説明

多結晶シリコンの製造方法、薄膜トランジスタ、その製造方法及びそれを含む有機電界発光表示装置

【課題】薄膜トランジスタ、その製造方法及びそれを含む有機電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と絶縁されているゲート電極と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁膜と、前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極とを含み、前記第1の半導体層上部に前記第2の半導体層が位置することを特徴とする薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンの製造方法、薄膜トランジスタ、その製造方法、及びそれを含む有機電界発光表示装置に関し、より詳しくは、金属触媒を用いて結晶化された半導体層の金属触媒の濃度を調節して電気的に特性の優れる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びそれを含む有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多結晶シリコン層は、高い電界効果移動度と高速動作回路に適用可能であって、CMOS回路構成が可能であるとの長所を有するため、薄膜トランジスタ用半導体層の用途として多く用いられる。このような多結晶シリコン層を用いる薄膜トランジスタは、主に、アクティブマトリクス液晶表示装置(AMLCD)の能動素子と有機電界発光素子(OLED)のスイッチング素子及び駆動素子として使用される。
【0003】
前記非晶質シリコンを多結晶シリコンに結晶化する方法には、固相結晶化法、エキシマレーザ結晶化法、金属誘導結晶化法及び金属誘導側面結晶化法などがあるが、固相結晶化法は、非晶質シリコン層を、薄膜トランジスタを用いるディスプレイ素子基板を形成する物質であるガラスの変形温度の約700℃以下の温度で数時間ないし数十時間にかけてアニーリングする方法であり、エキシマレーザ結晶化法はエキシマレーザを非晶質シリコン層に走査して超短時間に局所的な高温で加熱して結晶化する方法であり、金属誘導結晶化法はニッケル、パラジウム、金、アルミニウムなどの金属を非晶質シリコン層に接触させたり注入したりして、前記金属により非晶質シリコン層に多結晶シリコン層への相変化が誘導される現象を用いる方法であり、金属誘導側面結晶化法は金属とシリコンとが反応して生成するシリサイドが側面に継続伝播しながら順に非晶質シリコン層の結晶化を誘導する方法を用いる結晶化方法である。
【0004】
しかし、前記の固相結晶化法は、工程時間が長く、高温で長期間熱処理するため、基板の変形が生じやすい短所を有する。そして、エキシマレーザ結晶化法は、高価のレーザ装置が必要なだけでなく、多結晶化の表面に突起が発生して半導体層とゲート絶縁膜との界面特性が悪くなるとの短所がある。
【0005】
現在、金属を用いて非晶質シリコン層を結晶化する方法は、固相結晶化よりも低い温度で短時間に結晶化するという長所を有するため多く研究されている。金属を利用する結晶化方法は、金属誘導結晶化(MIC、Metal Induced Crystallization)方法、金属誘導側面結晶化(MILC、Metal Induced Lateral Crystallization)方法及びSGS結晶化(Super Grain Silicon Crystallization)方法などがある。
【0006】
薄膜トランジスタの特性を決定する重要な要素のうちの一つが漏洩電流であるが、特に前記の金属触媒を用いて結晶化された半導体層には、前記金属触媒がチャンネル領域に残留して漏洩電流が増加することがある。ここで、チャンネル領域での残留金属触媒の濃度を制御しないと、薄膜トランジスタの漏洩電流が増加して電気的特性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国出願公開第2008−0061733号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは、金属触媒を利用して結晶化された半導体層を用いる薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層に残留する残留金属触媒を最小化し、特性の向上された薄膜トランジスタとその製造方法及びその薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、薄膜トランジスタ、その製造方法及びそれを含む有機電界発光表示装置に関し、基板と、前記基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と絶縁されているゲート電極と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁膜と、前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極とを含み、前記第1の半導体層の上部に前記第2の半導体層が位置することを特徴とする薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供する。
【0010】
