説明

有機物を使用した発酵菌培養設備

【課題】媒体の水のクラスターも有機物も超微細化して発酵菌による効率的な分解処理を行うと共に、同時に有用な発酵菌の培養も行う。
【解決手段】発酵菌培養設備1は、発酵菌種を収容した種菌タンク2と、糖蜜を含む添加物の添加物タンク3と、上水wの供給を受け、ポンプP2で発生された高速水流の大きい水流速度差による剪断作用と回転体による衝撃力とによって上水のクラスターを超微細化する水用超微細化装置4と、上記タンク2、3と該装置4とから発酵菌種と添加物と超微細化クラスターの上水とがそれぞれ供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンク5と、廃棄食品などの有機物の供給を受けて粉砕する有機物粉砕装置6、7と、上記装置4と同じ原理で粉砕有機物と水クラスターを超微細化する可溶化装置9と、超微細化された有機物と水とによって発酵菌培養タンク5からの発酵菌を培養し、有機物を処理する発酵促進タンク10とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄食品や余剰汚泥などの有機物を使用して発酵菌を培養し、有機物も分解処理する設備に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄食品や余剰汚泥などの有機物を使用した発酵菌培養設備に関連した従来の装置として、高分子材料から成る種々の廃棄物を微生物により発酵分解処理するようにした廃棄物処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7aと図7bによって、この種の廃棄物を微生物により発酵分解処理する廃棄物処理装置100を説明すると、増殖させた発酵菌を収容する処理槽102内に投入口133から粉砕した高分子材料の廃棄物を投入し、処理槽102内に設けた発酵菌の撹拌手段107によって撹拌しながら順次配列された複数の温度の熱源121、122、123から温風を吹出部130、131、132から供給して培養温度の異なる複数の発酵菌によって二酸化炭素と水に分解処理し、ガスを排気処理槽115を通して脱臭してから排出するようにしている。
【特許文献1】特開2003−305443号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の廃棄物処理装置は廃棄物の処理を発酵菌で分解処理することを目的としていて、本願発明の目的とは異なるが、発酵菌による分解処理過程で共通する技術的課題として、廃棄物処理装置に投入前に廃棄物を粉砕するようにしているが、粉砕程度では微細な菌には大き過ぎて効率的な分解処理ができない点と、分解処理媒体としての水のクラスターも超微細化しなければ被処理物と発酵菌の均一な分散混合もできず、効率的な分解処理ができない点が指摘される。また、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの普及に伴って大量に廃棄されるようになった賞味期限の切れた廃棄包装食品に対し、家畜用飼料にも利用でき且つ発酵菌培養にも利用する上で好ましい包装材の除去についての解決策が考えられていない点が指摘される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の有機物を使用した発酵菌培養設備は、ラクトバチルス菌などの発酵菌種を収容した種菌タンクと、
糖蜜を含む添加物を収容した添加物タンクと、
水の供給を受け、ポンプで発生された8m/秒以上の高速水流による大きな水流速度差による剪断作用と高速回転する回転体による衝撃力とによって水のクラスターをミクロンレベルに超微細化する水用超微細化装置と、
上記種菌タンクから発酵菌種が、上記添加物タンクから添加物が、上記水用超微細化装置から超微細化されたクラスターの水がそれぞれ供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンクと、
廃棄食品や余剰汚泥などの有機物の供給を受けて、粉砕する有機物粉砕装置と、
該有機物粉砕装置から粉砕有機物が供給され、ポンプで発生された8m/秒以上の高速水流による大きな水流速度差による剪断作用と高速回転する回転体による衝撃力とによって粉砕有機物をミクロンレベルに超微細化して超微細な水クラスター間に溶融させる可溶化装置と、
該可溶化装置から超微粒子化された有機物を溶融した水の供給を受け、上記発酵菌培養タンクから発酵菌の供給を受けて、有機物を処理しながら発酵菌を培養する発酵促進タンクとから構成されていることを特徴としている。
【0006】
上記発酵促進タンクへの発酵菌の供給は、上記廃棄食品や余剰汚泥の貯溜部において散布された発酵菌とそれら廃棄食品や余剰汚泥と共に、及び/若しくは上記有機物粉砕装置において散布された発酵菌と粉砕された有機物と共に、及び/若しくは上記超微粒子化装置に混入された発酵菌と超微粒子化された有機物と共に供給され、及び/若しくは上記発酵促進タンクに直接供給される。
【0007】
上記廃棄食品は、無包装の廃棄食品と包装された廃棄食品とを含み、また包装された廃棄食品は、紙パック入り牛乳や紙筒入りポテトチップ、ペットボトル入り飲料物などの丈夫な容器入り食品と柔軟容器入り食品とを含み、これら丈夫な容器入り食品及び柔軟容器入り食品は、破砕部で破砕された包装食品をスクリーン付き円筒体内で回転螺旋羽根の回転によって中身の食品から包装材を分離する廃棄包装食品の包装材分離装置によって包装材が分離された状態にすることができる。
【0008】
上記丈夫な容器入り食品は、2軸式ロータリカッターや2軸式スクリュークラッシャーによって破砕され、スクリーン式選別機によって容器破片が中身の食品から分離される構成をとることができる。上記柔軟容器入り食品は、スクリーン付き円筒体内で破砕用突起又は羽根を食品入口部に備えた回転螺旋羽根の回転によって破砕され、スクリーン円筒部によって容器破片が中身の食品から分離される構成をとることができる。
【0009】
