説明

対象物を検出するための方法及び装置

【課題】動的明条件の影響を受けることがより少なく、及び/又は三次元の対象物の動き及び/又は存在に対する感度がより高い対象物検出システムを提供する。
【解決手段】1つ又はそれより多いパターンを監視範囲上に投影し、当該監視範囲の1つ又はそれより多い生の像を捕捉し、且つ生の像内の1つ又はそれより多いパターンの変化を検出する。パターンの変化は、監視範囲内の地形的変化を、従って監視範囲内の対象物の侵入又は動きを指示し得る。パターンが監視範囲上に投影されるので、周囲の照明条件の変化は、対象物検出システムの効力への影響がより少ない。監視範囲内の対象物を検出するのを支援するため、モアレ干渉パターンが用いられる。モアレ干渉パターンは特に、そのモアレ干渉パターンを生成するのに用いられる2つ又はそれより多い基となるパターン間の相対的動きに対して感度が高い。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この出願は、2001年1月19日に出願され、発明の名称が「モアレ干渉を用いた対象物検出(Object Detection Using Moire Interference)」である同時係属米国仮特許出願Serial No.60/262,925に対して米国特許法第119条(e)(1)の下で優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、対象物検出に関し、より詳細には、監視範囲又は領域内での対象物侵入及び/又は存在の検出に関する。
【0003】
発明の背景
動きの検出及び対象物検出システムは当該技術において周知である。しばしば、そのようなシステムは、ユーザが規定した範囲を監視して、対象物が監視範囲に入る又はそこを通るときを検出する。そのようなシステムは、典型的には、監視範囲の像を捕捉することができる像捕捉装置(典型的には、ビデオ・カメラ又はスチル・カメラ)を、そして必要ならば、捕捉した像をディジタル化する装置を含む。対象物が監視範囲に入ったか否かを検出しようとして、ディジタル化された像が解析される。ディジタル化された像を解析して、対象物が監視範囲に入ったときを決定するための多くの異なる既知の方法及びアルゴリズムがある。最も共通の方法の1つは、一般的に、変化検出方法と呼ばれる。
【0004】
変化の検出は、多くの場合、現在の生の像と参照像との間の差を検査することにより達成される。なお、その参照像は、監視範囲の静止背景(静的背景)のみを含む。参照像は、一時的な対象物が視野に無い場合その参照像が見えるであろうような監視範囲の表示と考えられることができる。変化検出アルゴリズムは、多くの場合、2つのディジタル化された像を入力として取り込み、そしてそれらの像間の差が識別される視野の中の位置を戻す。
【0005】
対象物検出システムは、動的照明条件を有する環境において一般に用いられる。例えば、産業環境において、移動する影が、監視範囲又は領域上に落とされる場合があり、それは、周囲の照明条件の著しい変化を引き起こす場合がある。変化検出アルゴリズムを用いて対象物を検出する対象物検出システムを含む多くの既存の対象物検出システムは、そのような影及び/又は他の動的照明条件により脅かされる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、動的照明条件の影響を受けることがより少なく、及び/又は三次元の対象物の動き及び/又は存在に対する感度がより高い対象物検出システムを提供することにより従来技術の多くの上記不利点を克服する。これは、1つ又はそれより多い静的又は動的パターンを監視範囲上へ投影し、上記の1つ又はそれより多いパターンを含む上記監視範囲の1つ又はそれより多い生の像を捕捉し、且つ選択された捕捉された像内の1つ又はそれより多いパターンの変化を検出することにより上記監視範囲内の対象物を検出することにより達成されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の例証的実施形態においては、単一のパターンが監視範囲上に投影される。次いで、監視範囲の1つ又はそれより多い生の像が、選択された時間に捕捉され、そして解析されて、上記の投影されたパターンの変化を検出する。当該パターンの変化は、監視範囲内の地形的変化を、従って監視範囲内の対象物の侵入又は動きを指示し得る。パターンが監視範囲上に投影されるので、周囲の照明条件の変化は、対象物検出システムの効力への影響がより少ない。
