感光体の位置設定方法及び画像形成装置
【課題】 複数個の感光ドラム毎の回転位相差をベルトとの擦れが少ない状態で所定の値に設定すること。
【解決手段】 ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)は、感光ドラム(K、Y、M、C、)の回転駆動とベルト2の搬送駆動とを同時に開始させ、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C、)の検出結果に基づいて複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルトの搬送駆動停止時刻とを設定し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)の算出結果に基づいて上記複数個の感光ドラム3(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動と上記搬送ベルト2の搬送駆動とを停止させる。
【解決手段】 ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)は、感光ドラム(K、Y、M、C、)の回転駆動とベルト2の搬送駆動とを同時に開始させ、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C、)の検出結果に基づいて複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルトの搬送駆動停止時刻とを設定し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)の算出結果に基づいて上記複数個の感光ドラム3(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動と上記搬送ベルト2の搬送駆動とを停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトと像担持体である感光体との摩擦を抑制する、感光体の位置設定方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、カラー電子写真プリンタ等の多色画像形成装置では、例えばK(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のトナー像を形成する像担持体(以後感光ドラムと記す)が、ベルト上に所定の間隔を隔てて直列に並べて配置されている。以下の説明では、一例として、K、Y、M、C、の順番で、感光ドラムが、用紙の搬送方向上流から下流に向かって配置されているものとする。
【0003】
これら4個の感光ドラムを同時に回転開始させ、同時に回転停止させて、ベルト上を搬送されてくる用紙上の同じ位置にK、Y、M、C、4色のトナー像を積層するためには、感光ドラムKに画像が照射される時刻を基準時刻Tkと定めると、感光ドラムYに画像が照射される時刻Tyは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムYとベルトとの接点までの距離Lkyをベルトの搬送速度Vで除した時間Lky/V経過後でなければならない。
【0004】
又、感光ドラムMに画像が照射される時刻Tmは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムMとベルトとの接点までの距離Lkmをベルトの搬送速度Vで除した時間Lky/V経過後でなければならない。同様にして、感光ドラムCに画像が照射される時刻Tcは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムCとベルトとの接点までの距離Lkcをベルトの搬送速度Vで除した時間Lkc/V経過後でなければならない。
【0005】
しかし、上記のように照射時刻を正確に設定しても、感光ドラムの偏心等によって、K、Y、M、C、4色のトナー像間での位置ずれ(以後色ずれと記す)が発生する場合がある。この色ずれの発生を、周期的に同一になるようにして目立ちにくくするための技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
この技術では、4個の感光ドラムのそれぞれに基準点を付加し、4個の感光ドラムの基準点間位相差を常に一定に保持することによって色ずれの発生を、周期的に同一になるようにしている。4個の基準点間位相差を常に一定に保持するために、印刷開始時点において、所定の手順に従って、基準点間位相差設定プロセスを実行する。
【0007】
基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させ、4個の感光ドラムを同時に回転させながら基準点検出部を用いて、4個の感光ドラムそれぞれの基準点を検出する。次に、ベルトを搬送させたまま、それぞれの基準点検出時刻に基づいて、感光ドラムを個々に停止させる(感光ドラムとベルトは擦れ状態になる)。
【0008】
最後の感光ドラムが停止されると同時にベルトも停止され、基準点間位相差設定プロセスが完了する。この感光ドラムそれぞれの停止時刻は、基準点検出部による基準点検出時刻と、4個の感光ドラムの回転速度との関係から算出される。このように設定されることによって、印刷工程を実行する毎に、4個の感光ドラム間での位相差は一定に保持され色ずれが目立ちにくくなる。
【特許文献1】特開2000−187428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、上記従来技術の基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させたまま、それぞれの基準点検出時刻に基づいて、感光ドラムを個々に停止させ、最後の感光ドラムが停止すると同時にベルトも停止される点である。即ち、かかるプロセスでは、感光ドラムとベルトとの擦れ状態が必要以上に大きくなり、感光ドラム及びベルトの摩耗は勿論のこと、ベルトにたわみが発生し、その結果色ずれが、更に発生し易くなる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させたまま感光ドラムを停止させるステップのみであったが、本発明では、感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加する。即ち、基準マークの検出結果に基づいて複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルトの搬送駆動停止時刻とを設定するドラム・ベルト駆動時間算出手順と、該ドラム・ベルト駆動時間算出手順による算出結果に基づいて、複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動と搬送部の搬送駆動とを停止させるドラム・ベルト駆動停止手段とを備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加することによって、感光ドラムとベルトが擦れ状態になる時間をより一層短縮できるので、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない良好な出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明による基準点間位相差設定プロセスは、従来技術の基準点間位相差設定プロセスに於ける制御手順の実行プログラムを変更することのみによって実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の構成のブロック図である。
図に示すように実施例1による感光ドラムの位置設定方法を実行する画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、制御部10とを備える。
【0014】
本発明が適用される印字機構部の概要について説明する。
図2は、印字機構部の主要部横断面図である。
図に示すように、印字機構部には、4個の画像形成部21K、21Y、21M、21Cが、記録媒体の挿入側から排出側へ向かう搬送路にそって配置される。ここでK、Y、M、Cは、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色彩を表すこととする(以後同様に記す。)。この内部には、帯電ローラ22K、22Y、22M、22Cによって、その表面が、一様に帯電される感光ドラム3K、3Y、3M、3Cが含まれている。この表面に、LEDヘッド23K、23Y、23M、23Cによって画像データに従う静電潜像が形成される。
【0015】
静電潜像には、現像ローラ24K、24Y、24M、24C、現像ブレード25K、25Y、25M、25C、スポンジローラ26K、26Y、26M、26Cなどによってトナーカートリッジ27K、27Y、27M、27Cから所定の色彩のトナーが供給され現像される。
【0016】
静電潜像を現像したトナーは、転写ローラ28K、28Y、28M、28Cによって、搬送ベルト2上を画像形成部21Kから画像形成部21Cの方向に搬送されている記録媒体上に転写される。
【0017】
搬送ベルト2の周囲には、色ずれを検出するための色ずれ検出センサ16と、クリーニングブレード33と、廃トナータンク34とが配置される。この色ずれ検出センサ16は、搬送ベルト2上に形成される位置ずれ検出パターンに所定の光線を照射し、その反射光を受け入れて印刷位置ずれ値を検出するセンサである。クリーニングブレード33は、搬送ベルト2上に形成される位置ずれ検出パターンを除去する部分であり、廃トナータンク34は、除去された廃トナーを収納する部分である。
【0018】
印刷時に於ける記録媒体は、用紙収納カセット35からホッピングローラ36により取り出されるとガイド37に案内されレジストローラ38に達する。記録媒体の斜め送り等はレジストローラ38と、相対するピンチローラ39とによって修正される。記録媒体は、その後レジストローラ38によって吸着ローラ40と搬送ベルト2との間へ導かれる。吸着ローラ40は、記録媒体を従動ローラ30との間で圧接することによって共に帯電させ、搬送ベルト2上に静電吸着させる。
【0019】
転写ローラ28K、28Y、28M、28Cによってトナー画像が転写された記録媒体は、ヒートローラ41と加圧ローラ42へ送られる。ここでトナー画像は加熱され記録媒体上に定着される。ここでヒートローラ41の温度はサーミスタ14によって検出される。
【0020】
定着後の記録媒体は、ガイド43を通ってスタッカ44へ収納されて印刷処理を終了する。
以上説明した工程中での記録媒体の位置を検出するために位置センサ13−1、13−2、13−3、13−4が所定の場所に配置されている。
以上で印字機構部の概要について説明を終了し、本発明の制御系統を図3を参照して詳細に説明する。
【0021】
ホストインタフェース部80は、外部装置、即ちホストコンピュータとのインターフェースの役割を果たす部分である。
コマンド/画像処理部82は、外部装置から受け入れた印刷ジョブを解析し、編集し、展開し、ビットマップデータと各種の制御指示を出力する部分である。
LEDヘッドインタフェース部53は、コマンド/画像処理部82が出力する1ライン分のビットマップデータをLEDヘッド23K、23Y、23M、23Cへ送出する部分である。
【0022】
LEDヘッド23K、23Y、23M、23Cは、上記のように、LEDヘッドインタフェース部53から1ライン分のビットマップデータを受け入れて該ビットマップデータに対応するLEDを点灯させて、感光ドラム3K、3Y、3M、3Cの表面に静電潜像を生成する部分である。
【0023】
高圧制御部54は、機構制御部18の制御に基づいてチャージ電圧(CH)、現像バイアス電圧(DB)、転写電圧(TR)の生成を制御する部分である。
CH発生部55は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cにチャージ電圧(CH)を供給する部分である。このチャージ電圧(CH)は、帯電ローラ22K、22Y、22M、22C(図2)に印加される。
【0024】
DB発生部56は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cに現像バイアス電圧(DB)を供給する部分である。この現像バイアス電圧(DB)は、現像ローラ24K、24Y、24M、24C(図2)に印加される。
TR発生部57は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cに転写電圧(TR)を供給する部分である。この転写電圧(TR)は、転写ローラ28K、28Y、28M、28C(図2)に印加される。
【0025】
ホッピングモータ58は、機構制御部18の制御に基づいてホッピングローラ36(図2)を駆動するモータである。
レジストモータ59は、機構制御部18の制御に基づいてレジストローラ38(図2)を駆動するモータである。
ヒータモータ61は、機構制御部18の制御に基づいてヒートローラ41(図2)を駆動するモータである。
ドラム駆動モータ(K、Y、M、C)62は、機構制御部18の制御に基づいて感光ドラム3K、3Y、3M、3C(図2)を駆動するモータである。
【0026】
センサ13−1、13−2、13−3、13−4は、印刷工程中に於ける印刷媒体の位置を検出するための位置センサである。この検出信号は、機構制御部18へ送られる。
サーミスタ14は、ヒートローラ41(図2)の定着温度を検出する温度センサである。この検出温度は機構制御部18へ送られる。
環境温度センサ15は、装置内部の温度を検出するセンサである。
【0027】
ヒータ17は、ヒートローラ41を加熱するヒータである。
機構制御部18は、以上説明した制御系統全体を制御する部分であり、以下の内部構成を有する。
図4は、機構制御部の内部構成図である。
図に示すように、機構制御部18は、CPU(中央演算制御装置)18−1と、制御手段を実行するための制御プログラムを格納するプログラムROM18−2と、制御手段を実行するために必要なデータ等を記憶するメモリ18−3、と、上記制御系統をK、Y、M、Cの4系統に分割するカスタムLSI18−4とを有する。
【0028】
更に、カスタムLSI18−4から制御系統は4色彩毎に分割され、それぞれの制御系統には、ドラム駆動モータ62K、62Y、62M、62Cと、ドラム駆動モータに駆動パルスを出力するモータドライブIC18−6K、18−6Y、18−6M、18−6Cとが接続される。更に、モータドライブICが出力する駆動パルスの個数をカウントするパルスカウンタ18−5K、18−5Y、18−5M、18−5Cが配置される。
【0029】
図5は、ドラムギヤ/アイドルギヤ解離手段説明図である。
ここでは画像形成部21K(図2)のみについて説明する。
図5に示すように、感光ドラム3Kを駆動するための回転力は、ドラム駆動モータ62Kから、このドラム駆動モータ62Kの回転軸に軸止されているドラムモータギヤ62Kaと、このドラムモータギヤ62Kaに噛み合うアイドルギヤ51Kと、このアイドルギヤ51Kの回転軸に軸止されている駆動ギヤ9Ka(図1)と、感光ドラム3Kに軸止されている感光ドラムギヤ23Kaを介して感光ドラム3Kへ伝動される。画像形成部21Y(図2)、画像形成部21M(図2)、画像形成部21C(図2)についても、画像形成部21K(図2)と全く同様なので説明を省略する。
【0030】
ここで、駆動ギヤ9Kaと、感光ドラムギヤ23Kaとの噛合を解くドラムギヤ/アイドルギヤ解離手段52を更に備える。その結果感光ドラム3Kと駆動ギヤは、それぞれ独立して回転位相の設定が可能になる。画像形成部21Y(図2)、画像形成部21M(図2)、画像形成部21C(図2)についても、画像形成部21K(図2)と全く同様なので説明を省略する。
【0031】
再度図1に戻って、ベルトローラ1は、制御部10の制御に基づいて、ベルト駆動部6の駆動力をベルト駆動ギヤ7を介して受け入れてベルトを搬送させる部分である。
ベルト2は、感光ドラム3(K、Y、M、C)と共に記録媒体100を挟んだ状態で搬送する部分である。
【0032】
感光ドラム3(K、Y、M、C)は、ベルト2と共に記録媒体100を挟んだ状態で搬送しながら、帯電ローラで、その表面が負電位に帯電される。帯電された部分は、各色彩のLEDヘッドで、所定の画像が照射され静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器によってトナー像に現像される。このトナー像は、転写器によって記録媒体上に転写される。
【0033】
通常、カラー電子写真プリンタ等の多色画像形成装置では、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のトナー像を形成する感光ドラム3(K、Y、M、C)が、ベルト1の上に所定の間隔を隔てて直列に並べて配置されている。一例として、図示のように、K、Y、M、C、の順番で、感光ドラムが、用紙搬送方向上流から下流に向かって配置される。
【0034】
上記背景技術の項でも説明したように、これら4個の感光ドラムを同時に回転開始させ、同時に回転停止させて、ベルト2上を搬送されてくる用紙上の同じ位置にK、Y、M、C、4色のトナー像を積層するためには、感光ドラム3K、感光ドラム3Y、感光ドラム3M、感光ドラム3C、に画像を形成するためのLEDからの光が照射される時刻は正確に設定されなければならない。
【0035】
