説明

接着剤組成物、フィルム状接着剤、接着シート及び半導体装置

【課題】低温での貼り付け性及び耐熱性の両方を十分に優れたものとできる接着剤組成物を提供する。
【解決手段】カルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂と、エポキシ基を1以上有するエポキシ樹脂との反応により得られる変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物、該組成物をフィルム状に成形してなるフィルム状接着剤および支持基材と、その支持基材上に形成された前記フィルム状接着剤とを備える接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、フィルム状接着剤、接着シート及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子をリードフレーム等の半導体素子搭載用支持部材に接着するためのダイボンディング層を形成するダイボンディング用接着剤としては、銀ペーストが主に使用されていた。しかし、銀ペーストの場合、近年の半導体素子の大型化や、半導体パッケージの小型化及び高性能化に伴って、ぬれ広がり性によるダイボンボンディング後のはみ出し、半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時の不具合の発生、ダイボンディング層の膜厚精度の不足、及びダイボンディング層におけるボイド等の問題が生じやすくなるために、半導体パッケージの小型化及び高性能化のための支持部材の小型化及び細密化の要求を満足することが困難となっていた。そこで、近年、支持部材の小型化及び細密化に対して有利な、フィルム状接着剤がダイボンディング用の接着剤として広く用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。このフィルム状接着剤は、例えば、個片貼付け方式やウエハ裏面貼付方式の半導体パッケージ(半導体装置)の製造方法において使用される。
【0003】
個片貼付け方式においては、リール状のフィルム状接着剤をカッティング又はパンチングによって個片に切り出して支持部材に接着した後、支持部材上のフィルム状接着剤を介して、ダイシングによって個片化された半導体素子を支持部材に接着(ダイボンディング)する。その後、ワイヤボンド工程、封止工程などを経て半導体装置が製造される(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この個片貼付け方式の場合、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着するための専用の組立装置が必要となるために、銀ペーストを使用する場合に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
一方、ウエハ裏面貼付け方式においては、半導体ウエハの裏面にフィルム状接着剤を貼り付け、貼り付けられたフィルム状接着剤の上にダイシングテープを貼り付けた後、半導体ウエハをダイシングによって個片化することによりフィルム状接着剤付きの半導体素子を得、これをピックアップして支持部材に接着(ダイボンディング)する。その後、ワイヤボンド工程、封止工程などを経て半導体装置が製造される。このウエハ裏面貼付け方式の場合、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着するための専用の組立装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのまま用いるか、又はこれに熱盤を付加するなどの部分的な改造を施した装置を用いて行うことができる。そのため、フィルム状接着剤を用いた組立方法の中では、製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
ところで、最近になって、多機能化のために支持部材に複数の半導体素子が積層された、いわゆる3Dパッケージの半導体装置が急増している。そして、このような3Dパッケージの半導体装置においても、半導体装置全体の厚さを薄くすることが求められるため、半導体ウエハの更なる極薄化が進行している。
【0006】
半導体ウエハの更なる極薄化にともなって、上記のようなウエハ裏面貼り付け方式による半導体装置の製造においても、半導体ウエハの搬送時や半導体ウエハ裏面へフィルム状接着剤を貼り付ける時のウエハ割れの発生の問題が顕在化してきている。そこで、このウエハ割れを防止するために、例えば、半導体ウエハ表面にポリオレフィン系の保護テープ(バックグラインドテープ)を貼り合わせる手法が広く採用されている。
【0007】
しかし、バックグラインドテープの軟化温度は一般に100℃以下であるため、バックグラインドテープを用いる場合、フィルム状接着剤には、100℃よりも低い温度で半導体ウエハ裏面への貼り付けが可能であることが求められる。また、半導体ウエハの極薄化にともなって、熱応力による半導体ウエハの反りが発生しやすくなるため、この反りの抑制の点からも、できるだけ低温での貼り付けが可能なフィルム状接着剤が強く求められている。更に、フィルム状接着剤には、ダイシング後のピックアップ性を確保するため、ダイシングテープからの良好な易剥離性を有することが求められる。
【0008】
このような、低温での貼り付け性やダイシングテープからの易剥離性といった、半導体装置の製造における良好なプロセス性を確保するための特性の他、半導体装置としての信頼性を確保するため、フィルム状接着剤には、十分な耐熱性、耐湿性及び耐リフロー性を有することも求められる。このうち耐リフロー性を確保するためには、260℃前後のリフロー加熱温度において、ダイボンド層の剥離又は破壊を抑制できる高い接着強度を有することがフィルム状接着剤に要求される。このように、フィルム状接着剤には、低温での貼り付け性を含むプロセス性、並びに耐リフロー性を含む半導体装置の信頼性の両方を優れたものとすることが求められており、その要求は日々強くなっている。
【0009】
これまで、耐リフロー性を確保するために必要とされる耐熱性及び低温加工性の両方に優れた接着剤として、比較的ガラス転移温度が低いポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせたフィルム状接着剤が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。この特許文献によると、低分子量かつ低粘度の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂の配合比を高めることにより、フィルム状接着剤のBステージにおける低温加工性、並びに、Cステージにおける耐熱性をいずれも優れたものとすることができる旨、述べられている。
【特許文献1】特開平3−192178号公報
【特許文献2】特開平4−234472号公報
【特許文献3】特開平9−17810号公報
【特許文献4】特開平4−196246号公報
【特許文献5】特許第3014578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、フィルム状接着剤中のエポキシ樹脂が多くなると、熱応力も増大する。また、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とは一般的に相溶性が良好ではないため、エポキシ樹脂を多く配合すると、乾燥状態において相分離の生じない均一相の樹脂系を得るのが困難となる。そのために、かかるフィルム状接着剤は接着信頼性や品質の安定化を阻害してしまう。このように、異なる種類の樹脂を単に配合して、その配合比の最適化によりフィルム状接着剤のプロセス性及び信頼性を共に良好にするには限界がある。
【0011】
ところで、半導体素子を搭載する支持部材が、表面に配線が施された配線付き有機基板のような、配線の段差等に起因する凹凸表面を有するものである場合、ダイボンディング用のフィルム状接着剤等によって形成されるダイボンディング層が、その凹凸表面の凹部を十分に充填する(埋め込む)必要がある。この充填は、半導体装置の耐湿信頼性及び配線間の絶縁信頼性を確保するために極めて重要である。通常、半導体装置の組立プロセスにおいては、ダイボンディング時の熱及び圧力、あるいは、封止材をトランスファモールドする際の熱及び圧力により、ダイボンディング層を流動させて支持部材表面の凹部に充填させる。したがって、ダイボンディング層には、Bステージにおいて、支持部材表面の凹部を十分に充填するための適度な熱時流動性(加熱した際の流動性)が求められる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、Bステージにおける優れた低温での貼り付け性及び適度な熱時流動性、並びに、Cステージにおける優れた耐熱性の全てを十分に達成できる接着剤組成物、フィルム状接着剤及び接着シート、並びにこれらを用いて作製した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、カルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂と、エポキシ基を1以上有するエポキシ樹脂との反応により得られる変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物を提供する。
【0014】
この本発明の接着剤組成物は、アミドイミド骨格及びエポキシ骨格の両方を一分子内に有する変性アミドイミド樹脂を含有するものである。この接着剤組成物は、硬化前(Bステージ)においては可塑剤または熱可塑性樹脂として作用するため、低温での良好な貼り付け性、及び熱時流動性を発現する。一方、硬化後(Cステージ)においては、エポキシ基間の反応、又はエポキシ基とアミドイミド基との間の反応による架橋によって、高温領域での熱流動が抑制されるため、あるいは、アミドイミド構造に起因する高い熱分解温度の相乗効果によって、高い耐熱性を発現できる。さらに、本発明に係る変性アミドイミド樹脂は、一分子内に上記の両骨格を有するため、従来のポリイミドとエポキシ樹脂との2成分からなる樹脂系の乾燥状態における相分離の問題を解消できる。それに加えて、上述の樹脂系に本発明の変性アミドイミド樹脂を配合した場合、その変性アミドイミド樹脂が相溶化剤として作用するため、比較的相分離が生じ難い均一相の樹脂系を得ることができる。これらの結果、本発明の接着剤組成物は安定した特性が得られ、上記目的を達成することができる。
【0015】
また、本発明の接着剤組成物は、上記低温での貼り付け性、熱時流動性、並びに耐熱性の他、半導体組立プロセスの効率化に寄与できる多様な特性を高いレベルで満足することができる。例えば、本発明の接着剤組成物は、上述の変性アミドイミド樹脂の構造及び分子量の調整、さらにフィラー等の他成分の配合によって粘着性を制御できるため、ダイシングシートに一旦貼り付けた後の易剥離性を付与することができる。
【0016】
さらに本発明の接着剤組成物は、耐リフロー性などの耐熱性といった半導体装置の信頼性に繋がる特性も良好である。これは、本発明の接着剤組成物がBステージにおいて上述のとおり適度な熱時流動性を有しており、支持部材表面の凹部を十分に充填でき、かつCステージでの変性アミドイミド樹脂の硬化、架橋構造形成により、高温時の熱流動が抑制されるためである。また、本発明に係る変性アミドイミド樹脂のアミドイミド構造に起因する高い接着性も、高信頼性に寄与できる。
【0017】
本発明の接着剤組成物において、上述の変性アミドイミド樹脂は、アミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを、カルボキシル基に対するエポキシ基のモル比が1以上となる配合比で反応させて得られるものであると好適である。かかる変性アミドイミド樹脂は、その両末端にエポキシ基を有しやすくなる。そのため、この本発明の接着剤組成物は、上述の反応基に起因して、Cステージでの架橋構造を形成し、高い耐熱性を有することができる。
【0018】
本発明の接着剤組成物において、アミドイミド樹脂は、ジアミンとトリカルボン酸無水物とを、ジアミンが有するアミノ基に対するトリカルボン酸無水物が有するカルボキシル基のモル比が1超となる配合比で反応させて得られるものであると好ましい。これにより、アミドイミド樹脂は、その両末端により確実にカルボキシル基を有しやすくなる。かかる接着剤組成物は、更に確実に所望の特性を示すことができる。
【0019】
同様の観点から、本発明の接着剤組成物において、上記アミドイミド樹脂は下記一般式(1)で表される樹脂を含むと好適である。
【0020】
【化1】