上記発酵菌培養タンクと上記発酵促進タンクとは、発酵菌と共生関係を取る光合成菌が添加される。また上記発酵菌培養タンクと上記発酵促進タンクとは、内部に撹拌手段を備えることができる。更に上記発酵促進タンクは、内部に撹拌手段と温度制御手段とを備えることができる。
【0010】
上記可溶化装置は、流体中に含有されたフレーク状の有機物を超微細化して流体中に溶融させる装置であって、
ほぼ同心状態で2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路を設けると共に上記環状流路に連絡部を介して連通する流路を最内部の円筒壁内に有し、頂壁と底壁とで囲まれた円筒容器と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つにフレーク状の有機物を含有した下水を被処理流体として供給する供給手段と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから超微細化された有機物を溶融した流体を排出する排出手段と、
上記供給手段と上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから被処理流体を吸引して、上記環状流路の少なくともいずれか一つに加圧して供給して円周方向に8m/秒以上の高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物を超微細化する噴射手段と、
上記円筒容器内において高速回転する回転体とを有することができる。
上記水用超微細化装置は、該可溶化装置と同じ構造を有することができる。
【0011】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を有し、ケーシング頂壁の上方に突出した頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有し、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有し、
上記回転体は、上記突出内部円筒壁の突出部の内部に設けられる。
【0012】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有し、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有し、
上記回転体は、上記間隔部に設けられる。
【0013】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられ、また回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成され、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向される。更に、上記回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置され、また上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有することができる。
【0014】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、本発明は、発酵菌培養タンクにおいて種菌タンクから供給されたラクトバチルス菌などの発酵菌種を添加物タンクから供給された糖蜜を含む添加物と共に、水用超微細化装置における8m/秒以上の高速水流による大きな水流速度差(流路壁面上の層と流動層との間の速度差)による剪断作用と150rpm以上の高速回転する回転体による衝撃力とによって超微細化されてから供給される水クラスター間に広くほぼ均一に分散混合して、水用超微細化装置と同じ原理で有機物の可溶化装置によって超微細化されから供給される廃棄食品や余剰汚泥などの有機物を同じく水クラスター間に広くほぼ均一に分散混合してそれらを効率的に食する発酵菌を短時間で効率的に大量に培養させることができる。発酵菌の供給は、廃棄食品や余剰汚泥などの有機物を分解処理する過程で腐敗防止用に散布することで行えて、悪臭の発生も防止しつつ有機物を使用して更に発酵菌を培養することができる。本願発明者は、水のクラスターが、発酵菌の培養に大きく影響することを知見するに至り、ポンプで発生された8m/秒以上の高速水流における大きな水流速度差による剪断作用と150rpm以上の高速回転する回転体による衝撃力によって水のクラスターを超微細化する水用超微細化装置が非常に培養上有効な手段として採用されている。廃棄食品や余剰汚泥などの有機物も粉砕だけでは、発酵菌にとって摂取する上で依然として大き過ぎる餌であり、発酵菌の培養上効率の悪い大きさにしかならない。本発明では、水ばかりではなく、有機物も先ず回転歯付きロータなどの有機物粉砕装置による粉砕後に更に水用超微細化装置と同じ原理の可溶化装置によってミクロンレベルまで超微粒子化してから発酵促進タンクに供給し、そこで粉砕状態よりも格段に大きな表面積を発酵菌に提供することで超微細化されたクラスターの水に均一に分散混合した有機物を効率的に分解処理し、同時に用途の広い発酵菌の培養を促進することができる。
【0016】
発酵促進タンクへの発酵菌の供給を、廃棄食品や余剰汚泥の貯溜部において散布した発酵菌とそれら廃棄食品や余剰汚泥と共に、及び/若しくは有機物粉砕装置において散布した発酵菌と粉砕された有機物と共に、及び/若しくは超微粒子化装置に混入された発酵菌と超微粒子化された有機物と共に行うと発酵促進タンクへ供給過程で腐敗を防止すると共に悪臭の発生を防止することができる。勿論発酵菌を発酵促進タンクに直接供給することもできる。
【0017】
