説明

探傷方法および探傷装置

【課題】断面円形で周面が螺旋状に研磨などされた被検査材における各種の表面疵を確実に検出できる探傷方法、およびこれに用いる探傷装置を提供する。
【解決手段】断面円形で表面(周面)が螺旋状に研磨または研削された被検査材Wの探傷方法であって、係る被検査材Wの検査ラインLにおいて、法超音波探傷法、渦流探傷法、および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷を連続して行う、探傷方法。また、上記被検査材Wの検査ラインLに沿って隣接して配置した、超音波探傷装置2、渦流探傷装置10、およびCCDカメラ(光学式撮像手段)22を用いる表面疵探傷装置20と、係る3つの探傷装置2,10,20と接続されたシーケンサ(信号処理手段)30と、を含む、探傷装置1も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイスなどにより所定の直径である円形断面に一次加工された棒鋼などに対し、例えば、その表面に施される研磨などの二次加工により生じる表面疵などを、確実に検出するための探傷方法およびこれに用いる探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、耐熱鋼(JIS:SUH鋼種)からなる円柱形の素材を、ダイスに複数回通して徐々に縮径することで、所定の直径である円形断面に一次加工された棒鋼は、その表面を平滑にするなどのため、例えば、センターレスグランイダによる研磨や刃物による表面研削(ピーリング)などの二次加工が更に施される。
上記研磨や表面研削に伴って、棒鋼の表面(周面)に、螺旋方向に沿って幅や深さが数μm〜10数μm程度の極めて微細な加工疵(表面疵)が生じることがある。係る表面の加工疵を検出するため、二次加工された棒鋼を、目視により検査すると共に、更に特定の表面部分については、指先による触診(触爪)を行っている。このため、検査効率が低下し易いと共に、鋼種や二次加工の条件が変更されるごとに、検査精度にバラツキを生じるおそれがある、という問題があった。
【0003】
前記微細な加工疵を検出するため、外周面を円周方向に沿って研磨された被検査材に対し、その軸芯に直角な方向から乳白色拡散板を介して斜方照明し、係る照明光の反射方向に配置したCCDカメラにより、上記被検査材の外周面の照明反射部分を撮影し、その画像により表面欠陥を検出する表面検査方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記表面検査方法によれば、ステンレス鋼管において直径50μmで且つ深さ20μmの表面欠陥(表面疵)を検出できたことが特許文献1に記載されている。
しかしながら、上記表面検査方法では、前述した二次加工による幅や深さが数μm〜10数μm程度の極めて微細な加工疵を検出できないおそれがある。更に、上記直径や深さとは異なる形態の表面疵を確実に検出しにくかったり、被検査材の内部欠陥を連続して検査できないため、別の検査ラインを設置し且つ係るラインにまで搬送する必要があり、検査効率が低下する、という問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平4−122839号公報(第1〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、断面円形で周面(表面)が螺旋状に研磨などされた被検査材における各種の表面疵などを確実に検出できる探傷方法、およびこれに用いる探傷装置を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、異なる種類の表面探傷法を連続して行えるように、これらの探傷装置を被検査材の同じ検査ラインに隣接して配置する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の探傷方法(請求項1)は、断面円形で周面が螺旋状に研磨または研削された被検査材の探傷方法であって、前記被検査材の検査ラインにおいて、渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法を連続して行う、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、例えば、幅や深さが約50μm以上の表面疵は、渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法の双方によって検出できると共に、幅や深さが約20μm未満の表面疵については、光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法によって、同じ検査ラインで確実に検出することができる。従って、検査精度および検査効率を高めることが可能となる。
尚、前記被検査材には、各種直径または線径の棒鋼や線材などが含まれる。
