説明

携帯機器及び電子機器システム

【課題】複数のモードを有する携帯機器を車載機器に装着した場合でも、ユーザが所望するモードで起動することができる電子機器を提供する。
【解決手段】車載機器に取り付け可能な携帯機器であって、携帯機器は複数のモードを有するとともに、車載機器に取り付けられた際に、ユーザにより設定された特定のモードを選択する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載機器と、車載機器に取り付け可能な携帯機器とを含む電子機器システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置としては、車両に搭載され、設定された目的地までの経路案内等を行う車載ナビゲーション装置がある。また、このような車載ナビゲーション装置を歩行時にも利用できるようなポータブルナビゲーション装置も普及している。
【0003】
特許文献1及び2には、ナビゲーション部が車両に搭載された車載装置と着脱可能とする構成が開示されている。つまり、車載装置からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビゲーション装置として単体で使用することが可能となっている。
【0004】
また、特許文献3には、車両に搭載されるナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にも使用できる構成が開示されている。さらに、ナビゲーション装置が車両に接続された時にはカーナビモード(車両搭載時のナビゲーションモード)となり、ナビゲーション装置が車両から取り外された時にはマンナビモード(歩行時のナビゲーションモード)になることが開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特表2005−524570号公報
【特許文献3】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、ナビゲーション装置が車載機器に接続されると必ずカーナビモードに設定されてしまい、またナビゲーション装置が車載機器から取り外されると必ずマンナビモードに設定されてしまう。カーナビモードとマンナビモードであれば問題ないかもしれないが、カーナビモードやオーディオモードを有する場合、ユーザの意思とは関係なくモードが選択されてしまうおそれがある。
【0006】
例えば、ナビゲーション装置が車載機器に接続される前のオーディオモードを、車載機器に接続された後もそのまま継続したい場合であっても、接続された後は自動的にユーザの意思とは関係のないカーナビモードに変更されたのでは、ユーザが改めてオーディオモードに設定し直す手間が必要という問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、携帯機器を車載機器に装着した場合でも、ユーザが所望するモードで起動することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車載機器に取り付け可能な携帯機器であって、携帯機器は複数のモードを有するとともに、車載機器に取り付けられた際に、ユーザにより設定された特定のモードを選択する制御手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、車載機器のモードに関する情報を取得する取得手段を備え、制御手段は取得手段から取得した情報に基づき選択するモードを決定することを特徴とする。
【0010】
また、携帯機器は表示手段と操作手段を有し、ユーザは表示手段および操作手段によって、車載機器に取り付けられた際に選択されるモードを設定可能であることを特徴とする。
【0011】
また、車載機器に取り付け可能な携帯機器であって、携帯機器は複数のモードを有するとともに、車載機器から取り外された際に、ユーザにより設定された特定のモードを選択する制御手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、車載機器と携帯機器とからなる電子機器システムであって、携帯機器が車載機器に取り付けられた際、ユーザによる設定に従い、車載機器が有するモードまたは携帯機器が有するモードのうち、少なくとも1つを選択する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯機器が車載機器に取り付けられた場合や取り外された場合に、ユーザが所望するモードに設定できるため、ユーザにとって非常に便利になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ物である。
【0015】
