説明

多段モータを駆動源とする基板搬送ロボット

【課題】多段同芯モータを駆動源に有する基板搬送ロボットにおいて、モータの検出部が小型であって、アームの高い制御性能を確保でき、また検出部の交換が容易な基板搬送ロボットを提供する。
【解決手段】ロボットアームを駆動する第1回転モータ13と第2回転モータ14を軸方向に多段に配置した駆動部を有する基板搬送用ロボットにおいて、第1回転モータ13の回転位置検出部が、第1インクリメンタルエンコーダヘッド21と、それよりも回転位置検出精度の粗い絶対値位置検出器である回転角度センサ25a,bとから成り、第2回転モータ14の回転位置検出部が、第2インクリメンタルエンコーダヘッド22と、それよりも回転位置検出精度の粗い絶対値位置検出器である回転角度センサ26a,bとから成るよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハなどの基板を搬送する基板搬送ロボットに関し、特にそのアームが、多段に構成されたモータによって駆動されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造装置や検査装置において、半導体ウェハ、マスク、液晶ガラスといった基板を所定の位置へ搬送するため、従来から基板搬送ロボットが使用されている。半導体や液晶の製造工程の一部は真空チェンバ内の減圧された空間で行なわれることが多く、基板搬送ロボットは真空チェンバ内で稼動することが求められる。基板搬送ロボットは通常、水平方向に連結された複数のアームを有し、これらを互いに回転駆動することによって、アームの先端に設置したエンドエフェクタを所望の位置に動作させる。エンドエフェクタは基板が保持できるように構成されている。真空チェンバ内で稼動する基板搬送ロボットの駆動源には、いわゆる胴体部において複数のアームをそれぞれ直接駆動するモータがそれぞれ同芯軸上に多段に設けられることが多い。これは各アームを直接駆動することによって、高精度な制御が得られることと、磁性流体シールなどシール部材を使用しなくて済むことにより真空チェンバの高真空度が得やすいこと、などが主な理由である。このような多段の同芯モータを使用した基板搬送ロボットは、例えば特許文献1などに開示されている。
【0003】
真空チェンバは大気圧よりも減圧されるため、その差圧による圧力に耐えるため強固に製作されており、真空チェンバ内部を監視するためのビューポートなどは必要最小限しか設置されないことが多く、こういった真空チェンバ内など目視で確認できない装置内に組み込まれる基板搬送ロボットは、不測の事態で制御不能になり停止した場合でも、アームを周囲の障害物に接触させることなく動作させ、正常な姿勢に復旧させることができなければならない。このためには、アームを駆動制御するモータの位置検出器にはインクリメンタル式ではなく、絶対値式のエンコーダを組み込む必要がある。
そこで、多段の同芯モータをアームの駆動源に有する基板搬送ロボットには、真空環境内にあってもそれに耐えうるよう製作された絶対値回転位置検出器を、多段の同芯モータのそれぞれの近傍に組み込んでいる。例えば特許文献1の図1などには、絶対値回転位置検出器がモータの台数分だけ設置されていることが開示されている。通常、真空基板搬送ロボットの各アームは、真空チェンバ内で360度以内の動作によってその必要な作業を済ませることができる場合が多いため、特許文献1の絶対値回転位置検出器はモータの1回転以内を検出するものとなっている。従って、もし各アームを360度以上回転させる場合には、モータの多回転をカウントしておく必要があり、そのためのカウンタや電源が遮断された際にその情報を維持するための補助電源を有する回路基板などが設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−325433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらのように専用設計された真空仕様の絶対値回転位置検出器を基板搬送ロボットの多段同芯モータの一部に単純に組み込むことは理想ではない。このことは基板搬送ロボットの駆動部を大きくすることにつながり、駆動部が大きくなることは、真空チェンバの容量を増大させることにつながるからである。真空チェンバの容量が大きくなると、所望する真空度の維持や達成が困難になる。従って、多段同芯モータの検出部はできるだけ小型化しなくてはならない。
また、アームの高い制御性能を得るためには、エンコーダはより高い分解能を持つことが必要であるが、絶対値式の検出器はインクリメンタル式のものに比べて分解能が低く、高い制御性能を得ることが難しい。
また、特許文献1の検出器の配置や構成では、検出部が故障した場合の検出器交換が容易ではなく、基板搬送ロボットの駆動部を分解しなければ交換ができないという課題がある。つまり、基板搬送ロボットの検出器の交換が容易でなければならない。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、多段同芯モータを駆動源に有する基板搬送ロボットであっても、モータの検出部が小型であって、アームの高い制御性能を確保でき、また検出部の交換が容易な基板搬送ロボットを提供することを目的とする。
