塗布装置、塗布方法、塗布、現像装置及び記憶媒体
【課題】基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布装置において、基板の裏面を洗浄するための溶剤の使用量を抑えること。
【解決手段】回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、前記基板の裏面側に当該基板の周縁部に対向するように形成された対向面部と、その対向面部に処理液を供給し、その表面と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させる液膜形成部とを備えるように塗布装置を構成し、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが前記基板の裏面の周縁部に付着することを防ぐための液膜を形成する。
【解決手段】回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、前記基板の裏面側に当該基板の周縁部に対向するように形成された対向面部と、その対向面部に処理液を供給し、その表面と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させる液膜形成部とを備えるように塗布装置を構成し、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが前記基板の裏面の周縁部に付着することを防ぐための液膜を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板にレジストなどの薬液を塗布する塗布装置、塗布方法、前記塗布装置を備えた塗布、現像装置及び前記塗布方法を実施するプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては塗布液を基板上にスピンコーティング法により、塗布する工程があり、塗布液としてはレジストや、その他に反射防止膜を形成するための薬液や酸化シリコンの前駆物質を含む絶縁膜形成用の薬液などが挙げられる。スピンコーティング法は半導体ウエハ(以下ウエハという)やLCD用のガラス基板等の基板の裏面中央部をスピンチャックに吸着させ、基板の表面中央部に供給すると共に、前記スピンチャックを鉛直軸回りに回転させ、前記塗布液を遠心力によりウエハの周縁部に広げる塗布方法である。
【0003】
ところで環境問題の深刻化により、有機溶剤の使用量及び大気中への排出量の低減が求められている。これに応じて、例えば上記スピンコーティング法を行うレジスト塗布装置においては、レジストを基板に塗布する前にウエハに有機溶剤を供給し、ウエハとレジストのなじみをよくしてから当該ウエハにレジストを供給して、レジスト使用量を減少させる省レジスト塗布が行われる場合がある。この塗布方法においては、レジストの使用量を抑えることで、当該レジストに含まれる有機溶剤の使用量が低減されるので、1枚のウエハに成膜するために要する有機溶剤の使用総量が低減される。
【0004】
しかし、上記のようにスピンコーティングによりレジスト膜Rの形成を行うにあたっては、ウエハWに供給されたレジストがミストMとなって飛散し、図24(a)に示すようにその飛散したミストMがウエハWの裏面周縁部に付着する場合があり、このミストMがパーティクルとなって正常なレジストパターン形成を妨げることを防ぐために、図24(b)に示すように裏面洗浄ノズル11からウエハWの裏面側にシンナーなどの溶剤を供給して、ミストMを洗い流す処理が行われている。
【0005】
この裏面洗浄ノズル11による裏面洗浄処理は、前記レジスト塗布装置が含まれる塗布、現像装置における各処理中で最も多くの溶剤を使用する処理となる場合があり、例えばウエハ1枚あたりに20ccの溶剤が使用される。塗布、現像装置においては1ヶ月あたり600枚のウエハの塗布、現像処理が行われるとした場合は、使用量が20ccであると、そのレジスト塗布装置における1ヶ月の前記溶剤の使用量は120トンにもなる。レジスト塗布装置について説明してきたが、それ以外にも上述のように各種の薬液を塗布してその薬液に応じた膜を基板に形成する装置において、レジスト膜形成モジュールと同様に裏面洗浄が行われる場合があり、当該裏面洗浄における有機溶剤の使用量について問題になっている。
【0006】
スピンコーティングは、液の飛散を抑えるためにその下方に吸引路が接続されたカップ内で行われ、この吸引路を介してカップ内を吸引することによりカップ内に排気流が形成されるようになっている。そこで、カップの構造を変更することで排気流を制御し、ウエハWへのミストMの付着を低減化させることも検討されているが、それにより完全にミストの付着を抑えることができないので、依然として裏面洗浄における溶剤の使用量は少なくならず、むしろより確実にパーティクル汚染を抑えるために、過去よりも多量の溶剤を用いてミストの洗い流しを行っている場合もある。特許文献1にはウエハを浮上させてレジストを塗布する塗布装置について記載されているが、上記の問題を解決できるものではない。
【特許文献1】特開平2−16447(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布装置において、基板の裏面を洗浄するための溶剤の使用量を抑えることができる塗布装置、塗布方法、その塗布装置を備えた塗布、現像装置及びその塗布方法を実施するプログラムを格納した記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塗布装置は、基板の裏面の中央部を保持して当該基板を水平に支持するための基板保持部と、
前記基板の表面の中央部に塗布液を供給するための塗布ノズルと、
前記基板保持部を鉛直軸回りに回転させ、基板の中央部に供給された前記塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜するための回転駆動部と、
前記基板の裏面の周縁部に対向した対向面部とその対向面部に処理液を供給する処理液供給部とを備え、前記処理液をその表面張力により当該対向面部と回転する基板の前記周縁部とに吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストを前記基板の裏面の周縁部から除去するための液膜を形成するための液膜形成部と、
回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記塗布装置は、例えば前記基板に塗布液を供給するときに当該基板を第1の回転数で回転させ、塗布液の供給停止後、基板における塗布液の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させ、さらに塗布液を乾燥させるために基板を前記第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させるように前記塗布ノズル、回転駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、
当該制御部は、この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記液膜形成部の対向面部に処理液を供給するように前記処理液供給部の動作を制御する。
【0010】
前記姿勢制御部には、前記吐出孔によるガスの吐出と協働して回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する吸引孔が基板の回転方向に沿って設けられていてもよく、その場合例えば前記吐出孔及び前記吸引孔は、基板の回転方向及び回転する基板の径方向に沿って交互に配列されている。
【0011】
前記姿勢制御部を、前記基板の周縁部の前記ぶれを抑えるためにガスを吐出する処理位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第1の昇降機構が設けられていてもよく、その場合例えば前記液膜形成部を、前記液膜を形成するための液膜形成位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第2の昇降機構が設けられ、第2の昇降機構は、液膜形成部の基板への接触を抑えるために姿勢制御部の吐出孔からガスが吐出されているときに、液膜形成部を前記待機位置から前記液膜形成位置に上昇させる。
【0012】
また、前記液膜形成部には、不要になった前記液膜を形成する処理液を除去するための排液手段が設けられていてもよく、前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気から区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気に接続された排気路と、
非処理雰囲気中のガスを基板保持部の回転によって処理雰囲気に引き込むための前記区画部材に設けられたガス流路と、
を備えていてもよい。この場合、例えば前記ガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へのガスの流通を制御するための流通制御手段が設けられており、前記流通制御手段は、前記ガス流路を開閉するためのシャッタにより構成されていてもよい。また、例えばリング状に前記液膜を形成するために、前記液膜形成部は回転する基板の回転方向に沿ったリング状に形成されている。
【0013】
本発明の塗布方法は、基板保持部により基板の裏面を保持して当該基板を水平に保持する工程と、
塗布ノズルにより前記基板の表面中央部に塗布液を供給する工程と、
回転駆動部により前記基板保持部を鉛直軸回りに第1の回転数で回転させ、基板の中央部に供給された塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜する工程と、
回転する基板の裏面側の周縁部に沿って形成された液膜形成部の対向面部に、当該液膜形成部に設けられた処理液供給部から処理液を供給する工程と、
その液膜形成部の対向面部と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが当該裏面の周縁部に付着することを防ぐ液膜を形成する工程と、
前記基板保持部を囲む姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられた吐出口から回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出すると工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記塗布方法は、例えば基板に塗布液を供給した後、塗布液の基板の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させるように基板の回転数を変更する工程と、
その後基板を第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させて塗布液を乾燥させる工程と、を備え
この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記処理液を供給する工程が実施される。また、前記基板の回転中に前記液膜を構成する処理液を除去する工程を備えていてもよい。また、前記基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、前記ガスを吐出する工程と共に基板の回転方向に沿って設けられた吸引孔により前記基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する工程が実施されてもよい。
【0015】
また、前記姿勢制御部の吐出孔からガスを吐出させながら、姿勢制御部材を前記基板の周縁部の姿勢を制御するための処理位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を含んでいてもよく、その場合例えば前記姿勢制御部を上昇させる工程を行うと共に前記液膜形成部を前記液膜を形成するための液膜形成位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を実施する。
【0016】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気と区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気を排気する工程と、
回転処理部の回転により前記区画部材に設けられたガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へと流入するガスの移動を制御する工程と、
を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の塗布、現像装置は、
基板を収納したキャリアが搬入されるキャリアブロックと、
前記キャリアから取り出された基板の表面にレジストを塗布する塗布部と、露光後の基板を現像する現像部と、を含む処理ブロックと、
この処理ブロックとレジストが塗布された基板を露光する露光装置との間で基板の受け渡しを行うインターフェイスブロックと、を備えた塗布、現像装置において、
前記塗布部として、上述の塗布装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の記憶媒体は、回転する基板に塗布液を供給して塗布する塗布装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の塗布方法を実施するためのステップ群が組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の塗布装置においては、回転する前記基板の周縁部の上下のぶれを抑える姿勢制御部と、その周縁部の裏面側に当該基板の周縁部に対向する対向面部を備えた液膜形成部とが設けられており、この液膜形成部の対向面部に処理液を供給し、その処理液の表面張力により前記基板と液膜形成部との間に液膜を形成して、その基板の裏面周縁部にミストが付着することを抑えている。従って、基板の裏面の周縁部にノズルなどにより溶剤を供給してミストを洗い流す必要がないので、溶剤の使用量が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の塗布装置の実施の形態に係るレジスト塗布装置2について図1、図2を参照しながら説明する。図1、図2は夫々レジスト塗布装置2の縦断側面図、横断平面図である。図1中の21は基板保持部をなすスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック21は接続部21aを介してモータなどを含む回転駆動部22により鉛直回りに回転できる。スピンチャック21の下方側にはレジスト塗布装置2を上下に区画する概ね円形の仕切り板23が設けられている。区画部材である仕切り板23の周縁部側は断面形状が山形に形成され、その外周縁は下方側に屈曲して延びている。前記スピンチャック21及び仕切り板23を囲むように上側が開放されたカップ体24が設けられている。
