説明

成型防音構成部品およびその製造方法

本方法は、防音構成部品に所望される形状を有する鋳型空洞の壁の一部分上に、空洞全体を占有しない第1の多孔質の層(1)を配置するステップと、第2の開放気泡の多孔質の層(3)を形成するために、鋳型の空洞内に発泡高分子組成物を射出するステップとを含む。第1の多孔質の層(1)の上に実際的に気密の中間層(2)を配置するステップと第2の多孔質の層(3)を形成するために高分子組成物を射出するステップの2つのステップが、発泡高分子組成物を射出する単一のステップで同時に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型防音構成部品を生産する方法およびその実施によって得られる構成部品に関する。
【背景技術】
【0002】
防音構成部品は、自動車の客室などの実質的に閉じられた空間のいくつかの場所に配置される。そのような構成部品は、例えば、床または隔壁に配置される。
自動車用の多数の知られた防音装置には、文献米国特許第6145617号に記載されるものが含まれる。それは、支持部上に位置決めされる、空気の層が好ましくは間に入れられた2つの多孔質の層を備える。この2つの多孔質の層は、許容されている空気の通路と連通しなければならない。その防音装置は、その音響特性が必ずしも十分とは限らないが軽いという利点を有する。そのようなシステムを構築するために、開放気泡を有する第2の多孔質の層を形成するために、第1の多孔質の層のところに、高分子発泡組成物を射出することを想定することが可能であろう。しかしそのような工程は、この装置の動作原理に反して2つの層の間に流体密閉ゾーンを形成し、したがってその防音特性の大部分を失うであろう。
【0003】
文献米国特許第4131664号に記載される別のより旧式の装置は、異なる密度を有するフェルトの2つの層の間に配置される膜または不透過性のフィルムを備える防音パネルを構成する。そのシステムでは、この膜またはフィルムは、2つの層の間の空気のどのような通過も防止する。
【0004】
本発明は、文献米国特許第4131664号に記載される、すなわち気密の中間層を備える第2の一般的な種類の防音構成部品の生産に関する。
その第2の一般的な種類の防音構成部品の欠点は、それらが比較的高価なことである。特に、そのような構成部品を構築するために、第1の多孔質の層から開始し、相対的に不透過性の中間層を設ける第1の工程を行い、次いで他の多孔質の層を設ける第2の工程を行うことが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、そのような成型防音構成部品の生産コストを大幅に下げることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、構築される製品のコストを下げることができるように、空気に対して相対的に不透過性の中間層と多孔質の防音層のうちの1つが単一の射出ステップで同時に構築される。
【0007】
より詳細には、本発明によれば第1の多孔質の層は、他の層と協働しなければならない側面に向けられた、少なくともその表面のところに、開放空孔を有する。この中間層および他の多孔質の層は、射出される流体組成物の一部分が所与の深さにわたり第1の層の多孔質の構造体内に浸透するような方式で、引き続き単一の射出ステップで構築される。第2の多孔質の層を形成するために射出される流体組成物の発泡中、第1の多孔質の層の空孔内に含まれる材料は、どのような発泡体も実際的に形成することができず、したがって、第1の層内の浸透深さにわたり、2つの多孔質の層の材料によって構成される中間高密度化層が残る。
【0008】
このように、本発明は、第1の多孔質の層と、開放気泡を有する第2の多孔質の層と、それらの2つの多孔質の層の間に実際的に気密である中間層とを備える種類の成型防音構成部品を生産する方法に関し、本方法は、防音構成部品に対して所望される形状を有する鋳型空洞の壁部分上に、空洞全体を占有しない第1の多孔質の層を設けるステップと、空洞全体を占有しない第1の多孔質の層上に実際的に気密である中間層を設けるステップと、開放気泡を有する第2の多孔質の層を形成するために鋳型の空洞内に高分子発泡組成物を射出するステップとを含む種類のものである。本発明によれば、実際的に気密の中間層を第1の多孔質の層上に設けるステップと第2の多孔質の層を形成するために高分子組成物を射出するステップの2つのステップが、高分子発泡組成物に対する単一の射出ステップで、高分子組成物が第1および第2の多孔質の層のそれぞれより密度の高い実際的に気密の中間層を第1の層の材料と共に形成するような条件の下で第1の層と接触して、同時に行われる。