【0008】
別の例証的実施形態においては、監視範囲内の対象物を検出するのを支援するため、モアレ干渉パターンが用いられる。モアレ干渉パターンは特に、そのモアレ干渉パターンを生成するのに用いられる2つ又はそれより多い基となるパターン間の相対的動きに対して感度が高い。そのように、モアレ干渉パターンの使用は、監視範囲に侵入する対象物を検出するのに非常に効果的であることができる。
【0009】
モアレ干渉パターンは、多数の任意の方法で生成し得る。例えば、2つ又はそれより多い類似のパターンが、監視範囲上にオフセット(中央線を外して置かれた)照明位置から投影され得る。代替として、又は追加として、1つのパターンが、監視範囲上に投影され得る一方、別のパターンが、像捕捉装置の像平面に位置したパターン化された回折格子により加えられ(impose)得る。モアレ干渉パターンを生成する更に別の方法は、投影された単一のパターンを有し、且つ一方の像の他方の像に対する位置をディジタルに又は光学的に回転し又はさもなければが変化させる同じ範囲の2つの像を捕捉して、モアレ干渉パターンを生成する方法である。多数の任意の他の方法がまた、希望通りに、モアレ干渉パターンを生成するため用い得る。
【0010】
モアレ干渉パターンを用いるとき、監視範囲の1つ又はそれより生の像は、選択された時間に捕捉され得る。次いで、その像を解析して、モアレ干渉パターンの変化を検出し得る。モアレ干渉パターンの変化は、監視範囲の地形的変化を、従って当該監視範囲内の対象物の侵入又は動きを指示し得る。モアレ干渉パターンを用いる利点は、周囲照明条件における影及び/又は他の変化が、モアレ干渉パターンの位置、周波数又は他の特性に少ししか、又は全く影響しないことである。投影されたパターンが周囲光により圧倒されるのを防止するのを支援するため、通常周囲照明条件で見つけられないスペクトル又は照明周波数の一部、例えば近赤外線のようなものを用いて、1つ又はそれより多いパターンを監視範囲に投影することを意図している。
【0011】
本発明は、ユーザが規定した安全区域における人又は他の対象物の侵入を監視するため用い得る。しかしながら、安全、記録、及び他の監視及び/又は検出応用を含む多数の他の応用にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1A及び図1Bは、本発明に従った1つの例証的対象物検出システムを示す概略図である。
【図2】図2A及び図2Bは、本発明に従った他の例証的対象物検出システムを示す概略図である。
【図3】図3A及び図3Bは、本発明の幾つかの実施形態に従って用いることができる2つの例示的パターンを図示する。
【図4】図4A及び図4Bは、本発明の他の実施形態に従って用いることができる2つの例示的パターンを図示する。
【図5】図5Aから図5Cは、本発明に従ったモアレ干渉現象の一例を図示する。
【図6】図6Aから図6Cは、それぞれ、本発明の一実施形態に従った例示的参照像、生の像、及び比較像を図示する。
【図7】図7は、本発明に従った例証的方法を示すフロー図である。
【図8】図8は、本発明に従った別の例証的方法を示すフロー図である。
【図9】図9は、本発明に従った更に別の例証的方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、図面を参照して読むべきであり、そこにおいて、類似の参照番号は、幾つかの図面全体を通して類似の構成要素を示す。詳細な説明及び図面は、選択された例証的実施形態を表し、制限することを意図するものでは無い。
【0014】
本発明は、動的照明条件の影響を受けることがより少なく、及び/又は対象物の動き及び/又は存在に対する感度が従来技術のシステムより高い対象物検出システムを提供する。このシステムはまた、監視範囲内に侵入する全ての三次元外部対象物に対して感度が高い。これは、例えば、1つ又はそれより多い静的又は動的パターンを監視範囲上へ投影し、上記の1つ又はそれより多いパターンを含む上記監視範囲の1つ又はそれより多い像を捕捉し、且つ選択された捕捉された像内の1つ又はそれより多いパターンの変化を検出することにより上記監視範囲内の対象物を検出することにより達成され得る。