また、前記渦流探傷法には、例えば、相互誘導形自己比較方式が用いられる。
更に、前記光学式撮像手段には、例えばCCDカメラが用いられ、これを用いる前記表面疵探傷法は、上記カメラで撮られた撮像を画像処理および信号処理するものである。加えて、前記「連続して」とは、可及的に少ない間隔で2つの探傷法を続けて行うことを意味している。
【0008】
また、本発明には、前記渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法の前、間、あるいは後で、超音波探傷法を、前記検査ラインにおいて連続して行う、探傷方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記広範囲の表面疵を検出すると共に、渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法の前・後、または、これらの中間で、被検査材の内部欠陥を、同じ検査ラインで併せて検出することができる。従って、検査精度および検査効率を一層高めることが可能となる。
尚、超音波探傷法には、垂直探傷法および斜角探傷法を含むギャップ法のほか、垂直探傷法および斜角探傷法が可能な局部水浸法なども含まれる。
【0009】
一方、本発明の探傷装置(請求項3)は、断面円形で周面が螺旋状に研磨または研削された被検査材の探傷装置であって、被検査材の検査ラインに沿って隣接して配置した渦流探傷装置、および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置と、上記2つの探傷装置と接続された信号処理手段と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、同じ検査ラインに沿って、渦流探傷装置と光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置とを隣接して配置している共に、これらにより得られた2種類の信号が共通の信号処理手段に接続されている。このため、2種類の探傷装置によって各種サイズの表面疵を確実に検出できると共に、それらの結果に基づき、共通の信号処理手段によって、表面疵の有無を判別することができる。従って、比較的少ない装置構成によって、被検査材の表面疵を精度良く確実に検出できると共に、検査ラインに要するスペースを低減することも可能となる。
【0010】
尚、光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置は、前記CCDカメラのほか、被検査材の表面にエアを吹き付けるブロワや、被検査材の表面を照射する光源を有する照明ライトなどを備えている。
また、前記検査ラインは、断面ほぼV字形の溝を有する無端ベルトと、係る無端ベルトの上記溝内を軸方向に沿って送給される被検査材の上側の周面に接触する平坦な断面板形状の無端ベルトと、を備えている。
更に、前記信号処理手段には、シーケンサ、コントローラ、あるいは、パソコンを含むコンピュータなどなどが含まれ、2種類の探傷装置ごとによる表面疵の有無を所定のしきい値と判別する機能や係る結果を出力する機能を備えている。
【0011】
また、本発明には、前記渦流探傷装置、および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置のほかに、更に、前記被検査材の検査ラインに沿って超音波探傷装置を、上記渦流探傷装置および上記表面疵探傷装置の少なくとも一方に隣接して配置すると共に、上記超音波探傷装置も前記信号処理手段に接続されている、探傷装置(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記広範囲の表面疵および内部欠陥の双方を同じ検査ラインで連続して検出できると共に、渦流探傷装置や光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置に隣接して、超音波探傷装置を同じ検査ラインに配置しているため、検査効率を高め、且つ検査ラインのスペースを低減することも可能となる。
尚、上記超音波探傷装置には、ギャップ法における垂直探傷法および斜角探傷法の少なくとも一方に用いるアレイ探触子、あるいは局部水浸法に用いる水室およびアレイ探触子が含まれている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の探傷装置1を含む検査ラインLの概略を示す側面図である。
検査ラインLは、図1で左右方向に沿って直線状に配置された複数の搬送コンベアK1〜K3と、コンベアK1の上方に対向して配置したピンチコンベアK4と、を備えている。係る搬送コンベアK1〜K3とピンチコンベアK4とは、複数のローラrとこれらの外周に沿って巻き付けた無端ベルトv,v0とからなる。
