説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】制御手段が停止する動作モードを備えた場合でも、複雑な処理を行なうことなく通信に用いる情報の期限管理が実行できる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】何れかの機能の実行指示が入力された場合、及び外部機器から情報を受信した場合に、その旨を示す割り込み信号が入力された場合に、CPU20により割り込み信号に応じた処理を示す割り込みハンドラに基づく処理を実行する際に、予め設定された条件が成立した場合にCPU20への駆動電力の供給を遮断する第2の節電モードに移行し、第2の節電モードにおいて割り込み信号が入力された場合にCPU20への駆動電力の供給を再開すると共に、通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している場合はその情報を廃棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部装置とのネットワークを介した通信を行なう装置において、CPU(中央処理装置)を停止させることで消費電力を低減させる省エネモードや待機モードに移行可能に構成される場合がある。
【0003】
この種の装置に実装させるソフトウエアは、通信を行なうソフトウエア上の論理的時間管理をCPUがもつカウンタやタイマを用いて実行するように構成される場合があり、この場合にCPUを停止させると、CPUが停止している間はソフトウエア上の論理的時間も停止する。
【0004】
したがって、従来、CPUを停止させる省エネモードや待機モード等からCPUを復帰させた場合、外部とのネットワーク通信に用いられる期限付きの情報に対して、CPU停止による実時間とのずれを修正して対応する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、通信装置のデバイス情報の有効時間を適切に設定するために、装置がスリープモードに移行する際に、デバイス情報の有効時間を予め延長しておくことが提案されている。
【特許文献1】特開平5−084972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、CPUが停止する動作モードを備えた場合でも、複雑な処理を行なうことなく通信に用いる情報の期限管理が実行できる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、通信手段を介した外部機器との情報通信を実行する通信機能、及び前記通信により取得した情報に基づく情報処理又は前記通信により出力する情報の生成を行なう情報処理機能を含む機能を実行するための機能実行手段と、何れかの機能の実行指示が入力手段を介して入力された場合、及び前記通信手段を介して前記外部機器から情報を受信した場合に、その旨を示す割り込み信号を生成する生成手段と、前記生成手段により前記割り込み信号が生成された場合に、前記割り込み信号に応じた処理を実行するように前記通信手段及び前記機能実行手段を制御する制御手段と、予め設定された条件が成立した場合に前記制御手段への駆動電力の供給を遮断する遮断処理を実行する遮断処理手段と、前記遮断処理手段により前記制御手段への駆動電力の供給を遮断している状態で前記割り込み信号が生成された場合に前記遮断処理手段による駆動電力の供給の遮断を解除して前記制御手段への前記駆動電力の供給を再開すると共に、前記制御手段による前記通信手段及び前記機能実行手段の制御を実行する前に、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄する復帰処理を実行する復帰処理手段と、を備えている。
【0008】
請求項2の発明は、前記制御手段は、前記割り込み信号に応じた処理を示す割り込みハンドラに基づいて前記通信手段及び前記機能実行手段を制御し、前記遮断処理手段は、前記遮断処理において、前記制御手段への駆動電力の供給を遮断する際に前記割り込みハンドラを一時的に退避させ、前記復帰処理手段は、前記復帰処理において、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄した後に、前記割り込みハンドラを再登録する。
【0009】
請求項3の発明は、前記遮断処理手段により前記制御手段への駆動電力の供給停止期間を計時する計時手段を更に備え、前記復帰処理手段は、前記計時手段により計時した前記供給停止期間を加味して、前記有効期限が経過している情報の廃棄を行なっている。
【0010】
請求項4の発明は、前記制御手段は、前記通信手段を介して情報を受信したことを示す割り込み信号に基づいて前記復帰処理手段による復帰処理が実行された場合に、前記復帰処理手段により廃棄された情報に基づく通信により受信した情報を廃棄している。
【0011】
請求項5の発明は、前記機能実行手段により実行可能な機能として、原稿画像を読み取って画像情報を取得する読取機能、通信手段を介して受信した画像情報及び前記読取機能により取得した画像情報に画像処理を施す画像処理機能、画像処理機能により画像処理が施された画像情報を印刷する印刷機能の少なくとも1つを含めている。
【0012】
