説明

情報提供装置

【課題】ナビゲーション装置などに代表される情報提供装置において、画面に長くて類似する文字列が複数個表示された場合に、ユーザが一瞥して識別できるように文字属性を変更し、運転中等におけるユーザの利便性を確保する。
【解決手段】情報提供装置の表示画面200に表示されている道路地図において、道路名称が長くて類似した幹線道路223の道路名称「Rousendaal St」、幹線道路224の道路名称「Rousenburg Ave」、幹線道路225の道路名称「Rousenbourg Ave」は、先頭から6文字目までがオリジナルのままで表示され、7文字目以降が差異部分として属性変更表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路名称、方面看板の地名等を文字列で表示するようにしたナビゲーション装置などに代表される情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、検索結果である施設名称を表示モニタ上にリスト表示する場合、文字数の多い類似する文字列が複数個表示されると、ユーザが一瞥して施設名称を識別できないおそれがある。特許文献1のナビゲーション装置では、文字数の多い類似する施設名称を複数個リスト表示する際、一致部分を第1の表示領域に表示し、非一致部分を第2の領域に表示する。あるいは、一致部分を固定し、非一致部分を横方向にスクロール表示できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−55261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開2005−55261号公報に開示されているナビゲーション装置では、道路名称、方面看板の地名等の文字列表示においてはなお、一瞥して検索結果などの文字列を識別しづらいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、文字列を表示してユーザに提示する情報提供装置において、地図データ中の文字データの中から、所定数以上の文字列の文字データを抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された文字データの母集団に対して一致度検索(類似検索)を行って、類似する文字列を選択する文字列選択手段と、文字列選択手段により選択された類似文字列に対して、一致しない文字列を異なる表示形態で表示モニタに表示するように加工する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが画面に表示されている文字列の差異部分を容易に識別することが可能となり、運転中等での利便性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第一の実施形態)
図1〜3を参照して、本発明による情報提供装置をナビゲーション装置に適用した第一の実施の形態を説明する。このナビゲーション装置では、表示すべき複数の道路名称の文字列に対して前方一致比較を行い、不一致部分を太字で強調表示し、道路名称の視認性を向上させている。
【0008】
図1は、ナビゲーション装置100のハードウェア構成を表すブロック図である。ナビゲーション装置100は、CPU110、現在地検出装置120およびユーザ入力装置130とを備えている。現在地検出装置120は不図示のGPSセンサ、ジャイロセンサ、車速センサ等から構成される。ユーザ入力装置130はタッチパネル、パネル周辺の押ボタン式スイッチ、リモコン等である。
【0009】
CPU110はナビゲーション装置100全体を制御する演算装置である。CPU110はその周辺回路と互いにバスで接続されている。周辺回路は、ワークメモリ111、データメモリ112、プログラムメモリ113、ディスプレイモジュール140、VICS(登録商標)/FMチューナ150、記憶装置160、メディア再生装置170を含んで構成されている。ワークメモリ111およびデータメモリ112は、各々CPU110の作業エリアおよびデータ格納エリアとしてナビゲーション装置100全体を制御するのに用いられ、プログラムメモリ113にはCPU110の制御プログラムが格納されている。
【0010】
ディスプレイモジュール140は、グラフィックコントローラ141、画像メモリ142、表示パネル143を含んで構成される。グラフィックコントローラ141は、CPU110から出力される文字や図形等の画像データを画像メモリ142に格納し、表示パネル143に画面表示するための制御を行う。
【0011】
