説明

基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法及び装置

【課題】ガラスエポキシ基板11の外面部を樹脂封止成形すると共に、該基板の一部を樹脂成形体の外部に露出する基板の樹脂封止成形方法とその装置を提供する。
【解決手段】基板11の外面部を熱硬化性エポキシ樹脂Rにて封止成形するための型構造21・22を備えた樹脂封止成形装置を用いてガラスエポキシ基板11の外面部を樹脂封止成形すると共に、該基板の一部を樹脂封止成形体の外部に露出させようとする型構造21・22の部位に、該基板の露出面13に対して樹脂バリ形成防止用部材23を押圧状に密接させる。また、樹脂バリ形成防止用部材23の先端部に樹脂コーティング層23aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を装着した基板を樹脂材料にて封止成形するための樹脂封止成形方法と、この方法を実施するための樹脂封止成形装置に関し、更に詳細には、樹脂封止成形用の型を用いて基板の外面部を樹脂封止成形する際に、型締圧力にて該基板の露出面を損傷することなく外部に露出させて形成することができると共に、該基板の露出面に樹脂バリ(フラッシュ)を付着させることがないように改善したものに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に装着されたコネクタの外面部を樹脂封止成形する場合において、該コネクタの上下方向の厚み(上下寸法)が小さいときは該コネクタに対して上下両型による必要な型締圧力が加えられないため、該上下両型の接合面(パーティングライン面)から封止用の樹脂材料が型外に漏れ出すことになり、逆に、該コネクタの上下方向の厚みが大きいときは該コネクタに対して上下両型による必要以上の型締圧力が加えられて、該コネクタを変形又は破損させることになる等の不具合を生ずる。
このため、上下両型側にコネクタの上下方向の所定厚みよりも稍大き目のコネクタ嵌合部を設けると共に、このコネクタ嵌合部に、コネクタの上下表面に対して弾性接合させるコネクタ挟持機構を配設することにより、該コネクタ挟持機構にてコネクタの上下方向の厚みのバラツキを吸収させて、上記した上下両型の接合面からの樹脂漏れ或はコネクタの変形等の不具合を防止しようとするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、樹脂封止成形用の型を用いて脆性を有する基板の外面部を樹脂封止成形する場合は、型締圧力にて該基板にクラックが生じ易く割れ易いと云った技術的な困難性が見受けられる。本出願書類では、「脆性を有する基板」とは、次のような特性を有する基板をいう。第1に、基板自体が割れやすいという特性である。第2に、基板自体にクラックが発生しやすいという特性である。第3に、基板の表面に形成されている配線や絶縁層等にクラックが生じやすいという特性である。脆性を有する基板の例としては、ガラスエポキシ基板等のように樹脂を基材として使用する基板、ホーロー基板のようにガラス質の絶縁層を有する基板、セラミック基板等が挙げられる。
また、該基板の露出面形成個所に樹脂バリが形成されると電気的接続が不能となる等の不良品が発生するため、該基板の露出面に対しては所定の型締圧力を加えて樹脂封止成形時に該基板露出面に封止用樹脂が付着するのを確実に防止する必要がある。
しかしながら、該基板自体にも上下方向の厚みのバラツキがあることから、該基板の損傷を防止すると共に、該基板露出面の樹脂バリ形成を防止することができる型締圧力を設定することは極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−76528号公報(第4〜5頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術においては、上下両型側に設けた嵌合部にコネクタを嵌装し、そのコネクタの上下表面に対してコネクタ挟持機構を弾性接合させることが開示されており、従って、この構成においては、該コネクタ挟持機構にてコネクタの上下方向の厚みのバラツキを吸収できると共に、上下両型の接合面からの樹脂漏れ或はコネクタの変形等の不具合を防止することができる。
しかしながら、基板の外面部を樹脂封止成形するときは、上記先行技術に示された構成をそのまま応用することは困難である。
即ち、上記したコネクタはそれ自体が金属等の硬い素材により形成されているため、上記コネクタ挟持機構による押圧力を受けてもコネクタの変形等の不具合が発生することは少なく、また、上記先行技術には、基板の外面部を樹脂封止成形することについては考慮されていない。
【0006】
本発明は、基板の樹脂封止成形体の所定位置に樹脂バリのない基板露出面を形成する場合に適した樹脂封止成形品の製造方法と、この方法を実施するための樹脂封止成形装置を提供すること目的とする。