【0015】
図1A及び図1Bは、本発明に従った第1の例証的対象物検出システムを示す概略図である。図1Aの例証的対象物検出システムは、照明源2、像捕捉装置4、像記憶装置6、及び処理装置8を含む。幾つかの実施形態においては、照明源2、像捕捉装置4、像記憶装置6、及び処理装置8は、共通装置内に統合化されているが、一方他の実施形態においては、希望に応じて、別々の装置が設けられる。
【0016】
照明源2は、天井近くのように、監視範囲14の上に配置される。照明源2は、監視範囲14を所望のパターンを用いて照明する。そのパターンは、例えば、パターン化された回折格子を通して投影すること、干渉縞がフェーザー又は波長シフトすることにより形成される干渉パターンを投影すること、走査機構用いてパターンを投影すること、又は任意の他の適切な方法のいずれかにより発生され得る。
【0017】
前述したように、パターンは、静的又は動的であり得る。動的パターンは、明るい範囲及び暗い範囲の空間的位置が動いていて、そして一般的にその動きが性質上周期的であるパターンである。動的モアレ・パターンを実現する1つの方法は、干渉パターンをマッハ−ツェンダー干渉計から投影する方法である。なお、マッハ−ツェンダー干渉計は、鏡をペソ−アクチュエータ(peso−actuator)上に含み得る。鏡の動きの周波数は、干渉縞の動きの周波数を決定し得る。監視範囲14は、希望に応じて、長方形、円形、又は任意の他の形状であり得ることを意図している。図1Bに示されるように、例証的監視範囲14は、機械18の3つの側部の周りに延在する。
【0018】
照明源2は、所望のパターンを監視範囲14上に投影することができる任意の種類の照明源であり得ることを意図している。適切な照明源2の例には、パターン化されたマスク及び照明光学機器を備える白熱又は蛍光ランプが含まれる。適切な照明源2の他の例には、変調された光−縞照明モジュールのようなレイジング源、又はパターン化された回折格子を均一に照明するレーザ・ダイオード源であって、その回折格子の像が監視範囲上に対物投影レンズを用いて再度形成される当該レーザ・ダイオード源が含まれる。適切な照明源2の更に別の例は、赤外線源であり得る。近赤外線のような、通常周囲照明条件で見つけられないスペクトルの一部を用いることは、投影されたパターンが周囲照明条件により圧倒されるのを防ぐことを支援し得て、そしてまた投影されたパターンとその環境内の他の照明源との間の区別を強化するのを支援し得る。その上、又は代替として、像捕捉装置は、照明源のスペクトルのような所望のスペクトルに合わされているセンサ(CCD又は類似のもの)であり得る。
【0019】
照明源2は、少なくとも1つのパターンを監視範囲14上に投影するのが好ましい。用いられるパターンは、当面の特定の応用に依存し得る。例えば、1つの例証的実施形態においては、パターンは、照明を持つ範囲(例えば、明るい範囲)と照明が欠けている範囲(例えば、暗い範囲)との間の遷移を有する任意のパターンであり得る。一般的に、上記の遷移同士間の平均距離は、検出が希望される最小対象物とほぼ同じ大きさであるべきであるが、しかしこれは必ずしも必要ではない。適切なパターンの例は、縞を付された又は市松模様の板パターンを含み、そのパターンでは照明された範囲と非照明の範囲とが交互に並んでいる。幾つかの例証的パターンが図3A及び図3B、及び図4A及び図4Bに示されているが、しかし任意の適切なパターンを用い得る。
【0020】
一度照明されると、そして1つの例証的実施形態においては、像捕捉装置4は、監視範囲14の参照像を捕捉する。参照像は、一時的対象物が監視範囲14内に無い監視範囲14の像であることが好ましい。参照像は、少なくとも一時的に像記憶装置6に格納されるのが好ましい。新しい参照像が、所望ならば、周期的に捕捉され得る。一度、参照像が捕捉されると、像捕捉装置4は、監視範囲14の連続的な生の像を、好ましくは選択された時間間隔で捕捉し得る。参照像と同様に、生の像は、少なくとも一時的に像記憶装置6に格納されるのが好ましい。像記憶装置6は、参照像及び生の像を処理のため処理装置8に与え得る。
