説明

振動デバイスおよび電子機器

【課題】歪みによる振動素子の特性の低下を防止しつつ、小型化を図ることのできる振動デバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】振動デバイス1は、内側に収納空間4aを有するパッケージ4と、収納空間4aに収納されたジャイロ素子2およびICチップ3と、を有している。パッケージ4は、ICチップ3が設置されたICチップ設置面522を備えるICチップ設置領域S2と、ICチップ設置領域S2に並設され、ジャイロ素子2が設置された振動素子設置面521を備える振動素子設置領域S1と、を有する板状の底板5を有している。ICチップ設置領域S2は、その厚さが振動素子設置領域S1よりも薄く、ICチップ設置面522は、振動素子設置面521よりも底側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センサーチップおよびIC(Integrated Circuit)がケーシング内に設けられた振動デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の振動デバイス(半導体パッケージ)は、底板と、底板上面の周縁部に設けられた枠上の側壁と、を有するケース体を有し、このケース体の内側に形成されたチップ収納空間に位置するように、加速度センサー等のセンサーチップと、信号処理チップと、メモリーチップとが底板上面に設置されている。
【0003】
また、特許文献1の振動デバイスでは、信号処理チップおよびメモリーチップが厚さ方向に重なって配置されており、これらの横にセンサーチップが並設されている。また、底板は、センサーチップが設置されているセンサーチップ設置領域の厚さが、信号処理チップおよびメモリーチップが重なって配置されている信号処理チップ設置領域の厚さよりも薄くなるように設計されている。言い換えれば、底板は、その上面の一部(センサーチップ設置領域に相当する部位)が他の部位(信号処理チップ設置領域に相当する部位)よりも下側に凹没した形状をなしており、この凹没した部位にセンサーチップが設置されている。特許文献1の振動デバイスでは、信号処理チップやメモリーチップよりも厚みの大きいセンサーチップを前記凹没した部分に設置することにより、振動デバイスの小型化(低背化)を図っている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の振動デバイスでは、底板のセンサーチップ設置領域の厚さが薄くし、この薄い部分にセンサーチップが設置されている。このような厚さの薄い部分は、他の部分(信号処理チップ設置領域)に比べ、外力や熱によって変形し易い(歪み易い)。そして、当該部分に変形が生じることにより、センサーチップに不本意な外力(応力)が加わってしまい、センサーチップの検出精度が低下する。
このように、特許文献1の振動デバイスでは、特性の低下を防止しつつ、小型化を図ることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−261560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、歪みによる振動素子の特性の低下を防止しつつ、小型化を図ることのできる振動デバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の振動デバイスは、内側に収納空間を有しているパッケージと、
前記収納空間に収納されている振動素子およびICチップと、を有し、
前記パッケージは、前記ICチップが設置されているICチップ設置面を備えているICチップ設置領域と、前記ICチップ設置領域に並設され、前記振動素子が設置されている振動素子設置面を備えている振動素子設置領域と、を有する底部を有し、
前記ICチップ設置領域は、前記振動素子設置領域よりも前記底部の厚さが薄く、
前記ICチップ設置面は、前記振動素子設置面よりも前記底部の前記ICチップおよび前記振動素子の設置面に対する裏面側に位置していることを特徴とする。
これにより、歪みによる振動素子の特性の低下を防止しつつ、小型化(低背化)を図ることのできる振動デバイスを提供することができる。
【0008】
[適用例2]
本発明の振動デバイスでは、前記振動素子は、前記ICチップよりも厚さが薄いことが好ましい。
これにより、振動デバイスをより小型化(低背化)することができる。
[適用例3]
本発明の振動デバイスでは、前記振動素子は、前記振動素子設置面に両持ち支持されていることが好ましい。
これにより、振動素子の保持状態および振動特性が安定する。
【0009】
[適用例4]
本発明の振動デバイスでは、前記底部は、前記振動素子設置面に開放し、前記振動素子との接触を防止する凹部を有していることが好ましい。
これにより、落下などの衝撃による振動素子設置面と振動素子との接触による振動素子の破壊・破損を効果的に防止または抑制することができる。
【0010】
[適用例5]
本発明の振動デバイスでは、前記振動素子は、振動する振動部を有し、
前記振動子設置面には、前記底部の平面視にて、前記振動部の少なくとも一部を内側に含む凹部を備えていることが好ましい。
これにより、凹部を効率的に形成することができ、振動素子設置領域の剛性の低下を防止または抑制することができる。
【0011】
[適用例6]
本発明の振動デバイスでは、前記底部は、前記振動素子の厚さ方向への変位を規制する規制部を有していることが好ましい。
これにより、振動素子の過度な変形を防止することができ、振動素子の破壊・破損を防止または抑制することができる。
【0012】
[適用例7]
本発明の振動デバイスでは、前記規制部の少なくとも一部は、前記振動素子の基部と対向していることが好ましい。
これにより、振動素子の過度な変形を防止することができ、かつ振動特性への影響も小さくすることができる。
【0013】
