説明

柱支持部材および建設機械用キャブ

【課題】隅部が直角形状のシール部材を採用する必要がない柱支持部材およびそれを有する建設機械用キャブを提供する。
【解決手段】柱支持部材33は、建設機械の旋回フレームに搭載されるキャブを構成する複数の柱部材のうち一対の柱部材11,12の下部間を支持するためのものであって、ベース部33aと当接部(接続部)33cとを備えている。当接部33cは、ベース部33aと一体に形成され、左前柱部材11の下部の側面に接続する。当接部33cは、主に曲面を介して連続する複数の面47,49を有しており、キャブに設けられる扉のシール構造25の一部を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱支持部材およびそれを有する建設機械用キャブに関し、特に、一対の柱部材の下部間を支持する柱支持部材およびそれを有する建設機械用キャブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設機械におけるキャブ構造には、転倒した際に運転者を保護しうる構造が採用されつつあり、EOPS(Excavotor’s Operation Protection Structure)性能が重要視されている。例えば、特許文献1には、各種のパイプ状部材を籠状に組み付けてフレーム構造とした建設機械のキャブ構造が開示されている。このような構成によれば、板金部材の組合せのみによって構成されたキャブ構造と比較して、建設機械が転倒した際の変形に対する剛性を大幅に向上させることができる。
【0003】
上記のキャブ構造には、運転者が乗り降りするための昇降用開口が形成されており、これを開閉するためのドア開閉構造が設けられている。
ドア開閉構造は、閉じたときの気密性を高めるためにシール構造を有している。このシール構造のシール部材は、例えばゴム製であり、昇降用開口の周囲に設けられることが多い。但し、パイプ状部材を柱部材として用いている場合は、柱部材側にシール部材取付け用のフランジを形成するのが困難である。そこで、別の方法として、シール部材をドアに取り付けて、ドアが閉じられるときにシール部材がキャブ本体の昇降用開口に密着するようにする構造も知られている。
【特許文献1】特開2003−261064号公報(平成15年9月16日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のキャブ構造では、以下に示すような問題点を有している。
特許文献1の図1や図2に示すように、柱部材の下部は各種の支持部材によって支持されている。これら支持部材としては、柱部材の下端を支持するベース部材、ベース部材同士を連結するために延びる連結部材がある。したがって、部品点数が多くなっており、しかもこれらを溶接等で連結するためキャブの組立精度が低下することがある。
【0005】
特許文献1では、柱部材の下部を支持する部材としては、さらに、厚肉化した柱部材の支点部を強化するための補強部材(34)が示されている。補強部材は、図から明らかなように、概ね三角形状の板部材である。補強部材は複数の面を有しており、各面の境界は例えば直角に形成されている。
【0006】
このような構造において、シール部材を補強部材の面の境界部に沿うような湾曲形状とする設計が考えられる。しかしながら、補強部材の面と面の境界部は角を持っているため、シール部材や両者の間に入る部材が補強部材の角から作用する力によって破損しやすいと考えられる。したがって、そのような設計は採用しがたい。
【0007】
そこでこの場合は、補強部材の柱部材と連結部材がなす隅部にシール部材を配置し、シール部材の隅部が直角形状となるように設計される。この構造を実現するためには、2つのシール部材の斜めの端部を加硫接着することになる。しかし、加硫接着を用いると、断面が不均一になって水密性が低下するという問題が生じてしまうため、隅部が直角形状のシール部材を採用することは望ましくない。
【0008】
本発明の課題は、隅部が直角形状のシール部材を採用する必要がない柱支持部材およびそれを有する建設機械用キャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る柱支持部材は、建設機械の旋回フレームに搭載されるキャブを構成する複数の柱部材のうち左右一対の柱部材の下部間を支持する柱支持部材であって、ベース部と接続部とを備えている。接続部は、ベース部と一体に形成され、柱部材の下部の側面に接続する。接続部は、主に曲面を介して連続する複数の面を有しており、キャブに設けられる扉のシール構造の一部を構成している。
【0010】
従来であればシール部材は、例えば柱部材と板部材とによって構成される直角のつなぎ目部分に沿うように直角の隅部を有していた。しかし、本発明では、接続部は主に曲面を介して連続する各面を有しているため、接続部からシール部材に力が作用してもシール部材が破損しにくい。そこで、シール部材からの荷重を接続部に受けさせることができる。その結果、隅部が直角形状のシール部材を採用する必要が無くなる。
【0011】
