説明

微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ測定法および検出装置

本願発明は、1つのマイクロキャビティ測定法、および微小焦点距離コリメーションに基づく2種類の検出装置を含み、不規則なマイクロキャビティ、特に"サブマクロ"なマイクロキャビティの測定に使用することができる。本願発明においては、微小焦点距離を有する円筒レンズまたは球面レンズがファイバプローブと組み合わされて点光源の平行光結像光学システムを形成し、ファイバプローブの2次元または3次元の動きを超高感度で像の変化に変換する。本願発明は、微小測定力、高アスペクト比、および小型化の容易さ等の利点のみならず、高検出分解能、検出システムの単純な構造、および高速測定といった利点も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、1つのマイクロキャビティ測定法、および微小焦点距離コリメーション(micro focal−length collimation)に基づく2種類の検出装置を含み、従来の接触測定に加えて、不規則なマイクロキャビティ、特に"サブマクロ(sub−macro)"なマイクロキャビティの測定に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
[関連出願]
なし。
【0003】
航空産業、電子産業、および医療機器等の多くの応用分野において、小型化は最も重要な開発動向の一つである。マイクロキャビティ構造を有する製品は、燃料噴射ノズル、慣性機器、光ファイバフェルール、伸線ダイス、印刷回路基板中のホール、および医療器具等の応用において非常に重要である。微小な空間および測定力に制限されるので、高アスペクト比のマイクロキャビティを高精度で測定することは難しい。細いプローブを有する検出器が、様々な状態におけるマイクロキャビティ測定用に主に設計されてきた。座標測定機構(CMM)がこれらの検出器に組み合わされ、照準トリガーモード(aiming and triggering mode)においてマイクロキャビティの測定を完了する。CMM技術は、不確かさがナノメートルという正確な3次元の動きを実現するほど十分に発展してきたが、マイクロキャビティ検出器は十分には発展してきていない。大部分の検出器の不確かさは、サブマイクロメートルでしかない。
【0004】
Yang Shimin、Li Shuhe、Han Meimeiらは、直径200μmのホールをおよそ1μmの精度で測定する検出器を考案した。そのプローブは、物体の偏位が静電容量センサによって感知されるように、弾性体で作られている。この方法は、検出過程で生じる0.2μmの非線形誤差を有し、また、プローブをさらに小型化することが困難である。
【0005】
B.J.Kim、T.Masuzawa、およびT.Bourouinaらは、微小なホールを測定する振動走査法(vibrating−scanning method)を考案した。この方法は、電気伝導性の表面に接触する振動マイクロプローブを用いる。接触すると、回路が閉じて信号を出力する。プローブが振動しているので、信号は断続的である。プローブ振動の1振幅分の時間に対して表面と接触する継続時間が、表面へのプローブの近接度指数を与える。Masuzawaは、ツインプローブを用いてこの技術を改良し、非導電性表面も同様に測定した。振動走査技術は、直径およそ125μmのホールを0.5μmの精度で測定することができる。この方法は、振動源によって生じる大きなドリフトを有し、また、プローブの先端形状が矩形であり、死角による誤差を引き起こす。
【0006】
H.Schwenke、F.Waldele、C.Weiskirch、H.Kunzmannらは、微小なホールを検出するためにファイバプローブの先端を結像する方法を考案した。先端に直径25μmのボールを有する直径15μmの細いファイバがプローブとして使用される。光がファイバを介して入り、ボールに入射する。電荷結合素子(CCD)カメラを用いて、後方散乱光が結像される。この方法は、直径およそ50μmのホールを測定するのにサブマイクロメートルの不確かさを有する。しかしながらこのプローブは、後方散乱光の減少のために高アスペクト比のホールを検出できない。
【0007】
Tan JiubinおよびCui Jiwenは、マイクロキャビティを測定するための二重ファイバ連結法(double fibers coupling method)を考案した。二つのファイバが、プローブボールとして使用される一つのボールに連結される。光が一方のファイバを介して入り、ボールに入射する。後方散乱光の一部が他方のファイバによって伝送され、拡大レンズ群によってCCDカメラに結像される。この方法は、高アスペクト比のホールを検出する課題を解決し、サブマイクロメートルの不確かさを有するが、製造工程が非常に難しく、さらに小型化することができない。