しかし、上記のように照射時刻を正確に設定しても、感光ドラムの偏心等によって、K、Y、M、C、4色のトナー像間での色ずれが発生する場合がある。感光ドラム3(K、Y、M、C)へは、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)を介して、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)から回転駆動力が送られてために、感光ドラム3(K、Y、M、C)、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)、及び、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)それぞれの偏心が、全て色むらの要因に成りうる。
【0036】
この色ずれには、感光ドラム3(K、Y、M、C)、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)、及び、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)が、回転体であることから、周期性が発生する。この色ずれを最も目立ち難くするためには、感光ドラム3K、感光ドラム3Y、感光ドラム3M、感光ドラム3C、に画像が照射される時刻は正確に設定するのみ成らず、感光ドラム3(K、Y、M、C)の相互間における、回転位相差を正確に制御することが必要に成ってくる(特許文献1参照)。この要求を満たすために感光ドラム3(K、Y、M、C)の各々にマーク4(K、Y、M、C)が付加され、このマーク4(K、Y、M、C)を検出するために基準マーク検出部5(K、Y、M、C)が配置される。
【0037】
マーク4(K、Y、M、C)は、図1及び図5に示すように、感光ドラム3(K、Y、M、C)の非転写部分の円周上に一カ所、例えば光を反射させる金属膜、ガラス板等によって構成される。又、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)は、一例として光検出センサであって、マーク4(K、Y、M、C)に光を照射させて、その反射光を受け入れるべく感光ドラム3(K、Y、M、C)の周辺の非回転部分に配置される。
【0038】
制御部10は、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)とを、この順番に従って実行する部分である。
【0039】
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)は、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)を駆動して感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動開始させ、更に、同時にベルト駆動部6を駆動してベルト2を搬送駆動開始する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0040】
ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)の検出結果に基づいて複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルト2の搬送駆動停止時刻とを設定する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0041】
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)の算出結果に基づいて複数個の感光ドラム3(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動と搬送ベルト2の搬送駆動とを停止させる手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0042】
次に実施例1に於ける感光ドラムの位置設定動作について説明する。
図6は、実施例1の位相差設定原理説明図(その1)である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。
【0043】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。
【0044】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0045】
次に、(b)最下段の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作について説明し、その後、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
時刻T1
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(1)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0046】
時刻T2
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(1)が、所定の速度に達し、以後一定速度で回転又は搬送を継続する。
時刻T3
基準マーク検出部5Y(図1)は、マーク4Y(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0047】
時刻T4
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。ここで時刻T3から時刻T4に至る時間をt1とおく。
時刻T5
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T3から時刻T5に至る時間をt2とおく。
【0048】
時刻T6
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。ここで時刻T3から時刻T6に至る時間をt3とおく。
【0049】
時刻T7
感光ドラム3Yは停止する。
時刻T8
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T8に至る時間をt1に等しくとる。
時刻T9
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T9に至る時間をt2に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t2に無関係である。
【0050】
時刻T10
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T11
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3V(図1)は、ベルト(1)の減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T11に至る時間をt3に等しくとる。
時刻T12
感光ドラム3Cとベルト(1)は停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0051】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)との擦れについて説明する。
(1)感光ドラム3Yは、時刻T6から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(Y)に該当する。
(2)感光ドラム3Kは、時刻T8から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(K)に該当する。
(3)感光ドラム3Mは、時刻T9から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(M)に該当する。
(4)感光ドラム3Cの擦れは0である。
【0052】
次に、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。
時刻T1から時刻T6に至る間は、上記感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作と全く同様なので説明を省略し、時刻T6以降について説明する。
【0053】
時刻T6
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yとベルト(2)の減速を開始する。
【0054】
時刻T7
感光ドラム3Y、及び、ベルト(2)は停止する。
時刻T8
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T8に至る時間をt1に等しくとる。
時刻T9
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T9に至る時間をt2に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t2に無関係である。
【0055】
時刻T10
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T11
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T11に至る時間をt3に等しくとる。
時刻T12
感光ドラム3Cは停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0056】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)との擦れについて説明する。
(5)感光ドラム3Yの擦れは、0である。
(6)感光ドラム3Kは、時刻T6から時刻T9に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(K)に該当する。
(7)感光ドラム3Mは、時刻T6から時刻T10に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(M)に該当する。
(8)感光ドラム3Cは、時刻T6から時刻T12に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(C)に該当する。
【0057】
次に、初期状態に於いて、図6(a)に示す位相差を持つ感光ドラム3(K、Y、M、C)を、最低限度の擦れ量で同一位相に設定する位置設定方法について説明する。
図7は、実施例1の位相差設定原理説明図(その2)である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。この状態は、図6と同一状態に設定してある。
【0058】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。
【0059】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を表している。ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(3)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)との間でベルトを減速開始した場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(4)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)とを除いて、残存する感光ドラム中で、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3K)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3M)との間でベルトを減速開始した場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0060】
感光ドラム3(K、Y、M、C)と、ベルト(1)及びベルト(2)との関係は、既に説明した図6での関係と全く同様なので説明を省略し、ここでは、ベルト(3)とベルト(4)の動作のみについて説明する。
【0061】
図に示すように、ベルト(3)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)との間の時刻Tp(一例)でベルトを減速開始している。このときベルト(3)と感光ドラム3Yとの擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(p)に該当する。又、ベルト(3)と感光ドラム3Cとの擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(p)に該当する。従って、時刻Tpが、最初に減速を開始した感光ドラム3Yの減速時刻T6と最後に減速を開始した感光ドラム3Cの減速時刻T11との間にある限り面積S(p)と面積s(p)との和は一定であることが分かる。無論、減速時刻T6と減速時刻T11との間から外れれば面積S(p)と面積s(p)との和は大きくなる。
【0062】
次に、ベルト(4)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)とを除いて、残存する感光ドラム中で、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3K)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3M)との間の時刻Tq(一例)でベルトを減速開始している。このときベルト(4)と感光ドラム3Kとの擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(q)に該当する。又、ベルト(4)と感光ドラム3Mとの擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(q)に該当する。従って、時刻Tqが、感光ドラム3Yと感光ドラム3Cとを除いた状態で、最初に減速を開始した感光ドラム3Kの減速時刻T8と最後に減速を開始した感光ドラム3Mの減速時刻T9との間にある限り面積S(q)と面積s(q)との和は一定であることが分かる。無論、減速時刻T8と減速時刻T9との間から外れれば面積S(q)と面積s(q)との和は大きくなる。
【0063】
以上説明した結果から、ベルト2(図1)の減速時刻を上記説明におけるベルト(3)に一致させることによって擦れ量を最低の状態にして複数個の回転ドラムの位相差を設定出来ることが分かる。
【0064】
上記説明では、感光ドラムの数量が4個である場合に限定して説明したが本発明はこの例に限定されるものではない。
即ち、4個より多い個数の場合には、減速時刻が最も早い感光ドラムと最も遅い感光ドラムを除いた状態で、次に減速時刻が最も早い感光ドラムと最も遅い感光ドラムを選択し、更に、この選択した2個の感光ドラムを除いた状態で、次々に同様の選択を実行し、最後に残った2個(3個の場合を含む)の感光ドラムの減速時刻の間にベルトの減速時刻を設定すれば良いことになる。
【0065】
以上説明したように、感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加することによって、感光ドラムとベルトは擦れ状態になる時間をより一層短縮できるので、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【0066】
また、ベルト駆動部のコストを下げるために、ベルト駆動部のモータが必要とするトルクをを下げることが行われるが、本実施例のように各感光ドラムを時間差を持って停止する場合、停止している感光ドラムが少ない状態、特に最初に停止する感光ドラムの駆動停止に合わせてベルト駆動部のモータの停止を行うと、感光ドラムが停止して抵触した状態でベルトを搬送するために起こる摩擦負荷を各感光ドラム駆動部のドラムモータに分散することができ、ベルト駆動部のモータのみ通常印刷時必要なトルクより非常に高いトルク設定とすることを軽減することができる。
【0067】
この場合、感光ドラムモータ各々に対して分散して摩擦負荷を考慮したトルク分配を行うことができ、印刷動作によりベルトと感光ドラム間に負荷となる媒体が搬送された場合、ベルト駆動部のモータのみ高負荷に耐えられる場合に比べ、高い負荷の媒体まで印刷することが可能になる。
【実施例2】
【0068】
本実施例では、位相差設定の基準となる感光ドラムを順次変更することによって、感光ドラムの摩耗平均化を実現する。以下にその詳細について説明する。
実施例2の構成は、実施例と全く同様なので説明を省略して、実施例2に於ける感光ドラムの位相差設定動作について説明する。
図8は、実施例2の位相差設定原理説明図である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。
【0069】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。この状態は、図6と同一状態に設定してある。
【0070】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0071】
次に、(b)最下段の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作について説明し、その後、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
時刻T21
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(1)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0072】
時刻T22