【0009】
この射出は、第1の多孔質の層の空気の通過に対する抵抗、空孔率、密度、構造、表面、等の特性を考慮して、中間層が所望の厚さを有するように、制御される流れ、温度および圧力条件の下で行われる。
【0010】
このように、本方法は中間層の所望の厚さの定義を含み、その結果中間層が所望の厚さを有するように、射出中の流れ、温度および圧力の制御を含むことができる。
射出される高分子組成物が少なくとも2つの成分を混合することによって形成されるとき、射出される組成物は、中間層が所望の厚さを有するように、組成物の2つの成分に対する対応する条件の下で生産される。
【0011】
第1の層を設けるステップは、多孔質の材料の層を鋳型壁上に位置決めするステップを好ましくは含み、この多孔質の材料はフェルトおよび発泡体から選択される。これは、分割、射出、押出し等することができる。多孔質の材料が乏しい浸透性を有する層を有して設けられる一改善によれば、第1の層を設けるステップは、乏しい浸透性を有するこの層が鋳型の壁に接触して位置決めされるように多孔質の材料の層を位置決めするステップを含む。
【0012】
本方法は、構成部品の少なくとも片側で行われ、構成部品の厚さの少なくとも一部分に影響を及ぼす、引き続く穿孔ステップを好ましくは含む。
本発明による方法は、以下の特徴の1つまたは複数を有利には備える。
【0013】
−射出後の中間層の厚さは、第1の多孔質の層の厚さの10%と20%の間である、
−この中間層は、100g/mと1000g/mの間の単位面積当たりの質量を有する、
−この第1の多孔質の層は、200N.m−3.sと3500N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有する、少なくとも1つの多孔質の層を有する、
−空気の通過に対するより大きな抵抗を有する層は、200N.m−3.sと2000N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有する。
【0014】
本発明は、上記で定義される方法に従って成型防音複合物を作り出すステップ、および得られた成型防音構成部品を車両の床または隔壁に設けるステップを含む、自動車を生産するための方法にも関する。
【0015】
本発明は、2つの層の材料によってのみ中間層が構成される、前述のパラグラフの方法を実施することによって生産される成型防音構成部品にも関する。その厚さは、好ましくは第1の層の材料の多孔質の構造体内への第2の層の材料の浸透深さによって決められる。
【0016】
この中間層は、好ましくは少なくとも0.1mmの厚さを有する。
第2の層の材料は、好ましくはポリウレタンである。
本発明による構成部品が以下の特徴のうちの1つまたは複数をさらに備えるのが有利である。
【0017】
−中間層の厚さが第1の多孔質の層の厚さの10%と20%の間である、
−中間層が100g/mと1000g/mの間の単位面積当たりの質量を有する、
−第1の多孔質の層が、200N.m−3.sと3500N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有する少なくとも1つの多孔質の層を有する、
−第1の多孔質の層に1つの多孔質の層が設けられ、その外側表面は空気の通過に対するより大きな抵抗を有する層を担持する、
−この空気の通過に対するより大きな抵抗を有する層が、200N.m−3.sと2000N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有する、
−構成部品が、任意選択で薄い流体密のフィルムが間に置かれた、第1の多孔質の層上に設けられる装飾マット層を備える、
−マットの層が空気の通過に対するより高い抵抗を有する層の上に設けられる。
【0018】
本発明は、床および隔壁と、床または隔壁のうちの1つの上に設けられる、上記で定義されるような成型防音構成部品とを備える自動車にも関する。
本発明は、平面であるもの、および成型で得られる任意の形状であるものの両方である、成型防音構成部品を生産するために顕著な利点を有する。
【0019】
最初に、第1の多孔質の防音層は、極めて異なる種類のもの(発泡体、フェルト、不織布、等の層)であることができ、それはあらかじめ生産し、鋳型内に位置決めすることができる。重要な特徴は、他の層が位置決めされなければならない側に向けられる第1の層の材料の面が多孔質でなければならない、すなわち中間層の形成のために少なくとも所望の深さにわたり凹部が設けられていなければならないことである。
【0020】