【0021】
処理装置8は、生の像を解析して、照明されたパターンの変化を検出するのが好ましい。幾つかの実施形態においては、監視範囲が、マスク窓と呼ばれるある一定数の像セグメントに分割される。各マスク窓の大きさは、その大きさが検出を希望される最小対象物のおおよその大きさより大きく無いように選定されるのが好ましい。マスク窓より小さい対象物が検出され得る一方、そのような対象物の検出の確率が対象物の大きさと共に低減する。様々なマスク窓の位置は、監視されるべき範囲全体が複数の重なっているマスク窓によりカバーされるように選定され得る。各マスク窓に対応する像範囲は、希望される場合、対象物検出のため別々に解析され得る。その上、希望される場合、様々なマスク窓を解析するため用いられる解析方法は像毎に異なり、そしてトリガされた応答は、どのマスク窓が対象物を検出するかに依存し得ることを意図している。
【0022】
参照像と生の像との比較は、多数の任意の方法で達成されることができる。1つの方法は、単純に像のピクセル毎の比較を、例えば一方の像から他方の像を差し引くことによるように行う方法である。監視範囲内での対象物の侵入又は動きが無い場合、2つの像内の投影されたパターンは実質的に相殺されるであろう。しかしながら、監視範囲内での対象物の侵入又は動きが有る場合、一方の像内に示される投影されたパターンの一部は、シフトされ、又はさもなければ他方の像内に示されるパターンに対して変形され得る。更に以下に説明されるように、閾値を用いて、参照像と生の像との間に十分な差が有るかどうかを決定して、検出された対象物を指示することを支援し得る。
【0023】
1つの像を別の像と比較する別の方法は、パターンの明るい範囲(例えば、マスク窓におけるような)に対応する輝度レベルの値と、参照像のマスク窓内の暗い範囲に対応する輝度レベルの値との差「gref」を計算する方法である。生の像のマスク窓に対して、類似の計算を行い得る。第2の計算が第1の計算から指定した量だけ異なるときは常に、変化を推論し得る。像を比較するこの方法及び他の方法の更なる説明は、発明の名称が「対象物検出(Object Detection)」である同時係属米国特許出願Serial No. に含まれており、本明細書に援用されている。
【0024】
1つの像を別の像と比較する更に別の方法は、各ピクセルと幾つかの隣接ピクセルとの間の相関を、及び/又は選択された特徴同士間の相関を測定し、次いで相関値同士を比較する方法である。相関値が指定した量だけ異なるときは常に、変化を推論し得る。代替として、又は追加として、像解析は、フーリエ変換を用いて、モアレ空間周波数及び位相を抽出し得る。また、例えば、鮮明でないマスキング、閾化、対照セグメント化、フィルタリング処理、スケルトン化(骨格化)処理、多重解解析、変形可能な輪郭モデル化、像クラスタリング、形態学等を含む他の像解析技術を用い得る。これらの比較方法は、単に例証であることを意味し、そして、応用に応じて、任意の適切な方法を用いて、像又は当該像の選択された特性を比較し得ることを意味する。
【0025】
参照像及び/又は生の像は、それらが比較される前に、事前処理され得ることも意図している。例えば、参照像及び/又は生の像がフィルタに与えられ得て、そのフィルタは、スペックルを取り除き、平滑化し、強度全体を変え、又はさもなければ像をきれいにするのを支援する。
【0026】
照明されたパターン内で検出された変化は、監視範囲14内の地形的変化を、従って監視範囲14内の対象物の侵入又は動きを指示し得る。対象物が検出されたとき、処理装置8は、警報を鳴らし、機械18を停止し、及び/又は何か他の警報又は動作を与え得る。検出された対象物が存在している状態の監視範囲の像は、後続の解析のため保持され、及び/又は希望される場合監視局に送られ得る。
【0027】
