説明

報知区間特定システムおよびプログラム

【課題】規制情報がない場合であっても、規制の影響が残っているために運転者への報知対象とすべき区間を特定可能な報知区間特定システムを提供する。
【解決手段】最初に道路番号を取得する(S300)。続いて、過去に規制があったか否かを判断し、過去に規制があったと判断された場合(S310:YES)、S320へ移行する。次に、現在も規制されているか否かを判断し、現在は規制されていないと判断された場合(S320:NO)、S330へ移行する。S330では路面状態が通常状態よりも悪いか否かを判断し、路面状態が悪いと判断された場合(S330:YES)、S340にて規制の影響が残っているために運転者へ報知すべき報知対象区間の道路番号として記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規制情報がない場合であっても、工事などによる実質的な規制区間を特定可能な報知区間特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置では、カラーディスプレイ装置などの表示装置を備えるのが一般的であり、その表示画面には、車両位置を示す現在地マークと、地図データに基づき描画される地図と、さらに地図データに対応して記憶された施設等の情報が重ねて表示される。
ところで、近年、走行に際して注意すべき道路区間を運転者に報知することなどを目的として、情報センタが整備されてきている。この情報センタからは、例えば、規制情報が配信される。したがって、ナビゲーション装置の中には、地図上の各道路に対応させて、規制情報を表示するものがある。また、ルート案内を開始する前に当該ルートが規制区間を通るものであるか否かを判断し、自車が当該規制区間にさしかかるような場合には、その旨を予め報知するナビゲーション装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−28377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のナビゲーション装置では、規制情報が存在する場合にだけ、規制区間等を報知するようにしている。しかしながら、例えば工事期間中である道路区間は、一時的に規制がなくなったとしても、工事の影響等により、路面状況が悪化している可能性がある。具体的には、工事中の穴を塞ぐための鉄板が敷かれていたり、あるいは、舗装状態が悪く走行中に振動が発生したりすることが例示される。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、規制情報がない場合であっても、規制の影響が残っているために運転者への報知対象とすべき区間を特定可能な報知区間特定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の報知区間特定システムは、道路区間の規制情報を取得する規制情報取得手段と、路面状態を示す路面情報を取得する路面情報取得手段と、規制情報が過去に存在し、現在は存在していない道路区間を抽出する区間抽出手段と、区間抽出手段にて抽出される道路区間に対応する路面情報に基づき、当該道路区間を報知対象区間として特定する報知区間特定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
つまり、規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路区間を抽出するのであるが、規制情報が一時的に存在しないだけで、規制の影響が残っている道路区間もあり得る。このような道路区間では、路面状態が悪化している可能性が否定できない。そこで、さらに路面情報を取得し、この路面情報に基づいて、報知対象区間を特定するようにした。このようにすれば、規制情報がない場合であっても、規制の影響が残っているために運転者への報知対象とすべき区間を特定することができる。
【0008】
具体的には、路面情報として路面状態が悪いことを示す情報を用い、路面状態が通常よりも悪い状態である道路区間を報知対象区間として特定することが例示される。
ところで、規制情報が一時的に存在しないケースには、工事期間ではあるが工事が休止中である場合が挙げられる。この場合、工事の再開時期が予め決まっていると、規制情報として、規制の予定情報が配信されることがある。
【0009】
そこで、規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路区間であって、かつ、今後の規制が予定されている道路区間を抽出するようにしてもよい。このようにすれば、判断対象となる道路区間を適切に絞り込むことができる。
