中の仮想線位置)との間で進退移動する。ここで旋回アーム31は当接部材32を基板Wのエッジ部Eに対向する面で保持し、当接位置において旋回アーム31と基板Wのエッジ部Eで当接部材32を挟み込むように構成することで当接部材32の当接状態を良好なものとしている。
【0040】
当接部材32は、ポリビニルアセタールやポリウレタン(PU)等の樹脂、またはそれら多孔質体に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂と後述するシリカを混合または含浸することによりその圧縮弾性率が調整された弾性材料により直方形のパッド形状に構成されている。ここで、ポリビニルアセタールはポリビニルアルコール(PVA)の水溶性樹脂にアルデヒド類を反応させ生成する。具体的には、十分に吸水させた状態で0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料が使用されている。圧縮弾性率の測定方法には種々の方法があるが、例えばJISK7181(対応国際規格:ISO604)に規定される試験方法により上記の値を示すものであればよい。当接部材32は、このような圧縮弾性率を有する弾性材料により構成されているため、基板Wのエッジ部Eを研磨してしまうことなくエッジ部Eに強固に付着した異物を良好に除去する機能を有する。なお、当接部材32の形状は、板状のパッド形状であれば直方形に限られるものではなく、円柱状であっても良い。
【0041】
後述する実施例の結果からも分かるように、当接部材32を構成する弾性材料の圧縮弾性率が0.3MPaより低すぎると、当接部材32の異物に対する除去能力が著しく低下してしまう。また、当接部材32を構成する弾性材料の圧縮弾性率が2.7MPaより高すぎると、当接部材32は、回転する基板Wのエッジ部Eに弾かれてしまい、エッジ部Eに連続して当接することが困難となる。このため、基板Wのエッジ部Eに連続して当接しつつエッジ部Eの異物を良好に除去するためには、適度な圧縮弾性率が必要となる。具体的には、弾性材料の圧縮弾性率は、十分に吸水した状態で、上記のように0.3MPa以上かつ2.7MPa以下であることが望ましく、また、1.3MPaであればより望ましい。
【0042】
また、当接部材32を構成する弾性材料は、良好な吸水性を得るために、その気孔率が25体積%以上かつ90体積%以下であることが望ましく、50体積%以上かつ85体積%以下であればより望ましい。気孔率が25体積%より低いと吸水性が悪く、気孔率が90体積%を超えると弾性材料の強度が低下して使用に耐えられなくなる。また、当接部材32を構成する弾性材料は、基板Wとの摺接に対する良好な異物の除去能力を得るために、その引張破壊ひずみが3%以上かつ300%以下であることが望ましい。引張破壊ひずみが3%より低いと弾性材料の機械強度が低下して使用に耐えられなくなり、引張破壊ひずみが400%を超えると適正な除去能力が得られない。
【0043】
当接部材32を構成する弾性材料の中には、砥粒としてシリカ(例えば、ヒュームドシリカやコロダイルシリカ)の粒子が混入されている。このため、当接部材32は、基板Wのエッジ部Eと摺接することにより、エッジ部Eに強固に付着した異物を良好に剥離することができる。本実施形態では、異物に対する適度な剥離能力を発揮しつつ、基板Wのエッジ部E自体を研磨してしまうことはないように、平均粒径が1μm以上かつ10μm以下の砥粒を使用している。ここで、シリカの平均粒径が1μmより小さいと異物に対する除去能力が低下してしまい、平均粒径が10μmより大きいと基板自体を研磨して傷をつけてしまう。
【0044】
このような弾性材料は、例えば、ポリビニルアルコールの水溶液に、気孔形成材としての澱粉と、砥粒としてのシリカと、アセタール化剤としてのアルデヒド類とを混合・撹拌し、酸を加えて反応させた後、水洗、乾燥、および熱処理を行うことによりポリビニルアセタール多孔質体として作成することができる。また、主剤としてのポリオール、架橋剤としてのイソシアネート、発泡剤ならびに硬化触媒を混合して金型内にて反応硬化させることによりポリウレタン多孔質体として作製してもよい。また、これらの多孔質体について熱硬化性樹脂を反応前に混合、あるいは反応後の多孔質体に含浸して作製してもよい。ただし、本発明において使用される弾性材料は、このような製造方法により作成されたものに限定されるものではない。
【0045】