請求項6の発明は、通信手段を介した外部機器との情報通信を実行する通信機能、及び前記通信により取得した情報に基づく情報処理又は前記通信により出力する情報の生成を行なう情報処理機能を含む機能を実行するための機能実行手段による何れかの機能の実行指示が入力手段を介して入力された場合、及び前記通信手段を介して前記外部機器から情報を受信した場合に、その旨を示す割り込み信号が入力されるコンピュータに、前記割り込み信号が入力された場合に、前記割り込み信号に応じた処理を示す割り込みハンドラに基づいて前記通信手段及び前記機能実行手段を制御する制御ステップ、予め設定された条件が成立した場合に、当該コンピュータへの駆動電力の供給を遮断する遮断処理を実行する遮断ステップ、前記遮断ステップにより当該コンピュータへの駆動電力の供給を遮断している状態で前記割り込み信号が生成された場合に当該コンピュータへの前記駆動電力の供給を再開すると共に、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄する復帰処理を行う復帰ステップ、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、制御手段が停止する動作モードを備えた場合でも、複雑な処理を行なうことなく通信に用いる情報の期限管理が実行できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、期限管理の実行後に割り込み処理を実行できる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、回路構成の複雑化を防止できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、受信すべきでない情報を廃棄できる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、画像情報を取り扱う装置に適用できる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、制御手段が停止する動作モードを備えた場合でも、複雑な処理を行なうことなく通信に用いる情報の期限管理が実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る複合機10を含んで構成された通信ネットワークの一例が示されている。なお、複合機10は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送受信機能、スキャン機能等、複数の機能を実行可能に構成されている。
【0021】
同図に示されるように、本実施形態の複合機10は、ルータ12等に接続されている。このルータ12には、複数のクライアントPC(Personal Computer)16をはじめ、画像形成装置(図示省略)や通信機能を備えた他の電子機器(図示省略)等、複合機10と同じサブネット14内の電子機器に設けられた通信装置が適宜接続される。
【0022】
なお、本実施形態では、ルータ12は、他のサブネットのルータ(図示省略)と接続されており、イーサネット(登録商標)の規格及びIPv6の規格に基づく通信を行なう。
【0023】
ルータ12は、IPのエラーメッセージや制御メッセージを転送するためのプロトコルICMP(Internet Control Message Protocol)v6を用いたルータ広告(Router Advertisement)により、定期的にサブネット14内の各通信装置及びルータ12に接続された他のルータにプレフィックスを含む情報をブロードキャストする。なお、ルータ広告には、上記プレフィックスの他、プレフィックスの有効期限、ルータ12のアドレスなどを示す情報が含まれる。なお、上述したように、プレフィックスには有効期限が設定されており、有効期限を超過したプレフィックスを誤って使用することはRFC(Request for Comments)で禁止されている。
【0024】
プレフィックスは、サブネット14内の各ノードのIPv6アドレスの上位64bit〜127bitのアドレスである。プレフィックスを受信したサブネット14内の各通信装置では、受信したプレフィックスに、例えば、各通信装置のインターフェイスに固有の物理アドレスであるMACアドレス(Media Access Control Address)に基づき派生させたインターフェイス識別子等を付加して128bitのIPv6アドレスを自動生成する。
【0025】
また、各通信装置では、ARP(Address Resolution Protocol)を用いて通信相手のIPアドレスに対応するMACアドレス(通信相手のMACアドレス)を取得することにより、当該MACアドレスを用いてIPフレームを送受信するようにしている。このARPを用いて取得したMACアドレスは、通信装置側のARPテーブルに登録される。なお、ARPテーブルに登録されたMACアドレスには、一般に使用期間が設定されており、登録時や最終更新時からの期間が予め設定された期間となったMACアドレスは、ARPテーブルから削除される。
【0026】
このように、各通信装置では、外部機器との通信を行うために用いる有効期限付きの情報を、有効期限を超過して使用することがないように、タイマ等を用いて期限管理を行い、期限を超過した情報を廃棄している。
【0027】
図2は、複合機10の通信処理に関する構成を示す概略図である。同図に示されるように、複合機10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)20と、CPU20により実行するプログラム等が予め格納されたROM(Read Only Memory)22と、CPU20のワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)24と、を含んで構成されている。ROM22及びRAM24は、バス(図示省略)を介してCPU20に接続されている。
【0028】
