説明

多相クロック生成回路、オーバーサンプリング回路及び位相シフト回路

【課題】より位相差の微小な多相クロックを生成しつつ、消費電流の増大を抑制した多相クロック生成回路及びオーバーサンプリング回路を提供する。
【解決手段】1対の入出力端子と、遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる2つの遅延ラインの出力の位相差を検出する位相比較器13と、位相比較器13の出力を平均化する平均化フィルタ14とを備え、一方の遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他方の遅延量制御端子に平均化フィルタ14の出力を接続し各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部11と、複数かつ同数個の遅延素子を直列に接続した複数の遅延ライン21を備え、各遅延ライン21は基準電圧を接続した遅延素子22の数及び平均化フィルタ14の出力電圧を接続した遅延素子の数の組み合わせを異ならせたクロック遅延部20とを備え、所定の位相差を持つ多相クロックを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の位相差を持つクロックを生成するための多相クロック生成回路、位相シフト回路、及びこれらを備えたオーバーサンプリング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器間、ボード間、チップ間における大容量、高速データ伝送を満たすために多くの高速インタフェース規格が提唱され、実用化されている。それらのインタフェース規格の多くはシリアル伝送方式が採用されている。シリアル伝送では、予め定められた周波数を基にデータが伝送される。伝送されるデータにはその周波数のクロックが重畳され、データ受信部では、受信したデータからこのクロックを抽出し、抽出されたクロック信号に基づいて受信データを復元している。これらの復元動作を行う回路をクロックデータリカバリ(Clock Data Recovery、以下CDRと略す)回路と呼ばれている。
従来のCDR回路では、一般にPLL(Phase Locked Loop)回路が用いられ、PLL回路中のVCO(Voltage Controlled Oscillator)の発振クロックが受信データの位相に同期するように制御され、再生クロックとして抽出される。そしてこの再生クロックを基準として受信データをラッチすることにより正確に受信データが復元される。
しかし、データレートの増大によって、VCOの発信周波数も増大し、そのようなVCOを組み込んだCDR回路は、チップサイズの増大、消費電流の増大、コストアップなどのデメリットが増大する。また高速化により配線遅延が無視できなくなるので、素子配置や配線遅延は使用するデバイスの特性に大きく依存するため、プロセスごとにレイアウトの再設計を行う必要が生じ、回路の再利用性が低下し、開発期間の増大を招く。
このような問題を解決するものとして、オーバーサンプリング型のCDR回路が提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
図6は従来から用いられているオーバーサンプリング型のCDR回路の構成図である。
図6に示すようにCDR回路は、多相クロック生成部100がPLLやDLL(Delay Locked Loop)などにより構成され、基準クロック(REFCLK)から所定位相ずつシフトした等間隔の位相差を有する多相クロックを生成する。
データサンプリング部101は、入力データ(DATA)をデータ端子に共通入力し、多相クロック生成部100からの多相クロック(CLK1〜CLKN)をそれぞれクロック端子に入力して、各クロックの立ち上がり(または立ち下り)で入力データを取り込む。すなわち、データサンプリング部101から出力されるデータは、入力データが所定の位相ずれたクロックでサンプリングされたものとなる。
ディジタルPLL(DPLL)102はデータサンプリング部101から供給されるビット列から、論理が反転する反転タイミングを検出し、そのタイミングに同期する位相のクロックを多相クロックの中から選択し、再生クロック(RECCLK)として復元する。また、再生クロック(RECCLK)と所定の位相差(例えば逆位相)をもつクロックで取り込んだデータを再生データ(RECDATA)として選択し、出力する。このとき再生クロックの選択には、データの反転タイミングをフィルタで平滑化して検出している。このような構成にすれば、多相クロック生成部100以外はディジタル回路で構成できるので実現が比較的容易になる。しかしながら、この回路構成に用いる多相クロックは、相互の位相差が問題となり、位相差が等間隔でない場合には誤動作を生じる恐れがある。
このような問題を解決するものとして、入力データに含まれるデータに含まれるクロックよりも周波数が同等以下の独立したクロックでデータを正確に復元するデータリカバリ回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
図7は、特許文献1のデータリカバリ回路を説明する図である。
図7において、特許文献1で提案されているデータリカバリ回路は、多相クロック生成部203、オーバーサンプリング部206、シンボルデータ復元部207とで構成される。