記憶装置160は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI(Point of Interest:観光地や各種施設)情報などの情報を格納する記憶装置であり、ハードディスクドライブが用いられる。なお、記憶装置160は、ハードディスクドライブ以外にも、道路地図データが格納されたCD−ROMやDVD、その他の記録媒体、およびその読み出し装置であっても良い。
【0012】
道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データなどから成る。地図表示用データは道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報などを含むデータであり、演算された推奨経路に基づきユーザを経路誘導する際に用いられる。
【0013】
道路地図データにおいては、一本の道路は、交差点などをノードとして定義し、ノード間をリンクとして定義することによって、リンク列データとして表される。したがって、リンク列データは、ノードデータおよびリンクデータから構成される。道路地図データは、ノードデータとリンクデータとが、メッシュコードとともにメッシュ領域単位で分類して格納されている。メッシュ領域とは、道路地図を所定範囲毎に区分けしたときの区分けされた各領域をいう。メッシュコードの記憶領域には、メッシュ領域を識別する番号が格納される。リンク列データの記憶領域には、ノードの位置座標とノード間のリンク番号と、リンクをさらに短く分割する補間点の位置座標とが各々の領域に格納される。これらの位置座標が地図表示やロケータ処理の形状データとして用いられる。
【0014】
VICS(登録商標)/FMチューナ150は、アンテナを介してVICS(登録商標)センターなどで代表される道路交通情報配信センターからの情報やFM放送を受信するために設けられている。メディア再生装置170は、楽曲を記録したメディア再生等を行うプレーヤー機器である。
【0015】
図2を参照して、第一の実施の形態であるナビゲーション装置の画面表示について説明する。図2において、前方一致の文字列「Rousen」を有する複数の道路名称が同一表示画面200上に表示されている。表示画面200には、ナビゲーション装置100を搭載する車両の現在位置を示す自車位置マーク210が周辺の道路地図と共に表示されている。道路地図には、主要な幹線道路221〜225が太い実線で表示され、幹線道路以外の道路が細い実線で表示されている。なお、図示は省略するが、表示画面200には、道路地図の表示範囲に含まれる各種施設情報や各種ランドマーク情報、地名、道路名称、交差点名称なども表示される。
【0016】
図2に示す表示画面200には、自車両が走行している幹線道路Rose Rd(221)の他、幹線道路Route101(222)、Rousendaal St(223)、Rousenburg Ave(224)、Rousenbourg Ave(225)が表示されている。自車位置マーク210は幹線道路Rose Rd(221)上に示されている。なお、幹線道路以外の道路の名称についても適宜表示されるが、説明の便宜上、図2では省略している。
【0017】
このナビゲーション装置100では、以下に示す条件1および2にて、表示すべき複数の道路名称の文字列に対して前方一致比較を行い、不一致部分を太字で強調表示し、道路名称の視認性を向上させている。
条件1:文字数が7以上であること
条件2:前方一致する文字数が4以上である他の文字列が存在すること
【0018】
このような条件1および2は次のようにして決定した。
幹線道路222の道路名称「Route 101」は、他の4個の道路名称と文字列比較すると、「Rose Rd」との間では先頭の2文字Roが前方一致となり、「Rousendaal St」、「Rousenburg Ave」、「Rousenbourg Ave」との間ではいずれも先頭の3文字Rouが前方一致となる。しかしながら、表示画面200内において2または3文字の前方一致は極めて頻繁に発生し得る。そのため、後方の差異部分の文字属性を前方一致部分の文字属性と異ならせると、文字属性が変更された文字列の方が多くなってしまい、かえってユーザにとって分かりにくい表示となることが考えられる。より具体的には、
(1)本来は文字属性が変更されなくてもユーザが一瞥で識別できるような短い文字列に対しても差異部分の属性変更表示が多発する。
(2)長い文字列においては差異部分に該当する後方の文字列が長くなる場合が頻発するために差異部分の属性変更表示が多発する。
【0019】
そこで、図2においては、上記条件1については道路名称文字数をたとえば7文字以上とし、条件2は前方一致する文字数がたとえば4文字以上に設定した。
【0020】
上述の条件1および条件2に基づくと、幹線道路222の道路名称「Route 101」は、条件1については満たしているが、条件2については満たさないため、差異部分の属性変更表示の対象外と判定されるため、図2において、全ての文字がオリジナルの属性で表示されている。
【0021】