【0021】
このカップ体24の側周面と仕切り板23の外周縁との間に排出路をなす隙間24aが形成されている。前記カップ体24の下方側は、仕切り板23の外周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。また前記カップ体24の底部の内側領域には排気口25が形成されており、この排気口25には排気管25aが接続されている。さらに前記カップ体24の底部の外側領域には排液口26が形成されており、この排液口26には排液管26aが接続されている。
【0022】
またレジスト塗布装置2は、ウエハW表面の中心部に塗布液としてレジストを供給するための塗布ノズルであるレジストノズル31A、ウエハW表面の中心部に例えば溶剤例えばシンナーを供給するための溶剤ノズル31B、ウエハ表面の周縁部に前記溶剤を供給するための溶剤ノズル31Cを備えており、各ノズル31A,31B,31Cは夫々液供給管32A、32B、32Cを夫々介してレジストが貯留されたレジスト供給源33A、溶剤例えばシンナーが貯留された溶剤供給源33B、溶剤供給源33Cに接続されている。各液供給管32A、32B、32Cには、バルブやマスフローコントローラなどにより構成された液供給機器群34A,34B,34Cが夫々介設されており、これら液供給機器群34A,34B,34Cは、制御部7からの制御信号を受けて各供給源33A,33B,33Cに貯留された液の各ノズル31A,31B,31Cへの給断を夫々制御する。
【0023】
ノズル31A,31B,31Cは、アーム35A,35B,35Cを介して移動機構36A,36B,36Cに夫々接続されており、ガイドレール37に沿ってスピンチャック21に載置されたウエハWの一端から他端へと移動することができる。38A,38B,38Cはノズル31A,31B,31Cの夫々の待機領域である。
【0024】
図3(a)に示すように仕切り板23にはスピンチャック21と駆動部22との接続部21aを囲むように四分割されたリング状のスリット41が形成されており、スリット41の幅L1は例えば5mmである。ガス流路をなすスリット41の下方側には図3(b)に示す4枚のシャッタ42が設けられている。このシャッタ42はスリット41の形状に対応して扇状に形成され、駆動部43により扇の径方向にガイド42aを介してスライド自在に構成されており、スリット41はシャッタ42により開閉自在に構成されている。図1では便宜上スリット41及びシャッタ42を夫々一つずつだけ示している。スリット41には当該スリット41を通過するガスに含まれるパーティクルを除去するための不図示のフィルタが設けられている。
【0025】
カップ体24内で仕切り板23に仕切られた上下の空間を上方空間28、下方空間27とすると、ウエハWの回転によって処理雰囲気をなす上方空間28においてウエハWの中央部から周縁部へと流れる気流が形成され、いわゆるポンプ効果により、当該上方空間28の圧力が低下し、非処理雰囲気をなす下方空間27からスリット41を介して上方空間28にガス例えばエアが流れ込む。
【0026】
仕切り板23上には塗布装置2の外部の搬送機構とスピンチャック22との間でウエハWを受け渡すための3本の支持ピン44が設けられており(ただし図では2本のみ表示している)、前記下方空間27に設けられた昇降部45により昇降する。
【0027】
この塗布装置2には姿勢制御部6と、液膜形成部5とが設けられており、姿勢制御部6は、図4に示すようにスピンチャック21の周囲を囲む扁平なリング状に形成された筐体6Aを備えている。また、液膜形成部5は、姿勢制御部6の筐体6Aを囲むようにリング状に形成された扁平な筐体5Aを備えている。これら姿勢制御部6、液膜形成部5は下方空間27に設けられた昇降部60,50により夫々昇降自在に構成されている。
【0028】
液膜形成部5の筐体5Aの対向面部51は水平な平坦面として形成され、スピンチャック21に載置されたウエハWの周縁部に沿って、その周縁部に対向するように形成されている。この対向面部51には例えば筐体5Aの周方向に沿って複数の溶剤供給孔52A及び溶剤吸引孔52Bが開口している。この液膜形成部5は、図5(a)に示すように回転するウエハWの裏面側の周縁部に近接した液膜形成位置に移動する。液膜形成位置に移動した前記筐体5Aの溶剤供給孔52Aは、筐体5Aの対向面部51とウエハWの裏面周縁部との間に処理液として溶剤例えばシンナーを供給し、供給されたシンナーをその表面張力により対向面部51とウエハWの裏面とに吸着させる、つまりメニスカス法によりウエハWの周縁部全体に沿って液膜Lを形成する役割を有する。この液膜形成位置における前記対向面部51からウエハWの裏面までの距離H1は例えば50μm〜500μmである。またウエハWの直径が30cmである場合にこの液膜Lを形成するために要するシンナーの量は例えば0.5mL〜50mLである。
【0029】
図5(b)、(c)は夫々液膜形成部5の筐体5Aをその周方向に沿って縦断した図であり、溶剤供給孔52Aは筐体5A内に形成された流路53A及び流路53Aに接続された配管54Aを介して溶剤の供給源55Aに接続されている。配管54Aにはバルブやマスフローコントローラなどからなる流量制御部56Aが介設されており、制御部7からの制御信号をこの流量制御部56Aが受けることにより当該流量制御部56Aが吐出孔52Aからのシンナーの給断を制御する。また吸引孔52Bは液膜形成部5内の流路53B及び流路53Bに接続された配管54Bを介して排気ポンプなどの吸引手段55Bに接続されている。吸引手段55Bは不図示の圧力調整手段を含み、その圧力調整手段が制御部7からの制御信号を受けることにより、吸引孔52Bからの吸引量が制御される。
【0030】
姿勢制御部6の筐体6Aの表面61は水平な平坦面として形成され、この表面61には姿勢制御部6の周方向に沿って、ガス吐出孔62A及びガス吸引孔62Bとが形成されている。図6(a)には吐出孔62Aに斜線を付して示しており、吐出孔62A及び吸引孔62Bは姿勢制御部6の周方向及び径方向に交互に、つまり千鳥状に形成されている。
【0031】
図6(b)は姿勢制御部6の筐体6Aをその周方向に沿って縦断した断面図であり、この図に示すようにガス吐出孔62A、ガス吸引孔62Bは姿勢制御部6内に設けられた空間63A,63Bに夫々連通し、空間63Aは夫々ガス供給管64Aを介して例えばエアが貯留されたエア供給源65Aに接続されている。ガス供給管64Aにはバルブ及びマスフローコントローラからなる流量制御部66Aが介設されており、この流量制御部66Aが制御部7から出力された制御信号を受信してガス吐出孔62Aからのエアの給断及び流量を制御する。また、空間63Bはガス吸引管64Bを介して例えば真空ポンプなどの排気手段65Bに接続されており、排気手段65Bに含まれる不図示の圧力調整部が制御部7から出力された制御信号を受信して、ガス吸引孔62Bからの吸引量を制御する。なお、このレジスト塗布装置2はエア雰囲気に置かれることから、姿勢制御部6から吐出及び吸引するガスとしてはエアが用いられているが、例えばN2ガスなどの不活性ガス雰囲気下に置かれる場合、この不活性ガスを吐出及び吸引するようにしてもよい。
【0032】
ウエハWにおいて前記液膜が形成される領域よりも内側の領域は、ガス吐出孔62Aからのエアの供給を受けて、鉛直上向きの力が加えられる。また吸引孔62Bから前記領域が吸引されることにより、当該領域に鉛直下向きの力が加えられる。姿勢制御部6はこれら双方向の合成された圧力のバランスを制御することで、回転中のウエハWの周縁部の姿勢を制御し、その上下のぶれを抑える役割を有する。
【0033】
図7を用いて説明すると、ウエハWに反りがあったり、スピンチャック21の水平度に誤差があったりする場合は、図7(a)に示すようにウエハWの回転中にその周縁部が上下に例えば100μm弱程度ぶれる場合がある。既述のようにウエハの裏面周縁部には液膜形成部5が近接し、これらの間で液膜Lが形成されるが、この上下のぶれ量が大きいと、液膜形成部5の対向面部51とウエハWの裏面との距離が大きくなったり、ウエハWと液膜形成部5が衝突して液膜Lを形成できなくなってしまう。そこで液膜形成部5により液膜の形成を行う場合は、図7(b)に示すようにこの姿勢制御部6が所定の高さ位置(処理位置)において、ウエハの裏面にガスの供給を行うと共にウエハWの裏面を吸引して、そのウエハWの周縁部の上下の変動を抑えて、ウエハWの裏面と液膜形成部5との距離を一定に制御して、前記液膜LをウエハWの裏面周縁部全体に形成する。確実に液膜を形成するために、姿勢制御部6を使用した場合にウエハWのぶれ量が例えば10μm程度に抑えられていると好ましい。
【0034】
レジスト塗布装置2は例えばコンピュータからなる制御部7を備えており、この制御部7はプログラム、メモリ、CPUなどにより構成されている。前記プログラムには制御部7からレジスト塗布装置2の各部に制御信号を出力し、後述の塗布処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部7にインストールされる。
【0035】
続いてレジスト塗布装置2の作用について図8〜図11を参照しながら説明する。図8〜図10はレジスト塗布装置2の各部の動作を示しており、図11は時間とスピンチャック21に保持されたウエハWの回転数と、その時間に応じてウエハWに行われる処理との関係を示したグラフである。先ず、予め設定された排気量でカップ体24内が排気され、続いて外部からの図示しない搬送機構により例えばその直径30cmのウエハWがレジスト塗布装置2に搬送される。
【0036】
前記ウエハWがスピンチャック21上に位置すると、支持ピン44が上昇し、ウエハWの裏面を支持する。そして、支持ピン44が下降し、ウエハWの裏面中央部がスピンチャック21上に載置されて吸着されると、姿勢制御部6のガス吐出孔62Aから所定の量でエアが吐出される(図10(a)、(b))。このとき姿勢制御部6、液膜形成部5はウエハWの姿勢制御を行うための処理位置、液膜形成位置よりも下方の各々の待機位置にて待機しており、前記エアの吐出が開始されると、姿勢制御部6、液膜形成部5が前記処理位置、前記液膜形成位置へ夫々上昇する。
【0037】
姿勢制御部6から吐出されているエアの圧力により、ウエハWの周縁部が下方に下がることが抑えられ、液膜形成部5及び姿勢制御部6に接触することが抑えられた状態で姿勢制御部6、液膜形成部5が前記処理位置、前記液膜形成位置に夫々位置する(図8(c))。続いて溶剤ノズル31BからウエハWの中心部に溶剤Fが供給され、所定の量が供給された後、その供給が停止する。
【0038】
然る後、処理位置に移動した姿勢制御部6のガス吸引孔62BからウエハW裏面の吸引が開始されると共にスピンチャック21が回転し(時刻t1)、ウエハWの裏面と液膜形成部5との距離が例えば100μmに保たれた状態で回転速度が上昇し、ウエハWに供給された溶剤FがウエハWの周縁部へと遠心力により展伸される。また、スピンチャック21の回転開始と略同時にシャッタ42が開き、ウエハWの回転により圧力が低下したスピンチャック21の周囲の上方空間28に下方空間27からスリット41を介してエアが流入し、このエアは、カップ体24内に形成される排気流に乗って、矢印で示すようにウエハWの裏面中央部側から裏面周縁部側へと向かう気流を形成して、排気口25から排気される(図8(d))。
【0039】
回転数の上昇が続き、その回転数が例えば3000rpm(第1の回転数)に達すると、レジストノズル31AからウエハWの中央部にレジストRが供給され(時刻t2)、当該レジストRは溶剤で濡れたウエハW表面上を遠心力により周縁部へと広がる(図9(a))。然る後レジストRの供給が停止すると共にウエハの回転数を低下させ(時刻t3)、その回転数を例えば100rpmに維持し、乾燥を抑えた状態で膜厚の面内分布を整える(図9(b))。詳しくは、レジストが塗布された時点においては、ウエハWの外周部側で盛り上がっているレジストが中央部に引き寄せられようとして膜厚が均一化される。
【0040】
然る後、ウエハWの回転数が上昇し(時刻t4)、ウエハの回転数が例えば1500rpm(第2の回転数)に達し、その回転数に維持されると、このとき余分なレジストRはウエハWの周縁部から振り切られ、ミストMが発生する。また、この回転数の上昇開始と同時か、あるいはそれに若干遅れて液膜形成部5からその液膜形成部5とウエハWの周縁部との間に例えば3mLのシンナーが供給される。そして、その表面張力によりシンナーはウエハWと液膜形成部5とに吸着して、図9(c)で示すように液膜Lが形成される(時刻t5)。
【0041】
図12(a)はこのときに発生したミストMの様子を示したものであり、この液膜Lの形成前からウエハWの裏面周縁部に付着していたミストMやその他のパーティクルは液膜Lと回転するウエハWの裏面との間に働く剪断力によりウエハWの裏面から除去される。また、ウエハの周縁部裏面に回り込んだミストMは液膜Lに接触すると、図12(b)に示すように液膜Lの表面で弾かれるか、その液膜Lに取り込まれる。液膜Lに取り込まれたミストMは上記のようにウエハWと液膜Lとの間に働く力によりウエハWに付着することが抑えられる。また、このとき図12(a)(b)に示すようにウエハWからカップ体24に衝突し、跳ね返ってウエハW中央部へと向かうミストMは、スリット41から供給されたガス流に乗って排気されるので、このミストMがウエハWに付着することが抑えられる。
【0042】
このように余分なレジストRが振り切られ、膜厚が所定の大きさに制御されると共にレジスト膜Rの乾燥が進行すると、ウエハWの周縁部に溶剤ノズル31Cから溶剤が供給され(時刻t6)、周縁部のレジストRが溶解する(図9(d))。このレジストRの溶解により発生するミストも余分なレジストを振り切るときと同様に液膜Lに捕捉されたり、スリット41からのガス流に乗って排気されることでウエハWに付着することが抑えられる。溶剤ノズル31Cからの溶剤の供給が停止して(時刻t7)、しばらく後に図10(a)及び図12(c)に示すように液膜Lを構成するシンナーが補足したミストMと共に液膜形成部5の吸引孔52Bから吸引除去されると共にシャッタ42が閉じられる(時刻t8)。
【0043】
液膜の形成停止後、しばらくの間ウエハWは回転を続け、その周縁部に付着した液膜Lを構成していたシンナーを乾燥させる。然る後ウエハWは回転を停止し、姿勢制御部材6からの吸引が停止し、その搬入時とは逆の動作で外部の搬送機構に受け渡される(図10(b))。
【0044】
このレジスト塗布装置2によれば、回転する前記ウエハWの裏面側に当該ウエハWの周縁部に沿って形成されたリング状の液膜形成部5と、前記周縁部の上下のぶれを抑えるための姿勢制御部6とが設けられ、この液膜形成部5とウエハWの裏面周縁部との間にシンナーを供給し、そのシンナーの表面張力により前記ウエハWの周縁部と液膜形成部5との間に液膜を形成して、その液膜によりウエハWの裏面周縁部にミストが付着することを抑えている。従って、ウエハWの周縁部にノズルなどにより溶剤を供給してミストを洗い流す必要がないので、溶剤の使用量が抑えられる。
