説明

変位/ひずみ計測方法及び変位/ひずみ計測装置

【課題】より簡易に且つ高精度に計測できる変形/ひずみ計測方法及びその計測装置を提供する。
【解決手段】被測定物2の表面2Aに密着もしくは近接させたラインスキャナ装置3により撮像した被測定物表面2Aの画像を取り込み、被測定物表面2Aの経時前の画像と、経時後の画像から画像解析により変位もしくはひずみを計測し、変位もしくはひずみの計測結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の変位あるいはひずみを計測するための変位/ひずみ計測方法、及び変位/ひずみ計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置、設備、あるいは鋼橋、コンクリート構造物などの構造物、等の安全性を確保するためには、設計から供用段階に至まで応力、ひずみ、変形などの状態を把握しておく必要がある。例えば、金属材料などの弾塑性材料とは異なり、コンクリートやセラミック等の硬くてもろい脆性材料では、ひび割れに至までの変形幅が小さいため、数百マイクロストレインオーダの「微小歪領域」の現象となり、比較的高精度な測定が必要となる。従来、応力、ひずみ、変形の計測方法としては、ひずみゲージを用いた局所的測定が主流である。ひずみゲージは、絶縁フィルム中に抵抗体となる細い金属線が折り返し状態で配置されて構成される。このひずみゲージは、被測定物の表面に貼り付けられ、被測定物の応力、ひずみ、変形に応じてひずみゲージが伸びまたは収縮することにより、その抵抗体である金属線の抵抗値変化から被測定物の応力、歪み、変形等を計測するものである。
【0003】
その他の計測方法としては、最近、画像処理によって物体の変位量(変形量)やひずみを計測する方法が数多く提案されている。CCDカメラ等で撮影したデジタル画像を利用して変形量と方向を同時に求める方法としてデジタル画像相関法がある。
【0004】
従来技術の文献として特許文献1及び非特許文献1を挙げる。特許文献1は、入力されるデジタル画像データを高速度で90度回転処理して出力するための画像90度回転処理方法及び装置に関する技術が開示されている。非特許文献1は、デジタル画像相関法の原理、応用について開示されている。
【特許文献1】特開平8−63593号公報
【非特許文献1】プラモド・ケイ・ラストジ(Pramod, K. Rastogi)編,“デジタル・スペックル・パターン・インターフェロメトリィ・アンド・リレーティッド・テクニクス(Digital Speckle Pattern Interferometry and Related Techniques)”,(英国),ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・リミテッド・プレス(John Wiley & Sons, Ltd Press),2001年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ひずみゲージを用いる計測方法は、測定装置の設置や保守が煩雑であること、微小領域や凹凸のある部位には適さないなどの問題があった。
また、デジタル画像相関法は、対象物表面に測定装置等を設置する必要がなく、全視野(全方向)の変位やひずみの計測が簡易にできるという特徴があり、新しい変位、ひずみ計測方法として注目を集めている。しかし、いずれの方法も、CCDカメラで撮影した複数のデジタル画像を基に変位量やひずみを算出することから、以下のような問題があり、現在までに提案されている方法では高精度な変位計測やひずみ計測は実現できていない。
【0006】
すなわち、CCDカメラを用いた計測方法では、(1)照明等の環境条件を常に一定にすることが難しい。(2)高精度な解析を行うためには、CCD素子の画素数が少ない。(3)カメラレンズの収差補正を行っても大きな誤差要因となる。(4)カメラ姿勢によって画像ひずみを生じる。
そこで、変形、ひずみ計測において、より簡易に且つ高精度な計測が可能な計測方法が望まれている。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、より簡易に且つ高精度に計測できる変形/ひずみ計測方法及びその計測装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る変位/ひずみ計測方法は、被測定物の表面に密着もしくは近接させたラインスキャナ装置により撮像した被測定物表面の画像を取り込み、被測定物表面の経時前の画像と、経時後の画像から画像解析により変位もしくはひずみを計測し、変位もしくはひずみの計測結果を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記変位/ひずみ計測方法において、被測定物の表面に異なる階調値による識別可能な不規則模様を露出させ、ラインスキャナ装置により被測定物表面の画像を取り込むようにすることができる。
本発明は、上記変位/ひずみ計測方法において、はじめから異なる諧調による識別可能な不規則模様がある場合は、そのまま被測定物表面の画像を取り込むようにすることができる。
本発明は、上記変位/ひずみ計測方法において、異なる階調値による識別可能な不規則模様を転写した被測定物表面の画像を取り込むようにすることができる。
【0010】