図2A及び図2Bは、本発明に従った更に他の例証的対象物検出システムを示す概略図である。図2Aにおいて、照明源2は、放射源20、対物投影レンズ22及びパターン化された回折格子24を含む。例証的実施形態において、パターン化された回折格子24は、所望のパターンを監視範囲14上に与える。モアレ干渉パターンを生成するに適切な任意のパターンを用い得ることを意図している。幾つかの適切なパターンが図4A及び図4Bに示されている。別々のパターン化された回折格子を設けることとは異なり、照明源2自体が、希望される場合、所望のパターンを与えるよう構成され得る。
【0028】
図2Aに示される例証的実施形態において、像捕捉装置4は、監視範囲14の第1の像を第2の回折格子26を通して捕捉する。第2の回折格子26は、所望のパターンを生成する任意の種類の回折格子、フィルタ又はマスクであり得る。幾つかのケースにおいて、第2の回折格子26は、像捕捉装置4自身のCCDピクセル・アレイにより与えられ得る。第1の回折格子24及び第2の回折格子26は、モアレ干渉パターンをその中に含む生の像を集合的に生成するのが好ましい。幾つかの実施形態においては、第2のパターンは、希望される場合、生の像が捕捉された後で、その生の像上にディジタルに加えられ得る。像捕捉装置4は、生の像を像記憶装置28に送信する。なお、その像記憶装置28はまた、図示の実施形態において、処理装置を含み得る。
【0029】
照明源2及び像捕捉装置4の位置は、互いにある距離だけ離れていることが好ましい。この距離は、小から大まであり得る。この間隔は、地形的変化が監視範囲14で生じたとき像捕捉装置4に到達するパターンの変化を助長するよう支援し得る。典型的には、上記間隔は、投影されたパターンの分解能が増大されるにつれ大きくなるべきである。最後に、警報装置30が、像記憶装置28に取り付けられ得て、そして対象物を検出すると直ぐに作動され得る。
【0030】
図2Bにおいては、2つの別々のパターンを監視範囲14上に投影するための2つの照明源36及び38が設けられている。照明源36は、放射源40、対物投影レンズ42及びパターン化された回折格子44を含む。照明源36は、第1のパターンを監視範囲14上に投影するのが好ましい。同様に、照明源38は、放射源46、対物投影レンズ48及びパターン化された回折格子50を含む。照明源38は、第2のパターンを監視範囲14上に投影するのが好ましい。第1のパターン及び第2のパターンは、集合的に、モアレ干渉パターンを監視範囲14上に形成するようにさせるのが好ましい。
【0031】
像捕捉装置4を用いて、監視範囲14の生の像を捕捉する。上記と同様に、像捕捉装置4は、像記憶装置及び処理装置を含み得る。生の像を解析して、時間に対するモアレ干渉パターンの変化を検出するのが好ましい。モアレ干渉パターンの変化は、監視範囲14内の地形的変化を、従って監視範囲14内の対象物の侵入又は動きを指示し得る。
【0032】
図2A及び図2Bの両方に示される例証的実施形態は、モアレ干渉パターンをその結果生じる生の像内に与えるようにさせる。像解析は、図1A及び図1Bに関して前述した像解析と似ていてよい。代替として、又は追加として、像解析は、フーリエ変換を用いてモアレ空間周波数及び位相を抽出し得る。また、例えば、鮮明でないマスキング、閾化、対照セグメント化、フィルタリング処理、スケルトン化処理、多重解解析、変形可能な輪郭モデル化、像クラスタリング、形態学等を含む他の像解析技術を用い得る。代替として、又は追加として、ラドン・フィルタを、モアレ干渉バンド(又はモアレ干渉縞)に対して垂直に指向させ得て、そして参照像からのフィルタリングされた結果と生の像からのフィルタリングされた結果との間の相関の任意の損失は、モアレ干渉バンドの変化を指示し得る。
【0033】
図5Aから図5Cは、本発明に従ったモアレ干渉現象の一例を図示する。図5Aは、監視範囲上に投影された第1のパターンの像を示す。第1のパターンは、垂直方向に延在するある一定数の並行線を含む。図5Bは、第2のパターンが第1のパターン上に重畳されている、監視範囲の像を示す。第2のパターンは、垂直方向に対して半径方向にずれている方向に延在するある一定数の線を含む。図示の例証的実施形態において、監視範囲の表面は、球形状であり、ある一定数の湾曲したモアレ干渉バンド50をもたらす。図5Cは、対象物52が監視範囲内に位置されているその監視範囲の像を示す。対象物52は、図5Bに関係したモアレ干渉バンドの変化を起こす。上記で示したように、モアレ干渉バンドは、監視範囲内の地形的変化に非常に敏感であり、その変化は、図示の実施形態において、三次元の対象物52の監視範囲の中への導入により示されている。