【0008】
B.Muralikrishnan、J.A.Stone、J.R.Stoupらは、微小なホールを測定するための結像ファイバステム法(imaging fiber stem method)を考案した。先端に直径75μmのボールを有する直径50μmの細いファイバがプローブとして使用される。2次元観測用の2つの直交する同一な光学系により、ファイバステムはバンド形状に結像される。光学系の倍率は35である。理想的条件において空間中のプローブ位置を検出するのに約4nmの不確かさを達成し、公称直径100μmのホールについて、直径に対して0.07μm(k=2)の広がった不確かさが得られた。測定の深さは5mmに達する。この方法は他の方法よりも良好であるが、結像倍率が低過ぎるため、より高感度で速い信号検出ができない。
【0009】
A.Kung、F.Meli、およびR.Thalmannらは、移動質量を最小限にし、等方的な低い剛性を確実にするために、屈曲ヒンジの平行運動学的な構造に基づく接触プローブを考案した。このプローブヘッドは、直径0.1mmまでの交換可能なプローブを支持することを特徴としている。5nmの再現性、および0.05μmの不確かさを達成した。この方法は非常に複雑な検知構造を有し、そのプローブは小型化の問題を有する。
【0010】
中でもファイバプローブは、光学伝導度、小型化の容易さ、および微小測定力といったその光学的および機械的特徴により、マイクロキャビティの測定にいくつか応用され、より好ましいものになってきている。様々な方法がファイバプローブの動きを感知するために考案されている。以下はその欠点のいくつかである。
【0011】
1.ファイバプローブの検出分解能をさらに向上させることは困難である。大部分のファイバプローブは、サブマイクロメートルの分解能しか持たない。ファイバプローブを検出する動き感度が低過ぎる。2.絶対的なゼロ点が無く、測定再現性および測定した極性の判定にとって障害となる。3.一般に応用するには検出器の構造が複雑過ぎる。4.測定速度が遅過ぎるのでリアルタイムの応用を実現できない。
【発明の概要】
【0012】
本願発明の1つの目的は、現在使用されているマイクロキャビティ測定法の欠点を克服するため、垂直もしくは傾斜した平面を有するマイクロキャビティを測定するための微小焦点距離コリメーションに基づく測定方法を提案することである。
【0013】
本願発明の1つの側面に従って、以下のステップを備える、微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ測定法が提案される。ステップ1.プローブボール、ファイバステム、およびコリメーションレンズを備えるファイバプローブを提供する。一端は片持ち梁状であり、他端にはボールが取り付けられた細いガラスファイバがプローブとして働く。コリメーションレンズは円筒形もしくは球形であり、その焦点距離はマイクロメートルの大きさである。コリメーションレンズはファイバステムの中間に取り付けられる。ステップ2.ステップ1に記載したコリメーションレンズを用いて平行光結像光学システム(collimating and imaging optical system)を形成する点光源を提供する。像は光電子検出器によって取得され、平行光結像光学システムはファイバステムの動きを点光源の像変化に変換するために使用される。ステップ3.主として、ステップ1に記載したファイバプローブ、ステップ2に記載した点光源および光電子検出器から構成されるマイクロキャビティ検出器を提供する。点光源、ファイバプローブ、および光電子検出器は、ステップ2に記載した平行光結像光学システムを形成するように相対的に位置決めされる。ステップ4.ステップ3に記載したマイクロキャビティ検出器を座標測定機(CMM)と組み合わせる。光電子検出器の結像信号およびマイクロキャビティ検出器の座標がリアルタイムに取得され、演算プログラムによって処理される。ステップ5.マイクロキャビティ製品(work piece)にプローブボールを導入し、プローブボールがマイクロキャビティ製品に接触するまでマイクロキャビティ検出器をCMMによって移動させる。ステップ4に記載した演算プログラムから、接触した地点の座標を取得することができる。接触した地点の座標から測定結果が生成される。
【0014】