更に、型締圧力を受けると基板にクラックが生じ易く割れ易いと云った素材特有の性質を有する基板の外面部を樹脂封止成形すると共に、その樹脂封止成形体の所定位置に樹脂バリのない基板露出面を形成する場合に適した樹脂封止成形品の製造方法と、この方法を実施するための樹脂封止成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電子部品を装着した樹脂封止前基板における基板露出面以外の所定の外面部を樹脂封止成形する、基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法であって、電子部品を装着した樹脂封止前基板を樹脂封止成形用の両型間に搬入する工程と、両型間に搬入した樹脂封止前基板を両型の接合面に構成されるキャビティ部の所定位置に配置する工程と、両型の接合面を接合させる型締めを行って樹脂封止前基板をキャビティ部の所定位置にセットする工程と、セットする工程の終了後にキャビティ部に封止用樹脂材料を注入充填する工程と、キャビティ部における封止用樹脂材料を硬化させる工程と、硬化させる工程の終了後に両型を元の位置に復帰させる型開きを行って、樹脂封止成形された樹脂封止済基板を両型間から外部へ搬出する工程とを備え、少なくとも、セットする工程及び注入充填する工程時に、基板露出面に樹脂バリ形成防止用部材を押圧して密接させることによって基板露出面を被覆する工程を行うことを特徴としている。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によれば、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、樹脂封止前基板における基板露出面の部位に樹脂バリ形成防止用部材を押圧状に密接させる。このことにより、樹脂封止前基板の該基板露出面の部位を樹脂バリ形成防止用部材によって被覆する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、上述した製造方法において、被覆する工程では、樹脂バリ形成防止用部材を弾性支持することを特徴としている。
【0010】
従って、請求項2に記載の発明によれば、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、樹脂封止前基板の基板露出面に、弾性支持された樹脂バリ形成防止用部材を押圧状に密接する。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、上述した製造方法において、被覆する工程では、樹脂バリ形成防止用部材が該樹脂バリ形成防止用部材の先端部に設けられた樹脂コーティング層を介して基板露出面を押圧することを特徴としている。
【0012】
従って、請求項3に記載の発明によれば、樹脂バリ形成防止用部材の先端部を樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接させるとき、該基板露出面を損傷等することなく、樹脂バリ形成防止用部材の先端部と基板露出面とを効率良く接合することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、上述した製造方法において、樹脂封止前基板が脆性を有する基板であることを特徴としている。
【0014】
従って、請求項4に記載の発明によれば、基板の素材が型締圧力にてクラックが生じ易く割れ易いと云った性質、言い換えれば脆性を有する基板であっても、該基板を損傷等することなく、両型の所定位置に樹脂封止前基板をセットすることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、樹脂封止成形用の両型における接合面に設けられたキャビティ部の所定位置に樹脂封止前基板を配置すると共に、両型を型締めしてキャビティ部に封止用樹脂材料を注入充填して硬化させることによって樹脂封止前基板における基板露出面以外の外面部を樹脂封止成形する、基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置であって、両型のうちの少なくとも一方の型において、キャビティ部の所定位置に配置された樹脂封止前基板における基板露出面に対応する位置に、基板露出面に対して押圧して密接させる樹脂バリ形成防止用部材を設けたことを特徴としている。
【0016】
従って、請求項5に記載の発明によれば、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、樹脂封止前基板における基板露出面の部位に樹脂バリ形成防止用部材が押圧状に密接される。このことにより、樹脂封止前基板の該基板露出面の部位が樹脂バリ形成防止用部材によって被覆される。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、上述した製造装置において、両型のうちの少なくとも一方の型における樹脂バリ形成防止用部材の先端部とは反対側の位置に、基板露出面に対して樹脂バリ形成防止用部材を押圧して密接させる弾性部材を設けたことを特徴としている。
【0018】