利用する有機物として廃棄食品には、バラ売りの果物や魚、醤油カスや焼酎カスなどの無包装の廃棄食品と包装された廃棄食品とを含んでおり、無包装の廃棄食品はそのまま余剰汚泥などと有機物として発酵菌培養のために粉砕処理に送られ、また包装された廃棄食品の紙パック入り牛乳や紙筒入りポテトチップ、ペットボトル入り飲料物などの丈夫な容器入り食品も柔軟容器入り食品も、廃棄包装食品の包装材分離装置の破砕部で破砕して、スクリーン付き円筒体内で回転螺旋羽根の回転によって中身の食品から包装材を分離することができ、今日コンビニエンスストアやスーパーマーケットの普及に伴って大量に廃棄されるようになった賞味期限の切れた廃棄包装食品に対し、家畜用飼料にも利用でき且つ発酵菌培養にも利用できるように包装材を除去した状態にできる。
【0018】
丈夫な容器入り食品は、2軸式ロータリカッターや2軸式スクリュークラッシャーによって破砕され、スクリーン式選別機によって容器破片が中身の食品から分離される構成とすることで、丈夫な容器入り食品が大量に廃棄される所で破砕部に重点をおいた簡単な構成の専用機で分離処理をすることができる。また柔軟容器入り食品は、スクリーン付き円筒体内で破砕用突起又は羽根を食品入口部に備えた回転螺旋羽根の回転によって破砕され、スクリーン円筒部によって容器破片が中身の食品から分離される構成とすることで、柔軟容器入り食品が大量に廃棄される所で分離に重点をおいた簡単な構成の専用機で包装材の分離処理をすることができる。
【0019】
発酵菌培養タンクと発酵促進タンクとに発酵菌と共生関係を取る光合成菌が添加されると、光合成菌はアミノ酸やミネラルやビタミン等の優れた栄養分に富んでいて菌体自身が有機肥料としても有用であり、互いに必要とする物質を供給しあって培養を早めてくれる他、腐敗菌が発生させる悪臭物質を栄養源として摂取するので更に腐敗防止を確実に行うことができる。また発酵菌培養タンクと発酵促進タンクが内部に撹拌手段を備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に添加物や有機物を分散することができる。更に発酵促進タンクが内部に撹拌手段と温度制御手段とを備えることで超微粒子化された水クラスター間に更に均一に有機物を分散し、発酵菌に適した温度で培養速度を高めることができる。
【0020】
可溶化装置では、ほぼ同心状態の2層以上の隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路か、最内部の円筒壁内の流路のいずれか一つに供給されたフレーク状の有機物を含有した水などの流体の被処理流体は、供給部とは別の吸引部から噴射手段によって吸引され、上記環状流路に加圧して供給されて円周方向に8m/秒以上の高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物がミクロンのレベルに超微細化されると共に、上記円筒容器内において150rpm以上で高速回転する回転体によって衝撃を受けて同様にミクロンのレベルに超微細化されることになり、汚泥を形成している死骸細胞の細胞膜が破壊されて細胞質などが容易に流体中に溶融される。その場合、作動構成要素としては、ポンプ等の噴射手段と、モータ等で回転駆動される回転体が使用されているだけであり、長期間に渡って殆ど保守無しで安定した連続運転が可能であり、また繊維を含む植物質や脂肪の多い動物質の有機物であっても詰まるような隙間の小さな個所が無いために連続的に且つ効率的に超微細化され、結果的に可溶化が促進される。本装置で超微細化されて比表面積が格段に拡大した有機物を含む処理済み流体が曝気槽等に供給されると、そのような有機物は各種の原生生物や発酵菌などの細菌によって短時間で生物分解される。例えば、半径が1mmの球状有機物の比表面積が0.00120m2 /gにすぎなかったものが、半径が0.0001mmの球状に超微細化されると、比表面積は12.0m2 /gと1万倍にも成り、従って曝気槽において生息する菌などは、1万倍の数が表面に付着することができて、有機物の消却や、有用な菌の大量培養を効率的に行うことができる。本可溶化装置に水のみを供給した場合、水のクラスターを解して超微細化することができ、本可溶化装置は、水のクラスターを処理対象とする場合は、水用超微細化装置と称され、両者を同じ構造とすることで製造と保守が容易になる。
【0021】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁の上方に頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有した簡単な構成とし、上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有することで、被処理流体に含有された有機物が最外部環状流路内で壁面上の流体と高速移動する流体と間の流速差による剪断作用を受け、また内部円筒壁の底壁からの吸引による底壁への衝突によって超微細化が促進される。更に、最外部環状流路内で剪断作用を受けてきた被処理流体は、連絡部を経て流入した上部の突出内部円筒壁の突出部内において、その比較的大きな空間で気液混合状態となり、回転抵抗が比較的小さく高速回転する回転体による衝撃を受けて更に超微細化が促進される。
【0022】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有した簡単な構成とし、上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した水などの被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有することで、被処理流体に含有された有機物が最外部環状流路内で壁面上の流体と高速移動する流体と間の流速差による剪断作用を受け、また内部円筒壁の底壁からの吸引による底壁への衝突によって超微細化が促進される。更に、最外部環状流路内で剪断作用を受けてきた被処理流体は、上部の間隔部において回転体による衝撃を受けて更に超微細化が促進される。