また、モータが多回転してもその検出が可能であるにも関わらず、補助電源が不要な基板搬送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、ロボットアームを駆動する少なくとも2つ以上の回転型モータを軸方向に多段に配置した駆動部を有する基板搬送用ロボットにおいて、前記回転型モータのそれぞれの回転位置検出部が、インクリメンタル位置検出器と、前記インクリメンタル位置検出器よりも回転位置検出精度の粗い絶対値位置検出器と、からなることを特徴とする基板搬送用ロボットとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記絶対値位置検出器は、前記回転型モータの出力軸とともに回転する回転円板に固定され、前記出力軸の径方向に着磁されたリング形磁石と、前記リング形磁石を検出し、正弦波2相信号が得られる回転角度センサと、からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項3に記載の発明は、前記回転角度センサは、前記駆動部の外部フレームから挿抜可能なセンサホルダに固定されたことを特徴とする請求項2記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項4に記載の発明は、前記センサホルダは、前記駆動部の外部フレームの気密を保持するためのシール材を介して前記外部フレームに固定されることを特徴とする請求項3記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項5に記載の発明は、前記回転角度センサが、前記出力軸に対して前記リング形磁石を挟んで180°対向するように2つ配置されたことを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項6に記載の発明は、前記インクリメンタル位置検出器は、前記回転型モータの出力軸とともに回転する回転円板に貼付されたインクリメンタルエンコーダスケールと、前記インクリメンタルエンコーダスケールを検出するインクリメンタルエンコーダヘッドと、からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項7に記載の発明は、前記インクリメンタルエンコーダヘッドは、前記駆動部の外部フレームから挿抜可能なセンサホルダに固定されたことを特徴とする請求項6記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項8に記載の発明は、前記センサホルダは、前記駆動部の外部フレームの気密を保持するためのシール材を介して前記外部フレームに固定されることを特徴とする請求項7記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項9に記載の発明は、前記絶対値位置検出器は、前記回転型モータの出力軸とともに回転する主動磁気ギアと、前記主動磁気ギアに対してn倍の径を有する従動ギアと、前記従動ギアとともに回転し、回転の径方向に着磁された磁石と、前記磁石を検出し、正弦波2相信号が得られる回転角度センサと、からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボットとするものである。
請求項10乃至13に記載の発明は、請求項1記載の基板搬送用ロボットを備えたことを特徴とする半導体や液晶の製造、検査装置とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によると、同芯で出力軸が2つ以上のロボットに省スペースで比較的粗い絶対値位置検出と高分解能インクリメンタルエンコーダを組み込むことができ、軸方向に短いロボット本体を構成できる。また、不測の事態でロボットが停止した場合でも、絶対値の位置検出機能を用いて、ロボット姿勢を認識して、周囲の干渉物と接触させることなく、ロボットアームを正常な状態に復帰することができ、装置復旧までの時間が短く、生産性の低下を最小にすることができる。また、中空軸側を多回転で制御するロボットにおいて補助電源不要で多回転絶対値位置検出を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例を示す基板搬送用ロボットの内部構成図
【図2】第1実施例の第1回転モータ側の位置検出器を示す説明図
【図3】第1実施例の第2回転モータ側の位置検出器を示す説明図
【図4】1回転内の絶対値回転角を検出する信号処理ブロック図
【図5】第2実施例のn回転内のモータ回転角を計測する位置検出器を示す説明図