ここで、式(1)中、Rは2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示し、nは正の整数を示し、kは0〜3の整数を示す。複数のR及びRは、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。
【0021】
更に同様の観点から、一般式(1)で表される樹脂は、下記一般式(1a)で表される樹脂であると好ましい。
【0022】
【化2】


ここで、式(1a)中、R及びnは上記一般式(1)におけるものと同義である。
【0023】
本発明の接着剤組成物において、上述の変性アミドイミド樹脂は、下記一般式(2)で表される樹脂を含むことが好ましい。このような樹脂を含有する接着剤組成物は、Bステージにおける低温での貼り付け性及び耐熱性の両特性を向上させることが可能となる。
【0024】
【化3】


ここで、式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、n及びmはそれぞれ独立に正の整数を示す。複数のR及びRは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
本発明による目的を更に有効かつ確実に達成する観点から、上述の変性アミドイミド樹脂は、重量平均分子量が1000〜200000であると好ましく、Bステージにおいて、ガラス転移温度が100℃以下、かつ、260℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以下であり、Cステージにおいて、260℃での貯蔵弾性率が0.001MPa以上、かつ、熱重量分析による重量減少率が5%となる温度が260℃以上であるとより好ましい。
【0026】
本発明の接着剤組成物は、Bステージでの低温貼り付け性、Bステージでの熱時流動性、及びCステージでの耐熱性を十分優れたものとすることができるため、半導体素子を支持部材に接着させるために用いられると特に好適である。
【0027】
本発明は、上記接着剤組成物をフィルム状に成形してなるフィルム状接着剤を提供する。また、本発明は、支持基材と、その支持基材の主面上に形成された上述のフィルム状接着剤とを備える接着シートを提供する。これらのフィルム状接着剤及び接着シートは本発明の接着剤組成物を用いているため、低温での貼り付け性、熱時流動性、及びCステージでの耐熱性に十分優れたものである他、本発明の接着剤組成物による上記効果を奏することもできる。上述の支持基材はダイシングシートであってもよい。
【0028】
本発明は、支持部材に少なくとも1つの半導体素子が搭載された半導体装置であって、上記支持部材及び上記半導体素子を接着しているダイボンディング層、並びに2つの上記半導体素子同士を接着しているダイボンディング層のうち少なくとも一方が、上述の接着剤組成物から形成されるダイボンディング層である半導体装置を提供する。この本発明の半導体装置は、本発明の接着剤組成物により形成されたダイボンディング層を備えていることにより、十分な信頼性を有する。特に、この半導体装置は加熱時の優れた接着強度及び耐湿性を示すものとなる。また、本発明の半導体装置は、その製造において良好なプロセス性を確保することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、低温での貼り付け性、凹凸を有する支持部材への良好な埋め込み性、及びCステージでの耐熱性を十分に優れたものとできる接着剤組成物、フィルム状接着剤及び接着シート、並びにこれらを用いて作製した半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0031】
図1は、本発明の好適な実施形態に係るフィルム状接着剤を示す模式断面図である。フィルム状接着剤1は、変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物をフィルム状に成形してなるものである。フィルム状接着剤1の厚みは、1〜100μm程度であることが好ましい。フィルム状接着剤1を保存及び搬送する際には、幅1〜20mm程度のテープ状や、幅10〜50cm程度のシート状とし、巻き芯に巻きつけた状態とすることが好ましい。これにより、フィルム状接着剤1の保管や搬送が容易となる。
【0032】
図2は、本発明の好適な実施形態に係る接着シートを示す模式断面図である。接着シート20は、支持基材である基材フィルム2と、その両主面上に設けられた接着層としてのフィルム状接着剤1とを備える。基材フィルム2としては、フィルム状接着剤1を形成する際の加熱に耐えるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、メチルペンテンフィルム等を好適に用いることができる。基材フィルム2はこれらのフィルムの2種以上を組み合わせた多層フィルムであってもよい。また、基材フィルム2の表面はシリコーン系、シリカ系等の離型剤で処理されていてもよい。
【0033】
フィルム状接着剤1は接着剤組成物から得られる。この接着剤組成物は、特定のアミドイミド樹脂と特定のエポキシ樹脂との反応により得られる変性アミドイミド樹脂を含有するものである。以下、この接着剤組成物について詳細に説明する。
【0034】
この接着剤組成物に含有される変性アミドイミド樹脂は、末端にカルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂と、末端にエポキシ基を1以上有するエポキシ樹脂との反応により得られる。
【0035】
上述のアミドイミド樹脂は、例えば、ジアミンとトリカルボン酸無水物とを常法により反応させて得られる。
【0036】
ジアミンとしては、分子内にシロキサン骨格を有するシロキサンジアミン、分子内に芳香環を有する芳香族ジアミン(ただし、上記シロキサンジアミンを除く。)、分子内に脂肪族環を有する脂環式ジアミン(ただし、上記各ジアミンを除く。)、分子内に脂肪族エーテル骨格を有する脂肪族エーテルジアミン(ただし、上記各ジアミンを除く。)、並びに、分子内に非環脂肪族骨格を有する脂肪族ジアミン(ただし、上記各ジアミンを除く。)が挙げられる。これらのジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0037】
シロキサンジアミンとしては、例えば、下記一般式(I)で表されるジアミンが挙げられる。
【化4】