[適用例8]
本発明の振動デバイスでは、前記振動素子設置面と前記振動素子との間に設けられた緩衝層を有していることが好ましい。
これにより、厚さ方向の過度な変形により振動素子が大きく変位した際、振動素子が緩衝層に接触し、その衝撃が吸収・緩和されるため、振動素子の破壊・破損を防止または抑制することができる。
【0014】
[適用例9]
本発明の振動デバイスでは、前記底部には、前記収納空間の内外を連通する貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記底部の平面視にて、前記ICチップを介して前記振動素子と反対側に設けられていることが好ましい。
これにより、歪みによる振動素子の特性変化をより確実に防止または抑制することができる。
【0015】
[適用例10]
本発明の振動デバイスでは、前記貫通孔は、前記底部の前記ICチップ設置領域よりも厚い領域に設けられていることが好ましい。
これにより、歪みによる振動素子の特性変化をより確実に防止または抑制することができる。
[適用例11]
本発明の振動デバイスでは、前記振動素子は、角速度を検出するジャイロ素子であることが好ましい。
これにより、角速度を検出することのできる振動デバイスが得られる。
[適用例12]
本発明の電子機器は、本発明の振動デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い振動デバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の振動デバイスの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す振動デバイスが備えるジャイロ素子の平面図である。
【図3】図2に示すジャイロ素子の駆動を説明する平面図である。
【図4】図1に示す振動デバイスの平面図である。
【図5】図1に示す振動デバイスが有するベースの製造方法の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
【図8】図7に示す振動デバイスの平面図である。
【図9】図7に示す振動デバイスが有する凹部の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の振動デバイスおよび電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の振動デバイスの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の振動デバイスの第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す振動デバイスが備えるジャイロ素子の平面図、図3は、図2に示すジャイロ素子の駆動を説明する平面図、図4は、図1に示す振動デバイスの平面図、図5は、図1に示す振動デバイスが有するベースの製造方法の一例を示す断面図である。
【0018】
なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、図1に示すように、互いに直交する3軸を、x軸、y軸およびz軸とし、z軸は、振動デバイスの厚さ方向と一致する。また、x軸に平行な方向「x軸方向」と言い、y軸に平行な方向を「y軸方向」と言い、z軸に平行な方向を「z軸方向」と言う。
【0019】
図1に示す振動デバイス1は、ジャイロ素子(振動素子)2と、ジャイロ素子2の駆動等の制御を行うICチップ3と、ジャイロ素子2およびICチップ3を収納するパッケージ4と、を有している。
なお、本実施形態の振動デバイス1では、振動素子としてジャイロ素子を用いているが、用いる振動素子としては、ジャイロ素子に限定されず、例えば、加速度センサー、AT振動子(発振器)等であってもよい。
【0020】
以下、これらについて順次詳細に説明する。
(ジャイロ素子2)
以下、ジャイロ素子2を図2および図3に基づいて説明する。なお、図2(a)は、上側から(リッド7側)から見た上面の平面図であり、図2(b)は、上側から見た下面の平面図(透過図)である。また、図2では、説明の便宜上、電極および端子にハッチングを入れている。また、図3では、説明の便宜上、支持部、梁、電極等の図示を省略している。
【0021】
ジャイロ素子2は、z軸まわりの角速度を検出する、いわゆる「面内検出型」のセンサーであり、図2に示すように、振動片21と、振動片21の表面に形成された複数の電極、配線および端子とで構成されている。
振動片21は、いわゆるダブルT型をなしている。このような振動片21は、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料で構成することができるが、これらの中でも、水晶で構成するのが好ましい。これにより、優れた振動特性(周波数特性)を発揮することのできる振動片21が得られる。
【0022】
振動片21は、xy平面に拡がりを有し、z軸方向に厚みを有する。このような振動片21は、中央に位置する基部22と、基部22からy軸方向両側に延出する一対の検出振動腕231、232と、基部22からx軸方向両側に延出する一対の連結腕241、242と、連結腕241の先端部からy軸方向両側に延出する一対の駆動振動腕251、252と、連結腕242の先端部からy軸方向両側に延出する一対の駆動振動腕253、254と、を有している。また、振動片21は、基部22を介してy軸方向に対向配置された一対の支持部261、262と、支持部261、262と基部22とを連結する4つの梁271、272、273、274と、を有している。
【0023】
また、検出振動腕231、232および駆動振動腕251〜254の先端部には、それぞれ、基端側よりも幅の大きい略四角形の重量部が形成されている。このような重量部を設けることにより、ジャイロ素子2の角速度の検出感度が向上する。