単一のステップで中間層および他の多孔質の層を作り出すことができるので、かつその他の層の材料の性質を発泡プラスチック材料用のいくつかの流体組成物から選択することができるので、本発明の用途の範囲は極めて広い。
【0021】
2つの多孔質の層の材料を選択するためのその大きな自由度の利点は、生産ステップの数の減少による低コストの利点に加えて、ひいては生産設備のコストに存在する。
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して行われる以下の詳細な説明および実施例を読むことでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による方法によって生産される防音構成部品の一例の部分図である。
【図2】本発明による方法によって生産される防音構成部品の別の例の部分図である。
【図3】自動車の床に適用可能な本発明による第3の防音構成部品の、図1に類似する図である。
【図4】自動車の床に適用可能な本発明による第4の防音構成部品の、図1に類似する図である。
【図5】自動車の床に適用可能な本発明による第5の防音構成部品の、図1に類似する図である。
【図6】本発明による2つの防音構成部品と従来技術の防音構成部品に対する、dBでの低減指数の線を周波数の関数として示すグラフである。
【図7】本発明による2つの防音構成部品と従来技術の防音構成部品に対する、拡散場内の吸収係数の線を周波数の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および2で、参照番号1は、図1に示すような単一層または図2に示すような複合層のいずれかである、第1の多孔質の層を示す。図2で、この層1は多孔質の層5を備え、その外側表面は空気の通過に対してより大きな抵抗を有する層4を担持する。例えば、この層5はフェルトであり、層4は不織布であることができる。
【0024】
参照番号3は、射出される流体組成物によって形成される発泡体の第2の多孔質の層を示し、参照番号2は、第1の多孔質の層1の表面部分内に捕捉された流体発泡組成物の材料によって形成される中間層を示す。
【0025】
次に本発明による2つの成型防音構成部品の実施形態を考察する。
実施例1
第1の実施形態では、所望の防音構成部品の周囲形態に従って、天然および/または合成繊維のフェルトのシートがフェルトのロールから切り出される。
【0026】
フェルトのそのシートは、構成部品の第1の防音層を構成するためのものであり、射出鋳型内に、第1の半鋳型の壁上に配置される。次いでこの鋳型は閉じられ、流体発泡組成物が鋳型の空洞内に、フェルトのこのシートと鋳型空洞の範囲を定める鋳型のもう1つの半鋳型の間に射出される。
【0027】
射出の圧力、温度および流れの条件は、第1の多孔質の層の空気の通過に対する抵抗、空孔率、密度、構造、表面、等の特性を考慮して、射出される流体組成物がフェルトのアクセス可能な表面を介して所望の深さだけ浸透するように定められる。例えば、この流体組成物は、約0.3mmの厚さにわたりフェルト内に浸透する。フェルトの表面層内に封じ込められるこの流体組成物は膨張のための十分な空間を有さないので、その区域内での発泡は実際的に不可能である。変形形態では、発泡体が膨張に曝され、射出された流体組成物が所望の密度の発泡体を形成するように、第2の半鋳型が最初に摺動し、間隔をあけることができる。
【0028】
射出された発泡体の層が十分に安定したとき、鋳型は開かれ成型構成部品が取り出される。鋳型の空洞の形状に従って、この構成部品は平坦または任意の所望の形態であることができる。それはその状態で使用することができ、あるいは追加の工程、例えば穿孔および/または縁部の仕上げを受けさせることができる。
【0029】
フェルトの表面区域内に捕捉された射出された組成物の材料によって、かつフェルトの材料によって構成される中間層と射出された発泡体の層は、したがって単一の鋳型内で、単一の工程で作り出される。このようにして得られた製品は仕上げることができる。
【0030】
得られる構成部品のコストはしたがって、層にされる構成部品を形成し次いで形状へ成型すること、あるいは1つが中間層を設けるための、もう1つが第2の防音層を作り出すための、少なくとも2つの別々の操作を伴う鋳型内で3つの層を積み重ねることによって生産することのいずれかを含む、知られた方法で得られる構成部品のコストに対して低減されることは理解されるであろう。
【0031】
この実施例の変形形態では、フェルトの第1のシートは、所定の厚さの発泡体の層によって置き換えられる。例えば、その層は、その1つの面のところに開孔を有しもう1つの面のところに表皮を有することができる。そのような層は、2倍の厚さの発泡体の層を、その中央面で切断することによって得ることができる。
