変位センサ
【課題】共焦点変位計による合焦点の周辺においてもピントが合った画像を撮像する。
【解決手段】計測装置において、共焦点変位計システムOPT−Aは、レーザダイオード1と、コリメートレンズ4と、対物レンズ6と、ハーフミラー3と、絞り板31と、フォトダイオード2とを含む。観察画像撮像系OPT−Bは、テレセントリック受光光学系であり、白色光源94と、対物レンズ6と、ダイクロイックミラー5と、絞り板81と、結像レンズ82と、イメージセンサ9とを含む。コリメートレンズ4は、振動子7により、両矢印方向に掃引される。絞り板81の絞り孔の径は、対物レンズ6の被写界深度がコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるように設定される。
【解決手段】計測装置において、共焦点変位計システムOPT−Aは、レーザダイオード1と、コリメートレンズ4と、対物レンズ6と、ハーフミラー3と、絞り板31と、フォトダイオード2とを含む。観察画像撮像系OPT−Bは、テレセントリック受光光学系であり、白色光源94と、対物レンズ6と、ダイクロイックミラー5と、絞り板81と、結像レンズ82と、イメージセンサ9とを含む。コリメートレンズ4は、振動子7により、両矢印方向に掃引される。絞り板81の絞り孔の径は、対物レンズ6の被写界深度がコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるように設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で計測対象物体の変位を計測し、かつ、当該計測点周辺の画像を取得する、共焦点光学系を用いた変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の変位センサでは、例えば特許文献1に開示されるように、共焦点光学系を用いた変位センサであって、当該変位センサにより変位を測定する被測定物の画像を取得する撮像素子を備えるものがあった。
【0003】
具体的には、変位センサは、図16に示されるように、被測定物900に光を照射する光源901と、光源901から出射する光の波長と異なる波長の光を、被測定物900に照射する撮像用光源913と、被測定物900からの光源901の反射光および撮像用光源913の反射光が通る対物レンズ906と、対物レンズ906を通った夫々の反射光が入射するビームスプリッタ905と、ビームスプリッタ905で反射した被測定物の表面像を取得する撮像素子909と、被測定物900からの反射光であってビームスプリッタ905を透過した光を受光する受光素子902と、ビームスプリッタ905を透過した光を受光素子902へ導くビームスプリッタ903とを備える。
【0004】
そして、このような変位センサでは、励磁コイルを用いて、対物レンズ906を、所定の振幅で振動させ、受光素子902における受光量が最大となる対物レンズ906の位置で、撮像素子909に画像が取得される。これにより、撮像素子909にて、当該被測定物900表面に集光したときの画像を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3513817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような従来の変位計では、図16に示したように被測定物900表面に凹凸がある場合、被測定物の表面に集光した時点で撮像素子909で取得された画像は、図17に示されるように、変位計測点以外の高さではピントが合っていない画像となっていた。
【0007】
そして、このような変位センサにおいては、凹凸のある被測定物において計測範囲内で鮮明な画像を用いて計測点を確認できる機能が希望されていた。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、共焦点変位センサによる被測定物において、変位計測点以外の高さにおいても鮮明な画像を取得することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った変位センサは、第1の波長の光を出射する第1の投光部と、第1の波長の光を受光する第1の受光部と、第1の投光部が出射する光を、計測対象物へ向けて集光して照射するとともに、集光される光の光軸方向に沿って当該光の集光位置を連続的に変化させ、さらに、計測対象物上に照射された光の反射光を、第1の投光部から出射される光の光路に対して逆方向に進行させて第1の受光部へ導く掃引集光部とを含み、反射光の光路を、第1の投光部から計測対象物への光路から分離させる第1の光路分離部と受光量が最大となる時点の集光位置から表面変位を求める、共焦点変位計において、第1の波長とは異なる第2の波長の光を計測対象物に照射する第2の投光部と、反射光の光路を介した、第2の波長の光の計測対象物での反射光の光路を分離する第2の光路分離部と、第2の光路分離部によって光路を分離された光を受光する第2の受光部とを備え、第2の受光部は、撮像素子と開口絞りとを含む、テレセントリック光学系であり、開口絞り径は、テレセントリック光学系が、掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されている。
【0010】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、掃引集光部は、第1の投光部が出射する光を計測対象物へ向けて集光して照射する対物レンズと、第1の投光部と対物レンズの間に、第1の投光部から対物レンズへ照射される光を平行光にするために設けられるコリメートレンズとを含み、第2の光路分離部は、対物レンズとコリメートレンズの間に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、第2の光路分離部が、開口絞り径の範囲を照射する第2の波長の光を通過させる開口を有するミラーによって構成され、第2の光路分離部と開口絞りとが一体に構成される。
【0012】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、第2の受光部は、第2の光路分離部と開口絞りとの間に設けられたリレーレンズをさらに備える。
【0013】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、共焦点変位計は、第1の投光部が出射する光を計測対象物へ向けて集光して照射する第1の対物レンズを含み、第2の受光部は、計測対象物における反射光であって、第1の対物レンズを介して開口絞りに送られた光を受光し、第1の対物レンズは、開口絞りまでの計測対象物における反射光の光路長が第1の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられ、第1の対物レンズが、1の対物レンズと後側焦点距離の異なる第2の対物レンズに交換可能に構成され、第1の対物レンズが第2の対物レンズに交換された場合には、第2の対物レンズは、開口絞りまでの計測対象物における反射光の光路長が第2の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられる。
【0014】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、撮像素子を用いて取得された画像に、計測対象物上の第1の投光部からの照射光を含めるか否かを調節する第1の調節部と、撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節する第2の調節部とをさらに備え、第1の調節部および第2の調節部は、撮像素子の蓄積時間と第1の投光部の照射時間と第2の投光部の照射時間とを制御することにより、第1の投光部からの照射光を含めるか否かおよび撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の変位センサでは、掃引集光部によって計測対象物における集光位置が変化した場合であっても、テレセントリック光学系からなる第2の受光部は、当該集光位置が変化する範囲以上の被写界深度を有する。
【0016】
これにより、本発明によれば、第2の受光部の撮像素子において得られる画像は、共焦点変位計による計測点の周辺に凹凸のある被測定物においてもピントが合った画像となる。
【0017】
また、本発明の変位センサでは、第2の受光部により計測点周辺の画像を取得する場合に、当該第2の受光部が掃引集光部により生じる光軸方向の合焦点位置変化以上の被写界深度を有するように構成されるため、計測点周辺の画像を取得する場合に鮮明度があがり、変位センサの計測点位置合わせの時間短縮化を図ることができる。
【0018】
また、第2の受光部が長深度の被写界深度を有するように構成されるため、第2の受光部によるカラー画像を取得する場合であっても、レンズ系の色分散による結像位置の差を吸収することができる。よって、第2の受光部によってカラー画像を取得しても、カラー画像において色によってピントがずれ計測点周辺の画像の鮮明度が低下する不具合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の変位センサの第1の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の変位センサ のブロック構成を示す図である。
【図3】図1の変位センサにおける観察画像撮像系 の詳細な構成を説明するための図である。
【図4】本発明の変位センサの第2の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の変位センサの第3の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の変位センサの第4の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の変位センサの第5の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の変位センサの第6の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図9】図8の変位センサにおける絞り板の絞り孔の開口径についての条件を説明するための図である。
【図10】本発明の変位センサの第7の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図11】本発明の変位センサの第8の実施の形態のブロック構成を示す図である。
【図12】図11の変位センサにおける、振動子の振動状態の時間変化を模式的に示す図である。
【図13】図11の変位センサにおいて、シャッタ開状態とする期間を変更した場合の取得画像の変化を説明するための図である。
【図14】本発明の第9の実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図16】従来の変位センサにおける光学系の構成を模式的に示す図である。
【図17】従来の変位センサにおける取得画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の変位センサの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0021】
[第1の実施の形態]
(変位センサの概略構成について)
図1は、本発明の変位センサの第1の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【0022】
図1を参照して、変位センサは、主に、計測対象物500の表面上の変位を計測する共焦点変位計測系OPT−Aと、計測対象物500の画像を取得する観察画像撮像系OPT−Bとから構成される。
【0023】
共焦点変位計測系OPT−Aは、光源1と、コリメートレンズ4と、対物レンズ6と、ビームスプリッタ3と、絞り板31と、受光素子2とを含む。
【0024】
観察画像撮像系OPT−Bは、撮像用光源94と、対物レンズ6と、ビームスプリッタ5と、絞り板81と、結像レンズ82と、撮像素子9とを含む。観察画像撮像系OPT−Bは、テレセントリック光学系である。
【0025】
対物レンズ6は、共焦点変位計システムOPT−Aと観察画像撮像系OPT−Bにおいて共通で用いられる。
【0026】