図1は、(a)本発明に係る電子機器システム1の車両2への搭載例を示す図及び、(b)本発明に係る携帯機器(ポータブル機器)10と車載機器100の使用例を示す図である。本発明に係る電子機器システム1は、車両2の運転席3及び助手席4の間のコンソール部分に設置され、運転者及び同乗者に利用される。
【0016】
また、電子機器システム1は、携帯機器10及び該携帯機器10が着脱可能な車載機器100から構成される。携帯機器10は、携帯型のナビゲーション装置、いわゆるPND(パーソナル/ポータブル・ナビゲーション・デバイス)であり、車載機器100から取り外すことができ、例えば車外使用者5は車外でもナビゲーション装置やテレビ・ラジオ受信機、記録媒体再生装置として利用することができる。車載機器100は、車両に固定される据え置き型の車載機器で、携帯機器10が取り外されても、例えばカーオーディオやビジュアルオーディオのような再生装置・受信装置として利用することができる。スピーカ108は、例えば再生装置で再生された楽曲の音声を車室内に出力することができる。
【0017】
図2は、本発明に係る携帯機器10が車載機器100に取り付けられた状態の電子機器システム1の概観図である。この状態で電子機器システム1を利用することによって、運転中にナビゲーション機能やコンパクトディスク(CD:Compact Disc)、デジタルヴァーサタイルディスク(DVD:Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(BD:Blu−ray Disc)などの記録媒体再生機能、ラジオ受信機能、テレビ受信機能などを利用することができる。
【0018】
車載機器100は、表示部105や操作部110等を有するチルト動作が可能な前面部200と、記録媒体から情報を読み出す再生部等を有する本体部300から構成される。表示部105は、液晶パネルやバックライトから構成され、再生されている楽曲の情報などを表示することができる。操作部110は、各種モードへの切り替え操作や各モードにおける操作などを行うことができる。例えば、操作部110によって、モードを選択する操作、前面部200のチルト動作を指示する操作、記録媒体を本体部300からイジェクトする操作、メニュー画面を表示部105に呼び出す操作などを行うことができる。また、前面部200に設けられる取り外し釦201は、携帯機器10を車載機器100(前面部200)から取り外すための釦であり、取り外し釦201を操作すると、携帯機器10と車載機器100(前面部200)とのロック機構が解除されるようになっている。取り外し動作としては、前面部200は移動せず、携帯機器10のみが前面に飛び出す形態や、後述する図5のように前面パネル200が所定の角度もしくは水平状態までチルトし、次いでロック機構が解除され、前面に飛び出すといった形態で、ユーザが取り外しやすい形態となっている。なお、104は、後述する外部音声/映像入出力部である。
【0019】
図3は、携帯機器10が取り外された車載機器100の概観図である。着脱部203は、携帯機器10を取り付けるための凹部が形成されており、携帯機器10と電気的に接続するためのコネクタ115、及び携帯機器10を前面部200に固定するためのロック機構(図示せず)を備えている。
【0020】
図4は、携帯機器10の6面図(10a〜10f)である。携帯機器10は、表示部14や操作部18を備えている。表示部14は前面(10a)に設けられ、液晶パネル及びバックライトからなり、地図表示や経路案内表示などのナビゲーション機能に関する表示や、ラジオやテレビの受信情報・番組情報、MP3(MPEG Audio Layer−3)ファイルなどの再生されている楽曲に関する情報が表示される。操作部18は、前面(10a)に設けられるタッチパネルや上面(10b)に設けられる携帯機器10の電源釦である。なお、携帯機器10の電源は、携帯機器10を車載機器100に取り付けた場合は、車載機器100からの制御により電源がオン/オフされ、取り外して単体で使用する場合は、電源釦の操作により電源がオン/オフされる。
【0021】
また、携帯機器10には、裏面(10f)にコネクタ19や車載機器100との係止部25、下面(10c)にカードメモリやUSBメモリのスロット24、無線通信部20が設けられている。地図情報を記憶するカードメモリやUSBメモリをスロット24に挿入することにより、ナビゲーション機能の地図情報として利用できる。無線通信部20は、例えば、2.4GHz帯域を用いる無線伝送方式であるBluetooth(登録商標)通信を用い、携帯電話との間で、通話の音声信号の送受やナビゲーション機能に利用する情報を取得することが可能である。
【0022】
図5は、車載機器100の前面部200が本体部300に対してチルト(傾動動作)した状態を示す。前面部200をチルトさせることによって、携帯機器10も一体的にチルトし、CDやDVD、フラッシュメモリなどの記録媒体を本体部300に設けられる挿排口301から挿排が可能となる。挿排口301から挿入された記録媒体は、本体部300の内部に設けられる記録媒体再生部(後述する)によって再生される。
