説明

導電性配線材料、配線基板の製造方法及びその配線基板

【課題】導電性配線材料、配線基板の製造方法及びその配線基板を提供する。
【解決手段】本発明による配線基板の製造方法は、複数の第1金属ナノ粒子と上記複数の第1金属ナノ粒子より小さな粒径を有する複数の第2金属ナノ粒子を含んで、低温焼成によって上記第2金属ナノ粒子が溶融され上記第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる配線材料をベースフィルムに印刷する段階及び、その配線材料の印刷されたベースフィルムを低温焼成する段階を含んでおり、上記低温焼成によって第2金属ナノ粒子が溶融され第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性配線材料、配線基板の製造方法及びその配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器及び情報端末機器などが小型、軽量化になることに伴って器機内部に使われる電子部品も次第に小型化になって行く趨勢である。したがって、電子部品内に実装のため配線パターンのサイズも次第に小さくなり、配線パターンの幅や配線間のスペースも細くなる趨勢である。すなわち、微細配線の形成が要求されているのである。このような微細配線を形成するため配線材料に含まれる金属粒子の大きさがナノサイズまで至っている。
【0003】
特に、微細配線を形成するために既存の腐食法に利用されるスクリーン印刷方式を利用することは限界がある。最近では、インクジェット印刷方式のようにノズルを利用して金属粒子を印刷し微細配線を形成する方式が頭をもたげている。インクジェット印刷方式によって形成される配線の場合、配線幅や配線間の間隔は印刷される配線材料の量にだけよることになるので、この印刷方式による場合どんな配線材料を選択するのかが大事な問題になる。
【0004】
特に、最近、回路間隔が数mm以下の微細配線を形成するためには数十μmのノズルが要求されている。このような微細ノズルを有するインクジェットプリンタで配線材料を印刷する場合、配線材料内の金属ナノ粒子の大きさは、使われるインクジェットプリンタのノズル大きさの1/100ないし1/1000位であればノズルの支えることなく安定的な工程を遂行することができる。したがって、数μmの金属粒子を含む配線材料を使うということは、ノズルの支えることと単位配線内に含まれる金属粒子がいくつしかならないので形成される配線が不均一になる問題点がある。また、配線基板の電気伝導度と電気信頼度を確保することにも問題がある。
【0005】
また、微細回路配線を含む基板も最近では薄くて曲げることができ、小型、軽量化になった電子製品に適するものが要求される。例えば、軟性回路基板、軟硬性回路基板、軟性多層基板などがあげられる。このような基板に使われるベースフィルムとしてポリマーフィルムが適するが、このポリマーフィルムは上記のような長所にもかかわらず800℃以上の焼成温度に耐えなくてその使用に制限があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低温焼成によっても微細回路配線を形成することができる導電性配線材料を提供する。また、本発明は、このような配線材料を利用した配線基板の製造方法及びその配線基板を提供する。
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる導電性配線材料、配線基板の製造方法及びその配線基板を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、複数の第1金属ナノ粒子と上記複数の第1金属ナノ粒子より小さな粒径を有する複数の第2金属ナノ粒子を含んで、低温焼成によって上記第2金属ナノ粒子が溶融され上記第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる導電性配線材料を提示することができる。
ここで、金属ナノ粒子は、金、銀、銅または、白金などの導電性金属であることができるしこれらの混合物であることもできる。
【0008】
好ましい実施例によれば、第1金属ナノ粒子の粒径は10ないし500nmの範囲で、第2金属ナノ粒子の粒径は1ないし10nmの範囲で選択されることができる。
ここで、第1金属ナノ粒子対上記第2金属ナノ粒子の体積比は1:1ないし1:3のことができる。