共焦点変位計システムOPT−Aでは、光源1から出射した光が、コリメートレンズ4で略並行光にされ、対物レンズ6を通って、計測対象物500表面へ照射される。本実施の形態では、対物レンズ6に、コリメートレンズ4で平行光とされた光が入射することから、計測光(光源1から計測対象物500上に照射される光)の集光位置を観察画像撮像系OPT-Bの被写界深度の中心にすることができる。
【0027】
計測対象物500へ照射された光は、当該計測対象物500で反射される。そして、当該反射光の中でビームスプリッタ5を通過した光は、対物レンズ6、コリメートレンズ4を通過し、ビームスプリッタ3で反射され、絞り板2に設けられた絞り孔を介して受光素子2へ送られる。
【0028】
ビームスプリッタ5は、たとえば、光源1から出射される波長付近の光を通過させ、その他の可視光の波長を反射させるダイクロイックミラーでもよい。ビームスプリッタ3は、ビームスプリッタ5を通過してきた光源1から出射される波長付近の光を反射して、受光素子2に送る。
【0029】
観察画像撮像系OPT−Bでは、撮像用光源94からの光は、計測対象物500上で反射され、対物レンズ6を通過しビームスプリッタ5で反射されて絞り板81に形成された絞り孔を介して結像レンズ82に送られ、当該結像レンズ82により撮像素子9上で結像される。
【0030】
図1では、撮像用光源94からの反射光の一部が模式的に示されている。これらの反射光に関し、計測対象物500上の反射点の中の3点が点P51〜P53として示されている。そして、当該反射点における反射光は、それぞれ、絞り板81の絞り孔を介して結像レンズ82を通り、結像レンズ82により撮像素子9上に点Q51〜Q53として結像される。
【0031】
また、図1では、光源1から計測対象物500までの光軸が一点鎖線で模式的に示されている。
【0032】
本実施の形態の変位センサでは、測定が行なわれている間、コリメートレンズ4は、振動子7により、光軸方向に、つまり図1の振動子7上の両矢印に示す方向に、位置を変化させることにより光軸方向に光源1からに光の集光位置を変化させる。また計測対象物からの反射光を、受光素子2において受光している。変位センサは、振動子7を図1中の両矢印方向に振動させるための、駆動コイル(後述する駆動コイル74)等の部材を含む。
【0033】
コリメートレンズ4は、振動子7の振動に応じて、計測対象物500に接近する方向および遠ざかる方向に移動する。位置検出手段71は、コリメートレンズ4の振動中の位置を検出する。信号処理部73は、たとえばこのような位置検出手段からの信号を適宜処理することにより、コリメートレンズ4の位置を算出する。
【0034】
本実施の形態の変位センサでは、光源1により第1の投光部が構成され、受光素子2により第1の受光部が構成される。また、本実施の形態の変位センサでは、対物レンズ6、コリメートレンズ4および振動子7により掃引集光部が構成される。
【0035】
また、本実施の形態の変位センサでは、撮像用光源94により第2の投光部が構成され、撮像素子9により第2の受光部が構成される。
【0036】
そして、本実施の形態の変位センサでは、ビームスプリッタ3により第1の光路分離部が構成され、ビームスプリッタ5により第2の光路分離部が構成される。
【0037】
(変位センサのブロック構成)
図2は、図1の変位センサのブロック構成を示す図である。
【0038】
変位センサは、上記した構成要素の他に、変位センサの動作を全体的に制御する中央処理部100を含み、さらに、光源制御部10、信号処理部73、増幅回路22、AD(Analog to Digital)変換回路23、信号処理部24、駆動回路75、駆動信号出力部76、を含む。これらの構成要素は、それぞれ、専用のハードウェア資源で実現されても良いし、変位センサが有するCPU(Central Processing Unit)が、当該変位センサに備えられた記録装置に記録されたプログラムを実行することにより実現されても良い。また、変位センサはキーボード等の入力デバイスおよびモニタ等の出力デバイスからなる入出力部101と、記録装置から成る記憶部102を含む。
【0039】
変位センサでは、駆動コイル74によりコリメートレンズ4が図1の両矢印方向に振動すると、光源1とコリメートレンズ4の距離が変化する。光源1とコリメートレンズ4の間隔が、コリメートレンズ4の焦点距離と等しい場合にはコリメートレンズ4から対物レンズ6へは平行光が送られ、それ以外の間隔にある場合にはコリメートレンズ4から対物レンズ6へ送られる光は拡散光または収束光となる。これにより、光源1とコリメートレンズ4の間隔によって、対物レンズ6から計測対象物500に対して照射される光の対物レンズ6からの集光位置までの間隔も異なる。変位センサでは、当該集光位置が、計測対象物500表面が存在すると想定される高さ位置を含む位置で、距離a(図2参照)を含む範囲で移動するように、中央処理部100は、コリメートレンズ4を振動させる。
【0040】
変位センサでは、駆動コイル74は、駆動回路75によって通電される。駆動回路75の通電態様は、駆動信号出力部76によって制御される。中央処理部100は、駆動信号出力部76の動作を制御することにより、コリメートレンズ4の振動態様を制御する。
【0041】
変位センサでは、位置検出回路71からの信号が信号処理部73に入力される。中央処理部100は、信号処理部73からの信号に基づいて、コリメートレンズ4の振動中の位置を得る。
【0042】
変位センサでは、中央処理部100は、光源制御部10を介して、光源1の光の照射のON/OFF等の動作を制御する。
【0043】
中央処理部100は、信号処理部73からの信号に基づいて得られたコリメートレンズ4の振動中の位置が、上記した距離aの範囲にあるときに、受光素子2で検出した受光信号から計測対象物体の変位を演算する。受光素子2で得られた受光信号は、増幅回路22で増幅され、AD変換回路23でデジタル信号に変換された後、信号処理部24で適宜処理されて、中央処理部100へと入力される。
【0044】
撮像素子9で取得された画像は中央処理部100に出力される。
変位センサでは、ユーザは、入出力部101を介して、測定条件等の情報を入力できる。また、変位センサは中央処理部100が実行するプログラム等のデータが記憶部102に記憶される。
【0045】
(観察画像撮像系の構成)
次に、図3(A)〜図3(C)を参照して、変位センサにおける観察画像撮像系OPT−Bの詳細な構成を説明する。
【0046】
図3(A)には、図1に示された観察画像撮像系OPT−Bの各構成要素間の光路上の距離が示されている。具体的には、対物レンズ6の主点とビームスプリッタ5の間の光路長が距離RAで示され、ビームスプリッタ5と絞り板81の絞り孔の間の光路長が距離RBで示され、絞り板81の絞り孔と結像レンズ82の間の光路長が距離RCで示され、結像レンズ82と撮像素子9の間の光路長が距離RDで示されている。
【0047】
変位センサにおける、これらの距離の条件について、以下説明する。
変位センサでは、テレセントリック光学系であるため、計測対象物500上で反射した光のうち略コリメート成分の光のみが撮像素子9上で結像される。このため、絞り板81の絞り孔の位置は、計測対象物500上で反射した略コリメート光が集光される対物レンズ82の後ろ側焦点位置となる。よって、距離RAと距離RBの和は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされている。
【0048】
変位センサでは、テレセントリック光学系であるため、計測対象物500で反射した光が、対物レンズ6と絞り板81を経て結像レンズ82により、略コリメート成分がセンサ9上に結像される。このため、結像レンズ82は絞り板81を通過した光を略コリメート成分にするために、絞り板81が結像レンズ82の前側焦点距離になる位置に配置される。よって、距離RCは結像レンズ82の前側焦点距離となる。
【0049】
変位センサでは、計測対象物500上で反射した光のうち略コリメート光が、対物レンズ6と絞り板81を経て結像レンズ82により、略コリメート光でセンサ9上に結像される。このため、撮像素子9は、結像レンズ82で略コリメート光が結像される結像レンズ82の後ろ側焦点位置に配置される。よって、距離RDは結像レンズ82の後ろ側焦点距離となる。
【0050】
次に、絞り板81の絞り孔の径について説明する。
図3(B)に、図3(A)の観察画像撮像系OPT−Bの光路を直線状にした仮想状態を示す。図3(B)において、点PA2は、計測対象物500上の反射点を模式的に示し、また、点PA2での反射光が絞り板81の絞り孔を通って撮像素子9上で結像する点が点PB2で示されている。また、点PA1,点PA3における反射光が絞り板81の絞り孔を通って撮像素子9上で結像する点が点PB1,点PB3で示されている。さらに、図3(B)では、f1は対物レンズ6の焦点距離であり、f2は結像レンズ82の焦点距離である。
【0051】
本実施の形態の変位センサにおいて、コリメートレンズ4の掃引(振動)により対物レンズ6から照射される光の集光位置が変化する。この場合、対物レンズ6から照射される光の集光位置が、計測対象物500の表面上を含み、かつ、対物レンズ6の被写界深度以内で変化するように、観察画像撮像系OPT−Bが設計されていれば、コリメートレンズ4が掃引されている期間中に取得された画像は、鮮明なものとなる。
【0052】
なお、対物レンズ6の被写界深度をaとし、その前側被写界深度をa1とし、後ろ側被写界深度をa2とした場合、aとa1とa2の関係は、式(1)で表すことができる。
【0053】
a=a1+a2 …(1)
なお、対物レンズ6の前側被写界深度a1と後ろ側被写界深度a2は、結像レンズ82の撮像素子9の結像面を基準とした場合の前側被写界深度と後ろ側被写界深度に基づき、また、結像レンズ82についてのF値を用いて、以下の式(2),式(3)のように記載することができる。
【0054】
a1=f12・ε・F/(f22+f1・ε・F) …(2)
a2=f12・ε・F/(f22−f1・ε・F) …(3)
式(2)および式(3)において、εは、視覚センサとして機能する変位センサにおける許容錯乱円径である。
【0055】
なお、本実施の形態の変位センサでは、許容錯乱円径εは、撮像素子9のセンサ画素のピッチをPとした場合、図3(C)に示すように、画素ピッチPの2倍の範囲内まではピントがあっていると認識できるように設定される。つまり、次の式(4)に示すように設定される。
【0056】
【数1】
また、F値は、一般に、「(レンズの焦点距離)/(レンズの直径)」で表されるが、本実施の形態では、絞り板81の絞り孔(開口)を通った光のみが結像レンズ82を介して撮像素子9上で結像される場合を考えるので、式(2)および式(3)中のF値は、次の式(5)で表されるものとなる。なお、式(5)中でφAは、上記絞り孔の開口径である。
【0057】
F=f2/φA …(5)
そして、式(5)を式(2)および式(3)に代入すると、それぞれ式(6)および式(7)のように書き換えることができる。
【0058】
a1=(f12・ε・f2/φA)・(f22+f1・ε・f2/φA) …(6)
a2=(f12・ε・f2/φA)・(f22−f1・ε・f2/φA) …(7)
そして、本実施の形態の変位センサでは、aがコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるようなφAが求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。これにより、本実施の形態の変位センサでは、テレセントリック光学系の開口絞りが、当該テレセントリック光学系が掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されることとなる。なお、集光位置の変化の範囲とは、本実施の形態ではコリメートレンズ4の掃引の範囲に共焦点光学系の光学倍率を乗じたものとなる。
【0059】
(カラー画像の撮像について)
本実施の形態の変位センサでは、計測対象物500の画像を取得する観察画像撮像系OPT−Bが掃引集光部による集光位置変化以上の被写界深度を有するように構成されるため、撮像素子9でカラー画像を取得する場合であっても、波長による結像位置の差を観察画像撮像系OPT−Bの被写界深度で吸収することができる。よって、撮像素子9でカラー画像を撮影しても、カラー画像において計測点周辺画像の鮮明度が低下するという不具合を回避できる。
【0060】
[第2の実施の形態]
図4は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0061】
