説明

成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体

【課題】オーバハング部分を生ぜしめることなく凹部の内壁面に十分な厚さのシード膜やバリヤ層等の薄膜を形成することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】真空引き可能になされた処理容器24内でプラズマにより金属ターゲット70をイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台34上に載置した表面に凹部2,4を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにした成膜方法において、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにする。これにより、オーバハング部分を生ぜしめることなく凹部の内壁面に十分な厚さのシード膜やバリヤ層等の薄膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法及びプラズマ成膜装置に係り、特に半導体ウエハ等の被処理体に形成されている凹部を埋め込む時に形成するバリヤ膜やシード膜の成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスを製造するには、半導体ウエハに成膜処理やパターンエッチング処理等の各種の処理を繰り返し行って所望のデバイスを製造するが、半導体デバイスの更なる高集積化及び高微細化の要請より、線幅やホール径が益々微細化されている。そして、配線材料や埋め込み材料としては、各種寸法の微細化により、より電気抵抗を小さくする必要から電気抵抗が非常に小さくて且つ安価である銅を用いる傾向にある(特許文献1、2、3、4)。そして、この配線材料や埋め込み材料として銅を用いる場合には、その下層との密着性等を考慮して、一般的にはタンタル金属膜(Ta)やタンタル窒化膜(TaN)等がバリヤ層として用いられる。
【0003】
そして、上記凹部内を埋め込むには、まずプラズマスパッタ装置内にて、上記バリヤ層がすでに形成されているこの凹部内の壁面全体を含むウエハ表面全面に銅膜よりなる薄いシード膜を形成し、次にウエハ表面全体に銅メッキ処理を施すことにより、凹部内を完全に埋め込むようになっている。その後、ウエハ表面の余分な銅薄膜やバリヤ層をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により研磨処理して取り除くようになっている。
【0004】
この点については図8乃至図10を参照して説明する。図8は半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図、図9は図8中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図、図10はオーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。図8は半導体ウエハWの表面に形成した絶縁層3に断面矩形状の横に長い溝(トレンチ)よりなる凹部2と、この溝状の凹部2の底部にビアホールやスルーホールのようなホール状の凹部4が形成されている状態を示し、ここでは2段の段部構造になっている。
【0005】
図示例ではホール状の凹部4の下部には、下層としての配線層6が形成されており、この凹部4を導電部材で埋め込むことにより導通が取られることになる。このような2段構造をDual Damascene構造と称す。尚、溝状の凹部2、或いはホール状の凹部4が単独で形成されている場合もある。これらの凹部2、4は、設計ルールの微細化に伴って幅や穴径が非常に小さくなっており、これに伴って埋め込み凹部の縦横の寸法比を示すアスペクト比は逆に大きくなって、例えば3〜4程度になっている。
【0006】
ここで図9を参照して、主にホール状の凹部4内を埋め込む方法について説明する。この半導体ウエハWの表面には上記凹部4内の内面も含めて略均一に例えばTaN膜及びTa膜の積層構造よりなるバリヤ層8が下地膜としてプラズマスパッタ装置にて予め形成されている(図9(A)参照)。そして、プラズマスパッタ装置にて上記凹部4内の表面を含むウエハ表面全体に亘って金属膜として薄い銅膜よりなるシード膜10を形成する(図9(B)参照)。このシード膜10をプラズマスパッタ装置内で形成する際、半導体ウエハ側に高周波電圧のバイアス電力を印加して、銅の金属イオンの引き込みを効率良く行うようになっている。
【0007】
ここで一般的に上記バリヤ層8の膜厚は10nm程度、シード膜10の膜厚は50〜80nm程度である。更に、上記ウエハ表面に銅メッキ処理を施すことにより上記凹部4内を例えば銅膜よりなる金属膜12で埋め込むようになっている。この時、上段の溝状の凹部2も銅メッキにより埋め込まれる。その後は、上記ウエハ表面の余分な金属膜12、シード膜10及びバリヤ層8を上記したCMP処理等を用いて研磨処理して取り除くことになる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−77365号公報
