成膜装置
【課題】厚みと組成の均一な膜を形成しやすい成膜装置を提供する。
【解決手段】大気圧下においてプラズマPを生成する。このプラズマPを被処理物Wの表面に膜原料を付着させて成膜する成膜装置Aに関する。前記膜原料を含有する成膜ガスCGを流通させる第1流路5。プラズマ生成ガスPGを流通させる第2流路9。前記プラズマ生成ガスCGに電界Eを印加してプラズマPを生成させるための電極3。前記第1流路5と前記第2流路9とを合流させるための合流部14。前記合流部14から前記膜原料を放出させるための放出口11とを備える。前記第1流路5から前記合流部14への前記成膜ガスCGの流入方向と、前記合流部14での前記プラズマPの流通方向とが略平行となるように前記第1流路5が前記第2流路9内に形成され、前記第1流路5から前記合流部14への前記成膜ガスCGの流入速度が、前記合流部14での前記プラズマPの流速よりも高速である。
【解決手段】大気圧下においてプラズマPを生成する。このプラズマPを被処理物Wの表面に膜原料を付着させて成膜する成膜装置Aに関する。前記膜原料を含有する成膜ガスCGを流通させる第1流路5。プラズマ生成ガスPGを流通させる第2流路9。前記プラズマ生成ガスCGに電界Eを印加してプラズマPを生成させるための電極3。前記第1流路5と前記第2流路9とを合流させるための合流部14。前記合流部14から前記膜原料を放出させるための放出口11とを備える。前記第1流路5から前記合流部14への前記成膜ガスCGの流入方向と、前記合流部14での前記プラズマPの流通方向とが略平行となるように前記第1流路5が前記第2流路9内に形成され、前記第1流路5から前記合流部14への前記成膜ガスCGの流入速度が、前記合流部14での前記プラズマPの流速よりも高速である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や高機能フィルム(例えば、反射防止フィルム、ガスバリアフィルム)を製造する際などに用いられる成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)により薄膜を形成することが行われている。例えば、特許文献1、2に記載されたプラズマ成膜装置は、膜の原料を含む第1ガスを流通させる第1流路と、膜の原料を含まない第2ガスを流通させる第2流路と、電極とを有するものである。そして、第2流路を流通する第2ガスに電圧を電極により印加して放電を発生させることにより第2ガスに活性種を生成し、第1流路を流通させた第1ガスと活性種を含む第2ガスとを合流させる。これにより、第1ガスの膜の原料を第2ガスの活性種で分解・反応させる。この後、合流して混合された第1ガスと第2ガスとを被処理物に吹き付けることにより、膜の原料を被処理物に堆積させる。このようにして被処理物の表面に薄膜を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−149919号公報
【特許文献2】特開2005−116901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のプラズマ成膜装置では、第1ガスの流通方向に対して第2ガスを略垂直な方向あるいは約45°斜め方向から流通させることにより、第1ガスと第2ガスとを合流させている。従って、第1ガスの流通方向が第2ガスとの合流により乱れ、被処理物に到達する膜の原料が不均一になりやすく、その結果、被処理物上での膜の厚みが不均一になり、均一な薄膜を形成するのが難しいという問題があった。さらに、第1ガスが第2ガス流れの周辺部から供給されるため、第1ガス中の活性種と第2ガスの反応が不均一になりやすく、その結果、組成も均一な薄膜を形成するのが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、厚みと組成の均一な膜を形成しやすい成膜装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成膜装置は、大気圧下においてプラズマを生成し、このプラズマを用いて被処理物の表面に膜原料を付着させて成膜するための成膜装置であって、前記膜原料を含有する成膜ガスを流通させるための第1流路と、プラズマ生成ガスを流通させるための第2流路と、前記プラズマ生成ガスに電界を印加して前記プラズマを生成させるための電極と、前記第1流路と前記第2流路とを合流させるための合流部と、前記合流部から前記膜原料を放出させるための放出口とを備え、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入方向と、前記合流部での前記プラズマの流通方向とが略平行となるように前記第1流路が前記第2流路内に形成され、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入速度が、前記合流部での前記プラズマの流速よりも高速であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明にあっては、前記電極により前記プラズマが生成される箇所をプラズマ生成部とし、前記第1流路と前記合流部との境界における前記第1流路の断面積が、前記プラズマ生成部に対応する第1流路の断面積よりも小さく形成されているのが好ましい。
【0008】
本発明にあっては、前記電極を複数個備え、これらの電極が前記第2流路を流通するプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に並設されているのが好ましい。
【0009】
本発明にあっては、前記第1流路を有する第1ノズルと前記第2流路を有する第2ノズルとを備え、前記第1ノズルは前記第2流路内に設けられ、前記第1ノズルと前記第2ノズルは前記第2流路におけるプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に相対的に移動自在に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明にあっては、前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方を他方に対して移動させるためのノズル移動部を備えているのが好ましい。
【0011】
本発明にあっては、前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記ノズル移動部による前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方の移動量を制御するための移動制御部を備えているのが好ましい。
【0012】
本発明にあっては、前記合流部に前記膜原料が放出される放出口が形成され、前記第1流路の合流位置における前記合流部の断面積よりも放出口の開口面積が小さく形成されているのが好ましい。
【0013】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積が可変自在に形成されているのが好ましい。
【0014】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えているのが好ましい。
【0015】
本発明にあっては、前記プラズマ検知部が、前記第2流路内で生成されたプラズマ又は前記放出口から放出されたプラズマの放射光を検知する光センサーであることが好ましい。
【0016】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記被処理物に形成された膜の状態を検知する膜検知部を有し、この膜検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えているのが好ましい。
【0017】
本発明にあっては、前記膜検知部が、前記被処理物に形成された膜の反射光あるいは透過光を検知する光センサーであることが好ましい。
【0018】
本発明にあっては、前記プラズマ検知部又は前記膜検知部の検知結果に基づいて、前記成膜ガスの供給量を制御する成膜ガス制御部を備えているのが好ましい。
【0019】
本発明にあっては、前記第2ノズルが円管を用いて形成されるのが好ましい。
【0020】
本発明にあっては、前記第2ノズルが角管を用いて形成されるのが好ましい。
【0021】
本発明にあっては、前記プラズマ生成用ガスの流通方向に対して最も下流側に配置した電極を接地するのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、厚みと組成の均一な膜を形成しやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図2】同上の第1ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図3】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図4】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図5】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図7】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図8】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図9】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図10】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図11】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図12】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図13】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図14】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
図1に成膜装置Aの一例を示す。この成膜装置Aは、第1ノズル1と、第2ノズル2と、電極3などを備えて形成されている。
【0026】
第1ノズル1は図2(a)に示すような円管や図2(b)に示すような角管などの管部材4を用いて形成されている。管部材4は高融点の絶縁材料(誘電体材料)で形成されており、絶縁材料としては石英、アルミナ、イットリア部分安定化ジルコニアなどのガラス質材料やセラミック材料などが用いられている。管部材4は略真直に形成されており、その内部の空間は略真直な第1流路5として形成されている。また、管部材4の下部には絞り部4aが一体に形成されている。図2(a)に示すように、管部材4が円管の場合、絞り部4aは上側(上流側)から下側(下流側)に向かって内径及び外径が徐々に小さくなるよう絞り込まれた形状(略円錐台形状の管状体)で形成されている。また、図2(b)に示すように、管部材4が幅方向に長い角管である場合、絞り部4aは短手方向の寸法が上側(上流側)から下側(下流側)に向かって徐々に小さくなるような形状に形成されている。そして、第1流路5の一端(上端)は管部材4の一端(上端)に導入口6として開口していると共に第1流路5の他端(下端)は管部材4の他端(下端)、すなわち絞り部4aの下端面に導出口7として開口している。