【0023】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられ、被処理流体の処理量に応じて造られる円筒容器の大きさに適した高速回転の可能な回転体の配置が可能になる。また上記回転体は、回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成されると、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向されると、対向した同士の羽根やピンによって被処理流体は、剪断作用や衝撃作用やキャビテーション作用などの複合した機械力を受けて超微細化が促進される。更に回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置されることで、回転体は比較的回転に対する抵抗の少ない気液混合状態の個所で少ない動力で高速回転ができ、大きな衝撃力を流体中のフレーク状有機物に与えることができ、更に超微細化を促進することができる。また上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有することで、ケーシング内部での流体レベルをほぼ排出口レベルに維持でき、被処理流体を回転体に接触させることができる
【0024】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、特に高圧ポンプなどの高価なポンプを必要とせずに有機物の超微細化が達成される。また該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有することで、水などの流体中に空気を多く含有させて、強いキャビテーション作用を剪断作用や衝撃作用に併合させることができ、有機物の超微細化を促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の代表的な実施形態の有機物を使用した発酵菌培養設備を図面によって説明する。
図1と図2において、代表的な発酵菌培養設備1は、廃棄食品や余剰汚泥などの有機物W1、W2を使用して発酵菌を培養すると共に廃棄有機物を発酵菌の培養の養分として分解処理するもので、ラクトバチルス菌などの発酵菌種を収容した種菌タンク2と、糖蜜を含む添加物を収容した添加物タンク3と、ポンプP1によって上水wの供給を受け、ポンプP2で発生された高速水流F1における大きな水流速度差による剪断作用と回転体44による衝撃力とによって水のクラスターを超微細化する水用超微細化装置4と、種菌タンク2から発酵菌種が、添加物タンク3から添加物が、水用超微細化装置4から超微細化されたクラスターの水がそれぞれポンプやヘッドなどで供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンク5と、賞味期限切れの各種包装廃棄食品などの有機物W1がコンベヤC1を介して供給され、破砕部61において発酵菌培養タンク5からの培養発酵菌が散布ノズルN1で散布されるようになっていて、廃棄包装食品の破砕とパック片などの包装材片の異物M1の分離を行う包装材分離装置6と、無包装廃棄食品や食品加工残渣や余剰汚泥などの廃棄有機物W2がコンベヤC2を介して供給され、コンベヤC2において発酵菌培養タンク5からの培養発酵菌が散布ノズルN2で散布されるようになっていて、廃棄有機物の塊まりを粉砕する有機物粉砕装置(解砕機)7と、該解砕機7から粉砕残渣/汚泥の粉砕有機物がコンベヤC3を介して供給され、コンベヤC3において発酵菌培養タンク5からの培養発酵菌が投入部81で散布ノズルN3によって散布されるようになっていて、キャップや石などの異物M2を除去するロータリ式スクリーン選別機8と、該選別機8と包装材分離装置6とから異物除去後の粉砕有機物が媒体の上水wの付加でスラリー状にしてコンベヤC4を介して一旦有機物スラリー給部99に供給され、そこからポンプP1によって供給された粉砕有機物と上水のクラスターを共に超微粒子化して培養液を生成する可溶化装置9(上記水用超微細化装置4と同じ原理で作動)と、超微粒子化された有機物と上水とから成る培養液を可溶化装置9からポンプを介して供給され、上記散布ノズルN1〜N3と配管を経て供給されたり、発酵菌培養タンク5から配管を介して供給される発酵菌で培養液中の超微細化された有機物を処理しながら発酵菌を更に増殖培養する発酵促進タンク10とから構成されている。
【0026】
発酵菌培養タンク5で大量に培養された発酵菌としては、ラクトバチルス菌などの乳酸菌や酵母菌や納豆菌が一般的に知られており、本設備で各種の有機物の処理と発酵菌培養に使用されるが、レンダリングやグリーストラップでの悪臭防止やコンポスト/家畜下水処理を始め、生ゴミ保管、河川の汚泥処理、池などの底ヘドロ処理、魚介類加工工場残渣処理や焼酎カス処理などのために売却もされる。廃棄包装食品の包装材分離装置6からの包装材の異物M1が除去され粉砕され発酵菌が混入された廃棄食品は、そのまま家畜の飼料E1として出荷も可能であり、また搬送途中で塊まったり、更に粉砕が必要な場合に経路R1を経て適宜有機物粉砕装置(解砕機)7の上流部のコンベヤC2に搬送することができる。発酵促進タンク10で大量に増殖培養された発酵菌は、家畜の木質チップ床や飼料に散布して更に栄養価の高い飼料にしたり、無臭養豚などの環境改善に利用されたり、間伐材や剪定材の処理場で採用されている縦形やプール形や回転ドラム式などの緩速発酵分解から急速発酵分解を行う各種の木質チップ処理機に添加されたり、農地の土壌改良の液体肥料や河川の浄化剤として使用するためにタンクローリTで出荷される。
【0027】