好ましい実施例によれば、この配線材料は粘度が1ないし50cpsのインク形態であることができる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、上記のような配線材料をベースフィルムに印刷する段階及び、配線材料の印刷されたベースフィルムを低温焼成する段階を含んで、上記低温焼成によって第2金属ナノ粒子が溶融され第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる配線基板の製造方法を提示することができる。
好ましい実施例によれば、このベースフィルムはポリマーの絶縁性フィルムであり、配線材料をベースフィルムに印刷する方式はインクジェット印刷方式である。
【0010】
ここで、低温焼成の温度は180ないし300℃であることができる。
本発明のまた別の側面によれば、上記のような配線材料をベースフィルムに印刷し、上記配線材料の印刷されたベースフィルムを低温焼成して第2金属ナノ粒子が溶融され第1金属ナノ粒子間の空間を満たした導電性配線を含む配線基板を提示することができる。
【0011】
ここで、低温焼成温度は180ないし300℃であることができる。
好ましい実施例によれば、この導電性配線の比抵抗は12×10-5.5Ωcm以下である。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による導電性配線材料で配線基板を製造すれば、粒径が互いに違う第1金属ナノ粒子と第2金属ナノ粒子の中で、粒径が小さな第2金属ナノ粒子によって焼成温度が決まるので、第2金属ナノ粒子の粒径をナノサイズ効果が著しく起きる大きさに小さくすれば、低温焼成が可能な配線材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
以下、本発明による導電性配線材料、配線基板の製造方法、配線基板の好ましい実施例に対して添付図面を参照して詳しく説明する事にするが、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号にかかわらず同一の構成要素は同じ参照符号を付与してこれに対する重複される説明は略する事にする。
【0015】
また、本発明の好ましい実施例を詳しく説明することに先立って、先ず、金属ナノ粒子の一般的な特性に対して説明する事にする。
【0016】
本発明で'金属ナノ粒子'とは、粒径が数nmないし数百nmの粒子のことである。金属粒子がナノサイズ以下に小くなるとナノサイズ効果を起こす。ここで'ナノサイズ効果'とは、一般的に、普通の材料をナノサイズに到達させる時現われる物理的、化学的特性変化を言う。金属の場合、例えば、ナノサイズ効果を起こす鉄の断熱応力の割合は普通の鉄より12倍も高くて、ナノサイズ効果を有する金の融点は一般的な金の半分の水準である。
【0017】
一般的に、金属の場合、約100nm以下でナノサイズ効果を起こすが、好ましくは50nm、さらに好ましくは10nm以下でナノサイズ効果が著しく現われる。例えば、銀(Ag)の場合、一般的な銀の融点は961.9℃であるが、約100nmから融点が落ち始めて、10nm以下の大きさでは融点が200ないし250℃まで落ちる。
【0018】
このように、金属粒子の粒径をナノサイズ以下に充分に小さくすれば、金属原子の表面拡散は無視することができない位に大きくなり、この表面拡散に起因して粒子相互間の界面延長になる。したがって、ナノサイズ以下に粒子の大きさが小さくなるほど粒子の融点も低くなる。
【0019】
ここで、ナノサイズ効果が著しく起きる大きさ範囲の金属ナノ粒子にて配線を形成すれば、融点が充分に低くて低温焼成が可能になる。しかし、焼成を行った後、金属ナノ粒子の表面が直接接触して凝集体を形成し、結局、金属ナノ粒子の全体が一つの大きなバルク形態になる。この時形成された配線は、金属バルクのように電気伝導度が向上するようだが、小さな粒子が互いに絡み付く過程でホールが発生する確率が急激に増加する。このようなホールは、断線の原因になる。また、金属ナノ粒子間の連結部位が多いので電流の流れもよくないから電気伝導度と電気信頼性が低い。
【0020】
図1は、粒径が一定した金属ナノ粒子より成った配線を含む配線基板の断面図である。図1を参照すれば、焼成の前、粒径が一定した金属ナノ粒子130aより成った配線材料にてベースフィルム110上に配線を形成させれば、焼成の前の配線10aを得ることができる。この焼成の前の配線10a内の粒径が一定した金属ナノ粒子130aは、分散液によってコロイド状態で均衡を維持している。この配線を焼成させると分散液は配線10bから離脱されてしまって、焼成後には焼成の前の粒径の一定した金属ナノ粒子が互いに絡み付くことになる。この時、焼成後に粒径の一定した金属ナノ粒子130bの間にホール150が発生される確率が高い。したがって、電気信頼度が低くなる。また、金属ナノ粒子間の連結部位が多いので電流の流れ190がよくないようになる。