なお、本発明は、次に示すプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、本発明のプログラムは、規制情報が過去に存在し、現在は存在していない道路区間を抽出する区間抽出処理と、区間抽出処理にて抽出される道路区間に対応する路面情報に基づき、当該道路区間を報知対象区間として特定する報知区間特定処理と、を含むことを特徴とする。このようなプログラムをコンピュータによって実行すれば、上記報知区間特定システムと同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の報知区間特定システムを車載用ナビゲーション装置1として具現化した実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、この制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、通信部50、描画部60、音声出力部70、および、情報記憶部80を備えている。なお、制御部10は通常のコンピュータとして構成されており、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。また、描画部60には、ディスプレイ60aが電気的に接続されており、音声出力部70には、スピーカ70aが電気的に接続されている。
【0011】
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )受信機24を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサ、各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0012】
地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ及び地図データを記憶している。本実施形態における地図データには、ノードに関するノードデータ、および、道路(リンク)に関するリンクデータが含まれている。また、このリンクデータには、道路を特定可能な道路番号が含まれている。本実施形態では、地図データ記憶部30を、ハードディスク装置(HDD)で構成している。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMやメモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
操作スイッチ群40は、ディスプレイ60aと一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
【0013】
通信部50は、情報センタ90からの情報を受信する。本実施形態では、電話回線にて通信部50と情報センタ90との間で双方向通信が可能となっており、車載用ナビゲーション装置1は、各種情報を、情報センタ90から取得する。また、車載用ナビゲーション装置1からの情報が、プローブ情報として情報センタ90に蓄積される。さらにまた、情報センタ90には、VICS(登録商標、Vehicle Information and Communication System)センタからの交通情報が蓄積される。
【0014】
描画部60には、上述したようにディスプレイ60aが接続されている。ディスプレイ60aは、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ60aを介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ70aが接続されており、このスピーカ70aを介して音声による案内が行われる。また、情報記憶部80は、通信部50にて受信される渋滞情報を記憶するためのものであり、地図データ記憶部30と同様のHDDで構成されている。もちろん、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
【0015】
次に、図2に示すフローチャートに基づき、規制情報受信処理を説明する。この規制情報受信処理は、所定時間間隔で実行される。
最初のステップS100(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)において、交通情報の受信を行う。この処理は、通信部50により、情報センタ90から送信される交通情報を受信するものである。
【0016】
続くS110では、受信した交通情報が規制情報であるか否かを判断する。ここで規制情報であると判断された場合(S110:YES)、S120へ移行する。一方、規制情報でないと判断された場合(S110:NO)、S140へ移行する。この規制情報には、規制区間に対応する道路の道路番号および規制時刻が含まれる。本実施形態では、規制区間を特定可能な情報として道路番号を採用したが、規制区間に対応する道路を特定できる情報であればよい。また、規制時刻は、規制の行われる日にち、時間帯(規制開始時刻、規制終了時刻)で構成される。さらに、これらの情報に加え、規制内容が含まれるものとしてもよい。規制内容は例えば、「工事による通行止め」というような情報である。
S120では、受信した規制情報に基づいて規制区間に対応する道路の道路番号および規制時刻を取得する。続くS130では、道路番号と規制時刻を記憶する。この処理は、情報記憶部80に、道路番号と、当該道路番号に示される道路の規制時刻を記憶するものである。かかる構成により、情報記憶部80を検索すれば、規制が行われている道路が道路番号で特定できる。また、規制時刻を記憶するため、当該規制が何日の何時から何時まで行われていたかを特定できる。S130の処理終了後、S150へ移行する。
【0017】
交通情報が規制情報でないと判断された場合に移行するS140では交通情報に応じたその他の処理を実行し、その後、S150へ移行する。