【特許文献2】特開平10−74760号公報
【特許文献3】特開平10−214836号公報
【特許文献4】特開2005−285820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、一般的にプラズマスパッタ装置内で成膜を行う場合、上述のように半導体ウエハ側にバイアス電力を印加して金属イオンの引き込みを促進させることによって、成膜レートを大きくするようになっている。この場合、バイアス電圧を過度に大きくすると、プラズマを発生させるために装置内に導入されているプラズマ励起用ガスである不活性ガス、例えばアルゴンガスのイオンによりウエハ表面がスパッタされて折角堆積した金属膜が削り取られてしまうので、上記バイアス電力はそれ程大きくは設定されていない。
【0010】
しかしながら、上記のように銅膜よりなるシード膜10を形成する場合、図9(B)に示すように、凹部4の上端の開口部におけるシード膜10の部分に、この開口を挟めるような形で突出したオーバハング部分14が発生してしまう。このため、その後にこの凹部4をメッキ等により銅膜よりなる金属膜12で埋め込んでも内部に十分にメッキ液が浸入しない場合が生じ、この内部が十分に埋まらずにボイド16が発生する場合がある、という問題があった。
【0011】
上記オーバハング部分14が形成される理由について、図10を参照して説明する。プラズマスパッタ時に飛散してくる金属(Cu)粒子には、プラズマによりイオン化された金属イオンの外に、中性粒子も存在し、上記金属イオンはバイアス電力に吸引されてウエハ面に指向性をもって略垂直方向上方から飛来して堆積するのに対して、中性金属粒子はウエハ面に対してあるゆる方向から飛来し、特に斜め方向から飛来してくる中性金属粒子C1が凹部4の上端の開口部の角部に多く付着する傾向となる。
【0012】
また開口部の角部に堆積した金属膜を金属粒子や金属イオンC2がスパッタした時に別の金属粒子C3が叩き出され、この叩き出された金属粒子C3が対向する角部に再度付着する場合がある。
更には、このシード膜の形成時には、堆積膜の表面拡散を抑制するためにウエハは冷却されているが、それでもある程度の表面拡散が生ずるのは避けられず、従って、表面拡散によって堆積膜の表面の金属粒子が移動する結果、開口部の角部に堆積した金属膜は表面拡散の時にその表面積が少なくなろうと球状に集まるので、曲面状に張り出しが生ずるように移動する。このように上述した各理由によりオーバハング部分14が形成されてしまう。
【0013】
そこで、上述したようなオーバハング部分14の形成を防止するためにシード膜10の膜厚を薄くすることも考えられるが、この場合には、金属イオンの指向性が高いことから、凹部4内の底部には十分な厚さのシード膜を形成することができても、凹部4内の側壁には部分的にシード膜がほとんど堆積しない部分が発生してしまったり、或いはシード膜の膜厚が非常に不均一になってしまう、といった問題が発生してしまう。このような問題は、シード膜のみならず、プラズマスパッタ装置を用いて例えばTa膜やTaN膜等よりなるバリヤ層を形成する際にも発生する。
そして、上記したような問題は、最近の線幅や穴径の更なる微細化傾向により、線幅や穴径が100nm以下の寸法になると顕著に現れてくるので、上記問題点の早期な解決が望まれている。
【0014】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、オーバハング部分を生ぜしめることなく凹部の内壁面に十分な厚さのシード膜やバリヤ層等の薄膜を形成することができる成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにした成膜方法において、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにしたことを特徴とする成膜方法である。
【0016】
このように、バイアス電力を、被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにしたので、スパッタが生じないので凹部の開口部にオーバハング部分を生ぜしめることがなく、しかも金属イオンの指向性が成膜途中で変化するので、凹部の底部は勿論のこと、凹部内の側壁部分にも略全面に亘って比較的均一に例えばシード膜やバリヤ層等の薄膜を形成することができる。
【0017】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を複数段階に亘って変化させる。
また例えば請求項3に規定するように、前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を直線状に変化させる。
また例えば請求項4に規定するように、前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を曲線状に変化させる。