【0021】
図2は、本発明の好ましい一実施例による配線を含む配線基板の断面図である。図2を参照すれば、導電性配線材料は、焼成の前の第1金属ナノ粒子331a間の空間を焼成の前の第2金属ナノ粒子333aが満たしていて、この金属ナノ粒子たちは分散液によってコロイド状態で安定的に分散されている。この導電性配線材料をベースフィルム310上に印刷して焼成の前の配線30aを得ることができる。この配線を低温焼成させると焼成の後、第2金属ナノ粒子333bは溶融され第1金属ナノ粒子331b間の空間を満たすことになる。ここで、焼成の後、第2金属ナノ粒子333bは第1金属ナノ粒子331b間のホールを埋めるようになって、電気信頼度が高くなる。また、焼成の後、第1金属ナノ粒子331b間の連結点が少なくて電流の流れ390がよくなるので電気伝導度の優秀な焼成後の配線30bを含む配線基板を得ることができる。
【0022】
以上のように、導電性配線材料とこの導電性配線材料を利用した配線基板に対して図2を参照して説明したが、以下では、導電性配線材料を構成する構成要素の条件とこの構成要素が導電性配線材料を構成するための条件を説明する事にする。
導電性配線材料は、複数の第1金属ナノ粒子と上記複数の第1金属ナノ粒子より小さな粒径を有する複数の第2金属ナノ粒子を含んで、低温焼成によって上記第2金属ナノ粒子が溶融され上記第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことにならなければならない。
【0023】
[金属ナノ粒子の種類]
ここで、金属ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、鉛、インジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビズマス、錫、亜鉛、チタン、アルミニウム、コバルト、鉄及び、これらの中で二つ以上の金属より成った混合物の中の少なくとも一つであることができる。
特に、配線材料に使われる好ましい金属は、金、銀、白金または、パラジウムである。この金属は単独または、焼成時合金を形成する混合物である。一般的な金属化合物としては、金/白金、パラジウム/銀、白金/銀、白金/パラジウム/金または、白金/パラジウム/銀がある。配線材料に含まれる金属ナノ粒子は、銀(任意ではパラジウムとの混合)、白金及び/または金の中から選択され、特に好ましくは、銀及び、銀/パラジウムの中の一つである。
【0024】
[金属ナノ粒子の大きさ]
最近、回路間隔が数mm以下の微細配線を形成するためには、数十μmのノズルが要求されている。このような微細ノズルをパスするためには、金属ナノ粒子を含む配線材料を使えば、ノズルの支える問題も解決できるし、形成される配線の不均一性も減少させることができ、電気伝導度と電気信頼性の優秀な微細配線を形成するのに適する。
【0025】
好ましい実施例によれば、インクジェット印刷方式に使われるのに適する金属ナノ粒子の粒径は500nm以下である。また、金属の場合、約100nm以下でナノサイズ効果を起こし、10nm以下でナノサイズ効果が著しく起きる。金属ナノ粒子は、10nm以下で融点が200ないし250℃である。
【0026】
低温焼成の温度は、大きさが小さい方の第2金属ナノ粒子の融点によって決まる。したがって、ポリマーフィルムが耐えられる温度の180ないし300℃で低温焼成するために、第2金属ナノ粒子の粒径はナノサイズ効果が著しく起きる10nm以下であるのが好ましい。さらに好ましくは、第2金属ナノ粒子の粒径が1ないし10nmのものである。
【0027】
第1金属ナノ粒子の粒径は、微細配線を形成するためのインクジェットプリンタのノズルをパスすることができるように500nm以下であり、第2金属ナノ粒子の粒径より粒径が大きくなるため10nm以上であるのが好ましい。さらに好ましくは、第1金属ナノ粒子もナノサイズ効果を起こすことができる10ないし100nmである。
【0028】
ここで、上述の好ましい範囲内であれば、配線材料を構成する複数の第1金属ナノ粒子と複数の第2金属ナノ粒子の大きさに対する制限はない。好ましい実施例によれば、優秀な電気伝導度と電気信頼度を得るためには、複数の第1金属ナノ粒子は10ないし500nmで一つの平均粒径を有することができる。また、一定した焼成温度を有するために複数の第2金属ナノ粒子は1ないし10nmで一つの平均粒径を有することができる。
【0029】
[金属ナノ粒子間の体積比]