ここで、式(I)中、R11及びR16は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基又は置換基を有してもよいフェニレン基を示し、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を示し、p1は1〜50の整数を示す。
【0038】
より具体的には、上記p1が1であるシロキサンジアミンとして、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェノキシ−1,3−ビス(4−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(2−アミノエチル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノブチル)ジシロキサン及び1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシ−1,3−ビス(4−アミノブチル)ジシロキサンが挙げられる。
【0039】
また、上記p1が2であるシロキサンジアミンとして、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(4−アミノフェニル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(2−アミノエチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(4−アミノブチル)トリシロキサン、1,1,5,5−テトラメチル−3,3−ジメトキシ−1,5−ビス(5−アミノペンチル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサン、及び1,1,3,3,5,5−ヘキサプロピル−1,5−ビス(3−アミノプロピル)トリシロキサンが挙げられる。
【0040】
さらには、上記p1が3〜50であるシロキサンジアミンとして、下記式(Ia)、(Ib)及び(Ic)で表されるジアミンが挙げられる。
【化5】

【0041】
上記シロキサンジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0042】
芳香族ジアミンとしては、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸、及び2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンが挙げられる。これらの芳香族ジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0043】
脂環式ジアミンとしては、例えば1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサンが挙げられる。
【0044】
脂肪族エーテルジアミンとしては、例えば、下記式(II)及び(III)で表されるジアミンが挙げられる。
【化6】


ここで、式(II)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基を示し、p2は2〜80の整数を示す。また、式(III)中、p3は0〜80の整数を示す。
【0045】
上記一般式(II)で表される脂肪族エーテルジアミンの具体例としては、下記各構造式で表されるジアミンが挙げられる。
【化7】


なお、上記各構造式中、nは上記一般式(II)におけるp2と同義である。
【0046】
上述の脂肪族エーテルジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0047】
脂肪族ジアミンとしては、例えば、下記式(IV)で表されるジアミンが挙げられる。
N−(CHp4−NH (IV)
ここで、式(IV)中、p4は5〜20の整数を示す。
【0048】
脂肪族ジアミンの具体的としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン及び1,12−ジアミノドデカンが挙げられる。
【0049】
上記脂肪族ジアミンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0050】
上述のジアミンの中では、変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物のTgを100℃以下に調整しやすい観点から、上記一般式(III)で表されるジアミンが好ましい。このようなジアミンは、サンテクノケミカル社製のジェファーミンD−230、同D−400、同D−2000、同D−4000、同ED−600、同ED−900、同ED−2001及び同EDR−148(以上商品名)、並びに、BASF社のポリエーテルアミンD−230、同D−400及び同D−2000(以上商品名)の市販品として入手可能である。
【0051】
ジアミンが上記一般式(III)で表されるジアミンを含む場合、この特定のジアミンの含有割合は、ジアミンの総量に対して1〜80モル%であることが好ましく、5〜60モル%であるとより好ましい。この特定のジアミンの含有割合が1モル%を下回ると、フィルム状接着剤に低温接着性及び熱時流動性を付与することが困難になる傾向にある、また、この特定のジアミンの含有割合が80モル%を超えると、得られる接着剤組成物のTgが低くなり、フィルム状接着剤の自己支持性が低減する可能性が高くなる傾向にある。
【0052】
トリカルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ペンタン−1,2,5−トリカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸無水物、シクロペンタジエニル−3,4,4−トリカルボン酸無水物、シクロペンタジエニル−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸無水物、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,5−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−2,3,5−トリカルボン酸無水物、ナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、3,4,4’−ジフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ジフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,3’−ジフェニルスルホントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,3’,4−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、ペリレン−3,4,9−トリカルボン酸無水物、2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−(3−カルボキシフェニル)プロパン無水物、2−(2,3−ジカルボキシフェニル)−2−(3−カルボキシフェニル)プロパン無水物、1−(2,3−ジカルボキシフェニル)−1−(3−カルボキシフェニル)エタン無水物、1−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1−(4−カルボキシフェニル)エタン無水物、(2,3−ジカルボキシフェニル)−(2−カルボキシフェニル)メタン無水物、2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)−5−(3’−カルボキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール無水物、2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)−5−(4’−カルボキシジフェニルエーテル)−1,3,4−オキサジアゾール無水物、2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)−5−カルボキシベンゾイミダゾール無水物、2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)−5−カルボキシベンゾオキサゾール無水物、2−(3’,4’−ジカルボキシフェニル)−5−カルボキシベンゾチアゾール無水物及び2,3,5−ビリジントリカルボン酸無水物が挙げられる。これらの中でも、優れた耐湿信頼性をフィルム状接着剤に付与できる点で、下記式(V)で表されるベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物が特に好ましい。
【化8】