【0032】
実施例2
第2の実施例では、第1の実施例と異なり、第1の層はフェルトによって形成されずに、代わりに射出される発泡体の層によって構成される。その方法は、防音構成部品の第1の多孔質の層が構成部品の特定の機能に適合するようになされた可変厚さを有する、防音構成部品の生産が可能になる利点を有する。
【0033】
最後の実施例では、第1および第2の多孔質の防音層の材料は、それらの本質のせいでない場合は少なくともそれらの防音特性、例えば、空気の通過に対する抵抗、空孔率、密度、構造、表面、等の特性のせいで、異ならなければならない。
【0034】
それらの特性は、中間層が実際的に流体密であるようなものである。その目的のために、その中間層は、少なくとも0.1mmの厚さを有することが好ましい。
図1および2に示す防音構成部品は、自動車の隔壁の金属シート上に有利には設けるためのものである。
【0035】
図1の場合の第1の多孔質の層1または図2の場合の多孔質の層5は、例えばマイクロファイバーが50%より多い、有利には80%より多いなどの、マイクロファイバーの高いパーセントを有利には含むフェルトなどの、例えば吸収性フェルトによって形成される。
【0036】
本発明によれば、用語「フェルト」は、基剤繊維と結合材の混合物を呼ぶためのものである。この繊維は、天然のまたは合成の、1つの種類のまたはいくつかの種類の、新規のかつ/またはリサイクルの繊維であることができる。使用することができる天然繊維の例には、亜麻、綿、麻、竹等がある。使用することができる合成繊維の例には、ガラス繊維、ケブラー、ポリアミド、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンがある。
【0037】
結合材は、結合すべき基剤繊維の溶融点より低い溶融点を有する樹脂または結合繊維である。樹脂の例には、エポキシ樹脂、またはフェノール樹脂がある。結合繊維の例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、または複合ポリエステルがある。
【0038】
用語「マイクロファイバー」は、0.9デシテックスより小さな、有利には0.7デシテックスより小さいサイズを有する繊維を呼ぶためのものである。
一変形形態では、多孔質の層1または多孔質の層5のフェルトは、内部または外部由来の廃棄製品、例えば自動車機器の部片からの切れ端、生産不合格品、または耐用年数を過ぎた車両の部片からのリサイクル材料を含む。それらの廃棄製品は例えば、粉砕され、塊、群れまたは粒子によって構成される分割された材料の部片の形態でフェルト内に組み込まれる。廃棄製品の構成部品は、粉砕工程の前または粉砕工程中に分離することができる。
【0039】
発泡体の多孔質の層1または多孔質の層5の変形形態では、この発泡体は開放気泡を有する。それは例えば、ポリウレタンから生産される。この発泡体は射出または分割される。
【0040】
一変形形態では、この射出されたまたは分割された発泡体は、上記で定義されたようなリサイクル材料、または鉱物装填物、または「バイオ多価アルコール」などの多価アルコールも含む。
【0041】
一変形形態では、この多孔質の層1または多孔質の層5は、同じ出願人による国際出願第2007/006950号に記載されるような、高度の曲がりくねりを伴う開放気泡を有する発泡体に基づいて構築される。
【0042】
そのような発泡体は、1.4より大きな、有利には1.4と3の間の曲がりくねりを有する。
その曲がりくねりは、周波数の平方根の逆関数として使用される音波長に対する屈折率の二乗の変動を示す線の勾配を確証することによって測定される。
【0043】
第1の多孔質の層1または多孔質の層5の厚さは、例えば4mmと12mmの間、例えば8mmである。
フェルトの多孔質の層1または多孔質の層5の場合は、多孔質の層1または多孔質の層5の単位面積当たりの質量は、有利には200g/mと2000g/mの間にあり、例えば1200g/mのものである。発泡体の多孔質の層1または多孔質の層5の場合は、この層の密度は有利には10kg/mと80kg/mの間にあり、例えばほぼ70kg/mである。
【0044】
その層1または層5の空孔率は、その層の空気の通過に対する抵抗が例えば200N.m−3.sと3500N.m−3.sの間、例えば、2000N.m−3.sのものであるように選択される。
【0045】
