説明

新規道路情報記録装置、プログラム、および新規道路情報記録システム

【課題】更新された道路地図データベースの一部を、ユーザに提供するための記憶媒体に記録する際に、当該道路地図データベース中、複数の新規道路のどの組み合わせを採用すれば記憶媒体に収まるかについての判断を容易化する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、特定した現在位置(105)が地図にない新規道路を走行中であると判定し続ける間(110、130)、繰り返し当該新規道路の道路情報を取得し(120)、当該新規道路から退出すると、当該新規道路を道路地図データに追加したときの道路地図データのデータサイズの増加量を算出し(140)、その算出結果と共に、当該新規道路の位置情報および新規道路の通過頻度を含む新規道路レコードを記録し(150)、特定のタイミングで(160)、当該新規道路についての記録結果をまとめてサーバに送信する(170)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規道路情報記録装置、プログラム、および新規道路情報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新たな道路の追加等の、道路地図データを更新する技術においては、更新作業者による紙地図を用いた現地調査に代わるものとして、新規道路情報記録装置を搭載した車両を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。この技術においては、新規道路情報記録装置は、車両の乗員によって入力された道路情報またはカメラによる車両周辺の撮影画像等に基づいて、新たな道路情報を作成する。
【0003】
このようにして作成された道路情報は、例えば、道路地図データを作成、販売する業者(以下、一次業者という)に渡り、一次業者は、それまでの道路地図データに対して新たな道路情報を反映させることで、道路地図データの更新を行う。このようにして更新された道路地図データは、例えば、ナビゲーション装置の製造業者等の二次業者に渡り、二次業者は、HDD、DVD、CD−ROM等、ユーザに販売するための記憶媒体に、更新された道路地図データの情報を記録する。
【0004】
二次業者が作成する道路地図データは、ユーザに渡すためのHDD、DVD、CD−ROMという、限られた容量の記憶媒体に収まるようなデータ量でなければならない。したがって、二次業者は、一次業者から提供された更新済み道路地図データのうち、どの部分をユーザに提供する記憶媒体に収めるかについての取捨選択を行う必要がある。
【特許文献1】特開平10−332391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、二次業者にとっては、一次業者から渡された新たな道路地図データのうち、どの新規道路にどれくらいのデータサイズが割かれているかを知ることが容易ではない。したがって、二次業者は、複数の新規道路のどの組み合わせを採用すれば記憶媒体に収まるかについての試行錯誤を行う必要があった。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、更新された道路地図データの一部を、ユーザに提供するための記憶媒体に記録する際に、当該道路地図データ中、複数の新規道路のどの組み合わせを採用すれば記憶媒体に収まるかについての判断を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の第1の側面は、車両に搭載され、複数の道路のそれぞれの位置情報を表す第1道路地図データを読み出す機能と、当該車両の現在位置を特定する機能とを有する新規道路情報記録装置についてのものである。この新規道路情報記録装置の特徴は、特定した現在位置が、読み出した第1道路地図データ中の上記複数の道路のいずれにも属さないことを、複数の道路の位置情報に基づいて判定し、また、第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと判定された地点の集合によって構成される新規道路を第2道路地図データに追加したときの第2道路地図データのサイズ増加量を、当該新規道路の構造の情報に基づいて推定し、推定した新規道路についてのサイズ増加量と共に新規道路の位置情報を記録することである。
【0008】
このような新規道路情報記録装置を搭載した車両が第1道路地図データに記録されていない新規道路を走行すると、新規道路情報記録装置は、当該新規道路を第2道路地図データに追加したときの第2道路地図データのサイズ増加量を推定し、それを当該新規道路の位置情報と共に記憶媒体に記録する。このように推定され記録されたサイズ増加量の情報を業者が何らかの方法で収集して使用することで、ユーザに渡すための道路地図データの記憶媒体において、どの新規道路の組み合わせが当該記憶媒体の空き領域に収まるか、どの新規道路が当該記憶媒体の空き領域に収まらないかを判断することが容易になる。
【0009】
なお、第1道路地図データと第2道路地図データとは、同一であってもよいし異なっていてもよい。また、第2道路地図データは現実に存在する道路地図データであってもよいし、仮想的な道路地図データであってもよい。
【0010】
また、新規道路情報記録装置は、新規道路についての上記サイズ増加量および新規道路の位置情報と共に、車両が新規道路を通過した頻度を記録するようになっていてもよい。このような記録を業者が何らかの方法で収集して使用することで、ユーザに渡すための道路地図データの記憶媒体において、どの新規道路の組み合わせが当該記憶媒体の空き領域に収まるか、どの新規道路が当該記憶媒体の空き領域に収まらないかを判断することが容易になると共に、どの新規道路がユーザにとって重要かを、当該頻度に基づいて判断することが容易になる。
【0011】
また、新規道路情報記録装置は、当該新規道路の長さが長いほど、当該新規道路についてのサイズ増加量を多く推定するようになっていてもよい。多くの場合、道路が長いほどその道路に割かれるデータサイズは大きくなる。したがって、このようにすることで、新規道路のサイズ増加量をより正しく見積ることができる。
【0012】
さらにこのとき、第1道路地図データと第2道路地図データとが容を有する道路地図データであれば、新規道路情報記録装置は、第1道路地図データ中における道路の長さと第1道路地図データ中の当該道路のためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および新規道路の長さに基づいて、当該新規道路のサイズ増加量を推定するようになっていてもよい。このようにすることで、第1道路地図データに新規道路を追加するとどれだけデータサイズが増加するかを、第1道路地図データのデータ構造に基づいて特定することができる。