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(1)が、所定の速度に達し、以後一定動作で回転又は搬送を継続する。
時刻T23
基準マーク検出部5Y(図1)は、マーク4Y(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0073】
時刻T24
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。
時刻T25
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T24から時刻T25に至る時間をt11とおく。
【0074】
時刻T26
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。ここで時刻T24から時刻T26に至る時間をt12とおく。
時刻T27
基準マーク検出部5Cは、マーク4Y(図1)を再度検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、時刻T23から更に2π回転終了した時刻である。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T24から時刻T27に至る時間をt13とおく。
【0075】
時刻T28
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T28に至る時間をt11に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t11に無関係である。
時刻T29
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T30
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T30に至る時間をt12に等しくとる。
【0076】
時刻T31
ここで感光ドラム3Cは停止する。
時刻T32
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3V(図1)は、ベルト(1)の減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T32に至る時間をt13に等しくとる。
時刻T33
感光ドラム3Yとベルト(1)は停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0077】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)との擦れについて説明する。
(11)感光ドラム3Kは、時刻T27から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(k)に該当する。
(12)感光ドラム3Mは、時刻T28から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(m)に該当する。
(13)感光ドラム3Cは、時刻T30から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(c)に該当する。
(14)感光ドラム3Yの擦れは0である。
【0078】
次に、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。
時刻T21から時刻T27に至る間は、上記感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作と全く同様なので説明を省略し、時刻T27以降について説明する。
【0079】
時刻T27
基準マーク検出部5Yは、マーク4Y(図1)を再度検出する。ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kとベルト(2)の減速を開始する。
【0080】
時刻T28
感光ドラム3K、及び、ベルト(2)は停止する。このときドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T28に至る時間をt11に等しくとる。
時刻T29
感光ドラム3Mは停止する。
時刻T30
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T30に至る時間をt12に等しくとる。
【0081】
時刻T31
ここで感光ドラム3Cは停止する。
時刻T32
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T32に至る時間をt13に等しくとる。
時刻T33
感光ドラム3Yは停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0082】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)との擦れについて説明する。
(15)感光ドラム3Kの擦れは、0である。
(16)感光ドラム3Mは、時刻T27から時刻T29に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(m)に該当する。
(17)感光ドラム3Cは、時刻T27から時刻T31に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(c)に該当する。
(18)感光ドラム3Yは、時刻T27から時刻T33に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(y)に該当する。
【0083】
ここで次の点に留意すべきである。
実施例1では図6から分かるように、感光ドラム3Yは、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が、4個の感光ドラム中で最も長時間に渡り、感光ドラム3Cは、ベルト停止状態で空回転する時間が4個の感光ドラム中で最も長時間に渡ることになる。一方、実施例2では、図8から分かるように、感光ドラム3Kは、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が、4個の感光ドラム中で最も長時間に渡り、感光ドラム3Yは、ベルト停止状態で空回転する時間が4個の感光ドラム中で最も長時間に渡ることになる。
即ち、位相差設定の基準となる感光ドラムを変更することによってドラム停止状態でベルトに擦られ時間が長い感光ドラム、及び、ベルト停止状態で空回転する時間が長い感光ドラムをそれぞれ変更出来ることになる。尚、基準となる感光ドラムを変更する機能は、操作者が画像形成装置の操作開始時点において、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)に設定することによって容易に実現可能になる。
【0084】
以上説明したように、実施例2では、位相差設定の基準となる感光ドラムを順次変更することによって、感光ドラムの摩耗を平均化することが出来、その結果画像形成装置の寿命長くすることが出来るという効果を得る。
【実施例3】
【0085】
上記、実施例1で説明した図6、及び、実施例2で説明した図8から、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が長い感光ドラムは、位相差設定の基準となる感光ドラムであることが分かる。即ち、実施例1では、感光ドラム3Yであり、実施例2では、感光ドラム3Kである。これらの感光ドラムは、ドラム円周上の一部分のみ擦られるので、感光ドラムの偏心を促進することにもなりかねない。そこで、本実施例では、使用回数(回転数量)の多い感光ドラムが、位相差設定の基準となることを排除し、最も使用回数(回転数量)の少ない感光ドラムを位相差設定の基準に選定することを可能にする。
【0086】
図9は、実施例3の構成のブロック図である。
図に示すように実施例3による画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、回転数カウンタ21(K、Y、M、C)と、制御部20とを備える。以下に実施例1の構成と異なる部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分には、実施例1と同一の符号が付されている。
【0087】
各回転数カウンタ11(K、Y、M、C)は、各基準マーク検出部5が各マーク4を検出する毎に感光ドラム3それぞれについて累積回転数としてカウントして保持する回転数量計測部分である。
制御部20は、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム回転数検出手段20−1(K、Y、M、C)とを実行する部分である。
【0088】
ドラム回転数検出手段20−1(K、Y、M、C)は、回転数カウンタ11(K、Y、M、C)を個々に監視して感光ドラム3(K、Y、M、C)、それぞれについての累積回転数を取得し、最も累積回転数の少ない感光ドラムを選択する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
他の構成部分、及び制御手順は、実施例1と同様なので説明を省略する。
【0089】
本実施例では、上記構成によって、最も早い回転駆動停止時刻を設定する感光ドラムとして最も累積回転数の少ない感光ドラムを選択して回転駆動停止時刻を設定することが可能になり、その結果感光ドラムの偏心を緩和することが可能になり色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【実施例4】
【0090】
上記、実施例1から実施例3では、感光ドラムの定常状態での周速度と、ベルトの定常状態での搬送速度は同一であることが前提であった。従って、両者の擦れは、両者の内何れか一方が停止している場合に発生することを前提としていた。本実施例では、両者の定常状態での速度(周速度、及び搬送速度)を任意に変更可能とする。こうすることによって両者間での相対速度を小さくして擦れによる悪影響を少なくする。
【0091】
図10は、実施例4の構成のブロック図である。
図に示すように実施例4による画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、制御部10Aとを備える。
【0092】
制御部10Aは、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C)とを実行する部分である。以下に実施例1の構成と異なる部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分には、実施例1と同一の符号が付されている。
【0093】
ドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)が、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)の検出結果によって設定した、複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動停止時刻、及び、ベルト2の搬送駆動停止時刻とに基づいて、複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの周速度、及び、ベルトの搬送速度を変更する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10Aの制御手順である。他の構成部分、及び制御手順は、実施例1と同様なので説明を省略する。
【0094】
次に実施例4に於ける感光ドラムの位相差設定動作について説明する。
図8は、実施例4の位相差設定原理説明図である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図10)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図10)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図10)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(K、Y、M、C)(図7)のS点からの位相遅れを表している。
【0095】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。この状態は、図3と同一状態に設定してある。
【0096】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図に於いてSは、S点におけるマーク4(K、Y、M、C)の検出時刻を表している。3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Yの算出結果(実施例1と同一)を表している。
【0097】
3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Kの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Mの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Cの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(5)は、ベルトの搬送速度と経過時間との関係を表し、最下段の時刻には、上記各線図の変化点を共通の時刻と、その下にドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)が実施例1で算出した時刻とが並記されている。
【0098】
次に、(b)に記載の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(5)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
【0099】
時刻T41(=T1)
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(5)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0100】
時刻T42(=T2)
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(5)が、所定の速度(A0)に達し、以後一定動作で回転又は搬送を継続する。
時刻T43(=T3)
基準マーク検出部5Y(図10)は、マーク4Y(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0101】
時刻T44(=T4)
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T44に至る時間をt1とおく。
時刻T45(=T5)
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T45に至る時間をt2とおく。
【0102】
時刻T46(=T6)
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T46に至る時間をt3とおく。この時点で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C)(図11)は、実施例1と同様に、感光ドラム3Yを基準にして、感光ドラム3Kをt1後に、感光ドラム3Mをt2後に、感光ドラム3Cをt3に減速開始すべきことを算出する。
【0103】
この算出結果に基づいてドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C、V)(図10)は、感光ドラム3Yの速度を0に、感光ドラム3Kの速度をA0(t1/t21)に、感光ドラムMの速度をA0(t2/t21)に、感光ドラムCの速度をA0(t3/t21)に、ベルト(5)の速度をA0・(t1+t2+t3)/4・t21に、それぞれ変更すべきことを算出する。ここでt21は、予め定められている定数である。
【0104】
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図10)は、速度0に向けて感光ドラム3Yの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図10)は、速度A0(t1/t21)に向けて感光ドラム3Kの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図10)は、速度A0(t2/t21)に向けて感光ドラム3Mの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Cは、速度A0(t3/t21)に向けて感光ドラム3Cの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Vは、速度A0・(t1+t2+t3)/4・t21に向けてベルトの減速を開始する。
【0105】
時刻T47
感光ドラム3Cの速度は、A0(t3/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T52で、速度0に向けて再度減速を開始する。
時刻T48
感光ドラム3Mの速度は、A0(t2/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T53で、速度0に向けて再度減速を開始する。
時刻T49