【0053】
上述のトリカルボン酸無水物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0054】
末端にカルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂は、上述のジアミンとトリカルボン酸無水物とを、ジアミンが有するアミノ基に対するトリカルボン酸無水物が有するカルボキシル基のモル比が1超となる配合比で反応させて得られるものであると好ましい。この配合比が1以下であると、アミドイミド樹脂の両末端がカルボキシル基になり得ない。また、アミドイミド樹脂の両末端がアミノ基となる可能性が高くなり、上記アミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを反応させる際に、アミノ基及びエポキシ基間の反応により生成するヒドロキシル基が基点となって、三次元化によるゲル化反応が起こりやすくなる。これらの結果、所望の変性アミドイミド樹脂が得られ難くなる傾向にある。
【0055】
ジアミンとトリカルボン酸無水物との反応は、有機溶媒中、好ましくは50〜250℃、より好ましくは100〜200℃で1〜48時間行われ、これによって末端にカルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂が得られる。
【0056】
有機溶媒としては、例えば、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒、テトラメチレンスルホン等のスルホン系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの有機溶媒の中では、反応率、溶解性及び後工程での揮散性等を考慮すると、γ−ブチロラクトン又はN−メチルピロリドン(NMP)が好ましく、これらの溶媒を主成分として用いることが好適である。
【0057】
こうして得られるアミドイミド樹脂は、例えば上記一般式(1)で表されるものであり、上記式(1a)で表されるものであると好ましい。式(1)及び(1a)中、Rは2価の有機基を示し、より好ましくは、上述のジアミンのアミノ基を除いた部分である2価の基を示す。また、Rは1価の有機基を示し、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基を示す。nは正の整数を示し、好ましくは1〜200の整数を示す。また、kは0〜3の整数を示し、好ましくは0である。ここで、複数のR及びRは、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。
【0058】
上述のエポキシ樹脂としては、硬化性をより良好にし、所望の各種特性を有する硬化物を得やすくする観点から、分子内に2以上のエポキシ基を有するものが好ましく、アミドイミド樹脂との反応を制御しやすい観点から、分子内に2つのエポキシ基を有するものが好ましい。また、耐熱性が良好である点から、分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂が好ましく、硬化性をより良好にし、所望の各種特性を有する硬化物を得やすくする観点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂であると好ましい。
【0059】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS及びビスフェノールFのジグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のポリグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のポリグリシジルアミン、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、ダイマー酸のジグリシジルエステル、その他3官能型又は4官能型のグリシジルエーテル、3官能型又は4官能型のグリシジルアミン、ビスフェノール骨格と柔軟性骨格とを有するエポキシ樹脂(以下、単に「可撓性エポキシ樹脂」という。)が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0060】
上記可撓性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜1000g/eqが好ましく、200〜600g/eqがより好ましい。また、可撓性エポキシ樹脂は、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下である。このような可撓性エポキシ樹脂として、例えば、大日本インキ化学社製のEXA−4850−150、EXA−4850−1000(以上商品名)、ナガセケムテックス社製のデナコールEX−250、同EX−250L(以上商品名)等が入手可能である。
【0061】
エポキシ樹脂は、エレクトロンマイグレーション防止や金属導体回路の腐食防止の点から、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン(特に塩素イオン)、加水分解性塩素等の不純物を300ppm以下に低減した高純度品であることが好ましい。
【0062】
変性アミドイミド樹脂は、アミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを、カルボキシル基に対するエポキシ基のモル比が1以上となる配合比で反応させて得られるものであると好ましい。この配合比が1未満であると、得られた変性アミドイミド樹脂の両末端がエポキシ基である可能性が低くなる傾向にある。
【0063】
アミドイミド樹脂とエポキシ樹脂との反応は、有機溶媒中、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜200℃で1〜48時間行われ、これによって変性アミドイミド樹脂が得られる。有機溶媒としては、例えば、γ―ブチロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒、テトラメチレンスルホン等のスルホン系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの有機溶媒の中では、反応率、溶解性及び後工程での揮散性等を考慮すると、γ―ブチロラクトン又はN−メチルピロリドン(NMP)が好ましく、これらの溶媒を主成分として用いることが好適である。
【0064】
このようにして得られる変性アミドイミド樹脂は、例えば上記一般式(2)で表されるものである。ここで、式(2)中、Rは2価の有機基を示し、上記一般式(1a)におけるRと同義である。Rは2価の有機基を示し、より好ましくは上記エポキシ樹脂からエポキシ基を除いた部分である2価の有機基を示す。nは正の整数を示し、より好ましくは1〜200の整数である。また、mは正の整数を示し、より好ましくは1〜200の整数である。なお、複数のR及びRは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0065】
上述の変性アミドイミド樹脂は、その重量平均分子量が1000〜200000であると好ましく、5000〜100000であるとより好ましい。上記重量平均分子量が1000よりも小さくなると、この接着剤組成物をフィルム状に形成する時の靭性が低くなる傾向にある。また、重量平均分子量が200000を超えると、加熱時の流動性が低下する可能性が高くなる傾向にある。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製、商品名「C−R4A」)を用いて、ポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量をいう。
【0066】
上述の変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物は、Bステージにおけるガラス転移温度(Tg)が、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。また、この変性アミドイミド樹脂は、Bステージでの260℃における貯蔵弾性率が、好ましくは0.1MPa以下、より好ましくは0.01MPa以下である。Tg及び貯蔵弾性率が上述の数値範囲内にあることで、フィルム状接着剤1の被着体への貼り付け温度をより低く抑えることができると共に、このフィルム状接着剤1を用いて二つの被着体間を接着する際の加熱温度も低下させることができる。よって、例えば、フィルム状接着剤1により半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材に接着固定する際、ダイボンディング温度を低くすることができるため、半導体素子の反りを抑制することが可能となる。さらに、上記支持部材が配線を設けた有機基板であって、配線により表面に段差(凹凸)を有している場合、フィルム状接着剤1が良好な熱時流動姓を示すため、上記段差における凹部への埋め込み性に優れたものとなる。
【0067】
ガラス転移温度及びBステージでの貯蔵弾性率は、変性アミドイミド樹脂の原料であるジアミン及びエポキシ樹脂の選択によって制御することができる。具体的には、長鎖の柔軟性骨格を有するジアミン、及び/又は、柔軟性骨格を有する可とう性エポキシ樹脂を原料として選択することによって、接着剤組成物のTg及びBステージでの貯蔵弾性率を低減できる。
【0068】
ここで、ガラス転移温度(Tg)は、変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物をフィルム状に成形したサンプル片(サンプルサイズ35mm×10mm×40μm)を測定対象として、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、測定温度−150〜300℃、引張モードの条件で動的粘弾性測定を行ったときのtanδが極大値を示す温度である。動的粘弾性測定は、レオメトリックス社製粘弾性アナライザー「RSA−2」(商品名)を用いて行うことができる。また、貯蔵弾性率は、上述の動的粘弾性測定を行った際の260℃における貯蔵弾性率を意味する。
【0069】
上記変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物は、Cステージでの260℃における貯蔵弾性率が、0.001MPa以上であると好ましく、0.01MPa以上であるとより好ましい。Cステージにおける貯蔵弾性率がこの数値範囲にあることで、接着剤組成物は、高温時でも高い接着強度を確保できるため、はんだ耐熱性に優れたものとなる。ここで、Cステージでの貯蔵弾性率とは、上記サンプル片をオーブン中、180℃で5時間加熱して硬化させた後に、上述と同様にして動的粘弾性測定を行った際の260℃における貯蔵弾性率を意味する。
【0070】
カルボキシル基を1以上、好ましくは2以上有するアミドイミド樹脂と、エポキシ基を1以上、好ましくは2以上有するエポキシ樹脂とを、上記カルボキシル基に対する上記エポキシ基のモル比が1以上となる配合比で反応させて得られる変性アミドイミド樹脂を用いることによって、反応基となるエポキシ基を確実に有する変性アミドイミド樹脂が得られ、Cステージでの架橋構造形成によって、Cステージにおける高温領域での貯蔵弾性率を高くすることができる。さらに、主鎖の短いジアミン、及び/又は、主鎖の短いエポキシ樹脂を原料として用いることによって、上記の貯蔵弾性率をより高くすることができる。
【0071】
上記変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物は、Cステージにおいて熱重量分析による重量減少率が5%となる温度(以下、「5%重量減少温度」という。)が260℃以上であると好ましく、300℃以上であるとより好ましい。5%重量減少温度が260℃を下回ると、接着剤組成物を高温に加熱した際に、接着剤組成物が熱分解等を起こして、その接着強度が低下する傾向にある。そのため、例えば、フィルム状接着剤1により半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材に接着固定して半導体装置を得た場合、その半導体装置をはんだ付けにより基板に実装する際、半導体素子と支持部材との間の剥離や破壊を抑制し難くなる。また、5%重量減少温度が260℃未満であると、接着剤組成物を加熱した際に発生する揮発成分によって、その周辺材料や周辺部材を汚染しやすくなる傾向にある。さらに、5%重量減少温度が260℃未満であると、加熱時の発泡に起因して接着剤組成物の硬化物内部にボイドが発生しやすくなる傾向にある。そのため、フィルム状接着剤1により半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材に接着固定して半導体装置を得た場合、その半導体装置の耐湿信頼性の低下を招く可能性が高くなる。
【0072】
5%重量減少温度を高くするには、重量平均分子量がより大きい変性アミドイミド樹脂を採用することによって、また、他成分と組み合わせる場合、熱分解温度が比較的高い材料を選択することによって可能となる。上記重量平均分子量は、カルボキシル基を有するアミドイミド樹脂と、エポキシ基を有するエポキシ樹脂とを反応させる際に、カルボキシル基に対するエポキシ基のモル比を調整することによって制御できる。モル比を1に近づけることによって、重量平均分子量を大きくすることができる。