本願発明の他の目的は、マイクロキャビティ測定のための微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ2次元検出装置を提案することである。
【0015】
本願発明の第2の側面に従って、図1に示されるように、微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ2次元検出装置が提案される。この図においては、点光源の平行光結像光学システムが、平行光光源8、球面レンズ群9、ファイバステム11、および光電子検出器15より形成される。平行光光源8が光源として設けられ、球面レンズ群9は平行光光源8の平行光を集光して点光源10を形成するために設けられる。ファイバステム11は点光源10を平行にして結像する微小円筒レンズとして設けられ、光電子検出器15は点光源10の像を取得するために設けられる。点光源の平行光結像光学システムを容易に形成するために、調節機構が採用される。4次元調節機構7は、平行光光源8を取り付け、並進2次元および回転2次元に関して調節するために使用される。5次元調節機構4は、ファイバステム11を取り付け、並進3次元および回転2次元に関して調節するために使用される。ファイバプローブは、ファイバステム11およびプローブボール12を備える。ファイバステム11は、プローブボール12の動きを伝達するために設けられ、プローブボール12は目標物に接触するために設けられる。台座1は、第1コネクタ2、第2コネクタ3、第3コネクタ5、および第4コネクタ6を接続し位置決めするために使用される。第1コネクタ2は4次元調節機構7を接続するために使用され、第2コネクタ3は球面レンズ群9を接続するために使用される。第3コネクタ5は5次元調節機構4を接続するために使用され、第4コネクタ6は光電子検出器15を接続するために使用される。通信ケーブル16は、光電子検出器15から取得した結像信号を、デジタル取得処理システム14へ伝送する。デジタル取得処理システム14は、結像信号を取得および処理し、プローブボール12の動きに関連した数値を出力する。
【0016】
本願発明の第3の目的は、微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ3次元検出装置を提案することである。
【0017】
本願発明の第3の側面に従って、図2に示されるように、微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ3次元検出装置が提案される。この図においては、点光源の平行光結像光学システムが、平行光光源8、球面レンズ群9、微小球面レンズ17、および光電子検出器15より形成される。平行光光源8が光源として設けられ、球面レンズ群9は平行光光源8の平行光を集光して点光源10を形成するために設けられる。微小球面レンズ17は点光源10を平行にして結像する微小球面レンズとして設けられ、光電子検出器15は点光源10の像を取得するために設けられる。点光源の平行光結像光学システムを容易に形成するために、調節機構が採用される。4次元調節機構7は、平行光光源8を取り付け、並進2次元および回転2次元に関して調節するために使用される。5次元調節機構4は、カンチレバー18を取り付け、並進3次元および回転2次元に関して調節するために使用される。ファイバプローブは、カンチレバー18、ファイバステム11、微小球面レンズ17、およびプローブボール12を備える。カンチレバー18はファイバステム11を5次元調節機構4に接続し、ファイバステムが3次元の自由度を持つように設けられる。ファイバステム11はプローブボール12の動きを伝えるために設けられる。微小球面レンズ17はファイバステム11の動きを伝達するために設けられ、またプローブボール12は目標物に接触するために設けられる。台座1は、第1コネクタ2、第2コネクタ3、第3コネクタ5、および第4コネクタ6を接続し位置決めするために使用される。第1コネクタ2は4次元調節機構7を接続するために使用され、第2コネクタ3は球面レンズ群9を接続するために使用される。第3コネクタ5は5次元調節機構4を接続するために使用され、第4コネクタ6は光電子検出器15を接続するために使用される。通信ケーブル16は、光電子検出器15から取得した結像信号を、デジタル取得処理システム14へ伝送する。デジタル取得処理システム14は、結像信号を取得および処理し、プローブボール12の動きに関連した数値を出力する。
【0018】