【0023】
図6は、本発明に係る電子機器システム1の構成を示すブロック図である。車載機器100は、記録媒体再生部101、ラジオ受信部102、テレビ受信部103、外部音声/映像入出力部104、表示部105、音声調整部106、GPS(GlobalPositioning System)情報受信部109、操作部110、無線通信部111、マイク112、車両情報検知部113、メモリ114、コネクタ115、制御部116から構成される。各部を詳細に説明する。
【0024】
記録媒体再生部101は、音楽データや文字データ、画像データ、ナビゲーション用の地図データなどを記憶したCDやDVD、Blu−rayディスクのような光ディスクや、フラッシュメモリ、ハードディスクのような不揮発性半導体メモリ等の記録媒体が再生可能で、表示部105への映像出力や車両に設置されたスピーカ108へ音声出力を行う。ラジオ受信部102は、車両に設置されたアンテナに接続し、AM・FMラジオや多重放送、衛星放送、デジタルラジオ等の放送波を受信し、ステレオ音声信号の出力、多重データの受信・復調を行う。テレビ受信部103も同様に、車両に設置されたアンテナを介し、アナログテレビや地上波デジタルテレビ(12セグ・1セグ)、衛星放送の受信・復調・出力を行う。外部音声/映像入出力部104は、車両の周辺を撮像する車両用周辺監視カメラや走行時の車両の状況を記録するドライブレコーダ・その他AV(AudioVisual)機器からの音声や映像の入力、又は車両後部座席モニタ等の外部表示器への出力が可能となっている。表示部105は、記録媒体再生部101やテレビ受信部103、外部音声/映像入力部104の再生情報やチャンネル情報、入出力情報などの表示を行う。また、携帯機器10がコネクタ115を介して取り付けられた時は、携帯機器10の出力情報を表示するようにしても良い。例えば、携帯機器10が地図表示中であれば、さらに広域の地図や周辺情報を表示させたり、テレビを受信中であれば、番組表一覧を表示させたりしても良い。音声調整部106は、ナビ音声・テレビ音声やラジオ音声などの各音声の音質や音量を調整する。GPS情報受信部109は、自己位置の算出を行うために、車両に設置したアンテナに接続し、衛星から位置情報の受信を行う。操作部110は、前述のように、各種モードへの切り替え操作や各モードにおける入力/選択操作を行うことができる。無線通信部111は、前述したように携帯電話通信やBluetooth(登録商標)・赤外線通信などの公衆回線や無線通信回線を介して外部機器や車載機器100との信号の送受信を行う。マイク112は、使用者の発声や車室内の音声を集音し、音声認識を行い、各種操作に利用できる。車両情報検知部113は、車両情報(車両走行速度に関する車速パルス、ヘッドライトのイルミネーション情報、車内の各座席の乗員情報、燃費情報、エアコン設定などの車両情報を、例えば車内LANを介して検知する。メモリは114、画質や音質、受信チャンネル・周波数、車両情報に基づく車載機器100の各種設定情報などを記憶している。コネクタ115は、前述のように、携帯機器10と電気的に接続し、情報の送受信に利用される。具体的には、携帯機器10のモード設定情報の送受信などに利用される。制御部116は、前述の各部を統括的に制御するようになっている。なお、車載機器100は、エンジンキー(図示せず)がACC又はIGの位置にあるとき車両に備えられた車両電源部117から電力供給される。
【0025】
次に携帯機器10について詳細を説明する。携帯機器10は、ナビ部11、ラジオ受信部12、テレビ受信部13、表示部14、音声調整部15、スピーカ16、GPS情報受信部17、操作部18、コネクタ19、無線通信部20、電源部21、メモリ22、制御部23から構成される。各部を詳細に説明する。なお、先に説明した同一名称の箇所においては、説明が重複するため、省略する。
【0026】
ナビ部11は、メモリ22に記憶されている地図情報を利用し、経路探索や経路案内を行う。但し、携帯機器10がコネクタ19を介して車載機器100に取り付けられている場合は、車載機器100の記録媒体再生部101やメモリ114に記憶している地図情報を取得するようにしても良い。表示部14は、前述したナビ画像やテレビ画像などの画像を調整し表示する。また、携帯機器10がコネクタ19を介して車載機器100に取り付けられ、車載機器100の車両情報検知部113によって車両情報を検知している場合には、ユーザの利便性向上のために、検知した車両情報に基づいて走行中の燃費やエアコンなどの状態を表示するようにしても良い。操作部18は、表示部14の表面に設けられたタッチパネルのほか、携帯機器10の上面(図4の10b)に設けられる電源スイッチも含まれる。