説明

排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法

【課題】処理の煩雑化を招くことなく、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求めることができる排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明による排気ガス情報処理システム1は、隣接する交差点Px、Px+1を結ぶ道路又は始端又は終端が交差点Px、Px+1である道路を測定区間Zxに設定する設定手段2cと、車両の排出する排気ガスに関する情報を測定区間Zx毎に車上において実際に測定する測定手段2dを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用して好適な排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には、運転者が入力した目的地を含む探索条件と、GPS(Global Positioning System:全地球方位システム)により検出した又はINS(Inertial Navigation System:慣性航法システム)により計算した車両の位置とに基づいて走行予定経路を探索して運転者に案内して、利便性を高めるために運転補助を行うシステムとして、カーナビゲーションシステムが搭載される場合が多い。このようなカーナビゲーションシステムにおいては、運転者に経路に関する情報を案内するにあたり、ディスプレイや音声による案内が行われている。
【0003】
この中でも特に、特許文献1に記載されているようなカーナビゲーションシステムにおいては、個々の車両の排出する排気ガスの排出量を、予め定められた時間又は距離毎に演算して、センタに対して送信し、センタにおいて各車両の排気ガスの排出量を集計する、排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法を用いることが提案されている。
【特許文献1】特開2003−316884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このようなシステムにおいては、予め定められた時間又は距離毎に排気ガスの排出量を演算しているため、カーナビゲーションシステムで用いられる探索用の地図情報におけるノードに相当する交差点及び隣接するノードを結ぶリンクに相当する道路の位置関係とは無関係に、排気ガスの排出量を演算し集計している。
【0005】
このため、例えばある隣接する交差点の間の道路における排気ガスの排出量を求めようとした場合において、異なる車両における排気ガスの排出量をそのまま合計して求めることはできない。つまり、車両毎に演算された排気ガスの排出量のうち、前述したある隣接する交差点の間の道路における排出量を、車両毎に演算された排気ガスの排出量に別途補正係数を乗じて演算して求めた上で、それらの補正値を集計するという煩雑な処理が必要となる。
【0006】
このため、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求める処理が煩雑になるとともに、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求めることができないと言う問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、処理の煩雑化を招くことなく、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求めることができる排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明に係る排気ガス情報処理システムは、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、前記隣接する交差点を結ぶ道路においては当該道路の始端及び終端はいずれも交差点であるが、前記終端が交差点である道路とは、例えば出発点である運転者の自宅又は就業する事業所の出口から運転者の意図する経路上の最初の交差点までを結ぶ道路であり、前記始端が交差点である道路とは、前記経路上の最後の交差点から目的地までを結ぶ道路である。
【0010】
ここで、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段を備えることが好ましい。
【0011】
これによれば、前記設定手段により設定された前記測定区間毎に、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて、前記演算手段が、前記車両の前記排気ガスの排出量を正確に演算することができるので、前記測定区間毎において、異なる車両の前記排気ガスの排出量を合計する等の統計処理を行い、前記測定区間毎の前記排気ガスの排出量を正確に演算することができる。
【0012】
より具体的には、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記演算手段が、前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算することが好ましい。
【0013】
また、前記測定区間毎の前記排出量を求めるにあたり、前記測定区間毎の異なる車両の前記排気ガスの排出量を単に合計する処理を行えばよいので、従来技術のように前記測定区間の始端と終端がそれぞれの測定区間毎に異なることに起因して、異なる測定区間に応じて個別具体的に異なる補正係数を乗じて、合計処理の対象となる排出量相互間において測定区間の始端と終端とそろえる必要性が生じて、処理の煩雑化を招くことを防止することができる。
【0014】
さらに、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記演算手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集手段を備えることが好ましい。
【0015】
これによれば、前記車両が複数である場合において、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて、前記演算手段により演算された前記車両の排気ガスの排出量を、前記収集手段が収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができるとともに、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計する等の統計処理を行って、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることができる。
【0016】
このように前記車両毎の前記測定区間における排出量を正確に求めることができるので、前記車両に含まれる異なる車両が例えば異なる事業者に属するものである場合に、事業者間において前記排出量を排出する権利すなわち排出権を売買することを容易なものとすることができる。
【0017】
ここで、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集手段が、前記演算手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することとしてもよい。
【0018】
これによれば、前記測定区間において前記測定手段が前記排気ガスに関する情報を測定し終わるタイミング毎において、前記収集手段が前記演算手段から、前記測定区間における前記車両の排気ガスの排出量を収集するので、隣接する交差点を結ぶ道路を前記測定区間に設定する場合においては、市街地においては交差点の密集度が高いため、それに応じて前記収集のタイミングの頻度を高くし、郊外においては交差点の密集度が低いため、それに応じて前記収集のタイミングの頻度を低くすることができる。
【0019】
なお、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記排気ガスは、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物のいずれかを含むこととする。すなわち、前記測定手段が車上において実際に測定する前記排気ガスに関する情報は、例えば前記車両のエンジンの排気系統を構成するエギゾーストマニホールドに設けた排気ガスセンサにより、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物の濃度を、直接的に検出したものであっても良いし、前記車両のエンジンを制御するエンジンECUから伝送された、燃料噴射量、スロットル開度、バルブリフト量、バルブタイミング、エンジン回転数等の制御情報であってもよい。
【0020】
さらに、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
センタを備えるとともに、当該センタが前記収集手段を含むことが好ましい。
【0021】
これによれば、前記車両において、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記センタに設けられた前記収集手段が収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることと、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計する等の統計処理を行うことにより、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることを、より容易なものとすることができる。