ラクトバチルス菌などの発酵菌種は、有機物の処理現場や発酵菌の培養現場で採取されたものが、その現場での気候風土で生存してきたもので好ましく、細菌生存圏にできるだけ余計な摩擦をもたらさないようにして存分に効力を発揮できる丈夫な発酵菌を得ることができる。また発酵菌培養タンク5と発酵促進タンク10とには、共生関係を取る光合成菌が添加され、互いに必要とする物質を供給しあって培養を早めてくれるほか、光合成菌は腐敗菌が発生させる悪臭物質を栄養源として摂取してくれ、次に説明するように発酵菌が増殖力を高める。即ち、光合成菌は、アミノ酸やミネラルやビタミン等の優れた栄養分に富んでいて菌体自身が有機肥料としても有用であるが、腐敗汚泥に会うと硫酸還元菌が発生させる硫化水素を栄養源として積極的に摂取するばかりでなく、有毒アミンであるプトレシンやカタベリン、また発癌催奇性のジメチルニトロサミンも好んで基質として摂取して分解除去する。更に、光合成菌は、緑農地に還元すると作物の根が嫌う有害物質を分解除去し、根の呼吸や栄養代謝系を守り、窒素固定も行って作物の増収をもたらす働きをするばかりでなく、上述のように栄養分に富んでいて土壌中の放線菌が好んで基質として使用することから放線菌の増殖も促進する。増殖された放線菌は、植物病原性の糸状菌を食い殺して更に増殖し、植物病原性の糸状菌による連作障害を防除する働きをする。
【0028】
発酵菌培養タンク5には撹拌装置51が適宜設けられる。また発酵促進タンク10への発酵菌の供給は、上記のようにコンベヤC1上の有機物や包装材分離装置6の破砕部61の有機物や選別機8の投入部81での有機物に散布ノズルN1〜N3を介して行う以外に、廃棄食品や余剰汚泥の貯溜部において散布して、また発酵促進タンク10に直接供給される。発酵促進タンク10にも撹拌装置51が適宜設けられ、更に必要に応じてヒータを備えた温度制御装置(図示省略)も適宜設けられる。
【0029】
水用超微細化装置4と有機物の可溶化装置9は、同じ構造を有するものであり、ポンプP2が発生する高速水流F1における大きな水流速度差による剪断作用や水流に溶融した気泡破裂の超音波や回転体44による衝撃力やポンプP2吸引による内部円筒体底板43bへの滝壷作用のよう衝撃力などによって上水wのクラスターも有機物も同じ原理でミクロンレベルに超微粒化する。両者を代表して水用超微細化装置4について(可溶化装置9については括弧内で)、図2から図4を参照して説明する。
【0030】
水用超微細化装置4(可溶化装置9)は、頂板41aと底板41bとを有した外部円筒体41と、該円筒体411の中央部で上下に貫くように結合され、頂板43aと底板43bとを有した内部円筒体43と、それら隣り合う円筒体41、43の間に設けられ、内部で頂板41a近くに内部円筒体43の上部に形成された複数の連絡開口部45を介して互いに連通した外部環状流路42と、内部円筒体43内の内部流路46とを有したケーシングの円筒容器40と、上水w(有機物スラリー)を内部円筒体43の下部内にポンプP1で供給する供給パイプ43Iと、内部流路46から超微細化されたクラスターの水(超微細化された有機物を含むスラリー)を排出するために内部円筒体43の上部に接続された排出パイプ43Oと、内部流路46における底部から吸引パイプ43Sを介して被処理水を吸引して加圧し、環状流路42の下部に吐出パイプ43Dを介して接線方向から供給して円周方向に、例えば30m/秒程度の高速度の水流F1を発生させ、その高速水流による剪断作用やそれに伴うキャビテーションなどの機械力によって水クラスター(フレーク状汚泥/有機物)を超微細化する渦巻きポンプなどの噴射ポンプP2と、内部円筒体43内の上部突出部において、例えば1000rpm程度の高速度で回転して環状流路42を旋回して上昇して来て複数の連絡開口部45から流入して来る水クラスター(被処理水中のフレーク状汚泥/有機物)に衝撃を与えて数ミクロンレベルに超微細化する回転体44とを有している。内部流路46でも、被処理水が噴射ポンプP2によって底部から吸引されるために底板43bに激突し、滝壷効果のような衝撃とキャビテーションとによって被処理水のクラスター(被処理水中のフレーク状汚泥/有機物)が超微細化される。そのような衝撃は、環状流路42における頂板41aと底板41bへの高速水流の衝突によっても起こされている。
【0031】
この水用超微細化装置4(可溶化装置9)では、排出パイプ43Oの排出口を回転体44のレベルにして、被処理水を回転体44に接触させるように内部円筒体43内での流体レベルLをほぼ排出口レベルに維持するようにしている。また噴射ポンプP2の吐出パイプ43Dにベンチュリー部43Vを形成して空気をパイプ43Pから吐出高速水流中に混入させることができ、上記のようなキャビテーションの作用を強めることができる。空気の供給量はパイプ43Pの弁V1によって加減される。
【0032】
また回転体44は、図4(a)に示すように、インバータモータなどの電動可変速モータ(図示は省略)によって回転駆動される垂直な回転軸441と、これの下端に直交して結合された円盤442と、その下面に放射状に配列された多数の横長の短冊状板や突起などの突出羽根443とから構成されている。図4(b)に示すように、突出羽根444は上下方向に長い形状も取ることができる。更に、図4(c)に示すように、回転体44は、突出羽根445として円盤442の下面に放射状にピンを配列し、これら移動ピンに対向した固定ピン446を円盤447に設けた固定体448と対峙した構成を取ることができる。固定体448は、内部円筒体43の上部に固定され、その円盤447には中央開口447aや、適宜多数の孔447bが形成される。また、回転体44は、規模やスペースに応じて複数配置され、更に図3(a)に仮想線で示すように斜め回転体44Aや、横向き回転体44Bとしても配置され、またそれらは混在され得る。
【0033】
排出パイプ43Oが内部円筒体43に接続している部分では、気液混合状態になっているために、図3(a)に示すように、水にセットリングしてから排出するようにダム構造部23が設けられている。ダム構造部23は、内部円筒体43の上部の排出開口43cに向き合い、上下に通孔を設けて該上部内面に取り付けられた邪魔板23aと、開口43cに連通して内部円筒体43の外部に設けられ、溶解された有機物を含んだ水を混合状態の気体から分離してセットリングする略直方体の箱23bと、箱23bに接続された排出パイプ43Oとから構成されている。箱23bの内部のダム部23cには、頂板の外部からハンドル23dによって上下動される堰板23eが設けられている。
【0034】