【0013】
また、新規道路情報記録装置は、当該新規道路が含む交差点の数が多いほど、当該新規道路についてのサイズ増加量を多く推定するようになっていてもよい。多くの場合、道路が交差点を多く含ほどその道路に割かれるデータサイズは大きくなる。したがって、このようにすることで、新規道路のサイズ増加量をより正しく見積ることができる。
【0014】
さらにこのとき、第1道路地図データと第2道路地図データとが同一の内容を有する道路地図データであれば、新規道路情報記録装置は、第1道路地図データ中における交差点の数と第1道路地図データ中の当該交差点ためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および当該新規道路が有する交差点数に基づいて、当該新規道路のサイズ増加量を推定するようになっていてもよい。このようにすることで、第1道路地図データに新規道路を追加するとどれだけデータサイズが増加するかを、第1道路地図データのデータ構造に基づいて特定することができる。
【0015】
また、本発明の第1の側面は、車両に搭載される新規道路情報記録装置に用いられるプログラムであって、当該車両の現在位置を特定する現在位置特定手段、当該現在位置特定手段が特定した現在位置が、第1道路地図データ中の当該複数の道路のいずれにも属さないことを、当該複数の道路の位置情報に基づいて判定する判定手段、当該第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと当該判定手段によって判定された地点の集合によって構成される新規道路を第2道路地図データに追加したときの当該第2道路地図データのサイズ増加量を、当該新規道路の構造の情報に基づいて推定する推定手段、および当該推定手段が推定した当該新規道路についての当該サイズ増加量と共に当該新規道路の位置情報を記録する記録手段として、コンピュータを機能させるプログラムとして捉えることもできる。
【0016】
また、本発明の第2の側面は、車両に搭載される新規道路情報記録装置と、当該新規道路情報記録装置からデータを受信するサーバとを備えた新規道路情報記録システムである。ここで、新規道路情報記録装置は、第1道路地図データを読み出す機能と、車両の現在位置を特定する機能とを有し、さらに、特定した現在位置が、読み出した第1道路地図データ中の複数の道路のいずれにも属さないことを、当該複数の道路の位置情報に基づいて判定し、第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと判定された地点の集合によって構成される複数の新規道路のそれぞれについて、当該新規道路を第2道路地図データに追加したときの第2道路地図データのサイズ増加量を、当該新規道路の構造の情報に基づいて推定し、推定した当該複数の新規道路のそれぞれについてのサイズ増加量、当該新規道路の位置情報、および車両が当該新規道路を通過した頻度を、共に記録し、記録したデータをサーバに送信する。そして、サーバは、送信手段が送信した前記データに基づいて、複数の新規道路のデータのうち、当該新規道路を通過した頻度が高いものをより優先的に、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、第2道路地図データに追加する。
【0017】
このような新規道路情報記録装置を搭載した車両が第1道路地図データに記録されていない複数の新規道路のそれぞれを1回以上走行すると、新規道路情報記録装置は、当該新規道路を第2道路地図データに追加したときの第2道路地図データのサイズ増加量を推定し、それを当該新規道路の位置情報および当該新規道路の通過頻度と共に記憶媒体に記録する。このように推定され記録されたサイズ増加量の情報および頻度のデータがサーバに送信され、サーバは、これらのデータに基づいて、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、かつ、通解した複数の新規道路のうち、通過した頻度が高いものをより優先的に、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、第2道路地図データに追加することができる。
【0018】
したがって、更新された道路地図データの一部を、ユーザに提供するための記憶媒体に記録する際に、当該道路地図データ中、複数の新規道路のどの組み合わせを採用すれば記憶媒体に収まるかについての判断が、自動化される。
【0019】
なお、第2道路地図データに追加する新規道路のデータは、受信した新規道路の位置情報に基づくデータであってもよいし、他の方法(たとえば一次業者から取得する等)で取得した新規道路のデータであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る新規道路情報記録システム10の概略図を示す。この図においては、車両用ナビゲーション装置1が車両2に搭載されている。車両用ナビゲーション装置1は、地上に敷設された基地局3と無線接続し、この無線接続および基地局3が属する通信ネットワーク4を解して、通信ネットワーク4上のサーバ5と通信することができるようになっている。新規道路情報記録システム10は、車両用ナビゲーション装置1およびサーバ5を含む。
【0021】
この車両用ナビゲーション装置1とサーバ5との間の通信によって、車両用ナビゲーション装置1からサーバ5に、車両2が走行した新規道路の位置情報、当該新規道路による道路地図データのサイズ増加量の情報、および、当該新規道路の通過頻度の情報が送信される。これら送信される情報の内容については以下で詳述する。
【0022】
まず、車両用ナビゲーション装置1における、新規道路の位置情報、当該新規道路による道路地図データのサイズ増加量の情報の生成について説明する。図2に、車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、音声回路14、スピーカ14a、マイク14b、カメラ15、無線回路16、道路地図データ読み出し部17、および制御回路18を有している。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路18に出力する。画像表示装置12は、制御回路18から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。