幹線道路221の道路名称「Rose Rd」は、文字数が6文字であり条件1を満たしていないため、属性変更表示の対象外と判定され、図2において、全ての文字がオリジナルの文字属性で表示されている。なお、幹線道路223の道路名称「Rousendaal St」、幹線道路224の道路名称「Rousenburg Ave」、幹線道路225の道路名称「Rousenbourg Ave」のいずれとの間においても4文字の前方一致となるため、条件2を満たしている。この実施の形態では、条件1および2をともに満たした場合のみ、後方の一部文字が強調表示されるので、幹線道路221の道路名称「Rose Rd」は強調表示されない。
【0022】
幹線道路223の道路名称「Rousendaal St」、幹線道路224の道路名称「Rousenburg Ave」、幹線道路225の道路名称「Rousenbourg Ave」は、いずれも7文字以上から構成されているので、条件1を満たす。また、幹線道路223の道路名称「Rousendaal St」、幹線道路224の道路名称「Rousenburg Ave」、幹線道路225の道路名称「Rousenbourg Ave」は、それらを相互比較すると6または7文字の前方一致となるため、いずれも条件2を満たす。その結果、道路名称「Rousendaal St」、「Rousenburg Ave」、「Rousenbourg Ave」は、差異部分の文字列の属性変更表示の対象として判定される。その際、オリジナルの文字属性で表示される文字数については、前方一致となる文字数の大小比較の結果、少ない方の値で定めることとする。よって、図2においては、道路名称「Rousendaal St」、道路名称「Rousenburg Ave」、道路名称「Rousenbourg Ave」のいずれにおいても、6文字目までがオリジナルの属性で表示され、7文字目以降が差異部分の文字列として属性変更表示されている。
【0023】
図3のフローチャートを参照して、道路名称における差異部分の文字列の属性変更表示の具体的な処理内容を説明する。
【0024】
ステップS310において、ナビゲーション装置100は、自車両の現在地を特定する。次に、ステップS320にて、表示画面200に表示する道路地図の縮尺を特定する。地図縮尺は、ナビゲーション装置100のデフォルト設定値としても良いし、予めユーザが設定した設定値でも良い。
【0025】
ステップS330では、前述の処理ステップにて特定した現在地と表示縮尺に基づいて、画面表示に必要な範囲の道路地図データを記憶装置160から読み出す。なお、前述したように、道路地図データはメッシュ領域単位で格納されており、ステップS330では、自車両の現在地を含むメッシュおよび当該メッシュの全方位の隣接8メッシュを合わせた合計9メッシュ領域の道路地図データを読み出す。そして、ステップS340以下のステップにおいて、それらの道路地図データに対して文字属性変更処理を予め行っておく。こうすることで、自車両が時々刻々と移動する都度、既に属性変更処理実施済みの文字列が遅延無く表示される。
【0026】
ステップS340〜ステップS370で実行される文字属性変更処理を説明する。ステップS340では、ステップS330にて読み出された道路地図データにおいて、所定の文字数以上の文字列から構成される道路名称を抽出する。図2で説明したとおり、たとえば7文字以上の全ての道路名称を抽出する。ステップS350において、抽出した全ての道路名称のうち、文字列の先頭から数えて4文字以上一致する最低2つの道路名称を含む道路名称群を選択する。
【0027】
ステップS360では、ステップS350で特定された道路名称群のうち、前方一致部分以降の差異部分(非一致部分)となる後続の文字列に対して属性変更処理を実行する。図2で説明したとおり、属性変更処理対象となる道路名称群の前方一致以降の後続の文字列の文字属性を、大文字かつ太字かつ斜字体に設定する。そして、ステップS370において、属性変更結果を反映した道路名称表示を含めた道路地図表示を行う。その一例が図2で説明した表示画面200である。
【0028】
ステップS380において、道路地図表示を終了するか否かを判定する。ステップS380が肯定されると、すなわち道路地図表示の終了が判定されると図3の処理を終了する。ステップS380が否定されると、すなわち道路地図表示継続が判定されると、ステップS390に進む。
【0029】
ステップS390では、上述の文字属性変更処理を再度実行するか否かを判定し、文字属性変更処理の再実行が判定されるまで、繰り返しステップS390を実行する。ステップS390が肯定されるとステップS330へ戻り、ステップS340からS370において文字属性変更処理を実行する。この実施の形態のナビゲーション装置では、次の条件が成立すると文字属性変更処理を再実行する。