多相クロック生成部203は、基準クロックREFCLKから生成された所定周波数のクロックを所定位相ずつシフトし、ほぼ等間隔の位相を有する多相クロックを生成する。
オーバーサンプリング部206は、多相クロック生成部203から供給される多相クロックCK0〜CK11により受信データDataを取り込みオーバーサンプリングデータOVSDを出力する。オーバーサンプリング部206はオーバーサンプリング数のフリップフロップ204と、入力されたデータを1つのクロック(例えばCK0)に同期させて出力する並列化部205を備えている。
シンボルデータ復元部207は、データ選択部208、DES(デシリアライザ)209、選択信号生成部210、コンマ検出部211よりなり、オーバーサンプリングデータOVSDからシンボルデータSYMを復元し、シンボルクロックSYMCLKを生成する。
すなわち、選択信号生成部210は、オーバーサンプリングデータOVSDの取り込み位相を指示し、データ選択部208は、選択信号生成部210からの支持に従い、オーバーサンプリングデータOVSDから復元データを出力する。また、コンマ検出部211は、転送データに所定間隔で挿入されたコンマ符号を検出しコンマ検出信号を出力する。
また、デシリアライザ209は、コンマ検出信号を基に、データ選択部6から供給される復元データをシンボルデータSYMにパラレル変換し、また、シンボルクロックSYMCLKの生成も行なう。
【特許文献1】特開2005−192192公報
【非特許文献1】B.Kim et. Al. "A 30-MHz Hybrid Analog/Digital Clock Recovery Circuit in 2-um CMOS" IEEE, JSSC, December 1990, pp.1385-1394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかるデータリカバリ回路においては、さらにデータリカバリ精度を上げるためにはオーバーサンプリング数を増加させる必要がある。しかしながらオーバーサンプリング数を増やすために必要な多相クロックの生成には以下の問題がある。以下に多相クロックの生成に関する問題を述べる。
多相クロックは一般にDLL(Delay Locked Loop)と呼ばれる回路で生成する。
【0006】
図8は、8相の遅延を発生させるDLLの一例を示す図である。
図8に示すように、DLLは遅延素子303から構成される遅延生成部300、位相比較器(Phase Detector:PD)301、ローパスフィルタ(Low Pass Filter:LPF)などの平均化フィルタ302で構成される。
まず、PLL(Phase Locked Loop)で生成した基準クロックが遅延生成部300に入力される。
位相比較器301は基準クロックと遅延生成部300の出力の位相差を検出して所定の位相差でロックさせる。例えば、1周期が400ps(ピコ秒)の2.5GHzの基準クロックを入力すれば400psの8分の1の50psの位相差を持つ8位相クロックが生成される。
上記のDLL回路で、オーバーサンプリング数を増やすために多相クロックの位相数を増やす場合は遅延ライン(遅延生成部)300を構成する遅延素子303の数を増やすことで対応できるが、位相差の最小値は基準クロックが遅延素子303を通過する最小時間で決まる。この時間はトランジスタ製造プロセスに大きく依存するパラメーターであり、テクノロジーごとに限界が存在する。一例としては最小線幅90ナノメータープロセステクノロジーで30ピコ秒以上である。
【0007】
図9は、遅延生成部300を構成する遅延素子303の一例を示す図であり、図9(a)は、ブロック図、図9(b)は、回路図の一例である。
遅延素子303の遅延時間はCNT電圧によって決まる。CNT電圧が増加すると、遅延素子に流れる電流が増加し次段の負荷を充放電する時間が小さくなり、遅延時間が小さくなる。逆に、CNT電圧が減少すると、遅延素子に流れる電流が減少し次段の負荷を充放電する時間が大きくなり、遅延時間が大きくなる。また、上述の通りCNT電圧を増加させると遅延素子に流れる貫通電流が増加するので必然的に消費電流が増大してしまう。
本発明は上記の問題に鑑み、より位相差の微小な多相クロックを生成しつつ、消費電流の増大を抑制した多相クロック生成回路及び多相クロック生成回路を用いたオーバーサンプリング回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した2つの遅延ラインと、前記2つの遅延ラインの出力の位相差を検出する位相比較器と、前記位相比較器の出力を平均化する平均化フィルタと、を備え、前記2つの遅延ラインのうち一方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に前記平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせたクロック遅延部と、を備え、前記クロック遅延部の各遅延ラインに基準クロックを入力することにより、所定の位相差を持つ多相クロックを生成する多相クロック生成回路を特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