【0024】
操作スイッチ群13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路18に出力する。
【0025】
音声回路14は、制御回路18から受けた音声データに基づく音声信号をスピーカ14aに出力し、マイク14bが検出した音声信号に基づく音声データを制御回路18に出力する。
【0026】
カメラ15は、車両2の周囲を逐次撮影し、その撮影結果の撮影画像を制御回路18に出力するカメラである。カメラ15は、車両2を基準とする特定の方向(例えば車両2の前方)のみを撮影するカメラであってもよいし、全方位カメラであってもよいし、車両2を基準とする複数の方向をそれぞれ撮影する複数のカメラであってもよい。
【0027】
無線回路16は、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等の処理を施し、処理された後のデータを制御回路18に出力する。また無線回路16は、制御回路18から受けたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等の処理を施し、処理された後の信号を上記のアンテナに出力する。このような作動により、無線回路16は、制御回路18の制御に基づいて、基地局3と無線接続し、基地局3を介してサーバ5と通信することができるようになる。
【0028】
道路地図データ読み出し部17は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成り、制御回路18が実行するプログラム、道路地図データ等を記憶している。
【0029】
道路地図データは、道路地図を画像表示装置12に表示させる用途、2つの地点間の最適な経路を計算する用途、周知のマップマッチングの用途等に用いられるデータである。上記記憶媒体中の道路地図データにおいては、これらの用途のために、地理的位置と道路との関係、道路同士の接続関係、地理的位置と施設との関係、および、地理的位置と背景画像との関係等の情報が、特定のデータ構造(例えば周知のKIWIフォーマット)で格納されている。
【0030】
制御回路(コンピュータに相当する)18は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、I/O等を有するマイコンである。このCPUは、ROMおよび道路地図データ読み出し部17から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および道路地図データ読み出し部17から情報を読み出し、RAMおよび(可能ならば)道路地図データ読み出し部17に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、音声回路14、カメラ15、および無線回路16と信号の授受を行う。
【0031】
制御回路18がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、新規道路情報記録・送信処理等がある。
【0032】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、マップマッチング等の技術を用いて車両2の現在位置、車両2の進行方向、車両2が属する道路を特定する処理である。マップマッチングによって車両2が属する道路が特定を特定する方法は周知である。ただし、マップマッチングによって車両2が属する道路が特定できない場合がある。例えば、位置検出器11のGPS受信機から受けた信号が示す現在位置が、道路地図データ中のどの道路からも基準距離以上離れている場合が、車両2が属する道路が特定できない場合の一例に相当する。
【0033】
誘導経路算出処理は、操作スイッチ群13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。経路案内処理は、道路地図データ読み出し部17から道路地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの道路地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号を音声回路14に出力し、詳細地図をさらに拡大した縮尺の、当該案内交差点の地図(以下、詳細図拡大図)を画像表示装置12に表示させる処理である。
【0034】
新規道路情報記録・送信処理は、現在位置が、道路地図データ中の複数の道路のいずれにも属さない場合、いずれにも属さないと判定された地点の集合によって構成される新規道路についての情報を地図データ読み出し部17または制御回路18のフラッシュメモリに記録し、さらに、当該情報をサーバ5に送信する処理である。新規道路についての情報とは、上述した、新規道路の位置情報、当該新規道路による道路地図データのサイズ増加量の情報、および、当該新規道路の通過頻度の情報等である。
【0035】
図3に、この新規道路情報記録・送信処理のためにCPUが繰り返し実行するプログラムのフローチャートを示す。
【0036】
このプログラムをCPUが実行することで、制御回路18は、まずステップ105で、上述の現在位置特定処理によって現在位置等を特定する。続いてステップ110では、ステップ105の特定結果に基づいて、車両2が道路地図データ中の道路のいずれにも属さない、すなわち、車両2が地図上にない道路を走行しているか否かを判定する。地図上にある道路を走行していると判定した場合、その後プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0037】
地図上にない道路を走行していると判定した場合、続いてステップ120で道路情報を取得する。道路情報の取得は、具体的には、上述の現在位置特定処理によって車両2の現在位置を特定し、特定した現在位置を、地図にない道路(すなわち新規道路)を構成する地点の位置として特定することで実現する。また、道路情報の取得は、カメラ15から受けた撮影画像に対して画像認識等の処理を行い、交差点、土地種別(山、川、緑地、砂地)、各種看板(方面案内看板、規制情報を示す看板、施設を示す看板)の内容等を検出することで実現してもよい。また、道路情報の取得は、ユーザによる操作スイッチ群13を用いた道路情報の手入力を受け付けることによって実現してもよい。また、道路情報の取得は、ユーザの道路情報を表す音声をマイク14b、音声回路14を介して受け付け、受け付けた音声に対して音声認識を行うことによって実現してもよい。
【0038】