【0034】
図6Aから図6Cはそれぞれ、唯1つのパターンが監視範囲上に投影され、且つ回折格子が監視範囲と像捕捉装置との間に配置されていない場合の例証的な参照像、生の像及び比較像を図示する。図6Aに示される像は、監視範囲の参照像である。図6Bに示される像は、手が監視範囲に置かれたときの監視範囲の像である。図6Cに示される像は、図6Aに示される像と図6Bに示される像との比較(例えば、減算)から生じる像である。分かることができるように、図6Cに示される像は、境界を含む対象物を監視範囲内で強調する。その上、仮想の干渉バンドが、対象物の中及びその周りに現れる。ある環境の下では、公差又は閾を設けることが望ましく、当該公差又は閾より下では、差が照明条件における、又は異なる時間に同じ範囲から取られた像間における正常な変化のみに起因しそうである。この公差は、間違った積極性の尤度を低減し、そしてシステムの信頼性を増大し得る。
【0035】
図7は、本発明に従った例証的方法を示すフロー図である。この例証的方法は、ステップ70で入り、そこにおいて、閾値が選択される。次いで、制御は、ステップ72に通される。ステップ72は、監視範囲を1つのパターンを用いて照明する。前述したように、パターンは、任意の適切なパターンであり得る。次いで、ステップ74は、監視範囲の参照像を捕捉する。この参照像は、監視範囲の静止背景のみを含み、一時的対象物は存在しない。幾つかの実施形態においては、参照像は、ステップ88に示されるように、手動開始を行うと直ぐに捕捉/更新されることができる。
【0036】
次いで、ステップ76は、監視範囲の生の像を捕捉する。ステップ78は、参照像と生の像とを比較して、差のパラメータを決定する。上記で詳述したように、参照像と生の像との比較は、多数の任意の方法で達成されることができる。1つの方法は、単純に像のピクセル毎の比較を、例えば一方の像を他方の像から差し引くことによるように行う方法である。監視範囲内での対象物の侵入又は動きが無い場合、2つの像内の投影されたパターンは、実質的に相殺されるであろう。しかしながら、監視範囲内での対象物の侵入又は動きがある場合、一方の像内に示された投影されたパターンの一部は、シフトされ得て、又はさもなければ他方の像内に示されたパターンに対して変形され得る。
【0037】
別の方法は、パターンの明るい範囲(例えば、マスク窓におけるような)に対応する輝度レベルの値と参照像のマスク窓内の暗い範囲に対応する輝度レベルの値との間の差「gref」を計算する方法である。生の像のマスク窓に対して、類似の計算を行い得る。更に別の方法は、各ピクセルと幾つかの隣接ピクセルとの間の相関を、及び/又は選択された特徴同士間の相関を測定し、次いで相関値同士を比較する方法である。他の例証的方法には、フーリエ変換、鮮明でないマスキング、閾化、対照セグメント化、フィルタリング処理、スケルトン化処理、多重解解析、変形可能な輪郭モデル化、像クラスタリング、形態学等を用いて、モアレ空間周波数及び位相を抽出することが含まれる。これらの比較方法は、単に例証であることを意味し、そして、応用に応じて、任意の適切な方法を用いて、像、又は当該像の選択された特性を比較し得る。
【0038】
また、参照像及び/又は生の像は、それらが比較される前に事前処理され得ることを意図している。例えば、参照像及び/又は生の像がフィルタに与えられて、そのフィルタは、スペックルを取り除き、平滑化し、強度全体を変え、又はさもなければ像をきれいにするのを支援し得る。
【0039】
ステップ80は、ステップ78において識別された差がステップ70において指定された閾値を越えているか否かを決定する。差が閾値を越えて場合、制御はステップ82に通される。ステップ82は、対象物が監視範囲内に存在することを信号で知らせる。次いで、幾つかの実施形態においては、例えば、警報を鳴らすこと、機械を停止すること、及び/又はある他の警報又は動作を与えることのような動作が取られる。差が閾値を越えていない場合、制御はステップ84に通される。ステップ84は、対象物が監視範囲内に存在しないことを信号で知らせ、そして制御はステップ86に通される。