また例えば請求項5に規定するように、前記凹部は、ホール又はトレンチ(溝)であり、その直径又は幅は100nm以下である。
【0018】
また例えば請求項6に規定するように、前記バイアス電力は0.29W/cm 以下である。
また例えば請求項7に規定するように、前記処理容器内の圧力は50mTorr(6.7Pa)以上である。
また例えば請求項8に規定するように、前記薄膜はバリヤ層、或いはメッキ用のシード膜である。
【0019】
請求項9に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにしたプラズマ成膜装置において、前記装置制御部は、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置である。
【0020】
請求項10に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の電源と、前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにしたプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるように制御するように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る成膜方法、成膜装置及び記憶媒体によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
バイアス電力を、被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにしたので、スパッタが生じないので凹部の開口部にオーバハング部分を生ぜしめることがなく、しかも金属イオンの指向性が成膜途中で変化するので、凹部の底部は勿論のこと、凹部内の側壁部分にも略全面に亘って比較的均一に例えばシード膜やバリヤ層等の薄膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る成膜方法、プラズマ成膜装置及び記憶媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。ここではプラズマ成膜装置としてICP(Inductively Coupled Plasma)型プラズマスパッタ装置を例にとって説明する。図示するように、このプラズマ成膜装置22は、例えばアルミニウム等により筒体状に成形された処理容器24を有している。この処理容器24は接地され、この底部26には排気口28が設けられて、圧力調整を行うスロットルバルブ30を介して真空ポンプ32により真空引き可能になされている。
【0023】
この処理容器24内には、例えばアルミニウムよりなる円板状の載置台34が設けられる。この載置台34は、載置台本体34Aと、この上面に設置される静電チャック34Bとよりなり、この静電チャック34B上に被処理体である半導体ウエハWを吸着して保持できるようになっている。この静電チャック34Bの上面側には、熱伝導ガスを流すガス溝36が形成されており、必要に応じてArガス等の熱伝導ガスをこのガス溝36に供給してウエハWと載置台34側との熱伝導性を向上できるようになっている。尚、この静電チャック34Bには、図示しない吸着用の直流電圧が必要に応じて印加される。この載置台34は、この下面の中心部より下方へ延びる支柱38により支持されており、この支柱38の下部は、上記容器底部26を貫通している。そして、この支柱38は、図示しない昇降機構により上下移動可能になされており、上記載置台34自体を昇降できるようにしている。
【0024】
上記支柱38を囲むようにして伸縮可能になされた蛇腹状の金属ベローズ40が設けられており、この金属ベローズ40は、その上端が上記載置台34の下面に気密に接合され、また下端が上記底部26の上面に気密に接合されており、処理容器24内の気密性を維持しつつ上記載置台34の昇降移動を許容できるようになっている。この載置台34の載置台本体34Aには、ウエハWを冷却する冷媒を流す冷媒循環路42が冷却手段として形成されており、この冷媒は支柱38内の図示しない流路を介して給排されている。
【0025】
また容器底部26には、これより上方に向けて例えば3本(図示例では2本のみ記す)の支持ピン46が起立させて設けられており、また、この支持ピン46に対応させて上記載置台34にピン挿通孔48が形成されている。従って、上記載置台34を降下させた際に、上記ピン挿通孔48を貫通した支持ピン46の上端部でウエハWを受けて、このウエハWを外部より侵入する図示しない搬送アームとの間で移載ができるようになっている。このため、処理容器24の下部側壁には、上記搬送アームを侵入させるために開閉可能になされたゲートバルブ50が設けられている。
【0026】
またこの載置台本体34A上に設けた上記静電チャック34Bには、配線52を介して例えば13.56MHzの高周波を発生する高周波電源よりなるバイアス電源54が接続されており、上記載置台34に対して所定のバイアス電力を印加できるようになっている。またこのバイアス電源54はその出力されるバイアス電力を必要に応じて可変的に制御できるようになっている。