【0027】
第2ノズル2は第1ノズル1と同様に、図3(a)のような円管や図3(b)のような角管などの管部材8により形成されており、また、その材質も上記と同様の絶縁材料が用いられている。管部材8は略真直に形成されており、その内部の空間は略真直な第2流路9として形成されている。この第2流路9の一端は管部材8の一端(上端)に流入口10として開口していると共に第2流路9の他端は管部材8の他端(下端)に放出口11として開口している。第2ノズルの管部材8の内径は第1ノズル1の管部材4の外径よりも大きく形成されている。
【0028】
電極3は、銅、アルミニウム、真鍮、耐食性の高いステンレス鋼(SUS304など)などの導電性の金属材料で形成されている。また、電極3は環状に形成されているが、その内周形状は第2ノズル2の外周形状に合致させて形成されているのが好ましい。
【0029】
第1ノズル1は第2ノズル2の第2流路9に差し込んで設けられている。この場合、第1ノズル1と第2ノズル2はその軸方向(長手方向)が鉛直方向となるように配設されるのが好ましい。また、第1ノズル1の軸方向と第2ノズル2の軸方向とが同方向となるが、第1ノズル1の中心軸と第2ノズル2の中心軸とが一致するように第2流路9に第1ノズル1を設けるのが好ましい。また、電極3は第2ノズル2の外周に設けられる。電極3は複数設けることができ、例えば、一対の電極3を用いることができる。一対の電極3は所定の間隔を介して第2ノズル2の軸方向に並設することができる。電極3には電源12が接続されている。一対の電極3のうち、第2ノズル2の放出口11よりも遠い方の電極(上流側の電極)3に電源12が接続され、放出口11に近い方の電極(下流側の電極)3が接地されるのが好ましい。これにより、最も近い電極3と被処理物Wとの電位差を小さくすることができ、電極3から被処理物Wへのアーク放電の発生を抑えることができて被処理物Wの損傷をほとんど無いようにすることができる。
【0030】
そして、第2流路9において、電源12から電極3への電圧の印加により放電が発生し、プラズマが生成される部分がプラズマ生成部13として形成されている。すなわち、上流側の電極3の上流側端部3aと下流側の電極3の下流側端部3bとの間がプラズマ生成部13として形成することができる。また、第2流路9において、プラズマ生成部13の上流側端部と放出口11との間に第1ノズル1の導出口7が放出口11と対向して位置しており、導出口7と放出口11との間の第2流路9の一部が合流部14として形成されている。図1では、プラズマ生成部13の下流側端部よりも下流側に導出口7が位置している。第1ノズル1の下端部には上記のような絞り部4aが設けられているため、第1流路5と合流部14との境界Lにおける第1流路5の水平断面の断面積(すなわち、導出口7の開口面積)が、プラズマ生成部13に対応する(すなわち、プラズマ生成部13内に位置する)第1流路5の断面積よりも小さく形成され、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が高速となりやすいものである。
【0031】
また、第2ノズル2の上流側端部にはノズル保持部15が設けられている。ノズル保持部15は第1ノズル1と第2ノズル2とを位置決めするものであって、第2ノズル2の流入口10から突出する第1ノズル1の上流側端部が差し込まれている。また、ノズル保持部15には、流入口10を通じて第2流路9と連通する供給路16が形成されている。
【0032】
上記のように形成される成膜装置Aを用いて大気圧下で被処理物Wの表面に膜Cを形成するにあたっては、以下のようにして行う。尚、本明細書において「大気圧下」とは気圧が90〜107kPaの範囲をいう。
【0033】
まず、大気圧下において供給路16を通じて流入口10から第2流路9にプラズマ生成ガスPGを供給する。プラズマ生成ガスPGとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、水素などをそれぞれ単独であるいは混合して用いることができる。プラズマ生成ガスPGの供給量(流量)は特に限定はないが、0.1〜300リットル/分とすることができる。第2流路9に供給されたプラズマ生成ガスPGは、第2流路9(第1ノズル1の外面と第2ノズル2の内面との間の空間)を下に向かって流通してプラズマ生成部13にまで達し、この後、合流部14にまで到達する。このプラズマ生成ガスPGの流通方向は第1ノズル1や第2ノズル2の軸方向と略平行(略鉛直下向き)となっている。
【0034】
一方、一対の電極3の間には電源12により電圧が付与されてプラズマ生成部13に電界Eが印加される。電極3に印加される電圧の波形は正弦波などの連続波形とすることができ、その周波数は1kHz〜200MHzに設定するのが好ましい。また、電極3に印加される電圧の波形はパルス波形とすることができ、この場合、周波数は0.5kHz〜200MHzに設定するのが好ましい。電極3に印加される電圧は電極3間の距離やプラズマ生成ガスPGの組成等によって異なるが、電界強度が0.1kV〜30kV/mmの範囲になるように設定するのが好ましい。このようにプラズマ生成部13に電界を印加すると、大気圧下においてプラズマ生成部13にストリーマ放電などの放電が生じ、この放電によりプラズマ生成部13を流れるプラズマ生成ガスPGがプラズマPとなる。ここで、プラズマPとはイオンやラジカルや荷電粒子などの活性種を含むガスのことである。従って、プラズマ生成部13の下流にある合流部14には、活性種を含むガス、すなわちプラズマPが流入することになる。
【0035】
次に、大気圧下において第1ノズル1の導入口6から第1流路5に膜原料を含む成膜ガスCGを供給する。ここで、膜原料としてはシラン、有機シラン、金属元素含有ガス(例えば、シリコン、インジウム、アルミニウム、亜鉛などの金属元素を含有するガス)などをそれぞれ単独で用いたりあるいは複数種併用したりすることができる。また、成膜ガスCGは膜原料のガスのみで組成されたものや、膜原料(ガスか否かは問わない)とその他のガスとの混合ガスであっても良い。この場合、膜原料と混合するその他のガスとしては、酸素、水素、窒素、空気、アンモニア、窒素酸化物ガス、炭化水素ガスなどをそれぞれ単独で用いたりあるいは複数種併用したりすることができる。成膜ガスCGの供給量(流量)は、成膜の厚みや膜原料の種類や濃度などにより適宜設定可能であり、特に限定はないが、例えば、0.01〜30リットル/分とすることができる。第1流路5に供給された成膜ガスCGは、第1流路5を下に向かって流通し、導出口7を通じて合流部14に流入するが、この成膜ガスCGの流通方向は第1ノズル1や第2ノズル2の軸方向と略平行(略鉛直下向き)となっている。従って、プラズマPの合流部14での流通方向と、第一流路5の導出口7から合流部14への成膜ガスCGの流入方向とは略並行となるものである。尚、ここで「略平行」とは、プラズマPの合流部14での流通方向と、第一流路5の導出口7から合流部14への成膜ガスCGの流入方向とのなす角度が、0°以上で10°以下の範囲をいう。
【0036】
上記のようにして、プラズマPと成膜ガスCGの両方が合流部14に流入するが、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が、合流部14に流入したプラズマPの流速(プラズマ生成部13から合流部14へのプラズマPの流入速度)よりも高速になるように形成されている。ここで、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度は、合流部14に流入したプラズマPの流速の1倍より大きく 10倍以下にすることが好ましく、より好ましくは、1.1倍以上3倍以下である。成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が合流部14に流入したプラズマPの流速に対して上記の範囲であると、プラズマPの生成効率は低下しにくく、且つ、合流部14における成膜ガスCGのプラズマPとの反応効率も低下しにくくなり、成膜ガスCGとプラズマPとの反応に過不足が発生しにくくなるものである。
【0037】
また、成膜ガスCGの供給量を増加させて成膜ガスCGの流速を向上させることも考えられるが、本発明では、第1ノズル1に絞り部4aを設けることによって、絞り部4aを有さない真っ直ぐなノズルに比べて成膜ガスCGの流速を向上させるのが好ましい。この場合、第1流路5と合流部14との境界Lにおける第1流路5の水平断面の断面積(すなわち、導出口7の開口面積)が上記境界Lにおける合流部14の水平断面の断面積(導出口7の開口面積は除く)よりも小さく形成され、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が合流部14に流入したプラズマPの流速に対して高速となりやすい。
【0038】
このように成膜ガスCGの流量を増加させることなく、第1流路5から合流部14に噴出される成膜ガスCGの流速を大きくすることによって、合流部14における成膜ガスCGの滞在時間をプラズマPよりも短くすることができ、成膜ガスCGとプラズマPとの反応時間を調整することができ、厚みと組成の均一な膜を形成しやすくなるものである。尚、成膜ガスCGの流量を増加させれば、導出口7における成膜ガスCGの流速は大きくなるが、成膜ガスCGとプラズマPとの反応が不足する可能性がある。すなわち、成膜ガスCGの供給量を変えることなく、成膜ガスCGとプラズマPとの反応時間を調整することによって、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、プラズマPとの反応しやすい成膜ガスCG(具体的には、例えばヘキサメチルジシロキサンのようなガス)の場合、成膜ガスCGの流速を、合流部14におけるプラズマPの流速以上にすることで、成膜ガスCGをプラズマPと過剰に反応させず被処理物Wの表面まで搬送することができ、同時に第1ノズル1の導出口7に成膜ガスCGとプラズマPとの反応物の付着を抑制することができて、好ましい。
【0039】
このようにして合流部14に流入した成膜ガスCGとプラズマPとが混合しながら合流部14を下に向かって流れる。そして、この混合により、プラズマPに含まれている活性種が成膜ガスCG中の膜原料に作用し、膜原料の解離や結合反応が生じる。例えば、膜原料としてヘキサメチルジシロキサンを、プラズマ生成ガスPGとしてアルゴンと酸素混合ガスをそれぞれ用いた場合、放電により活性種の酸素ラジカルが生じ、この活性種により膜原料が酸化シリコンとなる。
【0040】