図1に示した第1の実施の形態の変位センサと比較して、本実施の形態の変位センサでは、コリメートレンズ4の代わりに、対物レンズ6が、振動子7によって、図中両矢印方向に振動されるように構成されている。
【0062】
このように、本発明の変位センサでは、対物レンズ6を通過した光の集光位置を変更させるために、コリメートレンズ4を掃引(振動)させても良いし、対物レンズ6を掃引(振動)させても良い。
【0063】
なお、本実施の形態の変位センサでは、上記したaが対物レンズ6の掃引の振幅以上となるようなφAが求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。
【0064】
[第3の実施の形態]
図5は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0065】
図4に示した第2の実施の形態の変位センサと比較して、本実施の形態の変位センサでは、コリメートレンズ4が省略されている。
【0066】
本発明の変位センサでは、コリメートレンズ4が省略された場合、光源1からの光が対物レンズを通過し、集光される位置が対物レンズ6の被写界深度の中心とならないが、計測対象物500の表面の変位測定および表面画像の取得に際し影響とならない程度に低減可能であると考えられる。
【0067】
したがって、本発明の変位センサは、コリメートレンズ4が省略し、光源1が出射した光を直接対物レンズ6で集光して、計測対象物500の表面の変位測定を行なうように構成されても良い。
【0068】
[第4の実施の形態]
図6(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0069】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5の代わりに、低反射率の透明板51が設けられている。低反射率の透明板51の略中央部分には、図6(B)に示されるように、高反射率領域52が設けられている。高反射率領域52は、たとえば低反射率の透明板51に蒸着されることにより構成される。これにより、計測対象物500上で反射した可視光は、低反射率の透明板51では透過するが、高反射率領域52では反射されて結像レンズ82を介して撮像素子9に送られる。
【0070】
高反射率領域52は、その径を、第1の実施の形態のφAとすればよい。本実施の形態では、高反射率領域52を蒸着等により備えた低反射率の透明板51により、第1の実施の形態におけるビームスプリッタ5と絞り板81の双方の機能が実現される。
【0071】
なお、本実施の形態では、対物レンズ6から高反射率領域52までの距離RS1は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、高反射率領域52から結像レンズ82までの距離RS2は結像レンズ82の前側焦点距離とされ、結像レンズ82から撮像素子9までの距離RS3は結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされる。
【0072】
本実施の形態のように、ビームスプリッタと絞り板が一体として構成されるような変位センサは、絞り板までの距離を短くすることが可能なため、対物レンズ6のNA(開口数)が高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効である。
【0073】
[第5の実施の形態]
図7(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0074】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5の代わりに、ミラー53が設けられている。ミラー53の略中央部分には、図7(B)に示されるように、絞り孔54が形成されている。これにより、計測対象物500上からの反射光は、ミラー53の絞り孔54以外の場所では反射されるが、絞り孔54に到達した計測対象物500上からの反射光は結像レンズ82を介して撮像素子9に送られる。
【0075】
絞り孔54は、その径を、第1の実施の形態のφAとすればよい。本実施の形態では、絞り孔54を形成されたミラー53により、第1の実施の形態におけるビームスプリッタ5と絞り板81の双方の機能が実現される。
【0076】
なお、本実施の形態では、対物レンズ6からミラー53までの距離RT1は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、ミラー53から結像レンズ82までの距離RT2は結像レンズ82の前側焦点距離とされ、結像レンズ82から撮像素子9までの距離RT3は結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされる。
【0077】
本実施の形態のように、ビームスプリッタと絞り板が一体的に構成されるような変位センサは絞り板までの距離を短くすることが可能なため、対物レンズ6のNA(開口数)が高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効である。
【0078】
[第6の実施の形態]
図8(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0079】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5と絞り板81との間に、リレーレンズ83,84が設けられている。本実施の形態では、撮像用光源94の照射光の計測対象物500上の反射光は、対物レンズ6、ビームスプリッタ5、リレーレンズ83、リレーレンズ84、絞り板81(の絞り孔)、結像レンズ82を経て、撮像素子9で結像される。図8(B)に、図8(A)の観察画像撮像系OPT−Bの光路を直線状にした仮想状態を示す。
【0080】
以下、本実施の形態の変位センサにおける観察画像撮像系OPT−Bの詳細な構成を説明する。
【0081】
図8(A)には、本実施の形態の変位センサの観察画像撮像系OPT−Bの各構成要素間の光路長が示されている。具体的には、対物レンズ6とビームスプリッタ5の間の光路長が距離RAで示され、ビームスプリッタ5とリレーレンズ83の間の光路長が距離RBで示され、リレーレンズ83とリレーレンズ84の間の仮想的な光の絞りの存在点の間の光路長が距離RCで示され、当該仮想的な絞りの存在点とリレーレンズ84の間の光路長が距離RDで示され、リレーレンズ84と絞り板81の絞り孔の間の光路長が距離REで示され、絞り板81の絞り孔と結像レンズ82の間の光路長が距離RFで示され、そして、結像レンズ82と撮像素子9の間の光路長が距離RGで示されている。なお、上記した「仮想的な絞りの存在点」とは、対物レンズ6、リレーレンズ83、リレーレンズ84を通過する光の中で、絞り板81の絞り孔を通過することができる光についての、計測対象500からの反射光が対物レンズ6とリレーレンズ8により結像される点を意味する。
【0082】
本実施の形態では、対物レンズ6の焦点距離をf3、リレーレンズ83(第1リレーレンズ)の焦点距離をf4、リレーレンズ84(第2リレーレンズ)の焦点距離をf5、結像レンズ82の焦点距離をf6とする。
【0083】
本実施の形態の変位センサでは、計測対象物500上で反射した光を、結像レンズ82により撮像素子9上で結像させるために、距離RGが、結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされている。
【0084】
また、変位センサでは、計測対象物500上で反射した光を、絞り板81の絞り孔を介して、結像レンズ82に撮像素子9上で結像させるために、距離RFが、結像レンズ82の前側焦点距離とされている。
【0085】
また、変位センサでは、リレーレンズ84を通過した光が絞り板81の絞り孔を通過して結像レンズ82に到達するために、距離REが、リレーレンズ84の後ろ側焦点距離とされている。
【0086】
また、変位センサでは、距離RDがリレーレンズ84の前側焦点距離とされ、距離RCがリレーレンズ83の後ろ側焦点距離とされている。
【0087】
また、変位センサでは、距離RBと距離RAの和は、対物レンズ6の後ろ側焦点距離とリレーレンズ83の前側焦点距離の和と等しくなるように構成されている。
【0088】
次に、絞り板81の絞り孔の径について説明する。
図8(B)では、上記した「仮想的な絞りの存在点」の光束径がφBとして示されており、本実施の形態では、φBは絞り板81の絞り孔の径φAと、次の式(8)の関係にあると考えられる。
【0089】
φB=φA×f4/f5 …(8)
また、本実施の形態においても、図3を参照して説明した第1の実施の形態と同様に、コリメートレンズ4の掃引(振動)により対物レンズ6の合焦位置が変化する。したがって、対物レンズ6の被写界深度をaとし、その前側被写界深度をa1とし、後ろ側被写界深度をa2とした場合(図9参照)、aとa1とa2の関係は、式(1)と同様に式(9)で表すことができる。
【0090】
a=a1+a2 …(9)
また、対物レンズ6の前側被写界深度a1と後ろ側被写界深度a2は、リレーレンズ83についてのF値を用いて、以下の式(10),式(11)のように記載することができる。なお、式(10)および式(11)において、F’はリレーレンズ83についてのF値であり、ε’は、本実施の形態の変位センサにおける許容錯乱円径である。
【0091】
a1=f32・ε’・F’/(f42+f3・ε’・F’) …(10)
a2=f32・ε’・F’/(f42−f3・ε’・F’) …(11)
本実施の形態の変位センサでは、許容錯乱円径ε’は、「仮想的な絞りの存在点」での許容錯乱円として考える。このため、許容錯乱円径ε’は、式(4)を利用して次の式(12)に示すように設定される。
【0092】
【数2】
また、上記のF値(F’)は、次の式(13)で表されるものとなる。なお、式(13)中でφBは、仮想的な絞り孔の開口径である。
【0093】
F’=f4/φB …(13)
そして、式(13)を式(10)および式(11)に代入すると、それぞれ式(14)および式(15)のように書き換えることができる。
【0094】
a1=(f32・ε’・f4/φB)・(f42+f3・ε’・f4/φB) …(14)
a2=(f32・ε’・f4/φB)・(f42−f3・ε’・f4/φB) …(15)
そして、本実施の形態の変位センサでは、aがコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるようなφAが式(14)、式(15)および式(8)から求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。これにより、本実施の形態の変位センサでは、テレセントリック光学系の開口絞りが、当該テレセントリック光学系が掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されることとなる。なお、集光位置の変化の範囲とは、の範囲に共焦点光学系の光学倍率を乗じたものとなる
また、本実施の形態の変位センサでは、リレーレンズ83で一度結像させた後、リレーレンズ84で再びコリメート光にして、絞り孔を通過させて、結像レンズ82により撮像素子9上に結像させているため、対物レンズ6のNAが高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効であるとともに、図6に示したミラー52を用いたような場合に生じ得ると考えられる、当該ミラー52周辺の低反射率の透明板51からの反射光による撮像素子9上のゴーストの発生を回避できる。
【0095】
[第7の実施の形態]
図10に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0096】
本実施の形態では、ビームスプリッタ5は、計測対象物500からの反射光についての光路において、コリメートレンズ4よりも後方に配置されている。
【0097】
本実施の形態では、撮像素子9で取得される画像は、計測対象物500上で反射され、対物レンズ6、コリメートレンズ4、ビームスプリッタ5、リレーレンズ85、絞り板81の絞り孔、結像レンズ82を経て、撮像素子9に導かれた光に基づいて形成される。
【0098】
[第8の実施の形態]