【0045】
また、上記レジスト塗布装置2においては、ウエハWの回転数を100rpmから1500rpmに上昇させ、ミストが発生しやすくなったときに、シャッタ42が開いており、下方空間27から上方空間28へと流れ込んだエアがウエハWの周縁部へと流れることにより、ウエハWにおいて液膜が形成された領域よりも内側領域にミストが付着することが抑えられている。シャッタ42は常時開いていてもよいが、このようにミストが発生するときだけ開き、下方空間27から上方空間28へエアを供給することにより、スリット41に設けられたフィルタの寿命を長くするために有効である。シャッタの開閉のタイミングは上記の例に限られず、例えばミストがより発生しやすくなる時刻t5において閉じた状態から開いた状態になってもよい。スリット41を設ける代わりにウエハWの液膜形成部5をウエハWの周縁部から中央部側へ向けて大きく形成してウエハWの裏面中央部におけるミストの付着を防いでもよいが、ウエハWの裏面周縁部に比べて裏面中央部に回り込むミストは少ないので、シンナーの量を抑える観点からもこのようにスリット41を形成することが有効である。
【0046】
また、このようにスリットを設ける代わりに、例えばウエハWの裏面にエアを供給するノズルなどを設けて、そのエアの供給によりウエハWの裏面の圧力を制御すると共にウエハWの裏面の中央部側から周縁部側に向かう気流を形成してウエハWへのミストの付着を抑えてもよい。
【0047】
ところで、上記実施形態においてウエハWの回転数を1500rpmに上昇させる以前の時刻t2〜t4の間は上記したようにレジスト膜の膜厚分布が均一になるように調整している期間である。この実施形態においては、この期間に液膜Lを形成することを避けることで、液膜Lを構成するシンナーの温度によりウエハWの温度がその面内で変化し、膜厚分布が変動することを防いでいる。
【0048】
また、液膜形成後、その液膜を構成するシンナーを吸引孔52Bより除去するときに液膜に含まれるミストをシンナーと共に除去しているので、より確実にミストによるパーティクル汚染を抑えることができる。さらに液膜形成後、回転を続けてウエハWに付着したシンナーを乾燥させているので、この残留したシンナーによりパーティクル汚染が防がれるため好ましい。
また、姿勢制御部6において吐出孔62A及び吸引孔62Bは、ウエハWの回転方向及び径方向に沿って交互に配列されているのでウエハWの周において加えられる圧力の均一性が高くなり、より上下のぶれを抑えた状態で回転させることができる。吐出孔62A、吸引孔62Bとしてはこの例に限られず、例えばウエハWの回転中心を中心とした周方向に沿ってスリット状に形成してもよい。
また、上記のように液膜形成部5、姿勢制御部6は夫々液膜形成位置、処理位置にウエハWとの接触が抑えられるように移動するので、ウエハWとこれら液膜形成部5、姿勢制御部6との衝突によりウエハWが衝撃を受けて、形成された各膜に欠陥が発生することが抑えられる。
【0049】
液膜形成部5において、供給孔52A,吸引孔52Bのレイアウトは液膜Lを形成することができれば上記の例に限られるものではなく、例えば上記の例ではシンナーを供給する供給孔52Aは複数箇所に設けられているが、一カ所であってもよい。またウエハWの裏面周縁部の一カ所に液膜を形成することができれば、回転するウエハWの裏面周縁部全体を洗浄することができるので、液膜形成部5はリング状に形成されることに限られず、図13(a)(b)に示すようにウエハWの周縁部の一部に対向するような液膜形成部50を設けてもよい。ただし、上記のようにリング状に液膜を形成した方がより確実にウエハWの裏面へのミストの回り込みをブロックできるので好ましい。
【0050】
上記の姿勢制御部6は、ウエハWの裏面にエアの吐出及びウエハWの裏面の吸引を行うことでウエハWの周縁部の姿勢を制御しているが、このようにウエハWの姿勢を制御することに限られない。例えば図14(a)に示す姿勢制御部6は、吸引路が設けられず、ウエハWの周に沿って多数の吐出孔62Aのみを備えた構成を備えており、図14(b)に示すようにこの姿勢制御部6からウエハWの裏面にエアを吐出してウエハWの上下のぶれを抑えてもよい。この場合、例えばウエハWの裏面に吐出されたエアがウエハWと姿勢制御部6との隙間を流れるときにベルヌーイ効果が得られるように姿勢制御部6の処理位置を調整してもよい。つまり、当該ウエハWが姿勢制御部6へ向けて吸引されるが吐出孔62Aから吐出されているエアの圧力により、ウエハWは姿勢制御部6には接触せずに姿勢制御部6から浮上し、液膜形成部5の対向面部51とウエハWの裏面との距離が一定に保たれ、その結果として回転中のウエハWの周縁部のぶれ量が抑えられるように姿勢制御部6を構成してもよい。
【0051】
上記の実施形態は、レジスト塗布装置について説明したが、本発明は薬液を回転する基板中心に供給して周縁部へと広げるスピンコーティングにて成膜を行う他の塗布装置にも適用することができる。なお、上記の実施形態でレジスト膜の周縁部を除去するのは、後工程で液浸露光を行うためにレジスト膜の上層に撥水性の保護膜を成膜し、その保護膜の周縁部をウエハW表面に密着させるためであるが、このような周縁部の除去を行うことには限られない。
【0052】
上記の実施形態で処理中にシンナーが乾燥したり飛散したりすることにより液膜Lが形成されなくなることを防ぐために、液膜L形成中にシンナーをウエハWと液膜形成部5との間に供給し続けてもよい。その場合であってもウエハWと液膜形成部との間隔H1は微小であるため、ノズルからシンナーを吐出してミストを洗い流す場合よりもシンナーの使用量を抑えることができる。また、液膜Lを形成するにあたっては対向面部51に供給孔52Aからシンナーを供給すると共に吸引孔52Bからシンナーの吸引を行うことにより行ってもよい。
【0053】
次に塗布、現像装置に上述したレジスト塗布装置2を適用した一例について簡単に説明する。図15は塗布、現像装置に露光装置が接続されたシステムの平面図であり、図16は同システムの斜視図である。また図17は同システムの縦断面図である。この装置にはキャリアブロックS1が設けられており、その載置台101上に載置された密閉型のキャリア100から受け渡しアームCがウエハWを取り出して処理ブロックS2に受け渡し、処理ブロックS2から受け渡しアームCが処理済みのウエハWを受け取ってキャリア100に戻すように構成されている。
【0054】
前記処理ブロックS2は、図15に示すようにこの例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト膜の塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される例えば液浸露光時にレジスト膜を保護する保護膜の形成を行うための第4のブロック(TCT層)B4を、下から順に積層して構成されている。
【0055】
第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、夫々反射防止膜、保護膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する、塗布液が異なる他は上述の塗布装置2と同様に構成された塗布モジュールと、この塗布モジュールにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群と、前記塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う搬送アームA2、A4と、で構成されている。ただし、第3のブロック(COT層)B3についても前記薬液がレジスト液であることを除けば同様の構成であり、このCOT層の塗布モジュールとしては前記塗布装置2が設けられる。
【0056】
一方、第1のブロック(DEV層)B1については図17に示すように一つのDEV層B1内に現像モジュール103が2段に積層されている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像モジュール103にウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり2段の現像モジュール103に対して搬送アームA1が共通化されている構成となっている。
【0057】
更に処理ブロックS2には、図15及び図17に示すように棚モジュールU5が設けられ、キャリアブロックS1からのウエハWは前記棚モジュールU5の一つの受け渡しモジュール、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しモジュールCPL2に、前記棚モジュールU5の近傍に設けられた昇降自在な第1の受け渡しアームD1によって順次搬送される。第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2は、この受け渡しモジュールCPL2からウエハWを受け取って各モジュール(反射防止膜モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群)に搬送し、これらモジュールにてウエハWには反射防止膜が形成される。
【0058】
その後、ウエハWは棚モジュールU5の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD1、棚モジュールU5の受け渡しモジュールCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜が形成される。更にウエハWは、搬送アームA3→棚モジュールU5の受け渡しモジュールBF3→受け渡しアームD1を経て棚モジュールU5における受渡しモジュールBF3に受け渡される。なおレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(TCT層)B4にて更に液浸露光時にレジスト膜を保護する保護膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しモジュールCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、保護膜の形成された後搬送アームA4により受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0059】
一方DEV層B1内の上部には、棚モジュールU5に設けられた受け渡しモジュールCPL11から棚モジュールU6に設けられた受け渡しモジュールCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜や反射防止膜、更に保護膜の形成されたウエハWは、受け渡しアームD1を介して受け渡しモジュールBF3、TRS4から受け渡しモジュールCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚モジュールU6の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお図17中のCPLが付されている受け渡しモジュールは温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは複数枚のウエハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0060】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚モジュールU6の受け渡しモジュールTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行わる。なお、露光装置S4からDEV層B1までのウエハWの搬送路に保護膜を除去する除去モジュールが設けられ、保護膜が形成されているウエハWについてその保護膜の除去が行われる場合もある。現像処理の後、ウエハWは搬送アームA1により棚モジュールU5の受け渡しモジュールTRS1に受け渡される。その後ウエハWは、第1の受け渡しアームD1により棚モジュールU5における受け渡しアームCのアクセス範囲の受け渡しモジュールに搬送され、受け渡しアームCを介してキャリア100に戻される。なお図15においてU1〜U4は各々加熱部と冷却部とを積層した熱系モジュール群であり、図15はDEV層B1の平面視のレイアウトを示しているが、他の各層もこのDEV層と平面視同様のレイアウトを備えている。
【0061】
(評価試験)
評価試験1
上述の姿勢制御部6を用いて、スピンチャック21に保持されたウエハWの回転数を100rpm〜300rpmの範囲で変化させたときのウエハWの周縁部の上下の振れ量を計測した。また、姿勢制御部6を用いずに同様にウエハWを回転させて、上下の振れ量を計測した。図18はこの試験の結果を示したグラフであり、グラフの横軸は回転数(rpm)、縦軸は振れ量(mm)を夫々示している。実線がこの姿勢制御部6へのガス供給量及び姿勢制御部からの吸引量を夫々15L/分としたときの結果を示しており、点線がこの姿勢制御部6へのガス供給量及び姿勢制御部6からの吸引量を夫々50L/分としたときの結果を示している。鎖線は姿勢制御部6を用いなかった実験の結果を示している。このように姿勢制御部6を用いた場合は用いなかった場合に比べて振れ量が抑えられている。従って、上記のように液膜形成部5とウエハWの周縁との微小な隙間に安定して液膜を形成することが可能になることが示された。
【0062】
(評価試験2)
上記のように仕切り板23にスリット41を設けず、下方空間27から上方空間へのガスの流れが形成されない場合とスリット41を設けて下方空間27から上方空間28へのガスの流れが形成された場合とでウエハWの周縁部に流れる気流の方向についてシミュレーションを行った。ウエハWの回転数は1500rpmに設定した。図19(a)はスリット41を設けない場合のガスの流れを矢印で示したものである。見やすくするために太い矢印で示しているが、ウエハWの裏面中央部から裏面周縁部へ向かった後、ウエハWの裏面周縁部から裏面中央部側へその流速が0.2m/秒で回り込む気流が発生している。
【0063】
図19(b)はスリット41を設けた場合のガスの流れを矢印で示したものであり、スリット41を設けることで下方空間27から上方空間28へ100L/分のガスが引き込まれて、図19(a)のようにウエハWの周縁部から中央部側へ回り込む気流は発生しておらず、ウエハWの裏面中央部からウエハWの周縁部へ向けて1.0m/秒でエアが流れていることが分かった。従って、ミストをウエハWの外縁へと押しやり、ウエハWの中央部へミストが付着することを抑えるためにスリット41を設けることが有効であることが示された。
【0064】
評価試験3
仕切り板にスリット41を設けない場合と設けた場合でウエハWに付着したパーティクルの数を調べた。さらにスリット41を設けない場合については背景技術の欄に記載した裏面洗浄ノズル13から溶剤を吐出し裏面を洗浄した場合と、洗浄しなかった場合とについて夫々パーティクルの数を比較した。