【0027】
一方、上記処理容器24の天井部には、例えば酸化アルミニウム等の誘電体よりなる高周波に対して透過性のある透過板56がOリング等のシール部材58を介して気密に設けられている。そして、この透過板56の処理容器24内の処理空間60に例えばプラズマ励起用ガスとしてのArガスをプラズマ化してプラズマを発生するためのプラズマ発生源62が設けられる。尚、このプラズマ励起用ガスとして、Arに代えて他の不活性ガス、例えばHe、Ne等を用いてもよい。具体的には、上記プラズマ発生源62は、上記透過板56に対応させて設けた誘導コイル部64を有しており、この誘導コイル部64には、プラズマ発生用の例えば13.56MHzの高周波電源66が接続されて、上記透過板56を介して処理空間60に高周波を導入できるようになっている。ここで、この高周波電源66より出力されるプラズマ電力も必要に応じて制御できるようになっている。
【0028】
また上記透過板56の直下には、導入される高周波を拡散させる例えばアルミニウムよりなるバッフルプレート68が設けられる。そして、このバッフルプレート68の下部には、上記処理空間60の上部側方を囲むようにして例えば断面が内側に向けて傾斜されて環状(截頭円錐殻状)になされた金属ターゲット70が設けられており、この金属ターゲット70には放電用電力を供給するターゲット用の可変になされた直流電源72が接続されている。尚、この直流電源に代えて交流電源を用いてもよい。従って、この可変直流電源72から出力される直流電力も必要に応じて制御できるようになっている。ここでは金属ターゲット70として例えばタンタル金属や銅等が用いられ、これら金属はプラズマ中のArイオンにより金属原子、或いは金属原子団としてスパッタされると共に、プラズマ中を通過する際に多くはイオン化される。尚、タンタル金属はバリヤ層を形成する時に用いられ、銅はシード膜を形成する時に用いられる。
【0029】
またこの金属ターゲット70の下部には、上記処理空間60を囲むようにして例えばアルミニウムよりなる円筒状の保護カバー74が設けられており、この保護カバー74は接地されると共に、この下部は内側へ屈曲されて上記載置台34の側部近傍に位置されている。また処理容器24の底部には、この処理容器24内へ必要とされる所定のガスを導入するガス導入手段として例えばガス導入口76が設けられる。このガス導入口76からは、プラズマ励起用ガスとして例えばArガスや他の必要なガス例えばN ガス等が、ガス流量制御器、バルブ等よりなるガス制御部78を通して供給される。
【0030】
ここで成膜装置22の各構成部は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部80に接続されて制御される構成となっている。具体的には装置制御部80は、バイアス電源54、プラズマ発生用の高周波電源66、可変直流電源72、ガス制御部78、スロットルバルブ30、真空ポンプ32等の動作を制御し、本発明方法により薄膜を成膜する時に次のように動作する。
【0031】
まず装置制御部80の支配下で、真空ポンプ32を動作させることにより真空にされた処理容器24内に、ガス制御部78を動作させつつArガスを流し、スロットルバルブ30を制御して処理容器24内を所定の真空度に維持する。その後、可変直流電源72を介して直流電力を金属ターゲット70に印加し、更に高周波電源66を介して誘導コイル部64に高周波電力(プラズマ電力)を印加する。
【0032】
一方、装置制御部80はバイアス電源54にも指令を出し、載置台34に対して所定のバイアス電力を印加する。このように制御された処理容器24内においては、金属ターゲット70、誘導コイル部64に印加されたプラズマ電力によりアルゴンプラズマが形成されてアルゴンイオンが生成され、これらイオンは金属ターゲット70に衝突し、この金属ターゲット70がスパッタされて金属粒子が放出される。
【0033】
また、スパッタされた金属ターゲット70からの金属粒子である金属原子、金属原子団はプラズマ中を通る際に多くはイオン化される。ここで金属粒子は、イオン化された金属イオンと電気的に中性な中性金属原子とが混在する状態となって下方向へ飛散して行く。特に、この処理容器24内の圧力は、比較的高く設定されて、例えば50mTorr以上になされており、これによりプラズマ密度を高めて、金属粒子を高効率でイオン化できるようになっている。
【0034】
そして、金属イオンは、載置台34に印加されたバイアス電力により発生したウエハ面上の厚さ数mm程度のイオンシースの領域に入ると、強い指向性をもってウエハW側に加速するように引き付けられてウエハWに堆積する。このように、高指向性を持った金属イオンにより堆積された薄膜は、基本的には垂直形状のカバレッジを得ることが可能となる。
【0035】