また、基板と、前記基板上に位置するバッファ層と、前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と絶縁されているゲート電極と、前記第1の半導体層及び第2の半導体層と前記ゲート電極とを絶縁するゲート絶縁膜と、前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、前記ソース/ドレイン電極上に位置する絶縁膜と、前記絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極に電気的に接続する第1の電極、有機膜層及び第2の電極と、を含むことを特徴とする有機電界発光表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、金属触媒を用いて結晶化した半導体層を有する薄膜トランジスタ及びその製造方法とそれを含む有機電界発光表示装置を提供することであって、従来の金属触媒を用いて結晶化した半導体層よりも結晶粒が大きく、残留金属が少なく優れた半導体層を形成する方法を提供することであって、スレッショルド電圧、Ioff特性の向上した薄膜トランジスタ及びその製造方法とそれを含む有機電界発光表示装置を提供することによって、特性の向上した素子を生産することができる 。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1B】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1C】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1D】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1E】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1F】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1G】本発明に係る多結晶シリコン層の製造方法を示す図である。
【図1H】本発明に係る第1の金属触媒結晶化領域を示す写真である。
【図1I】本発明に係る第2の金属触媒結晶化領域を示す写真である。
【図2A】本発明に係るトップゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図2B】本発明に係るトップゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図2C】本発明に係るトップゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図3A】本発明に係るボトムゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図3B】本発明に係るボトムゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図3C】本発明に係るボトムゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図3D】本発明に係るボトムゲート薄膜トランジスタを示す図である。
【図4】本発明に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は上記の実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は上述の説明によって限定されず、特許請求の範囲に記載された事項によってのみ限定される。
【0014】
図1Aから図1Gは、本発明の第1の実施例に係る結晶化工程の断面図を示す。
【0015】
図1Aに示すように、ガラスまたはプラスチックの基板100上にバッファ層110を形成する。前記バッファ層110は、化学的気相蒸着法または物理的気相蒸着法を用いてシリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜のような絶縁膜を用いて単層またはそれらの積層の構造に形成する。このとき、前記バッファ層110は、前記基板100から発生する水分または不純物の拡散防止や、結晶化時に熱の伝達速度を調節して非晶質シリコン層の結晶化がよく行われるようにする役割をする。
【0016】
続いて、前記バッファ層110上に第1の非晶質シリコン層120を形成する。この場合、前記非晶質シリコン層120は、化学的気相蒸着法または物理的気相蒸着法を用いることができる。また、前記第1の非晶質シリコン層120を形成する際、または、形成した後に脱水素処理して水素濃度を減少させる工程を行うことができる。
【0017】
次に、前記第1の非晶質シリコン層120を多結晶シリコン層に結晶化させる。本発明では、MIC法、MILC法またはSGS法などのような金属触媒を利用した結晶化方法を用いて前記第1の非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する。このとき、結晶化した多結晶シリコン層領域を第1の金属触媒結晶化領域として定義する。
【0018】
一方、本願発明では、前記結晶化法のうち好適な実施例としてSGS結晶化法について、以下のように説明する。
【0019】
前記SGS法は、非晶質シリコン層に拡散する金属触媒の濃度を低濃度に調節して結晶粒の大きさを数μmないし数百μmに調節する結晶化方法である。前記非晶質シリコン層に拡散する金属触媒の濃度を低濃度に調節するための一実施例として、前記非晶質シリコン層上にキャッピング層を形成し、前記キャッピング層上に金属触媒層を形成した後、熱処理して金属触媒を拡散させることができ、工程によってはキャッピング層の形成なしに、金属触媒層を低濃度に形成することによって、拡散する金属触媒の濃度を低濃度に調節することもできる。図1Bは、前記第1の非晶質シリコン層上に、キャッピング層と金属触媒層とを形成する工程の断面図である。