コネクタ19は、車載機器100のコネクタ115と接続され、電源供給や車両情報(車両走行速度、ヘッドライトのイルミネーション情報、乗員情報、燃費情報、エアコン設定など)の受信、車載機器100のモード設定情報の送受信などに利用される。電源部21は、携帯機器10を単体で用いるときは、携帯機器10内の各部に電力を供給し、車載機器100と接続している時又は外部アダプタと接続している時は充電可能な蓄電池となっている。メモリ22は、携帯機器10の大きさを考慮して1.8インチ等小型ハードディスクやフラッシュメモリ、着脱可能なICメモリカード(SDカード、ミニSD、マイクロSD、メモリスティック(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)など)、カード型のHDD(マイクロドライブ)などから成り、地図情報や各媒体の受信チャンネル・周波数、車両情報に基づく携帯機器10の各種設定情報、後述する携帯機器10および車載機器100のモード情報などを記憶する。なお、スロット部24に挿入されるメモリ等も、メモリ22と同様の働きを行い、車載機器100内のメモリ114も同様の形態であっても良い。制御部23は、これら携帯機器10内の各部を統括的に制御するようになっている。

尚、特許請求の範囲と実施例との対応関係は次の通りである。特許請求の範囲における制御手段の一例が実施例における制御部23または制御部116である。同様に、取得手段の一例がコネクタ19と制御部23、表示手段の一例が表示部14、操作手段の一例が操作部18である。 以上のように、各構成について説明したが、携帯機器10及び車載機器100に共通して含まれる構成部は、コスト、形状、大きさ、重量等の面から、どちらか一方のみに備えるようにしても良い。
【0027】
次に、携帯機器10を車載機器100に取り付けた場合の電子機器システム1のモードについて説明する。
【0028】
図7は、携帯機器10を車載機器100に取り付けた場合のモード設定を行うための設定画面である。81は接続前の車載機器100のモードを選択する部分であり、82は接続前の携帯機器10のモードを選択する部分となっている。また、83は、81及び82で選択されたモードで携帯機器10が車載機器100に取り付けられた場合の電子機器システム1のモードを選択する部分となっている。図7に示す設定画面での設定方法としては、該当する項目をタッチパネル(図4の操作部18)操作などで選択すると、選択肢を一覧表示させたり、クリック・選択するごとに切り換えたりして選択できるようにしてもよい。また、モードの一覧表を表示部に表示させて、ユーザが設定に利用できるようにしても良い。なお、設定画面の項目中の「(車載機器)」は、「車載機器のモードを引き継ぐ」ということを意味している。このように、この設定画面によって、携帯機器10を車載機器100に取り付けた場合の電子機器システム1のモードをユーザは自由に設定することができる。
【0029】
例えば、図7では、取り付け前の車載機器100のモード81にDVDやTV等の映像・音声モードが選択され、取り付け前の携帯機器10のモード82に経路案内を伴わない地図表示等のナビゲーションモード(通常)が選択され、取り付け後の電子機器システム1のモード83に映像・音声モード(車載機器)が選択されている。なお、ナビゲーションモードで地図を表示する表示領域が広い携帯機器10の表示部14にモード設定を行うための設定画面を表示するため、ユーザはモードの設定を容易に行うことができる。
【0030】
図8は、携帯機器10が車載機器100に取り付けられた時に、図7で設定されたモード(ユーザが所望するモード)で電子機器システム1が動作することを説明する図である。図8(a)は、携帯機器10が車載機器100に取り付けられる前の状態で、携帯機器10はナビゲーションモード(地図表示)となり、車載機器10はDVDモード(映像・音声モードの一つ)となっている。
【0031】
このような状態で、図8(b)に示すように、ナビゲーションモードで地図表示を行っている携帯機器10を、DVDモードでDVDに記録された情報を再生している車載機器100に取り付けると、図7で設定されたモードに基づいて、携帯機器10の表示部14には車載機器100で再生されているDVDの映像が表示される。つまり、携帯機器10は、車載機器100への取り付けと同時に、ナビゲーションモードからDVDモードに自動的に切り換わる。このように、ユーザはより簡単な操作で、電子機器システム1を所望のモードで動作させることができる。なお、「取り付け」とは、少なくとも機械的に接続されていればよく、コネクタ19、コネクタ115を介して電気的に接続されていなくてもよい。つまり、携帯機器10が車載機器100に機械的に取り付けられたことを検知し、携帯機器10のモードを自動的に変更するようにしてもよい。
【0032】