点光源10は、図3に示される光反射機構によって得ることもできる。この図においては、平行光光源8が光源として設けられ、平面反射機構20が、平行光光源8の平行光の照射方向を変化させるために使用される。そして凹面反射機構19が、平面反射機構20から反射された平行光を集光して点光源10を形成する。このような点光源10は、本願発明のマイクロキャビティ2次元検出装置およびマイクロキャビティ3次元検出装置のいずれにも使用することができる。
【0019】
点光源10は、図4に示される光回折機構によっても得ることができる。この図においては、平行光光源8が光源として設けられ、ピンホール機構21が、平行光光源8の平行光を回折するために使用され、点光源10を形成する。このような点光源10は、本願発明のマイクロキャビティ2次元検出装置およびマイクロキャビティ3次元検出装置のいずれにも使用することができる。
【0020】
本願発明の第3の目的において記載された微小球面レンズ17は、図5aに示すように、ファイバステム11に埋め込まれる。
【0021】
本願発明の第3の目的において記載された微小球面レンズ17は、また、図5bに示すように、ファイバステム11に接することもできる。
【0022】
本願発明の特徴および利点は以下に示す通りである。1.ファイバプローブの動きを感知するために、平行光結像光学システムを形成する点光源およびコリメーションレンズが使用される。平行光結像光学システムは、10,000までの超高変位感度、およびサブナノメートルまでの超高解像度を達成する。2.全ての動き方向に、輝度像の偏心度および大きさに関連した極値が存在する。極値は、測定における絶対的ゼロ点として用いることができる。3.ファイバステムの2次元または3次元の動きが、1つの単純な光学系により超高感度および超高解像度で効果的に取得される。この特徴は、単純な構造をした検出測定システムに応用できる。ファイバステムの2次元および3次元の動きは、像の変化に変換される。像の輝度重心の動きはファイバステムの1次元または2次元の動きに関連しており、像の輝度領域の大きさはファイバステムの1次元の動きに関連している。4.ファイバステムの2次元または3次元の動きが、ライン状に配列された1つの光電子検出器または領域状に配列された1つの光電子検出器により効果的に取得される。この方法は超高感度であり、高解像度を有する測定信号の計算処理を単純化する。これらの特徴は、高速サンプリングおよびリアルタイム測定に応用できる。
【0023】
とりわけ本願発明は、微小測定力、小型化の容易さ、および高い測定アスペクト比等のファイバプローブの特徴を持つだけではなく、より高い検出分解能、測定方向の極値点、より高速な測定、および単純なシステム構造等の特徴も持っている。検出分解能はサブナノメートルからそれ以下に達し、プローブボールは直径40μmに形成され、測定深さは5mm以上に達する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ2次元検出装置の構造を示す。
【0025】
【図2】微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ3次元検出装置の構造を示す。
【0026】
【図3】反射光学に基づく点光源取得のブロック図を示す。
【0027】
【図4】ピンホール回折光学に基づく点光源取得のブロック図を示す。
【0028】
【図5a】埋め込み構造のファイバプローブを示す。
【0029】
【図5b】接合構造のファイバプローブを示す。
【0030】
図1から図5に示されるように、検出装置は、台座(1)、第1コネクタ(2)、第2コネクタ(3)、5次元調節機構(4)、第3コネクタ(5)、第4コネクタ(6)、4次元調節機構(7)、平行光光源(8)、球面レンズ群(9)、点光源(10)、ファイバステム(11)、プローブボール(12)、平行光結像光学システムの光軸(13)、デジタル取得処理システム(14)、光電子検出器(15)、デジタル通信ケーブル(16)、微小球面レンズ(17)、カンチレバー(18)、凹面反射機構(19)、平面反射機構(20)、ピンホール機構(21)を備える。
【発明を実施するための形態】
【0031】
微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ測定法は以下のステップを含む。
【0032】
ステップ1.プローブボール、ファイバステム、およびコリメーションレンズを備えるファイバプローブを提供する。一端は片持ち梁状であり、他端にはボールが取り付けられた細いガラスファイバがプローブとして働く。コリメーションレンズは円筒形もしくは球形であり、その焦点距離はマイクロメートルの大きさである。コリメーションレンズはファイバステムの中間に取り付けられる。