【0065】
スリット41を設けず、裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行わなかったウエハWの裏面には所定の大きさ以上の大きさのパーティクルが1205個付着していた。このウエハの図示は省略している。そして、スリット41を設けず、裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行ったウエハの裏面には0.15μm以上のパーティクルPが93個付着していた。図20(a)はその裏面の概略図である。図20(b)はそのウエハWの表面の概略を示しており、当該表面には0.15μm以上のパーティクルPが10個付着していた。スリット41を設けた場合のウエハWの表面、裏面は夫々図20(c)(d)に夫々示しており、その表面に付着した0.15μm以上のパーティクルPは3個であり、その裏面に付着した0.15μm以上のパーティクルPは109個であった。この結果からスリット41を形成することで、パーティクルの数を溶剤の供給を行った場合と同様に抑えることができ、溶剤の使用量を抑えるために有効であることが分かる。上記の実施形態では、スリットを設ける他に溶剤の液膜を形成しているので、この実験結果よりもウエハWに付着するパーティクルを抑えることができると考えられる。
【0066】
評価試験4−1
図21(a)に示すようにウエハWの周縁部上にレーザー測定器70を設け、姿勢制御部6により姿勢制御を行った場合と、姿勢制御を行わなかった場合とのウエハWの上下のぶれ量をウエハの回転数を変化させて測定した。図21(b)、図21(c)、図22(a)、図22(b)、図23(c)は夫々ウエハWの回転数が10rpm、30rpm、50rpm、80rpm、100rpmであるときのウエハWのぶれ量のグラフ図であり、グラフ中の実線が姿勢制御を行った場合(補正後)、グラフ中の鎖線が姿勢制御を行わなかった場合(補正前)の時間に対する測定位置の上下の変位を夫々示している。下記の表1は各グラフの結果から得られた各回転数と変位量とを示したものであり、いずれの回転数の場合も補正後の変位量は抑えられている
表1
【0067】
評価試験4−2
また、直径300mmのウエハWの径方向におけるエッジ(端部)から20mmの位置について、レーザー変位計を用いて姿勢制御部6により姿勢制御を行った場合と、姿勢制御を行わなかった場合とのウエハWの上下のぶれ量をウエハの回転数を変化させて測定した。表2はその結果を示したものである。
表2
これら評価試験4−1、4−2の結果から姿勢制御部6を設けることでウエハWのぶれが抑えられることが示された。従って姿勢制御部6を設けることでウエハWと液膜形成部との間の微小な空間に液膜を形成することができることが示された。
【0068】
参考試験
ウエハに裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行った場合と行わなかった場合とで形成されるレジスト膜の膜厚分布の変化について調べた。この実験ではウエハ周縁部のレジストの除去は行っていない。図23(a)、(b)は溶剤の供給を行った場合の膜厚分布を示したグラフであり、図23(c)、(d)は溶剤の供給を行わなかった場合の膜厚分布を示したグラフである。各グラフの横軸はウエハWの直径方向の位置であり、0mmと示した位置がウエハWの中心、+150mm、−150mmと示した位置が夫々ウエハWの一端、他端である。縦軸は膜厚である。このように溶剤の供給を行うことによって膜厚分布の変化は観察されない。従って上記の実施形態で形成される溶剤の液膜によりレジストの膜厚が影響を受けることはないと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の塗布装置の縦断側面図である。
【図2】前記塗布装置の平面図である。
【図3】前記塗布装置に設けられる流路とシャッタの斜視図である。
【図4】前記塗布装置に設けられる液膜形成部及び姿勢制御部の斜視図である。
【図5】前記液膜形成部の縦断側面図である。
【図6】前記姿勢制御部の構成図である。
【図7】前記姿勢制御部により姿勢制御されるウエハの様子を示した説明図である。
【図8】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図9】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図10】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図11】前記塗布装置の動作と、時間と、ウエハの回転数との関係を示したグラフ図である。
【図12】前記塗布装置におけるミストの様子を示した説明図である。
【図13】前記姿勢制御部の他の構成例を示した説明図である。
【図14】前記姿勢制御部の他の構成例を示した説明図である。
【図15】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の平面図である。
【図16】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の斜視図である。
【図17】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の縦断側面図である。
【図18】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図19】評価試験の結果を示した作用図である。
【図20】評価試験の結果を示したウエハの平面図である。
【図21】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図22】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図23】参考試験の結果を示したグラフ図である。
【図24】従来のウエハの裏面の洗浄方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0070】
W ウエハ
M ミスト
R レジスト
2 レジスト塗布装置
21 スピンチャック
27 下方空間
28 上方空間
31A レジストノズル
41 スリット
42 シャッタ
5 液膜形成部
6 姿勢制御部
62A 吐出孔
62B 吸引孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板にレジストなどの薬液を塗布する塗布装置、塗布方法、前記塗布装置を備えた塗布、現像装置及び前記塗布方法を実施するプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては塗布液を基板上にスピンコーティング法により、塗布する工程があり、塗布液としてはレジストや、その他に反射防止膜を形成するための薬液や酸化シリコンの前駆物質を含む絶縁膜形成用の薬液などが挙げられる。スピンコーティング法は半導体ウエハ(以下ウエハという)やLCD用のガラス基板等の基板の裏面中央部をスピンチャックに吸着させ、基板の表面中央部に供給すると共に、前記スピンチャックを鉛直軸回りに回転させ、前記塗布液を遠心力によりウエハの周縁部に広げる塗布方法である。
【0003】
ところで環境問題の深刻化により、有機溶剤の使用量及び大気中への排出量の低減が求められている。これに応じて、例えば上記スピンコーティング法を行うレジスト塗布装置においては、レジストを基板に塗布する前にウエハに有機溶剤を供給し、ウエハとレジストのなじみをよくしてから当該ウエハにレジストを供給して、レジスト使用量を減少させる省レジスト塗布が行われる場合がある。この塗布方法においては、レジストの使用量を抑えることで、当該レジストに含まれる有機溶剤の使用量が低減されるので、1枚のウエハに成膜するために要する有機溶剤の使用総量が低減される。
【0004】
しかし、上記のようにスピンコーティングによりレジスト膜Rの形成を行うにあたっては、ウエハWに供給されたレジストがミストMとなって飛散し、図24(a)に示すようにその飛散したミストMがウエハWの裏面周縁部に付着する場合があり、このミストMがパーティクルとなって正常なレジストパターン形成を妨げることを防ぐために、図24(b)に示すように裏面洗浄ノズル11からウエハWの裏面側にシンナーなどの溶剤を供給して、ミストMを洗い流す処理が行われている。
【0005】
この裏面洗浄ノズル11による裏面洗浄処理は、前記レジスト塗布装置が含まれる塗布、現像装置における各処理中で最も多くの溶剤を使用する処理となる場合があり、例えばウエハ1枚あたりに20ccの溶剤が使用される。塗布、現像装置においては1ヶ月あたり600枚のウエハの塗布、現像処理が行われるとした場合は、使用量が20ccであると、そのレジスト塗布装置における1ヶ月の前記溶剤の使用量は120トンにもなる。レジスト塗布装置について説明してきたが、それ以外にも上述のように各種の薬液を塗布してその薬液に応じた膜を基板に形成する装置において、レジスト膜形成モジュールと同様に裏面洗浄が行われる場合があり、当該裏面洗浄における有機溶剤の使用量について問題になっている。
【0006】
スピンコーティングは、液の飛散を抑えるためにその下方に吸引路が接続されたカップ内で行われ、この吸引路を介してカップ内を吸引することによりカップ内に排気流が形成されるようになっている。そこで、カップの構造を変更することで排気流を制御し、ウエハWへのミストMの付着を低減化させることも検討されているが、それにより完全にミストの付着を抑えることができないので、依然として裏面洗浄における溶剤の使用量は少なくならず、むしろより確実にパーティクル汚染を抑えるために、過去よりも多量の溶剤を用いてミストの洗い流しを行っている場合もある。特許文献1にはウエハを浮上させてレジストを塗布する塗布装置について記載されているが、上記の問題を解決できるものではない。
【特許文献1】特開平2−16447(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板に塗布液を供給して塗布膜を形成する塗布装置において、基板の裏面を洗浄するための溶剤の使用量を抑えることができる塗布装置、塗布方法、その塗布装置を備えた塗布、現像装置及びその塗布方法を実施するプログラムを格納した記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塗布装置は、基板の裏面の中央部を保持して当該基板を水平に支持するための基板保持部と、
前記基板の表面の中央部に塗布液を供給するための塗布ノズルと、
前記基板保持部を鉛直軸回りに回転させ、基板の中央部に供給された前記塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜するための回転駆動部と、
前記基板の裏面の周縁部に対向した対向面部とその対向面部に処理液を供給する処理液供給部とを備え、前記処理液をその表面張力により当該対向面部と回転する基板の前記周縁部とに吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストを前記基板の裏面の周縁部から除去するための液膜を形成するための液膜形成部と、
回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記塗布装置は、例えば前記基板に塗布液を供給するときに当該基板を第1の回転数で回転させ、塗布液の供給停止後、基板における塗布液の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させ、さらに塗布液を乾燥させるために基板を前記第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させるように前記塗布ノズル、回転駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、
当該制御部は、この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記液膜形成部の対向面部に処理液を供給するように前記処理液供給部の動作を制御する。
【0010】
前記姿勢制御部には、前記吐出孔によるガスの吐出と協働して回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する吸引孔が基板の回転方向に沿って設けられていてもよく、その場合例えば前記吐出孔及び前記吸引孔は、基板の回転方向及び回転する基板の径方向に沿って交互に配列されている。
【0011】
前記姿勢制御部を、前記基板の周縁部の前記ぶれを抑えるためにガスを吐出する処理位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第1の昇降機構が設けられていてもよく、その場合例えば前記液膜形成部を、前記液膜を形成するための液膜形成位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第2の昇降機構が設けられ、第2の昇降機構は、液膜形成部の基板への接触を抑えるために姿勢制御部の吐出孔からガスが吐出されているときに、液膜形成部を前記待機位置から前記液膜形成位置に上昇させる。
【0012】
また、前記液膜形成部には、不要になった前記液膜を形成する処理液を除去するための排液手段が設けられていてもよく、前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気から区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気に接続された排気路と、
非処理雰囲気中のガスを基板保持部の回転によって処理雰囲気に引き込むための前記区画部材に設けられたガス流路と、
を備えていてもよい。この場合、例えば前記ガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へのガスの流通を制御するための流通制御手段が設けられており、前記流通制御手段は、前記ガス流路を開閉するためのシャッタにより構成されていてもよい。また、例えばリング状に前記液膜を形成するために、前記液膜形成部は回転する基板の回転方向に沿ったリング状に形成されている。
【0013】
本発明の塗布方法は、基板保持部により基板の裏面を保持して当該基板を水平に保持する工程と、
塗布ノズルにより前記基板の表面中央部に塗布液を供給する工程と、
回転駆動部により前記基板保持部を鉛直軸回りに第1の回転数で回転させ、基板の中央部に供給された塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜する工程と、
回転する基板の裏面側の周縁部に沿って形成された液膜形成部の対向面部に、当該液膜形成部に設けられた処理液供給部から処理液を供給する工程と、
その液膜形成部の対向面部と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが当該裏面の周縁部に付着することを防ぐ液膜を形成する工程と、