また、支持部261、262は、それぞれ、y軸方向に延在しており、これら支持部261、262の間に振動片21を構成する他の部位が位置している。支持部261は、梁271、272を介して基部22と連結されており、支持部262は、梁273、274を介して基部22と連結されている。
【0024】
梁271は、検出振動腕231と駆動振動腕251との間を通って支持部261と基部22とを連結し、梁272は、検出振動腕231と駆動振動腕253との間を通って支持部261と基部22とを連結し、梁273は、検出振動腕232と駆動振動腕252との間を通って、支持部262と基部22とを連結し、梁274は、検出振動腕232と駆動振動腕254との間を通って、支持部262と基部22とを連結している。
【0025】
このような梁271、272、273、274は、それぞれ、x軸方向に往復しながらy軸方向に延びる蛇行部(S字形状部)を有し、これにより、x軸方向およびy軸方向に弾性を有している。
また、梁271、272、273、274は、蛇行部を有する細長い形状を有しているので、あらゆる方向に弾性を有している。
そのため、外部から衝撃が加えられても、梁271、272、273、274で衝撃を吸収する作用を有するので、これに起因する検出ノイズを低減または抑制することができる。
【0026】
以上、振動片21の構成について説明した。このような振動片21の表面には、複数の電極、配線および端子が形成されている。
具体的には、検出振動腕231の上面および下面には、検出信号電極281が形成されている。同様に、検出振動腕232の上面および下面にも、検出信号電極281が形成されている。
【0027】
検出振動腕231に形成された一対の検出信号電極281は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部261に形成された検出信号端子291aに電気的に接続されており、検出振動腕232に形成された一対の検出信号電極281は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部262に形成された検出信号端子291bに電気的に接続されている。
また、検出振動腕231の側面と、その重量部の上面および下面とには、検出接地電極282が形成されている。同様に、検出振動腕232の側面と、その重量部の上面および下面とにも、検出接地電極282が形成されている。
【0028】
検出振動腕231に形成された一対の検出接地電極282は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部261に形成された検出接地端子292aに電気的に接続されており、検出振動腕232に形成された一対の検出接地電極282は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部262に形成された検出接地端子292bに電気的に接続されている。このような検出接地電極282は、検出信号電極281に対してグランドとなる電位を有する。
【0029】
このような配置で検出信号電極281および検出接地電極282を形成することにより、検出振動腕231に生じた検出振動は、検出振動腕231に形成された検出信号電極281と検出接地電極282との間の電荷として現れ、支持部261に形成された検出信号端子291aと検出接地端子292aとから信号として取り出すことができる。また、検出振動腕232に生じた検出振動は、検出振動腕232に形成された検出信号電極281と検出接地電極282との間の電荷として現れ、支持部262に形成された検出信号端子291bと検出接地端子292bとから信号として取り出すことができる。
【0030】
また、駆動振動腕251の上面および下面には、駆動信号電極283が形成されている。同様に、駆動振動腕252の上面および下面にも、駆動信号電極283が形成されている。また、駆動振動腕253の側面と、その重量部の上面および下面とにも、駆動信号電極283が形成されている。同様に、駆動振動腕254の側面と、その重量部の上面および下面とにも、駆動信号電極283が形成されている。これら複数の駆動信号電極283は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部261に形成された駆動信号端子293aに電気的に接続されている。
【0031】
また、駆動振動腕251の側面と、その重量部の上面および下面とには、駆動接地電極284が形成されている。同様に、駆動振動腕252の側面と、その重量部の上面および下面とにも、駆動接地電極284が形成されている。また、駆動振動腕253の上面および下面にも、駆動接地電極284が形成されている。同様に、駆動振動腕254の上面および下面にも、駆動接地電極284が形成されている。これら複数の駆動接地電極284は、振動片21の表面に形成された図示しない配線を介して支持部262に形成された駆動接地端子293bに電気的に接続されている。このような駆動接地電極284は、駆動信号電極283に対してグランドとなる電位を有する。
【0032】
このような配置で駆動信号電極283および駆動接地電極284を形成すると、駆動信号端子293aと駆動接地端子293bとの間に駆動信号を印加することによって、各駆動振動腕251、252、253、254に形成された駆動信号電極283と駆動接地電極284との間に電界を生じさせ、各駆動振動腕251、252、253、254を駆動振動させることができる。
なお、これら電極、端子および配線は、それぞれ、例えば、振動片21の表面に形成され、クロムで構成される下地層に、金メッキを施したものを用いることができる。これにより、電極等と振動片21との密着性が向上し、ジャイロ素子2の信頼性が向上する。
【0033】