ベルト(5)の速度は、A0・(t1+t2+t3)/4・t21に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T54で、速度0に向けて再度減速を開始する。
【0106】
時刻T50
感光ドラム3Kの速度は、A0(t1/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T55で、速度0に向けて再度減速を開始する
【0107】
時刻T51
感光ドラム3Yは停止する。
時刻T55
感光ドラム3(K、M、C)は停止する。同様にベルト(5)も停止する。
【0108】
以上説明した手順に於いて、以下の点に留意すべきである。
感光ドラム3Kを例にとると、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t1時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t1/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t1(実施例1)=A0(t1/t21)・t21(実施例2)となる。
感光ドラム3Mでは、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t2時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t2/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t2(実施例1)=A0(t2/t21)・t21となる。
感光ドラム3Kでは、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t3時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t3/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t3(実施例1)=A0(t3/t21)・t21となる。
従って、実施例1と同様にマーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0109】
又、ベルト(5)の速度は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)の平均速度に設定されることになるので、各感光ドラムとの相対速度が大幅に小さくなり、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【実施例5】
【0110】
ところで、感光ドラム駆動部から得たトルクを増加させて感光ドラムを回転するためにアイドルギヤに対し減速ギヤより減速を掛けてトルクを増加することが行われているが、ギヤの製造コストを下げるために、プラスチック材料を金型中に射出する射出成形により製造されることが多い。
【0111】
しかし、プラスチック材料を金型中に射出する射出成形方式では、型が持つ固有の製造誤差の影響を受け易い。特に、回転軸が同じでギヤ比の異なる大小2種類のギヤを2段ギヤとして一体成型を行うと、型が複雑であることから型が持つ固有の製造誤差がギヤに大きく発生する。
【0112】
このため、ギヤの噛み合い誤差が大きくなり、感光ドラムの編心を少なくしても回転ムラが大きく発生してしまう。
【0113】
本実施例では、図12及び図13に示すように、感光ドラム駆動ギヤ9(K,Y,M,C)は、大径のアイドルギヤ103と、感光ドラム3の側端に同軸的に固定されている感光ドラムギヤ107に噛み合う減速ギヤ104とを有し、アイドルギヤ103及び減速ギヤ104は同軸上に射出成形により形成されている。アイドルギヤ103の板面には、円弧状の遮光部材101が設けられ、又各定位置には光検出センサ102が配置されている。
【0114】
ドラムモータ105のシャフトに取り付けられているモータギヤ106は、直径5mmで歯数が11に設定されて上記アイドルギヤ103と噛み合っている。アイドルギヤ103は直径45mmで歯数が132に設定され、一方減速ギヤ104は直径25mmで歯数が27に設定されている。
【0115】
上記した感光ドラム3(KYMC)はそれぞれ円筒形のベース201に静電気を蓄えるための静電層202が設けられた構成を有し、円筒形のベース201の端部には上記した感光ドラムギヤ107が取付けられている。
円筒形のベース201はアルミニウムなどで形成され、静電層202は負帯電型有機光導電性材が塗布されて形成されている。
【0116】
本実施例において、ドラムモータ105を駆動し、モータギヤ106、アイドルギヤ103及び減速ギヤ104を介して各感光ドラム3(K,Y,M,C)を回転駆動させると、例えば、イエローの感光ドラム3Yに対応するアイドルギヤ103Yが回転し、遮光部材101が光検出センサ102を通過することで検出信号が出力される。次に、他のアイドルギヤ103M、103C、103Kの回転で、図14に示すように、それぞれ光検出センサからt41、t42、t43経過後に検出信号が出力される。従って、図示しない制御部により各感光ドラム3K、3Y、3M、3Cの位相差(時間)を判定することができる。このような位相差を判定する際に、上記実施例1〜4に示すように、搬送ベルト2の停止タイミングをいずれかのドラム停止タイミングに対応させる。
【0117】
本実施例を適用することにより、感光ドラム3とベルト2との間では、一番早く停止する感光ドラム3Yはベルトと共に停止するので擦れが無い。ベルト停止後に感光ドラム3Kは位相差を合わせるため時間t41だけ回転し、又ベルト停止後に感光ドラム3Mは位相差を合わせるためt42だけ回転し、更にベルト停止後に感光ドラム3Cは位相差を合わせるためt43だけ回転する。このように、ベルト停止後に各感光ドラム3K、3M、3Cを各々回転動作させると、各感光ドラムとベルトの擦れる位置が変化するので、感光体が局所的に削られることを防止することができ、従って、各感光ドラムの正常に画像形成可能な寿命をのばすことができる。
【0118】
尚、実施例1の感光ドラムの位相差の判定を行った後に、実施例5の感光ドラム駆動ギヤ(アイドルギヤ103)の位相差の判定を行うと、感光ドラムと感光ドラム駆動ギヤのそれぞれの位置ずれを軽減できてさらに良好となる。
【0119】
この場合、感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを接触したり離したりする接離部52Y、52M、52C、52Kを設ける。
【0120】
即ち、接離部52Y、52M、52C、52Kを下動させ、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを噛み合った状態で実施例1の感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの位置調整を行った後に、接離部52Y、52M、52C、52Kを上動し、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを離し、実施例5の感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの位置調整を行い、感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの位置調整の後で接離部52Y、52M、52C、52Kを下動し、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを噛み合わせてから画像形成装置で画像形成を行う。
【0121】
また、ベルト駆動部のコストを下げるために、ベルト駆動部のモータが必要とするトルクを下げることが行われるが、本実施例のように各感光ドラムを時間差を持って停止する場合、停止している感光ドラムが少ない状態、特に最初に停止する感光ドラムの駆動停止に合わせてベルト駆動部のモータの停止を行うと、感光ドラムが停止して抵触した状態でベルトを搬送するために起こる摩擦負荷を各感光ドラム駆動部のドラムモータに分散することができ、ベルト駆動部のモータのみ通常印刷時必要なトルクより非常に高いトルク設定とすることを軽減することができる。
【0122】
この場合、感光ドラムモータ各々に対して分散して摩擦負荷を考慮したトルク分配を行うことができ、印刷動作によりベルトと感光ドラム間に負荷となる媒体が搬送された場合、ベルト駆動部のモータのみ高負荷に耐えられる場合に比べ、高い負荷の媒体まで印刷することが可能になる。
【0123】
ところで、感光ドラム3は上記したように静電気を蓄えるための静電層202が設けられており、この静電層202の表面に表れる電気の状態により現像剤であるトナーの付着量が決定される。そして、感光ドラムに形成されるトナー像はトナーの粒による点なので、感光体を停止した状態でベルトが搬送されると局所的に感光ドラム表面の静電層202が削られてしまう。このように、局所的に静電層202が削られると、感光体表面の静電気保持力や静電層202の表面に表れる電気の状態に大きなムラができてしまい、トナーの付着に大きなムラが発生し、正常なトナー像が形成できなくなる。よって、図14に示すように、最初に停止する感光ドラム3Yとともにベルト2を停止させると、付着ムラの発生を防ぐことができる。
【0124】
尚、上記各実施例において、記録媒体をベルト2に乗せて搬送する場合、記録媒体はベルト2に対して面で接触しているので、ベルト2が局所的に擦れても記録媒体の搬送力の低下は少なくて済む。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上の説明では、本発明をカラー電子写真プリンタ等の印刷装置に適応させた場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、ファクシミリ装置や、複写機などにも適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施例1の構成のブロック図である。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の印刷機構部の断面略図である。
【図3】本発明の制御系統のブロック図である。
【図4】機構制御部の内部構成図である。
【図5】本発明のマークと検出部との説明図である。
【図6】実施例1の位相差設定原理説明図(その1)である。
【図7】実施例1の位相差設定原理説明図(その2)である。
【図8】実施例2の位相差設定原理説明図である。
【図9】実施例3の構成のブロック図である。
【図10】実施例4の構成のブロック図である。
【図11】実施例4の位相差設定原理説明図である。
【図12】実施例5の要部の説明図である。
【図13】実施例5の光検出機構を示す図である。
【図14】実施例5の位相差設定原理説明図である。
【符号の説明】
【0127】
1 ベルトローラ
2 ベルト
3(K、Y、M、C) 感光ドラム
4(K、Y、M、C) マーク
5(K、Y、M、C) 基準マーク検出部
6 ベルト駆動部
7 ベルト駆動ギヤ
8(K、Y、M、C) 感光ドラム駆動部
9(K、Y、M、C) 感光ドラム駆動ギヤ
10 制御部
10−1(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動開始手段
10−2(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動時間算出手段
10−3(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動停止手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトと像担持体である感光体との摩擦を抑制する、感光体の位置設定方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、カラー電子写真プリンタ等の多色画像形成装置では、例えばK(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のトナー像を形成する像担持体(以後感光ドラムと記す)が、ベルト上に所定の間隔を隔てて直列に並べて配置されている。以下の説明では、一例として、K、Y、M、C、の順番で、感光ドラムが、用紙の搬送方向上流から下流に向かって配置されているものとする。
【0003】
これら4個の感光ドラムを同時に回転開始させ、同時に回転停止させて、ベルト上を搬送されてくる用紙上の同じ位置にK、Y、M、C、4色のトナー像を積層するためには、感光ドラムKに画像が照射される時刻を基準時刻Tkと定めると、感光ドラムYに画像が照射される時刻Tyは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムYとベルトとの接点までの距離Lkyをベルトの搬送速度Vで除した時間Lky/V経過後でなければならない。
【0004】
又、感光ドラムMに画像が照射される時刻Tmは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムMとベルトとの接点までの距離Lkmをベルトの搬送速度Vで除した時間Lky/V経過後でなければならない。同様にして、感光ドラムCに画像が照射される時刻Tcは、感光ドラムKとベルトとの接点から感光ドラムCとベルトとの接点までの距離Lkcをベルトの搬送速度Vで除した時間Lkc/V経過後でなければならない。
【0005】
しかし、上記のように照射時刻を正確に設定しても、感光ドラムの偏心等によって、K、Y、M、C、4色のトナー像間での位置ずれ(以後色ずれと記す)が発生する場合がある。この色ずれの発生を、周期的に同一になるようにして目立ちにくくするための技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
この技術では、4個の感光ドラムのそれぞれに基準点を付加し、4個の感光ドラムの基準点間位相差を常に一定に保持することによって色ずれの発生を、周期的に同一になるようにしている。4個の基準点間位相差を常に一定に保持するために、印刷開始時点において、所定の手順に従って、基準点間位相差設定プロセスを実行する。
【0007】
基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させ、4個の感光ドラムを同時に回転させながら基準点検出部を用いて、4個の感光ドラムそれぞれの基準点を検出する。次に、ベルトを搬送させたまま、それぞれの基準点検出時刻に基づいて、感光ドラムを個々に停止させる(感光ドラムとベルトは擦れ状態になる)。
【0008】
最後の感光ドラムが停止されると同時にベルトも停止され、基準点間位相差設定プロセスが完了する。この感光ドラムそれぞれの停止時刻は、基準点検出部による基準点検出時刻と、4個の感光ドラムの回転速度との関係から算出される。このように設定されることによって、印刷工程を実行する毎に、4個の感光ドラム間での位相差は一定に保持され色ずれが目立ちにくくなる。
【特許文献1】特開2000−187428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、上記従来技術の基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させたまま、それぞれの基準点検出時刻に基づいて、感光ドラムを個々に停止させ、最後の感光ドラムが停止すると同時にベルトも停止される点である。即ち、かかるプロセスでは、感光ドラムとベルトとの擦れ状態が必要以上に大きくなり、感光ドラム及びベルトの摩耗は勿論のこと、ベルトにたわみが発生し、その結果色ずれが、更に発生し易くなる点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来技術の基準点間位相差設定プロセスでは、ベルトを搬送させたまま感光ドラムを停止させるステップのみであったが、本発明では、感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加する。即ち、基準マークの検出結果に基づいて複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルトの搬送駆動停止時刻とを設定するドラム・ベルト駆動時間算出手順と、該ドラム・ベルト駆動時間算出手順による算出結果に基づいて、複数個の感光ドラムそれぞれの回転駆動と搬送部の搬送駆動とを停止させるドラム・ベルト駆動停止手段とを備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加することによって、感光ドラムとベルトが擦れ状態になる時間をより一層短縮できるので、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない良好な出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明による基準点間位相差設定プロセスは、従来技術の基準点間位相差設定プロセスに於ける制御手順の実行プログラムを変更することのみによって実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の構成のブロック図である。
図に示すように実施例1による感光ドラムの位置設定方法を実行する画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、制御部10とを備える。
【0014】
本発明が適用される印字機構部の概要について説明する。
図2は、印字機構部の主要部横断面図である。