【0040】
ステップ86は、更新された参照像が望ましいか否かを決定する。照明条件が監視範囲内又はその周りで動的である場合のようなある環境の下では、参照像を周期的に更新するのは有利であり得る。更新された参照像が望ましいことが決定された場合、制御はステップ74に通される。ステップ74は、参照像を前の生の像を用いて更新する。代替として、希望される場合、対象物が監視範囲内に入ってしまわない限り、新しい参照像を捕捉し得る。更新された参照像を必要としないことが決定された場合、制御はステップ76に通され、そこにおいて新しい生の像が捕捉される。
【0041】
図8は、本発明に従った別の例証的方法を示すフロー図である。その例証的方法はステップ90で入り、そこにおいて閾値が選択される。次いで、制御はステップ92に通される。ステップ92は、監視範囲を第1のパターンを用いて照明する。ステップ94は、第1のパターンに対して第2のパターンを加える。ステップ94は、例えば、監視範囲を第2のパターンを用いて照明し、又は回折格子が、希望される場合、監視範囲と像捕捉装置との間に配置され得る。
【0042】
次いで、ステップ96は、監視範囲の参照像を捕捉する。その参照像は、監視範囲の静止した背景のみを含み、一時的対象物が存在しないことが好ましい。幾つかの実施形態において、参照像は、110で示されるように、手動開始を行うと直ぐに捕捉/更新されることができる。
【0043】
ステップ98は、監視範囲の生の像を捕捉する。ステップ100は、参照像と生の像とを比較して、選択された差を決定する。ステップ102は、ステップ100で識別された差がステップ90で指定された閾値を越えているか否かを決定する。差が閾値を越えている場合、制御はステップ104に通される。ステップ104は、対象物が監視範囲内に存在することを信号で知らせる。幾つかの実施形態において、例えば、警報を鳴らすこと、機械を停止すること、及び/又はある他の警報又は動作を与えることのような動作が取られる。差が閾値を越えていない場合、制御はステップ106に通される。ステップ106は、対象物が監視範囲内に存在しないことを信号で知らせ、そして制御はステップ108に通される。
【0044】
ステップ108は、更新された参照像が望ましいか否かを決定する。照明条件が監視範囲内又はその周りで動的である場合のようなある環境の下では、参照像を周期的に更新することが有利であり得る。更新された参照像が望ましいことが決定された場合、制御はステップ96に通される。ステップ96は、参照像を前の生の像を用いて更新する。代替として、希望される場合、対象物が監視範囲内に入ってしまわない限り、新しい参照像を捕捉し得る。更新された参照像を必要としないことが決定された場合、制御はステップ98に通され、そこにおいて新しい生の像が捕捉される。
【0045】
図9は、本発明に従った更に別の例証的方法を示すフロー図である。この例証的方法はステップ120で入り、そこにおいて閾値が選択される。次いで、制御はステップ122に通される。ステップ122は、監視範囲を少なくとも1つのパターンを用いて照明する。ステップ124は、監視範囲の2つ又はそれより多いマスク窓の参照像を捕捉する。各マスク窓は、監視範囲内の副範囲又は領域に対応するのが好ましい。幾つかの実施形態において、参照像は、ステップ140で示されるように、手動開始を行うと直ぐに捕捉/更新されることができる。
【0046】
ステップ126は、監視範囲内の各マスク窓の生の像を捕捉する。次いで、各マスク窓に対して、ステップ128は、参照像と生の像とを比較して、それらの差を決定する。幾つかの実施形態において、参照像及び生の像の選択されたマスク窓は、差比較アルゴリズムを用いて比較される。ステップ130は、ステップ128で識別された差のいずれかがステップ120で指定された閾値を越えているか否かを決定する。幾つかの実施形態において、各マスク窓、又はマスク窓の各群は、異なる閾値を有する。
【0047】