後述するように、装置制御部80は、メッキ用のシード膜やバリヤ層を形成する際に、例えばバイアス電源54の出力が制限されて、ウエハ表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにして成膜を行う。ここで装置各構成部の制御は、装置制御部80により、所定の条件で金属膜の成膜が行われるように作成されたプログラムに基づいて制御されるようになっている。この際、例えばフロッピーディスク(登録商標)(FD)やコンパクトディスク(登録商標)(CD)、フラッシュメモリー、ハードディスク等の記憶媒体82に、各構成部の制御を行うための命令を含むプログラムを格納しておき、このプログラムに基づいて所定の条件で処理を行うように各構成部を制御させる。
【0036】
次に、以上のように構成されたプラズマ成膜装置22を用いて行われる本発明の成膜方法について説明する。
図2はバイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフ、図3は凹部のボトムカバレッジとバイアス電力との関係を示すグラフ、図4は凹部の側壁カバレッジとバイアス電力との関係を示すグラフ、図5は本発明方法により凹部の側壁全体に薄膜を形成する原理を説明するための説明図、図6は本発明方法のバイアス電力の変化の形態の一例を示す図である。
【0037】
本発明方法の特徴は、バイアス電源54から載置台34に印加するバイアス電力を、上記半導体ウエハWの表面がスパッタされない領域下において変化させるようにした点である。バイアス電力を増加して行くと、或るバイアス電力以上でArイオンによるウエハ表面への衝突が大きくなって、折角堆積していた薄膜が上記Arイオンの衝突によりスパッタ(リスパッタ)され始めることになる。このスパッタはバイアス電力が大きくなる程激しくなる。このArイオンによるスパッタは、先に図10を参照して説明したようなオーバハング部分14の発生原因となるので、本発明方法では、このオーバハング部分14の発生を防止するために上記Arイオンによるスパッタが開始する以前の領域にバイアス電力を設定し、しかも凹部の側壁の全領域に薄膜を堆積させるために、成膜中にバイアス電力を適切に変化させるように制御して金属イオンの指向性、すなわち金属イオンの角度分布を変化させるようにしている。以上の点について更に詳しく説明する。
【0038】
すなわち、図1に示すようなICP型スパッタ装置よりなる成膜装置では、ウエハW側に印加するバイアス電力とウエハ上面(凹部の側壁ではない)に堆積する成膜量との関係は図2に示すような関係となる。ここで横軸のワット数はターゲットの種類、ウエハサイズ等により異なり、図2での数値は例えばターゲットが銅であって、ウエハサイズが200mmの場合である。すなわち、一定のプラズマ電力及び金属ターゲット70への一定の直流電力を加えている状況において、バイアス電力がそれ程大きくない場合には、金属イオンの引き込み及び中性金属原子によって高い成膜量が得られ、しかも、バイアス電力の増加によって成膜量が漸増している。
【0039】
そして、バイアス電力が増加して或る程度の値、例えば100ワット程度(0.32W/cm )を越えると、ウエハ表面がバイアス電力により加速されたプラズマガスであるアルゴンイオンによりスパッタされ初め、このスパッタの傾向が次第に強くなり、この結果、折角、堆積した金属膜がエッチングされてしまう。このエッチングは当然のこととしてバイアス電力が大きくなる程、激しくなる。
【0040】
その後、バイアス電力が更に大きくなると、引き込まれる金属イオン及び中性金属原子による成膜レートとプラズマガスのイオンによるスパッタエッチングのエッチングレートとが同一になると、成膜とエッチングとが相殺されて、ウエハ上面の成膜量が”ゼロ”になるまで低下することになる。尚、図2中のバイアス電力や成膜量は単に一例を示したに過ぎず、プラズマ電力や直流電力を制御することによって、上記特性曲線は相似形状を保ったまま変動する。
【0041】
<凹部のボトムカバレッジの検討>
ここで図2中において、ウエハ表面が実質的にスパッタされない領域、すなわち、バイアス電力が100ワット以下の領域における凹部内底部の薄膜の堆積状況(ボトムカバレッジ)について検討する。このボトムカバレッジの結果は図3に示されており、凹部のアスペクト比(深さ/開口幅[径])は”4”である。またボトムカバレッジの定義は、図3に模式的に併記してあるように、”凹部内の底部の膜厚b/ウエハ上面の膜厚a”、すなわち”b/a”により表される。図3に示すように、バイアス電力を5ワット〜100ワットまで変化させると、ボトムカバレッジは68.7%から89.4%まで略直線的に増加している。従って、バイアス電力が100ワット以下の領域においても、凹部内の底部には十分な厚さで薄膜を堆積できることを、確認することができた。
【0042】
<凹部の側壁カバレッジの検討>