図3(b)に示すダム構造部23’も基本的には図3(a)に示すものと同じであるが、邪魔板23aに代えて回転体44を取り囲む構造物23gが設けられている。構造物23gは、内部円筒体43の上部に回転体44と向かい合って固定された多孔円盤24hと、この上に回転体44の周囲を取り囲むように取り付けられた多孔円筒壁24iとを有しており、セットリングの他に超微細化を強化する。
【0035】
水用超微細化装置4(可溶化装置9)の変形例を図5によって説明する。変形例の装置4’は、上記代表例よりも簡単な構造を有しており、ケーシングを成す外部円筒体41’と、これに半径方向に間隔を置くと共にケーシング頂板41a’に対して間隔45’を取った内部円筒体43’の2つの同心状態の円筒体41’、43’を有し、それら隣り合う円筒体41’、43’の間に連絡間隔部45’を介して互いに連通した外部環状流路42’と内部円筒体43’内の内部流路46’とを設け、外部円筒体41’と頂板41a’と底板41b’とで囲まれた円筒容器40’と、環状流路42’に(フレーク状の汚泥/有機物を含有した)被処理水をポンプP2で供給するように外部円筒体41’の下部に接続された供給パイプ41I’と、内部流路46’から超微細化されたクラスターの(超微細化された汚泥を溶融した)処理済み水を排出するために内部円筒体43’の上部に接続された排出パイプ43O’と、内部流路46’における底部から吸引パイプ43S’を介して被処理水を吸引して加圧し、環状流路42’の下部に吐出パイプ43Dを介して接線方向から供給して円周方向に、例えば30m/秒程度の高速度の水流F1を発生させ、その高速水流による剪断作用やそれに伴うキャビテーションなどの機械力によって水クラスター(フレーク状汚泥)を超微細化する渦巻きポンプなどの噴射ポンプP2と、円筒容器40’内の上部において、具体的には内部円筒体43’の上方の間隔45’で、例えば1000rpm程度の高速回転して環状流路42’を旋回して上昇して来る水クラスター(被処理水中のフレーク状汚泥/有機物)に衝撃を与えて数ミクロンレベルに超微細化する回転体44とを有している。内部流路46’でも、被処理水が噴射ポンプP2によって底部から吸引されるために底板41b’に激突し、滝壷効果のような衝撃とキャビテーションによって水クラスター(被処理水中のフレーク状汚泥)が超微細化される。排出パイプ43O’の接続部のダム構造部は、上記代表実施例と同じである。
【実施例1】
【0036】
図2において、可溶化装置9は、供給パイプ43Iから供給される被処理水量と排出パイプ43Oから排出される排出量とが同じになった段階で定常運転状態になる。内部円筒体43の一定容積に対して供給量及び排出量を増やすと、被処理水が噴射ポンプP2を通過して繰り返し超微細化作用を受ける繰り返し数が減って超微細化程度が下がり、反対に供給量及び排出量を減らすと、被処理水が噴射ポンプP2を通過して繰り返し超微細化作用を受ける繰り返し数が増えて超微細化程度が上がる。従って、内部円筒体43の一定容積に対して供給量及び排出量を設定することが重要である。発明者の下水に対する実施テストでは、噴射ポンプP2の後に流量計を設けて幾つかの所定時間内での繰り返し通過の合計流量を測定し、その合計流量を内部円筒体43の一定容積で割って繰り返し通過回数を算定し、例えば150通過回数と300通過回数と1000通過回数における被処理水の状態を観察し、最も良い状態の通過回数を決める。最も良い状態は、300通過回数で得られ、フレーク状汚泥が良く超微細化されて24時間静置しても水と超微細化された汚泥とが分離せず溶融ができており、温度上昇も20℃から45℃までで、生物分解に活躍する大腸菌や他の細菌の生存数が最大であった。因みに、150通過回数では24時間静置すると水と超微細化された汚泥とが分離し、超微細化度が不足しており、1000通過回数では24時間静置しても水と超微細化された汚泥とが分離しないが、温度上昇も52℃に達して超微細化作用と共に大腸菌の生存数を激減させており、他の細菌の生存数も減少させており、また運転経済性が極めて悪い。従って、200から300通過回数で得られた見本的な超微細化状態が達成されるように、噴射ポンプP2の容量と内部円筒体43の容積が決められ、またそれらに対して被処理水の供給量(排出量)が決められる。
【0037】
廃棄包装食品の包装材分離装置6は、図6aから図6dにおいて、その供給側に相当する上流側端部の上方にほぼ水平に搭載され、投入部61aから廃棄包装食品W1が投入されて廃棄包装食品破片に破砕して出口61bから分離部62aへ供給する破砕部61と、出口61bに接続していて供給されてくる廃棄包装食品破片を横長の回転螺旋体65によって包装材破片の排出側に相当する下流側へ搬送しながら解して分離する分離室62とから構成されており、分離室62は、横長の円筒体63を構成しているスクリーンによって分離包装材破片Z1と分離食品W1’とに分ける分離部62aと、分離包装材破片Z1を排出する排出部68と、分離食品W1’を排出する排出部69とを有している。
【0038】
破砕部61は、ほぼ水平のケーシング61aのほぼ全長に渡って上方に廃棄包装食品Wの投入部のホッパー61aを備えると共に、ケーシング61Aの内部において投入廃棄食品W1を上から下に噛み込んで破砕しながら下流端部の出口61cに送るように等速度で反対方向に回転駆動される一対の互いに内側でオーバーラップして平行に回転可能に軸受けされた歯付き破砕螺旋体61b、61cを収容して構成されている。一方の破砕螺旋体61bは、モータm1によって回転駆動され、各軸部に固定された互いに噛み合う歯車16d、16eを介して他方の破砕螺旋体61cを反対方向に回転駆動する。破砕螺旋体61b、61cには、歯が回転方向に先端を向けて複数個等間隔で螺旋周縁に配列されていて、スリップを防いで廃棄包装食品W1の噛み込みを促進する。
【0039】