また、複合機10は、通信インターフェイス(I/F)26、ハードディスクドライブ(HDD)28及びRTC(Real Time Counter)30を更に含んで構成されており、それぞれCPU20と接続されている。通信I/F26は、ネットワークケーブル36を介して上述のルータ12に接続されており、ネットワークケーブル36を介した通信を行う。
【0029】
CPU20は、ROM22に格納された通信処理プログラムを実行することにより、通信I/F26を介したIPフレームの送受信等の通信処理を実行する。また、上述したプレフィックスやARPテーブル等の有効期限や使用期限が設定される情報は、上記RAM24の所定領域にそれぞれ記憶される。これらの情報の使用期限の管理は、CPU20により、予めネットワークライブラリの一部として提供されている有効期限チェック用のリフレッシュ関数を用いて定期的に実行される。CPU20では、内蔵のカウンタをインターバルタイマとして用いることにより、定期的な有効期限チェックの実行タイミングをはかる。
【0030】
また、HDD28は、通信により取得されたプリントデータやファクシミリ機能により送受信するデータ等の蓄積に用いられ、RTC30は、外部からの電力供給が停止された場合でも時刻の計時を継続して実行する。
【0031】
ところで、本実施形態に係る複合機10は、通信処理や各種機能の実行指示がない状態が所定期間以上継続した場合に、CPU20により、複合機10での消費電力を低減させる節電モードに移行する節電モード移行処理が実行される。
【0032】
この節電モードとしては、例えば、複合機10に設けられた操作パネルの表示部やプリントを実行するための画像形成デバイス等の所定の部位に供給する電力を低減させる第1の節電モードと、さらにCPU20への電源供給を停止させる第2の節電モードと、に移行可能に構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、第2の節電モードが設定されていた期間、すなわち、CPU20への電力供給を停止した期間を計時する外部タイマ32が設けられている。この外部タイマ32は、CPU20からの計時開始指示に応じて計時を行い、CPU20からの計時停止指示に応じて計時を終了する。
【0034】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0035】
複合機10では、操作パネルを介した入力操作やネットワーク等を介した通信により入力されるコピー機能、プリント機能、ファクシミリ送受信機能、スキャン機能等の実行指示に基づいて、CPU20は、各部位を制御して各種機能処理を実行する。また、これらの各種機能処理が実行されない期間が予め設定された期間以上継続した場合、CPU20は、節電モード移行処理を実行する。
【0036】
なお、上述したように、本実施形態では、第1の節電モード及び第2の節電モードに移行可能に構成されている。第1の節電モードと第2の節電モードの何れに移行するかは、ユーザにより設定可能に構成してもよいし、上記各種機能処理が行われない期間の長さに応じて選択するようにしてもよい。さらに、ユーザにより、各節電モードへの移行条件を詳細に設定可能にしてもよい。
【0037】
図3には、節電モード移行時にCPU20により実行される節電モード移行処理プログラムの処理の流れがフローチャートとして示されている。以下、同図を参照して、本実施形態に係る節電モード移行処理について説明する。
【0038】
ステップ100では、CPU20以外の所定の部位の消費電力を低減させることにより第1の節電モードに移行し、次のステップ102では、CPU20への電力供給を停止するか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は本節電モード移行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ100の判定は、上述したように、ユーザによる設定や各種機能処理が実行されない期間の長さ等に基づいて適宜行なうことができる。
【0039】
一方、ステップ100で肯定判定となった場合はステップ104に移行して、全ての割り込みハンドラを一時的に退避させ、その後にステップ106に移行する。なお、割り込みハンドラは、CPU20に割り込み信号が入力された場合に実行すべき処理プログラムの格納位置等を特定するための情報である。また、割り込みハンドラは、割り込み信号の発生要因に応じて異なり、予めROM22の所定領域に登録されている。
【0040】
ステップ106では、有効期限のチェック機能を一時的に停止し、その後にステップ108に移行して外部タイマ32を起動した後に、ステップ110に移行する。なお、有効期限のチェック機能の一時停止は、内蔵カウンタに基づくインターバルの管理を停止することにより行なわれ、同時にシステム時間の計時も一時停止させる。
【0041】
ステップ110では、CPUへの電源供給停止処理を実行することにより第2の節電モードに移行し、その後に本節電モード移行処理プログラムを終了する。
【0042】
このようにして節電モードに移行すると、CPU20は次に割り込み要因が発生して割り込み信号が入力されるまでの間は、第1の節電モードに移行した場合は、所定の部位の消費電力を低減させた状態を維持し、第2の節電モードに移行した場合は、外部タイマ32による計時、及びCPU20の停止状態を維持する。
【0043】
CPU20では、何れかの節電モードに移行している状態で割り込み信号が入力されると、節電モード復帰処理を実行する。
【0044】
図4には、このときCPU20により実行される節電モード復帰処理プログラムの処理の流れがフローチャートとして示されている。以下、同図を参照して、本実施形態に係る節電モード復帰処理について説明する。
【0045】