本実施の形態では、変位センサにおいて、光源1の光出射のON/OFF態様および撮像素子9における撮像のON/OFF態様について、説明される。なお、撮像素子9は、たとえばCCD(Charge Coupled Devices)により構成され、撮像のON/OFF態様とは、電荷の蓄積時間に関する態様とすることができる。
【0099】
図11に、本実施の形態の変位センサのブロック構成を示す。図11のブロック構成は、図2に示されたブロック構成とほぼ同様であるが、本実施の形態では、特に、中央処理部100にシャッタ/光源制御部110が設けられている。
【0100】
図12(A)および図12(B)に、振動子7の振動状態の時間変化を模式的に示す。なお、振動子7の振動状態は、コリメートレンズ4の振動状態と同一とする。
【0101】
図12(A)および図12(B)では、振動子7の振幅がXとされ、観察画像撮像系OPT−Bの被写界深度がZとされ、受光素子2による計測対象物500の表面位置の計測が行なわれる振動位置の範囲がYとされている。なお、本実施の形態において、XとYとZの大小関係は図12(A)および図12(B)に示されたものとされるが、これらの相対的な大きさの比については図12に示されたものに限定されない。
【0102】
まず、図12(A)を参照して、振動子7は、周期的に振動される。中央処理部100は、各周期において振動子7の振動位置が範囲Y内にある期間に、光源1を点灯させて受光素子2に受光し、受光量が最大となった振動子7の振動位置における対物レンズ6を通過した光の集光位置に計測対象物500の表面が存在すると判定する。基本的に、当該期間以外の期間では、光源1の点灯はおこなわれない(図12(A)中の「LIGHT_OFF」期間)。
【0103】
中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、基本的に、光源1の点灯が行なわれない期間に、撮像用光源94を点灯し、撮像素子9における電荷の蓄積状態とする。撮像素子9がCCDにより構成される場合には、当該期間以外に蓄積された電荷は捨てられ、当該期間に蓄積された電荷のみの読み取りが行なわれる。
【0104】
なお、中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、各周期中のシャッタ開状態の期間を調整することができる。
【0105】
シャッタ開状態の期間を、図12(B)中に期間C1〜C3に示すように、「LIGHT_OFF」期間のみとした場合および光源1が点灯している期間も含める場合とで変化させた場合の、各期間における撮像素子9の取得画像の変化を図13(A)〜図13(C)に示す。また、図13では、各画像の、矢印で示される線上の受光強度が示されている。なお、期間C1ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間のみとされ、期間C2ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間と光源1点灯する期間とに渡り、期間C3ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間と期間C2より多くの時間光源1が点灯する期間とに渡っている。
【0106】
図13をさらに参照して、図13(B)および図13(C)では、画像の中央部に輝度の高い点が含まれているが、図13(A)の画像中にはそのような輝度の高い点が含まれていない。この輝度の高い点は、光源1から出射された光による、撮像素子9上の集光点に対応する。光源1によるレーザ光照射期間を含む期間C2および期間C3にシャッタ開状態とされて取得された図13(B)および図13(C)の画像では、点P11,点P12として示されるように、このような計測点が計測点周辺画像内に輝度の高い点として含まれる。一方、光源の点灯期間を含まない期間C1にシャッタ開状態とされて取得された図13(A)の画像では、このような計測点に対応する輝度の高い点は含まれない。また、期間C2より長くレーザ光照射期間を含む期間C3にシャッタ開状態とされて取得された図13(C)の画像では、期間C2にシャッタ開状態とされて取得された図13(B)の画像よりも、当該計測点が明確に含まれている(当該計測点に対応する点の輝度が高くなっている)。
【0107】
以上より、本実施の形態の変位センサでは、シャッタ開状態の期間を調整することにより、計測点を、撮像素子9を用いた取得画像に含めるか否か、また、どの程度の輝度(明確さ)で含めるかを調整することができる。
【0108】
具体的には、変位センサでは、たとえば、ユーザが入出力部101に対して、取得画像に計測スポットを含めるか否か、また、どの程度含めるかについての情報を入力すると、当該入力された情報に応じて、中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、光源1の点灯期間とシャッタ開状態とする期間との関係を決定する。
【0109】
[第9の実施の形態]
図14は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【0110】
図14(B)に示される変位センサでは、図14(A)に示される変位センサに対して、対物レンズ6が対物レンズ61に変更されている。なお、それぞれの変位センサにおいて、対物レンズ6はケース60に収納され、対物レンズ61はケース62に収納されている。
【0111】
本実施の形態の変位センサは、対物レンズ6と対物レンズ61のように、複数の対物レンズを交換可能に取り付けて、計測対象物500についての変位測定や画像取得を行なうことができる。
【0112】
対物レンズ6と対物レンズ61とでは、その焦点距離が異なる。
なお、図3等を参照して説明したように、本発明の変位センサでは、撮像素子9を用いた画像の取得に関し、対物レンズからビームスプリッタまでの光路上の距離とビームスプリッタから絞り板の絞り孔までの距離の和(つまり、対物レンズから絞り板の絞り孔までの光路上の距離)が、対物レンズの後ろ側焦点距離とされることが好ましい。
【0113】
そこで、本発明の変位センサでは、対物レンズが、当該対物レンズと焦点距離の異なる別の対物レンズに取り替えられる場合、各対物レンズは、絞り板の絞り孔までの距離が上記した条件を満たすような距離で取り付けられる。
【0114】
つまり、図14(A)の変位センサでは、距離RAと距離RBの和が対物レンズ6の後ろ側焦点距離となる位置に対物レンズ6が取り付けられる。また、図14(B)の変位センサでは、距離RAX(対物レンズ61からビームスプリッタ5までの光路上の距離)と距離RBの和が対物レンズ61の後ろ側焦点距離となる位置に対物レンズ61が取り付けられる。
【0115】
また、本実施の形態の変位センサでは、図15に示されるように、3種類以上の対物レンズが交換可能に、変位センサに用いられることも可能である。
【0116】
図15に示される変位センサでは、対物レンズ6と対物レンズ63と対物レンズ65が、交換可能に用いられる。
【0117】
各対物レンズの取り付け状態では、対物レンズ6から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAと距離RBの和)は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、対物レンズ63から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAYと距離RBの和)は対物レンズ63の後ろ側焦点距離とされ、対物レンズ65から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAZと距離RBの和)は対物レンズ65の後ろ側焦点距離とされる。
【0118】
また、図15に示される変位センサでは、対物レンズ以外の部材が筐体200内に収納されている。そして、対物レンズ6と対物レンズ63と対物レンズ65は、それぞれ、筐体200に対して、上記した距離関係を満たすように取り付け可能なケース60,64,66に収納されている。これにより、変位センサにおいて、容易に、焦点距離の異なる対物レンズの交換が可能となる。
【0119】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態において説明された技術的思想は、可能な限り組み合わされて実現されることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
1 光源、2 受光素子、3 ビームスプリッタ、4 コリメートレンズ、5 ビームスプリッタ、6 対物レンズ、7 振動子、9 撮像素子、10 制御部、21 ハイパスフィルタ回路、22 増幅回路、23 変換回路、24 信号処理部、51 低反射率の透明板、52,53 ミラー、54 孔、60,64,66 ケース、61,63,65 対物レンズ、71 位置検出回路、72 コンパレータ、73 信号処理部、74 駆動コイル、75 駆動回路、76 駆動信号出力部、81 絞り板、82 結像レンズ、83,84,85 リレーレンズ、91 画像計測部、94 撮像用光源、100 中央処理部、101 入出力部、102 記憶部、110 シャッタ/LD制御部、200 筐体、500 計測対象物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で計測対象物体の変位を計測し、かつ、当該計測点周辺の画像を取得する、共焦点光学系を用いた変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の変位センサでは、例えば特許文献1に開示されるように、共焦点光学系を用いた変位センサであって、当該変位センサにより変位を測定する被測定物の画像を取得する撮像素子を備えるものがあった。
【0003】
具体的には、変位センサは、図16に示されるように、被測定物900に光を照射する光源901と、光源901から出射する光の波長と異なる波長の光を、被測定物900に照射する撮像用光源913と、被測定物900からの光源901の反射光および撮像用光源913の反射光が通る対物レンズ906と、対物レンズ906を通った夫々の反射光が入射するビームスプリッタ905と、ビームスプリッタ905で反射した被測定物の表面像を取得する撮像素子909と、被測定物900からの反射光であってビームスプリッタ905を透過した光を受光する受光素子902と、ビームスプリッタ905を透過した光を受光素子902へ導くビームスプリッタ903とを備える。
【0004】
そして、このような変位センサでは、励磁コイルを用いて、対物レンズ906を、所定の振幅で振動させ、受光素子902における受光量が最大となる対物レンズ906の位置で、撮像素子909に画像が取得される。これにより、撮像素子909にて、当該被測定物900表面に集光したときの画像を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3513817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したような従来の変位計では、図16に示したように被測定物900表面に凹凸がある場合、被測定物の表面に集光した時点で撮像素子909で取得された画像は、図17に示されるように、変位計測点以外の高さではピントが合っていない画像となっていた。
【0007】
そして、このような変位センサにおいては、凹凸のある被測定物において計測範囲内で鮮明な画像を用いて計測点を確認できる機能が希望されていた。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、共焦点変位センサによる被測定物において、変位計測点以外の高さにおいても鮮明な画像を取得することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った変位センサは、第1の波長の光を出射する第1の投光部と、第1の波長の光を受光する第1の受光部と、第1の投光部が出射する光を、計測対象物へ向けて集光して照射するとともに、集光される光の光軸方向に沿って当該光の集光位置を連続的に変化させ、さらに、計測対象物上に照射された光の反射光を、第1の投光部から出射される光の光路に対して逆方向に進行させて第1の受光部へ導く掃引集光部とを含み、反射光の光路を、第1の投光部から計測対象物への光路から分離させる第1の光路分離部と受光量が最大となる時点の集光位置から表面変位を求める、共焦点変位計において、第1の波長とは異なる第2の波長の光を計測対象物に照射する第2の投光部と、反射光の光路を介した、第2の波長の光の計測対象物での反射光の光路を分離する第2の光路分離部と、第2の光路分離部によって光路を分離された光を受光する第2の受光部とを備え、第2の受光部は、撮像素子と開口絞りとを含む、テレセントリック光学系であり、開口絞り径は、テレセントリック光学系が、掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されている。