本発明は、上述の各変位/ひずみ計測方法において、画像のデータとしてラインスキャナ装置の主走査方向の画像データを用いることができる。
本発明は、上述の各変位/ひずみ計測方法において、経時前と経時後の2枚の画像中の対応する各画素の相対位置を画素の階調値を参照して解析するようにした画像解析法を用いることができる。
本発明は、上述の各変位/ひずみ計測方法において、画像解析により画像平面上の全方向の変位もしくはひずみを計測することができる。
【0011】
本発明は、上述の各変位/ひずみ計測方法において、ラインスキャナ装置のラインセンサによる2軸方向または3軸方向の走査により撮像した被測定物表面の画像を取り込み、画像のデータとしてラインセンサの主走査方向の画像データを用いることができる。
【0012】
本発明に係る変位/ひずみ計測装置は、光源とラインセンサを備えたラインスキャナ装置と、被測定物の表面に密着もしくは近接した前記ラインスキャナ装置で撮像した被測定物表面の画像を取り込み、被測定物表面の経時前の画像と経時後の画像から画像解析により変位もしくはひずみを計測し、該変位もしくはひずみの計測結果を出力するコンピュータとを備えて成ることを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記変位/ひずみ計測装置において、ラインスキャナ装置が平面上の2軸方向又は3軸方向に2個又は3個のラインセンサを備えている構成とすることができる。
本発明は、上記変位/ひずみ計測装置において、ラインスキャナ装置のラインセンサが平面上で回動可能に配置されている構成とすることができる。
本発明は、上記変位/ひずみ計測装置において、ラインスキャナ装置のラインセンサを、径の中心を通るように半径方向もしくは直径方向に配置すると共に、径の中心を回転中心として回転可能に配置した構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る変位/ひずみ計測方法によれば、被測定物の表面に密着もしくは近接させたラインスキャナ装置により被測定物表面の画像を取り込み、被測定物の経時前と経時後の画像から画像解析することにより、変位もしくはひずみを計測することができる。
ラインスキャナ装置を用いるので、高解像度の画像を取り込むことができるため高精度な計測が可能となる。また、照明の調整を不要とすることができ、一定の照度環境で計測が可能となる。また、計測範囲全域に渡り画像のひずみがない。
【0015】
被測定物の表面に異なる階調値による識別可能な不規則模様がある場合や、無い場合は別途露出させることで、画像解析が良好に行える。異なる階調値による識別可能な不規則模様を転写した上記測定物表面の画像を取り込むときも、画像解析が良好に行える。
【0016】
変位もしくはひずみを計算する場合の解析方向は、画像データを取り込んだラインスキャナ装置の主走査方向と一致させる。ラインスキャナ装置のラインセンサによる2軸方向または3軸方向の走査により被測定物表面の画像を取り込み、上記の方法で解析を行うことで、全視野領域において高精度に計測することができる。
【0017】
本発明に係る変位/ひずみ計測装置によれば、ラインスキャナ装置と、ラインスキャナ装置で撮像した被測定物表面の画像を取り込み、経時前と経時後の画像から画像解析して変位もしくはひずみを計測するコンピュータとを備えた構成であるので、高解像度の画像を得て高精度に計測することができる。
【0018】
コンピュータとして携帯可能な例えばノート型パーソナルコンピュータを用いることができ、この場合には可搬性に優れ、何れの場所での計測を簡易に行うことができる。
【0019】
ラインスキャナ装置に平面上の2軸方向に2個または3軸方向に3個のラインセンサを備えた構成、あるいはラインスキャナ装置のラインセンサを平面上で回動可能に配置した構成、さらにはラインセンサを、径の中心を通るように半径方向もしくは直径方向に配置すると共に、径の中心を回転中心として回転可能に配置した構成としたときは、全視野計測において高解像度の画像得て高精度に計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1及び図2に、本発明に係る変位/ひずみ計測方法に適用される変位/ひずみ計測装置の概略構成を示す。本実施の形態に係る変位/ひずみ計測装置1は、被測定物2の表面2A、例えばコンクリート構造物の表面を撮像するためのフラットベッドイメージスキャナに代表される密着型のラインスキャナ装置、本例ではフラットベッドイメージスキャナ2と、このフラットベッドイメージスキャナ3で撮像した被測定物の表面の画像を取り込み、この画像から画像解析により被測定物の変位もしくはひずみを計測し、その計測結果を出力する一連の処理を行うコンピュータ、本例ではパーソナルコンピュータ4とから構成される。画像解析は、被測定物の経時前(例えば変形が生じる場合は変形前)の画像と経時後(例えば変形が生じる場合は変形後)の画像とから行う。パーソナルコンピュータ3としては、携帯に便利なノート型パーソナルコンピュータ(以下、ノートパソコンと略称する)が好ましい。
【0022】