まず、ステップ136では、第2の節電モードからの復帰か否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は第1の節電モードからの復帰であると判断してステップ156に移行する。
【0046】
一方、ステップ136で肯定判定となった場合はCPU20が停止されていたものと判断してステップ140に移行し、外部タイマ32のカウント値を取得し、その後にステップ142に移行し、取得したカウント値に基づき、CPU20の停止期間を導出する。
【0047】
次のステップ144では、導出した停止期間をソフトウエア上のシステム時間に加算し、その後にステップ146に移行して、リフレッシュ関数を用いて有効期限の導出が行なわれる。なお、CPU20によるシステム時間の計時は、CPU20の復帰処理が開始した時点から再開される。このため、システム時間は、上記節電モード移行処理において有効期限のチェック機能を一時的に停止した時点(図3のステップ106参照)からCPU20が復帰処理を開始するまでの間、停止される。したがって、ステップ140で取得される外部タイマ32のカウント値は、システム時間の計時が一時的に停止してからシステム時間の計時が再開されるまでの期間を示している。上記ステップ144の処理により、システム時間は修正される。
【0048】
次のステップ148では、ステップ144の処理により修正されたシステム時間を用いて有効期限切れか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合はステップ150に移行する。ステップ150では、有効期限切れと判定されたデータを廃棄し、その後にステップ152に移行する。
【0049】
一方、ステップ148で否定判定となった場合はステップ150の処理を実行することなくステップ152に移行する。
【0050】
これにより、CPU20が停止していた間に有効期限が経過したプレフィックスやARPテーブル上のアドレス等の情報は廃棄され、有効期限が経過していない情報は維持される。
【0051】
ステップ152では、有効期限のチェック機能を再開させ、その後にステップ154に移行して、割り込みハンドラを再登録した後に、ステップ156に移行して、復帰要因に応じた割り込みハンドラに基づく処理の実行を開始した後にステップ158に移行して、消費電力を低減させていた部位を通常動作に復帰させ、その後に本節電モード復帰処理プログラムを終了する。有効期限のチェック機能の再開は、内蔵カウンタに基づくインターバルの管理を再開することにより実行される。
【0052】
図5には、本実施形態に係る複合機10の第2の節電モードへの移行条件の成立〜復帰に関するタイミングチャートが示されている。以下、同図を参照して、上記節電モード移行処理及び第2の節電モードからの復帰処理の流れを説明する。同図に示されるように、第2の節電モードへの移行条件が成立した後のタイミングAでは、CPU20によるシステム時間の計時が停止されると共に、外部タイマ32による計時が開始される。その後、復帰処理実行のための準備として、割り込みハンドラの退避、有効期限のチェック機能の一時停止及び外部タイマ32の起動を行なった後、タイミングBでCPU20を停止させる。
【0053】
また、割り込み信号Cが発生すると、CPU20は第2の節電モードからの復帰処理を実行すると共にシステム時間の計時が再開され、外部タイマ32によるカウント値が取得されることにより、外部タイマ32を用いた計時が終了する。その後、外部タイマ32の計時値を用いたシステム時間の修正及び修正したシステム時間に基づく有効期限チェック機能が実行され、CPU20が停止している期間中に有効期限が経過したデータを廃棄し、その後に有効期限のチェック機能の再開、及び割り込みハンドラの再登録を行う。
【0054】
このようにして、有効期限のチェック機能を実行するための処理が完了したタイミングDで、復帰要因に応じた割り込みハンドラに基づく割り込み処理が実行される。
【0055】
なお、復帰要因に応じて実行すべき割り込み処理においては、廃棄された情報を用いた通信により取得されたパケットは廃棄する。さらに、ARPテーブルの情報も、使用期限を経過した情報は廃棄されているので、必要に応じてARPを用いたMACアドレスの再取得を実行する。
【0056】
なお、上記実施形態で説明した複合機10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態では、外部タイマ32を用いてシステム時間を修正する形態について説明したが、RTC30を用いてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、複合機10に本発明を適用した形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、CPUへの電力の供給を停止させる動作モードを備えた装置であれば、各種機能を1種類だけ実行可能な画像形成装置やその他の電子機器の装置等に適用してもよい。特に、CPUの迅速な復帰が求められる装置に適用した場合に効果的である。
【0059】
さらに、上記実施形態で説明した各種処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは言うまでもない。
【0060】
例えば、上記実施形態では、各種割り込みハンドラを一時的に退避させてからCPU20を停止させ、復帰時にシステム時間の修正及び有効期限のチェックを実行した後に割り込みハンドラを再登録する形態について説明したが、割り込みハンドラの一時退避及び再登録を実行することなくシステム時間の修正及び有効期限のチェックを実行することも可能である。
【0061】