【0010】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、掃引集光部は、第1の投光部が出射する光を計測対象物へ向けて集光して照射する対物レンズと、第1の投光部と対物レンズの間に、第1の投光部から対物レンズへ照射される光を平行光にするために設けられるコリメートレンズとを含み、第2の光路分離部は、対物レンズとコリメートレンズの間に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、第2の光路分離部が、開口絞り径の範囲を照射する第2の波長の光を通過させる開口を有するミラーによって構成され、第2の光路分離部と開口絞りとが一体に構成される。
【0012】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、第2の受光部は、第2の光路分離部と開口絞りとの間に設けられたリレーレンズをさらに備える。
【0013】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、共焦点変位計は、第1の投光部が出射する光を計測対象物へ向けて集光して照射する第1の対物レンズを含み、第2の受光部は、計測対象物における反射光であって、第1の対物レンズを介して開口絞りに送られた光を受光し、第1の対物レンズは、開口絞りまでの計測対象物における反射光の光路長が第1の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられ、第1の対物レンズが、1の対物レンズと後側焦点距離の異なる第2の対物レンズに交換可能に構成され、第1の対物レンズが第2の対物レンズに交換された場合には、第2の対物レンズは、開口絞りまでの計測対象物における反射光の光路長が第2の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられる。
【0014】
また、本発明の変位センサでは、好ましくは、撮像素子を用いて取得された画像に、計測対象物上の第1の投光部からの照射光を含めるか否かを調節する第1の調節部と、撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節する第2の調節部とをさらに備え、第1の調節部および第2の調節部は、撮像素子の蓄積時間と第1の投光部の照射時間と第2の投光部の照射時間とを制御することにより、第1の投光部からの照射光を含めるか否かおよび撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の変位センサでは、掃引集光部によって計測対象物における集光位置が変化した場合であっても、テレセントリック光学系からなる第2の受光部は、当該集光位置が変化する範囲以上の被写界深度を有する。
【0016】
これにより、本発明によれば、第2の受光部の撮像素子において得られる画像は、共焦点変位計による計測点の周辺に凹凸のある被測定物においてもピントが合った画像となる。
【0017】
また、本発明の変位センサでは、第2の受光部により計測点周辺の画像を取得する場合に、当該第2の受光部が掃引集光部により生じる光軸方向の合焦点位置変化以上の被写界深度を有するように構成されるため、計測点周辺の画像を取得する場合に鮮明度があがり、変位センサの計測点位置合わせの時間短縮化を図ることができる。
【0018】
また、第2の受光部が長深度の被写界深度を有するように構成されるため、第2の受光部によるカラー画像を取得する場合であっても、レンズ系の色分散による結像位置の差を吸収することができる。よって、第2の受光部によってカラー画像を取得しても、カラー画像において色によってピントがずれ計測点周辺の画像の鮮明度が低下する不具合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の変位センサの第1の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の変位センサ のブロック構成を示す図である。
【図3】図1の変位センサにおける観察画像撮像系 の詳細な構成を説明するための図である。
【図4】本発明の変位センサの第2の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の変位センサの第3の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の変位センサの第4の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の変位センサの第5の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図8】本発明の変位センサの第6の実施の形態の構成を説明するための図である。
【図9】図8の変位センサにおける絞り板の絞り孔の開口径についての条件を説明するための図である。
【図10】本発明の変位センサの第7の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図11】本発明の変位センサの第8の実施の形態のブロック構成を示す図である。
【図12】図11の変位センサにおける、振動子の振動状態の時間変化を模式的に示す図である。
【図13】図11の変位センサにおいて、シャッタ開状態とする期間を変更した場合の取得画像の変化を説明するための図である。
【図14】本発明の第9の実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【図16】従来の変位センサにおける光学系の構成を模式的に示す図である。
【図17】従来の変位センサにおける取得画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の変位センサの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0021】
[第1の実施の形態]
(変位センサの概略構成について)
図1は、本発明の変位センサの第1の実施の形態の全体構成を模式的に示す図である。
【0022】
図1を参照して、変位センサは、主に、計測対象物500の表面上の変位を計測する共焦点変位計測系OPT−Aと、計測対象物500の画像を取得する観察画像撮像系OPT−Bとから構成される。
【0023】
共焦点変位計測系OPT−Aは、光源1と、コリメートレンズ4と、対物レンズ6と、ビームスプリッタ3と、絞り板31と、受光素子2とを含む。
【0024】
観察画像撮像系OPT−Bは、撮像用光源94と、対物レンズ6と、ビームスプリッタ5と、絞り板81と、結像レンズ82と、撮像素子9とを含む。観察画像撮像系OPT−Bは、テレセントリック光学系である。
【0025】
対物レンズ6は、共焦点変位計システムOPT−Aと観察画像撮像系OPT−Bにおいて共通で用いられる。
【0026】
共焦点変位計システムOPT−Aでは、光源1から出射した光が、コリメートレンズ4で略並行光にされ、対物レンズ6を通って、計測対象物500表面へ照射される。本実施の形態では、対物レンズ6に、コリメートレンズ4で平行光とされた光が入射することから、計測光(光源1から計測対象物500上に照射される光)の集光位置を観察画像撮像系OPT-Bの被写界深度の中心にすることができる。
【0027】
計測対象物500へ照射された光は、当該計測対象物500で反射される。そして、当該反射光の中でビームスプリッタ5を通過した光は、対物レンズ6、コリメートレンズ4を通過し、ビームスプリッタ3で反射され、絞り板2に設けられた絞り孔を介して受光素子2へ送られる。
【0028】
ビームスプリッタ5は、たとえば、光源1から出射される波長付近の光を通過させ、その他の可視光の波長を反射させるダイクロイックミラーでもよい。ビームスプリッタ3は、ビームスプリッタ5を通過してきた光源1から出射される波長付近の光を反射して、受光素子2に送る。
【0029】
観察画像撮像系OPT−Bでは、撮像用光源94からの光は、計測対象物500上で反射され、対物レンズ6を通過しビームスプリッタ5で反射されて絞り板81に形成された絞り孔を介して結像レンズ82に送られ、当該結像レンズ82により撮像素子9上で結像される。
【0030】
図1では、撮像用光源94からの反射光の一部が模式的に示されている。これらの反射光に関し、計測対象物500上の反射点の中の3点が点P51〜P53として示されている。そして、当該反射点における反射光は、それぞれ、絞り板81の絞り孔を介して結像レンズ82を通り、結像レンズ82により撮像素子9上に点Q51〜Q53として結像される。
【0031】
また、図1では、光源1から計測対象物500までの光軸が一点鎖線で模式的に示されている。
【0032】
本実施の形態の変位センサでは、測定が行なわれている間、コリメートレンズ4は、振動子7により、光軸方向に、つまり図1の振動子7上の両矢印に示す方向に、位置を変化させることにより光軸方向に光源1からに光の集光位置を変化させる。また計測対象物からの反射光を、受光素子2において受光している。変位センサは、振動子7を図1中の両矢印方向に振動させるための、駆動コイル(後述する駆動コイル74)等の部材を含む。
【0033】
コリメートレンズ4は、振動子7の振動に応じて、計測対象物500に接近する方向および遠ざかる方向に移動する。位置検出手段71は、コリメートレンズ4の振動中の位置を検出する。信号処理部73は、たとえばこのような位置検出手段からの信号を適宜処理することにより、コリメートレンズ4の位置を算出する。
【0034】
本実施の形態の変位センサでは、光源1により第1の投光部が構成され、受光素子2により第1の受光部が構成される。また、本実施の形態の変位センサでは、対物レンズ6、コリメートレンズ4および振動子7により掃引集光部が構成される。
【0035】
また、本実施の形態の変位センサでは、撮像用光源94により第2の投光部が構成され、撮像素子9により第2の受光部が構成される。
【0036】
そして、本実施の形態の変位センサでは、ビームスプリッタ3により第1の光路分離部が構成され、ビームスプリッタ5により第2の光路分離部が構成される。
【0037】
(変位センサのブロック構成)
図2は、図1の変位センサのブロック構成を示す図である。
【0038】
変位センサは、上記した構成要素の他に、変位センサの動作を全体的に制御する中央処理部100を含み、さらに、光源制御部10、信号処理部73、増幅回路22、AD(Analog to Digital)変換回路23、信号処理部24、駆動回路75、駆動信号出力部76、を含む。これらの構成要素は、それぞれ、専用のハードウェア資源で実現されても良いし、変位センサが有するCPU(Central Processing Unit)が、当該変位センサに備えられた記録装置に記録されたプログラムを実行することにより実現されても良い。また、変位センサはキーボード等の入力デバイスおよびモニタ等の出力デバイスからなる入出力部101と、記録装置から成る記憶部102を含む。
【0039】
変位センサでは、駆動コイル74によりコリメートレンズ4が図1の両矢印方向に振動すると、光源1とコリメートレンズ4の距離が変化する。光源1とコリメートレンズ4の間隔が、コリメートレンズ4の焦点距離と等しい場合にはコリメートレンズ4から対物レンズ6へは平行光が送られ、それ以外の間隔にある場合にはコリメートレンズ4から対物レンズ6へ送られる光は拡散光または収束光となる。これにより、光源1とコリメートレンズ4の間隔によって、対物レンズ6から計測対象物500に対して照射される光の対物レンズ6からの集光位置までの間隔も異なる。変位センサでは、当該集光位置が、計測対象物500表面が存在すると想定される高さ位置を含む位置で、距離a(図2参照)を含む範囲で移動するように、中央処理部100は、コリメートレンズ4を振動させる。
【0040】
