説明

搬送装置並びに液処理装置及び同液処理装置における被処理体の搬送方法

【課題】搬送途中で被処理体の表面が酸化したり汚染されるのを防止すること。
【解決手段】本発明では、被処理体(ウエハ2)に対して所定の処理を行う第1の処理室(たとえば、第1の洗浄室12)と第2の処理室(たとえば、第2の洗浄室13)との間で被処理体(ウエハ2)を搬送する搬送装置(搬送手段15)において、被処理体(ウエハ2)の表面に液体(36)を供給する液体供給口(34)と、前記液体供給口(34)から供給された液体(36)によって被処理体(ウエハ2)の表面を被覆した状態に保持するために被処理体(ウエハ2)の周縁上方に配置した液体保持具(33)とを有し、液体(36)で被処理体(ウエハ2)の表面を被覆した状態で被処理体(ウエハ2)を搬送することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置並びに液処理装置及び同液処理装置における被処理体の搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハや液晶基板などの製造においては、半導体ウエハや液晶基板を被処理体として表面処理や洗浄処理や乾燥処理などの処理が各種の処理手段を用いて順次施され、最終的な製品が製造される。
【0003】
そして、各種処理間においては、被処理体の搬送を行う搬送装置を用いて各種の処理手段の間での被処理体の搬送を行うようにしている。
【0004】
たとえば、被処理体に対して液処理を行う液処理装置である洗浄装置においては、異なる洗浄液で被処理体を洗浄する第1及び第2の洗浄室を設けるとともに、これら第1の洗浄室と第2の洗浄室との間で被処理体を搬送する搬送手段を設け、第1の洗浄室で洗浄処理を行った後に、搬送手段を用いて第1の洗浄室から第2の洗浄室に被処理体を搬送し、その後、第2の洗浄室で洗浄処理を行うようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
この洗浄装置において搬送手段は、第1の洗浄室から乾燥が終了した被処理体を受け取り、その後、装置内部の雰囲気中に被処理体の表面を露出させた状態で第2の洗浄室へ搬送し、被処理体を第2の洗浄室に受け渡すようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−136935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、被処理体の表面を露出させた状態で被処理体を搬送した場合には、被処理体の表面が雰囲気中に晒されて、被処理体の表面が酸化したり、被処理体の表面が汚染されるおそれがあった。
【0008】
特に、被処理体に対して洗浄処理を行う場合には、搬送途中で被処理体の表面に雰囲気中の汚染物質が付着してしまい、被処理体の表面が汚染されてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る本発明では、被処理体に対して所定の処理を行う第1の処理室と第2の処理室との間で被処理体を搬送する搬送装置において、被処理体の表面に液体を供給する液体供給口と、前記液体供給口から供給された液体によって被処理体の表面を被覆した状態に保持するために被処理体の周縁上方に配置した液体保持具とを有することにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記液体供給口は、前記液体保持具に形成することにした。
【0011】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記液体供給口は、前記液体保持具に等間隔で複数個形成することにした。
【0012】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記液体保持具は、前記被処理体の表面との間に間隙を形成するとともに、前記液体の表面張力を用いて前記液体を前記被処理体の表面で保持することにした。
【0013】
また、請求項5に係る本発明では、被処理体に対して液処理を行う第1及び第2の液処理室と、これら第1の液処理室と第2の液処理室との間で被処理体を搬送する搬送手段とを有する液処理装置において、搬送手段は、被処理体の表面に液体を供給する液体供給口と、前記液体供給口から供給された液体によって被処理体の表面を被覆した状態に保持するために被処理体の周縁上方に配置した液体保持具とを有することにした。
【0014】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項5に係る本発明において、前記液体供給口は、前記液体保持具に形成することにした。