このような構成のジャイロ素子2は、次のようにしてz軸まわりの角速度ωを検出する。ジャイロ素子2は、角速度ωが加わらない状態において、駆動信号電極283および駆動接地電極284の間に電界が生じると、図3(a)に示すように、駆動振動腕251、252、253、254が矢印Aに示す方向に屈曲振動を行う。このとき、駆動振動腕251、252と、駆動振動腕253、254とは、中心点G(重心G)を通るyz平面に関して面対称の振動を行っているため、基部22と、連結腕241、242と、検出振動腕231、232とは、ほとんど振動しない。
【0034】
この駆動振動を行っている状態でジャイロ素子2にz軸まわり角速度ωが加わると、図3(b)に示すような振動を行う。すなわち、駆動振動腕251、252、253、254および連結腕241、242に矢印B方向のコリオリの力が働き、この矢印B方向の振動に呼応して、矢印C方向の検出振動が励起される。そして、この振動により発生した検出振動腕231、232の歪みを検出信号電極281および検出接地電極282が検出して角速度ωが求められる。
【0035】
(ICチップ)
ICチップ3は、ジャイロ素子2を駆動(発振)させる駆動回路(発振回路)や、チャージアンプを含む検出回路などが集積させて形成された電子素子である。すなわち、ICチップ3は、ジャイロ素子2の駆動信号電極283に対して電気信号を出力するとともに、検出信号電極281から電気信号を入力して処理することにより、z軸まわりの角速度ωを求める電子素子である。
【0036】
(パッケージ)
パッケージ4は、ジャイロ素子2およびICチップを収納するものである。このようなパッケージ4は、その平面視(xy平面視)にて、x軸方向に延在する略矩形状をなしており、ジャイロ素子2とICチップ3とがx軸方向に並んだ状態で、これらを収納している。
【0037】
図1に示すように、パッケージ4は、上面に開放する凹部を有するベース10と、凹部の開口を塞ぐようにベースに接合されたリッド(蓋体)7と、を有している。また、ベース10は、板状の底板(底部)5と、底板5の上面の周縁部に設けられた枠状の側壁6と、を有している。このようなパッケージ4は、その内側に収納空間4aを有しており、この収納空間4a内に、ジャイロ素子2およびICチップ3が気密的に収納、設置されている。
【0038】
図1に示すように、底板5は、平坦な下面51と、段差を有する上面52と、を有している。また、上面52は、前記段差の上段部に位置し、ジャイロ素子2が設置されたジャイロ素子設置面(振動素子設置面)521と、前記段差の下段部に位置し、ICチップ3が設置されたICチップ設置面522と、を有している。
ICチップ3は、銀ペースト等の導電性接着剤91を介して、ICチップ設置面522に設置・固定されている。これにより、ICチップ3の下面をグランドに落とすことができ、基準電位が安定化する。
【0039】
また、図4に示すように、ICチップ3の上面には、複数のICパッド31が形成されている。一方、底板5の上面52の上段部(ICチップ3の周囲)には、各ICパッド31に対応する接続パッド81が形成されており、これらがワイヤー(ボンディングワイヤー)によって電気的に接続されている。また、各接続パッド81は、底板5に形成された図示しない導体ポスト等を介して底板5の下面51に形成された図示しない外部実装端子に電気的に接続されている。これにより、パッケージ4の外部からIC3との電気的な接続を図ることができる。
なお、各接続パッド81は、例えば、底板5の上面52に形成され、クロムで構成される下地層に、金メッキを施したものを用いることができる。これにより、接続パッド81と底板5との密着性が向上し、振動デバイス1の信頼性が向上する。なお、このような構成は、後述する接続パッド82についても同様である。
【0040】
また、図1に示すように、ICチップ3の上面は、ジャイロ素子2の上面よりも下方に位置しているのが好ましい。これにより、振動デバイス1の低背化を図りつつ、ICチップ3とリッド7との間にボンディングワイヤーを配置するスペースを十分に確保することができる。そのため、例えば、リッド7とボンディングワイヤーとの接触が防止されやすくなり、ICパッド31と接続パッド81との電気的な接続状態をより確実に維持することができ、振動デバイス1の信頼性が向上する。
なお、ICチップの上面の位置は、これに限定されず、例えば、ジャイロ素子2の上面と一致していてもよいし、ジャイロ素子2の上面よりも上方に位置していてもよい。
【0041】
ジャイロ素子2は、各支持部261、262が半田などの導電性固定部材(導電性接着剤)92を介してジャイロ素子設置面521に設置・固定されている。支持部261、262は、ジャイロ素子2のy軸方向の両端部に位置するため、このような部分を底板5に固定することにより、ジャイロ素子2が底板5に両持ち支持される。そのため、ジャイロ素子2を底板5に安定的に設置することができ、ジャイロ素子2の不要な振動(検出したい振動以外の振動)が抑制され、ジャイロ素子2による角速度の検出精度が向上する。
【0042】
また、導電性固定部材92は、支持部261、262に形成された検出信号端子291a、291b、検出接地端子292a、292b、駆動信号端子293aおよび駆動接地端子293bに対応(接触)して、かつ互いに離間して6つ設けられている。ジャイロ素子設置面521には、検出信号端子291a、291b、検出接地端子292a、292b、駆動信号端子293aおよび駆動接地端子293bに対応する6つの接続パッド82が形成されており、導電性固定部材92を介して、これら各接続パッド82とそれと対応するいずれかの端子とが電気的に接続されている。また、各接続パッド82は、例えば底板5の上面や内部に形成された図示しない配線を介してIC3に電気的に接続されている。
このような構成とすることにより、導電性固定部材92を、ジャイロ素子2を底板5に固定するための固定部材として用いることができるとともに、ジャイロ素子2との電気的な接続を行う接続部材として用いることができるため、振動デバイス1の構成の簡易化を図ることができる。
【0043】