した複数の遅延ラインと、前記複数の遅延ラインのうち、1つの遅延ラインと、他の各遅延ラインとの位相差を検出する複数の位相比較器と、各位相比較器の出力を平均化する複数の平均化フィルタと、を備え、前記複数の遅延ラインのうち1つの遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他の各遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に各平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせたクロック遅延部と、を備え、前記クロック遅延部の各遅延ラインに基準クロックを入力することにより、所定の位相差を持つ多相クロックを生成する多相クロック生成回路を特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又2記載の多相クロック生成回路で生成したクロックを用いてオーバーサンプリングを行うオーバーサンプリング回路を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した2つの遅延ラインと、前記2つの遅延ラインの出力の位相差を検出する位相比較器と、前記位相比較器の出力を平均化する平均化フィルタと、を備え、前記2つの遅延ラインのうち一方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に、基準電圧を接続し、他方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に前記平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせた位相シフト部と、を備え、前記位相シフト部の各遅延ラインにシリアルデータパターンを入力して、所定の位相差を持つシリアルデータパターンを生成する位相シフト回路を特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した複数の遅延ラインと、前記複数の遅延ラインのうち、1つの遅延ラインと、他の各遅延ラインとの位相差を検出する複数の位相比較器と、各位相比較器の出力を平均化する複数の平均化フィルタと、を備え、前記複数の遅延ラインのうち1つの遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他の各遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に各平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数と及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせた位相シフト部と、を備え、前記位相シフト部の各遅延ラインにシリアルデータパターンを入力して、所定の位相差を持つシリアルデータパターンを生成する位相シフト回路を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又5記載の位相シフト回路を用いて生成した多相シリアルデータパターンを用いてオーバーサンプリングを行うオーバーサンプリング回路を特徴とする
【発明の効果】
【0012】
このような構成としたことにより、本発明の多相クロック生成回路では、多相クロックの所定の位相差が多相クロック生成回路の遅延素子の位相差によらないので、遅延素子単体の遅延時間に比べて微小な位相差を容易に実現することが可能である。さらに、微小な位相差を発生させるために高速動作が必要とされる従来型の回路に比べて、本発明の多相クロック生成回路では、遅延素子の高速動作が求められないので消費電流の抑制が可能である。
また、本発明の位相シフト回路では、位相シフト回路の所定の位相差が位相シフト回路の遅延素子の位相差によらないので、遅延素子単体の遅延時間に比べて微小な位相差を容易に実現することが可能である。さらに、微小な位相差を発生させるために高速動作が必要とされる従来型の回路に比べて、本発明の位相シフト回路では、遅延素子の高速動作が求められないので消費電流の抑制が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態である多相クロック生成回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の多相クロック生成回路を含むデータリカバリ回路は、多相クロック生成部(多相クロック生成回路)10、オーバーサンプリング部30、シンボルデータ復元部40から構成される。
多相クロック生成部10は、遅延量制御部11とクロック遅延部20とで構成され、基準クロックREFCLKPとREFCLKMおよび基準バイアスVREFが入力され所定の位相差(本実施形態では25ピコ秒)を持つ16位相クロックCK[0:15]を出力する。
ここで、基準クロックREFCLKPとREFCLKMは周波数2.5GHzで位相差が180°の正転と反転の関係のクロック(位相差が200ピコ秒)である。
本実施例において、遅延量制御部11はそれぞれ遅延素子15を4個直列に接続して構成した2つの遅延ライン12と位相比較器13と平均化フィルタ14で構成されている。