図1の左上方の断面図で示すように、搬送コンベアK1〜K3の無端ベルトvは、外周面の中央部に断面ほぼV字形の溝gを有し、ピンチコンベアK4の無端ベルトv0は、断面がほぼ平板形状である。そして、表面疵などの有無を検査すべき被検査材Wを無端ベルトvの溝gに挿入・支持しつつ、係る被検査材Wを無端ベルトv0の外周面で挟み込むことで、当該被検査材Wを非回転としつつ、その軸方向(図1で左右方向)に沿って、一定の速度で搬送可能としている。
【0013】
被検査材Wは、例えば、耐熱鋼(SUH鋼種)からなり、複数のダイスを通して伸線加工(一次加工)されることで、直径が約7〜10mmの断面円形を呈する長尺な棒鋼である。係る被検査材Wは、表面のスケールなど除去するため、図示しないセンタレスグラインダによる研磨、あるいは回転する複数の刃物による表面研削(ピーリング)などの二次加工を周面全体に螺旋状に施されている。
上記二次加工により直径が約6〜9mmとなった際に、図1に示すように、被検査材Wの軸方向に沿って順次加工された跡である螺旋形状の筋yが表面(周面)に現れることがある。係る螺旋形状の筋yは、極く僅かな凹凸に基づく光沢による場合と、上記二次加工の際に、被検査材Wの表面に新たに形成された表面疵に基づく場合とがある。尚、被検査材Wの内部には、上記耐熱鋼の溶製材に含まれていたり、係る溶製材を一次加工した際に生じた内部欠陥(例えば、非金属介在物や空孔)が含まれている場合もある。
【0014】
図1に示すように、探傷装置1は、被検査材Wの検査ラインLに沿って隣接して配置した超音波探傷装置2、渦流探傷装置10、および光学式撮像手段22を用いる表面疵探傷装置20と、これらと個別に接続されたシーケンサ(信号処理手段)30とを備えている。
超音波探傷装置2は、図1に示すように、検査ラインL沿って隣接して配置したギャップ法による垂直探傷法用のアレイ探触子(プローブ)3、および斜角探傷法用のアレイ探触子(プローブ)4と、これらを制御するコントローラ9と、係るコントローラ9の操作盤k1とを備えている。
上記アレイ探触子3,4は、図2,図3に示すように、底面が開口する箱形のケース5、その内側に流水路5aを介して内蔵された圧電体6、および係る圧電体6の底面に突設された複数の圧電素子7を備えている。ケース5にはホース8が接続され、係るホース8から給水された水は、流水路5aを経て複数の圧電素子7の先端面側に回り込み、被検査材Wの表面fとの間に水膜(図示せず)を形成する。
【0015】
垂直探傷法用のアレイ探触子3では、図2中の細い矢印の長さで示すように、圧電素子7ごとから1秒間に例えば1000回程度発信する複数の超音波hを、被検査材Wの表面fに同時に到達するように発信のタイミングを制御している。図2中の一点鎖線の矢印で示すように、複数の超音波hは、表面fから被検査材Wの内部に直角に入射する。係る複数の超音波hは、互い干渉せず且つ合成された単一の超音波(H)となって、被検査材Wの中心部付近に伝搬する。係る伝搬の過程で、上記超音波が被検査材Wの内部欠陥(図示せず)に達すると、当該内部欠陥による反射エコーが複数の圧電素子7とコントローラ9を経て、前記シーケンサ30に送信される。因みに、被検査材WがSUH鋼種からなり、センタレスグラインダで表面が研磨された直径が約7mmの棒鋼の場合で、且つ内部欠陥が非金属介在物の場合、約数10μmのサイズのものが検出された。
【0016】
一方、斜角探傷法用のアレイ探触子4では、図3中の細い矢印の長さで示すように、圧電素子7ごとから前記頻度で発信する複数の超音波hごとの発信タイミングをずらすことで、複数の超音波hが被検査材Wの表面fに同時に到達する。図3中の一点鎖線の矢印で示すように、複数の超音波hは、被検査材Wの表面fから斜めに内部に入射し、互い干渉せず且つ合成された単一の超音波Hとなり、当該被検査材Wの表面fに反射しつつ、被検査材W内の表層付近に伝搬する。係る伝搬の過程で、超音波が被検査材Wの内部欠陥(図示せず)に達すると、前記同様に前記シーケンサ30に送信される。
【0017】
シーケンサ30では、斜角探傷法用のアレイ探触子3,4からの欠陥を含む反射エコーの信号を受信すると、例えば、係る信号の周波数と記録部に格納された周波数のしきい値とが比較され、許容公差の範囲内であるか否かを判別して記録すると共に、例えばモニタ32に表示される。
尚、超音波探傷装置2において、垂直探傷法用のアレイ探触子3と斜角探傷法用のアレイ探触子4との配置を互いに逆にしても良い。あるいは、単一のアレイ探触子によって、垂直探傷法と斜角探傷法とを交互に行うようにしても良い。
【0018】
前記超音波探傷装置2のアレイ探触子3,4による垂直探傷法と斜角探傷法とを受けた被検査材Wは、図1に示すように、検査ラインLに沿って送給され、渦流探傷装置10側に送られる。係る渦流探傷装置10は、被検査材Wの表面fに接近して配置したプローブPと、係るプローブPを制御するコントローラ12と、係るコントローラ12の操作盤k2とを備えている。