また、導電性固定部材92は、ジャイロ素子2と底板5との間にギャップ(隙間)を形成し、これらの接触を防止するギャップ材としても用いられる。これにより、底板5との接触によるジャイロ素子2の破壊・破損を防止することができ、正確な角速度の検出と、優れた信頼性を発揮することのできる振動デバイス1となる。また、ギャップは、ジャイロ素子2の駆動を阻害しない限り短い方が好ましい。これにより、振動デバイス1にz軸方向の衝撃が加わったときに、ジャイロ素子2が底板5に接触することによってジャイロ素子2(振動片21)の過度な変形が防止され、ジャイロ素子2の破壊・破損を効果的に抑えることができる。
【0044】
前述したように、底板5の上面52は、ジャイロ素子2が設置されたジャイロ素子設置面521と、ジャイロ素子設置面521よりも下方(底側)に位置し、ICチップ3が設置されたICチップ設置面522と、を有している。
振動デバイス1では、近年のジャイロ素子2の小型化に伴って、ICチップ3の厚さ(z軸方向の長さ)がジャイロ素子2よりも厚い。例えば、ジャイロ素子2の厚さが100μm程度なのに対して、ICチップ3の厚さは、200μm程度である。そのため、ICチップ設置面522をジャイロ素子設置面521よりも下方に位置させて、ICチップ設置面522にICチップ3を設置することにより、振動デバイス1の低背化を図ることができ、振動デバイス1を小型化することができる。
【0045】
また、図1に示すように、底板5は、ジャイロ素子設置面521を備えるジャイロ素子設置領域(振動素子設置領域)S1と、ICチップ設置面522を備えるICチップ設置領域S2と、を有しており、ジャイロ素子設置領域S1は、その厚さがICチップ設置領域S2よりも厚く構成されている。このような厚みのある部分であるジャイロ素子設置領域S1にジャイロ素子2を設置することにより、ジャイロ素子2の検出精度の低下を防止または抑制することができる。
具体的には、振動片21に歪みが加わると、振動特性に影響を及ぼし、これにより、角速度の検出精度が低下するおそれがある。振動片21に歪みが加わる代表的な原因としては、例えば、外力が加わることによるパッケージ4の変形や、熱膨張または熱収縮(熱応力)によるパッケージ4の変形が挙げられる。
【0046】
外力や熱応力によりパッケージ4が変形すると、ジャイロ素子2を底板5に固定している6つの導電性固定部材92の相対的な位置関係(離間距離)が変化し、この変化に応じた応力が振動片21に加わり、振動片21が歪む。なお、熱応力が原因の場合、底板5と振動片21の線膨張係数が互いに等しければ、パッケージ4が変形(膨張、収縮)しても振動片21もその変形と同程度変形するため、実質的に振動片21に歪みが加わることはないが、これらの線膨張係数は互いに異なるため、熱応力による場合も、外力の場合と同様に振動片21に歪みが加わる。
【0047】
特に、本実施形態の振動デバイス1では、ジャイロ素子2が底板5に両持ち支持されているため、振動片21に加わった応力(特にy軸方向の応力)を逃がすことができず、振動片21に歪みが加わり易い。
そこで、振動デバイス1では、上述したように、ジャイロ素子設置領域S1(ジャイロ素子設置面521)にジャイロ素子2を設置することにより、振動片21に歪みが加わることを防止または抑制し、ジャイロ素子2の検出精度の低下を防止または抑制している。
【0048】
ジャイロ素子設置領域S1は、底板5の他の部分(ICチップ設置領域S2)よりも厚さが厚いため、その分剛性が高い。そのため、底板5の他の部分に比べて、外力や熱応力による変形が生じ難く、また、変形が生じたとしてもその程度が小さい。このように、変形し難いジャイロ素子設置領域S1にジャイロ素子2を設置することによって、ジャイロ素子2に歪みが加わることを防止または抑制することができ、その結果、ジャイロ素子2の検出精度の低下を防止または抑制することができる。
なお、ジャイロ素子設置領域S1の厚さとしては、構成材料等によっても異なるが、0.3mm以上、0.8mm以下程度であるのが好ましい。これにより、振動デバイス1の低背化を図りつつ、ジャイロ素子設置領域S1の変形をより効果的に防止または抑制することができる。
【0049】
また、底板5には、封止孔としての貫通孔53が形成されている。貫通孔53は、収納空間4a内を減圧環境(好ましくは真空)とするための孔である。収納空間4a内を減圧環境とすることにより、空気の粘性に起因した振動片21のCI値の増加を防止または抑制することができる。
収納空間4a内を減圧する方法としては、特に限定されないが、例えば、まず、貫通孔53を介して収納空間4a内の空気を除去し、次いで、貫通孔53に金属ボールを載置し、この金属ボールにレーザーを照射することにより金属ボールを溶融させ、貫通孔53を塞ぎ封止する方法が挙げられる。なお、貫通孔53の途中には、金属ボールの通過を阻止する段差部531が形成されており、これにより、金属ボールを貫通孔内にて溶融させることが容易となる。具体的には、段差部531は、下面51側に形成され、金属ボールの外径よりも大きい内径を有する部分と、上面52側に形成され、金属ボールの外径よりも小さい内径を有する部分との境界に形成されている。
【0050】
図1および図4に示すように、このような貫通孔53は、xy平面視にて、ICチップ3を介してジャイロ素子2と反対側に形成されている。すなわち、貫通孔53は、ジャイロ素子2からなるべく離間した位置に形成されている。また、貫通孔53は、底板5の厚みの厚い部分、言い換えれば、ICチップ設置領域S2以外の部分であって、ICチップ設置領域S2よりも厚い部分に形成されている。本実施形態では、貫通孔53は、ジャイロ素子設置領域S1と同じ厚さを有する部分に形成されている。このような位置に貫通孔53を形成することにより、次のような効果が得られる。
【0051】