分離室62は、前後の両端壁62a、62bで塞がれたスクリーン製の横長の円筒体63から成る分離部62aと、これを取り囲むと共に前後の両端壁62a、62bを共有した上部ケーシング66及び漏斗状の横断面をなす下部ケーシング67と、包装材破片用出口として上部ケーシング66の下流側端部に搭載された分離包装材破片Z1を排出する排出部68と、下部ケーシング67の下部に搭載された分離食品W1’を排出する排出部69とから構成されている。分離部62aは、多数の2〜3mmの直径孔を有したパンチングメタルなどのスクリーン製の円筒体63から成るが、上部ケーシング66に搭載された排出部68と連通した包装材破片用出口を形成するために下流側上端部に矩形開口を設けている。上部ケーシング66は、スクリーン63を通過してくる分離食品W1’を受け止めて下部ケーシング67に落下させるために円筒体63との間に隙間を設けており、また排出部68を除いて開閉可能に下部ケーシング67に蝶番で連接されている。分離食品排出部69は、下部ケーシング67の下部にほぼ水平に搭載され、モータm2で回転駆動されるスクリューコンベヤ69aと排出ノズル部69bとから構成されている。
【0040】
回転螺旋体65は、モータm3によって例えば300〜600RPMで、又は10〜25m/秒の周速度で回転駆動される回転軸65aと、その周面上において供給側軸端から包装材破片用出口の手前まで延びると共に円筒体63の内面に外縁が接するように半径方向に突出して設けられた2枚の前置螺旋羽根65Aと供給側軸端から離れ場所から包装材破片用出口側終端まで延びると共に円筒体63の内面に外縁が接するように半径方向に突出して設けられた2枚の後置螺旋羽根65Bと、供給側軸端部に取り付けられた一対のブレードBとを有しており、前置螺旋羽根65Aと後置螺旋羽根65Bとは周囲方向において交互に配列されている。前置螺旋羽根65Aと後置螺旋羽根65Bとは、供給側の前縁部を斜め後方に傾斜させて破砕部61からの破砕包装食品の受け入れを容易にすると共に該前縁部に三角形状の散らし板を回転方向に突出させている。各螺旋羽根65A、65Bは、外縁を細長いゴム板で形成しており、交換可能に取り付けられている。ブレードBは、等しい間隔で複数枚設けることができる。別の形態の回転螺旋体として、回転軸の上流側周面上において下流側の包装材破片用出口に向かって破片送りかけるように螺旋状に4条に間隔をおいて配列された複数の突起と、該4条に配列された複数の突起の列の間において供給側軸端から離れ場所から包装材破片用出口側に向かって延び、円筒体63の内面に外縁が接するように設けられた4枚の螺旋羽根と、供給側軸端部に取り付けられた上述の一対のブレードとで構成される。
【0041】
丈夫な容器入り食品は、2軸式ロータリカッターや2軸式スクリュークラッシャーによって破砕され、スクリーン式選別機8によって容器破片が中身の食品から分離される構成をとることができる。柔軟容器入り食品は、上記廃棄包装食品の包装材分離装置6の破砕部61を省略した構成とでき、スクリーン付き円筒体内で破砕用突起又は羽根を食品入口部に備えた回転螺旋羽根の回転によって破砕され、スクリーン円筒部によって容器破片が中身の食品から分離される構成をとることができ、専用化と簡略化ができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の活用例として下水道施設の無い山岳や僻地で収集される糞尿に、大量に培養した発酵菌を光合成菌と共に投入すると、トイレの浄化にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の代表的な実施形態の有機物を使用した発酵菌培養設備を示した作業フローブロック線図。
【図2】同設備の水用超微細化装置(可溶化装置)の一部切り欠き縦断面図。
【図3】同水用超微細化装置(可溶化装置)の排出パイプの排出部の縦断面部分図であり、(a)は排出部の第一例を、(b)は排出部の第二例を示している。
【図4】(a)、(b)及び(c)は、水用超微細化装置(可溶化装置)の三つの形態の回転体をそれぞれ示した説明図。
【図5】変形例の水用超微細化装置(可溶化装置)の一部切り欠き縦断面部分図。
【図6(a)】同設備の廃棄包装食品の包装材分離装置の一部切り欠き立面図。
【図6(b)】同設備の廃棄包装食品の包装材分離装置の平面図。
【図6(c)】同設備の廃棄包装食品の包装材分離装置の回転螺旋体の立面図。
【図6(d)】同設備の廃棄包装食品の包装材分離装置の回転螺旋体の平面図。
【図7】従来の発酵菌を使用した廃棄物処理装置を示しており、(a)は同装置の縦断面図、(b)は同装置の横断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 有機物を使用した発酵菌培養設備
2 種菌タンク
3 添加物タンク
4 水用超微細化装置(有機物の可溶化装置)
4’ 変形例の水用超微細化装置(有機物の可溶化装置)
40 円筒容器
41 円筒壁(外部円筒体)
43 円筒壁(内部円筒体)
41a 頂壁(頂板)
41b 底壁(底板)
42 環状流路
43I 供給手段(供給パイプ)
43O 排出手段(排出パイプ)
43S 吸引部(吸引パイプ)
43D 噴射部(吐出パイプ)
43V エジェクター部
44 回転体
44A 斜め回転体
44B 横向き回転体 443 羽根
444 羽根
445 ピン
446 固定ピン
448 固定体
45 連絡部(開口)
46 流路
5 発酵菌培養タンク
51 撹拌手段
6 有機物粉砕装置(包装材分離装置)
61 破砕部
63 スクリーン付き円筒体
65 回転螺旋羽
7 有機物粉砕装置
8 スクリーン式選別機
9 可溶化装置
10 発酵促進タンク
F1 高速水流
P2 噴射手段(ポンプ)
W1 廃棄包装食品
W2 無包装上水や余剰汚泥
w 上水



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス菌などの発酵菌種を収容した種菌タンクと、
糖蜜を含む添加物を収容した添加物タンクと、
水の供給を受け、ポンプで発生された高速水流による大きな水流速度差による剪断作用と高速回転する回転体による衝撃力とによって水のクラスターをミクロンレベルに超微細化する水用超微細化装置と、
上記種菌タンクから発酵菌種が、上記添加物タンクから添加物が、上記水用超微細化装置から超微細化されたクラスターの水がそれぞれ供給されて発酵菌を大量に培養する発酵菌培養タンクと、