プローブPは、図4に示すように、軟磁性材からなる円柱形のコアCと、係るコアCの基端側に巻き付けた励磁コイルc3と、係るコアCの先端面から軸方向に沿って形成されたスリットsと、係るスリットsを挟んだコアCの2つの先端部に互いに逆向きに巻き付けた一対の検出コイルc1,c2と、を備えている。
【0019】
図4に示すように、被検査材Wの表面fに先端面が接近するように配置したプローブPにおいて、交流電流を上記励磁コイルc3に通電すると、係る励磁コイルc3の軸心方向に沿って形成される磁界に基づく電磁誘導作用により、対向する被検査材Wの表面fに渦電流が流れる。
被検査材Wの表面fにおいて、表面疵がない部分では、ほぼ同心円状の渦電流(図示せず)が形成され、係る渦電流も被検査材Wの表面f付近で新たな磁界を形成するため、一対の検出コイルc1,c2に誘導電流を生じさせる。この際、係る検出コイルc1,c2の両端ごとに生じる電圧v1,v2の値は、互いに等しくなる。係る電圧v1,v2の信号は、コントローラ12を経て、前記シーケンサ30に送信され、互いに比較されることで、表面疵のないことが検出される。
【0020】
一方、図4に示すように、被検査材Wの表面(周面)fに表面疵kがある部分では、係る表面疵kを迂回するように窪んだ形の渦電流eが形成される。この際、係る渦電流eの窪んだ部分に接近する検出コイルc2と、比較的離れて位置する検出コイルc1とに個別に誘導される2つの電流および電圧v2,v1は、互いに相違したものとなる。係る電圧v2,v1の値の信号は、コントローラ12を経て、前記シーケンサ30に送信され、両者の差が記録部に格納されたしきい値と比較される。そして、電圧v1,v2の差が、許容公差の範囲内であるか否かを判別して記録されると共に、例えば、前記モニタ32に表示される。
因みに、以上のような渦流探傷装置10では、被検査材WがSUH鋼種からなり、センタレスグラインダで表面が研磨された直径が約7mmの棒鋼の場合、幅や深さが約数10μmの表面疵kを検出することが可能であった。また、渦流探傷装置10は、複数のプローブPを被検査材Wの周囲に対称に配置したり、あるいは、係る複数のプローブPを図示しない回転テーブルに配置し、係る回転テーブルの中心部に被検査材Wが通過する貫通孔を設けても良い。
【0021】
前記超音波探傷装置2による垂直探傷法および斜角探傷法と、前記渦流探傷装置10による渦流探傷法とを受けた被検査材Wは、図1に示すように、検査ラインLに沿って送給され、CCDカメラ(光学式撮像手段)22を用いる表面疵探傷装置20側に送られる。係る表面疵探傷装置20は、検査ラインLに沿って配置されたエアブロワ23、CCDカメラ22、および照明ライト25を備えている。上記エアブロワ23は、送風機24から送給されたエアを被検査材Wの表面fに吹き付け、塵埃などを除去することで、誤った画像の撮影を防いでいる。また、CCDカメラ22の焦点軸は、被検査材Wの径方向に沿うように配置され、表面疵を含む被検査材Wの表面fの画像を撮影する。
【0022】
更に、図1に示すように、照明ライト25は、発光ダイオード(LED)を光源とし、被検査材Wの表面fに対し、斜めに光を照射することで、表面疵を含む被検査材Wの表面fの画像に陰影(濃度)を与えている。係る照明ライト25には、電源27からの電流が変圧器26を介して給電されている。係る変圧器26、上記CCDカメラ22、およびエアブロワ23の送風機24は、これらを制御するコントローラ28に接続され、係るコントローラ28は、これを操作する操作盤k3とモニタ29とを備えると共に、前記シーケンサ30とも接続されている。
表面疵探傷装置20では、図5に示すように、前記検査ラインLに沿って送給された被検査材Wの表面fに対し、エアブロワ23からエアを吹き付けて、付着していた塵埃を除去した後、照明ライト25から照射された光が反射する当該被検査材Wの表面fを、CCDカメラ22により連続して撮影する。
【0023】
CCDカメラ22では、図6に示すように、検査可能な視野の範囲内において、被検査材Wの移動方向と直角なサイズSyおよび平行なサイズSxを有する多数のセグメント(検査枠)Sとして、順次撮影される。各セグメントSは、前後に隣接するセグメントSnとの間で、互いに被検査材Wの移動方向に4分の1(a〜d)ずつ重複している。例えば、図6では、左端のセグメントS1と右端のセグメントS5との間に3つのセグメントS2〜S4が4分の1ずつ重複しつつ撮影される。この際、互いに隣接し合うセグメントS1,S2〜S4,S5ごとの4組のセグメント間の平均濃度(輝度)を計測した後、最大と最少との濃度差を演算する。係る濃度差と予め決定された表面疵のしきい値とを比較(信号処理)し、濃度差の値がしきい値以上であった場合、当該濃度差が撮像されたセグメントSn,Sn+1の組に表面疵があることが記録される。
【0024】