【0014】
後で詳述するように、遅延量制御部11では2つの遅延ライン12を用いて所定の遅延量を発生させるバイアスを生成する。
オーバーサンプリング部30は多相クロック生成部10から供給される多相クロックCK0〜15により受信データDataを取り込み、オーバーサンプリングデータOVSD[0:15]を出力する。
より詳しくは、オーバーサンプリング部30はサンプリングFF(フリップフロップ)部31と並列化部32で構成される。サンプリングFF部31は受信データDataを多相クロック生成部10で生成した等間隔の位相差をもつ多相クロックCK0〜CK15の立ち上がり(または立ち下がり)のタイミングでサンプリングされる。サンプリングFF部31の出力は多相クロック生成部10で生成した位相差をもつ。
並列化部32は位相差をもって入力されるデータD0〜D15を1つのクロックに同期したパラレルデータとして出力する。
本実施形態では並列化部32で入力データD0〜15のデータレート及びバス幅を変えずにタイミングだけを調整して出力しているが、並列化部32の直前または直後にバス幅を大きくしてデータレートを下げるシリアルパラレル変換を施してからシンボルデータ復元部40に出力することもできる。
また、シンボルデータ復元部40はオーバーサンプリングデータOVSDからシンボルデータSYMとシンボルクロックSYMCLKを生成する。
【0015】
次に、遅延量制御部における遅延の発生の仕組みについて詳細に説明する。
図2は、遅延ラインを構成する遅延素子の例を示す図である。
図2(a)は、ブロック図であり、(b)、(c)は、回路図の一例である。
各々の遅延素子15は遅延量制御端子CNTに入力される電圧に応じて入力端子INと出力端子OUTに位相差(遅延)を発生させるようになっている。
図1に戻り、遅延量制御部11を構成する2つの遅延ライン12のうち一方の遅延ライン12−1の遅延量制御端子CNTには基準電圧VREFを接続し、他方の遅延ライン12−2の遅延量制御端子CNTには、2つの遅延ラインの出力を位相比較器13に入力した比較結果を平均化フィルタ14で平均化して得られる電圧DLYBを接続する。
【0016】
図3は、遅延量制御部11でDLYBがロックするまでの動作過程を示す図である。
図3に従い、遅延量制御部11の遅延量が決定するまでの動作について述べる。動作開始状態(I)で、DLYBは電源電圧に充電されている。DLYBが電源電圧に充電された状態では、遅延量制御端子CNTにロック電圧DLYBが接続される遅延素子15は最も遅延量が小さい状態となる。基準電圧VREFを電源電圧とすれば、動作開始直後は遅延量制御部11の2つの遅延ライン12の出力の位相差は0°となる。動作開始後(II)はDLYBがバイアスされた遅延ライン(図中遅延ライン2)の遅延量が大きくなり、2つの遅延ライン12の位相差が90°(100ピコ秒)となったとき(III)にDLYBの電圧がロックする。
遅延ライン12を通過する時間の差が100ピコ秒なので、基準電圧VREFがバイアスされている遅延素子15とロック電圧DLYBがバイアスされている遅延素子15の遅延時間の差は100ピコ秒の4分の1の25ピコ秒となる。
本実施形態では周波数2.5GHzのクロックを入力するので、高速動作が可能なアナログ乗算器(図示せず)を用い、平均化フィルタ14は1次ローパスフィルタを用いるが、高速動作を必要としないシステムではこの限りではなく、一般的な排他的論理和(XOR)ゲートを用いた位相比較器を用いることもできる。
また、本発明の実施形態では各遅延ライン12を構成する遅延素子15を4個としたが、より小さな位相差を得るためには遅延ラインを構成する遅延素子の総数を増やすことで対応できる。
【0017】
図1に戻り、次に、クロック遅延部20について説明する。
クロック遅延部20は16個の遅延ライン21で構成される。本実施形態では、各遅延ライン21は8個の遅延素子22を直列に接続して構成される。クロック遅延部20の遅延ライン21は遅延量制御部11の遅延ライン12と同じ遅延素子を用いて等負荷で設計されるが、遅延素子を直列に接続する段数が異なる。また、クロック遅延部20の遅延ライン21と遅延量制御部11の遅延ライン12は同様の電気的特性を求められるので同一のレイアウトで設計される。
クロック遅延部20の16個の遅延ライン21の構成はすべて同じだが、各遅延ラインで基準電圧VREF及びロック電圧DLYBにバイアスされる遅延素子22の数が異なる。
下記の表1に各クロックと、それらを生成する遅延ライン21、遅延ライン21を構成する8個の遅延素子22のうち基準電圧VREFにバイアスされる個数およびロック電圧DLYBにバイアスされる個数、遅延時間をまとめる。ただし遅延時間は基準電圧VREFでバイアスされた遅延素子の遅延時間をXピコ秒とする。
[表1]

【0018】
例えばCK0を生成する遅延ライン21では構成する8個の遅延素子22はすべて基準電圧VREFにバイアスされているので遅延ライン21の入力と出力の遅延時間は8Xピコ秒となる。
CK1を生成する遅延ライン21では8個の遅延素子22のうち7個の遅延素子22は基準電圧VREFにバイアスされ、1個の遅延素子22はロック電圧DLYBにバイアスされているので遅延ラインの遅延時間は8X+25ピコ秒となる。従って隣り合うクロックの位相差は25ピコ秒となる。同様にCK2〜CK15でも隣り合うクロックとの位相差は25ピコ秒となる。