変位センサでは、駆動コイル74は、駆動回路75によって通電される。駆動回路75の通電態様は、駆動信号出力部76によって制御される。中央処理部100は、駆動信号出力部76の動作を制御することにより、コリメートレンズ4の振動態様を制御する。
【0041】
変位センサでは、位置検出回路71からの信号が信号処理部73に入力される。中央処理部100は、信号処理部73からの信号に基づいて、コリメートレンズ4の振動中の位置を得る。
【0042】
変位センサでは、中央処理部100は、光源制御部10を介して、光源1の光の照射のON/OFF等の動作を制御する。
【0043】
中央処理部100は、信号処理部73からの信号に基づいて得られたコリメートレンズ4の振動中の位置が、上記した距離aの範囲にあるときに、受光素子2で検出した受光信号から計測対象物体の変位を演算する。受光素子2で得られた受光信号は、増幅回路22で増幅され、AD変換回路23でデジタル信号に変換された後、信号処理部24で適宜処理されて、中央処理部100へと入力される。
【0044】
撮像素子9で取得された画像は中央処理部100に出力される。
変位センサでは、ユーザは、入出力部101を介して、測定条件等の情報を入力できる。また、変位センサは中央処理部100が実行するプログラム等のデータが記憶部102に記憶される。
【0045】
(観察画像撮像系の構成)
次に、図3(A)〜図3(C)を参照して、変位センサにおける観察画像撮像系OPT−Bの詳細な構成を説明する。
【0046】
図3(A)には、図1に示された観察画像撮像系OPT−Bの各構成要素間の光路上の距離が示されている。具体的には、対物レンズ6の主点とビームスプリッタ5の間の光路長が距離RAで示され、ビームスプリッタ5と絞り板81の絞り孔の間の光路長が距離RBで示され、絞り板81の絞り孔と結像レンズ82の間の光路長が距離RCで示され、結像レンズ82と撮像素子9の間の光路長が距離RDで示されている。
【0047】
変位センサにおける、これらの距離の条件について、以下説明する。
変位センサでは、テレセントリック光学系であるため、計測対象物500上で反射した光のうち略コリメート成分の光のみが撮像素子9上で結像される。このため、絞り板81の絞り孔の位置は、計測対象物500上で反射した略コリメート光が集光される対物レンズ82の後ろ側焦点位置となる。よって、距離RAと距離RBの和は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされている。
【0048】
変位センサでは、テレセントリック光学系であるため、計測対象物500で反射した光が、対物レンズ6と絞り板81を経て結像レンズ82により、略コリメート成分がセンサ9上に結像される。このため、結像レンズ82は絞り板81を通過した光を略コリメート成分にするために、絞り板81が結像レンズ82の前側焦点距離になる位置に配置される。よって、距離RCは結像レンズ82の前側焦点距離となる。
【0049】
変位センサでは、計測対象物500上で反射した光のうち略コリメート光が、対物レンズ6と絞り板81を経て結像レンズ82により、略コリメート光でセンサ9上に結像される。このため、撮像素子9は、結像レンズ82で略コリメート光が結像される結像レンズ82の後ろ側焦点位置に配置される。よって、距離RDは結像レンズ82の後ろ側焦点距離となる。
【0050】
次に、絞り板81の絞り孔の径について説明する。
図3(B)に、図3(A)の観察画像撮像系OPT−Bの光路を直線状にした仮想状態を示す。図3(B)において、点PA2は、計測対象物500上の反射点を模式的に示し、また、点PA2での反射光が絞り板81の絞り孔を通って撮像素子9上で結像する点が点PB2で示されている。また、点PA1,点PA3における反射光が絞り板81の絞り孔を通って撮像素子9上で結像する点が点PB1,点PB3で示されている。さらに、図3(B)では、f1は対物レンズ6の焦点距離であり、f2は結像レンズ82の焦点距離である。
【0051】
本実施の形態の変位センサにおいて、コリメートレンズ4の掃引(振動)により対物レンズ6から照射される光の集光位置が変化する。この場合、対物レンズ6から照射される光の集光位置が、計測対象物500の表面上を含み、かつ、対物レンズ6の被写界深度以内で変化するように、観察画像撮像系OPT−Bが設計されていれば、コリメートレンズ4が掃引されている期間中に取得された画像は、鮮明なものとなる。
【0052】
なお、対物レンズ6の被写界深度をaとし、その前側被写界深度をa1とし、後ろ側被写界深度をa2とした場合、aとa1とa2の関係は、式(1)で表すことができる。
【0053】
a=a1+a2 …(1)
なお、対物レンズ6の前側被写界深度a1と後ろ側被写界深度a2は、結像レンズ82の撮像素子9の結像面を基準とした場合の前側被写界深度と後ろ側被写界深度に基づき、また、結像レンズ82についてのF値を用いて、以下の式(2),式(3)のように記載することができる。
【0054】
a1=f12・ε・F/(f22+f1・ε・F) …(2)
a2=f12・ε・F/(f22−f1・ε・F) …(3)
式(2)および式(3)において、εは、視覚センサとして機能する変位センサにおける許容錯乱円径である。
【0055】
なお、本実施の形態の変位センサでは、許容錯乱円径εは、撮像素子9のセンサ画素のピッチをPとした場合、図3(C)に示すように、画素ピッチPの2倍の範囲内まではピントがあっていると認識できるように設定される。つまり、次の式(4)に示すように設定される。
【0056】
【数1】
また、F値は、一般に、「(レンズの焦点距離)/(レンズの直径)」で表されるが、本実施の形態では、絞り板81の絞り孔(開口)を通った光のみが結像レンズ82を介して撮像素子9上で結像される場合を考えるので、式(2)および式(3)中のF値は、次の式(5)で表されるものとなる。なお、式(5)中でφAは、上記絞り孔の開口径である。
【0057】
F=f2/φA …(5)
そして、式(5)を式(2)および式(3)に代入すると、それぞれ式(6)および式(7)のように書き換えることができる。
【0058】
a1=(f12・ε・f2/φA)・(f22+f1・ε・f2/φA) …(6)
a2=(f12・ε・f2/φA)・(f22−f1・ε・f2/φA) …(7)
そして、本実施の形態の変位センサでは、aがコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるようなφAが求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。これにより、本実施の形態の変位センサでは、テレセントリック光学系の開口絞りが、当該テレセントリック光学系が掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されることとなる。なお、集光位置の変化の範囲とは、本実施の形態ではコリメートレンズ4の掃引の範囲に共焦点光学系の光学倍率を乗じたものとなる。
【0059】
(カラー画像の撮像について)
本実施の形態の変位センサでは、計測対象物500の画像を取得する観察画像撮像系OPT−Bが掃引集光部による集光位置変化以上の被写界深度を有するように構成されるため、撮像素子9でカラー画像を取得する場合であっても、波長による結像位置の差を観察画像撮像系OPT−Bの被写界深度で吸収することができる。よって、撮像素子9でカラー画像を撮影しても、カラー画像において計測点周辺画像の鮮明度が低下するという不具合を回避できる。
【0060】
[第2の実施の形態]
図4は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0061】
図1に示した第1の実施の形態の変位センサと比較して、本実施の形態の変位センサでは、コリメートレンズ4の代わりに、対物レンズ6が、振動子7によって、図中両矢印方向に振動されるように構成されている。
【0062】
このように、本発明の変位センサでは、対物レンズ6を通過した光の集光位置を変更させるために、コリメートレンズ4を掃引(振動)させても良いし、対物レンズ6を掃引(振動)させても良い。
【0063】
なお、本実施の形態の変位センサでは、上記したaが対物レンズ6の掃引の振幅以上となるようなφAが求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。
【0064】
[第3の実施の形態]
図5は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0065】
図4に示した第2の実施の形態の変位センサと比較して、本実施の形態の変位センサでは、コリメートレンズ4が省略されている。
【0066】
本発明の変位センサでは、コリメートレンズ4が省略された場合、光源1からの光が対物レンズを通過し、集光される位置が対物レンズ6の被写界深度の中心とならないが、計測対象物500の表面の変位測定および表面画像の取得に際し影響とならない程度に低減可能であると考えられる。
【0067】
したがって、本発明の変位センサは、コリメートレンズ4が省略し、光源1が出射した光を直接対物レンズ6で集光して、計測対象物500の表面の変位測定を行なうように構成されても良い。
【0068】
[第4の実施の形態]
図6(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0069】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5の代わりに、低反射率の透明板51が設けられている。低反射率の透明板51の略中央部分には、図6(B)に示されるように、高反射率領域52が設けられている。高反射率領域52は、たとえば低反射率の透明板51に蒸着されることにより構成される。これにより、計測対象物500上で反射した可視光は、低反射率の透明板51では透過するが、高反射率領域52では反射されて結像レンズ82を介して撮像素子9に送られる。
【0070】
高反射率領域52は、その径を、第1の実施の形態のφAとすればよい。本実施の形態では、高反射率領域52を蒸着等により備えた低反射率の透明板51により、第1の実施の形態におけるビームスプリッタ5と絞り板81の双方の機能が実現される。
【0071】
なお、本実施の形態では、対物レンズ6から高反射率領域52までの距離RS1は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、高反射率領域52から結像レンズ82までの距離RS2は結像レンズ82の前側焦点距離とされ、結像レンズ82から撮像素子9までの距離RS3は結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされる。
【0072】
本実施の形態のように、ビームスプリッタと絞り板が一体として構成されるような変位センサは、絞り板までの距離を短くすることが可能なため、対物レンズ6のNA(開口数)が高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効である。
【0073】
[第5の実施の形態]
図7(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0074】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5の代わりに、ミラー53が設けられている。ミラー53の略中央部分には、図7(B)に示されるように、絞り孔54が形成されている。これにより、計測対象物500上からの反射光は、ミラー53の絞り孔54以外の場所では反射されるが、絞り孔54に到達した計測対象物500上からの反射光は結像レンズ82を介して撮像素子9に送られる。
【0075】
絞り孔54は、その径を、第1の実施の形態のφAとすればよい。本実施の形態では、絞り孔54を形成されたミラー53により、第1の実施の形態におけるビームスプリッタ5と絞り板81の双方の機能が実現される。
【0076】
なお、本実施の形態では、対物レンズ6からミラー53までの距離RT1は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、ミラー53から結像レンズ82までの距離RT2は結像レンズ82の前側焦点距離とされ、結像レンズ82から撮像素子9までの距離RT3は結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされる。
【0077】