続いてステップ130では、ステップ120における現在位置特定処理の結果、地図にある道路に車両2が復帰したか否かを、道路地図データ中の道路に対するマップマッチングが成功したか否かによって判定する。復帰したと判定した場合、続いてステップ140を実行し、復帰していないと判定した場合、続いてステップ140を実行する。復帰していない、すなわち、まだ新規道路上にいると判定した場合、再度ステップ120を実行する。
【0039】
このように、ステップ110〜130の処理により、車両2が新規道路に進入してから当該新規道路を退出するまでの間、制御回路18は、道路情報を上述の方法で繰り返し(例えば、1秒毎に、10メートル走行毎に)取得し続ける。
【0040】
ステップ140では、このようにして取得された新規道路の道路情報に基づいて、当該新規道路の情報を道路地図データ(地図データ読み出し部17中の道路地図データであってもよいし、装備道路地図データとは異なる仮想的な道路地図データであってもよい)に追加することによる道路地図データのデータサイズの増加量を算出する。この算出の処理内容については後述する。以下、地図データ読み出し部17中の道路地図データを、装備道路地図データという。
【0041】
続いてステップ150では、ステップ140におけるデータサイズの増加量と、ステップ120の繰り返しによって取得した当該新規道路を構成する地点の位置情報(例えば緯度・経度、マップコード)と、当該新規道路を車両2が走行した頻度の情報との組を、新規道路レコードとして、地図データ読み出し部17の記憶媒体またはフラッシュメモリに記録する。
【0042】
ここで、頻度は、現在から所定日数(例えば一ヶ月)遡った時期までの期間内に車両2が当該新規道路を通過した回数であってもよいし、他の頻度を表す量であってもよい。この頻度を特定するために、制御回路18は、ステップ150で、既に記録されている新規道路レコードを検索し、現在記録しようとしている新規道路と同じ(または、所定の類似基準に合致する程度に類似する)新規道路についての新規道路レコードがあるか否かを判定し、あれば当該新規道路レコード中の頻度を変更する(例えば通過回数を1回分増加させる)。
【0043】
続いてステップ160では、現在が、所定周期(例えば1ヶ月)でやってくる送信タイミングであるか否かを判定し、送信タイミングであれば、続いてステップ170を実行し、送信タイミングでなければプログラム100の実行を終了する。
【0044】
ステップ170では、無線回路16を制御することで、記録されている新規道路レコードをすべてサーバ5に送信する。このとき、記録されている複数の新規道路レコードをすべて消去してもよい。図4に、複数の新規道路レコードの一例を表形式で示す。この表中、最上行を除く各行が、それぞれ1つの新規道路レコードに相当する。ステップ170の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0045】
ここで、ステップ140におけるサイズ増加量の算出について説明する。図5に、ステップ140の処理の詳細についてのフローチャートを示す。この図に示すように、制御回路18は、ステップ140においては、まず地図データ読み出し部17を制御して装備道路地図データを読み出し(ステップ142)、さらに装備道路地図データから統計情報を算出する(ステップ144)。続いて、算出した統計情報に応じた計算式で、サイズ増加量を算出する(ステップ146)。
【0046】
算出する地図データの統計情報は、他の要素の量が変化しないまま装備道路地図データ中の特定の要素が単位量だけ増えたときに装備道路地図データのデータサイズがどれだけ増えるかについての代表量(平均量、最頻量等)である。ここで、装備道路地図データ中の特定の要素としては、例えば、リンク数、交差点数、道路長さ、キーワード数、マーク画像数、高速道路のIC、SA、PA数等がある。なお、この統計量は、装備道路地図データのすべてのデータについての統計量であってもよい。また、この統計量は、道路地図データの、特定の地理領域におけるすべてのデータについて統計量であってもよい。特定の地理領域としては、車両2の現在位置を含む特定の地理区画(例えばKIWIフォーマットにおける1パーセル)であってもよい。このような地理区画を採用する場合は、地域によって要素の量と道路地図データのサイズとの関係にばらつきがある場合に、そのばらつきを反映したサイズ増加量の算出を行うことができる。
【0047】
以下、具体的な統計量の算出方法を、KIWIフォーマットに類似するフォーマットに準拠する道路地図データを例にとって説明する。
【0048】
例えば、特定の要素がリンク数である場合、以下の値A、B、Cの合計値を、1リンク当たりのサイズ増加量とする。
A=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の道路データフレームの総データサイズを、当該区画(または全体)の総リンク数で除算した値]
B=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の詳細図における経路計算データフレームの総データサイズを、当該区画(または全体)の総リンク数で除算した値]
C=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の詳細図におけるインフラ対応データの総データサイズを、当該区画(または全体)の総リンク数で除算した値]
ここで値Aは、各道路の構造等のパラメータを記述する道路データフレーム中のデータ要素がリンク数に比例して増大することに着目した値である。また、値Bは、経路計算のための道路間の接続構造を記述する経路計算データフレームのサイズが、リンク数にほぼ比例して増えることに着目した値である。また、値Cは、VICS(Vehicle Information and Communication Service)における報知情報を格納するためのインフラ対応データにおいて、報知情報のアイテム数がリンク数にほぼ比例して増えることに着目した値である。
【0049】
また例えば、特定の要素がリンク数である場合、以下の値D、E、Fの合計値を、1交差点当たりのサイズ増加量とする。
D=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の詳細図拡大図(経路誘導データフレームの一部)の総データサイズを、当該区画(または全体)の総交差点数で除算した値]