図3は、旋回アーム31を基板W側に旋回させ、基板Wのエッジ部Eに当接部材32を当接させたときの状態を示した拡大縦断面図である。当接部材32は弾性材料により構成されているため、当接部材32の平坦な対向面(当接面)が基板Wのエッジ部Eに当接すると、当接部材32の当接面は、ある程度の深さまでエッジ部Eに押し込まれ、エッジ部Eの表面に沿って変形する。これにより、当接部材32は、エッジ部Eの頂部(アペックス部)だけではなく、上下に形成された傾斜面(ベベル部)にも当接することとなる。基板Wを回転させつつ基板Wのエッジ部Eに当接部材32を当接させると、当接部材32はエッジ部Eの頂部および傾斜面に摺接し、エッジ部Eの頂部および傾斜面に付着した異物を剥離する。
【0046】
図1および図2に戻り、待機部34は、非洗浄時に当接部材32を待機させておくための部位である。待機部34は、旋回アーム31の先端部を収容できる程度の内径を有する貯留槽34aを有しており、貯留槽34aの内部には純水が貯留されている。図4は、待機部34付近を図1のIV−IV線で切断した縦断面図である。旋回アーム31を貯留槽34aの上部まで旋回させた状態で、駆動機構33により旋回アーム31を下降させると、図4に示したように、旋回アーム31の先端部および先端部に取り付けられた当接部材32は、貯留槽34aの内部の純水中に浸漬される。当接部材32は、非洗浄時には、このように純水中に浸漬された状態で待機し、純水を十分に吸収することにより、弾性材料の圧縮弾性率を所定の値に維持する。
【0047】
制御部40は、基板洗浄装置1内の各部の動作を制御するためのコンピュータ装置である。図1および図2に示したように、制御部40は、上記の回転駆動機構12、開閉弁24、および駆動機構33と電気的に接続されている。制御部40は、所定のコンピュータプログラムに従って上記の回転駆動機構12、開閉弁24、駆動機構33等の動作を制御することにより、基板Wの洗浄処理を進行させる。
【0048】
続いて、このような基板洗浄装置1における洗浄処理の流れについて、図5のフローチャートを参照しつつ説明する。この基板洗浄装置1において洗浄処理を行うときには、まず、CMP処理後の基板、メッキ配線工程の後の基板や保護膜形成のCVD直前の基板を図外の搬送ロボットによって搬送し、基板保持回転部10の支持部11上に基板Wを載置し、支持部11の上面に基板Wを吸着保持させる。そして、回転駆動機構12を動作させることにより、基板Wを鉛直軸周りに回転させる(ステップS11)。後段のステップS13において当接部材32を弾いてしまうことなく異物を良好に除去するために、制御部40は、基板Wの回転数が所定の範囲内となるように回転駆動機構12を制御する。例えば、処理対象となる基板Wの直径が200mm程度である場合には、基板Wの回転数を50rpm以上かつ200rpm以下とすることが望ましい。
【0049】
次に、基板洗浄装置1は、開閉弁24を開放し、純水供給部20の吐出ノズル21から基板Wの上面に向けて純水を吐出する(ステップS12)。基板Wの上面に吐出された純水は、基板Wの回転中心から基板Wの上面全体に拡がりつつ基板Wのエッジ部Eまで供給され、基板Wのエッジ部Eの表面に沿って液流を形成した後、エッジ部Eの下方へ落下する。
【0050】
一方、当接部材32は、貯留槽34aに貯留された純水中に浸漬された状態で待機している(待機工程)。基板Wのエッジ部Eまで純水が行き渡ると、基板洗浄装置1は、駆動機構33を動作させることにより旋回アーム31を上昇させ、貯留槽34aに貯留された純水中から当接部材32を引き上げることで待機工程から当接工程へ移行される。そして、基板洗浄装置1は、旋回アーム31を旋回させることにより、基板Wのエッジ部Eに当接部材32を当接させる当接工程を行う(ステップS13)。当接部材32は、回転する基板Wのエッジ部Eに当接することにより、ある程度(例えば0.5mm程度)の深さまで押し込まれて変形する。そして、当接部材32は、エッジ部Eの頂部および傾斜部と摺接することにより、エッジ部Eに付着した異物を剥離する。即ち、当接部材32のエッジ部Eとの摺接が本発明の相対移動工程に相当する。エッジ部Eから剥離された異物は、エッジ部Eの表面を流れる純水とともに流されて、直ちにエッジ部Eから除去される。このため、一旦剥離した異物が基板Wに再付着することはない。
【0051】
所定時間の当接処理が終了すると、基板洗浄装置1は、駆動機構33を動作させることにより旋回アーム31を待機部34側へ旋回させ、当接部材32を基板Wのエッジ部Eから引き離す(ステップS14)。そして、待機位置において旋回アーム31を下降させることにより、貯留槽34aに貯留された純水中に当接部材32を浸漬させる待機工程へ進む。当接部材32は、貯留槽34aの内部において純水を吸収することによりその弾性率を回復しつつ、次回の洗浄処理に備えて待機する。