従って、請求項6に記載の発明によれば、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、弾性支持された樹脂バリ形成防止用部材が樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接される。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、上述した製造装置において、樹脂バリ形成防止用部材の先端部に樹脂コーティングを施したことを特徴としている。
【0020】
従って、請求項7に記載の発明によれば、樹脂バリ形成防止用部材の先端部が樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接されるとき、該基板露出面を損傷等することなく、樹脂バリ形成防止用部材の先端部と基板露出面とが効率良く接合される。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、上述した製造装置において、樹脂封止前基板が脆性を有する基板であることを特徴としている。
【0022】
従って、請求項8に記載の発明によれば、基板の素材が型締圧力にてクラックが生じ易く割れ易いと云った性質、言い換えれば脆性を有する基板であっても、該基板を損傷等することなく、両型の所定位置に樹脂封止前基板がセットされる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、樹脂封止前基板の基板露出面に樹脂バリを付着させることなく該樹脂封止前基板の樹脂封止成形品を製造することができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、弾性支持した樹脂バリ形成防止用部材を樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接させる。従って、樹脂バリ形成防止用部材から基板露出面が受ける力を低減するので、基板露出面を損傷するという不具合を未然に防止することができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1、又は、請求項2に記載の発明の効果に加えて、樹脂バリ形成防止用部材の先端部に設けられた樹脂コーティング層を介して基板露出面を押圧することによって、その先端部を樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接するときに、該基板露出面に先端部を効率良く接合させることができる。このことにより、第1に、基板露出面を損傷するという不具合を防止する効果が向上する。第2に、樹脂バリ形成防止用部材の先端部と該基板露出面との間に間隙が生じることによってその間隙から樹脂漏れが発生して該基板露出面に樹脂バリを形成するという不具合を、未然に防止することができる。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、基板の素材が型締圧力にてクラックが生じ易く割れ易いと云った性質、言い換えれば脆性を有する基板であっても、クラックや割れ等の発生を防止して基板の外面部を樹脂封止成形することができる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明によれば、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、樹脂封止前基板における基板露出面の部位に樹脂バリ形成防止用部材が押圧状に密接されて該基板露出面の部位が被覆される。このことによって、基板露出面に樹脂バリを付着させることなく、樹脂封止前基板の樹脂封止成形品を製造することができる。
【0028】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、樹脂封止前基板を両型の間に配置して型締めしたときに、弾性支持された樹脂バリ形成防止用部材が樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接される。従って、樹脂バリ形成防止用部材から基板露出面が受ける力が低減されるので、基板露出面を損傷するという不具合が未然に防止される。
【0029】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項5、又は、請求項6に記載の発明の効果に加えて、樹脂バリ形成防止用部材の先端部に樹脂コーティングを施すことによって、その先端部が樹脂封止前基板の基板露出面に押圧状に密接されるとき該基板露出面に効率良く接合される。このことにより、第1に、基板露出面を損傷するという不具合を防止する効果が向上する。第2に、樹脂バリ形成防止用部材の先端部と該基板露出面との間に間隙が生じて、この間隙から樹脂漏れが発生して該基板露出面に樹脂バリを形成するという不具合を未然に防止することができる。
【0030】