(1)自車両が地図データ上のメッシュ境界を越えて隣接メッシュ範囲へ移動したことをナビゲーション装置100が検出した場合
(2)ユーザ入力等により道路地図表示の縮尺が変更された場合
いずれの場合においても、新たなメッシュが自車両の現在地を含む合計9メッシュの中心となることから、上述の文字属性変更処理を再度実行する必要があり、ステップS330へ戻る。
【0030】
上述した第一の実施の形態によるナビゲーション装置は、次の作用効果を奏する。
(1)道路地図を表示した画面に所定の文字数以上が前方一致する複数の道路名称が含まれている場合に、差異部分となる後続の文字列の属性を変更して表示するように構成した。これにより、ユーザが運転中に道路地図表示を一瞥する際に、紛らわしい道路名称のために所望の道路と別の道路とを混同することに起因して経路を逸脱することが防止できる。
【0031】
(2)道路名称の差異部分の文字属性変更処理は、自車両の現在位置を含むメッシュだけでなく全方位の隣接メッシュも含めた9メッシュについて同時に実施するように構成した。これにより、自車両の走行中に画面表示されている道路地図領域においては、画面表示の対象となる以前に道路名称の差異部分の文字属性変更処理が完了しているため、車両の移動に伴って画面表示が変更される際に、文字属性変更処理のために表示が遅れる現象を防止できる。
【0032】
第1の実施の形態のナビゲーション装置において、上記「所定の文字数」を次のように定めてもよい。
(1)上記「所定の文字数」の設定値としては、ナビゲーション装置100として固定値を適用しても良いし、ユーザ入力で任意の値を適用できるようにしても良い。
(2)ナビゲーション装置100の画面表示範囲に含まれるすべての文字列が比較演算されて、差異部分として判定されて文字属性変更表示される文字列の含まれる割合が所定の割合以下になるように動的に自動変更されるようしても良い。
(3)過去の経路誘導時に車両が経路を逸脱した地点の道路名称が、「所定の文字数」未満である前方一致文字列を含む道路名称であれば、経路逸脱地点の道路名称の文字数を学習して「所定の文字数」を自動設定するようにしても良い。すなわち、経路を逸脱しやすい分岐点に接続する道路名称については上記条件1および2の文字数を小さくしてもよい。
(4)図2に示す表示画面200において、文字属性変更表示として大文字、太字、かつ斜字体を例示した。しかし、書体(明朝体・ゴシック体等)、スタイル(太字・斜字体等)、大文字/小文字の別、サイズ、色、改行等の様々な属性の中から適宜選択して変更することによって実現しても良い。
【0033】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態によるナビゲーション装置100では、経路誘導中に分岐路近傍で表示される方面看板内の文字列に対して、上述したと同様の文字属性変更処理を実行するものである。方面看板には、経路誘導実行中に分岐点に近接したときに分岐路に接続される道路の行き先方面の地名が表示される。以下、図4および図5を用いて説明する。なお、本実施形態において、文字属性変更処理を実行する条件は第一の実施の形態と同様であるが、方面看板内の文字列のみを対象とし、方面看板内の文字列と地図内の地名の文字列とを比較しない。
【0034】
図4は、本発明を適用したナビゲーション装置100における表示画面200の一例を示したものである。表示画面200には、推奨経路が他の道路と識別可能に表示されるとともに、自車位置マーク210、および方面看板430が表示されている。第2の実施の形態のナビゲーション装置では、方面看板430をイメージ情報として予め作成して記憶しておくのではなく、誘導ポイントである分岐路の手前所定距離の地点で方面看板430を作成して表示画面200に表示するものとする。なお、表示画面200上には、第一の実施形態で述べたのと同様に様々な情報やメニュー等が出力されるが、本発明の実施の形態を説明する上では便宜上、適宜省略した形で図示している。
【0035】
図4において、自車位置マーク210の示す位置を走行する自車両は交差点420で左折し、さらに交差点440で右折するような推奨経路が示されている。自車両は交差点420の手前所定距離の地点に差し掛かっており、方面看板430が画面右上に表示されている。方面看板430には、交差点420で左折方向に矢印が付加されおり、左折方向の行き先方面は「Sunnyvale」431方面であることが分かる。交差点420で直進すると「Sunnydale」432方面へ向かい、右折すると「Sunnygate」433方面へ向かう。これら3つの地名の文字列は、いずれも9文字から構成されており、かつ、いずれも互いに先頭から5文字の前方一致となっており、差異部分は後続の4文字が該当する。
【0036】