【0022】
さらに、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記車両に搭載される車載機を備えるとともに、当該車載機が前記設定手段と前記測定手段を含むことが好ましい。
【0023】
これによれば、前記異なる車両毎において、前記設定手段により設定された隣接する交差点を結ぶ道路すなわち前記測定区間毎に、前記測定手段が前記車両の排出する排気ガスに関する情報を車上において実際に測定することができる。
【0024】
なお、前記演算手段については、前記車載機に含まれていても良いし、前記センタに含まれていても良いが、例えば、前記異なる車両毎に前記排気ガスの排出量を演算して、当該排出量が予め定められた閾値以上である場合のみに、前記センタが含む前記収集手段により当該排出量を収集させて、前記車載機と前記センタとの間の通信負荷及び通信頻度を低減させるような場合には、前記演算手段は前記車載機に含むことが好ましい。
【0025】
また、前記演算手段が、前記車両毎に前記測定区間における前記排気ガスの排出量を演算するにあたっては、前記車両毎に固有の前記排気ガスセンサの検出結果又は前記制御情報及びエンジンの排気量を用いることになるので、前記演算手段を前記車両毎に配置して、これらを用いて前記排出量を演算した後に、通信装置を介してセンタの収集手段が、前記排出量を前記演算手段から収集する方が通信負荷の低減の観点からも有利である。もちろん前記送信手段が前記排出量に加えて、前記排気ガスに関する情報を併せて送信しても良い。
【0026】
そこで、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記車載機が、前記演算手段と、前記演算手段の演算した前記排出量を送信する送信手段を備えるとともに、前記センタが、前記送信手段の送信した前記排出量を受信する受信手段を備えることとしてもよい。これによれば、前記送信手段の送信と、前記受信手段の受信に基づいて、前記センタの収集手段が前記排出量を収集することができる。
【0027】
なお、上述した課題を解決するため、本発明に係わる排気ガス情報処理システムは、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記演算手段の演算した前記排出量を送信する送信手段と、前記送信手段の送信した前記排出量を受信するセンタの受信手段と、前記受信手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集するセンタの収集手段を備えることを特徴としてもよい。
【0028】
これによっても、前記車両において、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記センタに設けられた前記収集手段が、前記送信手段の送信と前記受信手段の受信に基づいて収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができ、これらの前記排出量を前記測定区間毎に割り当てて、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計する等の統計処理を行うことにより、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることを、より容易なものとすることができる。
【0029】
ここでもより具体的には、前記排気ガス情報処理システムにおいて、
前記演算手段が、前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算することが好ましい。
【0030】
なお、上述した課題を解決するため、本発明に係わる排気ガス情報処理システムは、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記排出量を送信する送信手段とを備える車載機と、
前記排出量を受信する受信手段と、前記排出量を収集する収集手段と、前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当て手段を備えるセンタを備えることを特徴としてもよい。
【0031】
なお、ここでも、
前記受信手段は複数の前記車載機の備える前記送信手段から送信される前記排出量を受信することが好ましい。
【0032】
これによっても、複数の前記車両において、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記センタに設けられた前記収集手段が、前記送信手段の送信と前記受信手段の受信に基づいて収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができる。
【0033】
従って、これらの前記排出量を前記測定区間に対応する予めセンタが備える地図情報のリンク毎に割り当てて記憶して、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計する統計処理を行うことにより、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることができる。
【0034】
なお、上述した課題を解決するため、本発明に係わる排気ガス情報処理システムは、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報を送信する送信手段とを備える車載機と、
前記排気ガスに関する情報を受信する受信手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記排出量を収集する収集手段と、前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当て手段を備えるセンタを備えることを特徴としてもよい。
【0035】
なお、ここでも、
前記受信手段は複数の前記車載機の備える前記送信手段から送信される前記排気ガスに関する情報を受信することが好ましい。
【0036】
これによっても、複数の前記車両において、前記測定手段が測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記センタに設けられた前記収集手段が、前記送信手段の送信と前記受信手段の受信に基づいて収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができる。
【0037】
これにより、これらの前記排出量を前記測定区間に対応する予めセンタが備える地図情報のリンク毎に割り当てて記憶して、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計する統計処理を行うことにより、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることを、より容易に実現することができる。
【0038】
ここで、上述した課題を解決するため、本発明に係わる車載機は、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段を備えることを特徴とする。
【0039】
これによれば、前記異なる車両毎において、前記設定手段により設定された隣接する交差点を結ぶ道路又は始端又は終端が交差点である道路すなわち前記測定区間毎に、前記測定手段が前記車両の排出する排気ガスに関する情報を車上において実際に測定することができる。
【0040】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係わる排気ガス情報処理方法は、
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定ステップと、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定ステップを備えることを特徴とする。
【0041】
これによれば、前記設定ステップにより設定された隣接する交差点を結ぶ道路又は始端又は終端が交差点である道路すなわち前記測定区間毎に、前記測定ステップにおいて、前記車両の排出する排気ガスに関する情報を車上において実際に測定することができる。
【0042】
また、前記測定区間毎の前記排出量を求めるにあたり、前記異なる車両の前記排気ガスの排出量を単に合計する統計処理を行えばよいので、処理の煩雑化を招くことを防止することができる。
【0043】
ここで、前記排気ガス情報処理方法において、
前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算ステップを備えることが好ましい。
【0044】
これによれば、前記測定ステップにおいて測定した、前記車両の排出する排気ガスの関する情報に基づいて、前記演算ステップにおいて、前記車両の前記排気ガスの排出量を正確に演算することができるので、前記測定区間毎において、異なる車両の前記排気ガスの排出量を合計等の統計処理を行って、前記測定区間毎の前記排気ガスの排出量を正確に演算することができる。
【0045】
さらに、前記排気ガス情報処理方法において、
前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集ステップを備えることが好ましい。