E=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の交差点名称検索用のデータ(階層検索データの一部である)の総データサイズを、当該区画(または全体)の総交差点数で除算した値]
F=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の交差点名称音声認識データ(音声認識データの一部である)の総データサイズを、当該区画(または全体)の総交差点数で除算した値]
これら値D、E、Fは、詳細図拡大図、交差点名称検索用のデータ、交差点名称音声認識データが、それぞれ交差点数にほぼ比例して増えることに着目した値である。
【0050】
また例えば、特定の要素が道路長さである場合、以下の値Gを、道路の単位長さ当たりのサイズ増加量とする。
G=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の背景データフレームの総データサイズを、当該区画(または全体)の道路の総延長距離で除算した値]
この値Gは、背景データフレーム中のデータ要素が形状点に比例して増えること、および、形状点の数は道路の総距離にほぼ比例すること、に着目した値である。
【0051】
また例えば、特定の要素がキーワード数である場合、以下の値Hを、1キーワード当たりのサイズ増加量とする。
H=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の名称データフレームの総データサイズを、当該区画(または全体)の総キーワード数で除算した値]
この値Hは、名称データフレームがキーワードの数にほぼ比例して増えることに着目した値である。
【0052】
また例えば、特定の要素がマーク画像である場合、以下の値I、J、Kを、1マーク当たりのサイズ増加量とする。
I=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の看板、マークのデータ(各種パラメータの一部である)の総データサイズを、当該区画(または全体)の総マーク数で除算した値]
J=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の拡大図、分岐図、イラスト図のデータ(画像データフレームの一部である)の総データサイズを、当該区画(または全体)の総マーク数で除算した値]
K=[装備道路地図データの一区画(または全体)中の音声データフレームの総データサイズを、当該区画(または全体)の総マーク数で除算した値]
また例えば、特定の要素が高速道路のIC、SA、PA数である場合、以下の値L、Mを、1つのIC、SA、またはPA当たりのサイズ増加量とする。
L=[装備道路地図データの一区画(または全体)内の全高速道路中のハイウェイマップデータの総データサイズを、当該区画(または全体)の全高速道路中の総施設数で除算した値]
M=[装備道路地図データの一区画(または全体)内の全高速道路中のハイウェイマップ2データの総データサイズを、当該区画(または全体)の全高速道路中の総施設数で除算した値]
このように、他の要素の量が変化しないまま装備道路地図データ中の特定の要素が単位量だけ増えたときに装備道路地図データのデータサイズがどれだけ増えるかについての代表量、すなわち統計情報が決定する。
【0053】
また、ステップ146における、統計情報に応じた計算式によるデータ増加サイズ算出は、当該新規道路についてステップ120の繰り返しで取得した道路情報に基づいて、当該新規道路における上述のリンク数、交差点数、道路長さ、キーワード数、マーク画像数、高速道路のIC、SA、PA数を特定し、それら特定した値に、それぞれ1交差点当たりのサイズ増加量、道路の単位長さ当たりのサイズ増加量、1キーワード当たりのサイズ増加量、1マーク当たりのサイズ増加量、1つのIC、SA、またはPA当たりのサイズ増加量を係数として乗算し、それら乗算結果の総和を、サイズ増加量の推定値とする。
【0054】
ここで、新規道路の交差点数は、カメラ15からの撮影画像から画像認識処理を用いて交差点を検出することで数え上げるようになっていてもよいし、車両2の乗員の、音声によるまたは操作スイッチ群13に対する操作による、交差点の通知を検出することで数え上げるようになっていてもよい。また、新規道路のリンク数は、新規道路の交差点数から1を引いた値となる。
【0055】
また、新規道路の道路長さの特定は、新規道路を構成する地点を繋ぐ経路の総距離を特定することで実現する。
【0056】
また、新規道路のキーワード数は、カメラ15からの撮影画像から画像認識処理を用いて交差点および規制情報を示す看板を検出することで数え上げるようになっていてもよいし、車両2の乗員の、音声によるまたは操作スイッチ群13に対する操作による、キーワードが設けられる可能性が高い旨の通知を検出することで数え上げるようになっていてもよい。
【0057】
また、新規道路のマーク画像数は、カメラ15からの撮影画像から画像認識処理を用いて交差点、信号機、規制情報看板、方面看板、施設を検出することで数え上げるようになっていてもよいし、車両2の乗員の、音声によるまたは操作スイッチ群13に対する操作による、マーク画像が設けられる可能性が高い旨の通知を検出することで数え上げるようになっていてもよい。
【0058】
なお、ステップ142〜146の処理によって、他の道路地図データではなく、装備道路地図データに新規道路を追加したときの装備道路地図データのサイズ増加量が算出されることになる。しかし、装備道路地図データ以外の仮想的な(または現存する特定の)道路地図データに新規道路を追加したときの装備道路地図データのサイズ増加量を算出するようになっていてもよい。この場合は、上述のように使用する係数のそれぞれは、あらかじめ設定されてROMまたは地図データ読み出し部17の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0059】
以上説明した通り、複数の新規道路のそれぞれについて、制御回路18は、特定した現在位置(ステップ105参照)が地図にない当該新規道路を走行中であると判定し続ける間(ステップ110、130参照)、繰り返し当該新規道路の道路情報を取得し(ステップ120参照)、当該新規道路から退出すると、当該新規道路を道路地図データに追加したときの道路地図データのデータサイズの増加量を算出し(ステップ140参照)、その算出結果と共に、当該新規道路の位置情報および新規道路の通過頻度を含む新規道路レコードを、新規道路毎に記録し(ステップ150)、特定のタイミングで(ステップ160)、複数の新規道路についての複数の新規道路レコードをまとめてサーバ5に送信する(ステップ170参照)。