「Sunnyvale」431、「Sunnydale」432、「Sunnygate」433は、いずれも7文字以上から構成されているので、上記条件1を満たす上、互いにいずれも4文字以上の前方一致となるため、上記条件2をも満たす。その結果、方面看板中の地名「Sunnyvale」431、「Sunnydale」432、「Sunnygate」433は、差異部分の文字列の文字属性変更対象として判定される。したがって、図4においては、「Sunnyvale」431、「Sunnydale」432、「Sunnygate」433のいずれにおいても、5文字目までがオリジナルの文字属性で表示され、6文字目以降の差異部分の文字列が文字属性を変更して表示されている。変更後の文字属性は、第一の実施の形態と同様に大文字かつ太字かつ斜字体である。
【0037】
次に、図5のフローチャートを参照して第二の実施の形態によるナビゲーション装置100における方面看板430中の文字列の属性変更処理を説明する。
【0038】
ステップS510において、ナビゲーション装置100は、誘導ポイントである分岐点の手前所定距離に自車両が接近したか否かを判定する。ステップS510が肯定されるとステップS515に進む。ステップS515においては、自車両が誘導ポイントを通過したか否かを判定する。自車両が誘導ポイントを通過していない場合、ステップS520に進む。ステップS520では、ステップS510で接近対象となった分岐点での方面表示対象の地名文字列を誘導データから読み出し、方面看板430を作成する。このとき、方面表示対象の地名文字列のなかから、たとえば7文字以上の地名文字列を抽出する。ステップS530において、文字列の先頭から数えて文字数4以上が前方一致する地名群を選択する。
【0039】
ステップS540では、ステップS530において選択された地名群に対して、差異部分となる後続の文字列の文字属性を変更する処理を実行する。図5においても、第一の実施形態と同様に、誘導データとして記憶されているオリジナル文字属性を大文字かつ太字かつ斜字体の文字属性とする。そして、ステップS550において、文字属性変更結果を反映した地名の文字列を含め、分岐点における方面看板430のイメージ情報(画像情報)を作成して表示画面200に図4に示すような方面看板430を表示する。ステップS515において、誘導ポイントを通過したと判定されるとステップS590に進み、表示画面200の方面看板430の表示を消去して図5の処理を終了する。
【0040】
上述した第二の実施の形態によるナビゲーション装置100は、次の作用効果を奏する。
(1)各分岐路の方面看板430に表示される地名のうち、7文字以上の文字列の地名群を抽出し、それら地名群の地名文字列の前方4文字以上が一致する場合、差異部分となる後続の文字列の文字属性を変更して表示するように構成した。これにより、ユーザが運転中に方面看板430を見誤るおそれが低減され、経路逸脱等の円滑な経路誘導を阻害することが防止される。
【0041】
第二の実施の形態のナビゲーション装置100では、方面看板430内の複数の地名同士で前方一致比較を行うようにした。方面看板430内の地名と地図表示領域内の地名との間での前方一致比較は行わない。
【0042】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態によるナビゲーション装置100では、目的地設定に伴うユーザ入力処理中にリスト形式で表示される住所一覧に対しても、第一および第二の実施の形態と同様の文字属性変更処理を行うものである。図6および図7を用いて説明する。
【0043】
図6は、本発明を適用したナビゲーション装置100における表示画面200の一例を示したものである。表示画面200は、左右に2分割表示されており、左側の画面には、自車両の現在地を表す自車位置マーク210が周辺の道路地図と共に表示されている。右側の画面には、ユーザ入力による目的地設定画面620が表示されている。なお、表示画面200上には、第一および第二の実施例で述べたのと同様に様々な情報やメニュー等が出力されるが、本発明の実施の形態を説明する上では便宜上、適宜省略した形で図示している。
【0044】
図6の例は、ユーザが東京都港区芝付近に目的地を設定しようとしている。港区芝には1〜4丁目までの行政区分があるため、本来は、「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」が垂直方向に列挙して表示される。しかしながら、表示画面200における水平方向の表示文字数制限のため、すべての文字を出力することができない。また、これらはいずれも先頭から6文字が前方一致していて紛らわしく、差異部分は後続の3文字である。
【0045】
そこで、本実施例においても、第一および第二の実施例と同様の理由により、差異部分の文字属性を変更する処理を適用する対象となる文字列は、上述の条件1および2とする。
【0046】