この後、膜原料を含む成膜ガスCG及びプラズマPの混合ガスが合流部14を下方に流れて放出口11から放出される。このとき、上記混合ガスは成膜ガスCG及びプラズマPの圧力等によりジェット状に吹き出すことができる。そして、大気圧下において上記混合ガスが放出口11の下流側に位置する被処理物Wに供給されることによって、混合ガス中の膜原料が被処理物Wの表面に付着し、堆積するなどして膜Cが形成されるものである。膜Cの膜厚は例えば、10nm〜100μmに形成することができる。ここで、被処理物Wを放出口11の下流側で混合ガスの吹き出し方向と直交する方向に搬送しながら成膜することができ、また、成膜装置Aを混合ガスの吹き出し方向と直交する方向に移動させながら成膜しても良い。また、被処理物Wと成膜装置Aとを相対的に移動させないで成膜しても良い。被処理物Wを搬送する場合、そのスピードは膜Cの厚みや膜原料の組成等により適宜設定可能である。尚、被処理物Wとしてはガラス板やガラス成形品、樹脂製のフィルムや成形品などを例示することができる。この場合、樹脂製の被処理物Wは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などで形成することができる。
【0041】
そして、上記の成膜装置Aでは、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とをほぼ並行にするので、成膜ガスCGの流れがプラズマPとの合流によって乱されにくくなるものである。さらに、成膜ガスCGは、プラズマPの内部に確実に投入されるため、成膜ガスCGとプラズマP中の活性種との反応が促進されるものである。従って、成膜ガスCGは導出口7から合流部14及び放出口11を通って被処理物Wにまで略直進するため、膜原料が被処理物Wに均一に到達しやすくなり、均一な厚みで均質な膜が形成されやすいものであり、また、膜原料を効率よくプラズマPと反応させやすくなって、膜組成の均質化を向上させることができるものである。また、成膜ガスCGには、第1流路5を流れながらプラズマ生成部13の箇所を通過する際に、プラズマPの熱が第1ノズル1を介して伝導することで加熱されることになる。従って、成膜ガスCGとプラズマPが合流しても急激な温度変化が起こりにくくすることができ、膜原料の均一な解離や反応が起こりやすくなるものである。この際、成膜ガスCGはプラズマPに直接曝されることなく加熱することができるので、プラズマ生成部13が膜原料によって汚染されることがない。さらに、上記の成膜装置Aでは、一対の電極3がプラズマ生成ガスPGの流通方向と略平行に並設されているため、プラズマ生成部13に印加される電界Eの方向もプラズマ生成ガスPGの流通方向と略平行となる。従って、プラズマ生成部13でのストリーマー放電が生じやすくなって、プラズマ生成ガスPGに効率よく活性種が生成されることになる。よって、膜原料の反応性が向上し、未反応の膜原料が混入するなどの膜質の低下が発生しにくくなるものである。ここで「略平行」とは、プラズマ生成ガスPGの流通方向と、プラズマ生成部13に印加される電界Eの方向とのなす角度が、0°以上で30°以下の範囲をいう。
【0042】
図4に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、第1ノズル1と第2ノズル2とが軸方向と平行な方向に相対的に移動自在に形成されている。この場合、第1ノズル1とノズル保持部15も完全に固定されていない。また、ノズル保持部15にはパッキン17が設けられており、第1ノズル1とパッキン17を密着させて供給部16からプラズマ生成ガスPGを漏れにくくしている。その他の構成及び成膜動作は図1のものと同様である。
【0043】
この成膜装置Aでは、第1ノズル1と第2ノズル2とを軸方向(成膜ガスCG及びプラズマ生成ガスPGの流通方向)と平行な方向に相対的に移動させることによって、第1ノズル1の軸方向(長手方向)における導出口7の位置を変えることができる。つまり、導出口7と放出口11との距離を変えて合流部14の長さを変更することができ、成膜ガスCGとプラズマPとが合流してから被処理物Wに到達するまでの時間や距離を変えることができる。従って、成膜ガスCGやプラズマ生成ガスPGの組成やプラズマPの状態に応じて最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。例えば、膜原料の解離や反応が起こりにくい場合は、合流部14を長くし、成膜ガスCGとプラズマ生成ガスPGの混合から膜原料が被処理物Wに到達するまでの時間を長くし、膜原料の解離や反応を充分に行うことができる。
【0044】
図5に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aは図4のものにおいて、ノズル移動部18を備えて形成されるものであり、その他の構成は図4のものと同様である。このノズル移動部18は、第1ノズル1を第2ノズル2に対して移動させるものであり、モータなどの駆動を発生させる駆動源19と、駆動源19で発生する駆動により移動する取付部20とで形成されている。取付部20は第1ノズル1の軸方向と略平行な方向に駆動されるものである。また、取付部20はノズル保持部15の上流側に突出する第1ノズル1の上流側端部に取り付けられている。
【0045】
この成膜装置Aでは図4のものに比べて機械的な駆動で第1ノズル1を第2ノズル2に対して移動させることができる。従って、例えば、ノズル移動部18により第1ノズル1を軸方向に振動させるなど、手動では行いにくい動作を容易に行うことができる。
【0046】
図6に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図5のものにおいて、プラズマ検知部21と移動制御部22とを設けたものであり、その他の構成は図5のものと同様である。プラズマ検知部21はプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するものである。プラズマ検知部21は例えば、一対の電極3の間において第1ノズル1の外面に当接させて設けることができる。このプラズマ検知部21は、例えば、プラズマからの放射光をとらえる光センサーを用いることができ、放電により生じるプラズマPの発光量や発光色などのプラズマPの状態を検知するものである。また、移動制御部22はプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいてノズル移動部18による第1ノズル1の移動量や移動方向を制御するものである。移動制御部22はマイクロコンピュータなどで形成することができ、ノズル移動部18の駆動源19に設けることができる。
【0047】
この成膜装置Aでは、プラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量等をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件となるように第1ノズル1を移動させることができるものである。例えば、プラズマPの発光量が少ない場合は、プラズマPの生成量が少ないと判断し、第1ノズル1を上流側に移動させて合流部14を長くしてプラズマPと成膜ガスCGの混合から被処理物Wに到達するまでの時間を長くすることができる。
【0048】
図7に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図5のものにおいて、管部材8の下流側端部に絞り部23を設けて第2ノズル2が形成されており、その他の構成は図5のものと同様である。絞り部23は管部材8の下流側端部に突出して管部材8と一体的に形成されており、図8(a)に示すように、管部材8が円管の場合は上流側から下流側に向かって内径が徐々に小さくなるような略円錐台形状の管状体で形成されている。また、図8(b)に示すように、第2ノズル2の管部材8が幅方向に長い角管である場合は、絞り部23は短手方向の寸法が上流側から下流側に向かって徐々に小さくなるように形成されている。また、管状体の絞り部23の下流側端面は放出口11として開口されており、絞り部23の上流側端部は第1流路5及び第2流路9と連通している。そして、第1ノズル1は管部材8の下流側端部とほぼ同じ高さに位置しており、絞り部23の内側空間が合流部14として形成されている。
【0049】
この成膜装置Aでは、図1のように、プラズマ生成部13と合流部14の断面積(軸方向と直交する方向の断面積)及び放出口11の開口面積とが同じ場合に比べて、絞り部23で成膜ガスCG及びプラズマPの流れを絞って放出口11からの流速を高めることができ、被処理物Wに供給される成膜ガスCGやプラズマPの圧力を高めることができ、効率よく膜Cを成膜することができるものである。尚、絞り部23を設けた場合であっても、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とは略平行な状態となっている。
【0050】
図9に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aは、図6のものにおいて、管部材8の下流側端部に開口可変部24を設けて第2ノズル2が形成されており、その他の構成は図6のものと同様である。開口可変部24は、基台25と可動板26及び可動板駆動部27とを備えて形成されている。
【0051】
基台25は平面視で方形状に形成されている。また、基台25には管部材8の下流側端部が差し込まれており、管部材8の下流側開口は基台25の下流側面(下面)で露出されている。可動板26は正面視で方形状に形成されており、複数枚の可動板26が基台25に設けられている。
【0052】
可動板26の上流側端部(上端)は管部材8の下流側開口の周囲において基台25の下流側面に回動軸28により枢着されている。従って、可動板26は管部材8の下流側開口に近接離間する方向で回動自在に形成されている。尚、図10(a)に示すように、円管の管部材8の場合は、基台25として平面視で略正方形のものを用いることができ、可動板26は正面視で略正方形のものを用いることができる。また、基台25の四辺と平行に回動軸28を配置して四枚の可動板26を設けることができる。一方、幅方向に長い角管の管部材8の場合は、図10(b)に示すように、基台25として管部材8の幅方向と同等の長さを有する平面視で略長方形のものを用いることができる。また、幅方向に長い角管の管部材8の場合も四辺と平行に回動軸28を配置して四枚の可動板26を設けることができる。この場合、一方の対向する可動板26a、26aは管部材8の幅方向と同等の長さを有する正面視で略長方形のものを用い、他方の対向する可動板26b、26bは正面視で略正方形のものを用いることができる。
【0053】
尚、図10(a)(b)の第2ノズル2において、可動板26を四枚とも回動自在に形成する必要はなく、対向する一対の可動板26を回動自在とし、その他の対向する可動板26は回動しないようにして固定板26cとして形成することもできる。この場合、固定板26cは回動軸28を用いずに基台25の下流側面に突出して設けることができる。また、図10(b)のものでは、管部材8の短手方向と略平行に配置した可動板26bを固定板26cとして形成することができる。
【0054】
可動板駆動部27は可動板26を回動駆動させるものであって、モータなどの駆動を発生させる駆動源29と、駆動源29で発生する駆動により移動する棒状の押圧部30とで形成されている。可動板駆動部27は各可動板26に対して一機ずつ設けられており、各可動板26の外側(管部材8と反対側)に配置されて基台25に取り付けられている。また、押圧部30の先端は可動板26の表面(管部材8側の面と反対側の面)に枢着により連結されている。押圧部30は第2ノズル2の軸方向と略直交する方向に駆動されるものであり、これにより、押圧部30で可動板26が回動するものである。