前記基板保持部を囲む姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられた吐出口から回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出すると工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記塗布方法は、例えば基板に塗布液を供給した後、塗布液の基板の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させるように基板の回転数を変更する工程と、
その後基板を第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させて塗布液を乾燥させる工程と、を備え
この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記処理液を供給する工程が実施される。また、前記基板の回転中に前記液膜を構成する処理液を除去する工程を備えていてもよい。また、前記基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、前記ガスを吐出する工程と共に基板の回転方向に沿って設けられた吸引孔により前記基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する工程が実施されてもよい。
【0015】
また、前記姿勢制御部の吐出孔からガスを吐出させながら、姿勢制御部材を前記基板の周縁部の姿勢を制御するための処理位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を含んでいてもよく、その場合例えば前記姿勢制御部を上昇させる工程を行うと共に前記液膜形成部を前記液膜を形成するための液膜形成位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を実施する。
【0016】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気と区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気を排気する工程と、
回転処理部の回転により前記区画部材に設けられたガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へと流入するガスの移動を制御する工程と、
を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の塗布、現像装置は、
基板を収納したキャリアが搬入されるキャリアブロックと、
前記キャリアから取り出された基板の表面にレジストを塗布する塗布部と、露光後の基板を現像する現像部と、を含む処理ブロックと、
この処理ブロックとレジストが塗布された基板を露光する露光装置との間で基板の受け渡しを行うインターフェイスブロックと、を備えた塗布、現像装置において、
前記塗布部として、上述の塗布装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明の記憶媒体は、回転する基板に塗布液を供給して塗布する塗布装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上述の塗布方法を実施するためのステップ群が組み込まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の塗布装置においては、回転する前記基板の周縁部の上下のぶれを抑える姿勢制御部と、その周縁部の裏面側に当該基板の周縁部に対向する対向面部を備えた液膜形成部とが設けられており、この液膜形成部の対向面部に処理液を供給し、その処理液の表面張力により前記基板と液膜形成部との間に液膜を形成して、その基板の裏面周縁部にミストが付着することを抑えている。従って、基板の裏面の周縁部にノズルなどにより溶剤を供給してミストを洗い流す必要がないので、溶剤の使用量が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の塗布装置の実施の形態に係るレジスト塗布装置2について図1、図2を参照しながら説明する。図1、図2は夫々レジスト塗布装置2の縦断側面図、横断平面図である。図1中の21は基板保持部をなすスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック21は接続部21aを介してモータなどを含む回転駆動部22により鉛直回りに回転できる。スピンチャック21の下方側にはレジスト塗布装置2を上下に区画する概ね円形の仕切り板23が設けられている。区画部材である仕切り板23の周縁部側は断面形状が山形に形成され、その外周縁は下方側に屈曲して延びている。前記スピンチャック21及び仕切り板23を囲むように上側が開放されたカップ体24が設けられている。
【0021】
このカップ体24の側周面と仕切り板23の外周縁との間に排出路をなす隙間24aが形成されている。前記カップ体24の下方側は、仕切り板23の外周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。また前記カップ体24の底部の内側領域には排気口25が形成されており、この排気口25には排気管25aが接続されている。さらに前記カップ体24の底部の外側領域には排液口26が形成されており、この排液口26には排液管26aが接続されている。
【0022】
またレジスト塗布装置2は、ウエハW表面の中心部に塗布液としてレジストを供給するための塗布ノズルであるレジストノズル31A、ウエハW表面の中心部に例えば溶剤例えばシンナーを供給するための溶剤ノズル31B、ウエハ表面の周縁部に前記溶剤を供給するための溶剤ノズル31Cを備えており、各ノズル31A,31B,31Cは夫々液供給管32A、32B、32Cを夫々介してレジストが貯留されたレジスト供給源33A、溶剤例えばシンナーが貯留された溶剤供給源33B、溶剤供給源33Cに接続されている。各液供給管32A、32B、32Cには、バルブやマスフローコントローラなどにより構成された液供給機器群34A,34B,34Cが夫々介設されており、これら液供給機器群34A,34B,34Cは、制御部7からの制御信号を受けて各供給源33A,33B,33Cに貯留された液の各ノズル31A,31B,31Cへの給断を夫々制御する。
【0023】
ノズル31A,31B,31Cは、アーム35A,35B,35Cを介して移動機構36A,36B,36Cに夫々接続されており、ガイドレール37に沿ってスピンチャック21に載置されたウエハWの一端から他端へと移動することができる。38A,38B,38Cはノズル31A,31B,31Cの夫々の待機領域である。
【0024】
図3(a)に示すように仕切り板23にはスピンチャック21と駆動部22との接続部21aを囲むように四分割されたリング状のスリット41が形成されており、スリット41の幅L1は例えば5mmである。ガス流路をなすスリット41の下方側には図3(b)に示す4枚のシャッタ42が設けられている。このシャッタ42はスリット41の形状に対応して扇状に形成され、駆動部43により扇の径方向にガイド42aを介してスライド自在に構成されており、スリット41はシャッタ42により開閉自在に構成されている。図1では便宜上スリット41及びシャッタ42を夫々一つずつだけ示している。スリット41には当該スリット41を通過するガスに含まれるパーティクルを除去するための不図示のフィルタが設けられている。
【0025】
カップ体24内で仕切り板23に仕切られた上下の空間を上方空間28、下方空間27とすると、ウエハWの回転によって処理雰囲気をなす上方空間28においてウエハWの中央部から周縁部へと流れる気流が形成され、いわゆるポンプ効果により、当該上方空間28の圧力が低下し、非処理雰囲気をなす下方空間27からスリット41を介して上方空間28にガス例えばエアが流れ込む。
【0026】
仕切り板23上には塗布装置2の外部の搬送機構とスピンチャック22との間でウエハWを受け渡すための3本の支持ピン44が設けられており(ただし図では2本のみ表示している)、前記下方空間27に設けられた昇降部45により昇降する。
【0027】
この塗布装置2には姿勢制御部6と、液膜形成部5とが設けられており、姿勢制御部6は、図4に示すようにスピンチャック21の周囲を囲む扁平なリング状に形成された筐体6Aを備えている。また、液膜形成部5は、姿勢制御部6の筐体6Aを囲むようにリング状に形成された扁平な筐体5Aを備えている。これら姿勢制御部6、液膜形成部5は下方空間27に設けられた昇降部60,50により夫々昇降自在に構成されている。
【0028】
液膜形成部5の筐体5Aの対向面部51は水平な平坦面として形成され、スピンチャック21に載置されたウエハWの周縁部に沿って、その周縁部に対向するように形成されている。この対向面部51には例えば筐体5Aの周方向に沿って複数の溶剤供給孔52A及び溶剤吸引孔52Bが開口している。この液膜形成部5は、図5(a)に示すように回転するウエハWの裏面側の周縁部に近接した液膜形成位置に移動する。液膜形成位置に移動した前記筐体5Aの溶剤供給孔52Aは、筐体5Aの対向面部51とウエハWの裏面周縁部との間に処理液として溶剤例えばシンナーを供給し、供給されたシンナーをその表面張力により対向面部51とウエハWの裏面とに吸着させる、つまりメニスカス法によりウエハWの周縁部全体に沿って液膜Lを形成する役割を有する。この液膜形成位置における前記対向面部51からウエハWの裏面までの距離H1は例えば50μm〜500μmである。またウエハWの直径が30cmである場合にこの液膜Lを形成するために要するシンナーの量は例えば0.5mL〜50mLである。
【0029】
図5(b)、(c)は夫々液膜形成部5の筐体5Aをその周方向に沿って縦断した図であり、溶剤供給孔52Aは筐体5A内に形成された流路53A及び流路53Aに接続された配管54Aを介して溶剤の供給源55Aに接続されている。配管54Aにはバルブやマスフローコントローラなどからなる流量制御部56Aが介設されており、制御部7からの制御信号をこの流量制御部56Aが受けることにより当該流量制御部56Aが吐出孔52Aからのシンナーの給断を制御する。また吸引孔52Bは液膜形成部5内の流路53B及び流路53Bに接続された配管54Bを介して排気ポンプなどの吸引手段55Bに接続されている。吸引手段55Bは不図示の圧力調整手段を含み、その圧力調整手段が制御部7からの制御信号を受けることにより、吸引孔52Bからの吸引量が制御される。
【0030】
姿勢制御部6の筐体6Aの表面61は水平な平坦面として形成され、この表面61には姿勢制御部6の周方向に沿って、ガス吐出孔62A及びガス吸引孔62Bとが形成されている。図6(a)には吐出孔62Aに斜線を付して示しており、吐出孔62A及び吸引孔62Bは姿勢制御部6の周方向及び径方向に交互に、つまり千鳥状に形成されている。
【0031】
図6(b)は姿勢制御部6の筐体6Aをその周方向に沿って縦断した断面図であり、この図に示すようにガス吐出孔62A、ガス吸引孔62Bは姿勢制御部6内に設けられた空間63A,63Bに夫々連通し、空間63Aは夫々ガス供給管64Aを介して例えばエアが貯留されたエア供給源65Aに接続されている。ガス供給管64Aにはバルブ及びマスフローコントローラからなる流量制御部66Aが介設されており、この流量制御部66Aが制御部7から出力された制御信号を受信してガス吐出孔62Aからのエアの給断及び流量を制御する。また、空間63Bはガス吸引管64Bを介して例えば真空ポンプなどの排気手段65Bに接続されており、排気手段65Bに含まれる不図示の圧力調整部が制御部7から出力された制御信号を受信して、ガス吸引孔62Bからの吸引量を制御する。なお、このレジスト塗布装置2はエア雰囲気に置かれることから、姿勢制御部6から吐出及び吸引するガスとしてはエアが用いられているが、例えばN2ガスなどの不活性ガス雰囲気下に置かれる場合、この不活性ガスを吐出及び吸引するようにしてもよい。
【0032】
ウエハWにおいて前記液膜が形成される領域よりも内側の領域は、ガス吐出孔62Aからのエアの供給を受けて、鉛直上向きの力が加えられる。また吸引孔62Bから前記領域が吸引されることにより、当該領域に鉛直下向きの力が加えられる。姿勢制御部6はこれら双方向の合成された圧力のバランスを制御することで、回転中のウエハWの周縁部の姿勢を制御し、その上下のぶれを抑える役割を有する。
【0033】
図7を用いて説明すると、ウエハWに反りがあったり、スピンチャック21の水平度に誤差があったりする場合は、図7(a)に示すようにウエハWの回転中にその周縁部が上下に例えば100μm弱程度ぶれる場合がある。既述のようにウエハの裏面周縁部には液膜形成部5が近接し、これらの間で液膜Lが形成されるが、この上下のぶれ量が大きいと、液膜形成部5の対向面部51とウエハWの裏面との距離が大きくなったり、ウエハWと液膜形成部5が衝突して液膜Lを形成できなくなってしまう。そこで液膜形成部5により液膜の形成を行う場合は、図7(b)に示すようにこの姿勢制御部6が所定の高さ位置(処理位置)において、ウエハの裏面にガスの供給を行うと共にウエハWの裏面を吸引して、そのウエハWの周縁部の上下の変動を抑えて、ウエハWの裏面と液膜形成部5との距離を一定に制御して、前記液膜LをウエハWの裏面周縁部全体に形成する。確実に液膜を形成するために、姿勢制御部6を使用した場合にウエハWのぶれ量が例えば10μm程度に抑えられていると好ましい。
【0034】
レジスト塗布装置2は例えばコンピュータからなる制御部7を備えており、この制御部7はプログラム、メモリ、CPUなどにより構成されている。前記プログラムには制御部7からレジスト塗布装置2の各部に制御信号を出力し、後述の塗布処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部7にインストールされる。
【0035】
続いてレジスト塗布装置2の作用について図8〜図11を参照しながら説明する。図8〜図10はレジスト塗布装置2の各部の動作を示しており、図11は時間とスピンチャック21に保持されたウエハWの回転数と、その時間に応じてウエハWに行われる処理との関係を示したグラフである。先ず、予め設定された排気量でカップ体24内が排気され、続いて外部からの図示しない搬送機構により例えばその直径30cmのウエハWがレジスト塗布装置2に搬送される。
【0036】
前記ウエハWがスピンチャック21上に位置すると、支持ピン44が上昇し、ウエハWの裏面を支持する。そして、支持ピン44が下降し、ウエハWの裏面中央部がスピンチャック21上に載置されて吸着されると、姿勢制御部6のガス吐出孔62Aから所定の量でエアが吐出される(図10(a)、(b))。このとき姿勢制御部6、液膜形成部5はウエハWの姿勢制御を行うための処理位置、液膜形成位置よりも下方の各々の待機位置にて待機しており、前記エアの吐出が開始されると、姿勢制御部6、液膜形成部5が前記処理位置、前記液膜形成位置へ夫々上昇する。