【0052】
その後、基板洗浄装置1は、開閉弁24を閉鎖し、吐出ノズル21から基板Wへの純水の供給を停止する(ステップS15)。そして、基板洗浄装置1は、回転駆動機構12の回転数を上昇させることにより、基板Wを高速回転させ、基板Wの表面に残存する純水を振り切って除去する。すなわち、基板Wに対してスピン乾燥を行う(ステップS16)。所定時間のスピン乾燥が完了すると、基板洗浄装置1は、回転駆動機構12を停止させることにより基板Wの回転を停止させ(ステップS17)、1枚の基板Wに対する洗浄処理を終了する基板洗浄工程が完了する。ここで吐出ノズル21からの純水の吐出を停止するタイミングは、当接部材32が待機位置に達した後に時間をおかずに行っているが、当接部材32のエッジ部Eからの引き離しと同時に停止してもよい。
【0053】
上記のように、本実施形態の基板洗浄装置1は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成された当接部材32を、基板Wのエッジ部Eに当接させることにより、エッジ部Eに付着した異物を除去する。このため、基板Wのエッジ部を研磨してしまうことなくエッジ部Eに強固に付着した金属膜やスラリー等の異物を良好に除去することができる。また、当接部材32を構成する弾性材料の中には、砥粒としてのシリカが混入されているため、エッジ部Eに強固に付着した異物を良好に剥離して除去することができる。
【0054】
本実施形態の基板洗浄装置1は、基板Wのエッジ部Eを研磨するものではないため、洗浄中に研磨屑等の新たなパーティクルが発生する恐れはない。また、本実施形態では、リンス液として純水が使用されている。したがって、研磨屑やリンス液を除去するための二次洗浄を行う必要はなく、基板洗浄工程を短縮することができる。
【0055】
<2.実施例>
図6は、上記の基板洗浄装置1において、当接部材32を構成する弾性材料の圧縮弾性率を変化させ、それぞれの圧縮弾性率における異物の除去能力を調べた結果を示した図である。ただし、圧縮弾性率が0.01MPaの場合のみ、図13に示した従来の基板洗浄装置による洗浄処理の結果が示されている。圧縮弾性率が0.3〜130MPaの弾性材料の主成分はポリウレタン(ポリウレタン多孔質体)とし、圧縮弾性率が0.01MPaの樹脂(図13のブラシ220の構成材料)の主成分はポリビニルアルコールとした。なお、調査には直径200mmの基板Wを使用し、CVD(chemical vapor deposition)により基板Wのエッジ部Eに形成されたタングステン膜を除去対象異物とした。また、基板Wの回転数は100rpmとした。
【0056】
本調査では、図6に示したように、十分に吸水させた状態で0.3〜2.7MPaの圧縮弾性率を有する弾性材料を使用したときに、タングステン膜の良好な除去効果を確認することができた。したがって、少なくとも0.3〜2.7MPaの圧縮弾性率において、基板Wのエッジ部Eを研磨してしまうことなくエッジ部Eからタングステン膜を除去するという従来得ることができなかった効果を得られることが分かった。また、タングステン膜に対する除去能力は、1.3MPa付近において最も向上することも分かった。
【0057】
<3.第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る基板洗浄装置2の上面図である。また、図8は、基板洗浄装置2を図7のVIII−VIII線で切断した縦断面図である。本実施形態の基板洗浄装置2は、エッジ当接機構30に代えて第1当接機構51、第2当接機構52、および第3当接機構53が設けられている点を除いて、第1実施形態の基板洗浄装置1と同等の構成を有する。このため、以下では第1当接機構51、第2当接機構52、および第3当接機構53の構成を中心に説明し、他の部分については図7,図8の中に図1,図2と同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0058】
第1当接機構51は、第1実施形態の当接部材32と同等の弾性材料により構成された第1当接部材51aを有している。第1当接部材51aは第1アーム51bの先端部に取り付けられており、第1アーム51bの他端部には第1駆動機構51cが接続されている。このため、第1駆動機構51cを動作させると、第1アーム51bが進退移動し、第1アーム51bの先端部に取り付けられた第1当接部材51aが基板Wのエッジ部Eに対して当接および離間する。図7および図8に示したように、第1当接部材51aは、基板Wとの当接面が水平方向よりもやや下方を向くような角度、本実施例では具体的に基板Wの主面とのなす角度が45度で傾斜配置されている。このため、第1当接部材51aは、基板Wのエッジ部Eのうち、主として上側の傾斜面(上ベベル面)に対して当接する。