【0055】
この成膜装置Aでは、管部材8の下流側の可動板26で囲まれる空間が合流部14として形成されており、可動板26の下流側端部で囲まれる部分で放出口11が形成されている。そして、可動板駆動部27で可動板26を回動させることにより、対向する可動板26が近接離間することになり、合流部14の容積や放出部11の開口面積を変えることができる。従って、成膜ガスCG及びプラズマPの流れを絞って放出口11からの流速を大きくしたり、逆に、成膜ガスCG及びプラズマPの流れを広げて放出口11からの流速を小さくしたりして、膜Cを形成するのに最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。尚、開口可変部24を設けた場合であっても、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とは略平行な状態となっている。
【0056】
図11に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図9のものにおいて、可動板駆動部27に開口制御部31を設けて開口可変部24が形成されており、その他の構成は図9のものと同様である。この開口制御部31にはプラズマ検知部21によるプラズマPの状態の検知結果が入力されるように形成されている。
【0057】
この成膜装置Aでは、開口制御部31にプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、可動板駆動部27による可動板26の移動量や移動方向を制御することができる。このようにプラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第2ノズル2の放出口11の開口面積等をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【0058】
図12に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図11のものにおいて、成膜ガス制御部32を備えたものであり、その他の構成は図11のものと同様である。成膜ガス制御部32はプラズマ検知部21の検知結果に基づいて、成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量(流量)を制御するものである。このような成膜ガス制御部32としては、例えば、第1ノズル1に成膜ガスCGを供給するための配管33の途中に設けられる電磁弁等と、この電磁弁等を開閉制御するマイクロコンピュータなどとを備えて形成することができる。
【0059】
この成膜装置Aでは、成膜ガス制御部32にプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量(流量)を制御することができる。このようにプラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。例えば、プラズマPの発光量が多い場合は、プラズマPの生成量が多いと判断し、第1ノズル1に供給される成膜ガスCGの供給量を増加させることができる。
【0060】
図13に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図12のようにプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21の代わりに、放出口11の下流側に放出されたプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21を設けたものであり、その他の構成は図12のものと同様である。
【0061】
この成膜装置Aでは、ノズル移動部18の移動制御部22や開口可変部24の開口制御部31や成膜ガス制御部32に、プラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量を制御することができる。このようにプラズマ検知部21により放出部11の下流側におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、この成膜装置Aでは、成膜ガスCGとプラズマPとが混合した後の状態をプラズマ検知部21で検知するので、プラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知する場合に比べて、成膜ガスCGとプラズマPとの反応過程を直接検出することができ、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【0062】
図14に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図12のようにプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21の代わりに、被処理物Wの表面に形成された膜Cの状態を検知する膜検知部34を設けたものであり、その他の構成は図12のものと同様である。膜検知部34は膜Cからの反射光や透過光をとらえる光センサーなどを用いることができる。従って、膜検知部34は成膜された被処理物Wの上方や下方など、膜Cからの反射光や透過光が入力される位置にあればよい。また、膜Cの状態とは、膜Cの厚みや組成などである。
【0063】
この成膜装置Aでは、ノズル移動部18の移動制御部22や開口可変部24の開口制御部31や成膜ガス制御部32に、膜検知部34で検知された膜Cの状態が入力され、それに基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量を制御することができる。このように膜検知部34により膜Cの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知された膜Cの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、この成膜装置Aでは、膜Cの状態を直接検知するために、プラズマPの状態を検知して間接的に膜Cの状態を評価する場合に比べて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【符号の説明】
【0064】
A 成膜装置
C 膜
E 電界
P プラズマ
W 被処理物
CG 成膜ガス
PG プラズマ生成ガス
1 第1ノズル
2 第2ノズル
3 電極
5 第1流路
9 第2流路
11 放出口
13 プラズマ生成部
14 合流部
18 ノズル移動部
21 プラズマ検知部
22 移動制御部
24 開口可変部
31 開口制御部
32 成膜ガス制御部
34 膜検知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や高機能フィルム(例えば、反射防止フィルム、ガスバリアフィルム)を製造する際などに用いられる成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)により薄膜を形成することが行われている。例えば、特許文献1、2に記載されたプラズマ成膜装置は、膜の原料を含む第1ガスを流通させる第1流路と、膜の原料を含まない第2ガスを流通させる第2流路と、電極とを有するものである。そして、第2流路を流通する第2ガスに電圧を電極により印加して放電を発生させることにより第2ガスに活性種を生成し、第1流路を流通させた第1ガスと活性種を含む第2ガスとを合流させる。これにより、第1ガスの膜の原料を第2ガスの活性種で分解・反応させる。この後、合流して混合された第1ガスと第2ガスとを被処理物に吹き付けることにより、膜の原料を被処理物に堆積させる。このようにして被処理物の表面に薄膜を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−149919号公報
【特許文献2】特開2005−116901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のプラズマ成膜装置では、第1ガスの流通方向に対して第2ガスを略垂直な方向あるいは約45°斜め方向から流通させることにより、第1ガスと第2ガスとを合流させている。従って、第1ガスの流通方向が第2ガスとの合流により乱れ、被処理物に到達する膜の原料が不均一になりやすく、その結果、被処理物上での膜の厚みが不均一になり、均一な薄膜を形成するのが難しいという問題があった。さらに、第1ガスが第2ガス流れの周辺部から供給されるため、第1ガス中の活性種と第2ガスの反応が不均一になりやすく、その結果、組成も均一な薄膜を形成するのが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、厚みと組成の均一な膜を形成しやすい成膜装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成膜装置は、大気圧下においてプラズマを生成し、このプラズマを用いて被処理物の表面に膜原料を付着させて成膜するための成膜装置であって、前記膜原料を含有する成膜ガスを流通させるための第1流路と、プラズマ生成ガスを流通させるための第2流路と、前記プラズマ生成ガスに電界を印加して前記プラズマを生成させるための電極と、前記第1流路と前記第2流路とを合流させるための合流部と、前記合流部から前記膜原料を放出させるための放出口とを備え、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入方向と、前記合流部での前記プラズマの流通方向とが略平行となるように前記第1流路が前記第2流路内に形成され、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入速度が、前記合流部での前記プラズマの流速よりも高速であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明にあっては、前記電極により前記プラズマが生成される箇所をプラズマ生成部とし、前記第1流路と前記合流部との境界における前記第1流路の断面積が、前記プラズマ生成部に対応する第1流路の断面積よりも小さく形成されているのが好ましい。
【0008】
本発明にあっては、前記電極を複数個備え、これらの電極が前記第2流路を流通するプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に並設されているのが好ましい。
【0009】
本発明にあっては、前記第1流路を有する第1ノズルと前記第2流路を有する第2ノズルとを備え、前記第1ノズルは前記第2流路内に設けられ、前記第1ノズルと前記第2ノズルは前記第2流路におけるプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に相対的に移動自在に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明にあっては、前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方を他方に対して移動させるためのノズル移動部を備えているのが好ましい。