以下、図6及び図7を参照して、割り込みハンドラの一時退避及び再登録を実行することなくCPU20復帰時にシステム時間の修正及び有効期限のチェックを実行する場合の各種処理の流れについて説明する。
【0062】
図6には、節電モード移行時にCPU20により実行される節電モード移行処理プログラムの処理の流れがフローチャートとして示されている。以下、同図を参照して、他の形態に係る節電モード移行処理について説明する。
【0063】
ステップ200では、CPU20以外の所定の部位の消費電力を低減させることにより第1の節電モードに移行し、次のステップ102では、CPU20への電力供給を停止するか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は本節電モード移行処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ200の判定は、上記実施形態(図3参照)と同様、ユーザによる設定や各種機能処理が実行されない期間の長さ等に基づいて適宜行なうことができる。
【0064】
一方、ステップ200で肯定判定となった場合はステップ206に移行して、有効期限のチェック機能を一時的に停止し、その後にステップ208に移行して外部タイマ32を起動した後に、ステップ210に移行する。なお、有効期限のチェック機能の一時停止は、内蔵カウンタに基づくインターバルの管理を停止することにより行なわれ、同時にシステム時間の計時も一時停止させる。
【0065】
ステップ210では、CPU20への電源供給停止処理を実行することにより第2の節電モードに移行して、その後に本節電モード移行処理プログラムを終了する。
【0066】
このようにして節電モードに移行すると、CPU20は次に割り込み要因が発生して割り込み信号が入力されるまでの間は、第1の節電モードに移行した場合は、所定の部位の消費電力を低減させた状態を維持し、第2の節電モードに移行した場合は、外部タイマ32による計時、及びCPU20の停止状態を維持する。
【0067】
CPU20では、何れかの節電モードに移行している状態で割り込み信号が入力されると、節電モード復帰処理を実行する。
【0068】
図7には、このときCPU20により実行される節電モード復帰処理プログラムの処理の流れがフローチャートとして示されている。以下、同図を参照して、他の形態に係る節電モード復帰処理について説明する。
【0069】
まず、ステップ236では、第2の節電モードからの復帰か否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合は第1の節電モードからの復帰であると判断してステップ256に移行する。
【0070】
一方、ステップ236で肯定判定となった場合はCPU20が停止されていたものと判断してステップ240に移行し、外部タイマ32のカウント値を取得し、その後にステップ242に移行し、取得したカウント値に基づき、CPU20の停止期間を導出する。
【0071】
次のステップ244では、導出した停止期間をソフトウエア上のシステム時間に加算し、その後にステップ246に移行して、リフレッシュ関数を用いて有効期限の導出が行なわれる。なお、CPU20によるシステム時間の計時は、CPU20の復帰処理が開始した時点から再開される。このため、システム時間は、上記節電モード移行処理において有効期限のチェック機能を一時的に停止した時点(図6のステップ206参照)からCPU20が復帰処理を開始するまでの間、停止される。したがって、ステップ240で取得される外部タイマ32のカウント値は、システム時間の計時が一時的に停止してからシステム時間の計時が再開されるまでの期間を示している。上記ステップ244の処理により、システム時間は修正される。
【0072】
次のステップ248では、ステップ244の処理により修正されたシステム時間を用いて有効期限切れか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合はステップ250に移行する。ステップ250では、有効期限切れと判定されたデータを廃棄し、その後にステップ252に移行する。
【0073】
一方、ステップ248で否定判定となった場合はステップ250の処理を実行することなくステップ252に移行する。
【0074】
これにより、CPU20が停止していた間に有効期限が経過したプレフィックスやARPテーブル上のアドレス等の情報は廃棄され、有効期限が経過していない情報は維持される。
【0075】
ステップ252では、有効期限のチェック機能を再開させ、その後にステップ256に移行する。
【0076】
ステップ256では、復帰要因に応じた割り込みハンドラに基づく処理の実行を開始した後にステップ238に移行して、消費電力を低減させていた部位を通常動作に復帰させ、その後に本節電モード復帰処理プログラムを終了する。有効期限のチェック機能の再開は、内蔵カウンタに基づくインターバルの管理を再開することにより実行される。
【0077】
なお、ステップ256で開始される復帰要因に応じて実行される割り込み処理においては、廃棄された情報を用いた通信により取得されたパケットは廃棄する。さらに、ARPテーブルの情報も、使用期限を経過した情報は廃棄されているので、必要に応じてARPを用いたMACアドレスの再取得を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施形態に係る複合機が接続された通信ネットワークの構成を示す概略図である。
【図2】実施形態に係る複合機の通信処理に関する電気系の構成が示されている。