S150では、未処理の交通情報があるか否かを判断する。ここで、未処理情報があると判断された場合(S150:YES)、すなわち受信した交通情報で処理していないものがあるうちは、S110からの処理を繰り返す。一方、未処理情報がないと判断された場合(S150:NO)、すなわち受信した全ての交通情報を処理した場合には、本情報受信処理を終了する。
【0018】
次に、路面情報取得処理を説明する。なお、路面情報取得処理の前提として、情報センタ90には、路面情報が蓄積されているものとする。
そこで最初に、路面情報の収集について説明しておく。
路面情報の収集は、各車両によって行うことが例示される。具体的には、車両走行時に取得される路面情報をプローブ情報として、車載用ナビゲーション装置1が情報センタ90へ送信する。より詳細には、車両内のネットワークをLAN(Local Area Network)によって構築し、制御部10とサスペンション制御部100とをLAN接続する(図1参照)。このサスペンション制御部100には、図示しない加速度センサが接続される。この加速度センサは、車両に加わる上下方向の加速度を検出する。これにより、加速度センサからの信号を用いて、サスペンション制御部100は、例えばデコボコやガタガタ、あるいは、段差があるといった路面状態を検出できることになる。本実施形態では、サスペンション制御部100が、上下方向の加速度を検出したとき、路面状態が悪いと判断し、路面状態が悪いことを示す路面情報(悪路情報)をLAN経由で制御部10へ送出する。制御部10は、サスペンション制御部100から送出される路面情報を、通信部50を介して情報センタ90へ送信する。この路面情報(悪路情報)には、路面状態が悪い道路の道路番号および検出時刻が含まれる。この検出時刻は、路面状態を検出した日時を示すものであり、図示しないタイマ等により取得される。なお、本実施形態では路面状態が悪い道路を検出した場合のみ路面情報を情報センタ90へ送信する構成としたが、路面状態の良し悪しにかかわらず、全ての道路区間に対応する路面情報を送信する構成としてもよい。この場合、路面情報には、道路番号、検出時刻の他、路面状態の良し悪しを示す情報が含まれることになる。そして、この場合は、サスペンション制御部100が路面状態の良し悪しにかかわらず所定道路区間を走行する毎に路面情報を制御部10へ送信する構成とし、制御部10が当該路面情報を情報センタ90へ送信する構成とすることが例示される。なお、本実施形態においては路面状態の判断に加速度センサを利用したが、路面状態を判断できればよく、例えばカメラなどを用いて路面を撮影して路面状態を判断する構成としてもよい。また、制御部10を経由せず、サスペンション制御部100が直接的に、情報センタ90へ路面情報を送信するようにしてもよい。
【0019】
次に、路面情報取得処理を、図3のフローチャートに基づき説明する。
最初のS200において、路面情報を受信する。この処理は、情報センタ90との間で通信部50を介した通信処理を行い、情報センタ90に蓄積された路面情報を受信するものである。
【0020】
次のS210では、通常状態よりも悪い路面状態の道路の道路番号および検出時刻を記憶する。上述したように、本実施形態の路面情報は悪路情報であり、路面情報には、路面状態の悪い道路の道路番号が含まれている。したがって、この処理は、路面情報に含まれる道路番号を記憶するものである。また、上述したように、路面情報には、道路番号とともに路面状態を検出した日時を示す検出時刻が含まれている。そこで、この処理では、この検出時刻も記憶する。S210の処理終了後、本路面状態取得処理を終了する。
次に、報知区間特定処理を、図4のフローチャートに基づき説明する。
最初のS300において、道路番号を取得する。この処理は、判断対象となるエリアに含まれる道路番号のうちの一つを取得するものである。
【0021】
続くS310では、過去に規制があったか否かを判断する。この処理は、情報記憶部80を検索し、S300にて取得した道路番号に対応する道路区間に規制があったか否かを判断するものである。本実施形態では、前日から現時点までに規制があったか否かを判断する。詳細には、現時点の時刻(現在時刻)が、車載用ナビゲーション装置1の図示しないタイマ等によって取得される。なお、現在時刻には、日付情報も含むものとする。一方、情報記憶部80には、規制情報として、規制のある道路の道路番号と規制時刻とが記憶されている(図2中のS130)。上述したように、規制情報は規制の行われる日にち、時間帯(規制開始時刻、規制終了時刻)で構成される。したがって、S300にて取得した道路番号に対応する規制情報を情報記憶部80から取得し、取得した規制情報に基づき、前日の午前0時から現在時刻までの間(対象期間)に規制の時間帯の少なくとも一部が含まれているか否かを判断する。ここで過去に規制があったと判断された場合(S310:YES)、すなわち対象期間に規制の時間帯の少なくとも一部が含まれている場合には、S320へ移行する。一方、過去に規制がないと判断された場合(S310:NO)、すなわち対象期間に規制の時間帯の少なくとも一部が含まれていない場合には、S350へ移行する。
【0022】