これらの差のいずれかが閾値を越えている場合、制御はステップ132に通される。ステップ132は、対象物が監視範囲内に存在することを信号で知らせる。幾つかの実施形態において、例えば、警報を鳴らすこと、機械を停止すること、及び/又はある他の警報又は動作を与えることのような動作が取られる。幾つかの実施形態において、その動作は、どのマスク窓が対象物を検出するかに依存し得る。例えば、1つのマスク窓に対して、上記の動作は警報を鳴らすことを含み得て、一方別のマスク窓に対して、上記の動作は監視範囲内で機械を停止することを含み得る。いずれの事象においても、差が閾値を越えていない場合、制御はステップ134に通される。ステップ134は、対象物が監視範囲内に存在しないことを信号で知らせ、そして制御はステップ136に通される。
【0048】
ステップ136は、更新された参照像が望ましいか否かを決定する。更新された参照像が望ましいことが決定された場合、制御はステップ124に通される。ステップ124は、参照像を前の生の像を用いて更新する。代替として、希望される場合、対象物が監視範囲内に入ってしまわない限り、新しい参照像を捕捉し得る。更新された参照像を必要としないことが決定された場合、制御はステップ126に通され、そこにおいて監視範囲のマスク窓の新しい生の像が捕捉される。
【0049】
本発明は様々な修正及び代替形式の余地があるが、本発明の特定の例が、図面に示され、そして本明細書に詳細に説明された。しかしながら、本発明は、開示された特定の形式又は方法に制限されるものでは無く、それと反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に入る全ての変更、均等物及び代替物を含むべきであることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視範囲に侵入する対象物を検出する方法であって、
監視範囲上にパターンを投影するステップと、
前記パターンを含む、前記監視範囲の生の像を捕捉するステップと、
ある変化が前記生の像内の前記パターンで検出されたとき、前記監視範囲に侵入する対象物を検出するステップと、を備え、
前記投影するステップは、それぞれが1つの輝度レベルを持つ、明るい範囲及び暗い範囲を有する指定されたパターンを用いて監視範囲上にパターンを投影するステップと、
前記捕捉するステップは、各参照マスク窓が前記監視範囲の少なくとも一部をカバーする、複数の参照像マスク窓を捕捉するステップと、各参照像マスク窓に対して、前記マスク窓内の明るい範囲に対応する輝度レベルと前記マスク窓内の暗い範囲に対応する輝度レベルとの間の差を計算するステップと、各参照像マスク窓に対して、対応する生の像マスク窓を捕捉するステップと、各生の像マスク窓に対して、前記マスク窓内の明るい範囲に対応する輝度レベルと前記マスク窓内の暗い範囲に対応する輝度レベルとの間の差を計算するステップを含み、
前記検出するステップは、任意のマスク窓に対して、前記生の像のために計算された差が対応する参照像のために計算された差から少なくとも指定された閾値だけ異なる場合、対象物が監視範囲に侵入したことを指示するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記投影するステップは、監視範囲に第1のパターン用いて照明するステップと、前記第1のパターンに対してシフトされた第2のパターンを加えることにより、モアレ干渉バンドを生成するステップを含み、
前記捕捉するステップは、前記モアレ干渉バンドを含む、前記監視範囲の生の像を捕捉するステップを含み、
前記検出するステップは、ある変化が前記生の像内の前記モアレ干渉バンドで検出されたとき、前記監視範囲に侵入する対象物を検出するステップを含む、
請求項1に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−211805(P2010−211805A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69909(P2010−69909)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【分割の表示】特願2003−505889(P2003−505889)の分割
【原出願日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】