【0059】
第2当接機構52は、第1実施形態の当接部材32と同等の弾性材料により構成された第2当接部材52aを有している。第2当接部材52aは第2アーム52bの先端部に取り付けられており、第2アーム52bの他端部には第2駆動機構52cが接続されている。このため、第2駆動機構52cを動作させると、第2アーム52bが進退移動し、第2アーム52bの先端部に取り付けられた第2当接部材52aが基板Wのエッジ部Eに対して当接および離間する。図7に示したように、第2当接部材52aは、基板Wとの当接面が水平方向を向くように直立配置されている。このため、第2当接部材52aは、基板Wのエッジ部Eのうち、主として頂部(アペックス部)に対して当接する。
【0060】
また、第3当接機構53は、第1実施形態の当接部材32と同等の弾性材料により構成された第3当接部材53aを有している。第3当接部材53aは第3アーム53bの先端部に取り付けられており、第3アーム53bの他端部には第3駆動機構53cが接続されている。このため、第3駆動機構53cを動作させると、第3アーム53bが進退移動し、第3アーム53bの先端部に取り付けられた第3当接部材53aが基板Wのエッジ部Eに対して当接および離間する。図7および図8に示したように、第3当接部材53aは、基板Wとの当接面が水平方向よりもやや上方を向くような角度、本実施例では具体的に基板Wの裏面とのなす角度が45度で傾斜配置されている。このため、第3当接部材53aは、基板Wのエッジ部Eのうち、主として下側の傾斜面(下ベベル面)に対して当接する。
【0061】
図9は、このような基板洗浄装置2における洗浄処理の流れを示したフローチャートである。基板洗浄装置2において洗浄処理を行うときには、まず、上記の第1実施形態と同じように、基板Wを支持部11上に載置して回転させ(ステップS21)、純水供給部20の吐出ノズル21から基板Wの上面に向けて純水を吐出する(ステップS22)。基板Wのエッジ部Eまで純水が行き渡ると、基板洗浄装置2は、まず、第1アーム51bを前進させ、第1当接部材51aを基板Wのエッジ部Eに当接させる(ステップS23)。これにより、基板Wのエッジ部Eのうち、主として上側の傾斜面に付着した異物が剥離除去される。そして、所定時間の当接処理が終了すると、基板洗浄装置2は、第1アーム51bを後退させ、第1当接部材51aを基板Wのエッジ部Eから引き離す(ステップS24)。
【0062】
続いて、基板洗浄装置2は、第2アーム52bを前進させ、第2当接部材52aを基板Wのエッジ部Eに当接させる(ステップS25)。これにより、基板Wのエッジ部Eのうち、主として頂部に付着した異物が剥離除去される。そして、所定時間の当接処理が終了すると、基板洗浄装置2は、第2アーム52bを後退させ、第2当接部材52aを基板Wのエッジ部Eから引き離す(ステップS26)。更に、基板洗浄装置2は、第3アーム53bを前進させ、第3当接部材53aを基板Wのエッジ部Eに当接させる(ステップS27)。これにより、基板Wのエッジ部Eのうち、主として下側の傾斜面に付着した異物が剥離除去される。そして、所定時間の当接処理が終了すると、基板洗浄装置2は、第3アーム53bを後退させ、第3当接部材53aを基板Wのエッジ部Eから引き離す(ステップS28)。
【0063】
その後、基板洗浄装置2は、上記の第1実施形態と同じように、吐出ノズル21からの純水の吐出を停止し(ステップS29)、スピン乾燥を行った後(ステップS30)、基板Wの回転を停止させて(ステップS31)、1枚の基板Wに対する洗浄処理を終了する。
【0064】
本実施形態の基板洗浄装置2も、第1実施形態の基板洗浄装置1と同じように、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成された当接部材51a,52a,53aを、基板Wのエッジ部Eに当接させることにより、エッジ部Eに付着した異物を除去する。このため、基板Wのエッジ部を研磨してしまうことなくエッジ部Eに強固に付着した金属膜やスラリー等の異物を良好に除去することができる。また、当接部材51a,52a,53aを構成する弾性材料の中には、砥粒としてのシリカが混入されているため、エッジ部Eに強固に付着した異物を良好に剥離しつつ除去することができる。
【0065】