【0015】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項5又は請求項6に係る本発明において、前記液体保持具は、前記被処理体の表面との間に間隙を形成するとともに、前記液体の表面張力を用いて前記液体を前記被処理体の表面で保持することにした。
【0016】
また、請求項8に係る本発明では、被処理体に対して液処理を行う第1の液処理室と第2の液処理室との間で被処理体を搬送する液処理装置における被処理体の搬送方法において、液体供給口から被処理体の表面に液体を供給するとともに、被処理体の周縁上方に配置した液体保持具によって前記液体で被処理体の表面を被覆した状態に保持し、その後、前記液体で被処理体の表面を被覆した状態で被処理体を搬送することにした。
【0017】
また、請求項9に係る本発明では、前記請求項8に係る本発明において、前記第1の液処理室内で被処理体を処理液で処理した後に、同第1の液処理室内で前記液体供給口から被処理体の表面に液体を供給して、前記液体保持具によって前記液体で被処理体の表面を被覆した状態に保持することにした。
【発明の効果】
【0018】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0019】
すなわち、本発明では、液体供給口から被処理体の表面に液体を供給するとともに、その液体を液体保持具で被処理体の表面を被覆した状態に保持することができるので、被処理体の表面を液体で被覆した状態で被処理体の搬送を行うことができ、搬送途中において被処理体の表面が雰囲気中に晒されて被処理体の表面が酸化によって劣化したり汚染されてしまうのを防止することができるとともに、被処理体の表面に雰囲気中の汚染物質が付着して被処理体の表面が汚染されてしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る搬送装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を半導体ウエハの液処理装置である洗浄装置に適用した場合について説明する。
【0021】
図1に示すように、洗浄装置1は、前端部に被処理体としての半導体ウエハ(以下、「ウエハ2」という。)を複数枚(たとえば、25枚)上下に間隔を開けて収容したキャリア3を左右に間隔を開けて載置するキャリア載置部4を形成し、キャリア載置部4の後部にウエハ2の搬入及び搬出を行うウエハ搬入出部5を形成し、ウエハ搬入出部5の後部にウエハ2の洗浄処理及び乾燥処理を行うウエハ処理部6を形成しており、これらキャリア載置部4とウエハ搬入出部5やウエハ搬入出部5とウエハ処理部6は開閉扉7,8を介して密閉状に区画されている。
【0022】
ウエハ処理部6は、ウエハ搬入出部5の後部にウエハ処理室9を形成するとともに、左端部に制御装置を収容した制御室10を形成し、後端部に処理液としての薬液や純水などの各種洗浄液を収容した処理液室11を形成しており、ウエハ処理室9の右側部に所定の洗浄液でウエハ2を洗浄するための第1の洗浄室12(第1の液処理室)と第1の洗浄室12とは異なる洗浄液でウエハ2を洗浄するための第2の洗浄室13(第2の液処理室)とウエハ2の乾燥を行う乾燥室14とを前後に並べて配置するとともに、ウエハ処理室9の左側部にウエハ2を搬送するための搬送手段15(搬送装置)と乾燥後のウエハ2を乾燥室14からウエハ搬入出部5に搬出するための搬出手段37を上下に間隔をあけて配置している。
【0023】
ここで、第1及び第2の洗浄室12,13は、開閉扉16,17を介して密閉状に区画したケーシング18,19の内部に洗浄液でウエハ2を洗浄するためのチャンバー20,21とチャンバー20,21内のウエハ2の表面に洗浄液を供給するノズル22,23とを収容しており、各チャンバー20,21の内部にはウエハ2を保持しながら昇降及び水平回転させる昇降回転機構24,25を収容している。また、乾燥室14は、開閉扉26を介して密閉状に区画したケーシング27の内部にウエハ2を乾燥させるためのチャンバー28を収容しており、チャンバー28の内部にはウエハ2を保持しながら昇降及び水平回転させる昇降回転機構29を収容している。
【0024】
また、搬出手段37は、移動機構38にウエハ2を水平状態に保持するウエハ保持具39を取付けており、移動機構38は、ウエハ処理室9の前端部から後端部に前後移動可能で、かつ、乾燥室14に向けて進退移動可能に構成している。
【0025】
また、搬送手段15は、移動機構30にウエハ2を水平状態に保持するウエハ保持具31を取付けており、移動機構30は、ウエハ処理室9の前端部から後端部に前後移動可能で、かつ、第1及び第2の洗浄室12,13や乾燥室14に向けて進退移動可能に構成している。
【0026】