図3は、本発明の好ましい一実施例による第1金属ナノ粒子の配置を示す概念図である。図3を参照して、金属ナノ粒子間の体積比を説明することにする。大きい粒径の第1金属ナノ粒子の半径をR、小さな粒径の第2金属ナノ粒子の半径をrといい、第1金属ナノ粒子間の空間を第2金属ナノ粒子が全部満たすと仮定する。図3の(a)を参照すれば、第1金属ナノ粒子間が一番近接されられる配置である。この場合、第1金属ナノ粒子間の中心間距離は2Rであって、一辺が2Rである正六面体を仮定する場合、正六面体に第1金属ナノ粒子一つを満たすことができる。
【0030】
したがって、
第1金属ナノ粒子の体積=4/3×π×R
第1金属ナノ粒子間の空間の体積=(2R)-4/3×π×R
第1金属ナノ粒子の体積 : 第2金属ナノ粒子の体積
=4/3×π×R :(2R)-4/3×π×R=1:6/π-1≒1:0.90985
第1金属ナノ粒子対第2金属ナノ粒子の体積比の最小値は1:1になる。
【0031】
また図3の(c)を参照すれば、第1金属ナノ粒子間の距離が最大の場合に対する第1金属ナノ粒子間の配置である。この時、同一平面上の第1金属ナノ粒子間の距離は2Rである。同一平面上の第1金属ナノ粒子間の距離が2R以上であれば、第1金属ナノ粒子間の空間を満たす第2金属ナノ粒子が、第2金属ナノ粒子どうし集まって凝集体を形成する可能性があるから、この距離以上では本発明によって求めようとする好ましい効果を得ることができない。したがって、図3の(d)を参照すれば、一辺の長さが6Rである正六面体を仮定することができる。この正六面体は、一辺の長さが2Rである小さな正六面体27個に分けることができる。小さな正六面体の中、13個には第1金属ナノ粒子が満たされることができ、14個の小さな正六面体は空いていることになる。
【0032】
したがって、
第1金属ナノ粒子の体積=13×4/3×π×R
第1金属ナノ粒子間の空間の体積=14(2R)+{(2R)-(4/3×π×R)}
第1金属ナノ粒子:第2金属ナノ粒子の体積比≒13:41
したがって、第1金属ナノ粒子対第2金属ナノ粒子の体積比の最大値は1:3である。
【0033】
[金属ナノ粒子と配線材料の形態]
金属ナノ粒子の形態は制限されない。球形、回転楕円体、粉末形態、不規則形態または、任意の適当な別の形態であることができる。ここで、配線材料の形態が制限されるのではない。一番好ましくは、第1金属ナノ粒子と第2金属ナノ粒子が分散液によってコロイド状態で安定に分散されているインク形態である。
【0034】
[配線材料の粘度]
ここで、配線材料の粘度は、1ないし1000cpsで選択されることができる。グラビア印刷方式の場合、100ないし500cpsが好ましくて、インクジェット印刷方式の場合、1ないし50cpsが好ましい。
一番好ましい配線材料の形態はインク形態であって、インク形態の配線材料の一番好ましい粘度は1ないし20cpsである。
【0035】
[分散液及び分散剤]
好ましい実施例によれば、インク形態の分散材料の場合、金属ナノ粒子は分散液によって取り囲まれてコロイド状態を維持する。このような金属ナノ粒子は分散剤によって願う粘度で分散されることができるが、分散剤の作用基によって金属ナノ粒子と結合されられる結合点が違うので、分散剤は必要によって適当な重量%で配線材料に含まれることができる。ここで、分散剤は官能基N、OまたはSを有していて、金属ナノ粒子との配位結合が可能な非イオン、カチオン(陽イオン)、アニオン(陰イオン)系界面活性剤を使うことができる。
【0036】
図4は、本発明の好ましい一実施例による配線基板の製造方法を示す順序図である。図4を参照すれば、段階S205で、ベースフィルム310の表面を、後の工程遂行に適合するように洗浄する。段階S210で、上記のように用意したベースフィルム310上に写真法やスクリーン印刷方法によってあらかじめ設計された配線パターンを転写する。
【0037】
段階S215で、湿式法や乾式法によってベースフィルムの表面処理を行う。段階S220は、金属ナノ粒子を含む導電性配線材料を印刷して焼成の前の配線30aを形成する段階である。段階S225では、段階S220から得られた配線が含まれている基板を低温焼成する。段階S220、S225によって、基板上に導電性配線が形成される。
【0038】
段階S230は、基板を積層する段階で多層基板を形成するための必須段階であり、段階S235で、既に形成された導電性パターンに被膜を掛けて部品の実装時行われる半田付け(soldering)過程によって望まない接触が起きないようにする。段階S240で、部品名、部品位置などのシンボルマークを印刷し、段階S245で、HASLなどの工法にて仕上げの表面処理を行う。段階S250で、端子部をメッキし、段階S255で、ホール及び見掛け加工を行って比抵抗の低い、すなわち優秀な電気伝導度を有する配線基板を得ることができる。