第2の発明に係る柱支持部材は、第1の発明に係る柱支持部材であって、接続部は、左右一対の柱部材の一方において左右一対の柱部材の前後方向を向く面に当接している。
【0012】
第3の発明に係る柱支持部材は、第1または第2の発明に係る柱支持部材であって、支持部材は鍛造または鋳造部品である。
ここでは、柱支持部材が鍛造または鋳造製品であるため、接続部の複数の面を主に曲面を介して連続させるのが容易である。
【0013】
第4の発明に係る柱支持部材は、第1から第3の発明のいずれかに1つに係る柱支持部材であって、柱支持部材は、接続部と一体に形成され、接続部から左右一対の柱部材のうち他方の柱部材に接続される他の柱支持部材と連結される連結部を有している。
ここでは、一対の柱支持部材によって一対の柱部材間を支持している。柱支持構造を一対の柱支持部材から構成することで、柱支持構造についての歩留まりが良くなる。
【0014】
第5の発明に係る柱支持部材は、第1〜第4の発明のいずれかに1つに係る柱支持部材であって、左右一対の柱部材は、キャブの前側に配置される左右一対の柱部材である。
ここでは、キャブの前側の左右一対の柱部材の下部およびそれを支持する部分は、キャブにおいて最も応力が集中しやすい部分である。一方、本発明の柱支持部材は一体の部材であり、そのため溶接部を柱支持部材から離すことで強度を向上させている。したがって、本発明の柱支持部材をキャブ前側の左右一対の柱部材に適用することの意義が大きい。
【0015】
第6の発明に係る建設機械用キャブは、第1から第5の発明のいずれか1つに係る柱支持部材と備えている。
ここでは、前述の柱支持部材を用いることで、キャブの部品点数が少なくなる。
【0016】
第7の発明に係る建設機械用キャブは、第6の発明に係る建設機械用キャブであって、柱部材はパイプ製である。
ここでは、柱部材がパイプ製であるため、他の構造に比べて、柱部材の下部を板部材に固定する部分に2つの面が主に曲面を介して連続する形状を形成しにくい。そのため、本発明の構造を採用することでシール部材からの荷重を接続部に受けさせることができるという効果の意義が大きい。
【0017】
第8の発明に係る建設機械用キャブは、第6または7の発明に係る建設機械用キャブであって、扉部材をさらに備えている。扉部材は、扉本体と、扉本体が閉じられた状態で接続部とともにシール構造を構成するシール部材とを有している。
ここでは、シール部材が接続部とともにシール構造を実現するため、シール部材を柱部材と板からなる直角部分に沿わせる必要がなく、シール部材の端部を加硫接着する必要がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る柱支持部材および建設機械用キャブによれば、接続部が主に曲面を介して連続する各面を有しているため、接続部からシール部材に力が作用してもシール部材が破損しにくい。そこで、シール部材からの荷重を接続部に受けさせることができる。その結果、隅部が直角形状のシール部材を採用する必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[装置全体の構成]
本発明の一実施形態に係る柱支持部材およびそれが採用されたキャブを搭載した油圧ショベルについて、図1〜図12を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明において使用する「左右」「前後」「前面背面」という文言は、キャブ10(図1等参照)内でオペレータが椅子に座ったときに向く方向を基準とする方向を示すものとする。
【0020】
[油圧ショベル1全体の構成]
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1に示すように、主に、下部走行体2と、旋回台3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10とを備えている。
【0021】
下部走行体2は、進行方向左右両端部分に巻き掛けられた履帯Pを回転させることで、油圧ショベル1を前進、後進させるとともに、上面側に旋回台3を旋回可能な状態で搭載している。
旋回台3は、下部走行体2上において任意の方向に旋回可能であって、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10とを搭載している。
【0022】
作業機4は、ブームと、ブームの先端に取り付けられたアームと、アームの先端に取り付けられたバケットとを含むように構成されており、油圧シリンダによってアームやバケット等を上下に移動させながら、土砂や砂礫等の掘削を行う土木工事の現場において作業を行う。
【0023】
カウンタウェイト5は、例えば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄やコンクリート等を入れて固めたものであって、採掘時等において車体のバランスをとるために旋回台3の後部に設けられている。
エンジン6は、下部走行体2や作業機4を駆動するための駆動源であって、カウンタウェイト5に隣接する位置に配置されている。
【0024】