【0011】
本発明にあっては、前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記ノズル移動部による前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方の移動量を制御するための移動制御部を備えているのが好ましい。
【0012】
本発明にあっては、前記合流部に前記膜原料が放出される放出口が形成され、前記第1流路の合流位置における前記合流部の断面積よりも放出口の開口面積が小さく形成されているのが好ましい。
【0013】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積が可変自在に形成されているのが好ましい。
【0014】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えているのが好ましい。
【0015】
本発明にあっては、前記プラズマ検知部が、前記第2流路内で生成されたプラズマ又は前記放出口から放出されたプラズマの放射光を検知する光センサーであることが好ましい。
【0016】
本発明にあっては、前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記被処理物に形成された膜の状態を検知する膜検知部を有し、この膜検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えているのが好ましい。
【0017】
本発明にあっては、前記膜検知部が、前記被処理物に形成された膜の反射光あるいは透過光を検知する光センサーであることが好ましい。
【0018】
本発明にあっては、前記プラズマ検知部又は前記膜検知部の検知結果に基づいて、前記成膜ガスの供給量を制御する成膜ガス制御部を備えているのが好ましい。
【0019】
本発明にあっては、前記第2ノズルが円管を用いて形成されるのが好ましい。
【0020】
本発明にあっては、前記第2ノズルが角管を用いて形成されるのが好ましい。
【0021】
本発明にあっては、前記プラズマ生成用ガスの流通方向に対して最も下流側に配置した電極を接地するのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、厚みと組成の均一な膜を形成しやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図2】同上の第1ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図3】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図4】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図5】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図7】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図8】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図9】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図10】同上の第2ノズルの一例を示し、(a)(b)は斜視図である。
【図11】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図12】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図13】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【図14】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0025】
図1に成膜装置Aの一例を示す。この成膜装置Aは、第1ノズル1と、第2ノズル2と、電極3などを備えて形成されている。
【0026】
第1ノズル1は図2(a)に示すような円管や図2(b)に示すような角管などの管部材4を用いて形成されている。管部材4は高融点の絶縁材料(誘電体材料)で形成されており、絶縁材料としては石英、アルミナ、イットリア部分安定化ジルコニアなどのガラス質材料やセラミック材料などが用いられている。管部材4は略真直に形成されており、その内部の空間は略真直な第1流路5として形成されている。また、管部材4の下部には絞り部4aが一体に形成されている。図2(a)に示すように、管部材4が円管の場合、絞り部4aは上側(上流側)から下側(下流側)に向かって内径及び外径が徐々に小さくなるよう絞り込まれた形状(略円錐台形状の管状体)で形成されている。また、図2(b)に示すように、管部材4が幅方向に長い角管である場合、絞り部4aは短手方向の寸法が上側(上流側)から下側(下流側)に向かって徐々に小さくなるような形状に形成されている。そして、第1流路5の一端(上端)は管部材4の一端(上端)に導入口6として開口していると共に第1流路5の他端(下端)は管部材4の他端(下端)、すなわち絞り部4aの下端面に導出口7として開口している。
【0027】
第2ノズル2は第1ノズル1と同様に、図3(a)のような円管や図3(b)のような角管などの管部材8により形成されており、また、その材質も上記と同様の絶縁材料が用いられている。管部材8は略真直に形成されており、その内部の空間は略真直な第2流路9として形成されている。この第2流路9の一端は管部材8の一端(上端)に流入口10として開口していると共に第2流路9の他端は管部材8の他端(下端)に放出口11として開口している。第2ノズルの管部材8の内径は第1ノズル1の管部材4の外径よりも大きく形成されている。
【0028】
電極3は、銅、アルミニウム、真鍮、耐食性の高いステンレス鋼(SUS304など)などの導電性の金属材料で形成されている。また、電極3は環状に形成されているが、その内周形状は第2ノズル2の外周形状に合致させて形成されているのが好ましい。
【0029】
第1ノズル1は第2ノズル2の第2流路9に差し込んで設けられている。この場合、第1ノズル1と第2ノズル2はその軸方向(長手方向)が鉛直方向となるように配設されるのが好ましい。また、第1ノズル1の軸方向と第2ノズル2の軸方向とが同方向となるが、第1ノズル1の中心軸と第2ノズル2の中心軸とが一致するように第2流路9に第1ノズル1を設けるのが好ましい。また、電極3は第2ノズル2の外周に設けられる。電極3は複数設けることができ、例えば、一対の電極3を用いることができる。一対の電極3は所定の間隔を介して第2ノズル2の軸方向に並設することができる。電極3には電源12が接続されている。一対の電極3のうち、第2ノズル2の放出口11よりも遠い方の電極(上流側の電極)3に電源12が接続され、放出口11に近い方の電極(下流側の電極)3が接地されるのが好ましい。これにより、最も近い電極3と被処理物Wとの電位差を小さくすることができ、電極3から被処理物Wへのアーク放電の発生を抑えることができて被処理物Wの損傷をほとんど無いようにすることができる。
【0030】
そして、第2流路9において、電源12から電極3への電圧の印加により放電が発生し、プラズマが生成される部分がプラズマ生成部13として形成されている。すなわち、上流側の電極3の上流側端部3aと下流側の電極3の下流側端部3bとの間がプラズマ生成部13として形成することができる。また、第2流路9において、プラズマ生成部13の上流側端部と放出口11との間に第1ノズル1の導出口7が放出口11と対向して位置しており、導出口7と放出口11との間の第2流路9の一部が合流部14として形成されている。図1では、プラズマ生成部13の下流側端部よりも下流側に導出口7が位置している。第1ノズル1の下端部には上記のような絞り部4aが設けられているため、第1流路5と合流部14との境界Lにおける第1流路5の水平断面の断面積(すなわち、導出口7の開口面積)が、プラズマ生成部13に対応する(すなわち、プラズマ生成部13内に位置する)第1流路5の断面積よりも小さく形成され、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が高速となりやすいものである。
【0031】
また、第2ノズル2の上流側端部にはノズル保持部15が設けられている。ノズル保持部15は第1ノズル1と第2ノズル2とを位置決めするものであって、第2ノズル2の流入口10から突出する第1ノズル1の上流側端部が差し込まれている。また、ノズル保持部15には、流入口10を通じて第2流路9と連通する供給路16が形成されている。
【0032】
上記のように形成される成膜装置Aを用いて大気圧下で被処理物Wの表面に膜Cを形成するにあたっては、以下のようにして行う。尚、本明細書において「大気圧下」とは気圧が90〜107kPaの範囲をいう。
【0033】
まず、大気圧下において供給路16を通じて流入口10から第2流路9にプラズマ生成ガスPGを供給する。プラズマ生成ガスPGとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、水素などをそれぞれ単独であるいは混合して用いることができる。プラズマ生成ガスPGの供給量(流量)は特に限定はないが、0.1〜300リットル/分とすることができる。第2流路9に供給されたプラズマ生成ガスPGは、第2流路9(第1ノズル1の外面と第2ノズル2の内面との間の空間)を下に向かって流通してプラズマ生成部13にまで達し、この後、合流部14にまで到達する。このプラズマ生成ガスPGの流通方向は第1ノズル1や第2ノズル2の軸方向と略平行(略鉛直下向き)となっている。
【0034】
一方、一対の電極3の間には電源12により電圧が付与されてプラズマ生成部13に電界Eが印加される。電極3に印加される電圧の波形は正弦波などの連続波形とすることができ、その周波数は1kHz〜200MHzに設定するのが好ましい。また、電極3に印加される電圧の波形はパルス波形とすることができ、この場合、周波数は0.5kHz〜200MHzに設定するのが好ましい。電極3に印加される電圧は電極3間の距離やプラズマ生成ガスPGの組成等によって異なるが、電界強度が0.1kV〜30kV/mmの範囲になるように設定するのが好ましい。このようにプラズマ生成部13に電界を印加すると、大気圧下においてプラズマ生成部13にストリーマ放電などの放電が生じ、この放電によりプラズマ生成部13を流れるプラズマ生成ガスPGがプラズマPとなる。ここで、プラズマPとはイオンやラジカルや荷電粒子などの活性種を含むガスのことである。従って、プラズマ生成部13の下流にある合流部14には、活性種を含むガス、すなわちプラズマPが流入することになる。
【0035】