図に示すように、印字機構部には、4個の画像形成部21K、21Y、21M、21Cが、記録媒体の挿入側から排出側へ向かう搬送路にそって配置される。ここでK、Y、M、Cは、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色彩を表すこととする(以後同様に記す。)。この内部には、帯電ローラ22K、22Y、22M、22Cによって、その表面が、一様に帯電される感光ドラム3K、3Y、3M、3Cが含まれている。この表面に、LEDヘッド23K、23Y、23M、23Cによって画像データに従う静電潜像が形成される。
【0015】
静電潜像には、現像ローラ24K、24Y、24M、24C、現像ブレード25K、25Y、25M、25C、スポンジローラ26K、26Y、26M、26Cなどによってトナーカートリッジ27K、27Y、27M、27Cから所定の色彩のトナーが供給され現像される。
【0016】
静電潜像を現像したトナーは、転写ローラ28K、28Y、28M、28Cによって、搬送ベルト2上を画像形成部21Kから画像形成部21Cの方向に搬送されている記録媒体上に転写される。
【0017】
搬送ベルト2の周囲には、色ずれを検出するための色ずれ検出センサ16と、クリーニングブレード33と、廃トナータンク34とが配置される。この色ずれ検出センサ16は、搬送ベルト2上に形成される位置ずれ検出パターンに所定の光線を照射し、その反射光を受け入れて印刷位置ずれ値を検出するセンサである。クリーニングブレード33は、搬送ベルト2上に形成される位置ずれ検出パターンを除去する部分であり、廃トナータンク34は、除去された廃トナーを収納する部分である。
【0018】
印刷時に於ける記録媒体は、用紙収納カセット35からホッピングローラ36により取り出されるとガイド37に案内されレジストローラ38に達する。記録媒体の斜め送り等はレジストローラ38と、相対するピンチローラ39とによって修正される。記録媒体は、その後レジストローラ38によって吸着ローラ40と搬送ベルト2との間へ導かれる。吸着ローラ40は、記録媒体を従動ローラ30との間で圧接することによって共に帯電させ、搬送ベルト2上に静電吸着させる。
【0019】
転写ローラ28K、28Y、28M、28Cによってトナー画像が転写された記録媒体は、ヒートローラ41と加圧ローラ42へ送られる。ここでトナー画像は加熱され記録媒体上に定着される。ここでヒートローラ41の温度はサーミスタ14によって検出される。
【0020】
定着後の記録媒体は、ガイド43を通ってスタッカ44へ収納されて印刷処理を終了する。
以上説明した工程中での記録媒体の位置を検出するために位置センサ13−1、13−2、13−3、13−4が所定の場所に配置されている。
以上で印字機構部の概要について説明を終了し、本発明の制御系統を図3を参照して詳細に説明する。
【0021】
ホストインタフェース部80は、外部装置、即ちホストコンピュータとのインターフェースの役割を果たす部分である。
コマンド/画像処理部82は、外部装置から受け入れた印刷ジョブを解析し、編集し、展開し、ビットマップデータと各種の制御指示を出力する部分である。
LEDヘッドインタフェース部53は、コマンド/画像処理部82が出力する1ライン分のビットマップデータをLEDヘッド23K、23Y、23M、23Cへ送出する部分である。
【0022】
LEDヘッド23K、23Y、23M、23Cは、上記のように、LEDヘッドインタフェース部53から1ライン分のビットマップデータを受け入れて該ビットマップデータに対応するLEDを点灯させて、感光ドラム3K、3Y、3M、3Cの表面に静電潜像を生成する部分である。
【0023】
高圧制御部54は、機構制御部18の制御に基づいてチャージ電圧(CH)、現像バイアス電圧(DB)、転写電圧(TR)の生成を制御する部分である。
CH発生部55は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cにチャージ電圧(CH)を供給する部分である。このチャージ電圧(CH)は、帯電ローラ22K、22Y、22M、22C(図2)に印加される。
【0024】
DB発生部56は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cに現像バイアス電圧(DB)を供給する部分である。この現像バイアス電圧(DB)は、現像ローラ24K、24Y、24M、24C(図2)に印加される。
TR発生部57は、高圧制御部54の制御に基づいて画像形成部21K、21Y、21M、21Cに転写電圧(TR)を供給する部分である。この転写電圧(TR)は、転写ローラ28K、28Y、28M、28C(図2)に印加される。
【0025】
ホッピングモータ58は、機構制御部18の制御に基づいてホッピングローラ36(図2)を駆動するモータである。
レジストモータ59は、機構制御部18の制御に基づいてレジストローラ38(図2)を駆動するモータである。
ヒータモータ61は、機構制御部18の制御に基づいてヒートローラ41(図2)を駆動するモータである。
ドラム駆動モータ(K、Y、M、C)62は、機構制御部18の制御に基づいて感光ドラム3K、3Y、3M、3C(図2)を駆動するモータである。
【0026】
センサ13−1、13−2、13−3、13−4は、印刷工程中に於ける印刷媒体の位置を検出するための位置センサである。この検出信号は、機構制御部18へ送られる。
サーミスタ14は、ヒートローラ41(図2)の定着温度を検出する温度センサである。この検出温度は機構制御部18へ送られる。
環境温度センサ15は、装置内部の温度を検出するセンサである。
【0027】
ヒータ17は、ヒートローラ41を加熱するヒータである。
機構制御部18は、以上説明した制御系統全体を制御する部分であり、以下の内部構成を有する。
図4は、機構制御部の内部構成図である。
図に示すように、機構制御部18は、CPU(中央演算制御装置)18−1と、制御手段を実行するための制御プログラムを格納するプログラムROM18−2と、制御手段を実行するために必要なデータ等を記憶するメモリ18−3、と、上記制御系統をK、Y、M、Cの4系統に分割するカスタムLSI18−4とを有する。
【0028】
更に、カスタムLSI18−4から制御系統は4色彩毎に分割され、それぞれの制御系統には、ドラム駆動モータ62K、62Y、62M、62Cと、ドラム駆動モータに駆動パルスを出力するモータドライブIC18−6K、18−6Y、18−6M、18−6Cとが接続される。更に、モータドライブICが出力する駆動パルスの個数をカウントするパルスカウンタ18−5K、18−5Y、18−5M、18−5Cが配置される。
【0029】
図5は、ドラムギヤ/アイドルギヤ解離手段説明図である。
ここでは画像形成部21K(図2)のみについて説明する。
図5に示すように、感光ドラム3Kを駆動するための回転力は、ドラム駆動モータ62Kから、このドラム駆動モータ62Kの回転軸に軸止されているドラムモータギヤ62Kaと、このドラムモータギヤ62Kaに噛み合うアイドルギヤ51Kと、このアイドルギヤ51Kの回転軸に軸止されている駆動ギヤ9Ka(図1)と、感光ドラム3Kに軸止されている感光ドラムギヤ23Kaを介して感光ドラム3Kへ伝動される。画像形成部21Y(図2)、画像形成部21M(図2)、画像形成部21C(図2)についても、画像形成部21K(図2)と全く同様なので説明を省略する。
【0030】
ここで、駆動ギヤ9Kaと、感光ドラムギヤ23Kaとの噛合を解くドラムギヤ/アイドルギヤ解離手段52を更に備える。その結果感光ドラム3Kと駆動ギヤは、それぞれ独立して回転位相の設定が可能になる。画像形成部21Y(図2)、画像形成部21M(図2)、画像形成部21C(図2)についても、画像形成部21K(図2)と全く同様なので説明を省略する。
【0031】
再度図1に戻って、ベルトローラ1は、制御部10の制御に基づいて、ベルト駆動部6の駆動力をベルト駆動ギヤ7を介して受け入れてベルトを搬送させる部分である。
ベルト2は、感光ドラム3(K、Y、M、C)と共に記録媒体100を挟んだ状態で搬送する部分である。
【0032】
感光ドラム3(K、Y、M、C)は、ベルト2と共に記録媒体100を挟んだ状態で搬送しながら、帯電ローラで、その表面が負電位に帯電される。帯電された部分は、各色彩のLEDヘッドで、所定の画像が照射され静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器によってトナー像に現像される。このトナー像は、転写器によって記録媒体上に転写される。
【0033】
通常、カラー電子写真プリンタ等の多色画像形成装置では、K(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のトナー像を形成する感光ドラム3(K、Y、M、C)が、ベルト1の上に所定の間隔を隔てて直列に並べて配置されている。一例として、図示のように、K、Y、M、C、の順番で、感光ドラムが、用紙搬送方向上流から下流に向かって配置される。
【0034】
上記背景技術の項でも説明したように、これら4個の感光ドラムを同時に回転開始させ、同時に回転停止させて、ベルト2上を搬送されてくる用紙上の同じ位置にK、Y、M、C、4色のトナー像を積層するためには、感光ドラム3K、感光ドラム3Y、感光ドラム3M、感光ドラム3C、に画像を形成するためのLEDからの光が照射される時刻は正確に設定されなければならない。
【0035】
しかし、上記のように照射時刻を正確に設定しても、感光ドラムの偏心等によって、K、Y、M、C、4色のトナー像間での色ずれが発生する場合がある。感光ドラム3(K、Y、M、C)へは、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)を介して、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)から回転駆動力が送られてために、感光ドラム3(K、Y、M、C)、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)、及び、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)それぞれの偏心が、全て色むらの要因に成りうる。
【0036】
この色ずれには、感光ドラム3(K、Y、M、C)、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)、及び、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)が、回転体であることから、周期性が発生する。この色ずれを最も目立ち難くするためには、感光ドラム3K、感光ドラム3Y、感光ドラム3M、感光ドラム3C、に画像が照射される時刻は正確に設定するのみ成らず、感光ドラム3(K、Y、M、C)の相互間における、回転位相差を正確に制御することが必要に成ってくる(特許文献1参照)。この要求を満たすために感光ドラム3(K、Y、M、C)の各々にマーク4(K、Y、M、C)が付加され、このマーク4(K、Y、M、C)を検出するために基準マーク検出部5(K、Y、M、C)が配置される。
【0037】
マーク4(K、Y、M、C)は、図1及び図5に示すように、感光ドラム3(K、Y、M、C)の非転写部分の円周上に一カ所、例えば光を反射させる金属膜、ガラス板等によって構成される。又、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)は、一例として光検出センサであって、マーク4(K、Y、M、C)に光を照射させて、その反射光を受け入れるべく感光ドラム3(K、Y、M、C)の周辺の非回転部分に配置される。
【0038】
制御部10は、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)とを、この順番に従って実行する部分である。
【0039】
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)は、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)を駆動して感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動開始させ、更に、同時にベルト駆動部6を駆動してベルト2を搬送駆動開始する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0040】
ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)の検出結果に基づいて複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動停止時刻と搬送ベルト2の搬送駆動停止時刻とを設定する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0041】
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)の算出結果に基づいて複数個の感光ドラム3(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動と搬送ベルト2の搬送駆動とを停止させる手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
【0042】
次に実施例1に於ける感光ドラムの位置設定動作について説明する。
図6は、実施例1の位相差設定原理説明図(その1)である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。
【0043】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。
【0044】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0045】
次に、(b)最下段の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作について説明し、その後、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
時刻T1
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(1)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0046】
時刻T2
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(1)が、所定の速度に達し、以後一定速度で回転又は搬送を継続する。
時刻T3
基準マーク検出部5Y(図1)は、マーク4Y(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0047】
時刻T4
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。ここで時刻T3から時刻T4に至る時間をt1とおく。
時刻T5
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T3から時刻T5に至る時間をt2とおく。
【0048】
時刻T6
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。ここで時刻T3から時刻T6に至る時間をt3とおく。
【0049】
時刻T7
感光ドラム3Yは停止する。
時刻T8
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T8に至る時間をt1に等しくとる。
時刻T9
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T9に至る時間をt2に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t2に無関係である。
【0050】
時刻T10
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T11
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3V(図1)は、ベルト(1)の減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T11に至る時間をt3に等しくとる。
時刻T12
感光ドラム3Cとベルト(1)は停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0051】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)との擦れについて説明する。
(1)感光ドラム3Yは、時刻T6から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(Y)に該当する。
(2)感光ドラム3Kは、時刻T8から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(K)に該当する。
(3)感光ドラム3Mは、時刻T9から時刻T12に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(M)に該当する。
(4)感光ドラム3Cの擦れは0である。
【0052】
次に、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。
時刻T1から時刻T6に至る間は、上記感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作と全く同様なので説明を省略し、時刻T6以降について説明する。
【0053】
時刻T6
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yとベルト(2)の減速を開始する。