次に、図2中において、ウエハ表面が実質的にスパッタされない領域(バイアス電力が100ワット以下の領域)における凹部内の側壁の薄膜の堆積状況(側壁カバレッジ)について検討する。この側壁カバレッジの結果は図4に示されており、凹部のアスペクト比は”4”である。ここで凹部の幅は、共に90〜300nmの間で複数種類採用している。また側壁カバレッジの定義は、図4中に模式的に併記してあるように、凹部内の”側壁の薄膜d/ウエハ上面の膜厚a”、すなわち”d/a”により現される。ここで図4(A)は凹部内の高さ方向の中央部の側壁のカバレッジ(d1/a)を示し、図4(B)は凹部内の下部の側壁のカバレッジ(d2/a)を示している。また図4(A)上に併記してあるように、バイアス電力が小さい場合には金属イオンの角度分布θは大きくなって指向性が小さくなり、バイアス電力を大きくする程、金属イオンの角度分布θが小さくなって指向性が大きくなる。
【0043】
図4に示すように、バイアス電力に応じて、凹部の側壁の高さ方向の位置で成膜の状況が異なっている。すなわち、図4(A)に示すように、凹部内の高さ方向中央部の側壁では、バイアス電力が30ワットの付近で側壁カバレッジのピークがあり、ここを中心として左右に緩やかに側壁カバレッジが減少している。この理由は、バイアス電力が30ワット付近よりも大きくなると、金属イオンの角度分布θが小さくなり、この結果、高さ方向中央部の側壁への金属イオンの寄与が少なくなったからである。
【0044】
これに対して、図4(B)に示すように、凹部内の高さ方向の下部側壁では、バイアス電力の増加により側壁カバレッジも緩やかに増加しており、バイアス電力100ワットの時にピークとなっている。この理由は、バイアス電力の増加により金属イオンの角度分布θが次第に小さくなり、下部側壁への金属イオンの収集効率が増加したからである。
このように、金属イオンの角度分布θに応じて凹部の側壁の高さ方向において異なる位置に薄膜を集中させて堆積させることができ、この結果、成膜中にバイアス電力を適切に変化させるように制御することにより、凹部の側壁の全領域に亘って薄膜を堆積できることが判る。換言すれば、バイアス電力の大小によって金属イオンの角度分布θを制御でき、この結果、凹部内の側壁のカバレッジをコントロールすることができる。
【0045】
さて、以上のような現象を理解した上で、図5及び図6も参照して本発明に方法について説明する。
まず、図1において載置台34を下方へ降下させた状態で処理容器24のゲートバルブ50を介して真空引き可能になされた処理容器24内へウエハWを搬入し、これを支持ピン46上に支持させる。そして、この状態で載置台34を上昇させると、この上面にウエハWが受け渡され、このウエハWが静電チャック34Bにより載置台34の上面に吸着される。
【0046】
そして、載置台34上にウエハWを載置して吸着固定したならば、成膜処理を開始する。この時、ウエハWの上面には、図8及び図9において説明した構造と同じ構造の凹部2、4等が予め搬入前に前工程で形成されている。この上段の凹部2は、溝状のトレンチよりなり、この底部に下段の凹部4としてビアホールやスルホールのようなホールが配線層6に届くように形成されており、凹部全体として2段階の段部状になされている。図5では下段の凹部4のみを代表として示している。また、ウエハWの表面には、すでに前工程でバリヤ層が形成されているものとする(図5中では記載を省略)。
【0047】
前述したように、ここではCu膜よりなるシード膜を形成するために、金属ターゲット70としてここでは銅が用いられており、処理容器24内を所定の圧力に真空引きした後に、プラズマ発生源62の誘導コイル部64にプラズマ電力を印加し、且つバイアス電源54より所定のバイアス電力を載置台34の静電チャック34Bに印加する。更に金属ターゲット70には可変直流電源72より所定の直流電力を印加して成膜を行う。ここでは、Cu膜を形成するためにガス導入口76よりプラズマ励起用ガスである例えばArガスを処理容器24内に供給する。
【0048】
本発明方法でシード膜を形成するには、図6(A)に示すように、バイアス電力を複数段階、すなわちここでは2段階で変化させており、最初の工程(第1工程)ではバイアス電力を30ワットに設定して所定時間だけ成膜処理し、後の工程(第2工程)ではバイアス電力を100ワットに変化させて設定し、所定時間だけ成膜処理している。
この時の上記第1工程及び第2工程の凹部4の内壁面に対する成膜状況の模式図は図5に示されており、図5(A)は第1工程の時の成膜状況の模式図を示し、図5(B)は第2工程の時の成膜状況の模式図を示している。すなわち、図5(A)の場合には、先に図4(A)を参照して説明したように、凹部4内の下部側壁におけるシード膜10Aの成膜量が、他の側壁部分と比較してかなり少なくなっている。
【0049】
これに対して、図5(B)の場合には、先に図4(B)を参照して説明したように、凹部4内の下部側壁におけるシード膜10Bの成膜量はかなり多くなっている。
従って、上記図5(A)のシード膜10Aと図5(B)のシード膜10Bとを組み合わせることで、図5(C)に示すように、凹部4内の底部も含めて側壁面の略全体に亘って比較的均一に薄膜としてシード膜10を形成できることになる。尚、上記図6(A)に示す第1工程と第2工程の順序を逆にして処理を行ってもよい。