【0033】
ステップ1において、コリメーションレンズは焦点距離がマイクロメートルの大きさであり、理想的なものを作ることは難しい。しかしながら、非理想的なものであってもよい。ファイバステムの一部や微小な水晶のボールが、微小焦点距離を有するレンズとして使用できる。レンズの焦点距離は次の式を用いて近似的に計算できる。
【数1】

ここで、fはレンズの焦点距離、rはファイバステムまたは水晶のボールの半径、nはファイバステムまたは水晶のボールの屈折率であり、空気の屈折率は1である。rは10μmから100μmの範囲であり、nは1.4から1.6の範囲である。従って、数式(1)に従うと、fは13.33μmから133.33μmの範囲である。
【0034】
ステップ2.ステップ1に記載したコリメーションレンズを用いて平行光結像光学システムを形成する点光源を提供する。像は電荷結合素子(CCD)カメラによって取得され、平行光結像光学システムはファイバステムの動きを点光源の像変化に変換するために使用される。
【0035】
ステップ2において、点光源は3つの方法により得ることができる。第一の方法は光の屈折理論に基づくものであり、球面レンズ群を平行光光源と組み合わせて点光源を得る。第二の方法は光の反射理論に基づくものであり、凹面反射器を平行光光源と組み合わせて点光源を得る。第三の方法は光の回折理論に基づくものであり、ピンホールを平行光光源と組み合わせて点光源を得る。
【0036】
ステップ1に記載したコリメーションレンズの焦点付近に点光源が位置する場合、平行光学系が形成され、点光源のビームが平行になりCCDカメラに結像する。像は、ファイバステムの動きに関連して変化する。像は、ファイバステムの2種類の動きに応じて2つの様式で変化する。
【0037】
像変化の第一の様式は、像の輝度重心の移動である。この移動は、平行光学系の光軸に対して垂直な方向のファイバステムの動きに対応し、数式(2)によって近似的に感度を計算することができる。
【数2】

ここでβは平行光学系の動き感度、l'は結像距離、fはコリメーションレンズの焦点距離である。l'が100mmおよびfが13.33μmの場合、βはおよそ7500に達する。
【0038】
像変化の第二の様式は像の輝度サイズであり、平行光学系の光軸の方向におけるファイバステムの動きに対応し、感度は数式(3)を用いて近似的に計算できる。
【数3】

ここでαは平行光学系の動き感度、θは点光源のビームの発散角、l'は結像距離、fはコリメーションレンズの焦点距離である。θが45°、l'が100mm、およびfが13.33μmの場合、αはおよそ15000に達する。
【0039】
結像輝度の偏心度は、平行光学系の光軸に垂直な方向のファイバステムの動きに関連して変化する。偏心度は、偏心度0において極値を取る。一方、像のサイズは、像のサイズが最小となる場合に極値を取る。従って、極値点がいずれの検出方向にも存在するので測定に対して有用である。
【0040】
ステップ3.主として、ステップ1に記載したファイバプローブ、ステップ2に記載した点光源およびCCDカメラから構成されるマイクロキャビティ検出器を提供する。点光源、ファイバプローブ、およびCCDカメラは、ステップ2に記載した平行光結像光学システムを形成するように相対的に位置決めされる。
【0041】
ステップ3において、単純な構成、2次元または3次元の検出能力、および超高感度を有するマイクロキャビティ検出器が形成される。CCDカメラの出力信号は、非常に高い動き感度により高解像度で容易に計算され、各検出方向の出力信号の結合による干渉はほとんどない。これらの特徴により、高速、高解像度、および高アスペクト比を有するマイクロキャビティ2次元または3次元測定に容易に応用できる。
【0042】
ステップ4.ステップ3に記載したマイクロキャビティ検出器を座標測定機(CMM)と組み合わせる。CCDカメラの結像信号およびマイクロキャビティ検出器の座標がリアルタイムに取得され、演算プログラムによって処理される。
【0043】
ステップ4において、トリガー型のマイクロキャビティ測定法が形成され、座標および像の変化が高速でリアルタイムに記録される。マイクロキャビティ検出器がトリガーとして使用され、CMMは精密な3次元の動きを提供する。プローブボールが目標物のマイクロキャビティに接触するとすぐにCMMの動きは停止する。
【0044】
ステップ5.マイクロキャビティ製品にプローブボールを導入し、プローブボールがマイクロキャビティ製品に接触するまでマイクロキャビティ検出器をCMMによって移動させる。ステップ4に記載した演算プログラムから、接触した位置の座標を取得することができる。接触した地点の座標から測定結果が生成される。