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、旋回台3上における作業機4の側方となる左側前部に配置されている。なお、このキャブ10のキャブ構造については、後段にて詳述する。
【0025】
[キャブ10の構造]
キャブ10は、図2に示すように、オペレータが乗降するための箱型の構造体であって、5本の各種柱部材11〜15等によって構成されている。
柱部材11〜15は、左前柱部材11と、右前柱部材12と、左後柱部材13と、右後柱部材14と、左中央柱部材15である。
左前柱部材11および右前柱部材12は、いわゆるAピラーと呼ばれており、中央部付近において折り曲げられて、キャブ10の前方において床面から立設される柱部分と天井面を構成する梁部分とを含んでいる。
【0026】
左後柱部材13および右後柱部材14は、いわゆるCピラーと呼ばれており、ほぼ直線状の柱としてキャブ10の後方において床面から立設されている。
左中央柱部材15は、いわゆるBピラーと呼ばれており、ほぼ直線状の柱としてキャブ10の左側面におけるほぼ中央部またはそこからわずかに後方において床面から立設されている。
【0027】
右前柱部材12、右後柱部材14、左後柱部材13、左中央柱部材15,左前柱部材11は、フロアフレーム27によって連結されている。左前柱部材11と右前柱部材12は柱支持構造31によって連結されている(後述)。さらに、フロアフレーム27の上にはフロアカバー29が搭載される(後述)。
【0028】
さらに、キャブ10の柱部材11〜15には、図2には示していないが、左右両サイドパネル、天井パネル、後部パネルおよび底面パネルが貼られている。
左前柱部材11と左中央柱部材15の間がキャブ10の出入口21であり、ここに、図1に示すように、ドア23が設けられている。ドア23は、ヒンジ(図示せず)を回動中心として開閉可能となっている。
キャブ10は、さらに、ドア23の出入口21を閉じた状態で外部から雨水や粉塵がキャブ10内に侵入することを防止するためのシール構造25を有している(後述)。
【0029】
[キャブの柱支持構造]
左前柱部材11と右前柱部材12は、柱支持構造31によって連結されている。以下、柱支持構造31について説明する。
【0030】
柱支持構造31は、図3に示すように、細長く延びた部材であり、一対の柱支持部材33,33から構成されている。一対の柱支持部材33は溶接によって互いに連結されている。
一対の柱支持部材33,33は概ね同一形状である。したがって、以下、左前柱部材11に装着される柱支持部材33の構成についてのみ詳細に説明して、右前柱部材12に装着される柱支持部材33の構成については詳細な説明を省略する。
【0031】
柱支持部材33は、例えば、鍛造または鋳造によって製造された部品である。柱支持部材33は、主に、ベース部33aと、連結部33bと、当接部(接続部)33cとを備えている。ベース部33aは、フロアフレーム27の端部上に固定される平板形状の部分である。連結部33bは、ベース部33aから一方向に延びており、連結部33bの端面は他の連結部33bの端面に溶接で固定されている。
【0032】
さらに、柱支持部材33の構成について、図3〜図8を用いて詳細に説明する。
当接部33cは、ベース部33aと一体に形成され、ベース部33aの端部から上方に立ち上がった壁状の部材である。より具体的には、当接部33cは、ベース部の左前端に形成されており、第1当接部(接続部)35と、第2当接部(接続部)37とを有している。第1当接部35は、平面視において、前後方向に延びている板状部分であり、左前柱部材11の右側の側面11aに当接して溶接により接続されている。第2当接部37は、第1当接部35の後端から左側に延びている板状部分であり、左前柱部材11の後側の側面11bに当接して溶接により接続されている。ここでは、第1当接部35と第2当接部37が補強部として左前柱部材11の2つの面11a,11bにそれぞれ当接しており、それにより左前柱部材11の下部の強度が向上している。また、第1当接部35と第2当接部37は表面同士が滑らかに連続しているため、左前柱部材11の各方向に対して応力集中を緩和できる。
【0033】
ここでは、当接部33cとベース部33aが一体に形成されて柱支持部材33を構成しているため、従来に比べて部品点数が少なくなっている。部品点数が少ないため、溶接箇所が減っている。したがって、溶接による歪みが減ってキャブ10の底面の平面度が向上している。その結果、歪み取り工程における作業低減が可能になる。
【0034】
また、キャブ10の前側の左右一対の柱部材11,12の下部およびそれを支持する部分は、キャブ10において最も応力が集中しやすい部分である。一方、本発明の柱支持部材33は一体の部材であり、そのため溶接部を柱部材11から離すことできる。したがって、本発明の柱支持部材33をキャブ前側の左右一対の柱部材に適用することの意義が大きい。溶接部を柱部材11,12から離れることで、強度が向上するからである。
【0035】