【0050】
この時のプロセス条件の一例は、プロセス圧力が75mTorr、ICP電力が5.25kW、直流電源が7.0kW、シード膜の膜厚は55nmである。
このように、金属イオンの角度分布に応じて凹部の側壁の高さ方向において異なる位置に薄膜を集中させて堆積させることができ、この結果、成膜中にバイアス電力を適切に変化させるように制御することにより、凹部の側壁の全領域に亘って薄膜を堆積できることが判る。
【0051】
また、上記バイアス電力の変化は、ウエハ表面が実質的にスパッタされない領域下で行っているので凹部4の開口部にオーバハング部分を生ずることもない。尚、既述したように、凹部4の開口部にオーバハング部分が形成される原因のうち、叩き出された金属粒子が対向する角部に再度付着することによるオーバハングを完全に防止するには、バイアス電力の値としては100Wより小さい、例えばこれの90%程度である90W(0.29W/cm )以下が好ましい。これは100Wにおいては図2に示すようにウエハ上面の成膜レートがピークを示しているが、すでにウエハ表面において微小なスパッタは発生していると考えられるからである。
【0052】
ここで上記図6(A)においては、バイアス電力を2段階でステップ状に変化させる場合を例にとって説明したが、これに限定されないのは勿論である。
具体的には、図6(B)に示すように、バイアス電力を複数段階、例えば5段階で変化させてもよいし、それ以外の3段階、4段階、或いは6段階以上に変化させてもよい。またこの階段状のバイアス電力の変化の形態を往復させるように変化させてもよい。
【0053】
更には、図6(C)に示すようにバイアス電力を直線状に増加、或いは減少するように変化させてもよい。また更にはバイアス電力を曲線状に変化させてもよく、例えば図6(D)に示すようにサイン曲線を描くように変化させてもよい。またバイアス電力が”ゼロ”ワットの場合も含めて成膜を行うようにしてもよい。いずれにしても、バイアス電力の変化の形態は、ウエハ表面のスパッタを生じない範囲内ならば、直線状、曲線状を折りまぜてどのように変化させてもよい。尚、上記シード膜の形成後は、先に説明したように、メッキ処理によりCuによる凹部の埋め込みが行われる。
【0054】
<バリヤ層の形成>
また、上記実施例では、薄膜としてCu膜よりなるシード膜を形成する場合を例にとって説明したが、前述したように、これに限定されず、Ta膜やTaN膜等よりなるバリヤ層をプラズマスパッタ装置により形成する場合にも本発明方法を適用することができる。この場合には、金属ターゲット70としてTaを用い、またTaN膜を形成する場合にはN ガスも導入する。
【0055】
ここで、本発明方法をTa膜よりなるバリヤ層の形成に適用した場合の評価を行ったので、その評価結果について説明する。図7は本発明方法をTa膜よりなるバリヤ層の形成に適用した時の状況を示すSEM写真である。ここでは比較のためにバイアス電力”0ワット”の場合も示しており、理解を容易にするために模式図を併記してある。
図7(A)は直径100nmのビアホールを示し、図7(B)は溝幅180nmのトレンチを示している。本発明方法のバイアス電力の変化の態様は、”90W×15sec+60W×15sec+30W×15sec+0W×15sec”である。またプロセス条件は、プロセス圧力が65mTorr、ICP電力が5.25kW、直流電源が2.0kW、目標膜厚が10nmである。
【0056】
またTa膜の成膜の有無の評価については、この膜厚が非常に薄くて成膜の有無の判断が困難であることから、Ta膜形成後にウエハを1%HF水溶液に浸し、Ta膜が形成されていない部分は露出しているSiO 絶縁膜がHF水溶液によって溶解することから、この溶解の有無を検出することによって成膜の有無の評価を行った。
図7(A)及び図7(B)に示すように、バイアス電力0ワットの従来方法の場合には、ビアホール及びトレンチ共に、側壁が不自然に拡大してSiO 絶縁膜が溶出しており、この部分にTa膜が十分に形成されていないのが判る。
【0057】
これに対して、バイアス電力を多段階に変化させた本発明方法の場合には、ビアホール及びトレンチの形状は、正常に維持されており、従って、凹部の内壁面の略全面に亘ってTa膜を形成できていることを確認することができた。
尚、ここでは薄膜としてCu膜、Ta膜を形成する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、プラズマスパッタ装置を用いて薄膜を形成する場合には、全て本発明方法を適用できるのは勿論である。例えばタングステン(W)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)等の金属、或いはこれらの各金属の合金を成膜する場合にも、本発明を適用することができる。
【0058】
更に、各高周波電源の周波数も13.56MHzに限定されるものではなく、他の周波数、例えば27.0MHz等を用いることもできる。またプラズマ用の不活性ガスとしてはArガスに限定されず、他の不活性ガス、例えばHeやNe等を用いてもよい。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るプラズマ成膜装置の一例を示す断面図である。