【0039】
ここで、配線材料をベースフィルムに印刷する方法は、スクリーン印刷、ディスペンス印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などによって印刷することができる。微細配線を形成するためにはインクジェット印刷方式が好ましい。インクジェット印刷方式には、ピエゾ(Piezo)タイプとサーマル(Thermal)タイプがあるが、このようなタイプに制限されることではない。
【0040】
好ましい実施例によれば、ベースフィルム310としてポリマー絶縁性フィルムを使うことができる。ポリマー絶縁性フィルムの場合180ないし300℃の低温焼成が要求されるが、本発明の配線材料は、第2金属ナノ粒子の融点によって焼成温度が決まるから、このようなポリマー絶縁性フィルムに使用可能な低温焼成導電性配線材料を提供することができる。好ましい実施例によれば、ポリマー絶縁性フィルムとしてポリイミドフィルムを使うことができる。
【0041】
本発明の配線基板の製造方法はその用途が限定されない。例えば、単層、両面または、多層の硬性回路基板、単面または両面の軟性回路基板、硬軟性回路基板、軟性多層基板または、セラミック基板などのプリント回路基板、IC-モジュール、P-BGA、CSP、強化BGAまたは、FC-BGAなどの半導体実装用硬性基板、microBGA、FBGA、TBGAなどの半導体実装用軟性基板、MCM-Lまたは、MCM-Cなどの半導体実装用基板などに使われることができる。好ましくはポリイミドフィルムを使う配線基板の製造方法に使うことができる。
【0042】
上記の好ましい実施例による配線基板の製造方法によって得られた配線基板は、第2金属ナノ粒子が溶融され第1金属ナノ粒子間の空間を満たすから金属ナノ粒子間にホールの形成される確率が低く、第1金属ナノ粒子間の連結点が少なくて電流の流れもよい。また、低い比抵抗のため電気伝導度が優秀である。好ましい実施例によれば、比抵抗が12×10-5.5Ωcm以下の配線基板を得ることができる。
【0043】
以上のように、導電性配線材料、この導電性配線材料を利用する配線基板の製造方法及びその方法によって形成された配線基板を図1ないし図4を参照して説明したが、以下では具体的な実施例を基準にして説明する事にする。
【0044】
[導電性配線材料]
第1金属ナノ粒子と第2金属ナノ粒子は同一または異種の金属を使うことができる。湿式または乾式方法によって合成され、分散液によって安定化された第1銀(Ag)ナノ粒子と第2銀(Ag)ナノ粒子を水または、有機溶媒に分散させた。使われた分散剤は官能基N、O、Sを有していて銀ナノ粒子との配位結合が可能な非イオン、カチオン、アニオン系界面活性剤とした。第1銀ナノ粒子は10ないし500nmの粒径を有して、第2銀ナノ粒子は1ないし10nmの粒径を有するように選択した。銀ナノ粒子を体積比1:1.2、1:1.8、1:3に均一に交ぜた後、ポリマー絶縁性フィルムに印刷した。配線材料の粘度は、目的にしたがって1ないし100cpsに調節が可能であり、インクジェット印刷方式の場合1ないし50cpsが適して、特に1ないし20cpsが好ましい。
【0045】
[配線基板の製造方法及びその配線基板]
インクジェットの印刷方式の中で、ピエゾタイプまたはサーマルタイプの制限はないし、導電性配線形成のためのインク形態の配線材料は上記の配線材料を使った。ここで、配線基板の製造方法に使われる基板は、軟性回路基板(FPCB)、硬軟性回路基板(RF-PCB)、軟性多層基板(MF-PCB)を使うことができる。このような基板に使われるベースフィルムとしてポリマー絶縁性フィルムを使った。インクジェット印刷方式によって100μm位の配線を基板に印刷した後、180ないし300℃で30ないし120分位熱処理した。熱処理条件は、印刷された配線の伝導度を最適化させることができる条件で決まった。得られた配線基板の比抵抗を測定した。
【0046】
[実施例1]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が50nmである銀ナノ粒子と、粒径が5nmである銀ナノ粒子を体積比1:1.2に交ぜた。互いに違う粒径の銀ナノ粒子を均一に交ぜて導電性配線材料を得た。インクジェット印刷方式によって配線材料をポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は200℃で2時間焼成すると完全焼成され、このように形成された配線基板の比抵抗は11.6×10-5.5Ωcmであった。図5は、本発明の好ましい一実施例2によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【0047】