連結部33bは、主に、板部39と段部41とから構成されている。板部39はベース部33aから延びる平坦な部分である。段部41は、第1当接部35の上面から下降していき、板部39に沿って延びており、板部39から上方に突出している。
第2当接部37について詳細に説明する。第2当接部37は、第1当接部35とともに左前柱部材11の下部を側方から支持するための構造である。第2当接部37は、上面45と、後側面47と、先端面49とを有している。
【0036】
上面45は、上側を向いた面であり、左右方向に延びている。後側面47は上面45から後方になだらかに下降していく湾曲面であり、左後柱部材13側を向いている。先端面49は、後側面47から滑らかに連続して左側(柱支持部材33が延びる方向の外側)を向いている。第2当接部37は、さらに前側面48と、下側面50とを有している。前側面48は、鉛直方向に延びる概ね平坦な面であり、左前柱部材11の後ろ側の側面11bに当接する。下側面50はフロアフレーム27の上面に当接する。先端面49は、上面45、後側面47、さらにはそれらの反対側の面48,50によって形成されている。上面45と、後側面47と、先端面49等の各面は、互いに曲面を介して連続しており、言い換えると、各面の境界には稜線が現れるような角部は形成されていない。
【0037】
柱支持部材33の左前柱部材11に対する溶接箇所は、当接部33cの第1当接部35の上面と第2当接部37の上面45に沿った箇所のみである。このように、溶接箇所を最小限にすることで、キャブ10の底面の平面度が向上している。
さらに、一対の柱支持部材33の連結部33b同士は先端面が互いに当接した状態で溶接されている。一対の柱支持部材33の連結部33b同士は、キャブの左右一対の柱部材間の略中央で連結されているため、溶接箇所が両方の柱部材11,12及び当接部33cから最も離れているため、溶接による歪みが一対の柱部材11,12の下部や柱支持部材33の当接部33c等に影響しにくい。そのため、キャブ10の底面の平面度がさらに向上する。
【0038】
図12に示すように、フロアカバー29の端部は、柱支持部材33の上側に配置されている。さらに、フロアカバー29の端部の一部は覆い部29aを有しており、覆い部29aは、柱支持部材33の当接部33cの第2当接部37の先端面49に近接している。
【0039】
[シール部の構造]
シール構造25は、主に、シール部材51と、ドア23が閉じられた状態でシール部材51と当接する他の部材とから構成されている。シール部材51は、ドア23の概ね縁全体に沿って配置されている。
シール部材51の前側下方の隅部は、図8〜図10に示すように、滑らかに湾曲した湾曲隅部51aとなっている。ドア23が閉じられた状態で、シール部材51の湾曲隅部51aは、フロアカバー29の覆い部29aを間に介して、柱支持部材33の先端面49に沿って延びている。これにより、シール部材51の湾曲隅部51aからの荷重は、柱支持部材33の先端面49によって主に受けられる。なお、シール部材51の湾曲隅部51aは、フロアフレーム27の縁部および左前柱部材11の縁部に荷重を付与している。以上より、ドア23が閉じた状態で、シール部材51の湾曲隅部51aは主に先端面49とともにシール構造25の一部を実現している。
【0040】
シール部材51と柱支持部材33によるシール構造25の実現について、さらに詳細に説明する。当接部33cは、滑らかに連続する複数の面45〜50を有しており、ドア23のシール構造25の一部を構成している。より詳細には、シール部材51と第2当接部37の各面によってシール構造25が構成されている。従来であればシール部材は、例えば左前柱部材11とフロアフレーム27とによって構成される直角のつなぎ目部分に沿うように直角な隅部を有していた。しかし、本発明では、当接部33cは滑らかに連続する各面45〜50を有しているため、当接部33cからシール部材51やその間のフロアカバー29の覆い部29aに力が作用してもシール部材51やフロアカバー29が破損しにくい。より具体的には、シール部材51に対して第2当接部37の後側面47と先端面49の境界部分や上面45と先端面49の境界部分から力が作用しても、第2当接部37の後側面47と先端面49は滑らかに連続しているため、シール部材51やフロアカバー29の破損の可能性が低い。そこで、シール部材51からの荷重を当接部33cに受けさせることができる。その結果、シール部材を左前柱部材11とフロアフレーム27からなる直角の隅部に沿わせる必要がない。この結果、加硫接着を用いたシール部材を採用する必要がなく、そのため、水密性が向上し、さらにシール部材の製造コストを低くできる。
【0041】
この構成では、柱支持部材33が鍛造品または鋳造品であるため、当接部33cの複数の面47〜50を滑らかに連続させるのが容易である。
特に、キャブ10の柱部材11、12等がパイプ製であるため、プレス材を支柱に用いた場合に比べて、柱部材の下部をフロアフレームに固定する部分に2つの面が滑らかに連続する形状を形成しにくい。そのため、本発明の構造を採用することで得られる効果(シール部材の荷重を受ける部材の面同士を滑らかに連続させる)の意義が大きい。
【0042】