【0060】
このような車両用ナビゲーション装置1を搭載した車両2が装備道路地図データ(第1道路地図データの一例に相当する)に記録されていない新規道路を走行すると、車両用ナビゲーション装置1は、当該新規道路を道路地図データ(第2道路地図データ)に追加したときの道路地図データのサイズ増加量を推定し、それを当該新規道路の位置情報と共に記憶媒体に記録する。このように推定され記録されたサイズ増加量の情報を業者が何らかの方法で収集して使用することで、ユーザに渡すための道路地図データの記憶媒体において、どの新規道路の組み合わせが当該記憶媒体の空き領域に収まるか、どの新規道路が当該記憶媒体の空き領域に収まらないかを判断することが容易になる。本実施形態においては、サイズ増加量がサーバ5に送信されることで、収集が実現されているが、他の方法によって収集されてもよい。
【0061】
また、車両用ナビゲーション装置1は、新規道路についての上記サイズ増加量および新規道路の位置情報と共に、車両が新規道路を通過した頻度を記録および送信するようになっている。このような記録を業者が何らかの方法で収集して使用することで、後述する通り、ユーザに提供するめの道路地図データの記憶媒体において、どの新規道路の組み合わせが当該記憶媒体の空き領域に収まるか、どの新規道路が当該記憶媒体の空き領域に収まらないかを判断することが容易になると共に、どの新規道路がユーザにとって重要かを、当該頻度に基づいて判断することが容易になる。
【0062】
また、車両用ナビゲーション装置1は、当該新規道路の長さが長いほど、当該新規道路についてのサイズ増加量を多く推定するようになっている。上述のKIWIの例のみならず、多くの場合、道路が長いほどその道路に割かれるデータサイズは大きくなる。したがって、このようにすることで、新規道路のサイズ増加量をより正しく見積ることができる。
【0063】
さらにこのとき、サイズ増加量を推定する対象の道路地図データが装備道路地図データベースであれば、車両用ナビゲーション装置1は、装備道路地図データ中における道路の長さと装備道路地図データ中の当該道路のためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および新規道路の長さに基づいて、当該新規道路のサイズ増加量を推定するようになっている。このようにすることで、装備道路地図データに新規道路を追加するとどれだけデータサイズが増加するかを、車両用ナビゲーション装置1が有する装備道路地図データのデータ構造に基づいて特定することができる。
【0064】
また、車両用ナビゲーション装置1は、当該新規道路が含む交差点の数が多いほど、当該新規道路についてのサイズ増加量を多く推定するようになっている。上述のKIWIの例のみならず、多くの場合、道路が交差点を多く含ほどその道路に割かれるデータサイズは大きくなる。したがって、このようにすることで、新規道路のサイズ増加量をより正しく見積ることができる。
【0065】
さらにこのとき、サイズ増加量を推定する対象の道路地図データが装備道路地図データベースであれば、車両用ナビゲーション装置1は、装備道路地図データ中における交差点の数と装備道路地図データ中の当該交差点ためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および当該新規道路が有する交差点数に基づいて、当該新規道路のサイズ増加量を推定するようになっている。このようにすることで、装備道路地図データに新規道路を追加するとどれだけデータサイズが増加するかを、車両用ナビゲーション装置1が有する装備道路地図データのデータ構造に基づいて特定することができる。
【0066】
次に、このような新規道路レコードを受信するサーバ5における、新規道路レコードを用いた道路地図データの更新処理について説明する。図6に、サーバ5のハードウェア構成を示す。サーバ5は、通信部51、ハードディスクドライブ52、操作部53、および制御回路54を有している。
【0067】
通信部51は、通信ネットワーク4に接続されることで、通信ネットワーク4および基地局3を介して車両用ナビゲーション装置1との通信を媒介することのできる周知のネットワークインターフェースである。通信部51は、基地局3から新規道路レコードを受信すると、その新規道路レコードを制御回路54に出力する。
【0068】
ハードディスクドライブ52は、制御回路54の作動のためのプログラム、一次業者から提供された新規なマスタ道路地図データベース等を記憶する記憶媒体である。
【0069】
操作部53は、キーボード、マウス等の、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を示す信号を制御回路54に出力する装置である。
【0070】
制御回路(コンピュータに相当する)18は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、I/O等を有するマイコンである。このCPUは、ROMおよびハードディスクドライブ52から読み出したサーバ5の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、およびハードディスクドライブ52から情報を読み出し、RAMおよびハードディスクドライブ52に対して情報の書き込みを行い、操作部53および制御回路54と信号の授受を行う。例えば、制御回路54は、受けた新規道路レコードをハードディスクドライブ52に記録する。
【0071】
また、図7に、制御回路54のCPUが実行するプログラム200のフローチャートを示す。制御回路54は、ユーザによる操作部53に対する所定の操作等に基づいて、このプログラム200の実行を開始し、まずステップ210で、ハードディスクドライブ52中のマスタ道路地図データベースを読み出す。続いてステップ220で、通信部51を介して受信してハードディスクドライブ52に記録した新規道路データをすべて読み出す。
【0072】
続いてステップ230で、未選択の新規道路レコードのうち、使用頻度の値が最も高いものを選択する。続いてステップ240で、選択した新規道路レコードに記録されたサイズ増加量が、ユーザ提供用記憶媒体の空き容量に収まるか否かを判定する。
【0073】
ここで、ユーザ提供用記憶媒体とは、ハードディスク、DVD−ROM、CD−ROM等の、車両用ナビゲーション装置1と共に(または別売で)ユーザに提供する、道路地図データを記憶する記憶媒体である。空き容量とは、当該ユーザ提供用記憶媒体の総記憶容量から、現時点において当該ユーザ提供用記憶媒体に収められている道路地図データのサイズを差し引いた量をいう。空き容量の情報は、あらかじめハードディスクドライブ52に記録されていてもよいし、操作部53に対する作業者の空き容量の入力操作に基づいて特定してもよい。