過去に規制があったと判断された場合に移行するS320では、現在も規制されているか否かを判断する。この処理は、情報記憶部80を検索し、S300にて取得した道路番号に対応する道路が現時点で規制されているか否かを判断するものである。具体的には、S300にて取得した道路番号に対応する規制情報を情報記憶部80から取得し、取得した規制情報に基づく規制終了時刻が、現在時刻よりも前の時点であるか否かを判断する。ここで現在も規制されていると判断された場合(S320:YES)、すなわち規制終了時刻が現在時刻よりも前の時点でないと判断された場合には、S350へ移行する。一方、現在は規制されていないと判断された場合(S320:NO)、すなわち規制終了時刻が現在時刻よりも前の時点であると判断された場合には、S330へ移行する。
【0023】
S310およびS320の判断処理によって、「規制情報が過去に存在し、現在は存在していない道路区間」が抽出されることになる。
S330では、路面状態が通常状態よりも悪いか否かが判断される。具体的には、上述したように情報記憶部80には、悪路情報として、路面状態が悪い道路の道路番号および検出時刻が記憶される(図3中のS210)。したがって、この判断は、情報記憶部80を検索することにより、路面状態の検出時刻に基づき規制終了時刻以後に検出された悪路に対応する道路番号を取得し、この道路番号に処理対象の道路番号が含まれているか否かによって判断する。ここで路面状態が悪いと判断された場合(S330:YES)、すなわち取得した道路番号に処理対象の道路番号が含まれていると判断された場合には、S340にて規制の影響が残っているために運転者へ報知すべき報知対象区間の道路番号として記憶し、その後、S350へ移行する。一方、路面状態が悪くないと判断された場合(S330:NO)、すなわち取得した道路番号に処理対象の道路番号が含まれていないと判断された場合には、S340の処理を実行せず、S350へ移行する。
【0024】
S350では、判定対象エリアに含まれるすべての道路に対して処理をしたか否かを判断する。ここですべて処理したと判断された場合(S350:YES)、本報知区間特定処理を終了する。一方、処理していないと判断された場合(S350:NO)、S300からの処理を繰り返す。この場合、S300にて次の道路番号が取得されることになる。
【0025】
このような報知区間特定処理を実行すれば、現在は規制が行われていないが過去に規制が行われており路面状態の悪い道路区間を報知対象区間として特定することができる。したがって、ディスプレイ60aでの地図表示を行う際に、当該報知対象区間の情報を表示するようにすれば、その道路の走行に先立って注意を喚起することができる。また、ルート設定にあたって報知対象区間の情報を報知するようにすれば、運転者がより妥当なルートを選択できたり、あるいは、報知対象区間を含むルートを設定した場合でも、当該区間の走行に先立って注意を喚起したりすることができる。
【0026】
なお、本実施形態における通信部50が「規制情報取得手段」および「路面情報取得手段」を構成し、制御部10が「区間抽出手段」および「報知区間特定手段」を構成する。また、図4中のS310およびS320が区間抽出手段の機能としての「区間抽出処理」に相当し、図4中のS330およびS340が報知区間特定手段の機能としての「報知区間特定処理」に相当する。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態では、道路番号にて示される道路区間の規制情報を含む交通情報を受信し(図2中のS100)、路面状態の良し悪しを示す路面情報(悪路情報)を、通信部50を介して情報センタ90から取得する(図3中のS200)。そして、規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路番号を抽出し(図4中のS310、S320)、抽出される道路番号に対応する路面情報に基づいて、当該道路番号で示される道路区間を報知対象区間として特定する(S330、S340)。
【0028】
つまり、規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路区間を抽出するのであるが、規制情報が一時的に存在しないだけの道路区間もあり得る。このような道路区間では、路面状態が悪化している可能性が否定できない。そこで、さらに路面情報を外部から取得し、この路面情報に基づいて、報知対象区間を特定するようにした。このようにすれば、規制情報がない場合であっても、規制の影響が残っているために運転者への報知対象とすべき区間を特定することができる。
【0029】
ところで、規制情報が一時的に存在しないケースには、工事期間ではあるが工事が休止中である場合が挙げられる。
この点、上記実施形態では規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路番号を抽出しているが(図4中のS310、S320)、さらに、規制情報に規制の予定情報が含まれる場合があることを前提として、S320の処理の後、今後の規制が予定されている道路区間であるか否かを判断するようにしてもよい。このようにすれば、判断対象となる道路区間を適切に絞り込むことができる。
【0030】
以下、本発明に含まれる技術思想に対する理解を容易にするため、上記実施形態とは異なるバリエーションを紹介する。
(1)上記実施形態は、本発明の報知区間特定システムを車載用ナビゲーション装置1として具現化したものであった。これに対し、本発明の報知区間特定システムは、車載用ナビゲーション装置との間で通信処理を実行する情報センタとして具現化することもできる。