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項4〜7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、基板の素材が型締圧力にてクラックが生じ易く割れ易いと云った性質、言い換えれば脆性を有する基板であっても、クラックや割れ等の発生を防止して基板の外面部を樹脂封止成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(1)は、基板露出面を備えた樹脂封止成形品例を示す概略平面図、図1(2)は、その概略側面図である。
【図2】本発明方法を実施するための基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置における樹脂成形型の要部を示す一部切欠縦断正面図で、該樹脂成形型の型開き状態を示している。
【図3】図2に対応する樹脂成形型要部の一部切欠縦断正面図で、該樹脂成形型に樹脂封止前基板を配置した状態を示している。
【図4】図3に対応する樹脂成形型要部の一部切欠縦断正面図で、該樹脂成形型の型締め状態を示している。
【図5】図4のA−A線における樹脂成形型要部の一部切欠縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は、電子部品を装着した樹脂封止前基板11の外面部を樹脂材料にて封止成形すると共に、その樹脂封止成形体12に樹脂封止前基板11が露出している基板露出面13を備えた樹脂封止成形品10を示している。樹脂封止成形品10としては、例えば、車載用の部品が挙げられる。基板露出面13は、電気的接続が良好となるように、封止用樹脂が付着しないように考慮されなければならない。
【0034】
図2は、樹脂封止成形品10の製造装置における樹脂成形型の要部を示している。
図に示された樹脂成形型20は、固定された上型21と上型21に対して上下動可能に装設された下型22とから構成されている。
上下両型(21・22)の接合面(パーティングライン面 P.L)には樹脂封止前基板11が配置される。上下両型(21・22)には、樹脂封止前基板11の外面部を樹脂材料にて封止成形するための上下キャビティ部(21a・22a)が、相対向して設けられている。
また、上下両型(21・22)におけるキャビティ部(21a・22a)の所定位置に配置された樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位と対応する下型22における位置に、樹脂バリ形成防止用部材23が配設されている。樹脂バリ形成防止用部材23は、樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位に対して、例えば、バネその他の弾性部材(図示なし)によって押圧状に密接される。
このため、上下両型(21・22)におけるキャビティ部(21a・22a)の所定位置に樹脂封止前基板11を配置して上下両型(21・22)を型締めしたときに、樹脂封止前基板11における露出面13の部位に樹脂バリ形成防止用部材23の先端部(図例においては、上端面)が押圧状に密接される。従って、このとき、基板露出面13の部位は樹脂バリ形成防止用部材23の先端部によって被覆されることになる。
なお、樹脂封止前基板11の基板露出面13に対する樹脂バリ形成防止用部材23の押圧力は、調整機構(図示なし)を介して強弱調整可能に設けられている。このため、樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位の厚みや素材の硬さ等の状況に対応して適正な押圧力が得られるように設けられている。
【0035】
また、樹脂バリ形成防止用部材23と対向する上型21の位置(図例においては、上型キャビティ部21a)には弾性支持部材21bが配設される。この弾性支持部材21bには、バネその他の弾性部材21cを介して下方への押圧力が加えられている。従って、弾性支持部材21bの先端部(図例においては、下端面)は、図4に示す上下両型(21・22)の型締時において、樹脂封止前基板11における基板露出面13の背面側の部位(図例においては、樹脂封止前基板11の上面部)に押圧状に密接されることになる。
このため、樹脂封止前基板11を上下両型(21・22)の間に配置して型締めしたときに、樹脂封止前基板11における基板露出面13の背面側の部位に弾性支持部材21bが押圧状に密接されて該背面側の部位を効率良く支持することができる。
なお、弾性支持部材21bの押圧力を、適宜な調整機構を介して強弱調整可能に設けるように構成しても良い。この場合は、樹脂バリ形成防止用部材23と協働して、基板露出面13側の部位における樹脂封止前基板11の上下両面の押圧支持態様を適宜に変更・調整することが可能となる。
【0036】
また、樹脂バリ形成防止用部材23の先端部に、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PFA(テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(四フッ化エチレン)等のフッ素樹脂等のような樹脂バリ形成防止用部材23よりも低い硬度を有する樹脂を用いて、樹脂コーティングを施すようにしても良い。