【0046】
これによれば、前記車両が複数である場合において、前記測定ステップにおいて測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて、前記演算ステップにおいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記収集ステップにおいて収集することができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができるとともに、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計等の統計処理を行って、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることができる。
【0047】
このように前記排出量を正確に求めることにより、前記車両に含まれる異なる車両が例えば異なる事業者に属するものである場合に、事業者間において前記排出量を排出する権利すなわち排出権を売買することを容易なものとすることができる。
【0048】
ここで、前記排気ガス情報処理方法において、
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集ステップが、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することが好ましい。
【0049】
これによれば、前記測定区間において前記測定手段が前記排気ガスに関する情報を測定し終わるタイミング毎において、前記収集ステップが、前記測定区間における前記車両の排気ガスの排出量を収集するので、隣接する交差点を結ぶ道路を前記測定区間に設定する場合においては、市街地においては交差点の密集度が高いため、それに応じて前記収集のタイミングの頻度を高くし、郊外においては交差点の密集度が低いため、それに応じて前記収集のタイミングの頻度を低くすることができる。
【0050】
なお、本発明に係わる排気ガス情報処理方法は、
前記請求項11〜15のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システムにおいて、隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定ステップと、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定ステップを備えることを特徴としてもよい。
【0051】
ここでも、
前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算ステップを備えることが好ましい。
【0052】
さらに、
前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集ステップを備えることが好ましい。
【0053】
加えて、
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集ステップが、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することが好ましい。
【0054】
ここで特には、
前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当てステップを備えることが好ましい。
【0055】
これによれば、特には前記車両が複数である場合において、前記測定ステップにおいて測定した前記車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて、前記演算ステップにおいて求められた前記車両の排気ガスの排出量を、前記収集ステップにおいて収集することができるとともに、前記割り当てステップにより、前記排出量を、前記測定区間に対応する予め前記排気ガス情報処理システムのセンタに備えられた地図情報のリンク毎に割り当てることができるので、前記測定区間毎の前記排出量をより正確に求めることができる。
【0056】
これにより、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量について合計等の統計処理を行って、前記車両毎の前記測定区間における前記排出量を正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、処理の煩雑化を招くことなく、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求めることができる排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0059】
図1は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態を示す模式図であり、図2は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態の車両側の構成を示す模式図である。図3は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態に適用される経路の具体例を示す模式図である。
【0060】
さらに、図4は、本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態におけるデータの具体例を示す模式図であり、図5は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態の路側の構成を示す模式図である。図6は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態に適用される経路及び測定区間、蓄積される排出量のデータの具体例を示す模式図である。
【0061】
本実施例1の排気ガス情報処理システム1は、図1に示すように、複数の車両に備えられる車載機を構成するカーナビゲーションECU2(Electronic Control Unit)と、センタに備えられたサーバ3と、基地局4とを備えて構成される。サーバ3と、基地局4とは、ネットワークを介して接続されるとともに、カーナビゲーションECU2はネットワークに接続された基地局4と無線又は有線で通信可能に構成されている。
【0062】
このネットワークは、例えば、公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線、又は、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、衛星電話、ビーコン等の無線にて構成されるものである。
【0063】
なお、このネットワークによる、サーバ3及びカーナビゲーションECU2間の通信は、PPPプロトコル(Point to Point Protocol)に従うものでありPPPプロトコルによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現するものであって、インターネットやWAN(Wide Area Network)を構成して、サーバ3とカーナビゲーションECU2との間におけるデータの送受信を可能とするものである。
【0064】
次に車両側のカーナビゲーションECU2について図を用いて詳細に説明する。図2は、本発明に係わる排気ガス情報処理システム1の一部をなすカーナビゲーションECU2の一実施態様を示す模式図である。
【0065】
図2に示すように、カーナビゲーションECU2には、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ5と、ヨーレートセンサ6と、ステアリングセンサ7と、受信機8と、データベース9と、ディスプレイ10と、図示しないエンジンのエギゾーストマニホールド内に設置されて、CO2、NOX、SOX等の排気ガスの濃度を検出する排気ガスセンサ11が接続される。
【0066】
さらに、カーナビゲーションECU2には、エンジンECU12と、ABS13(Anti Lock Brake System)と、通信装置14がCAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0067】
カーナビゲーションECU2は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う探索手段2a、表示手段2b、設定手段2c、測定手段2d、演算手段2e、送信手段2fとして機能するものである。
【0068】
GPSアンテナ5は、地球上空に打ち上げられた複数の衛星の内三個の衛星からの電波を受信する。これらの電波をもとに、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、例えば三角測量の原理で車両の位置する現在位置Pつまりは経度と緯度を測定する。なお、経度と緯度に加え高度も測定する場合には四個の衛星を用いる。
【0069】
ここで、ヨーレートセンサ6は車両のヨーレートを検出するものであり、ステアリングセンサ7は車両の図示しない操舵装置に設けられて操舵角を検出するものである。データベース9はCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体により構成され、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納し記憶しており、測定手段2dが測定した排気ガスに関する情報を記憶する。