前述したように、貫通孔53は、レーザー照射によって金属ボールを溶融することによって塞がれる。そのため、上述したように、貫通孔53をジャイロ素子2からなるべく離間した位置に形成することにより、レーザー照射時の熱によるジャイロ素子2の変形や劣化等を防止することができる。
また、レーザー照射時の熱によって、貫通孔53の周囲が昇温し熱膨張する。このような熱膨張が起こることにより、封止後の底板5では、貫通孔53の周囲に応力が残留するおそれがある。そのため、貫通孔53をジャイロ素子2からなるべく離間した位置に形成することにより、貫通孔53の周囲に残留した応力(歪み)に起因した振動片21の振動特性の変化を防止または抑制することができ、ジャイロ素子2の検出特性の変化を防止または抑制することができる。また、残留応力の継時的な変化からも振動片21の振動特性の変化を防止または抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、前述したように、貫通孔53を厚く剛性の高い部分に形成しているため、貫通孔53の周囲の部分の残留応力による変形自体を効果的に防止または抑制することができる。そのため、上述したような問題が発生するのをより確実に防止または抑制することができる。また、後述するようにリッド7をベース10にシーム溶接する際に発生する過剰電流による発熱により、貫通孔53からクラックが入り易いが、貫通孔53を厚く剛性の高い部分に形成することにより、前記クラックの発生を効果的に防止または抑制することができる。
【0053】
貫通孔53の配置は、これに限定されず、例えば、貫通孔53は、xy平面視にて、ICチップ3を介してジャイロ素子2と反対側であって、ICチップ設置面522と同じ厚さの底板5に形成されていていてもよい。このような形態であっても、貫通孔53の周囲に残留した応力(歪み)に起因した振動片21の振動特性の変化を防止または抑制することができ、ジャイロ素子2の検出特性の変化を防止または抑制することができる。
【0054】
ベース10の構成材料としては、特に限定されないが、酸化アルミニウム等の各種セラミックスを用いることができる。このような構成材料により上記のような形態のベース10を製造する場合、図5に示すように、底板5の平面視形状に対応する少なくとも1枚の平板状の基板10aと、底板5の上段部の平面視形状に対応する少なくとも1枚の枠状の基板10bと、側壁6の平面視形状に対応する少なくとも1枚の平板状の基板10cと、を積層して積層体を形成し、この積層体を焼成すればよい。これにより、簡単に、ベース10を製造することができる。
【0055】
リッド7の構成材料としては、特に限定されないが、ベース10の構成材料と線膨張係数が近似する部材であると良い。例えば、ベース10の構成材料を前述のようなセラミックスとした場合には、コバール等の合金とするのが好ましい。なお、ベース10とリッド7の接合は、特に限定されず、例えば、接着剤を介して接合してもよいし、シーム溶接等により接合してもよい。
【0056】
以上、本実施形態の振動デバイス1について説明した。このような振動デバイスによれば、前述したように、歪みによる影響を低減することによって角速度の検出特性の低下を防止または抑制しつつ、装置の小型化(低背化)を図ることができる。特に、歪みによる振動片21の振動特性の変化を防止または抑制することができるため、例えば、出荷検査時の振動特性と、回路基板等への実装時の振動特性とのズレを無くすか小さくすることができる。そのため、実装時においても優れた検出精度を発揮することができる。また、電気的特性が安定し、より精度のよい検出を行うことができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
以下、第2実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる振動デバイスは、貫通孔の位置および形状が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0058】
図6に示すように、本実施形態の振動デバイス1では、貫通孔53は、軸方向(z軸方向)に内径がほぼ一定である。また、貫通孔53は、xy平面視にて、その一部が側壁6に重なっている。言い換えれば、貫通孔53の上部開口の一部が側壁6によって塞がれている。
貫通孔53をこのような構成とすることにより、貫通孔53の形状を第1実施形態と比較して単純化することができる。また、側壁6で開口の一部を塞ぐことにより、金属ボールの通過を阻止することができるため、貫通孔53内にて確実に金属ボールを溶融することがでる。また、例えば、第1実施形態と比較して、貫通孔53をよりジャイロ素子2から離れた位置に形成することができる。
このような第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態にかかる振動デバイスの断面図、図8は、図7に示す振動デバイスの平面図、図9は、図7に示す振動デバイスが有する凹部の変形例を示す平面図である。
【0060】
以下、第3実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる振動デバイスは、底板の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0061】
図7に示すように、底板5は、ジャイロ素子設置面521に開放する枠状の凹部54と、凹部54に囲まれた突出部55と、を有している。凹部54は、xy平面視にて、ジャイロ素子2の検出振動腕231、232、駆動振動腕251、252、253、254を内側に含むように形成されている。
このような凹部54を形成することにより、検出振動腕231、232、駆動振動腕251、252、253、254と底板5との間に比較的大きいギャップを形成することができる。そのため、大気中での空気抵抗(空気が有する粘性)に起因するジャイロ素子2(振動片21)のCI値の増加を抑制し、振動特性を安定させることができる。