図例においては、樹脂バリ形成防止用部材23の上端面にPEEKやフッ素樹脂等から成る樹脂コーティング層23aを止着一体化させた場合を示している。
このため、樹脂バリ形成防止用部材23の上端の樹脂コーティング層23aが樹脂封止前基板11の基板露出面13に押圧状に密接されるとき、樹脂コーティング層23aは基板露出面13に効率良く接合される。従って、基板露出面13を損傷するという不具合を未然に防止することができる。また、樹脂バリ形成防止用部材23の上端の樹脂コーティング層23aと基板露出面13との間に間隙が生じてこの間隙から樹脂漏れが発生して基板露出面13に樹脂バリが形成されるという不具合を未然に防止することができる。
【0037】
以下、図2〜図5を参照して、本発明に係る装置を用いて基板露出面を備えた樹脂封止成形品を製造する場合について説明する。
【0038】
まず、図2に示すように、電子部品を装着した樹脂封止前基板11を樹脂封止成形用の上下両型(21・22)間に搬入する。
次に、上下両型(21・22)間に搬入した樹脂封止前基板11を、上下両型(21・22)の接合面P.L に構成される上下両キャビティ部(21a・22a)の所定位置に配置する。
次に、上下両型(21・22)の接合面P.L を接合させる型締めを行って樹脂封止前基板11を上下両キャビティ部(21a・22a)の所定位置にセットする。
次に、図3〜図4に示すように、キャビティ部(21a・22a)に封止用樹脂材料(熱硬化性エポキシ樹脂)Rを注入充填する。
次に、キャビティ部(21a・22a)における封止用樹脂材料を硬化させることによって、樹脂封止成形体12(硬化樹脂)を形成する。これにより、樹脂封止前基板11の外面部を樹脂封止成形することができる。
次に、上下両型(21・22)を元の位置に復帰させる型開きを行って、樹脂封止成形された樹脂封止済基板11aを上下両型(21・22)間から外部へ搬出する。
更に、少なくとも、樹脂封止前基板11をセットする工程、及び、樹脂材料を注入充填する工程の時に、樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位に樹脂バリ形成防止用部材23の上端面に施した樹脂コーティング層23aを押圧状に密接させる。これにより、樹脂コーティング層23aによって基板露出面13を被覆する。
【0039】
このとき、樹脂封止前基板11を上下両型(21・22)間に配置して型締めすると、樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位に、樹脂バリ形成防止用部材23の上端面に施した樹脂コーティング層23aが押圧状に密接する。これにより、樹脂封止前基板11の露出面13の部位を被覆する。従って、基板露出面13の部位に樹脂バリを付着させることなく樹脂封止前基板11の樹脂封止成形品を製造することができる。
【0040】
また、上記したように、樹脂封止前基板11における基板露出面13の部位に樹脂バリ形成防止用部材23の上端面に施した樹脂コーティング層23aを押圧状に密接させることによって、基板露出面13を被覆する。このことにより、樹脂封止前基板11の素材が型締圧力によってクラックが生じ易く割れ易いと云った性質、言い換えれば脆性を有する基板であっても、該基板を損傷することなく、また、該基板の基板露出面13の部位を効率良く且つ確実に被覆することができる。従って、脆性を有する基板における基板露出面13の部位に樹脂バリを付着させることなく該基板の樹脂封止成形品を製造することができる。
【0041】
なお、上述した実施例図においては、基板露出面13を下向きにした状態で樹脂封止前基板11を上下両型(21・22)における両キャビティ部(21a・22a)の所定位置に配置する場合について説明した。この構成態様とは逆に、基板露出面13を上向きにした状態で上記所定位置に配置する構成を採用しても差し支えない。
【0042】
また、樹脂封止前基板11の両面(図では上面と下面との双方)に基板露出面13が設けられている場合もある。この場合には、図2〜図5に示された樹脂バリ形成防止用部材23に加えて、弾性支持部材21bも樹脂バリ形成防止用部材として機能させることが好ましい。具体的には、図2〜図5に示された弾性支持部材21bに相当する部材の先端部の寸法形状を、上面における基板露出面に相当する寸法形状にすればよい。この部材が、樹脂バリ形成防止用部材として機能する。更に、図2〜図5に示された弾性支持部材21bに相当する部材の先端部(図においては下端部)に樹脂コーティング(樹脂バリ形成防止用部材23の樹脂コーティング層23aに相当)を施すことが好ましい。
【0043】
また、樹脂封止前基板11の両面に樹脂封止成形体12(硬化樹脂)を形成した。このことに基づいて、上型21に上キャビティ部21aが、下型22に下キャビティ部22aが、それぞれ設けられている樹脂成形型20を使用した。これに限らず、上型21と下型22とのいずれか一方にキャビティ部が設けられている樹脂成形型を使用してもよい。