次に、大気圧下において第1ノズル1の導入口6から第1流路5に膜原料を含む成膜ガスCGを供給する。ここで、膜原料としてはシラン、有機シラン、金属元素含有ガス(例えば、シリコン、インジウム、アルミニウム、亜鉛などの金属元素を含有するガス)などをそれぞれ単独で用いたりあるいは複数種併用したりすることができる。また、成膜ガスCGは膜原料のガスのみで組成されたものや、膜原料(ガスか否かは問わない)とその他のガスとの混合ガスであっても良い。この場合、膜原料と混合するその他のガスとしては、酸素、水素、窒素、空気、アンモニア、窒素酸化物ガス、炭化水素ガスなどをそれぞれ単独で用いたりあるいは複数種併用したりすることができる。成膜ガスCGの供給量(流量)は、成膜の厚みや膜原料の種類や濃度などにより適宜設定可能であり、特に限定はないが、例えば、0.01〜30リットル/分とすることができる。第1流路5に供給された成膜ガスCGは、第1流路5を下に向かって流通し、導出口7を通じて合流部14に流入するが、この成膜ガスCGの流通方向は第1ノズル1や第2ノズル2の軸方向と略平行(略鉛直下向き)となっている。従って、プラズマPの合流部14での流通方向と、第一流路5の導出口7から合流部14への成膜ガスCGの流入方向とは略並行となるものである。尚、ここで「略平行」とは、プラズマPの合流部14での流通方向と、第一流路5の導出口7から合流部14への成膜ガスCGの流入方向とのなす角度が、0°以上で10°以下の範囲をいう。
【0036】
上記のようにして、プラズマPと成膜ガスCGの両方が合流部14に流入するが、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が、合流部14に流入したプラズマPの流速(プラズマ生成部13から合流部14へのプラズマPの流入速度)よりも高速になるように形成されている。ここで、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度は、合流部14に流入したプラズマPの流速の1倍より大きく 10倍以下にすることが好ましく、より好ましくは、1.1倍以上3倍以下である。成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が合流部14に流入したプラズマPの流速に対して上記の範囲であると、プラズマPの生成効率は低下しにくく、且つ、合流部14における成膜ガスCGのプラズマPとの反応効率も低下しにくくなり、成膜ガスCGとプラズマPとの反応に過不足が発生しにくくなるものである。
【0037】
また、成膜ガスCGの供給量を増加させて成膜ガスCGの流速を向上させることも考えられるが、本発明では、第1ノズル1に絞り部4aを設けることによって、絞り部4aを有さない真っ直ぐなノズルに比べて成膜ガスCGの流速を向上させるのが好ましい。この場合、第1流路5と合流部14との境界Lにおける第1流路5の水平断面の断面積(すなわち、導出口7の開口面積)が上記境界Lにおける合流部14の水平断面の断面積(導出口7の開口面積は除く)よりも小さく形成され、成膜ガスCGが第1流路5から合流部14に流入する際の流入速度が合流部14に流入したプラズマPの流速に対して高速となりやすい。
【0038】
このように成膜ガスCGの流量を増加させることなく、第1流路5から合流部14に噴出される成膜ガスCGの流速を大きくすることによって、合流部14における成膜ガスCGの滞在時間をプラズマPよりも短くすることができ、成膜ガスCGとプラズマPとの反応時間を調整することができ、厚みと組成の均一な膜を形成しやすくなるものである。尚、成膜ガスCGの流量を増加させれば、導出口7における成膜ガスCGの流速は大きくなるが、成膜ガスCGとプラズマPとの反応が不足する可能性がある。すなわち、成膜ガスCGの供給量を変えることなく、成膜ガスCGとプラズマPとの反応時間を調整することによって、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、プラズマPとの反応しやすい成膜ガスCG(具体的には、例えばヘキサメチルジシロキサンのようなガス)の場合、成膜ガスCGの流速を、合流部14におけるプラズマPの流速以上にすることで、成膜ガスCGをプラズマPと過剰に反応させず被処理物Wの表面まで搬送することができ、同時に第1ノズル1の導出口7に成膜ガスCGとプラズマPとの反応物の付着を抑制することができて、好ましい。
【0039】
このようにして合流部14に流入した成膜ガスCGとプラズマPとが混合しながら合流部14を下に向かって流れる。そして、この混合により、プラズマPに含まれている活性種が成膜ガスCG中の膜原料に作用し、膜原料の解離や結合反応が生じる。例えば、膜原料としてヘキサメチルジシロキサンを、プラズマ生成ガスPGとしてアルゴンと酸素混合ガスをそれぞれ用いた場合、放電により活性種の酸素ラジカルが生じ、この活性種により膜原料が酸化シリコンとなる。
【0040】
この後、膜原料を含む成膜ガスCG及びプラズマPの混合ガスが合流部14を下方に流れて放出口11から放出される。このとき、上記混合ガスは成膜ガスCG及びプラズマPの圧力等によりジェット状に吹き出すことができる。そして、大気圧下において上記混合ガスが放出口11の下流側に位置する被処理物Wに供給されることによって、混合ガス中の膜原料が被処理物Wの表面に付着し、堆積するなどして膜Cが形成されるものである。膜Cの膜厚は例えば、10nm〜100μmに形成することができる。ここで、被処理物Wを放出口11の下流側で混合ガスの吹き出し方向と直交する方向に搬送しながら成膜することができ、また、成膜装置Aを混合ガスの吹き出し方向と直交する方向に移動させながら成膜しても良い。また、被処理物Wと成膜装置Aとを相対的に移動させないで成膜しても良い。被処理物Wを搬送する場合、そのスピードは膜Cの厚みや膜原料の組成等により適宜設定可能である。尚、被処理物Wとしてはガラス板やガラス成形品、樹脂製のフィルムや成形品などを例示することができる。この場合、樹脂製の被処理物Wは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などで形成することができる。
【0041】
そして、上記の成膜装置Aでは、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とをほぼ並行にするので、成膜ガスCGの流れがプラズマPとの合流によって乱されにくくなるものである。さらに、成膜ガスCGは、プラズマPの内部に確実に投入されるため、成膜ガスCGとプラズマP中の活性種との反応が促進されるものである。従って、成膜ガスCGは導出口7から合流部14及び放出口11を通って被処理物Wにまで略直進するため、膜原料が被処理物Wに均一に到達しやすくなり、均一な厚みで均質な膜が形成されやすいものであり、また、膜原料を効率よくプラズマPと反応させやすくなって、膜組成の均質化を向上させることができるものである。また、成膜ガスCGには、第1流路5を流れながらプラズマ生成部13の箇所を通過する際に、プラズマPの熱が第1ノズル1を介して伝導することで加熱されることになる。従って、成膜ガスCGとプラズマPが合流しても急激な温度変化が起こりにくくすることができ、膜原料の均一な解離や反応が起こりやすくなるものである。この際、成膜ガスCGはプラズマPに直接曝されることなく加熱することができるので、プラズマ生成部13が膜原料によって汚染されることがない。さらに、上記の成膜装置Aでは、一対の電極3がプラズマ生成ガスPGの流通方向と略平行に並設されているため、プラズマ生成部13に印加される電界Eの方向もプラズマ生成ガスPGの流通方向と略平行となる。従って、プラズマ生成部13でのストリーマー放電が生じやすくなって、プラズマ生成ガスPGに効率よく活性種が生成されることになる。よって、膜原料の反応性が向上し、未反応の膜原料が混入するなどの膜質の低下が発生しにくくなるものである。ここで「略平行」とは、プラズマ生成ガスPGの流通方向と、プラズマ生成部13に印加される電界Eの方向とのなす角度が、0°以上で30°以下の範囲をいう。
【0042】
図4に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、第1ノズル1と第2ノズル2とが軸方向と平行な方向に相対的に移動自在に形成されている。この場合、第1ノズル1とノズル保持部15も完全に固定されていない。また、ノズル保持部15にはパッキン17が設けられており、第1ノズル1とパッキン17を密着させて供給部16からプラズマ生成ガスPGを漏れにくくしている。その他の構成及び成膜動作は図1のものと同様である。
【0043】
この成膜装置Aでは、第1ノズル1と第2ノズル2とを軸方向(成膜ガスCG及びプラズマ生成ガスPGの流通方向)と平行な方向に相対的に移動させることによって、第1ノズル1の軸方向(長手方向)における導出口7の位置を変えることができる。つまり、導出口7と放出口11との距離を変えて合流部14の長さを変更することができ、成膜ガスCGとプラズマPとが合流してから被処理物Wに到達するまでの時間や距離を変えることができる。従って、成膜ガスCGやプラズマ生成ガスPGの組成やプラズマPの状態に応じて最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。例えば、膜原料の解離や反応が起こりにくい場合は、合流部14を長くし、成膜ガスCGとプラズマ生成ガスPGの混合から膜原料が被処理物Wに到達するまでの時間を長くし、膜原料の解離や反応を充分に行うことができる。
【0044】
図5に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aは図4のものにおいて、ノズル移動部18を備えて形成されるものであり、その他の構成は図4のものと同様である。このノズル移動部18は、第1ノズル1を第2ノズル2に対して移動させるものであり、モータなどの駆動を発生させる駆動源19と、駆動源19で発生する駆動により移動する取付部20とで形成されている。取付部20は第1ノズル1の軸方向と略平行な方向に駆動されるものである。また、取付部20はノズル保持部15の上流側に突出する第1ノズル1の上流側端部に取り付けられている。
【0045】
この成膜装置Aでは図4のものに比べて機械的な駆動で第1ノズル1を第2ノズル2に対して移動させることができる。従って、例えば、ノズル移動部18により第1ノズル1を軸方向に振動させるなど、手動では行いにくい動作を容易に行うことができる。
【0046】
図6に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図5のものにおいて、プラズマ検知部21と移動制御部22とを設けたものであり、その他の構成は図5のものと同様である。プラズマ検知部21はプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するものである。プラズマ検知部21は例えば、一対の電極3の間において第1ノズル1の外面に当接させて設けることができる。このプラズマ検知部21は、例えば、プラズマからの放射光をとらえる光センサーを用いることができ、放電により生じるプラズマPの発光量や発光色などのプラズマPの状態を検知するものである。また、移動制御部22はプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいてノズル移動部18による第1ノズル1の移動量や移動方向を制御するものである。移動制御部22はマイクロコンピュータなどで形成することができ、ノズル移動部18の駆動源19に設けることができる。