本実施の形態のように、ビームスプリッタと絞り板が一体的に構成されるような変位センサは絞り板までの距離を短くすることが可能なため、対物レンズ6のNA(開口数)が高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効である。
【0078】
[第6の実施の形態]
図8(A)に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0079】
本実施の形態では、図1等に記載の第1の実施の形態と比較して、ビームスプリッタ5と絞り板81との間に、リレーレンズ83,84が設けられている。本実施の形態では、撮像用光源94の照射光の計測対象物500上の反射光は、対物レンズ6、ビームスプリッタ5、リレーレンズ83、リレーレンズ84、絞り板81(の絞り孔)、結像レンズ82を経て、撮像素子9で結像される。図8(B)に、図8(A)の観察画像撮像系OPT−Bの光路を直線状にした仮想状態を示す。
【0080】
以下、本実施の形態の変位センサにおける観察画像撮像系OPT−Bの詳細な構成を説明する。
【0081】
図8(A)には、本実施の形態の変位センサの観察画像撮像系OPT−Bの各構成要素間の光路長が示されている。具体的には、対物レンズ6とビームスプリッタ5の間の光路長が距離RAで示され、ビームスプリッタ5とリレーレンズ83の間の光路長が距離RBで示され、リレーレンズ83とリレーレンズ84の間の仮想的な光の絞りの存在点の間の光路長が距離RCで示され、当該仮想的な絞りの存在点とリレーレンズ84の間の光路長が距離RDで示され、リレーレンズ84と絞り板81の絞り孔の間の光路長が距離REで示され、絞り板81の絞り孔と結像レンズ82の間の光路長が距離RFで示され、そして、結像レンズ82と撮像素子9の間の光路長が距離RGで示されている。なお、上記した「仮想的な絞りの存在点」とは、対物レンズ6、リレーレンズ83、リレーレンズ84を通過する光の中で、絞り板81の絞り孔を通過することができる光についての、計測対象500からの反射光が対物レンズ6とリレーレンズ8により結像される点を意味する。
【0082】
本実施の形態では、対物レンズ6の焦点距離をf3、リレーレンズ83(第1リレーレンズ)の焦点距離をf4、リレーレンズ84(第2リレーレンズ)の焦点距離をf5、結像レンズ82の焦点距離をf6とする。
【0083】
本実施の形態の変位センサでは、計測対象物500上で反射した光を、結像レンズ82により撮像素子9上で結像させるために、距離RGが、結像レンズ82の後ろ側焦点距離とされている。
【0084】
また、変位センサでは、計測対象物500上で反射した光を、絞り板81の絞り孔を介して、結像レンズ82に撮像素子9上で結像させるために、距離RFが、結像レンズ82の前側焦点距離とされている。
【0085】
また、変位センサでは、リレーレンズ84を通過した光が絞り板81の絞り孔を通過して結像レンズ82に到達するために、距離REが、リレーレンズ84の後ろ側焦点距離とされている。
【0086】
また、変位センサでは、距離RDがリレーレンズ84の前側焦点距離とされ、距離RCがリレーレンズ83の後ろ側焦点距離とされている。
【0087】
また、変位センサでは、距離RBと距離RAの和は、対物レンズ6の後ろ側焦点距離とリレーレンズ83の前側焦点距離の和と等しくなるように構成されている。
【0088】
次に、絞り板81の絞り孔の径について説明する。
図8(B)では、上記した「仮想的な絞りの存在点」の光束径がφBとして示されており、本実施の形態では、φBは絞り板81の絞り孔の径φAと、次の式(8)の関係にあると考えられる。
【0089】
φB=φA×f4/f5 …(8)
また、本実施の形態においても、図3を参照して説明した第1の実施の形態と同様に、コリメートレンズ4の掃引(振動)により対物レンズ6の合焦位置が変化する。したがって、対物レンズ6の被写界深度をaとし、その前側被写界深度をa1とし、後ろ側被写界深度をa2とした場合(図9参照)、aとa1とa2の関係は、式(1)と同様に式(9)で表すことができる。
【0090】
a=a1+a2 …(9)
また、対物レンズ6の前側被写界深度a1と後ろ側被写界深度a2は、リレーレンズ83についてのF値を用いて、以下の式(10),式(11)のように記載することができる。なお、式(10)および式(11)において、F’はリレーレンズ83についてのF値であり、ε’は、本実施の形態の変位センサにおける許容錯乱円径である。
【0091】
a1=f32・ε’・F’/(f42+f3・ε’・F’) …(10)
a2=f32・ε’・F’/(f42−f3・ε’・F’) …(11)
本実施の形態の変位センサでは、許容錯乱円径ε’は、「仮想的な絞りの存在点」での許容錯乱円として考える。このため、許容錯乱円径ε’は、式(4)を利用して次の式(12)に示すように設定される。
【0092】
【数2】
また、上記のF値(F’)は、次の式(13)で表されるものとなる。なお、式(13)中でφBは、仮想的な絞り孔の開口径である。
【0093】
F’=f4/φB …(13)
そして、式(13)を式(10)および式(11)に代入すると、それぞれ式(14)および式(15)のように書き換えることができる。
【0094】
a1=(f32・ε’・f4/φB)・(f42+f3・ε’・f4/φB) …(14)
a2=(f32・ε’・f4/φB)・(f42−f3・ε’・f4/φB) …(15)
そして、本実施の形態の変位センサでは、aがコリメートレンズ4の掃引の振幅以上となるようなφAが式(14)、式(15)および式(8)から求められ、絞り板81の絞り孔の径として設定される。これにより、本実施の形態の変位センサでは、テレセントリック光学系の開口絞りが、当該テレセントリック光学系が掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されることとなる。なお、集光位置の変化の範囲とは、の範囲に共焦点光学系の光学倍率を乗じたものとなる
また、本実施の形態の変位センサでは、リレーレンズ83で一度結像させた後、リレーレンズ84で再びコリメート光にして、絞り孔を通過させて、結像レンズ82により撮像素子9上に結像させているため、対物レンズ6のNAが高い場合等、対物レンズ6の後ろ側焦点距離が短い場合に特に有効であるとともに、図6に示したミラー52を用いたような場合に生じ得ると考えられる、当該ミラー52周辺の低反射率の透明板51からの反射光による撮像素子9上のゴーストの発生を回避できる。
【0095】
[第7の実施の形態]
図10に、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す。
【0096】
本実施の形態では、ビームスプリッタ5は、計測対象物500からの反射光についての光路において、コリメートレンズ4よりも後方に配置されている。
【0097】
本実施の形態では、撮像素子9で取得される画像は、計測対象物500上で反射され、対物レンズ6、コリメートレンズ4、ビームスプリッタ5、リレーレンズ85、絞り板81の絞り孔、結像レンズ82を経て、撮像素子9に導かれた光に基づいて形成される。
【0098】
[第8の実施の形態]
本実施の形態では、変位センサにおいて、光源1の光出射のON/OFF態様および撮像素子9における撮像のON/OFF態様について、説明される。なお、撮像素子9は、たとえばCCD(Charge Coupled Devices)により構成され、撮像のON/OFF態様とは、電荷の蓄積時間に関する態様とすることができる。
【0099】
図11に、本実施の形態の変位センサのブロック構成を示す。図11のブロック構成は、図2に示されたブロック構成とほぼ同様であるが、本実施の形態では、特に、中央処理部100にシャッタ/光源制御部110が設けられている。
【0100】
図12(A)および図12(B)に、振動子7の振動状態の時間変化を模式的に示す。なお、振動子7の振動状態は、コリメートレンズ4の振動状態と同一とする。
【0101】
図12(A)および図12(B)では、振動子7の振幅がXとされ、観察画像撮像系OPT−Bの被写界深度がZとされ、受光素子2による計測対象物500の表面位置の計測が行なわれる振動位置の範囲がYとされている。なお、本実施の形態において、XとYとZの大小関係は図12(A)および図12(B)に示されたものとされるが、これらの相対的な大きさの比については図12に示されたものに限定されない。
【0102】
まず、図12(A)を参照して、振動子7は、周期的に振動される。中央処理部100は、各周期において振動子7の振動位置が範囲Y内にある期間に、光源1を点灯させて受光素子2に受光し、受光量が最大となった振動子7の振動位置における対物レンズ6を通過した光の集光位置に計測対象物500の表面が存在すると判定する。基本的に、当該期間以外の期間では、光源1の点灯はおこなわれない(図12(A)中の「LIGHT_OFF」期間)。
【0103】
中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、基本的に、光源1の点灯が行なわれない期間に、撮像用光源94を点灯し、撮像素子9における電荷の蓄積状態とする。撮像素子9がCCDにより構成される場合には、当該期間以外に蓄積された電荷は捨てられ、当該期間に蓄積された電荷のみの読み取りが行なわれる。
【0104】
なお、中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、各周期中のシャッタ開状態の期間を調整することができる。
【0105】
シャッタ開状態の期間を、図12(B)中に期間C1〜C3に示すように、「LIGHT_OFF」期間のみとした場合および光源1が点灯している期間も含める場合とで変化させた場合の、各期間における撮像素子9の取得画像の変化を図13(A)〜図13(C)に示す。また、図13では、各画像の、矢印で示される線上の受光強度が示されている。なお、期間C1ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間のみとされ、期間C2ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間と光源1点灯する期間とに渡り、期間C3ではシャッタ開状態が「LIGHT_OFF」期間と期間C2より多くの時間光源1が点灯する期間とに渡っている。
【0106】
図13をさらに参照して、図13(B)および図13(C)では、画像の中央部に輝度の高い点が含まれているが、図13(A)の画像中にはそのような輝度の高い点が含まれていない。この輝度の高い点は、光源1から出射された光による、撮像素子9上の集光点に対応する。光源1によるレーザ光照射期間を含む期間C2および期間C3にシャッタ開状態とされて取得された図13(B)および図13(C)の画像では、点P11,点P12として示されるように、このような計測点が計測点周辺画像内に輝度の高い点として含まれる。一方、光源の点灯期間を含まない期間C1にシャッタ開状態とされて取得された図13(A)の画像では、このような計測点に対応する輝度の高い点は含まれない。また、期間C2より長くレーザ光照射期間を含む期間C3にシャッタ開状態とされて取得された図13(C)の画像では、期間C2にシャッタ開状態とされて取得された図13(B)の画像よりも、当該計測点が明確に含まれている(当該計測点に対応する点の輝度が高くなっている)。
【0107】
以上より、本実施の形態の変位センサでは、シャッタ開状態の期間を調整することにより、計測点を、撮像素子9を用いた取得画像に含めるか否か、また、どの程度の輝度(明確さ)で含めるかを調整することができる。
【0108】
具体的には、変位センサでは、たとえば、ユーザが入出力部101に対して、取得画像に計測スポットを含めるか否か、また、どの程度含めるかについての情報を入力すると、当該入力された情報に応じて、中央処理部100のシャッタ/光源制御部110は、光源1の点灯期間とシャッタ開状態とする期間との関係を決定する。
【0109】
[第9の実施の形態]
図14は、本実施の形態の変位センサの全体構成を模式的に示す図である。
【0110】
図14(B)に示される変位センサでは、図14(A)に示される変位センサに対して、対物レンズ6が対物レンズ61に変更されている。なお、それぞれの変位センサにおいて、対物レンズ6はケース60に収納され、対物レンズ61はケース62に収納されている。
【0111】
本実施の形態の変位センサは、対物レンズ6と対物レンズ61のように、複数の対物レンズを交換可能に取り付けて、計測対象物500についての変位測定や画像取得を行なうことができる。