空気の通過に対する抵抗および固有抵抗は、French University of Mansにおいて1997年10月3日に参加したMichel HENRYの論文、“Mesures des parametres caracterisant un milieu poreux.Etude experimentale du comportement acoustique des mousses aux basses frequences.”(多孔質の媒体を特徴付けるパラメータの測定。低周波数での発泡体の音響挙動の実験的研究)に記載される方法によって測定される。
【0046】
中間層2は、気密であるのが有利である。それは、上記で分かったように、第1の多孔質の層1または多孔質の層5内に含まれる多孔質の材料と、この多孔質の材料によって画成される孔および/または隙間を流体密に遮蔽する、第2の多孔質の層3を生じさせるように射出される流体発泡組成物との間の混合物によって作り出される。
【0047】
この中間層2の厚さは、有利には多孔質の層1または多孔質の層5の厚さの20%より小さく、多孔質の層1または多孔質の層5の厚さの10%より大きい。
それは、有利には0.1mmより大きく、0.5mmと3mmの間にあり、有利にはほぼ1.5mmのものである。
【0048】
その厚さは、構成部品の生産方法において、第1の多孔質の層を構成する多孔質の材料の密度に応じて、射出流れ速度および射出圧力などの発泡体の射出パラメータを改変して制御される。多孔質の材料の密度が高いほど、第2の多孔質の層3を作り出すために射出される流体発泡組成物が多孔質の材料内により少なく浸透する。
【0049】
中間層2の密度は、図1の場合第1の多孔質の層1の密度より大きく、図2の場合多孔質の層5の密度より大きい。それは、第2の多孔質の層3の密度よりやはり大きい。
この中間層の単位面積当たりの質量は、有利には100g/mと1000g/mの間にあり、有利には実質的に320g/mのものである。
【0050】
良好な音響特性を確保するために、この第2の多孔質の層3は、上記から分かっているように防音特性を有する射出される粘弾性発泡体に基づいて作り出される。
この発泡体は開放気泡を有する。それは例えばポリウレタンから生産される。一変形形態では、この発泡体は、リサイクル材料または鉱物装填物または「バイオ多価アルコール」などの多価アルコールを含む。
【0051】
用語「リサイクル材料」は、内部または外部由来の廃棄製品、例えば、自動車機器の部片からの切れ端、生産不合格品、耐用年数を過ぎた車両の部片からの材料を呼ぶためのものである。それらの廃棄製品は、例えば粉砕され、塊、群れまたは粒子によって構成される分割された材料の部片の形態で発泡体内に組み込まれる。この廃棄製品の構成部品は、粉砕工程の前または粉砕工程中に分離することができる。
【0052】
層3の密度は30kg/mと70kg/mの間であり、具体的にはほぼ50kg/mである。
層3は多孔質であり、有利には10000Nm−4.sと90000Nm−4.sの間にある、好ましくは30000Nm−4.sのものである空気の通過に対する固有抵抗を与えるようになされた空孔率を有する。
【0053】
弾力特性を有するために、第2の多孔質の層3は、有利には100Paと100000Paの間の、具体的にはほぼ40000Paの弾性率を有する。
図2の実施例では、抵抗層4は、低い秤量を有するフェルト、織物、等などの空気の通過に対する画定された抵抗を有する抵抗性の不織布または材料に基づいて有利には作り出される。
【0054】
それは、多孔質の層5の厚さおよび第2の多孔質の層3の厚さより薄い厚さを有する。
その単位面積当たりの質量は、20g/mと200g/mの間にある。
この抵抗層4は、200N.m−3.sと2000N.m−3.sの間の、有利にはほぼ500N.m−3.sのものである空気の通過に対する抵抗を有するために多孔質である。
【0055】
この抵抗層4は、接着剤接合、または積層または化学的固着などの機械的な固定によって層5に固定される。
マットを形成するために自動車の床の金属シート上に設けるための第3の成型防音構成部品を図3に示す。
【0056】
その第3の構成部品は、抵抗層4の上に配置される装飾層10があるせいでのみ、図2に示す第2の構成部品と異なる。その装飾層は、マットに基づいて、例えばダイロール(Dilour)または平らなまたはタフテッド・ニードルド・マットに基づいて作り出される。
【0057】
この層10は、200g/mと700g/mの間の、有利には550g/mの単位面積当たりの質量を有する。
マットを形成するために自動車の床の金属シートに固定するためのものである第4の成型防音構成部品を図4に示す。
【0058】
その構成部品は、抵抗層4が上記で説明したように装飾層10に置き換えられることでのみ、図2に示す第2の構成部品と相違する。
マットを形成するために自動車の床の金属シート上に設けるためのものである第5の成型防音構成部品を図5に示す。