【0074】
選択した新規道路レコードに記録されたサイズ増加量が、ユーザ提供用記憶媒体の空き容量に収まれば、続いてステップ250を実行し、収まらなければ続いてステップ260を実行する。
【0075】
ステップ250では、選択されている新規道路レコードに相当する新規道路を、ユーザ提供用記憶媒体に記録するための道路地図データに、新たに追加する。そして、現在の空き容量から、当該新規道路レコードのサイズを差し引く。なお、ユーザ提供用記憶媒体に記録するための道路地図データ(以下、ユーザ提供用道路地図データという)はハードディスクドライブ52に記録されている。このユーザ提供用道路地図データが実際にユーザ提供用記憶媒体に記録されるのは、他の装置においてであってもよいし、サーバ5においてであってもよい。
【0076】
当該新規道路のユーザ提供用記憶媒体への追加は、具体的には、ステップ210で読み出したマスタ道路地図データベースから、当該新規道路に対応する道路を、当該新規道路レコード中の位置情報に基づいて特定し、特定した道路に関連する道路地図データベース中の情報を、ユーザ提供用道路地図データに、追加記録する。ステップ250の後、ステップ260を実行する。
【0077】
ステップ260では、現在選択されている新規道路データが、受信したすべての新規道路データのうち、最後に選択されたものであるか否かを判定し、最後に選択されたものならばプログラム100の実行を終了し、そうでなければ続いてステップ230を再度実行する。
【0078】
以上のようなプログラム200を実行することで、制御回路54は、車両用ナビゲーション装置1から受信した複数の新規道路データに対応する複数の新規道路について、その使用頻度が最も高いものから順に(ステップ230参照)、空き容量に収まるか否かの判断(ステップ240参照)および収まる場合のユーザ提供用道路地図データへの追加(ステップ250参照)を行っていく。
【0079】
このように、サーバ5は、受信した新規道路レコードのデータに基づいて、(A)ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、かつ、(B)複数の新規道路のうち、通過した頻度が高いものがより優先的に、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、道路地図データに追加することができる。
【0080】
したがって、更新された道路地図データの一部を、ユーザに提供するための記憶媒体に記録する際に、当該道路地図データ中、複数の新規道路のどの組み合わせを採用すれば記憶媒体に収まるかについての判断が、自動化される。
【0081】
また、制御部54は、総サブ53を用いた作業者による設定に基づいて、各新規道路データの内容(データサイズ、頻度等)を変更するようになっていてもよい。
【0082】
すなわち、本発明は、車両に搭載された送信装置から、複数の新規道路のそれぞれについての、当該新規道路を道路地図データに追加したときの増加量、当該新規道路の位置情報、および前記車両が当該新規道路を通過した頻度のデータを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記データに基づいて、前記複数の新規道路のデータのうち、当該新規道路を通過した頻度が高いものをより優先的に、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、道路地図データに追加する追加手段と、を備えたことを特徴とする新規道路追加装置としても把握できる。
【0083】
なお、上記の実施形態において、車両用ナビゲーション装置1が、新規道路情報記録装置の一例に相当し、道路地図データ読み出し部17が読み出す道路地図データが、第1および第2道路地図データの一例に相当し、道路地図データ読み出し部17が、道路地図データ読み出し手段に相当する。また、サーバ5が、新規道路追加装置またはサーバの一例に相当し、通信部51が、受信手段の一例に相当し、制御回路54が、追加手段の一例に相当する。
【0084】
また、車両用ナビゲーション装置1の制御回路18が、プログラム100のステップ105を実行することで現在位置特定手段の一例として機能し、ステップ110を実行することで判定手段の一例として機能し、ステップ140を実行することで推定手段の一例として機能し、ステップ150を実行することで記録手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0085】
例えば、サイズ増加量を推定する機能は、制御部18とは分離した別の制御装置によって実現されていてもよい。その際、当該別の制御部と制御部18との間で必要な情報の入出力を行うようになっていればよい。
【0086】
また、上述の背景データフレームのサイズ増加量は、形状点がほぼ道路に等距離に配置されるという近似に基づいて、新規道路の距離に比例するように算出している。しかし、道路の曲率が小さければ、その道路における形状点の間隔が短くなる可能性が高い。この点に鑑み、背景データフレームのサイズ増加量は、新規道路の距離が長いほど大きく、かつ、新規道路の曲率の平均が小さいほど大きくするようになっていてもよい。
【0087】
また、新規道路を装備道路地図データに追加することによる背景データフレームのサイズの増加量としては、装備道路地図データの、現在位置を含む区画における道路における、曲率と形状点との相関関係を算出し、その相関関係を利用して、当該背景データフレームを算出するようになっていてもよい。
【0088】
また、上記の実施形態において、制御回路18、54がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態に係る新規道路情報記録システム10の概略図である。
【図2】車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す図である。
【図3】車両用ナビゲーション装置1の制御回路18が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】車両用ナビゲーション装置1からサーバ5に送信されるデータの内容を示す図表である。
【図5】プログラム100のステップ142の詳細を示すフローチャートである。
【図6】サーバ5のハードウェア構成を示す図である。