【0062】
また、例えば、封止前に行うジャイロ素子2のチューニング時における信号の漏れ量と、封止後における信号の漏れ量とのずれ量をより小さくすることができる。そのため、封止後においても、所望の特性(チューニング後の特性)を発揮することのできる振動デバイス1が得られる。
また、凹部54の深さ(z軸方向の長さ)としては、特に限定されないが、例えば、10〜100μm程度であるのが好ましい。これにより、上述したような機能を十分に発揮することができるとともに、ジャイロ素子設置領域S1の剛性の低下を抑制することができる。
【0063】
また、凹部54に囲まれた突出部(規制部)55は、ジャイロ素子2の基部22と対向して設けられている。この突出部55の上面は、ジャイロ素子設置面521と同一平面上に位置している。このような突出部55を有することにより、振動デバイス1にz軸方向の衝撃が加わったときに、ジャイロ素子2の基部22が突出部55に接触し、ジャイロ素子2(振動片21)の過度な変形が防止される。そのため、ジャイロ素子2の破壊・破損を効果的に防止することができる。なお、基部22は、駆動時でもほとんど振動しないため、突出部55を設けても、前述したような空気抵抗による振動特性の悪化という問題は、ほとんど生じない。
【0064】
なお、凹部54の平面視形状としては、上述したような効果を発揮することができれば特に限定されず、例えば、図9に示すように、検出振動腕231、232、駆動振動腕251、252、253、254の各腕(各振動部)に対応するように6つの凹部54が形成されていてもよい。このような構成とすると、ジャイロ素子設置領域S1における凹部54の占有率をより低くすることができ、ジャイロ素子設置領域S1の剛性の低下をより効果的に防止または抑制することができる。この場合には、6つの凹部54の間に位置する部位が突出部55を構成する。
【0065】
また、本実施形態では、突出部55の上面がジャイロ素子設置面521と同一平面上に位置しているが、突出部55の上面は、ジャイロ素子設置面521より上側に位置していてもよいし、下側に位置していてもよい。
このような第3実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0066】
<第4実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
以下、第4実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる振動デバイスは、底板(ジャイロ素子設置面)とジャイロ素子との間に緩衝層が設けられていること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0067】
図10に示すように、本実施形態の振動デバイス1は、ジャイロ素子設置面521に設けられた緩衝層11を有する。そして、この緩衝層11の上面に、導電性固定部材92を介してジャイロ素子2が接合されている。
また、緩衝層11は、xy平面視にて、ジャイロ素子2の全体を内側に含むように設けられている。
【0068】
このような緩衝層11は、底板5からジャイロ素子2に伝わる応力やジャイロ素子2からの振動漏れを吸収・緩和することにより、ジャイロ素子2(振動片21)に歪みが加わること、および振動漏れによる特性変化を効果的に防止または抑制する機能を有する。これにより、歪みによる影響と振動漏れによる特性変化がより低減された振動デバイス1が得られる。
【0069】
このような緩衝層11は、線膨張率が振動片21の構成材料(水晶)に近似する材料で構成されているのが好ましい。このような材料を用いることにより、上記効果をより顕著に発揮することができる。
また、緩衝層11の構成材料としては、弾性率が数GPa以上、数十MPa以下程度である材料であるのが好ましい。このような材料を用いることにより、例えば、振動デバイス1にz軸方向の衝撃が加わったときに、ジャイロ素子2が緩衝層11と接触することにより、その衝撃が吸収・緩和され、ジャイロ素子2の破壊・破損を効果的に防止することができる。
【0070】
なお、このような緩衝層11には、図示しない導体ポストが形成されており、この導体ポストを介して、導電性固定部材92と、当該導電性固定部材92に対応する接続パッド82とが電気的に接続されている。
このような第4実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0071】
<第5実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5実施形態にかかる振動デバイスの断面図である。
以下、第5実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる振動デバイスは、緩衝層の構成が異なること以外は、前述した第4実施形態と同様である。なお、前述した第4実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0072】
本実施形態の振動デバイス1では、緩衝層11は、異方性導電フィルム(または異方性導電接着剤)で構成されている。このような緩衝層11は、その厚さ方向には導電性を有するが、面方向には絶縁性を有している。これにより、複数の接続パッド82間での短絡を防止しつつ、緩衝層11の上面側にある導電性固定部材92と、当該導電性固定部材92と対応し緩衝層11の下面側にある接続パッド82とを緩衝層11を介して電気的に接続することができる。このように、緩衝層11として異方性導電フィルムを用いることにより、前述した第4実施形態のように緩衝層11に導体ポストを形成する必要がなく、振動デバイス1の構成や製造が簡単となる。
【0073】
なお、緩衝層11の構成は、特に限定されず、例えば、図11に示すように、シリコーンなどの絶縁性シート11aに細い金属線11bを軸線がシートの厚さ方向となるように埋め込んだ構成などが挙げられる。