【0037】
姿勢制御部6から吐出されているエアの圧力により、ウエハWの周縁部が下方に下がることが抑えられ、液膜形成部5及び姿勢制御部6に接触することが抑えられた状態で姿勢制御部6、液膜形成部5が前記処理位置、前記液膜形成位置に夫々位置する(図8(c))。続いて溶剤ノズル31BからウエハWの中心部に溶剤Fが供給され、所定の量が供給された後、その供給が停止する。
【0038】
然る後、処理位置に移動した姿勢制御部6のガス吸引孔62BからウエハW裏面の吸引が開始されると共にスピンチャック21が回転し(時刻t1)、ウエハWの裏面と液膜形成部5との距離が例えば100μmに保たれた状態で回転速度が上昇し、ウエハWに供給された溶剤FがウエハWの周縁部へと遠心力により展伸される。また、スピンチャック21の回転開始と略同時にシャッタ42が開き、ウエハWの回転により圧力が低下したスピンチャック21の周囲の上方空間28に下方空間27からスリット41を介してエアが流入し、このエアは、カップ体24内に形成される排気流に乗って、矢印で示すようにウエハWの裏面中央部側から裏面周縁部側へと向かう気流を形成して、排気口25から排気される(図8(d))。
【0039】
回転数の上昇が続き、その回転数が例えば3000rpm(第1の回転数)に達すると、レジストノズル31AからウエハWの中央部にレジストRが供給され(時刻t2)、当該レジストRは溶剤で濡れたウエハW表面上を遠心力により周縁部へと広がる(図9(a))。然る後レジストRの供給が停止すると共にウエハの回転数を低下させ(時刻t3)、その回転数を例えば100rpmに維持し、乾燥を抑えた状態で膜厚の面内分布を整える(図9(b))。詳しくは、レジストが塗布された時点においては、ウエハWの外周部側で盛り上がっているレジストが中央部に引き寄せられようとして膜厚が均一化される。
【0040】
然る後、ウエハWの回転数が上昇し(時刻t4)、ウエハの回転数が例えば1500rpm(第2の回転数)に達し、その回転数に維持されると、このとき余分なレジストRはウエハWの周縁部から振り切られ、ミストMが発生する。また、この回転数の上昇開始と同時か、あるいはそれに若干遅れて液膜形成部5からその液膜形成部5とウエハWの周縁部との間に例えば3mLのシンナーが供給される。そして、その表面張力によりシンナーはウエハWと液膜形成部5とに吸着して、図9(c)で示すように液膜Lが形成される(時刻t5)。
【0041】
図12(a)はこのときに発生したミストMの様子を示したものであり、この液膜Lの形成前からウエハWの裏面周縁部に付着していたミストMやその他のパーティクルは液膜Lと回転するウエハWの裏面との間に働く剪断力によりウエハWの裏面から除去される。また、ウエハの周縁部裏面に回り込んだミストMは液膜Lに接触すると、図12(b)に示すように液膜Lの表面で弾かれるか、その液膜Lに取り込まれる。液膜Lに取り込まれたミストMは上記のようにウエハWと液膜Lとの間に働く力によりウエハWに付着することが抑えられる。また、このとき図12(a)(b)に示すようにウエハWからカップ体24に衝突し、跳ね返ってウエハW中央部へと向かうミストMは、スリット41から供給されたガス流に乗って排気されるので、このミストMがウエハWに付着することが抑えられる。
【0042】
このように余分なレジストRが振り切られ、膜厚が所定の大きさに制御されると共にレジスト膜Rの乾燥が進行すると、ウエハWの周縁部に溶剤ノズル31Cから溶剤が供給され(時刻t6)、周縁部のレジストRが溶解する(図9(d))。このレジストRの溶解により発生するミストも余分なレジストを振り切るときと同様に液膜Lに捕捉されたり、スリット41からのガス流に乗って排気されることでウエハWに付着することが抑えられる。溶剤ノズル31Cからの溶剤の供給が停止して(時刻t7)、しばらく後に図10(a)及び図12(c)に示すように液膜Lを構成するシンナーが補足したミストMと共に液膜形成部5の吸引孔52Bから吸引除去されると共にシャッタ42が閉じられる(時刻t8)。
【0043】
液膜の形成停止後、しばらくの間ウエハWは回転を続け、その周縁部に付着した液膜Lを構成していたシンナーを乾燥させる。然る後ウエハWは回転を停止し、姿勢制御部材6からの吸引が停止し、その搬入時とは逆の動作で外部の搬送機構に受け渡される(図10(b))。
【0044】
このレジスト塗布装置2によれば、回転する前記ウエハWの裏面側に当該ウエハWの周縁部に沿って形成されたリング状の液膜形成部5と、前記周縁部の上下のぶれを抑えるための姿勢制御部6とが設けられ、この液膜形成部5とウエハWの裏面周縁部との間にシンナーを供給し、そのシンナーの表面張力により前記ウエハWの周縁部と液膜形成部5との間に液膜を形成して、その液膜によりウエハWの裏面周縁部にミストが付着することを抑えている。従って、ウエハWの周縁部にノズルなどにより溶剤を供給してミストを洗い流す必要がないので、溶剤の使用量が抑えられる。
【0045】
また、上記レジスト塗布装置2においては、ウエハWの回転数を100rpmから1500rpmに上昇させ、ミストが発生しやすくなったときに、シャッタ42が開いており、下方空間27から上方空間28へと流れ込んだエアがウエハWの周縁部へと流れることにより、ウエハWにおいて液膜が形成された領域よりも内側領域にミストが付着することが抑えられている。シャッタ42は常時開いていてもよいが、このようにミストが発生するときだけ開き、下方空間27から上方空間28へエアを供給することにより、スリット41に設けられたフィルタの寿命を長くするために有効である。シャッタの開閉のタイミングは上記の例に限られず、例えばミストがより発生しやすくなる時刻t5において閉じた状態から開いた状態になってもよい。スリット41を設ける代わりにウエハWの液膜形成部5をウエハWの周縁部から中央部側へ向けて大きく形成してウエハWの裏面中央部におけるミストの付着を防いでもよいが、ウエハWの裏面周縁部に比べて裏面中央部に回り込むミストは少ないので、シンナーの量を抑える観点からもこのようにスリット41を形成することが有効である。
【0046】
また、このようにスリットを設ける代わりに、例えばウエハWの裏面にエアを供給するノズルなどを設けて、そのエアの供給によりウエハWの裏面の圧力を制御すると共にウエハWの裏面の中央部側から周縁部側に向かう気流を形成してウエハWへのミストの付着を抑えてもよい。
【0047】
ところで、上記実施形態においてウエハWの回転数を1500rpmに上昇させる以前の時刻t2〜t4の間は上記したようにレジスト膜の膜厚分布が均一になるように調整している期間である。この実施形態においては、この期間に液膜Lを形成することを避けることで、液膜Lを構成するシンナーの温度によりウエハWの温度がその面内で変化し、膜厚分布が変動することを防いでいる。
【0048】
また、液膜形成後、その液膜を構成するシンナーを吸引孔52Bより除去するときに液膜に含まれるミストをシンナーと共に除去しているので、より確実にミストによるパーティクル汚染を抑えることができる。さらに液膜形成後、回転を続けてウエハWに付着したシンナーを乾燥させているので、この残留したシンナーによりパーティクル汚染が防がれるため好ましい。
また、姿勢制御部6において吐出孔62A及び吸引孔62Bは、ウエハWの回転方向及び径方向に沿って交互に配列されているのでウエハWの周において加えられる圧力の均一性が高くなり、より上下のぶれを抑えた状態で回転させることができる。吐出孔62A、吸引孔62Bとしてはこの例に限られず、例えばウエハWの回転中心を中心とした周方向に沿ってスリット状に形成してもよい。
また、上記のように液膜形成部5、姿勢制御部6は夫々液膜形成位置、処理位置にウエハWとの接触が抑えられるように移動するので、ウエハWとこれら液膜形成部5、姿勢制御部6との衝突によりウエハWが衝撃を受けて、形成された各膜に欠陥が発生することが抑えられる。
【0049】
液膜形成部5において、供給孔52A,吸引孔52Bのレイアウトは液膜Lを形成することができれば上記の例に限られるものではなく、例えば上記の例ではシンナーを供給する供給孔52Aは複数箇所に設けられているが、一カ所であってもよい。またウエハWの裏面周縁部の一カ所に液膜を形成することができれば、回転するウエハWの裏面周縁部全体を洗浄することができるので、液膜形成部5はリング状に形成されることに限られず、図13(a)(b)に示すようにウエハWの周縁部の一部に対向するような液膜形成部50を設けてもよい。ただし、上記のようにリング状に液膜を形成した方がより確実にウエハWの裏面へのミストの回り込みをブロックできるので好ましい。
【0050】
上記の姿勢制御部6は、ウエハWの裏面にエアの吐出及びウエハWの裏面の吸引を行うことでウエハWの周縁部の姿勢を制御しているが、このようにウエハWの姿勢を制御することに限られない。例えば図14(a)に示す姿勢制御部6は、吸引路が設けられず、ウエハWの周に沿って多数の吐出孔62Aのみを備えた構成を備えており、図14(b)に示すようにこの姿勢制御部6からウエハWの裏面にエアを吐出してウエハWの上下のぶれを抑えてもよい。この場合、例えばウエハWの裏面に吐出されたエアがウエハWと姿勢制御部6との隙間を流れるときにベルヌーイ効果が得られるように姿勢制御部6の処理位置を調整してもよい。つまり、当該ウエハWが姿勢制御部6へ向けて吸引されるが吐出孔62Aから吐出されているエアの圧力により、ウエハWは姿勢制御部6には接触せずに姿勢制御部6から浮上し、液膜形成部5の対向面部51とウエハWの裏面との距離が一定に保たれ、その結果として回転中のウエハWの周縁部のぶれ量が抑えられるように姿勢制御部6を構成してもよい。
【0051】
上記の実施形態は、レジスト塗布装置について説明したが、本発明は薬液を回転する基板中心に供給して周縁部へと広げるスピンコーティングにて成膜を行う他の塗布装置にも適用することができる。なお、上記の実施形態でレジスト膜の周縁部を除去するのは、後工程で液浸露光を行うためにレジスト膜の上層に撥水性の保護膜を成膜し、その保護膜の周縁部をウエハW表面に密着させるためであるが、このような周縁部の除去を行うことには限られない。
【0052】
上記の実施形態で処理中にシンナーが乾燥したり飛散したりすることにより液膜Lが形成されなくなることを防ぐために、液膜L形成中にシンナーをウエハWと液膜形成部5との間に供給し続けてもよい。その場合であってもウエハWと液膜形成部との間隔H1は微小であるため、ノズルからシンナーを吐出してミストを洗い流す場合よりもシンナーの使用量を抑えることができる。また、液膜Lを形成するにあたっては対向面部51に供給孔52Aからシンナーを供給すると共に吸引孔52Bからシンナーの吸引を行うことにより行ってもよい。
【0053】
次に塗布、現像装置に上述したレジスト塗布装置2を適用した一例について簡単に説明する。図15は塗布、現像装置に露光装置が接続されたシステムの平面図であり、図16は同システムの斜視図である。また図17は同システムの縦断面図である。この装置にはキャリアブロックS1が設けられており、その載置台101上に載置された密閉型のキャリア100から受け渡しアームCがウエハWを取り出して処理ブロックS2に受け渡し、処理ブロックS2から受け渡しアームCが処理済みのウエハWを受け取ってキャリア100に戻すように構成されている。
【0054】
前記処理ブロックS2は、図15に示すようにこの例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行うための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト膜の塗布を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される例えば液浸露光時にレジスト膜を保護する保護膜の形成を行うための第4のブロック(TCT層)B4を、下から順に積層して構成されている。
【0055】
第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、夫々反射防止膜、保護膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する、塗布液が異なる他は上述の塗布装置2と同様に構成された塗布モジュールと、この塗布モジュールにて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理モジュール群と、前記塗布モジュールと処理モジュール群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行う搬送アームA2、A4と、で構成されている。ただし、第3のブロック(COT層)B3についても前記薬液がレジスト液であることを除けば同様の構成であり、このCOT層の塗布モジュールとしては前記塗布装置2が設けられる。
【0056】
一方、第1のブロック(DEV層)B1については図17に示すように一つのDEV層B1内に現像モジュール103が2段に積層されている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像モジュール103にウエハWを搬送するための搬送アームA1が設けられている。つまり2段の現像モジュール103に対して搬送アームA1が共通化されている構成となっている。
【0057】
更に処理ブロックS2には、図15及び図17に示すように棚モジュールU5が設けられ、キャリアブロックS1からのウエハWは前記棚モジュールU5の一つの受け渡しモジュール、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しモジュールCPL2に、前記棚モジュールU5の近傍に設けられた昇降自在な第1の受け渡しアームD1によって順次搬送される。第2のブロック(BCT層)B2内の搬送アームA2は、この受け渡しモジュールCPL2からウエハWを受け取って各モジュール(反射防止膜モジュール及び加熱・冷却系の処理モジュール群)に搬送し、これらモジュールにてウエハWには反射防止膜が形成される。
【0058】
その後、ウエハWは棚モジュールU5の受け渡しモジュールBF2、受け渡しアームD1、棚モジュールU5の受け渡しモジュールCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、レジスト膜が形成される。更にウエハWは、搬送アームA3→棚モジュールU5の受け渡しモジュールBF3→受け渡しアームD1を経て棚モジュールU5における受渡しモジュールBF3に受け渡される。なおレジスト膜が形成されたウエハWは、第4のブロック(TCT層)B4にて更に液浸露光時にレジスト膜を保護する保護膜が形成される場合もある。この場合は、ウエハWは受け渡しモジュールCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、保護膜の形成された後搬送アームA4により受け渡しモジュールTRS4に受け渡される。
【0059】