【0020】
図1Bに示すように、前記第1の非晶質シリコン120上にキャッピング層130を形成する。このとき、前記キャッピング層130は、後の工程で形成される金属触媒が熱処理工程を介して拡散するシリコン窒化膜で形成することが好ましく、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との複層を用いることができる。前記キャッピング層130は、化学的気相蒸着法または物理的気相蒸着法などのような方法で形成される。このとき、前記キャッピング層130の厚さは1〜2000Åで形成される。前記キャッピング層130の厚さが1Å未満の場合は前記キャッピング層130が拡散する金属触媒の量を調節することができなく、2000Åを超えた場合は前記非晶質シリコン層120に拡散する金属触媒の量が少なくて多結晶シリコン層に結晶化することが困難である。
【0021】
続いて、前記キャッピング層130上に金属触媒を蒸着して金属触媒層140を形成する。このとき、前記金属触媒は、Ni、Pd、Ag、Au、Al、Sn、Sb、Cu、Tr、及びCdからなる群から選択されるいずれか1つを用いることができるが、好ましくは、ニッケル(Ni)が用いられる。このとき、前記金属触媒層140は、前記キャッピング層130上に1011〜1015atoms/cmの面密度で形成されるが、前記金属触媒が1011atoms/cmの面密度よりも小さく形成された場合には結晶化の核となるシードの量が少なく前記第1の非晶質シリコン層がSGS法による多結晶シリコン層に結晶化することができない。そして、前記金属触媒が1015atoms/cmの面密度よりも多く形成された場合には第1の非晶質シリコン層に拡散する金属触媒の量が多くて多結晶シリコン層の結晶粒は小さく、また、残留する金属触媒の量が多くなるため、前記多結晶シリコン層をパターニングして形成された半導体層の特性が低下する。
【0022】
図1Cは、前記基板を熱処理し、金属触媒を、キャッピング層を介して拡散させて第1の非晶質シリコン層の界面に移動させる工程の断面図である。
【0023】
図1Cに示すように、前記バッファ層110、第1の非晶質シリコン層120、キャッピング層130及び金属触媒層140が形成された前記基板100を熱処理150して前記金属触媒層140の金属触媒のうち一部を前記第1の非晶質シリコン層120の表面に移動させる。すなわち、前記熱処理150によって前記キャッピング層130を通過して拡散する金属触媒140a、140bのうち、微量の金属触媒140bだけが前記第1の非晶質シリコン層120の表面に拡散されて、大部分の金属触媒140aは前記非晶質シリコン層120に到達することができないか、または前記キャッピング層130を通過することができない。
【0024】
したがって、前記第1の非晶質シリコン層120の表面に到達する金属触媒の量は前記キャッピング層130の拡散阻止能力によって決定されるが、前記キャッピング層130の拡散阻止能力は前記キャッピング層130の厚さに密接な関係がある。すなわち、前記キャッピング層130の厚さが厚いほど拡散する量は小さくなるため結晶粒の大きさは大きくなり、そして、厚さが薄いほど拡散する量は多くなるため結晶粒の大きさは小さくなる。
【0025】
このとき、前記熱処理150工程は、200〜900℃、より好ましくは350〜500℃の温度範囲で数秒ないし数時間行われて前記金属触媒を拡散させることになるが、上記の温度及び時間で行った場合、過熱処理工程による基板の変形などを防止することができるため、製造コストや歩留まりの面で好ましい。前記熱処理150工程は、炉工程、RTA(Rapid Thermal Annealing)工程、UV工程またはレーザ工程のうちいずれか1つの工程を用いることができる。
【0026】
図1Dは、拡散された金属触媒により第1の非晶質シリコン層が多結晶シリコン層に結晶化する工程の断面図である。
【0027】
図1Dに示すように、前記キャッピング層130を通過して前記第1の非晶質シリコン層120の表面に拡散された金属触媒140bにより前記第1の非晶質シリコン層120が第1の金属触媒結晶化領域160Aに結晶化される。すなわち、前記拡散した金属触媒140bが非晶質シリコン層のシリコンと結合して金属シリサイドを形成し、前記金属シリサイドが結晶化の核となるシードを形成するため非晶質シリコン層が多結晶シリコン層に結晶化されて第1の金属触媒結晶化領域を形成し、第1の金属触媒結晶化領域を第1のSGS結晶化領域として定義する。
【0028】
一方、図1Dでは、前記キャッピング層130と金属触媒層140とを除去せず前記熱処理150工程を行ったが、金属触媒を前記第1の非晶質シリコン層120上に拡散して結晶化の核となる金属シリサイドを形成した後、前記キャッピング層130と金属触媒層140とを除去して熱処理することによって多結晶シリコン層を形成してもよい。
【0029】
図1Eないし図1Gに示すように、上記のように結晶化を行いながら、前記キャッピング層130及び金属触媒層140を除去して後に、前記第1の金属触媒結晶化領域160A上に第2の非晶質シリコン層165を形成することができる。
【0030】