【0073】
5%重量減少温度は、昇温速度:10℃/分、窒素流量:80mL/分、測定温度:40℃〜400℃の条件で行われる熱重量分析において、測定開始時の重量に対する重量減少率が5%となる温度である。熱重量分析のための試料は、接着剤組成物をフィルム状に成形した後、その成形物をオーブン中、180℃で5時間加熱して硬化させて硬化体を得、その硬化体を乳鉢などで細かく砕いて準備される。測定装置としては、例えば、エスアイアイナノテクノロジー社製の示差熱重量同時測定装置(商品名「EXSTAR 6300」)が用いられる。
【0074】
変性アミドイミド樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0075】
本実施形態に係る接着剤組成物は、上記変性アミドイミド樹脂の他、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、上記以外のポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、又はそれらの共重合体の他、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエ−テルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエ−テルケトン樹脂、重量平均分子量が10万〜100万の(メタ)アクリル共重合体などからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑系高分子成分を含有していてもよい。熱可塑系高分子成分は上記変性アミドイミド樹脂との混合が可能なものであれば特に限定されない。これらの熱可塑系高分子成分を含有する場合、Tgは100℃以下、かつ熱重量分析における重量減少率が5%となる温度が260℃以上である熱可塑系高分子成分を選択することが好ましく、それらのなかでもポリイミド樹脂が好ましい。
【0076】
上記ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。すなわち、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モル、又は必要に応じて、その組成比をテトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計0.5〜2.0mol、好ましくは、0.8〜1.0molの範囲で調整(各成分の添加順序は任意)し、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる。この反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。なお、接着剤組成物の諸特性の低下を抑えるため、上記の酸二無水物は無水酢酸で再結晶精製処理されることが好ましい。
【0077】
本実施形態に係る接着剤組成物は、上記変性ポリアミドイミド樹脂の他、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、及び/又はその硬化剤を含有してもよい。
【0078】
熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂であると好ましく、このエポキシ樹脂は上記変性アミドイミド樹脂との混合が可能なものであれば特に限定されない。したがって、例えば、変性アミドイミド樹脂の原料となる上記エポキシ樹脂と同様のものを含有してもよい。かかるエポキシ樹脂はエポキシ基の数が1以上であればよく、1種又は2種以上を組み合わせて用いられる。このエポキシ樹脂の接着剤組成物中の配合割合は、Bステージでの良好な熱時流動性とCステージでの高架橋密度による高い耐熱性とを両立する観点から、変性アミドイミド樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部であると好ましい。
【0079】
また、熱硬化性樹脂の硬化剤は、特に制限なく用いられる。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、好適な硬化剤としては、例えば、フェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類及び第3級アミンが挙げられる。これらの中ではフェノール系化合物が好ましく、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物がより好ましい。このようなフェノール系化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、テトラキスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂及びフェノールアラルキル樹脂が挙げられる。
【0080】
フェノール系化合物の好適な数平均分子量は400〜1500である。これにより、半導体装置組立の際に加熱された時に、半導体素子又は装置等の汚染の原因となるアウトガスの発生を有効に低減できる。なお、硬化物の耐熱性を確保する点から、フェノール系化合物の配合割合は、変性アミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂を併せたエポキシ当量と、フェノール系化合物の水酸基当量との当量比(エポキシ当量/水酸基当量)が、0.95/1.05〜1.05/0.95となることが好ましい。
【0081】
本実施形態の変性アミドイミド樹脂は、上述の硬化剤に加えて更に硬化促進剤を含有してもよい。このような硬化促進剤しては通常の熱硬化性樹脂を硬化できるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール−テトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等が挙げられる。
【0082】
本実施形態の接着剤組成物は、フィラーを更に含有してもよい。フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉等の金属フィラー、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の非金属無機フィラー、カーボン、ゴム系フィラー等の有機フィラー等が挙げられる。
【0083】
本実施形態の接着剤組成物は、上記各成分の他、必要に応じてカップリング剤等を含有してもよい。
【0084】
以上説明した接着剤組成物のワニスを用いてフィルム状接着剤1が得られる。具体的には、まず、有機溶媒中で混合した上記各成分の混合物を混練してワニスを調製する。ワニスを調製するための混練は、通常の攪拌機や、らいかい機、三本ロール及びボールミル等の分散機を、適宜、組み合わせて行うことができる。そして、調製したワニスを基材フィルム上に塗工して、加熱乾燥して接着剤層を形成させることにより、フィルム状接着剤1が得られる。加熱乾燥は、ワニス中の有機溶媒が充分に揮散する条件で行えばよいが、通常、50〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。
【0085】
ワニス中の有機溶媒として、変性アミドイミド樹脂を得る際に配合した有機溶媒をそのまま用いてもよく、更にその他の有機溶媒を併用してもよい。かかる有機溶媒は、上述の材料を均一に溶解又は分散できるものであれば制限はない。具体的には、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられる。
【0086】
ワニスの基材フィルムへの塗工は、基材フィルムの一方の主面のみに行ってもよく、両主面に行ってもよい。この際に用いられる基材フィルムとしては、図2に示す基材フィルム2と同様のものを用いる。フィルム状接着剤1が形成された後、基材フィルム2を除去したものをフィルム状接着剤として用いてもよいし、基材フィルム2を除去せずに、接着シートとして用いてもよい。
【0087】
図3は、本発明による接着シートの別の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示す接着シート30は、基材フィルム2の一方の主面上にフィルム状接着剤1及び保護フィルム3がこの順に積層されてなるものである。保護フィルム3は、フィルム状接着剤1の損傷や汚染を防ぐために、フィルム状接着剤1を覆うように設けられている。この場合、フィルム状接着剤1は、保護フィルムを剥離してからダイボンディングに用いられる。
【0088】
図4は、本発明による接着シートの更に別の一実施形態を示す模式断面図である。この接着シート40は、支持基材としての基材フィルム7の一方の主面上に粘着剤層6が設けられたダイシングシート5の粘着剤層6上にフィルム状接着剤1が積層された構成を有している。基材フィルム7は、上述の基材フィルム2と同様のものであればよい。また、接着シート40におけるフィルム状接着剤1は、これを貼り付ける半導体ウエハに近い形状に予め形成されていることが好ましい。なお、本発明に係る接着シートは、上記接着シート40におけるダイシングシート5に代えて基材フィルム7のみからなるダイシングシートを設けたものであってもよい。
【0089】
上記接着シート40は、ダイシングフィルムとしての機能を果たす粘着剤層6と、粘着剤層6上に積層されたダイボンディング用接着剤としてのフィルム状接着剤1とを備えていることにより、ダイシング工程においてはダイシングフィルムとして、ダイボンディング工程においてはダイボンディングフィルムとして機能することができる。例えば、半導体ウエハの裏面にフィルム状接着剤の側が半導体ウエハと密着するように接着シート40が貼り付けられた状態でダイシングした後、フィルム状接着剤付きの半導体素子をダイシングシート5からピックアップして、これをそのままダイボンディング工程に用いることができる。
【0090】
粘着剤層6は、感圧型又は放射線硬化型の粘着剤で形成されている。粘着剤層6は、放射線硬化型の粘着剤で形成されていることが好ましい。放射線硬化型の粘着剤は、ダイシングの際には高粘着力で、ダイシング後のピックアップの際にはピックアップ前の放射線照射によって低粘着力となるといったように、粘着力の制御が容易である。
【0091】
粘着剤層6が放射線硬化型の粘着剤で形成されている場合、ダイシング時に半導体素子が飛散しない程度の十分な粘着力を有し、放射線照射後は半導体素子をピックアップする際に半導体素子を傷つけない程度の低い粘着力を有することが好ましい。より具体的には、半導体ウエハの裏面にフィルム状接着剤1が密着するように接着シート40を貼り付けた場合に、半導体ウエハに対するフィルム状接着剤の25℃での90°ピール剥離力をAとし、露光量500mJ/cmの条件でUV照射した後の粘着剤層のフィルム状接着剤に対する25℃での90°ピール剥離力をBとしたときに、(A−B)の値が1N/m以上であることが好ましい。この(A−B)の値は5N/m以上がより好ましく、10N/m以上がさらに好ましい。(A−B)の値が1N/m未満であると、ピックアップ時に半導体素子を傷つけたり、ピックアップ時に半導体ウエハとフィルム状接着剤との界面において先に剥離を生じてしまい、正常にピックアップできなくなったりする傾向にある。
【0092】
図5は、本発明による接着シートのなおも更に別の一実施形態を示す模式断面図である。この接着シート50は、支持基材としてのウエハ8の一方の主面上にフィルム状接着剤1が積層された構成を有している。ウエハ8は、通常の半導体素子に用いられるシリコンウエハ等であればよい。
【0093】
以上説明した本実施形態に係るフィルム状接着剤は、IC、LSI等の半導体素子を、半導体搭載用支持部材にダイボンディングするための接着剤として用いられる。本発明のフィルム状接着剤を用いたダイボンディングに適した半導体搭載用支持部材としては、例えば、42アロイリードフレーム及び銅リードフレーム等のリードフレームや、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等からなるプラスチックフィルム、ガラス不織布基材で強化されたポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックフィルム、アルミナ等のセラミックスが挙げられる。そして、本発明のフィルム状接着剤は、表面に有機レジスト層が設けられた有機基板、中でも配線段差に起因する凹凸表面が形成されている配線付き有機基板へのダイボンディングのために特に好適に用いられる。配線付き有機基板は、ガラス繊維強化樹脂、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等の主として有機材料からなる有機基板であって、その表面に導電体で形成された導体パターン等の配線が設けられたものである。
【0094】
また、本実施形態に係るフィルム状接着剤は、支持部材上に複数の半導体素子が積層された構造の3Dパッケージの半導体装置(Stacked−PKG)において、隣接する半導体素子同士を接着するための接着剤としても用いられる。