【0047】
この成膜装置Aでは、プラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量等をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件となるように第1ノズル1を移動させることができるものである。例えば、プラズマPの発光量が少ない場合は、プラズマPの生成量が少ないと判断し、第1ノズル1を上流側に移動させて合流部14を長くしてプラズマPと成膜ガスCGの混合から被処理物Wに到達するまでの時間を長くすることができる。
【0048】
図7に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図5のものにおいて、管部材8の下流側端部に絞り部23を設けて第2ノズル2が形成されており、その他の構成は図5のものと同様である。絞り部23は管部材8の下流側端部に突出して管部材8と一体的に形成されており、図8(a)に示すように、管部材8が円管の場合は上流側から下流側に向かって内径が徐々に小さくなるような略円錐台形状の管状体で形成されている。また、図8(b)に示すように、第2ノズル2の管部材8が幅方向に長い角管である場合は、絞り部23は短手方向の寸法が上流側から下流側に向かって徐々に小さくなるように形成されている。また、管状体の絞り部23の下流側端面は放出口11として開口されており、絞り部23の上流側端部は第1流路5及び第2流路9と連通している。そして、第1ノズル1は管部材8の下流側端部とほぼ同じ高さに位置しており、絞り部23の内側空間が合流部14として形成されている。
【0049】
この成膜装置Aでは、図1のように、プラズマ生成部13と合流部14の断面積(軸方向と直交する方向の断面積)及び放出口11の開口面積とが同じ場合に比べて、絞り部23で成膜ガスCG及びプラズマPの流れを絞って放出口11からの流速を高めることができ、被処理物Wに供給される成膜ガスCGやプラズマPの圧力を高めることができ、効率よく膜Cを成膜することができるものである。尚、絞り部23を設けた場合であっても、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とは略平行な状態となっている。
【0050】
図9に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aは、図6のものにおいて、管部材8の下流側端部に開口可変部24を設けて第2ノズル2が形成されており、その他の構成は図6のものと同様である。開口可変部24は、基台25と可動板26及び可動板駆動部27とを備えて形成されている。
【0051】
基台25は平面視で方形状に形成されている。また、基台25には管部材8の下流側端部が差し込まれており、管部材8の下流側開口は基台25の下流側面(下面)で露出されている。可動板26は正面視で方形状に形成されており、複数枚の可動板26が基台25に設けられている。
【0052】
可動板26の上流側端部(上端)は管部材8の下流側開口の周囲において基台25の下流側面に回動軸28により枢着されている。従って、可動板26は管部材8の下流側開口に近接離間する方向で回動自在に形成されている。尚、図10(a)に示すように、円管の管部材8の場合は、基台25として平面視で略正方形のものを用いることができ、可動板26は正面視で略正方形のものを用いることができる。また、基台25の四辺と平行に回動軸28を配置して四枚の可動板26を設けることができる。一方、幅方向に長い角管の管部材8の場合は、図10(b)に示すように、基台25として管部材8の幅方向と同等の長さを有する平面視で略長方形のものを用いることができる。また、幅方向に長い角管の管部材8の場合も四辺と平行に回動軸28を配置して四枚の可動板26を設けることができる。この場合、一方の対向する可動板26a、26aは管部材8の幅方向と同等の長さを有する正面視で略長方形のものを用い、他方の対向する可動板26b、26bは正面視で略正方形のものを用いることができる。
【0053】
尚、図10(a)(b)の第2ノズル2において、可動板26を四枚とも回動自在に形成する必要はなく、対向する一対の可動板26を回動自在とし、その他の対向する可動板26は回動しないようにして固定板26cとして形成することもできる。この場合、固定板26cは回動軸28を用いずに基台25の下流側面に突出して設けることができる。また、図10(b)のものでは、管部材8の短手方向と略平行に配置した可動板26bを固定板26cとして形成することができる。
【0054】
可動板駆動部27は可動板26を回動駆動させるものであって、モータなどの駆動を発生させる駆動源29と、駆動源29で発生する駆動により移動する棒状の押圧部30とで形成されている。可動板駆動部27は各可動板26に対して一機ずつ設けられており、各可動板26の外側(管部材8と反対側)に配置されて基台25に取り付けられている。また、押圧部30の先端は可動板26の表面(管部材8側の面と反対側の面)に枢着により連結されている。押圧部30は第2ノズル2の軸方向と略直交する方向に駆動されるものであり、これにより、押圧部30で可動板26が回動するものである。
【0055】
この成膜装置Aでは、管部材8の下流側の可動板26で囲まれる空間が合流部14として形成されており、可動板26の下流側端部で囲まれる部分で放出口11が形成されている。そして、可動板駆動部27で可動板26を回動させることにより、対向する可動板26が近接離間することになり、合流部14の容積や放出部11の開口面積を変えることができる。従って、成膜ガスCG及びプラズマPの流れを絞って放出口11からの流速を大きくしたり、逆に、成膜ガスCG及びプラズマPの流れを広げて放出口11からの流速を小さくしたりして、膜Cを形成するのに最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。尚、開口可変部24を設けた場合であっても、成膜ガスCGの合流部14への流入方向と、合流部14におけるプラズマPの流通方向とは略平行な状態となっている。
【0056】
図11に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図9のものにおいて、可動板駆動部27に開口制御部31を設けて開口可変部24が形成されており、その他の構成は図9のものと同様である。この開口制御部31にはプラズマ検知部21によるプラズマPの状態の検知結果が入力されるように形成されている。
【0057】
この成膜装置Aでは、開口制御部31にプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、可動板駆動部27による可動板26の移動量や移動方向を制御することができる。このようにプラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第2ノズル2の放出口11の開口面積等をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【0058】
図12に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図11のものにおいて、成膜ガス制御部32を備えたものであり、その他の構成は図11のものと同様である。成膜ガス制御部32はプラズマ検知部21の検知結果に基づいて、成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量(流量)を制御するものである。このような成膜ガス制御部32としては、例えば、第1ノズル1に成膜ガスCGを供給するための配管33の途中に設けられる電磁弁等と、この電磁弁等を開閉制御するマイクロコンピュータなどとを備えて形成することができる。
【0059】
この成膜装置Aでは、成膜ガス制御部32にプラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量(流量)を制御することができる。このようにプラズマ検知部21によりプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。例えば、プラズマPの発光量が多い場合は、プラズマPの生成量が多いと判断し、第1ノズル1に供給される成膜ガスCGの供給量を増加させることができる。
【0060】
図13に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図12のようにプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21の代わりに、放出口11の下流側に放出されたプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21を設けたものであり、その他の構成は図12のものと同様である。
【0061】
この成膜装置Aでは、ノズル移動部18の移動制御部22や開口可変部24の開口制御部31や成膜ガス制御部32に、プラズマ検知部21で検知されたプラズマPの状態が入力され、それに基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量を制御することができる。このようにプラズマ検知部21により放出部11の下流側におけるプラズマPの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知されたプラズマPの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、この成膜装置Aでは、成膜ガスCGとプラズマPとが混合した後の状態をプラズマ検知部21で検知するので、プラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知する場合に比べて、成膜ガスCGとプラズマPとの反応過程を直接検出することができ、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【0062】
図14に成膜装置Aの他例を示す。この成膜装置Aでは、図12のようにプラズマ生成部13におけるプラズマPの状態を検知するプラズマ検知部21の代わりに、被処理物Wの表面に形成された膜Cの状態を検知する膜検知部34を設けたものであり、その他の構成は図12のものと同様である。膜検知部34は膜Cからの反射光や透過光をとらえる光センサーなどを用いることができる。従って、膜検知部34は成膜された被処理物Wの上方や下方など、膜Cからの反射光や透過光が入力される位置にあればよい。また、膜Cの状態とは、膜Cの厚みや組成などである。
【0063】