その後、前記第1の非晶質シリコン層120を熱処理した場合と同様に、熱処理を実施する。上記のように熱処理を行うと、第1の金属触媒結晶化領域160Aに残っている残留金属触媒160aが上部の第2の非晶質シリコン層165に拡散してシードが形成され、前記第2の非晶質シリコン層165が第2の金属触媒結晶化領域170Aに結晶化される。前記第2の金属触媒結晶化領域170Aは、前記第1の金属触媒結晶化領域160Aに残っている残留金属触媒により結晶化されたものであって、残留金属触媒量は第2の金属触媒結晶化領域170Aの量が第1の金属触媒結晶化領域160Aの量よりも少ない。前記第2の金属触媒結晶化領域170Aは第2のSGS結晶化領域として定義し、前記第2のSGS結晶化領域は前記第1のSGS結晶化領域での残留金属触媒が拡散して結晶化された領域である。
【0031】
また、前記第2のSGS結晶化領域である第2の金属触媒結晶化領域170Aの結晶粒は、第1のSGS結晶化領域である第1の金属触媒結晶化領域160Aの結晶粒大きさの3〜4倍程度の大きさを有する特徴がある。そして、前記結晶化領域の表面をエッチングして観察した場合、第1の金属触媒結晶化領域160Aの表面にはシードが存在するのに対し、第2の金属触媒結晶化領域170Aには下部からシードが形成されて上部に成長するため、シードが表面から見えず、結晶粒境界も微かで不明確である。したがって、第2の金属触媒結晶化領域は、第1の金属触媒結晶化領域よりも結晶粒の境界が少なく含まれており、また、少なく含まれたために電荷移動に対するバリアーが少なく、電気的特性が優れる。
【0032】
図1Hは前記第1の金属触媒結晶化領域160Aの表面を撮影した写真であり、図1Iは前記第2の金属触媒結晶化領域170Aの表面を撮影した写真である。
【0033】
図1H及び図1Iに示すように、上記の図1Gは前記第1の金属触媒結晶化領域の表面であって、上述したように、結晶粒内のシードを目で確認することができて、結晶粒境界(グレーンバウンダリ)が明確である。しかし、第1の金属触媒結晶化領域内の残留金属触媒により結晶化された第2の金属触媒結晶化領域を調べると、結晶粒の境界が薄くグレーンバウンダリが微かで、シードが存在しない。前記第2の金属触媒結晶化領域は、下部の第1の金属触媒結晶化領域と第2の金属触媒結晶化領域との接触している部分でシードが存在していて、その部分から結晶が成長するため、シリコン層を何回かエッチングした場合、第2の金属触媒結晶化領域の下部にシードが存在していることが分かる。そして、前記第2の金属触媒結晶化領域は、第1の金属触媒結晶化領域の残留金属触媒により結晶化されたものであるので、第2の金属触媒結晶化領域の残留金属触媒量が第1の金属触媒結晶化領域の残留金属触媒量よりも少ない。
【0034】
よって、上記のような相違点に基づいて第1のSGS結晶化領域である第1の金属触媒結晶化領域と第2のSGS結晶化領域である第2の金属触媒結晶化領域とを区別することができる。
【0035】
図2Aないし図2Cは、本発明の第1の実施例に係る多結晶シリコン層の製造方法を用いてトップゲート薄膜トランジスタを製造する工程を示す断面図である。
【0036】
図2Aに示すように、図1Gの前記第1の金属触媒結晶化領域160A及び第2の金属触媒結晶化領域170Aを含む基板100の第1の金属触媒結晶化領域160A及び第2の金属触媒結晶化領域170Aをパターニングして第1の半導体層160及び第2の半導体層170を形成する。前記第1の半導体層160は第1のSGS結晶化領域であり、前記第2の半導体層170は第2のSGS結晶化領域である。
【0037】
図2Bに示すように、前記第1の半導体層170を含む基板100の全面にわたってゲート絶縁膜180を形成する。前記ゲート絶縁膜180は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはそれらの二重層とすることができる。
【0038】
続いて、前記ゲート絶縁膜180上に、アルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金の単一層や、クロム(Cr)またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が積層された多重層のゲート電極用金属層(図示せず)を形成し、フォトエッチング工程で前記ゲート電極用金属層をエッチングして前記第1の半導体層170のチャンネル領域に対応する部分にゲート電極185を形成する。
【0039】
図2Cに示すように、前記ゲート電極185を含む基板100全面にわたって層間絶縁膜190を形成する。ここで、前記層間絶縁膜190はシリコン窒化膜、シリコン酸化膜またはそれらの多重層とすることができる。
【0040】
続いて、前記層間絶縁膜190及び前記ゲート絶縁膜180をエッチングして前記第2の半導体層170のソース/ドレイン領域を露出するコンタクトホールを形成する。前記コンタクトホールを介して前記ソース/ドレイン領域に接続するソース/ドレイン電極200a、200bを形成する。ここで、前記ソース/ドレイン電極200a、200bは、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−ネオジム(Al−Nd)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)、モリブデン合金(Mo alloy)、アルミニウム合金(Al alloy)、及び銅合金(Cu alloy)のうちから選択されるいずれか1つで形成される。これで、前記半導体層170、前記ゲート電極185及び前記ソース/ドレイン電極200a、200bを含む薄膜トランジスタが完成される。
【0041】