これに対して、従来技術では、携帯機器10が車載機器100に取り付けられた場合でも、携帯機器10はナビゲーションモードが継続され、その表示部14には地図が表示されてしまう。つまり、携帯機器10の表示部14でDVDの映像を見たい場合、ユーザはモードの変更操作を行う必要があり、非常に煩わしい作業となっていた。
【0033】
次に、図9を用いて、本発明に係る携帯機器10、車載機器100、電子機器システム1のモードについて説明する。
【0034】
図9(a)は、本発明に係る携帯機器10を車載機器100に取り付けた場合の電子機器システム1のモードに関する一覧表である。
【0035】
図9(a)において、表の横軸は、携帯機器10と車載機器100とが取り付けられる前の車載機器100のモードを示しており、音声を出力するCDやラジオ等の音声モード(TA10)、映像及び音声を出力するDVDやTV等の映像・音声モード(TA20)、電源OFF状態(TA30)の項目がある。また縦軸は、携帯機器10と車載機器100とが取り付けられる前の携帯機器10のモードを示している。音声を出力するMP3やラジオ等の音声モード(TA01)、映像及び音声を出力するTV等の映像・音声モード(TA02)、電源OFF状態(TA05)に加え、ナビゲーションモードで経路案内を行っているナビモード(経路案内)(TA03)、経路案内以外の地図表示等のナビモード(通常)(TA04)の項目がある。設定画面の項目中の「(携帯機器)」、「(車載機器)」は、それぞれ「携帯機器のモードを引き継ぐ」、「車載機器のモードを引き継ぐ」ということを意味している。なお、音声モード(CD、ラジオ、MP3)における表示は、何も表示させなくても良いし、再生情報・受信情報の表示や静止画を表示手段に表示してもよい。なお、各機器の音声モードや映像・音声モードにおけるソース(CD、ラジオ、MP3、DVD、TV等)には、各機器内の再生部または受信部が利用される。
【0036】
取り付け後の電子機器システム1のモードは、取り付け前の車載機器モードの各項目(TA10〜TA30)と携帯機器モードの各項目(TA01〜TA05)の交差する項目に示される。前述した図7及び図9の実施例は、取り付け前の車載機器モード81はTA20の項目に、取り付け前の携帯機器モード82はTA04の項目に、取り付け後の車載システムのモードTA24に対応している。前述の他、例えば、CD再生を行っている車載機器100(TA10)に、経路案内を行っているナビモードの携帯機器10(TA03)を取り付けた場合は、携帯機器の経路案内を優先させるという考えのもと、取り付け前の携帯機器のモードを引き継ぐように設定してもよい(TA13)。
【0037】
また、図10(a)に示すような車載機器100も携帯機器10も電源がOFFの場合(TA30、TA05)は、図10(b)に示すように、ユーザがモードをすぐに選択できるように、自動的に、車載機器100と携帯機器10の電源を起動し、メニュー画面(ナビ、ラジオ、CD、DVD、TV、MP3等のモードを選択できる画面)を表示させるようにしてもよい(TA35)。このように、ユーザは利用しやすいと考える電子機器システム1のモードを携帯機器10と車載機器100のモードに基づいて予め設定できるため、利便性が非常に向上する。また、ナビゲーションモードで地図を表示する表示領域が広い携帯機器10の表示部14にメニュー画面を表示するため、ユーザはモードの選択を容易に行うことができる。また、メニュー画面に表示させるソース(ナビ、ラジオ、CD、DVD、TV、MP3等)も、ユーザが独自に設定できるようにしても良い。
【0038】
図9(b)は、本発明に係る車載機器100に取り付けられた状態の携帯機器10を車載機器100から取り外した後の携帯機器10のモードを示す一覧表である。つまり、図9(b)に示すように、車載機器100から携帯機器10を取り外した後の携帯機器10のモードも予め設定することができる。例えば、取り外し前の電子機器システム1は携帯機器10内の音声ソース(例えば、メモリカードに記憶されたMP3音楽データ)から音声を出力し(TB10)、表示部14には再生情報など(音声画面)を表示させていた場合(TB01)、取り外し後の携帯機器10も、引き続き音声ソースの再生情報(音声画面)の表示及び音声出力を行うように設定できる(TB11)。これにより、携帯機器10に保存された音楽を車外で聞くために、モード変更操作を行うことなく、車載機器100から取り外すだけで引き続き使用できる。その他に、例えば、取り外し前の電子機器システム1の音声ソースが、車載機器100内のソース(例えば音楽CD)で(TB20)、表示画面がナビ画面である場合(TB02)、音声ソースからの出力は行わず、ナビゲーションの画面表示及びナビモードに設定することができる(TB22)。このようにすることで、ユーザは取り外した時において、携帯機器10を自動的に所望のモードに設定することができ、利便性が高まる。さらに、取り外し時の車載機器100のモードを同様に設定出るようにしても良いし、取り付け前のモードに戻るようにしても良い。