[実施例2]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が50nmである銀ナノ粒子と粒径が5nmである銀ナノ粒子を体積比1:1.8に交ぜた。互いに違う粒径の銀ナノ粒子を均一に交ぜて導電性配線材料を得た。インクジェット印刷方式によって配線材料をポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は200℃で2時間焼成すると完全焼成され、このように形成された配線基板の比抵抗は7.4×10-5.5Ωcmであった。図6は、本発明の好ましい一実施例3によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【0048】
[実施例3]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が50nmである銀ナノ粒子と粒径が5nmである銀ナノ粒子を体積比1:3に交ぜた。互いに違う粒径の銀ナノ粒子を均一に交ぜて導電性配線材料を得た。インクジェット印刷方式によって配線材料をポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は200℃で2時間焼成すると完全焼成され、このように形成された配線基板の比抵抗は7×10-6Ωcmであった。図7は、本発明の好ましい一実施例4によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【0049】
[比較例1]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が5nmである銀ナノ粒子を有機溶媒で均一に分散させた。このような導電性配線材料をインクジェット印刷方式によってポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は220℃で2時間焼成した。このように形成された配線基板の比抵抗は5.5×10-5Ωcmであった。
【0050】
[比較例2]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が50nmである銀ナノ粒子を有機溶媒で均一に分散させて配線材料を得た。インクジェット印刷方式によって配線材料をポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は220℃で2時間焼成したが、完全焼成にならなかった。
【0051】
[比較例3]
湿式または乾式方法によって合成された粒径が50nmである銀ナノ粒子と粒径が5nmである銀ナノ粒子を体積比1:0.6に交ぜた。互いに違う粒径の銀ナノ粒子を有機溶媒で均一に交ぜて導電性配線材料を得た。インクジェット印刷方式によって配線材料をポリマー絶縁性フィルムに吐出させて配線パターンを形成した後、焼成した。焼成温度は200℃で2時間焼成すると完全焼成され、このように形成された配線基板の比抵抗は15.6×10-5Ωcmであった。
【0052】
本発明は、上記実施例に限定されないし、本発明の思想内で当分野の通常の知識を持った者によって多くの変形が可能であることは勿論である。
【0053】
上述のように、本発明による導電性配線材料で配線基板を製造すれば、粒径が互いに違う第1金属ナノ粒子と第2金属ナノ粒子の中で、粒径が小さな第2金属ナノ粒子によって焼成温度が決まるので、第2金属ナノ粒子の粒径をナノサイズ効果が著しく起きる大きさに小さくすれば、低温焼成が可能な配線材料を得ることができる。したがって、軟性基板、軟硬性基板、軟性多層基板に使われるポリマーフィルムにも使用可能な配線材料を得ることができる。配線基板の製造過程で、低温焼成によって配線基板を製造することができるし、焼成時第2金属ナノ粒子は溶融され第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことになるので、第1金属ナノ粒子間の連結点が少なく電気伝導度が高くて電気信頼性の優秀な配線基板を得ることができる。