表1は、本発明の実施例に係る第2のSGS結晶化領域と従来の第1のSGS結晶化領域に形成される半導体層の特性とを比較した表である。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例は、半導体層について上述したように、金属触媒を用いて第1の金属触媒結晶化領域を形成した後、前記第1の金属触媒結晶化領域上に残留する金属触媒により2次的な結晶化を行って形成する第2の金属触媒結晶化領域を形成した後に半導体層に形成した場合であって、比較例は、一般の金属触媒により第1の金属触媒結晶化領域を形成した後に、それを半導体層に形成した場合である。
【0044】
表1に示すように、第1の金属触媒結晶化領域からのシード拡散により結晶化した第2のSGS結晶化領域である第2の金属触媒結晶化領域からなる半導体層は、第1のSGS結晶化領域の第1の金属触媒結晶化領域よりもスレッショルド電圧が低く、そして電子移動度が好ましく、Sファクタも小さい。また、実施例に係る第2の金属触媒結晶化領域の場合は優れたオフ電流特性を有する。
【0045】
図3Aないし図3Cは、本発明の第1の実施例に係る多結晶シリコン層の製造方法を用いて形成したボトムゲート薄膜トランジスタを製造する工程の断面図である。以下で、特に記述した場合を除いては、上記の実施例を参照するものとする。
【0046】
図3Aに示すように、基板300上にバッファ層310を形成する。前記バッファ層310上にゲート電極用金属層(図示せず)を形成し、フォトエッチング工程で前記ゲート電極用金属層をエッチングしてゲート電極320を形成する。続いて、前記ゲート電極320が形成された前記基板300上にゲート絶縁膜330を形成する。
【0047】
次に、図3Bに示すように、前記ゲート絶縁膜330上に第1の非晶質シリコン層を形成した後、上記の図1の実施例のように金属触媒を用いて前記非晶質シリコン層を結晶化して第1のSGS結晶化領域である第1の金属触媒結晶化領域340Aに形成する。その後、前記第1の金属触媒結晶化領域340A上に第2の非晶質シリコン層を形成した後、第2の非晶質シリコン層を第1の実施例で用いた方法と同一方法によって第1の金属触媒結晶化領域内の残留金属触媒拡散による第2の金属触媒結晶化領域350Aを形成する。
【0048】
次に、図3Cに示すように、前記第1の金属触媒結晶化領域340A及び第2の金属触媒結晶化領域350Aを有する基板300の第1の金属触媒結晶化領域340A及び第2の金属触媒結晶化領域350Aをパターニングして第1の半導体層340及び第2の半導体層350を形成する。前記第1の半導体層340は第1のSGS結晶化領域であり、第2の半導体層350は第2のSGS結晶化領域である。
【0049】
続いて、前記基板300上に、ソース/ドレイン導電膜を形成してパターニングし、ソース/ドレイン電極360a、360bを形成する。ここで、前記ソース/ドレイン電極360a、360bは、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−ネオジム(Al−Nd)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、銅(Cu)、モリブデン合金(Mo alloy)、アルミニウム合金(Al alloy)、及び銅合金(Cu alloy)のうちから選択されるいずれか1つで形成される。これで、前記第1の半導体層340、第2の半導体層350、前記ゲート電極320及び前記ソース/ドレイン電極360a、360bを含むボトムゲート薄膜トランジスタが完成される。
【0050】
図4は、本発明の第1の実施例を用いて形成したトップゲート薄膜トランジスタを含む有機電界発光表示装置の断面図である。
【0051】
図4に示すように、本発明の図2Cの実施例に係る薄膜トランジスタを含む前記基板100全面に絶縁膜210を形成する。前記絶縁膜210は、無機膜であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜またはSOGのうちから選択されるいずれか1つまたは有機膜であるポリイミド、ベンゾシクロブテン系樹脂またはアクリレ−トのうちから選択されるいずれか1つで形成される。また、前記無機膜と前記有機膜の積層構造で形成することもできる。
【0052】
前記絶縁膜210をエッチングして前記ソースまたはドレイン電極200a、200bを露出するビアホールを形成する。前記ビアホールを介して前記ソースまたはドレイン電極200a、200bのうちからいずれか1つに接続する第1の電極220を形成する。前記第1の電極220は、アノードまたはカソードで形成することができる。前記第1の電極220がアノードの場合、前記アノードは、ITO、IZOまたはITZOのうちいずれか1つからなる透明導電膜で形成することができ、カソードの場合、前記カソードは、Mg、Ca、Al、Ag、Baまたはそれらの合金を用いて形成することができる。
【0053】
続いて、前記第1の電極220上に、前記第1の電極220の表面の一部を露出する開口部を有する画素定義膜230を形成し、前記露出された第1の電極220上に発光層を含む有機膜層240を形成する。前記有機膜層240には正孔注入層、正孔輸送層、正孔抑制層、電子抑制層、電子注入層及び電子輸送層からなる群から選択される1つまたは複数層をさらに含むことができる。続いて、前記有機膜層240上に第2の電極250を形成する。これで、本発明の一実施例に係る有機電界発光表示装置が完成される。
【0054】
したがって、本発明の実施例に係る多結晶シリコン製造方法を用いた薄膜トランジスタ及び有機電界発光表示装置の半導体層は、従来のSGS法による半導体層よりも特性の向上した優れた素子であって、ディスプレイとしてより効果的である。