フラットベッドイメージスキャナ3は、図2の概略図に示すように、少なくとも被測定物2の表面2Aに対接する面が平坦な、例えば直方体の筐体11内に光源12と、ラインセンサ、本例では複数の画素が一方向に配列してなるCCDラインセンサ13と、その他図示しないが駆動機構、信号処理回路(エンコーダ)等を備えて成る。これら光源12、ラインセンサ13により撮像本体14が構成される。この撮像本体14は、各構成部品12、13の位置関係を設定した状態で全体が駆動手段(例えばモータ駆動)でガイドレール16上をラインセンサ13の長手方向と直交する方向に走査されるように配置される。筐体11の被測定物2の表面2Aに対接する側の面には透明保護板15が配置されている。
【0023】
このフラットベッドイメージスキャナ3では、これを被測定物2の表面2Aに密着もしくは近接するように配置した状態で撮像するときには、光源12からの光が被測定物2の表面2Aに照射され、その表面2Aからの反射した光像がラインセンサ13に受光される。そして、撮像本体14が駆動機構により上記一方向に走査されることにより、フラットベッドイメージスキャナ3で決まる面積の範囲で、被測定物2の表面2Aが撮像される。
なお、フラットベッドイメージスキャナ3においては、被写体像を縮小してCCDのラインセンサ13に読み取るようにした、いわゆる縮小光学系スキャナで構成することもできる。
【0024】
一方、パーソナルコンピュータ4は、図3の概略ブロックで示すように、フラットベッドイメージスキャナ3により撮像した被測定物2の表面2Aの画像を取り込むスキャン画像取り込み部21と、取り込んだ画像、特に経時前の画像を格納する画像メモリ22と、変位もしくはひずみを計測するための画像解析を行い、変位(方向、量)もしくはひずみ(方向、量)を計算する画像解析部23と、変位もしくはひずみの計測結果を出力する変位/ひずみ計測結果出力部24と、更により高精度計測において、フラットベッドイメージスキャナ3のラインセンサ15の主走査方向の画素データのみを判定する主走査方向判定部25、26とを有して構成される。
【0025】
次に、上述の本実施の形態の変位/ひずみ計測装置を用いて被測定物2、例えばコンクリート構造物の変位もしくはひずみを計測する方法を説明する。図3の概略ブロックを参照する。
【0026】
図1に示すように、コンクリート構造物2の表面2Aにフラットベッドイメージスキャナ3を密着もしくは少許の間隔を置いて近接して配置する。例えば、計測者がフラットベッドイメージスキャナ3を手に持ってコンクリート構造物2の表面2Aに当てがうと共に、パーソナルコンピュータ、例えばノートパソコン4を首から吊るすようにして画面が見られる状態にする。
【0027】
そして、図3の概略ブロックで示すように、初期の状態でのコンクリート構造物2の表面2Aをフラットベッドイメージスキャナ3を駆動して撮像する。この撮像した画像をノートパソコン4のスキャン画像取り込み部21に取り込む。次いで、この初期状態の画像を画像メモリ22に格納する。広範囲の表面2Aを撮像する場合は、フラットベッドイメージスキャナ3で所要領域を撮像した後、位置を変えて表面2Aの他の領域にフラットベッドイメージスキャナ3を配置して同様に画像を取り込み、画像メモリ22に格納する。
【0028】
次に、所要期間(あるいは所要時間)経過した後、コンクリート構造物2の表面2Aの同じ位置、すなわち初期状態と同じ領域にフラットベッドイメージスキャナ3を同じ状態で配置し、撮像する。この経時後の画像を再び図3のフローチャートで示すように、ノートパソコン4のスキャン画素取り込み部21に取り込む。次に、画像メモリ22に格納されている初期状態(いわゆる変形前)の画像と、画像取り込み部21の経時後(いわゆる変形後)の画像とを、画像解析部23に供給して画像解析法に基づく解析を行い、変位(方向、量)もしくはひずみ(方向、量)を計測する。次に、変位/ひずみ計測結果出力部24から変位もしくはひずみの計算結果、すなわち計測結果を出力する。
【0029】
画像解析法としては、デジタル画像相関法を適用することができる。次に、デジタル画像相関法の原理を説明する。デジタル画像相関法は、測定対象物表面の模様のランダム性を基にして測定対象物の変形前後をCCDカメラなどの撮像装置で撮影し、得られたデジタル画像を画像処理することで、試料表面の変形量と方向を同時に計測する方法である。変形量と移動方向は、変形前の画像中の任意の位置を中心とする複数画素からなる小さい画像領域(サブセットという)を基準として、変形後の画像より基準としたサブセットと最も良い相関を得るサブセットの位置を求めて決める。相関を求める方法としては、画素単位の計測精度で変位量を求める粗探査と、画素以下の精度で変位量を求める精密探査とで行う。
【0030】
粗探査には、数1に示す残差最小法を利用して相関関数Cを求める。サブセットをN×N画素とする。
【数1】

【0031】
ここで、Iu(X,Y),Id(X+u,Y+v)はそれぞれ変形前、変形後の画像強度を示し、X,Yはサブセットの中心座標であり、u,vはそれぞれx方向、y方向への移動画素量である。N=2M+1である。x、y方向に任意に1画素ごとに移動させながら相関関数を計算する。数1の総和Cの値が最小になる位置がそのサブセットの中心が移動した位置の最接近画素となる。
【0032】
図4に上記粗探査の概要を示す。図4Aは、変形前の基準となるサブセット31と、変形後の最も良い相関が得られたサブセット31′との位置関係の一例を示す模式図である。P(X,Y)は基準のサブセット31の画像中心点を示す。P′(X,Y)はサブセット31′の画像中心点、すなわち上記の最接近画素点を示す。サブセット31の中心点P(X、Y)とサブセット31′の中心点P′(X,Y)を結ぶベクトルFが、変形量と移動量を表わす。