【0054】
時刻T7
感光ドラム3Y、及び、ベルト(2)は停止する。
時刻T8
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T8に至る時間をt1に等しくとる。
時刻T9
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T9に至る時間をt2に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t2に無関係である。
【0055】
時刻T10
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T11
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T6から時刻T11に至る時間をt3に等しくとる。
時刻T12
感光ドラム3Cは停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0056】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)との擦れについて説明する。
(5)感光ドラム3Yの擦れは、0である。
(6)感光ドラム3Kは、時刻T6から時刻T9に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(K)に該当する。
(7)感光ドラム3Mは、時刻T6から時刻T10に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(M)に該当する。
(8)感光ドラム3Cは、時刻T6から時刻T12に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(C)に該当する。
【0057】
次に、初期状態に於いて、図6(a)に示す位相差を持つ感光ドラム3(K、Y、M、C)を、最低限度の擦れ量で同一位相に設定する位置設定方法について説明する。
図7は、実施例1の位相差設定原理説明図(その2)である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。この状態は、図6と同一状態に設定してある。
【0058】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。
【0059】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を表している。ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(3)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)との間でベルトを減速開始した場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(4)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)とを除いて、残存する感光ドラム中で、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3K)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3M)との間でベルトを減速開始した場合のベルトの搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0060】
感光ドラム3(K、Y、M、C)と、ベルト(1)及びベルト(2)との関係は、既に説明した図6での関係と全く同様なので説明を省略し、ここでは、ベルト(3)とベルト(4)の動作のみについて説明する。
【0061】
図に示すように、ベルト(3)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)との間の時刻Tp(一例)でベルトを減速開始している。このときベルト(3)と感光ドラム3Yとの擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(p)に該当する。又、ベルト(3)と感光ドラム3Cとの擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(p)に該当する。従って、時刻Tpが、最初に減速を開始した感光ドラム3Yの減速時刻T6と最後に減速を開始した感光ドラム3Cの減速時刻T11との間にある限り面積S(p)と面積s(p)との和は一定であることが分かる。無論、減速時刻T6と減速時刻T11との間から外れれば面積S(p)と面積s(p)との和は大きくなる。
【0062】
次に、ベルト(4)は、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3Y)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3C)とを除いて、残存する感光ドラム中で、最初に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3K)と最後に減速を開始した感光ドラム(ここでは感光ドラム3M)との間の時刻Tq(一例)でベルトを減速開始している。このときベルト(4)と感光ドラム3Kとの擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(q)に該当する。又、ベルト(4)と感光ドラム3Mとの擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(q)に該当する。従って、時刻Tqが、感光ドラム3Yと感光ドラム3Cとを除いた状態で、最初に減速を開始した感光ドラム3Kの減速時刻T8と最後に減速を開始した感光ドラム3Mの減速時刻T9との間にある限り面積S(q)と面積s(q)との和は一定であることが分かる。無論、減速時刻T8と減速時刻T9との間から外れれば面積S(q)と面積s(q)との和は大きくなる。
【0063】
以上説明した結果から、ベルト2(図1)の減速時刻を上記説明におけるベルト(3)に一致させることによって擦れ量を最低の状態にして複数個の回転ドラムの位相差を設定出来ることが分かる。
【0064】
上記説明では、感光ドラムの数量が4個である場合に限定して説明したが本発明はこの例に限定されるものではない。
即ち、4個より多い個数の場合には、減速時刻が最も早い感光ドラムと最も遅い感光ドラムを除いた状態で、次に減速時刻が最も早い感光ドラムと最も遅い感光ドラムを選択し、更に、この選択した2個の感光ドラムを除いた状態で、次々に同様の選択を実行し、最後に残った2個(3個の場合を含む)の感光ドラムの減速時刻の間にベルトの減速時刻を設定すれば良いことになる。
【0065】
以上説明したように、感光ドラムを回転させたままベルトを停止させるステップを更に追加することによって、感光ドラムとベルトは擦れ状態になる時間をより一層短縮できるので、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【0066】
また、ベルト駆動部のコストを下げるために、ベルト駆動部のモータが必要とするトルクをを下げることが行われるが、本実施例のように各感光ドラムを時間差を持って停止する場合、停止している感光ドラムが少ない状態、特に最初に停止する感光ドラムの駆動停止に合わせてベルト駆動部のモータの停止を行うと、感光ドラムが停止して抵触した状態でベルトを搬送するために起こる摩擦負荷を各感光ドラム駆動部のドラムモータに分散することができ、ベルト駆動部のモータのみ通常印刷時必要なトルクより非常に高いトルク設定とすることを軽減することができる。
【0067】
この場合、感光ドラムモータ各々に対して分散して摩擦負荷を考慮したトルク分配を行うことができ、印刷動作によりベルトと感光ドラム間に負荷となる媒体が搬送された場合、ベルト駆動部のモータのみ高負荷に耐えられる場合に比べ、高い負荷の媒体まで印刷することが可能になる。
【実施例2】
【0068】
本実施例では、位相差設定の基準となる感光ドラムを順次変更することによって、感光ドラムの摩耗平均化を実現する。以下にその詳細について説明する。
実施例2の構成は、実施例と全く同様なので説明を省略して、実施例2に於ける感光ドラムの位相差設定動作について説明する。
図8は、実施例2の位相差設定原理説明図である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図1)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図1)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(Y、K、M、C)(図1)のS点からの位相遅れを表している。
【0069】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。この状態は、図6と同一状態に設定してある。
【0070】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図は、上から順番に、Sは、S点におけるマーク4(Y、K、M、C)の検出時刻を、3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を、3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を、3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を、3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(1)は、ベルトを最短の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、ベルト(2)は、ベルトを最長の経過時間で停止させた場合の搬送速度と経過時間との関係を、それぞれ表し、最下段の時刻は、上記各線図の変化点を共通の時刻で表している。
【0071】
次に、(b)最下段の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作について説明し、その後、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
時刻T21
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(1)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0072】
時刻T22
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(1)が、所定の速度に達し、以後一定動作で回転又は搬送を継続する。
時刻T23
基準マーク検出部5Y(図1)は、マーク4Y(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0073】
時刻T24
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。
時刻T25
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T24から時刻T25に至る時間をt11とおく。
【0074】
時刻T26
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図1)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。ここで時刻T24から時刻T26に至る時間をt12とおく。
時刻T27
基準マーク検出部5Cは、マーク4Y(図1)を再度検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、時刻T23から更に2π回転終了した時刻である。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kの減速を開始する。ここで時刻T24から時刻T27に至る時間をt13とおく。
【0075】
時刻T28
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T28に至る時間をt11に等しくとる。ここで感光ドラム3Kは停止する。尚、この感光ドラム3Kの停止は、t11に無関係である。
時刻T29
ここで感光ドラム3Mは停止する。
時刻T30
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T30に至る時間をt12に等しくとる。
【0076】
時刻T31
ここで感光ドラム3Cは停止する。
時刻T32
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。同時にドラム・ベルト駆動停止手段10−3V(図1)は、ベルト(1)の減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T32に至る時間をt13に等しくとる。
時刻T33
感光ドラム3Yとベルト(1)は停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0077】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)との擦れについて説明する。
(11)感光ドラム3Kは、時刻T27から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(k)に該当する。
(12)感光ドラム3Mは、時刻T28から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(m)に該当する。
(13)感光ドラム3Cは、時刻T30から時刻T33に至る時間ベルト(1)と擦れ状態にある。擦れ量は右から左へ下がる斜線の面積S(c)に該当する。
(14)感光ドラム3Yの擦れは0である。
【0078】
次に、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)の動作について説明する。
時刻T21から時刻T27に至る間は、上記感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(1)の動作と全く同様なので説明を省略し、時刻T27以降について説明する。
【0079】
時刻T27
基準マーク検出部5Yは、マーク4Y(図1)を再度検出する。ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図1)は、感光ドラム3Kとベルト(2)の減速を開始する。
【0080】
時刻T28
感光ドラム3K、及び、ベルト(2)は停止する。このときドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図1)は、感光ドラム3Mの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T28に至る時間をt11に等しくとる。
時刻T29
感光ドラム3Mは停止する。
時刻T30
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3C(図1)は、感光ドラム3Cの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T30に至る時間をt12に等しくとる。
【0081】
時刻T31
ここで感光ドラム3Cは停止する。
時刻T32
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図1)は、感光ドラム3Yの減速を開始する。ここで時刻T27から時刻T32に至る時間をt13に等しくとる。
時刻T33
感光ドラム3Yは停止する。
以上説明した手順をへることによって、マーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0082】
次に感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(2)との擦れについて説明する。
(15)感光ドラム3Kの擦れは、0である。
(16)感光ドラム3Mは、時刻T27から時刻T29に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(m)に該当する。
(17)感光ドラム3Cは、時刻T27から時刻T31に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(c)に該当する。
(18)感光ドラム3Yは、時刻T27から時刻T33に至る時間ベルト(2)と擦れ状態にある。擦れ量は左から右へ下がる斜線の面積s(y)に該当する。
【0083】
ここで次の点に留意すべきである。
実施例1では図6から分かるように、感光ドラム3Yは、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が、4個の感光ドラム中で最も長時間に渡り、感光ドラム3Cは、ベルト停止状態で空回転する時間が4個の感光ドラム中で最も長時間に渡ることになる。一方、実施例2では、図8から分かるように、感光ドラム3Kは、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が、4個の感光ドラム中で最も長時間に渡り、感光ドラム3Yは、ベルト停止状態で空回転する時間が4個の感光ドラム中で最も長時間に渡ることになる。