【図3】実施形態に係る節電モード移行処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る節電モード復帰処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る節電モード移行〜復帰に係るタイミングチャートである。
【図6】他の形態に係る節電モード移行処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】他の形態に係る節電モード復帰処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10 複合機
12 ルータ
14 サブネット
16 他のネットワーク
18 クライアントPC
20 CPU(制御手段、遮断処理手段、復帰処理手段)
22 ROM
24 RAM
26 通信I/F(通信手段、生成手段)
28 HDD
30 RTC
32 外部タイマ(計時手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介した外部機器との情報通信を実行する通信機能、及び前記通信により取得した情報に基づく情報処理又は前記通信により出力する情報の生成を行なう情報処理機能を含む機能を実行するための機能実行手段と、
何れかの機能の実行指示が入力手段を介して入力された場合、及び前記通信手段を介して前記外部機器から情報を受信した場合に、その旨を示す割り込み信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により前記割り込み信号が生成された場合に、前記割り込み信号に応じた処理を実行するように前記通信手段及び前記機能実行手段を制御する制御手段と、
予め設定された条件が成立した場合に前記制御手段への駆動電力の供給を遮断する遮断処理を実行する遮断処理手段と、
前記遮断処理手段により前記制御手段への駆動電力の供給を遮断している状態で前記割り込み信号が生成された場合に前記遮断処理手段による駆動電力の供給の遮断を解除して前記制御手段への前記駆動電力の供給を再開すると共に、前記制御手段による前記通信手段及び前記機能実行手段の制御を実行する前に、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄する復帰処理を実行する復帰処理手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記割り込み信号に応じた処理を示す割り込みハンドラに基づいて前記通信手段及び前記機能実行手段を制御し、
前記遮断処理手段は、前記遮断処理において、前記制御手段への駆動電力の供給を遮断する際に前記割り込みハンドラを一時的に退避させ、
前記復帰処理手段は、前記復帰処理において、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄した後に、前記割り込みハンドラを再登録する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記遮断処理手段により前記制御手段への駆動電力の供給停止期間を計時する計時手段を更に備え、
前記復帰処理手段は、前記計時手段により計時した前記供給停止期間を加味して、前記有効期限が経過している情報の廃棄を行なう
請求項1又は請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記通信手段を介して情報を受信したことを示す割り込み信号に基づいて前記復帰処理手段による復帰処理が実行された場合に、前記復帰処理手段により廃棄された情報に基づく通信により受信した情報を廃棄する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記機能実行手段により実行可能な機能として、原稿画像を読み取って画像情報を取得する読取機能、通信手段を介して受信した画像情報及び前記読取機能により取得した画像情報に画像処理を施す画像処理機能、画像処理機能により画像処理が施された画像情報を印刷する印刷機能の少なくとも1つを含めた請求項1〜4の何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
通信手段を介した外部機器との情報通信を実行する通信機能、及び前記通信により取得した情報に基づく情報処理又は前記通信により出力する情報の生成を行なう情報処理機能を含む機能を実行するための機能実行手段による何れかの機能の実行指示が入力手段を介して入力された場合、及び前記通信手段を介して前記外部機器から情報を受信した場合に、その旨を示す割り込み信号が入力されるコンピュータに、
前記割り込み信号が入力された場合に、前記割り込み信号に応じた処理を示す割り込みハンドラに基づいて前記通信手段及び前記機能実行手段を制御する制御ステップ、
予め設定された条件が成立した場合に、当該コンピュータへの駆動電力の供給を遮断する遮断処理を実行する遮断ステップ、
前記遮断ステップにより当該コンピュータへの駆動電力の供給を遮断している状態で前記割り込み信号が生成された場合に当該コンピュータへの前記駆動電力の供給を再開すると共に、前記通信機能を実行するために用いる情報に予め設定されている有効期限が経過している情報を廃棄する復帰処理を行う復帰ステップ、
を実行させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−124542(P2009−124542A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297801(P2007−297801)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】