本実施形態の多相クロック生成回路10を含むデータリカバリ回路では位相差25ピコ秒の微小な位相差を持つ16位相の多相クロックでの高精度のオーバーサンプリングを実現することができる。
また、所定の位相差(ここでは25ピコ秒)が遅延素子の遅延時間とならない。つまり遅延素子単体の遅延時間に比べて微小な位相差を実現することが可能である。すなわち、多相クロックの所定の位相差と遅延素子1段の遅延時間が独立なので、より位相差の微小な多相クロックを生成することができる。
また、遅延素子を高速に動作させなければならない必要がないので、従来回路に比べて遅延素子の消費電流を抑制することができる。
本実施形態では、例として基準クロックを2.5GHzとし、データレートを5Gbpsのシリアルデータのデータリカバリ回路を想定しているが、基準クロック及びデータレートはこの限りではなく、あらゆる基準クロックおよびデータレートに適応できる。
【0019】
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態である多相クロック生成回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図である。
なお、第1の実施形態の実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を付して説明している。
本実施形態の多相クロック生成回路は、多相クロック生成部10a、オーバーサンプリング部30、シンボルデータ復元部40を備える。
本実施形態では並列化部32で入力データD0〜15のデータレート及びバス幅を変えずにタイミングだけを調整して出力しているが、第1の実施形態と同様に、並列化部32の直前または直後にバス幅を大きくしてデータレートを下げるシリアルパラレル変換を施してからシンボルデータ復元部40に出力することもできる。
多相クロック生成部10aは遅延量制御部11aとクロック遅延部20aで構成される。多相クロック生成部10aは基準クロックREFCLKPとREFCLKMおよび基準バイアスVREFが入力され所定の位相差(本実施形態では25ピコ秒)を持つ16位相クロックCK[0:15]を出力する。
基準クロックREFCLKPとREFCLKMは周波数2.5GHzで位相差が180°の正転と反転の関係のクロック(位相差が200ピコ秒)である。
【0020】
本実施形態における遅延量制御部11aは3つの遅延ライン12(12−1、12−2、12−3)と2つの位相比較器13と2つの平均化フィルタ14で構成される。遅延量制御部11では3つの遅延ライン12を用いて2種類の遅延量を発生させる2種類のバイアス(DLYB1、DLYB2)を生成する。
第1の実施形態で述べた原理と同様に、基準電圧VREFがバイアスされている遅延ライン12−1とロック電圧DLYB1がバイアスされている遅延ライン12−2の位相差が90°(100ピコ秒)となるようにロック電圧DLYB1がロックする。また、ロック電圧DLYB1がバイアスされている遅延ライン12−2とロック電圧DLYB2がバイアスされている遅延ライン12−3の位相差も90°(100ピコ秒)となるようにロック電圧DLYB2がロックする。基準電圧VREFがバイアスされている遅延素子15とロック電圧DLYB1がバイアスされている遅延素子15の遅延時間の差は100ピコ秒の4分の1なので25ピコ秒となる。同様に、ロック電圧DLYB1がバイアスされている遅延素子15とロック電圧DLYB2がバイアスされている遅延素子15の遅延時間差は100ピコ秒の4分の1なので25ピコ秒となる。
【0021】
従って基準電圧VREFがバイアスされている遅延素子15の遅延時間をXピコ秒とすると、ロック電圧DLYB1がバイアスされている遅延素子15の遅延時間はX+25ピコ秒となり、さらにロック電圧DLYB2がバイアスされている遅延素子15の遅延時間はX+50ピコ秒となる。
本実施形態では周波数2.5GHzのクロックを入力するので、高速動作が可能なアナログ乗算器(図示せず)を用い、各平均化フィルタ14は1次ローパスフィルタを用いるが、高速動作を必要としないシステムではこの限りではなく、一般的な排他的論理和(XOR)ゲートを用いた位相比較器を用いることもできる。
また、本発明の実施形態では各遅延ライン12を構成する遅延素子15を4個としたが、より小さな位相差を得るためには遅延ライン12を構成する遅延素子15の総数を増やすことで対応できる。
【0022】
次に本実施形態のクロック遅延部20aについて説明する。本実施形態においては、クロック遅延部は16個の遅延ライン21aで構成される。基準バイアスVREFと遅延量制御部11で生成した2つのバイアス、ロック電圧DLYB1及びDLYB2はクロック遅延部20aに入力される。各遅延ライン21aは4個の遅延素子22を直列に接続して構成される。クロック遅延部20aの遅延ライン21aは遅延量制御部11aの遅延ラインと同じ遅延素子を用いて等負荷で設計される。また、クロック遅延部20aの遅延ライン21aと遅延量制御部11の遅延ライン12は同様の電気的特性を求められるので同一のレイアウトで設計される。
クロック遅延部20aの16個の遅延ライン12aの構成は同じだが、各遅延ラインで基準電圧VREF及びロック電圧DLYB1及びDLYB2にバイアスされる遅延素子の数が異なる。
