説明

搬送膜のしわ検知装置およびその方法

【課題】 しわの発生を未然に確実に防止することができる搬送膜のしわ検知装置およびその方法を提供する。
【解決手段】 搬送ライン1に沿って搬送される搬送膜2に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜2のしわ検知装置3であって、搬送膜2の表面に向けて照射光を照射する光源部32と、光源部32より照射された照射光を受光して搬送膜2の二次元形状を撮像するカメラ部33と、カメラ部33より撮像された撮像データから、搬送膜2の表面に発現した複数の線状稜線21・21・・・からなる紋様20の所定のデータ値を検出する検出部34と、検出部により検出された所定のデータ値が搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かを判定する判定部35とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送膜のしわ検知装置およびその方法の技術に関し、より詳細には、搬送ラインに沿って搬送される搬送膜に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜のしわ検知装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池に使用される電極シートなどの長尺物(搬送膜)を連続搬送する搬送ライン及びその搬送制御方法が公知である。このような搬送ラインにおいては、搬送ラインに設けられた各種ロールの駆動等が制御されることで、搬送膜の搬送速度及び張力がフィードバック制御(ウェブの搬送速度制御及び張力制御)されて、搬送膜が安定して搬送されるように構成されている。
【0003】
このような搬送膜の搬送ラインでは、搬送ラインに設けられた各種ロールのミスアライメントや速度制御不良などの「外乱」によって、搬送膜の横位置(搬送ラインに対するウェブの幅方向位置)のずれが生じる場合がある。特に、近年では、搬送膜の搬送ラインにおいて、生産コストの低減を図るために、搬送膜の搬送速度の高速化が要請されているが、搬送膜の搬送速度が速められると各種ロールに対して搬送膜の滑りが発生し易い。
【0004】
そして、上述したように搬送膜の横位置がずれると、搬送方向に沿って搬送膜にしわが生成される場合があった。例えば、二次電池に使用される電極部材の製造過程において、搬送中に搬送膜にしわが生じると、搬送膜の表面に塗工物を十分に塗工することができなかったり、搬送膜の表面に塗工物を圧着させる際にニップローラを通過させた際に折れ等が生じたりする場合があった。
【0005】
そこで、搬送膜に生成されるしわの発生を防止するという観点から、例えば、特許文献1には、搬送膜の搬送ラインと直交する方向に張力を付与する挟持手段と、搬送膜の走行位置を検出する位置検出手段とを有してなる装置によって、位置検出手段からの搬送膜の位置信号に基づいて挟持手段の挟持圧を調整することでしわの発生を防止する装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−278914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたようなしわ発生防止装置の構成では、搬送ラインの途中に配置された位置検出手段によって搬送膜の横位置のずれ量を検出することによって、実際にしわが発生したか否かを間接的に検知するものであり、また、搬送膜のずれ量に基づいて挟持手段をフィードバック制御するものであるため、位置検出手段によって横位置のずれが確認された後に挟持手段をフィードバック制御がされた際に、搬送膜がすでに搬送ラインの下流側に搬送されてしまって、先にしわが発生してしまう場合があった。
【0007】
ところで、しわの発生メカニズムを詳細に検証すると、しわは唐突に発生するのではなく、最初しわにまで至らない程度の兆候(紋様)が徐々に現れ、時間が経過するに従って紋様が段々と大きくなってしわとなるという経過を辿る。そのため、搬送膜にしわ発生の兆候(紋様)が発現した段階で、かかる兆候(紋様)を検知することが出来れば、しわの発生を未然に防止することができるものと考えられる。
【0008】
そして、このように、しわ発生の兆候を検知することができれば、上述した特許文献1に開示される方法のように搬送膜にしわが発生してしまうという事態も回避することができるが、従来の構成では、このような兆候(紋様)を検知することでしわの発生を未然に防止するという観点から提案されたものは見当たらない。
【0009】
そこで、本発明においては、搬送膜のしわ検知装置およびその方法に関し、前記従来の課題を解決するものであり、しわの発生を未然に確実に防止することができる搬送膜のしわ検知装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
すなわち、請求項1においては、搬送ラインに沿って搬送される搬送膜に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜のしわ検知装置であって、搬送膜の表面に向けて照射された照射光を受光して、搬送膜の二次元形状を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された撮像データから、搬送膜の表面に発現した紋様の所定のデータ値を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された所定のデータ値が、搬送膜にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かを判定する判定手段とを有するものである。