しかも、搬送手段15は、図2〜図4に示すように、ウエハ保持具31の上部にウエハ2を保持する4個の保持体32を形成するとともに、この保持体32で保持するウエハ2の周縁上方に中空円筒断面を有する円環状の液体保持具33を形成し、この液体保持具33の内側下部面にウエハ2の表面へ向けて複数個(ここでは、5個)のノズル状の液体供給口34を円周方向に等間隔で形成しており、液体保持具33に連通する連通パイプ35でウエハ保持具31の上部に液体保持具33をウエハ2の表面から所定の間隔を開けて支持している。
【0027】
このように、搬送手段15は、ウエハ保持具31で保持するウエハ2の上部に液体保持具33と液体供給口34とを形成して、連通パイプ35を介して供給される純水などの液体36を液体保持具33から液体供給口34を用いてウエハ2の表面に供給できるようにしており、さらに、液体供給口34からウエハ2の表面に供給された液体36を液体36の表面張力を利用して液体保持具33によってウエハ2の周縁で堰き止めて、液体保持具33によって液体36でウエハ2の表面を被覆した状態に保持できるようにしている。
【0028】
また、搬送手段15は、液体保持具33に液体供給口34を等間隔で複数個形成することにより、ウエハ2の表面に液体36を均等に拡散させることができ、液体保持具33によって液体36でウエハ2の表面をムラなく被覆した状態に良好に保持できるようにしている。
【0029】
なお、搬送手段15は、液体保持具33に複数個の液体供給口34を等間隔で一体的に形成した場合に限られず、液体保持具33に1個の液体供給口34を一体的に形成してもよく、また、液体保持具33と液体供給口34とを別体で形成してもよく、さらには、液体供給口34をウエハ2の中央部直上方に形成して、液体供給口34から供給した液体36がウエハ2の表面で中央部から周縁部に均等に拡散するようにしてもよい。
【0030】
洗浄装置1は、上述したように搬送手段15を形成しており、以下に説明するようにして搬送手段15でウエハ2を搬送するようにしている。
【0031】
まず、搬送手段15は、開閉扉8を開放した状態でウエハ搬入出部5から対象となる1枚のウエハ2を受け取り、開閉扉16を開放した状態で第1の洗浄室12に向けてウエハ保持具31を前進させて第1の洗浄室12の昇降回転機構24にウエハ2を受け渡し、ウエハ保持具31を後退させる。その後、開閉扉16を閉塞した状態で第1の洗浄室12によりウエハ2に対して所定の洗浄処理を施す。
【0032】
次に、搬送手段15は、開閉扉16を開放した状態で第1の洗浄室12に向けてウエハ保持具31を前進させて第1の洗浄室12の昇降回転機構24からウエハ2を受け取り、ウエハ保持具31を後退させ、その後、ウエハ保持具31を第1の洗浄室12から第2の洗浄室13に移動させ、開閉扉17を開放した状態で第2の洗浄室13に向けてウエハ保持具31を前進させて第2の洗浄室13の昇降回転機構25にウエハ2を受け渡し、ウエハ保持具31を後退させる。その後、開閉扉17を閉塞した状態で第2の洗浄室13によりウエハ2に対して第1の洗浄室12とは異なる所定の洗浄処理を施す。なお、この場合には、第1の洗浄室12と第2の洗浄室13がそれぞれ第1の処理室と第2の処理室として機能し、搬送手段15によって第1の処理室(第1の洗浄室12)から第2の処理室(第2の洗浄室13)に搬送することになる。
【0033】
このときに、第1の洗浄室12において所定の薬液を用いて洗浄した後に純水などのリンス液を用いてリンスする一連の洗浄処理を行い、その後、ウエハ2の表面にリンス液が残留している状態で、ウエハ2の下方にウエハ保持具31を挿入し、昇降回転機構24を降下させることによって昇降回転機構24からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、その後、第1の洗浄室12の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水(液体36)をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第1の洗浄室12から搬出し第2の洗浄室13に搬送するようにしている。
【0034】
なお、第1の洗浄室12によって上記一連の洗浄処理を行った後に昇降回転機構24を用いてウエハ2を回転させることによって遠心力の作用でリンス液を排除し、その後、昇降回転機構24からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、その後、第1の洗浄室12の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第1の洗浄室12から搬出し第2の洗浄室13に搬送するようにしてもよい。
【0035】