【0059】
その構成部品は、中間の、薄い流体密なフィルム12が上記で説明したような装飾層10と多孔質層5の間に置かれていることでのみ、図4に示す第4の構成部品と相違する。
この薄い中間フィルム12は、500μmより薄い、例えば10μmと500μmの間の、有利には50μmの厚さを有する。このようにすると、それは10g/mと200g/mの間の、有利には50g/mの単位面積当たりの質量を有する。
【0060】
そのフィルム12は、空気の通過に対して気密である。それは例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルまたは共重合体、ポリ(エチレン スチレン)などの単層熱可塑性高分子に基づいて作り出される。一変形形態では、このフィルム12は、多層熱可塑性高分子に基づいて、例えば、ポリエチレン/ポリアミド、ポリエチレン/ポリアミド、ポリエチレンに基づいて作り出される。このフィルム12は、ポリアミド/ポリエチレンに基づく2層フィルムであるのが有利である。
【0061】
装飾層10はフィルム12に付着させられ、このフィルム12は多孔質の層5に付着させられる。この構成部品を車両の床に付着させられるマットとして使用する場合、このフィルム12は、水が多孔質の層5内に導入されるのを防止するための水密性を与える。
【0062】
一般に、多孔質のベース層3と組み合わされた、上記で説明したような流体密である高密度化された中間層2を備える本発明による防音構成部品は、従来技術で知られた双透過性型式の構成部品の防音性よりはるかに優れた、驚くほどに優秀な防音性を有する。
【0063】
上記で説明したように抵抗層4を追加することは、顕著に吸音を、そしてアセンブリの防音さえ驚くほどにさらに改善する。
例示として、図6および7は、図1に示すような本発明による隔壁用の3層構成部品に対する、図2に示すような本発明による隔壁用の4層構成部品に対する、ならびに従来技術の双透過性構成部品に対する、周波数Fの関数としての、dBでの減衰指数および拡散場αでの吸収係数の測定値を示す。
【0064】
本発明のそれらの実施形態では、多孔質の層1、5は、1200g/mの単位面積当たり質量と7mmの厚さを有するフェルトに基づいて作り出される。第2の多孔質の層3は、13mmの厚さを有するポリウレタン発泡体に基づいて作り出される。
【0065】
中間層2は実質的に1.5mmの厚さを有する。
従来技術の構成部品は、16mmの厚さを有するポリウレタン発泡体の層に接着接合された、1800g/mの密度と6mmの厚さを有する圧縮されたフェルトの多孔質の層を有する。
【0066】
図6および7を参照すると、線20は製造者によって求められる最小の規格であり、線22はより高い規格である。
線24は、従来技術の双透過性アセンブリに対応し、線26、28はそれぞれ図1の3層構成部品および図2の4層構成部品に対応する。
【0067】
図6を見れば分かるように、本発明による構成部品(線26、28)は、特に1600Hzより高い周波数範囲で、従来技術の構成部品(線24)に対して顕著に改善された防音性、ならびに図7に示すように、より良好な吸音性を驚くほどに有する。
【0068】
加えるに、抵抗層4を設けることは(線28)、400Hzの防音をさらに実質的に改善し、検討した周波数の全範囲にわたり吸音を顕著に増加させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の多孔質の層(1)と、開放気泡を有する第2の多孔質の層(3)と、それらの2つの多孔質の層の間に実際的に気密である中間層(2)とを備える種類の成型防音構成部品を生産する方法であって、
前記防音構成部品に所望される形状を有する鋳型空洞の壁部分上に、前記空洞全体を占有しない前記第1の多孔質の層(1)を設けるステップと、
前記空洞全体を占有しない前記第1の多孔質の層(1)上に、実際的に気密である前記中間層(2)を設けるステップと、
開放気泡を有する前記第2の多孔質の層(3)を形成するために、前記鋳型の前記空洞内に高分子発泡組成物を射出するステップとを含む種類の方法において、
前記実際的に気密の中間層(2)を前記第1の多孔質の層(1)上に設けるステップと前記第2の多孔質の層(3)を形成するために高分子組成物を射出するステップの前記2つのステップが、前記高分子発泡組成物のための単一の射出ステップで、前記高分子組成物が前記第1および第2の多孔質の層(1、3)のそれぞれより密度の高い前記実際的に気密の中間層(2)を、前記第1の層(1)の材料と共に、形成するような条件の下で、前記第1の層(1)と接触して同時に行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