また、図4Bは、1画素ごとに移動した各サブセットの中心点における相関関数Cを示す模式的なグラフである。P′(X,Y)の位置が相関関数Cの値の最も小さい最接近画素点となる。
【0033】
しかしながら実際の移動量は1画素の大きさよりも小さく移動するため、数1により得られた位置が必ずしも最も高い相関を得るとは限らない。そのため、精密探査により画素以下の精度で移動量を求める。精密探査に使用した相互相関法の式を数2に示す。
【0034】
【数2】

【0035】
精密探査には、最接近画素の前後の画素で、数2より得られた相関値を用いて2次曲線近似による補間を行い、2次曲線の極大値を最も相関の良い位置とした。数2は数1に比べて計算に時間がかかるが、画素間を補間する場合、より良い相関が得られる利点を持つ。
【0036】
図5に上記精密探査の概要を示す。図5Aは、前述と同様の、変形前の基準となるサブセット31と、変形後の1画素ごとに移動したときに最も良い相関が得られたサブセット31′との位置関係の一例を示す模式図である。P(X,Y)は基準のサブセット31の画像中心点を示す。P′(X,Y)はサブセット31′の画像中心点、すなわち上記の最接近画素点を示す。
図5Bは、最接近画素(位置(X,Y))の前後の位置(X−1,Y)、(X+1,Y)の画素での相関値を用いて求めた2次曲線近似33と相関関数Cの関係を示す模式的なグラフである。この2次曲線近似33の極小値から、最も相関の良い位置(破線図示)Eを1画素以下の精度で求めることができる。
【0037】
なお、1画素以下の計測精度で移動量を求める方法として、画素点での相関係数を利用する方法や離散的な画素の強度値の間を補間し、補間で得られた数値を利用して相関が最も高い位置を求める方法がある。
前者は、上記の例にもあるように相関の最も高い画素位置とその周辺にある画素位置での相関係数を利用して1次曲線や2次曲線、ガウス分布などの直線、曲線を利用してその好転やピークより1画素以下の移動量を求める。
後者は、計測した画像の離散的な強度分布を直接、線形や2次曲線、Bi-cubic等の補間関数を用いて補間し、相関関数が最大値となる位置を求める。
【0038】
なお、2枚の画像を利用して変位量と移動方向を求める画像解析方法は数多くあり、上述した相関値を利用した方法はその一例に過ぎない。本発明では、上記のデジタル画像相関法以外の他の画像解析方法を適用することもできる。
【0039】
上述の実施の形態によれば、変位/ひずみ計測方法及び計測装置において、被測定物2の表面2Aの画像を撮像する手段として、フラットベッドイメージスキャナに代表される密着型のラインスキャナ、本例ではフラットベッドイメージスキャナ3を用いることにより、高精度の計測を実施することができ、かつ計測作業も簡易になる。また、従来のCCDカメラを用いた計測方法、計測装置での前述した課題も全て解決することができる。
【0040】
すなわち、フラットベッドイメージスキャナ3で画像を取得するので、画像の画素数がCCDカメラに比べて格段に多い。例えば市販のフラットベッドイメージスキャナを用いた場合でも、解像度4800dpiまで画像を取り込むことができる。解像度4800dpiをCCDカメラ画素のような2次元画素に換算すると、2300万画素/inch2 に相当する。したがって、高精度の計測ができる。
また、フラットベッドイメージスキャナ3が被測定物2の表面2Aに密着もしくは近接配置され、しかも光源12がフラットベッドイメージスキャナ3に内蔵されているので、外部の光に影響されることなく、一定の照度を維持することができ、照明の調整が不要になる。
【0041】
また、フラットベッドイメージスキャナ3では、広範囲の画像を取り込むことができ、かつ全域に渡りひずみのない画像が得られる。すなわち、CCDカメラのようなレンズの収差によるひずみの問題が全く生じない。
また、CCDカメラのようにスケールにより測定対象物の大きさを求める必要がなく、寸法の構成作業が不要になる。フラットベッドイメージスキャナ3は、軽量で特殊な技術を不要とするため、撮像操作が簡易であり、かつ安価である。
【0042】
フラットベッドイメージスキャナ3による撮像方法は、非常に簡易であり、計測装置1自体もフラットベッドイメージスキャナ3とノートパソコン4で小型に構成されるので、可搬性も高く簡易な変位、ひずみ計測が行える。このため、本計測方法は、研究開発の現場はもとより設備や構造物の劣化診断法、維持管理方法としても実用化が期待できる。
【0043】
ひずみの計測精度を検証するために、主要な建設材料であるコンクリート、鋼材および木材の軸方向ひずみをフラットベッドイメージスキャナにより計測し、貼付したひずみゲージとの値と比較した。コンクリートに関しては、後述するように、表面に細骨材を露出するように表面処理した試験体を用いた。すなわち、図6に示すように、研磨により細骨材を露出した表面に複数のひずみゲージ34を貼付したコンクリート試験体35を作製し、この試験体35を一軸載荷した際に発生するひずみを、ひずみゲージ34及び本実施の形態のフラットベッドイメージスキャナによる方法で計測した。
【0044】
鋼材に関しては、表面処理を施したものを試験体として用いた。表面処理としては、図示しないが、以下の処理を施した。a)錆止め塗装(赤)を施した。b)錆止め塗装上にエアブラシで砂目を吹き付けた。c)錆止め塗装を剥がし鋼材面を露出した。d)錆止め塗装を剥がしエアブラシで砂目を吹き付けた。