【図2】バイアス電力とウエハ上面の成膜量との関係を示すグラフである。
【図3】凹部のボトムカバレッジとバイアス電力との関係を示すグラフである。
【図4】凹部の側壁カバレッジとバイアス電力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明方法により凹部の側壁全体に薄膜を形成する原理を説明するための説明図である。
【図6】本発明方法のバイアス電力の変化の形態の一例を示す図である。
【図7】本発明方法をTa膜よりなるバリヤ層の形成に適用した時の状況を示すSEM写真である。
【図8】半導体ウエハの表面に形成された凹部の一例を示す断面斜視図である。
【図9】図8中の一部の凹部を埋め込むための従来の成膜方法を示す工程図である。
【図10】オーバハング部分が形成される状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0060】
2,4 凹部
22 プラズマ成膜装置
24 処理容器
34 載置台
54 バイアス電源
62 プラズマ発生源
72 ターゲット用の直流電源
74 誘導コイル部
70 金属ターゲット
80 装置制御部
82 記憶媒体
W 半導体ウエハ(被処理体)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き可能になされた処理容器内でプラズマにより金属ターゲットをイオン化させて金属イオンを発生させ、前記金属イオンを前記処理容器内の載置台上に載置した表面に凹部を有する被処理体へバイアス電力により引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにした成膜方法において、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を複数段階に亘って変化させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を直線状に変化させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項4】
前記バイアス電力の変化の形態は、前記バイアス電力を曲線状に変化させることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項5】
前記凹部は、ホール又はトレンチ(溝)であり、その直径又は幅は100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項6】
前記バイアス電力は0.29W/cm 以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項7】
前記処理容器内の圧力は50mTorr(6.7Pa)以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項8】
前記薄膜はバリヤ層、或いはメッキ用のシード膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項9】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにしたプラズマ成膜装置において、
前記装置制御部は、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるように制御することを特徴とするプラズマ成膜装置。
【請求項10】
真空引き可能になされた処理容器と、
表面に凹部の形成された被処理体を載置するための載置台と、
前記処理容器内へ所定のガスを導入するガス導入手段と、
前記処理容器内へプラズマを発生させるためのプラズマ発生源と、
前記処理容器内に設けられて前記プラズマによりイオン化されるべき金属ターゲットと、
前記金属ターゲットへ放電用電力を供給するターゲット用の電源と、
前記載置台に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、
装置全体の動作を制御する装置制御部とを有して、バイアス電力により金属イオンを引き込んで前記凹部内を含む前記被処理体の表面に薄膜を形成するようにしたプラズマ成膜装置を用いて成膜を行うに際して、
前記バイアス電力を、前記被処理体の表面が実質的にスパッタされない領域下にて変化させるように制御するように前記プラズマ成膜装置を制御するプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−291439(P2007−291439A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119773(P2006−119773)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】