射出後の前記中間層の厚さが、前記第1の多孔質の層の厚さの10%と20%の間にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間層(2)が、100g/mと1000g/mの間の単位面積当たりの質量を有することを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層(1)を設けるステップが、前記鋳型の壁上に多孔質の材料の層を位置決めするステップを含み、前記多孔質の材料がフェルトおよび発泡体層から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の多孔質の層が、200N.m−3.sと3500N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有する少なくとも1つの多孔質の層を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の層(1)の前記多孔質の材料が、多孔質の層(5)を備え、前記多孔質の層(5)の外側表面が、空気の通過に対してより大きな抵抗を有する層(4)を担持することを特徴とし、前記第1の層(1)を設ける前記ステップが、空気の通過に対してより大きな抵抗を有する前記層(4)が前記鋳型の前記壁に接触して位置決めされるように、前記多孔質の材料の前記層(1)を位置決めするステップを含むことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
空気の通過に対してより大きな抵抗を有する前記層(4)が、200N.m−3.sと2000N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記中間層(2)および前記第2の多孔質の層(3)が、前記第2の多孔質の層を形成するために射出される流体組成物が前記第1の多孔質の層の多孔質の構造体内に浸透するような方法で作り出されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1の多孔質の層(1)と、開放気泡を有する第2の多孔質の層(3)と、それらの2つの多孔質の層の間に実際的に気密である中間層(2)とを備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法を実施することによって生産することができる成型防音構成部品であって、前記中間層(2)が、前記2つの多孔質の層(1、3)の材料によってのみ構成されることを特徴とする、成型防音構成部品。
【請求項10】
前記中間層(2)の厚さが、前記第1の多孔質の層の厚さの10%と20%の間にあることを特徴とする、請求項9に記載の構成部品。
【請求項11】
前記中間層(2)が100g/mと1000g/mの間の単位面積当たりの質量を有することを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の構成部品。
【請求項12】
前記第1の多孔質の層が、多孔質の層(5)を備え、前記多孔質の層(5)の外側表面が、空気の通過に対してより大きな抵抗を有する層(4)を担持することを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の構成部品。
【請求項13】
空気の通過に対してより大きな抵抗を有する前記層(4)が、200N.m−3.sと2000N.m−3.sの間の空気の通過に対する抵抗を有することを特徴とする、請求項12に記載の構成部品。
【請求項14】
前記構成部品が、任意選択で薄い流体密のフィルム(12)が間に置かれた、前記第1の多孔質の層(1)上に設けられる装飾マット層(10)を備えることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載の構成部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−534148(P2010−534148A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517469(P2010−517469)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051402
【国際公開番号】WO2009/016321
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509088158)
【Fターム(参考)】