【0045】
ステップ5においては、ステップ4に記載したトリガー型のマイクロキャビティ測定法を用いて、目標物地点の座標が取得される。プローブボールがマイクロキャビティ目標物に接触すると像変化が生じ、像変化に応じて、正確な最初の接触時間における座標が検知される。従って、検出地点の座標が容易かつ迅速に取得できる。次に、目標物のマイクロキャビティの大きさが、検出地点の座標に応じて計算される。
【0046】
本願発明の第2の目的に従って、微小焦点距離コリメーションに基づいたマイクロキャビティ2次元検出装置が以下のように設けられる。
【0047】
図1に示されるように、出力15mWのHe−Neレーザが、その出力光が平行な平行光光源8として使用される。一般的に、ガスレーザは半導体レーザよりも安定なレーザビームを有する。つまり、光ビームは、角度ドリフトがほとんど無く、より安定な出力パワーを有する。ガスレーザの波長は、光電子検出器15の特性に従って採択される。倍率150および開口数(NA)0.95の対物レンズが球面レンズ群9として使用され、He−Neレーザの平行光を集光して点光源10を形成する。超高変位感度を有する平行光結像光学システムが必要なので、点光源の空間の大きさは、より小さくする方がよい。単一モード光ファイバの一部をファイバステム11として使用することができ、線引き侵食法(drawing and eroding method)によりさらに細くすることができる。ライン状に配列されたCCDカメラを光電子検出器15として使用することができ、点光源10の像を迅速かつ効果的にサンプリングすることができる。点光源の平行光結像光学システムを容易に形成するために、調節機構が採用される。4次元調節機構7は、平行光光源8を取り付け、並進2次元および回転2次元に関して調節するために使用される。5次元調節機構4は、ファイバステム11を取り付け、並進3次元および回転2次元に関して調節するために使用される。ファイバプローブは、ファイバステム11およびプローブボール12を備える。プローブボール12は、ファイバステムの一端を溶解することにより形成され、ボールの形状は、溶解ファイバの表面張力を受けて作り上げられる。ファイバステム11は、プローブボール12の動きを伝達するために設けられ、プローブボール12は目標物に接触するために設けられる。台座1は、第1コネクタ2、第2コネクタ3、第3コネクタ5、および第4コネクタ6を接続し位置決めするために使用される。第1コネクタ2は4次元調節機構7を接続するために使用され、第2コネクタ3は球面レンズ群9を接続するために使用される。第3コネクタ5は5次元調節機構4を接続するために使用され、第4コネクタ6は光電子検出器15を接続するために使用される。通信ケーブル16は、光電子検出器15から取得した結像信号を、デジタル取得処理システム14へ伝送する。デジタル取得処理システム14は一般的なコンピュータであってよく、結像信号を取得および処理し、プローブボール12の動きに関連した数値を出力する。
【0048】
本願発明の第3の目的に従って、微小焦点距離コリメーションに基づいたマイクロキャビティ3次元検出装置が以下のように設けられる。
【0049】
図2に示されるように、出力15mWのHe−Neレーザが、その出力光が平行な平行光光源8として使用される。一般的に、ガスレーザは半導体レーザよりも安定なレーザビームを有する。つまり、光ビームは、角度ドリフトがほとんど無く、より安定な出力パワーを有する。ガスレーザの波長および出力パワーは、光電子検出器15の特性に従って採択される。倍率150および開口数(NA)0.95の対物レンズが球面レンズ群9として使用され、He−Neレーザの平行光を集光して点光源10を形成する。超高変位感度を有する平行光結像光学システムが必要なので、点光源の空間の大きさは、より小さくする方がよい。微小球面レンズ17は、研磨法によって作成された微小光学ボールであってよい。領域状に配列されたCCDカメラを光電子検出器15として使用することができ、点光源10の像を効果的にサンプリングすることができる。点光源の平行光結像光学システムを容易に形成するために、調節機構が採用される。4次元調節機構7は、平行光光源8を取り付け、並進2次元および回転2次元に関して調節するために使用される。5次元調節機構4は、カンチレバー18を取り付け、並進3次元および回転2次元に関して調節するために使用される。ファイバプローブは、カンチレバー18、ファイバステム11、微小球面レンズ17、およびプローブボール12を備える。