一方DEV層B1内の上部には、棚モジュールU5に設けられた受け渡しモジュールCPL11から棚モジュールU6に設けられた受け渡しモジュールCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜や反射防止膜、更に保護膜の形成されたウエハWは、受け渡しアームD1を介して受け渡しモジュールBF3、TRS4から受け渡しモジュールCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚モジュールU6の受け渡しモジュールCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお図17中のCPLが付されている受け渡しモジュールは温調用の冷却モジュールを兼ねており、BFが付されている受け渡しモジュールは複数枚のウエハWを載置可能なバッファモジュールを兼ねている。
【0060】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われた後、棚モジュールU6の受け渡しモジュールTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行わる。なお、露光装置S4からDEV層B1までのウエハWの搬送路に保護膜を除去する除去モジュールが設けられ、保護膜が形成されているウエハWについてその保護膜の除去が行われる場合もある。現像処理の後、ウエハWは搬送アームA1により棚モジュールU5の受け渡しモジュールTRS1に受け渡される。その後ウエハWは、第1の受け渡しアームD1により棚モジュールU5における受け渡しアームCのアクセス範囲の受け渡しモジュールに搬送され、受け渡しアームCを介してキャリア100に戻される。なお図15においてU1〜U4は各々加熱部と冷却部とを積層した熱系モジュール群であり、図15はDEV層B1の平面視のレイアウトを示しているが、他の各層もこのDEV層と平面視同様のレイアウトを備えている。
【0061】
(評価試験)
評価試験1
上述の姿勢制御部6を用いて、スピンチャック21に保持されたウエハWの回転数を100rpm〜300rpmの範囲で変化させたときのウエハWの周縁部の上下の振れ量を計測した。また、姿勢制御部6を用いずに同様にウエハWを回転させて、上下の振れ量を計測した。図18はこの試験の結果を示したグラフであり、グラフの横軸は回転数(rpm)、縦軸は振れ量(mm)を夫々示している。実線がこの姿勢制御部6へのガス供給量及び姿勢制御部からの吸引量を夫々15L/分としたときの結果を示しており、点線がこの姿勢制御部6へのガス供給量及び姿勢制御部6からの吸引量を夫々50L/分としたときの結果を示している。鎖線は姿勢制御部6を用いなかった実験の結果を示している。このように姿勢制御部6を用いた場合は用いなかった場合に比べて振れ量が抑えられている。従って、上記のように液膜形成部5とウエハWの周縁との微小な隙間に安定して液膜を形成することが可能になることが示された。
【0062】
(評価試験2)
上記のように仕切り板23にスリット41を設けず、下方空間27から上方空間へのガスの流れが形成されない場合とスリット41を設けて下方空間27から上方空間28へのガスの流れが形成された場合とでウエハWの周縁部に流れる気流の方向についてシミュレーションを行った。ウエハWの回転数は1500rpmに設定した。図19(a)はスリット41を設けない場合のガスの流れを矢印で示したものである。見やすくするために太い矢印で示しているが、ウエハWの裏面中央部から裏面周縁部へ向かった後、ウエハWの裏面周縁部から裏面中央部側へその流速が0.2m/秒で回り込む気流が発生している。
【0063】
図19(b)はスリット41を設けた場合のガスの流れを矢印で示したものであり、スリット41を設けることで下方空間27から上方空間28へ100L/分のガスが引き込まれて、図19(a)のようにウエハWの周縁部から中央部側へ回り込む気流は発生しておらず、ウエハWの裏面中央部からウエハWの周縁部へ向けて1.0m/秒でエアが流れていることが分かった。従って、ミストをウエハWの外縁へと押しやり、ウエハWの中央部へミストが付着することを抑えるためにスリット41を設けることが有効であることが示された。
【0064】
評価試験3
仕切り板にスリット41を設けない場合と設けた場合でウエハWに付着したパーティクルの数を調べた。さらにスリット41を設けない場合については背景技術の欄に記載した裏面洗浄ノズル13から溶剤を吐出し裏面を洗浄した場合と、洗浄しなかった場合とについて夫々パーティクルの数を比較した。
【0065】
スリット41を設けず、裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行わなかったウエハWの裏面には所定の大きさ以上の大きさのパーティクルが1205個付着していた。このウエハの図示は省略している。そして、スリット41を設けず、裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行ったウエハの裏面には0.15μm以上のパーティクルPが93個付着していた。図20(a)はその裏面の概略図である。図20(b)はそのウエハWの表面の概略を示しており、当該表面には0.15μm以上のパーティクルPが10個付着していた。スリット41を設けた場合のウエハWの表面、裏面は夫々図20(c)(d)に夫々示しており、その表面に付着した0.15μm以上のパーティクルPは3個であり、その裏面に付着した0.15μm以上のパーティクルPは109個であった。この結果からスリット41を形成することで、パーティクルの数を溶剤の供給を行った場合と同様に抑えることができ、溶剤の使用量を抑えるために有効であることが分かる。上記の実施形態では、スリットを設ける他に溶剤の液膜を形成しているので、この実験結果よりもウエハWに付着するパーティクルを抑えることができると考えられる。
【0066】
評価試験4−1
図21(a)に示すようにウエハWの周縁部上にレーザー測定器70を設け、姿勢制御部6により姿勢制御を行った場合と、姿勢制御を行わなかった場合とのウエハWの上下のぶれ量をウエハの回転数を変化させて測定した。図21(b)、図21(c)、図22(a)、図22(b)、図23(c)は夫々ウエハWの回転数が10rpm、30rpm、50rpm、80rpm、100rpmであるときのウエハWのぶれ量のグラフ図であり、グラフ中の実線が姿勢制御を行った場合(補正後)、グラフ中の鎖線が姿勢制御を行わなかった場合(補正前)の時間に対する測定位置の上下の変位を夫々示している。下記の表1は各グラフの結果から得られた各回転数と変位量とを示したものであり、いずれの回転数の場合も補正後の変位量は抑えられている
表1
【0067】
評価試験4−2
また、直径300mmのウエハWの径方向におけるエッジ(端部)から20mmの位置について、レーザー変位計を用いて姿勢制御部6により姿勢制御を行った場合と、姿勢制御を行わなかった場合とのウエハWの上下のぶれ量をウエハの回転数を変化させて測定した。表2はその結果を示したものである。
表2
これら評価試験4−1、4−2の結果から姿勢制御部6を設けることでウエハWのぶれが抑えられることが示された。従って姿勢制御部6を設けることでウエハWと液膜形成部との間の微小な空間に液膜を形成することができることが示された。
【0068】
参考試験
ウエハに裏面洗浄ノズル13から溶剤の供給を行った場合と行わなかった場合とで形成されるレジスト膜の膜厚分布の変化について調べた。この実験ではウエハ周縁部のレジストの除去は行っていない。図23(a)、(b)は溶剤の供給を行った場合の膜厚分布を示したグラフであり、図23(c)、(d)は溶剤の供給を行わなかった場合の膜厚分布を示したグラフである。各グラフの横軸はウエハWの直径方向の位置であり、0mmと示した位置がウエハWの中心、+150mm、−150mmと示した位置が夫々ウエハWの一端、他端である。縦軸は膜厚である。このように溶剤の供給を行うことによって膜厚分布の変化は観察されない。従って上記の実施形態で形成される溶剤の液膜によりレジストの膜厚が影響を受けることはないと推察される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の塗布装置の縦断側面図である。
【図2】前記塗布装置の平面図である。
【図3】前記塗布装置に設けられる流路とシャッタの斜視図である。
【図4】前記塗布装置に設けられる液膜形成部及び姿勢制御部の斜視図である。
【図5】前記液膜形成部の縦断側面図である。
【図6】前記姿勢制御部の構成図である。
【図7】前記姿勢制御部により姿勢制御されるウエハの様子を示した説明図である。
【図8】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図9】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図10】前記塗布装置の動作を示した作用図である。
【図11】前記塗布装置の動作と、時間と、ウエハの回転数との関係を示したグラフ図である。
【図12】前記塗布装置におけるミストの様子を示した説明図である。
【図13】前記姿勢制御部の他の構成例を示した説明図である。
【図14】前記姿勢制御部の他の構成例を示した説明図である。
【図15】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の平面図である。
【図16】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の斜視図である。
【図17】前記塗布装置を備えた塗布、現像装置の縦断側面図である。
【図18】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図19】評価試験の結果を示した作用図である。
【図20】評価試験の結果を示したウエハの平面図である。
【図21】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図22】評価試験の結果を示したグラフ図である。
【図23】参考試験の結果を示したグラフ図である。
【図24】従来のウエハの裏面の洗浄方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0070】
W ウエハ
M ミスト
R レジスト
2 レジスト塗布装置
21 スピンチャック
27 下方空間
28 上方空間
31A レジストノズル
41 スリット
42 シャッタ
5 液膜形成部
6 姿勢制御部
62A 吐出孔
62B 吸引孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面の中央部を保持して当該基板を水平に支持するための基板保持部と、
前記基板の表面の中央部に塗布液を供給するための塗布ノズルと、
前記基板保持部を鉛直軸回りに回転させ、基板の中央部に供給された前記塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜するための回転駆動部と、
前記基板の裏面の周縁部に対向した対向面部とその対向面部に処理液を供給する処理液供給部とを備え、前記処理液をその表面張力により当該対向面部と回転する基板の前記周縁部とに吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストを前記基板の裏面の周縁部から除去するための液膜を形成するための液膜形成部と、
回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記基板に塗布液を供給するときに当該基板を第1の回転数で回転させ、塗布液の供給停止後、基板における塗布液の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させ、さらに塗布液を乾燥させるために基板を前記第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させるように前記塗布ノズル、回転駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、
当該制御部は、この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記液膜形成部の対向面部に処理液を供給するように前記処理液供給部の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記姿勢制御部は、前記吐出孔によるガスの吐出と協働して回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する吸引孔を備え、当該吸引孔は前記姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記吐出孔及び前記吸引孔は、基板の回転方向及び回転する基板の径方向に沿って交互に配列されていることを特徴とする請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記姿勢制御部を、前記基板の周縁部の前記ぶれを抑えるためにガスを吐出する処理位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第1の昇降機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項6】
前記液膜形成部を、前記液膜を形成するための液膜形成位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第2の昇降機構が設けられ、第2の昇降機構は、液膜形成部の基板への接触を抑えるために姿勢制御部の吐出孔からガスが吐出されているときに、液膜形成部を前記待機位置から前記液膜形成位置に上昇させることを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記液膜形成部には、不要になった前記液膜を形成する処理液を除去するための排液手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項8】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気から区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気に接続された排気路と、
非処理雰囲気中のガスを基板保持部の回転によって処理雰囲気に引き込むための前記区画部材に設けられたガス流路と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項9】
前記ガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へのガスの流通を制御するための流通制御手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記流通制御手段は、前記ガス流路を開閉するためのシャッタにより構成されることを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