【図6】n回転内の絶対値回転角を検出する信号処理ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明が適用される同芯2軸のモータを駆動源に有する基板搬送ロボット1の内部構造の側断面を示したものである。基板搬送用ロボット1は真空チェンバ40の底面などにロボット取り付けフランジ39などを介して設置される。ロボット本体2は、バケツ状になっており、ロボット本体2の内部は真空チェンバ40内に連通している。つまり、ロボット本体2の内部は真空チェンバ40とともに減圧された状態にすることができる。ロボット本体2は、後述する各アームの駆動源となる複数の回転モータを収容しており、本実施例の場合、第1回転モータ13と第2回転モータ14とが収容されていて、第2回転モータ14の第2モータ出力軸16が第1回転モータ13の第1モータ中空出力軸15の中空内部を通る多段構成となっている。
基板搬送ロボット1のアーム部は、本実施例の場合、第1アーム3と、第2アーム4と、エンドエフェクタ5とから構成されている。第1アーム3の先端に第2アーム4が回転可能に支持され、第2アーム4の先端にエンドエフェクタ5が回転可能に支持されている。エンドエフェクタ5に基板が載置される。
第1アーム3の基端は中空出力軸15と直結されており、第1回転モータ13によって直接回転駆動される。第2回転モータ14の出力軸16は、第1アーム3の基端側内部に設けた第1プーリ6に連結されてこれを回転駆動する。そしてその回転は、第1プーリ6に巻装された第1ベルト11を介して、同じく第1アーム3の先端側内部に設けた第2プーリ7に伝えられ、第2プーリ7と基端側が連結された第2アーム4を回転駆動する。さらに、第1アーム3の先端側内部に固定された軸10を介して第2アーム4の基端側内部に固定した第3プーリ8の比と、第2アーム4の先端側内部で回転可能に固定された第4プーリ9の比と、これらに巻装された第2ベルト12と、によって、エンドエフェクタ5が所望の一定の方向を向くようにエンドエフェクタ5を相対的に回転駆動する。
【0011】
次に、上記第1回転モータ13と第2回転モータ14の回転位置検出部について説明する。図2に示すように、第1回転モータ13と第2回転モータ14のそれぞれの回転位置検出部は、本実施例の場合、各モータの下部に装着されている。
まず、第1回転モータ13については、第1モータ中空出力軸15の下端に薄板リング形状の第1回転円板17が固定されている。第1回転円板17は、第1回転モータ13と第2回転モータ14との上下の間に位置する。そして、第1回転円板17には、リング形であって、その径方向に着磁された第1リング形磁石23が固定されている。一方、ロボット本体2の外部フレームから、その中心に向かってスティック状の第1センサホルダ31が固定されている。第1センサホルダ31は本実施例の場合、ロボット本体2において2つ装着されている。第1センサホルダ31のそれぞれの先端には回転角度センサ25が固定されている。回転角度センサ25はその検知部が、第1リング形磁石23の外周面と対向するように第1センサホルダ31に固定されている。回転角度検出センサは、MR素子やホール素子等の磁気抵抗素子4個をブリッジ接続したものを磁石の着磁方向に対して機械的に90°の角度差を設けて2組配置した一般的なセンサが使用できる。また、2つの回転角度センサ25a、25bが、第1リング形磁石23を挟んで180°対向するよう第1センサホルダ31によってそれぞれ固定されている。第1センサホルダ31は、ロボット本体2の外側から挿抜が可能であって、かつロボット本体2の気密性を維持できるように、図示しないシール部材を介して固定される。
つまり、第2図に示すように第1回転モータ13の1回転内絶対値回転角度検出は、第1モータ中空出力軸15の下端に装着されたリング形の径方向に着磁された第1リング形磁石23と、この磁石23の外周に180°対向して配置された回転角度センサ25a、25bによって、位相差90°の正弦波2相信号検出を得て、第1モータ中空出力軸15の絶対的な回転角を求める。回転角度センサ25を2つ配置しているのは、回転する磁石の偏心補正用で回転角度検出の精度を高めることが目的で、2つ以上配置する方が好ましいが1つでもよい。
【0012】
次に、第2回転モータ14について説明するが、回転位置検出部の基本的な構成については、第1回転モータ13とほぼ同一である。第2回転モータ14については、第2モータ出力軸16の下端に薄板形状の第2回転円板18が固定されている。第2回転円板18は、第2回転モータ14の下部に位置する。そして、第2回転円板18には、リング形であって、その径方向に着磁された第2リング形磁石24が固定されている。一方、ロボット本体2の外部フレームの底面から、第2センサホルダ32が固定されている。第2センサホルダ32は、第1センサホルダ31のようにロボット本体2の外部フレーム側面から支持されていてもよい。第2センサホルダ32は本実施例の場合、ロボット本体2において2つ装着されている。第2センサホルダ32のそれぞれには回転角度センサ26が固定されている。回転角度センサ26はその検知部が、第2リング形磁石24の外周面と対向するように第2センサホルダ32に固定されている。回転角度検出センサは、MR素子やホール素子等の磁気抵抗素子4個をブリッジ接続したものを磁石の着磁方向に対して機械的に90°の角度差を設けて2組配置した一般的なセンサが使用できる。また、2つの回転角度センサ26a、26bが、第2リング形磁石24を挟んで180°対向するよう第2センサホルダ32によってそれぞれ固定されている。第2センサホルダ32は、ロボット本体2の底面外側から挿抜が可能であって、かつロボット本体2の気密性を維持できるように、図示しないシール部材を介して固定される。