カンチレバー18はファイバステム11を5次元調節機構4に接続し、ファイバステムが3次元の自由度を持つように設けられる。ファイバステム11は、プローブボール12の動きを伝えるために設けられる。微小球面レンズ17はファイバステム11の動きを伝達するために設けられ、またプローブボール12は目標物に接触するために設けられる。プローブボール12は、ファイバステムの一端を溶解することにより形成され、ボールの形状は、溶解ファイバの表面張力を受けて作り上げられる。台座1は、第1コネクタ2、第2コネクタ3、第3コネクタ5、および第4コネクタ6を接続し位置決めするために使用される。第1コネクタ2は4次元調節機構7を接続するために使用され、第2コネクタ3は球面レンズ群9を接続するために使用される。第3コネクタ5は5次元調節機構4を接続するために使用され、第4コネクタ6は光電子検出器15を接続するために使用される。通信ケーブル16は、光電子検出器15から取得した結像信号を、デジタル取得処理システム14へ伝送する。デジタル取得処理システム14は一般的なコンピュータであってよく、結像信号を取得および処理し、プローブボール12の動きに関連した数値を出力する。
【0050】
点光源10は、図3に示される光反射機構によって得ることもできる。この図においては、平行光光源8が光源として設けられ、平面反射機構20が、平行光光源8の平行光の照射方向を変化させるために使用される。そして凹面反射機構19が、平面反射機構20から反射された平行光を集光して点光源10を形成する。このような点光源10は、本願発明のマイクロキャビティ2次元検出装置およびマイクロキャビティ3次元検出装置のいずれにも使用することができる。
【0051】
点光源10は、図4に示される光回折機構によっても得ることができる。この図においては、平行光光源8が光源として設けられ、ピンホール機構21が、平行光光源8の平行光を回折するために使用され、点光源10を形成する。このような点光源10は、本願発明のマイクロキャビティ2次元検出装置およびマイクロキャビティ3次元検出装置のいずれにも使用することができる。
【0052】
本願発明の第3の目的において記載した微小球面レンズ17は、図5aに示すように、ファイバステム11に埋め込まれる。
【0053】
本願発明の第3の目的において記載した微小球面レンズ17は、また、図5bに示すように、ファイバステム11に接することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のステップ1から5の段階を備える微小焦点距離コリメーションに基づく1つの種類のマイクロキャビティ測定法。
ステップ1.プローブボールと、ファイバステムと、円筒形または球形であり焦点距離がマイクロメートルの大きさであって前記ファイバステムの中間に取り付けられるコリメーションレンズとを有するファイバプローブを提供する段階。一端が片持ち梁状であり他端にボールが取り付けられた細いガラスファイバが、前記ファイバプローブとして働く。前記コリメーションレンズは、円筒形または球形であり、焦点距離がマイクロメートルの大きさであって、前記ファイバステムの中間に取り付けられる。
ステップ2.光電子検出器により取得される点光源の像の変化に前記ファイバステムの動きを変換する平行光結像光学システムを前記コリメーションレンズを用いて形成させる前記点光源を提供する段階。
ステップ3.前記ファイバプローブ、前記点光源、および前記光電子検出器を有し、前記点光源、前記ファイバプローブ、および前記光電子検出器が前記平行光結像光学システムを形成するように相対的に位置決めされるマイクロキャビティ検出器を提供する段階。
ステップ4.前記光電子検出器の像信号および前記マイクロキャビティ検出器の座標がリアルタイムで取得され演算プログラムにより処理されるように前記マイクロキャビティ検出器を座標測定機(CMM)と組み合わせる段階。
ステップ5.マイクロキャビティ製品に前記プローブボールを導入し、前記プローブボールが前記マイクロキャビティ製品に接触するまで前記座標測定機によって前記マイクロキャビティ検出器を移動させ、前記演算プログラムにより取得される接触地点の座標から測定結果を生成する段階。
【請求項2】
微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ2次元検出装置であって、
点光源(10)を形成する光源として備えられる平行光光源(8)、前記平行光光源(8)の平行光を集光して前記点光源(10)を形成する球面レンズ群(9)、前記点光源(10)を平行にし結像する微小円筒レンズとして備えられるファイバステム(11)、および前記点光源(10)の像を取得する光電子検出器(15)を有する前記点光源の平行光結像光学システムと、