特に、本実施形態の基板洗浄装置2は、3つの当接部材51a,52a,53aをそれぞれ異なる領域に当接させ、各領域に付着した異物を各当接部材51a,52a,53aにより剥離除去する。このため、複数の領域に付着した異物をそれぞれ効率よく除去することができる。また、本実施形態の基板洗浄装置2は、3つの当接部材51a,52a,53aを1つずつ順次に当接させる。このため、基板Wに対して2方向からの押圧力が加わることはなく、基板Wの破損を防止することができる。
【0066】
<4.第3実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態に係る基板洗浄装置3の上面図である。本実施形態の基板洗浄装置3は、カメラ60が追加されていることと、エッジ当接機構30の旋回アーム31が多段階に昇降可能であることを除いて、上記第1実施形態の基板洗浄装置1と同等の構成を有する。このため、以下ではエッジ当接機構30およびカメラ60の構成を中心に説明し、他の部分については図10中に図1と同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0067】
基板洗浄装置3のカメラ60は、基板Wとほぼ同一の高さに配置され、その撮影方向は貯留槽34aの上方に向けられている。このため、カメラ60は、待機部34側へ旋回アーム31が旋回したときに、貯留槽34aの上方に配置された当接部材32の当接面を撮影することができる。また、カメラ60は、制御部40と電気的に接続されており、撮影により取得された画像データを制御部40に送信することができる。一方、エッジ当接機構30の駆動機構33は、旋回アーム31を多段階に昇降させることができる。このため、旋回アーム31は、基板Wのエッジ部Eに対する当接部材32の高さ位置を調節することができる。
【0068】
この基板洗浄装置3は、第1実施形態の基板洗浄装置1と同じように、図5のフローチャートに従って洗浄処理を行うが、洗浄処理を繰り返すと、図11に示したように、当接部材32の当接面には異物による汚れ32aが付着する。そこで、基板洗浄装置3は、非洗浄処理時に当接部材32の当接面をカメラ60で撮影し、この撮影工程で撮影した画像データを制御部40において解析して汚れ検出をする。そして、画像データ内の汚れ32aの部分の濃度が所定の閾値以上になると汚れ検出工程の検出結果として、次回の洗浄処理時には旋回アーム31の高さを変更して、基板Wのエッジ部Eに対する当接部材32の当接位置を変更する。
【0069】
本実施形態の基板洗浄装置3も、第1実施形態の基板洗浄装置1と同じように、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成された当接部材32を、基板Wのエッジ部Eに当接させることにより、エッジ部Eに付着した異物を除去する。このため、基板Wのエッジ部を研磨してしまうことなくエッジ部Eに強固に付着した金属膜やスラリー等の異物を良好に除去することができる。また、当接部材32を構成する弾性材料の中には、砥粒としてのシリカが混入されているため、エッジ部Eに強固に付着した異物を良好に剥離しつつ除去することができる。
【0070】
特に、本実施形態の基板洗浄装置3は、カメラ60により当接部材32を撮影し、撮影により取得された画像データに基づいて当接部材32上の汚れ32aを検出する。このため、当接部材32上の汚れを情報として認識することができる。また、基板洗浄装置3は、検出された汚れ32aの程度がひどくなると、基板Wのエッジ部Eに対する当接部材32の当接位置を変更する。このため、当接部材32を交換することなく、当接部材32から基板Wへの異物の再付着を防止することができる。
【0071】
<5.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の第1実施形態〜第3実施形態では、いずれも基板Wを1方向にのみ回転させていたが、所定時間の正転および逆転を繰り返すように回転駆動機構12を制御してもよい。このようにすれば、エッジ部Eに付着した異物に対して2方向から剥離力を与えることができるため、1方向の回転のみでは剥離しにくい異物も除去することができる。また、上記の第1実施形態〜第3実施形態では、リンス液として純水を使用していたが、炭酸水やその他の洗浄液をリンス液として使用してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では基板Wをその中心を通る鉛直軸の周りに回転することで基板Wのエッジ部Eに当接部材32を当接し摺接しているが、静止された基板Wに対して当接部材32を移動させるようにして相対移動工程を実施してもよい。また、上記実施形態では、当接部材32を構成する弾性材料の中に、砥粒としてシリカを混入させていたが、シリカを混入させていない弾性材料を使用してもよい。