a),c)の鋼材の塗装面や塗装を剥がした鋼材表面(黒錆の面)は、階調値に差が出にくい。b)の砂目の形成では、エアブラシで白色のアクリル絵の具を水で薄めたものを、圧力1kg/cm2 以下の低圧で吹き付けることにより、1〜2mm程度の砂粒が分散したような模様が得られた。d)の砂目の形成では、エアブラシで肌色のアクリル絵の具を水で薄めたものを吹き付けて砂目の大きさを2〜4mm程度と大きくした。
【0045】
木材は表面を鉋仕上げしたものを用いた。
【0046】
結果を表1、表2及び図7に示す。載荷荷重は50kN,100kN,150kNの3段階に変化させた。表1の上側、下側は、図6の試験体35の上側及び下側を指す。また、表1の数値はマイクロ単位であり、例えば63は63×10-6である。図7は表1のデータのうち、鋼材a)を除く全てノデータをプロットした図である。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
表1、表2及び図7から明らかなように、載荷荷重を3段階に変化させた場合のいずれも、本実施の形態のスキャナによる計測誤差は15%未満と少なく、非常に高い精度が得られている。すなわち、ひずみゲージによる計測精度と同程度の計測精度が得られる。因みに、CCDカメラを用いた従来法では、ひずみの計測誤差は数十%以上である。
【0050】
コンクリートおよび木材は、簡易な表面処理のみで良好な計測結果が得られた。階調値の変化が少ない鋼材の塗装面(aの試験体)は計測が難しいが、細かい砂目の模様を塗布することにより、計測が可能となった。この試験でのフラットベッドイメージスキャナの読み取り解像度は1200dpi,8bitであるが、これらを上げることによって更に計測精度が上がる。
【0051】
本実施の形態の計測方法は、照明等の調整がなく特殊な技術を必要とせず、小型の装置で可搬性があり、計測装置一式が廉価であり、しかも簡単な操作で高精細な画像を取得でき、変位及びひずみ計測が高精度であるという特長を有することから、種々の分野での利用ができる。特に、今後耐用年数を超過するものが急増するコンクリート構造物の劣化診断や維持管理に本方法を適用すれば、社会的に高い貢献度が期待できる。
【0052】
一方、上述した本実施の形態の計測方法は、一般的な装置、設備の計測に適用するときは、被対象物にフラットベッドイメージスキャナを密着させスキャニングするという基本的な操作のみでよい。しかし、コンクリート構造物の計測(例えば定期検査など)の場合には、汚れやカビ等で色調が変化するなどでコンクリート表面が劣化し易いため、表面劣化が生じたときには計測が良好に行えない虞れがある。
【0053】
次に、コンクリート構造物にこのような表面劣化が発生した場合にも良好に計測できるようにした、本発明の変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態を説明する。
図8Aに示すように、砂、砂利などの細骨材37とセメント材38とを混練して構成されたコンクリート構造物2の表面2Aには、汚れやカビ等で変質した所謂ペースト層39が形成されている。
このコンクリート構造物2に対して、図8Bに示すように、表面のペースト層39を砥石等の研磨手段により除去する。
次に、図8Cに示すように、さらに表面2Aを細骨材37が表面に露出する程度まで研磨材または砥石等の研磨手段により研磨し、表面2Aを平滑にする(図8Bの鎖線40まで研磨する)。この研磨によりコンクリート構造物2の表面2Aには、セメント材38と異なる階調値(輝度値)を有する細骨材37がセメント材38に混じって不規則(ランダム)に露出して、不規則模様が現れる。
【0054】
これ以降は、前述の実施の形態で説明した方法でコンクリート構造物2の変位もしくはひずみを計測する。
【0055】
本実施の形態に係る変位/ひずみ計測方法によれば、計測に先立ってコンクリート構造物2の表面2Aを砥石等により研磨して表面2Aに階調値が異なる細骨材37とセメント材38とによる不規則模様を露出することにより、特殊なマーキングを施すことなく、画像処理が良好にでき、高精度に変位もしくはひずみを計測することができる。骨材部分は長期間経過しても劣化が少ないため、定期的、継続的検査が可能となる。アルカリ骨材反応やひび割れなどの劣化の判定が容易になる。
【0056】
次に、本発明に係る変位/ひずみ計測方法及びその計測装置の他の実施の形態として、より高精度な全視野計測を行うための実施の形態を示す。
より高精度の全視野計測を行うためには、平面内のX,Y軸方向とも同程度で高い計測精度が求められる。前述の図2におけるラインセンサを一軸方向にのみ走査させるラインスキャナでは、ラインセンサの複数画素が配列されている主走査方向(いわゆるラインセンサ走査方向と直交する方向;ラインセンサの長手方向)の計測精度は高精度が期待できるが、エンコーダを含む駆動系の精度がさほど高くないため、副走査方向(ラインセンサが走査される方向)の計測精度は期待できない。
【0057】
そこで、本実施の形態に係る変位/ひずみ計測方法に用いる計測装置として、特にそのフラットベッドイメージスキャナのラインセンサを、一方向(例えばX軸方向)の走査とこれと直交する他方向(例えばY軸方向)の走査を行い、2回の走査で共に主走査方向の画像データのみを用いるようになす。これにより、全視野計測において、そのX軸方向、Y軸方向とも主走査方向の画像データが使われることになり、高精度の計測精度が得られる。