【0070】
また、ディスプレイ10は、タッチパネルすなわち運転者が目的地Pg及び高速道路を使わない、最短距離又は最短時間のいずれを選択する等の探索条件を入力する入力装置としても機能するものであって、運転者により入力された目的地Pgと探索条件をもとにカーナビゲーションECU2の探索手段2aが探索用の地図情報に基づいて探索した経路に関する情報を、カーナビゲーションECU2の表示手段2bの指令に基づき表示用の地図情報とともに表示するものである。
【0071】
また、ABS13は制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速を図示しない車輪速センサから測定しており、カーナビゲーションECU2に対してその車速をABS13からCAN等の通信規格により伝送している。
【0072】
さらに、受信機8は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの渋滞情報を含む道路情報を受信する。
【0073】
このように、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、ABS13から測定した車速とヨーレートセンサ6が検出したヨーレート、ステアリングセンサ7が検出した操舵角をもとにして、車両の移動距離と方向を計算して車両の現在位置PをINS(Inertial Navigation System:慣性航法システム)により測定して、車両が高層ビルの合間やトンネル内に位置していてGPSアンテナ5が衛星から電波を受信できない場合における現在位置Pを補完する。
【0074】
そして、カーナビゲーションECU2の表示手段2bは、データベース9内の表示用の地図情報と、上述した方法により測定した車両の位置する現在位置Pと、タッチパネルすなわちディスプレイ10により入力された目的地Pgと、探索手段2aにより探索された経路に関する情報とを併せてディスプレイ10に表示する。
【0075】
ここで、エンジンECU12は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、図示しないエンジンの燃料噴射量、スロットル開度、バルブリフト量、バルブタイミング、エンジン回転数等を制御するとともに、これらの制御情報をカーナビゲーションECU2の測定手段2dにCANにより送信するものである。
【0076】
さらに、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、車両の現在位置Pが、探索手段2aが探索した経路上の直近の交差点Pxに到達すると、この直近の交差点Pxに対して経路上において隣接する交差点Px+1とを結ぶ道路を、測定区間Zxに設定する。
【0077】
例えば経路が図3に示すようなものであった場合に、交差点P1に到達すると設定手段2cは、交差点P1と経路上において隣接する交差点P2とを結ぶ道路を測定区間Z1に設定する。同様に、交差点P2に到達すると、交差点P2と経路上隣接する図示しない交差点P3とを結ぶ道路を測定区間Z2に設定し、交差点Pn−1に到達すると、交差点Pn−1と経路上隣接する交差点Pnとを結ぶ道路を測定区間Zn−1に設定する。
【0078】
これに加えて、カーナビゲーションECU2の測定手段2dは、排気ガスセンサ11の検出結果とエンジンECU12がCANにより送信した制御情報を、車両の排出する排気ガスに関する情報として、設定手段2cが設定した測定区間毎に車上において実際にかつ連続的に測定する。
【0079】
さらに、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは、排気ガスセンサ11の検出結果すなわち排気ガスの濃度に、予め定められる単位時間内のエンジンの排気量を乗じた値を、該当する測定区間Zxを車両が走行する時間により積分して、それぞれの測定区間における車両の排気ガスの排出量Vxを直接的に演算するとともに、エンジンECU12からCANにより送信された制御情報に基づいて予め定められた理論式により間接的に排気ガスの排出量Vxを演算する。
【0080】
なお、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは排気ガスの排出量Vxとして、排気ガスセンサ11が正常動作である場合には、前者の排気ガスセンサ11の検出結果に基づいて直接的に演算した排気ガスの排出量Vxを用いて、排気ガスセンサ11がフェールしている場合には、後者の理論式に基づく排気ガスの排出量Vxを用いる。
【0081】
加えて、カーナビゲーションECU2の送信手段2fは、車両毎に定められた送信元IDと、送信先IDと、排気ガスの排出量Vxと、該当する測定区間Zx及び測定区間を構成する隣接する交差点Px、Px+1のそれぞれの位置、隣接する交差点Px、Px+1すなわち始端及び終端を通過した時刻Tx、Tx+1を含む、図4に示すようなデータを、測定区間の終端に位置する交差点Px+1に車両の現在位置Pが一致して車両が終端に位置する交差点Px+1を通過した時点において、CAN及び通信装置14、基地局4及びネットワークを介して、センタのサーバ3に送信する。
【0082】
次にセンタのサーバ3について図を用いて詳細に説明する。図5は、本発明に係わる排気ガス情報処理システム1の一部をなすセンタのサーバ3を示す模式図である。サーバ3は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一部を構成するセンタにおける制御を実行するものである。
【0083】
図5に示すように、サーバ3はそれぞれバスで相互に接続されているCPU71と、主記憶装置72と、HDDなどの記憶装置73と、表示装置74と、入力装置75と、ドライブ装置76及び受信手段を構成する通信装置77を備えて構成されるものである。
【0084】
ここで、CPU71は、OSやアプリケーションなどのプログラムを記憶装置73から読み込んでして実行することで種々の機能を提供すると共に、サーバ3が行う処理を統括的に制御する。主記憶装置72はRAMにより構成され、OSやプログラム、データを一時保管する作業領域を構成している。
【0085】
さらに、記憶装置73は、HDDやフラッシュメモリなど不揮発性メモリであり、OS、プログラム、車両毎の送信元ID及びカーナビゲーションECU2から送信され基地局4、ネットワーク、及び、受信手段を構成する通信装置77を介して受信された、車両毎かつ隣接する交差点Px、Px+1を結ぶ道路毎の排気ガスの排出量Vxを含むデータを蓄積している。
【0086】
なお、HDDにはデータベース9に記憶されカーナビゲーションECU2が用いる探索用の地図情報と同一の地図情報(道路ネットワークデータ)が予め記憶されており、一定期間内において蓄積された排出量Vxを含むデータを、データの含む測定区間Zxつまりは始端Pxと終端Px+1との照合に基づいて、格納する。
【0087】
例えば、図6(a)のような経路に対応させて設定された、図6(b)に示すような測定区間Zx(x=1〜n−1)において、道路ネットワーク上の始端がPxであり終端がPx+1であるリンク毎割り当てて、リンク毎に図6(c)に示すような排出量Vxを合計して、一定期間内におけるリンク毎の排出量ΣZxを算出して、又は、車両毎に一定期間内の排出量Vxを合計して、一定期間内におけるリンク毎の排出量ΣVx又は車両毎の排出量ΣVxを示す排出量データベースが記憶される。
【0088】
また、表示装置74は、プログラムが指示する画面情報に基づくCPU71の指令により、所定の解像度や色数等で液晶などの図示しないディスプレイに描画するものであって、例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等をディスプレイに表示するものである。
【0089】
加えて、入力装置75はキーボードやマウスなどで構成され、様々な操作指示を入力するために用いられる。また、ドライブ装置76は記憶媒体78が挿入可能に構成されており、記憶媒体78に記憶されたデータを読み取って主記憶装置72等に送出するものである。また、通信装置77は、インターネットやLANなどのネットワークに接続するためのインターフェースであり、例えばモデム、NIC等で構成される。
【0090】
このような構成のもとで、CPU71がプログラムを実行することで、サーバ3は、前述したカーナビゲーションECU2の送信手段2fが通信装置14を介して送信したデータを受信して、車両が測定区間Zxの終端に位置する交差点Px+1を通過する時点Tx+1において、この車両毎かつ隣接する交差点を結ぶ道路毎の排気ガスの排出量Vxが含まれるデータを記憶装置73内に測定区間Zx毎に収集して、測定区間Zxに対応する地図情報のリンクに割り当てる。
【0091】
すなわち、サーバ3は、データを収集する収集手段と、データをリンクに割り当てる割り当て手段を構成する。さらにCPU71は、蓄積されたデータを、一定期間内の車両毎の排出量ΣVx及び道路毎の排出量ΣVxを統計処理により求めて、排出量データベースを作成し、記憶装置73内に格納する。
【0092】
以下に以上述べた本実施例1の排気ガス情報処理システム1の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図7は、本発明に係わる排気ガス情報処理システム1の制御内容を示すフローチャートである。
【0093】