【0073】
また、上記の第2実施形態と第3実施形態の構成を組み合わせてもよい。すなわち、複数の当接部材51a,52a,53aのそれぞれをカメラで撮影し、撮影により取得された画像データに基づいて各当接部材51a,52a,53aの汚れを検出するとともに、基板Wのエッジ部Eに対する各当接部材51a,52a,53aの当接位置を変更できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態に係る基板洗浄装置の上面図である。
【図2】第1実施形態に係る基板洗浄装置を図1のII−II線で切断した縦断面図である。
【図3】基板のエッジ部に当接部材を当接させたときの状態を示した拡大縦断面図である。
【図4】待機部付近を図1のIV−IV線で切断した縦断面図である。
【図5】第1実施形態の洗浄処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】当接部材を構成する弾性材料の圧縮弾性率を変化させ、それぞれの圧縮弾性率における異物の除去能力を調べた結果を示した図である。
【図7】第2実施形態に係る基板洗浄装置の上面図である。
【図8】第2実施形態に係る基板洗浄装置を図7のVIII−VIII線で切断した縦断面図である。
【図9】第2実施形態の洗浄処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】第3実施形態に係る基板洗浄装置の上面図である。
【図11】汚れが付着した当接部材の様子を示した図である。
【図12】従来の基板洗浄装置の一例を示した図である。
【図13】従来の基板洗浄装置の他の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0075】
1,2,3 基板洗浄装置
10 基板保持回転部
20 純水供給部
30 エッジ当接機構
31 旋回アーム
32 当接部材
33 駆動機構
34 待機部
34a 貯留槽
40 制御部
51 第1当接機構
52 第2当接機構
53 第3当接機構
51a,52a,53a 当接部材
51b,52b,53b アーム
51c,52c,53c 駆動機構
60 カメラ
W 基板
E エッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のエッジ部を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板のエッジ部に当接部材を当接させる当接手段と、
基板を保持しつつ当接部材と相対移動させる相対移動手段と、
を備え、
前記当接部材は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成されていることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄装置であって、
前記当接部材は、前記弾性材料にシリカを混入させたことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板洗浄装置であって、
基板の主面にリンス液を供給するリンス液供給手段を更に備え、
前記リンス液供給手段は、リンス液として純水を供給することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、
非洗浄時に前記当接部材を液体中に浸漬した状態で待機させる待機部を更に備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、
前記当接手段は、基板のエッジ部の異なる領域に当接する複数の前記当接部材を有することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板洗浄装置であって、
前記複数の当接部材は、
基板のエッジ部の一方の傾斜面に当接する第1当接部材と、
基板のエッジ部の頂部に当接する第2当接部材と、
基板のエッジ部の他方の傾斜面に当接する第3当接部材と、
を含むことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、
前記当接部材の当接面を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により取得された画像データに基づいて前記当接部材に付着した汚れを検出する検出手段と、