【0058】
2軸方向へラインセンサを走査させるためのフラットベッドイメージスキャナの構成の一例としては、例えばフラットベッドイメージスキャナの設置方向を90°回転させ、あるいはラインセンサを含む撮像本体を90°回転できるように機構とし、ラインセンサを2回走査するように構成することができる。
【0059】
図9に、2軸方向へラインセンサを走査させるためのフラットベッドイメージスキャナの構成の他の例を示す。図9はラインセンサ機構の模式図である。本実施の形態のラインセンサ機構41は、2つのラインセンサ13A,13Bを互いに平面上で直交するように配置する。このラインセンサ13Aは、リニアガイドレール42AによりX軸方向に走査されるように配置され、ラインセンサ13Bは、リニアガイドレール42BによりY軸方向に走査されるように配置される。ラインセンサ13A,13Bはリニアガイドレール42A,42Bに片持ち梁で取付けられる。このラインセンサ機構41では、一方のラインセンサ、例えばラインセンサ13Aが走査後にリニアガイドレール42Aの端部まで移動した後、他方のラインセンサ、例えばライセンサ13Bがリニアガイドレール42Bにガイドされて走査するようになされる。但し、このラインセンサ13A,13Bは、X軸方向とY軸方向に時間差がほとんど無いように2回走査できるように構成される。なお、47は被測定物表面の撮影範囲を示す。
【0060】
このラインセンサ機構41を備えたフラットベッドイメージスキャナを用いて被測定物の表面の2枚の画像を取り込み、主走査方向の画像データの2枚の画像から画像合成して1枚の画像にまとめて全視野計測を行うようにする。その状態を図10A,Bに示す。図10Aに示すように、第1のラインセンサ13AをX軸方向に走査したときには、主走査方向(いわゆるY軸方向)44では多数の画素が精度良く配列されているので、画像として高解像度が得られるが、副走査方向(いわゆるX軸方向)45では駆動系の精度により主走査方向より画像の解像度が落ちる。逆に、図10Bに示すように、第2のラインセンサ13BをY軸方向に走査したときには、主走査方向(いわゆるX方向)44では多数の画素が精度良く配列されているので、画像として高解像度が得られるが、副走査方向(いわゆるY軸方向)45では駆動系の精度により主走査方向より画像の解像度が落ちる。
【0061】
本実施の形態では、図3の概略ブロックで示すように、フラットベッドイメージスキャナ3で撮像した被測定物の表面の画像を、ノートパソコン4のスキャン画像取り込み部21で取り込んだ後、主走査方向判定部27で主走査方向の画像データのみを画像解析部23に供給する。一方、経時前の画像のうち主走査方向判定部26で主走査方向の画像データのみが画像メモリ22に格納されている。この画像メモリ22の画像データを画像解析部23に供給する。画像解析部23では、この2つの主走査方向のみの画像から画像解析により変位もしくはひずみを計算(計測)し、変位/ひずみ計測結果出力部24を通じてその計測結果を出力する。これにより、全視野計測において高い計測精度が得られるものである。
【0062】
図11に、ラインセンサ機構の他の実施の形態を示す。主ひずみの方向が不明の場合は3軸方向のひずみを計測する必要がある。本実施の形態のラインセンサ機構51は、角度の異なる3方向の画像を撮るために3つのラインセンサ13A,13B,13Cを有して構成される。このラインセンサ機構51は、互いに直交する第1、第2のラインセンサ13A,13Bと、これらラインセンサ13A,13Bと45°の角度で配置された第3のラインセンサ13Cとを有し、各ラインセンサ13A,13B,13Cが夫々のリニアガイドレール42A,42B,42Cにより、X軸方向、Y軸方向及びX、Y軸と45°の方向に走査されるように構成される。これらラインセンサ13A,13B,13Cもリニアガイドレール42A,42B,42Cに対し片持ち梁で取付けられる。48はラインセンサの副走査方向の走査位置を計測するためのレーザ変位計を示す。このレーザ変位計によりラインセンサの副走査方向の位置精度が上がる。
【0063】
本実施の形態のラインセンサ機構51では、3つのラインセンサ13A,13B,13Cによって3回の走査で3枚の画像を取り込み、それぞれの主走査方向の画像データの3枚の画像から画像合成して、1枚の画像にまとめて全視野計測を行うようにする。
【0064】
図12A,Bに、ラインセンサ機構の更に他の実施の形態を示す。本実施の形態のラインセンサ機構52は、1つのラインセンサ13を回転するテーブル53に取付け、角度を変えて、例えば0度、45度、90度の3つの角度を変えて3枚の画像を取り込むように構成される。ラインセンサ13は両端がリニアガイドレール42に取付けられる。48はレーザ変位計、54はラインセンサ機構の支持部材を示す。この場合も主走査方向の3枚の画像データを画像合成して1枚の画像にまとめる。このラインセンサ機構52を用いても高精度の計測ができる。
【0065】