【0095】
上記フィルム状接着剤の用途のうち、このフィルム状接着剤を備える半導体装置について図面を用いて具体的に説明する。ただし、上述のフィルム状接着剤の用途は、以下に説明する実施形態に係る半導体装置に限定されるものではない。
【0096】
図6は、本発明に係る半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図6に示す半導体装置60は、半導体素子9が、上述のフィルム状接着剤によって形成されたダイボンディング層1を介して支持部材10に接着され、半導体素子9の接続端子(図示せず)がワイヤ11を介して外部接続端子(図示せず)と電気的に接続され、更に、封止材層12によって封止された構成を有している。
【0097】
図7は、本発明に係る半導体装置の別の実施形態を示す模式断面図である。図7に示す半導体装置70は、一段目の半導体素子9aが上記フィルム状接着剤によって形成されたダイボンディング層1を介して支持部材10に接着され、半導体素子9aの上に半導体素子9bが上記フィルム状接着剤によって形成されたダイボンディング層1を介して接着され、全体が封止材層12によって封止された構成を有している。半導体素子9a及び半導体素子9bの接続端子(図示せず)は、それぞれワイヤ11を介して外部接続端子と電気的に接続されている。
【0098】
図6及び図7に示す半導体装置(半導体パッケージ)は、本実施形態に係るフィルム状接着剤を用いたダイボンディング工程と、これに続いてワイヤボンディング工程、封止材による封止工程等の工程を備える製造方法により製造することができる。ダイボンディング工程においては、フィルム状接着剤が積層された半導体素子を、支持部材との間にフィルム状接着剤が挟まれるように支持部材の上に載せた状態で、全体を加熱及び加圧することにより、半導体素子が支持部材に接着される。ダイボンディング工程における加熱の条件は、通常、20〜250℃で0.1〜300秒間である。
【実施例】
【0099】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
(合成例)
<変性アミドイミド樹脂(PAIE−1)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、ポリエーテルアミン(BASF社製、商品名「D400」、数平均分子量:454)13.67g(0.0301モル)及び無水トリメリット酸(三菱ガス化学社製、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸−1,2−無水物)11.59g(0.0604モル)、並びに有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン25gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記モノマーが溶解した反応液を得た。
【0101】
そこに窒素ガスを吹き込みながら175℃で3時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、末端にカルボキシル基を有するアミドイミド樹脂の溶液を得た。得られたアミドイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が5160、重量平均分子量(Mw)が5320であった。
【0102】
次に、上記アミドイミド樹脂の溶液中に、可撓性骨格を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、商品名「EXA−4850−1000」、数平均分子量:686)24.80g(0.0362モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン20gを添加して、100℃で8時間加熱して反応を進行させることにより、変性アミドイミド樹脂(PAIE−1)の溶液を得た。得られた変性アミドイミド樹脂の分子量を上述と同様にして測定したところ、Mnが12300、Mwが56300であった。
【0103】
<変性アミドイミド樹脂(PAIE−2)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、ポリエーテルジアミン(BASF社製、商品名「D2000」、数平均分子量:1923)26.52g(0.015モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学社製、商品名「LP−7100」)1.65g(0.0075モル)、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(和歌山精化社製、商品名「BAPP」)2.72g(0.0075モル)、及び無水トリメリット酸(三菱ガス化学社製、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸−1,2−無水物)10.19g(0.0604モル)、並びに有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン61.33gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記モノマーが溶解した反応液を得た。
【0104】
そこに窒素ガスを吹き込みながら180℃で3時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、末端にカルボキシル基を有するアミドイミド樹脂の溶液を得た。得られたアミドイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が4720、重量平均分子量(Mw)が5150であった。
【0105】
次に、上記アミドイミド樹脂の溶液中に、可撓性骨格を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、商品名「EXA−4850−150」、数平均分子量:908)28.92g(0.0362モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン68.32gを添加して、150℃で3時間加熱して反応を進行させることにより、変性アミドイミド樹脂(PAIE−2)の溶液を得た。得られた変性アミドイミド樹脂の分子量を上述と同様にして測定したところ、Mnが12400、Mwが48300であった。
【0106】
<変性アミドイミド樹脂(PAIE−3)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、ポリエーテルアミン(BASF社製、商品名「D400」、数平均分子量:454)13.67g(0.0301モル)及び無水トリメリット酸(三菱ガス化学社製、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸−1,2−無水物)11.59g(0.0604モル)、並びに有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン25gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記モノマーが溶解した反応液を得た。
【0107】
そこに窒素ガスを吹き込みながら175℃で3時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、末端にカルボキシル基を有するアミドイミド樹脂の溶液を得た。得られたアミドイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が5160、重量平均分子量(Mw)が5320であった。
【0108】
次に、上記アミドイミド樹脂の溶液中に、可撓性骨格を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製、商品名「EXA−4850−1000」、数平均分子量:686)17.15g(0.0250モル)、及びN−メチル−2−ピロリドン20gを添加して、100℃で8時間加熱して反応を進行させることにより、変性アミドイミド樹脂(PAIE−3)の溶液を得た。得られた変性アミドイミド樹脂の分子量を上述と同様にして測定したところ、Mnが12700、Mwが39200であった。
【0109】
<ポリイミド樹脂(PI−1)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、1,12−ジアミノドデカン2.10g(0.035モル)、ポリエーテルジアミン(BASF社製、商品名「D2000」、数平均分子量:1923)17.31g(0.03モル)、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学社製、商品名「LP−7100」)2.61g(0.035モル)、並びに有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン113gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記1,12−ジアミノドデカン及びポリエーテルジアミンが溶解した反応液を得た。次いで、そこに4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸二無水物)15.62g(0.1モル)を少量ずつ添加すると共に、窒素ガスを吹き込みながら180℃で5時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、ポリイミド樹脂(PI−1)の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が20800、重量平均分子量(Mw)が70000であった。また、得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は22℃であった。
【0110】
<ポリイミド樹脂(PI−2)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン6.83g(0.05モル)及び4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン3.40g(0.05モル)、並びに有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン110.5gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記各ジアミンが溶解した反応液を得た。次いで、そこにデカメチレンビストリメリテート二無水物17.40g(0.1モル)を少量ずつ添加すると共に、窒素ガスを吹き込みながら180℃で5時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、ポリイミド樹脂(PI−2)の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が28900、重量平均分子量(Mw)が88600であった。また、得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は73℃であった。
【0111】
<ポリイミド樹脂(PI−3)の合成>
温度計、攪拌機、冷却管、及び窒素流入管を装着した300mLフラスコ中に、モノマーとして、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン13.67g(0.1モル)、及び有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン124gを仕込んで撹拌することで、有機溶媒中に上記ジアミンが溶解した反応液を得た。次いで、そこにデカメチレンビストリメリテート二無水物17.40g(0.1モル)を少量ずつ添加すると共に、窒素ガスを吹き込みながら180℃で5時間加熱して反応を進行させて、発生する水を系外に除去することで、ポリイミド樹脂(PI−3)の溶液を得た。得られたポリイミド樹脂の分子量をGPCにより測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)が22800、重量平均分子量(Mw)が121000であった。また、得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は120℃であった。
【0112】
(実施例1)
上記で得た変性アミドイミド樹脂(PAIE−1)の溶液と、表1に示す各原料(エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及びフィラー)とを、表1に示す組成(質量部)になるように均一に混合してワニスを調製した。このワニスを、40μmの厚さになるように基材フィルム(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中80℃で30分加熱した。その後、更に150℃で30分加熱することにより有機溶媒を除去した。そして、室温まで冷却後、基材フィルムを剥離してフィルム状接着剤を得た。
【0113】
【表1】