【0039】
次に、図11および図12を用いて、携帯機器10を車載機器100に取り付ける場合の携帯機器10および車載機器100の出力制御について説明する。
【0040】
図11は、携帯機器10を車載機器100に取り付ける場合の携帯機器10の出力制御を示すフローチャートである。携帯機器10の制御部23は、接続部19からの接続信号を検知すると、本制御がスタートされる(ST1)。まず制御部23は、接続部19を介して車載機器100のモードに関する情報を取得させる(ST2)。そして、メモリ22に記憶させた図9(a)に示す一覧表(テーブル)に基づき、取り付け前の携帯機器10と車載機器100のモードから、該当する電子機器システム1のモードに関する情報を読み出す(ST3)。読み出した電子機器システム1のモードに関する情報が携帯機器10のモードを引き継ぐものであるかを判断し(ST4)、携帯機器10のモードを引き継ぐものであれば、そのまま携帯機器10のモードを継続させる(ST5)。そして、車載機器100の出力を携帯機器10のモードの出力に変更させるための信号を、車載機器100の制御部116に出力する(ST6)。つまり、携帯機器10のモードに合わせて車載機器100を制御し、電子機器システム1としてのモード(動作)を統一できる。次に、読み出した電子機器システム1モードに関する情報が携帯機器10のモードを引き継ぐものではない場合、車載機器100のモードを引き継ぐものであるかを判断し(ST7)、車載機器100のモードを引き継ぐものであれば、車載機器100から出力データを取得し、電子機器システム1として、携帯機器10の表示部14に表示させたり、音声出力させたりする(ST8)。さらに、携帯機器10のモードも車載機器100のモードも引き継ぐものではない場合、表示部14にユーザがソースを選択できるメニュー画面を表示させる(ST9)。そして、ユーザによりソースが選択されると(ST10)、電子機器システム1として選択されたソースが出力される(ST11)。このようにすることで、ユーザの好みに合った出力を行うことができる。以上のような構成により、携帯機器10の車載機器100への取り付け後の携帯機器10及び車載機器100のモード切替が、ユーザが利便性を考慮し、さらにユーザの使用スタイルを反映したものにでき、利便性が向上する。
【0041】
図12は、携帯機器10を車載機器100に取り付ける場合の車載機器100の出力制御を示すフローチャートである。車載機器100の制御部116は、接続部115からの接続信号を検知すると、本制御がスタートされる(ST21)。まず制御部116は、コネクタ115を介して携帯機器10のモードに関する情報を取得する(ST22)。そして、メモリ114に記憶させた図9(a)に示す一覧表(テーブル)に基づき、取り付け前の携帯機器10と車載機器100のモードから、該当する電子機器システム1のモードに関する情報を読み出す(ST23)。読み出した電子機器システム1のモードに関する情報が車載機器100のモードを引き継ぐものであるかを判断し(ST24)、車載機器100のモードを引き継ぐものであれば、そのまま車載機器100のモードを継続させる(ST25)。そして、携帯機器10の出力を車載機器100のモードの出力に変更させるための信号を、携帯機器10の制御部23に出力する(ST26)。次に、読み出した電子機器システム1のモードに関する情報が車載機器100のモードを引き継ぐものではない場合、携帯機器10のモードを引き継ぐものであるかを判断し(ST27)、携帯機器10のモードを引き継ぐものであれば、携帯機器10から出力データを取得し、電子機器システム1として、携帯機器10の表示部14に表示させたり、音声出力させたりする(ST28)。さらに、車載機器100のモードも携帯機器10のモードも引き継ぐものではない場合、表示部14にユーザがソースを選択できるメニュー画面を表示させる(ST29)。そして、ユーザによりソースが選択されると(ST30)、電子機器システム1として選択されたソースが出力される(ST31)。このようにすることで、ユーザの好みに合った出力を行うことができる。以上のような構成により、携帯機器10の車載機器100への取り付け後の携帯機器10及び車載機器100のモード切り換えが、ユーザが利便性を考慮し、さらにユーザの使用スタイルを反映したものにでき、利便性が向上する。
【0042】
なお、図11では携帯機器10の制御部23とメモリ22に記憶されたモードに関する情報とを用いて車載機器100を制御し、図12では車載機器100の制御部116とメモリ114に記憶されたモードに関する情報とを用いて携帯機器10を制御するようにした。しかし、これらに限定されるものではなく、電子機器システム1として、どちらかの制御部とどちらかのメモリに記憶されたモードに関する情報とを用いて、携帯機器10と車載機器100のモードや出力が制御されるようにすればよい。