つまり、第3図に示すように第2回転モータ14の1回転内絶対値回転角度検出は、第2モータ出力軸16に装着された径方向に着磁された磁石24(形状はリング形、円形のどちらでもよい)と、この磁石24の外周に180°対向して対向した配置した回転角度センサ26a、26bによって、位相差90°の正弦波2相信号検出を得て、絶対的な回転角を求める。上述した理由から、回転角度センサを2つ配置しているが1つでもよい。
【0013】
さらに、上述したそれぞれの回転円板17,18の外周には、回転形インクリメンタルエンコーダの第1、第2エンコーダスケール19、20がそれぞれ装着される。また、それぞれのスケールを読み取り可能なように、インクリメンタルエンコーダヘッド21、22が固定される。インクリメンタルエンコーダヘッド21、22のそれぞれは、インクリメンタルエンコーダセンサホルダ33に固定されている。インクリメンタルエンコーダセンサホルダ33はロボット本体2の外部から挿抜可能であって、かつロボット本体2の気密性を維持できるように、図示しないシール部材を介して固定される。なお、これらのインクリメンタルエンコーダは、各アームが所望の制御性を得られる程度に高分解能のものを使用する。
【0014】
第4図は、以上のように構成された回転位置検出部において、1回転内の絶対値回転角を検出する信号処理ブロック図である。360°までの回転角が検出できる回転角度センサ25a(26a)と25b(26b)からの信号と高分解能のインクリメンタルエンコーダヘッドからの信号21(22)は、1回転内絶対値回転角度演算器35a(36b)に入力され、モータ1回転内の粗い精度の回転角度信号と分解能の高い角度信号を得るようになっている。
真空基板搬送ロボットの初期立ち上げ時や不測の事態で基板搬送ロボットが停止した場合には、まず、絶対値検出の精度の粗い回転角度センサ25a(26a)と25b(26b)からの信号を用い、モータの各出力軸、すなわちアームの姿勢を検知して、アームの初期状態に戻す。アームの初期状態とは、予め記憶しておく原点姿勢のことである。初期状態に戻ったあと、高分解能のインクリメンタルエンコーダヘッド21(22)からの信号に制御を切り替えて、このインクリメンタルエンコーダの原点信号で一旦リセットした後、この高精度なインクリメンタルエンコーダの信号で通常のアーム姿勢制御を行うようにすれば、通常はインクリメンタルエンコーダの信号によって高精度なアームの姿勢制御が行なえ、初期立ち上げ時や不測の事態で基板搬送ロボットが停止した場合には、回転角度センサ25a(26a)と25b(26b)からの信号を用いてアームを初期状態に安全に戻すことができる。また、回転位置検出部において、各センサに故障などが生じても、ロボット本体2の外部からこれらが挿抜できて交換できる。
このように本実施例では、モータを多段に配置して構成する同芯2軸以上のモータに絶対値式の角度検出器を省スペースで組み込め、またモータ本体の出力軸方向の寸法を短くし、また、角度検出器の着脱を容易にしている。これにより、基板搬送ロボット本体を小型化でき、また、検出器の交換も基板搬送ロボット本体を分解することなく行えるようになっている。
【実施例2】
【0015】
次に、各モータの出力軸、すなわち各アームが多回転したときでも回転位置検出を可能にする構成について、実施例2として説明する。
例えば、第2回転モータ14を2倍の回転数で駆動するようにすれば、実質2倍の回転角度で指令を出せるようになるので、アーム位置制御を更に向上させることができる。この場合の2回転内絶対値位置検出は、図5に示すように第2回転モータ14の第2モータ出力軸16あるいは第2回転円板18に磁気ギア27を設け、主動磁気ギア27の径に対して2倍の径を有す従動磁気ギア28に非接触で回転を伝え、例えば従動磁気ギア28とともに回転する円形磁石29で、第2回転モータ14の2回転間の回転角を検出するようにする。従動磁気ギア28は、この場合、ロボット本体2のフレームの内側に回転可能に支持されている。円形磁石29は径方向に着磁されており、この磁石29の外周に180°対向して対向した配置した回転角度センサ30a、30bによって、位相差90°の正弦波2相信号検出を得て、回転角を求める。回転角度センサを2つ配置しているが1つでもよい。図6は、n回転内の絶対値回転角度検出の信号処理ブロックである。この実施例の場合も、回転角度センサ30は、ロボット本体2の外部から脱着可能になっている。
なお、第2回転円板18の外周部には、実施例1と同様なインクリメンタルエンコーダ22とそのスケール20が設けられている。