【0112】
対物レンズ6と対物レンズ61とでは、その焦点距離が異なる。
なお、図3等を参照して説明したように、本発明の変位センサでは、撮像素子9を用いた画像の取得に関し、対物レンズからビームスプリッタまでの光路上の距離とビームスプリッタから絞り板の絞り孔までの距離の和(つまり、対物レンズから絞り板の絞り孔までの光路上の距離)が、対物レンズの後ろ側焦点距離とされることが好ましい。
【0113】
そこで、本発明の変位センサでは、対物レンズが、当該対物レンズと焦点距離の異なる別の対物レンズに取り替えられる場合、各対物レンズは、絞り板の絞り孔までの距離が上記した条件を満たすような距離で取り付けられる。
【0114】
つまり、図14(A)の変位センサでは、距離RAと距離RBの和が対物レンズ6の後ろ側焦点距離となる位置に対物レンズ6が取り付けられる。また、図14(B)の変位センサでは、距離RAX(対物レンズ61からビームスプリッタ5までの光路上の距離)と距離RBの和が対物レンズ61の後ろ側焦点距離となる位置に対物レンズ61が取り付けられる。
【0115】
また、本実施の形態の変位センサでは、図15に示されるように、3種類以上の対物レンズが交換可能に、変位センサに用いられることも可能である。
【0116】
図15に示される変位センサでは、対物レンズ6と対物レンズ63と対物レンズ65が、交換可能に用いられる。
【0117】
各対物レンズの取り付け状態では、対物レンズ6から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAと距離RBの和)は対物レンズ6の後ろ側焦点距離とされ、対物レンズ63から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAYと距離RBの和)は対物レンズ63の後ろ側焦点距離とされ、対物レンズ65から上記絞り孔までの光路上の距離(距離RAZと距離RBの和)は対物レンズ65の後ろ側焦点距離とされる。
【0118】
また、図15に示される変位センサでは、対物レンズ以外の部材が筐体200内に収納されている。そして、対物レンズ6と対物レンズ63と対物レンズ65は、それぞれ、筐体200に対して、上記した距離関係を満たすように取り付け可能なケース60,64,66に収納されている。これにより、変位センサにおいて、容易に、焦点距離の異なる対物レンズの交換が可能となる。
【0119】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態において説明された技術的思想は、可能な限り組み合わされて実現されることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
1 光源、2 受光素子、3 ビームスプリッタ、4 コリメートレンズ、5 ビームスプリッタ、6 対物レンズ、7 振動子、9 撮像素子、10 制御部、21 ハイパスフィルタ回路、22 増幅回路、23 変換回路、24 信号処理部、51 低反射率の透明板、52,53 ミラー、54 孔、60,64,66 ケース、61,63,65 対物レンズ、71 位置検出回路、72 コンパレータ、73 信号処理部、74 駆動コイル、75 駆動回路、76 駆動信号出力部、81 絞り板、82 結像レンズ、83,84,85 リレーレンズ、91 画像計測部、94 撮像用光源、100 中央処理部、101 入出力部、102 記憶部、110 シャッタ/LD制御部、200 筐体、500 計測対象物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長の光を出射する第1の投光部と、
前記第1の波長の光を受光する第1の受光部と、
前記第1の投光部が出射する光を、計測対象物へ向けて集光して照射するとともに、集光される光の光軸方向に沿って当該光の集光位置を連続的に変化させ、さらに、前記計測対象物上に照射された光の反射光を、前記第1の投光部から出射される光の光路に対して逆方向に進行させて前記第1の受光部へ導く掃引集光部とを含み、
前記反射光の光路を、前記第1の投光部から前記計測対象物への光路から分離させる第1の光路分離部と受光量が最大となる時点の集光位置から表面変位を求める、共焦点変位計において、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を前記計測対象物に照射する第2の投光部と、
前記反射光の光路を介した、前記第2の波長の光の前記計測対象物での反射光の光路を分離する第2の光路分離部と、
前記第2の光路分離部によって光路を分離された光を受光する第2の受光部とを備え、
前記第2の受光部は、撮像素子と開口絞りとを含む、テレセントリック光学系であり、
前記開口絞り径は、前記テレセントリック光学系が、前記掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されている、変位センサ。
【請求項2】
前記掃引集光部は、
前記第1の投光部が出射する光を前記計測対象物へ向けて集光して照射する対物レンズと、
前記第1の投光部と前記対物レンズの間に、前記第1の投光部から前記対物レンズへ照射される光を平行光にするために設けられるコリメートレンズとを含み、
前記第2の光路分離部は、前記対物レンズと前記コリメートレンズの間に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項3】
前記第2の光路分離部が、前記開口絞り径の範囲を照射する前記第2の波長の光を通過させる開口を有するミラーによって構成され、前記第2の光路分離部と前記開口絞りとが一体に構成される、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項4】
前記第2の受光部は、前記第2の光路分離部と前記開口絞りとの間に設けられたリレーレンズをさらに備える、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項5】
前記共焦点変位計は、前記第1の投光部が出射する光を前記計測対象物へ向けて集光して照射する第1の対物レンズを含み、
前記第2の受光部は、前記計測対象物における反射光であって、前記第1の対物レンズを介して前記開口絞りに送られた光を受光し、
前記第1の対物レンズは、前記開口絞りまでの前記計測対象物における反射光の光路長が前記第1の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられ、
前記第1の対物レンズが、前記1の対物レンズと後側焦点距離の異なる第2の対物レンズに交換可能に構成され、
前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズに交換された場合には、前記第2の対物レンズは、前記開口絞りまでの前記計測対象物における反射光の光路長が前記第2の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられる、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の変位センサ。
【請求項6】
前記撮像素子を用いて取得された画像に、前記計測対象物上の前記第1の投光部からの照射光を含めるか否かを調節する第1の調節部と、
前記撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節する第2の調節部とをさらに備え、
前記第1の調節部および前記第2の調節部は、撮像素子の蓄積時間と第1の投光部の照射時間と第2の投光部の照射時間とを制御することにより、前記第1の投光部からの照射光を含めるか否かおよび前記撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の変位センサ。
【請求項1】
第1の波長の光を出射する第1の投光部と、
前記第1の波長の光を受光する第1の受光部と、
前記第1の投光部が出射する光を、計測対象物へ向けて集光して照射するとともに、集光される光の光軸方向に沿って当該光の集光位置を連続的に変化させ、さらに、前記計測対象物上に照射された光の反射光を、前記第1の投光部から出射される光の光路に対して逆方向に進行させて前記第1の受光部へ導く掃引集光部とを含み、
前記反射光の光路を、前記第1の投光部から前記計測対象物への光路から分離させる第1の光路分離部と受光量が最大となる時点の集光位置から表面変位を求める、共焦点変位計において、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を前記計測対象物に照射する第2の投光部と、
前記反射光の光路を介した、前記第2の波長の光の前記計測対象物での反射光の光路を分離する第2の光路分離部と、
前記第2の光路分離部によって光路を分離された光を受光する第2の受光部とを備え、
前記第2の受光部は、撮像素子と開口絞りとを含む、テレセントリック光学系であり、
前記開口絞り径は、前記テレセントリック光学系が、前記掃引集光部による集光位置の変化の範囲以上の被写界深度を有するように設計されている、変位センサ。
【請求項2】
前記掃引集光部は、
前記第1の投光部が出射する光を前記計測対象物へ向けて集光して照射する対物レンズと、
前記第1の投光部と前記対物レンズの間に、前記第1の投光部から前記対物レンズへ照射される光を平行光にするために設けられるコリメートレンズとを含み、
前記第2の光路分離部は、前記対物レンズと前記コリメートレンズの間に設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項3】
前記第2の光路分離部が、前記開口絞り径の範囲を照射する前記第2の波長の光を通過させる開口を有するミラーによって構成され、前記第2の光路分離部と前記開口絞りとが一体に構成される、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項4】
前記第2の受光部は、前記第2の光路分離部と前記開口絞りとの間に設けられたリレーレンズをさらに備える、請求項1に記載の変位センサ。
【請求項5】
前記共焦点変位計は、前記第1の投光部が出射する光を前記計測対象物へ向けて集光して照射する第1の対物レンズを含み、
前記第2の受光部は、前記計測対象物における反射光であって、前記第1の対物レンズを介して前記開口絞りに送られた光を受光し、
前記第1の対物レンズは、前記開口絞りまでの前記計測対象物における反射光の光路長が前記第1の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられ、
前記第1の対物レンズが、前記1の対物レンズと後側焦点距離の異なる第2の対物レンズに交換可能に構成され、
前記第1の対物レンズが前記第2の対物レンズに交換された場合には、前記第2の対物レンズは、前記開口絞りまでの前記計測対象物における反射光の光路長が前記第2の対物レンズの後側焦点距離となる位置に取り付けられる、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の変位センサ。
【請求項6】
前記撮像素子を用いて取得された画像に、前記計測対象物上の前記第1の投光部からの照射光を含めるか否かを調節する第1の調節部と、
前記撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節する第2の調節部とをさらに備え、
前記第1の調節部および前記第2の調節部は、撮像素子の蓄積時間と第1の投光部の照射時間と第2の投光部の照射時間とを制御することにより、前記第1の投光部からの照射光を含めるか否かおよび前記撮像素子を用いて取得された画像の明るさを調節することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の変位センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図17】
【公開番号】特開2010−216873(P2010−216873A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61636(P2009−61636)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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