【0043】
また、以上の説明では、主に取り付け時について説明を行ったが、図9(b)に示すような取り外した後のモードに関する情報をそれぞれの機器のメモリに記憶させ、これらの情報を参照することによって、ユーザが希望するモードに変更することができる。
【0044】
また、以上の実施例では、車載機器100も携帯機器10も電源がOFFの場合にメニュー画面を表示するようにしたが、これに限定されるものではなく、携帯機器10が車載機器100に取り付けられた場合には常にメニュー画面を表示するようにしてもよい。さらに、携帯機器10が車載機器100に取り付けられた場合、電子機器システム1として車載機器100のモードまたは携帯機器10のモードまたはメニュー画面表示のいずれかに切り換わるようにしたが、これに限定されるものではなく、携帯機器10が車載機器100に取り付けられた場合にはそれら以外のモードに切り換わるようにしてもよい。つまり、車載機器100のモードまたは携帯機器10のモードまたはメニュー画面表示に関係なく、例えば、常にナビゲーションモードに切り換わるようにしてもよい。
【0045】
以上、携帯機器10及び車載機器100のモードについて説明したが、以下に携帯機器10及び車載機器100のその他の機能について実施例を挙げる。
【0046】
携帯機器10のメモリ22は、地図データを記憶しているが、無線通信部20を介して新規地図データや更新地図データなどを受信して、記憶させても良い。これにより、メモリの入れ替えが不要で、簡単に地図データを更新させることができる。
【0047】
また、携帯機器10が車載機器100に接続された場合、携帯機器10のメモリ14に記録された地図データではなく、車載機器100が有する(メモリ115または記録媒体再生部101から取得する)地図データを利用するようにしてもよい。これにより、携帯機器10のメモリ14の容量を増加させることなく車載機器100が有する地図データによって有益な情報をユーザに提供することができる。さらに、携帯機器10は接続部19を介して、車載機器100から携帯機器10のメモリ22に記録されていない観光情報や地域情報に特化した特定の地図データなどを取得するようにしてもよい。これにより、メモリ22の容量を増加させることなく有益な情報をユーザに提供することができる。さらに、現在位置から地域や国を判断して、その地域や国の地図を自動的に読み出し、地図データを更新するようにしてもよい。これにより、必要な地図データのみ更新することができ携帯機器10の処理負荷を低減させることができる。
【0048】
また、携帯機器10は、路側帯などに設置された情報端末から渋滞情報や道路工事情報などの交通情報を、無線通信部20を介して取得し、ナビゲーションの地図表示や経路案内に反映させるようにしてもよい。これにより、有益な情報をユーザに提供することができる。
【0049】
また、ユーザが携帯機器10を車外等で携帯しているときには、現在地付近のお店情報などの周辺情報も取得できるようにしてもよい。これにより、有益な情報をユーザに提供できる。なお、これらの情報を取得するか否かを選択することができるようにしてもよい。これにより、通信料金が発生する場合は料金を抑制することができる。
【0050】
また、携帯機器10でテレビやラジオを視聴している状態で、車載機器100に取り付けた場合、受信に利用している携帯機器10側のテレビ受信部13又はラジオ受信部12のアンテナから、車載機器100側のテレビ受信部103又はラジオ受信部102のアンテナに変更してもよい。これにより、受信感度のよい車載機器100側のテレビ受信部103又はラジオ受信部102のアンテナを利用して、より質の高い映像や音声をユーザに提供することができる。また、携帯機器10側のアンテナと車載機器100側のアンテナを用いて、いわゆるダイバシティ方式に変更することができる。これにより、車載機器100に取り付けられ、受信感度が弱くなる携帯機器10のみで受信するよりも、受信感度が向上する。
【0051】
また、携帯機器10のGPS情報受信部17や車載機器100のGPS情報受信部109を用いて、現在位置が属する地域や国を特定し、認識した地域や国に応じて携帯機器10や車載機器109の各種設定(言語、画質、音響等)を自動的に変更するようにしてもよい。これにより、現在位置が属する地域や国が変更した場合に各種設定を変更する必要がなく、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0052】
また、携帯機器10は取り出し釦201を操作することにより車載機器100から取り外せるようにしたが、携帯機器10の取り出し釦201を操作すると、車載機器100の前面部200が携帯機器10と一体的に水平状態までチルト(傾動動作)した後に、携帯機器10を前面部200に固定するためのロック機構が外れるようにしてもよい。これにより、ロック機構が外れた際に携帯機器10が脱落するのを抑制することができる。