【0016】
このように本実施例では、1回転以上の回転角度検出に、検出するモータ出力軸とともに回転する主動ギヤの径に対してn倍の径を有す従動ギヤを非接触で回転させ、モータ出力軸の回転数のn回転までの回転角を回転角度センサによって絶対値で検出可能にしている。しかも、モータの多回転量を保持しておく補助電源を不要にできる。
【符号の説明】
【0017】
1 基板搬送用ロボット
2 ロボット本体
3 第1アーム
4 第2アーム
5 エンドエフェクタ
6 第1プーリ
7 第2プーリ
8 第3プーリ
9 第4プーリ
10 軸
11 第1ベルト
12 第2ベルト
13 第1回転モータ
14 第2回転モータ
15 第1モータ中空出力軸
16 第2モータ出力軸
17 第1回転円板
18 第2回転円板
19 第1エンコーダスケール
20 第2エンコーダスケール
21 第1インクリメンタルエンコーダヘッド
22 第2インクリメンタルエンコーダヘッド
23 第1リング形磁石
24 第2リング形磁石
25a、25b 回転角度センサ
26a、26b 回転角度センサ
27 主動磁気ギア
28 従動磁気ギア
29 円形磁石
30a、30b 回転角度センサ
31 第1センサホルダ
32 第2センサホルダ
33 インクリメンタルエンコーダセンサホルダ

35 1回転絶対値角度演算器
36 n回転絶対値角度演算器

39 ロボット取り付けフランジ
40 真空チェンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームを駆動する少なくとも2つ以上の回転型モータを軸方向に多段に配置した駆動部を有する基板搬送用ロボットにおいて、
前記回転型モータのそれぞれの回転位置検出部が、
インクリメンタル位置検出器と、前記インクリメンタル位置検出器よりも回転位置検出精度の粗い絶対値位置検出器と、からなることを特徴とする基板搬送用ロボット。
【請求項2】
前記絶対値位置検出器は、
前記回転型モータの出力軸とともに回転する回転円板に固定され、前記出力軸の径方向に着磁されたリング形磁石と、
前記リング形磁石を検出し、正弦波2相信号が得られる回転角度センサと、
からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボット。
【請求項3】
前記回転角度センサは、前記駆動部の外部フレームから挿抜可能なセンサホルダに固定されたことを特徴とする請求項2記載の基板搬送用ロボット。
【請求項4】
前記センサホルダは、前記駆動部の外部フレームの気密を保持するためのシール材を介して前記外部フレームに固定されることを特徴とする請求項3記載の基板搬送用ロボット。
【請求項5】
前記回転角度センサが、前記出力軸に対して前記リング形磁石を挟んで180°対向するように2つ配置されたことを特徴とする請求項2乃至4いずれかに記載の基板搬送用ロボット。
【請求項6】
前記インクリメンタル位置検出器は、
前記回転型モータの出力軸とともに回転する回転円板に貼付されたインクリメンタルエンコーダスケールと、
前記インクリメンタルエンコーダスケールを検出するインクリメンタルエンコーダヘッドと、
からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボット。
【請求項7】
前記インクリメンタルエンコーダヘッドは、前記駆動部の外部フレームから挿抜可能なセンサホルダに固定されたことを特徴とする請求項6記載の基板搬送用ロボット。
【請求項8】
前記センサホルダは、前記駆動部の外部フレームの気密を保持するためのシール材を介して前記外部フレームに固定されることを特徴とする請求項7記載の基板搬送用ロボット。
【請求項9】
前記絶対値位置検出器は、
前記回転型モータの出力軸とともに回転する主動磁気ギアと、
前記主動磁気ギアに対してn倍の径を有する従動ギアと、
前記従動ギアとともに回転し、回転の径方向に着磁された磁石と、
前記磁石を検出し、正弦波2相信号が得られる回転角度センサと、
からなることを特徴とする請求項1記載の基板搬送用ロボット。
【請求項10】
請求項1記載の基板搬送用ロボットを備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項11】
請求項1記載の基板搬送用ロボットを備えたことを特徴とする液晶製造装置。
【請求項12】
請求項1記載の基板搬送用ロボットを備えたことを特徴とする半導体検査装置。
【請求項13】
請求項1記載の基板搬送用ロボットを備えたことを特徴とする液晶検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−207938(P2010−207938A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54850(P2009−54850)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】