【0114】
(実施例2〜7)
表1に示す原料及び組成で調製したワニスを用い、実施例1と同様にして、変性アミドイミド樹脂を含有する厚さ40μmのフィルム状接着剤を得た。
【0115】
(比較例1〜5)
表2に示す原料及び組成で調製したワニスを用い、実施例1と同様にして、ポリイミド樹脂を含有する厚さ40μmのフィルム状接着剤を得た。
【0116】
【表2】



【0117】
なお、表1、2に示した原料の具体的な内容は以下のとおりである。
・ESCN−195:住友化学社製商品名、クレゾールノボラック型固体状エポキシ樹脂(エポキシ当量200)、
・H−1:明和化成社製商品名、フェノールノボラック(水酸基当量:103)、
・2P4MHZ:四国化成社製商品名、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
・HP−P1:水島合金鉄社製商品名、窒化ホウ素(平均粒子径:1.0μm、最大粒子径:5.1μm)
また、表1、2中の各成分の組成は、フィラーがワニス中の固形分の全体量に対する体積%、その他の成分が変性アミドイミド樹脂及びポリイミド樹脂100質量部に対する質量部で表されている。
【0118】
(フィルム状接着剤の評価)
実施例1〜7、及び比較例1〜5のフィルム状接着剤について、以下に示すような方法で、主分散ピーク温度、フロー量、溶融粘度、260℃における貯蔵弾性率、ピール強度、剪断接着強度及び5%重量減少温度を測定した。結果を表3、4にまとめて示す。
【0119】
【表3】