図6においては、条件1については所定文字数をたとえば7文字以上とし、条件2についてはたとえば6文字以上とする。なお、それらの「所定の文字数」の設定値としては、第一および第二の実施例と同様に、固定値あるいは可変値としても良いし、静的設定値あるいは動的設定値としても良い。
【0047】
「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」は、いずれも7文字以上から構成されているので、条件1を満たす上、互いにいずれも6文字以上の前方一致となるため、条件2をも満たす。その結果として、「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」は差異部分の文字列の文字属性変更表示の対象として判定される。
【0048】
よって、図6においては、「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」のいずれにおいても、6文字目までがオリジナルの属性で表示され、7文字目以降の差異部分の文字列について文字属性変更処理が施されて表示されている。差異部分は、下段に改行(631〜634)されており、前方一致部分については上段に共通表記(630)している。変更後の文字属性は第一および第二の実施の形態と同様に、大文字かつ太字かつ斜字体であり、さらに、文字列を改行している。
【0049】
図6においては、「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」のほかに、「東京都港区芝浦」も当該前方一致の対象となり得る。しかし、これも対象とすると、差異部分が「浦」となり、意味をなさなくなる結果となる。したがって、前方一致範囲の文字列特定に当たっては、行政区画単位という条件を加えることとする。すると、「東京都港区」までが前方一致となるが、6文字以上の前方一致とならないために条件2を満たさない。結果として、図6にあるように、「東京都港区芝浦」は「東京都港区芝1丁目」、「東京都港区芝2丁目」、「東京都港区芝3丁目」、「東京都港区芝4丁目」とは別に表記(640)されている。
【0050】
図7のフローチャートを参照して、図6のように目的地設定画面の文字列に対する文字属性の変更処理をナビゲーション装置100が行う具体的な処理内容について説明する。
【0051】
ステップS710において、ナビゲーション装置100は、目的地設定に伴うユーザ入力等により住所一覧表示要求イベントを受けたことを検出する。
【0052】
ステップS720では、ステップS710で検出した住所一覧表示要求に基づいて表示対象となる住所表記文字列を抽出する。第三の実施の形態のナビゲーション装置では、7文字以上の行政区画名称を抽出する。次に、ステップS730において、文字列の先頭から数えて6文字数以上が前方一致する行政区画名群を選択する。なお、ステップS730では、前方一致範囲と判定する条件に行政区画を考慮する。
【0053】
ステップS740では、ステップS730において選択された行政区画名の文字列の前方一致部分が特定されているため、当該前方一致部分を行政区画単位で抽出して上段に共通表記する形で表示する。ステップS750では、当該前方一致部分を上段に表示するとともに、差異部分となる後続の文字列について文字属性の変更処理を実行する。文字属性は、太字かつ斜字体であり、さらに、下段への改行を施した。そして、ステップS760において、属性変更結果を反映した行政区画名の文字列を含め、図6に示すように目的地入力画面を表示する。
【0054】
ステップS770において、住所一覧表示変更要求の有無を判定する。住所一覧表示変更要求がなければ、ステップS770が否定判定されて処理はステップS780に進む。住所一覧表示変更要求がなければステップS780において、目的地設定操作の終了に伴う住所一覧表示終了処理を実行して図7の処理を終了する。ステップS770において、目的地設定変更等に伴う住所一覧表示変更要求があれば、ステップS720へ戻る。
【0055】
上述した第三の実施の形態によるナビゲーション装置100は、次の作用効果を奏する。
(1)住所一覧表示に所定の文字数以上が前方一致する複数の住所表記が含まれている場合に、前方一致部分は上段に共通表記にて表示し、差異部分となる後続の文字列は下段表示領域内において文字属性を変更して表示するように構成した。これにより、表示画面200において、水平方向の表示文字数上限のためにすべての文字を出力することができない場合のスクロール操作を低減することができる。また、紛らわしい住所表記のために所望の目的地を表す住所表記とは異なる住所表記を選択して目的地として設定するミスを低減することができる。
【0056】