【符号の説明】
【0055】
100 基板 110 バッファ層
120 非晶質シリコン層
130 キャッピング層
140 金属触媒層
140a 金属触媒
140b 金属触媒
150 熱処理
140 金属触媒層
140a 金属触媒
140b 金属触媒
150 熱処理
160A 金属触媒結晶化領域
160a 残留金属触媒
165 非晶質シリコン層
170A 金属触媒結晶化領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層と絶縁されているゲート電極と、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層と前記ゲート電極を絶縁するゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、を含み、
前記第1の半導体層上部に前記第2の半導体層が位置することを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記第1の半導体層及び第2の半導体層は、金属触媒による多結晶シリコン層であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記第1の半導体層は第1のSGS結晶化領域であり、前記第2の半導体層は第2のSGS結晶化領域であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記第1の半導体層内には、前記第2の半導体層よりも金属触媒量がさらに多いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記第2の半導体層の結晶粒の大きさは、前記第1の半導体層の結晶粒の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、を含み、
前記第1の半導体層上部に第2の半導体層が位置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極を含む基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、前記ゲート電極に対応するように位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、を含み、
前記第1の半導体層上部に第2の半導体層が位置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
基板を用意する工程と、
前記基板上に位置するバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上に第1の半導体層及び第2の半導体層を形成する工程と、
前記基板全面にわたってゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極を形成する工程と、を含み、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層は金属触媒により結晶化された多結晶シリコン層であり、前記第2の半導体層は前記第1の半導体層内の金属触媒により結晶化されることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
基板を用意する工程と、
前記基板上にバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上に第1の非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記第1の非晶質シリコン層上に金属触媒層を形成する工程と、
前記基板を熱処理して前記第1の非晶質シリコン層を第1の金属触媒結晶化領域に結晶化する工程と、
前記第1の金属触媒結晶化領域上に第2の非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記第2の非晶質シリコン層を熱処理して第2の金属触媒結晶化領域に形成する工程と、
前記第1の金属触媒結晶化領域及び前記第2の金属触媒結晶化領域をパターニングして第1の半導体層及び第2の半導体層に形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第1の非晶質シリコン層と前記金属触媒層との間にキャッピング層をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記熱処理は、350〜500℃で行うことを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記金属触媒層は、Ni、Pd、Ag、Au、Al、Sn、Sb、Cu、Tr、及びCdからなる群から選択されるいずれか1つで形成することを特徴とする請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
基板を用意する工程と、
前記基板上に位置するバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上にゲート電極を形成する工程と、
前記基板全面にわたってゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に前記ゲート電極と対応するように第1の半導体層及び第2の半導体層を形成する工程と、