【0012】
請求項2においては、前記検出手段は、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の高さを検出する高さ検出手段と、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出手段とを有するものである。
【0013】
請求項3においては、前記撮像手段は、搬送膜の幅方向に沿って照射されたスリット光を受光して、光切断法により紋様の二次元形状を撮像し、前記高さ検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像データから紋様の光切断像を抽出し、抽出された光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部に対応するピーク座標を算出して、紋様の稜線の高さを検出するものである。
【0014】
請求項4においては、前記撮像手段は、搬送膜の所定の測定範囲に向けて照射された範囲光を受光して、投影法により所定の測定範囲の紋様の二次元形状を撮像し、前記傾き角度検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像データから紋様の投影像を抽出し、抽出された投影像を前記高さ検出手段により抽出された光切断像と対比して紋様の稜線の山部及び/又は谷部を特定し、特定された紋様の稜線の山部及び/又は谷部のピーク座標を算出して、紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出するものである。
【0015】
請求項5においては、前記検出手段は、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の離間を検出する離間検検出手段を有するものである。
【0016】
請求項6においては、搬送ラインに沿って搬送される搬送膜に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜のしわ検知方法であって、搬送膜の表面に向けて照射された照射光を受光して、搬送膜の二次元形状を撮像する撮像工程と、前記撮像工程により撮像された撮像データから、搬送膜の表面に発現した紋様の所定のデータ値を検出する検出工程と、前記検出工程により検出された所定のデータ値が、搬送膜にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かを判定する判定工程とを有するものである。
【0017】
請求項7においては、前記検出工程は、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の高さを検出する高さ検出工程と、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出工程とを有するものである。
【0018】
請求項8においては、前記撮像工程は、搬送膜の幅方向に沿って照射されたスリット光を受光して、光切断法により紋様の二次元形状を撮像し、前記高さ検出工程は、前記撮像工程により撮像された画像データから紋様の光切断像を抽出し、抽出された光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部に対応するピーク座標を算出して、紋様の稜線の高さを検出するものである。
【0019】
請求項9においては、前記撮像工程は、搬送膜の所定の測定範囲に向けて照射された範囲光を受光して、投影法により所定の測定範囲の紋様の二次元形状を撮像し、前記傾き角度検出工程は、前記撮像工程により撮像された画像データから紋様の投影像を抽出し、抽出された投影像を前記高さ検出工程により抽出された光切断像と対比して紋様の稜線の山部及び/又は谷部を特定し、特定された紋様の稜線の山部及び/又は谷部のピーク座標を算出して、紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出するものである。
【0020】
請求項10においては、前記検出工程は、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の離間を検出する離間検出工程を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
請求項1に示す構成としたので、しわの兆候として搬送膜の表面に発現する紋様の所定のデータ値を検出することで、しわの発生を未然に確実に防止することができる。
【0023】
請求項2に示す構成としたので、紋様の二次元形状からデータ値の検出が容易であるとともに、搬送膜に対する外乱は紋様の稜線の高さや傾きに影響を及ぼすため、しわの発生防止の確実性をより向上できる。
【0024】
請求項3に示す構成としたので、光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部のピーク座標を精度よく算出することができ、紋様の稜線の高さの検出精度を向上できる。
【0025】
請求項4に示す構成としたので、投影像を光切断像と対比させることで紋様の稜線の傾き角度の検出精度を向上できる。
【0026】
請求項5に示す構成としたので、紋様の二次元形状からデータ値の検出が容易であるとともに、搬送膜に対する外乱は紋様の稜線の離間に影響を及ぼすため、しわの発生防止の確実性をより向上できる。
【0027】