即ち、位相差設定の基準となる感光ドラムを変更することによってドラム停止状態でベルトに擦られ時間が長い感光ドラム、及び、ベルト停止状態で空回転する時間が長い感光ドラムをそれぞれ変更出来ることになる。尚、基準となる感光ドラムを変更する機能は、操作者が画像形成装置の操作開始時点において、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)に設定することによって容易に実現可能になる。
【0084】
以上説明したように、実施例2では、位相差設定の基準となる感光ドラムを順次変更することによって、感光ドラムの摩耗を平均化することが出来、その結果画像形成装置の寿命長くすることが出来るという効果を得る。
【実施例3】
【0085】
上記、実施例1で説明した図6、及び、実施例2で説明した図8から、ドラム停止状態でベルトに擦られる時間が長い感光ドラムは、位相差設定の基準となる感光ドラムであることが分かる。即ち、実施例1では、感光ドラム3Yであり、実施例2では、感光ドラム3Kである。これらの感光ドラムは、ドラム円周上の一部分のみ擦られるので、感光ドラムの偏心を促進することにもなりかねない。そこで、本実施例では、使用回数(回転数量)の多い感光ドラムが、位相差設定の基準となることを排除し、最も使用回数(回転数量)の少ない感光ドラムを位相差設定の基準に選定することを可能にする。
【0086】
図9は、実施例3の構成のブロック図である。
図に示すように実施例3による画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、回転数カウンタ21(K、Y、M、C)と、制御部20とを備える。以下に実施例1の構成と異なる部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分には、実施例1と同一の符号が付されている。
【0087】
各回転数カウンタ11(K、Y、M、C)は、各基準マーク検出部5が各マーク4を検出する毎に感光ドラム3それぞれについて累積回転数としてカウントして保持する回転数量計測部分である。
制御部20は、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム回転数検出手段20−1(K、Y、M、C)とを実行する部分である。
【0088】
ドラム回転数検出手段20−1(K、Y、M、C)は、回転数カウンタ11(K、Y、M、C)を個々に監視して感光ドラム3(K、Y、M、C)、それぞれについての累積回転数を取得し、最も累積回転数の少ない感光ドラムを選択する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10の制御手順である。
他の構成部分、及び制御手順は、実施例1と同様なので説明を省略する。
【0089】
本実施例では、上記構成によって、最も早い回転駆動停止時刻を設定する感光ドラムとして最も累積回転数の少ない感光ドラムを選択して回転駆動停止時刻を設定することが可能になり、その結果感光ドラムの偏心を緩和することが可能になり色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【実施例4】
【0090】
上記、実施例1から実施例3では、感光ドラムの定常状態での周速度と、ベルトの定常状態での搬送速度は同一であることが前提であった。従って、両者の擦れは、両者の内何れか一方が停止している場合に発生することを前提としていた。本実施例では、両者の定常状態での速度(周速度、及び搬送速度)を任意に変更可能とする。こうすることによって両者間での相対速度を小さくして擦れによる悪影響を少なくする。
【0091】
図10は、実施例4の構成のブロック図である。
図に示すように実施例4による画像形成装置は、ベルトローラ1と、ベルト2と、感光ドラム3(K、Y、M、C)と、マーク4(K、Y、M、C)と、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)と、ベルト駆動部6と、ベルト駆動ギヤ7と、感光ドラム駆動部8(K、Y、M、C)と、感光ドラム駆動ギヤ9(K、Y、M、C)と、制御部10Aとを備える。
【0092】
制御部10Aは、装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)であり、本実施例では、特に、ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3(K、Y、M、C、V)、及び、ドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C)とを実行する部分である。以下に実施例1の構成と異なる部分のみについて説明する。実施例1と同様の部分には、実施例1と同一の符号が付されている。
【0093】
ドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C)は、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)が、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)の検出結果によって設定した、複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの回転駆動停止時刻、及び、ベルト2の搬送駆動停止時刻とに基づいて、複数個の感光ドラム(K、Y、M、C)それぞれの周速度、及び、ベルトの搬送速度を変更する手順である。この手順は、図示しない装置内記憶部に予め格納されているコンピュータ読み取り可能なプログラムをCPUが実行することによって生成される制御部10Aの制御手順である。他の構成部分、及び制御手順は、実施例1と同様なので説明を省略する。
【0094】
次に実施例4に於ける感光ドラムの位相差設定動作について説明する。
図8は、実施例4の位相差設定原理説明図である。
(a)は、感光ドラム3(K、Y、M、C)(図10)の位相差の一例を表す図である。図中、実線の大円は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)(図10)の位相差を一つの円上にまとめて表した図である。S点は、基準マーク検出部5(K、Y、M、C)(図10)の設定されている位置を表し、円周上のY、K、M、Cは、それぞれ、感光ドラム3(Y、K、M、C)のマーク4(K、Y、M、C)(図7)のS点からの位相遅れを表している。
【0095】
図は、一例として、感光ドラム3Yのマーク4YがS点からπ/4、感光ドラム3Kのマーク4KがS点から3π/4、感光ドラム3Mのマーク4MがS点からπ、感光ドラム3Cのマーク4CがS点から3π/2、それそれ遅れている場合を表している。この状態は、図3と同一状態に設定してある。
【0096】
(b)は、(a)の状態からマーク4(K、Y、M、C)の位相差を一致させるためのステップを表す図である。この図は、縦軸に感光ドラム3(Y、K、M、C)の回転周速度(=ベルトの搬送速度)を表し、横軸に経過時間を表している。線図に於いてSは、S点におけるマーク4(K、Y、M、C)の検出時刻を表している。3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Yの算出結果(実施例1と同一)を表している。
【0097】
3Kは、感光ドラム3Kの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Kの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Mは、感光ドラム3Mの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Mの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Cは、感光ドラム3Cの回転周速度と時間経過との関係を表し、更に、点線で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2Cの算出結果(実施例1と同一)を表している。3Yは、感光ドラム3Yの回転周速度と時間経過との関係を、ベルト(5)は、ベルトの搬送速度と経過時間との関係を表し、最下段の時刻には、上記各線図の変化点を共通の時刻と、その下にドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C、V)が実施例1で算出した時刻とが並記されている。
【0098】
次に、(b)に記載の時刻に従って、感光ドラム3(K、Y、M、C)とベルト(5)の動作について説明する。ここで、感光ドラム3(K、Y、M、C)及びベルト(1、2)の加速時、及び、減速時に於ける加速度は、それぞれ等しいものとする。
【0099】
時刻T41(=T1)
ドラム・ベルト駆動開始手段10−1(K、Y、M、C、V)が、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)を同時に回転駆動を開始すると共に、ベルト(5)をも同時に搬送駆動を開始する。
【0100】
時刻T42(=T2)
4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)、及び、ベルト(5)が、所定の速度(A0)に達し、以後一定動作で回転又は搬送を継続する。
時刻T43(=T3)
基準マーク検出部5Y(図10)は、マーク4Y(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Yが、π/4回転終了した時刻である。
【0101】
時刻T44(=T4)
基準マーク検出部5Kは、マーク4K(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Kが、3π/4回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T44に至る時間をt1とおく。
時刻T45(=T5)
基準マーク検出部5Mは、マーク4M(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Mが、π回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T45に至る時間をt2とおく。
【0102】
時刻T46(=T6)
基準マーク検出部5Cは、マーク4C(図10)を検出する。この時刻が、(a)に於いて、感光ドラム3Cが、3π/2回転終了した時刻である。ここで時刻T43から時刻T46に至る時間をt3とおく。この時点で、ドラム・ベルト駆動時間算出手段10−2(K、Y、M、C)(図11)は、実施例1と同様に、感光ドラム3Yを基準にして、感光ドラム3Kをt1後に、感光ドラム3Mをt2後に、感光ドラム3Cをt3に減速開始すべきことを算出する。
【0103】
この算出結果に基づいてドラム・ベルト速度変更手段30−1(K、Y、M、C、V)(図10)は、感光ドラム3Yの速度を0に、感光ドラム3Kの速度をA0(t1/t21)に、感光ドラムMの速度をA0(t2/t21)に、感光ドラムCの速度をA0(t3/t21)に、ベルト(5)の速度をA0・(t1+t2+t3)/4・t21に、それぞれ変更すべきことを算出する。ここでt21は、予め定められている定数である。
【0104】
ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Y(図10)は、速度0に向けて感光ドラム3Yの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3K(図10)は、速度A0(t1/t21)に向けて感光ドラム3Kの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3M(図10)は、速度A0(t2/t21)に向けて感光ドラム3Mの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Cは、速度A0(t3/t21)に向けて感光ドラム3Cの減速を開始し、ドラム・ベルト駆動停止手段10−3Vは、速度A0・(t1+t2+t3)/4・t21に向けてベルトの減速を開始する。
【0105】
時刻T47
感光ドラム3Cの速度は、A0(t3/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T52で、速度0に向けて再度減速を開始する。
時刻T48
感光ドラム3Mの速度は、A0(t2/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T53で、速度0に向けて再度減速を開始する。
時刻T49
ベルト(5)の速度は、A0・(t1+t2+t3)/4・t21に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T54で、速度0に向けて再度減速を開始する。
【0106】
時刻T50
感光ドラム3Kの速度は、A0(t1/t21)に達したので、以後この速度をt21の間継続し、時刻T55で、速度0に向けて再度減速を開始する
【0107】
時刻T51
感光ドラム3Yは停止する。
時刻T55
感光ドラム3(K、M、C)は停止する。同様にベルト(5)も停止する。
【0108】
以上説明した手順に於いて、以下の点に留意すべきである。
感光ドラム3Kを例にとると、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t1時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t1/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t1(実施例1)=A0(t1/t21)・t21(実施例2)となる。
感光ドラム3Mでは、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t2時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t2/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t2(実施例1)=A0(t2/t21)・t21となる。
感光ドラム3Kでは、実施例1では、時刻T46(=T6)以後、速度A0で、t3時間回転していたが、本実施例では、速度A0(t3/t21)で、t21時間回転している。この回転量はA0・t3(実施例1)=A0(t3/t21)・t21となる。
従って、実施例1と同様にマーク4(K、Y、M、C)は、同一位相に設定されることになる。
【0109】
又、ベルト(5)の速度は、4個の感光ドラム3(K、Y、M、C)の平均速度に設定されることになるので、各感光ドラムとの相対速度が大幅に小さくなり、ベルトと感光ドラムとの擦れによる、両者の寿命低下を低減し、更に、ベルトに撓みが発生するのを防止することが出来る。その結果、色ずれの少ない出力画像を得ることが出来るという効果を得る。
【実施例5】
【0110】
ところで、感光ドラム駆動部から得たトルクを増加させて感光ドラムを回転するためにアイドルギヤに対し減速ギヤより減速を掛けてトルクを増加することが行われているが、ギヤの製造コストを下げるために、プラスチック材料を金型中に射出する射出成形により製造されることが多い。
【0111】
しかし、プラスチック材料を金型中に射出する射出成形方式では、型が持つ固有の製造誤差の影響を受け易い。特に、回転軸が同じでギヤ比の異なる大小2種類のギヤを2段ギヤとして一体成型を行うと、型が複雑であることから型が持つ固有の製造誤差がギヤに大きく発生する。
【0112】
このため、ギヤの噛み合い誤差が大きくなり、感光ドラムの編心を少なくしても回転ムラが大きく発生してしまう。
【0113】
本実施例では、図12及び図13に示すように、感光ドラム駆動ギヤ9(K,Y,M,C)は、大径のアイドルギヤ103と、感光ドラム3の側端に同軸的に固定されている感光ドラムギヤ107に噛み合う減速ギヤ104とを有し、アイドルギヤ103及び減速ギヤ104は同軸上に射出成形により形成されている。アイドルギヤ103の板面には、円弧状の遮光部材101が設けられ、又各定位置には光検出センサ102が配置されている。
【0114】
ドラムモータ105のシャフトに取り付けられているモータギヤ106は、直径5mmで歯数が11に設定されて上記アイドルギヤ103と噛み合っている。アイドルギヤ103は直径45mmで歯数が132に設定され、一方減速ギヤ104は直径25mmで歯数が27に設定されている。
【0115】
上記した感光ドラム3(KYMC)はそれぞれ円筒形のベース201に静電気を蓄えるための静電層202が設けられた構成を有し、円筒形のベース201の端部には上記した感光ドラムギヤ107が取付けられている。
円筒形のベース201はアルミニウムなどで形成され、静電層202は負帯電型有機光導電性材が塗布されて形成されている。
【0116】
本実施例において、ドラムモータ105を駆動し、モータギヤ106、アイドルギヤ103及び減速ギヤ104を介して各感光ドラム3(K,Y,M,C)を回転駆動させると、例えば、イエローの感光ドラム3Yに対応するアイドルギヤ103Yが回転し、遮光部材101が光検出センサ102を通過することで検出信号が出力される。次に、他のアイドルギヤ103M、103C、103Kの回転で、図14に示すように、それぞれ光検出センサからt41、t42、t43経過後に検出信号が出力される。従って、図示しない制御部により各感光ドラム3K、3Y、3M、3Cの位相差(時間)を判定することができる。このような位相差を判定する際に、上記実施例1〜4に示すように、搬送ベルト2の停止タイミングをいずれかのドラム停止タイミングに対応させる。