上述したナビゲーション装置100を次のように変形して実施することも可能である。(1)以上では、リスト表示した文字列の差異部分は全て文字属性を変更するものとした。しかし、図8に示すように、表示画面200に、住所一覧表示要求に基づいて表示対象となる住所表記文字列をリスト表示する際、1行おきに不一致部分の文字属性を変更して表示(831〜834)するようにしてもよい。
【0057】
なお、上述の図1〜図8の説明では、本発明による情報提供装置をナビゲーション装置に適用した一実施の形態を説明したが、適用対象はこれに限らず、PND(Personal Navigation Device)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、ポータブルパソコン、ポータブルゲーム機等の各種情報端末装置であっても良い。
【0058】
上述の実施の形態およびその変形例において、抽出手段と、文字列選択手段と、表示制御手段はCPU110によって実現される。
【0059】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における機器構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図
【図2】第1の実施の形態による表示モニタの地図表示例を示す図
【図3】第1の実施の形態による文字属性変更処理の手順を説明する図
【図4】第2の実施の形態による表示モニタの地図表示例を示す図
【図5】第2の実施の形態による文字属性変更処理の手順を説明する図
【図6】第3の実施の形態による表示モニタの地図表示例を示す図
【図7】第3の実施の形態による文字属性変更処理の手順を説明する図
【図8】第3の実施の形態によるリスト表示の変形例を示す図
【符号の説明】
【0061】
100 ナビゲーション装置
110 CPU
111 ワークメモリ
112 データメモリ
113 プログラムメモリ
120 現在地検出装置
130 ユーザ入力装置
140 ディスプレイモジュール
141 グラフィックコントローラ
142 画像メモリ
143 表示パネル
150 VICS(登録商標)/FMチューナ
160 記憶装置
170 メディア再生装置
200 表示画面
210 自車位置マーク
221、222、223、224、225 幹線道路
420、440 交差点
430 方面看板
431、432、433 行き先方面
620 目的地設定画面
630、631、632、633、634、640、831、832、833、834 住所


【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字列を表示してユーザに提示する情報提供装置において、
地図データ中の文字データの中から、所定数以上の文字列の文字データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出した文字データの母集団に対して一致度検索(類似検索)を行って、類似する文字列を選択する文字列選択手段と、
前記文字列選択手段により選択した類似文字列に対して、一致しない文字列を異なる表示形態で表示モニタに表示するように加工する表示制御手段とを備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
前記表示モニタには自車両現在地を中心とする所定表示範囲の道路地図を表示し、
前記抽出手段は、前記所定表示範囲の外側に隣接する広範囲の地図データの文字データを対象として抽出処理を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報提供装置において、
前記表示モニタには行政区画がリスト表示され、
前記抽出手段は、リスト表示されている行政区画の文字データを前記母集団として抽出することを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の情報提供装置において、
前記文字列選択手段は、前記抽出手段により抽出した文字列の先頭から前記一致度検索を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
地図データ中の文字データの中から、所定数以上の文字列の文字データを抽出する抽出手段と、
抽出した文字データの母集団に対して一致度検索(類似検索)を行って、類似する文字列を選択する文字列選択手段と、
選択した類似文字列をリスト表示する際、一行おきに異なる表示形態で表示モニタに表示するように加工する表示制御手段とを備えることを特徴とする情報提供装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−270855(P2009−270855A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119667(P2008−119667)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】