請求項6に示す構成としたので、しわの兆候として搬送膜の表面に発現する紋様の所定のデータ値を検出することで、しわの発生を未然に確実に防止することができる。
【0028】
請求項7に示す構成としたので、紋様の二次元形状からデータ値の検出が容易であるとともに、搬送膜に対する外乱は紋様の稜線の高さや傾きに影響を及ぼすため、しわの発生防止の確実性をより向上できる。
【0029】
請求項8に示す構成としたので、光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部のピーク座標を精度よく算出することができ、紋様の稜線の高さの検出精度を向上できる。
【0030】
請求項9に示す構成としたので、投影像を光切断像と対比させることで紋様の稜線の傾き角度の検出精度を向上できる。
【0031】
請求項10に示す構成としたので、紋様の二次元形状からデータ値の検出が容易であるとともに、搬送膜に対する外乱は紋様の稜線の離間に影響を及ぼすため、しわの発生防止の確実性をより向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るしわ検知装置を用いた搬送ラインの全体的な構成を示した側面図、図2は同じく図1のしわ検知装置の側面図、図3は搬送膜の表面に発現した紋様の状態を示した平面図、図4は搬送膜の表面に発現した紋様の状態を示した断面図、図5はしわ検知装置の構成を示したブロック図、図6は検出部で抽出される光切断像を示した図、図7は検出部で抽出される投影像を示した図、図8は本実施例のしわ検知装置を用いた搬送膜のしわ検知方法を示したフローチャートである。
なお、以下の実施例においては、搬送膜2の幅方向をX方向(幅方向)、搬送膜2のまく表面の上下方向をY方向、搬送膜2の搬送方向をZ方向とする。
【0033】
図1及び図2に示すように、本実施例のしわ検知装置3は、シート電極(搬送膜2)を製造するシート電極製造装置(図略)の搬送ライン1に設けられている。搬送ライン1は、搬送膜2としての尺状の集電体シートに活物質を塗工してシート電極を製造する装置の搬送ラインであって、例えば、尺状の集電体シートの両表面に活物質ペーストを塗布して活物質層を形成する塗布工程(図略)や、活物質層が形成された集電体シートを加圧ロールに通過させて集電体シートの表面に活物質層を圧着させる圧着工程(図略)や、形成された長尺状のシート電極を所定形状となるように裁断する裁断工程(図略)等が配設されている。
【0034】
しわ検知装置3は、搬送ライン1において、搬送膜2の搬送方向の上流側に設けられたガイドロール10と、搬送膜2の搬送方向(Z方向)の下流側に設けられたガイドロール11及びフィードロール12の間に配設されている。ガイドロール10・11は、回転軸に対してロール本体が回転自在に軸支されており、搬送ライン1に沿って搬送される搬送膜2に連動して回転される。また、フィードロール12上にはニップロール13が配設されており、ニップロール13は、図示せぬエアーシリンダー等によってフィードロール12にそれぞれ圧着可能に構成されている。
【0035】
本実施例のしわ検知装置3は、搬送膜2の表面に発現した紋様20を検知し、紋様20の二次元形状からしわの兆候を判定して、搬送膜2に生成されるしわの発生を未然に検知するものである。具体的には、搬送膜2の表面に発現する複数の線状稜線21・21・・・からなる紋様20の二次元形状を撮像する撮像手段としての二次元形状センサ30と、二次元形状センサ30により撮像された紋様20の二次元形状(撮像データ)から紋様20の二次元形状を特定して紋様20の所定のデータ値を検出して、しわの発生の兆候を判定する画像処理部31とで構成されている。
【0036】
図3及び図4に示すように、紋様20は、複数の線状稜線21・21・・・が搬送ライン1(Z方向)に対して所定の傾き角度で斜めに延出され、幅方向(X方向)に所定の離間で連続された状態で発現され、稜線21が山部22及び谷部23が連続した断面波形状の二次元形状を有している。そして、本実施例の紋様20の二次元形状は、紋様20の稜線21・21・・・の高さ、傾き角度、及び離間のそれぞれのデータ値によって特定される。
【0037】
図2に示したように、二次元形状センサ30は、搬送膜2の表面に向けて照射光を照射する光源部32と、光源部32により照射された照射光の内、搬送膜2にて反射された反射光を受光して搬送膜2の二次元形状を撮像するカメラ部33等とで構成されている。光源部32は、搬送膜2の幅方向(X方向)に沿ってスリット光を照射する第一光源部32a・32bと、搬送膜2の所定の測定範囲(X−Z平面)に向けて範囲光を照射する第二光源部32cとで構成されている。
【0038】
第一光源部32a・32bは、直線状のスリット光として赤外線レーザ光を照射可能に構成されており、搬送膜2の表面に対して略垂直方向であって、ガイドロール10・11のロール面に対して略平行となるように搬送膜2の幅方向に沿うようにして赤外線レーザ光が照射される。本実施例の第一光源部32a・32bは、搬送ライン1の上流側(図2における位置A)と下流側(図2における位置B)とに二箇所に配設されており、所定の離間Dを有するようにして配設されている。
【0039】
第二光源部32cは、搬送膜2の表面に対して斜め方向からLED光を照射可能に構成されており、搬送膜2の所定の測定範囲(X−Z平面)が照射されるようにしてLED光が照射される(図3参照)。また、かかる測定範囲には、上述した第一光源部32a・32bからのレーザ光も照射される。
【0040】