【0120】
【表4】



【0121】
<主分散ピーク温度>
35mm×10mmのサイズに切り出したフィルム状接着剤(Bステージ)を試験片とし、レオメトリックス製粘弾性アナライザー「RSA−2」(商品名)を用いて、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、測定温度−150℃〜300℃の条件で測定することにより、tanδが極大値を示した温度を、フィルム状接着剤の主分散温度とした。なお、tanδが複数の極大値を示した場合には、それらのうち最も大きい極大値を示した温度を主分散ピーク温度とした。
【0122】
<フロー量>
10mm×10mmのサイズに切り出した、PET基材(50mm厚)付きのフィルム状接着剤の試験片を、2枚のスライドグラス(MATSUNAMI社製、76mm×26mm、厚さ1.0〜1.2mm)の間に挟み、180℃の熱盤上で全体に100kgf/cmの荷重を加えながら90秒間加熱した。加熱した後におけるPET基材からのフィルム状接着剤のはみ出し量を目盛り付き光学顕微鏡で観測し、その最大値をBステージでのフロー量とした。
【0123】
<溶融粘度>
まず、フィルム状接着剤(Bステージ)を3〜7枚重ねて貼り合わせ、100〜300μm厚の積層フィルム状の試料を得た。次いで、レオメトリック・サイエンティフィック社製、回転型レオメーター(商品名「ARES」)を用いて、下記のようにして溶融粘度を測定した。まず、2枚の平行に配置した円板(直径8mm)で、上記試料を試料厚みより2〜5μm小さなギャップ幅で挟み、上記レオメーターの所定位置に設置した。次に、このレオメーターにより、周波数:1Hz、歪み:5%、昇温速度:5℃/分、測定温度:30〜300℃の条件で溶融粘度を測定した。なお、測定時の50〜150℃の温度領域(Tg付近)における複素粘度の極小値を溶融粘度とした。
【0124】
<260℃における貯蔵弾性率>
35mm×10mmのサイズに切り出したフィルム状接着剤(Bステージ)を試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性アナライザー「RSA−2」(商品名)を用いて、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、測定温度−150℃〜300℃の条件で測定することにより、260℃における貯蔵弾性率を求めた。また、Bステージにあるフィルム状接着剤をオーブン中で180℃、5時間加熱硬化することでCステージのフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤について上述と同様にして260℃における貯蔵弾性率を求めた。
【0125】
なお、貯蔵弾性率の値が0.001MPaを下回る場合は「メルトフロー」とした。
【0126】
<ピール強度>
図8に示すような、プッシュプルゲージ14に取り付けられたロッドの先端に、取っ手16が支点17の周りで角度可変に設けられた接着力評価装置を用い、以下のようにして半導体素子(シリコンチップ)9とフィルム状接着剤1との間のピール強度を測定した。
【0127】
まず、厚さ0.1mmの有機基板の片面に厚さ15μmのソルダーレジスト層が積層された支持基板13のソルダーレジスト層側の面と、厚さ0.4mmで6.5mm×6.5mmのサイズで突起部を有する半導体素子9との間に、6.5mm×6.5mmのサイズのフィルム状接着剤1を挟んだ状態で、フィルム状接着剤1の主分散ピーク温度+100℃の温度に加熱しながら半導体素子9の1枚当たり500gfの圧力で3秒間加圧することによりダイボンディングした。その後、トランスがーモールドの加熱及び加圧条件に相当する条件として、180℃、半導体素子9の1枚当たり5kgfの圧力で90秒間加熱して圧着した。更に、その後のフィルム状接着剤1を180℃で5時間加熱して硬化した後、260℃の熱盤15上で20秒加熱した後、半導体素子9の突起部に取っ手16を引っ掛けた状態で、取っ手16を0.5mm/秒で移動させたときの剥離応力をプッシュプルゲージ14で測定することにより、ピール強度を求めた。
【0128】
<剪断接着強度>
260℃の熱盤15上で20秒加熱する段階までは上記ピール強度の測定と同様の操作を行った。次いで、測定速度:0.05mm/sec、(テスト高さ:50μm)の条件で、半導体素子9に対する、その剪断方向におけるフィルム状接着剤1の接着強度を測定し、このときの値を剪断接着強度とした。
【0129】
<5%重量減少温度>
Bステージにあるフィルム状接着剤をオーブン中で180℃、5時間加熱硬化することでCステージのフィルム状接着剤を得た。このCステージ状態のフィルム状接着剤を乳鉢で細かく砕いて得た粉末を試料とした。この試料について、エスアイアイナノテクノロジー社製示差熱熱重量同時測定装置(商品名「EXSTAR 6300」)を用いて、昇温速度:10℃/分、空気流量:80mL/分、測定温度:40℃〜400℃の条件で熱重量分析を行った。この熱重量分析から、5%重量減少温度を求めた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明によるフィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明による接着シートの一実施形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明による接着シートの別の一実施形態を示す模式断面図である。
【図4】本発明による接着シートの更に別の一実施形態を示す模式断面図である。
【図5】本発明による接着シートのなおも更に別の一実施形態を示す模式断面図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
【図7】本発明に係る半導体装置の別の実施形態を示す模式断面図である。
【図8】実施例におけるピール強度の測定装置を示す模式部分断面図である。
【符号の説明】
【0131】
1…フィルム状接着剤、2、7…基材フィルム、3…保護フィルム、6…粘着剤層、8…ウエハ、20、30、40、50…接着シート、60、70…半導体装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基を1以上有するアミドイミド樹脂と、エポキシ基を1以上有するエポキシ樹脂と、の反応により得られる変性アミドイミド樹脂を含有する接着剤組成物。
【請求項2】
前記変性アミドイミド樹脂は、前記アミドイミド樹脂と前記エポキシ樹脂とを、前記カルボキシル基に対する前記エポキシ基のモル比が1以上となる配合比で反応させて得られるものである、請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記アミドイミド樹脂は、ジアミンとトリカルボン酸無水物とを、前記ジアミンが有するアミノ基に対する前記トリカルボン酸無水物が有するカルボキシル基のモル比が1超となる配合比で反応させて得られるものである、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記アミドイミド樹脂は下記一般式(1)で表される樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【化1】


(式(1)中、Rは2価の有機基を示し、Rは1価の有機基を示し、nは正の整数を示し、kは0〜3の整数を示す。複数のR及びRは、それぞれ互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項5】
前記一般式(1)で表される樹脂は、下記一般式(1a)で表される樹脂である、請求項4記載の接着剤組成物。
【化2】


(式(1a)中、R及びnは前記一般式(1)におけるものと同義である。)
【請求項6】
前記変性アミドイミド樹脂は、下記一般式(2)で表される樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【化3】


(式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、n及びmはそれぞれ独立に正の整数を示す。複数のR及びRは、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項7】
前記変性アミドイミド樹脂は、重量平均分子量が1000〜200000である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
Bステージにおいて、ガラス転移温度が100℃以下、かつ、260℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以下であり、
Cステージにおいて、260℃での貯蔵弾性率が0.001MPa以上、かつ、熱重量分析による重量減少率が5%となる温度が260℃以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
半導体素子を支持部材に接着させるために用いられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成物をフィルム状に成形してなるフィルム状接着剤。
【請求項11】
支持基材と、その支持基材の主面上に形成された請求項10記載のフィルム状接着剤と、を備える接着シート。
【請求項12】
前記支持基材がダイシングシートである、請求項11記載の接着シート。
【請求項13】
支持部材に少なくとも1つの半導体素子が搭載された半導体装置であって、
前記支持部材及び前記半導体素子を接着しているダイボンディング層、並びに2つの前記半導体素子同士を接着しているダイボンディング層のうち少なくとも一方が、請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成物から形成されるダイボンディング層である半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−144161(P2008−144161A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295763(P2007−295763)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】