以上のように、鍛造化により部材を集約させることで、小物物品の削減や溶接部位の減少を実現している。さらに補強部を滑らかな形状とすることで、応力集中を緩和している。また、補強部を一対の柱部材に沿うように立ち上げる形状とすることで、支点部の前後方向および左右方向に対して応力集中を緩和している。
【0043】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記実施形態では、柱支持構造はキャブの前側の左右一対の柱部材を支持していたが、これをキャブの後側の左右一対の柱部材を支持するのに用いても良い。
【0044】
本実施形態では油圧ショベルを例に挙げて説明したが、油圧ショベル以外の建設機械(ホイールローダやブルドーザなど)にも適用可能である。
上記実施形態では、柱支持部材33の当接部33cやシール構造25の詳細な例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の柱支持部材は、接続部が主に曲面を介して連続する各面を有しているため、隅部が直角形状のシール部材を採用する必要が無いという効果を奏することから、建設機械用キャブに対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャブが採用された油圧ショベルの側面概略図。
【図2】パネルやドアを取り除いた状態でのキャブの斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係る支持構造の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係る支持構造の平面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る支持部材の平面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る支持部材の正面図。
【図7】第1柱部材の下端部および支持部材の一部の斜視図。
【図8】シール構造の斜視図。
【図9】シール構造の斜視図。
【図10】シール構造の正面図。
【図11】図10のXI−XI矢視断面図。
【図12】図10のXII−XII矢視断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 旋回台
4 作業機
5 カウンタウェイト
6 エンジン
10 キャブ
11 左前柱部材
12 右前柱部材
13 左後柱部材
14 右後柱部材
15 左中央柱部材
21 出入口
23 ドア
25 シール構造
27 フロアフレーム
29 フロアカバー
29a 覆い部
31 柱支持機構
33 柱支持部材
33a ベース部
33b 連結部
33c 当接部(接続部)
35 第1当接部(第1接続部)
37 第2当接部(第2接続部)
39 板部
41 段部
45 上面
47 後側面
48 前側面
49 先端面
50 下側面
51 シール部材
51a 湾曲隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の旋回フレームに搭載されるキャブを構成する複数の柱部材のうち左右一対の柱部材の下部間を支持する柱支持部材であって、
ベース部と、
前記ベース部と一体に形成され、前記柱部材の下部の側面に接続する接続部とを備え、
前記接続部は、曲面を介して連続する複数の面を有しており、前記キャブに設けられる扉のシール構造の一部を構成している、
柱支持部材。
【請求項2】
前記接続部は、前記左右一対の柱部材の一方において前記左右一対の柱部材の前後方向を向く面に接続している、請求項1に記載の柱支持部材。
【請求項3】
前記柱支持部材は鍛造または鋳造部品である、請求項1または2に記載の柱支持部材。
【請求項4】
前記柱支持部材は、前記接続部と一体に形成され、前記接続部から前記左右一対の柱部材のうち他方の柱部材に接続される他の柱支持部材と連結される連結部を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の柱支持部材。
【請求項5】
前記左右一対の柱部材は、前記キャブの前側に配置される左右一対の柱部材である、請求項1から4のいずれか1項に記載の柱支持部材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の柱支持部材とを、
備えた建設機械用キャブ。
【請求項7】
前記柱部材はパイプ製である、請求項6に記載の建設機械用キャブ。
【請求項8】
扉部材をさらに備え、
前記扉部材は、扉本体と、前記扉本体が閉じられた状態で前記接続部とともにシール構造を構成するシール部材とを有している、請求項6または7に記載の建設機械用キャブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−241899(P2009−241899A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93869(P2008−93869)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】