カメラ部33は、赤・緑・青の色成分ごとに撮像可能な分光感度特性を有する3CCDカメラが用いられており、上述した測定範囲において光源部32(第一光源部32a・32b及び第二光源部32c)により照射された照射光の内、搬送膜2の表面にて反射された反射光を受光することで、搬送膜2の二次元形状が撮像される。本実施例では、カメラ部33によって、第一光源部32a・32bからのレーザ光を受光して光切断法により紋様20の二次元形状が撮像されるとともに、第二光源部32cからのLED光を受光して投影法により測定範囲の紋様20の二次元形状が撮像される。
【0041】
本実施例の二次元形状センサ30は、後述する画像処理部31に接続されており、カメラ部33にて撮像された紋様20の二次元形状は、画像データとして画像処理部31(の検出部34)に送信される。
【0042】
すなわち、本実施例の二次元形状センサ30では、第一光源部32a・32bによって搬送膜2の幅方向に沿ってスリット光(レーザ光)が照射され、搬送膜2の表面にて反射された後に、反射光がカメラ部33にて受光されることで、光切断法により紋様20の二次元形状が撮像される。このようにして光切断法により撮像された紋様20の二次元形状は、所定の二次元座標(X−Y平面)における紋様20の上下断面形状に相当し(図4及び図6参照)、かかる二次元形状に基づいて、後述するように画像処理部31にて紋様20の稜線21・21・・・の山部22及び谷部23の高さや離間が検出される。
【0043】
一方、二次元形状センサ30では、第二光源部32cによって搬送膜2の測定範囲に向けて範囲光が照射され、搬送膜2の表面にて反射された後に、反射光がカメラ部33にて受光されることで、投影法により紋様20の二次元形状が撮像される。このようにして投影法により撮像された紋様20の二次元形状は、測定範囲での所定の二次元座標(X−Z平面)における紋様20の二次元形状に相当し(図7参照)、かかる二次元形状に基づいて、後述するように画像処理部31にて紋様20の稜線21・21・・・の山部22及び谷部23の搬送方向に対する傾き角度が検出される。
【0044】
図2、図4乃至図7に示すように、画像処理部31は、各種処理が実行される図示せぬCPUや各種処理プログラム等が格納される記憶部としての図示せぬメモリ等で構成されており、カメラ部33により撮像された撮像データから搬送膜2の表面に発現した紋様20の稜線21・21・・・の所定のデータ値を検出する検出手段としての検出部34と、検出部34により検出された所定のデータ値が搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の閾値内にあるか否かを判定する判定手段としての判定部35等とで構成されている。
【0045】
本実施例の画像処理部31では、紋様20の稜線21・21・・・の所定のデータ値として、稜線21・21・・・(の山部22及び谷部23)の高さ、傾き角度、及び離間のデータ値が検出される。具体的には、稜線21の高さは、断面視(X−Y平面)における稜線21の山部22と谷部23との差違として検出される。また、稜線21の傾き角度は、平面視(X−Z平面)における位置A及び位置Bでの稜線21の山部22又は谷部23の差違として検出される。また、稜線21の離間は、断面視(X−Y平面)における山部22と山部22との間又は谷部23と谷部23との間の差違として検出される。
【0046】
なお、画像処理部31には、上述した他に、画像出力可能なモニター等の出力装置36や、キーボート・テンキー・タッチパネル等の入力装置37などが接続されている。特に、出力装置36には、画像処理部31にて抽出された紋様20の二次元形状(光切断像や投影像)や、検出された紋様20の山部22及び/又は谷部23の高さ・傾き角度・離間などのデータ値が出力表示される。
【0047】
検出部34は、二次元形状センサ30により撮像された撮像データから紋様20の稜線21・21・・・の高さを検出する高さ検出部34aと、紋様20の稜線21・21・・・の離間を検出する離間検出部34bと、二次元形状センサ30により撮像された撮像データから紋様20の稜線21・21・・・の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出部34c等とで構成されている。
【0048】
高さ検出部34aでは、まず、上述した二次元形状センサ30のカメラ部33より受信した撮像データに基づいて、紋様20の光切断像が抽出される(図4及び図6参照)。この紋様20の光切断像は、紋様20の二次元形状を表すものとして二次元座標(X−Y平面)上で上下方向に波打った波形状として抽出される。特に、高さ検出部34aでは、カメラ部33によって第一光源部32a・32bにより照射された照射光が撮像された撮像データが個別に受信されて、それぞれの撮像データから位置A及び位置Bでの紋様20の二次元形状がそれぞれ抽出される。
【0049】
そして、本実施例の高さ検出部34aでは、抽出された光切断像から紋様20の稜線21・21・・・の山部22及び谷部23に対応するピーク座標がそれぞれ算出される。具体的には、紋様20の二次元形状において、稜線21が一方側(左側)から順に各山部22a・22b・・・及び谷部23a・23b・・・と設定され、所定の二次元座標(X−Y面)上における各山部22a・22b・・・及び谷部23a・23b・・・のピーク座標が算出され、算出されたピーク座標から高さ方向の距離(高さ)が検出される(図6参照)。
【0050】
山部22及び谷部23の高さは、所定の二次元座標(X−Y平面)上における山部22及び谷部23の高さ方向(Y軸方向)のピーク座標が算出されることで、隣接する山部22と谷部23の差異値として検出される。