【0117】
本実施例を適用することにより、感光ドラム3とベルト2との間では、一番早く停止する感光ドラム3Yはベルトと共に停止するので擦れが無い。ベルト停止後に感光ドラム3Kは位相差を合わせるため時間t41だけ回転し、又ベルト停止後に感光ドラム3Mは位相差を合わせるためt42だけ回転し、更にベルト停止後に感光ドラム3Cは位相差を合わせるためt43だけ回転する。このように、ベルト停止後に各感光ドラム3K、3M、3Cを各々回転動作させると、各感光ドラムとベルトの擦れる位置が変化するので、感光体が局所的に削られることを防止することができ、従って、各感光ドラムの正常に画像形成可能な寿命をのばすことができる。
【0118】
尚、実施例1の感光ドラムの位相差の判定を行った後に、実施例5の感光ドラム駆動ギヤ(アイドルギヤ103)の位相差の判定を行うと、感光ドラムと感光ドラム駆動ギヤのそれぞれの位置ずれを軽減できてさらに良好となる。
【0119】
この場合、感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを接触したり離したりする接離部52Y、52M、52C、52Kを設ける。
【0120】
即ち、接離部52Y、52M、52C、52Kを下動させ、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを噛み合った状態で実施例1の感光ドラム3Y、3M、3C、3Kの位置調整を行った後に、接離部52Y、52M、52C、52Kを上動し、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを離し、実施例5の感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの位置調整を行い、感光ドラム駆動ギヤ9Y、9M、9C、9Kの位置調整の後で接離部52Y、52M、52C、52Kを下動し、減速ギヤ104Y、104M、104C、104Kと感光ドラムギヤ107Y、107M、107C、107Kとを噛み合わせてから画像形成装置で画像形成を行う。
【0121】
また、ベルト駆動部のコストを下げるために、ベルト駆動部のモータが必要とするトルクを下げることが行われるが、本実施例のように各感光ドラムを時間差を持って停止する場合、停止している感光ドラムが少ない状態、特に最初に停止する感光ドラムの駆動停止に合わせてベルト駆動部のモータの停止を行うと、感光ドラムが停止して抵触した状態でベルトを搬送するために起こる摩擦負荷を各感光ドラム駆動部のドラムモータに分散することができ、ベルト駆動部のモータのみ通常印刷時必要なトルクより非常に高いトルク設定とすることを軽減することができる。
【0122】
この場合、感光ドラムモータ各々に対して分散して摩擦負荷を考慮したトルク分配を行うことができ、印刷動作によりベルトと感光ドラム間に負荷となる媒体が搬送された場合、ベルト駆動部のモータのみ高負荷に耐えられる場合に比べ、高い負荷の媒体まで印刷することが可能になる。
【0123】
ところで、感光ドラム3は上記したように静電気を蓄えるための静電層202が設けられており、この静電層202の表面に表れる電気の状態により現像剤であるトナーの付着量が決定される。そして、感光ドラムに形成されるトナー像はトナーの粒による点なので、感光体を停止した状態でベルトが搬送されると局所的に感光ドラム表面の静電層202が削られてしまう。このように、局所的に静電層202が削られると、感光体表面の静電気保持力や静電層202の表面に表れる電気の状態に大きなムラができてしまい、トナーの付着に大きなムラが発生し、正常なトナー像が形成できなくなる。よって、図14に示すように、最初に停止する感光ドラム3Yとともにベルト2を停止させると、付着ムラの発生を防ぐことができる。
【0124】
尚、上記各実施例において、記録媒体をベルト2に乗せて搬送する場合、記録媒体はベルト2に対して面で接触しているので、ベルト2が局所的に擦れても記録媒体の搬送力の低下は少なくて済む。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上の説明では、本発明をカラー電子写真プリンタ等の印刷装置に適応させた場合について説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。即ち、ファクシミリ装置や、複写機などにも適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施例1の構成のブロック図である。
【図2】本発明が適用される画像形成装置の印刷機構部の断面略図である。
【図3】本発明の制御系統のブロック図である。
【図4】機構制御部の内部構成図である。
【図5】本発明のマークと検出部との説明図である。
【図6】実施例1の位相差設定原理説明図(その1)である。
【図7】実施例1の位相差設定原理説明図(その2)である。
【図8】実施例2の位相差設定原理説明図である。
【図9】実施例3の構成のブロック図である。
【図10】実施例4の構成のブロック図である。
【図11】実施例4の位相差設定原理説明図である。
【図12】実施例5の要部の説明図である。
【図13】実施例5の光検出機構を示す図である。
【図14】実施例5の位相差設定原理説明図である。
【符号の説明】
【0127】
1 ベルトローラ
2 ベルト
3(K、Y、M、C) 感光ドラム
4(K、Y、M、C) マーク
5(K、Y、M、C) 基準マーク検出部
6 ベルト駆動部
7 ベルト駆動ギヤ
8(K、Y、M、C) 感光ドラム駆動部
9(K、Y、M、C) 感光ドラム駆動ギヤ
10 制御部
10−1(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動開始手段
10−2(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動時間算出手段
10−3(K、Y、M、C、V) ドラム・ベルト駆動停止手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部に配置される複数個の感光体のそれぞれの基準位置を前記感光体の回転中に基準位置検出部によって検出し、該検出結果に基づいて、前記複数個の感光体の回転駆動と前記搬送部の搬送駆動とをそれぞれ所定の時刻に停止させて、前記複数個の感光体毎の回転位相差を所定の値に設定する、感光体の位置設定方法であって、
前記基準位置検出部の検出結果に基づいて前記複数個の感光体それぞれの回転駆動停止時刻と前記搬送部の搬送駆動停止時刻とを設定するドラム・ベルト駆動時間算出手順と、
該ドラム・ベルト駆動時間算出手順の算出結果に基づいて前記いずれかの感光体の駆動停止タイミングに対応させて前記搬送部の搬送駆動を停止させる駆動停止手順とを備えることを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記基準位置検出部が最初に前記基準位置を検出した感光体を基準回転駆動停止時刻に設定し、続いて基準位置を検出した感光体の順番に回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記基準回転駆動停止時刻を設定する感光体を、位相差設定の度毎に変更し、回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項4】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記複数個の感光体の内、最も累積回転数の少ない感光体を選択し、前記基準回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記複数個の感光体の回転駆動停止時刻の中で、最も早い回転駆動停止時刻と最も遅い回転停止時刻とを除いた回転駆動停止時刻の中で、最も早い回転駆動停止時刻と最も遅い回転停止時刻との間に前記搬送部の停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順の算出結果に基づいて、
前記複数個の感光体の回転量(回転速度×回転時間)を算出し、前記複数個の感光体毎に、それぞれの回転量を維持しながら前記回転速度を変更するドラム速度変更手順、及び、前記搬送部の移動量(移動速度×移動時間)を算出し、該移動量を維持しながら、前記移動速度を変更するベルト速度変更手順の少なくとも一方を更に備えることを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項7】
第1の感光体及び第2の感光体と、
前記第1の感光体に駆動力を与える第1駆動部及び前記第2の感光体に駆動力を与える第2駆動部と、
前記第1の感光体と前記第2の感光体間に配置されるベルト及び該ベルトを駆動するベルト駆動部と、
前記第1の感光体が回転すると位置が変化する第1マーク及び前記第2の感光体が回転すると位置が変化する第2マークと、
前記第1マークを検知する第1検知部及び前記第2マークを検知する第2検知部と、
前記第1マークが前記第1検知部を通過するタイミングと前記第2マークが前記第2検知部を通過する時間差を求め、前記第1駆動部を停止してから前記第2駆動部を停止するまでの時間を決定するとともに、前記ベルト駆動部の停止タイミングを前記第1駆動部を停止してから前記第2駆動部が停止するまでの間に停止する制御部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1の感光体は前記第1駆動部から駆動力を受ける第1感光体ギヤを有し、
前記第2の感光体は前記第2駆動部から駆動力を受ける第2感光体ギヤを有し、
前記第1マークは前記第1感光体ギヤの回転に同期して位置が回転移動し、
前記第2マークは前記第2感光体ギヤの回転に同期して位置が回転移動する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1駆動部の停止とともに前記ベルト駆動部を停止し、その後に前記第2駆動部を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1マークを持ち、前記第1駆動部から駆動力を受けて前記第1の感光体を回転する第1感光体駆動ギヤと、
前記第2マークを持ち、前記第2駆動部から駆動力を受けて前記第2の感光体を回転する第2感光体駆動ギヤとを持つことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1駆動部の停止とともに、前記ベルト駆動部を停止し、その後に前記第2駆動部を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
複数の感光体及び該各感光体をそれぞれ回転駆動する複数の駆動部と、
前記複数の感光体に接触するベルトを駆動するベルト駆動部と、
前記各感光体の回転に伴って回転変位する複数の被検出部と、
前記回転変位する各被検出部と同一の定位置で対向すべくそれぞれ配され、該回転変位する各被検出部を対向位置で検出すると検出信号を出力する複数の検出部と、
前記複数の感光体を同時に回転開始させるべく前記複数の駆動部を同時的に駆動制御すると共に前記ベルト駆動部を駆動制御する駆動制御部と、
前記各検出部から検出信号を受信する毎に受信時間差に基づいて前記各感光体の回転位相差を判定し、該回転位相差に対応させて前記各感光体の駆動部を順に停止させる停止制御部と、
停止順が最初の前記駆動部を停止させてから停止順が最後の駆動部を停止させる前に前記ベルト駆動部を停止させるベルト駆動停止部と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
搬送部に配置される複数個の感光体のそれぞれの基準位置を前記感光体の回転中に基準位置検出部によって検出し、該検出結果に基づいて、前記複数個の感光体の回転駆動と前記搬送部の搬送駆動とをそれぞれ所定の時刻に停止させて、前記複数個の感光体毎の回転位相差を所定の値に設定する、感光体の位置設定方法であって、
前記基準位置検出部の検出結果に基づいて前記複数個の感光体それぞれの回転駆動停止時刻と前記搬送部の搬送駆動停止時刻とを設定するドラム・ベルト駆動時間算出手順と、
該ドラム・ベルト駆動時間算出手順の算出結果に基づいて前記いずれかの感光体の駆動停止タイミングに対応させて前記搬送部の搬送駆動を停止させる駆動停止手順とを備えることを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記基準位置検出部が最初に前記基準位置を検出した感光体を基準回転駆動停止時刻に設定し、続いて基準位置を検出した感光体の順番に回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記基準回転駆動停止時刻を設定する感光体を、位相差設定の度毎に変更し、回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項4】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記複数個の感光体の内、最も累積回転数の少ない感光体を選択し、前記基準回転駆動停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順は、
前記複数個の感光体の回転駆動停止時刻の中で、最も早い回転駆動停止時刻と最も遅い回転停止時刻とを除いた回転駆動停止時刻の中で、最も早い回転駆動停止時刻と最も遅い回転停止時刻との間に前記搬送部の停止時刻を設定することを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の感光体の位置設定方法に於いて、
前記ドラム・ベルト駆動時間算出手順の算出結果に基づいて、
前記複数個の感光体の回転量(回転速度×回転時間)を算出し、前記複数個の感光体毎に、それぞれの回転量を維持しながら前記回転速度を変更するドラム速度変更手順、及び、前記搬送部の移動量(移動速度×移動時間)を算出し、該移動量を維持しながら、前記移動速度を変更するベルト速度変更手順の少なくとも一方を更に備えることを特徴とする感光体の位置設定方法。
【請求項7】
第1の感光体及び第2の感光体と、
前記第1の感光体に駆動力を与える第1駆動部及び前記第2の感光体に駆動力を与える第2駆動部と、
前記第1の感光体と前記第2の感光体間に配置されるベルト及び該ベルトを駆動するベルト駆動部と、
前記第1の感光体が回転すると位置が変化する第1マーク及び前記第2の感光体が回転すると位置が変化する第2マークと、
前記第1マークを検知する第1検知部及び前記第2マークを検知する第2検知部と、
前記第1マークが前記第1検知部を通過するタイミングと前記第2マークが前記第2検知部を通過する時間差を求め、前記第1駆動部を停止してから前記第2駆動部を停止するまでの時間を決定するとともに、前記ベルト駆動部の停止タイミングを前記第1駆動部を停止してから前記第2駆動部が停止するまでの間に停止する制御部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1の感光体は前記第1駆動部から駆動力を受ける第1感光体ギヤを有し、
前記第2の感光体は前記第2駆動部から駆動力を受ける第2感光体ギヤを有し、
前記第1マークは前記第1感光体ギヤの回転に同期して位置が回転移動し、
前記第2マークは前記第2感光体ギヤの回転に同期して位置が回転移動する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1駆動部の停止とともに前記ベルト駆動部を停止し、その後に前記第2駆動部を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記第1マークを持ち、前記第1駆動部から駆動力を受けて前記第1の感光体を回転する第1感光体駆動ギヤと、
前記第2マークを持ち、前記第2駆動部から駆動力を受けて前記第2の感光体を回転する第2感光体駆動ギヤとを持つことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記第1駆動部の停止とともに、前記ベルト駆動部を停止し、その後に前記第2駆動部を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
複数の感光体及び該各感光体をそれぞれ回転駆動する複数の駆動部と、
前記複数の感光体に接触するベルトを駆動するベルト駆動部と、
前記各感光体の回転に伴って回転変位する複数の被検出部と、
前記回転変位する各被検出部と同一の定位置で対向すべくそれぞれ配され、該回転変位する各被検出部を対向位置で検出すると検出信号を出力する複数の検出部と、
前記複数の感光体を同時に回転開始させるべく前記複数の駆動部を同時的に駆動制御すると共に前記ベルト駆動部を駆動制御する駆動制御部と、
前記各検出部から検出信号を受信する毎に受信時間差に基づいて前記各感光体の回転位相差を判定し、該回転位相差に対応させて前記各感光体の駆動部を順に停止させる停止制御部と、
停止順が最初の前記駆動部を停止させてから停止順が最後の駆動部を停止させる前に前記ベルト駆動部を停止させるベルト駆動停止部と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−18241(P2006−18241A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157959(P2005−157959)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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