この成膜装置Aでは、ノズル移動部18の移動制御部22や開口可変部24の開口制御部31や成膜ガス制御部32に、膜検知部34で検知された膜Cの状態が入力され、それに基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や成膜ガスCGの第1ノズル1への供給量を制御することができる。このように膜検知部34により膜Cの状態を検知し、この検知結果に基づいて、第1ノズル1の移動量や放出口11の開口面積や第1ノズル1への成膜ガスCGの供給量をフィードバック制御するために、検知された膜Cの状態に応じて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。特に、この成膜装置Aでは、膜Cの状態を直接検知するために、プラズマPの状態を検知して間接的に膜Cの状態を評価する場合に比べて、より最適な成膜条件を設定しやすくなるものである。
【符号の説明】
【0064】
A 成膜装置
C 膜
E 電界
P プラズマ
W 被処理物
CG 成膜ガス
PG プラズマ生成ガス
1 第1ノズル
2 第2ノズル
3 電極
5 第1流路
9 第2流路
11 放出口
13 プラズマ生成部
14 合流部
18 ノズル移動部
21 プラズマ検知部
22 移動制御部
24 開口可変部
31 開口制御部
32 成膜ガス制御部
34 膜検知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧下においてプラズマを生成し、このプラズマを用いて被処理物の表面に膜原料を付着させて成膜するための成膜装置であって、前記膜原料を含有する成膜ガスを流通させるための第1流路と、プラズマ生成ガスを流通させるための第2流路と、前記プラズマ生成ガスに電界を印加して前記プラズマを生成させるための電極と、前記第1流路と前記第2流路とを合流させるための合流部と、前記合流部から前記膜原料を放出させるための放出口とを備え、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入方向と、前記合流部での前記プラズマの流通方向とが略平行となるように前記第1流路が前記第2流路内に形成され、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入速度が、前記合流部での前記プラズマの流速よりも高速であることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記電極により前記プラズマが生成される箇所をプラズマ生成部とし、前記第1流路と前記合流部との境界における前記第1流路の断面積が、前記プラズマ生成部における第1流路の断面積よりも小さく形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記電極を複数個備え、これらの電極が前記第2流路を流通するプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に並設されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第1流路を有する第1ノズルと前記第2流路を有する第2ノズルとを備え、前記第1ノズルは前記第2流路内に設けられ、前記第1ノズルと前記第2ノズルは前記第2流路におけるプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に相対的に移動自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方を他方に対して移動させるためのノズル移動部を備えて成ることを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記ノズル移動部による前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方の移動量を制御するための移動制御部を備えて成ることを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記第1流路の合流位置における前記合流部の断面積よりも放出口の開口面積が小さく形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記放出口の開口面積が可変自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えて成ることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記プラズマ検知部が、前記第2流路内で生成されたプラズマ又は前記放出口から放出されたプラズマの放射光を検知する光センサーであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記被処理物に形成された膜の状態を検知する膜検知部を有し、この膜検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えて成ることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
【請求項12】
前記膜検知部が、前記被処理物に形成された膜の反射光あるいは透過光を検知する光センサーであることを特徴とする請求項11に記載の成膜装置。
【請求項13】
前記プラズマ検知部又は前記膜検知部の検知結果に基づいて、前記成膜ガスの供給量を制御する成膜ガス制御部を備えて成ることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項14】
前記第2ノズルが円管を用いて形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項15】
前記第2ノズルが角管を用いて形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項16】
前記プラズマ生成用ガスの流通方向に対して最も下流側に配置した電極を接地して成ることを特徴とする請求項3乃至15のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項1】
大気圧下においてプラズマを生成し、このプラズマを用いて被処理物の表面に膜原料を付着させて成膜するための成膜装置であって、前記膜原料を含有する成膜ガスを流通させるための第1流路と、プラズマ生成ガスを流通させるための第2流路と、前記プラズマ生成ガスに電界を印加して前記プラズマを生成させるための電極と、前記第1流路と前記第2流路とを合流させるための合流部と、前記合流部から前記膜原料を放出させるための放出口とを備え、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入方向と、前記合流部での前記プラズマの流通方向とが略平行となるように前記第1流路が前記第2流路内に形成され、前記第1流路から前記合流部への前記成膜ガスの流入速度が、前記合流部での前記プラズマの流速よりも高速であることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記電極により前記プラズマが生成される箇所をプラズマ生成部とし、前記第1流路と前記合流部との境界における前記第1流路の断面積が、前記プラズマ生成部における第1流路の断面積よりも小さく形成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記電極を複数個備え、これらの電極が前記第2流路を流通するプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に並設されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第1流路を有する第1ノズルと前記第2流路を有する第2ノズルとを備え、前記第1ノズルは前記第2流路内に設けられ、前記第1ノズルと前記第2ノズルは前記第2流路におけるプラズマ生成ガスの流通方向と略平行な方向に相対的に移動自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方を他方に対して移動させるためのノズル移動部を備えて成ることを特徴とする請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記ノズル移動部による前記第1ノズルと前記第2ノズルの少なくとも一方の移動量を制御するための移動制御部を備えて成ることを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記第1流路の合流位置における前記合流部の断面積よりも放出口の開口面積が小さく形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記放出口の開口面積が可変自在に形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記プラズマの状態を検知するプラズマ検知部を有し、このプラズマ検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えて成ることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記プラズマ検知部が、前記第2流路内で生成されたプラズマ又は前記放出口から放出されたプラズマの放射光を検知する光センサーであることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記放出口の開口面積を可変にするための開口可変部を備えると共に前記被処理物に形成された膜の状態を検知する膜検知部を有し、この膜検知部の検知結果に基づいて前記開口可変部による前記開口面積の可変量を制御する開口制御部を備えて成ることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
【請求項12】
前記膜検知部が、前記被処理物に形成された膜の反射光あるいは透過光を検知する光センサーであることを特徴とする請求項11に記載の成膜装置。
【請求項13】
前記プラズマ検知部又は前記膜検知部の検知結果に基づいて、前記成膜ガスの供給量を制御する成膜ガス制御部を備えて成ることを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項14】
前記第2ノズルが円管を用いて形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項15】
前記第2ノズルが角管を用いて形成されて成ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項16】
前記プラズマ生成用ガスの流通方向に対して最も下流側に配置した電極を接地して成ることを特徴とする請求項3乃至15のいずれか一項に記載の成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−1926(P2013−1926A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132432(P2011−132432)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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