例えば、図6において、隣接する一の山部22a及び谷部23aに注目すると、まず、所定の二次元座標(X−Y平面)上における山部22a及び谷部23aの高さ方向(Y軸方向)のピーク座標が算出され、算出されたピーク座標に基づいて隣接する谷部23aから山部22aまでの高さが検出される。
【0051】
離間検出部34bでは、まず、上述した二次元形状センサ30のカメラ部33より受信した撮像データに基づいて、紋様20の光切断像が抽出され(図4及び図6参照)、抽出された光切断像から紋様20の稜線21・21・・・の離間が検出される。具体的には、紋様20の二次元形状において、稜線21が一方側(左側)から順に各山部22a・22b・・・及び谷部23a・23b・・・と設定され、所定の二次元座標(X−Y平面)上における各山部22a・22b・・・及び谷部23a・23b・・・のピーク座標が算出され、算出されたピーク座標から水平方向の距離(離間)が検出される。
【0052】
山部22及び谷部23(紋様20の稜線21)の離間は、所定の二次元座標(X−Y平面)上における山部22及び谷部23の水平方向(X軸方向)のピーク座標が算出されることで、隣接する山部22と谷部23の差異値として検出される。
例えば、図6において、隣接する一の山部22a・22b及び谷部23a・23bに注目すると、まず、所定の二次元座標(X−Y平面)上における山部22a及び谷部23aの水平方向(X軸方向)のピーク座標が算出され、算出されたピーク座標から隣接する山部22a・22b間及び谷部23a・23b間の距離(離間)が検出される。
【0053】
以上のようにして、高さ検出部34a及び離間検出部34bでは、紋様20の稜線21のピーク座標並びに検出された高さ及び離間が、対応する山部22及び谷部23ごとに検出される。また、これらの値は、位置A及び位置Bにてそれぞれ求められる(図6参照)。
【0054】
傾き角度検出部34cでは、まず、上述した二次元形状センサ30のカメラ部33より受信した撮像データに基づいて、紋様20の投影像が抽出される(図5及び図7参照)。紋様20の投影像は、所定の二次元座標(X−Z平面)上における紋様20の二次元形状であって、所定の閾値により二値化された後に、細線化処理などの画像処理が施されて紋様20の二次元パターンとして抽出される。本実施例では、閾値に応じて山部22及び谷部23の境界が明確になるように画像処理される(図7(a)及び図7(b)参照)。
【0055】
次いで、傾き角度検出部34cでは、上述した紋様20の光切断像が投影像と対比されて、投影像における紋様20の稜線21の山部22及び谷部23が特定される。具体的には、高さ検出部34a(又は離間検出部34b)にて算出された位置A及び位置Bの光切断像における各山部22a・22b・・・及び谷部23a・23b・・・のピーク座標から、光切断像の各山部22及び谷部23が投影像のどの山部22及び谷部23に対するのかがそれぞれ特定される。このとき、各位置A及び位置Bでの光切断像が投影像と対比され、位置Aのピーク座標と位置Bのピーク座標とが対応付けられることで各山部22及び谷部23が特定される。
【0056】
そして、傾き角度検出部34cでは、特定された紋様20の稜線21の山部22及び谷部23のピーク座標から紋様20の稜線21の搬送方向(Z軸方向)に対する傾き角度(図7におけるθ)が検出される。具体的には、紋様20の稜線21の搬送方向に対する傾き角度は、位置Aにおける山部22及び谷部23の水平方向(X軸方向)のピーク座標と、位置Bにおける山部22及び谷部23の水平方向(X軸方向)のピーク座標と、位置A及び位置Bの距離D(Z軸方向)とから検出される。
例えば、図7(a)において、光切断像の各山部22及び谷部23が投影像のどの山部22及び谷部23に対するのかが特定された結果、位置Aにおける山部22aが位置Bにおける山部22aに対応する場合に、かかる山部22aの水平方向(X軸方向)のピーク座標の差異値と距離Dの値から、搬送方向に対する山部22aの傾き角度が検出される。また、図7(b)において、同様に谷部23の傾き角度が検出される。
【0057】
このように、傾き角度検出部34cでは、稜線21における山部22及び谷部23のぞれぞれの傾き角度が検出される。つまり、稜線21の山部22の傾き角度は、山部22が明確になるように画像処理が施された紋様20の二次元パターンが用いられて検出され(図7(a)参照)、一方、稜線21の谷部23の傾き角度は、谷部23が明確になるように画像処理が施された紋様20の二次元パターンが用いられて検出される(図7(b)参照)。
【0058】
図5に示したように、判定部35では、検出部34により検出された所定のデータ値(高さ・傾き角度・離間)が、搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かが判定される。例えば、搬送膜2にしわが発生した時のデータ値に基づいてある閾値を設定し、検出された所定のデータ値が前記閾値を超えた値の領域にあればしわの兆候があると判定する。
本実施例の判定部35では、検出部34により検出された所定のデータ値が、予め図示せぬメモリ等に格納されたしわ発生マップ38と対比されることで、紋様20の二次元形状からしわの兆候を判定して搬送膜2に生成されるしわの発生が未然に検知される。
【0059】
ここで、しわ発生マップ38とは、予め、本実施例のしわ検知装置3を用いて搬送膜2に発現した紋様20のデータ値を検出して、搬送膜2においてその後しわが発生したか否かを測定した結果を記憶したデータベースのことである。特に、本実施例のしわ発生マップ38は、単体のデータ値だけでなく各データ値が組み合わされることで、判定部35にてしわの発生の有無を様々な要因に基づいて評価できるように構成される。