また、配線材料に含まれる金属ナノ粒子はナノサイズを有するので本発明の配線材料はインクジェット印刷方式によって微細配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、粒径が一定した金属ナノ粒子より成った配線を含む配線基板の断面図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい一実施例による配線を含む配線基板の断面図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい一実施例による第1金属ナノ粒子の配置を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい一実施例による配線基板の製造方法を示す順序図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい一実施例1によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【図6】図6は、本発明の好ましい一実施例2によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【図7】図7は、本発明の好ましい一実施例3によって形成された導電性配線のSEM写真である。
【符号の説明】
【0055】
10a、30a:焼成の前の配線
10b、30b:焼成の後の配線
110、310:ベースフィルム
130a:焼成の前の粒径が一定した金属ナノ粒子
130b:焼成の後の粒径が一定した金属ナノ粒子
150:ホール(hole)
190、390:電流の流れ
331a:焼成の前の第1金属ナノ粒子
331b:焼成の後の第1金属ナノ粒子
333a:焼成の前の第2金属ナノ粒子
333b:焼成の後の第2金属ナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1金属ナノ粒子と上記複数の第1金属ナノ粒子より小さな粒径を有する複数の第2金属ナノ粒子を含んで、低温焼成によって上記第2金属ナノ粒子が溶融されて上記第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる導電性配線材料。
【請求項2】
請求項1において、
上記金属ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、鉛、インジウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、錫、亜鉛、チタン、アルミニウム、コバルト、鉄及び、これらの中の二つ以上の金属よりなった混合物の中で少なくとも一つである導電性配線材料。
【請求項3】
請求項1において、
上記第1金属ナノ粒子の粒径は10ないし500nm範囲で選択されることができる導電性配線材料。
【請求項4】
請求項1において、
上記第2金属ナノ粒子の粒径は1ないし10nm範囲で選択されることができる導電性配線材料。
【請求項5】
請求項1において、
上記第1金属ナノ粒子対上記第2金属ナノ粒子の体積比は1:1ないし1:3である導電性配線材料。
【請求項6】
請求項1において、
上記配線材料は、粘度が1ないし50cpsのインク形態である導電性配線材料。
【請求項7】
請求項1ないし6の中のある一項に記載されている配線材料をベースフィルムに印刷する段階;及び上記配線材料が印刷されたベースフィルムを低温焼成する段階、
を含んでおり、上記低温焼成によって第2金属ナノ粒子が溶融されて第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
上記ベースフィルムは、ポリマー絶縁性フィルムである配線基板の製造方法。
【請求項9】
請求項7において、
上記配線材料をベースフィルムに印刷する方式は、インクジェット印刷方式である配線基板の製造方法。
【請求項10】
請求項7において、
上記の低温焼成の温度は180ないし300℃である配線基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし6の中のある一項に記載されている配線材料をベースフィルムに印刷し、上記配線材料の印刷されたベースフィルムを低温焼成して第2金属ナノ粒子が溶融されて第1金属ナノ粒子間の空間を満たした導電性配線を含む配線基板。
【請求項12】
請求項11において、
上記の低温焼成温度は180ないし300℃である配線基板。
【請求項13】
請求項11において、
上記の導電性配線の比抵抗が12×10-5.5Ωcm以下である配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−279038(P2006−279038A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77563(P2006−77563)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】