【0053】
また、携帯機器10を取り外した場合、操作部18を用いて、車載機器100のリモコンとして利用できるようにしてもよい。これにより、車両の後部座席に居るユーザにとって、車載機器100の操作性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)本発明に係る電子機器システム1の車両2への搭載例を示す図である。(b)本発明に係る携帯(ポータブル)機器10と車載機器100の使用例を示す図である。
【図2】本発明に係る携帯機器10が車載機器100に取り付けられた状態の電子機器システム1の概観図である。
【図3】車載機器100の概観図である。
【図4】携帯機器10の6面図である。
【図5】車載機器100の前面部200が本体部300に対してチルトした状態を示す図である。
【図6】本発明に係る電子機器システム1の構成を示すブロック図である。
【図7】携帯機器10の表示部14に表示させた、接続後の電子機器システム1のモードの設定画面である。
【図8】携帯機器10が車載機器100に接続された時に、電子機器システム1が設定されたモードに切り換わることを説明する図である。
【図9】(a)本発明に係る携帯機器10を車載機器100に接続した場合の電子機器システム1のモードを示す一覧表である。(b)本発明に係る携帯機器10を車載機器100から取り外した後の携帯機器10のモードを示す一覧表である。
【図10】電源がOFF状態の携帯機器10を同じく電源がOFF状態の車載機器100に取り付けたときのモード切替画面を説明する図である。
【図11】携帯機器10を車載機器100に接続する場合の携帯機器10の出力制御を示すフローチャートである。
【図12】携帯機器10を車載機器100に接続する場合の車載機器100の出力制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 車載システム
10 携帯機器
11 ナビ部
12、102 ラジオ受信部
13、103 テレビ受信部
14、105 表示部
15、106 音声調整部
16、108 スピーカ
17、109 GPS受信部
18、110 操作部
19、115 コネクタ
20、111 無線通信部
21 電源部
22、114 メモリ
23、116 制御部
24 スロット部
25 係止部
100 車載機器
101 記録媒体再生部
104 外部音声/映像入出力部
112 マイク
113 車両情報検知部
117 車両電源部
200 前面部
201 取り外し釦
203 着脱部
300 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器に取り付け可能な携帯機器であって、
前記携帯機器は複数のモードを有するとともに、車載機器に取り付けられた際に、ユーザにより設定された特定のモードを選択する制御手段を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記車載機器のモードに関する情報を取得する取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得手段から取得した情報に基づき選択するモードを決定することを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項3】
前記携帯機器は表示手段と操作手段を有し、
ユーザは前記表示手段および前記操作手段によって、車載機器に取り付けられた際に選択されるモードを設定可能であることを特徴とする請求項1または2記載の携帯機器。
【請求項4】
車載機器に取り付け可能な携帯機器であって、
前記携帯機器は複数のモードを有するとともに、車載機器から取り外された際に、ユーザにより設定された特定のモードを選択する制御手段を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項5】
車載機器と携帯機器とからなる電子機器システムであって、
前記携帯機器が前記車載機器に取り付けられた際、ユーザによる設定に従い、前記車載機器が有するモードまたは前記携帯機器が有するモードのうち、少なくとも1つを選択する制御手段を備えることを特徴とする電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−38843(P2010−38843A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204733(P2008−204733)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】