すなわち、しわ発生マップ38には、紋様20の稜線21・21・・・の個別のデータ値のみならず、例えば、任意の稜線21の高さに対する傾き角度の関係からしわの発生可能性を表したマップや、任意の稜線21の高さに対する離間の関係からしわの発生可能性を表したマップなどが含まれる。
【0060】
判定部35では、検出部34により検出されたデータ値がしわ発生マップ38と対比されて、かかる検出されたデータ値が、データ値単体ごとに設定された閾値や、データ値の組み合わせに応じて設定された所定の領域値(閾値)の範囲内であるか否かが判定される。そして、本実施例の判定部35では、検出されたデータ値が閾値内にあると判定された場合に、かかる紋様20の二次元形状がしわの発生をもたらす前兆を示している、換言すると、紋様20がその後しわとなって搬送膜2に生成される可能性が高いと判定される。
【0061】
次に、本実施例のしわ検知装置3を用いた搬送膜2のしわ検知方法について、以下に説明する。
図8に示すように、本実施例のしわ検知装置3を用いた搬送膜2のしわ検知方法は、搬送ライン1に沿って搬送される搬送膜2に生成されるしわの発生を未然に検出する方法であって、搬送膜2の表面に向けて照射された照射光を受光して、搬送膜2の二次元形状を撮像する撮像工程(S100)と、撮像工程により撮像された撮像データから、搬送膜2の表面に発現した複数の線状稜線21・21・・・からなる紋様20の所定のデータ値を検出する検出工程(S110)と、検出工程により検出された所定のデータ値が搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の閾値内にあるか否かを判定する判定工程(S120)等とを有するものである。
【0062】
なお、本実施例のしわ検知装置3は、常時又は任意のタイミングでしわの発生が検知されるが、以下、搬送ライン1に沿って搬送される搬送膜2に対して表面に複数の稜線21・21・・・からなる紋様20が発現されている場合のしわの検知方法について説明する。
【0063】
まず、撮像工程(S100)では、搬送膜2の表面に発現された紋様20に対して、照射光が照射されて搬送膜2の二次元形状が撮像される。具体的には、しわ検知装置3を構成する二次元形状センサ30によって、第一光源部32a・32b及び第二光源部32cから搬送膜2に向けて照射光が照射され(S101)、カメラ部33にて搬送膜2の表面で反射された反射光が受光されることで紋様20の二次元形状が撮像される(S102)。
【0064】
検出工程(S110)では、撮像工程により撮像された撮像データから、搬送膜2の表面に発現した複数の線状稜線21・21・・・からなる紋様20の所定のデータ値が検出される。本実施例の検出工程では、画像処理部31の検出部34にて二次元形状センサ30のカメラ部33より受信した撮像データに基づいて紋様20の光切断像及び投影像がそれぞれ抽出される(S111)。
次いで、抽出された光切断像から紋様20の稜線21・21・・・の山部22及び谷部23に対応するピーク座標が算出され(S112)、算出されたピーク座標から紋様20の稜線21の高さ及び離間が検出される(S113)。
また、抽出された投影像と光切断像とが対比されて、先に算出された山部22及び谷部23に対応するピーク座標から投影像における紋様20の稜線21の山部22及び谷部23が特定される(S114)。そして、特定された紋様20の稜線21の山部22及び谷部23のピーク座標から紋様20の稜線21の搬送方向に対する傾き角度が検出される(S115)。
【0065】
判定工程(S120)では、画像処理部31の検出部34にて、検出工程により検出された紋様20の所定のデータ値(高さ・離間・傾き角度)が、搬送膜2にしわが発生した時のデータ値として予め設定されたしわ発生マップ38と対比されて(S121)、しわの発生の有無が判定される(S122)。具体的には、検出された所定のデータ値が、搬送膜2にしわが発生した時のデータ値に基づいて設定された閾値を超えた値の領域にあればしわの兆候があると判定される。
【0066】
以上のように、本実施例の搬送膜2のしわ検知装置3は、搬送ライン1に沿って搬送される搬送膜2に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜2のしわ検知装置3であって、搬送膜2の表面に向けて照射光を照射する光源部32と、光源部32より照射された照射光を受光して搬送膜2の二次元形状を撮像するカメラ部33と、カメラ部33より撮像された撮像データから、搬送膜2の表面に発現した複数の線状稜線21・21・・・からなる紋様20の所定のデータ値を検出する検出部34と、検出部により検出された所定のデータ値が搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の閾値内にあるか否かを判定する判定部35とを有するため、しわの兆候として搬送膜2の表面に発現する紋様20のデータ値を検出することで、しわの発生を未然に確実に防止することができる。
【0067】
すなわち、本実施例のしわ検知装置3は、搬送膜2の二次元形状を撮像する撮像手段を有するため、搬送膜2の表面にしわ発生の兆候として発現される紋様20の二次元形状を撮像することができ、さらに、撮像データから紋様20の所定のデータ値(高さ・傾き角度・離間等)を検出する検出手段と、検出されたデータ値に基づいて搬送膜2にしわが発生した時のデータ値の閾値内にあるか否かを判定する判定手段を有するため、紋様20の二次元形状のデータ値からしわの兆候を定量的に判定することができ、しわの発生を未然に防止することができる。特に、従来のように紋様20の形状を目視により判断してしわの兆候を目視により判定していた場合に比べると、しわの発生防止の確実性を飛躍的に向上できる。