図13に、ラインセンサ機構の更に他の実施の形態を示す。本実施の形態のラインセンサ機構57は、ラインセンサ13を径の中心を通るように半径方向もしくは直径方向、本例では直径方向に配置すると共に、径の中心を回転中心として、すなわち径中心位置の回転軸58を中心として回転可能に配置し、ラインセンサ13を回転させて被測定物表面の画像を撮像するように構成される。この場合も主走査方向の複数枚の画像データを画像合成して1枚の画像にまとめる。このラインセンサ機構57を用いても高精度の計測ができる。
【0066】
上述の例においては、計測方向を高精度が得られる主走査方向にしたが、場合によっては主走査方向に限らない。例えば、レーザ変位計やリニアエンコーダ等によって、副走査方向の移動量を正確に制御するか、移動量の情報を画像解析時に反映できれば、計測方向を主走査方向に限らず、副走査方向とすることもできる。
【0067】
図14のフローチャートに、コンクリート構造物の変位もしくはひずみを計測する際の好ましい計測方法を示す。先ず、ステップS1において、コンクリート構造物の表面のペースト層を例えば砥石により除去する。次に、ステップS2において、更にコンクリート構造物の表面に細骨材が露出するまで研磨し、異なる階調値(輝度値)が分布するような不規則模様の平滑面を形成する。次に、ステップS3において、フラットベッドイメージスキャナを用いてコンクリート構造物の不規則模様をなす表面の画像を撮像し、前述したようにノートパソコンに取り込み、このとき、変位もしくはひずみを計測したい方向とフラットベッドイメージスキャナの主走査方向とを一致させてフラットベッドイメージスキャナを走査させる。次に、ステップS4において、主走査方向の画像データのみを用いて画像解析し、主走査方向の変位もしくはひずみ(方向、量)を計測する。次のステップS5において、その計測結果を出力して計測を終了する。
【0068】
本実施の形態によれば、表面結果して不規則模様を生成し、フラットベッドイメージスキャナの主走査方向の画像データのみを用いることにより、コンクリート構造物の計測において、最も好ましい高精度の計測結果が得られるものである。
【0069】
上述においては、被測定物の表面を研磨して不規則模様を生成した例を示したが、その他、被測定物の表面に不規則模様を転写する方法もある。すなわち、階調の変化が少ない被測定物の場合に、エアブラシまたはスプレーペンキなどで被測定物表面に不規則模様を吹き付け(いわゆる転写し)、フラットベッドイメージスキャナにより被測定物表面を撮像し、この不規則模様が転写された被測定物表面の画像から画像解析して変位もしくはひずみを計測するようにして良い。
【0070】
上述した本発明は、各分野での適用が可能である。例えば、研究開発・設計段階において適用できる。これまでひずみゲージによる測定が不適当とされていたもの、あるいはひずみゲージの貼り付けが困難であったものの全視野ひずみ計測を可能とし、各種材料・製品の研究開発や設計用データを提供することができる。例としては、a)数mm以下の微小なもの。b)複合材料などの不均質なもの、不連続なもの。c)平面内の凹凸が大きいもの、ポーラスなもの。d)固体粒子の集合体(土や錠剤)。D)粘性体。これらのひずみ計測が可能となる。
【0071】
また、本発明は、製造・施工段階において適用できる。すなわち、部品、装置の製造工程での管理、プラントあるいは構造物の施工管理に幅広く応用できる。例として、a)小型部品の組み立てや熱処理後のひずみ(変形)の管理。b)機械部品、設備、プラント、鋼構造物の溶接時に発生する残留応力の管理。c)構造物施工字の支保工、土留め、切梁りなどの仮設工の応力状態のモニタリングによる安全管理。d)片持ち梁架設や死荷重増加後(例えば、上部工施工後の下部工、階上施工後のそれを支持する柱、梁)における各部位の応力状態の把握。e)構造物に基礎や支点の変位、沈下に伴う過大応力の把握。f)コンクリート施工時の温度応力や感想収縮によるひずみの把握。
【0072】
また、本発明は、維持(安全)管理段階において適用できる。例えば、a)航空機、船舶、列車の整備・点検やヘルスモニタリングのための機器として、または設備、構造物の点検、維持管理のための機器としての利用。b)部品や部材のひずみを定期的に計測し、残留応力、残留ひずみから亀裂の発生、力学的性能低下などの予測・管理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る変位/ひずみ計測方法に適用される変位/ひずみ計測装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る変位/ひずみ計測装置に適用されるフラットベッドイメージスキャナの一実施の形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る変位/ひずみ計測装置のコンピュータの概略ブロック図である。
【図4】A,B 本発明の変位/ひずみ計測方法に適用される画像解析の一例の説明に供する説明図である。
【図5】A,B 本発明の変位/ひずみ計測方法に適用される画像解析の他の例の説明に供する説明図である。
【図6】本発明に係るフラットベッドイメージスキャナを用いた変位/ひずみ計測方法の計測実験に用いた試験体の構成図である。
【図7】スキャナによる計測値とひずみゲージ値の関係を示すグラフである。
【図8】A〜C 本発明に係る変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態を示す被測定物の前処理工程図である。