下記の表2に各クロックとそれを生成する遅延ライン21aを構成する4個の遅延素子22のうち基準電圧VREFにバイアスされる個数およびロック電圧DLYB1にバイアスされる個数、及びロック電圧DLYB2にバイアスされる個数と遅延時間をまとめる。ただし遅延時間は基準電圧VREFでバイアスされた遅延素子の遅延時間をXピコ秒とする。
[表2]

【0023】
例えばCK0を生成する遅延ライン21aでは構成する4つの遅延素子22は基準電圧VREFにバイアスされているので遅延ライン21の入力と出力の遅延時間は4Xピコ秒となる。CK1を生成する遅延ライン21では4個の遅延素子のうち3個の遅延素子は基準電圧VREFにバイアスされ、1個の遅延素子22はロック電圧DLYB1にバイアスされているので遅延ライン21aの遅延時間は4X+25ピコ秒となる。従って隣り合うクロックの位相差は25ピコ秒となる。またCK2を生成する遅延ライン21aでは4個の遅延素子22のうち3個の遅延素子22は基準電圧VREFにバイアスされ、1個の遅延素子はロック電圧DLYB2にバイアスされるので遅延ライン21aの遅延時間は4X+50ピコ秒となる。従って隣り合うクロックは25ピコ秒の位相差を持つことになる。
本実施形態の多相クロック生成回路を含むデータリカバリ回路では位相差25ピコ秒の微小な位相差を持つ16位相の多相クロックでの高精度のオーバーサンプリングを実現することができる。
また、本実施形態の多相クロック生成回路では所定の位相差(ここでは25ピコ秒)が遅延素子の遅延時間とならない。つまり遅延素子単体の遅延時間に比べて微小な位相差を実現することが可能である。すなわち、多相クロックの所定の位相差と遅延素子1段の遅延時間が独立なので、より位相差の微小な多相クロックを生成することができる。
また、遅延素子を高速に動作させる必要がないため、従来回路に比べて遅延素子の消費電流を抑制することができる。
本実施形態では、例として基準クロックを2.5GHzとし、データレートを5Gbpsのシリアルデータのデータリカバリ回路を想定しているが、基準クロック及びデータレートはこの限りではなく、あらゆる基準クロックおよびデータレートに適応できる。
【0024】
[第3の実施形態]
図5は本発明の第3の実施形態である位相シフト回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図である。
本発明の第3の実施形態を含むデータリカバリ回路の構成は、遅延量制御部50、位相シフト部60、オーバーサンプリング部70、シンボルデータ復元部80を備える。
遅延量制御部50は、遅延素子52から構成される遅延ライン51を2つ備え、各遅延ライン出力の位相を比較する位相比較器53、平均化フィルタ54からなり、第1の実施形態の遅延量制御部11と同様の構成となっている。
また、オーバーサンプリング部70は供給される2つのクロックREFCKPおよびREFCKMにより多相データs[0:7]を取り込み、オーバーサンプリングデータOVSD[0:15]を出力する。
オーバーサンプリング部70は例えばFF0からFF15からなるサンプリングFF部71と並列化部72で構成される。
サンプリングFF部71は位相シフト部60で生成した等間隔の位相差をもつ受信データDataを、基準クロックREFCLKP、REFCKMの立ち上がり(または立ち下り)のタイミングでサンプリングされる。サンプリングFF部71の出力は位相シフト部60で生成した位相差をもつ。
並列化部72は位相差をもって入力されるデータD0〜D15を1つのクロックに同期したパラレルデータとして出力する。
また、シンボルデータ復元部80はオーバーサンプリングデータOVSDからシンボルデータSYMとシンボルクロックSYMCLKを生成する。
【0025】
第1、2の実施形態では並列化部32で入力データD0〜15のデータレート及びバス幅を変えずにタイミングだけを調整して出力しているが、並列化部72の直前または直後にバス幅を大きくしてデータレートを下げるシリアルパラレル変換を施してからシンボルデータ復元部80に出力することもできる。
遅延量制御部50において、第1の実施形態で述べた原理と同様に、基準電圧VREFがバイアスされている遅延ライン51とロック電圧DLYBがバイアスされている遅延ライン51の位相差が90°(100ピコ秒)となるようにロック電圧DLYBがロックする。基準電圧VREFがバイアスされている遅延素子52とロック電圧DLYBがバイアスされている遅延素子52の遅延時間の差は100ピコ秒の4分の1だから25ピコ秒となる。
本実施形態では周波数2.5GHzのクロックを入力するので、高速動作が可能なアナログ乗算器(図示せず)を用い、平均化フィルタ54は1次ローパスフィルタを用いるが、高速動作を必要としないシステムではこの限りではなく、一般的な排他的論理和(XOR)ゲートを用いた位相比較器を用いることもできる。
また、本実施形態では遅延ライン51を構成する遅延素子52を4個としたが、より小さな位相差を得るためには遅延ライン51を構成する遅延素子52の総数を増やすことで対応できる。
【0026】