図7に示すように、S1において、運転者がディスプレイ10により目的地Pgを含む探索条件を入力した後、S2において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、車両の現在位置Pから目的地Pgまでの経路と、経路上のn個の交差点Px(x=1〜n:nは経路により定まる定数)を探索する。つづいて、S3において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aはx=1に設定する。
【0094】
さらに、S4において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、車両の現在位置Pを測定し、S5において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、Pxを始端としPx+1を終端とする道路を測定区間として設定Zxとしてする。つまり初回のルーチンにおいてはx=1であるので、P1を始端としP2を終端とする道路を測定区間Z1として設定する。
【0095】
つづいて、S6において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Zxの始端Pxに到達して、PがPxに一致したかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Txを記憶して、S6にすすんで、カーナビゲーションECU2の測定手段2dは、Px+1がPxに対して距離Dth以上離隔しているかを判定した上で、肯定である場合には、S8において、排気ガスに関する情報を車上において実際に測定し、否定である場合には、S9において、排気ガスに関する情報を距離Dth毎に分割して車上において実際に測定する。
【0096】
これにより、隣接する交差点Px、Px+1間の距離が長大となる地方や外国等において、排気ガスに関する情報の測定単位を適切なものとして、カーナビゲーションECU2の処理負荷を低減するとともに、長時間にわたり情報を測定し続けることによりノイズ等により測定エラーが発生することを防止している。S6において否定である場合には、S6の手前に戻って、処理を継続する。
【0097】
さらに、S10において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Zxの終端Px+1に到達して、PがPx+1に一致したかどうかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Tx+1を記憶してS8又はS9において排気ガスに関する情報を測定手段2dが車上において実際に測定することを終了して、S11にすすんで、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは、これらの情報及びエンジンの単位時間の排気量と時刻Tx+1から時刻Txを引いた測定区間Zxの走行時間を用いて、測定区間Zxにおける排気ガスの排出量Vxを演算して、S12にすすむ。
【0098】
S12において、カーナビゲーションECU2の送信手段2fは、S11で演算手段2eが演算した排出量Vxが予め定められた排出量の閾値Vth以上であるかを判定し、肯定の場合には、S13にすすんでCAN、通信装置14、基地局4、ネットワークを介してセンタのサーバ3に対して排出量Vxを含む図4に示したようなデータを送信し、通信装置77がこのように各車両から送信された排出量Vxを含むデータを受信して、サーバ3はこれらの排出量Vxを含むデータを通信装置77から収集して蓄積し、測定区間Zxに対応するリンク毎に割り当ける。
【0099】
さらに、S14において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、x=nであるかどうかを判定し、否定である場合には、S15にすすんで、x=x+1としてインクリメントして、S4からS13までの上述した処理を行い、S14において、x=nであるかの判定が肯定となるまでの間、S15及びS4からS13までの処理を繰り返して行う。これにより、経路上の交差点P1〜Pn全てに関して測定区間Zxが交差点Pxを始端とし隣接する交差点Px+1を終端として順次設定される設定ステップが実行される。
【0100】
さらに、それぞれの区間においてS8又はS9により排気ガスに関する情報が車上において実際に測定する測定ステップが実行され、S11において、排気ガスに関する情報と測定区間Zxを車両が走行する時間に基づいて、測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxを演算する演算ステップが実行される。S13において、測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxを収集する収集ステップ及びリンク毎に割り当ける割り当てステップが実行される。
【0101】
これらの制御内容により実現される本実施例1の排気ガス情報処理システム1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、測定区間Zxにおいて各車上において実際に且つ連続的に測定した排気ガスに関する情報と測定区間Zxを車両が走行する時間に基づいて、演算手段2eは測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxをより正確に演算することができる。
【0102】
これにより、収集手段である路側のサーバ3は、設定手段2cにより設定された測定区間Zx毎に、異なる車両からそれぞれの車両の排気ガスの排出量Vxを含むデータを各車両の演算手段2eから、送信手段2f及び受信手段を構成する通信装置77を介して収集することができる。
【0103】
さらに、割り当て手段であるサーバ3において、収集されたデータを、道路ネットワーク上のリンク毎に割り当てて測定区間Zx毎に区分した上で、一定期間毎に測定区間Zx毎に合計して、測定区間Zx毎の排気ガスの排出量ΣVxを正確に演算することができる。
【0104】
このように正確に求められた測定区間Zx毎の排気ガスの排出量ΣVxに基づいて、測定区間Zx毎の排出基準量を、適宜定められた係数を乗じてサーバ3が計算し策定して、この排出基準量に基づいて、目標排出削減量を定めることができる。なお、排出基準量の策定に用いられる係数は、測定区間Zx毎に個別具体的に決定される。
【0105】
また、測定区間Zx毎の排出量ΣVxを求めるにあたり、測定区間Zx毎の異なる車両の排気ガスの排出量Vxは予めそれぞれの車両の演算手段2eにより既に求められており、収集手段であるサーバ3においては、これらの排出量Vxを測定区間Zx毎に区分して単に合計する処理を行えばよいので、従来技術のようにそれぞれの車両において測定された排出量の測定区間の始端と終端がそれぞれの車両毎に異なることを回避することができる。これにより、排出量ΣVxを求めるにあたっての、排気ガス情報処理システム1の処理の煩雑化を招くことを防止することができる。
【0106】
さらに、カーナビゲーションECU2の演算手段2eから、測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxを収集する収集手段を路側のサーバ3に備えることにより、車両が複数である場合において、それぞれ車両に搭載されたカーナビゲーションECU2の測定手段2dが測定したそれぞれの車両の排出する排気ガスに関する情報に基づいて、演算手段2eにより演算されたそれぞれの車両の排気ガスの排出量Vxを、測定区間Zx毎に割り当てた上で、収集することができる。
【0107】
このため、測定区間Zx毎の排出量ΣVxをより正確に求めることができる。これにより、これらの測定区間Zx毎の排出量ΣVxをセンタのサーバ3からそれぞれの車両のカーナビゲーションECU2に伝送して、データベース9の探索用の地図情報に含まれるリンクに紐付けて、探索手段2aが経路探索する場合において、排出量ΣVxがなるべく少ない経路を優先的に探索して、運転者にディスプレイ10により表示することができる。これにより、地域全体としての排気ガスの排出量のバランスを良好なものとし、排出量の地域全体としての総量を適宜低減することができる。
【0108】
これとともに、それぞれの車両が測定区間Zxを異なる時刻又は日付において走行してそれぞれのタイミングにおいて演算手段2eが演算して求めた排出量Vxを、サーバ3が一定期間において収集することにより、収集したデータを各車両の送信元ID毎に区分して一定期間毎に合計する統計処理を行って、車両毎の測定区間Zxにおける一定期間における排出量ΣVxを正確に求めることができる。
【0109】
このように異なる車両毎の測定区間Zxにおける一定期間における排出量ΣVxを正確に求めることができるので、異なる車両がそれぞれ異なる事業者に属するものである場合に、事業者間において排出量ΣVxを排出する権利すなわち排出権を売買することを容易なものとすることができる。
【0110】
また、車両の送信元IDによりサーバ3が車種を判定することができるので、車種毎の測定区間Zx毎の排出量ΣVxを個別に求めることができ、これにより、車種毎の測定区間Zx毎の排出量ΣVxを、車種毎の車両の設計にフィードバックして反映させることもできる。
【0111】