このような第5実施形態においても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0074】
以上のような振動デバイス1は、各種電子機器に組み込むことができる。振動デバイス1を組み込んだ本発明の電子機器としては、特に限定されないが、パーソナルコンピューター(例えば、モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機などの移動体端末、ディジタルスチールカメラ、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラ、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等に適用することができる。
【0075】
以上、本発明の振動デバイスおよび電子機器を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、本発明の振動デバイスは、前記各実施形態のうち、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1‥‥振動デバイス 2‥‥ジャイロ素子 21‥‥振動片 22‥‥基部 231、232‥‥検出振動腕 241、242‥‥連結腕 251、252、253、254‥‥駆動振動腕 261、262‥‥支持部 271、272、273、274‥‥梁 281‥‥検出信号電極 282‥‥検出接地電極 283‥‥駆動信号電極 284‥‥駆動接地電極 291a、291b‥‥検出信号端子 292a、292b‥‥検出接地端子 293a‥‥駆動信号端子 293b‥‥駆動接地端子 3‥‥ICチップ 31‥‥ICパッド 4‥‥パッケージ 4a‥‥収納空間 5‥‥底板 51‥‥下面 52‥‥上面 521‥‥ジャイロ素子設置面 522‥‥ICチップ設置面 53‥‥貫通孔 531‥‥段差部 54‥‥凹部 55‥‥突出部 6‥‥側壁 7‥‥リッド 81、82‥‥接続パッド 91‥‥導電性接着剤 92‥‥導電性固定部材 10‥‥ベース 10a、10b、10c‥‥基板 11‥‥緩衝層 11a‥‥絶縁性シート 11b‥‥金属線 S1‥‥ジャイロ素子設置領域 S2‥‥ICチップ設置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に収納空間を有しているパッケージと、
前記収納空間に収納されている振動素子およびICチップと、を有し、
前記パッケージは、前記ICチップが設置されているICチップ設置面を備えているICチップ設置領域と、前記ICチップ設置領域に並設され、前記振動素子が設置されている振動素子設置面を備えている振動素子設置領域と、を有する底部を有し、
前記ICチップ設置領域は、前記振動素子設置領域よりも前記底部の厚さが薄く、
前記ICチップ設置面は、前記振動素子設置面よりも前記底部の前記ICチップおよび前記振動素子の設置面に対する裏面側に位置していることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記振動素子は、前記ICチップよりも厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記振動素子は、前記振動素子設置面に両持ち支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記底部は、前記振動素子設置面に開放し、前記振動素子との接触を防止する凹部を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記振動素子は、振動する振動部を有し、
前記振動子設置面には、前記底部の平面視にて、前記振動部の少なくとも一部を内側に含む凹部を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記底部は、前記振動素子の厚さ方向への変位を規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記規制部の少なくとも一部は、前記振動素子の基部と対向していることを特徴とする請求項6に記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記振動素子設置面と前記振動素子との間に設けられた緩衝層を有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記底部には、前記収納空間の内外を連通する貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記底部の平面視にて、前記ICチップを介して前記振動素子と反対側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記貫通孔は、前記底部の前記ICチップ設置領域よりも厚い領域に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の振動デバイス。
【請求項11】
前記振動素子は、角速度を検出するジャイロ素子であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の振動デバイス。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の振動デバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−30850(P2013−30850A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163705(P2011−163705)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】