次に本実施例の主要な構成である位相シフト部60について説明する。位相シフト部60は8個の遅延ライン61で構成される。基準バイアスVREFと遅延量制御部50で生成したロックバイアスDLUYBが入力される。各遅延ライン61は8個の遅延素子62を直列に接続して構成される。位相シフト部60の遅延ライン61は遅延量制御部50の遅延ライン61と同じ遅延素子を用いて等負荷で設計される。また、位相シフト部60の遅延ライン61と遅延量制御部50の遅延ライン51は同様の電気的特性を求められるので同一レイアウトで設計される。
位相シフト部60の8個の遅延ライン61の構成は同じだが、各遅延ライン61で基準電圧VREF及びロック電圧DLYBにバイアスされる遅延素子62の数が異なる。
下記の表3に各データs[0:7]とそれを生成する遅延ラインを構成する8個の遅延素子のうちVREFにバイアスされる個数およびDLYBにバイアスされる個数および遅延時間をまとめる。ただし遅延時間は基準電圧VREFでバイアスされた遅延素子62の遅延時間をXピコ秒とする。
[表3]

【0027】
例えばS0を生成する遅延ライン61では構成する8個の遅延素子62は全て基準電圧VREFにバイアスされているので遅延ライン61の入力と出力の遅延時間は8Xピコ秒となる。一方S1を生成する遅延ライン61では8個の遅延素子62のうち7個の遅延素子は基準電圧VREFにバイアスされ、1個の遅延素子はロック電圧DLYBにバイアスされるので遅延ライン61の入力と出力の遅延時間は8X+25ピコ秒となる。従って隣り合うデータの位相差は25ピコ秒となる。
本実施形態の位相シフト回路を含むデータリカバリ回路では位相差25ピコ秒の微小な位相差を持つ8位相の多相クロックでの高精度のオーバーサンプリングを実現することができる。
また、本実施形態の位相シフト回路では所定の位相差(ここでは25ピコ秒)が遅延素子の遅延時間とならない。つまり、遅延素子単体の遅延時間に比べて微小な位相差を実現することが可能である。
すなわち、位相シフト回路の分解能と遅延素子1段の遅延時間が独立なので、より位相差の微小な位相シフト回路を生成することができる。
また、遅延素子を高速に動作させる必要がないため、従来回路に比べて遅延素子の消費電流を抑制することができる。
【0028】
本実施形態では、例として基準クロックを2.5GHzとし、データレートを5Gbpsのシリアルデータのデータリカバリ回路を想定しているが、基準クロック及びデータレートはこの限りではなく、あらゆる基準クロックおよびデータレートに適応できる。
また、本実施形態では、遅延量制御部50において、遅延ライン51を2つ、位相比較器53、平均化フィルタ54を1つずつ備えた構成にしたが、第2の実施形態の場合のように、遅延ライン51を例えば3つとし、その場合位相比較器53、平均化フィルタ54をそれぞれ2つ備えて、2種類以上の遅延量を発生させるバイアスを生成するようにしてもよい。
このように構成しても、位相シフト回路の分解能と遅延素子1段の遅延時間が独立なので、より位相差の微小な位相シフト回路を生成することができる。また遅延素子を高速に動作させる必要が無いために消費電流の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態である多相クロック生成回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図。
【図2】遅延素子15の例を示す図。
【図3】遅延量制御部11でDLYBがロックするまでの動作過程を示す図。
【図4】本発明の第2の実施形態である多相クロック生成回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図。
【図5】本発明の第3の実施形態である位相シフト回路を含むオーバーサンプリング型データリカバリ回路を示す図。
【図6】従来から用いられているオーバーサンプリング型のCDR回路の構成図。
【図7】特許文献1のデータリカバリ回路を説明する図。
【図8】8相の遅延を発生させるDLLの一例を示す図。
【図9】図8の遅延生成部300を構成する遅延素子303の一例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
10 多相クロック生成部、10a 多相クロック生成部、11 遅延量制御部、11a 遅延量制御部、12 遅延ライン、12a 遅延ライン、13 位相比較器、14 平均化フィルタ、15 遅延素子、20 クロック遅延部、20a クロック遅延部、21 遅延ライン、21a 遅延ライン、22 遅延素子、30 オーバーサンプリング部、31 サンプリングFF部、32 並列化部、40 シンボルデータ復元部、50 遅延量制御部、51 遅延ライン、52 遅延素子、53 位相比較器、54 平均化フィルタ、60 位相シフト部、61 遅延ライン、62 遅延素子、70 オーバーサンプリング部、71 サンプリングFF部、72 並列化部、80 シンボルデータ復元部、100 多相クロック生成部、101 データサンプリング部、203 多相クロック生成部、204 フリップフロップ、205 並列化部、206 オーバーサンプリング部、207 シンボルデータ復元部、208 データ選択部、209 デシリアライザ、210 選択信号生成部、211 コンマ検出部、300 遅延生成部、301 位相比較器、303 遅延素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した2つの遅延ラインと、前記2つの遅延ラインの出力の位相差を検出する位相比較器と、前記位相比較器の出力を平均化する平均化フィルタと、を備え、前記2つの遅延ラインのうち一方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に前記平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、