【図9】本発明に係る変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態に適用されるラインセンサ機構の他の実施の形態を示す模式図である。
【図10】A,B 図9の本発明に係る変位/ひずみ計測方法の説明に供する説明図である。
【図11】本発明に係る変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態に適用されるラインセンサ機構の他の実施の形態を示す模式図である。
【図12】A,B 本発明に係る変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態に適用されるラインセンサ機構の他の実施の形態を示す模式図である。
【図13】本発明に係る変位/ひずみ計測方法の他の実施の形態に適用されるラインセンサ機構の他の実施の形態を示す模式図である。
【図14】本発明に係る変位/ひずみ計測方法の好ましい他の実施の形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1・・変位/ひずみ計測装置、2・・被測定物、3・・ラインスキャナ装置、4・・コンピュータ、11・・筐体、12・・光源、13、13A,13B,13C・・ラインセンサ、14・・撮像本体、15・・透明保護板、21・・スキャン画像取り込み部、22・・画像メモリ、23・・画像解析部、24・・計測結果出力部、25・・計測結果出力部、25、26・・主走査方向判定部、31・・サブレット、33・・2次曲線近似、34・・ひずみゲージ、35・・試験体、37・・細骨材、38・・セメント材、39・・ペースト層、41、51、52、57・・ラインセンサ機構、42A,42B,42C・・リニアガイドレール、48・・レーザ変位計、54・・支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の表面に密着もしくは近接させたラインスキャナ装置により撮像した被測定物表面の画像を取り込み、
前記被測定物表面の経時前の画像と、経時後の画像から画像解析により変位もしくはひずみを計測し、
前記変位もしくはひずみの計測結果を出力する
ことを特徴とする変位/ひずみ計測方法。
【請求項2】
前記被測定物の表面に異なる階調値による識別可能な不規則模様を露出させ、
ラインスキャナ装置により被測定物表面の画像を取り込む
ことを特徴とする請求項1記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項3】
異なる階調値による識別可能な不規則模様を転写した前記被測定物表面の画像を取り込む
ことを特徴とする請求項1記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項4】
前記画像のデータとしてラインスキャナ装置の主走査方向の画像データを用いる
ことを特徴とする請求項1,2または3記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項5】
前記経時前と前記経時後の2枚の画像中の対応する各画素の相対位置を画素の階調値を参照して解析する、画像解析法を用いる
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項6】
前記画像解析により画像平面上の全方向の変位もしくはひずみを計測する
ことを特徴とする請求項1,2または3記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項7】
ラインスキャナ装置のラインセンサによる2軸方向または3軸方向の走査により撮像した被測定物表面の画像を取り込み、
前記画像のデータとしてラインセンサの主走査方向の画像データを用いる
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の変位/ひずみ計測方法。
【請求項8】
光源とラインセンサを備えたラインスキャナ装置と、
被測定物の表面に密着もしくは近接した前記ラインスキャナ装置で撮像した被測定物表面の画像を取り込み、
前記被測定物表面の経時前の画像と経時後の画像から画像解析により変位もしくはひずみを計測し、
該変位もしくはひずみの計測結果を出力するコンピュータとを備えて成る
ことを特徴とする変位/ひずみ計測装置。
【請求項9】
前記ラインスキャナ装置は、平面上の2軸方向に2個又は3軸方向に3個のラインセンサを備えて成る
ことを特徴とする請求項8記載の変位/ひずみ計測装置。
【請求項10】
前記ラインスキャナ装置のラインセンサは、平面上で回動可能に配置されて成る
ことを特徴とする請求項8記載の変位/ひずみ計測装置。
【請求項11】
前記ラインスキャナ装置のラインセンサは、径の中心を通るように半径方向もしくは直径方向に配置されると共に、前記径の中心を回転中心として回転可能に配置されて成る
ことを特徴とする請求項8記載の変位/ひずみ計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170955(P2007−170955A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368334(P2005−368334)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【Fターム(参考)】