廃棄食品や余剰汚泥などの有機物の供給を受けて、粉砕する有機物粉砕装置と、
該有機物粉砕装置から粉砕有機物が供給され、ポンプで発生された高速水流による大きな水流速度差による剪断作用と高速回転する回転体による衝撃力とによって粉砕有機物をミクロンレベルに超微細化して超微細な水クラスター間に溶融させる可溶化装置と、
該可溶化装置から超微粒子化された有機物を溶融した水の供給を受け、上記発酵菌培養タンクから発酵菌の供給を受けて、有機物を処理しながら発酵菌を培養する発酵促進タンクとから構成されていることを特徴とする有機物を使用した発酵菌培養設備。
【請求項2】
上記発酵促進タンクへの発酵菌の供給は、上記廃棄食品や余剰汚泥の貯溜部において散布された発酵菌とそれら廃棄食品や余剰汚泥と共に、及び/若しくは上記有機物粉砕装置において散布された発酵菌と粉砕された有機物と共に、及び/若しくは上記可溶化装置に混入された発酵菌と超微粒子化された有機物と共に供給され、及び/若しくは上記発酵促進タンクに直接供給される請求項1記載の設備。
【請求項3】
上記廃棄食品は、無包装の廃棄食品と包装された廃棄食品とを含んでおり、包装された廃棄食品は、紙パック入り牛乳や紙筒入りポテトチップ、ペットボトル入り飲料物などの丈夫な容器入り食品と柔軟容器入り食品とを含んでおり、これら丈夫な容器入り食品及び柔軟容器入り食品は、破砕部で破砕部された包装食品をスクリーン付き円筒体内で回転螺旋羽根の回転によって中身の食品から包装材を分離する廃棄包装食品の包装材分離装置によって包装材が分離された状態になっている請求項1記載の設備。
【請求項4】
上記丈夫な容器入り食品は、2軸式ロータリカッターや2軸式スクリュークラッシャーによって破砕され、スクリーン式選別機によって容器破片が中身の食品から分離される請求項3記載の設備。
【請求項5】
上記柔軟容器入り食品は、スクリーン付き円筒体内で破砕用突起又は羽根を食品入口部に備えた回転螺旋羽根の回転によって破砕され、スクリーン円筒部によって容器破片が中身の食品から分離される請求項3記載の設備。
【請求項6】
上記発酵菌培養タンクと上記発酵促進タンクとは、発酵菌と共生関係を取る光合成菌が添加される請求項1記載の設備。
【請求項7】
上記発酵菌培養タンクと上記発酵促進タンクとは、内部に撹拌手段を有している請求項1又は6記載の設備。
【請求項8】
上記発酵促進タンクは、内部に撹拌手段と温度制御手段とを有している請求項1又は6記載の設備。
【請求項9】
上記可溶化装置は、流体中に含有されたフレーク状の有機物を超微細化して流体中に溶融させる装置であって、
ほぼ同心状態で2層以上の円筒壁を有し、隣り合う円筒壁間に連絡部を介して互いに連通した環状流路を設けると共に上記環状流路に連絡部を介して連通する流路を最内部の円筒壁内に有し、頂壁と底壁とで囲まれた円筒容器と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つにフレーク状の有機物を含有した下水を被処理流体として供給する供給手段と、
上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから超微細化された有機物を溶融した流体を排出する排出手段と、
上記供給手段と上記環状流路及び上記流路の少なくともいずれか一つから被処理流体を吸引して、上記環状流路の少なくともいずれか一つに加圧して供給して円周方向に高速流を発生させ、その高速流による剪断作用などの機械力によってフレーク状有機物を超微細化する噴射手段と、
上記円筒容器内において高速回転する回転体とを有している請求項1又は2記載の設備。
【請求項10】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を有し、ケーシング頂壁の上方に突出した頂壁を有すると共に上記連絡部をケーシング頂壁の近くの内部に有した突出内部円筒壁とを有しており、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有しており、
上記回転体は、上記突出内部円筒壁の突出部の内部に設けられている請求項9記載の設備。
【請求項11】
上記円筒容器は、ケーシングを成す最外部の円筒壁と、該ケーシング内において底壁を共用し、ケーシング頂壁に対して間隔を取った内部円筒壁とを有しており、
上記噴射手段は、上記内部円筒壁の底壁に被処理流体の吸引部を有すると共に、吸引した被処理流体を最外部環状流路内に接線方向に噴射する噴射部を上記ケーシングの最外部円筒壁に有しており、
上記回転体は、上記間隔部に設けられている請求項9記載の設備。
【請求項12】
上記回転体は、垂直、斜め、横向きのいずれかで一個又は複数個、又はそれらを組み合わせて複数個設けられる請求項1又は9記載の設備。
【請求項13】
上記回転体は、回転平板に多数の羽根やピンを取り付けて構成され、それら羽根やピンと対向した固定羽根や固定ピンを設けた固定体と対向される請求項1又は9記載の設備。
【請求項14】
上記回転体は、上記円筒容器の内部上部に、又は上記ケーシングの内部上部において回転駆動されるように配置されており、また
上記排出手段は、上記回転体のレベルに排出口を有している請求項9記載の設備。
【請求項15】
上記噴射手段は、渦巻きポンプとエジェクター部とから構成され、該エジェクター部には空気を吸入する空気吸入部を有している請求項9記載の設備。
【請求項16】
上記水用超微細化装置は、上記可溶化装置と同じ構造を有している請求項1記載の設備。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−37487(P2007−37487A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226897(P2005−226897)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】