複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせたクロック遅延部と、
を備え、前記クロック遅延部の各遅延ラインに基準クロックを入力することにより、所定の位相差を持つ多相クロックを生成することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項2】
1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した複数の遅延ラインと、前記複数の遅延ラインのうち、1つの遅延ラインと、他の各遅延ラインとの位相差を検出する複数の位相比較器と、各位相比較器の出力を平均化する複数の平均化フィルタと、を備え、前記複数の遅延ラインのうち1つの遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他の各遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に各平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、
複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせたクロック遅延部と、
を備え、前記クロック遅延部の各遅延ラインに基準クロックを入力することにより、所定の位相差を持つ多相クロックを生成することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項3】
請求項1又2記載の多相クロック生成回路で生成したクロックを用いてオーバーサンプリングを行うことを特徴とするオーバーサンプリング回路。
【請求項4】
1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した2つの遅延ラインと、前記2つの遅延ラインの出力の位相差を検出する位相比較器と、前記位相比較器の出力を平均化する平均化フィルタと、を備え、
前記2つの遅延ラインのうち一方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に、基準電圧を接続し、他方の遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に前記平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、
複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせた位相シフト部と、
を備え、
前記位相シフト部の各遅延ラインにシリアルデータパターンを入力して、所定の位相差を持つシリアルデータパターンを生成することを特徴とする位相シフト回路。
【請求項5】
1対の入出力端子と、遅延量制御端子と、を備え、前記遅延量制御端子にバイアスした電圧に応じた遅延量を発生させる遅延素子を複数個直列に接続して構成した複数の遅延ラインと、前記複数の遅延ラインのうち、1つの遅延ラインと、他の各遅延ラインとの位相差を検出する複数の位相比較器と、各位相比較器の出力を平均化する複数の平均化フィルタと、を備え、前記複数の遅延ラインのうち1つの遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に基準電圧を接続し、他の各遅延ラインを構成する前記遅延素子の前記遅延量制御端子に各平均化フィルタの出力が接続されることで各遅延ラインの出力が所定の位相差を持つように制御する遅延量制御部と、
複数かつ同数個の前記遅延素子を直列に接続して構成した複数の遅延ラインを備え、各遅延ラインにおける前記基準電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数と及び前記平均化フィルタの出力電圧を前記遅延量制御端子に接続した前記遅延素子の数の組み合わせを異ならせた位相シフト部と、
を備え、
前記位相シフト部の各遅延ラインにシリアルデータパターンを入力して、所定の位相差を持つシリアルデータパターンを生成することを特徴とする位相シフト回路。
【請求項6】
請求項4又5記載の位相シフト回路を用いて生成した多相シリアルデータパターンを用いてオーバーサンプリングを行うことを特徴とするオーバーサンプリング回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−16545(P2010−16545A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173562(P2008−173562)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】