【0068】
また、本実施例では、検出部34は、カメラ部33により撮像された撮像データから紋様20の稜線21の高さを検出する高さ検出部34aと、カメラ部33により撮像された撮像データから紋様20の稜線21の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出部34cとを有し、すなわち、検出部34にて、上述した紋様20の所定のデータ値の内紋様20の稜線21の高さ及び傾き角度が検出されるため、紋様20の二次元形状からデータ値の検出が容易であるとともに、搬送膜2に対する外乱は紋様20の稜線21の高さや傾きに影響を及ぼすため、しわの発生防止の確実性をより向上できる。
【0069】
特に、本実施例では、二次元形状センサ30(カメラ部33)は、搬送膜2の幅方向に沿って照射されたスリット光を受光して、光切断法により紋様20の二次元形状を撮像し、高さ検出部34aは、二次元形状センサ30(カメラ部33)により撮像された画像データから紋様20の光切断像を抽出し、抽出された光切断像から紋様20の稜線21・21・・・の山部22及び谷部23に対応するピーク座標を算出して、紋様20の稜線21の高さを検出するものであるため、光切断像から紋様20の稜線21の山部22及び谷部23のピーク座標を精度よく算出することができ、紋様20の稜線21の高さの検出精度を向上できる。
【0070】
また、本実施例では、二次元形状センサ30(カメラ部33)は、搬送膜2の所定の測定範囲に向けて照射された範囲光を受光して、投影法により所定の測定範囲の紋様20の二次元形状を撮像し、傾き角度検出部34cは、二次元形状センサ30(カメラ部33)により撮像された画像データから紋様20の投影像を抽出し、抽出された投影像を高さ検出部34aにより抽出された光切断像と対比して紋様20の稜線21の山部22及び/又は谷部23を特定し、特定された紋様20の稜線21の山部22及び/又は谷部23のピーク座標を算出して、紋様20の稜線21の搬送方向に対する傾き角度を検出するものであるため、投影像を光切断像と対比させることで、紋様20の二次元形状をより正確に特定することができ、紋様20の稜線21の傾き角度の検出精度を向上できるのである。
【0071】
なお、本実施例のしわ検知装置3及びその方法については、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0072】
すなわち、上述した実施例の検出部34では、高さ検出部34a、離間検出部34b、及び傾き角度検出部34cが設けられており、紋様20の二次元形状を紋様20の高さ・離間・傾き角度で特定するものであったが(図5等参照)、検出部34の構成はこれに限定されず、例えば、いずれか一又は二の検出部より構成されてもよい。具体的には、離間検出部34bは必ずしも設けられる必要はなく、紋様20の二次元形状が紋様20の高さと傾き角度より特定されるように構成されてもよい。
【0073】
また、上述した実施例の傾き角度検出部34cでは、稜線21における山部22及び谷部23のぞれぞれの傾き角度が検出されるが(図7参照)、これに限定されず、例えば、山部22又は谷部23のいずれか一方の傾き角度が検出されるように構成されてもよい。
【0074】
また、しわ発生マップ38としては、データ値単体ごとの閾値や、データ値の組み合わせに応じた所定の領域値(閾値)は、搬送ライン1における搬送条件や搬送膜2の材質等に応じて、実際の紋様20のデータ値としわの発生との相関性を考慮しながら設定される。
【0075】
さらに、しわ検知装置3で測定される搬送膜2としては、例えば、箔(フォイル)、織物、フィルム、紙等、薄い形状の物品を含む。また、搬送膜2を構成する材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料その他の材料あるいはこれらを組み合わせたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施例に係るしわ検知装置を用いた搬送ラインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく図1のしわ検知装置の側面図。
【図3】搬送膜の表面に発現した紋様の状態を示した平面図。
【図4】搬送膜の表面に発現した紋様の状態を示した断面図。
【図5】しわ検知装置の構成を示したブロック図。
【図6】検出部で抽出される光切断像を示した図。
【図7】検出部で抽出される投影像を示した図。
【図8】本実施例のしわ検知装置を用いた搬送膜のしわ検知方法を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
1 搬送ライン
2 搬送膜
3 しわ検知装置
30 二次元形状センサ
31 画像処理部
32 光源部
32a 第一光源部
32b 第一光源部
32c 第二光源部
33 カメラ部(撮像手段)
34 検出部(検出手段)
34a 高さ検出部(高さ検出手段)
34b 離間検出部(離間検出手段)
34c 傾き角度検出部(傾き角度検出手段)
35 判定部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインに沿って搬送される搬送膜に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜のしわ検知装置であって、