【図7】サーバ5の制御回路54が実行するプログラム200のフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1…車両用ナビゲーション装置、2…車両、3…基地局、4…通信ネットワーク、
5…サーバ、10…新規道路情報記録システム、11…位置検出器、
12…画像表示装置、13…操作スイッチ群、14…音声回路、14a…スピーカ、
14b…マイク、15…カメラ、16…無線回路、17…地図データ読み出し部、
18…制御回路、51…通信部、52…ハードディスクドライブ、53…操作部、
54…制御回路、100、200…プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される新規道路情報記録装置であって、
第1道路地図データを読み出す道路地図データ読み出し手段と、
前記車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段が特定した現在位置が、前記道路地図データ読み出し手段が読み出した前記第1道路地図データ中の前記複数の道路のいずれにも属さないことを、前記複数の道路の位置情報に基づいて判定する判定手段と、
前記第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと前記判定手段によって判定された地点の集合によって構成される新規道路を第2道路地図データに追加したときの前記第2道路地図データのサイズ増加量を、前記新規道路の構造の情報に基づいて推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記新規道路についての前記サイズ増加量と共に前記新規道路の位置情報を記録する記録手段と、を備えた新規道路情報記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記車両が前記新規道路を通過した頻度を、前記新規道路についての前記サイズ増加量および前記新規道路の前記位置情報と共に記録することを特徴とする請求項1に記載の新規道路情報記録装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記新規道路の長さが長いほど、当該新規道路についての前記サイズ増加量を多く推定することを特徴とする請求項1または2に記載の新規道路情報記録装置。
【請求項4】
前記第1道路地図データと前記第2道路地図データとは同一の内容を有する道路地図データであり、
前記推定手段は、前記第1道路地図データ中における道路の長さと前記第1道路地図データ中の当該道路のためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および前記新規道路の長さに基づいて、前記サイズ増加量を推定することを特徴とする請求項3に記載の新規道路情報記録装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記新規道路が含む交差点の数が多いほど、当該新規道路についての前記サイズ増加量を多く推定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の新規道路情報記録装置。
【請求項6】
前記第1道路地図データと前記第2道路地図データとは同一の内容を有する道路地図データであり、
前記推定手段は、前記第1道路地図データ中における交差点の数と前記第1道路地図データ中の当該交差点のためのデータの量との関係を特定し、特定した関係および前記新規道路が有する交差点数に基づいて、前記サイズ増加量を推定することを特徴とする請求項5に記載の新規道路情報記録装置。
【請求項7】
車両に搭載される新規道路情報記録装置に用いられるプログラムであって、
前記車両の現在位置を特定する現在位置特定手段、
前記現在位置特定手段が特定した現在位置が、第1道路地図データ中の前記複数の道路のいずれにも属さないことを、前記複数の道路の位置情報に基づいて判定する判定手段、
前記第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと前記判定手段によって判定された地点の集合によって構成される新規道路を第2道路地図データに追加したときの前記第2道路地図データのサイズ増加量を、前記新規道路の構造の情報に基づいて推定する推定手段、および
前記推定手段が推定した前記新規道路についての前記サイズ増加量と共に前記新規道路の位置情報を記録する記録手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項8】
車両に搭載される新規道路情報記録装置と、前記新規道路情報記録装置からデータを受信するサーバとを備えた新規道路情報記録システムであって、
前記新規道路情報記録装置は、
第1道路地図データを読み出す道路地図データ読み出し手段と、
前記車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段が特定した現在位置が、前記道路地図データ読み出し手段が読み出した前記第1道路地図データ中の前記複数の道路のいずれにも属さないことを、前記複数の道路の位置情報に基づいて判定する判定手段と、
前記第1道路地図データ中の道路のいずれにも属さないと前記判定手段によって判定された地点の集合によって構成される複数の新規道路のそれぞれについて、当該新規道路を第2道路地図データに追加したときの前記第2道路地図データのサイズ増加量を、前記新規道路の構造の情報に基づいて推定する推定手段と、
前記推定手段が推定した前記複数の新規道路のそれぞれについての前記サイズ増加量、当該新規道路の位置情報、および前記車両が当該新規道路を通過した頻度を、共に記録する記録手段と、
前記記録手段が記録したデータを前記サーバに送信する送信手段と、を備え、
前記サーバは、前記送信手段が送信した前記データに基づいて、前記複数の新規道路のデータのうち、頻度が高い新規道路をより優先的に、ユーザ提供用の記憶媒体に収まるように、前記第2道路地図データに追加することを特徴とする新規道路情報記録システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−107184(P2008−107184A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289674(P2006−289674)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】