また、搬送手段15にウエハ保持具31を昇降させるための昇降機構を設けた場合には、第1の洗浄室12によって上記一連の洗浄処理を行った後に、ウエハ2の表面にリンス液が残留している状態で、ウエハ2の下方にウエハ保持具31を挿入し、昇降機構でウエハ保持具31を上昇をさせることによって昇降回転機構24からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、ウエハ保持具31の上昇中に或いは上昇前又は後に、第1の洗浄室12の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第1の洗浄室12から搬出し第2の洗浄室13に搬送するようにしてもよい。
【0036】
次に、搬送手段15は、開閉扉17を開放した状態で第2の洗浄室13に向けてウエハ保持具31を前進させて第2の洗浄室13の昇降回転機構25からウエハ2を受け取り、ウエハ保持具31を後退させ、その後、ウエハ保持具31を第2の洗浄室13から乾燥室14に移動させ、開閉扉26を開放した状態で乾燥室14に向けてウエハ保持具31を前進させて乾燥室14の昇降回転機構29にウエハ2を受け渡し、ウエハ保持具31を後退させる。その後、開閉扉26を閉塞した状態で乾燥室14によりウエハ2に対して所定の乾燥処理を施す。なお、この場合には、第2の洗浄室13と乾燥室14がそれぞれ第1の処理室と第2の処理室として機能し、搬送手段15によって第1の処理室(第2の洗浄室13)から第2の処理室(乾燥室14)に搬送することになる。
【0037】
このときに、第2の洗浄室13において所定の薬液を用いて洗浄した後に純水などのリンス液を用いてリンスする一連の洗浄処理を行い、その後、ウエハ2の表面にリンス液が残留している状態で昇降回転機構25からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、その後、第2の洗浄室13の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第2の洗浄室13から乾燥室14に搬送するようにしている。
【0038】
なお、第2の洗浄室13によって上記一連の洗浄処理を行った後に昇降回転機構25を用いてウエハ2を回転させることによって遠心力の作用でリンス液を排除し、その後、昇降回転機構25からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、その後、第2の洗浄室13の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第2の洗浄室13から乾燥室14に搬送するようにしてもよい。
【0039】
また、搬送手段15にウエハ保持具31を昇降させるための昇降機構を設けた場合には、第2の洗浄室13によって上記一連の洗浄処理を行った後に、ウエハ2の表面にリンス液が残留している状態で、ウエハ2の下方にウエハ保持具31を挿入し、昇降機構でウエハ保持具31を上昇をさせることによって昇降回転機構25からウエハ2をウエハ保持具31で受け取り、ウエハ保持具31の上昇中に或いは上昇前又は後に、第2の洗浄室13の内部で液体供給口34から所定の流速及び流量の純水をウエハ2の上面に供給し、液体供給口34から供給された純水をウエハ2の周縁で液体保持具33によって堰き止めて、純水でウエハ2の表面を被覆した状態に保持し、そのままの状態でウエハ2を第2の洗浄室13から搬出し乾燥室14に搬送するようにしてもよい。
【0040】
乾燥室14での乾燥処理が終了した後は、開閉扉26を開放して搬出手段37で乾燥室14からウエハ2を受け取り、その後、乾燥室14からウエハ搬入出部5に移動させ、開閉扉8を開放してウエハ2をウエハ搬入出部5に受け渡すようにしている。
【0041】
以上に説明したように、上記洗浄装置1では、液体供給口34からウエハ2の表面に液体36を供給するとともに、その液体36を液体保持具33でウエハ2の表面を被覆した状態に保持するようにしているために、ウエハ2の表面を液体36で被覆した状態でウエハ2の搬送を行うことができる。そして、上記洗浄装置1では、ウエハ2の表面を液体36で被覆した状態でウエハ2を搬送することによって、搬送途中においてウエハ2の表面が雰囲気中に晒されてしまわないようにしている。そのため、上記洗浄装置1では、搬送途中でウエハ2が雰囲気中に晒されることに起因してウエハ2の表面が酸化してしまうのを防止することができる。また、上記洗浄装置1では、搬送途中でウエハ2の表面に雰囲気中の汚染物質が付着することに起因してウエハ2の表面が汚染されてしまうのを防止することができる。これにより、上記洗浄装置1では、洗浄効果を向上させることができる。
【0042】
また、上記洗浄装置1では、液体保持具33とウエハ2の表面との間に間隙を形成するとともに、液体の表面張力を用いて液体36をウエハ2の表面で保持するようにしているために、ウエハ2の表面に液体保持具33が接触することがなく、接触によってウエハ2の表面が損傷してしまうのを防止することができる。