搬送膜の表面に向けて照射された照射光を受光して、搬送膜の二次元形状を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された撮像データから、搬送膜の表面に発現した紋様の所定のデータ値を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された所定のデータ値が、搬送膜にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かを判定する判定手段とを有することを特徴とする搬送膜のしわ検知装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の高さを検出する高さ検出手段と、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の搬送膜のしわ検知装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、搬送膜の幅方向に沿って照射されたスリット光を受光して、光切断法により紋様の二次元形状を撮像し、
前記高さ検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像データから紋様の光切断像を抽出し、抽出された光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部に対応するピーク座標を算出して、紋様の稜線の高さを検出することを特徴とする請求項2に記載の搬送膜のしわ検知装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、搬送膜の所定の測定範囲に向けて照射された範囲光を受光して、投影法により所定の測定範囲の紋様の二次元形状を撮像し、
前記傾き角度検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像データから紋様の投影像を抽出し、抽出された投影像を前記高さ検出手段により抽出された光切断像と対比して紋様の稜線の山部及び/又は谷部を特定し、特定された紋様の稜線の山部及び/又は谷部のピーク座標を算出して、紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出することを特徴とする請求項3に記載の搬送膜のしわ検知装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記撮像手段により撮像された撮像データから紋様の稜線の離間を検出する離間検出手段を有することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の搬送膜のしわ検知装置。
【請求項6】
搬送ラインに沿って搬送される搬送膜に生成されるしわの発生を未然に検知する搬送膜のしわ検知方法であって、
搬送膜の表面に向けて照射された照射光を受光して、搬送膜の二次元形状を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程により撮像された撮像データから、搬送膜の表面に発現した紋様の所定のデータ値を検出する検出工程と、
前記検出工程により検出された所定のデータ値が、搬送膜にしわが発生した時のデータ値の範囲内にあるか否かを判定する判定工程とを有することを特徴とする搬送膜のしわ検知方法。
【請求項7】
前記検出工程は、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の高さを検出する高さ検出工程と、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出する傾き角度検出工程とを有することを特徴とする請求項6に記載の搬送膜のしわ検知方法。
【請求項8】
前記撮像工程は、搬送膜の幅方向に沿って照射されたスリット光を受光して、光切断法により紋様の二次元形状を撮像し、
前記高さ検出工程は、前記撮像工程により撮像された画像データから紋様の光切断像を抽出し、抽出された光切断像から紋様の稜線の山部及び谷部に対応するピーク座標を算出して、紋様の稜線の高さを検出することを特徴とする請求項7に記載の搬送膜のしわ検知方法。
【請求項9】
前記撮像工程は、搬送膜の所定の測定範囲に向けて照射された範囲光を受光して、投影法により所定の測定範囲の紋様の二次元形状を撮像し、
前記傾き角度検出工程は、前記撮像工程により撮像された画像データから紋様の投影像を抽出し、抽出された投影像を前記高さ検出工程により抽出された光切断像と対比して紋様の稜線の山部及び/又は谷部を特定し、特定された紋様の稜線の山部及び/又は谷部のピーク座標を算出して、紋様の稜線の搬送方向に対する傾き角度を検出することを特徴とする請求項8に記載の搬送膜のしわ検知方法。
【請求項10】
前記検出工程は、前記撮像工程により撮像された撮像データから紋様の稜線の離間を検出する離間検出工程を有することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の搬送膜のしわ検知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−132524(P2009−132524A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311545(P2007−311545)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】