【0044】
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0045】
10 樹脂封止成形品
11 基板
11a 樹脂封止済基板
12 樹脂封止成形体
13 基板露出面
20 樹脂成形型
21 固定上型
21a 上キャビティ部
21b 弾性支持部材
21c 弾性部材
22 可動下型
22a 下キャビティ部
23 樹脂バリ形成防止用部材
23a 樹脂コーティング層
P.L 接合面(パーティングライン面)
R 封止用樹脂材料(熱硬化性エポキシ樹脂)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を装着した樹脂封止前基板における基板露出面以外の所定の外面部を樹脂封止成形する、基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法であって、
前記電子部品を装着した前記樹脂封止前基板を樹脂封止成形用の両型間に搬入する工程と、
前記両型間に搬入した前記樹脂封止前基板を前記両型の接合面に構成されるキャビティ部の所定位置に配置する工程と、
前記両型の接合面を接合させる型締めを行って前記樹脂封止前基板を前記キャビティ部の所定位置にセットする工程と、
前記セットする工程の終了後に前記キャビティ部に封止用樹脂材料を注入充填する工程と、
前記キャビティ部における前記封止用樹脂材料を硬化させる工程と、
前記硬化させる工程の終了後に前記両型を元の位置に復帰させる型開きを行って、樹脂封止成形された樹脂封止済基板を前記両型間から外部へ搬出する工程とを備え、
少なくとも、前記セットする工程及び前記注入充填する工程時に、前記基板露出面に樹脂バリ形成防止用部材を押圧して密接させることによって前記基板露出面を被覆する工程を行うことを特徴とする基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法。
【請求項2】
前記被覆する工程では、前記樹脂バリ形成防止用部材を弾性支持することを特徴とする請求項1に記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法。
【請求項3】
前記被覆する工程では、前記樹脂バリ形成防止用部材が該樹脂バリ形成防止用部材の先端部に設けられた樹脂コーティング層を介して前記基板露出面を押圧することを特徴とする請求項1、又は、請求項2に記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂封止前基板が脆性を有する基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造方法。
【請求項5】
樹脂封止成形用の両型における接合面に設けられたキャビティ部の所定位置に樹脂封止前基板を配置すると共に、前記両型を型締めして前記キャビティ部に封止用樹脂材料を注入充填して硬化させることによって前記樹脂封止前基板における基板露出面以外の外面部を樹脂封止成形する、基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置であって、
前記両型のうちの少なくとも一方の型において、前記キャビティ部の所定位置に配置された前記樹脂封止前基板における前記基板露出面に対応する位置に、前記基板露出面に対して押圧して密接させる樹脂バリ形成防止用部材を設けたことを特徴とする基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置。
【請求項6】
前記両型のうちの少なくとも一方の型における前記樹脂バリ形成防止用部材の先端部とは反対側の位置に、前記基板露出面に対して前記樹脂バリ形成防止用部材を押圧して密接させる弾性部材を設けたことを特徴とする請求項5に記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置。
【請求項7】
前記樹脂バリ形成防止用部材の先端部に樹脂コーティングを施したことを特徴とする請求項5、又は、請求項6に記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置。
【請求項8】
前記樹脂封止前基板が脆性を有する基板であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の基板露出面を備えた樹脂封止成形品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−49414(P2012−49414A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191721(P2010−191721)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】