【0031】
すなわち、情報センタ側で、図2に示した規制情報受信処理、図3に示した路面情報取得処理、および、図4に示した報知区間特定処理が実行されるようにしてもよい。この場合、規制情報受信処理は、VICSセンタから交通情報を受信するものとなる。また、路面情報取得処理は、各車両から送信される路面情報を受信するものとなる。そして、情報センタは、報知区間特定処理にて報知対象とすべき道路の道路番号を記憶した後(図4中のS340)、当該道路番号を報知対象区間に相当するものとして、各車両へ配信する。これにより、各車両に搭載されたナビゲーション装置によってディスプレイ60aでの地図表示を行う際に、当該報知対象区間の情報を表示するようにすれば、その道路の走行に先立って注意を喚起することができる。また、運転者が目的地までのルートを設定した場合に報知対象区間の情報を報知するようにすれば、運転者がより妥当なルートを選択できたり、あるいは、報知対象区間を含むルートを設定した場合でも、当該区間の走行に先立って注意を喚起したりすることができる。
【0032】
すなわち、この構成では、情報センタが、「規制情報取得手段」、「路面情報取得手段」、「区間抽出手段」および「報知区間特定手段」を有することになる。
(2)また、本発明の報知区間特定システムは、車載用ナビゲーション装置と、当該車載用ナビゲーション装置との間で通信処理を実行する情報センタとを備えるシステムとして具現化することもできる。
【0033】
この構成では、「規制情報取得手段」、「路面情報取得手段」、「区間抽出手段」および「報知区間特定手段」のいくつかを車載用ナビゲーション装置が備え、残りを情報センタが備えている。
【0034】
(3)上記実施形態では、規制情報が過去に存在したか否かを判断するにあたり、前日から現時点までに規制があったか否かを判断していたが(図4中のS310)、これに限定されるものではなく、前々日までの範囲で規制があったか否かを判断してもよいし、過去一週間の範囲で規制があったか否かを判断してもよい。つまり、規制情報が過去の所定期間に存在し、現在は存在していない道路区間を抽出することとしてもよい。
【0035】
(4)上記実施形態において、例えば図4中のS320において否定判断された後、対象となっている道路番号に対応する路面情報の送信を情報センタ90に要求するようにしてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における規制情報受信処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における路面情報取得処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態における報知区間特定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1:車載用ナビゲーション装置、10:制御部(区間抽出手段、報知区間特定手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部(地図データ記憶手段)、40:操作スイッチ群、50:通信部(規制情報取得手段、路面情報取得手段)、60:描画部、60a:ディスプレイ、70:音声出力部、70a:スピーカ、80:情報記憶部90:情報センタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路区間の規制情報を取得する規制情報取得手段と、
路面状態を示す路面情報を取得する路面情報取得手段と、
前記規制情報が過去に存在し、現在は存在していない道路区間を抽出する区間抽出手段と、
前記区間抽出手段にて抽出される道路区間に対応する路面情報に基づき、当該道路区間を報知対象区間として特定する報知区間特定手段と、
を備えていることを特徴とする報知区間特定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の報知区間特定システムにおいて、
前記報知区間特定手段は、前記路面情報に基づき、路面状態が通常よりも悪い状態である道路区間を前記報知対象区間として特定することを特徴とする報知区間特定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の報知区間特定システムにおいて、
前記区間抽出手段は、前記規制情報が過去に存在し現在は存在していない道路区間であって、今後の規制が予定されている道路区間を抽出することを特徴とする報知区間特定システム。
【請求項4】
規制情報が過去に存在し、現在は存在していない道路区間を抽出する区間抽出処理と、
前記区間抽出処理にて抽出される道路区間に対応する路面情報に基づき、当該道路区間を報知対象区間として特定する報知区間特定処理と、
を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−288155(P2009−288155A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142696(P2008−142696)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】