【請求項11】
リング状に前記液膜を形成するために、前記液膜形成部は回転する基板の回転方向に沿ったリング状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項12】
基板保持部により基板の裏面を保持して当該基板を水平に保持する工程と、
塗布ノズルにより前記基板の表面中央部に塗布液を供給する工程と、
回転駆動部により前記基板保持部を鉛直軸回りに第1の回転数で回転させ、基板の中央部に供給された塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜する工程と、
前記基板の裏面側の周縁部に対向するように形成された液膜形成部の対向面部に、当該液膜形成部に設けられた処理液供給部から処理液を供給する工程と、
その液膜形成部の対向面部と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが当該裏面の周縁部に付着することを防ぐ液膜を形成する工程と、
前記基板保持部を囲む姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられた吐出口から回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出すると工程と、
を備えたことを特徴とする塗布方法。
【請求項13】
基板に塗布液を供給した後、塗布液の基板の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させるように基板の回転数を変更する工程と、
その後基板を第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させて塗布液を乾燥させる工程と、を備え
この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記処理液を供給する工程が行われることを特徴とする請求項12に記載の塗布方法。
【請求項14】
前記基板の回転中に前記液膜を構成する処理液を除去する工程を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の塗布方法。
【請求項15】
前記基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、前記ガスを吐出する工程と共に基板の回転方向に沿って設けられた吸引孔により前記基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する工程が行われることを特徴とする請求項14に記載の塗布方法。
【請求項16】
前記姿勢制御部の吐出孔からガスを吐出させながら、姿勢制御部を前記基板の周縁部の姿勢を制御するための処理位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を含むことを特徴とする請求項12ないし15のいずれか一つに記載の塗布方法。
【請求項17】
前記姿勢制御部を上昇させる工程を行うと共に前記液膜形成部を前記液膜を形成するための液膜形成位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を行うことを特徴とする請求項16に記載の塗布方法。
【請求項18】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気と区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気を排気する工程と、
回転処理部の回転により前記区画部材に設けられたガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へと流入するガスの移動を制御する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12ないし17のいずれか一つに記載の塗布方法。
【請求項19】
基板を収納したキャリアが搬入されるキャリアブロックと、
前記キャリアから取り出された基板の表面にレジストを塗布する塗布部と、露光後の基板を現像する現像部と、を含む処理ブロックと、
この処理ブロックとレジストが塗布された基板を露光する露光装置との間で基板の受け渡しを行うインターフェイスブロックと、を備えた塗布、現像装置において、
前記塗布部として、請求項1ないし11のいずれか一つに記載の塗布装置を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項20】
回転する基板に塗布液を供給して塗布する塗布装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項12ないし18のいずれか一つに記載の塗布方法を実施するためのステップ群が組み込まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
基板の裏面の中央部を保持して当該基板を水平に支持するための基板保持部と、
前記基板の表面の中央部に塗布液を供給するための塗布ノズルと、
前記基板保持部を鉛直軸回りに回転させ、基板の中央部に供給された前記塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜するための回転駆動部と、
前記基板の裏面の周縁部に対向した対向面部とその対向面部に処理液を供給する処理液供給部とを備え、前記処理液をその表面張力により当該対向面部と回転する基板の前記周縁部とに吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストを前記基板の裏面の周縁部から除去するための液膜を形成するための液膜形成部と、
回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出する吐出孔が当該基板の回転方向に沿って設けられた、前記基板保持部を囲む姿勢制御部と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記基板に塗布液を供給するときに当該基板を第1の回転数で回転させ、塗布液の供給停止後、基板における塗布液の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させ、さらに塗布液を乾燥させるために基板を前記第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させるように前記塗布ノズル、回転駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、
当該制御部は、この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記液膜形成部の対向面部に処理液を供給するように前記処理液供給部の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
【請求項3】
前記姿勢制御部は、前記吐出孔によるガスの吐出と協働して回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する吸引孔を備え、当該吸引孔は前記姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記吐出孔及び前記吸引孔は、基板の回転方向及び回転する基板の径方向に沿って交互に配列されていることを特徴とする請求項3に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記姿勢制御部を、前記基板の周縁部の前記ぶれを抑えるためにガスを吐出する処理位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第1の昇降機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項6】
前記液膜形成部を、前記液膜を形成するための液膜形成位置と、その下方の待機位置との間で昇降させるための第2の昇降機構が設けられ、第2の昇降機構は、液膜形成部の基板への接触を抑えるために姿勢制御部の吐出孔からガスが吐出されているときに、液膜形成部を前記待機位置から前記液膜形成位置に上昇させることを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記液膜形成部には、不要になった前記液膜を形成する処理液を除去するための排液手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項8】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気から区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気に接続された排気路と、
非処理雰囲気中のガスを基板保持部の回転によって処理雰囲気に引き込むための前記区画部材に設けられたガス流路と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項9】
前記ガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へのガスの流通を制御するための流通制御手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記流通制御手段は、前記ガス流路を開閉するためのシャッタにより構成されることを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
【請求項11】
リング状に前記液膜を形成するために、前記液膜形成部は回転する基板の回転方向に沿ったリング状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一つに記載の塗布装置。
【請求項12】
基板保持部により基板の裏面を保持して当該基板を水平に保持する工程と、
塗布ノズルにより前記基板の表面中央部に塗布液を供給する工程と、
回転駆動部により前記基板保持部を鉛直軸回りに第1の回転数で回転させ、基板の中央部に供給された塗布液を遠心力により基板の周縁部へと展伸させて成膜する工程と、
前記基板の裏面側の周縁部に対向するように形成された液膜形成部の対向面部に、当該液膜形成部に設けられた処理液供給部から処理液を供給する工程と、
その液膜形成部の対向面部と回転する基板の裏面の周縁部とに前記処理液をその表面張力により吸着させ、基板に展伸された前記塗布液から飛散したミストが当該裏面の周縁部に付着することを防ぐ液膜を形成する工程と、
前記基板保持部を囲む姿勢制御部に基板の回転方向に沿って設けられた吐出口から回転する基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域にガスを吐出すると工程と、
を備えたことを特徴とする塗布方法。
【請求項13】
基板に塗布液を供給した後、塗布液の基板の面内分布を調整するために前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で当該基板を回転させるように基板の回転数を変更する工程と、
その後基板を第2の回転数よりも高い第3の回転数で回転させて塗布液を乾燥させる工程と、を備え
この第3の回転数にて基板が回転しているときに前記処理液を供給する工程が行われることを特徴とする請求項12に記載の塗布方法。
【請求項14】
前記基板の回転中に前記液膜を構成する処理液を除去する工程を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の塗布方法。
【請求項15】
前記基板の周縁部の上下のぶれを抑えるために、前記ガスを吐出する工程と共に基板の回転方向に沿って設けられた吸引孔により前記基板の裏面において前記液膜が形成される周縁部よりも内側の領域を吸引する工程が行われることを特徴とする請求項14に記載の塗布方法。
【請求項16】
前記姿勢制御部の吐出孔からガスを吐出させながら、姿勢制御部を前記基板の周縁部の姿勢を制御するための処理位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を含むことを特徴とする請求項12ないし15のいずれか一つに記載の塗布方法。
【請求項17】
前記姿勢制御部を上昇させる工程を行うと共に前記液膜形成部を前記液膜を形成するための液膜形成位置へとその下方の待機位置から上昇させる工程を行うことを特徴とする請求項16に記載の塗布方法。
【請求項18】
前記基板保持部及び液膜形成部は前記塗布液の飛散を抑えるためのカップの内部の処理雰囲気に、前記回転駆動部は区画部材により前記処理雰囲気と区画された非処理雰囲気に夫々設けられ、
前記処理雰囲気を排気する工程と、
回転処理部の回転により前記区画部材に設けられたガス流路を介して非処理雰囲気から処理雰囲気へと流入するガスの移動を制御する工程と、
を含むことを特徴とする請求項12ないし17のいずれか一つに記載の塗布方法。
【請求項19】
基板を収納したキャリアが搬入されるキャリアブロックと、
前記キャリアから取り出された基板の表面にレジストを塗布する塗布部と、露光後の基板を現像する現像部と、を含む処理ブロックと、
この処理ブロックとレジストが塗布された基板を露光する露光装置との間で基板の受け渡しを行うインターフェイスブロックと、を備えた塗布、現像装置において、
前記塗布部として、請求項1ないし11のいずれか一つに記載の塗布装置を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項20】
回転する基板に塗布液を供給して塗布する塗布装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項12ないし18のいずれか一つに記載の塗布方法を実施するためのステップ群が組み込まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図4】
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【図15】
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【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−277870(P2009−277870A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127355(P2008−127355)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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