前記平行光光源(8)を取り付け、並進2次元および回転2次元について調節する4次元調節機構(7)と、
前記ファイバステム(11)を取り付け、並進3次元および回転2次元について調節する5次元調節機構(4)と、
目標物に接触するプローブボール(12)、および前記プローブボール(12)の動きを伝達する前記ファイバステム(11)を有するファイバプローブと、
前記4次元調節機構(7)を接続する第1コネクタ(2)、前記球面レンズ群(9)を接続する第2コネクタ(3)、前記5次元調節機構(4)を接続する第3コネクタ(5)、および前記光電子検出器(15)を接続する第4コネクタ(6)を接続し位置決めする台座(1)と、
前記光電子検出器(15)から取得した結像信号をデジタル取得処理システム(14)へ伝送する通信ケーブル(16)と、
前記結像信号を取得および処理し、前記プローブボール(12)の前記動きに関連する数値を出力する前記デジタル取得処理システム(14)と
を備えるマイクロキャビティ2次元検出装置。
【請求項3】
微小焦点距離コリメーションに基づくマイクロキャビティ3次元検出装置であって、
点光源(10)を形成する光源として備えられる平行光光源(8)、前記平行光光源(8)の平行光を集光して前記点光源(10)を形成する球面レンズ群(9)、前記点光源(10)を平行にし結像する微小球面レンズ(17)、および前記点光源(10)の像を取得する光電子検出器(15)を有する前記点光源の平行光結像光学システムと、
前記平行光光源(8)を取り付け、並進2次元および回転2次元について調節する4次元調節機構(7)と、
カンチレバー(18)を取り付け、並進3次元および回転2次元について調節する5次元調節機構(4)と、
ファイバステム(11)を前記5次元調節機構(4)に接続し3次元の自由度を持たせる前記カンチレバー(18)、目標物に接触するプローブボール(12)、前記プローブボール(12)の動きを伝達する前記ファイバステム(11)、および前記ファイバステム(11)の動きを伝達する前記微小球面レンズ(17)を有するファイバプローブと、
前記4次元調節機構(7)を接続する第1コネクタ(2)、前記球面レンズ群(9)を接続する第2コネクタ(3)、前記5次元調節機構(4)を接続する第3コネクタ(5)、および前記光電子検出器(15)を接続する第4コネクタ(6)を接続し位置決めする台座(1)と、
前記光電子検出器(15)から取得した結像信号をデジタル取得処理システム(14)へ伝送する通信ケーブル(16)と、
前記結像信号を取得および処理し、前記プローブボール(12)の前記動きに関連する数値を出力するデジタル取得処理システム(14)と
を備えるマイクロキャビティ3次元検出装置。
【請求項4】
前記点光源(10)は、
光源として備えられる前記平行光光源(8)と、
前記平行光光源(8)の前記平行光の照射方向を変化させる平面反射機構(20)と、
前記平面反射機構(20)から反射される前記平行光を集光し、前記点光源(10)を形成する凹面反射機構(19)と
を有する光学反射機構によって得られる請求項2または3に記載の点光源の平行光結像光学システム。
【請求項5】
前記点光源(10)は、
光源として備えられる前記平行光光源(8)と、
前記平行光光源(8)の前記平行光を回折し、前記点光源(10)を形成するピンホール機構(21)と
を有する光学回折機構によって得られる請求項2または3に記載の点光源の平行光結像光学システム。
【請求項6】
前記微小球面レンズ(17)は前記ファイバステム(11)に埋め込まれる請求項3に記載のファイバプローブ。
【請求項7】
前記微小球面レンズ(17)は前記ファイバステム(11)に接する請求項3に記載のファイバプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公表番号】特表2012−521544(P2012−521544A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501115(P2012−501115)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074909
【国際公開番号】WO2010/108365
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(507328634)ハルビン インスティチュート オブ テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】