【0043】
さらに、上記洗浄装置1では、第1の処理室(第1の洗浄室12又は第2の洗浄室13)によってウエハ2を所定の処理液(リンス液)で処理した後に第1の処理室の内部で液体供給口34からウエハ2の表面に液体36を供給して、液体保持具33によって液体36でウエハ2の表面を被覆した状態に保持するようにしているために、ウエハ2の表面から処理液を排除するためにウエハ2を回転させるなどの別工程を省略することができ、処理時間の短縮を図ることができる。これにより、上記洗浄装置1では、処理時間の短縮によるスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】洗浄装置を示す平面図。
【図2】液体供給口及び液体保持具を示す平面図。
【図3】同側面図。
【図4】同拡大断面図。
【符号の説明】
【0045】
1 洗浄装置 2 ウエハ
3 キャリア 4 キャリア載置部
5 ウエハ搬入出部 6 ウエハ処理部
7,8 開閉扉 9 ウエハ処理室
10 制御室 11 処理液室
12 第1の洗浄室 13 第2の洗浄室
14 乾燥室 15 搬送手段
16,17 開閉扉 18,19 ケーシング
20,21 チャンバー 22,23 ノズル
24,25 昇降回転機構 26 開閉扉
27 ケーシング 28 チャンバー
29 昇降回転機構 30 移動機構
31 ウエハ保持具 32 保持体
33 液体保持具 34 液体供給口
35 連通パイプ 36 液体
37 搬出手段 38 移動機構
39 ウエハ保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体に対して所定の処理を行う第1の処理室と第2の処理室との間で被処理体を搬送する搬送装置において、
被処理体の表面に液体を供給する液体供給口と、前記液体供給口から供給された液体によって被処理体の表面を被覆した状態に保持するために被処理体の周縁上方に配置した液体保持具とを有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記液体供給口は、前記液体保持具に形成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記液体供給口は、前記液体保持具に等間隔で複数個形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記液体保持具は、前記被処理体の表面との間に間隙を形成するとともに、前記液体の表面張力を用いて前記液体を前記被処理体の表面で保持することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
被処理体に対して液処理を行う第1及び第2の液処理室と、これら第1の液処理室と第2の液処理室との間で被処理体を搬送する搬送手段とを有する液処理装置において、
搬送手段は、被処理体の表面に液体を供給する液体供給口と、前記液体供給口から供給された液体によって被処理体の表面を被覆した状態に保持するために被処理体の周縁上方に配置した液体保持具とを有することを特徴とする液処理装置。
【請求項6】
前記液体供給口は、前記液体保持具に形成したことを特徴とする請求項5に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記液体保持具は、前記被処理体の表面との間に間隙を形成するとともに、前記液体の表面張力を用いて前記液体を前記被処理体の表面で保持することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
被処理体に対して液処理を行う第1の液処理室と第2の液処理室との間で被処理体を搬送する液処理装置における被処理体の搬送方法において、
液体供給口から被処理体の表面に液体を供給するとともに、被処理体の周縁上方に配置した液体保持具によって前記液体で被処理体の表面を被覆した状態に保持し、その後、前記液体で被処理体の表面を被覆した状態で被処理体を搬送することを特徴とする液処理装置における被処理体の搬送方法。
【請求項9】
前記第1の液処理室内で被処理体を処理液で処理した後に、同第1の液処理室内で前記液体供給口から被処理体の表面に液体を供給して、前記液体保持具によって前記液体で被処理体の表面を被覆した状態に保持することを特徴とする請求項8に記載の液処理装置における被処理体の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−300451(P2008−300451A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142585(P2007−142585)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】