を更に備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板洗浄装置であって、
前記当接手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて、基板のエッジ部に対する前記当接部材の当接位置を変更することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の基板洗浄装置であって、
基板は円形基板であり、
前記相対移動手段は、基板を中心軸周りに回転させることにより基板のエッジ部と前記当接部材とを相対移動させることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項10】
基板のエッジ部を洗浄する基板洗浄方法であって、
基板のエッジ部に当接部材を当接させる当接工程と、
前記当接工程を継続しつつ、基板を保持しつつ基板と当接部材を相対移動させる相対移動工程と、
を備え、
前記当接部材は、0.3MPa以上かつ2.7MPa以下の圧縮弾性率を有する弾性材料により構成されていることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項11】
請求項10に記載の基板洗浄方法であって、
前記当接部材は、前記弾性材料にシリカを混入させたことを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基板洗浄方法であって、
前記当接工程においては、前記基板の主面にリンス液の供給を行うもので、リンス液として純水を供給することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項13】
請求項10から請求項12までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記当接部材を液体中に浸漬した状態で待機させる待機工程を更に備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項14】
請求項10から請求項13までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記当接工程においては、複数の前記当接部材がそれぞれ基板のエッジ部の異なる領域に当接することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項15】
請求項14に記載の基板洗浄方法であって、
前記複数の当接部材は、
基板のエッジ部の一方の傾斜面に当接する第1当接部材と、
基板のエッジ部の頂部に当接する第2当接部材と、
基板のエッジ部の他方の傾斜面に当接する第3当接部材と、
を含むことを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項16】
請求項10から請求項15までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
前記当接部材の当接面を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程において取得された画像データに基づいて前記当接部材に付着した汚れを検出する汚れ検出工程と、
を更に備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項17】
請求項16に記載の基板洗浄方法であって、
前記当接工程においては、前記汚れ検出工程の検出結果に基づいて、基板のエッジ部に対する前記当接部材の当接位置を変更することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項18】
請求項10から請求項17までのいずれかに記載の基板洗浄方法であって、
基板は円形基板であり、
前記相対移動工程においては、基板を中心軸周りに回転させることにより基板のエッジ部と前記当接部材とを相対移動させることを特徴とする基板洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−277518(P2008−277518A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118920(P2007−118920)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【出願人】(390025807)日本特殊研砥株式会社 (1)
【Fターム(参考)】