さらに、上述した本実施例1の排気ガス情報処理システム1においては、車両が測定区間Zxの終端に位置する交差点Px+1を通過する時点Tx+1において、収集手段であるサーバ3が、カーナビゲーションECU2の演算手段2eから、測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxを収集することとしているが、これによれば以下のような有利な作用効果を得ることができる。
【0112】
すなわち、測定区間ZxにおいてカーナビゲーションECU2の測定手段2dが排気ガスに関する情報を測定し終わるタイミングTx+1毎において、サーバ3が演算手段2eから、測定区間Zxにおける車両の排気ガスの排出量Vxを収集するので、隣接する交差点Px及びPx+1を結ぶ道路を測定区間Zxに設定する場合においては、市街地においては交差点Px、Px+1の密集度が高いため、それに応じて収集ひいてはカーナビゲーションECU2とサーバ3との通信のタイミングの頻度を高くし、郊外においては交差点の密集度が低いため、それに応じて通信のタイミングの頻度を低くすることができる。
【0113】
なお、演算手段2eを車載機であるカーナビゲーションECU2に含むことにより、図7のフローチャートのS12の処理に示したように、異なる車両毎に排気ガスの排出量Vxを演算して、排出量Vxが予め定められた閾値Vth以上である場合のみに、センタのサーバ3により排出量Vxを収集させることができる。
【0114】
これにより、例えば、測定区間Zxが極端に短く設定される等の理由により、測定区間Zxにおける排気ガスの排出量Vxが極端に少なく、収集して有用でないデータである場合には、送信手段2fによる送信を取り止めて、車載機であるカーナビゲーションECU2とセンタのサーバ3との間の通信負荷及び通信頻度を低減させることができる。これとともに、有用でないデータをサーバ3の記憶装置73に格納することを防止して、サーバ3の処理負荷を低減し、記憶装置73の記憶容量を確保することができる。
【0115】
また、異なる車両毎に測定区間Zxにおける排気ガスの排出量Vxを演算するにあたっては、車両毎に固有の排気ガスセンサ11の検出結果及びエンジンの単位時間の排気量又は主にエンジン系統の制御情報及び理論式を用いることになるので、これらの情報を含むデータを車両からサーバ3に伝送することは、データを構成するデータフレームの数の増加を招き、通信負荷が増大する。
【0116】
このため、本実施例1の排気ガス情報処理システム1に示したように、演算手段2eを車両側に備えて車両毎の演算手段2eが排出量Vxを演算した後に、送信手段2fが排出量Vxを含むデータを、CAN、通信装置14、基地局4、ネットワークを介して送信し、通信装置77がこのセンタのサーバ3が、排出量Vxを含むデータを受信して、このデータをサーバ3が収集することにより、通信するデータを構成するデータフレームのフィールドの数を低減して、通信負荷を低減することができる。
【0117】
なお、上述した実施例1に示した排気ガス情報処理システム1においては、自宅又は事業所を出発地として、ある目的地を想定した経路を車両が走行する場合に、経路の最初の交差点P1と出発地を結ぶ道路及び、経路の最後の交差点Pnと目的地とを結ぶ道路を測定区間Zxから除外しているが、これらの道路を含めることもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0118】
図8は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの他の実施形態の制御内容を示すフローチャートである。また、図9は、本発明に係わる排気ガス情報処理システムの一実施形態に適用される経路及び測定区間、蓄積される排出量のデータの具体例を示す模式図である。なお、排気ガス情報処理システムを構成する個々の構成要素については実施例1に示したものと同様であるため、同一の符号を付して、重複する説明については割愛する。
【0119】
ここでも、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、車両の現在位置Pが、探索手段2aが探索した経路上の直近の交差点Pxに到達すると、この直近の交差点Pxに対して経路上において隣接する交差点Px+1とを結ぶ道路を、測定区間Zxに設定する。
【0120】
これに加えて、本実施例2においては、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、車両の現在位置Pが出発地に隣接する道路の出口Psである場合には、出発地に隣接する道路に対する出口Psから経路上の最初の交差点P1を結ぶ道路を測定区間Z0に設定し、車両の現在位置Pが経路上の最後の交差点Pnである場合には、最後の交差点Pnと目的地Pgを結ぶ道路を、測定区間Znに設定する。
【0121】
例えば経路が図9(a)に示すようなものであった場合に、出発地の道路への出口Psにおいては、設定手段2cは、図9(b)に示すように出口Psと最初の交差点P1を結ぶ道路を測定区間Z0に設定し、交差点P1に到達すると設定手段2cは、これも図9(b)に示すように、交差点P1と経路上において隣接する交差点Bとを結ぶ道路を測定区間Z1に設定する。
【0122】
同様に、図9(b)に示すように、交差点P2に到達すると、交差点P2と経路上隣接する交差点P3とを結ぶ道路を測定区間Z2に設定し、さらに図9(b)に示すように、交差点Pn−1に到達すると、交差点Pn−1と経路上隣接する交差点Pnとを結ぶ道路を測定区間Zn−1に設定し、交差点Pnに到達すると交差点Pnと目的地Pgを結ぶ道路を測定区間Znに設定する。
【0123】
これらのことにより、図9(c)に示すように、始端Px終端Px+1の測定区間Zxのそれぞれにおいて、排出量Vx(x=0〜n)を含むデータが記憶装置73内に記憶された道路ネットワークデータのリンク毎に割り当てられて、リンク毎に合計されてΣZxが計算され、又は、車両毎に合計されてΣVxが計算されて、記憶装置73内に格納されて蓄積される。
【0124】
以下に以上述べた本実施例2の排気ガス情報処理システム1の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図8に示すように、S21において、運転者がディスプレイ10により目的地Pgを含む探索条件を入力した後、S22において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、道路に最初に出た時の車両の位置Psすなわち自宅又は事業所の出口を測定する。
【0125】
さらに、S23において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、車両位置Psから目的地Pgまでの経路と、経路上のn個の基準点Px(x=0〜n:nは経路により定まる定数、x=0においては基準点P0=道路に最初に出た時の車両位置Ps、x=1〜nにおいては、基準点Px=交差点Pxを意味する。)を探索する。つづいて、S24において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aはx=0に設定する。
【0126】
さらに、S25において、カーナビゲーションECU2の探索手段2aは、車両の現在位置Pを測定し、S26において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、x=0であるかを判定し、肯定である場合にはS27にすすみ、否定である場合にはS32にすすむ。
【0127】
S27において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、出発地の出口Psを始端とし最初の交差点P1を終端とする道路を測定区間Z0として設定する、つづいて、S28において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Z0の始端Psに到達して、PがPsに一致したかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Tsを記憶して、S29にすすんで、カーナビゲーションECU2の測定手段2dは、排気ガスに関する情報を車上において実際に測定する。S28において否定である場合には、S28の手前に戻って、処理を継続する。
【0128】
さらに、S30において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Z0の終端P1に到達して、PがP1に一致したかどうかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻T1を記憶してS29において排気ガスに関する情報を測定手段2dが車上において実際に測定することを終了して、S31にすすんで、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは、これらの情報と時刻T1から時刻T0を引いた測定区間Z0の走行時間を用いて、測定区間Z0における排気ガスの排出量Vx(x=0)を演算して、S43にすすむ。
【0129】
S43において、カーナビゲーションECU2の送信手段2fは、S31で演算手段2eが演算した排出量Vx(x=0)を含む図4に示したデータを、CAN、通信装置14、基地局4、ネットワークを介してセンタのサーバ3に対して送信し、通信装置77はこれらのデータを受信して、サーバ3は、このように各車両から送信された排出量を含むデータを通信装置77から収集して蓄積する。
【0130】