前記第2の半導体層の一部を開口させ、前記第2の半導体層に接続するソース/ドレイン電極を形成する工程と、を含み、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層は金属触媒により結晶化された多結晶シリコン層であり、前記第2の半導体層は前記第1の半導体層内の金属触媒により結晶化されることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
基板を用意する工程と、
前記基板上にバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層上にゲート電極を形成する工程と、
前記基板全面にわたってゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に第1の非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記第1の非晶質シリコン層上に金属触媒層を形成する工程と、
前記基板を熱処理して前記第1の非晶質シリコン層を第1の金属触媒結晶化領域に結晶化する工程と、
前記第1の金属触媒結晶化領域上に第2の非晶質シリコン層を形成する工程と、
前記第2の非晶質シリコン層を熱処理して第2の金属触媒結晶化領域に形成する工程と、
前記第1の金属触媒結晶化領域及び前記第2の金属触媒結晶化領域をパターニングして第1の半導体層及び第2の半導体層に形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記第1の非晶質シリコン層と前記金属触媒層との間にキャッピング層をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記熱処理は、350〜500℃で行うことを特徴とする請求項14に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記金属触媒層は、Ni、Pd、Ag、Au、Al、Sn、Sb、Cu、Tr、及びCdからなる群から選択されるいずれか1つで形成することを特徴とする請求項14に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層と絶縁されているゲート電極と、
前記第1の半導体層及び第2の半導体層と前記ゲート電極を絶縁するゲート絶縁膜と、
前記ゲート電極と絶縁され、前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極上に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極と電気的に接続する第1の電極、有機膜層及び第2の電極と、
を含むことを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項19】
前記第1の半導体層及び第2の半導体層は、金属触媒による多結晶シリコン層であることを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項20】
前記第1の半導体層は第1のSGS結晶化領域であり、前記第2の半導体層は第2のSGS結晶化領域であることを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項21】
前記第1の半導体層内には、前記第2の半導体層よりも金属触媒量がさらに多いことを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項22】
前記第2の半導体層の結晶粒の大きさは、前記第1の半導体層の結晶粒の大きさよりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項23】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、を含み、
前記第1の半導体層上部に第2の半導体層が位置することをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項24】
基板と、
前記基板上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層上に位置するゲート電極と、
前記ゲート電極を含む基板全面にわたって位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、前記ゲート電極に対応するように位置する第1の半導体層及び第2の半導体層と、
前記第2の半導体層に一部が接続するソース/ドレイン電極と、を含み、
前記第1の半導体層上部に第2の半導体層が位置することをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の有機電界発光表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図1H】
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【図1I】
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【公開番号】特開2010−157676(P2010−157676A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96106(P2009−96106)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】