前記計測、演算、および比較は、前記コントローラ28において行われると共に、例えば、表面疵があった表面(部分)fについては、前記モニタ29にも表示される。尚、係る計測、演算、および比較処理の一部または全部は、コントローラ28を介して、前記シーケンサ30において行うようにしても良い。
因みに、以上のような表面疵探傷装置20では、被検査材WがSUH鋼種からなり、センタレスグラインダで表面が研磨された直径が約7mmの棒鋼である場合、幅や深さが約10μmの表面疵を検出することができた。
また、CCDカメラ22を用いる表面疵探傷装置20は、検査ラインLに沿って被検査材Wの異なる径方向に沿って、複数個を併設することにより、被検査材Wの全表面(全周面)における表面疵を確実に検出することが可能となる。
【0025】
以上のような探傷装置1およびこれを用いた探傷方法によれば、被検査材Wの断面内における各種の位置に内在する内部欠陥の検出と共に、係る被検査材Wの表面fに研磨などの二次加工により形成された約10〜数10μmの表面疵kの検出も、連続して精度良く行うことが可能となる。しかも、単一の検査ラインLにおいて、上記内部欠陥および表面疵の双方を検出できるため、検査用のスペースや検査ライン間の搬送作業を省略することも可能となる。更に、前記シーケンサ30は、超音波探傷装置2、渦流探傷装置10、および表面疵探傷装置20と接続されており、前記内部欠陥や表面疵の有無を比較・判別する信号処理を、単一のシーケンサ30で行えるので、設備コストを低減することも可能である。
【0026】
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、前記検査ラインLに沿って配置する前記超音波探傷装置2、渦流探傷装置10、および表面疵探傷装置20の配置順序は、任意に変更しても良い。
また、前記超音波探傷装置2において、ギャップ法用の前記アレイ探触子3,4に替えて、局部水浸法用のアレイ探触子を用いても良い。
更に、前記シーケンサ30として挙げた信号処理手段は、コントローラやパソコンなどのコンピュータに置き換えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の探傷装置の概略を示す側面図。
【図2】上記探傷装置中の超音波探傷装置およびその垂直探傷法を示す概略図。
【図3】上記超音波探傷装置の斜角探傷法を示す概略図。
【図4】前記探傷装置中の渦流探傷装置および渦流探傷法を示す概略図。
【図5】前記探傷装置中の表面疵探傷装置およびその探傷法を示す概略図。
【図6】上記表面疵探傷法の撮像ステップを示す概略図。
【符号の説明】
【0028】
1……探傷装置
2……超音波探傷装置
10…渦流探傷装置
20…表面疵探傷装置
22…CCDカメラ(光学式撮像手段)
30…シーケンサ(信号処理手段)
L……検査ライン
W……被検査材
f……表面(周面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形で周面が螺旋状に研磨または研削された被検査材の探傷方法であって、
上記被検査材の検査ラインにおいて、渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法を連続して行う、
ことを特徴とする探傷方法。
【請求項2】
前記渦流探傷法および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷法の前、間、あるいは後で、超音波探傷法を、前記検査ラインにおいて連続して行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の探傷方法。
【請求項3】
断面円形で周面が螺旋状に研磨または研削された被検査材の探傷装置であって、
上記被検査材の検査ラインに沿って隣接して配置した渦流探傷装置、および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置と、
上記2つの探傷装置と接続された信号処理手段と、を含む、
ことを特徴とする探傷装置。
【請求項4】
前記渦流探傷装置、および光学式撮像手段を用いる表面疵探傷装置のほかに、更に、前記被検査材の検査ラインに沿って超音波探傷装置を、上記渦流探傷装置および上記表面疵探傷装置の少なくとも一方に隣接して配置すると共に、
上記超音波探傷装置も前記信号処理手段に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の探傷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−309690(P2007−309690A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136674(P2006−136674)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】