さらに、S44において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、x=nであるかどうかを判定し、否定である場合には、S45にすすんで、x=x+1としてインクリメントして、S25からS26までの上述した処理を行い、この場合においてはx=1であるので、S26において、設定手段2cは否定と判定し、S32にすすみ、S32においては、0<x<nであるかを判定し、この場合は肯定であるので、S33にすすむ。
【0131】
S33において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、交差点Pxを始端とし隣接する交差点Px+1を終端とする道路を測定区間Zxとして設定する、つづいて、S34において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Zxの始端Pxに到達して、PがPxに一致したかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Txを記憶して、S35にすすんで、カーナビゲーションECU2の測定手段2dは、排気ガスに関する情報を車上において実際に測定する。S34において否定である場合には、S34の手前に戻って、処理を継続する。
【0132】
さらに、S36において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Zxの終端Px+1に到達して、PがPx+1に一致したかどうかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Tx+1を記憶してS37において排気ガスに関する情報を測定手段2dが車上において実際に測定することを終了して、S37にすすんで、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは、これらの情報と時刻Tx+1から時刻Txを引いた測定区間Zxの走行時間を用いて、測定区間Zxにおける排気ガスの排出量Vxを演算して、S43にすすむ。
【0133】
S43において送信手段2fは排出量Vxを含むデータをサーバ3に対して送信し、S44にすすんで、S44において設定手段2cは、x=nであるかを判定し、x=n−1となるまでは、S44の否定処理、S45のインクリメント処理、S25、S26の否定処理、S32の肯定処理が継続して行われて、測定区間Zxの排出量VxがS37においてx=1〜n−1の順番に演算手段2eにより演算され、S43においてその都度、排出量Vxを含むデータが、送信手段2fからサーバ3に対して送信される。
【0134】
S44において、x=n−1となっている場合においては、S44の否定処理、S45のインクリメント処理を経て、x=nとなり、S25、S26の否定処理、S32の否定処理を経て、S38の処理が実行される。
【0135】
S38において、カーナビゲーションECU2の設定手段2cは、交差点Pnを始端とし目的地Pgを終端とする道路を測定区間Znとして設定する、つづいて、S39において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Znの始端Pnに到達して、PがPnに一致したかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Tnを記憶して、S40にすすんで、カーナビゲーションECU2の測定手段2dは、排気ガスに関する情報を車上において実際に測定する。S39において否定である場合には、S39の手前に戻って、処理を継続する。
【0136】
さらに、S41において、探索手段2aは、車両がさらに経路上を進行した場合の現在位置Pが測定区間Znの終端Pgに到達して、PがPgに一致したかどうかを判定し、肯定である場合には、一致した時刻Tgを記憶してS40において排気ガスに関する情報を測定手段2dが車上において実際に測定することを終了して、S42にすすんで、カーナビゲーションECU2の演算手段2eは、これらの情報と時刻Tgから時刻Tn引いた測定区間Znの走行時間を用いて、測定区間Znにおける排気ガスの排出量Vx(x=n)を演算して、S43にすすむ。
【0137】
S43において送信手段2fは排出量Vx(x=n)を含むデータをサーバ3に対して送信し、S44にすすんで、S44において設定手段2cは、x=nであるかを判定し、x=nであるので、S44の否定処理により、制御は終了される。
【0138】
これらの制御内容により実現される本実施例2の排気ガス情報処理システム1によれば、本実施例1に示したものと同様の作用効果を得ることができることに加えて、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、経路上の最初の交差点P1と出発点の出口Psとを結ぶ道路における排出量Vx(x=0)と、経路上の最後の交差点Pnと目的地Pgとを結ぶ道路における排出量V(x=n)を求めることができる。
【0139】
このような処理を行うことにより、特には該当する車両がある程度規模の大きい事業者に属する複数の車両である場合には、隣接する交差点を結ぶ道路における排出量Vx(x=1〜n−1)のデータに加えて、経路上の最初の交差点P1と出発点の出口Psとを結ぶ道路における排出量Vx(x=0)と、経路上の最後の交差点Pnと目的地Pgとを結ぶ道路における排出量Vx(x=n)についても、有用なデータであるとみなしてセンタのサーバ3において収集し、蓄積することができる。これに伴って、サーバ3がこれらのデータを、一定期間毎に車両毎に合計して、排出量ΣVx(x=0)、排出量ΣVx(x=n)についても統計処理により求めることにより、以下のような有利な作用効果が得られる。
【0140】
すなわち、このような経路上の最初に位置する測定区間Z0における排出量ΣVx(x=0)や、最後に位置する測定区間Znにおける排出量ΣVx(x=n)をセンタ3で集計して求めることにより、この事業者に属する車両の運転者のアクセルワークが排気ガスの排出量の削減の観点状好ましくないかどうかを、排出量ΣVx(x=0)及び排出量ΣVx(x=n)を一定期間毎に求めて、予め定められた基準値と比較することにより判定して、適宜削減目標量を定めて、この事業者に通知することにより、地域の排気ガスの排出量を抑制することができる。
【0141】
なお、実施例1及び実施例2においては、カーナビゲーションECU2の測定手段2dが排気ガスに関する情報を車上において実際に測定するタイミング毎に、演算された排出量Vxを含むデータをサーバ3に送信したが、サーバ3におけるデータを車上において新たに実際に測定したデータに更新する要求が低い又は、データに求められるリアルタイム性が低い場合には、図10のS46に示すように、測定区間Zx毎に排気ガスの排出量VxをカーナビゲーションECU2がEEPROM又はデータベース9に記憶した後、S43の処理を、S44よりも後に位置させて、車両が経路を走行した後に一時にまとめて送信することとしても良い。あるいは、図11のS47、S43に示すように、IGOFFを検出した場合に、一時にまとめて送信することとしても良い。
【0142】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0143】
例えば、上述した実施例1及び実施例2においては、車両の現在位置を測定するにあたりGPSアンテナ5を用いたが、車両の現在位置を測定することが可能であれば、例えば携帯電話端末等を応用することも可能である。また、路車間通信を用いて車両の現在位置を測定することも可能である。
【0144】
また、上述した実施例1及び実施例2においては、排気ガスに関する情報に基づいて排出量を演算する演算手段を、カーナビゲーションECU2内部に備えたが、これをセンタのサーバ3に備えることももちろん可能である。
【0145】
この場合においては、送信手段2fの送信するデータは、図4に示した排出量Vxに換えて排気ガスに関する情報を含んだデータとなり、受信手段を構成する通信装置14がこのデータを受信した後、このデータを収集手段であるサーバ3が収集して、測定区間Zxに対応する地図情報のリンク毎に、同じく割り当て手段であるサーバ3が割り当てて記憶装置73に記憶する。
【0146】
なお、路車間通信を用いる場合においては、カーナビゲーションECU2とは別個の専用の排出量演算ECU15を車載機として、設定手段15c、測定手段15d、演算手段15e、送信手段15fを構成して、GPSアンテナ5、ヨーレートセンサ6、ステアリングセンサ7の替わりに、路車間通信機16を接続して、図12に示すような構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の排気ガス情報処理システム、排気ガス情報処理システム及び故障検出方法によれば、処理の煩雑化を招くことなく、隣接する交差点の間の道路毎の排気ガスの排出量を正確に求めることができる排気ガス情報処理システム、車載機、排気ガス情報処理方法を提供することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の一部を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態が適用される経路を示す模式図である。
【図4】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態が適用されるデータを示す模式図である。
【図5】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の一部を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態が適用される経路と対応する測定区間及び蓄積されるデータを示す模式図である。
【図7】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態が適用される経路と対応する測定区間及び蓄積されるデータを示す模式図である。
【図10】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る排気ガス情報処理システムの一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0149】
1 排気ガス情報処理システム
2 カーナビゲーションECU
2c 設定手段
2d 測定手段
2e 演算手段
2f 送信手段
3 サーバ(収集手段、割り当て手段)
4 基地局
5 GPSアンテナ
6 ヨーレートセンサ
7 ステアリングセンサ
8 受信機
9 データベース
10 ディスプレイ
11 排気ガスセンサ
12 エンジンECU
13 ABS
14 通信装置
15 排出量演算ECU
16 路車間通信機
71 CPU
72 主記憶装置
73 記憶装置
74 表示装置
75 入力装置
76 ドライブ装置
77 通信装置(受信手段)
78 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段を備えることを特徴とする排気ガス情報処理システム。
【請求項2】
前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項3】
前記演算手段が、前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算することを特徴とする請求項2に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項4】
前記演算手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項5】
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集手段が、前記演算手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項6】
前記排気ガスが、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項7】
センタを備えるとともに、当該センタが前記収集手段を含むことを特徴とする請求項〜6のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項8】
前記車両に搭載される車載機を備えるとともに、当該車載機が前記設定手段と前記測定手段を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項9】
前記車載機が、前記演算手段と、前記演算手段の演算した前記排出量を送信する送信手段を備えるとともに、前記センタが、前記送信手段の送信した前記排出量を受信する受信手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項10】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記演算手段の演算した前記排出量を送信する送信手段と、前記送信手段の送信した前記排出量を受信するセンタの受信手段と、前記受信手段から、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集するセンタの収集手段を備えることを特徴とする排気ガス情報処理システム。
【請求項11】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記排出量を送信する送信手段とを備える車載機と、
前記排出量を受信する受信手段と、前記排出量を収集する収集手段と、前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当て手段を備えるセンタを備えることを特徴とする排気ガス情報処理システム。
【請求項12】
前記受信手段は複数の前記車載機の備える前記送信手段から送信される前記排出量を受信することを特徴とする請求項11に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項13】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定手段と、前記排気ガスに関する情報を送信する送信手段とを備える車載機と、
前記排気ガスに関する情報を受信する受信手段と、前記排気ガスに関する情報に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算手段と、前記排出量を収集する収集手段と、前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当て手段を備えるセンタを備えることを特徴とする排気ガス情報処理システム。
【請求項14】
前記受信手段は複数の前記車載機の備える前記送信手段から送信される前記排気ガスに関する情報を受信することを特徴とする請求項13に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項15】
前記演算手段が、前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算することを特徴とする請求項12又は14に記載の排気ガス情報処理システム。
【請求項16】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定手段と、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定手段を備えることを特徴とする車載機。
【請求項17】
隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定ステップと、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において実際に測定する測定ステップを備えることを特徴とする排気ガス情報処理方法。
【請求項18】
前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算ステップを備えることを特徴とする請求項17に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項19】
前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集ステップを備えることを特徴とする請求項18に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項20】
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集ステップが、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することを特徴とする請求項19に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項21】
前記請求項11〜15のいずれか一項に記載の排気ガス情報処理システムにおいて、隣接する交差点を結ぶ道路、又は、始端又は終端が交差点である道路を、測定区間に設定する設定ステップと、車両の排出する排気ガスに関する情報を前記測定区間毎に車上において測定する測定ステップを備えることを特徴とする排気ガス情報処理方法。
【請求項22】
前記排気ガスに関する情報と前記測定区間を前記車両が走行する時間に基づいて、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を演算する演算ステップを備えることを特徴とする請求項21に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項23】
前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集する収集ステップを備えることを特徴とする請求項22に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項24】
前記車両が前記測定区間の終端に位置する前記交差点を通過する時点において、前記収集ステップが、前記測定区間における前記車両の前記排気ガスの排出量を収集することを特徴とする請求項23に記載の排気ガス情報処理方法。
【請求項25】
前記排出量を前記測定区間に相当する地図情報のリンクに割り当てる割り当てステップを備えることを特徴とする請求項24に記載の排気ガス情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−282717(P2009−282717A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133588(P2008−133588)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】